JP2016123574A - X線ct装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便に精度よく回転バランスを調整すること。【解決手段】実施形態のX線CT装置は、回転機構と、ガイドレールと、を備える。回転機構は、X線管と、前記X線管と対向する位置で前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器とを保持して回転する。ガイドレールは、前記回転機構の回転方向に沿った少なくとも一部の領域に設けられ、前記回転方向に沿って複数のウエイトを移動可能に保持する。【選択図】図1A
Description
本発明の実施形態は、X線CT装置に関する。
従来、X線CT装置では、架台装置の振動測定結果を基に、回転部の数か所に設けられているウエイト搭載場所のウエイト量を調整している。また、回転速度の高速化及びX線検出器の高性能化に伴い、高精細な画像を得るためにも精密な回転バランスの調整が求められている。ここで、回転バランスが調整されている状態とは、回転部の重心と回転部の回転中心とにズレが生じていない場合を示す。言い換えると、回転部の重心と回転部の回転中心とにズレが生じている場合、回転部はアンバランスであり回転バランスの調整が求められる状態である。
本発明が解決しようとする課題は、簡便に精度よく回転バランスを調整することができるX線CT装置を提供することである。
実施形態のX線CT装置は、回転機構と、ガイドレールと、を備える。回転機構は、X線管と、前記X線管と対向する位置で前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器とを保持して回転する。ガイドレールは、前記回転機構の回転方向に沿った少なくとも一部の領域に設けられ、前記回転方向に沿って複数のウエイトを移動可能に保持する。
以下、添付図面を参照して、X線CT(CT:Computed Tomography)装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1Aは、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す正面図(1)であり、図1Bは、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す側面図(1)である。第1の実施形態に係るX線CT装置は、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを備えるが、図1A及び図1Bでは、架台装置10のみを図示している。なお、寝台装置20及びコンソール装置30については、図4を用いて詳述する。また、図1A及び図1Bに示すように、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。すなわち、X軸は水平方向を示し、Y軸は鉛直方向を示し、Z軸は架台装置10の前後方向を示す。直交座標系において、矢印で示す方向を正方向とする。
図1Aは、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す正面図(1)であり、図1Bは、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す側面図(1)である。第1の実施形態に係るX線CT装置は、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを備えるが、図1A及び図1Bでは、架台装置10のみを図示している。なお、寝台装置20及びコンソール装置30については、図4を用いて詳述する。また、図1A及び図1Bに示すように、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。すなわち、X軸は水平方向を示し、Y軸は鉛直方向を示し、Z軸は架台装置10の前後方向を示す。直交座標系において、矢印で示す方向を正方向とする。
第1の実施形態に係るX線CT装置の架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する。この架台装置10は、図1A及び図1Bに示すように、回転フレーム15と支持部60とを有する。支持部60は、回転フレーム15を支持する。回転フレーム15は、X線管球12aと、X線管球12aと対向する位置でX線管球12aから照射されたX線を検出するX線検出器13とを保持して回転する。寝台装置20は、被検体Pを載せる。コンソール装置30は、操作者によるX線CT装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された投影データからCT画像データを再構成する。
このようなX線CT装置では、精密に短時間に回転バランスを調整するために、架台装置10にバランス調整機構が設けられる。以下では、バランス調整機構について説明する。
