JP2016121072A - 種選択的な電子伝達系の複合体ii阻害活性を有する新規アトペニン類縁体 - Google Patents

種選択的な電子伝達系の複合体ii阻害活性を有する新規アトペニン類縁体 Download PDF

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Abstract

【課題】寄生虫に対する種選択性が高い、電子伝達系の複合体II阻害活性を有する新規化合物を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、式(I):で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、種選択的な電子伝達系の複合体II阻害活性を有する新規アトペニン類縁体に関する。
近年、寄生虫に起因する疾患又は症状(以下、「寄生虫症」とも記載する)を原因とする死者は、全世界で100万人にのぼると言われている。寄生虫症としては、例えば、マラ
リア、赤痢アメーバ症及び回虫症等が知られている。このような寄生虫症を予防又は治療するための医薬として、様々な抗寄生虫薬が開発されてきた。しかしながら、現在用いられている抗寄生虫薬に対する耐性種の寄生虫の出現が報告されていることから、寄生虫症を原因とする死者数は更に増加する恐れがある。
寄生虫は、分類学上は動物に属する生物である。このため、宿主動物との種選択性を有する抗寄生虫薬を開発するためには、寄生虫に特異的な生合成又は代謝経路を標的とする医薬を開発することが必要となる。このような寄生虫に特異的な経路として、電子伝達系の複合体IIが知られている。複合体IIは、呼吸鎖電子伝達系を構成するタンパク質の1種
であり、複合体I、III及びIVとともにアデノシン三リン酸(ATP)の産生に関与している
。複合体IIは、好気的条件においては、コハク酸をフマル酸へ変換すると共にキノンへ電子伝達する一方、嫌気的条件においては、ロドキノールからフマル酸へ電子伝達してコハク酸に変換する。回虫のような寄生虫は、嫌気的呼吸鎖電子伝達系を有することから、寄生虫の複合体IIに対する選択的阻害活性を有する化合物は、抗寄生虫薬の有効成分として使用できる可能性がある。
Penicillium属FO-125株より単離されたアトペニン類は、寄生虫の複合体IIを阻害する
ことによって抗寄生虫活性を示す(非特許文献1及び2)。アトペニン類の中でも、アトペニンA5は、もっとも高い複合体II阻害活性を示す化合物である。特許文献1は、アトペニ
ンA4、アトペニンA5、アトペニンB及びハージアノピリドンを包含する一般式〔I〕で表される2-ピリジノール誘導体若しくはその互変異性体である一般式〔II〕で表される2-ピリドン誘導体、又はそれらの塩を含有する化合物を有効成分とする電子伝達系の複合体II阻害剤を記載する。特許文献2は、アトペニン類を包含する一般式(I-k)で表される2-ピリドン類及び一般式(II-b)で表される2-ピリジノール類を記載する。非特許文献3及び4は、アトペニンA5のエナンチオ選択的な全合成を記載する。
アトペニンA5の他にも、複合体II阻害活性を有するいくつかの化合物が知られている(非特許文献5及び6)。
国際公開第2003/103667号 国際公開第2010/069495号
S. Ohmuraら, J. Antibiot. 1988年, 第41巻, p. 1769 H. Kumagaiら, J. Antibiot. 1990年, 第43巻, p. 1553 M. Ohtawaら, J. Antibiot. 2009年, 第62巻, p. 289 M. Ohtawaら, Chem. Pharm. Bull. 2012年, 第60巻, p. 898 H. Miyaderaら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2003年, 第100巻, p. 473 K. Kitaら, Acta. Cryst. 2009年, 第F65巻, p. 941
アトペニンA5のように、高い複合体II阻害活性を有するいくつかの化合物が知られている。しかしながら、これらの化合物を抗寄生虫薬の有効成分に適用するためには、いくつかの課題が存在した。例えば、アトペニンA5の複合体II阻害活性は、寄生虫に対する種選択性が低い(非特許文献5)。このため、アトペニンA5を抗寄生虫薬の有効成分に適用し
た場合、宿主動物の複合体IIに対しても阻害活性を示し、結果として宿主動物に副反応を引き起こす可能性が存在した。
それ故、本発明は、寄生虫に対する種選択性が高い、電子伝達系の複合体II阻害活性を有する新規化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、天然有機化合物であるアトペニンA5をリード化合物として、その化学構造を改変した非天然型のアトペニンA5類縁体を設計した。その結果、本発明者らは、特定のアトペニンA5類縁体は、宿主動物由来の複合体IIに対する阻害活性が低い一方、寄生虫由来の複合体IIに対しては高い阻害活性を示すことを見出した。また、前記新規アトペニンA5類縁体は、天然物であるアトペニンA5を原料とすることなく、合成的手段によって製造できることを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 式(I):
Figure 2016121072
[式中、
R1は、置換若しくは非置換のC4〜C9アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C9アルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C9アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは
非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルであり、
R2は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘ
テロアリールアルキルであり、
R3及びR4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシであり、
X1’、X2’、X3’及びX4’は、互いに独立して、酸素又は硫黄であり、
R1’及びR2’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
R3’及びR4’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
(2) R1が、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4
〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルア
ルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置換若
しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルである(前記定義において、ヘテロシクロアルキル又はヘテロア
リールの1個以上の炭素原子は、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子によって
置換されている)、前記(1)に記載の化合物。
(3) R1が、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルである、前記(1)又は
(2)に記載の化合物。
(4) R2が置換若しくは非置換のアルキルであり、且つR3及びR4が、互いに独立して
、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンである、前記(1)
〜(3)のいずれかに記載の化合物。
(5) X1’、X2’、X3’及びX4’が酸素であり、R1’及びR2’が水素であり、且つR3
及びR4’が、互いに独立して、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、又は置換若しくは非置換のアルキニルである、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物。
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物を製造する方法であって、以下:
式(III):
Figure 2016121072
[式中、
X1’、X2’、X3’、X4’、R1’、R2’、R3’及びR4’は、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の定義と同義であり、
Y1’は、水素、又は塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンである。]
で表される化合物と、式(IV):
Figure 2016121072
[式中、R1、R2、R3及びR4は、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の定義と同義である。]
で表される化合物とを縮合させて、式(II):
Figure 2016121072
[式中、X1’、X2’、X3’、X4’、R1’、R2’、R3’、R4’、R1、R2、R3及びR4は、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の定義と同義である。]
で表される化合物を得る、縮合工程;及び
式(II)で表される化合物を酸化して、式(I)で表される化合物を得る、酸化工程;
を含む、前記方法。
(7) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶
媒和物を有効成分として含む抗寄生虫剤。
(8) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩
、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬。
(9) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩
、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む
医薬組成物。
(10) マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症からなる群より選択される1種
以上の疾患若しくは症状の予防又は治療に使用するための、前記(8)に記載の医薬。
(11) マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症からなる群より選択される1種
以上の疾患若しくは症状の予防又は治療に使用するための、前記(9)に記載の医薬組成
物。
(12) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む電子伝達系の複合体II阻害剤。
本発明により、寄生虫に対する種選択性が高い、電子伝達系の複合体II阻害活性を有する新規化合物を提供することが可能となる。
前記以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 新規化合物>
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1〜C9アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても9個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好適
なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ヘキシル、ヘプ
チル、オクチル及びノニル等の直鎖又は分枝鎖のC1〜C9アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結
合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プ
ロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニ
ル及びノネニル等の直鎖又は分枝鎖のC2〜C9アルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、1-ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル及びノニニル等の直
鎖又は分枝鎖のC2〜C9アルキニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3〜C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC3〜C6シクロアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単
結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等のC4〜C6シクロアルケニルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単
結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等のC4〜C6
クロアルキニルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この
場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオ
キシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等の3〜6員のヘテロシクロアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニ
ルに置換された基を意味する。好適なシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロヘキシルメチル及びシクロヘキセニルメチル等のC7〜C11シクロアルキ
ルアルキルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する
。好適なヘテロシクロアルキルアルキルは、限定するものではないが、例えば3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシは、限定するものではないが、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシ等のC1〜C9アルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「シクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えばシクロプロポキシ、シクロブトキシ及びシクロペントキシ等のC3〜C6シクロアルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。好適なシクロアルコキシは、限定するものではないが、例えば3〜6員のヘテロシクロアルコキシを挙げることができる。
本明細書において、「アリール」は、芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル及びアントラセニル等のC6〜C18アリールを挙げることができる。
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキル
は、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、ビフェニルメチル、テルフェニルメチル及びスチリル等のC7〜C20アリールアルキルを挙げること
ができる。
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、そ
れぞれ独立してN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しく
はジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等の5〜15員のヘテロアリー
ルを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテ
ロアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばピリジルメチル等の5〜15員の
ヘテロアリール-C1〜C9アルキルを挙げることができる。
本明細書において、「アリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシ及びアントリルオキシ(アントラセニルオキシ)等のC6〜C15アリールオキシを挙げることができる。
本明細書において、「アリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルキルに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えばベンジルオキシ、1-フェネチルオキシ、2-フェネチルオキシ及びスチリルオキシ等のC7〜C20アリールアルキルオキシを挙げることができる。
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフラニルオキシ、チエニルオキシ(チオフェンイルオキシ)、ピロリルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、テトラゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリニルオキシ、イソキノリニルオキシ及びインドリルオキシ等の5〜15員のヘテロアリールオキシを挙げることがで
きる。
本明細書において、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールアルキルに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えば5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルオキシを挙げることができる。
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される1価基とカルボニ
ルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばホルミル、アセチル及びプロピオニル等のC1〜C5脂肪族アシル、並びにベンゾイル等のC7〜C16
芳香族アシルを挙げることができる。
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数の
前記で説明した1価基によってさらに置換することもできる。
本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を意味する。
本発明は、式(I):
Figure 2016121072
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物に関する。
本発明者らは、寄生虫に対する種選択性の高い電子伝達系の複合体II阻害活性を有する化合物として、式(I)で表される化合物を見出した。式(I)で表される化合物は、天然有機化合物であるアトペニンA5をリード化合物として、その化学構造を改変することによって設計された。式(I)で表される化合物は、アトペニンA5のピリジン環部分とC6-側鎖部分とが保持された骨格構造を有する。アトペニンA5は、3-ヨードピリジン骨格を有する中間体とn-ヘキサナール骨格を有する中間体とを反応させることによって合成することができる(M. Ohtawaら, J. Antibiot. 2009年, 第62巻, p. 289;及びM. Ohtawaら, Chem.
