JP2023156039A - 回転伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁クラッチを非通電としたときにアーマチュアの吸着状態を速やかに解除すること、または、非通電時に入力軸を回転させる際に、摺動に伴う摩耗が生じるのを防止することが可能な回転伝達装置を提供する。【解決手段】2方向クラッチ2と、電磁クラッチ3と、を備えた回転伝達装置において、電磁クラッチ3が、内筒部27と外筒部28を備えたフィールドコア29などを有する電磁石23と、フィールドコア29に吸着されるアーマチュア24と、アーマチュア24に対向して配置された摩擦板25と、アーマチュア24を摩擦板25に向かって付勢する離反ばね26と、を有し、内筒部27または外筒部28のうち一方の軸方向端部が、他方の軸方向端部よりも軸方向に突出している、または、アーマチュア24と摩擦板25の軸周りの相対回転を許容する軸受43を有する構成とする。【選択図】図1
Description
この発明は、入力軸から出力軸への回転の伝達と遮断を切り替える回転伝達装置に関する。
入力軸から出力軸への回転の伝達と遮断を切り替える回転伝達装置として、例えば、特許文献1に示すように、ハウジング1内に収納された2方向クラッチ10と電磁クラッチ20を主要な構成要素としたものがある。
2方向クラッチ10は、内周に円筒面11が形成された外輪3と、外周に平坦なカム面12が周方向に連続して形成され、円筒面11との間で周方向の両端が狭小のくさび形空間を形成するカムリング4(本願の内輪に相当)とを有している。各カム面12と円筒面11との間には、係合子としてのローラ13が組み込まれている。各ローラ13は、保持器14に形成されたポケット15によって保持されている。カムリング4の端面には円筒部16が形成されており、その円筒部16に、一部が切り離されたスイッチばね17が組み込まれている。スイッチばね17の両端には、一対の押圧片17aが形成されている。この押圧片17aは、円筒部16に形成された切欠部18から保持器14の端部に設けられた切欠き19内に嵌合して、切欠部18および切欠き19の周方向に対向する一対の側面を相反する方向に押圧している。この押圧によって、ローラ13が円筒面11およびカム面12に対して係合解除された位置に保持器14を弾性保持している。
電磁クラッチ20は、外輪3の開口端面に対向配置されたアーマチュア21(本願の摩擦板に相当)と、アーマチュア21に対向配置されたスイッチングプレート22(本願のアーマチュアに相当)と、スイッチングプレート22に対向配置された電磁石23と、電磁石23とスイッチングプレート22の間に設けられた離反ばね24と、を有している。外輪3の開口端面は、アーマチュア21の当接部となる。アーマチュア21は、カムリング4によって軸方向に移動自在に支持されている。アーマチュア21には係合孔26が形成され、その係合孔26に保持器14の開口端部に形成された係合片27が係合している。この係合によって、アーマチュア21は、保持器14に対して回り止めされ、かつ軸方向に移動自在となっている。スイッチングプレート22は、カムリング4に接続された第1軸5(本願の入力軸に相当)に嵌合されて、軸方向に移動自在となっている。
電磁石23は、電磁コイル23aと、電磁コイル23aを支持するコア23bを有している。コア23bは、外筒部23cと内筒部23dを有し、外筒部23cと内筒部23dの間に形成された環状空間の開口部がスイッチングプレート22に対向している。コア23bの外筒部23cの端部外周には、離反ばね24が組み込まれている。この離反ばね24によって、スイッチングプレート22をコア23bから離れる方向に付勢している。
電磁石23の電磁コイル23aに通電すると、スイッチングプレート22がコア23bの外筒部23cおよび内筒部23dの端面に吸着され、外輪3に対するアーマチュア21の結合が解除される。このため、ステアリングホイールの操舵によって第1軸5とともにカムリング4が回転すると、その回転がスイッチばね17を介して保持器14に伝達される。そして、保持器14がカムリング4とともに回転し、ローラ13が円筒面11およびカム面12に対して係合解除された中立位置に保持された状態で回転する。このため、カムリング4の回転は外輪3に伝達されず、このカムリング4(第1軸5)はフリー回転する。
この一方で、電磁コイル23aを非通電とすると、離反ばね24の復元弾性により、スイッチングプレート22がコア23bから離反する方向に移動する。すると、この移動によって、アーマチュア21が外輪3の当接部25に押し付けられ外輪3に結合される。このため、ステアリングホイールの操舵によって第1軸5とともにカムリング4が回転すると、カムリング4と保持器14が相対回転し、その相対回転によって、ローラ13が円筒面11およびカム面12に係合し、2方向クラッチ10がカムリング4と外輪3を結合した状態となる。このため、ステアリングホイールによってステアリングギアを手動で操作することができる(特許文献1の段落0012~0029、図1~5を参照)。
特許文献1に係る回転伝達装置においては、コア23bの外筒部23cと内筒部23dの軸方向端部の位置が揃っているため、スイッチングプレート22が外筒部23cおよび内筒部23dに均等に吸着されている。この場合、電磁コイル23aを非通電に切り替えても逆起電圧によって吸着面での磁路が減少しにくく、スイッチングプレート22の離反に遅れが生じる問題があった。また、ステアリングホイールの操作や、電磁クラッチの動作に伴って2方向クラッチ10や電磁クラッチ20などの内部部品が軸方向にガタつくのを抑えるため、多くの止め輪を設ける必要があるが、止め輪を係止するための周溝の加工費、部品代、作業費などのコストがかかるという問題もあった。
