JP6430835B2 - 電極触媒評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池のアノード電極又はカソード電極に含まれる電極触媒の状態を評価する電極触媒評価方法に関する。
燃料電池のアノード電極又はカソード電極は、PtやPd、Ru等の貴金属がカーボン担体に担持された電極触媒を含む電極触媒層を具備する。以下、アノード電極の電極触媒層を第1電極触媒層、カソード電極の電極触媒層を第2電極触媒層と表記すると、第1電極触媒層では、水素ガスがプロトンに電離するとともに電子が生じる電極反応が起こる。一方、第2電極触媒層では、固体高分子電解質膜を通過したプロトンと、外部回路を経由して到達した電子と、カソード電極に供給された酸化剤ガス中の酸素とが結合して水が発生する電極反応が生起される。
上記した電極反応の反応場はいずれも、電極触媒の表面である。従って、電極触媒が電極触媒層から溶出するか、又は、電極触媒の表面が不純物で覆われることで被毒して活性表面積が小さくなる等の現象が起こると、このことに起因して良好な電極反応が進行することが困難となる。なお、被毒の原因となる不純物としては、電解質膜から溶出する硫黄化合物等が考えられる。
電極触媒の活性表面積は、電極触媒の粒径が大きくなるほど小さくなる。すなわち、長期間にわたって電極反応が進行すると、電極触媒の粒子同士が凝集すること等に伴い、電極触媒の実表面積が小さくなる。
特許文献1においては、電極触媒(Pt)に対してX線回折を行うことで測定した結晶子サイズと、サイクリックボルタモグラムを行うことで求めたPtの有効表面積の推移とが示されている。また、特許文献2には、サイクリックボルタモグラムにおける電極触媒に水素のピーク面積に基づき、電極触媒の電気化学活性表面積を求める手法が開示されている。
特開2008−171727号公報 特開2003−109615号公報
上記のようにして電極触媒の結晶子サイズないし電気化学活性表面積を求めることにより、電極触媒の活性表面積が小さくなった(電極触媒が被毒された)ことや、そのことに起因して電極反応が良好に進行することが困難となったと判断することが可能であるとも考えられる。しかしながら、この評価を行うのみでは、被毒によって良好な電極反応が進行することが困難となったのか、それとも、電極触媒が電極触媒層から溶出したために良好な電極反応が進行することが困難となったのか、あるいは、凝集によって良好な電極反応が進行することが困難となったのかを判別することはできない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、燃料電池の電極触媒の劣化が被毒によるものであるのか、それとも、電極触媒が電極触媒層から溶出したことによるものであるのか、あるいは、電極触媒の凝集によるものなのかを判断することが容易な電極触媒評価方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、燃料電池の一方の電極に燃料ガスを供給し且つ他方の電極に不活性ガスを供給しながら得たサイクリックボルタモグラムに基づいて、前記他方の電極の電極触媒の状態を評価する電極触媒評価方法であって、
電極触媒からのプロトンの脱離に関与した電荷量に基づいて電極触媒の粒径D0を求める第1の工程と、
貴電位側から卑電位側に掃引するとき、電極触媒に対してプロトンが吸着する際に貴電位側に出現する第1のピークI1と卑電位側に出現する第2のピークI2との比I1/I2とに基づいて電極触媒の粒径D1を求める第2の工程と、
前記第1の工程で求められた粒径D0と、前記第2の工程で求められた粒径D1との相関関係を求める第3の工程と、
前記相関関係に基づいて電極触媒の状態を評価する第4の工程と、
を有することを特徴とする。
なお、第2の工程〜第4の工程は同時に実行することが可能であるが、個別に実行することも可能である。
この場合、第1の工程で求めた粒径D0と、第2の工程で求めた粒径D1との間には、線形の比例関係があることが認められる。従って、粒径D0と粒径D1が、第3の工程で求めた線形の比例関係を有する相関関係を満足する場合には、電極触媒が被毒されておらず、また、溶出も起きていない、と判断することができる。
