JP2016125066A - 金属微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】還元性火炎中に、金属あるいは金属化合物よりなる粉体原料を投入し、該粉体原料を加熱・還元させることで金属微粒子本体51を生成する金属微粒子本体生成工程と、純水の噴霧量を調節した上で、金属微粒子本体51に対して純水を噴霧して、金属粒子本体51の表面を水酸基53で修飾させることで、金属微粒子本体51及び水酸基53を備えた金属微粒子54を生成する純水噴霧工程と、を有する。
【選択図】図2
Description
従来、バーナを用いて炉内に還元性火炎を形成し、その中で金属化合物を加熱・蒸発・還元処理することで、原料の金属化合物よりも粒径の小さい金属微粒子を製造することが行われている。
このような方法は、CVD装置を用いた気相化学反応法と比較して、原料に塩化物を使用しないことや、加熱方法が火炎による直接加熱であるため、低コストかつ安全に金属微粒子を製造することを可能とした。
これは、表面積が増大することで粒子表面の相互作用が生じることに起因しており、このことが細かい無機粒子のハンドリング性を悪化させており、その用途によっては、使用される製品の性能低下や開発の妨げとなる場合がある。
粒子表面が酸性の場合には、塩基性側の分散剤を選択する必要があり、粒子表面が塩基性の場合には、酸性側の分散剤を選択する必要がある。
このため、粒子表面に酸・塩基性を添加させる技術は、その目的や用途に応じた分散剤を選定する際に極めて重要な技術となる。
また、湿式還元法により生成した粒子には、粒子表面に水酸基が多く存在していることが一般的に知られている。
仮に、湿式還元法により生成された複数の粒子表面に水酸基が多く存在していたとしても、上記手法により微粒子を乾燥させると、粒子の分散性が悪化する恐れ(言い換えれば、粒子が凝集しやすくなる恐れ)があった。
また、特許文献1に開示された方法において、水酸基を付加させる工程は、微粒子を生成する工程と、は別の工程であると推測される。このように、水酸基を付加させる工程と、微粒子を生成する工程と、を別々の工程で行うと、微粒子の製造工程が増加し、煩雑になってしまうという問題があった。
図1は、本発明の実施の形態に係る金属微粒子の製造方法を実施する際に使用する金属微粒子製造装置の概略構成を模式的に示す図である。
図1において、X1,X2方向は、水平方向を示しており、Y1,Y2方向は、X1,X2方向と直交する鉛直方向(言い換えれば、反応炉25及びバーナ22の延在方向)を示している。
図1では、反応炉25を構成する反応炉本体45を断面で図示するとともに、バグフィルター37の内部構造が分かるように外壁の一部の図示を省略する。
また、図1に示すLは、反応炉25の上端25A(言い換えれば、反応炉本体45の上端)から球状化粒子本体に純水を噴霧する位置までの距離(以下、「距離L」という)を示している。
可燃性ガス供給ライン12は、他端が原料フィーダー14と接続されている。原料フィーダー14は、原料及び可燃性ガス供給ライン15の一端と接続されている。原料フィーダー14は、金属よりなる粉末原料を原料及び可燃性ガス供給ライン15に供給する。
支燃性ガス供給源16は、支燃性ガス供給ライン17の一端と接続されている。支燃性ガス供給源16は、支燃性ガス供給ライン17を介して、バーナ22に支燃性ガス(例えば、酸素や酸素富化空気)を供給する。支燃性ガス供給ライン17は、他端がバーナ22と接続されている。
図2において、Cは生成された金属微粒子本体51が落下する方向、D方向は純水が噴霧される方向、Eは噴霧された純水、Fは生成された金属微粒子54(この段階では、所望の粒径よりも大きな金属微粒子も含まれている)が反応炉本体45から導出される方向を示している。
反応炉本体45は、Y1,Y2方向に延在する筒状の冷却炉であり、その内部に筒状空間を有する。反応炉本体45の内壁のうち、純水導入部47及び金属微粒子導出部48の直上に位置する部分は、反応炉本体45の上端から下端に向かう方向に対して、幅が狭くなるような形状とされている。
