(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
上皿部28の周縁壁部32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
一体皿24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
この演出部56は、上演出部52及び下演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。なお、ベニヤ板に代えて透明アクリル板等が用いられる場合もある。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図3参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
遊技盤18の遊技領域には、釘19(一部のみ指標)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、機械的に動作する可動役物装置200と、各種演出等の映像を表示する表示部106を備えている。可動役物装置200については、詳細は後述する。一方、表示部106は、LCD表示、LED表示等特に表示形態に限定されるものではない。
表示部106では、例えば、ドットパターンによって図柄を表現し、特別図柄抽選の予告や、当選を報知するといった、図柄変動パターン演出が実行される。一例としては、3列の図柄列を個別に変動させ、その内の2列の図柄列が変動を停止したときの図柄が同一図柄となった場合を「リーチ」として遊技者に期待感を持たせる演出を実行し、最終列が停止して、既に停止している2列の図柄と同一図柄となった場合は当選、異なる図柄となった場合は落選を報知する。
センター役物105の下辺部は、所謂装飾部材(図示省略)が設けられ、その前面が遊技球PBが飛び込まないように透明のプレート202が配設されている。このプレート202の前側には、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、或いは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
図2に示される如く、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口(A)130が配置されている。特別図柄始動入賞口(A)130は常時入賞可能に上部が開口している。
さらに、図2に示される如く、前記特別図柄始動入賞口(A)130のさらに下部には、遊技領域の下端部付近に位置して前記特別図柄抽選の大当たり専用のアタッカー112が配置されている。
アタッカー112には、開閉扉116が設けられている。この開閉扉116が、アタッカーソレノイド148(図3参照)の通電・非通電によって開放又は閉塞する。すなわち、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
一方、図2に示される如く、センター役物105の図2に向かって右側には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート118が配置されている。
この通過ゲート118の下方には、特別図柄始動入賞口(B)134が配置されている。特別図柄始動入賞口(B)134の上部開口は、釘19によって通常は閉塞されている。
この特別図柄始動入賞口(B)134には、電動チューリップ136が取り付けられている。電動チューリップ136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(図3参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
電動チューリップ136は、前記普通図柄抽選に当選したときに開放するようになっている。電動チューリップ136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞開口部へのパチンコ球PBの受け入れが可能となり、パチンコ球PBの入賞が可能となる。
ここで、特定の遊技状態(所謂「右打ち状態」)で通過ゲート118を遊技球PBが通過すると、普通図柄抽選が実行され、当該普通図柄抽選に当選すると、前記電動チューリップ136を開放する。前記特定の遊技状態では、電動チューリップの開放期間が長いため、特定の遊技状態以外の遊技状態に比べて、特別図柄始動入賞口(B)134に入賞する確率は増えることになる。
本実施の形態では、特定の遊技状態を「時短遊技状態」(「時短」「時短中」等と言う場合がある)とし、非時短中のベースが20であるのに対し、この時短中のベースが100となるように設定される。なお、ベースとは、発射球数に対する賞球払出数の割合であり、例えば、100球の遊技球PBが発射されて20球の賞球払出があるときをベース20といい、100球の賞球払出があるときをベース100という。
図2に示される如く、遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
