以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1から図3を参照して、本実施の形態のアレイアンテナ装置1は、主に、一枚の配線基板10と、一枚の誘電体基板31と、複数の非励振素子34とを備えている。
配線基板10は、第1の面12を有する半導体基板11と、配線層14とを有している。
半導体基板11として、半絶縁性半導体基板を含む半導体基板を用いることができる。半導体基板11として、Si基板、SiGe基板、GaAs基板、InP基板、GaSb基板、SiC基板、GaN基板などを用いることができる。本実施の形態では、半導体基板11として、シリコンを主成分とした基板にゲルマニウムが微量添加されたSiGe基板を用いている。本実施の形態のように、SiGe基板に形成された能動素子回路13は、消費電力が少なく、高速で動作し、発生するノイズは少ない。そのため、マイクロ波やミリ波などの高周波の電磁波によって送信または受信される大容量のデータを高速に処理することが可能になり、アレイアンテナ装置1のアンテナ特性を高めることができる。
半導体基板11は第1の面12を有している。第1の面12は、平面であってもよいし、球面等の曲面であってもよい。本実施の形態では、第1の面12は平面である。
半導体基板11は、半導体ウエハであってもよい。半導体基板11の直径は、1cm以上であってもよく、好ましくは2.5cm以上30cm以下であってもよく、より好ましくは5cm以上20cm以下であってもよい。半導体基板11の厚さは特に限定されない。本実施の形態では、半導体基板11の直径は10cm(4インチ)であり、厚さは0.3mmである。
半導体基板11は、電磁波の送信または受信の少なくともいずれかを行う複数の能動素子回路13を有している。複数の能動素子回路13は、それぞれ、例えば、マイクロ波やミリ波などの電磁波の送信または受信の少なくともいずれかを行う高周波電気素子を含むことができる。マイクロ波やミリ波など電磁波の送信および受信の少なくともいずれかを行う高周波電気素子は、例えば、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)、大電力増幅器(High Power Amplifier:HPA)、移相器(Phase Shifter:PS)の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
本実施の形態では、電磁波の送信または受信の少なくともいずれかを行う複数の能動素子回路13は、半導体基板11の第1の面12に設けられている。複数の能動素子回路13は、例えば、半導体加工プロセス技術を用いて、半導体基板11の第1の面12に形成することができる。
本実施の形態のようにアレイアンテナ装置1の基板として半導体基板11を用いると、半導体プロセス技術を用いて、複数の能動素子回路13を小さな領域に集積配置することができる。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1を小型化することができる。
また、本実施の形態のようにアレイアンテナ装置1の基板として半導体基板11を用いると、半導体プロセス技術を用いて、複数の能動素子回路13に加えて、ベースバンド信号処理回路などの信号処理回路(図示せず)の少なくとも一部を、半導体基板11に形成することができる。このように、複数の能動素子回路13と信号処理回路とを半導体基板11に集積すると、複数の能動素子回路13と信号処理回路との経路を短くすることができる。そのため、アレイアンテナ装置1におけるマイクロ波やミリ波などの高周波の電磁波の伝送損失とノイズの発生とを低減することができる。また、マイクロ波やミリ波などの高周波の電磁波によって送信または受信される大容量のデータを、高速で処理することができる。
配線層14は、複数の励振素子18と電気接続部15とを有している。本実施の形態では、配線層14は、電気接続部15と、複数の励振素子18と、絶縁層20と、接地導体層22と、第1のアライメントマーク25とを有している。電気接続部15は、第1の電気接続部分16と第2の電気接続部分17とを有している。
本実施の形態では、配線層14は、半導体基板11の第1の面12上に設けることができる。配線層14は半導体基板11に一体的に設けられている。配線層14の半導体基板11とは反対側の表面は、平面であってもよいし、球面等の曲面であってもよい。本実施の形態では、配線層14の半導体基板11とは反対側の表面は、平面である。
電気接続部15は、複数の能動素子回路13のそれぞれと複数の励振素子18のそれぞれとを電気的に接続している。本実施の形態では、電気接続部15は、第1の電気接続部分16と第2の電気接続部分17とを含む。
第1の電気接続部分16は、半導体基板11の第1の面12上に設けられている。第1の電気接続部分16は、複数の能動素子回路13のそれぞれと電気的に接続されている。第1の電気接続部分16は、導電体層であってもよい。第1の電気接続部分16は、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの導電体材料から構成されていてもよい。本実施の形態では、第1の電気接続部分16は、銅層である。
第2の電気接続部分17は、第1の電気接続部分16と複数の励振素子18のそれぞれとに電気的に接続されている。第2の電気接続部分17として貫通導体を用いてもよい。貫通導体は、絶縁層20に設けられたビアホール21に導電性材料を充填することによって形成することができる。貫通導体は、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの導電体材料から構成されていてもよい。
第2の電気接続部分17としてスロットを用いてもよい。第2の電気接続部分17としてスロットを用いると、第1の電気接続部分16と励振素子18とが、スロットによって電磁的に結合される。
第2の電気接続部分17は、励振素子18の中心からずれた場所に配置されるのが望ましい。本実施の形態では、第2の電気接続部分17は、励振素子18の中心からずれた場所に配置されている(図3を参照)。
電気接続部15(第1の電気接続部分16、第2の電気接続部分17)を有する配線層14を設けることにより、半導体基板11の第1の面12に設けられた複数の能動素子回路13から任意の場所に電気接続部15を引き回すことができる。そのため、複数の励振素子18のそれぞれに対して、複数の能動素子回路13を配置する位置を自由に設計することができる。また、電気接続部15は、励振素子18のような能動素子回路13に比較すると大きな面積を有する受動素子を、能動素子回路13が設けられた半導体基板11と一体的に形成することを容易にする。
絶縁層20は、半導体基板11の第1の面12上に一体的に設けられている。絶縁層20は、電気接続部15の少なくとも一部を埋め込み、電気接続部15の少なくとも一部は、絶縁層20の内部に設けられている。本実施の形態では、絶縁層20は、第2の電気接続部分17の少なくとも一部を埋め込み、第2の電気接続部分17の少なくとも一部は、絶縁層20の内部に設けられている。絶縁層20は、接地導体層22の少なくとも一部を埋め込み、接地導体層22の少なくとも一部は、絶縁層20の内部に設けられている。
絶縁層20は、樹脂を含んでいてもよい。絶縁層20に用いられる樹脂は、熱可塑性または熱硬化性を有していてもよい。絶縁層20に用いられる樹脂は、好ましくは、優れた機械強度、優れた耐熱性、及び少ない誘電損失(小さな誘電正接)を有する。本実施の形態では、絶縁層20は、ポリイミドを主に含んでいる。アレイアンテナ装置1の使用時にアレイアンテナ装置1から発せられる熱によって、樹脂からなる絶縁層20が軟化する。アレイアンテナ装置1の使用時に樹脂からなる絶縁層20が軟化するため、半導体基板11の熱膨張係数と誘電体基板31の熱膨張係数とが異なっても、半導体基板11と誘電体基板31との熱膨張係数差に起因して誘電体基板31が変形することを抑制できる。
複数の励振素子18は、半導体基板11に一体的に設けられている。本実施の形態では、複数の励振素子18は、絶縁層20の半導体基板11側の表面とは反対側の表面に一体的に設けられている。このように、本実施の形態では、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18とは、半導体基板11に一体的に設けられている。そのため、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18との経路を短くすることができる。その結果、アレイアンテナ装置1におけるマイクロ波やミリ波などの高周波の電磁波の伝送損失及び電磁波ノイズの発生を低減することができ、また、マイクロ波やミリ波などの高周波の電磁波によって送信または受信される大容量のデータを高速で処理することができる。
本実施の形態では、電磁波の送信または受信の少なくともいずれかを行う複数の能動素子回路13と複数の励振素子18とが、半導体基板11に一体的に設けられている。そのため、電磁波の送信または受信の少なくともいずれかを行う複数の能動素子回路が形成された一つの基板と複数の励振素子が形成された別の基板とを接合する比較例と比べて、本実施の形態では、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18との間に位置ずれが生じるのを抑制することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、マイクロ波やミリ波などの高周波の電磁波の伝送損失および電磁波ノイズの発生を低減することができる。
複数の励振素子18は、一次元アレイ状または二次元アレイ状に半導体基板11上に設けられている。本明細書では、複数の励振素子18がアレイ状に配置されているとは、複数の励振素子18が、規則的または不規則的に配置されていることを意味する。本実施の形態では、複数の励振素子18は、二次元的に配置されている。より特定的には、複数の励振素子18は、ピッチPで正方格子状に配置されている(図3を参照)。複数の励振素子18のピッチPは、使用する周波数とアレイアンテナ装置1を構成する材料の電気特性の値とに応じて適宜定められる。本実施の形態では、複数の励振素子18は、3.8mmのピッチPで格子状に配列されている。
複数の励振素子18は、金(Au)や銅(Cu)などの導電体材料からなっている。本実施の形態では、励振素子18は、銅(Cu)から構成されている。励振素子18は、例えば、配線層14の絶縁層20の表面に銅箔を形成し、銅箔をエッチングすることによって複数の励振素子18を一括して形成してもよい。
