JP2016133125A - 駆動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】くさび部材26の第1の摺接面53は、軸方向一方X1に向かうに従って周方向一方Y1に向かうように凸湾曲する第1の凸湾曲面101によって構成され、第2の摺接面54は、軸方向一方X1に向かうに従って周方向他方Y2に向かうように凸湾曲する第2の凸湾曲面102によって構成されている。くさび部材26の軸方向一方X1側への移動に伴って、第1の接触角θ1および第2の接触角θ2の大きさが拡大する。
【選択図】図10
Description
この電磁クラッチは、案内部材に連結され、軸方向に移動可能なアーマチュアと、アーマチュアと軸方向に対向するロータとを含む。ツーウェイクラッチの締結状態では、電磁クラッチがオフ状態とされる。このとき、案内部材は初期位置に配置されている。一方、ツーウェイクラッチの解除状態では、電磁クラッチがオン状態とされる。電磁クラッチがオン状態に切り換わると、アーマチュアが電磁クラッチにより軸方向一方側に吸引され、これに伴って、案内部材が軸方向一方側に引き込まれ、引き込み位置に配置される。
ところで、電磁クラッチの吸引力(電磁クラッチが案内部材を引き込む力)の大きさは、アーマチュアとロータとの間の距離の2乗に反比例する関係にある。すなわち、電磁クラッチによる案内部材の引き込み初期時における、電磁クラッチによる吸引力は小さい。そのため、電磁クラッチによる引き込み初期時における、第1および第2の保持器に作用する回転トルクを高めることが望まれている。
請求項2に記載の発明は、前記第1および第2の摺接面の少なくとも一方の摺接面は、軸方向に沿う断面形状が凸湾曲する第1の湾曲部(101,102)を有する、請求項1に記載の駆動力伝達装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第1の保持器は、前記第1の摺接面に摺接される第1の被摺接面(38)を有し、前記第2の保持器は、前記第2の摺接面に摺接される第2の被摺接面(42)を有し、前記第1および第2の被摺接面のうち、前記少なくとも一方の摺接面に摺接される被摺接面は、軸方向に関し前記第1の凸湾曲部よりも小さい曲率で凹湾曲する凹湾曲面(103,104)によって構成されている、請求項2または3に記載の駆動力伝達装置(1)である。
請求項5によれば、第1および/または第2の被摺接面が、平坦面からなる傾斜面を含む。
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動力伝達装置1の断面図である。駆動力伝達装置1は、互いに同軸に配置された第1の軸体2と第2の軸体3との間で、回転トルク(回転駆動力)の伝達/切断を切換え可能な装置である。
駆動力伝達装置1は、入力軸としての第1の軸体2に同軸状に一体連結された内輪4と、出力軸としての第2の軸体3に同軸状に一体連結された外輪5と、内輪4から外輪5への回転駆動力の伝達/切断を行なうツーウェイクラッチ6と、ツーウェイクラッチ6の締結/解放を動作するための電磁クラッチ7と、内輪4、外輪5、ツーウェイクラッチ6および電磁クラッチ7を収容するハウジング8とを含む。
第1および第2の軸体2,3の周方向を周方向Yとする。内輪4の周方向、外輪5の周方向、電磁クラッチ7の周方向およびツーウェイクラッチ6の周方向は、周方向Yと一致する。また、周方向Yのうち、軸方向他方X2側から見て時計回りの周方向を周方向一方Y1とし、周方向Yのうち、軸方向他方X2側から見て反時計回りの周方向を周方向他方Y2とする。
内輪4は、たとえば鋼材料を用いて形成されており、軸部11と、軸部11の軸方向Xの途中部に設けられた大径部12とを一体的に含む。内輪4は、図1では、軸端部に第1の軸体2に一体に設けた例を示しているが、第1の軸体2に対して内輪4を別部材で設け、内輪4と第1の軸体2とを同伴回転可能に連結してもよい。
外輪5の内周には、軸方向他方X2側の端部側から順に、第1の環状段部13、および第1の環状段部13よりも大径の第2の環状段部14が形成されている。第1の環状段部13の内周に固定された第2の転がり軸受15によって、内輪4が回転可能にかつ軸方向Xに移動不能に支持されている。
図2は、ツーウェイクラッチ6の構成を示す斜視図である。図3は、ツーウェイクラッチ6の構成を示す分解斜視図である。図1〜図4を参照して、以下、ツーウェイクラッチ6の構成について説明する。図2および図3では、内輪4のうち主として大径部12を図示している。また、図2〜図4では、外輪5の図示を省略している。また、図4では、ツーウェイクラッチ6の締結状態を示している。図4は、ツーウェイクラッチ6の構成を図1の切断面線IV−IVから見た断面図である。
