JP2016126895A - 非水電解液蓄電素子 - Google Patents

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亀崎 久光
Hisamitsu Kamezaki
久光 亀崎
小名木 伸晃
Nobuaki Onaki
伸晃 小名木
斉昭 森山
Nariaki Moriyama
斉昭 森山
芳尾 真幸
Masayuki Yoshio
真幸 芳尾
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Abstract

【課題】従来にない過充電領域を確保した安全な非水電解液蓄電素子の提供。【解決手段】少なくとも、金属リチウム及び/又はリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、負極に対する正極と、非水電解液から構成される非水電解液蓄電素子において、過充電領域に及ぶ充電及び該充電に対する放電を20回繰り返した後、21回目の充電容量が、SOC(State of Charge)=100%以上の容量を得ることができる条件で充電でき、前記負極が、比表面積が11±5m2/gのチタン酸リチウムを含有する非水電解液蓄電素子。なお、ここでは、負極の電位がSOC=0%の時の電位に対して相対値で5%以上低下した電位を示す任意の容量をSOC=100%とする。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液蓄電素子に関する。
近年の電気製品の軽量化、小型化に伴い、高いエネルギー密度を持つ非水電解液二次電池の開発が進められている。また、非水電解液二次電池の適用分野が拡大するにつれて、その電池特性の改善が要望されている。
非水電解液二次電池は、少なくとも、正極及び負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解液とから構成され、その負極としては、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な金属及び金属化合物(酸化物、リチウムとの合金などを含む)、炭素質材料が用いられている。炭素質材料としては、例えばコークス、人造黒鉛、天然黒鉛等が提案されている。このような非水系電解液二次電池では、リチウムが金属状態で存在しないためデンドライトの形成が抑制され、電池寿命と安全性を向上させることができる。特に人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛系炭素質材料を用いた非水系電解液二次電池は、高容量化の要求に応えるものとして注目されている。
一方、非水電解液二次電池の正極活物質としては、充放電時の反応の形態により、2種類の材料が知られている。
その1種類目は、結晶の層間等にリチウムイオンが脱離・挿入されることにより充放電が行われるものであり、例えばFe、Co、Ni、Mn、V、Ti等の遷移金属の酸化物、これらの遷移金属とリチウムとの複合酸化物、硫化物等の無機化合物などである。
具体的には、MnO、V、V13、TiO等の遷移金属酸化物、基本組成がLiNiOであるリチウムニッケル複合酸化物、LiCoOであるリチウムコバルト複合酸化物、LiMnO又はLiMnOであるリチウムマンガン複合酸化物などのリチウムと遷移金属との複合酸化物、TiS、FeSなどの遷移金属硫化物が挙げられる。中でも、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物などのリチウムと遷移金属との複合酸化物は、高容量と高サイクル特性とを両立させることができることから好適に用いられている。
その2種類目は、導電性高分子や炭素質材料のような、正極において、主としてアニオンのみが挿入・脱離されるものであり、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、黒鉛等が挙げられる。
この2種類目の正極活物質を使用する電池では、電解液中から、正極に例えばPF 等のアニオンが、負極にLiが挿入されることにより充電が行われ、正極からPF 等、負極からLiが脱離することにより放電が行われる。
このような電池の例として、正極に黒鉛、負極にピッチコークス、電解液にプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒に過塩素酸リチウムを溶解させたものを用いたものが、デュアルカーボンセルとして知られている。
また、非水電解液二次電池の非水電解液の溶媒としては、分解電圧が高い非プロトン性溶媒で高誘電率のものが使用され、例えば、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート等の混合溶媒が挙げられる。
しかしながら、このような非水電解液二次電池においては、従来、リチウムを参照電極とした場合の正極の電圧として5V以上に電圧を上げると、通常、非水電解液に使用されている溶媒の分解が始まることから、正極への充電が困難であり、二次電池としては容量が低い点が課題であった。
従来知られているもので、正極に対して高電圧まで充電し、かつ放電できた例として、非特許文献1に、黒鉛を正極とし、スルホランにLiBFを溶解した電解液を使用し、参照極をリチウムとした場合に5.2Vまで充電できた例が記載されているが、これ以上の電位までの充電は行われていないのが常識であった。
一方、正極材料に黒鉛を用い負極材料に炭素質材料を用いた電気二重層キャパシタは、従来の活性炭を電極に用いた蓄電デバイスと較べて電気容量並びに耐電圧性に優れたものである(特許文献1参照)。また、負極材料として、チタン酸化物を含有し、高容量化を達成した例が特許文献2に、電池の正極に共重合材を添加する例が特許文献3に開示されている。