複数の励振素子18のそれぞれの面内の外周形状は、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形、円形、楕円形、リング状に並べた同心円などであってもよい。複数の励振素子18のそれぞれの面内の外周形状は、正三角形、正方形、正五角形、正六角形などの多角形、円形などであってもよい。本実施の形態では、複数の励振素子18のそれぞれの面内の外周形状は円形である。
接地導体層22は、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18との間に設けられる。そのため、複数の能動素子回路13で発生した電磁波ノイズは、接地導体層22によって遮蔽されて、複数の励振素子18に結合されない。そのため、良好なアンテナ特性を有する複数のアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1を得ることができる。
接地導体層22は、電気接続部15の少なくとも一部と複数の励振素子18とから電気的に絶縁されるように、配線層14に設けられている。本実施の形態では、接地導体層22は、絶縁層20によって、複数の励振素子18と第2の電気接続部分17とから電気的に絶縁されている。接地導体層22を第2の電気接続部分17から電気的に絶縁するために、接地導体層22には開口23が設けられ、開口23の中に第2の電気接続部分17が設けられている。
開口23の大きさが大きすぎると、複数の能動素子回路13などから発生する電磁波ノイズが第2の電気接続部分17または励振素子18に直接流れ込んで、アレイアンテナ装置1のアンテナ特性が劣化してしまうおそれがある。そのため、貫通電極である第2の電気接続部分17と接地導体層22の開口23との隙間は、アレイアンテナ装置1で送信または受信される電磁波の波長λの1/4以下(λ/4以下)が好ましく、1/8以下(λ/8以下)がより好ましい。
本実施の形態では、接地導体層22は、さらに、絶縁層20によって、複数の能動素子回路13とも電気的に絶縁されている。接地導体層22は、金(Au)や銅(Cu)などの導電体材料から構成されていてもよい。
細かく分割された複数の接地導体層を備える比較例のアレイアンテナ装置では、複数の能動素子回路13などから発生するノイズ等が分割された接地導体層間の隙間から励振素子18に向けて流れ込む。そのため、比較例のアレイアンテナ装置では、アレイアンテナ装置のアンテナ特性が劣化してしまうおそれがある。
これに対し、本実施の形態では、接地導体層22は、複数の励振素子18の外周領域(図3の線Vaで囲まれる領域)よりも大きい領域にわたって延在する1つの導体層である。そのため、本実施の形態では、上記比較例のように、複数の能動素子回路13などから発生する電磁波ノイズが分割された接地導体層の隙間から励振素子18に向けて流れ込むことを抑制することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1は良好なアンテナ特性を有する。
接地導体層22は、好ましくは、配線基板10上の最も外側に設けられた励振素子18の中心から、複数の励振素子18のピッチPの1/2の距離だけ外側に出た領域(図3の線Vbで囲まれる領域)よりも大きい領域にわたって延在する1つの導体層を有している。なお、接地導体層22は、配線基板10の外周まで延在してもよい。
配線基板10には、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して位置決めするために用いられる第1のアライメントマーク25が設けられていてもよい。第1のアライメントマーク25は配線層14に設けられていてもよい。第1のアライメントマーク25は、複数の励振素子18に対して、予め定められた位置に設けられる。本実施の形態では、絶縁層20の半導体基板11側とは反対側の表面に、第1のアライメントマーク25が設けられている。第1のアライメントマーク25の数は、一つでも複数でもよい。本実施の形態では、半導体基板11のオリエンテーションフラットを除く3箇所に第1のアライメントマーク25は設けられている(図1参照)。
本実施の形態では、第1のアライメントマーク25は、配線基板10と誘電体基板31とが積み重ねられた方向から見たときに、誘電体基板31及び接着シート6から露出している。第1のアライメントマーク25は誘電体基板31及び接着シート6から露出しているので、カメラなどの観察手段を用いて第1のアライメントマーク25を観察しながら、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して位置決めすることができる。
第1のアライメントマーク25は、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して位置決めする時にのみ必要なものであり、アンテナとしての機能に寄与しない。アレイアンテナ装置1の作動時に第1のアライメントマーク25がアレイアンテナ装置1に電磁気的な影響を与えないようにするために、第1のアライメントマーク25は、複数の励振素子18から離れた位置に配置することが好ましい。本実施の形態では、第1のアライメントマーク25は、半導体基板11の端から5mmの位置に設けられている。また、アレイアンテナ装置1の作動時に第1のアライメントマーク25がアレイアンテナ装置1に電磁気的な影響を与えないようにするために、第1のアライメントマーク25のサイズは小さい方が望ましい。そのため、第1のアライメントマーク25の直径は、0.1mm以下であることが好ましい。第1のアライメントマーク25の厚さは、特に限定されない。本実施の形態では、第1のアライメントマーク25は、50μmの直径と、7μmの厚さとを有している。
第1のアライメントマーク25は、金(Au)や銅(Cu)などの材料から構成されていてもよい。本実施の形態では、第1のアライメントマーク25は、銅(Cu)から構成されている。第1のアライメントマーク25の形状に、特に制限はない。本実施の形態では、第1のアライメントマーク25は、円形を有している。
絶縁層20に設けられた導電体をパターニングすることによって、第1のアライメントマーク25を形成してもよい。絶縁層20に設けられた電気接続部15または励振素子18を形成する際に、第1のアライメントマーク25を電気接続部15及び励振素子18の少なくとも1つと一括して形成してもよい。例えば、絶縁層20の半導体基板11側とは反対側の表面に形成された銅などの導電体層をエッチングして、励振素子18と第1のアライメントマーク25とを一括して形成してもよい。
本実施の形態の誘電体基板31は、第2の面32と、第2の面32と反対側の第3の面33とを有する。誘電体基板31として、例えば、高周波用プリント基板、液晶ポリマー基板、低温同時焼成セラミックス基板(LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板)などのセラミック基板を用いることができる。マイクロ波やミリ波といった高周波の電磁波の伝送遅延および伝送損失を少なくするため、誘電体基板31は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの低誘電率および低誘電損失を有するフッ素樹脂系の高周波用プリント基板であることが好ましい。本実施の形態では、誘電体基板31として、フッ素樹脂系の高周波用プリント基板を用いている。
誘電体基板31における誘電損失を小さくするため、誘電体基板31として、小さな誘電正接(tanδ)を有する基板を用いることが好ましい。誘電体基板31は、誘電正接(tanδ)が0.003以下である高周波用プリント基板が好ましく、誘電正接(tanδ)が0.001以下である高周波用プリント基板がより好ましい。誘電体基板31として高周波用プリント基板を用いる場合には、ガラス繊維およびその他の添加物をできるだけ少なくすることによって、高周波用プリント基板の基材そのものが有する低い誘電損失をできるだけ保つようにすることが好ましい。
本実施の形態では、誘電体基板31として、高周波用プリント基板の一つであるフッ素樹脂系の片面銅張プリント基板を用いている(図2及び図13を参照)。片面銅張プリント基板は、絶縁性のフッ素樹脂とガラス繊維の織布とを積層した基材と、銅箔とを有している。
第2の面32及び第3の面33が延在する方向における誘電体基板31の大きさは、全ての複数の励振素子18を覆う大きさを有している。第2の面32及び第3の面33が延在する方向における誘電体基板31の大きさは、半導体基板11以下の大きさであってもよい。配線基板10に誘電体基板31を搭載する際の誤差(例えば、±50μm)を考慮して、第2の面32及び第3の面33が延在する方向における誘電体基板31の大きさは、複数の励振素子18の外周領域(図3の線Vaで囲まれる領域)よりも、この誤差以上(例えば、1mm)だけ大きいことが好ましい。配線基板10が第1のアライメントマーク25を含む場合には、配線基板10と誘電体基板31とが積み重ねられた方向から見たときの誘電体基板31の大きさは、第1のアライメントマーク25が誘電体基板31から露出する大きさを有していることが好ましい。具体的には、複数の励振素子18に対向する誘電体基板31の第2の面32及び第3の面33は、第1のアライメントマーク25を露出させることができる面積を有している。第1のアライメントマーク25は誘電体基板31から露出しているので、カメラなどの観察手段を用いて第1のアライメントマーク25を観察しながら、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して位置決めすることができる。本実施の形態では、第2の面32及び第3の面33が延在する方向における誘電体基板31の大きさは、70mm×70mmである。