このような形状とすることで、純水を噴霧させる前の段階で、生成された複数の金属微粒子本体51がばらばらな状態で落下することを抑制可能となるので、純水噴霧部31により、複数の金属微粒子本体51の全体に純水を噴霧させることができる。
金属微粒子導出部48は、反応炉25内において生成された金属微粒子54(この段階では、所望の粒径よりも大きな金属微粒子も含まれている)を粒子輸送ライン35に導出させる。
旋回流形成用窒素供給源27は、窒素供給ライン28の他端と接続されている。旋回流形成用窒素供給源27は、窒素供給ライン28に窒素を供給する。
このとき、使用目的に応じて純水の噴霧量を調節することで、複数の金属微粒子本体51の表面に所望の量の水酸基53を修飾させることが可能となり、得られた複数の金属微粒子54の凝集は抑制された状態となる。
噴霧された純水の平均粒径は、小さいことが好ましい。噴霧された純水の平均粒径は、例えば、100μm以下に設定するとよい。これにより、反応炉本体45内において、噴霧された純水を効率良く水蒸気にすることができる。
バグフィルター37は、第1の排気ライン39の一端と接続されている。バグフィルター37の下端からは、所望の粒径とされ、かつ金属微粒子本体51及び水酸基53を備えた複数の金属微粒子54が回収される。
本実施の形態の金属微粒子の製造方法は、反応炉25内においてバーナ22の先端22Aに形成された還元性火炎B中に、金属あるいは金属化合物よりなる粉体原料を分散された状態で投入し、分散された粉体原料を加熱・還元させることで複数の金属微粒子本体51を生成(金属微粒子本体生成工程)した後、純水の噴霧量を調節した上で、複数の金属微粒子本体51に対して純水を噴霧して、複数の金属粒子本体51の表面を水酸基53で修飾させて、金属微粒子本体51及び水酸基53を備えた金属微粒子54を生成(純水噴霧工程)する。
したがって、別々の装置内において、金属微粒子本体生成工程と、純水噴霧工程と、を行う場合と比較して、金属微粒子54の製造工程を簡略化することができる。
また、純水の噴霧量を調節することで、複数の金属微粒子本体51の表面に所望の量の水酸基を修飾させることが可能となる。
図3を参照するに、金属微粒子製造装置60は、図1に示す金属微粒子製造装置10を構成する噴霧供給ライン32を構成要素から除き、純水噴霧部31を反応炉25の上端よりも上方に配置し、還元性火炎Bに対して、直接、純水を噴霧させた構成とされている以外は、金属微粒子製造装置10と同様な構成とされている。
図3に示す金属微粒子製造装置60を用いて金属微粒子を製造することで、還元性火炎Bの近傍において、複数の金属微粒子本体51に対して純水を噴霧することが可能となるので、金属微粒子本体51の表面に水酸基を効率良く修飾させることができる。
また、図3に示す金属微粒子製造装置60を用いた金属微粒子の製造方法は、先に説明した図1に示す金属微粒子製造装置10を用いた金属微粒子の製造方法と同様な効果を得ることができる。
図4に示す金属微粒子製造装置70を用いて金属微粒子を製造することで、図3に示す金属微粒子製造装置60を用いた場合よりも還元性火炎Bの近傍において、複数の金属微粒子本体51に対して純水を噴霧することが可能となるので、金属微粒子本体51の表面に水酸基をさらに効率良く修飾させることができる。
また、図4に示す金属微粒子製造装置70を用いた金属微粒子の製造方法は、先に説明した図1に示す金属微粒子製造装置10を用いた金属微粒子の製造方法と同様な効果を得ることができる。
実験例1では、図1に示す金属微粒子製造装置10を用いた。ここで、実験例1で使用した装置構成について説明する。
図6は、図5に示すバーナをG視した平面図である。図6において、図5に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
バーナ22は、バーナ本体75と、冷却部76と、を有する。バーナ本体75は、複数の筒状部材で構成されており、その先端側には、円錐台形状とされた凹部である燃焼室81が設けられている。燃焼室81は、バーナ22の基端側から先端側に向かう方向に対して、拡径された形状とされている。