以上のような技術背景の中、正極に黒鉛、負極にチタン酸リチウム(LTO)を用いた検討が勢力的に行われている(特許文献4〜10)。
また、本出願人の先願(特願2014−192458)では、正極の目付量と負極の目付量の関係を変え、過充電領域を確保した非水電解液二次電池について検討されている。しかし、LTO材料の比表面積に関する検討はしていない。
参考例として、先願明細書に記載された、炭素正極−LTO負極セルにおける正極と負極の活物質の重量比と初期充電容量の関係を示す図1を、図7として示す。
図7から、正極に炭素材料を使用しているため、正極の理論容量である340mAh/gが最高値と予想できる。しかし、これまでの検討では280mAh/gが最大であり、第一ステージ(イオンが最も密に挿入されたステージ)に相当するインターカレーションは達成できていない。更なる容量の確保はより安全な電池の提供につながる。
一般に非水電解液蓄電素子は、過剰な充電が行われた場合、回路により電池が保護される。しかし、想定を超える現象が生じた場合や、回路が故障した場合には、過剰な充電が行われ、電池が発火するなどの問題がある。そこで、本発明は、従来にない過充電領域を確保した安全な非水電解液蓄電素子の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) 少なくとも、金属リチウム及び/又はリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、負極に対する正極と、非水電解液から構成される非水電解液蓄電素子において、過充電領域に及ぶ充電及び該充電に対する放電を20回繰り返した後、21回目の充電容量が、SOC(State of Charge)=100%以上の容量を得ることができる条件で充電でき、前記負極が、比表面積が11±5m/gのチタン酸リチウムを含有することを特徴とする非水電解液蓄電素子。
なお、ここでは、負極の電位がSOC=0%の時の電位に対して相対値で5%以上低下した電位を示す任意の容量をSOC=100%とする。
本発明によれば、従来にない過充電領域を確保した安全な非水電解液蓄電素子を提供できる。
実施例1の蓄電素子の正極と負極の活物質の重量比(負極/正極)と1回目の充電容量の関係を示す図。 実施例1の蓄電素子(正極と負極の活物質の重量比0.62〜1.89)に、SOC=100%以上となる充放電を繰り返した結果を示す図。 実施例1の蓄電素子(正極と負極の活物質の重量比1.89)の充放電カーブの一例を示す図。 比表面積の異なるLTOのレート特性を示す図。 1C、3.5C、5C充電時の充電カーブを示す図。 比表面積の異なるLTOのサイクル特性を示す図。 炭素正極−LTO負極セルにおける正極と負極の活物質の重量比と初期充電容量の関係を示す図。
以下、上記本発明1)について詳しく説明するが、本発明の実施の形態には次の2)〜5)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2) 前記正極において、前記充電容量が340mAh/g以上であることを特徴とする1)に記載の非水電解液蓄電素子。
3) 前記正極が、黒鉛粒子と、該黒鉛粒子を被覆する炭素層とを有する黒鉛−炭素複合粒子を含有することを特徴とする1)又は2)に記載の非水電解液蓄電素子。
4) 前記炭素層が結晶性炭素からなることを特徴とする3)に記載の非水電解液蓄電素子。
5) 前記チタン酸リチウムが、リチウム化合物と酸化チタンを焼成して製造された、LiTi12で表されるものであることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
<正極>
<<正極材>>
本発明で用いる正極材としては特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、少なくとも正極活物質を含み、必要に応じて結着剤、増粘剤、導電剤などを含むものが挙げられる。
−正極活物質−
前記正極活物質としては、アニオンを挿入及び脱離可能な物質であれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素質材料、導電性高分子などが挙げられる。これらの中でも、エネルギー密度が高い点から炭素質材料が好ましい。
前記導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレンなどが挙げられる。
前記炭素質材料としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物などが挙げられる。これらの中でも人造黒鉛、天然黒鉛が特に好ましい。また、炭素質材料としては、結晶性が高い炭素質材料が好ましい。この結晶性はX線回折やラマン分光分析などで評価することができ、例えば、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、I2θ=22.3とI2θ=26.4の比(I2θ=22.3/I2θ=26.4)が0.4以下であることが好ましい。
なお、I2θ=22.3は、2θ=22.3°における回折ピーク強度であり、
2θ=26.4は、2θ=26.4°における回折ピーク強度である。
前記炭素質材料の窒素吸着によるBET比表面積は、1〜100m/gが好ましく、レーザー回折・散乱法により求めた平均粒径(メジアン径)は、0.1〜100μmが好ましい。
正極の炭素質材料としては黒鉛−炭素複合粒子が好ましい。黒鉛−炭素複合粒子とは、黒鉛粒子の表面に炭素の被覆層を形成した複合体粒子を指す。この黒鉛−炭素複合粒子を正極に用いると、充放電速度が著しく向上する。
