JP2016133496A - 湿度計及び湿度の計測方法 - Google Patents

湿度計及び湿度の計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度にかかわらず湿度を計測可能な湿度計を提供する。【解決手段】耐熱性の窓121A、121Bが設けられた耐熱性の検査管21と、窓121Aを介して、検査管21内部に向けて、水で吸収される波長を少なくとも有する検査光を照射する検査光発光器11と、窓121Bを介して、検査管21内部を透過した検査光を受光する受光器12と、受光器12が受光した検査光の強度に基づき、検査管内部の湿度を特定する湿度特定部301と、を備える湿度計。【選択図】図1

Description

本発明は計測技術に係り、湿度計及び湿度の計測方法に関する。
湿度計としては、乾湿計、高分子容量式湿度計、及び近赤外線分光分析式湿度計等がある(例えば、特許文献1参照。)。乾湿計は、乾球温度計、及び湿球温度計を備える。湿球温度計において、湿球から水が蒸発するときに、気化熱によって湿球が冷却される。そのため、空気の乾燥の度合いに応じて、乾球温度計と、湿球温度計と、の間に温度差が生じる。したがって、乾球温度計と、湿球温度計と、の温度差から、湿度を求めることが可能である。
高分子容量式湿度計は、下側電極、下側電極上に配置された感湿性高分子、及び感湿性高分子上に配置された透湿性上側電極を備える。高分子容量式湿度計において、測定空気に含まれる水分が透湿性上側電極を透過して、感湿性高分子に吸着される。これにより変化する感湿性高分子の誘電率を、上下電極間の容量変化で測定することにより、湿度が測定される。
近赤外線分光分析式湿度計は、水蒸気量が既知の空気を収容している標準セルと、標準セル内に近赤外線を照射して吸光度を測定する測定部と、を備える。近赤外線分光分析式湿度計は、測定した標準セル内の吸光度を参照値として、検量線により、外気の湿度を求める。
特開平8−254580号公報
本発明者らは、従来の湿度計は、耐熱性がなく、また、水分により光学部品や電機部品が壊れやすいという問題があることを見出した。さらに、本発明者らは、従来、測定対象の空気をセルに引き込み、湿度を測定する湿度計があるが、測定対象の空気をセルに引き込むと温度が低下し、結露が発生して光学的な散乱が生じたり、相対湿度が変化したりしてしまうという問題があることを見出した。そこで、本発明は、温度にかかわらず湿度を計測可能な湿度計及び湿度の計測方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の態様は、(a)耐熱性の窓が設けられた耐熱性の検査管と、(b)窓を介して、検査管内部に向けて、水で吸収される波長を少なくとも有する検査光を照射する検査光発光器と、(c)窓を介して、検査管内部を透過した検査光を受光する受光器と、(d)受光器が受光した検査光の強度に基づき、検査管内部の湿度を特定する湿度特定部と、を備える、湿度計であることを要旨とする。
上記の湿度計が、検査管内部を透過した検査光の強度と、検査管内部の湿度と、の関係を保存する関係記憶装置を更に備えていてもよい。湿度特定部が、受光器が受光した検査光の強度の値と、関係と、に基づき、検査管内部の湿度の値を特定してもよい。関係が、検査管内部の相対湿度が100%である場合の検査管内部の吸光度に基づいていてもよい。湿度特定部が、検査管内部を透過する前の検査光の強度の値と、受光器が受光した検査光の強度の値と、関係と、に基づき、検査管内部の湿度の値を特定してもよい。
上記の湿度計において、湿度が相対湿度で表されてもよいし、比湿で表されてもよいし、モル分率で表されてもよい。
上記の湿度計が、受光器が受光した検査光の強度に基づき、検査管内部の乾き度を特定する乾き度特定部を更に備えていてもよい。
上記の湿度計において、検査光発光器と、受光器と、が、光導波路を介して検査管の窓に接続されていてもよい。
上記の湿度計が、窓を介して、検査管内部に向けて、検査光と比較して水に吸収されにくい波長帯域の参照光を発する参照光発光器をさらに備え、受光器が、窓を介して、検査管内部を透過した検査光及び参照光を受光し、湿度特定部が、受光器が受光した参照光の強度に基づき、受光器が受光した検査光の強度を補正してもよい。