第2の面32と第3の面33との距離によって規定される誘電体基板31の厚さは、100μm以上1mm以下であることが好ましい。誘電体基板31の厚さを100μm以上とすることにより、非励振素子34に不要な電磁波が結合することを減らすことができる。そのため、放射効率が高く、使用可能な電磁波の周波数の帯域が広いアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1を得ることができる。誘電体基板31の厚さを1mm以下とすることにより、第2の面32と第3の面33とに銅箔が形成された片面プリント基板を型抜き加工することによって誘電体基板31を得ることができる。そのため、誘電体基板31を低コストで効率的に製造することができる。本実施の形態では、誘電体基板31の厚さは、140μmである。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、励振素子18と非励振素子34との間に、誘電体基板31が位置している。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、非励振素子34は、励振素子18から、少なくとも誘電体基板31の厚さだけ隔てられている。誘電体基板31の厚さを、例えば、100μm以上にまで厚くすることは、誘電体基板31としてプリント基板等を用いることによって容易に実現できる。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、励振素子18と非励振素子34との距離を大きくすることができる。本実施の形態のアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1のアンテナ特性は、アンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1を構成する材料の厚さ及び電気特性などによって調整することができる。上記のように、本実施の形態では、励振素子18と非励振素子34との距離を大きくすることができるため、アンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1の設計の自由度が大きい。また、励振素子18と非励振素子34との間の距離が大きい本実施の形態では、放射効率が高く、使用可能な電磁波の周波数の帯域が広いアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1を得ることができる。
これに対し、例えば、励振素子18と非励振素子34とが誘電体樹脂層だけで隔てられた比較例のアンテナ素子およびアレイアンテナ装置では、100μmに達するような誘電体樹脂層を形成することは困難である。そのため、この比較例では、励振素子18と非励振素子34との距離を大きくすることが難しい。その結果、この比較例では、アンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1の設計の自由度が小さく、高性能なアンテナ素子およびアレイアンテナ装置を得ることが難しい。
複数の非励振素子34は、一次元アレイ状または二次元アレイ状に誘電体基板31の第2の面32上に設けられている。本明細書では、複数の非励振素子34がアレイ状に配置されているとは、複数の非励振素子34が、規則的または不規則的に配置されていることを意味する。本実施の形態では、複数の非励振素子34は、二次元的に配置されている。より特定的には、複数の非励振素子34は、ピッチPで正方格子状に配置されている(図1を参照)。複数の非励振素子34のピッチPの寸法は、使用する周波数とアレイアンテナ装置1を構成する材料の電気特性の値とに応じて適宜定められる。本実施の形態では、複数の非励振素子34は、3.8mmのピッチPで正方格子状に配列されている。本実施の形態では、個々の非励振素子34は、直径2.5mmの円形である。また、個々の非励振素子34は、18μmの厚さを有している。
複数の非励振素子34は、複数の励振素子18のそれぞれに対応するように設けられる。非励振素子34は、励振素子18との電磁気的に結合している。このため、非励振素子34は、アンテナ素子53の一部として機能する。非励振素子34によって、帯域が広いアンテナ素子53及びアレイアンテナ装置1を得ることができる。複数の非励振素子34は、半導体基板11に設けられた複数の能動素子回路13と電気接続部15によって接続されていない。
非励振素子34は、金(Au)や銅(Cu)などの導電体材料から構成されていてもよい。本実施の形態では、非励振素子34は、銅(Cu)から構成されている。
非励振素子34の面内の外周形状は、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形、円形、楕円形、リング状に並べた同心円などであってもよい。非励振素子34の面内の外周形状は、正三角形、正方形、正五角形、正六角形などの多角形、円形などであってもよい。本実施の形態では、非励振素子34の面内の外周形状は円形である。
一つのアンテナ素子53は、一つの励振素子18と、一つの非励振素子34と、一つの励振素子18および一つの非励振素子34に挟まれた領域の誘電体基板31および接着シート6とを含む(図2を参照)。本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、複数のアンテナ素子53が一次元アレイ状または二次元アレイ状に配線基板10上に配置されている。本明細書では、複数のアンテナ素子53がアレイ状に配置されているとは、複数のアンテナ素子53が、規則的または不規則的に配置されていることを意味する。本実施の形態では、複数のアンテナ素子53は、二次元的に配置されている。より特定的には、複数のアンテナ素子53は、正方格子状に配置されている。複数のアンテナ素子53のピッチPは、使用する周波数とアレイアンテナ装置1を構成する材料の電気特性の値とに応じて適宜定められる。本実施の形態では、複数のアンテナ素子53は、3.8mmのピッチPで正方格子状に配列されている。
一枚の配線基板10に対して一枚の誘電体基板31が接合される。本実施の形態では、一枚の配線基板10における配線層14の半導体基板11とは反対側の表面に、誘電体基板31が接合される。本実施の形態では、一枚の誘電体基板31は、接着シート6によって、一枚の配線基板10に接合される。室温で接着が可能な粘着シート、または半田ボールなどの他の接合手段によって、一枚の誘電体基板31は一枚の配線基板10に接合されてもよい。
接着シート6は樹脂を含んでいてもよい。接着シート6に用いられる樹脂は、熱可塑性または熱硬化性を有していてもよい。アレイアンテナ装置1の使用時にアレイアンテナ装置1から発せられる熱によって、樹脂からなる接着シート6が軟化する。アレイアンテナ装置1の使用時に樹脂からなる絶縁層20が軟化するため、半導体基板11の熱膨張係数と誘電体基板31の熱膨張係数とが異なっても、半導体基板11と誘電体基板31との熱膨張係数差に起因して誘電体基板31が変形することを抑制できる。
配線基板10と接着シート6とが積み重ねられた方向から見たときの接着シート6の大きさは、全ての複数の励振素子18を覆う大きさを有している。配線基板10が第1のアライメントマーク25を含む場合には、配線基板10と接着シート6とが積み重ねられた方向から見たときの接着シート6の大きさは、第1のアライメントマーク25が接着シート6から露出する大きさを有していることが好ましい。第1のアライメントマーク25は接着シート6から露出しているので、カメラなどの観察手段を用いて第1のアライメントマーク25を確認しながら、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して位置決めすることができる。
本実施の形態の接着シート6は、0.005以下の小さな誘電正接(tanδ)を有していてもよい。本実施の形態の接着シート6は、より好ましくは、0.003以下の誘電正接(tanδ)を有していてもよい。接着シート6は、励振素子18と非励振素子34との間に位置するため、接着シート6の電気特性はアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1のアンテナ特性に影響を及ぼす。本実施の形態では、接着シート6は0.005以下の誘電正接を有しているので、アンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1における電磁波の損失を減少させることができる。そのため、本実施の形態のアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1は、向上された放射効率または受信効率を有する。これに対し、一般的に使用されているエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂からなる接着シートは大きな誘電正接(tanδ)を有する。接着シート6として、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂からなる接着シートを用いる比較例のアンテナ素子およびアレイアンテナ装置では、接着シート6における誘電損失が大きくなり得る。その結果、比較例のアンテナ素子およびアレイアンテナ装置における電磁波の損失が大きくなり、比較例のアンテナ素子およびアレイアンテナ装置の放射効率または受信効率が低下し得る。
接着シート6の材料として、例えば、フッ素系熱可塑性樹脂、ポリマーアロイ系の熱硬化性樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂の場合、アーロン社のCuClad6700(商標)を例示することができる。熱硬化性の樹脂の場合、ナミックス社のアドフレマNC0201(商標)を例示することができる。接着シート6は、透明、または半透明を有していてもよい。透明、または半透明を有する接着シート6を用いることによって、接着シート6によって第1のアライメントマーク25が覆われても、カメラなどの観察手段によって、接着シートを通して、第1のアライメントマーク25を容易に認識することができる。
本実施の形態では、誘電体基板31の第3の面33と配線基板10の絶縁層20の表面との距離で定義される、接着シート6の厚さT(図2を参照)は、25μm以上45μm以下である。
図2、図4から図18を参照して、本実施の形態におけるアレイアンテナ装置1を製造する方法について説明する。
図4を参照して、半導体プロセス技術を用いて、半導体基板11の第1の面12に、複数の能動素子回路13を形成する。
図5を参照して、半導体基板11の第1の面12上に、電気接続部15の第1の電気接続部分16を形成する。第1の電気接続部分16は、複数の能動素子回路13のそれぞれと電気的に接続されている。
図6を参照して、半導体基板11の第1の面12及び第1の電気接続部分16上に、絶縁層20を形成する。絶縁層20は、半導体基板11の第1の面12及び第1の電気接続部分16を覆う。絶縁層20は、スピンコート法、貼り合わせ法などを用いて形成することができる。
図7を参照して、絶縁層20上に、開口23を有する接地導体層22を形成する。開口23は、第1の電気接続部分16の一部の上に位置している。開口23を有する接地導体層22は、例えば、絶縁層20の全面に導体層を形成した後、この導体層をパターニングすることによって、形成することができる。
図8を参照して、接地導体層22上にさらに絶縁層20を形成する。このさらなる絶縁層20は、接地導体層22及び開口23を埋める。