分極性電極では、炭素質材料の表面に電解質が吸着して静電容量が発現する。そのため静電容量の向上には炭素質材料の表面積の増大が有効と考えられている。この考え方は、本来多孔性である活性炭のみならず、黒鉛類似の微結晶炭素を有する非多孔性炭素にも当て嵌まる。非多孔性炭素が静電容量を発現するのは最初の充電(電界賦活)により不可逆的に膨張した後である。してみれば、この最初の充電によって電解質イオンや溶媒が層間をこじ開ける結果、非多孔性炭素も、理論上、多孔化されているからである。
他方、黒鉛は活性炭や非多孔性炭素と比べて比表面積が非常に小さく、結晶性が高い。また、黒鉛は最初の充電時から静電容量を発現し、充電時の膨張も可逆的であり、膨張率も低い。したがって、黒鉛は電界賦活によっても多孔化されない挙動を示す。つまり、理論上、静電容量を発現するのに非常に不利な材料である。
黒鉛粒子の表面に被覆される炭素は、非結晶性、低結晶性、結晶性のいずれでもよい。しかし、黒鉛粒子の表面に被覆される炭素が結晶性であると、イオンの吸脱着速度が向上するという利点が得られ、特に好ましい。
黒鉛粒子の表面に非結晶性炭素又は低結晶性炭素を被覆した材料は公知であり、例えば、化学蒸着法を用いて黒鉛を低結晶性炭素で被覆した複合材料、黒鉛を平均面間隔d002が0.337nm以上の炭素で被覆した複合材料、及び黒鉛をアモルファス炭素で被覆した複合材料等が挙げられる。
黒鉛粒子の表面に結晶性炭素を被覆する方法としては、流動床式の反応炉を用いる化学蒸着処理が優れている。化学蒸着処理の炭素源として使用する有機物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素や、メタン、エタン、プロパン等の脂肪族炭化水素を挙げることができる。
流動床式反応炉には、これらの有機物を窒素等の不活性ガスと混合して導入する。混合ガス中の有機物の濃度は、2〜50モル%が好ましく、5〜33モル%がより好ましい。化学蒸着処理温度は、850〜1200℃が好ましく、950〜1150℃がより好ましい。このような条件で化学蒸着処理を行うことにより、黒鉛粒子の表面を結晶性炭素のAB面(即ちベーサル面)で均一かつ完全に被覆することができる。
被覆層の形成に必要な炭素の量は、黒鉛粒子の粒子径及び形状によって異なるが、複合材料全体の0.1〜24質量%が好ましく、0.5〜7質量%がより好ましく、0.8〜5質量%が更に好ましい。0.1質量%未満では被覆の効果が得られず、逆に24質量%より多いと、黒鉛の割合が低下するので、充放電量が低下する等の不都合を生じる。
原料に用いる黒鉛粒子は天然でも人造でもよいが、比表面積が10m/g以下のものが好ましく、より好ましくは7m/g以下、更に好ましくは5m/g以下である。比表面積は吸着剤としてNやCOなどを用いたBET法により決定することができる。
また、黒鉛は高結晶性のものが好ましい。例えば、002面の結晶格子定数C0は0.67〜0.68nm、好ましくは0.671〜0.674のものがよい。
更に、CuKα線を用いたX線結晶回折スペクトルにおける002ピークの半値幅は、0.5未満、好ましくは0.1〜0.4、より好ましくは0.2〜0.3のものがよい。
黒鉛の結晶性が低いと電気二重層キャパシタの不可逆容量が増大する傾向がある。
黒鉛は、グラファイト層に適度な乱れを生じ、ベーサル面とエッジ面の比がある一定の範囲に入るものが好ましい。グラファイト層の乱れは、例えば、ラマン分光分析の結果に現れる。好ましい黒鉛は、ラマン分光スペクトルにおける1360cm−1のピーク強度「I(1360)」と、1580cm−1のピーク強度「I(1580)」の比「I(1360)/I(1580)」が0.02〜0.5、好ましくは0.05〜0.25、より好ましくは0.1〜0.2、更に好ましくは、約0.16(例えば、0.13〜0.17)のものである。
なお、CVD処理を施すと該強度比は成立せず、2.5以上の値を示す。被覆した炭素が基材よりも結晶性が低いためと見られる。
また、好ましい黒鉛はX線回折の結果で特定することもできる。つまり、X線結晶回折スペクトルにおける菱面体晶のピーク強度「Ib」と、六方晶のピーク強度「Ia」の比「Ib/Ia」が0.3以上、好ましくは0.35〜1.3となる黒鉛である。
黒鉛粒子の形状や寸法は、得られる黒鉛−炭素複合粒子が分極性電極に成形できる範囲であれば特に限定されない。例えば、薄片状黒鉛粒子、圧密化黒鉛粒子及び球状化黒鉛粒子等を使用できる。これら黒鉛粒子の性状及び製造方法は公知である。
薄片状黒鉛粒子は一般に厚みが1μm以下、好ましくは0.1μm以下であり、かつ、最大粒子長は100μm以下、好ましくは50μm以下である。
薄片状黒鉛粒子は天然黒鉛や人造黒鉛を化学的又は物理的方法で粉砕して得られる。
例えば、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、高結晶性熱分解黒鉛等の人造黒鉛材料を硫酸と硝酸の混酸で処理、加熱して膨張黒鉛を得た後、超音波法などで粉砕して得る方法、硫酸中で電気化学的に黒鉛を酸化して得られる黒鉛−硫酸の層間化合物や、黒鉛−テトラヒドロフラン等の黒鉛−有機物の層間化合物を、外熱式炉、内熱式炉、レーザー加熱等により急速加熱処理して膨張化させ、粉砕する、等の公知の方法に従って製造することができる。
また天然黒鉛や人造黒鉛を例えばジェットミルなどで機械的に粉砕して得ることが出来る。
前記薄片状黒鉛粒子は、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛を、薄片化及び粒子化することにより得られる。薄片化及び粒子化の方法としては、例えばこれらを超音波や各種粉砕機を用いて機械的又は物理的に粉砕する方法がある。
天然黒鉛や人造黒鉛をジェットミルなどシェアをかけない粉砕機で粉砕薄片化した黒鉛粒子は、ここでは特に鱗片状黒鉛粒子と呼ぶ。これに対し、膨張黒鉛を、超音波などを用いて粉砕、薄片化した黒鉛粒子をここでは特に葉片状黒鉛とよぶ。
薄片状黒鉛粒子は2000℃〜2800℃で0.1〜10時間程度、不活性雰囲気中でアニーリングし、更に結晶性を高めてもよい。