また、特許文献1に係る回転伝達装置においては、非通電時に第1軸5を回転させたときに、スイッチングプレート22、コア23bの外径部に設けられた止め輪、および、離反ばね24との間で摺動が発生するため、その摺動部で摩耗が発生する問題があった。
そこで、この発明は、電磁クラッチを非通電としたときに吸着状態を速やかに解除するとともに、内部部品の軸方向へのガタツキを抑制しつつ低コスト化を図ることを第1の課題とし、非通電時に入力軸を回転させる際に、摺動に伴う摩耗が生じるのを防止することを第2の課題とする。
上記第1の課題を解決するために、この発明においては、
入力軸と出力軸との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチと、
前記2方向クラッチの切り替え操作を行う電磁クラッチと、
前記2方向クラッチおよび前記電磁クラッチを内部に収容するケースと、
を備える回転伝達装置において、
前記ケースに対し、前記2方向クラッチおよび前記電磁クラッチを軸方向に押圧する弾性部材を有し、
前記電磁クラッチが、
筒状の内筒部と前記内筒部よりも大径の外筒部を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコアと、前記フィールドコアの前記内筒部と前記外筒部との間に巻回されたソレノイドコイルと、を有する電磁石と、
前記フィールドコアの開口側端部に軸方向から臨むように配置され、前記電磁石の励磁時に前記フィールドコアに吸着されるアーマチュアと、
前記アーマチュアに対向して配置された摩擦板と、
前記アーマチュアを前記摩擦板に向かって付勢する離反ばねと、
を有し、
前記フィールドコアの前記内筒部または前記外筒部のうち一方の軸方向端部が、他方の軸方向端部よりも軸方向に突出していることを特徴とする回転伝達装置を構成した。
入力軸と出力軸との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチと、
前記2方向クラッチの切り替え操作を行う電磁クラッチと、
前記2方向クラッチおよび前記電磁クラッチを内部に収容するケースと、
を備える回転伝達装置において、
前記ケースに対し、前記2方向クラッチおよび前記電磁クラッチを軸方向に押圧する弾性部材を有し、
前記電磁クラッチが、
筒状の内筒部と前記内筒部よりも大径の外筒部を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコアと、前記フィールドコアの前記内筒部と前記外筒部との間に巻回されたソレノイドコイルと、を有する電磁石と、
前記フィールドコアの開口側端部に軸方向から臨むように配置され、前記電磁石の励磁時に前記フィールドコアに吸着されるアーマチュアと、
前記アーマチュアに対向して配置された摩擦板と、
前記アーマチュアを前記摩擦板に向かって付勢する離反ばねと、
を有し、
前記フィールドコアの前記内筒部または前記外筒部のうち一方の軸方向端部が、他方の軸方向端部よりも軸方向に突出していることを特徴とする回転伝達装置を構成した。
このようにすると、ソレノイドコイルへの通電に伴って軸方向への突出量が異なる内筒部と外筒部に不均等に吸着されたアーマチュアが弾性変形する。そして、ソレノイドコイルを非通電として内筒部および外筒部へのアーマチュアの吸着を解除すると、弾性変形していたアーマチュアが元の形状に戻り、その復元に伴う反発力によって内筒部および外筒部への吸着状態が速やかに解除される。また、弾性部材の押圧力で内部部品が軸方向に与圧されるため、ケース内における内部部品の軸方向のガタツキを防止するための止め輪の数を必要最小限に抑えることができる。
前記構成においては、前記外筒部の軸方向端部が、前記内筒部の軸方向端部よりも軸方向に突出している構成とするのが好ましい。
このようにすると、アーマチュアが、周方向長さが内筒部よりも長い外筒部によって密着状態で吸着されるため、その吸着をより安定的なものとすることができる。
前記各構成においては、前記内筒部の軸方向端部と前記外筒部の軸方向端部の軸方向への突出量の差が、0.01mm以上2mm以下の範囲内である構成とするのが好ましい。
このようにすると、アーマチュアを安定的に吸着しつつ、弾性変形したアーマチュアの復元に伴う十分な反発力を生じさせることができる。
前記各構成においては、前記アーマチュアと前記摩擦板を軸周りに相対回転可能とする軸受を有する構成とするのが好ましい。
このようにすると、電磁石の非通電時に入力軸を回転させる際に、離反ばねとフィールドコアとの間の摺動に伴う摩耗が生じるのを防止することができる。
また、上記第2の課題を解決するために、この発明においては、
入力軸と出力軸との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチと、
前記2方向クラッチの切り替え操作を行う電磁クラッチと、
を備える回転伝達装置において、
前記電磁クラッチが、
筒状の内筒部と前記内筒部よりも大径の外筒部を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコアと、前記フィールドコアの前記内筒部と前記外筒部との間に巻回されたソレノイドコイルと、を有する電磁石と、
前記フィールドコアの開口側端部に軸方向から臨むように配置され、前記電磁石の励磁時に前記フィールドコアに吸着されるアーマチュアと、
前記アーマチュアに対向して配置された摩擦板と、
前記アーマチュアを前記摩擦板に向かって付勢する離反ばねと、
を有し、