また、本発明の態様は、(a)耐熱性の窓が設けられた耐熱性の検査管内部に向けて、窓を介して、水で吸収される波長を少なくとも有する検査光を照射することと、(b)窓を介して、検査管内部を透過した検査管内部の検査光を受光することと、(c)受光した検査光の強度に基づき、検査管内部の湿度を特定することと、を含む、湿度の計測方法であることを要旨とする。
上記の湿度の計測方法が、検査管内部を透過した検査光の強度と、検査管内部の湿度と、の関係を用意することをさらに含んでいてもよい。受光した検査光の強度の値と、関係と、に基づき、検査管内部の湿度の値を特定してもよい。関係が、検査管内部の相対湿度が100%である場合の検査管内部の吸光度に基づいていてもよい。検査管内部を透過する前の検査光の強度の値と、受光した検査光の強度の値と、関係と、に基づき、検査管内部の湿度の値を特定してもよい。
上記の湿度の計測方法において、湿度が相対湿度で表されてもよいし、比湿で表されてもよいし、モル分率で表されてもよい。
上記の湿度の計測方法が、受光した検査光の強度に基づき、検査管内部の乾き度を特定することをさらに含んでいてもよい。
上記の湿度の計測方法において、検査光を発する検査光発光器と、検査光を受光する受光器と、が、光ファイバを介して検査管の窓に接続されていてもよい。
上記の湿度の計測方法が、窓を介して、検査管内部に向けて、検査光と比較して水に吸収されにくい波長帯域の参照光を発することをさらに含み、窓を介して、検査管内部を透過した検査光及び参照光を受光し、受光した参照光の強度に基づき、受光した検査光の強度を補正することをさらに含んでいてもよい。
本発明によれば、温度にかかわらず湿度を計測可能な湿度計及び湿度の計測方法を提供可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る湿度計の模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る湿度計の模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係る湿度計の模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係る標準大気圧における水の状態変化を示すグラフである。 本発明の第3の実施の形態に係る飽和蒸気と飽和液の吸光スペクトルを示すグラフである。 本発明の第3の実施の形態に係る飽和蒸気と飽和液の吸光スペクトルと、乾き度の関係と、を示すグラフである。 本発明の第3の実施の形態に係る飽和蒸気と飽和液の吸光スペクトルと、乾き度の関係と、を示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る湿度計は、図1に示すように、耐熱性の窓121A、121Bが設けられた耐熱性の検査管21と、窓121Aを介して、検査管21内部に向けて、水で吸収される波長を少なくとも有する検査光を照射する検査光発光器11と、窓121Bを介して、検査管21内部を透過した検査光を受光する受光器12と、受光器12が受光した検査光の強度に基づき、検査管内部の湿度を特定する湿度特定部301と、を備える。ここで、耐熱性とは、例えば標準大気圧下において少なくとも100℃の熱に耐えることをいう。
例えば、検査管21内部には空気が流れる。検査管21は、湿度測定対象の空気が流れる配管に接続され、配管内の空気の温度を検査管21内で下げる必要はない。そのため、検査対象の空気は、温度を下げることなく、検査管21内に導かれる。検査管21に設けられた窓121Aと、窓121Bと、は、対向している。窓121A、121Bは、例えば耐熱ガラスからなる。窓121A、121Bが設けられた耐熱性の検査管21は、例えば、サイトグラスである。
検査光発光器11としては、発光ダイオード(LED)等が使用可能である。検査光が少なくとも有する水で吸収される波長とは、例えば1700nmから2200nmである。検査光は、例えば、波長領域800ないし2500nmの近赤外光であってもよい。
