JP2016132712A - 処理用液剤及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規なコンタクトレンズの処理用液剤及びその使用方法を提供する。
【解決手段】本発明のコンタクトレンズの処理用液剤は、50μm以下の気泡を含むファインバブル液と、消毒剤及び洗浄剤のうち1以上と、を含有している。この処理用液剤には、更に、キレート化剤、緩衝剤、等張化剤、増粘剤、pH調整剤、湿潤剤、安定剤、香料又は清涼化剤のうち1以上が含まれているものとしてもよい。また、本発明のコンタクトレンズの処理用液剤の使用方法は、上記処理用液剤にコンタクトレンズを浸漬又は接触させるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、処理用液剤及びその使用方法に関し、より詳しくは、コンタクトレンズの処理用液剤及びその使用方法に関する。
従来、ハードコンタクトレンズの処理用液剤としては、スルホン酸型及び硫酸エステル型のアニオン性界面活性剤のナトリウム塩のうち1以上であるA成分と、アルキルベタイン型及びアミンオキサイド型の両性界面活性剤のうち1以上であるB成分とを含有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この処理用液剤では、優れた脂質洗浄力や使用感を維持しつつ、有効な抗菌性を付与することができる。また、ソフトコンタクトレンズの処理用液剤としては、ビグアニド系殺菌剤及び4級アンモニウム塩系殺菌剤のうち1以上であるA成分と、グリコール酸及び/又はアスパラギン酸のB成分と2−アミノ−2−メチル−1、3−プロパンジオール又はその塩のC成分とを添加したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この処理溶液では、優れた殺菌効果と眼への安全性を確保しつつ、レンズのサイズ変化を防止し、レンズからの析出物の発生をより抑制することができる。また、コンタクトレンズの消毒方法として、過酸化水素を用いたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2011−246535号公報 国際公開第2005/018693号パンフレット 国際公開第2011/001461号パンフレット
しかしながら、特許文献1ではハードコンタクトレンズ用の洗浄剤が開示されているが、使用者は、同じハードコンタクトレンズを継続して使用するため、徐々に蓄積する汚れが問題となることがある。更に、レンズケースについても継続して使用することが多く、レンズケース内部のバイオフィルム発生などが問題となることがある。このため、ハードコンタクトレンズの処理用液剤では、より洗浄効果や消毒効果が高いものが望まれていた。また、特許文献2についてはソフトコンタクトレンズの処理用液剤が開示されているが、使用されている塩酸ポリヘキサニドは、レンズの種類によっては、レンズ表面に蓄積する可能性があるため、より低濃度で消毒効果が発揮できる処方が望まれていた。また、特許文献3では、一般的に消毒効果が高いことで知られる過酸化水素を用いているが、それでも過酸化水素分解酵素を持った微生物が耐性菌として過酸化水素用のレンズケース内にバイオフィルムを形成することがあった。このように、新たなコンタクトレンズの処理用液剤が求められていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、コンタクトレンズに用いる新規な処理用液剤、及びその使用方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、50μm以下、より好ましくは1μm未満の気泡を溶媒に含むファインバブル液を含む処理用液剤をコンタクトレンズに用いると、洗浄効果や消毒効果などをより高めたりするなど、新規なものとすることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のコンタクトレンズの処理用液剤は、50μm以下の気泡を含むファインバブル液と、消毒剤及び洗浄剤のうち1以上と、を含有したものである。
本発明のコンタクトレンズの処理用液剤の使用方法は、上述した処理用液剤にコンタクトレンズを浸漬又は接触させるものである。
本発明では、50μm以下の気泡を含むファインバブル液を用いることにより、新規なコンタクトレンズの処理用液剤及びその使用方法を提供することができる。
[コンタクトレンズの処理用液剤]
本発明のコンタクトレンズの処理用液剤は、50μm以下の気泡を含むファインバブル液と、消毒剤及び洗浄剤のうち1以上と、を含有したものである。また、このコンタクトレンズの処理用液剤は、キレート化剤を更に含むことが好ましく、緩衝剤、等張化剤、増粘剤、pH調整剤、湿潤剤、安定剤、香料又は清涼化剤を更に含むものとしてもよい。
本発明のコンタクトレンズの処理用液剤に含まれるファインバブル液は、50μm以下の気泡であるマイクロバブルや数ミクロンからサブミクロンサイズ(0.1μ〜10μmなど)の範囲の気泡であるマイクロナノバブル、1μm未満(より好ましくは100nm以下)の気泡であるナノバブルなどを含む溶液であるものとしてもよい。このファインバブル液には、マイクロバブルのみが含まれていてもよいし、ナノバブルのみが含まれていてもよいし、マイクロナノバブルのみが含まれていてもよいし、これらの1以上が含まれているものとしてもよい。ファインバブル液は、用途に応じて必要とされる機能を有する気泡を含むものとすればよい。マイクロバブルは、時間経過と共にその粒径が縮小し、その後消滅するものとしてもよい。このマイクロバブルは、気泡表面が帯電しており、その消滅時に周囲にフリーラジカルを発生させ、このフリーラジカルにより様々な効果、例えば有機化学物質を分解するなどの現象が生じると考えられる。