Pharm. Bull. 2012年, 第60巻, p. 898)。それ故、本発明の式(I)で表される化合物
は、アトペニンA5の全合成と同様の合成的手段によって、高純度且つ低コストで製造することができる。
天然有機化合物であるアトペニンA5は、高い複合体II阻害活性を有するものの、その阻害活性は、寄生虫に対する種選択性が低い。本発明者らは、アトペニンA5と哺乳動物であるブタ由来の複合体IIとの共結晶(PDBコード:3AEE)の立体構造と、アトペニンA5と寄
生虫(Ascaris suum)由来の複合体IIとの共結晶(PDBコード:3VRA)の立体構造とを比
較した結果、アトペニンA5のC6-側鎖部分の2’-位の基を収容する、複合体IIの脂溶性ポ
ケットの大きさに違いがあることを見出した。すなわち、ブタ由来の複合体IIの脂溶性ポケットは、A. suum由来の複合体IIの脂溶性ポケットと比較して、該ポケット内部の空間
が小さいことを見出した。哺乳動物由来の複合体IIと寄生虫由来の複合体IIとの間のこのような立体構造上の相違点に起因して、C6-側鎖部分の2’-位に嵩高い脂溶性基を有する
アトペニンA5類縁体は、大きな脂溶性ポケットを有する寄生虫由来の複合体IIと安定的に結合できるのに対し、より小さな脂溶性ポケットを有する哺乳動物由来の複合体IIとは安定的に結合することが困難となる。
それ故、式(I)において、R1は、嵩高い脂溶性基であることが必要であり、メチルを
除く置換若しくは非置換の炭化水素基であることが好ましい。前記炭化水素基は、場合によりN、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでもよい。前記の構造的特徴を有することにより、本発明の式(I)で表される化合物は、寄生虫に対する種選択性が高
い複合体II阻害活性を発現することができる。
アトペニンA5の類縁体は、いくつか存在する(例えば、特許文献1及び2)。しかしながら、C6-側鎖部分の2’-位に嵩高い脂溶性基を有することを特徴とする化合物は、これま
でに知られていない。それ故、R1が嵩高い脂溶性基である本発明の式(I)で表される化
合物は、本発明者らが見出した新規な化合物である。
本発明の一実施形態において、R1は、置換若しくは非置換のC4〜C9アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C9アルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C9アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール
、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテ
ロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルである。R1は、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3
〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置換若しくは非
置換のC7〜C20アリールアルキル、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルであることが好ましく、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルであることがより好ましく、ベンジル、4-フェニルベンジル、2-メチルベンジル、3-メチルベンジル、4-メチルベンジル、2,6-ジメチルベンジル、2-tert-ブチルベンジル、2-トリ
フルオロメチルベンジル、[1,1'-ビフェニル]-2-イルメチル、[1,1'-ビフェニル]-3-イルメチル、[1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル、4,1':4',1''-テルフェニルメチル、ナフタレン-1-イルメチル又はナフタレン-2-イルメチルであることがさらに好ましく、ベンジル、4-フェニルベンジル、2-メチルベンジル、3-メチルベンジル、4-メチルベンジル、ナフタレン-1-イルメチル又はナフタレン-2-イルメチルであることが特に好ましい。前記定義において、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールの1個以上の炭素原子は、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子によって置換されている。前記R1を有する場合、式(I)で表される化合物は、アトペニンA5のC6-側鎖部分の2’-位に相当する位置に嵩高い脂溶性基を有することから、寄生虫に対する種選択性が特に高い複合体II阻害活性を発現することができる。
式(I)において、R2は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアル
ケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであることが必要である。R2は、置換若しくは非置換のC1〜C9アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C9アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C9アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキ
ルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置
換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルであることが好ましく、置換若しくは非置換のC1〜C9アル
キル、置換若しくは非置換のC2〜C9アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C9アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換のC6〜C15
アリール、又は置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルであることがより好まし
い。一実施形態において、R2は、置換若しくは非置換のC1〜C9アルキルであることが特に好ましく、メチルであることがとりわけ好ましい。別の実施形態において、R2は、置換若しくは非置換のC4〜C9アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C9アルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C9アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、又は置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルであることが特に好ましく、ベンジル、4-フェニルベンジル、2-メチルベンジル、3-メチルベンジル、4-メチルベンジル、2,6-ジメチルベンジル、2-tert-ブチルベンジル、2-ト
リフルオロメチルベンジル、[1,1'-ビフェニル]-2-イルメチル、[1,1'-ビフェニル]-3-イルメチル、[1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル、4,1':4',1''-テルフェニルメチル、ナフタレン-1-イルメチル又はナフタレン-2-イルメチルであることがとりわけ好ましい。前記定
義において、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールの1個以上の炭素原子は、N、S及
びOから選択される1個以上のヘテロ原子によって置換されている。
式(I)において、R3及びR4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換
若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシであることが必要である。R3及びR4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のC1〜C9アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリールオキシ、置換若しくは非置換
のC7〜C20アリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリールオキシ、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルオキシであることが好ましく、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のC1〜C9アルコキシ、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルコキシ、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール
オキシ、又は置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルオキシであることがより好
ましく、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンであることがさらに好ましい。前記定義において、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールの1個以
上の炭素原子は、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子によって置換されている。
式(I)において、X1’、X2’、X3’及びX4’は、互いに独立して、酸素又は硫黄であ
ることが必要である。X1’、X2’、X3’及びX4’は、酸素であることが好ましい。
式(I)において、R1’及びR2’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のア
ルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであることが必要である。R1’及びR2’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換
若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置換若しくは非置換
のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1
〜C5アルキルであることが好ましく、水素、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニルであることがより好ましく、水素であることがさらに好ましい。前記定義において、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールの1個以上の炭素原子は、N、S及びOから選択される1個以
上のヘテロ原子によって置換されている。
式(I)において、R3’及びR4’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のア
ルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、
置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであることが必要である。R3’及びR4’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換
若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置換若しくは非置換
のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1
〜C5アルキルであることが好ましく、水素、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニルであることがより好ましく、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニルであることがさらに好ましく、メチルであることが特に好ましい。前記定義において、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールの1個以上の炭素原子は、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子によ
って置換されている。
式(I)において、前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハ
ロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のアミノ、及び置換若しくは非置換のアルコキシからなる群より選択される1価基であることが好ましく、ハロゲン(フッ素、塩素、
臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換のアミノ、及び置換若しくは非置換のC1〜C5アルコキシからなる群より選択される1価基であることがより好ましく、
ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、シアノ、ニトロ、非置換若しくはハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)で置換されたC1〜C5アルキル、非置換若しくはハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)で置換されたC2〜C5アルケニル、非置換若しくはハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)で置換されたC3〜C6シクロアルキル、及び非置換若しくはハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)で置換されたC1〜C5アルコキシからなる群より選択される1価基であることがさらに好ましい。
特に好ましい式(I)で表される化合物は、R1が、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルであり、R2が、置換若しくは非置換のアルキルであり、R3及びR4が、互いに独立して、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンであり、X1’、X2’、X3’及びX4’が、酸素であり、R1’及びR2’が、水素であり、且つR3’及びR4’が、互いに独立して、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、又は置換若しくは非置換のアルキニルである。とりわけ好ましい式(I)で表される化
合物は、R1が、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルであり、R2が、置換若し
くは非置換のC1〜C9アルキルであり、R3及びR4が、互いに独立して、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンであり、X1’、X2’、X3’及びX4’が、酸素であり、R1’及びR2’が、水素であり、且つR3’及びR4’が、互いに独立して、置換若しくは非置換のC1〜C5アルキル、置換若しくは非置換のC2〜C5アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2〜C5アルキニルである。
とりわけ特に好ましい式(I)で表される化合物は、以下:
(2R,4S,5R)-2-ベンジル-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジ
ン-3-イル)-4-メチルヘキサン-1-オン (A5-001);
(2R,4S,5R)-2-([1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチルヘキサン-1-オン (A5-002);
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(2-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-003);
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(3-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-004);
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(4-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-005);
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(ナフタレン-1-イルメチル)ヘキサン-1-オン (A5-006);及び
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(ナフタレン-2-イルメチル)ヘキサン-1-オン (A5-007)
からなる群より選択される。
本発明において、式(I)で表される化合物、及び以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(V-iii)、(V-vi)、(V-xii)及び(V-xiii)で表される化合
物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。本発明の前記各式で表される化合物の塩としては、限定するものではないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸若しくはリン酸のような無機酸、又はギ酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、p-トルエンスルホン酸若しくはナフタレンスルホン酸のような有機酸アニオンとの塩が好ましい。式(I)で表される化合物が前記の塩の形態である場
合、寄生虫に対する種選択性及び複合体II阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。
式(I)で表される化合物、及び以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(V-iii)、(V-vi)、(V-xii)及び(V-xiii)で表される化合物は、前記又は下
記の化合物自体だけでなく、該化合物又はその塩の溶媒和物も包含する。前記化合物又はその塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール(イソプロピルアルコール)のような1〜6の炭素原子数を有するアルコール)、高級アルコール(例えば、1-ヘプタノール若しくは1-オクタノールのような7以上の炭素原子数を有するアルコール)
、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒、又は水が好ましい。式(I)で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶
媒和物の形態である場合、寄生虫に対する種選択性及び複合体II阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。
式(I)で表される化合物、及び以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(V-iii)、(V-vi)、(V-xii)及び(V-xiii)で表される化合物は、前記又は下
記の化合物自体だけでなく、その保護形態も包含する。本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数の官能基(例えばヒドロキシル基又はカルボン酸基)に保護基が導入さ
れた形態を意味する。本明細書において、前記各式で表される化合物の保護形態を、前記各式で表される化合物の保護誘導体と記載する場合がある。また、本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては
実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。前記化合物の保護形態を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基の保護基の場合、シリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若し
くはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))、又はアルコキシ(例えば、メトキシメトキシ(MOM)若しくはメトキシ(Me))が、カルボン酸基の保護基の場合、アルキルエス
テル(例えばメチル、エチル若しくはイソプロピルエステル)、アリールアルキルエステル(例えばベンジルエステル)、又はアミド(例えばオキサゾリジノン類とのアミド)が、それぞれ好ましい。前記保護基による保護化及び脱保護化は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜実施することができる。式(I)で表される化合物が前記の保護基による
保護形態である場合、寄生虫に対する種選択性及び複合体II阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。
式(I)で表される化合物、及び以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(V-iii)、(V-vi)、(V-xii)及び(V-xiii)で表される化合が1又は複数の互変異性体を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々の互変異性体の形態も包含する。
また、式(I)で表される化合物、及び以下において説明する式(II)、(III)、(IV)、(V)、(V-iii)、(V-vi)、(V-xii)及び(V-xiii)で表される化合物が1又は複数の立体中心(キラル中心)を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物も包含する。
前記特徴を有することにより、式(I)で表される化合物は、寄生虫に対する種選択性
が高い複合体II阻害活性を発現することができる。
<2. 新規化合物の製造方法>
本発明者らは、アトペニンA5の全合成(M. Ohtawaら, J. Antibiot. 2009年, 第62巻, p. 289;及びM. Ohtawaら, Chem. Pharm. Bull. 2012年, 第60巻, p. 898)を参照することにより、本発明の式(I)で表される化合物を、天然物であるアトペニンA5を原料とす
ることなく、単純な3-ヨードピリジン骨格を有する化合物及びn-ヘキサナール骨格を有する化合物を反応中間体として合成できることを見出した。それ故、本発明はまた、本発明の式(I)で表される化合物を製造する方法に関する。
本発明の式(I)で表される化合物を製造する方法は、(a)縮合工程;及び(b)酸化
工程を含むことが必要である。本発明の方法はまた、所望により、(c)アルデヒド基導
入工程;及び(d)側鎖置換基導入工程を含むことができる。以下、各工程について、詳
細に説明する。
[2-1. 縮合工程]
本発明の式(I)で表される化合物を製造する方法は、式(III):
Figure 2016121072
で表される化合物と、式(IV):
Figure 2016121072
で表される化合物とを縮合させて、式(II):
Figure 2016121072
で表される化合物を得る、縮合工程を含む。
前記式(II)〜(IV)において、X1’、X2’、X3’、X4’、R1’、R2’、R3’及びR4’、並びにR1、R2、R3及びR4は、前記と同義である。
前記式(II)において、Y1’は、水素、又は塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンである。Y1’は、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンであることが好ましく、ヨウ素であることがより好ましい。
本工程において使用される式(III)で表される化合物は、例えば、M. Ohtawaら, J. Antibiot. 2009年, 第62巻, p. 289に記載の公知の方法を参照することにより、調製する
ことができる。また、本工程において使用される式(IV)で表される化合物は、以下において説明するアルデヒド基導入工程を実施することにより、調製することができる。本工程において使用される式(III)及び(IV)で表される化合物は、前記方法を用いて自ら
調製することによって準備してもよく、任意の方法で予め調製された前記化合物を購入等することによって準備してもよい。いずれの場合も、本工程の実施形態に包含される。
本工程は、例えば、式(III)で表される化合物又はその保護誘導体と強塩基とを反応