図1A及び図1Bに示すように、回転フレーム15には、ガイドレール40a及びガイドレール40bが形成される。なお、以下では、ガイドレール40a及びガイドレール40bを区別しない場合には、ガイドレール40と表記する。
ガイドレール40は、回転フレーム15の回転方向に沿った少なくとも一部の領域に設けられ、回転フレーム15の回転方向に沿って複数のウエイト41a、41b、41c及び41dを移動可能に保持する。このガイドレール40は、強度を確保し、かつ、経年変化に耐えうる素材であればよく、例えば、樹脂やプラスチック、金属等で形成される。
また、図1Aに示すように、ガイドレール40は、回転フレーム15の回転方向の全周囲に渡って設けられる。なお、図1Aに示す例では、ガイドレール40aのみを図示しているが、ガイドレール40bもガイドレール40aと同様に、回転フレーム15の回転方向の全周囲に渡って設けられる。また、図1Bに示すように、ガイドレール40は、回転フレーム15の回転フレーム15の回転軸の方向の異なる位置に複数設けられる。ここで、回転フレーム15の回転軸の方向とは、架台装置10の前後方向であり、直交座標系のZ軸方向である。なお、以下では、各ウエイト41a、41b、41c及び41dを区別しない場合には、ウエイト41と表記する。
ウエイト41は、例えば、球状に形成される。このウエイト41は、回転フレーム15が回転することで生じる遠心力によってガイドレール40に沿って移動可能である。なお、ウエイト41は、ガイドレールを自由に動くことが可能であれば、形状は球状に制約されるものではない。また、ガイドレール40とウエイト41との摩擦が小さければ、バランス調整機構の調整精度が向上する。このため、ガイドレール40とウエイト41との摩擦が小さくなるように、ガイドレール40又はウエイト41の材質が選択されることが好ましい。また、ウエイト41の幅と、ガイドレール40においてウエイト41が移動する溝の幅とが略同一である場合に、バランス調整精度が向上する。このため、ウエイト41の幅と、ガイドレール40においてウエイト41が移動する溝の幅とが略同一であることが望ましい。
このように回転フレーム15の円周方向には、自由に移動可能な2つ以上のウエイト41と、ウエイト41が移動するためのガイドレール40とから構成されるバランス調整機構が設けられる。そして、この回転フレーム15を回転させると、静止していたウエイト41がガイドレール40との摩擦力により次第に回転フレーム15と共に回転するようになる。回転フレーム15がアンバランスで偏心しながら回転している場合、ウエイト41は遠心力により偏心が小さくなる位置に移動する。偏心量が十分に小さくなるとウエイト41の移動が止まり、回転フレーム15の回転バランスが調整された状態になる。なお、回転フレーム15がアンバランスで偏心しながら回転している場合とは、回転フレーム15の重心と回転フレーム15の回転中心とにズレが生じている状態を示す。また、偏心量とは、偏心の度合いを示し、例えば、回転フレーム15の回転中心と回転フレーム15の重心との距離によって表される。
ところで、X線CT装置では支持部60の剛性が高いため、回転フレーム15の重心のずれ量に対して偏心量が小さい。また、回転バランスの調整は、重心のずれ量に対する偏心量が大きい程、ウエイト41がガイドレール40に沿って移動しやすくなるので、精度よく行える。このため、第1の実施形態では、バランス調整処理の実行時のみ回転フレーム15が偏心し易くする機構を更に設ける。図2Aは、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す正面図(2)であり、図2Bは、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す側面図(2)である。
図2A及び図2Bに示すように、支持部60は、伸縮性を有する連結部材70a及び70bを有し、回転フレーム15を支持する。連結部材70a及び70bは、例えばバネやエアークッション或いはダンパー(ショックアブソーバー)等の弾性部材である。支持部60は、連結部材70a及び70bの伸縮が制限された第1の状態で連結部材70a及び70bとともに回転フレーム15を支持可能であり、かつ、連結部材70a及び70bが自然長に対して伸縮可能な第2の状態で連結部材70a及び70bを介して回転フレーム15を支持可能である。
例えば、支持部60と回転フレーム15とが、図1A及び図1Bに示したようにボルトなどで結合され、支持部60が連結部材70a及び70bとともに回転フレーム15を支持する場合、連結部材70a及び70bは、伸縮が制限された第1の状態である。言い換えると、支持部60が回転フレーム15を直接的に支持する場合、連結部材70a及び70bは、伸縮が制限された第1の状態である。また、例えば、図2A及び図2Bに示すように支持部60と回転フレーム15とからボルトが外され、支持部60が連結部材70a及び70bを介して回転フレーム15を間接的に支持する場合、連結部材70a及び70bは、自然長に対して伸縮可能な第2の状態である。連結部材70a及び70bが自然長に対して伸縮可能な第2の状態では、回転フレーム15は、偏心しやすくなる。このようなことから、第1の実施形態に係るバランス調整処理の実行時には、回転フレーム15が偏心しやすくなるように支持部60と回転フレーム15とからボルトが外される。また、これにより、ウエイト41は遠心力により偏心が小さくなる位置に移動しやすくなる。