検査光発光器11には検査光を検査管21の窓121Aの外面に伝搬する光導波路31が接続されている。検査光を発する光導波路31の端部と、窓121Aの外面の間に、コリメータレンズを配置してもよい。光導波路31には、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA:Poly(methyl methacrylate))からなるプラスチック光ファイバ、及び石英ガラスからなるガラス光ファイバ等が使用可能であるが、検査光発光器11が発した検査光を伝搬可能であれば、これらに限定されない。
検査光発光器11が発した、水で吸収される波長を少なくとも有する検査光は、検査管21の内部において、空気に含まれる水蒸気によって吸収される。したがって、空気の湿度が高いと空気による検査光の吸収の程度は高くなり、空気の湿度が低いと空気による検査光の吸収の程度は低くなる傾向にある。
検査管21の窓121Bの外面には、検査管21の内部を通過した検査光が進入する光導波路32が接続されている。光導波路32の端部は、光導波路31の端部と対向している。窓121Bの外面と、光導波路32の端部の間に、光導波路32に検査光を入射させるレンズを配置してもよい。光導波路32は、検査管21の内部の空気を透過した検査光を、受光器12に導く。受光器12には、フォトダイオード等の光強度検出素子が使用可能である。
ここで、検査管21内の空気の湿度は、検査管21内の空気の吸光度と相関する。検査管21内の空気の吸光度は、下記(1)式で与えられるように、検査管21内の空気を透過する前の検査光の光強度I0に対する、検査管21内の空気を透過した後の検査光の光強度I1の比の対数で与えられる。
A=-ln(I1/I0) (1)
例えば、湿度が100%の検査管21内の空気を透過した後の検査光の光強度がI1_100である場合、検査管21内の空気の湿度yと受光器12の受光強度xとの関係は、下記(2)式で与えられる。下記(2)式で与えられる関係は、空気の相対湿度が100%である場合の空気の吸光度に基づいている。
y/100={-ln(x/I0)}/{-ln(I1_100/I0)} (2)
検査管21内の空気を透過する前の検査光の光強度I0の値、及び検査管21内の相対湿度が100%の空気を透過した後の検査光の光強度I1_100の値は、予め定数として取得することが可能である。したがって、湿度が未知の測定対象の空気を検査管21内に流し、受光器12で検査管21内の空気を透過した後の検査光の光強度xの値を測定すれば、上記(2)式から測定対象の空気の相対湿度yの値を算出可能である。
受光器12には、中央演算処理装置(CPU)300が接続されている。CPU300には、関係記憶装置400が接続されている。関係記憶装置400は、例えば、上記(2)式のような、検査管21内の空気を透過した検査光の光強度xと、検査管21内の空気の湿度yと、の関係を保存する。なお、検査管21内の吸光度は、検査管21の直径にも依存する。そのため、湿度計測時の検査管21の直径と、関係を取得した際の検査管21の直径とは、同じであることが好ましい。
湿度特定部301は、CPU300に含まれている。例えば、湿度特定部301は、受光器12が受光した検査光の光強度の値と、上記(2)式で与えられる関係と、に基づき、検査管21内の空気の相対湿度の値を特定する。例えば、湿度特定部301は、受光器12から、検査管21内部の空気を透過した検査光の受光強度の測定値を受信する。また、湿度特定部301は、関係記憶装置400から(2)式を読み出し、(2)式に含まれる空気を透過した後の検査光の光強度の変数xに、受光強度の測定値を代入して、検査管21内部の空気の相対湿度を算出する。
CPU300には、さらに入力装置321、出力装置322、プログラム記憶装置323、及び一時記憶装置324が接続される。入力装置321としては、スイッチ及びキーボード等が使用可能である。関係記憶装置400に保存される関係式は、例えば、入力装置321を用いて入力される。出力装置322としては、光インジケータ、デジタルインジケータ、及び液晶表示装置等が使用可能である。出力装置322は、例えば、湿度特定部301が特定した検査管21内部の空気の相対湿度の値を出力する。プログラム記憶装置323は、CPU300に接続された装置間のデータ送受信等をCPU300に実行させるためのプログラムを保存している。一時記憶装置324は、CPU300の演算過程でのデータを一時的に保存する。