させ、次いで、該反応混合物に式(IV)で表される化合物又はその保護誘導体を加えて反応させることにより、実施することができる。前記強塩基としては、限定するものではないが、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム及びt-ブチルリチウムを挙げることができる。前記反応は、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのような溶媒中で実施することが好ましい。前記反応は、低温下、例えば、-100〜-40℃の範囲の低温下で実
施することが好ましい。前記反応は、0.02〜2時間の範囲の時間で実施することが好まし
い。前記条件で本工程を実施することにより、式(II)で表される化合物を得ることができる。
[2-2. 酸化工程]
本発明の式(I)で表される化合物を製造する方法は、縮合工程で得られる式(II)で
表される化合物を酸化して、式(I)で表される化合物を得る、酸化工程を含む。
本工程において、式(II)で表される化合物又はその保護誘導体の側鎖の1’-位の二級ヒドロキシル基をカルボニル基へ酸化する。本工程は、例えば、式(II)で表される化合物又はその保護誘導体と酸化剤とを反応させることにより、実施することができる。前記酸化剤としては、限定するものではないが、例えば、Dess-Martinペルヨージナン及び2-
ヨードキシ安息香酸(IBX)を挙げることができる。温和な条件で所定の二級ヒドロキシ
ル基をカルボニル基へ選択的に酸化できることから、酸化剤としてDess-Martinペルヨー
ジナンを用いることが好ましい。前記反応は、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド又
はアセトニトリルのような溶媒中で実施することが好ましい。前記反応は、室温下、例えば、0〜80℃の範囲の温度下で実施することが好ましい。前記反応は、0.1〜4時間の範囲
の時間で実施することが好ましい。前記条件で本工程を実施することにより、式(I)で
表される化合物を得ることができる。
[2-3. アルデヒド基導入工程]
本発明の式(I)で表される化合物を製造する方法は、所望により、アルデヒド基導入
工程を含むことができる。
本工程において、式(V):
Figure 2016121072
で表される化合物又はその保護誘導体の1-位の一級ヒドロキシル基をアルデヒド基へ酸化して、式(IV)で表される化合物又はその保護誘導体を得る。
前記式(V)において、R1、R2、R3及びR4は、前記と同義である。
本工程において使用される式(V)で表される化合物は、以下において説明する側鎖置
換基導入工程を実施することにより、調製することができる。本工程において使用される式(V)で表される化合物は、前記方法を用いて自ら調製することによって準備してもよ
く、任意の方法で予め調製された前記化合物を購入等することによって準備してもよい。いずれの場合も、本工程の実施形態に包含される。
本工程は、例えば、式(V)で表される化合物又はその保護誘導体と酸化剤とを反応さ
せることにより、実施することができる。前記酸化剤としては、限定するものではないが、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル(TEMPO)及びヨードベンゼンジアセテート(PhI(OAc)2)の組み合わせ、並びにDess-Martinペルヨージナンを挙げることができる。前記反応は、ジクロロメタン又はジメチルスルホキシドのような溶媒中で実施することが好ましい。温和な条件で所定の一級ヒドロキシル基をアルデヒド基へ選択的に酸化できることから、酸化剤としてTEMPO及びPhI(OAc)2の組み合わせを用いることが好ましい。前記反応は、室温下、例えば、0〜30℃の範囲の温度下で実施することが
好ましい。前記反応は、0.5〜5時間の範囲の時間で実施することが好ましい。前記条件で本工程を実施することにより、式(IV)で表される化合物を得ることができる。
[2-4. 側鎖置換基導入工程]
本発明の式(I)で表される化合物を製造する方法は、所望により、側鎖置換基導入工
程を含むことができる。
本工程の一実施形態において、式(V-iii):
Figure 2016121072
で表される化合物又はその保護誘導体の2-位炭素に置換基R1を導入して、式(V)で表さ
れる化合物又はその保護誘導体を得る。
本実施形態において、R1及びR2は、前記と同義である。
本実施形態において使用される式(V-iii)で表される化合物は、例えば、式(V-vi)

Figure 2016121072
で表される化合物又はその保護誘導体(式中、R2は、前記と同義である。)に、カルボン酸基を有する炭素鎖を結合させることにより、調製することができる。式(V-vi)で表される化合物は、例えば、M. Oikawaら, J. Org. Chem. 1995年, 第60巻, p. 5048に記載の公知の方法を参照することにより、調製することができる。本工程において使用される式(V-vi)で表される化合物は、前記方法を用いて自ら調製することによって準備してもよく、任意の方法で予め調製された前記化合物を購入等することによって準備してもよい。いずれの場合も、本工程の実施形態に包含される。
本実施形態において、R1を導入する反応は、例えば、式(V-iii)で表される化合物又
はその保護誘導体と塩基とを反応させて式(V-iii)で表される化合物又はその保護誘導
体を脱プロトン化させ、次いで、該脱プロトン化中間体とR1反応剤とを反応させることにより、実施することができる。前記塩基としては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド及びカリウムビス(トリメチルシリル)アミドを挙げることができる。前記R1反応剤としては、限定するものではないが、例えば、ハロゲン化されたR1を挙げることができる。前記反応は、テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのような溶媒中で実施することが好ましい。前記反応は、低温下、例えば、-100〜-40℃の範囲の低温下で実施することが好ましい。
前記反応は、0.2〜4時間の範囲の時間で実施することが好ましい。前記条件で本実施形態の反応を実施することにより、式(V)で表される化合物を得ることができる。
本工程はまた、式(V-iii)で表される化合物の2個のヒドロキシル基をR3及びR4にそれぞれ変換する反応を含む。R3及びR4に変換する反応は、前記R1を導入する反応の前に実施してもよく、後に実施してもよい。前記反応は、例えば、式(V-iii)で表される化合物
又はその保護誘導体とR3反応剤及びR4反応剤とを反応させることにより、実施することができる。前記R3反応剤及びR4反応剤としては、限定するものではないが、例えば、N-ハロゲン化コハク酸イミド及びトリフェニルホスフィンの組み合わせ(R3及びR4がハロゲンの場合)、並びに四ハロゲン化炭素及びトリフェニルホスフィンの組み合わせ(R3及びR4がハロゲンの場合)を挙げることができる。前記反応は、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンのような溶媒中で実施することが好ましい。前記反応は、例えば、0〜70℃の範囲
の温度下で実施することが好ましい。前記反応は、0.2〜2時間の範囲の時間で実施することが好ましい。前記条件で本実施形態の反応を実施することにより、式(V)で表される
化合物を得ることができる。
本工程の別の実施形態において、式(V-xii):
Figure 2016121072
で表される化合物又はその保護誘導体のエポキシ基炭素に置換基R2を導入して、式(V)
で表される化合物又はその保護誘導体を得る。
本実施形態において、R1及びR2は、前記と同義である。
本実施形態において使用される式(V-xii)で表される化合物は、例えば、式(V-xiii
):
Figure 2016121072
で表される化合物又はその保護誘導体(式中、R1は、前記と同義である。)に、エポキシ基を有する炭素鎖を結合させることにより、調製することができる。式(V-xiii)で表される化合物は、例えば、M. Ohtawaら, J. Antibiot. 2009年, 第62巻, p. 289に記載の公知の方法を参照することにより、調製することができる。本工程において使用される式(V-xiii)で表される化合物は、前記方法を用いて自ら調製することによって準備してもよく、任意の方法で予め調製された前記化合物を購入等することによって準備してもよい。いずれの場合も、本工程の実施形態に包含される。
本実施形態において、R2を導入する反応は、例えば、式(V-xii)で表される化合物又
はその保護誘導体とR2反応剤とを反応させることにより、実施することができる。前記R2反応剤としては、限定するものではないが、例えば、R2の有機マグネシウム試薬(以下、「グリニャール試薬」とも記載する)(例えばR2MgCl)、並びにグリニャール試薬若しくは対応する有機リチウム試薬とシアン化銅若しくはヨウ化銅とから得られる有機銅試薬を挙げることができる。前記反応は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又はジクロロメタンのような溶媒中で実施することが好ましい。前記反応は、低温下、例えば、-78〜25℃の範囲の低温下で実施することが好ましい。前記反応は、0.1〜5時間の範囲の時間で
実施することが好ましい。前記条件で本実施形態の反応を実施することにより、式(V)
で表される化合物を得ることができる。
本工程はまた、前記R2を導入する反応で形成される中間体の2個のヒドロキシル基をR3
及びR4にそれぞれ変換する反応を含む。前記反応は、例えば、前記R2を導入する反応で形成される中間体又はその保護誘導体とR3反応剤及びR4反応剤とを反応させることにより、実施することができる。前記R3反応剤及びR4反応剤としては、限定するものではないが、例えば、N-ハロゲン化コハク酸イミド及びトリフェニルホスフィンの組み合わせ(R3及びR4がハロゲンの場合)、並びに四ハロゲン化炭素及びトリフェニルホスフィンの組み合わせ(R3及びR4がハロゲンの場合)を挙げることができる。前記反応は、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンのような溶媒中で実施することが好ましい。前記反応は、例えば、0〜70℃の範囲の温度下で実施することが好ましい。前記反応は、0.2〜2時間の範囲の時
間で実施することが好ましい。前記条件で本実施形態の反応を実施することにより、式(V)で表される化合物を得ることができる。
[2-5. 保護基導入工程及び脱保護工程]
本発明の式(I)で表される化合物を製造する方法の各工程は、所望により式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(V-iii)、(V-vi)、(V-xii)及び(V-xiii)で表される化合物の保護誘導体を用いて実施してもよい。その場合、前記各工程は、前記各式で表される化合物の特定の官能基に保護基を導入して該化合物の保護誘導体を得る、保護基導入工程、及び前記各式で表される化合物の保護誘導体の特定の保護基を脱保護する、脱保護工程をさらに含むことが好ましい。式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(V-iii)、(V-vi)、(V-xii)及び(V-xiii)で表される化合物に適用される保護基は、
保護すべき官能基、並びに他の官能基及びその保護基の種類に基づき、当業者が適宜選択することができる。また、保護基導入工程における前記保護基による保護化、並びに脱保
護工程における前記保護基の脱保護化は、公知の反応条件に基づき、当業者が適宜実施することができる。
前記で説明した方法により、天然物であるアトペニンA5を原料とすることなく、単純な3-ヨードピリジン骨格を有する化合物及びn-ヘキサナール骨格を有する化合物を反応中間体として、本発明の式(I)で表される化合物を製造することができる。それ故、本発明
により、医薬の有効成分となり得る本発明の式(I)で表される化合物、又は該化合物か
ら誘導される多様な化合物を、合成的手段によって、高純度且つ低コストで大量に提供することが可能となる。
<3. 医薬用途>
本発明の式(I)で表される化合物は、アトペニンA5と同様の複合体II阻害活性を有す
るだけでなく、アトペニンA5を顕著に上回る寄生虫に対する種選択性を有する。それ故、本発明は、本発明の式(I)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を
有効成分として含む電子伝達系の複合体II阻害剤に関する。また、本発明の式(I)で表
される化合物を哺乳動物の対象に投与した場合、寄生虫に対する高い種選択性を有する複合体II阻害活性を介して、寄生虫の感染によって引き起こされる該対象の有する特定の疾患若しくは症状を予防又は治療し得る。それ故、本発明はまた、本発明の式(I)で表さ
れる化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含む抗寄生虫剤又は医薬に関する。
本発明の式(I)で表される化合物の複合体II阻害活性は、限定するものではないが、
例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の器官(例えば心臓)、或いは寄生虫(例えば、ブタ回虫)から調製したミトコンドリア画分を複合体IIタンパク質の酵素源として、決定することができる。複合体IIタンパク質の酵素源は、前記ヒト若しくは非ヒト哺乳動物、又は前記寄生虫の複合体IIを高発現させた培養細胞から調製したミトコンドリア画分であってもよい。前記寄生虫由来の複合体II阻害活性は、NADH-フマル酸還元酵素阻害活性として測定することができる。この
場合、本発明の式(I)で表される化合物のNADH-フマル酸還元酵素阻害活性は、例えば、以下の手順で決定することができる。石英キュベットに、所定量の緩衝液(例えば、リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4))を入れる。次いで、この石英キュベットに、酵素反応成分(例えば、アンチマイシンA、グルコースオキシダーゼ、カタラーゼ及びβ-D-グルコース)、並びに酵素源を加える。反応液を混合した後、該反応液に、所定の濃度の本発明の式(I)で表される化合物を添加する。反応液を混合した後、該反応液に、酵素反応の基質
である所定濃度のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)及びフマル酸ナトリウムを添加して、酵素反応を開始する。反応液中のNADHの吸光度変化を、340 nmで測定し、対照区及び空白区の測定値と比較することにより、NADH-フマル酸還元酵素阻害活性を定
量的に決定することができる。また、前記ヒト若しくは非ヒト哺乳動物由来の複合体II阻害活性は、コハク酸-ユビキノン還元酵素阻害活性として測定することができる。この場
合、本発明の式(I)で表される化合物のコハク酸-ユビキノン還元酵素阻害活性は、例えば、以下の手順で決定することができる。石英キュベットに、所定量の緩衝液(例えば、スクロースラウレート及びユビキノンを含むリン酸カリウム緩衝液(pH 7.4))を入れる。次いで、この石英キュベットに、酵素反応成分(例えば、アンチマイシンA)、並びに
酵素源を加える。反応液を混合した後、該反応液に、所定の濃度の本発明の式(I)で表
される化合物を添加する。反応液を混合した後、該反応液に、酵素反応の基質である所定濃度のコハク酸ナトリウムを添加して、酵素反応を開始する。反応液中のユビキノンの吸光度変化を、278 nmで測定し、対照区及び空白区の測定値と比較することにより、コハク酸-ユビキノン還元酵素阻害活性を定量的に決定することができる。本発明の式(I)で表される化合物の複合体II阻害活性は、前記手順により決定したNADH-フマル酸還元酵素阻
害活性又はコハク酸-ユビキノン還元酵素阻害活性の阻害率に基づき、各酵素活性を50%
阻害する本発明の式(I)で表される化合物の濃度(IC50)として表すことが好ましい。
本発明の式(I)で表される化合物の複合体II阻害活性の種選択性は、例えば、以下の
手順で決定することができる。前記で説明した方法により、寄生虫又はヒト若しくは非ヒト哺乳動物由来の複合体IIに対する本発明の式(I)で表される化合物のIC50値を決定す
る。得られたIC50値を用いて、以下の式に基づき、本発明の式(I)で表される化合物の
複合体II阻害活性の種選択性を決定することができる。
Figure 2016121072
本発明の式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物の製薬上許容される塩、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物も包含する。本発明の式(I)で表される化合物の製薬上許容される塩
、及びそれらの製薬上許容される溶媒和物としては、限定するものではないが、例えば、前記で例示した塩又は溶媒和物が好ましい。式(I)で表される化合物が前記の塩又は溶
媒和物の形態である場合、寄生虫に対する種選択性及び複合体II阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を所望の医薬用途に適用することができる。
本発明の式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、該化合物のプロドラッグ形態も包含する。本明細書において、「プロドラッグ」は、生体内で親薬物に変換される化合物を意味する。前記化合物のプロドラッグ形態としては、限定するものではないが、例えば、ヒドロキシル基が存在する場合、該ヒドロキシル基と任意のカルボン酸とのエステル、及び該ヒドロキシル基と任意のアミンとのアミド等を挙げることができる。本発明の式(I)で表される化合物が
前記のプロドラッグ形態である場合、親薬物である式(I)で表される化合物の寄生虫に
対する種選択性及び複合体II阻害活性を実質的に低下させることなく、対象へのプロドラッグ形態の投与時の薬物動態を向上させることができる。
本発明の式(I)で表される化合物を医薬用途に適用する場合、該化合物を単独で使用
してもよく、1種以上の製薬上許容される成分と組み合わせて使用してもよい。本発明の
医薬は、所望の投与方法に応じて、当該技術分野で通常使用される様々な剤形に製剤されることができる。それ故、本発明の医薬はまた、本発明の式(I)で表される化合物若し
くはその塩、又はそれらの溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組
成物の形態で提供されることもできる。本発明の医薬組成物は、前記成分に加えて、製薬上許容される1種以上の媒体(例えば、滅菌水のような溶媒又は生理食塩水のような溶液
)、賦形剤、結合剤、ビヒクル、溶解補助剤、防腐剤、安定剤、膨化剤、潤滑剤、界面活性剤、乳化剤、油性液(例えば、植物油)、懸濁剤、緩衝剤、無痛化剤、酸化防止剤、甘味剤及び香味剤等を含んでもよい。
本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製
薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬の剤形は、特に限定されず、非経口投与に使用するための製剤であってもよく、経口投与に使用するための製剤であってもよい。また、本発明の医薬の剤形は、単位用量形態の製剤であってもよく、複数投与形態の製剤であってもよい。非経口投与に使用するための製剤としては、例えば、水若しくはそれ以外の製薬上許容される媒体との無菌性溶液又は懸濁液等の注射剤を挙げることができる。注射剤に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、生理食塩水、ブドウ糖若しくはその他の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、D-マンノース若しくは塩化ナトリウム)を含む等張液のようなビヒクル、アルコール(例
えばエタノール若しくはベンジルアルコール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール)若しくはエステル(例えば安息香酸ベンジル)のような溶解補助剤、ポリソルベート80(商標)又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のような非イオン性界面活性剤、ゴマ油又は大豆油のような油性液、リン酸塩緩衝液又は酢酸ナトリウム緩衝液のような緩衝剤、塩化ベンザルコニウム又は塩酸プロカインのような無痛化剤、ヒト血清アルブミン又はポリエチレングリコールのような安定剤、保存剤、並びに酸化防止剤等を挙げることができる。調製された注射剤は、通常、適当なバイアル(例えばアンプル)に充填され、使用時まで適切な環境下で保存される。
経口投与に使用するための製剤としては、例えば、錠剤、丸薬、散剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁液等を挙げることができる。錠剤は、所望により、糖衣又は溶解性被膜を施した糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠又はフィルムコーティング錠の剤形として製剤してもよく、或いは二重錠又は多層錠の剤形として製剤してもよい。
錠剤又はカプセル剤等に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム又はアラビアゴムのような結合剤;結晶性セルロース、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン又はケイ酸のような賦形剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉又は乳糖のような崩壊剤;白糖、ステアリンカカオバター又は水素添加油のような崩壊抑制剤;第4級アンモ
ニウム塩又はラウリル硫酸ナトリウムのような吸収促進剤;グリセリン又はデンプンのような保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト又はコロイド状ケイ酸のような吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸マグネシウム)、ホウ酸末又はポリエチレングリコールのような潤滑剤;ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤;及びペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤等を挙げることができる。製剤がカプセル剤の場合、さらに油脂のような液状担体を含有してもよい。
本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製
薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、デポー製剤として製剤化することもできる。この場合、デポー製剤の剤形の本発明の医薬を、例えば皮下若しくは筋肉に埋め込み、又は筋肉注射により投与することができる。本発明の医薬をデポー製剤に適用することにより、本発明の式(I)で表される化合物の複合体II阻害活性を、長期間に亘っ
て持続的に発現することができる。
本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製
薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、医薬として有用な1種以上の他の
薬剤と併用することもできる。本発明の式(I)で表される化合物と併用される他の薬剤
としては、限定するものではないが、例えば、サントニン、クロロキン、メベンダゾール及びピランテルパモ酸塩等を挙げることができる。この場合、本発明の医薬は、本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容さ
れる溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを含む併用医薬の形態となる。前記併用医薬
は、本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの
製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の前記他の薬剤とを組み合わせてなる医薬組成物
の形態であってもよく、本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容され
る塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を含む、1種以上の前記他の薬剤と併用さ
れる医薬組成物の形態であってもよい。本発明の医薬が前記のような併用医薬の形態であ
る場合、本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれ
らの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の他の薬剤とを含む、単一製剤の形態で提供
されてもよく、1種以上の他の薬剤とが別々に製剤化された複数の製剤を含む医薬組合せ
又はキットの形態で提供されてもよい。医薬組合せ又はキットの形態の場合、それぞれの製剤を同時又は別々に(例えば連続的に)投与することができる。
本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製
薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、寄生虫の感染が関与する種々の疾患、症状及び/又は障害を、同様に予防又は治療することができる。前記疾患、症状及び/又は障害としては、限定するものではないが、例えば、マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症を挙げることができる。前記疾患、症状及び/又は障害は、回虫症であることが好ましくい。前記疾患若しくは症状は、いずれも寄生虫の感染が関与することが知られている。前記疾患若しくは症状に関与し得る寄生虫としては、限定するものではないが、例えば、回虫を挙げることができる。前記疾患若しくは症状の予防又は治療を必要とする対象に本発明の医薬を投与することにより、前記疾患若しくは症状を予防又は治療することができる。
本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製
薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬は、寄生虫の感染が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする様々な対象に適用することができる。前記対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の被験体又は患者であることが好ましい。前記対象に本発明の医薬を投与することにより、該対象に感染した寄生虫が有する種々の疾患、症状及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本明細書において、「予防」は、症状、疾患及び/又は障害の発生(発症又は発現)を実質的に防止することを意味する。また、本明細書において、「治療」は、発生(発症又は発現)した症状、疾患及び/又は障害を抑制(例えば進行の抑制)、軽快、修復及び/又は治癒することを意味する。
本発明の式(I)で表される化合物は、前記で説明した寄生虫の感染が関与する症状、
疾患及び/又は障害(例えば、マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本発明の医薬は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用するための医薬であることが好ましく、回虫症の予防又は治療に使用するための医薬であることがより好ましい。本発明の医薬を、寄生虫の感染が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、本発明の式(I)で表される化合物の寄
生虫に対する種選択性を有する複合体II阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の式(I)で表される化合物は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例
えば、マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症)を有する対象において、該症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本発明の一実施形
態は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、有効量の本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれら
の製薬上許容される溶媒和物を投与することを含む、前記疾患若しくは症状の予防又は治療方法である。前記症状、疾患及び/又は障害は、回虫症であることが好ましい。寄生虫の感染が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療を必要とする対象に、本発明の式(I)で表される化合物を投与することにより、本発明の式(I)で表される化合物の寄生虫に対する種選択性を有する複合体II阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の他の一実施形態は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症)の予防又は治療に使用するための、本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容さ
れる溶媒和物である。本発明の別の実施形態は、前記で説明した症状、疾患及び/又は障害(例えば、マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症)の予防又は治療に用いるための医薬の製造のための、本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容さ
れる塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物の使用である。前記症状、疾患及び/又は障害は、回虫症であることが好ましい。本発明の医薬を、寄生虫の感染が関与する前記症状、疾患及び/又は障害の予防又は治療に使用することにより、本発明の式(I)で表
される化合物の寄生虫に対する種選択性を有する複合体II阻害活性を介して、該症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の式(I)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製
薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬を、対象、特にヒト患者に投与する場合、正確な用量及び用法(例えば、投与量、投与回数及び/又は投与経路)は、対象の年齢、性別、予防又は治療されるべき症状、疾患及び/又は障害の正確な状態(例えば重症度)、並びに投与経路等の多くの要因を鑑みて、担当医が治療上有効な投与量、投与回数及び投与経路等を考慮して、最終的に決定すべきである。それ故、本発明の医薬において、有効成分である式(I)で表される化合物は、治療上有効な量及び回数で、対象に投与
される。例えば、本発明の医薬をヒト患者に投与する場合、有効成分である式(I)で表
される化合物の投与量は、通常は、1回投与あたり、0.001〜100 mg/kg体重の範囲であり
、典型的には、1回投与あたり、0.01〜10 mg/kg体重の範囲であり、特に、1回投与あたり、0.1〜10 mg/kg体重の範囲である。また、本発明の医薬の投与回数は、例えば、1日に1
回又は複数回、或いは数日に1回とすることができる。また、本発明の医薬の投与経路は
、特に限定されず、経口的に投与されてもよく、非経口的(例えば、直腸内、径粘膜、腸内、筋肉内、皮下、骨髄内、鞘内、直接心室内、静脈内、硝子体内、腹腔内、鼻腔内又は眼内)に単回若しくは複数回投与されてもよい。本発明の医薬を、前記の用量及び用法で使用することにより、本発明の式(I)で表される化合物の寄生虫に対する種選択性を有
する複合体II阻害活性を介して、寄生虫の感染が関与する前記症状、疾患及び/又は障害を予防又は治療することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I. 新規化合物の調製>
[材料]
以下の製造例及び実施例において、1H-NMRスペクトルは、Agilent Technologies NMR System-400(400 MHz)又はMERCURY-400(400 MHz)装置を、13C-NMRスペクトルは、Agilent Technologies NMR System-400(100 MHz)又はMERCURY-400(100 MHz)装置を用いて
測定した。NMRスペクトルにおいて、化学シフトは、δ(ppm)で表し、カップリングパターンは、以下の略語で示した。s:一重線;d:二重線;t:三重線;q:四重線;m:多重
線;brs:幅広い一重線;dd:二重の二重線;dt:二重の三重線;dq:二重の四重線;ddd: 二重の二重の二重線。
以下の製造例及び実施例において、質量スペクトルは、JEOL JMS-700 Mstation(FABMS)、JEOL JMS-T100LP(ESIMS)又はJEOL JMS-AX505HA(EIMS)により測定した。
以下の製造例及び実施例において、薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Merk社製Silica gel 60 F254を使用して実施した。TLCにおいて、化合物の検出には、UV照射(254 nm)、リンモリブデン発色又はアニスアルデヒド発色を用いた。
以下の製造例及び実施例において、目的化合物の精製及び単離は、関東化学株式会社製Silica gel 60 Nをカラム管に充填したシリカゲルカラムを用いるフラッシュカラムクロ
マトグラフィーで行った。
[実施例1]
(2R,4S,5R)-2-ベンジル-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジ
ン-3-イル)-4-メチルヘキサン-1-オン (A5-001) の合成
化合物A5-001の合成を、下記スキームに従って行った。
Figure 2016121072
調製例1-1:(S)-5-((S)-ブト-3-エン-2-イル)-2,2,3,3,9,9-ヘキサメチル-8,8-ジフェ
ニル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカン (11) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物5(M. Oikawaら, J. Org. Chem. 1995年, 第60巻, p. 5048-5060)(4.15 g, 11.7 mmol, >99% de及び91% ee)のCH2Cl2(39 mL)溶液に、イミダゾール(3.19 g, 46.8 mmol)及びジメチルアミノピリジン(DMAP)(286 mg, 2.34 mmol)を加えた。その後、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl)(3.53 g, 23.4 mmol)を
加え、室温で24 時間撹拌した。その後、反応混合物にH2Oを加えて反応を止め、反応混合物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後に濃縮し
た。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 294 g, ヘキサン : EtOAc
= 100 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質11(4.98 g, 91%)を得ることがで
きた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.68-7.65 (m, 4H, Ph), 7.44-7.36 (m, 6H, Ph), 5.79
(ddd, 1H, J = 8.5, 9.3, 17.3 Hz, CH2=C[H]CH), 5.07-4.99 (m, 2H, C[H2]=CHCH), 3.62-3.58 (m, 1H, C[H]OTBS), 3.55-3.43 (m, 2H, C[H2]OTBDPS), 2.63-2.55 (m, 1H, CH3C[H]), 1.05 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.04 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH), 0.83(s, 9H, SiC(C[H3])3), -0.01 (s, 3H, SiC[H3]), -0.13 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+
次式の計算値:C28H44NaO2Si2 491.2778, 実測値:491.2773。
なお、本明細書において、NMRの帰属データ中の「[H]」は、該帰属データに示す化学シフト値に対応する原子を意味する。
調製例1-2:エチル (4S,5S,E)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブ
チルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチルヘキサ-2-エノアート (13) の合成
Figure 2016121072
化合物11(3.01 g, 6.42 mmol)のCH2Cl2(64 mL)溶液に、-78℃でO3を30分間バブリ
ングした。その後、O2を5分間バブリングし、トリフェニルホスフィン(PPh3)(2.07 g,
7.70 mmol)を加え、2.5時間撹拌した。濃縮して得られた残渣を、カラムクロマトグラ
フィー(シリカゲル 151 g, ヘキサン : EtOAc = 100 : 1)で精製を行うことにより、対応するアルデヒドを含む粗物質を得ることができた。
続いて窒素雰囲気下、対応するアルデヒドを含む粗物質のベンゼン (31 mL) 溶液に、(カルボエトキシメチレン)トリフェニルホスホラン(3.25 g, 9.33 mmol)を加え、室温で35時間撹拌し、その後濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 168 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質13(3.41 g, 2段階、98%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.66-7.63 (m, 4H, Ph), 7.44-7.35 (m, 6H, Ph), 6.99 (dd, 1H, J = 8.4, 8.8 Hz, C[H]=CHCO), 5.84 (dd, 1H, J = 1.2, 8.8 Hz, CH=C[H]CO),
4.19 (q, 2H, J = 7.2 Hz, OC[H2]CH3), 3.62 (m, 1H, C[H]OTBS), 3.48 (m, 2H, C[H2]OTBDPS), 2.78 (m, 1H, CH3C[H]), 1.29 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCH2C[H3]), 1.08 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 1.04 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.81(s, 9H, SiC(C[H3])3), -0.03 (s, 3H, SiC[H3]), -0.16 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C31H48NaO4Si2 563.2989, 実測値:563.3011。
調製例1-3:エチル (4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチ
ルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチルヘキサノアート (6) の合成
Figure 2016121072
化合物13(4.86 g, 8.98 mmol)のメタノール(MeOH)(180 mL)溶液に、Pd / C(5%
)(972 mg)を加えた。その後、混合物を、水素雰囲気下、室温で90分間激しく撹拌した
。反応終了後、反応液をセライト濾過し、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 243 g, ヘキサン : EtOAc = 20 : 1)で精製を行うことにより、
無色油状物質6(4.70 g, 99%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.68-7.65 (m, 4H, Ph), 7.43-7.35 (m, 6H, Ph), 4.11 (dq, 2H, J = 1.3, 7.2 Hz, OC[H2]CH3), 3.60-3.50 (m, 2H, C[H2]OTBDPS), 3.55-3.50 (m, 1H, C[H]OTBS) 2.41-2.33 (m, 1H, 1/2 CH2C[H2]CO), 2.27-2.19 (m, 1H, 1/2 CH2C[H2]CO), 1.84-1.76 (m, 2H, C[H2]CH2CO), 1.48-1.38 (m, 1H, CH3C[H]), 1.24 (t, 3H, J = 7.2 Hz, OCH2C[H3]), 1.04 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.89 (d, 3H, J = 2.8 Hz, C[H3]CH), 0.82 (s, 9H, SiC(C[H3])3), -0.02 (s, 3H, SiC[H3]), -0.11 (s, 3H, SiC[H3])
;HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C31H50NaO4Si2 565.3145, 実測値:565.3129。
調製例1-4:(S)-4-ベンジル-3-((4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチルヘキサノイル)オキサゾリジン-2-オン (3) の合成
Figure 2016121072
化合物6(1.00 g, 1.84 mmol)のMeOH : H2O = 1 : 4(7 mL)溶液に、LiOH・H2O(386
mg, 9.20 mmol)を加えた。得られた混合物を、100℃で5時間撹拌した。その後、2 M HCl水溶液を加え反応を止め、ジエチルエーテル(Et2O)で抽出することにより、対応する
カルボン酸を含む粗物質を得ることができた。
続いて、アルゴン雰囲気下、対応するカルボン酸のテトラヒドロフラン(THF)(37 mL)溶液に、-78℃でトリエチルアミン(Et3N)(331 μL, 2.39 mmol)、ピバロイルクロ
リド(PivCl)(249 μL, 2.02 mmol)を加えた。得られた混合物を、0℃に昇温し30分間撹拌した。その後、(S)-4-ベンジル-2-オキサゾリジノン(587 mg, 3.31 mmol)のTHF(20 mL)溶液に、-78℃でn-ブチルリチウム(n-BuLi)(2.06 mL, 3.31 mmol, 1.60 M n-ヘキサン中)を加え、1時間撹拌して調製した(S)-4-ベンジル-2-オキサゾリジノンのLi塩を、カニューレで加えた。得られた混合物を、−78℃で40分撹拌した。その後、飽和NH4Cl
水溶液で反応を止めた。反応液をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥した後
、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 62.0 g, ヘキサ
ン : EtOAc = 20 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質3(1.18 g, 2段階、96%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.69-7.66 (m, 4H, Ph), 7.44-7.27 (m, 9H, Ph), 7.22-7.20 (m, 2H, Ph), 4.68-4.62 (m, 1H, NC[H]CH2O), 4.15 (d, 2H, J = 6.8 Hz, NCHC[H2]O), 3.66-3.62 (m, 1H, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.64-3.63 (m, 1H, C[H]OTBS), 3.57-3.52 (m, 1H, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.31 (dd, 1H, J = 2.8, 14.6 Hz, 1/2 C[H2]Ph), 3.02 (ddd, 1H, J = 5.4, 9.8, 17.0 Hz, 1/2 NC(=O)C[H2]), 2.89 (ddd, 1H, J = 6.4, 9.8, 17.0 Hz, 1/2 NC(=O)C[H2]), 2.75 (dd, 1H, J = 6.8, 14.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 1.93-1.85 (m, 2H, NC(=O)CH2C[H2]), 1.52-1.44 (m, 1H, C[H]CH3), 1.04 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.95 (d, 3H, J = 6.8 Hz, CHC[H3]), 0.83 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.01 (s, 3H, SiC[H3]), −0.11 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C39H55NaO5Si2 696.3516, 実測値:696.3504。
調製例1-5:(S)-4-ベンジル-3-((2R,4S,5S)-2-ベンジル-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチルヘキサノイル)オキサゾリジン-2-オン (15) の合成
Figure 2016121072
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(5.0 mL)にナトリウムビス(トリメチルシリル)アミ
ド(NaHMDS)(2.8 mL, 2.80 mmol, 1.0 M THF中)を加えた後、化合物3(1.35 g, 2.00 mmol)のTHF(15 mL)溶液を加えた。1時間撹拌後、ベンジルブロミド(BnBr)(718 μL, 6.00 mmol)を加え、2時間撹拌した。その後、飽和NH4Cl水溶液で反応を止めた。反応
液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残
渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 76.4 g, ヘキサン : EtOAc = 20 : 1)で粗精製を行うことにより、無色油状物質15(1.02 g, 67%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.69-7.65 (m, 4H, Ph), 7.46-7.36 (m, 6H, Ph), 7.30-7.20 (m, 7H, Ph), 7.19-7.15 (m, 1H, Ph), 6.98-6.96 (m, 2H, Ph), 4.62-4.56 (m, 1H, NC[H]CH2O), 4.39-4.31 (m, 1H, N(CO)C[H]), 4.06-3.95 (m, 2H, NCHC[H2]O), 3.63-3.59 (m, 1H, C[H]OTBS), 3.57-3.47 (m, 2H, C[H2]OTBDPS), 3.02-2.95 (m, 1H, 1/2 NCHC[H2]Ph) 2.94-2.90 (m, 2H, NC(=O)CHC[H2]Ph), 2.31 (dd, 1H, J = 9.6, 13.8 Hz, 1/2
NCHC[H2]Ph), 2.06-2.00 (m, 1H, CH3C[H]), 1.73 (dq, 1H, J = 4.4, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.56 (dq, 1H, J = 4.4, 6.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.04 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.00 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.80 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.05 (s, 3H, SiC[H3]), −0.15 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C46H61NaO5Si2 786.3986, 実測値:786.4016。
調製例1-6:(2R,4S,5S)-2-ベンジル-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチルヘキサン-1-オール (16) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物15(285 mg, 0.372 mmol)のEt2O(7.4 mL)溶液に、0℃でエタ
ノール(EtOH)(23.9 μL, 0.409 mmol)及びLiBH4(136 μL, 0.409 mmol, 3.0 M THF
中)を加えた。得られた混合物を、2時間撹拌した。アセトンを加えて反応を止めた。反
応液を濃縮後、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。
得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 11.0 g, ヘキサン : EtOAc = 25 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質16(154 mg, 70%)を得ることができた