前記アーマチュアと前記摩擦板の軸周りの相対回転を許容する軸受を有することを特徴とする回転伝達装置を構成した。
入力軸と出力軸との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチと、
前記2方向クラッチの切り替え操作を行う電磁クラッチと、
を備える回転伝達装置において、
前記電磁クラッチが、
筒状の内筒部と前記内筒部よりも大径の外筒部を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコアと、前記フィールドコアの前記内筒部と前記外筒部との間に巻回されたソレノイドコイルと、を有する電磁石と、
前記フィールドコアの開口側端部に軸方向から臨むように配置され、前記電磁石の励磁時に前記フィールドコアに吸着されるアーマチュアと、
前記アーマチュアに対向して配置された摩擦板と、
前記アーマチュアを前記摩擦板に向かって付勢する離反ばねと、
を有し、
前記アーマチュアと前記摩擦板の軸周りの相対回転を許容する軸受を有することを特徴とする回転伝達装置を構成した。
このようにすると、電磁石の非通電時に入力軸を回転させる際に、離反ばねとアーマチュアとの間の摺動に伴う摩耗が生じるのを防止することができる。
前記各構成においては、
前記2方向クラッチが、
前記入力軸または前記出力軸の一方の軸に設けられた内輪と、
前記入力軸または前記出力軸の前記内輪を設けた軸とは他方の軸に設けられた外輪と、
前記内輪の外周と前記外輪の内周との間に配置された係合子と、
前記係合子を保持して、前記内輪の外周と前記外輪の内周に前記係合子を係合させる係合位置と、当該係合を解除する解放位置との間を周方向に移動可能に配置された保持器と、
前記保持器を前記解放位置に弾性的に保持しかつ前記内輪と一体に回転するように前記内輪および前記保持器に回り止めされたセンタリングばねと、
を有するのが好ましい。
前記2方向クラッチが、
前記入力軸または前記出力軸の一方の軸に設けられた内輪と、
前記入力軸または前記出力軸の前記内輪を設けた軸とは他方の軸に設けられた外輪と、
前記内輪の外周と前記外輪の内周との間に配置された係合子と、
前記係合子を保持して、前記内輪の外周と前記外輪の内周に前記係合子を係合させる係合位置と、当該係合を解除する解放位置との間を周方向に移動可能に配置された保持器と、
前記保持器を前記解放位置に弾性的に保持しかつ前記内輪と一体に回転するように前記内輪および前記保持器に回り止めされたセンタリングばねと、
を有するのが好ましい。
このようにすると、電磁クラッチの切り替え操作によって、内外輪間に係合子が係合して入出力軸間で回転伝達が可能な状態と、内外輪間の係合子の係合が解除して入出力軸が互いにフリーに回転できる状態を簡便に切り替えることができる。
前記各構成においては、前記入力軸または前記出力軸の一方と前記内輪が一体に構成されているのが好ましい。
このようにすると、内輪の回転に伴う入力軸または出力軸の周方向のガタツキを防止することができる。
前記各構成においては、ステアバイワイヤ装置のフェール時に入力軸側と出力軸側の両シャフトを連結するためのクラッチとして用いられる構成とするのが好ましい。
このようにすると、電磁石などのフェール時に速やかに手動操作に移行することができるため、操作性や安全性を確保することができる。
この発明に係る回転伝達装置は、電磁石のフィールドコアの内筒部と外筒部の軸方向への突出量を異ならせたので、ソレノイドコイルを非通電としたときに吸着状態を速やかに解除することができる。また、ケースの内部に、内部部品を軸方向に与圧する弾性部材を設けたため、ケースの内部における内部部品の軸方向のガタツキを防止するための止め輪の数を必要最小限に抑えることができる。また、この発明に係る回転伝達装置は、アーマチュアと摩擦板の軸周りの相対回転を許容する軸受を設けたので、非通電時に回転させる際に、摺動に伴う摩耗が生じるのを防止することができる。
この発明に係る回転伝達装置1の第一実施形態を図1から図5を用いて説明する。この回転伝達装置1は、図1に示すように、2方向クラッチ2と電磁クラッチ3を備えている。2方向クラッチ2などの内部部品は、ケース4の内部に収容されている。
2方向クラッチ2は、入力軸5と出力軸6との間の回転の伝達と遮断を切り替える機能を有している。この2方向クラッチ2は、ステアリングホイール7(図6を参照)などに接続された入力軸5の軸端部にこの入力軸5と一体に構成された内輪8と、出力軸6の軸端部にこの出力軸6と一体に構成された外輪9と、内輪8の外周と外輪9の内周との間に配置された係合子10と、係合子10を保持する保持器11と、センタリングばね12と、を有している。
図4に示すように、内輪8の外周面には、周方向等間隔に複数のカム面13が形成されている。この実施形態では8か所にカム面13が形成されているが、その数は適宜変更されることがある。外輪9の内周面には、円筒面14が形成されている。内輪8と外輪9の間には、各カム面13に臨むように係合子10としてのローラ(以下、係合子10と同じ符号を付する。)が配置されている。各ローラ10は、保持器11によって保持される。
保持器11は、軸方向一端側に径方向内向きに延びるフランジ15が形成された円筒状の部材である。その円筒面には、周方向等間隔にポケット16が形成されており、各ローラ10はポケット16内で回転自在に保持されている。フランジ15は、内輪8の段部に引っ掛けられた状態で止め輪17が設けられており、保持器11の軸方向移動を規制している。
