JP2016131099A - 電極触媒評価方法 - Google Patents

電極触媒評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016131099A
JP2016131099A JP2015004952A JP2015004952A JP2016131099A JP 2016131099 A JP2016131099 A JP 2016131099A JP 2015004952 A JP2015004952 A JP 2015004952A JP 2015004952 A JP2015004952 A JP 2015004952A JP 2016131099 A JP2016131099 A JP 2016131099A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
potential
electrode catalyst
holding
electrode
surface area
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015004952A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6454156B2 (ja
Inventor
薫生 中川
Shigeo Nakagawa
薫生 中川
田中 慎太郎
Shintaro Tanaka
慎太郎 田中
拓 江口
Hiroshi Eguchi
拓 江口
拓也 大倉
Takuya Okura
拓也 大倉
昌邦 山本
Masakuni Yamamoto
昌邦 山本
浅雄 上野臺
Asao Uenodai
浅雄 上野臺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2015004952A priority Critical patent/JP6454156B2/ja
Publication of JP2016131099A publication Critical patent/JP2016131099A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6454156B2 publication Critical patent/JP6454156B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)

Abstract

【課題】燃料電池を車体に実搭載することなく、電極触媒の電気化学活性表面積の低下速度が如何なる程度であるかを評価する。
【解決手段】燃料電池に対して電位掃引を行い、サイクリックボルタモグラムを得る。卑電位側から貴電位側に掃引する際、所定の第1保持電位に到達した時点で電位を保持する。さらに、この第1保持電位から卑電位側に掃引を行う。このときに電極触媒の還元反応に寄与した電荷量Q1を求める。次に、卑電位側から貴電位側に掃引するときに前記第1保持電位に到達した時点で電位を保持し、さらに、この第1保持電位から卑電位側に掃引を行う際、所定の第2保持電位に到達した時点で電位を保持する。このときに電極触媒の還元反応に寄与した電荷量Q2を求める。Q1からQ2を差し引いた差分S(金属ストレス)と、電極触媒の電気化学活性表面積から、電気化学活性表面積の低下速度を推定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、燃料電池のアノード電極又はカソード電極に含まれる電極触媒の活性表面積を評価する電極触媒評価方法に関する。
燃料電池のアノード電極又はカソード電極は、PtやPd、Ru等の貴金属がカーボン担体に担持された電極触媒を含む電極触媒層を具備する。以下、アノード電極の電極触媒層を第1電極触媒層、カソード電極の電極触媒層を第2電極触媒層と表記すると、第1電極触媒層では、水素ガスがプロトンに電離するとともに電子が生じる電極反応が起こる。一方、第2電極触媒層では、固体高分子電解質膜を通過したプロトンと、外部回路を経由して到達した電子と、カソード電極に供給された酸化剤ガス中の酸素とが結合して水が発生する電極反応が生起される。
上記した電極反応はいずれも、電極触媒によって促進される。すなわち、反応場は電極触媒の表面であり、電極触媒の活性表面積が小さくなると電極反応が良好に起こることが困難となる。