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.69-7.64 (m, 4H, Ph), 7.46-7.35 (m, 6H, Ph), 7.28-7.24 (m, 2H, Ph), 7.19-7.15 (m, 3H, Ph), 3.59-3.56 (m, 2H, HOC[H2]), 3.54-3.50 (m, 1H, TBSOC[H]), 3.49 (dd, 1H, J = 4.6, 10.6 Hz, 1/2 TBDPSOC[H2]), 3.41 (dd, 1H, J = 4.6, 6.6 Hz, 1/2 TBDPSOC[H2]), 2.76 (dd, 1H, J = 4.8, 13.6 Hz, 1/2 PhC[H2]CH), 2.45 (dd, 1H, J = 9.0, 13.6 Hz, 1/2 PhC[H2]CH), 2.08-2.02 (m, 1H, CH3C[H]),
1.87-1.80 (m, 1H, PhCH2C[H]), 1.41 (ddd, 2H, J = 4.8, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.18 (ddd, 1H, J = 4.8, 9.5, 14.0 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.05 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.94 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.82 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.03 (s,
3H, SiC[H3]), −0.14 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (FAB, m-NBA) [M+H]+ 次式の計算値:C36H55O3Si2 591.3690, 実測値:591.3707。
調製例1-7:(6R,8S,9S)-6-ベンジル-9-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-8,13,13-トリメチル-12,12-ジフェニル-2,4,11-トリオキサ-12-シラテトラデカン (17) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物16(413 mg, 0.699 mmol)のCH2Cl2(7.0 mL)溶液に、0℃でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(365 μL, 2.10 mmol)及びクロロメチルメチルエーテル(MOMCl)(80 μL, 1.05 mmol)を加えた。得られた混合物を室温に昇温し、5
時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 22.2 g, ヘキサン : EtOAc = 80 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質17(425 mg, 96%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.68-7.65 (m, 4H, Ph), 7.44-7.35 (m, 6H, Ph), 7.23-7.22 (m, 2H, Ph), 7.17-7.14 (m, 3H, Ph), 4.55 (s, 2H, CH3OC[H2]O), 3.60-3.56 (m,
1H, TBSOC[H]), 3.54-3.48 (m, 2H, TBDPSOC[H2]), 3.33 (dd, 1H, J = 3.6, 9.2 Hz, 1/2 CH3OCH2OC[H2]), 3.31 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.29 (dd, 1H, J = 5.6, 9.2 Hz, 1/2 CH3OCH2OC[H2]), 2.72 (dd, 1H, J = 5.0, 13.8 Hz, 1/2 PhC[H2]CH), 2.51 (dd, 1H, J = 8.4, 13.8 Hz, 1/2 PhC[H2]CH), 2.04-1.96 (m, 1H, CH3C[H]), 1.96-1.89 (m, 1H, PhCH2C[H]), 1.44 (ddd, 1H, J = 3.6, 9.4, 13.4 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.26-1.18 (m, 1H, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.04 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.92 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH), 0.82 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.04 (s, 3H, SiC[H3]), −0.14 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (FAB, m-NBA) [M+Na]+ 次式の計算値:C38H58NaO4Si2 657.3771, 実測値:657.3774
調製例1-8:(2S,3S,5R)-5-ベンジル-6-(メトキシメトキシ)-3-メチルヘキサン-1,2-ジ
オール (18) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物17(52.8 mg, 0.0831 mmol)のTHF(0.83 mL)溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)(332 μL, 0.332 mmol, 1.0 M THF中)を加えた。得られた混合物を、室温で7時間撹拌した。飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 9.8 g, CH2Cl2 : MeOH = 10 : 1)で精製を行うことにより、白色固体18(23.2 mg, 99%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.30-7.26 (m, 2H, Ph), 7.21-7.16 (m, 3H, Ph), 4.55 (s, 2H, CH3OC[H2]O), 3.63 (dt, 1H, J = 5.9, 7.5 Hz, HOC[H]), 3.49-3.45 (m, 2H, CH3OCH2OC[H2]), 3.41 (dd, 1H, J = 9.0, 9.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.39-3.33 (m, 1H, 1/2 HOC[H2]), 3.31 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 2.66 (dd, 1H, J = 7.2, 13.6 Hz, 1/2 PhC[H2]CH), 2.58 (dd, 1H, J = 7.2, 9.8 Hz, 1/2 PhC[H2]CH), 2.13 (brs, 2H, CH2O[H], CHO[H]) 2.07-2.00 (m, 1H, CH3C[H]), 1.72 (m, 1H, PhCH2C[H]), 1.53 (ddd, 1H, J = 5.2, 8.4, 13.8 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.36 (m, 1H, 1/2 CH3CHC[H2]), 0.91 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C16H26NaO4 305.1729, 実測値:305.1735。
調製例1-9:((2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-2-((メトキシメトキシ)メチル)-4-メチルヘキ
シル)ベンゼン (19) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物18(8.0 mg, 0.0283 mmol)のTHF(1.0 mL)溶液に、PPh3(22.2
mg, 0.0849 mmol)及びN-クロロコハク酸イミド(NCS)(11.3 mg, 0.0849 mmol)を加
えた。得られた混合物を、60℃で90分撹拌した。その後、H2Oを加えて反応を止めた。反
応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 452 mg, ヘキサン : EtOAc = 50 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質19(6.8 mg, 72%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.31-7.27 (m, 2H, Ph), 7.22-7.17 (m, 3H, Ph), 4.60 (d, 2H, J = 1.2 Hz, CH3OC[H2]O), 4.09 (ddd, 1H, J = 3.0, 5.8, 8.8 Hz, ClC[H]), 3.74 (dd, 1H, J = 5.8, 11.4 Hz, 1/2 ClC[H2]), 3.65 (dd, 1H, J = 8.8, 11.4 Hz, 1/2
ClC[H2]), 3.42 (dd, 1H, J = 4.8, 9.6 Hz, 1/2 CH3OCH2OC[H2]), 3.38-3.34 (m, 1H, 1/2 CH2OCH2OC[H2]), 3.37 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 2.66 (ddd, 2H, J = 5.2, 10.8, 20.8
Hz, PhC[H2]), 2.32 (dq, 1H, J = 3.0, 7.4 Hz, CH3C[H]), 2.02-1.95 (m, 1H, PhCH2C
[H]), 1.48 (t, 2H, J = 7.4 Hz, CH3CHC[H2]), 0.93 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (FAB, m-NBA) [M+Na]+ 次式の計算値:C16H24Cl2NaO2 341.1051, 実測値:341.1037
調製例1-10:(2R,4S,5R)-2-ベンジル-5,6-ジクロロ-4-メチルヘキサン-1-オール (20) の合成
Figure 2016121072
化合物19(10.1 mg, 0.0313 mmol)に、MeOH : 2 M HCl = 3 : 1(1.0 mL)を加えた。得られた混合物を、50℃で17時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した
。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 431 mg, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質20(8.7 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.37-7.31 (m, 2H, Ph), 7.28-7.22 (m, 3H, Ph), 4.14 (ddd, 1H, J = 2.8, 5.8, 8.8 Hz, ClC[H]), 3.80 (dd, 1H, J = 5.8, 11.2 Hz, 1/2 ClC[H2]), 3.71 (dd, 1H, J = 8.8, 11.2 Hz, 1/2 ClC[H2]), 3.58 (ddd, 2H, J = 5.1, 10.8, 21.0 Hz, HOC[H2]), 2.71 (d, 2H, J = 3.2 Hz, PhC[H2]CH), 2.37 (dq, 1H, J = 3.2, 6.7 Hz, PhCH2C[H]), 1.99-1.91 (m, 1H, CH3C[H]CH2), 1.54-1.50 (m, 2H, HOCH2CHC[H2]), 1.00 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (FAB, m-NBA) [M+Na]+ 次式の計算値
:C13H20Cl2NaO 297.0789, 実測値:297.0789。
調製例1-11:(2R,4S,5R)-2-ベンジル-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(メトキシメトキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチルヘキサン-1-オン (23) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物20(62.3 mg, 0.226 mmol)のCH2Cl2(2.3 mL)溶液に、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル(TEMPO)(3.53 mg, 0.0226 mmol)及び
ヨードベンゼンジアセテート(PhI(OAc)2)(182 mg, 0.565 mmol)を加えた。得られた
混合物を、室温で3時間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 3.1 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)
で精製を行うことで、化合物21を含む粗物質を得ることができた。
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(0.44 mL)にn-BuLi(151 μL, 0.401 mmol, 2.65 M n-ヘキサン中)を加えた後、化合物2(49.7 mg, 0.182 mmol)のTHF(1.6 mL)溶液を加
えた。続いて、前記混合物に粗物質のTHF(1.6 mL)溶液を滴下し、−78℃で90分撹拌し
た。その後、MeOHを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 4.8 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1)で粗精製を行うことにより、化合物22を含む粗物質を得た。
続いて、窒素雰囲気下、粗物質のCH2Cl2(1.8 mL)溶液に、Dess-Martinペルヨージナ
ン(D.M.P.)(116 mg, 0.273 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で2時間撹拌し
た。その後、飽和Na2S2O3水溶液及び飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を
、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣
を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 4.8 g, ヘキサン : EtOAc = 15 : 1)で精
製を行うことにより、無色油状物質23(63.2 mg, 3段階、53%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.32-7.19 (m, 5H, Ph), 5.54 (dd, 2H, J = 6.0, 22.0 Hz, CH3OC[H2]O), 5.32 (dd, 2H, J = 6.0, 14.6 Hz, CH3OC[H2]O), 4.16 (ddd, 1H, J =
2.7, 7.2, 7.9 Hz, ArC(=O)C[H]), 4.01 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.81 (s, 3H, ArOC[H3]) 3.71 (dd, 1H, J = 6.8, 11.4 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.63-3.57 (m, 1H, C[H]Cl), 3.62 (dd, 1H, J = 8.4, 11.4 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.52 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.51 (s, 3H, C[H3]OCH2O) 3.29 (dd, 1H, J = 5.8, 13.8 Hz, 1/2 PhC[H2]CH), 2.66 (dd, 1H, J = 8.2,
13.8 Hz, 1/2 PhC[H2]CH), 2.32-2.26 (m, 1H, CH3C[H]), 1.89 (ddd, 1H, J = 6.0, 8.4, 14.2 Hz, 1/2 CHC[H2]CH), 1.60 (ddd, 1H, J = 5.1, 8.4, 14.2 Hz, 1/2 CHC[H2]CH), 0.92 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C25H33Cl2NNaO7 552.1532, 実測値:552.1534。
調製例1-12:(2R,4S,5R)-2-ベンジル-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチルヘキサン-1-オン (A5-001) の合成
Figure 2016121072
化合物23(5.8 mg, 0.0109 mmol)のCH2Cl2(0.35 mL)溶液に、0℃でトリフルオロ酢酸(TFA)(0.35 mL)を加えた。得られた混合物を、1時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。続いて、プレパラティブTLC(ヘキサン : EtOAc = 3 : 2)で精製
を行うことにより、白色固体A5-001(3.9 mg, 81%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.30-7.14 (m, 5H, Ph), 4.65-4.55 (m, 1H, PhCH2C[H]), 4.17-4.14 (m, 1H, C[H]Cl), 4.13 (s, 3H, OC[H3]), 3.79 (s, 3H, OC[H3]), 3.67 (dd, 1H, J = 6.0, 11.4 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.57 (dd, 1H, J = 8.6, 11.4 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.08 (dd, 1H, J = 6.2, 13.4 Hz, 1/2 CO(CHC[H2]Ph)), 2.66 (dd, 1H, J = 7.4, 13.4 Hz, 1/2 CO(CHC[H2]Ph)), 2.15-2.09 (m, 1H, CH3C[H]), 1.91 (ddd, 1H, J = 9.5,
13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.58 (ddd, 1H, J = 8.5, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 0.8
9 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C21H25Cl2NNaO5 464.1008, 実測値:464.1006。
[実施例2]
(2R,4S,5R)-2-([1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチルヘキサン-1-オン (A5-002) の合成
化合物A5-002の合成を、下記スキームに従って行った。
Figure 2016121072
調製例2-1:(S)-3-((2R,4S,5S)-2-([1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル)-5-((tert-ブチ
ルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチルヘキサ
ノイル)-4-ベンジルオキサゾリジン-2-オン (24) の合成
Figure 2016121072
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(1.4 mL)にNaHMDS(1.00 mL, 1.00 mmol, 1.0 M THF中)を加えた後、化合物3(500 mg, 0.742 mmol)のTHF(3.5 mL)溶液を加えた。1時間
撹拌後、4-ブロモメチルビフェニル(551 μL, 2.23 mmol)を加え、5分撹拌した。その
後、飽和NH4Cl水溶液で反応を止めた。反応液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル
12.7 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質24(452 mg, 73%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.75-7.71 (m, 4H, Ph), 7.58-7.53 (m, 4H, Ph), 7.48-7.40 (m, 11H, Ph), 7.37-7.32 (m, 2H, Ph), 7.25-7.23 (m, 2H, Ph), 7.02-7.00 (m, 1H, Ph), 4.68-4.62 (m, 1H, NC[H]CH2O), 4.48-4.41 (m, 1H, NC(=O)C[H]), 4.09-4.01 (m, 2H, NCHC[H2]O), 3.70-3.66 (m, 1H, C[H]OTBS), 3.65-3.55 (m, 2H, C[H2]OTBDPS), 3.09 (dd, 1H, J = 9.2, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 3.04-2.98 (m, 2H, C[H2]PhPh), 2.39 (dd, 1H, J = 9.2, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.13-2.08 (m, 1H, CH3C[H]), 1.82
(ddd, 1H, J = 5.0, 9.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.65 (ddd, 1H, J = 5.0, 9.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.11 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.07 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.86 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.02 (s, 3H, SiC[H3]), −0.09 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C52H65NNaO5Si2 862.4299, 実測値:862.4285。
調製例2-2:(2R,4S,5S)-2-([1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチルヘキサン-1-オール (25) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物24(427 mg, 0.509 mmol)のEt2O(10.2 mL)溶液に、0℃でEtOH(32.7 μL, 0.560 mmol)及びLiBH4(187 μL, 0.560 mmol, 3.0 M THF中)を加えた。
得られた混合物を、1時間撹拌した。アセトンを加えて反応を止めた。反応液を濃縮後、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 13.3 g, ヘキサン : EtOAc = 20 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質25(213 mg, 63%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.71-7.67 (m, 4H, Ph), 7.59-7.56 (m, 2H, Ph), 7.50-
7.48 (m, 2H, Ph), 7.45-7.31 (m, 9H, Ph), 7.27-7.25 (m, 2H, Ph), 3.63-3.51 (m, 4H, 1/2 HOC[H2], CHOTBS, C[H2]OTBDPS), 3.46 (dd, 1H, J = 5.6, 10.8 Hz, 1/2 HOCH2),
2.81 (dd, 1H, J = 4.8, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.45 (dd, 1H, J = 8.8, 13.6 Hz,