各カム面13と円筒面14との間には、周方向の中央部と比較してその両側ほどカム面13と円筒面14との間の径方向隙間が狭くなる楔空間が形成されている。中央部における径方向隙間はローラ10の直径よりも広く、中央部の両側では径方向隙間はローラ10の直径よりも狭くなっている。保持器11は、内輪8の外周に形成されたカム面13と外輪9の内周に形成された円筒面14にローラ10が係合した係合位置と、この係合を解除する解放位置との間で周方向に移動可能となっている。
センタリングばね12は、保持器11を解放位置に弾性的に保持しかつ内輪8と一体に回転するように、内輪8および保持器11に回り止めされた弾性部材である。このセンタリングばね12は、鋼線をC形に巻いたC形環状部18と、C形環状部18の両端からそれぞれ径方向外方に延出する一対の延出部19とからなる。
内輪8の軸方向端面には、センタリングばね12を保持するための凹部20および径方向溝21が形成されている。凹部20は、周方向に沿って延びる円弧状の溝である。径方向溝21は、凹部20から内輪8の外周まで径方向外向きに貫通している。また、保持器11の軸方向端部には、凹状の保持器溝22が形成されている。径方向溝21と保持器溝22は、同じ周方向幅を有している。センタリングばね12のC形環状部18は、凹部20に嵌め込まれている。また、一対の延出部19は、内輪8に形成された径方向溝21、および、保持器11に形成された保持器溝22に挿入されている。
延出部19は、径方向溝21の周方向両端の溝内面と、保持器溝22の周方向両端の溝内面にそれぞれ接触している。これにより、センタリングばね12は、内輪8と一体に回転するように内輪8に回り止めされるとともに、保持器11に回り止めされ、その延出部19と保持器溝22との接触部分に作用する周方向の力によって、保持器11を解放位置に弾性的に保持することができる。
電磁クラッチ3は、2方向クラッチ2を制動する機能を有し、電磁石23と、アーマチュア24と、摩擦板25と、離反ばね26と、を備えている。
電磁石23は、筒状の内筒部27と内筒部27よりも大径の外筒部28を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコア29と、フィールドコア29の内筒部27と外筒部28の間に巻回されたソレノイドコイル30とを有している。フィールドコア29の外筒部28の軸方向長さAは内筒部27の軸方向長さBよりも長く(図2を参照)、外筒部28の軸方向端部は、内筒部27の軸方向端部よりも軸方向にわずかに突出している。
この突出量は、電磁石23による磁力の強さや、この電磁石23によって吸着されるアーマチュア24の形状(厚みなど)を考慮して適宜決めることができるが、例えば0.01mm以上2mm以下の範囲内、好ましくは0.05mm以上1.5mm以下の範囲内、さらに好ましくは0.1mm以上1mm以下の範囲内とすることができる。突出量が0.01mmより小さいと、アーマチュア24の吸着を速やかに解除するための十分な弾性変形(後述)をさせることができず、突出量が2mmよりも大きいとアーマチュア24に対する十分な吸着力を得ることが難しくなる可能性がある。
アーマチュア24は、中央に貫通孔が形成された磁性体からなる円板状の部材である。アーマチュア24は、フィールドコア29の開口側端部に軸方向から臨むように配置される。アーマチュア24の摩擦板25に臨む面には、環状突起31が形成されている。この環状突起31によって、摩擦板25の外周縁近傍を付勢するよう構成されている。この環状突起31の径方向位置は、摩擦板25と接触することによって摩擦抵抗を生じさせる、外輪9の軸方向端面に形成された摩擦面部32の径方向位置に対応している。
摩擦板25は、中央に貫通孔が形成された非磁性体からなる円板状の部材である。その板面には、周方向の2か所に摩擦板孔33が形成されている。保持器11の軸方向端部には、摩擦板孔33に挿入される保持器突起34が周方向の2か所に形成されている。摩擦板孔33に軸方向から保持器突起34を挿入することで、摩擦板25は、保持器11に対して回り止めされつつ軸方向に移動可能となる。また、摩擦板25は、内輪8に形成された凹部20を塞ぐように設けられており、この凹部20に設けられたセンタリングばね12の抜け止め部材としての機能も有している。摩擦板25の内周縁には止め輪35が設けられており、この摩擦板25の内周縁の軸方向移動を規制している。
フィールドコア29(内筒部27)の端部とアーマチュア24との間には、このアーマチュア24を摩擦板25に向かって付勢する離反ばね26が設けられている。この離反ばね26として、ウェーブワッシャなどの環状のばねを採用することができる。
ケース4は、非磁性体からなるカップ状の部材であって、その内部に2方向クラッチ2や電磁クラッチ3などの内部部品が収容されるとともに、その軸心に入力軸5と出力軸6が挿通される。このケース4の内部の出力軸6側には、2方向クラッチ2および電磁クラッチ3を軸方向に(この実施形態では入力軸5側に向かって)押圧する弾性部材36が設けられている。この弾性部材36として、ウェーブワッシャなどの環状のばねの他、周方向の複数箇所に設けられたコイルばねなどを採用することができる。
入力軸5(内輪8)とケース4の間、内輪8と外輪9の間、および、出力軸6(外輪9)とケース4の間には軸受37、38、39がそれぞれ設けられており、それぞれの間で軸周りに相対回転可能となっている。ケース4の入力軸側の端部には、入力軸5とケース4との間に設けられた軸受37とフィールドコア29がケース4から抜け出すのを防止する止め輪40、41が設けられている。