さらに、センター役物105よりも下、かつ特別図柄始動入賞口(A)130の左右には、複数の一般入賞口120(本実施の形態では、図2に向かって左側に3個の一般入賞口120A、120B、120C、右側に1個の一般入賞口120Dとする。)が設けられている。なお、一般入賞口120は、4個に限られるものではなく、例えば、基本的なベースや入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
また、この遊技領域に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子137(図3参照)が多数設けられている。
また、この遊技領域に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子137(図3参照)が多数設けられている。
ここで、特別図柄始動入賞口(A)130又は特別図柄始動入賞口(B)134に遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行される。
この特別図柄抽選において「大当たり」に当選すると、前記アタッカー112の開閉扉116が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「特別遊技」「大役処理」等と言う場合がある)。
なお、前記特別図柄抽選の抽選結果である当選(「大当たり」)は、主として表示部106の図柄変動表示演出において報知され、この図柄変動表示演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果の報知を待機(保留・記憶)し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、特別図柄抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることもあり、その場合は効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
本実施の形態では、前記大役処理(特別遊技状態)が終了すると、遊技状態は通常遊技状態に戻るが、このときの特典として、特別図柄抽選の当選確率を通常確率状態よりも高めた確変(高確率状態)及び/又は前述した時短を付与する場合がある(なお、確変のみ、時短のみ、確変+時短の場合もある)。確変が付与された場合は次の当選が得られ易くなり、時短が付与された場合はベース100となるため、持ち球を維持することができる。例えば、確変と時短とが共に付与された場合は、持ち球を減らさずに、次の当選まで遊技を進行することができ、通常遊技において、遊技者にとって最も有利な状態となる。
なお、本実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口に対して最大4個(本実施の形態では、特別図柄始動入賞口(A)130及び特別図柄始動入賞口(B)134の2個の特別図柄始動入賞口なので、8個となる。)の保留(遊技球の始動入賞に対する記憶)が可能となっている。なお、この保留球数に限定されるものではない。
保留球数は、主として特別図柄表示部を備えた遊技進行ガイドランプユニット109(図2に示すセンター役物105を正面視したときの右下に配置)の一部である特別図柄記憶表示部によって報知される。
(可動役物装置200の構成)
図2に示される如く、本実施の形態におけるセンター役物105では、前記表示部106の上部に機械的に動作する可動役物装置200が設けられている。
この可動役物装置200は、主に図柄変動表示演出に適用されるものであり、例えば、特別図柄抽選の抽選結果に連動して、動作指示がなされるようになっている。
図4〜図7に示される如く、可動役物装置200は、後方面(遊技者とは反対側に向けられた面)が大きく開口された箱型のケース202を備えている。ケース202は、遊技盤18が正立している状態で、正面視で横長の長方形となっている。以下、この横長方向を左右方向、左右方向を直交する方向(遊技盤18の天地方向)を上下方向という場合がある。
前記ケース202内には、駆動系部材が取り付けられた一対のベースユニット203が収容されている。一対のベースユニット203は薄肉板状であり、それぞれ、ケース202の左右方向両端部に取り付けられている。
箱型のケース202における、遊技者に対面する側には、固定装飾部材204Hと可動装飾部材204Mが取り付けられている(以下、総称する場合「装飾部材204」という)。
装飾部材204は、合成樹脂成形品であり、搭載される遊技機10のテーマに即してデザインされた立体構造となっている。なお、立体構造は物体に限らず文字等であってもよい。
固定装飾部材204Hは、ケース202の左右方向ほぼ中央部に配置されている。また、可動装飾部材204Mは、横長形状で当該固定装飾部材204Hよりもさらに前側に配置されている。この可動装飾部材204Mにおける裏面側の左右両端部近傍には、前記ケース202に向けて一対のアーム206(一部のみ図示)が突出されている。ケース202には、前記一対のアーム206が突出された位置に対向する位置に対応して、縦方向のスリット状の一対の切欠部208が形成されている。一対のアーム206はこの切欠部208を貫通して、ケース202に収容された前記ベースユニット203まで延設されている。