1/2 C[H2]PhPh), 2.10-2.05 (m, 1H, CH3C[H]), 1.93-1.86 (m, 1H, HOCH2C[H]), 1.45 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.23-1.17 (m, 1H, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.06 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.97 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.83 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.02 (s, 3H, SiC[H3]), −0.12 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C42H58NaO3Si2 689.3822, 実測値:689.3820。
調製例2-3:(6R,8S,9S)-6-([1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル)-9-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-8,13,13-トリメチル-12,12-ジフェニル-2,4,11-トリオキサ-12-シラテトラデカン (26) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物25(112 mg, 0.167 mmol)のCH2Cl2(1.7 mL)溶液に、0℃でDIPEA(87.3 μL, 0.501 mmol)及びMOMCl(19.0 μL, 0.251 mmol)を加えた。得られた混
合物を室温に昇温し、3時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた
。反応液を、Et2Oで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.37 g, ヘキサン : EtOAc = 30 :
1)で精製を行うことにより、無色油状物質26(119 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.78-7.75 (m, 4H, Ph), 7.65 (s, 1H, Ph), 7.63 (s, 1H, Ph), 7.56 (s, 1H, Ph), 7.54 (s, 1H, Ph), 7.51-7.41 (m, 8H, Ph), 7.38 (dt, 1H,
J = 2.8, 8.0 Hz, Ph), 7.33 (s, 1H, Ph), 7.31 (s, 1H, Ph), 4.67 (s, 2H, CH3OC[H2]O), 3.70-3.59 (m, 3H, C[H]OTBS, C[H2]OTBDPS), 3.49-3.42 (m, 2H, MOMOC[H2]), 3.41 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 2.85 (dd, 1H, J = 4.4, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.66 (dd,
1H, J = 8.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.16-2.09 (m, 1H, CH3C[H]), 2.10-2.02 (m,
1H, C[H]CH2PhPh), 1.57 (ddd, 1H, J = 3.8, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.36-1.32 (m, 1H, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.14 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.04 (d, 3H, J = 7.2 Hz,
C[H3]CH), 0.91 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.06 (s, 3H, SiC[H3]), −0.05 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C44H62NaO4Si2 733.4084, 実測値:733.4081
調製例2-4:(2S,3S,5R)-6-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-5-((メトキシメトキシ)メチル)-3-メチルヘキサン-1,2-ジオール (27) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物26(151 mg, 0.212 mmol)のTHF(2.1 mL)溶液に、TBAF(848
μL, 0.848 mmol, 1.0 M THF中)を加えた。得られた混合物を、室温で24時間撹拌した。飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 7.02 g, ヘキサン : EtOAc = 1 : 1)で精製を行うことにより、白色固体27(75.9 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.61-7.58 (m, 2H, Ph), 7.53 (dt, 2H, J = 1.6, 8.0 Hz, Ph), 7.43 (d, 2H, J = 1.6, 6.8 Hz, Ph), 7.35-7.31 (m, 1H, Ph), 7.25 (d, 2H, J
= 8.0 Hz, Ph), 4.61 (s, 2H, CH3OC[H2]O), 3.65 (dd, 1H, J = 7.6, 15.2 Hz, 1/2 C[H2]OH), 3.52-3.47 (m, 2H, C[H]OH, 1/2 C[H2]OH), 3.45 (dd, 1H, J = 4.8, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.39 (dd, 1H, J = 3.6, 4.8 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.36 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 2.73 (dd, 1H, J = 5.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.61 (dd, 1H, J = 8.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.10-2.03 (m, 1H, C[H]CH2PhPh), 1.84-1.74 (m, 1H, CH3C[H]), 1.59 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.4, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.38 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.4, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.94 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C22H30NaO4 381.2042, 実測値:381.2049。
調製例2-5:(2R,4S,5R)-2-([1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル)-5,6-ジクロロ-4-メチルヘキサン-1-オール (29) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物27(62 mg, 0.173 mmol)のTHF(1.7 mL)溶液に、PPh3(136 mg, 0.519 mmol)及びNCS(69.3 mg, 0.519 mmol)を加えた。得られた混合物を、60℃で15分撹拌した。その後、H2Oを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせ
た有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.78 g, ヘキサン : EtOAc = 50 : 1)で精製を行うことにより、化合物28を含む粗物質を得ることができた。
得られた粗物質に、MeOH : 2 M HCl = 3 : 1(1.7 mL)を加えた。得られた混合物を、50℃で24時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 5.67 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1)で精製を
行うことにより、無色油状物質29(45.1 mg, 2段階、 74%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.62-7.58 (m, 2H, Ph), 7.54 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ph), 7.45 (dt, 2H, J = 1.6, 8.0 Hz, Ph), 7.34 (dt, 1H, J = 1.6, 8.0 Hz, Ph), 7.28 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ph), 4.11 (ddd, 1H, J = 2.8, 5.6, 9.2 Hz, C[H]Cl), 3.76 (dd, 1H, J = 5.6, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.67 (dd, 1H, J = 9.2, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.59 (dd, 1H, J = 4.8, 10.6 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.54 (dd, 1H, J = 4.8, 10.6 Hz, 1/2 HOC[H2]), 2.71 (d, 2H, J = 6.8 Hz, C[H2]PhPh), 2.33 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.8, 14.0 Hz, CH3C[H]), 1.98-1.90 (m, 1H, HOCH2C[H]), 1.50 (ddd, 2H, J = 4.0, 6.8, 6.8 Hz, HOCH2CHC[H2]), 0.97 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (FAB, m-NBA) [M]+
次式の計算値:C20H24Cl2O 350.1204, 実測値:350.1204。
調製例2-6:(2R,4S,5R)-2-([1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-
ジメトキシ-2,4-ビス(メトキシメトキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチルヘキサン-1-オン (32) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物29(37.9 mg, 0.108 mmol)のCH2Cl2(1.1 mL)溶液に、TEMPO(1.7 mg, 0.0108 mmol)及びPhI(OAc)2(87.0 mg, 0.270 mmol)を加えた。得られた混合
物を、室温で3時間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 7.56 mg, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精
製を行うことで、化合物30を含む粗物質を得ることができた。
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(0.20 mL)にn-BuLi(77.4 μL, 2.05 mmol, 2.65 M n-ヘキサン中)を加えた後、化合物2(39.2 mg, 0.102 mmol)のTHF(0.50 mL)溶液を加えた。続いて、前記混合物に粗物質のTHF(0.80 mL)溶液を滴下し、−78℃で5分撹拌し
た。その後、MeOHを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.38 g, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1)で粗精製を行うことにより、化合物31を含む粗物質を得た。
続いて、窒素雰囲気下、粗物質のCH2Cl2(0.93 mL)溶液に、D.M.P.(59.4 mg, 0.140 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で20分撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液
及び飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有
機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 5.32 g, ヘキサン : EtOAc = 15 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質32(13.6 mg, 3段階、24%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.57-7.54 (m, 2H, Ph), 7.48 (dt, 2H, J = 2.8, 8.0 H
z, Ph), 7.42 (t, 2H, J = 8.0 Hz, Ph), 7.34-7.30 (m, 1H, Ph), 7.27 (dt, 2H, J = 2.0, 8.0 Hz, Ph), 5.49 (d, 1H, J = 6.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.43 (d, 1H, J = 6.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.29 (d, 1H, J = 5.4 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.26 (d, 1H, J = 5.4 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 4.13 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.4, 8.0 Hz, C[H]Cl), 3.95 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.74 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.67 (dd, 1H, J = 6.4, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.60-3.57 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 3.58 (dd, 1H, J = 8.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.47 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.46 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.20 (dd, 1H, J = 6.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.67 (dd, 1H, J = 6.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.26 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.4, 6.4 Hz, CH3C[H]), 1.86 (ddd, 1H, J = 6.4, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.57 (ddd, 1H, J = 6.4, 8.0 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.92 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C31H37Cl2NNaO7 628.1845, 実測値:628.1826。
調製例2-7:(2R,4S,5R)-2-([1,1'-ビフェニル]-4-イルメチル)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-
ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチルヘキサン-1-オン (A5-002)
の合成
Figure 2016121072
化合物32(11.3 mg, 0.0186 mmol)のCH2Cl2(0.25 mL)溶液に、0℃でTFA(0.25 mL)を加えた。得られた混合物を、10分撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 6.75 g, ヘキサン : EtOAc = 4 : 1)で精製を行うことによ
り、白色固体A5-002(9.0 mg, 94%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.55 (d, 2H, J = 7.6 Hz, Ph), 7.47 (d, 2H, J = 7.6 Hz, Ph), 7.41 (t, 2H, J = 7.6 Hz, Ph), 7.30 (dd, 3H, J = 7.6, 12.8 Hz, Ph), 4.74-4.65 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 4.20-4.17 (m, 1H, C[H]Cl), 4.12 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.78 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.67 (dd, 1H, J = 6.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.58 (dd, 1H, J = 8.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.11 (dd, 1H, J = 6.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.71 (dd, 1H, J = 6.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]PhPh), 2.16-2.12 (m, 1H, CH3C[H]), 1.93 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.63 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.91 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C27H29Cl2NNaO5 540.1321, 実測値:540.1334。
[実施例3]
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(2-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-003) の合成
化合物A5-003の合成を、下記スキームに従って行った。
Figure 2016121072
調製例3-1:(S)-4-ベンジル-3-((2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(2-メチルベンジル)ヘキサノイ
ル)オキサゾリジン-2-オン (33) の合成
Figure 2016121072
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(5.1 mL)にNaHMDS(1.55 mL, 1.55 mmol, 1.0 M THF中)を加えた後、化合物3(0.750 g, 1.11 mmol)のTHF(6.0 mL)溶液を加えた。1時間
撹拌後、α-ブロモ-o-キシレン(443 μL, 3.33 mmol)を加え、50分撹拌した。その後、飽和NH4Cl水溶液で反応を止めた。反応液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4
で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル22.8
g, ヘキサン : EtOAc = 40 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質33(574 mg, 73%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.77-7.73 (m, 4H, Ph), 7.49-7.43 (m, 6H, Ph), 7.31-7.27 (m, 4H, Ph), 7.20-7.18 (m, 1H, Ph), 7.16-7.12 (m, 2H, Ph), 7.00-6.97 (m, 2H, Ph), 4.66-4.61 (m, 1H, NC[H]CH2O), 4.55-4.48 (m, 1H, NC(=O)C[H]), 4.08-3.99 (m, 2H, NCHC[H2]O), 3.71-3.64 (m, 2H, C[H]OTBS, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.59 (dd, 1H, J = 4.0, 8.8 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.05 (dd, 2H, J = 6.4, 9.6 Hz, C[H2]PhCH3), 2.98 (dd, 1H, J = 3.2, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.46 (s, 3H, PhC[H3]), 2.35 (dd, 1H, J = 9.6, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.21-2.12 (m, 1H, CH3C[H]), 1.86 (ddd, 1H,
J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.65 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.12 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.09 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.88 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.04 (s, 3H, SiC[H3]), −0.07 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C47H63NNaO5Si2 800.4142, 実測値:800.4156。
調製例3-2:(2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジ
フェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(2-メチルベンジル)ヘキサン-1-オール (34) の合

Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物33(575 mg, 0.739 mmol)のEt2O(15 mL)溶液に、0℃でEtOH(47.5 μL, 0.813 mmol)及びLiBH4(407 μL, 0.813 mmol, 2.0 M THF中)を加えた。得