この回転伝達装置1の動作について説明する。ソレノイドコイル30に通電すると、図5に示すようにフィールドコア29が励磁され(図5中の一点鎖線を参照)、離反ばね26の付勢力に抗してアーマチュア24がフィールドコア29に吸着される。このフィールドコア29の外筒部28の軸方向端部は、内筒部27の軸方向端部よりも軸方向に突出しているため、吸着されたアーマチュア24はその中央部が内筒部27に向かって凹むように弾性変形する。アーマチュア24の吸着状態では、アーマチュア24から摩擦板25への押圧力が作用せず、摩擦面部32が摩擦接触しないため、外輪9と保持器11は軸周りに相対回転することができる。すると、保持器11は、内輪8と一体に回転するセンタリングばね12に連れ回され、センタリングばね12の弾性復元力によって解放位置に保持される。このため、保持器11に保持されたローラ10が内輪8の外周のカム面13と外輪9の内周の円筒面14に係合せず、入力軸5(内輪8)が出力軸6(外輪9)に対し、正逆いずれの方向にも自由に回転することができる。
その一方で、ソレノイドコイル30を非通電とすると、内筒部27および外筒部28へのアーマチュア24の吸着が解除される。アーマチュア24の非吸着状態では、離反ばね26によって付勢されたアーマチュア24が摩擦板25を押圧し、摩擦板25とこの摩擦板25が押し付けられた外輪9の摩擦面部32が摩擦接触状態となる。このとき、入力軸5(内輪8)が正逆いずれかの方向に回転すると、これと一体に回転するセンタリングばね12から保持器11に対し入力軸5(内輪8)の回転力が伝わる。しかし、保持器11に回り止めされた摩擦板25と摩擦面部32との間の摩擦接触による制動力が摩擦板25を介して保持器11に作用するので、保持器11に対して入力軸5(内輪8)が相対回転する。その結果、内輪8に対して周方向に移動する保持器11は、保持器溝22の溝内面でセンタリングばね12の一対の延出部19の一方を周方向に押して弾性的に撓ませるため、センタリングばね12に抗して解放位置から係合位置に向かって周方向に移動する。この周方向移動が所定の角度量になると、保持器11が係合位置に達し、入力軸5(内輪8)と出力軸6(外輪9)が一体に回転する。
この実施形態においては、外筒部28の軸方向端部を内筒部27の軸方向端部よりも軸方向に突出させたので、ソレノイドコイル30に通電してアーマチュア24をフィールドコア29の内筒部27および外筒部28に吸着させたときに、このアーマチュア24が弾性変形する。そして、ソレノイドコイル30を非通電としてアーマチュア24の吸着を解除すると、弾性変形していたアーマチュア24が元の形状に戻るため、その復元に伴う反発力によってフィールドコア29の内筒部27および外筒部28への吸着状態を速やかに解除することができる。
なお、この実施形態とは逆に、内筒部27の軸方向端部を外筒部28の軸方向端部よりも軸方向に突出させて、フィールドコア29に吸着されたアーマチュア24を弾性変形させたときでも、同様の効果を得ることができる可能性がある。
また、この実施形態においては、ケース4の内部に弾性部材36を設けて、2方向クラッチ2や電磁クラッチ3などの内部部品を軸方向に与圧するようにしたので、内部部品の軸方向のガタツキを防止するための止め輪の数を必要最小限に抑えることができる。
また、この実施形態においては、入力軸5と内輪8を一体に構成したので、内輪8の回転に伴う入力軸5の周方向のガタツキを防止することができる。
また、この実施形態においては、ケース4と摩擦板25を非磁性体で構成したので、電磁石23の磁力がケース4の外部に漏洩しにくい。このため、電磁石23によるアーマチュア24の十分な吸着力を確保することができる。
なお、この実施形態においては、入力軸5と内輪8および出力軸6と外輪9を一体に構成したが、入力軸5と内輪8および出力軸6と外輪9をそれぞれ別部材で構成する場合もある。
また、この実施形態においては、離反ばね26と弾性部材36を別部材としたが、離反ばね26が弾性部材36の機能を兼ねるようにしてもよい。この場合、離反ばね26は、電磁クラッチ3を入力軸5側に、2方向クラッチ2を出力軸6側にそれぞれ与圧するため、ケース4の内部部品の軸方向のガタツキを抑制することができる。また、独立した部品としての弾性部材36が不要となるため、コストの削減を図ることができる。
この回転伝達装置1は、例えば図6に示すように、車両のステアバイワイヤ装置のクラッチとして使用することができる。通常時は電磁石23を励磁状態として、ステアリングホイール7側(入力軸5側)と転舵装置42側(出力軸6側)が機械的に直結されていない状態とする一方で、電磁石23などのフェール時に入力軸5側と出力軸6側の両シャフトを連結することで、ステアリングホイール7によって機械的に転舵操作を行うことができる。このようにすると、フェール時に速やかに手動操作に移行することができるため、車両の操作性や安全性を確保することができる。
第一実施形態に係る回転伝達装置1の変形例を図7に示す。この変形例に係る回転伝達装置1の基本構成は上記と共通するが、弾性部材36がフィールドコア29とこのフィールドコア29がケース4から抜け出すのを防止する止め輪41との間に設けられている点で相違する。図7において、弾性部材36は、2方向クラッチ2および電磁クラッチ3を出力軸6側に向かって与圧している。この構成でも上記と同様に、ケース4の内部部品の軸方向のガタツキを抑制することができる。
この発明に係る回転伝達装置1の第二実施形態を図8を用いて説明する。第二実施形態に係る回転伝達装置1は、2方向クラッチ2と電磁クラッチ3を備えている。2方向クラッチ2などの内部部品は、ケース4の内部に収容されている。2方向クラッチ2およびケース4の構成は第一実施形態と共通するので説明は省略する。
電磁クラッチ3は、2方向クラッチ2を制動する機能を有し、電磁石23と、アーマチュア24と、摩擦板25と、離反ばね26と、軸受43と、を備えている。