前記圧密化黒鉛粒子は、嵩密度が高い黒鉛粒子であり、一般に、タップ密度が0.7〜1.3g/cmである。ここでいう圧密化黒鉛粒子とは、アスペクト比が1〜5の紡錘状をなす黒鉛粒子を10体積%以上含むか、又はアスペクト比が1〜10の円盤状の黒鉛粒子を50体積%以上含むものをいう。
圧密化黒鉛粒子は、原料黒鉛粒子を圧密化することにより製造することができる。
原料黒鉛粒子としては、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれを用いても良いが、結晶性の高さと入手の容易さとから、天然黒鉛が好ましい。黒鉛はそのまま粉砕して原料黒鉛粒子にすることができるが、上述の薄片状黒鉛粒子を原料黒鉛粒子としてもよい。
圧密化処理は、原料黒鉛粒子に衝撃を加えることにより行う。振動ミルを用いる圧密化処理は、特に圧密化を高くでき、より好ましいものである。振動ミルの例としては、振動ボールミル、振動ディスクミル、振動ロッドミル等が挙げられる。
アスペクト比の大きな鱗片状の原料黒鉛粒子を圧密化処理すると、原料黒鉛粒子は主に黒鉛のベーサルプレーン(基礎面)で積層しながら二次粒子化し、同時に積層した二次粒子の端部は丸く削られて厚みのあるアスペクト比が1〜10の円盤状、又はアスペクト比が1〜5の紡錘状に変化し、アスペクト比の小さな黒鉛粒子に変換される。
このようにして黒鉛粒子をアスペクト比の小さなものに変換した結果、黒鉛粒子は高結晶性であるにもかかわらず、等方性に優れ、タップ密度が高い黒鉛粒子が得られる。
そのため、得られる黒鉛−炭素複合粒子を分極性電極に成型する場合、黒鉛スラリー中の黒鉛濃度を高くすることができ、成型後の電極は、黒鉛の密度が高くなる。
前記球状化黒鉛粒子は、高結晶性黒鉛を比較的破砕力の小さい衝撃式粉砕機で粉砕しながら薄片を集めて、圧縮球状化することにより得られる。衝撃式粉砕機としては、例えばハンマーミルやピンミルを使用することができる。回転するハンマーやピンの外周線速度は、50〜200m/秒程度が好ましい。また、これらの粉砕機に対する黒鉛の供給や排出は、空気等の気流に同伴させて行うことが好ましい。
黒鉛粒子の球状化の程度は粒子の長軸と短軸の比「長軸/短軸」で表すことができる。即ち、黒鉛粒子の任意の断面において、重心で直交する軸線のうち「長軸/短軸」が最大となるものを選んだときに、この比が1に近い程、真球に近いことになる。
前記球状化処理により「長軸/短軸」を容易に4以下(1〜4)とすることができる。また球状化処理を充分に行えば「長軸/短軸」を2以下(1〜2)とすることができる。
高結晶性黒鉛は、炭素粒子が網目構造を形成して平面上に広がるAB面が多数積層することにより厚みを増し、塊状に成長したものである。積層したAB面相互間の結合力(C軸方向の結合力)は、AB面の結合力に比べて遥かに小さいので、粉砕すると結合力の弱いAB面の剥離が優先して、得られる粒子は鱗片状となりやすい。黒鉛結晶のAB面に垂直な断面を電子顕微鏡で観察すると、積層構造を示す筋状の線を観察することができる。
鱗片状黒鉛の内部組織は単純であり、AB面に垂直な断面を観察すると、積層構造を示す筋状の線は常に直線状であり、平板状の積層構造である。
これに対し、球状化黒鉛粒子の内部組織は、積層構造を示す筋状の線は曲線状のものが多く、また空隙も多く見られ、著しく複雑な組織になっている。即ち、あたかも鱗片状(板状)の粒子が折り畳まれ、或いは丸め込まれたような状態で球状化している。
このように、元々直線状であった積層構造が、圧縮力等によって曲線状に変化することは「褶曲」といわれる。
球状化黒鉛粒子について更に特徴的なことは、不作為に選んだ断面であっても、粒子の表面付近が、表面の丸みに沿った曲線状の積層構造となっていることである。即ち、球状化黒鉛粒子の表面は、概ね褶曲した積層構造で覆われており、外表面は黒鉛結晶のAB面(即ちベーサル面)となっている。
黒鉛−炭素複合粒子を含有する正極は、炭素質材料として黒鉛−炭素複合粒子を用いて従来と同様の方法により製造することができる。
例えば、シート状の分極性電極を製造するには、上述の黒鉛−炭素複合粒子の粒度を整えた後、必要に応じて、黒鉛−炭素複合粒子に導電性を付与するための導電性補助剤、結着剤を添加して混練し、圧延伸によりシート状に成形することにより行う。
導電性補助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラックなどを用いることができる。また、結着剤としては、例えばポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などを用いることができる。
このときの、非多孔性炭素と導電性補助剤と結着剤の配合比は、一般に、10〜1:0.5〜10:0.5〜0.25程度である。
−結着剤−
前記結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バオンダー、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴムなどが挙げられる。
更に、水やアルコール系の溶媒を用いる場合は、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル50〜95モル%、アクリロニトリル3〜40モル%及び酸成分を有するビニルモノマー1〜25モル%からなる共重合体を含有してもよい。前記アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルとしては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられ、酸成分を有するビニルモノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸が挙げられる。