また、複数のウエイト41が回転フレーム15の偏心量が最小となる位置まで移動した後に、回転フレーム15の回転を停止すると、重力によりウエイト41が下方に移動してしまう。このため、ガイドレール40は、回転フレーム15の偏心量が最小となる位置で複数のウエイト41を固定する固定部50を有する。図3Aは、第1の実施形態に係る固定部の構成を示す図(1)であり、図3Bは、第1の実施形態に係る固定部の構成を示す図(2)である。なお、図3A及び図3Bでは、例えば、図2Aで示す位置にあるウエイト41aをX軸方向から見た場合を示す。
図3A及び図3Bに示すように、ガイドレール40は、固定部50を有する。この固定部50は、例えば、伸縮性のある部材で形成される。一例をあげると、固定部50は、ガイドレールの一面をゴムで形成したものである。また、この固定部50は、遠心力が作用する方向側以外に設けられる。図3A及び図3Bでは、固定部50が、例えば、ガイドレール40と回転フレーム15とが接する側に設けられる場合を示す。なお、固定部50は、Z軸方向において架台装置10の前方或いは後方に設けられてもよい。
ここで、ガイドレール40内に空気を注入すると、ゴムである固定部50が伸びる。かかる場合、ウエイト41は、図3Bに示すように自由に移動可能な状態となる。一方で、ガイドレール40から空気を抜くと、ゴムである固定部50が縮む。かかる場合、ウエイト41は、図3Aに示すようにゴムとの摩擦により固定された状態となる。このようなことから、複数のウエイト41が回転フレーム15の偏心量が最小となる位置まで移動した場合に、ガイドレール40から気体を吸引し、固定部50は、気体がガイドレール40から吸引されることで収縮し、複数のウエイト41を固定する。なお、回転フレーム15の偏心量が最小となる位置まで複数のウエイト41が移動したか否かについては、後に詳述する制御部38によって判定される。
次に、図4を用いて、X線CT装置の各部の機能について説明する。図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置の機能構成を示す機能ブロック図である。なお、図4に示す例では、ガイドレール40の図示を省略し、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを図示する。図4に示すように、架台装置10は、X線照射制御部11と、X線発生装置12と、X線検出器13と、収集部14と、回転フレーム15と、架台駆動部16と、気体量制御部17とを有する。
回転フレーム15は、X線発生装置12とX線検出器13とを被検体Pの周囲で回転可能に支持する。回転フレーム15は、X線発生装置12とX線検出器13とを被検体Pを挟んで対向支持し、後述する架台駆動部16によって被検体Pを中心とした円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置である。X線発生装置12は、X線管球12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。X線検出器13は、X線発生装置12から曝射され被検体Pを透過したX線を検出する。具体的には、X線検出器13は、2次元状に配列されたX線検出素子により、X線管球12aから曝射されて被検体Pを透過したX線を検出する。
X線照射制御部11は、高電圧発生部として、X線管球12aに高電圧を供給する装置であり、X線管球12aは、X線照射制御部11から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御部11は、X線管球12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。また、X線照射制御部11は、コリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。X線照射制御部11の制御により、X線管球12aは、フル再構成用に被検体Pの全周囲でX線を連続曝射したり、ハーフ再構成用にハーフ再構成可能な曝射範囲(180度+ファン角)でX線を連続曝射したりすることが可能である。
架台駆動部16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置12とX線検出器13とを旋回させる。
収集部14は、DAS(Data Acquisition System)であり、X線検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。