ナノバブルは、例えば、1日や1週間、1ヶ月間など時間が経過してもその気泡が持続するものとしてもよい。このナノバブルは、気泡表面にイオンが集結しており、この気泡が消滅せずに持続することにより様々な効果、例えば洗浄効果などを生じると考えられる。ファインバブル液は、例えば、液体1mLあたりに気泡が100万個以上含まれることが好ましく、800万個以上含まれることがより好ましく、3000万個以上含まれることが更に好ましい。このような範囲では、ファインバブル液による様々な効果、例えば、制菌効果、洗浄効果などが得られやすい。気泡の粒径や気泡の数は、例えば、レーザー回折散乱法(ナノサイト社製、ナノ粒子解析装置)により求めた値とする。このファインバブル液は、例えば、水流を起こして渦を発生させ、渦内に気体を巻き込み、この渦を崩壊させて気泡を分解する二相流旋回方式や、気体を数気圧(例えば4気圧など)に加圧して水中に溶解させその後大気圧に開放することで過飽和とし再気泡化させる加圧溶解方式などにより得ることができる。
ファインバブル液に用いる液体は、例えば、水などが挙げられ、このうち水であることが好ましい。水としては、例えば、蒸留水、超純水、高純水、純水、水道水、イオン交換水、濾過水、天然水などを利用することができる。
ファインバブル液の気泡に含まれる気体は、特に限定されないが、例えば、空気、酸素、窒素、水素、炭酸ガス、希ガス、オゾンなどが挙げられ、このうち空気が好ましい。気泡を作成しやすいからである。また、オゾンの気泡を含むファインバブル液では、菌などを分解しやすい。
本発明のコンタクトレンズの処理用液剤は、消毒剤及び洗浄剤のうち1以上を含む。本発明のコンタクトレンズの処理用液剤は、ファインバブル液を含み、物理的な有機物の除去効果を期待できることから、消毒剤又は洗浄剤の含有量をより低減することができる。消毒剤としては、例えばソルビン酸或いはその塩、安息香酸或いはその塩、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、グルコン酸クロロヘキシジン、ε‐ポリリジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、クロルヘキシジン、アレキシジン、過酸化水素、二酸化塩素、安定化二酸化塩素、亜塩素酸或いはその塩、次亜塩素酸及びその塩、過ホウ酸ナトリウム、ポリクオータニウム−1(塩化ポリドロニウム)、ポリクオータニウム−4、ポリクオータニウム−6、ポリクオータニウム−11、ポリクオータニウム−16、ポリクオータニウム−22等のポリクオタニウム類、カチオン化セルロース、カチオン化デキストリン、カチオン化PVP、カチオン化PVA、カチオン化グアーガム等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。この中でも保存効力と安全性とのバランスを考慮した場合、さらにはソフトコンタクトレンズへの適用を考慮した場合、ε‐ポリリジン、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、アレキシジン、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、ポリクオータニウム-1、カチオン化セルロースなどがより好ましい。
消毒剤の含有量は、処理用液剤の全体に対して0.00005質量%以上5質量%以下の範囲とすることが好ましく、0.0001質量%以上3質量%以下の範囲とすることがより好ましく、0.0001質量%以上1質量%以下の範囲とすることが更に好ましい。
洗浄剤としては、従来から公知のノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤の何れもが、適宜に採用され得る。このようなノニオン系界面活性剤としては、例えばテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポロクサマー類)、エチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ポロキサミン類)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(高純度ポリソルベート、ポリソルベート類)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドが挙げられる。このうち、洗浄剤としては、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポロクサマー類)、エチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ポロキサミン類)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、テトラデセンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル脂肪酸塩、アルキルリン酸塩が挙げられる。このうち、テトラデセンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩が好ましい。また、両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルヒドロキシスルホベタイン、N−アシルタウリン塩、アルキルグルタミン酸塩、アルキルグリシン塩、アルキルアラニン塩、ココイル脂肪酸アルギニン、アルキルオキシヒドロキシプロピルアルギニン塩、ココイルアルギニンエチルPCA等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルヒドロキシスルホベタインが好ましい。
洗浄剤の含有量は、組成液の全体に対して0.001質量%以上5質量%以下の範囲とすることが好ましく、0.005質量%以上3質量%以下の範囲とすることがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下の範囲とすることが更に好ましい。
本発明のコンタクトレンズの処理用液剤は、キレート化剤を含むものとしてもよい。キレート化剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等のポリカルボン酸及びそれらの塩(例えばナトリウム塩)や、ピロリン酸、フィチン酸、エチドロン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)等のポリリン酸及びそれらの塩(例えばナトリウム塩)が挙げられる。そして、このようなキレート化剤の含有量は、組成液の全体に対して0.001質量%以上5質量%以下の範囲とすることが好ましく、0.005質量%以上3質量%以下の範囲とすることがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下の範囲とすることが更に好ましい。
本発明のコンタクトレンズの処理用液剤には、種々の添加剤を配合するものとしてもよい。添加剤としては、例えば、緩衝剤、等張化剤、増粘剤、pH調整剤、湿潤剤、安定剤、香料又は清涼化剤などが挙げられる。これらの添加剤は、例えば、処理用液剤の全体に対して0.00001質量%以上1質量%以下の範囲で配合することが好ましく、0.00005質量%以上1質量%以下の範囲で配合することがより好ましく、0.0001質量%以上1質量%以下の範囲で配合することが更に好ましい。
配合される増粘剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(完全ケン化物もしくは部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、Copolymer845(ポリビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合ポリマー)等の合成有機高分子化合物等や、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体や、スターチ誘導体、アルギン酸(塩)、ペクチン、キトサン及びそれらの塩、カチオン化キトサン等のキトサン誘導体の多糖類、ジェランガム等のヘテロ多糖類や、コンドロイチン硫酸(塩)等のムコ多糖類等を加えてもよい。
配合される等張化剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機塩類、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール若しくはそのエーテル又はエステル等が挙げられる。
配合される緩衝剤としては、例えばホウ酸、ホウ砂及びホウ酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、クエン酸及びクエン酸塩緩衝剤、グリコール酸、酒石酸、酢酸等のカルボン酸類、オキシカルボン酸等の酸やその塩、アミノエチルスルホン酸、アスパラギン酸(塩)、グリシン、アルギニン、グルタミン酸等のアミノ酸類、ε−アミノカプロン酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパン(AMP)緩衝剤、2−アミノ-2−メチル-1,3−プロパンジオール(AMPD)緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、リン酸及びリン酸塩緩衝剤、Good−Buffer等が挙げられる。
配合されるpH調整剤としては、例えば塩酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩、硫酸等が挙げられる。
配合される湿潤剤としては、例えばグリセリンやポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、ソルビトールやトレハロースなどの糖類、糖アルコールやグルコサミン(塩)などのアミノ糖、グルコシルトレハロースなどの糖誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)などのセルロース誘導体、エタノールやラウリルアルコール等の低級あるいは高級アルコール類、オレイン酸やシリコン油などの油脂類などが挙げられる。
配合される安定剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、縮合リン酸、亜硫酸塩、クエン酸、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、シアノコバラミン、塩酸ピリドキシン、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
配合される香料又は清涼化剤としては、例えばアネトール、オイゲノール、カンフル、クロロブタノール、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、メントール、リモネン、リュウノウ、ウイキョウ油、クールミント油、ケイヒ油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油などが挙げられる。
本発明のコンタクトレンズの処理用液剤は、「コンタクトレンズ消毒剤」、「コンタクトレンズ洗浄剤」、「コンタクトレンズ用保存剤」、「コンタクトレンズ用すすぎ剤」、「コンタクトレンズ用装着剤」、「コンタクトレンズ用湿潤剤」等の用途及びこれらの用途の組み合わせ、例えば「コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存剤」等として用いることができる。