一般式(1)
上記式中、R1は炭素数が3〜16のアルキル基、R2は水素原子又はメチル基を表す。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−増粘剤−
前記増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−導電剤−
前記導電剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<正極集電体>>
前記正極集電体の材質、形状、大きさ、構造に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記材質としては、導電性材料で形成されたものであればよく、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅、チタン、タンタルなどが挙げられる。中でもステンレス、アルミニウムが特に好ましい。前記形状としては、シート状、メッシュ状などが挙げられる。前記大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであればよい。
−正極の製造方法−
前記正極は、前記正極活物質に、必要に応じて結着剤、増粘剤、導電剤、溶媒等を加えてスラリー状とした正極材を、正極集電体上に塗布し乾燥することにより製造することができる。
前記溶媒としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水系溶媒でも有機系溶媒でも構わない。前記水系溶媒としては、例えば、水、アルコールなどが挙げられる。前記有機系溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、トルエンなどが挙げられる。
なお、前記正極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とすることもできる。
<負極>
負極は金属リチウム及び/又はリチウムイオンを吸蔵及び放出可能で、かつ負極活物質としてチタン酸リチウムを含有する必要がある。
<<負極材>>
負極活物質として用いるチタン酸リチウムは、一般式LixTiyO(0.8≦x≦1.4,1.6≦y≦2.2)で表され、CuをターゲットとしてX線回折を行った場合、少なくとも4.84Å,2.53Å,2.09Å,1.48Å(各±0.02Å)にピークを有する。そして、ピーク強度比が、4.84Åのピーク強度:1.48Åのピーク強度(各±0.02Å)=100:30(±10)にあるものが好ましい。
更に、前記一般式LixTiyOにおいて、x=1,y=2、又は、x=4/3,y=5/3、又は、x=0.8,y=2.2のものが好ましい。
また、前記のチタン酸リチウムにルチル型酸化チタンが混晶する場合、X線回折のピークは、チタン酸リチウムのピークに対して、3.25Å、2.49Å、2.19Å、1.69Å(各±0.02Å)のピークが増加する。
そして、好ましいピーク強度比は、3.25Åのピーク強度:2.49Åのピーク強度:1.69Åのピーク強度=100:50(±10):60(±10)である。
更に、前記一般式LixTiyOにおいて、x=1、y=2、又は、x=4/3、y=5/3、又は、x=0.8、y=2.2のものが好ましい。
一方、上記のチタン酸リチウムを用いたリチウム蓄電素子の負極の製造法は、リチウム化合物と酸化チタンとを混合する工程、これらの混合物を550℃〜1600℃で熱処理してチタン酸リチウムを焼成する工程を有しており、焼成の出発物質となるリチウム化合物には、水酸化リチウムあるいは炭酸リチウムが用いられる。
前記熱処理温度は、より好ましくは800℃〜1100℃である。
また、チタン酸リチウムとしては、比表面積が11±5m/gのものを用いる。この範囲以外では過充電領域の充電放電が不安定となる。
−結着剤−
前記結着剤は特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダー、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダーが特に好ましい。
−導電剤−
前記導電剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<負極集電体>>
前記負極集電体の材質、形状、大きさ、構造は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたものであればよく、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。これらの中でも、ステンレス、銅が特に好ましい。
前記集電体の形状としては、シート状、メッシュ状などが挙げられる。
前記集電体の大きさは、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであればよい。
−負極の製造方法−
前記負極を製造する方法は特に限定されない。例えば前記負極活物質に、必要に応じて結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体の基板に塗布し乾燥することにより製造することができる。
前記溶媒としては、前記正極の製造方法の場合と同様のものを用いることができる。
また、前記負極活物質に結着剤、導電剤等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、蒸着、スパッタ、メッキ等の手法で負極集電体上に負極活物質の薄膜を形成することもできる。
<非水電解液>
前記非水電解液は、非水溶媒に電解質塩を溶解させた電解液である。
−非水溶媒−
前記非水溶媒としては、非プロトン性有機溶媒を用いるが、低粘度な溶媒が好ましく、例えば鎖状又は環状のカーボネート系溶媒、鎖状又は環状のエーテル系溶媒、鎖状又は環状のエステル系溶媒などが挙げられる。