気体量制御部17は、ガイドレール40内の気体量を制御する。例えば、気体量制御部17は、後述する制御部38の指示にしたがって、ガイドレール40への空気の流入と吸引とを制御する。具体的には、気体量制御部17は、バランス調整時に回転フレーム15の回転を開始させる場合、空気をガイドレール40に流入させる流入指示を制御部38から受付ける。この流入指示を受付けると、気体量制御部17は、空気をガイドレール40に流入させる。これにより、固定部50が伸びるので、ウエイト41は、ガイドレール40に沿って自由に移動可能となる。また、気体量制御部17は、複数のウエイト41が回転フレーム15の偏心量が最小となる位置まで移動した場合、空気をガイドレール40から吸引する吸引指示を制御部38から受付ける。この吸引指示を受付けると、気体量制御部17は、空気をガイドレール40から吸引する。これにより、固定部50は、気体量制御部17によって気体がガイドレール40から吸引されることで収縮し、複数のウエイト41を固定する。なお、気体は、空気に限定されるものではなく、安全性が確保されるものであれば、窒素ガス、炭酸ガス及びヘリウムガス等でもよい。
寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、天板22と、寝台駆動装置21とを有する。天板22は、被検体Pが載置される板である。寝台駆動装置21は、後述するスキャン制御部33の制御のもと、天板22をX軸方向又はY軸方向へ移動可能である。
コンソール装置30は、入力装置31と、表示装置32と、スキャン制御部33と、前処理部34と、投影データ記憶部35と、画像再構成部36と、画像記憶部37と、制御部38とを有する。
入力装置31は、X線CT装置の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、ボタン、ペダル(フットスイッチ)等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、制御部38に転送する。
表示装置32は、操作者が参照するモニタであり、制御部38による制御のもと、X線CT画像データを操作者に表示したり、入力装置31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、操作者は、検査情報登録用のGUIに、天板22に載置された被検体Pの撮影時における体位等の検査情報を、入力装置31を用いて入力する。
スキャン制御部33は、後述する制御部38の制御のもと、X線照射制御部11、架台駆動部16、収集部14、及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、架台装置10における投影データの収集処理を制御する。また、スキャン制御部33は、制御部38から送られた流入指示及び吸引指示を気体量制御部17に送る。
前処理部34は、収集部14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。
投影データ記憶部35は、前処理部34により生成された補正済みの投影データを記憶する。また、投影データ記憶部35は、収集部14により収集された投影データも記憶する。
画像再構成部36は、投影データ記憶部35が記憶する投影データを用いて各種画像データを生成する処理部である。画像記憶部37は、画像再構成部36が生成した各種画像データを記憶する。
制御部38は、架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置30の動作を制御することによって、X線CT装置の全体制御を行う。具体的には、制御部38は、スキャン制御部33を制御することで、架台装置10で行なわれるスキャンを制御する。また、制御部38は、前処理部34や、画像再構成部36を制御することで、コンソール装置30における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、制御部38は、画像記憶部37が記憶する各種画像データを、表示装置32に表示するように制御する。
また、制御部38は、回転フレーム15の回転を開始させた場合、気体量制御部17に流入指示を送る。これにより、固定部50が伸びるので、ウエイト41は、回転フレーム15が回転することで生じる遠心力によってガイドレール40に沿って移動可能となる。
また、制御部38は、偏心量が最小となる位置に複数のウエイト41が到達したか否かを判定する。例えば、制御部38は、回転フレーム15の回転開始後、経過した時間を計測する。そして、制御部38は、所定の時間が経過した場合に、偏心量が最小となる位置に複数のウエイト41が到達したと判定する。かかる場合、制御部38は、気体量制御部17に吸引指示を送る。これにより、固定部50が縮むので、複数のウエイト41が固定部50によって固定される。なお、制御部38のことを判定部とも言う。