以上説明した第1の実施の形態に係る湿度計によれば、例えば、湿り蒸気及び過熱蒸気を含むような、高温の空気の湿度を測定することが可能となる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る湿度計は、図2に示すように、窓121Aを介して、検査管21内部の空気に向けて、検査光と比較して水に吸収されにくい波長帯域の参照光を発する参照光発光器111をさらに備える。第2の実施の形態において、受光器12は、窓121Bを介して、検査管21内部の空気を透過した検査光及び参照光を受光する。また、湿度特定部301は、受光器12が受光した参照光の強度に基づき、受光器12が受光した検査光の強度を補正する。
水に吸収されにくい波長帯域とは、例えば1300nm未満である。参照光発光器111には、発光ダイオード等が使用可能である。
検査光発光器11には検査光を伝搬する光導波路30が接続されており、参照光発光器111には参照光を伝搬する光導波路130が接続されている。光導波路30と光導波路130には、合波器14が接続されている。合波器14には、合波器14で合波された検査光と参照光を、検査管21の窓121Aの外面に伝搬する光導波路31が接続されている。
検査光及び参照光の一部は、検査管21内部において、反射、散乱、及び屈折等されうる。反射、散乱、及び屈折、並びに窓121A、121Bの汚れ等による検査光の損失は、参照光の損失と略同一である。
第2の実施の形態において、光導波路32は、検査管21内部の空気及び窓121Bを透過した検査光及び参照光を、受光器12に導く。また、第2の実施の形態において、湿度特定部301は、例えば下記(3)式に従って、上記(1)式で与えられる検査光に対する空気の吸光度Aから、参照光に対する空気の吸光度を引き、検査管21の内部における反射、散乱、及び屈折等、並びに窓121A、121Bの汚れ等による検査光の損失を補正した補正された吸光度ACを算出する。
AC=A-(-ln(Iref1/Iref0)) (3)
ref0は窓121A及び空気を透過する前の参照光の光強度を表し、Iref1は空気及び窓121A、121Bを透過した後の参照光の光強度を表す。窓121A及び空気を透過する前の参照光の光強度は、予め測定した値を定数として用いてもよい。
第2の実施の形態において、湿度特定部301は、例えば上記(2)式の右辺の分母に、空気の相対湿度が100%のときの補正された吸光度を代入し、右辺の分子に、検査管21内の測定対象の空気の補正された吸光度を代入して、測定対象の空気の相対湿度を算出する。
第2の実施の形態に係る湿度計のその他の構成要素は、第1の実施の形態に係る湿度計と同様である。第2の実施の形態に係る湿度計によれば、検査管21内の空気の湿度をより正確に特定することが可能となる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る湿度計は、図3に示すように、受光器12が受光した検査光の強度に基づき、検査管21内部の乾き度を特定する乾き度特定部302をさらに備える。
検査管21には、例えば湿り蒸気(飽和蒸気と、飽和液と、が合わさったもの)が通過しうる。図4に示すように、標準大気圧下においては、水は沸点(100℃)に達した後、液滴としての水と、蒸気と、が混合し、共存態にある湿り蒸気となる。圧力が一定の場合、湿り蒸気は加熱及び冷却により潜熱が変化するため、飽和温度は一定となる。ここで、下記(4)式で与えられるように、湿り蒸気全量に対する、飽和蒸気の質量比を、「乾き度」という。したがって、飽和蒸気の乾き度は1となり、飽和液の乾き度は0となる。
z=mvapor/(mvapor+mwater) (4)
zは乾き度、mvaporは飽和蒸気の質量、mwaterは飽和液の質量を表す。
なお、乾き度が1のとき、湿り蒸気の相対湿度は100%となる。乾き度が1未満のとき、湿り蒸気の相対湿度は100%より大となる。過熱蒸気の状態においては、湿り蒸気の相対湿度は100%未満となる。
ここで、飽和蒸気の質量は、飽和蒸気の吸光度に比例する。また、飽和液の質量は、飽和液の吸光度に比例する。そのため、上記(4)式から下記(5)式が導かれる。
z=mvapor/(mvapor+mwater)
=avapor/(avapor+k×awater) (5)
vaporは飽和蒸気の吸光度、awaterは飽和液の吸光度、kは下記(6)式で与えられるモル吸光係数比を表す。