前記鎖状カーボネート系溶媒としては、例えばジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。
前記環状カーボネート系溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。
前記鎖状エーテル系溶媒としては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
前記環状エーテル系溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エステル系溶媒としては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステルなどが挙げられる。
前記環状エステル系溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン(γBL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
これらの中でも、DMC、DEC、EMC、PCを主成分として含むものが好ましい。
−電解質塩−
電解質塩としては、非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものが用いられる。
例えば下記のカチオン、アニオンを組み合わせたものが挙げられるが、非水溶媒に溶解可能な様々な電解質塩が使用可能である。
カチオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、スピロ系4級アンモニウムイオンなどが挙げられる。
アニオンとしてはCl、Br、I、SCN、ClO 、BF 、PF 、SbF 、CFSO 、(CFSO、(CSO、(Cなどが挙げられる。
容量を向上させる面からは、リチウムカチオンを有するリチウム塩が好ましい。
リチウム塩には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、LiB(C、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド〔LiN(CSO〕、リチウムビスファーフルオロエチルスルホニルイミド〔LiN(CFSO〕などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特にLiPF、LiBFが好ましい。
前記リチウム塩の非水溶媒中の濃度は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5〜6mol/Lが好ましく、2〜4mol/L前後が電池の容量と出力の両立の点から特に好ましい。
<セパレータ>
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために正極と負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、構造は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布などが挙げられる。
前記セパレータの形状としては、例えば、シート状が挙げられる。
前記セパレータの大きさは、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであればよい。
前記セパレータの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
<非水電解液蓄電素子の製造方法>
本発明の蓄電素子は、前記正極、負極及び非水電解液と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて電池外装ケース等の他の構成部材を用いることも可能である。電池を組み立てる方法には特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
−形状−
本発明の蓄電素子の形状は特に限定されず、一般に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
充電により電解液中の溶質濃度が低下し、溶質濃度が0になると、それ以上充電ができなくなるため、正極、負極の容量に見合う量の溶質を電解液中に含有させておく必要がある。溶質濃度が低い場合、電池中に多量の電解液が必要となるため、電解液中の溶質濃度は高い方が好ましい。場合によっては、放電状態において溶質が溶媒中に析出した状態とすることも可能である。
このような点から、非水電解液中のリチウム塩の濃度は通常0.05〜5mol/L、好ましくは0.5〜4mol/L、特に好ましくは1〜3mol/Lである。0.05mol/Lを下回ると、伝導度が低下したり、正極、負極の容量に見合う溶質を確保するために多量の電解液を必要とするため、電池の重量当たり又は体積当たりのエネルギー密度が低下しやすい。また、5mol/Lを上回ると、溶質が析出したり、伝導度が低下する可能性がある。
[蓄電素子のエージング]
本発明の蓄電素子はエージングを施しても構わない。その方法は、任意に設定するSOC=100%以上の容量となるように、充放電を任意の回数行う。
また、正極、負極からなる電池への充電の場合には、負極の種類によって充電終止電圧を変え、正極へのリチウムを参照電極とした場合の充電終止電圧を所定の電圧とし、充電端における正極の充電状態を所定の状態とするための充電方法を規定することにより、同様な効果が得られる。