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例について説明する。図5は、第1の実施形態に係るX線CT装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5に例示するように、第1の実施形態に係るX線CT装置の制御部38は、バランス調整処理の実行を受付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、制御部38は、バランス調整処理の実行を受付けたと判定しなかった場合(ステップS101、No)、引き続きバランス調整処理の実行を受付けたか否かを判定する。
一方、制御部38は、バランス調整処理の実行を受付けたと判定した場合(ステップS101、Yes)、ボルトの除去を指示する情報を出力する(ステップS102)。これにより、操作者によって、回転フレーム15と支持部60とを結合するボルトが除去される。そして、制御部38は、ボルトが除去された旨の指示を受付けたか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、制御部38は、ボルトが除去された旨の指示を受付けたと判定しなかった場合(ステップS103、No)、引き続きボルトが除去された旨の指示を受付けたか否かを判定する。一方、制御部38は、ボルトが除去された旨の指示を受付けたと判定した場合(ステップS103、Yes)、回転フレーム15の回転を開始させる(ステップS104)。
続いて、制御部38は、気体量制御部17に指示して、ガイドレール40に空気を注入させる(ステップS105)。続いて、制御部38は、回転フレーム15の回転を開始させてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS106)。なお、この所定時間は、複数のウエイト41が回転フレーム15の偏心量が最小となる位置まで移動するのに要する時間より長めに設定される。この所定時間は、例えば、操作者の経験に基づき事前に設定される。ここで、制御部38は、回転フレーム15の回転を開始させてから所定時間が経過したと判定しなかった場合(ステップS106、No)、引き続き所定時間が経過したか否かを判定する。
一方、制御部38は、回転フレーム15の回転を開始させてから所定時間が経過したと判定した場合(ステップS106、Yes)、気体量制御部17に指示して、ガイドレール40から空気を吸引させる(ステップS107)。
続いて、制御部38は、回転フレーム15の回転を停止させる(ステップS108)。そして、制御部38は、ボルトでの固定を指示する情報を出力する(ステップS109)。
続いて、第1の実施形態に係るX線CT装置により得られる効果について、従来技術に係るX線CT装置との比較により説明する。図6は、従来技術に係るX線CT装置によるバランス調整処理の一例を示す図である。図6では、従来技術に係るX線CT装置を正面から見た場合を示す。図6に示すように、従来技術に係るX線CT装置は、ウエイト920a及びウエイト920bを回転フレーム915内に搭載することでバランスを調整していた。ここで、従来技術に係るX線CT装置では、ウエイト920a及びウエイト920bを搭載する場所が限られていた。このため、従来技術に係るX線CT装置では、調整精度に限界があった。
一方で、第1の実施形態に係るX線CT装置では、ウエイト41が円周方向に連続的に移動可能なため、回転バランス調整の自由度が高く、精度よく調整ができる。これにより、架台装置10において回転フレーム15の振動を抑えることができ、より高精細なX線CT画像を再構成することができる。
また、従来技術に係るX線CT装置では、メンテナンスや故障対応などの際に、ウエイト920a及びウエイト920bを着脱し、再調整していた。この点、第1の実施形態に係るX線CT装置では、回転フレーム15の振動測定やウエイト41の付け外しが不要である。このため、自動でバランス調整が行えるため、メンテナンス性が向上する。
また、上述した第1の実施形態では、図1Bの側面図に示すように、ガイドレール40を回転フレーム15の前後2箇所に取り付ける。これにより、回転フレーム15の前方と後方それぞれの位置での重心のずれ量を修正でき、動的な回転バランス調整を行うことができる。
(第1の実施形態の変形例)
なお、上述した第1の実施形態で説明したバランス調整処理は、上述した処理に限定されるものでなく、種々の異なる形態にて実施されて良い。以下、第1の実施形態に係る変形例について、図7〜図9を用いて説明する。図7〜図9は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図である。
なお、上述した第1の実施形態で説明したバランス調整処理は、上述した処理に限定されるものでなく、種々の異なる形態にて実施されて良い。以下、第1の実施形態に係る変形例について、図7〜図9を用いて説明する。図7〜図9は、第1の実施形態に係る変形例を説明するための図である。