られた混合物を、1時間撹拌した。アセトンを加えて反応を止めた。反応液を濃縮後、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 28.1 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質34(262 mg, 59%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74 (d, 4H, J = 6.8 Hz, Ph), 7.49-7.42 (m, 6H, Ph), 7.19-7.14 (m, 4H, Ph), 3.67-3.56 (m, 4H, 1/2 HOC[H2], C[H]OTBS, C[H2]OTBDPS), 3.48 (dd, 1H, J = 5.6, 11.2 Hz, 1/2 HOC[H2]), 2.81 (dd, 1H, J = 4.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.49 (dd, 1H, J = 10.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.37 (s, 3H, PhC[H3]), 2.15-2.07 (m, 1H, CH3C[H]), 1.94-1.84 (m, 1H, HOCH2C[H]), 1.53 (ddd, 1H,
J = 4.4, 10.0, 14.0 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.31 (ddd, 1H, J = 4.4, 10.0, 14.0 Hz,
1/2 CH3CHC[H2]), 1.12 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.03 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH), 0.91 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.05 (s, 3H, SiC[H3]), −0.05 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C37H56NaO3Si2 627.3666, 実測値:627.3637。
調製例3-3:(6R,8S,9S)-9-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-8,13,13-トリメチル-6-(2-メチルベンジル)-12,12-ジフェニル-2,4,11-トリオキサ-12-シラテトラデカン (35) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物34(258 mg, 0.426 mmol)のCH2Cl2(4.3 mL)溶液に0℃でDIPEA(223 μL, 1.28 mmol)及びMOMCl(48.5 μL, 0.639 mmol)を加えた。得られた混合物
を室温に昇温し、8時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反
応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られ
た残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 27.6 g, ヘキサン : EtOAc = 70 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質35(237 mg, 86%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.79 (dd, 4H, J = 1.6, 8.0 Hz, Ph), 7.53-7.45 (m, 6H, Ph), 7.24-7.17 (m, 4H, Ph), 4.67 (dd, 2H, J = 6.8, 14.0 Hz, CH3OC[H2]O), 3.70
(dd, 1H, J = 2.8, 6.0 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.66-3.62 (m, 2H, C[H]OTBS, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.50 (dd, 1H, J = 4.0, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.44 (dd, 1H, J = 5.6,
9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.41 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 2.83 (dd, 1H, J = 4.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.64 (dd, 1H, J = 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.41 (s, 3H, PhC[H3]), 2.17-2.10 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 2.08-1.99 (m, 1H, CH3C[H]), 1.65 (ddd,
1H, J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.44 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.16 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.07 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH), 0.95 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.10 (s, 3H, SiC[H3]), −0.01 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C39H60NaO4Si2 671.3928, 実測値:671.3904。
調製例3-4:(2S,3S,5R)-6-(メトキシメトキシ)-3-メチル-5-(2-メチルベンジル)ヘキサン-1,2-ジオール (36) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物35(221 mg, 0.340 mmol)のTHF(3.4 mL)溶液に、TBAF(1.36 μL, 1.36 mmol, 1.0 M THF中)を加えた。得られた混合物を、室温で17時間撹拌した。
飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 12.2 g, ヘキサン : EtOAc = 1 : 1)で精製を行うことにより、白色固体36(100 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.14-7.09 (m, 4H, Ph), 4.58 (dd, 2H, J = 6.8, 8.0 Hz, CH3OC[H2]O), 3.60 (dd, 1H, J = 6.8, 14.0 Hz, C[H]OH), 3.45 (dd, 2H, J = 8.0, 14.0 Hz, C[H2]OH), 3.41 (dd, 1H, J = 4.4, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.35 (dd, 1H,
J = 6.0, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.34 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 2.61 (dd, 2H, J = 6.0, 9.6 Hz, C[H2]PhCH3), 2.31 (s, 3H, PhC[H3]), 2.05-1.96 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 1.75-1.66 (m, 1H, CH3C[H]), 1.57 (ddd, 1H, J = 5.2, 8.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.42 (ddd, 1H, J = 5.2, 8.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.94 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C17H28NaO4 319.1885, 実測値:319.1886
調製例3-5:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-4-メチル-2-(2-メチルベンジル)ヘキサン-1-オ
ール (38) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物36(90.3 mg, 0.307 mmol)のTHF(3.1 mL)溶液に、PPh3(242 mg, 0.921 mmol)及びNCS(123 mg, 0.921 mmol)を加えた。得られた混合物を、60℃で5分撹拌した。その後、H2Oを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせ
た有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 9.50 g, ヘキサン : EtOAc = 100 : 1)で精製を行うことにより、化合
物37を含む粗物質を得ることができた。
得られた粗物質に、MeOH : 2 M HCl = 3 : 1(3.1 mL)を加えた。得られた混合物を、50℃で11時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カ
ラムクロマトグラフィー(シリカゲル 10.3 g, ヘキサン : EtOAc = 15 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質38(65.4 mg, 2段階、74%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.16-7.10 (m, 4H, Ph), 4.09 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.0,
8.8 Hz, C[H]Cl), 3.74 (dd, 1H, J = 6.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.65 (dd, 1H, J = 8.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.58 (dd, 1H, J = 5.2, 10.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.51
(dd, 1H, J = 5.2, 10.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 2.64 (d, 1H, J = 7.2 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.63 (d, 1H, J = 7.2 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.36-2.27 (m, 1H, HOCH2C[H]), 2.33
(s, 3H, PhC[H3]), 1.92-1.85 (m, 1H, CH3C[H]), 1.59-1.45 (m, 2H, J = 7.2, 12.4 Hz, C[H2]CHCH3), 0.97 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (FAB, m-NBA) [M]+ 次式の計算値:C15H22Cl2O 288.1048, 実測値:288.1044。
調製例3-6:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(メトキシメトキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(2-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (41) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物38(52.6 mg, 0.182 mmol)のCH2Cl2(1.8 mL)溶液に、TEMPO(2.80 mg, 0.0182 mmol)及びPhI(OAc)2(147 mg, 0.455 mmol)を加えた。得られた混合
物を、室温で3時間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、Et2Oで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 11.6 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことで、化合物39を含む粗物質を得ることができた。
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(0.40 mL)にn-BuLi(199 μL, 0.308 mmol, 1.55 M n-ヘキサン中)を加えた後、化合物2(59.3 mg, 0.154 mmol)のTHF(0.50 mL)溶液を加えた。続いて、前記混合物に粗物質のTHF(0.55 mL)溶液を滴下し、−78℃で20分撹拌した。その後、MeOHを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 9.71 g, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1)で粗精製を行うことにより、化合物40を含む粗物質を得た。
続いて、窒素雰囲気下、粗物質のCH2Cl2(1.4 mL)溶液に、D.M.P.(89.0 mg, 0.210 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で15分撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液及び飽和NaHCO3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層
を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 9.59 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質41
(51.1 mg, 3段階、52%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.15 (dd, 1H, J = 3.6, 5.6 Hz, Ph), 7.13-7.08 (m, 1H, Ph), 7.07 (dd, 2H, J = 3.5, 5.6 Hz, Ph), 5.47 (d, 1H, J = 6.0 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.40 (d, 1H, J = 6.0 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.27 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.21 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 4.09 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.8,
8.0 Hz, C[H]Cl), 3.95 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.75 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.64 (dd, 1H, J = 6.8, 11.6 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.57-3.51 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 3.55 (dd, 1H, J = 8.0, 11.6 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.44 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.42 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.16 (dd, 1H, J = 6.8, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.61 (dd, 1H, J = 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.29 (s, 3H, PhC[H3]), 2.23-2.18 (m, 1H, CH3C[H]), 1.87 (ddd, 1H, J = 6.0, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.56 (ddd, 1H, J = 6.8, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.86 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式
の計算値:C26H35Cl2NNaO7 566.1688, 実測値:566.1676。
調製例3-7:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリ
ジン-3-イル)-4-メチル-2-(2-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-003) の合成
Figure 2016121072
化合物41(21.6 mg, 0.0397 mmol)のCH2Cl2(0.40 mL)溶液に、0℃でTFA(0.40 mL)を加えた。得られた混合物を、15分撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 9.19 g, ヘキサン : EtOAc = 8 : 1)で精製を行うことにより、白色固体A5-003(16.5 mg, 91%)を得ることがで
きた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.16-7.13 (m, 1H, Ph), 7.10-7.02 (m, 3H, Ph), 4.81-4.73 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 4.29 (ddd, 1H, J = 2.4, 6.4, 8.0 Hz, C[H]Cl), 4.11 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.77 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.66 (dd, 1H, J = 6.4, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.57 (dd, 1H, J = 8.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.00 (dd, 1H, J = 8.0, 9.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.76 (dd, 1H, J = 6.8, 9.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.34 (s, 3H, PhC[H3]), 2.13-2.07 (m, 1H, CH3C[H]), 1.92 (ddd, 1H, J = 4.8, 9.2, 11.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.17 (ddd, 1H, J =4.8, 9.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.91 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C22H27Cl2NNaO5 478.1164, 実測値:478.1165。
[実施例4]
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(3-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-004) の合成
化合物A5-004の合成を、下記スキームに従って行った。
Figure 2016121072
調製例4-1:(S)-4-ベンジル-3-((2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(3-メチルベンジル)ヘキサノイ
ル)オキサゾリジン-2-オン (42) の合成
Figure 2016121072
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(5.1 mL)にNaHMDS(1.55 mL, 1.55 mmol, 1.0 M THF中)を加えた後、化合物3(0.750 g, 1.11 mmol)のTHF(6.0 mL)溶液を加えた。1時間
撹拌後、α-ブロモ-m-キシレン(450 μL, 3.33 mmol)を加え、40分撹拌した。その後、飽和NH4Cl水溶液で反応を止めた。反応液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル22.8
g, ヘキサン : EtOAc = 40 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質42(586 mg, 66%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.72-7.69 (m, 4H, Ph), 7.47-7.38 (m, 6H, Ph), 7.29-7.24 (m, 3H, Ph), 7.19-7.16 (m, 1H, Ph), 7.12-7.10 (m, 2H, Ph), 7.02-6.99 (m, 3H, Ph), 4.65-4.59 (m, 1H, NC[H]CH2O), 4.39-4.32 (m, 1H, NC(=O)C[H]), 4.08-3.99 (m, 2H, NCHC[H2]O), 3.65-3.61 (m, 1H, C[H]OTBS), 3.57 (d, 1H, J = 10.0 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.53 (dd, 1H, J = 5.2, 10.0 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.00-2.89 (m, 2H, C[H2]PhCH3), 2.95 (dd, 1H, J = 10.0, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.35 (dd, 1H, J = 10.0, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.31 (s, 3H, PhC[H3]), 2.09-2.01 (m, 1H, CH3C[H]), 1.76 (ddd, 1H, J = 5.2, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.59 (ddd, 1H, J = 5.2, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.07 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.03 (d, 3H, J = 7.2
Hz, C[H3]CH), 0.83 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.02 (s, 3H, SiC[H3]), −0.12 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C47H63NNaO5Si2 800.4142, 実測値:800.4151。
調製例4-2:(2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジ
フェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(3-メチルベンジル)ヘキサン-1-オール (43) の合

Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物42(574 mg, 0.738 mmol)のEt2O(15 mL)溶液に、0℃でEtOH(47.4 μL, 0.812 mmol)及びLiBH4(406 μL, 0.812 mmol, 2.0 M THF中)を加えた。得