図9を参照して、絶縁層20にビアホール21を形成する。ビアホール21は、例えば、フォトリソグラフィを用いて絶縁層20をパターニングすることによって、形成され得る。それから、ビアホール21に電気接続部15の第2の電気接続部分17を形成する。本実施の形態では、ビアホール21に導電材料を充填することによって、第2の電気接続部分17が形成される。ビアホール21は、絶縁層20の表面から第1の電気接続部分16の表面まで延在している。第2の電気接続部分17は、第1の電気接続部分16と電気的に接続されている。
図10を参照して、絶縁層20上に、複数の励振素子18と第1のアライメントマーク25とを形成する。複数の励振素子18は、電気接続部15の第2の電気接続部分17と電気的に接続されている。本実施の形態では、第1のアライメントマーク25は、接着シート6及び誘電体基板31に覆われないように、半導体基板11の周縁部に配置される。本実施の形態では、絶縁層20の全面にめっき法によって導電体層を形成した後、一部の導電体層を除去することによって、複数の励振素子18及び第1のアライメントマーク25を一括して形成している。複数の励振素子18は、第1のアライメントマーク25と別の工程で形成されてもよい。複数の励振素子18は、第2の電気接続部分17と一括して形成されてもよい。複数の励振素子18は、一括して形成されてもよいし、個別に形成されてもよい。複数の励振素子18を形成する方法として、蒸着法やスパッタ法などを用いてもよい。第1のアライメントマーク25を形成する方法として、蒸着法やスパッタ法などを用いてもよい。以上の工程によって、配線基板10を製造することができる。
次に、図11から図14を参照して、ボンダ40を用いて、一枚の誘電体基板31を一枚の配線基板10に接合する工程を説明する。ボンダ40は、搭載ステージ41と、ボンダーヘッド44を備えている。搭載ステージ41は、第1の真空吸着機構42とコンスタントヒータなどの第1のヒータ43を有する。ボンダーヘッド44は、第2の真空吸着機構45と、セラミックヒータなどの第2のヒータ46と、カメラ(図示せず)とを有している。本実施の形態では、第2のヒータ46としてセラミックヒータを用いているため、短時間(100℃/秒)で昇温することができる。
図11を参照して、第1のヒータ43により例えば200℃に加熱された搭載ステージ41上に、第1の真空吸着機構42を用いて、配線基板10は真空吸着される。第2の真空吸着機構45を用いて、接着シート6は、ボンダーヘッド44の先端に吸着される。本実施の形態では、ボンダーヘッド44のカメラを用いて、接着シート6が全ての複数の励振素子18を覆うように、接着シート6を配線基板10の上方にアライメントする。
図12を参照して、本実施の形態では、接着シート6は、全ての複数の励振素子18を覆うように、複数の励振素子18及び絶縁層20上に載置される。具体的には、カメラなどの観察手段によって、接着シート6が全ての複数の励振素子18を覆うように、配線基板10の上方にアライメントする。ボンダーヘッド44によって、接着シート6は、複数の励振素子18及び絶縁層20上に載置される。接着シート6を複数の励振素子18及び絶縁層20上に載置する際、ボンダーヘッド44は室温のままであり、接着シート6に荷重を印加しない。接着シート6は室温では粘着性をもたないため、ボンダーヘッド44に貼りつくことはない。
図13を参照して、第2の面32と第3の面33とを有する一枚の誘電体基板31を準備する。本実施の形態では、一枚の誘電体基板31の第2の面32の全面に、導電体層34mが形成されている。本実施の形態では、誘電体基板31として、高周波用プリント基板の一つであるフッ素樹脂系の片面銅張プリント基板を用いている。また、導電体層34mは銅層である。
図14を参照して、配線基板10に誘電体基板31を接合する。本実施の形態では、第2の真空吸着機構45を用いて、誘電体基板31の第2の面32(導電体層34m)は、ボンダーヘッド44の先端に吸着される。ボンダーヘッド44のカメラを用いて、誘電体基板31が全ての複数の励振素子18を覆うように、誘電体基板31を配線基板10の上方にアライメントする。
ボンダーヘッド44を用いて、誘電体基板31と接着シート6とに、熱と圧力を印加しながら、誘電体基板31は配線基板10に接合される。この配線基板10に対する誘電体基板31の接合は、まず、ボンダーヘッド44で誘電体基板31と接着シート6とに所定の荷重を印加する。誘電体基板31と接着シート6とに所定の荷重が印加された状態で、第2のヒータ46によりボンダーヘッド44の温度を上昇させて、接着シート6を、所定の温度で所定の時間加熱する。その後、第2のヒータ46によりボンダーヘッド44の温度を下げて、ボンダーヘッド44により誘電体基板31と接着シート6とに印加される荷重をゼロにする。以上の工程により、誘電体基板31は、接着シート6によって配線基板10に接着される。配線基板10に誘電体基板31を接着する条件は、接着シート6の種類等に応じて適宜定めることができる。一例として、前記所定の荷重は0.8MPaであり、前記所定の温度は温度220℃であり、前記所定の時間は15分とすることができる。誘電体基板31の第3の面33と配線基板10の絶縁層20の表面との距離で定義される、接着後の接着シート6の厚さT(図2参照)は、25μmから45μmである。
ボンダーヘッド44を用いて、誘電体基板31を配線基板10に押圧する際、接着シート6は、搭載ステージ41の第1のヒータ43とボンダーヘッド44の第2のヒータ46とによって加熱されて、軟化する。そのため、誘電体基板31を配線基板10に押圧する際、接着シート6は押し広げられて、接着シート6が誘電体基板31の外周からはみ出すことがある。接着シート6が誘電体基板31の外周からはみ出して第1のアライメントマーク25が接着シート6によって覆われると、カメラ等の観察手段によって第1のアライメントマーク25を認識することが困難になることがある。そこで、配線基板10に誘電体基板31が接合された後に、配線基板10上の第1のアライメントマーク25が接着シート6によって覆われないように、接着シート6の厚さ及び面積、並びに、第1のアライメントマーク25を形成する位置を定めることが望ましい。
次に、図15から図18を参照して、一枚の配線基板10が接合された一枚の誘電体基板31の第2の面32上に非励振素子34を形成する工程を説明する。図15を参照して、配線基板10に接合された誘電体基板31の表面と誘電体基板31が位置する側の配線基板10の表面とに、レジスト50を形成する。本実施の形態では、レジスト50として、ポジ型の感光性ドライフィルムレジストを用いた。本実施の形態のレジスト50は、25μmの厚さを有している。本実施の形態では、このレジスト50を形成する工程は、レジスト50を誘電体基板31及び配線基板10上に貼り付けることによって行う。このレジスト50の貼り付けは、ロール状のレジストを、真空中で、例えば90℃に加熱しながら、誘電体基板31及び配線基板10上に貼り付けることによって行うことができる。このとき、誘電体基板31の側面や、誘電体基板31に隠されない位置にある接着シート6の表面には、レジスト50が形成されていなくてもよい。レジスト50として、ネガ型のレジストを用いてもよい。レジスト50として、液状レジストを用いてもよい。また、レジスト50の厚さは、25μmに限られない。レジスト50を誘電体基板31が接合された配線基板10の全面に形成する工程は、スピンコート法など貼り合わせ法以外の任意の方法を用いることができる。
次に、図16及び図17を参照して、フォトマスク55を用いて、レジスト50をパターニングする。図16を参照して、フォトマスク55は、光透過部55aと、遮光部55bと、遮光部である第2のアライメントマーク55cとを有している。本実施の形態では、遮光部55bは複数の非励振素子34に対応する領域に設けられ、第2のアライメントマーク55cは第1のアライメントマーク25に対応する領域に設けられている。
配線基板10に設けられた第1のアライメントマーク25を用いて、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定める。より特定的には、配線基板10に設けられた第1のアライメントマーク25とフォトマスク55に設けられた第2のアライメントマーク55cとを用いて、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めている。カメラなどの観察手段を用いて、フォトマスク55の第2のアライメントマーク55cを配線基板10上の第1のアライメントマーク25にアライメントする。第1のアライメントマーク25のそれぞれの中心と、第2のアライメントマーク55cのそれぞれの中心とが一致するように、一つの配線基板10に対してフォトマスク55をアライメントしてもよい。第1のアライメントマーク25は、複数の励振素子18に対してアライメントされている。そのため、第1のアライメントマーク25に対して複数の非励振素子34をアライメントすることによって、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して精度よくアライメントすることができる。
複数の励振素子18に対する複数の非励振素子34の位置が配線基板10の面内方向にずれると、アレイアンテナ装置1のアンテナ特性が劣化する。本明細書において、配線基板10の面内方向は、半導体基板11の第1の面12が延在する方向を意味する。電磁界のシミュレーションの結果、複数の励振素子18に対する複数の非励振素子34配線基板10の面内方向の位置ずれ量は、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。本実施の形態では、第1のアライメントマーク25と第2のアライメントマーク55cとを用いて、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めているので、複数の非励振素子34の面内方向の位置ずれ量を20μm以下、より好ましくは10μm以下に収めることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
第1のアライメントマーク25はレジスト50によって覆われている。しかし、露光前のレジスト50は透明であるため、第1のアライメントマーク25は、カメラなどの観察手段を用いて容易に認識することができる。
本実施の形態では、フォトマスク55をレジスト50に密着させて、光透過部55aに対応するレジスト50を選択的に紫外線で露光する。本実施の形態では、フォトマスク55をレジスト50に密着させる密着露光方式を採用している。フォトマスク55をレジスト50に密着させない他の露光方式を用いてもよい。また、露光に用いる光として、紫外線以外の光を用いてもよい。