まず、第1の実施形態の変形例について図7を用いて説明する。上述した第1の実施形態では、ガイドレール40が、回転フレーム15の回転方向の全周囲に渡って設けられる場合について説明した。ところで、ガイドレール40は、回転フレーム15の全周ではなく、部分的に円弧上に設けられてもよい。例えば、図7に示すように、第1の実施形態に係る第1変形例に係る架台装置10は、回転フレーム15において、円弧上のガイドレール140a及びガイドレール140bが設けられる。言い換えると、ガイドレール140a及びガイドレール140bは、回転フレーム15の回転方向の全周囲の一部に分散して複数設けられる。
ここで、X線CT装置では、回転フレーム15内に取り付けられるユニットの配置が決まっている。例えば、X線発生装置12に対してX線検出器13は、X線発生装置12に対して対向する位置に配置される。また、X線発生装置12の近傍には、冷却ユニットが設けられる場合が多い。このように、回転フレーム15内の配置が予め決まることから、重心がずれる方向がある程度予測可能である。そこで、第1の実施形態に係る第1変形例では、この重心のずれを補正可能な位置にガイドレール140a及びガイドレール140bを配置する。これによりX線CT装置の軽量化や、ウエイト41の移動範囲を制限することが可能になるため、ウエイト41が所望の位置に早く到達できる。これにより、バランスを調整するために要する時間を短縮することができる。
また、上述した第1の実施形態では、図1Bの側面図に示すように、ガイドレール40を回転フレーム15の前後2箇所に取り付ける場合について説明したが実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、第1の実施形態の変形例に係るX線CT装置の架台装置10では、ガイドレール40を回転フレーム15の中央付近の1箇所だけに取り付ける。或いは、図9に示すように、第1の実施形態の変形例に係るX線CT装置の架台装置10では、ガイドレール40を回転フレーム15の中央付近の3箇所に取り付ける。
また、制御部38は、回転フレーム15の回転を開始させてから所定時間が経過したと判定した場合に、気体量制御部17に指示して、ガイドレール40に空気を注入させて固定部50でウエイト41を固定するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、回転フレーム15の振動を測定する測定器を更に備えるようにし、制御部38は、測定器によって測定される周期的振動がおさまったか否かを判定するようにしてもよい。より具体的には、制御部38は、測定器によって測定される周期的振動の振幅が所定の閾値以下となった場合に、周期的振動がおさまったと判定する。言い換えると、制御部38は、測定器によって測定される周期的振動の振幅が所定の閾値以下となった場合に、複数のウエイト41が回転フレーム15の偏心量が最小となる位置まで移動したと判定する。かかる場合、制御部38は、気体量制御部17に吸引指示を送ることで、ガイドレール40から空気を吸引させて固定部50でウエイト41を固定する。
また、ガイドレール40は、ウエイトの出し入れが可能な出入口を有するようにしてもよい。このように、ガイドレール40にウエイト41の取付けや取外しのための機構を設けると、ウエイト41の種類や数量を自由に変えることができる。これにより、バランスの調整範囲を広げることができる。また、複数のウエイト41の少なくともいずれか一つのウエイト41の種類が他のウエイト41の種類と異なるようにしてもよい。
また、ガイドレール40又はガイドレール140は、複数の部材に分解可能に形成されてもよい。また、ガイドレール40又はガイドレール140は、回転フレーム15の内部に設けられてもよい。かかる場合には、ガイドレール40又はガイドレール140は、支持部60又は支持部160の位置の制約を受けずに、自由な位置に取り付け可能となる。
また、X線CT装置は、固定部50を有さずに構成されてもよい。かかる場合、回転フレーム15を所定時間予め回転させてから、X線CT画像を撮像する。そして、画像再構成部36は、複数のウエイト41が回転フレーム15の偏心量が最小となる位置まで移動した状態でX線検出器13により検出された信号を用いて、X線CT画像を再構成する。
なお、支持部60と回転フレーム15とが、例えば、ボルトなどで結合されることで連結部材70a及び70bが収縮した状態となり、ボルトが外されることで、連結部材70a及び70bが伸張した状態となる。ここで、支持部60と回転フレーム15との結合は、操作者の手作業によるものに限定されず、X線CT装置により自動化されてもよい。
また、上述した実施形態では、バランス調整時に空気量制御部17が空気をガイドレール40に流入させることでウエイト41を自由に移動させ、ウエイトの固定時に空気量制御部17が空気をガイドレール40から吸引することでウエイト41を固定するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、固定部50が自然状態でもウエイト41と接しない場合、空気量制御部17は、バランス調整時に空気をガイドレール40に流入させなくてもよい。なお、かかる場合、空気量制御部17は、ウエイトの固定時に空気をガイドレール40から吸引することでウエイト41を固定する。或いは、固定部50が自然状態でウエイト41と接してウエイト40を固定可能な場合、空気量制御部17は、バランス調整時に空気をガイドレール40に流入させることでウエイト41を自由に移動させる。そして、空気量制御部17は、固定時に、ガイドレール40から空気を抜くだけで良く、空気をガイドレール40から吸引しなくてもよい。