ベースユニット203には、駆動系の一部を構成する駆動源としての一対のモータ210が取り付けられている。モータ210の回転軸は、ベースユニット203を貫通しており、その先端部には、それぞれ歯車210Gが取り付けられており、当該1対の歯車210Gの歯部は、それぞれ縦長板状の1対のラック212の歯部212Gに噛み合っている。ラック212は、ベースユニット203に形成された案内部(図示省略)に沿って、縦方向に摺動可能に取り付けられており、前記モータ210の駆動力を歯車210Gを介して受けて、縦方向に移動するようになっている。すなわち、一対のラック212は、それぞれ異なる駆動源である一対のモータ210の駆動力で独立して縦方向へ移動する構成となっている。
一対のラック212がそれぞれ摺動方向最上端に到達したとき、ベースユニット203におけるそれぞれのラック212の上端部に対応する位置には、一対の位置検出センサ214が取り付けられている。位置検出センサ214は、例えば二股に分かれて投光部と受光部が設けられた検出部を持つ光電センサであり、前記ラック212の上端部が二股の検出部の間にあるか否かによって、ラック212の位置を検出するようになっている。すなわち、位置検出センサ214は、ラック212の上端位置を検出することができる。
前記ラック212の下端部は、前記可動装飾部材204Mに向けて、略L字状に屈曲され、当該屈曲先端部は、可動装飾部材204Mに取り付けられたアーム206と突き当てられる突き当て面部212Aが形成されている。
一対の突き当て面部212Aにおける、一方は円孔212Bが形成され、他方は長孔212Cが形成されている。円孔212B及び長孔212Cの裏面側には、リベット215が設けられている。当該リベット215は、その頭部が円孔212B、長孔212Cの貫通が妨げられ、軸部のみが貫通され、前記可動装飾部材204Mのアーム206に固定されている。これにより、可動装飾部材204Mは、一対のラック212に連結され、支持される。
ここで、図8に示される如く、ラック212は、それぞれ異なるモータ210の駆動力で上下に摺動するため、それぞれのラック212の高さ位置が異なると、可動装飾部材204Mは傾斜することになる。この傾斜による寸法差は、前記長孔212C内をリベット215の軸部が移動することで吸収されるようになっており、ラック212は、可動装飾部材204Mが連結された状態であっても、一方が最上位置、他方が最下位置とすることが可能となっている(なお、この状態での可動装飾部材204Mの傾斜角度はθmaxとする。)。
言い換えれば、可動装飾部材204Mは、ほぼ水平位置での上下動作、右肩上がり及び左肩上がりの角度θ(0°<θ≦θmax)での傾斜動作が可能であり、動作パターンとしては、これらを組み合せることで、理論的には無限の動作パターン種を設定することができる。
動作パターンを決定する要素として、一対のモータ210の駆動開始時期、停止を含む回転速度(ラック212の移動速度)、回転方向(ラックの移動方向)が挙げられる。
本実施の形態では、必要最小限の動作パターンとして、可動装飾部材204Mをほぼ水平状態で上下動させる昇降パターン、上下方向所定位置(例えば、最下位置)での左右を小刻みに上下動させる揺動パターン、右肩上がり及び左肩上がりに傾斜パターンを設定している。
(制御系の構成)
次に、図3を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、図3に示されるように、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
主制御部150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特別図柄始動入賞口(A)130への入賞球を検出する特図A始動口センサ130S、特別図柄始動入賞口(B)134への入賞球を検出する特図B始動口センサ134S、「大当たり」の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出するアタッカーセンサ112S、一般入賞口120A、120B、120C、120Dへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BS、120CS、120DSが接続されている。
また、主制御部150には、出力系として、遊技情報や遊技状態をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、電動チューリップ136を開閉する電チューソレノイド138、アタッカー112の開閉扉116を開閉するためのアタッカーソレノイド148が接続されている。
演出制御部152には、入力系として、前記操作ボタン50、ラック212の上端位置を検出するための一対の位置検出センサ214が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137、スピーカ60(60L、60C、60R、60U)、可動装飾部材204Mを動作させるための一対のモータ210が接続されている。
さらに、演出制御部152には、図柄制御部156を介して表示部106が接続されている。