図17を参照して、現像液を用いて、レジスト50のうち露光された部分を除去する。フォトマスク55の遮光部55bおよび遮光部である第2のアライメントマーク55cに対応する領域のみ、レジスト50が残る。複数の非励振素子34を形成される部分及び第1のアライメントマーク25上にのみ、レジスト50が残る。
図18を参照して、導電体層34mを選択的に除去して、複数の非励振素子34を形成する。より特定的には、残ったレジスト50をマスクとして用いて、エッチング法などを用いて、レジスト50に覆われていない部分の導電体層34mを除去する。本実施の形態では、複数の非励振素子34が一括して形成されている。導電体層34mを選択的に除去することによって、複数の非励振素子34の一部を一括して形成してもよいし、複数の非励振素子34の1つだけ形成してもよい。導電体層34mを選択的に除去することによって、複数の非励振素子34の一部を一括して形成したり、複数の非励振素子34の1つだけ形成する場合には、導電体層34mを選択的に除去する工程を複数回行って、全ての複数の非励振素子34を形成する。
次に、複数の非励振素子34及び第1のアライメントマーク25上に残ったレジスト50を除去する。さらに、必要に応じて、配線基板10上に第1のアライメントマーク25が残るように、配線基板10をダイシングする。以上の工程によって、図1から図3に示されるアレイアンテナ装置1が得られる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1およびその製造方法の効果を説明する。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、電磁波の送信または受信の少なくともいずれかを行う複数の能動素子回路13は、半導体基板11の第1の面12に設けられている。そのため、半導体プロセス技術を用いて、複数の能動素子回路13を小さな領域に集積配置することができる。また、複数の励振素子18が、この半導体基板11に一体的に設けられている。そのため、小さな領域に、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18とを集積することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、アレイアンテナ装置を小型化することができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、複数の励振素子18が一枚の半導体基板11に一体的に設けられており、複数の非励振素子34が一枚の誘電体基板31に設けられている。そのため、複数の励振素子がそれぞれ異なる基板に設けられている比較例や、複数の非励振素子がそれぞれ異なる基板に設けられている比較例と比べて、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、複数の励振素子18及び複数の非励振素子34の位置及び配列ピッチを精度よく定めることができ、複数の励振素子18に対する複数の非励振素子34の位置のずれを小さくすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、複数の能動素子回路13を含む半導体基板11に複数の励振素子18が一体的に設けられている。一般に、半導体基板は、誘電体基板に比べて、熱や圧力が印加されても変形しにくい物性を有する。そのため、複数の励振素子18どうしの相対的な位置のずれを小さくすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。これに対し、低誘電損失を有するフッ素樹脂系の高周波用プリント基板では、高周波用プリント基板の基材そのものが持つ低誘電体損失の特性をできるだけ保持するために、高周波用プリント基板に含まれるガラス繊維およびその他の添加物の量を少なくしている。このような低誘電損失を有する誘電体基板は、特に、半導体基板よりも変形しやすい。複数の励振素子が誘電体基板に一体的に設けられた比較例のアレイアンテナ装置では、複数の誘電体基板どうしを接合する際に加えられる熱または圧力によって、誘電体基板が大きく変形してしまう。その結果、複数の励振素子の相対的な位置が大きくずれてしまい、アレイアンテナ装置のアンテナ特性が悪くなるおそれがある。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、配線基板10に対向する誘電体基板31の第3の面33とは反対の第2の面32上に複数の非励振素子34が設けられている。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、誘電体基板31の第3の面33側で誘電体基板31を配線基板10に接合した後に、誘電体基板31の第2の面32上に複数の非励振素子34を形成することができる。そのため、一枚の配線基板10に一枚の誘電体基板31を接合する際に誘電体基板31が変形しても、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して正確にアライメントすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、配線基板10に対向する誘電体基板31の第3の面33とは反対の第2の面32上に複数の非励振素子34が設けられている。本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、誘電体基板31は、励振素子18と非励振素子34との間に位置する。ここで、本実施の形態の複数のアンテナ素子53及びアレイアンテナ装置1のアンテナ特性は、励振素子18と非励振素子34との間に位置する材料の厚さや電気的特性などに依存する。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、誘電体基板31の厚さや材料などを適切に選択することによって、複数のアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1の放射効率または受信効率を向上させることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、誘電体基板31の第3の面33側で誘電体基板31を配線基板10に接合した後に、誘電体基板31の第2の面32上に複数の非励振素子34を形成することができる。そのため、誘電体基板31を配線基板10に接合する際の誘電体基板31の変形を気にすることなく、配線基板10(半導体基板11)の材料および誘電体基板31の材料として、複数のアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1のアンテナ特性に適した材料を選択することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、電磁波の送信または受信の少なくともいずれかを行う複数の能動素子回路13が設けられた半導体基板11上に、複数の励振素子18が一体的に設けられている。複数の能動素子回路13が形成された基板と複数の励振素子18が形成された別の基板とを接合する比較例と比べて、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18との間に位置ずれが生じるのを抑制することができる。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、マイクロ波やミリ波などの高周波の電磁波の伝送損失および電磁波ノイズの発生を低減することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1は、励振素子18に加えて、非励振素子34を有している。本実施の形態のアレイアンテナ装置1に非励振素子34を設けることによって、アレイアンテナ装置1に使用可能な電磁波の周波数帯域を拡げ、アレイアンテナ装置1における電磁的な損失を低減することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、誘電体基板31の第3の面33と配線基板10との間に接着シート6が配置され、誘電体基板31は接着シート6によって配線基板10に接合されている。本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、接着シート6は、複数の励振素子18と複数の非励振素子34との間に位置する。ここで、複数のアンテナ素子53及びアレイアンテナ装置1のアンテナ特性は、複数の励振素子18と複数の非励振素子34との間に位置する材料の厚さや電気的特性などに依存する。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、接着シート6の厚さや材料などを適切に選択することによって、本実施の形態の複数のアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1の放射効率または受信効率を向上させることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1では、配線基板10は、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めるためのアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)を含む。このアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)を用いることにより、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を容易かつ正確に定めることができる。そのため、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を正確にアライメントすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1における、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めるためのアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)は、配線基板10と誘電体基板31とが積み重ねられた方向から見たときに、誘電体基板31及び接着シート6から露出している。このように、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めるためのアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)は、誘電体基板31及び接着シート6から露出しているので、カメラなどの観察手段を用いてこのアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)を認識しながら、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を容易かつ正確に定めることができる。