これに対し、第2の工程で求めた粒径D1が、第3の工程で求めた粒径D0と粒径D1との線形の比例関係を満足しない場合には、電極触媒が被毒されているか、又は、溶出が起こった、と判断することができる。すなわち、粒径D0に対する粒径D1のプロットが比例直線の上方に外れるときには電極触媒が被毒されたと判断され、一方、比例直線の下方に外れるときには電極触媒が溶出したと判断される。
以上のように、所定の相関関係を予め求めるとともに、評価する燃料電池のサイクリックボルタモグラムから求めた粒径D0及び粒径D1がその所定の相関関係を満足しているか否かに基づき、電極触媒が被毒されているか否か、又は、溶出したか否かを簡易な方法で容易に判別することができる。
しかも、この判断(評価)は非破壊検査である。従って、電極触媒が被毒されていると判断されたときには、例えば、洗浄による再活性化を行うことによって燃料電池の性能を回復することができる。
電極触媒の好適な例としては、白金(Pt)系貴金属が挙げられる。すなわち、PtやPt合金等である。この場合、0.2V〜0.3Vの間に出現したピークを第1のピークI1とし、且つ0.12V〜0.2Vの間に出現したピークを第2のピークI2とすればよい。
Ptの場合、典型的には、第1のピークI1は0.25V付近に出現し、第2のピークI2は0.13V付近に出現する。
なお、燃料電池に対してサイクリックボルタンメトリーを行って粒径D0と粒径D1とが相関関係を満足しているか否かを調べ、これに基づいて電極触媒を評価するようにしてもよいが、粒径D0と粒径D1との相関関係を予め求め、第4の工程では、粒径D1が前記相関関係を満足するか否かを判断するようにしてもよい。
本発明によれば、評価する燃料電池のサイクリックボルタモグラムから求めた粒径D0及び粒径D1が、予め求めた所定の相関関係を満足しているか否かを調べるようにしている。この結果に基づき、電極触媒が被毒されているか否か、又は、溶出したか否か、それとも、凝集しているか否かを容易に、しかも、非破壊検査によって判断することができる。
本発明の実施の形態に係る電極触媒評価方法を実施するための評価装置を固体高分子形燃料電池の単位セルに取り付けた状態を模式的に示した要部概略縦断面図である。 図1の評価装置によって得られたサイクリックボルタモグラムである。 図2中のピークI1、I2の比I1/I2と、X線回折測定によって求められた電極触媒の粒径D1との相関関係を示すグラフである。 図2中のハッチングを示した部分の電荷量から求められた電極触媒の粒径D0と、I1/I2に基づいて求められた前記粒径D1との、正常な状態での比例直線(相関関係)を示すとともに、電極触媒に被毒が生じて比例直線から上方に外れたときを示すグラフである。 前記比例直線(相関関係)を示すとともに、電極触媒に溶出が起こって比例直線から下方に外れたときを示すグラフである。
以下、本発明に係る電極触媒評価方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
はじめに、図1を参照し、本実施の形態に係る電極触媒評価方法を実施するための評価装置10の構成につき説明する。この評価装置10は、固体高分子形燃料電池(以下、単に燃料電池とも表記する)の単位セル12に対して電気的に接続されたポテンショスタット14と、該ポテンショスタット14を制御するポテンシャルスイーパ16を有する。
単位セル12につき説明すると、該単位セル12は、電解質膜・電極接合体18と、この電解質膜・電極接合体18を挟持する第1及び第2セパレータ20、22とを備える。
電解質膜・電極接合体18は、電解質膜24がアノード電極26とカソード電極28の間に介装されることで構成される。この中の電解質膜24は、プロトン伝導性を備えるポリマーからなる固体高分子膜で形成される。なお、この種のポリマーとしては、パーフルオロスルホン酸系フッ素樹脂等が例示される。