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
(本実施の形態に係る遊技仕様)
本実施の形態では、所謂「左打ち」による遊技が基本(基本遊技)となる。すなわち、表示部106を境界として、遊技盤18の左側を通るように遊技球PBの発射強度を調整することで、風車や釘等の障害物に当接しながら、特別図柄始動入賞口(A)130へ遊技球を導いていき、入賞すると特別図柄抽選が実行される。
上記基本遊技とは別に、所謂「右打ち」による遊技が設定されている。すなわち、表示部106を境界として、遊技盤18の右側を通るように遊技球PBの発射強度を調整することで、風車や釘等の障害物に当接しながら、特別図柄始動入賞口(B)134へ遊技球を導いていく。この場合、時短状態であれば、遊技球PBが通過ゲート118を通過すると普通図柄抽選が実行され、当選となれば電動チューリップ136が頻繁に開放され、特別図柄始動入賞口(B)134への入賞が可能となる。遊技球PBがこの特別図柄始動入賞口(B)134に入賞すると、特別図柄始動入賞口(A)130と同様に特別図柄抽選が実行される。
特別図柄抽選は、表示部106にて実行される図柄変動パターン演出によって、遊技者に対し抽選結果の報知が実行される。図柄変動パターン演出は、主制御部150からの指示信号等に基づき、図柄変動パターン選択テーブルから図柄変動パターン種が選択されて実行される。
また、当該特別図柄抽選の結果に基づいて設定される所定の契機になると、例えば、遊技者に大きな期待感を持たせるため、前記可動装飾部材204Mを動作させる場合がある。また、この可動装飾部材204Mの動作パターンの違い(可動装飾部材204Mをほぼ水平状態で上下動させる昇降パターン、左右を小刻みに上下動させる揺動パターン、右肩上がり及び左肩上がりに傾斜パターン等)によって、前記遊技者に与える期待感が異なる場合がある。
図9には、本実施の形態に係る演出制御部152における、可動装飾部材204Mの動作パターン設定のための機能ブロック図が示されている。なお、この図9の各ブロックは、可動装飾部材204Mの動作パターン設定に特化して、その制御を機能的に分類したものであり、ハード構成を限定するものではない。
主制御部150から演出制御部152にコマンド(始動入賞口への入賞に基づく変動パターンコマンド、図柄指定コマンド、抽選結果コマンド、等)が送出されると、当該コマンドは、コマンド解析部220によって、コマンド内容が解析される。コマンド解析部220では、遊技状態に関する情報、特別図柄抽選の抽選結果、普通図柄抽選の抽選結果、抽選結果を報知する演出時間等の基本情報が解析される。
コマンド解析部220は、図柄変動パターン種設定部222及び可動装飾部材動作有無判別部224に接続されている。
図柄変動パターン種設定部222では、前記コマンド解析部220で解析した基本情報に基づいて、表示部106で表示演出するための図柄変動パターン種を設定する。なお、この設定される図柄変動パターン種には、特別図柄抽選の当たり、外れのいずれも含み、それぞれにおいて、リーチ(例えば、演出時間によって、短い順にノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等に分類)有りの図柄変動パターンを含むものである。なお、抽選結果が外れの場合には、リーチなしの図柄変動パターンも含んでいる。
前記図柄変動パターン種設定部222で設定された図柄変動パターン種情報は、表示制御部226へ送出される。表示制御部226では、送出された設定図柄変動パターン種情報に基づいて、予め記憶されている図柄変動パターン種の識別記号(或いは、画像情報)に基づくコマンドを生成し、図柄制御部156へ送出する。図柄制御部156では、受信したコマンドに基づいて、表示部106を制御して、設定された図柄変動パターン演出を実行する。
なお、図示は省略したが、普通図柄抽選においては、当該抽選の結果の制御対象が電動チューリップ136(図2参照)であり、前記基本情報に含まれる普通図柄抽選の報知のための変動時間(通常遊技状態又は時短遊技状態)に基づいて電動チューリップを動作させる。
一方、可動装飾部材動作有無判別部224では、特別図柄抽選の抽選結果に基づいて、可動装飾部材204Mを動作させるか否かを判別する。なお、前記表示制御部226によって表示することが決定されている図柄変動パターン種に関する情報を加味するようにしてもよい。具体的には、図柄変動パターン種の実行を契機として、表示部の前面にて可動装飾部材204Mが作動する演出を実行する。この可動装飾部材204Mの作動演出により、その後のリーチ演出での期待感を教示することができる。
可動装飾部材動作有無判別部224は、動作パターン決定部228に接続され、可動装飾部材204Mを動作させるか否かの判定を可動装飾部材動作の動作抽選の結果等によって行い、可動装飾部材204Mを動作させる旨の判定があった場合、動作パターン決定部228にその決定情報(動作有情報)を送出する。