このような理由から、電極触媒の電気化学活性表面積(ECSA)を用いて該電極触媒の劣化の有無を判断することが行われている。ここで、ECSAは、例えば、特許文献1〜3等に記載されるように、燃料電池の単位セルを構成してサイクリックボルタンメトリーを行い、卑電位側から貴電位側に掃引する際の電極触媒からの水素の脱離ないし吸着に伴う電荷量、いわゆるQ値(「QH値」とも表現される)に基づいて求めることができる。また、特許文献4には、貴電位側から卑電位側に掃引する際の電極触媒の酸化皮膜の還元に伴う電荷量に基づいて活性表面積を求めることが提案されている。
特開2010−186704号公報 特開2003−109615号公報 特開2008−171727号公報 国際公開第2008/108451号
特許文献1には、電極触媒の劣化を促進させるための一工程として電位走査を行うことが記載されているのみである。また、特許文献2、3には、特定の条件下で作製された電極触媒のECSAを求める際にサイクリックボルタンメトリーを行うことが記載されてはいるものの、燃料電池の運転−運転停止のサイクルに伴ってECSAが如何なる程度低下していくかについては説明されていない。さらに、特許文献4記載の評価は、燃料電池スタックを車両に搭載して走行しながらサイクリックボルタンメトリーの測定を行って電極触媒の劣化の有無を判定するものであり、劣化を予測するものではない。
以上のように、燃料電池の運転を実際に行うことなく電極触媒のECSAが如何なる程度で低下していくかについての評価が確立しているとは言い難い。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、燃料電池を運転する前に、電極触媒の活性表面積の低下速度が如何なる程度であるかの評価を容易に行うことが可能な電極触媒評価方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、燃料電池の一方の電極に燃料ガスを供給し且つ他方の電極に不活性ガスを供給しながら得たサイクリックボルタモグラムに基づいて、前記他方の電極における電極触媒の触媒活性表面積の低下速度を評価する電極触媒評価方法であって、
卑電位側から貴電位側に、電極触媒の酸化反応が起こる第1保持電位まで掃引した後に該第1保持電位に所定の保持時間の間保持し、さらに、該第1保持電位から卑電位側に掃引して第1のサイクリックボルタモグラムを得て、該第1のサイクリックボルタモグラムにおける電極触媒の還元反応の際の電荷量Q1を求める第1の工程と、
卑電位側から貴電位側に前記第1保持電位まで掃引した後に該第1保持電位に前記保持時間の間保持し、さらに、該第1保持電位から卑電位側に、電極触媒の還元反応が起こる第2保持電位まで掃引し、該第2保持電位に所定の保持時間の間保持した後、該第2保持電位からさらに卑電位側に掃引して第2のサイクリックボルタモグラムを得て、前記第2のサイクリックボルタモグラムにおける電極触媒の還元反応の際の電荷量Q2を求める第2の工程と、
前記電荷量Q1から前記電荷量Q2を差し引いた差分Sを求める第3の工程と、
を有し、
前記差分Sに基づいて、前記他方の電極における電極触媒の触媒活性表面積の低下速度を推定することを特徴とする。
なお、第1保持電位に保持する所定の保持時間は、例えば、電極触媒の表面で酸化反応が進行する程度の時間とする。また、第2保持電位に保持する所定の保持時間は、例えば、電極触媒の表面で還元反応が進行する程度の時間とする。
前記差分Sを「金属ストレス」と定義すると、上記の工程を経ることにより、金属ストレスと触媒活性表面積の低下速度との間の直線的相関関係が得られる。従って、電極触媒に印加される電位の上限値と下限値、電位の変化速度、電位の保持時間、温度・湿度等が変化しても、金属ストレスを求めることにより、直線的相関関係に基づいて触媒活性表面積の低下速度を推定することが可能となる。
このように、金属ストレスと触媒活性表面積の低下速度との間の直線的相関関係を得ることにより、燃料電池の運転を実際に行うことなく、該直線的相関関係に基づいて、電極触媒の触媒活性表面積の低下速度について評価を容易に行うことができる。
なお、第1保持電位及び第2保持電位はいずれも、電極触媒の種類に応じて設定すればよい。すなわち、上記の通り、第1保持電位は電極触媒の酸化反応が進行する電位であり、一方、第2保持電位は電極触媒の還元反応が進行する電位である。
また、触媒活性表面積は、例えば、電極触媒の酸化反応進行時のサイクリックボルタモグラムのQ値に基づいて導出することができる。