充電速度(レート)が速すぎると、正極、負極に充分に充電される前に充電終止電圧に到達するため、充分な容量が得られない。このため、定電流で充電する場合は、通常1C(1Cは、1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値である。)以下の充電速度で充電を行うことが好ましい。ただし、充電速度は過度に遅いと充電に長時間を要すため、定電流充電の場合0.01C以上とすることが好ましい。
なお、充電終止電圧到達後、定電圧で保持しながら充電することも可能である。
充電時に、電池の温度が過度に高温であると非水電解液の分解が起こりやすくなり、低温であると正極、負極への充電が不充分となりやすいため、通常、充電は室温近辺で行なわれる。
このようにして充電して得られる本発明の蓄電素子の放電方法は、放電速度、使用する負極によっても変わるが、通常、充電状態から1C以下の放電速度で、2〜3V程度の値を放電終止電圧として使用することにより、ほぼ定格の放電容量が得られる。例えば、正極活物質当たりの放電容量で60mAh/g以上、特に80〜120mAh/g程度の高放電容量を得ることができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中のリチウムを参照電極とする正極の充電終止電圧を「充電終止電圧(vs.Li)」と称す。また、「部」又は「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
実施例1
以下に示す黒鉛粒子を準備した。この黒鉛粒子は人造黒鉛であり、メソフェーズ炭素を2800℃で焼成して黒鉛化した球状化黒鉛粒子である。
以下に示す方法により黒鉛粒子の分析を行った。

(1)比表面積測定装置(島津製作所製「Gemini2375」)によりBET比表面積を求めた。吸着剤として窒素を用い、吸着温度を77Kとした。

(2)X線回折装置(リガク社製「RINT−UltimaIII」)を用い、黒鉛粒子のX線結晶解析を行った。得られたX線回折スペクトルを分析して、(002)面の結晶格子定数〔C0(002)〕、平均面間隔d002、及び、(002)ピーク(2θ=26.5°付近にあるピーク)の半値幅を決定した。
ターゲットをCuKαとし、40kV,200mAで測定を行った。
また、菱面体晶(101−R)のピーク位置は2θ=43.3°付近にあり、そのピーク強度をIBとした。六方晶(101−H)のピーク位置は2θ=44.5°付近にあり、そのピーク強度をIAとした。
そして、結晶構造中に存在する菱面体晶と六方晶の比(IB/IA)を求めた。

(3)ラマン分光分析ラマン分光装置(日本分光社製「レーザラマン分光光度計NRS−3100」)を用い、ラマン分光スペクトルの1360cm−1のピーク強度と1580cm−1のピーク強度の比、I(1360)/I(1580)を求めた。

(4)日本電子社製電子顕微鏡を用いて観察し、外部形状を確認した。

(5)10mLのガラス製メスシリンダーに試料を入れてタッピングし、試料の容積が変化しなくなったところで試料容積を測定し、試料重量を試料容積で除した値をタップ密度とした。

上記黒鉛粒子は、BET表面積10〜300m/g、X線回折法による六方晶に対する菱面体晶のピーク強度比(IB/IA)が0.3以上、ラマン分光法によるピーク強度比、(1360)/I(1580)が0.11〜0.30であった。
黒鉛−炭素複合粒子を、カーボン被覆装置(CVD=化学気相成長法による装置)を用いて、以下の方法で製造した。
1100℃に昇温された炉内の石英製キュベットに黒鉛粒子を静置し、これにアルゴンガスをキャリアとしてキシレン蒸気を導入し、キシレンを黒鉛上に析出炭化させた。析出炭化処理は3600秒間行った。得られた被覆黒鉛を分析したところ、0.02〜0.30のラマン分光スペクトルにおいて1360cm−1のピークと1580cm−1のピークを有した。ピーク強度比は、I(1360)/I(1580)は0.16であった。
<正極の製造>
上記黒鉛−炭素複合粒子3gと、アセチレンブラック(AB)溶液(御国色素社製20%AB分散品 HO溶剤系 SAブラック 型番:A1243を5倍に希釈した溶液:5%AB−HO)4gを、ノンバブルニーダNBK1(日本精機製作所製)により、1000回転で15分間混練した。更に、CMC3%水溶液を1〜3g加え、導電性と粘性を調整した。次いで成膜装置を用い、混練物を18μmのアルミシート上で成形して正極を得た。
<負極の製造>
負極材としてLTO(LiTi12:石原産業社製LT106)3gと、アセチレンブラック溶液(御国色素社製ABを5倍に希釈した溶液:5%AB−HO)4gを、ノンバブルニーダNBK1(日本精機製作所製)により、1000回転で15分間混練した。更にCMC3%水溶液を1〜3g加え、導電性と粘性を調整した。次いで、成膜装置を用い、混練物を18μmのアルミシート上で成形して負極を得た。
<非水電解液>
電解液として、1モルのLiBFを溶解させたEC/PC=1:1溶液(キシダ化学社製)を0.3mL用意した。
<セパレータ>
セパレータとして、実験用ろ紙(ADVANTEC GA−100 GLASS FIBER FILTER)を用意した。
<電池の製造>
前記正極、負極、非水電解液及びセパレータを使用し、アルゴンドライボックス中で、16φmmに打ち抜いた正極と負極の間にセパレータを挟んで隣接配置し、コイン型の非水電解液蓄電素子を製造した。
上記非水電解液蓄電素子について、以下のようにして諸特性を調べた。
<充放電特性>
正極と負極の活物質の重量比(負極/正極)を変化させ、室温で、東洋システム社製のTOSCAT―3100を用いて0.57mA/cmの定電流で充電終止電圧4.5Vまで充電したところ、図1に示したように、前記重量比に依存して、正極活物質当たりの1回目の充電容量として、108〜340mAh/gが得られた。
1回目の充電の後、0.57mA/cmの定電流で2.5Vまで放電した場合の正極活物質当たりの放電容量は、前記重量比により、75〜100mAh/gであった。
表1に、図1に示したプロットの具体的な重量を示す。