アノード電極26は、電解質膜24の一端面に設けられる。該アノード電極26は、導電性を有する多孔質体からなり水素等の燃料ガスが供給される第1ガス拡散層30と、電解質膜24に臨む第1電極触媒層32とを有する。
一方、電解質膜24の他端面には、前記カソード電極28が設けられる。カソード電極28は、アノード電極26と同様な材料から構成され、空気や酸素等の酸化剤ガスが供給される第2ガス拡散層34と、電解質膜24に臨む第2電極触媒層36とを有する。
本実施の形態において、第1電極触媒層32及び第2電極触媒層36は、電極触媒としての白金(Pt)を含む薄い層からなる。白金は、単独であってもよいし、カーボンブラック等の担体に担持されていてもよい。
第1セパレータ20及び第2セパレータ22は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板等の金属板からなる。また、これらの金属板の表面に防食用の表面処理が施されたものやカーボン板が用いられる場合もある。
第1セパレータ20における第1ガス拡散層30に臨む端面には、燃料ガス流路38が形成され、一方、第2セパレータ22における第2ガス拡散層34に臨む端面には、酸化剤ガス流路40が形成される。
なお、複数個の単位セル12を積層してスタックを構成するようにしてもよい。
評価装置10を構成する前記ポテンショスタット14は、制御線42、44を介して単位セル12に電気的に接続される。ここで、制御線42、44は、第1セパレータ20及び第2セパレータ22に個別に隣接する集電板(図示せず)に接続されるが、電気的に等価であることから、図1では、第1セパレータ20、第2セパレータ22の各々に制御線42、44を接続した状態を模式的に示している。
ポテンショスタット14には、さらに、制御線46を介してポテンシャルスイーパ16が電気的に接続される。ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16により、電位の掃引を繰り返し行うことができる。
ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16の構成、及び上記した電位の掃引は、サイクリックボルタンメトリーにおいて周知であるので、その詳細な説明は省略する。
次に、本実施の形態に係る電極触媒評価方法について説明する。
はじめに、平均粒径が相違する電極触媒を用いて電極触媒層を形成し、各電極触媒層を有する単位セル12(燃料電池)を作製する。そして、各単位セル12につき電位掃引を行い、電流を測定してサイクリックボルタモグラムを得る。
すなわち、組み立てられた単位セル12の中の1個を、評価装置10に電気的に接続する。そして、アノード電極26に加湿した燃料ガスを供給するとともに、カソード電極28に加湿した不活性ガスを供給する。勿論、燃料ガス及び不活性ガスは、それぞれ、第1セパレータ20の燃料ガス流路38、第2セパレータ22の酸化剤ガス流路40を流通する。燃料ガス及び不活性ガスの温度や湿度、圧力、流通速度等は、スタックを実運転(発電)する際の諸条件に準じて設定することが好ましい。なお、燃料ガス、不活性ガスのそれぞれの好適な例としては、水素、窒素が挙げられる。
この状態で、ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16の制御作用下に、単位セル12に対して電位を掃引する。この際には、アノード電極26を基準とし、アノード電極26とカソード電極28との電位差を掃引電位とする。
すなわち、ポテンシャルスイーパ16の制御作用下に、掃引電位を上昇及び下降させてサイクリックボルタモグラムを得る第1の工程を行う。図2に、電極触媒の粒径が小さい場合に電位掃引を行って得られた代表的なサイクリックボルタモグラムを実線にして示すとともに、電極触媒の粒径が大きい場合に電位掃引を行って得られたサイクリックボルタモグラムの0.1V〜0.2V近傍を、仮想線にして示す。
この電位掃引において、卑電位側から貴電位側に掃引する際、図2中のハッチングが付された部分(Q1)、すなわち、掃引電位0.05V〜0.4Vの範囲内で、下記の反応式(A)に従って電極触媒であるPtからのプロトンの離脱が進行する。