電極触媒の好適な例としては、Pt(白金)系貴金属が挙げられる。すなわち、PtやPt合金等である。この場合、第1保持電位を0.8V〜1.2Vの範囲内の所定電位に設定するとともに、第2保持電位を1.0V〜0.6Vの範囲内の所定電位に設定すればよい。
本発明によれば、金属ストレスと触媒活性表面積の低下速度との間の直線的相関関係を先ず求めるようにしている。この直線的相関関係に基づいて、電極触媒の触媒活性表面積の低下速度を推定することができる。燃料電池の評価を行う際には、一般的に、湿度や温度、保持電位等の諸条件を変更して運転する必要があるが、本発明によれば、このような数多くの運転を行うことなく、電極触媒の劣化の程度を評価することが容易となる。
本発明の実施の形態に係る電極触媒評価方法を実施するための評価装置を固体高分子形燃料電池の単位セルに取り付けた状態を模式的に示した要部概略縦断面図である。 第1の工程における前記単位セルに対する掃引電位のプロファイルである。 図2のプロファイルに基づいて得られたサイクリックボルタモグラム(第1のサイクリックボルタモグラム)である。 第2の工程における前記単位セルに対する掃引電位のプロファイルである。 図4のプロファイルに基づいて得られたサイクリックボルタモグラム(第2のサイクリックボルタモグラム)である。 金属ストレスと、電極触媒の触媒活性表面積(電気化学活性表面積)の低下速度との相関関係を示す両対数グラフである。
以下、本発明に係る電極触媒評価方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
はじめに、図1を参照し、本実施の形態に係る電極触媒評価方法を実施するための評価装置10の構成につき説明する。この評価装置10は、固体高分子形燃料電池(以下、単に燃料電池とも表記する)の単位セル12に対して電気的に接続されたポテンショスタット14と、該ポテンショスタット14を制御するポテンシャルスイーパ16を有する。
単位セル12につき説明すると、該単位セル12は、電解質膜・電極接合体18と、この電解質膜・電極接合体18を挟持する第1及び第2セパレータ20、22とを備える。
電解質膜・電極接合体18は、電解質膜24がアノード電極26とカソード電極28の間に介装されることで構成される。この中の電解質膜24は、プロトン伝導性を備えるポリマーからなる固体高分子膜で形成される。なお、この種のポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸系フッ素樹脂等が例示される。
アノード電極26は、電解質膜24の一端面に設けられる。該アノード電極26は、水素等の燃料ガスが供給される第1ガス拡散層30と、電解質膜24に臨む第1電極触媒層32とを有する。
一方、電解質膜24の他端面には、前記カソード電極28が設けられる。カソード電極28は、アノード電極26と同様に、空気や酸素等の酸化剤ガスが供給される第2ガス拡散層34と、電解質膜24に臨む第2電極触媒層36とを有する。
本実施の形態において、第1電極触媒層32及び第2電極触媒層36は、電極触媒としての白金(Pt)を含む薄膜からなる。白金は、単独であってもよいし、カーボンブラック等の担体に担持されていてもよい。
第1セパレータ20及び第2セパレータ22は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板等の金属板からなる。また、これらの金属板の表面に防食用の表面処理が施されたものやカーボン板が用いられる場合もある。
第1セパレータ20における第1ガス拡散層30に臨む端面には、燃料ガス流路38が形成され、一方、第2セパレータ22における第2ガス拡散層34に臨む端面には、酸化剤ガス流路40が形成される。
なお、複数個の単位セル12を積層してスタックを構成するようにしてもよい。
評価装置10を構成する前記ポテンショスタット14は、制御線42、44を介して単位セル12に電気的に接続される。ここで、制御線42、44は、第1セパレータ20及び第2セパレータ22に個別に隣接する集電板(図示せず)に接続されるが、電気的に等価であることから、図1では、第1セパレータ20、第2セパレータ22の各々に制御線42、44を接続した状態を模式的に示している。
ポテンショスタット14には、さらに、制御線46を介してポテンシャルスイーパ16が電気的に接続される。ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16により、電位の掃引を繰り返し行うことができる。
ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16の構成、及び上記した電位の掃引は、サイクリックボルタンメトリーにおいて周知であるので、その詳細な説明は省略する。
次に、本実施の形態に係る電極触媒評価方法について説明する。
電極触媒であるPtの評価は、サイクリックボルタモグラムに基づいて行われる。このため、先ず、組み立てられた単位セル12を、評価装置10に電気的に接続する。
そして、アノード電極26に加湿した燃料ガスを供給するとともに、カソード電極28に加湿した不活性ガスを供給する。勿論、燃料ガス及び不活性ガスは、それぞれ、第1セパレータ20の燃料ガス流路38、第2セパレータ22の酸化剤ガス流路40を流通する。燃料ガス及び不活性ガスの温度や湿度、圧力、流通速度等は、スタックを実運転(発電)する際の諸条件に準じて設定することが好ましい。なお、燃料ガス、不活性ガスのそれぞれの好適な例としては、水素、窒素が挙げられる。
この状態で、ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16の制御作用下に、単位セル12に対して電位を掃引する。この際には、アノード電極26を基準とし、アノード電極26とカソード電極28との電位差を掃引電位とする。
次に、ポテンシャルスイーパ16の制御作用下に、掃引電位を上昇及び下降させてサイクリックボルタモグラムを得る第1の工程を行う。掃引電位のプロファイルを、図2に示す。
図2から諒解されるように、電極触媒がPtである本実施の形態においては、掃引電位を0.05〜1.0Vの範囲内とし、且つ卑電位側から貴電位側に掃引して1.0Vに到達した後、該1.0Vで所定時間保持するようにしている。すなわち、第1保持電位を1.0Vに設定している。この掃引を行って得られたサイクリックボルタモグラムを、図3に示す。
上記の電位保持により、下記の反応式(A)に従って、電極触媒であるPtの酸化が進行する。
Pt+H2O→PtO+2H++2e- …(A)
ここで、反応式(A)中のe-は電子を表す。なお、第1保持電位の保持時間は、この酸化反応が進行する程度の時間であり、例えば、5秒程度である。
図3の2箇所のハッチング中、電流値が正である上方にハッチングを付した部分の面積に基づき、反応式(A)に示される酸化反応に関与した電荷量を求めることができる。当該電荷量をQHと表すとすると、このとき、電極触媒であるPtの電気化学活性表面積、Electro Chemical Surface Area(ECSA0)は、下記の式(B)によって算出される。
ECSA0[m2/g−Pt]
=QH[C]/(210[μC/cm2]×Pt量[g]) …(B)
卑電位側から貴電位側に電位の掃引を行う際に電位が1.0V(第1保持電位)に到達したときに保持を行い、貴電位側から卑電位側に電位の掃引を行う際の途中の電位では保持を行わない第1の工程においては、以上のようにしてECSA0が求められる。
一方、貴電位側から卑電位側に掃引する際、0.8V近傍において、下記の反応式(C)に従い、PtOの還元が進行する。
PtO+2H++2e-→Pt+H2O …(C)
図3の2箇所のハッチング中、電流値が負である下方にハッチングを付した部分の面積に基づき、反応式(B)に示される還元反応に関与した電荷量Q1を求めることができる。
なお、このサイクルを数回繰り返し、波形が安定した後のサイクリックボルタモグラムからECSA0及びQ1を求めるようにしてもよい。
このようにしてECSA0及びQ1を求めた後、次に、第2の工程を行う。すなわち、図4に示すように、卑電位側から貴電位側に電位の掃引を行う際には所定の第1の第1保持電位で電位保持を行い、且つ、貴電位側から卑電位側に電位の掃引を行う際にも、所定の第2保持電位で電位保持を行う。なお、第2の工程における第1保持電位は、第1の工程での第1保持電位と等しい電位とする。すなわち、本実施の形態では1.0Vである。また、第2保持電位は、例えば、0.8Vに設定することができる。この場合、1.0Vから卑電位側に掃引する途中、0.8Vに到達した際に電位保持を行えばよい。
卑電位側から掃引して1.0V(第1保持電位)に到達したときの保持時間は、ECSA0及びQ1を求めた際の保持時間と同一である。一方、1.0Vから卑電位側に掃引して0.8V(第2保持電位)に到達したときの保持時間、換言すれば、第2保持電位の保持時間は、上記の反応式(C)に示される還元反応が進行する程度の時間であり、例えば、5秒程度である。すなわち、第2保持電位の保持時間は、前記2つの保持時間(図2中の第1保持電位と、図4中の第1保持電位)と同一とすることができる。ただし、第2保持電位の保持時間が前記2つの保持時間と相違していてもよい。