k=evapor/ewater (6)
vaporは飽和蒸気の吸光係数、ewaterは飽和液の吸光係数を表す。
湿り蒸気の吸光度Asは、下記(7)式で与えられるように、飽和蒸気の吸光度と、飽和液の吸光度と、の和で与えられる。
As=avapor+awater (7)
また、湿り蒸気の吸光度は、下記(8)式で与えられるように、湿り蒸気を透過する前の光の光強度に対する、湿り蒸気を透過した後の光の光強度の比の対数で与えられる。
As=-ln(Isteam1/Isteam0) (8)
steam0は湿り蒸気を透過する前の光の光強度、Isteam1は湿り蒸気を透過した後の光の光強度を表す。
図5に示すように、飽和蒸気と飽和液の吸収スペクトルは異なり、乾き度が変化すると、飽和液の吸収スペクトルが変化する。例えば、乾き度が0から1に向かって変化するにつれて湿り蒸気における飽和液の含有量は減少するので、図6に示すように、飽和液の吸収スペクトルのピーク波長における湿り蒸気の吸光度Asも減少する。飽和液の吸収スペクトルのピークにおける波長は、1880nm付近である。なお、湿り蒸気においては、飽和蒸気の体積が飽和液の体積より非常に大きいため、圧力が一定であれば、飽和蒸気の吸光度は一定とみなすことができる。
湿り蒸気の乾き度は、上記(5)式、(7)式及び(8)式から導かれる下記(9)式でも与えられる。
z=1/(1-k+(k/avapor)×AS) (9)
モル吸光係数比kは定数である。上述したように、飽和蒸気の吸光度avaporは一定圧力下では一定とみなせるため、飽和蒸気の吸光度avaporは湿り蒸気の圧力から導くことができる。そのため、湿り蒸気の吸光度ASを測定することにより、(9)式から湿り蒸気の乾き度zを算出することが可能である。
第3の実施の形態において、図3に示す検査光発光器11は、飽和溶液によって吸収される波長帯域を含む検査光を発する。検査光は、例えば、波長領域800ないし2500nmの近赤外光である。図7に示すように、検査光は、飽和液の吸収スペクトルのピーク波長を中心波長としてもよい。当該波長領域において、飽和蒸気と飽和液の吸収スペクトルは重なりあっている。
第3の実施の形態において、図3に示す参照光発光器111は、図7に示すように、乾き度の全範囲において、湿り蒸気に吸収されにくい波長帯域の参照光を発する。湿り蒸気に吸収されにくい波長帯域とは、例えば1300nm未満である。
図3に示す検査光発光器11が発した検査光は、検査管21の内部において、湿り蒸気に含まれる飽和液によって吸収される。上述したように、湿り蒸気に含まれる飽和液は、乾き度が0から1に近づくにつれて減少する。したがって、検査管21内部の湿り蒸気の乾き度が0から1に近づくにつれて、湿り蒸気の吸光度は低下する傾向にある。
第3の実施の形態に係る湿度計は、検査管21内の湿り蒸気の圧力を測定する圧力センサ13をさらに備えていてもよい。圧力センサ13は、CPU300に接続されている。ただし、圧力の情報は、検査管21の上流や下流から得てもよい。
第3の実施の形態において、関係記憶装置400は、例えば、上記(9)式のような、湿り蒸気の吸光度と、湿り蒸気の乾き度と、の関係式をさらに保存する。
第3の実施の形態において、CPU300に含まれる湿度特定部301は、第1又は第2の実施の形態と同様に、検査管21内部の湿度を特定する。
CPU300に含まれる乾き度特定部302は、受光器12から、検査管21の内部の湿り蒸気を透過した検査光及び参照光の受光強度の測定値を受信する。また、乾き度特定部302は、圧力センサ13から、検査管21内の湿り蒸気の圧力の測定値を受信する。
乾き度特定部302は、受光器12が受光した検査光の強度Isteam1に基づき、例えば上記(8)式に従って、検査管21内の湿り蒸気の吸光度ASを特定する。なお、湿り蒸気を透過する前の検査光の光強度Isteam0は、予め測定した値を定数として用いてもよい。
さらに、乾き度特定部302は、例えば下記(10)式に従って、検査光の吸光度から参照光の吸光度を引き、検査管21内部における反射、散乱、及び屈折等、並びに窓121A、121Bの汚れ等による検査光の損失を補正した補正された吸光度ASCを算出する。
ASC=AS-(-ln(Iref1/Iref0) (10)