そのため、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を正確にアライメントすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の配線基板10は、半導体基板11の第1の面12上に設けられた配線層14を有する。この配線層14は、複数の励振素子18と電気接続部15とを含む。複数の励振素子18のそれぞれは、電気接続部15を介して、複数の能動素子回路13のそれぞれと電気的に接続されている。電気接続部15を有する配線層14が半導体基板11の第1の面12上に設けられているので、能動素子回路13から任意の場所に電気接続部15を引き回すことが可能になる。そのため、励振素子18に対する能動素子回路13の位置を自由に設計することができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の配線層14は、接地導体層22をさらに有する。接地導体層22は、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18との間に設けられている。また、この接地導体層22は、複数の励振素子18が配置される領域よりも大きい領域にわたって延在する1つの導体層である。そのため、複数の能動素子回路13などで発生した電磁ノイズは、接地導体層22によって遮蔽されて、複数の励振素子18に結合されない。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、複数の能動素子回路13が形成される基板として半導体基板11が用いられている。そのため、半導体プロセス技術を用いて、複数の能動素子回路13を小さな領域に集積配置することができる。また、複数の励振素子18が、半導体基板11に一体的に設けられている。そのため、小さな領域に、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18を集積することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、アレイアンテナ装置を小型化することができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、複数の励振素子18が一枚の半導体基板11に一体的に設けられており、複数の非励振素子34が一枚の誘電体基板31に設けられている。そのため、複数の励振素子がそれぞれ異なる基板に設けられている比較例や、複数の非励振素子がそれぞれ異なる基板に設けられている比較例と比べて、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、複数の励振素子18及び複数の非励振素子34の位置及び配列ピッチを精度よく定めることができ、複数の励振素子18に対する複数の非励振素子34の位置のずれを小さくすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、複数の能動素子回路13を含む半導体基板11に複数の励振素子18が一体的に設けられている。半導体基板11は、誘電体基板に比べて、熱や圧力が印加されても変形しにくい物性を有する。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、複数の励振素子18どうしの相対的な位置のずれを小さくすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法は、一枚の配線基板10に接合された一枚の誘電体基板31の第2の面32上に、複数の非励振素子34を形成することを備えている。つまり、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、一枚の配線基板10に一枚の誘電体基板31を接合した後に、一枚の誘電体基板31の第2の面32上に、複数の非励振素子34を形成している。そのため、一枚の配線基板10に一枚の誘電体基板31を接合する際に誘電体基板31が変形しても、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して正確にアライメントすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、誘電体基板31の第3の面33側で誘電体基板31を配線基板10に接合した後に、誘電体基板31の第2の面32上に複数の非励振素子34を形成することができる。そのため、誘電体基板31を配線基板10に接合する際の誘電体基板31の変形を気にすることなく、配線基板10(半導体基板11)の材料および誘電体基板31の材料として、複数のアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1のアンテナ特性に適した材料を選択することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、電磁波の送信または受信の少なくともいずれかを行う複数の能動素子回路13が設けられた半導体基板11上に、複数の励振素子18が一体的に設けられている。複数の能動素子回路13が形成された基板と複数の励振素子18が形成された別の基板とを接合する比較例と比べて、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18との間に位置ずれが生じるのを抑制することができる。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、マイクロ波やミリ波などの高周波の電磁波の伝送損失および電磁波ノイズの発生を低減することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法は、複数の励振素子18を有する一枚の配線基板10に接合された一枚の誘電体基板31の第2の面32上に、複数の非励振素子34を形成することを備えている。本実施の形態のアレイアンテナ装置1に非励振素子34を設けることによって、アレイアンテナ装置1に使用可能な電磁波の周波数帯域を拡げ、アレイアンテナ装置1における電磁的な損失を低減することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、一枚の配線基板10に一枚の誘電体基板31を接合することは、接着シート6によって誘電体基板31を配線基板10に接着することを含む。本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、接着シート6は、複数の励振素子18と複数の非励振素子34との間に位置する。ここで、複数のアンテナ素子53及びアレイアンテナ装置1のアンテナ特性は、複数の励振素子18と複数の非励振素子34との間に位置する材料の厚さや電気的特性などに依存する。そのため、本実施の形態の製造方法では、接着シート6の厚さや材料などを適切に選択することによって、複数のアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置1の放射効率または受信効率を向上させることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、一枚の配線基板10を形成することは、アライメントマーク(第1のアライメントマーク25)を形成することを含む。また、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、複数の非励振素子34を形成することは、このアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)を用いて、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めることを含む。このように、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めるためのアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)を用いることにより、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を容易かつ正確に定めることができる。そのため、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を正確にアライメントすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、一枚の配線基板10に一枚の誘電体基板31を接合することは、接着シート6によって誘電体基板31を配線基板10に接着することを含む。また、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、複数の非励振素子34を形成することにおいて、アライメントマーク(第1のアライメントマーク25)は、誘電体基板31及び接着シート6から露出している。本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法では、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めるためのアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)は、誘電体基板31及び接着シート6から露出しているので、カメラなどの観察手段を用いてこのアライメントマーク(第1のアライメントマーク25)を認識しながら、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を容易かつ正確に定めることができる。そのため、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を正確にアライメントすることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、一枚の誘電体基板31を準備することは、誘電体基板31の第2の面32の全面に導電体層34mを有する誘電体基板31を準備することを含む。本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、複数の非励振素子34を形成することは、導電体層34mを選択的に除去することを含む。