電磁石23は、筒状の内筒部27と内筒部27よりも大径の外筒部28を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコア29と、フィールドコア29の内筒部27と外筒部28の間に巻回されたソレノイドコイル30とを有している。フィールドコア29の外筒部28の軸方向端部は、内筒部27の軸方向端部よりも軸方向にわずかに突出している。
この突出量は、電磁石23による磁力の強さや、この電磁石23によって吸着されるアーマチュア24の形状(厚みなど)を考慮して適宜決めることができるが、例えば0.01mm以上2mm以下の範囲内、好ましくは0.05mm以上1.5mm以下の範囲内、さらに好ましくは0.1mm以上1mm以下の範囲内とすることができる。突出量が0.01mmより小さいと、アーマチュア24の吸着を速やかに解除するための十分な弾性変形(後述)をさせることができず、突出量が2mmよりも大きいとアーマチュア24に対する十分な吸着力を得ることが難しくなる。
アーマチュア24は、中央に貫通孔が形成された磁性体からなる円板状の部材である。アーマチュア24は、フィールドコア29の開口側端部に軸方向から臨むように配置される。アーマチュア24の摩擦板25に臨む面には、環状突起31が形成されている。この環状突起31によって、摩擦板25の外周縁近傍を付勢するよう構成されている。この環状突起31の径方向位置は、摩擦板25と接触することによって摩擦抵抗を生じさせる、外輪9の軸方向端面に形成された摩擦面部32の径方向位置に対応している。
摩擦板25は、中央に貫通孔が形成された非磁性体からなる円板状の部材である。その板面には、周方向の2か所に摩擦板孔33が形成されている。保持器11の軸方向端部には、摩擦板孔33に挿入される保持器突起34が周方向の2か所に形成されている。摩擦板孔33に軸方向から保持器突起34を挿入することで、摩擦板25は、保持器11に対して回り止めされつつ軸方向に移動可能となる。また、摩擦板25は、内輪8に形成された凹部20を塞ぐように設けられており、この凹部20に設けられたセンタリングばね12の抜け止め部材としての機能も有している。摩擦板25の内周縁には止め輪35が設けられており、この摩擦板25の内周縁の軸方向移動を規制している。
フィールドコア29(内筒部27)の端部とアーマチュア24との間には、このアーマチュア24を摩擦板25に向かって付勢する離反ばね26が設けられている。この離反ばね26として、ウェーブワッシャなどの環状のばねを採用することができる。
軸受43は、保持器付きころからなるスラスト軸受であり、アーマチュア24と摩擦板25を軸周りに相対回転可能とする機能を有する。この軸受43は、アーマチュア24の摩擦板25に臨む面側の外周に形成された周溝44に収容されている。
ソレノイドコイル30に通電すると、離反ばね26の付勢力に抗してアーマチュア24がフィールドコア29に吸着される。このフィールドコア29の外筒部28の軸方向端部は、内筒部27の軸方向端部よりも軸方向に突出しているため、吸着されたアーマチュア24はその中央部が内筒部27に向かって凹むように弾性変形する。アーマチュア24の吸着状態では、アーマチュア24から摩擦板25への押圧力が作用せず、摩擦面部32が摩擦接触しないため、外輪9と保持器11は軸周りに相対回転することができる。すると、保持器11は、内輪8と一体に回転するセンタリングばね12に連れ回され、センタリングばね12の弾性復元力によって解放位置に保持される。このため、保持器11に保持されたローラ10が内輪8の外周のカム面13と外輪9の内周の円筒面14に係合せず、入力軸5(内輪8)が出力軸6(外輪9)に対し、正逆いずれの方向にも自由に回転することができる。アーマチュア24の吸着状態では、このアーマチュア24と摩擦板25との間の軸方向隙間が拡大するが、軸受43は、アーマチュア24に形成された周溝44によって保持される。
その一方で、ソレノイドコイル30を非通電とすると、内筒部27および外筒部28へのアーマチュア24の吸着が解除される。アーマチュア24の非吸着状態では、離反ばね26によって付勢されたアーマチュア24が軸受43を介して摩擦板25を押圧し、摩擦板25とこの摩擦板が押し付けられた外輪9の摩擦面部32が摩擦接触状態となる。このとき、入力軸5(内輪8)が正逆いずれかの方向に回転すると、これと一体に回転するセンタリングばね12から保持器11に対し入力軸5(内輪8)の回転力が伝わる。しかし、保持器11に回り止めされた摩擦板25と摩擦面部32との間の摩擦接触による制動力が摩擦板25を介して保持器11に作用するので、保持器11に対して入力軸5(内輪8)が相対回転する。その結果、内輪8に対して周方向に移動する保持器11は、保持器溝22の溝内面でセンタリングばね12の一対の延出部19の一方を周方向に押して弾性的に撓ませるため、センタリングばね12に抗して解放位置から係合位置に向かって周方向に移動する。この周方向移動が所定の角度量になると、保持器11が係合位置に達し、入力軸5(内輪8)と出力軸6(外輪9)が一体に回転する。
このとき、出力軸6(外輪9)とともに摩擦板25も回転するが、アーマチュア24と摩擦板25の間には軸受43が設けられているため、摩擦板25の回転がアーマチュア24には伝わらない。このため、電磁石23の非通電時に入力軸5を回転させる際に、離反ばね26とアーマチュア24との間の摺動に伴う摩耗が生じるのを防止することができる。