また、上述した実施形態では、固定部50は、例えばゴムのように伸縮性のある部材で形成されるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、固定部50は、ガイドレール40内の気体量が増加又は減少されることで状態変化する部材で形成され、ガイドレール40内の気体量が増加又は減少されることによってウエイト41を固定したり自由に移動させたりすることを制御可能であれば、伸縮性のない布等の繊維やビニール等の樹脂で形成されてもよい。かかる場合、気体量制御部17は、偏心量が最小となる位置に複数のウエイトが到達したと制御部38によって判定された場合に、ガイドレール内の気体量を減少させる。これにより、固定部50は、気体量制御部17によってガイドレール内の気体量が減少されることで状態変化し、複数のウエイト41を固定する。
また、固定部50は、気体量制御部17によってガイドレール40内の気体量の増減が制御されること以外の方法で複数のウエイト41を固定するように構成されてもよい。図10A及び図10Bを用いて、第1の実施形態の変形例に係る固定部150について説明する。図10Aは、第1の実施形態の変形例に係る固定部150の構成を示す図(1)であり、図10Bは、第1の実施形態の変形例に係る固定部150の構成を示す図(2)である。なお、図10A及び図10Bでは、例えば、図2Aで示す位置にあるウエイト41aをX軸方向から見た場合を示す。また、図10Aでは、バランス調整時における固定部150を示し、図10Bでは、ウエイト41の固定時における固定部150を示す。
図10A及び図10Bに示すように、第1の実施形態の変形例に係るガイドレール240は、ウエイト41を包囲するように形成される。また、図10Aに示すように、バランス調整時のガイドレール240には、矩形状の固定部150が4つ埋設されている。図10Aに示す状態では、ウエイト41は、回転フレーム15が回転することで生じる遠心力によってガイドレール240に沿って移動可能である。なお、固定部150の形状は、矩形に限定されるものではなく、例えば、凸状であってもよい。
そして、偏心量が最小となる位置に複数のウエイト41が到達した場合、固定部150は、ガイドレール240内から突出して、ガイドレール240においてウエイト41の移動面上に出現する。この固定部150は、図10Bに示すように、ガイドレール240とウエイト41との間の空間に出現することで、ウエイト41をガイドレール240上で固定する。なお、固定部150の数は、ウエイト41を固定可能であれば任意に変更可能である。また、バランス調整時にウエイト41を自由に移動させることが可能であり、かつ、ウエイトの固定時にウエイト41を固定可能であれば、固定部150が設置される場所は任意に変更可能である。
また、図10A及び図10Bに示す固定部150の突出は、ガイドレール240内に設けられた固定部制御部17aによって制御される。この固定部制御部17aは、ガイドレール240に設置された固定部150の、ガイドレール240内への格納及びガイドレール240からの取り出しを制御する。例えば、固定部制御部17aは、バランス調整時に回転フレーム15の回転を開始させる場合、制御部38から指示を受付けることで、ガイドレール240に固定部150を埋設させる。これにより、ガイドレール240とウエイト41との間に空間が生じるので、ウエイト41は、ガイドレール240に沿って自由に移動可能となる。そして、固定部制御部17aは、複数のウエイト41が回転フレーム15の偏心量が最小となる位置まで移動した場合、制御部38から指示を受付けることで、固定部150をガイドレール240とウエイト41との間の空間に出現させる。これにより、固定部150は、複数のウエイト41を固定する。
なお、上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、簡便に精度よく回転バランスを調整することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
15 回転フレーム
40 ガイドレール
40 ガイドレール
Claims (13)
- X線管と、前記X線管と対向する位置で前記X線管から照射されたX線を検出するX線検出器とを保持して回転する回転機構と、
前記回転機構の回転方向に沿った少なくとも一部の領域に設けられ、前記回転方向に沿って複数のウエイトを移動可能に保持するガイドレールと、