図2に示すように、内側保持器31および外側保持器32は、複数の接続部35と複数の第2の突部40とが周方向Yに交互に並ぶように組み合わされる。各接続部35の周方向他方Y2側には、当該接続部35が押圧可能な第1のローラ23aと対をなす第2のローラ23bを押圧可能な第2の突部40が、ローラ対23を介して隣り合っている。また、各接続部35の周方向一方Y1側には、当該接続部35が押圧可能な第1のローラ23aが含まれるローラ対23の周方向一方Y1側で隣接するローラ対23の第2のローラ23bに押圧可能な第2の突部40(以下、「隣ローラ対23の第2の突部40」という。)が、くさび部材26を介して隣り合っている。すなわち、内側保持器31および外側保持器32に関し、各ローラ対23の第1のローラ23aを押圧可能な接続部35と、当該ローラ対23と周方向一方Y1側に隣接するローラ対23の第2のローラ23bを押圧可能な第2の突部40とが、一つのくさび部材26を介して互いに隣り合っている。
図5は、くさび部材26の構成を示す斜視図である。図5(A)および図5(B)では、互いに異なる二方向から、くさび部材26を見ている。
各くさび部材26は、接続部35(図2等参照)と隣ローラ対23の第2の突部40(図2等参照)との間に挿入される挿入部51と、挿入部51の軸方向Xの他端から、周方向Yの双方に広がるくさび部52とを含む。挿入部51は、軸方向Xに沿って棒状に延び、その軸直交断面の形状が矩形をなしている。くさび部52は、周方向他方Y2側の面に設けられた第1の摺接面53と、周方向一方Y1側の面に設けられた第2の摺接面54とを含む。
第1の摺接面53は、球状または略球状の第1の凸湾曲面101(第1の湾曲部および第2の湾曲部)によって構成されている。換言すると、第1の凸湾曲面101は、軸方向Xに沿う断面形状が、軸方向一方X1に向かうに従って周方向他方Y2に向かうように凸湾曲している。また、第1の凸湾曲面101は、径方向Zに沿う断面形状が、径方向Zの両端部から径方向Zの中央部に向かうに従って周方向他方Y2に向かうように凸湾曲している。後述する図10(A)および図10(B)に示すように、第1の凸湾曲面101の軸方向Xに関する曲率半径は、軸方向一方X1に向かうに従って小さくなるようになっている(R1A>R1B)。すなわち、第1の凸湾曲面101の軸方向Xに関する曲率は、軸方向一方X1に向かうに従って大きくなっている。
アーマチュア71は、内側保持器31の第3の環状部34および外側保持器32の第2の環状部39に対し、バックプレート70を介して軸方向一方X1側に配置されている。
この状態では、図4に示すように、各第1のローラ23aが、弾性部材24によって、くさび空間29の周方向一方Y1側の端部に設けられた第1の係合位置29aに向けて弾性押圧されている。第1のローラ23aが第1の係合位置29aにあるとき、第1のローラ23aが内輪4(大径部12)の外周および外輪5(第2の環状段部14)の内周に係合する。また、この状態では、各第2のローラ23bが弾性部材24によって、くさび空間29の周方向他方Y2側の端部に設けられた第2の係合位置29bに向けて弾性押圧されている。第2のローラ23bが、第2の係合位置29bにあるとき、第2のローラ23bが内輪4(大径部12)の外周および外輪5(第2の環状段部14)の内周に係合する。このように、電磁クラッチ7のオフ状態では、第1および第2のローラ23a,23bが内輪4の外周および外輪5の内周に係合しているので、これにより、ツーウェイクラッチ6が締結状態になる。
また、くさび部材26の周方向一方Y1側の面に設けられる第2の摺接面54が、軸方向一方X1に向かうに従って周方向他方Y2に向かう面からなるので、各くさび部材26の軸方向一方X1側への移動に伴い、第2の摺接面54が隣ローラ対23の第2の突部40の第2の被摺接面42と摺接しながら、当該第2の突部40を軸方向他方Y1側へと案内する。
図11は、くさび部材26の、第1の位置からの移動距離と、内側保持器31および外側保持器32に作用する回転トルク(保持器回転トルク)との関係を示すグラフである。図11中、「実施例」とあるのは、本実施形態に係る駆動力伝達装置1を指し、「比較例」とあるのは、駆動力伝達装置1と同等の駆動力伝達装置であって、第1および第2の摺接面53,54をそれぞれ平坦状の傾斜面で構成すると共に、第1および第2の被摺接面38,42を、それに整合する平坦状の傾斜面で構成した駆動力伝達装置を指す。図11のグラフから、比較例では、くさび部材26の移動距離が短い状態(すなわち、電磁クラッチ7の引き込み初期時)で、内側保持器31および外側保持器32に作用する回転トルクが極めて小さいことが判る。一方、実施例では、くさび部材26の移動距離が短い状態(すなわち、電磁クラッチ7による引き込み初期時)であっても、内側保持器31および外側保持器32に作用する回転トルクの落ち込みを抑制できることが判る。