バーナ本体75の中央の平坦な部分のうち、複数の原料噴出孔83よりも外側に位置する部分には、複数の第1の支燃性ガス噴出孔84が設けられている。複数の第1の支燃性ガス噴出孔84は、中心線Jを中心とする円周上に配置されている。
冷却部76は、冷却水が流れる水路を有しており、バーナの先端部を冷却する機能を有する。
このとき、表1に示す条件を用い、純水を霧化添加する際の反応炉25内の温度を600℃とした。
各LNG条件で生成された金属微粒子の比表面積を、株式会社マウンテック社製の測定器であるMacsorbを用いて測定した。この結果を表1に示す。
表1に示す「金属微粒子の比表面積」とは、生成された金属微粒子のうち、1gの金属微粒子が保有する表面積の合計の表面積を示している。
表1に示すように、LNGが20Nm3/hのときの比表面積が6.0〜6.3m2/gとなり、LNGが30Nm3/hのときの比表面積が8.2〜8.4m2/gとなり、LNGが40Nm3/hのときの比表面積が9.9〜10.2となった。
図7に示す水酸基量は、生成した金属微粒子から無水酢酸を分解した溶液を作製し、京都電子工業株式会社製の電位差自動滴定装置AT−710を用いて、該溶液を測定することで取得した。
なお、図7において、水蒸気量比は、各LNG流量の条件において、純水を添加しない場合を1としたときの比率である。また、水酸化量比は、各LNG流量において水蒸気を添加しなかった場合を1としたときの比率である。
実験例2では、表2に示す金属ニッケル微粒子の製造条件において、噴霧する純水の量を10L/hとし、純水が噴霧される領域の反応炉25内の温度を200℃〜800℃の範囲内で変化させたときに生成されたニッケル微粒子の塩基点量を評価した。この結果を図8に示す。なお、純水が噴霧される領域の反応炉25内の温度は、図1に示す距離Lを変えることで調整した。
図8を参照するに、上記温度が400℃以上のときに、純水を噴霧させることで水酸基点量が増加し、水酸基がよりよく修飾された。
Claims (7)
- 反応炉内に還元性火炎を形成するバーナを用いた金属微粒子の製造方法であって、
前記還元性火炎中に、金属あるいは金属化合物よりなる粉体原料を投入し、該粉体原料を加熱・還元させることで金属微粒子本体を生成する金属微粒子本体生成工程と、
前記純水の噴霧量を調節した上で、前記金属微粒子本体に対して純水を噴霧して、前記金属粒子本体の表面を水酸基で修飾させることで、前記金属微粒子本体及び前記水酸基を備えた金属微粒子を生成する純水噴霧工程と、
を有することを特徴とする金属微粒子の製造方法。 - 前記反応炉内の領域のうち、前記純水が噴霧される領域の温度を400℃以上にすることを特徴とする請求項1記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記純水噴霧工程では、前記反応炉内のうち、前記還元性火炎が形成される位置よりも下方において、前記金属微粒子本体に対して前記純水を噴霧することを特徴とする請求項1または2記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記純水噴霧工程では、前記反応炉の側壁を介して、前記純水を噴霧することを特徴とする請求項3記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記純水噴霧工程では、前記還元性火炎中に位置する前記金属粒子本体に対して、前記純水を噴霧することを特徴とする請求項1または2記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記純水噴霧工程では、開放端とされた前記反応炉の上端を介して、前記純水を噴霧することを特徴とする請求項5記載の金属微粒子の製造方法。
- 前記純水噴霧工程では、前記バーナの先端から前記純水を噴霧することを特徴とする請求項5記載の金属微粒子の製造方法。
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