を備える、X線CT装置。 - 伸縮性を有する連結部材を有し、前記連結部材の伸縮が制限された第1の状態で前記連結部材とともに前記回転機構を固定して支持可能であり、かつ、前記連結部材が自然長に対して伸縮可能な第2の状態で前記連結部材を介して前記回転機構を固定せずに支持可能な支持部を更に備える、請求項1に記載のX線CT装置。
- 前記ガイドレールは、前記回転機構の偏心量が最小となる位置で前記複数のウエイトを固定する固定部を有する、請求項1又は2に記載のX線CT装置。
- 前記回転機構の回転後、所定の時間が経過した場合に、前記偏心量が最小となる位置に前記複数のウエイトが到達したと判定する判定部を更備え、
前記固定部は、前記偏心量が最小となる位置に前記複数のウエイトが到達したと前記判定部によって判定された場合に、前記複数のウエイトを固定する、請求項3に記載のX線CT装置。 - 前記回転機構の回転後、前記回転機構の周期的振動を検出する検出器によって検出された周期的振動の振幅が、所定の範囲内である場合に、前記偏心量が最小となる位置に前記複数のウエイトが到達したと判定する判定部を更備え、
前記固定部は、前記偏心量が最小となる位置に前記複数のウエイトが到達したと前記判定部によって判定された場合に、前記複数のウエイトを固定する、請求項3に記載のX線CT装置。 - 前記ガイドレール内の気体量の増減を制御する気体量制御部を更に備え、
前記気体量制御部は、前記偏心量が最小となる位置に前記複数のウエイトが到達したと前記判定部によって判定された場合に、前記ガイドレール内の気体量を減少させ、
前記固定部は、前記気体量制御部によって前記ガイドレール内の気体量が減少されることで状態変化し、前記複数のウエイトを固定する、請求項4又は5に記載のX線CT装置。 - 前記ガイドレールに設置された前記固定部の、前記ガイドレール内への格納及び前記ガイドレールからの取り出しを制御する固定部制御部を更に備え、
前記固定部制御部は、前記偏心量が最小となる位置に前記複数のウエイトが到達したと前記判定部によって判定された場合に、前記固定部を前記ガイドレールと前記ウエイトとの間の空間に出現させ、
前記固定部は、前記固定部制御部によって、前記ガイドレールにおいて前記ウエイトの移動面上に出現することで、前記複数のウエイトを固定する、請求項4又は5に記載のX線CT装置。 - 前記ガイドレールは、前記回転機構の回転軸の方向の異なる位置に複数設けられる、請求項1〜7のいずれか一つに記載のX線CT装置。
- 前記ガイドレールは、前記回転機構の回転方向の全周囲に渡って設けられる、請求項1〜8のいずれか一つに記載のX線CT装置。
- 前記ガイドレールは、前記回転機構の回転方向に沿った領域に複数設けられる、請求項1〜8のいずれか一つに記載のX線CT装置。
- 前記ガイドレールは、ウエイトの出し入れが可能な出入口を有する、請求項1〜10のいずれか一つに記載のX線CT装置。
- 前記複数のウエイトの少なくともいずれか一つのウエイトの種類が他のウエイトの種類と異なる、請求項1〜11のいずれか一つに記載のX線CT装置。
- 前記複数のウエイトが前記回転機構の偏心量が最小となる位置まで移動した状態で前記X線検出器により検出された信号を用いて、X線CT画像を再構成する再構成部を更に備える、請求項1〜12のいずれか一つに記載のX線CT装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014266052A JP2016123574A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | X線ct装置 |
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JP2014266052A JP2016123574A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | X線ct装置 |
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Family Applications (1)
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JP2014266052A Pending JP2016123574A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | X線ct装置 |
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JP (1) | JP2016123574A (ja) |
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2014
- 2014-12-26 JP JP2014266052A patent/JP2016123574A/ja active Pending
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