SOC(充電率)は電池の使用目的により適宜決定することができる。よって、必ずしも満充電の容量をSOC100%とする必要はなく、使用目的の容量を満たしておれば良い。ここでは、負極の電位が、SOC=0%の時の電位に対して相対値で5%以上低下した電位を示す任意の容量をSOC=100%とする。
更に、前述のように、上記蓄電素子の放電容量は75〜100mAh/gであったが、充電と同じ量の放電量を無理なく確保するため、上記蓄電素子におけるSOC=100%を、正極活物質当たりの容量で換算して、最低である75mAh/gの80%に相当する60mAh/gと定めた。
よって、図1から、前記重量比0.6以上でSOC=100%以上の充放電が達成できることが分かる。
前記重量比を変化させた蓄電素子に、SOC=100%以上となる充放電を繰り返した結果を図2に示す。
図2は、図1と表1に示した重量比のうち、代表例として重量比=0.62、0.88、1.33、1.89の、充電、放電容量とサイクル特性の結果を示したものである。
図2から分かるように、過充電領域に及ぶ電圧を印加した場合でも、上記蓄電素子は安定しており、例えば回路の故障などにより過充電がなされた場合でも直ちにトラブルに至らない。また、回路の故障や過充電領域までの充電は、例えば回路が故障した場合、連続して繰り返されることはなく、本発明では、20回の過充電領域に及ぶ電圧の印加をもって安全と判断した。また、回路の故障や過充電領域までの充電は、例えば回路が故障した場合、連続して繰り返されることはないため、数回の充放電で安定であれば、安全と考えることができる。
また、上記の条件では22回目から、重量比1.33の場合の充電容量及び1.89の場合の放電容量に低減がみられた。
図3に、上記蓄電素子(重量比1.89=負極16.65mg/正極8.82mg)の充放電カーブの一例を示す。
図3から分かるように、この場合の正極黒鉛の容量は約340mAh/gである。
第一ステージのBFの容量370mAh/g、第二ステージのBF12の容量約180mAh/g(いずれも公知の理論容量である)を考慮すると、正極への充電は、第一ステージまでBFイオンが挿入されていると考えることができる。即ち、この蓄電素子では、340mAh/gの容量が出ており、前記第二ステージのBF12の容量約180mAh/gと比べると、340−180=160mAh/gが第一ステージに入っていることになる。
但し、完全に第一ステージになるには電圧不十分であり、4.5V以上が必要である。即ち、第一ステージは370−160=110mAh/g空いており、あと110mAh/g充電するためには更に電圧を上げて充電する必要がある。
一方、120mAh/g及び180mAh/gに、それぞれ理論容量120mAh/gとされるXC18第三ステージ、及び理論容量180mAh/gとされるXC12第二ステージに相当する変曲点が見られる。よって、より安全な電池とするために、過充電領域は120mAh/g以上、好ましくは180mAh/g以上とすることが好適である。
ここでLTOの比表面積の影響について説明する。
図4に比表面積の異なるLTOのレート特性を示す。縦軸は0.3Cで充電した容量に対して相対値で低減の割合が5%以内であるレート数である。但し、5Cが上限である。
図4から分かるように、比表面積6m/g以上で5Cレートの容量の低減なく充放電ができた。
参考までに図5に、1C、3.5C、5Cの各レートの充放電カーブを示す。
図6に比表面積の異なるLTOのサイクル特性を示す。
図6の縦軸のサイクル数は、0.3Cで充電した容量に対して、相対値で低減の割合が5%以上となった時のサイクル数である。但し、1000回が上限である。
図6から分かるように、比表面積は16m/g以下が好適であった。
特開2005−294780号公報 特開2008−124012号公報 特許第3539448号公報 特許第3920310号公報 特許第4081125号公報 特許第4194052号公報 特開2006−332627号公報 特開2006−332626号公報 特開2006−332625号公報 特開2008−042182号公報
J.Electrochem.Soc.,118,461

Claims (5)

  1. 少なくとも、金属リチウム及び/又はリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、負極に対する正極と、非水電解液から構成される非水電解液蓄電素子において、過充電領域に及ぶ充電及び該充電に対する放電を20回繰り返した後、21回目の充電容量が、SOC(State of Charge)=100%以上の容量を得ることができる条件で充電でき、前記負極が、比表面積が11±5m/gのチタン酸リチウムを含有することを特徴とする非水電解液蓄電素子。
    なお、ここでは、負極の電位がSOC=0%の時の電位に対して相対値で5%以上低下した電位を示す任意の容量をSOC=100%とする。
  2. 前記正極において、前記充電容量が340mAh/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液蓄電素子。
  3. 前記正極が、黒鉛粒子と、該黒鉛粒子を被覆する炭素層とを有する黒鉛−炭素複合粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液蓄電素子。
  4. 前記炭素層が結晶性炭素からなることを特徴とする請求項3に記載の非水電解液蓄電素子。
  5. 前記チタン酸リチウムが、リチウム化合物と酸化チタンを焼成して製造された、LiTi12で表されるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
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