ref0は湿り蒸気を透過する前の参照光の光強度を表し、Iref1は湿り蒸気を透過した後の参照光の光強度を表す。湿り蒸気を透過する前の参照光の光強度は、予め測定した値を定数として用いてもよい。
また、乾き度特定部302は、圧力センサ13から受信した検査管21内の湿り蒸気の圧力の測定値に基づき、圧力に依存する飽和蒸気の吸光度avaporを算出する。さらに、乾き度特定部302は、例えば上記(9)式に、検査管21の内部における湿り蒸気の補正された吸光度ASCの値と、飽和蒸気の吸光度avaporの値と、を代入し、検査管21内の湿り蒸気の乾き度zを算出する。ただし、圧力が一定であれば、飽和蒸気の吸光度avaporは一定であるとみなせるため、検査管21内の圧力が一定であれば、飽和蒸気の吸光度avaporに定数を用いてもよい。この場合、第3の実施の形態に係る湿度計は、圧力センサ13を備えていなくてもよい。
第3の実施の形態において、出力装置322は、乾き度特定部302が特定した検査管21内部の湿り蒸気の乾き度の値をさらに出力する。
第3の実施の形態に係る湿度計のその他の構成要素は、第2の実施の形態に係る湿度計と同様である。以上説明した第3の実施の形態に係る湿度計によれば、検査管21内部の湿度のみならず、乾き度の測定も可能となる。
(その他の実施の形態)
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、湿度計が計測する湿度は比湿で表されてもよいし、モル分率で表されてもよい。また、受光器による受光強度と、湿度と、の関係は、従来の湿度計測方法で空気の湿度を計測し、あわせて空気を透過した検査光の強度を測定することによって、予め取得してもよい。従来、種々の湿度計測方法があるが、関係を取得する際には、それらのいずれかを単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。なお、受光器による受光強度と、湿度と、の関係は、表として保存されてもよい。
さらに、第3の実施の形態において、受光器による受光強度と、湿り蒸気の乾き度と、の関係は、ボイラ等で湿り蒸気を加熱しながら、従来の乾き度測定方法で湿り蒸気の乾き度を測定し、あわせて湿り蒸気を透過した検査光の強度を測定することによって、予め取得してもよい。従来、種々の乾き度測定方法があるが、関係を取得する際には、それらのいずれかを単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。なお、受光器による受光強度と、湿り蒸気の乾き度と、の関係は、表として保存されてもよい。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
本発明の実施の形態に係る湿度計は、以下に限定されないが、高温環境下における湿度計測、庫内に蒸気を供給する機能を有する調理用オーブンや加熱設備における湿度計測、乾燥炉内の湿度計測、減圧弁による潜熱増加効果の可視化、最適ボイラ効率を得るための乾き度計測、水蒸気タービンの湿り損失計測、熱効果器の最適乾き度制御、製麺蒸し工程等の食品製造工程の制御、及び化学工程の制御等に利用可能である。
11 検査光発光器
12 受光器
13 圧力センサ
14 合波器
21 検査管
30、31、32、130 光導波路
111 参照光発光器
121A、121B 窓
300 中央演算処理装置
301 湿度特定部
302 乾き度特定部
321 入力装置
322 出力装置
323 プログラム記憶装置
324 一時記憶装置
400 関係記憶装置

Claims (22)

  1. 耐熱性の窓が設けられた耐熱性の検査管と、
    前記窓を介して、前記検査管内部に向けて、水で吸収される波長を少なくとも有する検査光を照射する検査光発光器と、
    前記窓を介して、前記検査管内部を透過した前記検査光を受光する受光器と、
    前記受光器が受光した前記検査光の強度に基づき、前記検査管内部の湿度を特定する湿度特定部と、
    を備える、湿度計。
  2. 前記検査管内部を透過した検査光の強度と、前記検査管内部の湿度と、の関係を保存する関係記憶装置を更に備える、請求項1に記載の湿度計。
  3. 前記湿度特定部が、前記受光器が受光した検査光の強度の値と、前記関係と、に基づき、前記検査管内部の湿度の値を特定する、請求項2に記載の湿度計。