このため、誘電体基板31として、例えば、片面銅張プリント基板を用いることができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、安価で、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、一枚の配線基板10を形成することは、半導体基板11の第1の面12上に配線層14を形成することを含む。配線層14は、複数の励振素子18と電気接続部15とを有する。複数の励振素子18のそれぞれは、電気接続部15を介して、複数の能動素子回路13のそれぞれと電気的に接続されている。本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法は、半導体基板11の第1の面12上に配線層14を形成することを含むので、能動素子回路13から任意の場所に電気接続部15を引き回すことが可能になる。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、励振素子18に対する能動素子回路13の位置を自由に設計することができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法における、配線層14を形成することは、接地導体層22を形成することを含む。接地導体層22は、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18との間に設けられる。接地導体層22は、複数の励振素子18が配置される領域よりも大きい領域にわたって延在する1つの導体層である。本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法は、複数の能動素子回路13と複数の励振素子18との間に接地導体層22を形成することを含むので、複数の能動素子回路13などで発生した電磁ノイズは、接地導体層22によって遮蔽されて、複数の励振素子18に結合されない。そのため、本実施の形態のアレイアンテナ装置1の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
図19を参照して、本実施の形態の第1の変形例に係るアレイアンテナ装置1aは、第1のアライメントマーク25を備えていない。第1のアライメントマーク25は、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して位置決めする時にのみ必要なものであり、アンテナとしての機能に寄与しない。そのため、本実施の形態の第1の変形例に係るアレイアンテナ装置1aは、第1のアライメントマーク25を備えていなくてもよい。
本実施の形態の第1の変形例に係るアレイアンテナ装置1aは、例えば、以下の方法によって製造することができる。図18に示される工程の後、複数の非励振素子34及び第1のアライメントマーク25上に残ったレジスト50を除去する。さらに、第1のアライメントマーク25が配線基板10上に残らないように、配線基板10、または、配線基板10及び誘電体基板31をダイシングする。このようにして、図19に示される本実施の形態の第1の変形例に係るアレイアンテナ装置1aが得られる。
また、本実施の形態の第1の変形例に係るアレイアンテナ装置1aは、第1のアライメントマーク25及び第2のアライメントマーク55cを設けずに、以下の別の方法によって製造してもよい。レジスト50上にフォトマスク55を位置決めする際に、X線カメラを用いる。複数の励振素子18上に、接着シート6、誘電体基板31、導電体層34m、及びレジスト50が積み重なっていても、X線は、接着シート6、誘電体基板31、及びレジスト50を透過し、導電体層34mも一部のX線は透過する。X線カメラを用いると、複数の励振素子18とフォトマスク55とを認識することができる。本実施の形態の第1の変形例に係るアレイアンテナ装置1aの別の製造方法では、X線カメラを用いて、複数の励振素子18に対して、フォトマスク55をアライメントしてもよい。本実施の形態の第1の変形例のこの別の製造方法では、第1のアライメントマーク25及び第2のアライメントマーク55cを形成する工程をなくすことができるので、製造工程を簡略化することができる。
図21を参照して、本実施の形態の第2の変形例に係るアレイアンテナ装置1bは、第1のアライメントマーク25に代えて、絶縁層20に形成された凹部からなる第1のアライメントマーク25aを備えている。本実施の形態の第2の変形例に係るアレイアンテナ装置1bでは、第1のアライメントマーク25aにおいて接地導体層22が露出してもよい。絶縁層20に形成された凹部からなる第1のアライメントマーク25aは、複数の励振素子18と複数の非励振素子34との間に位置しない。絶縁層20に形成された凹部からなる第1のアライメントマーク25aは、複数のアンテナ素子53及びアレイアンテナ装置1のアンテナ特性に大きな影響を与えない。そのため、絶縁層20に形成された凹部からなる第1のアライメントマーク25aは、複数の励振素子18の近くに配置することができる。その結果、絶縁層20に形成された凹部からなる第1のアライメントマーク25aを用いることにより、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置をより一層正確に定めることができる。そのため、本実施の形態の第2の変形例に係るアレイアンテナ装置1bによれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置1bを得ることができる。
本実施の形態の第2の変形例に係るアレイアンテナ装置1bは、例えば、以下の方法によって製造することができる。図9に示される工程の後、絶縁層20を選択的に除去して、凹部からなる第1のアライメントマーク25aを形成する。それから、図10に示されるように、絶縁層20上に複数の励振素子18を形成する。本実施の形態の第2の変形例に係るアレイアンテナ装置1bは、例えば、以下の別の方法によって製造することができる。図10に示される工程において、複数の励振素子18を形成するが、第1のアライメントマーク25は形成しない。その後、絶縁層20を選択的に除去して、凹部からなる第1のアライメントマーク25aを形成する。本実施の形態の第2の変形例では、絶縁層20上に複数の励振素子18を形成する際、第1のアライメントマーク25は形成しない。その後、一枚の誘電体基板31が全ての複数の励振素子18を覆うように、誘電体基板31の第3の面33を配線基板10に対向させる。図20を参照して、接着シート6を介して、誘電体基板31を配線基板10に接合する。配線基板10に接合された誘電体基板31の第2の面32上に、複数の非励振素子34を形成する。このようにして、図21に示される本実施の形態の第2の変形例に係るアレイアンテナ装置1bが得られる。
(実施の形態2)
図22から図29を参照して、実施の形態2に係るアレイアンテナ装置2とその製造方法を説明する。実施の形態2のアレイアンテナ装置2は、基本的には、図1から図3に示す実施の形態1のアレイアンテナ装置1と同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。図22に示される本実施の形態のアレイアンテナ装置2は、複数の非励振素子34がシード層60上に設けられている。シード層60は、シード層60上に複数の非励振素子34を堆積するために用いられる。
図23から図29を参照して、実施の形態2に係るアレイアンテナ装置2を製造する方法について説明する。本実施の形態のアレイアンテナ装置2の製造方法は、図4から図18に示す実施の形態1のアレイアンテナ装置1の製造方法の変形例である。本実施の形態のアレイアンテナ装置2の製造方法は、基本的には、図4から図18に示す実施の形態1のアレイアンテナ装置1の製造方法と同様の工程を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。本実施の形態の製造方法では、誘電体基板31が配線基板10に接合される際に、誘電体基板31は導電体層34mを有していない。また、本実施の形態の製造方法では、複数の非励振素子34が導電体層を選択的に堆積することによって形成される。
本実施の形態のアレイアンテナ装置2を製造する方法は、図4から図10に示す工程に従って、配線基板10を製造する。図11及び図12に示す工程に従って、配線基板10上に接着シート6を載置する。次に、図23を参照して、誘電体基板31を準備する。本実施の形態では、誘電体基板31は導電体層34mを有していない。
図24を参照して、実施の形態1の図14に示す工程に従って、誘電体基板31を配線基板10に接合する。より特定的には、接着シート6によって、一枚の誘電体基板31は一枚の配線基板10に接着される。室温で接着が可能な粘着シート、または半田ボールなどの他の接合手段によって、一枚の誘電体基板31は一枚の配線基板10に接合されてもよい。
図25を参照して、誘電体基板31が位置する表面と反対側の配線基板10の表面に保護シート61を貼り付ける。より特定的には、第1の面12と反対側の半導体基板11の第4の面12bに保護シート61を貼り付ける。保護シート61は、配線基板10の第4の面12b上に、シード層60や導電体層34aが形成されるのを防ぐ。本実施の形態では、保護シート61は、めっきが形成されることを防止する機能を有している。
それから、配線基板10が接合された誘電体基板31の表面と、誘電体基板31が位置する側の配線基板10の表面とに、シード層60を形成する。シード層60は、誘電体基板31、接着シート6、及び配線基板10を覆う。シード層60は、誘電体基板31の第2の面32上と、誘電体基板31の側面、誘電体基板31及び配線基板10から露出している接着シート6上と、誘電体基板31及び接着シート6から露出している配線基板10上とに堆積される。シード層60は、例えば、無電解銅めっき法によって形成されてもよい。シード層60は、第1のアライメントマーク25の厚さよりも十分薄い。シード層60の厚さは、例えば、0.2μmである。
図26を参照して、シード層60上の全面に、レジスト65を形成する。本実施の形態では、レジスト65として、ネガ型の感光性ドライフィルムレジストを用いた。80μmの厚さを有するネガ型の感光性ドライフィルムレジスト2枚をシード層60上に積層する。この積層された2枚のネガ型の感光性ドライフィルムレジストを、真空中で、例えば90℃で加熱しながら、シード層60の全面に熱圧着する。このようにして、シード層60上の全面に、レジスト65を形成する。配線層14の表面と、誘電体基板31の第2の面32との段差は160μm程度である。そのため、80μmの厚さを有するネガ型の感光性ドライフィルムレジスト1枚では、誘電体基板31の側面を覆うことができない。本実施の形態のように、80μmの厚さを有するネガ型の感光性ドライフィルムレジスト2枚を重ねてシード層60の全面に貼り付けることにより、誘電体基板31の側面をレジスト65で覆うことができる。