[コンタクトレンズの処理用液剤の使用方法]
本発明のコンタクトレンズの処理用液剤の使用方法は、上述したいずれかのコンタクトレンズの処理用液剤にコンタクトレンズを浸漬又は接触させるものである。本発明の処理用液剤は、ファインバブル液を含むため、有機化学物質の分解効果や、コンタクトレンズの表面に異物が付着するのを抑制する効果、洗浄効果などが得られる。このため、この処理用液剤は、コンタクトレンズの消毒や保存、洗浄により適している。この使用方法では、封止可能な容器に、上記処理用液剤を入れ、コンタクトレンズを浸漬させて、封止するものとしてもよい。あるいは、コンタクトレンズに上記処理用液剤をかけて、洗浄するものとしてもよい。
[コンタクトレンズ]
本発明で用いるコンタクトレンズは、例えば、ハードコンタクトレンズとしてもよいし、ソフトコンタクトレンズとしてもよい。これらは、重合性組成物を重合させて塊状重合体(ブランクス)を得たのち、これを切削加工、研磨加工してレンズ形状にするものとしてもよいし、重合性組成物を成形型に充填し、硬化させるものとしてもよい。また、コンタクトレンズは、加熱により重合したものとしてもよいし、光照射により重合したものとしてもよい。本発明で用いるコンタクトレンズは、例えば、ポリメチルメタクリレートを主成分とする非酸素透過性ハードコンタクトレンズや、シリコーンやフッ素を含み酸素透過性を付与した酸素透過性ハードコンタクトレンズ(RGP)、シリコーン化合物を主成分とするソフトコンタクトレンズなどが挙げられる。
コンタクトレンズの原料である重合性組成物には、親水性化合物や、所定の重合性化合物、紫外線吸収剤、架橋剤、重合性色素などを含むものとしてもよい。そのほか、重合性組成物には水溶性有機溶媒、界面活性剤、清涼化剤、粘稠化剤などを添加剤として用いることができる。
以上詳述した本実施形態のコンタクトレンズの処理用液剤及びその使用方法では、50μm以下の気泡を含むファインバブル液を用いることにより、新規なコンタクトレンズの処理用液剤及びその使用方法を提供することができる。例えば、処理用液剤には、ファインバブル液が含まれるので、例えば、防腐効果や制菌効果をより高めることができる。また、消毒剤又は洗浄剤を含むため、ファインバブル液との相乗効果で、殺菌作用や防腐効果をより高めることができる。このため、消毒剤の添加量をより低減しても十分な殺菌効果や防腐効果を得ることが可能であり、安全性を維持することができる。更に、ファインバブル液を用いるため、コンタクトレンズから異物をより容易に取り除くことができ、異物の再付着をより抑制することができる。また、より高い洗浄効果を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明の処理用液剤を具体的に作製した例を実施例として説明する。
[ファインバブル液の作製]
ファインバブル液は、加圧溶解方式ウルトラファインバブル液作製装置(IDEC社製Ultrafine GALF)を用い、溶媒として蒸留水を用い、4気圧に加圧した窒素を蒸留水に溶解させたあと、水槽に送液して大気圧に開放し、これを循環させることにより得た。このファインバブル液は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(ナノサイト社製ナノ粒子解析装置)を用いて測定した結果、100nm〜500nmの粒径の気泡が、液1mL中に1億個存在することがわかった。
[処理用液剤の作製]
ファインバブル液を用いた処理用液剤A及びBを作製した。
<処理剤A>
消毒剤として塩酸ポリヘキサニドを0.0001質量%、等張化剤としてプロピレングリコールを2質量%、洗浄剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を0.05質量%、キレート化剤としてEDTAを0.05質量%、ファインバブル水に添加した。また、比較例として、蒸留水にこれらの成分を添加したものを作製した。
<処理剤B>
消毒剤として過酸化水素を3質量%、等張化剤としてプロピレングリコールを2質量%、洗浄剤としてポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコールを0.05質量%、キレート化剤としてエチドロン酸を0.05質量%、ファインバブル水に添加した。また、比較例として、蒸留水にこれらの成分を添加したものを作製した。
(消毒効果試験)
コンタクトレンズ用液剤に対する消毒効果試験方法を規定したISO14729のガイドラインに従って、得られた処理用液剤A及びBについて以下の試験を実施した。上記作製した処理剤の各9.9mLを試験管に入れ、これに細菌、及び真菌を108〜109cfu/mL含む菌液の0.1mLを加えて攪拌し、最終的に106〜107cfu/mLの菌数を含む菌懸濁液を、それぞれ調製した。その後、それらを23℃で、一定時間放置した後に、かかる菌懸濁液の1mLを取り出し、ブドウ糖ペプトン寒天培地の20mLを用いて、平板希釈法によりサンプル1mL中の生菌数を測定した。そして、この生菌数から、処理液1mL中の生菌数を算出した後、下記の計算式に従って、対数に換算した菌減少数(log reduction)を求めた。この菌減少数(log reduction)の値から、消毒効力の評価を行った結果、蒸留水に上記成分を添加した試料に比して、ファインバブル液を用いた処理用液剤は、細菌及び真菌のいずれも著しく減少しており、この処理用液剤が消毒効果に優れたものであることがわかった。
菌減少数=log(調製直後の菌懸濁液1mL中の生菌数)−log(処理後の菌懸濁液1mL中の生菌数)