また、離反ばね26の接触部における摺動が発生せず、この接触部での摩耗が生じないため、離反ばね26の荷重を高めに設定することが可能となる。これにより、軸方向への振動加速度に起因してケース4の内部部品が振動しないように離反ばね26のばね荷重を設定して内部部品の軸方向移動を防止することができるため、いくつかの止め輪を廃止することが可能となる。
この発明に係る回転伝達装置1の第三実施形態を図9および図10を用いて説明する。この回転伝達装置1は、2方向クラッチ2と電磁クラッチ3を備えている。2方向クラッチ2などの内部部品は、ケース4の内部に収容されている。2方向クラッチ2およびケース4の構成は第一実施形態と共通するので説明は省略する。
電磁クラッチ3は、2方向クラッチ2を制動する機能を有し、電磁石23と、アーマチュア24と、摩擦板25と、離反ばね26と、軸受43と、を備えている。
電磁石23は、筒状の内筒部27と内筒部27よりも大径の外筒部28を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコア29と、フィールドコア29の内筒部27と外筒部28の間に巻回されたソレノイドコイル30とを有している。
アーマチュア24は、中央に貫通孔が形成された磁性体からなる円板状の部材である。アーマチュア24は、フィールドコア29の開口側端部に軸方向から臨むように配置される。アーマチュア24の摩擦板25に臨む面には、環状突起31が形成されている。この環状突起31によって、摩擦板25の外周縁近傍を付勢するよう構成されている。この環状突起31の径方向位置は、摩擦板25と接触することによって摩擦抵抗を生じさせる、外輪9の軸方向端面に形成された摩擦面部32の径方向位置に対応している。
摩擦板25は、中央に貫通孔が形成された非磁性体からなる円板状の部材である。その板面には、周方向の2か所に摩擦板孔33が形成されている。保持器11の軸方向端部には、摩擦板孔33に挿入される保持器突起34が周方向の2か所に形成されている。摩擦板孔33に軸方向から保持器突起34を挿入することで、摩擦板25は、保持器11に対して回り止めされつつ軸方向に移動可能となる。また、摩擦板25は、内輪8に形成された凹部20を塞ぐように設けられており、この凹部20に設けられたセンタリングばね12の抜け止め部材としての機能も有している。摩擦板25の内周縁には止め輪35が設けられており、この摩擦板25の内周縁の軸方向移動を規制している。
フィールドコア29(内筒部27)の端部とアーマチュア24との間には、このアーマチュア24を摩擦板25に向かって付勢する離反ばね26が設けられている。この離反ばね26として、ウェーブワッシャなどの環状のばねを採用することができる。
軸受43は、保持器付きころからなるスラスト軸受であり、アーマチュア24と摩擦板25を軸周りに相対回転可能とする機能を有する。この軸受43は、アーマチュア24の摩擦板25に臨む面側の外周に形成された周溝44の中で保持されている。
ソレノイドコイル30に通電すると、離反ばね26の付勢力に抗してアーマチュア24がフィールドコア29に吸着される。アーマチュア24の吸着状態では、アーマチュア24から摩擦板25への押圧力が作用せず、摩擦面部32が摩擦接触しないため、外輪9と保持器11は軸周りに相対回転することができる。すると、保持器11は、内輪8と一体に回転するセンタリングばね12に連れ回され、センタリングばね12の弾性復元力によって解放位置に保持される。このため、保持器11に保持されたローラ10が内輪8の外周のカム面13と外輪9の内周の円筒面14に係合せず、入力軸5(内輪8)が出力軸6(外輪9)に対し、正逆いずれの方向にも自由に回転することができる。アーマチュア24の吸着状態では、このアーマチュア24と摩擦板25との間の軸方向隙間が拡大するが、軸受43は、アーマチュア24に形成された周溝44によって保持される。
その一方で、ソレノイドコイル30を非通電とすると、内筒部27および外筒部28へのアーマチュア24の吸着が解除される。アーマチュア24の非吸着状態では、離反ばね26によって付勢されたアーマチュア24が軸受43を介して摩擦板25を押圧し、摩擦板25とこの摩擦板25が押し付けられた外輪9の摩擦面部32が摩擦接触状態となる。このとき、入力軸5(内輪8)が正逆いずれかの方向に回転すると、これと一体に回転するセンタリングばね12から保持器11に対し入力軸5(内輪8)の回転力が伝わる。しかし、保持器11に回り止めされた摩擦板25と摩擦面部32との間の摩擦接触による制動力が摩擦板25を介して保持器11に作用するので、保持器11に対して入力軸5(内輪8)が相対回転する。その結果、内輪8に対して周方向に移動する保持器11は、保持器溝22の溝内面でセンタリングばね12の一対の延出部19の一方を周方向に押して弾性的に撓ませるため、センタリングばね12に抗して解放位置から係合位置に向かって周方向に移動する。この周方向移動が所定の角度量になると、保持器11が係合位置に達し、入力軸5(内輪8)と出力軸6(外輪9)が一体に回転する。
このとき、出力軸6(外輪9)とともに摩擦板25も回転するが、アーマチュア24と摩擦板25の間には軸受43が設けられているため、摩擦板25の回転がアーマチュア24には伝わらない。このため、電磁石23の非通電時に入力軸5を回転させる際に、離反ばね26とアーマチュア24との間の摺動に伴う摩耗が生じるのを防止することができる。
また、離反ばね26の接触部における摺動が発生せず、この接触部での摩耗が生じないため、離反ばね26の荷重を高めに設定することが可能となる。これにより、軸方向への振動加速度に起因してケース4の内部部品が振動しないように離反ばね26のばね荷重を高めに設定して内部部品の軸方向移動を防止することができるため、いくつかの止め輪を廃止することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 2方向クラッチ