この電位掃引を行うことで得られたサイクリックボルタモグラムを、図5に示す。上記したように、0.8V近傍においてはPtOの還元反応が進行する。第2工程では0.8Vで保持を行うようにしているので、0.8Vから0.4Vにかけて出現しているピークは、0.8Vでの保持によってもなお還元されずに残留したPtOの還元反応に由来するものである。
上記と同様に、図5中のハッチングが付された部分の面積に基づき、反応式(C)に示される還元反応に関与した電荷量Q2を求めることができる。第3の工程では、この電荷量Q2を、前記電荷量Q1から差し引いた差分Sを求める。すなわち、差分Sは、下記の式(D)により求められる。
S[C]=Q1−Q2 …(D)
以降、この差分Sを「金属ストレス」と定義する。結局、以上の第1〜第3の工程を経ることにより、所定のECSA0における金属ストレスが求まる。金属ストレスは、触媒金属が酸化された電荷量から、触媒金属が還元されず酸化されたままで有している電荷量を差し引いた量と換言することができる。
以上の第1〜第3の工程を、カソード電極28の第2電極触媒層36の触媒活性表面積が相違する単位セル12についても行い、各々について金属ストレスを求める。なお、電気化学活性表面積を相違させるには、例えば、0.8Vから貴電位側に電位掃引して1.0Vに到達したときに所定の時間電位保持し、その後、1.0Vから貴電位側に電位掃引して0.8Vに到達したときに所定の時間電位保持するサイクルを複数回、例えば、数回〜数万回行えばよい。この場合、サイクルの繰り返し数や、電位保持時間を相違させることによって、電気化学活性表面積を種々相違させることができる。
そして、サイクルを終了した単位セル12につき、上記と同様にしてQH、Q1及びQ2を求めることにより、該単位セル12におけるECSA及び金属ストレスが得られる。
その一方で、金属ストレスを変化させる。このために、例えば、卑電位から電位を掃引して1.0Vに到達した際の第1保持時間と、1.0Vから卑電位側に掃引する最中に0.8Vに到達した際の第2保持時間を種々変更する。第1保持時間及び第2保持時間の各々は、例えば、10秒〜100秒の間の任意の時間とすることができる。
この際にも、第1工程及び第2工程のそれぞれでサイクリックボルタモグラムが取得される。そして、式(D)を用い、差分S(金属ストレス)を算出する。
以上のようにして、様々な値の金属ストレスに対する電気化学活性表面積の変化の度合い(変化速度)が求まる。金属ストレスを横軸、電気化学活性表面積の低下速度を縦軸とした両対数グラフを図6に示す。
この図6から、金属ストレスと電気化学活性表面積との間に直線的相関関係が存在することが分かる。すなわち、金属ストレスが大きくなるほど電気化学活性表面積の低下速度が大きくなる。換言すれば、図6の両対数グラフを得た単位セル12に準拠して第1の工程〜第3の工程を行って金属ストレスを求めれば、図6から、低下速度を推定することが可能となる。
従って、例えば、第1電極触媒層32及び第2電極触媒層36(図1参照)を形成した際の塗工条件と相違する条件下で形成された第1電極触媒層及び第2電極触媒層を有する単位セルについても、如何なる程度で電気化学活性表面積が低下するかを予測することができる。このことは、燃料電池を車体に搭載した後や、定置位置に設置した後等に実際に運転することなく単位セル(ひいては燃料電池スタック)の性能低下を見積もることができることを意味する。結局、本実施の形態によれば、燃料電池の評価が可能となる。
同様にして、アノード電極26の第1電極触媒層32の状態を調べることもできる。この場合、アノード電極26に不活性ガス(N2等)、カソード電極28に燃料ガス(H2等)を供給し、ポテンショスタット14によって上記とは極性を逆にして電位掃引を行えばよい。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、第1保持電位及び第2保持電位を適宜変更してもよい。さらに、第1保持電位ないし第2保持電位や保持時間を変更することに代え、燃料ガスないし不活性ガスの温度、湿度、圧力等を適宜変更してサイクリックボルタモグラムを得るようにすることもできる。
また、電極触媒の評価を行い得る燃料電池は、固体高分子形燃料電池に特に限定されるものではなく、例えば、リン酸型燃料電池や直接メタノール型燃料電池の電極触媒の電気化学活性表面積の低下速度を評価することも可能である。さらに、電極触媒も、Pt以外の金属であってもよい。