Pt・H→Pt+H++e- …(A)
ここで、反応式(A)中のe-は電子を表す。
図2中のハッチングが付された部分の面積に基づき、反応式(A)に示される酸化反応に関与した電荷量を求めることができる。さらに、この電荷量に基づき、Ptの電気化学活性表面積(Electro Chemical Surface Area)が求められる。すなわち、当該電荷量をQ1、電気化学活性表面積をECSA0と表すと、ECSA0は下記の式(B)によって算出される。
ECSA0[m2/g−Pt]
=Q1[C]/(210[μC/cm2]×Pt量[g]) …(B)
さらに、ECSA0と、第2電極触媒層36における単位面積当たりのPt量m[mg/cm2]と、第2電極触媒層36の表面積A[cm2/g]と、Ptの比重M[g/cm2]とに基づき、下記の式(C)によってPtの粒径D0を算出することができる。
D0[nm]
=(6×m×A×104)/(ECSA0×M) …(C)
また、電極触媒がPtである本実施の形態においては、貴電位側から卑電位側に掃引する際、Ptから水素が離脱する反応が起こることに伴い、0.2V〜0.3Vの間、及び0.12V〜0.2Vの間にピークがそれぞれ出現する。以下、0.2V〜0.3Vの間に出現するピークを第1のピークI1、0.12V〜0.2Vの間に出現するピークを第2のピークI2と表す。典型的には、第1のピークI1は0.25V付近に出現し、第2のピークI2は0.13V付近に出現する。
なお、Ptに対する水素の吸着反応は、下記の式(D)によって表される。
Pt+H++e-→Pt・H …(D)
図2中の0.1V〜0.2Vの範囲内における実線及び仮想線を対比して諒解されるように、第1のピークI1は、電極触媒の粒径が大きくなるにつれてピーク強度が大きくなる傾向がある。一方、第2のピークI2のピーク強度は、電極触媒の粒径に関わらず、略同等である。従って、第1のピークI1のピーク強度(絶対値)と第2のピークI2のピーク強度(絶対値)の比であるI1/I2を求めると、I1/I2は、電極触媒の粒径と比例関係にある。
なお、電位掃引のサイクルを複数回繰り返し、波形が安定した後のサイクリックボルタモグラムからI1/I2、Q1、ECSA0を求めるようにしてもよい。
次に、第2の工程で、I1/I2と電極触媒の粒径D1との関係を求める。ここで、粒径D1は、予め、例えばX線回折測定を行っておき、半価幅法等の公知の手法によって求めることができる。
図3は、I1/I2と、X線回折測定に基づいて求められた粒径D1[nm]との相関関係を示すグラフである。実際の値を黒丸(●)としてプロットするとともに、該プロットから最小自乗法によって直線L1を求めている。このグラフから、I1/I2と粒径D1との間に比例関係が成り立つことが分かる。
次に、第3の工程において、粒径D0と粒径D1との相関関係を求める。具体的には、単位セル12に電気的負荷を接続し、アノード電極26に燃料ガス、カソード電極28に酸化剤ガスを供給して発電を行い、所定の時間毎に粒径D0と粒径D1を求める。なお、粒径D0と粒径D1を求める間、単位セル12を継続して発電させるようにしてもよいし、発電と発電停止を所定回数繰り返すようにしてもよい。
この単位セル12を、上記と同様に評価装置10に対して電気的に接続する。そして、電位掃引を行い、サイクリックボルタモグラムに基づき、電荷量Q1、ESCA0、I1/I2を求め、さらに、粒径D0、粒径D1を求める。
そして、粒径D0を横軸、粒径D1を縦軸としてプロットする。この際のプロットが直線状、又は略直線状である場合には、電極触媒に凝集が生じた状態であり、Ptの被毒や流出が生じていないと評価することができる。
図4に、実際の値を黒菱形(◆)としてプロットするとともに、該プロットから最小自乗法によって求めた直線L2を表したグラフを示す。このグラフから、正常な状態では、粒径D0と粒径D1との間に比例関係が成り立つことが分かる。
次に、第4の工程において、粒径D0及び粒径D1の相関関係に基づいて電極触媒の評価を行う。すなわち、プロットが直線状、又は略直線状であるときには、電極触媒に凝集が生じた正常な状態であると判断することができる。