本発明の他の実施形態に係る駆動力伝達装置201が、前述の実施形態に係る駆動力伝達装置1と相違する点は、第1の被摺接面38が、第3の凹湾曲面203と平坦状の第1の傾斜面211とから構成されている点、および第2の被摺接面42が、第4の凹湾曲面204と平坦状の第2の傾斜面212とから構成されている点である。駆動力伝達装置201では、案内部材として、前述の実施形態の場合と同様のくさび部材26が採用されている。図12において、前述の実施形態に示された各部に対応する部分には、図1〜図11の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。図12は、くさび部材26が第1の位置(初期位置)に位置する状態を示している。
また、くさび部材26の寸法公差により、くさび部材26の第1の位置(図7および図12参照)が、製品毎にばらつくおそれがある。この場合、第1および第2の被摺接面38,42を凹湾曲面のみで設けるとすると、引き込み初期時における接触角θ1,θ2の大きさのばらつきが顕著になるおそれがある。その結果、内側および外側保持器31,32に作用する回転トルクがばらつくおそれがある。
たとえば、前述の各実施形態において、くさび部材26の第1および第2の凸湾曲面101,102の径方向Zに沿う断面形状が凸湾曲しているとして説明したが、第1および第2の凸湾曲面101,102の径方向Zに沿う断面形状が直線状であってもよい。
また、外側保持器32の第2の環状部39の形状は、円環状に限られず、他の環状形態であってもよい。
その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
請求項4に記載の発明は、前記第1および第2の被摺接面のうち、前記少なくとも一方の摺接面に摺接される被摺接面は、軸方向に関し前記第1の湾曲部よりも小さい曲率で凹湾曲する凹湾曲面(103,104)によって構成されている、請求項2または3に記載の駆動力伝達装置(1)である。
Claims (5)
- 互いに同軸に配置された第1の軸体と第2の軸体との間で、回転駆動力の伝達/切断を切換え可能な駆動力伝達装置であって、
前記第1の軸体に同軸に連結された内輪と、
前記第2の軸体に同軸に連結され、前記内輪に相対回転可能に設けられた筒状の外輪と、
前記内輪の外周および前記外輪の内周によって形成されるくさび空間に周方向に並んで配置され、周方向一方側の第1のローラと周方向他方側の第2のローラとからなるローラ対と、
前記ローラ対を保持するための第1の保持器と、
前記ローラ対を保持するための第2の保持器であって、前記第1の保持器に相対回転可能に設けられた第2の保持器と、
前記第1の保持器に周方向一方側から摺接する第1の摺接面と、前記第2の保持器に周方向他方側から摺接する第2の摺接面とを有し、軸方向移動可能に設けられた案内部材であって、当該案内部材の軸方向一方に向かう移動に伴って、第1の保持器を周方向他方に向けて回動させ、かつ第2の保持器を周方向一方に向けて回動させる案内部材と、
前記案内部材に連結されたアーマチュアであって、当該アーマチュアの駆動により、前記案内部材が軸方向移動可能なアーマチュアを有する電磁クラッチとを含み、
前記第1の摺接面および前記第1の被摺接面が、前記案内部材が前記第1の保持器に対し軸方向一方側に移動することに従って前記第1の摺接面と前記第1の保持器との接触点における第1の接触角が拡大するように設けられており、および/または前記第2の摺接面および前記第2の被摺接面が、前記案内部材が前記第2の保持器に対し軸方向一方側に移動することに従って前記第2の摺接面と前記第2の保持器との接触点における第2の接触角が拡大するように設けられている、駆動力伝達装置。 - 前記第1および第2の摺接面の少なくとも一方の摺接面は、軸方向に沿う断面形状が凸湾曲する第1の湾曲部を有する、請求項1に記載の駆動力伝達装置。
- 前記少なくとも一方の摺接面は、径方向に沿う断面形状が凸湾曲する第2の湾曲部を有する、請求項2に記載の駆動力伝達装置。
- 前記第1の保持器は、前記第1の摺接面に摺接される第1の被摺接面を有し、
前記第2の保持器は、前記第2の摺接面に摺接される第2の被摺接面を有し、
前記第1および第2の被摺接面のうち、前記少なくとも一方の摺接面に摺接される被摺接面は、軸方向に関し前記第1の凸湾曲部よりも小さい曲率で凹湾曲する凹湾曲面によって構成されている、請求項2または3に記載の駆動力伝達装置。 - 前記第1の保持器は、前記第1の摺接面に摺接される第1の被摺接面を有し、
前記第2の保持器は、前記第2の摺接面に摺接される第2の被摺接面を有し、
前記第1および第2の被摺接面のうち、前記少なくとも一方の摺接面に摺接される被摺接面は、軸方向に関し前記第1の凸湾曲部よりも小さい曲率で凹湾曲する凹湾曲面と、前記凹湾曲面に対し軸方向他方側に連続する平坦状の傾斜面とから構成されている、請求項2または3に記載の駆動力伝達装置。
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