(洗浄効果試験)
ヘキサンにスダンI色素を溶解し、0.004質量%スダンI色素を含有したヘキサン溶液(色素溶液)を調製した。バイアル瓶SV30にホールピペットにて色素溶液4mLを加え入れ、室温にて放置して乾燥させた。ヘキサンを完全に蒸発したのち、上記で得られた処理用液剤20mLをバイアル瓶に入れ、25℃に設定した振盪機にて軽く振盪させながら一定時間放置した。一定時間後、処理液中の吸光度を以下の測定条件にて測定することで洗浄効果を測定した。その結果、蒸留水に成分を添加した試料に比して、ファインバブル液を用いた処理用液剤A及びBは、吸光度の増加率が高く、この処理用液剤が洗浄効果に優れたものであることがわかった。
(測定条件…測定波長478nm、対照溶液:水、光路長:1cm)
(バイオフィルム除去試験)
RGP用レンズケースバイアルに、ソイビーンカゼインダイジェスト(SCD)培地を2mL入れ、バイオフィルム形成能力の高い微生物としてstaphylococcus epidermidis (コンタクトレンズ使用者からの臨床分離株)を106〜107cfu/mLとなるように添加し、32℃で2日間培養してバイオフィルムを形成させた。次に、SCD培地を捨て、処理用液剤A及びBを一定時間、バイオフィルムに作用させて、レンズケース内に残存するバイオフィルムを、0.02質量%のクリスタルバイオレット(青色)水溶液で染色して観察した。その結果、蒸留水に成分を添加した試料に比して、ファインバブル液を用いた処理用液剤A及びBは、バイフィルムの残留量が少なく洗浄及び消毒効果に優れたものであることがわかった。
(細胞毒性試験)
コンタクトレンズ用液剤に対する細胞毒性試験方法を規定したISO10993−5のガイドラインに従って、得られた処理用液剤Aについて以下の試験を実施した。細胞の培養液(5体積%の牛胎仔血清添加MEM培地)に、約100個のV79細胞(チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞)をプレートに播種して、4時間静値した後、上記作製した処理剤Aを培地中の最終濃度が10%、5%、2.5%、1.25%となるように添加した。これを1週間培養した後、各濃度におけるコロニー形成率を測定した。コロニー形成率は下記の計算式に従って算出した。コロニー形成率の値から、細胞毒性の評価を、以下の評価基準で行った。○:80%以上、△:10〜80%、×:10%以下
この細胞毒性試験結果、ファインバブル液を用いた処理用液剤Aは、細胞毒性が低く、好ましいものであることがわかった。
コロニー形成率(%)=処理剤を培地に添加した群のコロニー数の平均/無添加群のコロニー数の平均×100
以上のように、ファインバブル液を用いた処理用液剤では、コンタクトレンズやレンズケースに対して、消毒効果(防腐効果)、洗浄効果などがより高いことが明らかとなった。
本発明は、コンタクトレンズに関する用途に用いることができる。

Claims (7)

  1. コンタクトレンズの処理用液剤であって、
    50μm以下の気泡を含むファインバブル液と、
    消毒剤及び洗浄剤のうち1以上と、を含有した処理用液剤。
  2. 前記ファインバブル液は、1μm以下の直径の前記気泡を含んでいる、請求項1に記載の処理用液剤。
  3. 前記消毒剤には、ε‐ポリリジン、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、アレキシジン、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、ポリクオータニウム−1及びカチオン化セルロースのうち1以上が含まれる、請求項1又は2に記載の処理用液剤。
  4. 前記洗浄剤には、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤のうち1以上が含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理用液剤。
  5. 前記ノニオン系界面活性剤には、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポロクサマー類)、エチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ポロキサミン類)及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のうち1以上が含まれ、
    前記アニオン系界面活性剤には、テトラデセンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホ酢酸塩及びポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩のうち1以上が含まれ、
    前記両性界面活性剤には、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド及びアルキルヒドロキシスルホベタインのうち1以上が含まれる、請求項4に記載の処理用液剤。
  6. 前記処理用液剤には、キレート化剤、緩衝剤、等張化剤、増粘剤、pH調整剤、湿潤剤、安定剤、香料又は清涼化剤のうち1以上を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の処理用液剤。
  7. コンタクトレンズの処理用液剤の使用方法であって、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の処理用液剤にコンタクトレンズを浸漬又は接触させる、処理用液剤の使用方法。
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