一方、プロットが直線状ではなく、例えば、図4中に「×」で示すように直線L2の上方に大きく外れる場合がある。このとき、電極触媒の表面は、不純物に覆われていると推察される。従って、この場合には、電極触媒(Pt)が被毒したと判断することができる。
また、プロットが、図5中に「◇」で示すように直線L2の下方に大きく外れる場合がある。このときに電解質膜・電極接合体18を分析すると、触媒成分が電解質膜24に取り込まれていたり、電極反応による生成水とともに単位セル12の外部に排出されていたりすることが確認される。従って、この場合には、電極触媒(Pt)が溶出したと判断することができる。
以上のように、粒径D0と粒径D1が所定の相関関係(比例関係)を満足するか否かに基づいて、電極触媒が凝集しているか、それとも、被毒しているか、又は溶出しているかを容易に判断することができる。
しかも、この評価は非破壊検査である。従って、Ptが被毒していると判断されたときには、Ptの再活性化(例えば、洗浄)を行えばよい。これにより第1電極触媒層32、第2電極触媒層36において再び電極反応が十分に進行するようになる。
上記の場合、粒径D0と粒径D1につき時間の経過とともに直線性(比例関係)からのズレが生じるか否かをモニタリングするようにしているが、相関関係を予め求めておくようにしてもよい。すなわち、第3の工程において粒径D0に対する粒径D1をプロットし、粒径D0と粒径D1との相関関係を求める(例えば、図4に示す直線L2参照)。その後、単位セル12を発電させて上記と同様に粒径D0と粒径D1を求め、前記相関関係と照らし合わせるようにすればよい。
勿論、この場合においても、発電させた単位セル12において求めた粒径D0と粒径D1が比例関係を満たす場合には電極触媒が凝集していると判断することができる。また、比例直線の上方に大きく外れる場合には電極触媒が被毒していると判断することができ、下方に大きく外れる場合には電極触媒が溶出したと判断することができる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、電極触媒の評価を行い得る燃料電池は、固体高分子形燃料電池に特に限定されるものではなく、例えば、電解質が酸化物イオン伝導体からなる固体酸化物形燃料電池の電極触媒の電気化学活性表面積の低下速度を評価することも可能である。また、電極触媒も、Pt以外の金属であってもよい。
そして、燃料電池を構成する際には、ガス拡散層と電極触媒層との間に、撥水性と親水性を調節するための多孔質層からなる中間層を介在させるようにしてもよい。
また、アノード電極26の第1電極触媒層32の状態を調べることもできる。この場合、アノード電極26に不活性ガス(N2等)、カソード電極28にH2を供給し、ポテンショスタット14によって上記とは極性を逆にして電位掃引を行う。さらに、上記の式(C)において、第1電極触媒層32における単位面積当たりのPt量m[mg/cm2]と、第1電極触媒層32の表面積A[cm2/g]とを代入すればよい。
嵩密度が0.31g/m2、厚みが190μmであるカーボンペーパーに対し、三井・デュポンフロロケミカル社製のFEP120−JRB Dispersion(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の分散液の商品名)を浸透させ、120℃で30分間乾燥することで第1ガス拡散層30及び第2ガス拡散層34を得た。なお、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の浸透量は、乾燥後の重量が2.4重量%となるように設定した。
12gのバルカンXC72R(キャボット社製のブラックカーボン粒子の商品名)と、20gのFEP120−JRBと、155gのエチレングリコールとをボールミルにて撹拌混合した。これにより、アノード電極側の第1中間層用ペーストを形成した。