レジスト65として、ポジ型のレジストを用いてもよい。レジスト65として、液状レジストを用いてもよい。また、レジスト65の厚さは、誘電体基板31の側面を覆うことができる厚さであればよく、160μmに限られない。レジスト65をシード層60上の全面に形成する工程は、スピンコート法など貼り合わせ法以外の任意の方法を用いることができる。
次に、図27及び図28を参照して、フォトマスク57を用いて、ネガ型のレジスト65をパターニングする。図27を参照して、フォトマスク57は、光透過部57aと、遮光部57bと、遮光部である第2のアライメントマーク57cと、周縁遮光部57dを有している。本実施の形態では、遮光部57bは、複数の非励振素子34に対応する領域に形成されている。第2のアライメントマーク57cは、第1のアライメントマーク25に対応する領域に形成されている。周縁遮光部57dは、シード層60の周縁部に対応する領域に形成されている。
配線基板10に設けられた第1のアライメントマーク25を用いて、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定める。より特定的には、配線基板10に設けられた第1のアライメントマーク25とフォトマスク57に設けられた第2のアライメントマーク57cとを用いて、複数の励振素子18に対して複数の非励振素子34を形成する位置を定めている。カメラなどの観察手段を用いて、フォトマスク57の第2のアライメントマーク57cを配線基板10上の第1のアライメントマーク25にアライメントする。第1のアライメントマーク25のそれぞれの中心と、第2のアライメントマーク57cのそれぞれの中心とが一致するように、一つの配線基板10に対してフォトマスク57をアライメントしてもよい。シード層60は第1のアライメントマーク25よりも十分薄いので、第1のアライメントマーク25がシード層60に覆われていても、カメラなどの観察手段を用いて、第1のアライメントマーク25を認識することができる。複数の励振素子18は、第1のアライメントマーク25に対してアライメントされている。そのため、第1のアライメントマーク25を用いることにより、複数の非励振素子34を複数の励振素子18に対して精度よくアライメントすることができる。
本実施の形態では、第1のアライメントマーク25を用いて、複数の励振素子18に対する複数の非励振素子34を形成する位置を定めているので、複数の非励振素子34の面内方向の位置ずれ量を20μm以下、より好ましくは10μm以下に収めることができる。その結果、本実施の形態では、高性能なアンテナ素子53およびアレイアンテナ装置2を得ることができる。
第1のアライメントマーク25はシード層60及びレジスト65によって覆われている。しかし、シード層60及び露光前のレジスト50は透明であるため、第1のアライメントマーク25は、カメラなどの観察手段を用いて容易に認識することができる。
本実施の形態では、フォトマスク57をレジスト65に密着させて、光透過部57aに対応するレジスト65を選択的に紫外線で露光する。本実施の形態では、レジスト65はネガ型のレジストであるため、紫外線で露光された部分が硬化する。本実施の形態では、フォトマスク57をレジスト65に密着させる密着露光方式を採用している。フォトマスク57をレジスト65に密着させない他の露光方式を用いてもよい。また、露光に用いる光として、紫外線以外の光を用いてもよい。
図28を参照して、現像液を用いて、レジスト65のうち露光されていない部分を除去する。フォトマスク57の光透過部57aに対応する領域のみ、レジスト65が残る。フォトマスク57の遮光部57bに対応する領域、遮光部である第2のアライメントマーク57cに対応する領域、及び周縁遮光部57dに対応する領域では、レジスト65は除去される。
図29を参照して、レジスト65の開口部に選択的に導電体層を堆積させて、複数の非励振素子34を形成する。より特定的には、電気めっき法により、レジスト65から露出されたシード層60上に選択的に導電体層(複数の非励振素子34、導電体層34a)を形成する。この導電体層のうち、複数の励振素子18に対向する領域のレジスト65の開口部に形成される導電体層が、複数の非励振素子34となる。本実施の形態では、複数の非励振素子34が一括して形成されている。また、第1のアライメントマーク25に対向する領域を含むレジスト65の開口部に、導電体層34aが形成される。電気めっき法により、レジスト65から露出されたシード層60上に選択的に導電体層(複数の非励振素子34、導電体層34a)を形成するために、周縁遮光部57dに対応してレジスト65から露出されたシード層60の周縁部に、電気めっきを行うための給電線が接続される。
レジスト65から露出されたシード層60上に選択的に導電体層(複数の非励振素子34、導電体層34a)を形成する方法として、無電解めっき法、蒸着法やスパッタ法などを用いてもよい。レジスト65から露出されたシード層60上に選択的に導電体層(複数の非励振素子34、導電体層34a)を形成する方法として、蒸着法やスパッタ法を用いる場合には、シード層60を形成しなくてもよい。また、レジスト65の開口部に選択的に導電体層を堆積する工程を一度行うことによって、複数の非励振素子34の一部を一括して形成してもよいし、複数の非励振素子34の1つだけ形成してもよい。レジスト65の開口部に選択的に導電体層を堆積する工程を一度行うことによって、複数の非励振素子34の一部を一括して形成したり、複数の非励振素子34の1つだけ形成する場合には、レジスト65の開口部に選択的に導電体層を堆積する工程を複数回行って、全ての複数の非励振素子34を形成する。
半導体基板11の第4の面12bから保護シート61を除去する。剥離液などを用いて、残ったレジスト65を除去する。そして、複数の非励振素子34及び導電体層34aが形成されていない領域にあるシード層60を除去する。以上の工程によって、図22に示される本実施の形態のアレイアンテナ装置2が得られる。
シード層60を形成した後、必要に応じて、配線基板10をダイシングしてもよい。このダイシング工程によって、例えば、周縁遮光部57dに対応する領域にある導電体層34a及びシード層60を除去してもよい。また、このダイシング工程によって、第1のアライメントマーク25及び導電体層34aも除去してもよい。
本実施の形態のアレイアンテナ装置2およびその製造方法の効果を説明する。
本実施の形態のアレイアンテナ装置2は、複数の非励振素子34を選択的に堆積することによって、複数の非励振素子34が形成されている。そのため、導電体層34mを選択的に除去することによって複数の非励振素子34を形成する実施の形態1のアレイアンテナ装置1よりも、本実施の形態のアレイアンテナ装置2は、高い寸法精度を有する非励振素子34を備えている。したがって、本実施の形態のアレイアンテナ装置2によれば、一層良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態のアレイアンテナ装置2の製造方法において、複数の非励振素子34を形成することは、複数の非励振素子34を選択的に堆積することを含む。そのため、導電体層34mを選択的に除去することによって複数の非励振素子34を形成する実施の形態1のアレイアンテナ装置1の製造方法よりも、本実施の形態のアレイアンテナ装置2の製造方法は、複数の非励振素子34を高い寸法精度で製造することができる。その結果、本実施の形態のアレイアンテナ装置2の製造方法によれば、一層良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
(実施の形態3)
図30を参照して、実施の形態3に係るアレイアンテナ装置の製造方法を説明する。本実施の形態の製造方法は、図23から図29に示す実施の形態2のアレイアンテナ装置2の製造方法の変形例である。
図24に示すように、誘電体基板31を配線基板10に接合する(S10)。具体的には、誘電体基板31の第3の面33を配線基板10に対向させる。それから、接着シート6を介して、誘電体基板31を配線基板10に接着する。
配線基板10に接合された誘電体基板31の第2の面32をバフ研磨する(S20)。誘電体基板31を配線基板10に接合すると、誘電体基板31の第2の面32にシワなどの凹凸が形成される場合がある。そこで、誘電体基板31を配線基板10に接合した後に誘電体基板31の第2の面32にバフ研磨を行って、この凹凸を除去する。この凹凸は誘電体基板31の第2の面32に形成される微細な凹凸である。バフ研磨は、この微細な凹凸を除去するのに適している。
図25に示される工程を行って、バフ研磨された誘電体基板31の第2の面32に、シード層60を形成する(S30)。その後は、図26から図29に示される工程を行って、バフ研磨された誘電体基板31の第2の面32に複数の非励振素子34を形成する。
実施の形態3に係るアレイアンテナ装置を説明する。本実施の形態のアレイアンテナ装置は、図22に示す実施の形態2のアレイアンテナ装置2の変形例である。本実施の形態のアレイアンテナ装置は、基本的には、図22に示す実施の形態2のアレイアンテナ装置2と同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。本実施の形態のアレイアンテナ装置における誘電体基板31の第2の面32は、より一層平坦な平面を有する。また、本実施の形態のアレイアンテナ装置は、誘電体基板31の第2の面32上に、より一層平坦な複数の非励振素子34を有する。
本実施の形態のアレイアンテナ装置およびその製造方法の効果を説明する。
本実施の形態の製造方法は、複数の非励振素子34を形成する前に、一枚の配線基板10に接合された一枚の誘電体基板31の第2の面32をバフ研磨することを備えている。そのため、誘電体基板31を配線基板10に接合する際に誘電体基板31の第2の面32に凹凸が形成されても、誘電体基板31の第2の面32上に、より平らな複数の非励振素子34を形成することができる。その結果、本実施の形態の製造方法によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
本実施の形態の製造方法により製造されたアレイアンテナ装置は、誘電体基板31の第2の面32上に、より一層平坦な複数の非励振素子34を有する。その結果、本実施の形態の製造方法により製造されたアレイアンテナ装置によれば、良好なアンテナ特性を有するアレイアンテナ装置を得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。