そして、燃料電池を構成する際には、ガス拡散層と電極触媒層との間に、撥水性と親水性を調節するための多孔質層からなる中間層を介在させるようにしてもよい。
また、本発明に係る評価方法を、燃料電池スタック中の積層位置が相違する単位セルについて実施することにより、各単位セルの劣化度合いの相違を推定することもできる。さらに、第1電極触媒層(又は第2電極触媒層)の発電面内における様々な部位について上記の評価を行えば、発電面内での劣化分布を得ることもできる。
嵩密度が0.31g/m2、厚みが190μmであるカーボンペーパーに対し、三井・デュポンフロロケミカル社製のFEP120−JRB Dispersion(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の分散液の商品名)を浸透させ、120℃で30分間乾燥することでガス拡散層を得た。なお、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の浸透量は、乾燥後の重量が2.4重量%となるように設定した。
12gのバルカンXC72R(キャボット社製のブラックカーボン粒子の商品名)と、20gのFEP120−JRBと、155gのエチレングリコールとをボールミルにて撹拌混合した。これにより、アノード電極側の第1中間層用ペーストを形成した。
前記第1中間層用ペーストをスクリーン印刷にて前記ガス拡散層上に塗布し、380℃で30分間加熱することによって乾燥させ、ガス拡散層と第1中間層との積層物である第1積層体を得た。なお、第1中間層用ペーストは、乾燥後の単位面積当たりの重量が1.2mg/cm2となる量で塗布した。
その一方で、昭和電工社製の気相成長カーボンであるVGCFを12g、FEP120−JRBを20g秤量し、これらを200gのエチレングリコールに添加した後、ボールミルで撹拌混合することでカソード電極側の第2中間層用ペーストを形成した。
前記第2中間層用ペーストをスクリーン印刷にて前記ガス拡散層上に塗布し、380℃で30分間加熱することによって乾燥させ、ガス拡散層と第2中間層との積層物としての第2積層体を得た。第2中間層用ペーストは、上記と同様に乾燥後の単位面積当たりの重量が1.2mg/cm2となる量で塗布した。
また、田中貴金属工業社製の白金担持カーボンであるTEC10EA50E−HTと、デュポン社製のプロトン伝導性ポリマー溶液であるD2020CSとを重量比で1:1となるように秤量した後、ボールミルで撹拌混合してアノード側の第1触媒ペーストを調製した。
この第1触媒ペーストを、白金が0.1mg/cm2となるような条件でポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上にスクリーン印刷を行った。その後、120℃で60分間の熱処理を行うことにより、アノード側の第1電極触媒シートを得た。
その一方で、TEC10EA50E−HTとD2020CSとを重量比で1:1.5となるように秤量したことを除いては上記と同様にして、カソード側の第2触媒ペーストを調製した。
次に、第2触媒ペーストを、白金が0.35mg/cm2となるような条件でPTFEシート上にスクリーン印刷を行った。その後、120℃で5分間の熱処理を行うことにより、カソード側の第2電極触媒シートを得た。
次に、前記第1電極触媒シート及び前記第2電極触媒シートを、デュポン社製のNR211(プロトン電導性の固体高分子電解質膜)の各端面に圧着しながら加熱し、所定時間が経過した後、前記PTFEシートを剥離させた。これにより、両端面に第1電極触媒層、第2電極触媒層が転写された固体高分子電解質膜を得た。
さらに、前記第1積層体及び前記第2積層体を、前記第1中間層が前記第1電極触媒層に対向し、且つ前記第2中間層が前記第2電極触媒層に対向するようにして固体高分子電解質膜に重畳し、140℃において30kgf/cm2の面圧で熱圧着を行った。以上により、電解質膜・電極接合体を作製した。
次に、この電解質膜・電極接合体を、金属メッキが施され且つ流路部が貫通形成された1組のセパレータで挟持し、さらに、各セパレータの外方に、該セパレータよりも表面積が若干大きなアクリル板で挟むことで単位セルを構成した。