前記第1中間層用ペーストをスクリーン印刷にて前記第1ガス拡散層30上に塗布し、380℃で30分間加熱することによって乾燥させ、第1ガス拡散層30と第1中間層との積層物である第1積層体を得た。なお、第1中間層用ペーストは、乾燥後の単位面積当たりの重量が1.2mg/cm2となる量で塗布した。
その一方で、昭和電工社製の気相成長カーボンであるVGCFを12g、FEP120−JRBを20g秤量し、これらを200gのエチレングリコールに添加した後、ボールミルで撹拌混合することでカソード電極側の第2中間層用ペーストを形成した。
前記第2中間層用ペーストをスクリーン印刷にて前記第2ガス拡散層34上に塗布し、380℃で30分間加熱することによって乾燥させ、第2ガス拡散層34と第2中間層との積層物としての第2積層体を得た。第2中間層用ペーストは、上記と同様に乾燥後の単位面積当たりの重量が1.2mg/cm2となる量で塗布した。
また、田中貴金属工業社製の白金担持カーボンであるTEC10EA50E−HTと、デュポン社製のプロトン伝導性ポリマー溶液であるD2020CSとを重量比で1:1となるように秤量した後、ボールミルで撹拌混合してアノード側の第1触媒ペーストを調製した。
この第1触媒ペーストを、白金が0.1mg/cm2となるような条件でポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上にスクリーン印刷を行った。その後、120℃で60分間の熱処理を行うことにより、アノード側の第1電極触媒シートを得た。
その一方で、TEC10EA50E−HTとD2020CSとを重量比で1:1.5となるように秤量したことを除いては上記と同様にして、カソード側の第2触媒ペーストを調製した。
次に、第2触媒ペーストを、白金が0.35mg/cm2となるような条件でPTFEシート上にスクリーン印刷を行った。その後、120℃で5分間の熱処理を行うことにより、カソード側の第2電極触媒シートを得た。
次に、前記第1電極触媒シート及び前記第2電極触媒シートを、デュポン社製のNR211(プロトン電導性の固体高分子電解質膜)の各端面に圧着しながら加熱し、所定時間が経過した後、前記PTFEシートを剥離させた。これにより、両端面に第1電極触媒層32、第2電極触媒層36が転写された固体高分子電解質膜24を得た。
さらに、前記第1積層体及び前記第2積層体を、前記第1中間層が前記第1電極触媒層32に対向し、且つ前記第2中間層が前記第2電極触媒層36に対向するようにして固体高分子電解質膜24に重畳し、140℃において30kgf/cm2の面圧で熱圧着を行った。以上により、電解質膜・電極接合体18を作製した。
次に、この電解質膜・電極接合体18を、燃料ガス流路38が形成された第1セパレータ20と、酸化剤ガス流路40が形成された第2セパレータ22で挟持した。なお、第1セパレータ20及び第2セパレータ22には、金属メッキを予め施した。さらに、各セパレータ20、22の外方を、該セパレータ20、22よりも表面積が若干大きなアクリル板で挟むことで単位セル12を構成した。
この単位セル12に対し、ポテンショスタット14と、該ポテンショスタット14を制御するポテンシャルスイーパ16とを電気的に接続し、評価装置10を構成した。
次に、第1セパレータ20に形成された燃料ガス流路38を介してアノード電極26に加湿した燃料ガスを供給するとともに、第2セパレータ22に形成された酸化剤ガス流路40を介してカソード電極28に加湿した不活性ガスを供給した。この状態で、ポテンショスタット14及びポテンシャルスイーパ16の制御作用下に、アノード電極26とカソード電極28との電位差である掃引電位を上昇及び下降させてサイクリックボルタモグラムを得た。なお、アノード電極26を基準とした。
この電位掃引において、卑電位側から貴電位側に掃引する際、図2中のハッチングが付された部分の面積、すなわち、電荷量Q1に基づき、PtのECSA0を算出した。さらに、ECSA0、第2電極触媒層36における単位面積当たりのPt量[mg/cm2]、第2電極触媒層36の表面積[cm2/g]、Ptの比重[g/cm2]から、Ptの粒径D0を算出した。
