JP2016122634A - X線回折測定用非水系電解質二次電池及びx線回折測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 正極と負極と前記正極と負極間に配されたセパレーターからなる電極体を浸漬する非水系電解液を収納する電池容器から構成されるX線回折測定用非水系電解質二次電池であって、負極が、負極の全外周部及び外周部以外の一部に電気集電体が存在し、前記負極のうち前記電気集電体を除く部分の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、その電池容器が、電池容器の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、負極の外周部以外の一部に存在する電気集電体とX線透過率が高い材料及び電池容器のX線透過率が高い材料が、X線照射経路上に配置されていることを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池及びX線回折測定方法。
【選択図】なし
Description
非水系電解質二次電池は、一般に、正極活物質を主要構成成分とする正極と、負極活物質を主要構成成分とする負極と、非水系電解質とから構成され、それら構成材料を金属缶で外装したハードパック型やアルミラミネートフィルムで外装したソフトパック型(ラミネートセル)などがある。
その充放電メカニズム解明のための分析方法としては、電池を分解し、正極などの構成材料を取り出して分析を行うEx−Situ分析が、現在までの分析方法の主流となっていた。
しかし、近年、電池を分解せず充放電を行ったまま各種分析を行うIn−Situ分析の手法に注目が集まっている。
しかしながら、通常の研究に用いられる電池では、電池を構成する部材自体の中に金属などのX線を遮る材料が用いられてる(例えば、特許文献1参照)。このようなX線を遮る材料で電池が構成されていると、X線を十分に透過させることができず、In−Situ XRD法を行った際のその分析精度に問題が残されていた。
しかしながら、この方法では、先述したとおり金属ベリリウムを用いていることによって、金属ベリリウムが電解液などと反応し、非常に毒性の高い酸化ベリリウムを生成してしまうため、実験の安全性に大きな問題を抱えている。
入射X線が、ラミネートセル型電池を構成する電気集電体、負極、正極、セパレーター、電解液等に吸収されることから、透過法を用いる以上必ず発生する現象である。
特に、実験室系のX線回折装置のほとんどは銅のX線管球を用いていることから、波長1.54ÅのCuKα線を用いた透過法測定においては、ラミネートセル型電池を構成する負極の電気集電体を可能な限り薄くする、面積を減らす、もしくは排除することが非常に重要である。
充放電に伴うラミネートセル型電池が前後に変位してしまうことにより生じる。
ラミネートセルの位置が前後してしまった場合、測定に用いているX線回折装置の測定光学系、即ちゴニオメーター半径が変わってしまい、測定から得られたピーク位置(2θ)から格子定数を算出することが困難となってしまう。
そこで、各測定において回折角度がずれてしまった場合には、変位してしまった試料に対し内部標準試料となるような物質を用いて角度補正を行って対処することが必要となってくる。
ラミネート材の金属の一つである正極電気集電体金属には、通常アルミニウムが用いられることが多い。その場合、ラミネートセル型電池には、構造中にアルミニウムが3枚含まれることとなり、各アルミニウム位置の相対的なずれによって、アルミニウムのピークは3本に分かれた形で検出されるので、解析においてはアルミニウムの正確なピーク位置を求めることは困難であるため、現実的には内部標準試料の代替物として既知の負極電気集電体金属を用いることが最も現実的である。
図1において、Aは本発明に係るX線回折非水系電解質二次電池、2はセパレーター、3は負極、3bの細破線で囲まれた範囲が電気集電体の一部を構成するX線透過率が高い材料、4の一点鎖線が電池容器、5はタブリード、6の太破線で指し示す範囲がX線照射領域、9は負極の電気集電体である。また、図2において、1は正極、2はセパレーター、3は負極、4は電池容器、5はタブリード、10は負極、セパレーター、正極で構成する電極体である。
図2中の白抜き矢印は、X線の照射方向を、11はX線照射経路を示している。なお、符号6で指し示す電池に照射されるX線照射領域の大きさは、4〜20mm×1mmで、X線の照射に際して、このX線照射領域6が、タブリード5に掛からず、且つ本願における外周部に位置する集電体9に掛からない領域に設定される。
このX線透過率が高い材料3bとしては、リチウムが好ましい。リチウムは、負極活物質として用いることが可能であり、かつ導電性を有するため電気集電体を負極全面に配置する必要がなく、X線を透過させる部分に電気集電体がなくとも十分に負極として作用させることが可能である。
この電気集電体9を積層する位置は、X線測定の自由度を高く維持するため、少なくとも負極の外周の一部に積層することが好ましい。さらに、電気的導通性を高めるため、負極の全外周部に配置することが好ましい。加えて、図3に示すように、透過法XRD測定の光路上の、X線照射領域6の面積(b/a)の5〜95%程度の領域が電気集電体9で覆われるような形状(0.05≦b/a≦0.95)に電気集電体9を加工することが好ましい。さらに、試料ずれを補正可能なように図3に一例が示される符号8に見られるような電気集電体の試料ずれ補正用領域を備えている。
したがって、本発明に係る電池の電極に用いる集電体の構成としては、負極の電気集電体が銅からなり、正極の電気集電体がアルミニウムからなることが好ましい。このような組み合わせにより、集電体の導電性が高く、充放電効率に優れた電池が得られる。
そのような電池容器として、金属製の電池缶はX線の透過が困難であるため、その一部をX線透過率の高い材料に変更することで、X線分析を可能とする。そのX線透過率の高い材料としては、例えば、ベリリウムやアルミニウムなどの軽金属箔、樹脂、ガラスなどが用いられる。しかしながら、電池缶の材料変更は、コスト的に高くなるため、電池容器としてラミネート製セルを用いることが好ましい。