この単位セルを、ポテンショスタットを介してポテンシャルスイーパに電気的に接続した。さらに、70℃、相対湿度73%のH2を130kPaでアノード電極に供給するとともに、70℃、相対湿度73%のN2を100kPaでカソード電極に供給した。その後、第1保持電位を0.8V、0.9V、1.0Vのいずれか、第1保持時間を1〜1000秒の間の所定の時間、第2保持電位を0.6V、0.7V、0.8Vのいずれか、第2保持時間を1〜1000秒の間の所定の時間としてサイクリックボルタンメトリーを行い、金属ストレスを求めた。
この算出を、電気化学活性表面積が種々相違する第2電極触媒層を有する単位セルについても行った。その結果として得られた、金属ストレスと、電気化学活性表面積の低下速度との関係を表1に示す。なお、図6は、表1に示される値をプロットしたものである。
Figure 2016131099
表1及び図6から、金属ストレスと、電気化学活性表面積の低下速度との間に直線的相関関係があることが分かる。従って、任意の燃料電池スタックにつき金属ストレスを求めれば、この図6から、電気化学活性表面積が如何なる程度で低下するかを推測することができる。
10…評価装置 12…固体高分子形燃料電池(単位セル)
14…ポテンショスタット 16…ポテンシャルスイーパ
18…電解質膜・電極接合体 20、22…セパレータ
24…電解質膜 26…アノード電極
28…カソード電極 30、34…ガス拡散層
32、36…電極触媒層 38…燃料ガス流路
40…酸化剤ガス流路

Claims (3)

  1. 燃料電池の一方の電極に燃料ガスを供給し且つ他方の電極に不活性ガスを供給しながら得たサイクリックボルタモグラムに基づいて、前記他方の電極における電極触媒の触媒活性表面積の低下速度を評価する電極触媒評価方法であって、
    卑電位側から貴電位側に、電極触媒の酸化反応が起こる第1保持電位まで掃引した後に該第1保持電位に所定の保持時間の間保持し、さらに、該第1保持電位から卑電位側に掃引して第1のサイクリックボルタモグラムを得て、該第1のサイクリックボルタモグラムにおける電極触媒の還元反応の際の電荷量Q1を求める第1の工程と、
    卑電位側から貴電位側に前記第1保持電位まで掃引した後に該第1保持電位に前記保持時間の間保持し、さらに、該第1保持電位から卑電位側に、電極触媒の還元反応が起こる第2保持電位まで掃引し、該第2保持電位に所定の保持時間の間保持した後、該第2保持電位からさらに卑電位側に掃引して第2のサイクリックボルタモグラムを得て、前記第2のサイクリックボルタモグラムにおける電極触媒の還元反応の際の電荷量Q2を求める第2の工程と、
    前記電荷量Q1から前記電荷量Q2を差し引いた差分Sを求める第3の工程と、
    を有し、
    前記差分Sに基づいて、前記他方の電極における電極触媒の触媒活性表面積の低下速度を推定することを特徴とする電極触媒評価方法。
  2. 請求項1記載の電極触媒評価方法において、前記触媒活性表面積を、前記電極触媒の酸化反応進行時のサイクリックボルタモグラムのQ値に基づいて導出することを特徴とする電極触媒評価方法。
  3. 請求項1又は2記載の電極触媒評価方法において、前記電極触媒としてPt系貴金属を使用することを特徴とする電極触媒評価方法。
JP2015004952A 2015-01-14 2015-01-14 電極触媒評価方法 Active JP6454156B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015004952A JP6454156B2 (ja) 2015-01-14 2015-01-14 電極触媒評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015004952A JP6454156B2 (ja) 2015-01-14 2015-01-14 電極触媒評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016131099A true JP2016131099A (ja) 2016-07-21
JP6454156B2 JP6454156B2 (ja) 2019-01-16

Family

ID=56416006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015004952A Active JP6454156B2 (ja) 2015-01-14 2015-01-14 電極触媒評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6454156B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008218097A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 Toyota Motor Corp 燃料電池システム