また、サイクリックボルタモグラム中、貴電位側から卑電位側に掃引する際に0.25V付近に出現した第1のピークI1と、0.13V付近に出現した第2のピークI2との比を求めた。以上の結果を表1に併せて示す。
次に、I1/I2と、X線回折によって予め測定した電極触媒の粒径D1との関係を求めた。図3は、これをプロットしてグラフ化したものである。
Figure 0006430835
次に、単位セル12に電気的負荷を接続し、アノード電極26に燃料ガス、カソード電極28に酸化剤ガスを供給して発電を行った。所定の時間が経過した後に、該単位セル12を評価装置10に対して電気的に接続してサイクリックボルタモグラムを得た。このサイクリックボルタモグラムに基づき、電荷量Q1、ESCA0、I1/I2を求め、さらに、粒径D0、粒径D1を求めた。その結果、図4及び図5に示す比例直線が得られた。
また、別の単位セル12に電気的負荷を接続し、上記と同様にして発電を行ったところ、図4に示すように、I1/I2に基づいて求めた粒径D1が比例直線の上方に外れることが認められた。この単位セル12の第2電極触媒層36について分析を行うと、電極触媒であるPtの表面が不純物で覆われていることが確認された。
このことから、I1/I2に基づいて求められる粒径D1が比例直線の上方に外れると、電極触媒が被毒していることが分かる。
さらに、前記2本とは別の単位セル12に電気的負荷を接続し、上記と同様にして発電を行ったところ、図5に示すように、粒径D1が比例直線の下方に外れることが認められた。この単位セル12の第2電極触媒層36について分析を行うと、電極触媒であるPtが溶出していることが分かった。
従って、I1/I2に基づいて求められる粒径D1が比例直線の下方に外れると、電極触媒が溶出しているといえる。
10…評価装置 12…固体高分子形燃料電池(単位セル)
14…ポテンショスタット 16…ポテンシャルスイーパ
18…電解質膜・電極接合体 20、22…セパレータ
24…電解質膜 26…アノード電極
28…カソード電極 30、34…ガス拡散層
32、36…電極触媒層 38…燃料ガス流路
40…酸化剤ガス流路

Claims (5)

  1. 燃料電池の一方の電極に燃料ガスを供給し且つ他方の電極に不活性ガスを供給しながら得たサイクリックボルタモグラムに基づいて、前記他方の電極の電極触媒の状態を評価する電極触媒評価方法であって、
    電極触媒からのプロトンの脱離に関与した電荷量に基づいて電極触媒の粒径D0を求める第1の工程と、
    貴電位側から卑電位側に掃引するとき、電極触媒に対してプロトンが吸着する際に貴電位側に出現する第1のピークI1と卑電位側に出現する第2のピークI2との比I1/I2とに基づいて電極触媒の粒径D1を求める第2の工程と、
    前記第1の工程で求められた粒径D0と、前記第2の工程で求められた粒径D1との相関関係を求める第3の工程と、
    前記相関関係に基づいて電極触媒の状態を評価する第4の工程と、
    を有することを特徴とする電極触媒評価方法。
  2. 請求項1記載の電極触媒評価方法において、前記電極触媒としてPtを使用することを特徴とする電極触媒評価方法。
  3. 請求項2記載の電極触媒評価方法において、0.2V〜0.3Vの間に出現したピークを前記第1のピークI1とし、且つ0.12V〜0.2Vの間に出現したピークを前記第2のピークI2とすることを特徴とする電極触媒評価方法。
  4. 請求項3記載の電極触媒評価方法において、0.25Vに出現したピークを前記第1のピークI1とし、且つ0.13Vに出現したピークを前記第2のピークI2とすることを特徴とする電極触媒評価方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極触媒評価方法において、前記粒径D0と前記粒径D1との相関関係を予め求め、前記第4の工程では、前記第2の工程で求められた粒径D1が前記相関関係を満足するか否かを判断することを特徴とする電極触媒評価方法。
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