  4. 前記湿度が相対湿度で表される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の湿度計。
  5. 前記湿度が比湿で表される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の湿度計。
  6. 前記湿度がモル分率で表される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の湿度計。
  7. 前記関係が、前記検査管内部の相対湿度が100%である場合の前記検査管内部の吸光度に基づく、請求項2に記載の湿度計。
  8. 前記湿度特定部が、前記検査管内部を透過する前の前記検査光の強度の値と、前記受光器が受光した検査光の強度の値と、前記関係と、に基づき、前記検査管内部の湿度の値を特定する、請求項7に記載の湿度計。
  9. 前記受光器が受光した前記検査光の強度に基づき、前記検査管内部の乾き度を特定する乾き度特定部を更に備える、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の湿度計。
  10. 前記検査光発光器と、前記受光器と、が、光導波路を介して前記検査管の窓に接続されている、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の湿度計。
  11. 前記窓を介して、前記検査管内部に向けて、前記検査光と比較して水に吸収されにくい波長帯域の参照光を発する参照光発光器を更に備え、
    前記受光器が、前記窓を介して、前記検査管内部を透過した前記検査光及び前記参照光を受光し、
    前記湿度特定部が、前記受光器が受光した前記参照光の強度に基づき、前記受光器が受光した前記検査光の強度を補正する、
    請求項1ないし10のいずれか1項に記載の湿度計。
  12. 耐熱性の窓が設けられた耐熱性の検査管内部に向けて、前記窓を介して、水で吸収される波長を少なくとも有する検査光を照射することと、
    前記窓を介して、前記検査管内部を透過した前記検査光を受光することと、
    前記受光した検査光の強度に基づき、前記検査管内部の湿度を特定することと、
    を含む、湿度の計測方法。
  13. 前記検査管内部を透過した検査光の強度と、前記検査管内部の湿度と、の関係を用意することを更に含む、請求項12に記載の湿度の計測方法。
  14. 前記受光した検査光の強度の値と、前記関係と、に基づき、前記検査管内部の湿度の値を特定する、請求項13に記載の湿度の計測方法。
  15. 前記湿度が相対湿度で表される、請求項12ないし14のいずれか1項に記載の湿度の計測方法。
  16. 前記湿度が比湿で表される、請求項12ないし14のいずれか1項に記載の湿度の計測方法。
  17. 前記湿度がモル分率で表される、請求項12ないし14のいずれか1項に記載の湿度の計測方法。
  18. 前記関係が、前記検査管内部の相対湿度が100%である場合の前記検査管内部の吸光度に基づく、請求項13に記載の湿度の計測方法。
  19. 前記検査管内部を透過する前の前記検査光の強度の値と、前記受光した検査光の強度の値と、前記関係と、に基づき、前記検査管内部の湿度の値を特定する、請求項18に記載の湿度の計測方法。
  20. 前記受光した前記検査光の強度に基づき、前記検査管内部の乾き度を特定することを更に含む、請求項12ないし19のいずれか1項に記載の湿度の計測方法。
  21. 前記検査光を発する検査光発光器と、前記検査光を受光する受光器と、が、光導波路を介して前記検査管の窓に接続されている、請求項12ないし20のいずれか1項に記載の湿度の計測方法。
  22. 前記窓を介して、前記検査管内部に向けて、前記検査光と比較して水に吸収されにくい波長帯域の参照光を発することを更に含み、
    前記窓を介して、前記検査管内部を透過した前記検査光及び前記参照光を受光し、
    前記受光した前記参照光の強度に基づき、前記受光した前記検査光の強度を補正することを更に含む、
    請求項12ないし21のいずれか1項に記載の湿度の計測方法。
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