JP2012104355A (ja) * 2010-11-10 2012-05-31 Toyota Motor Corp 燃料電池システムおよびその制御方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008218097A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 Toyota Motor Corp 燃料電池システム
JP2012104355A (ja) * 2010-11-10 2012-05-31 Toyota Motor Corp 燃料電池システムおよびその制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6454156B2 (ja) 2019-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10547075B2 (en) Electrode catalyst layer for fuel cell
JP2006054165A (ja) 固体高分子型燃料電池及び固体高分子型燃料電池の製造方法
US8951693B2 (en) Membrane electrode assembly and fuel cell
JP4133654B2 (ja) 固体高分子形燃料電池
JP2012133917A (ja) カソード側触媒層、膜電極接合体、固体高分子型燃料電池及びその製造方法
US10873097B2 (en) Electrode for fuel cell, membrane electrode complex body for fuel cell, and fuel cell
JP2006318707A (ja) 固体高分子型燃料電池の電極構造体
US11444287B2 (en) Catalyst complex for fuel cells and a method for manufacturing an electrode including the same
JP2007018858A (ja) 燃料電池システム
JP5755833B2 (ja) 燃料電池用アノード触媒層
JP2004186049A (ja) 固体高分子型燃料電池用電極構造体およびその製造方法
JP2004158387A (ja) 固体高分子型燃料電池用の電極構造体
JP6454156B2 (ja) 電極触媒評価方法
JP5805924B2 (ja) 電解質膜−電極接合体
JP2016095972A (ja) 膜電極接合体および燃料電池
JP4162469B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電極構造体
Moreno-Jiménez et al. Influence of MEA catalytic layer location and air supply on open-cathode direct ethanol fuel cell performance
JP6430835B2 (ja) 電極触媒評価方法
KR20210124780A (ko) 연료전지용 고분자 전해질막 및 이를 제조하는 방법
JP5733182B2 (ja) 膜電極接合体の製造方法
JP4179847B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電極構造体
JP2010073419A (ja) 燃料電池用電解質膜電極接合体
Gasteiger et al. Kinetics and kinetically limited performance in PEMFCS and DMFCS with state-of-the-art catalysts
CN101512802A (zh) 燃料电池
JP6900893B2 (ja) 燃料電池用電極の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180925

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6454156

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150