動作パターン決定部228では、前記動作有情報を受け付けると、動作パターンを決定する。可動装飾部材204Mの動作パターンとしては、上下に往復動作させる(最下位置等で一時停止を含む)、右肩上がりの傾斜をつける、左肩上がりの傾斜をつける、最下位置等で左右を揺動させる、といった複数のパターンを備えているものである。このような動作パターン種は、予め識別符号をつけて記憶しておき、識別符号を特定するようにしてもよいし、その都度、動作パターンを決定するようにしてもよい。
動作パターン決定部228で決定した動作パターン(識別符号等)は、動作パターン−モータ動作要素抽出部230に送出される。動作パターン−モータ動作要素抽出部230には、動作パターン−モータ動作要素テーブルメモリ232が接続され、決定した動作パターンに基づいて、一対のモータ210のそれぞれに対して、独立して駆動開始時期情報、回転速度情報、回転方向情報が抽出され、具体的な動作パターン(所謂タイミングチャート)が生成される。動作パターン−モータ動作要素抽出部230で生成された動作パターン(モータ駆動制御用のタイミングチャート)は、それぞれのモータ210の駆動を制御するモータ駆動制御部234L、234Rへ送出される。モータ駆動制御部234L、234Rは、それぞれに接続されたモータ210の駆動を独立して制御する。
以下に本実施の形態の作用を説明する。
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
また、遊技球PBが遊技領域内に設けた特別図柄始動入賞口(A)130又は特別図柄始動入賞口(B)134に入賞すると、それぞれの遊技仕様に基づく処理(例えば、当選確率の異なる特別図柄抽選等)が実行される。また、通過ゲート118を通過すると、そのときの遊技状態に基づく処理(例えば、電動チューリップ136の開放パターンが異なる状態での普通図柄抽選等)が実行される。
一方、特別図柄抽選の抽選結果は、表示部106での画像表示演出、スピーカ60を用いた音演出等によって報知される。また、この特別図柄抽選の抽選結果に基づいて、遊技者に大当たりの期待感を持たせるため、可動装飾部材204Mを、複数の図柄変動パターン種(リーチ種)毎に予め定められているそれぞれの期待度に基づいて、動作パターンで動作させる。例えば、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展する契機として、動作パターンにより、発展するスーパーリーチ等の種類が異なる、といったように図柄変動パターン演出の種類と関連付ける。なお、「期待度」とは、大当たりとなることを期待させる演出の度合いであり、それぞれのリーチ種の選択の割合(出現率)に相関する場合がある。
さらに、一般入賞口120A〜120Dに入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
(可動装飾部材204Mの動作パターン)
本実施の形態における、可動装飾部材204Mは、横長形状でその左右両端部近傍に一対のアーム206が設けられ、この一対のアーム206が、それぞれ一対のラック212にリベット215によって連結されている。一対のラック212は、それぞれモータ210の駆動力で、独立して上下に摺動可能である。このため、ラック212の上下方向に独立駆動することで、可動装飾部材204Mは、水平状態で上下動(昇降)する動作パターン以外に、右肩上がりの傾斜、左肩上がりの傾斜、左右を交互に傾斜させる揺動等の様々な動作パターンを実現することができる。
図10は、演出制御部152における、可動装飾部材204Mを所定の動作パターンで動作させるための制御フローチャートである。
ステップ250では、主制御部150からコマンドを受け付けたか否かが判断され、コマンドを受信していない場合には否定判定されこのルーチンは終了する。コマンドを受信していると、ステップ250で肯定判定され、ステップ252へ移行して受け付けたコマンドを解析(例えば、受信したコマンドの選別・記憶処理を実行)してステップ254へ移行する。
ステップ254では、可動装飾部材204Mの動作が有か否かが判断され、可動装飾部材204Mが動作しないと判断された場合は、否定判定されこのルーチンは終了する。
また、可動装飾部材204Mの動作を行うと判断された場合は、ステップ254で肯定判定され、ステップ256へ移行して、動作パターン種を決定する。例えば、予め定められた動作パターンの識別符号を可動装飾部材動作決定乱数と可動装飾部材動作決定テーブル等を用いて決定する。
次のステップ258では、決定した動作パターンに基づいて、モータ動作要素を抽出する。これにより、左右のモータ210のそれぞれのタイミングチャートが生成される。
次のステップ260では、生成されたそれぞれのモータ210のタイミングチャートに基づいて一対の(左右の)モータ210の駆動を制御する。この制御によって、可動装飾部材204Mは、決定した動作パターンで動作する。
図11〜図13は、モータ210に設定されたタイミングチャートに基づいて動作する基本的な動作パターンを示したものである。
図11は、可動装飾部材204Mを水平状態を維持して昇降させる動作パターンであり、一対のモータ210が同じタイミングチャートで動作する。
初期位置として、最上位置に位置決めされている可動装飾部材204Mに対して、左右のモータ210が同一速度で下降回転する。これにより、可動装飾部材204Mは、水平状態を維持しながら、最下位置へ移動する。