3 電磁クラッチ
4 ケース
5 入力軸
6 出力軸
8 内輪
9 外輪
10 係合子(ローラ)
11 保持器
12 センタリングばね
23 電磁石
24 アーマチュア
25 摩擦板
26 離反ばね
27 内筒部
28 外筒部
29 フィールドコア
30 ソレノイドコイル
36 弾性部材
43 軸受
3 電磁クラッチ
4 ケース
5 入力軸
6 出力軸
8 内輪
9 外輪
10 係合子(ローラ)
11 保持器
12 センタリングばね
23 電磁石
24 アーマチュア
25 摩擦板
26 離反ばね
27 内筒部
28 外筒部
29 フィールドコア
30 ソレノイドコイル
36 弾性部材
43 軸受
Claims (8)
- 入力軸(5)と出力軸(6)との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチ(2)と、
前記2方向クラッチ(2)を制動する電磁クラッチ(3)と、
前記2方向クラッチ(2)および前記電磁クラッチ(3)を内部に収容するケース(4)と、
を備える回転伝達装置において、
前記ケース(4)に対し、前記2方向クラッチ(2)および前記電磁クラッチ(3)を軸方向に押圧する弾性部材(36)を有し、
前記電磁クラッチ(3)が、
筒状の内筒部(27)と前記内筒部(27)よりも大径の外筒部(28)を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコア(29)と、前記フィールドコア(29)の前記内筒部(27)と前記外筒部(28)との間に巻回されたソレノイドコイル(30)と、を有する電磁石(23)と、
前記フィールドコア(29)の開口側端部に軸方向から臨むように配置され、前記電磁石(23)の励磁時に前記フィールドコア(29)に吸着されるアーマチュア(24)と、
前記アーマチュア(24)に対向して配置された摩擦板(25)と、
前記アーマチュア(24)を前記摩擦板(25)に向かって付勢する離反ばね(26)と、
を有し、
前記フィールドコア(29)の前記内筒部(27)または前記外筒部(28)のうち一方の軸方向端部が、他方の軸方向端部よりも軸方向に突出していることを特徴とする回転伝達装置。 - 前記外筒部(28)の軸方向端部が、前記内筒部(27)の軸方向端部よりも軸方向に突出している請求項1に記載の回転伝達装置。
- 前記内筒部(27)の軸方向端部と前記外筒部(28)の軸方向端部の軸方向への突出量の差が、0.01mm以上2mm以下の範囲内である請求項1または2に記載の回転伝達装置。
- 前記アーマチュア(24)と前記摩擦板(25)を軸周りに相対回転可能とする軸受(43)を有する請求項1または2に記載の回転伝達装置。
- 入力軸(5)と出力軸(6)との間の回転の伝達と遮断を切り替える2方向クラッチ(2)と、
前記2方向クラッチ(2)を制動する電磁クラッチ(3)と、
を備える回転伝達装置において、
前記電磁クラッチ(3)が、
筒状の内筒部(27)と前記内筒部(27)よりも大径の外筒部(28)を備えた周方向断面がC字形をなすフィールドコア(29)と、前記フィールドコア(29)の前記内筒部(27)と前記外筒部(28)との間に巻回されたソレノイドコイル(30)と、を有する電磁石(23)と、
前記フィールドコア(29)の開口側端部に軸方向から臨むように配置され、前記電磁石(23)の励磁時に前記フィールドコア(29)に吸着されるアーマチュア(24)と、
前記アーマチュア(24)に対向して配置された摩擦板(25)と、
前記アーマチュア(24)を前記摩擦板(25)に向かって付勢する離反ばね(26)と、
を有し、
前記アーマチュア(24)と前記摩擦板(25)の軸周りの相対回転を許容する軸受(43)を有することを特徴とする回転伝達装置。 - 前記2方向クラッチ(2)が、
前記入力軸(5)または前記出力軸(6)の一方の軸に設けられた内輪(8)と、
前記入力軸(5)または前記出力軸(6)の前記内輪(8)を設けた軸とは他方の軸に設けられた外輪(9)と、
前記内輪(8)の外周と前記外輪(9)の内周との間に配置された係合子(10)と、
前記係合子(10)を保持して、前記内輪(8)の外周と前記外輪(9)の内周に前記係合子(10)を係合させる係合位置と、当該係合を解除する解放位置との間を周方向に移動可能に配置された保持器(11)と、
前記保持器(11)を前記解放位置に弾性的に保持しかつ前記内輪(8)と一体に回転するように前記内輪(8)および前記保持器(11)に回り止めされたセンタリングばね(12)と、
を有する請求項1または5に記載の回転伝達装置。 - 前記入力軸(5)または前記出力軸(6)の一方と前記内輪(8)が一体に構成されている請求項1または5に記載の回転伝達装置。
- ステアバイワイヤ装置のフェール時に入力軸(5)側と出力軸(6)側の両シャフトを連結するためのクラッチとして用いられる請求項1または5に記載の回転伝達装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022065639A JP2023156039A (ja) | 2022-04-12 | 2022-04-12 | 回転伝達装置 |
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JP2022065639A JP2023156039A (ja) | 2022-04-12 | 2022-04-12 | 回転伝達装置 |
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