なお、このように酸素透過度と水蒸気透過度を規定する理由は、セル内への酸素透過によって充放電中に電池の劣化が生じること、及び空気中水分と電解液とが反応し、腐食性の高いHFを生成する化学反応が生じることによって、測定の安全性に悪影響を与える可能性が高くなるために規定している。
[電池構成]
(1)正極
本発明に係る電池においては、X線回折用としてX透過率を高めるため、電気集電体を除いた正極の厚みは0.01〜0.05mm程度が好ましく、負極より面積が小さいものが好ましい。
負極に用いられるX線透過率が高い材料には、金属リチウム、もしくはリチウム合金を使用することが好ましい。
これらは、電極を構成することが可能な強度と導電性を有するため、X線を透過させる部分において電気集電体をなくすことができる。負極を構成する金属リチウム、もしくはリチウム合金は、X線透過を妨げることがないよう、厚みを0.5〜2.0mmの範囲とすることが好ましい。
正極と負極との間にはセパレーターを挟み込んで配置する。
セパレーターは、正極と負極間の絶縁、さらには電解液を保持するなどの機能を持つものであり、一般的な非水系電解質二次電池で使用されているものを用いることができる。
例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、あるいはそれら積層品等の多孔膜など、その必要機能を有するものであればよく、一般的な非水系電解質二次電池で使用されているセパレーターであれば、特に限定されるものではない。
非水系電解液は、電解質としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
上記正極および負極を、セパレーターを介して積層して電極体を構成し、この電極体に非水系電解液を含浸させる。正極および負極は、それぞれ外部端子に接続して導通させる。
以上の構成のものを電池容器であるラミネートで密閉してX線回折測定用非水系電解質二次電池を完成させることができる。
上記の二次電池に対して、X線回折装置を用いて2θスキャンを実施する。この時に用いるX線回折装置は、透過測定が実施可能な光学系を有している必要があり、特に高密度のX線をラミネート製セルに集光させることが可能な光学系であることが好ましい。また、X線が吸収されることで、回折X線強度が十分でない場合もある為、検出器は高感度のものが好ましく、特に半導体検出器が好ましい。また、X線管球の出力が大きく、入射X線強度が高ければなお良い。
格子定数の最も簡易的な算出方法は、ブラッグの条件式「2dsinθ=λ」に、測定された回折角θ、既知のX線の波長λを入れて格子面間隔dを算出し、解析する物質の結晶系の条件式を用いて格子定数を算出する。
という関係式が与えられている。h、k、lはミラー指数を表し、a、cはそれぞれa軸格子定数とc軸格子定数を表している。
よって、少なくとも (hkl)で表される2つの面が検出されていれば、上式は2次の連立方程式となり、解を求めることが可能となる。
よって、ラミネート型セル測定前に集中法にて粉末のX線回折測定を実施して、リートベルト解析等で格子定数を算出、精密化しておくことが好ましい。
測定条件は、装置出力を45kV、40mAとし、15mmのビームマスク、1/2°の発散スリット、0.02radのソーラースリットを用いて、2θ=15°から50°の範囲を約20分で測定した。
負極には、X線透過率が高い材料として厚み2mmの金属リチウムを用い、図2、3に示すようにX線照射面積の20%程度の領域が覆われるような形状(b/a=0.2)に加工した銅箔製の電気集電体9を配置した。
外装するラミネートは、厚みが0.1mmで、酸素透過度が5ml/(m2・24hr・MPa)、水蒸気透過度が0.5g/(m2・d)のアルミラミネートフィルムを用いた。
X線透過部分に電気集電体である銅箔を配置せずに比較例1に係るラミネートセル電池を作製した。作製したラミネートセル型電池を用いて実施例1と同じ条件でX線回折測定を実施した。
電気集電体である厚み15μmの銅箔に、負極活物資であるカーボン粉末を50μmの厚みで積層した負極を用いた以外は実施例1と同じ比較例2に係るラミネートセル型電池を作製した。この電池を用いて実施例1と同条件でX線回折測定を実施した。
2 セパレーター
3 負極
3b X線透過率が高い材料
4 電池容器(ラミネート製)
5 タブリード
6 X線照射領域
8 試料ずれ補正用電気集電体領域
9 負極の電気集電体(銅箔製)
10 電極体
11 X線照射経路
A X線回折測定用非水系電解質二次電池
a X線照射領域幅
b 試料ずれ補正用電気集電体領域幅
Claims (3)
- 正極と負極と前記正極と負極間に配されたセパレーターからなる電極体と前記電極体を浸漬する非水系電解液を収納する電池容器から構成されるX線回折測定用非水系電解質二次電池であって、
前記負極が、負極の全外周部及び外周部以外の一部に電気集電体が存在し、前記負極のうち前記電気集電体を除く部分の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、
前記電池容器が、前記電池容器の少なくとも一部がX線透過率が高い材料からなり、前記負極の前記外周部以外の一部に存在する電気集電体とX線透過率が高い材料及び電池容器のX線透過率が高い材料が、X線照射経路上に配置されていることを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池。 - 前記X線透過率が高い材料は、リチウムであることを特徴とする請求項1に記載のX線回折測定用非水系電解質二次電池。
- 請求項1又は2に記載のX線回折測定用非水系電解質二次電池を用いた正極活物質のX線回折測定方法において、
前記X線回折測定用非水系電解質二次電池の負極の電気集電体が、銅箔により構成され、
透過法によるX線回折測定によって得られた前記電気集電体を構成する銅箔の(111)及び(200)面の回折角から、前記X線回折測定用非水系電解質二次電池の正極活物質の回折角の変位を補正することを特徴とするX線回折測定用非水系電解質二次電池を用いた正極活物質のX線回折測定方法。
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