次に、一定の時間最下位置を維持すると、一対のモータ210が同じタイミングかつ同一速度で上昇回転する。これにより、可動装飾部材204Mは、水平状態を維持しながら、初期位置である最上位置へ移動する。
図12は、可動装飾部材204Mを右肩上がりに傾斜させる動作パターンと、左肩上がりに傾斜させる動作パターンであり、一対のモータ210は、それぞれ異なるタイミングチャートに基づいて動作する。
初期位置として、最上位置に位置決めされている可動装飾部材204Mに対して、まず、左側のモータ210が下降回転する。これにより、可動装飾部材204Mは、右肩上がりに傾斜する。
次に、左側のモータ210を上昇回転させながら、右側のモータ210を下降回転させる。これにより、可動装飾部材204Mは、左肩上がりに傾斜する。
その後、一定時間左肩上がりを維持すると、右側のモータ210が上昇回転する。これにより、可動装飾部材204Mは、最上位置へ移動する。
なお、図12では、右肩上がりと、左肩上がりを順次行ったが、一方のみで初期位置に戻すようにしてもよい。または右肩上がりに傾斜させる動作パターンと、左肩上がりに傾斜させる動作パターンを複数回繰り返すように実行するものでもよい。
図13は、可動装飾部材204Mの左右を交互に上下動させ、所謂揺動させる動作パターンであり、一対のモータ210は、それぞれ異なるタイミングチャートに基づいて動作する。
初期位置として、最上位置に位置決めされている可動装飾部材204Mに対して、まず、左側のモータ210が下降回転する。これにより、可動装飾部材204Mは、右肩上がりに傾斜する。
次に、左側のモータ210を上昇回転させながら、右側のモータ210を下降回転させる。これにより、可動装飾部材204Mは、左肩上がりに傾斜する。
この動作パターンは、前記図12と同一であるが、図12に比べてモータ210の下降回転と上昇回転を短い期間で交互に行うことで、可動装飾部材204Mが揺動させることができる。
その後、揺動させる演出が終了すると、最下位置にある側のモータ(図13では、右側のモータ)210を上昇回転させることで、可動装飾部材204Mは、最上位置へ移動させ、初期状態とすることができる。
以上説明したように本実施の形態では、可動装飾部材204Mの左右両端部近傍をそれぞれ独立したモータ210で昇降させる構成として、その動作パターンを設定することで、一般的な同一軌跡上の往復移動(例えば、昇降動作)のみならず、傾斜、揺動等の様々な動作パターンを実現することができるため、表示部106による図柄変動パターン演出に加え、可動装飾部材204Mによる演出のバリエーションを増大させることができ、遊技、特に特別図柄抽選の結果の期待感として、期待度合いの異なる様々な演出を可動装飾部材204Mによって表現することができる。
なお、上記図11〜図13では、基本的な動作パターンを挙げたが、この図11〜図13に示す昇降、傾斜、揺動に限らず、振動、突出、電飾、分割、合体、膨張、収縮等、その他の変則的な動作パターンを組み合せてもよい。
「振動」とは、基本的な動作パターンの揺動の一種であり、揺動変化の移動ストロークをさらに短くする(すなわち、小刻みに揺動を繰り返す)ことで実現可能である。「突出」とは、可動装飾部材204Mを上下方向に移動するのではなく、遊技盤18の奥行き方向に移動させる動作パターンである。「電飾」とは、可動装飾部材204M及びその周辺にLEDチップ等を配線し動作に合わせて点灯させる動作パターンである。「分割」、「合体」とは、可動装飾部材204Mを2以上の部材で構成し、動作パターンに合わせて当該部材を引き離したり、結合させたりする動作パターンである。「膨張」、「収縮」とは、可動装飾部材204Mを薄膜弾性部材等で形成し空気圧の調整で膨らませたり、縮めたりする動作パターンである。
さらに、これらの動作パターンは、可動装飾部材204Mの後方に位置する表示部106の画像による演出で、擬似的に見せかけるようにしてもよい(疑似動作表示演出)。可動装飾部材204Mにオーバーラップさせて可動装飾部材204Mの輪郭画像(又はシルエット画像)を表示し、この輪郭画像(又はシルエット画像)を拡大縮小したり、移動したり、色変化させたりすることで、可動装飾部材204M自体が変則的に動作しているように見せることができる。
なお、可動装飾部材204Mの動作を誇張するような補助的な表示を行うことで、可動装飾部材204Mと表示部106との画像を連動するように制御するものでもよい。
また、基本的な動作パターン(変則的な動作パターンを含む場合がある)は、予め特別図柄抽選の抽選結果、或いは、選択される図柄変動パターン種(リーチ種)と相関関係を持たせることができる。
例えば、当選する可能性が高いと思わせる期待度が最も高い基本的な動作パターンを「揺動」、その次が「傾斜」、最も低い動作パターンを「昇降」とする。
さらに、上記3段階を細かく分類するために、変則的な動作パターンを絡めることができる。
例えば、期待度が最も高い「揺動」動作が、極めて短い間隔(例えば、1秒以下)で繰り返された場合は当選確定、「揺動」動作リズムが一定ではない場合はスーパーリーチ等に発展、「振動」がゆっくりで単発で終わる場合はノーマルリーチといったように動作パターンと期待度を関連付けることができる。