られた混合物を、1時間撹拌した。アセトンを加えて反応を止めた。反応液を濃縮後、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 22.3 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質43(352 mg, 79%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74-7.71 (d, 4H, J = 6.8 Hz, Ph), 7.48-7.39 (m, 6H, Ph), 7.19 (dd, 1H, J = 7.2, 8.4 Hz, Ph), 7.03 (dd, 3H, J = 7.2, 8.4 Hz, Ph), 3.65-3.60 (m, 1H, C[H]OTBS), 3.63 (d, 1H, J = 8.0 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.60 (dd,
1H, J = 5.2, 8.0 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.54 (dd, 1H, J = 5.2, 9.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.52 (dd, 1H, J = 5.2, 9.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 2.80 (dd, 1H, J = 5.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.44 (dd, 1H, J = 8.8, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.36 (s, 3H,
PhC[H3]), 2.12-2.04 (m, 1H, CH3C[H]), 1.93-1.85 (m, 1H, J = 5.2, 8.8, 13.6 Hz, HOCH2C[H]), 1.47 (ddd, 1H, J = 3.2, 8.8, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.24 (ddd, 1H, J = 3.2, 8.8, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.12 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.03 (d, 3H
, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.91 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.05 (s, 3H, SiC[H3]), −0.05
(s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C37H56NaO3Si2 627.3666, 実測値:627.3653。
調製例4-3:(6R,8S,9S)-9-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-8,13,13-トリメチル-6-(3-メチルベンジル)-12,12-ジフェニル-2,4,11-トリオキサ-12-シラテトラデカン (44) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物43(348 mg, 0.575 mmol)のCH2Cl2(5.8 mL)溶液に、0℃でDIPEA(301 μL, 1.73 mmol)及びMOMCl(65.5 μL, 0.863 mmol)を加えた。得られた混合
物を室温に昇温し、3.5時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた
。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得
られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 13.7 g, ヘキサン : EtOAc = 80
: 1)で精製を行うことにより、無色油状物質44(305 mg, 82%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.88-7.86 (m, 4H, Ph), 7.58-7.50 (m, 6H, Ph), 7.28 (dd, 1H, J = 7.2, 13.6 Hz, Ph), 7.16-7.13 (m, 3H, Ph), 4.74 (s, 2H, CH3OC[H2]O),
3.80-3.70 (m, 3H, CHOTBS, C[H2]OTBDPS), 3.55 (dd, 1H, J = 4.4, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.50 (dd, 1H, J = 6.4, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.48 (s, 3H, C[H3]OCH2O),
2.89 (dd, 1H, J = 5.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.69 (dd, 1H, J = 8.4, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.47 (s, 3H, PhC[H3]), 2.25-2.19 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 2.16-2.10 (m, 1H, CH3C[H]), 1.67 (ddd, 1H, J = 4.4, 9.6, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.44 (ddd, 1H, J = 4.4, 9.6, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.25 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.14 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH), 1.03 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.17 (s, 3H, SiC[H3]), 0.08 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C39H60NaO4Si2 671.3928, 実測値:671.3932。
調製例4-4:(2S,3S,5R)-6-(メトキシメトキシ)-3-メチル-5-(3-メチルベンジル)ヘキサン-1,2-ジオール (45) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物44(288 mg, 0.444 mmol)のTHF(4.4 mL)溶液に、TBAF(1.78 μL, 1.78 mmol, 1.0 M THF中)を加えた。得られた混合物を、室温で4時間撹拌した。飽
和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 9.50 g, ヘキサン : EtOAc = 1 : 2)で精製を行うことにより、無色油状物質45(97.4 mg, 74%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.16 (t, 1H, J = 8.0 Hz, Ph), 6.98 (dd, 2H, J = 8.0, 12.4 Hz, Ph), 6.97 (s, 1H, Ph), 4.59 (s, 2H, CH3OC[H2]O), 3.67-3.63 (m, 1H, C[H]OH), 3.47 (d, 2H, J = 6.0 Hz, C[H2]OH), 3.41 (dd, 1H, J = 4.8, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.35 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.34 (dd, 1H, J = 6.4, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 2.62 (dd, 1H, J = 5.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.27 (dd, 1H, J = 8.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.32 (s, 3H, CH2PhC[H3]), 2.05-1.98 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 1.77-1.70 (m, 1H, CH3C[H]), 1.53 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.37 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.91 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C17H28NaO4 319.1885, 実測値:319.1886
調製例4-5:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-4-メチル-2-(3-メチルベンジル)ヘキサン-1-オ
ール (47) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物45(82.9 mg, 0.280 mmol)のTHF(2.8 mL)溶液に、PPh3(220 mg, 0.840 mmol)及びNCS(112 mg, 0.840 mmol)を加えた。得られた混合物を、60℃で5分撹拌した。その後、H2Oを加え反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた
有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 10.7 g, ヘキサン : EtOAc = 100 : 1)で精製を行うことにより、化合物46を含む粗物質を得ることができた。
得られた粗物質に、MeOH : 2 M HCl = 3 : 1(2.8 mL)を加えた。得られた混合物を、50℃で13.5時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 9.50 g, ヘキサン : EtOAc = 20 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質47(60.9 mg, 2段階、 75%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.18 (t, 1H, J = 8.0 Hz, Ph), 7.03-6.98 (m, 2H, Ph), 7.01 (s, 1H, Ph), 4.09 (ddd, 1H, J = 2.8, 5.6, 8.8 Hz, C[H]Cl), 3.75 (dd, 1H, J = 5.6, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.66 (dd, 1H, J = 8.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.55 (dd, 1H, J = 5.2, 11.2 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.50 (dd, 1H, J = 5.2, 11.2 Hz, 1/2 HOC[H2]), 2.62 (dd, 2H, J = 6.8, 8.0 Hz, C[H2]PhCH3), 2.34 (s, 3H, PhC[H3]), 2.31 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.8, 14.0 Hz, CH3C[H]), 1.95-1.85 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 1.46 (dd, 2H, J = 8.0, 14.0 Hz, C[H2]CHCH3), 0.95 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (FAB, m-NBA) [M]+ 次式の計算値:C15H22Cl2O 288.1048, 実測値:288.1049。
調製例4-6:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(メトキシメトキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(3-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (50) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物47(24.4 mg, 0.0844 mmol)のCH2Cl2(0.84 mL)溶液に、TEMPO(1.30 mg, 8.44 μmol)及びPhI(OAc)2(68.0 mg, 0.211 mmol)を加えた。得られた混
合物を、室温で3時間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残
渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 12.2 g, ヘキサン : EtOAc = 35 : 1)で精製を行うことで、化合物48を含む粗物質を得ることができた。
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(0.30 mL)にn-BuLi(92.9 μL, 0.144 mmol, 1.55 M
n-ヘキサン中)を加えた後、化合物2(27.7 mg, 0.0720 mmol)のTHF(0.50 mL)溶液を加えた。続いて、前記混合物に粗物質のTHF(0.50 mL)溶液を滴下し、−78℃で5分撹拌
した。その後、MeOHを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 13.0 g, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1)で粗精製を行うことにより、化合物49を含む粗物質を得た。
続いて、窒素雰囲気下、粗物質のCH2Cl2(0.66 mL)溶液に、D.M.P.(41.7 mg, 0.0983
mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で30分撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液及び飽和NaHCO3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機
層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 6.75 g, ヘキサン : EtOAc = 15 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質50(17.8 mg, 3段階、39%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.12 (t, 1H, J = 7.2 Hz, Ph), 6.99 (s, 1H, Ph), 6.97 (d, 2H, J = 7.2 Hz, Ph), 5.50 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.43 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.28 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.24 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 4.14-4.10 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 3.96 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.74 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.66 (dd, 1H, J = 6.0, 11.6 Hz, 1/2 C[H2]Cl),
3.58-3.48 (m, 1H, C[H]Cl), 3.57 (dd, 1H, J = 8.0, 11.6 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.47 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.46 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.12 (dd, 1H, J = 6.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.57 (dd, 1H, J = 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.29 (s, 3H, PhC[H3]), 2.29-2.20 (m, 1H, CH3C[H]), 1.83 (ddd, 1H, J = 6.4, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.54 (ddd, 1H, J = 6.4, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.87 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C26H35Cl2NNaO7 566.1688, 実測値:566.1688。
調製例4-7:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリ
ジン-3-イル)-4-メチル-2-(3-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-004) の合成
Figure 2016121072
化合物50(12.5 mg, 0.0230 mmol)のCH2Cl2(0.50 mL)溶液に、0℃でTFA(0.50 mL)を加えた。得られた混合物を、5分撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を
止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 5.40 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1)で精製を行うことにより、白色固体A5-004(10.4 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.12 (t, 1H, J = 7.6 Hz, Ph), 7.02 (s, 1H, Ph), 7.01 (d, 1H, J = 7.6 Hz, Ph), 6.97 (d, 1H, J = 7.6 Hz, Ph), 4.68-4.58 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 4.17 (ddd, 1H, J = 2.4, 6.0, 8.8 Hz, C[H]Cl), 4.13 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.79 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.67 (dd, 1H, J = 6.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.57 (dd, 1H, J = 8.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.04 (dd, 1H, J = 6.8, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.63 (dd, 1H, J = 8.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.29 (s, 3H, PhC[H3]), 2.14-2.09 (m, 1H, CH3C[H]), 1.89 (ddd, 1H, J = 5.6, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.59 (ddd, 1H, J =5.6, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.89 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C22H27Cl2NNaO5 478.1164, 実測値:478.1169。
[実施例5]
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(4-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-005) の合成
化合物A5-005の合成を、下記スキームに従って行った。
Figure 2016121072
調製例5-1:(S)-4-ベンジル-3-((2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(4-メチルベンジル)ヘキサノイ
ル)オキサゾリジン-2-オン (51) の合成
Figure 2016121072
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(5.1 mL)にNaHMDS(1.55 mL, 1.55 mmol, 1.0 M THF中)を加えた後、化合物3(0.750 g, 1.11 mmol)のTHF(6.0 mL)溶液を加えた。1時間
撹拌後、α-ブロモ-p-キシレン(450 μL, 3.33 mmol)を加え、20分撹拌した。その後、飽和NH4Cl水溶液で反応を止めた。反応液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル16.7
g, ヘキサン : EtOAc = 40 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質51(564 mg, 65%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74-7.71 (m, 4H, Ph), 7.48-7.40 (m, 6H, Ph), 7.30-7.27 (m, 3H, Ph), 7.22 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ph), 7.11 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ph), 7.00 (dd, 2H, J = 2.4, 8.0 Hz, Ph), 4.67-4.61 (m, 1H, NC[H]CH2O), 4.40-4.33 (m, 1H, NC(=O)C[H]), 4.09-4.02 (m, 2H, NCHC[H2]O), 3.68-3.64 (m, 1H, C[H]OTBS), 3.62-3.58 (m, 1H, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.54 (dd, 1H, J = 5.6, 10.0 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 2.99 (dd, 2H, J = 3.6, 13.6 Hz, C[H2]PhCH3), 2.92 (dd, 1H, J = 5.2, 13.6 Hz, 1/2
NCHC[H2]Ph), 2.41 (dd, 1H, J = 5.2, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.32 (s, 3H, PhC[H3]), 2.10-2.04 (m, 1H, CH3C[H]), 1.77 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.61 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.09 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.04 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH), 0.85 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.01 (s, 3H, SiC[H3]), −0.10 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C47H63NNaO5Si2 800.4142, 実測値:800.4133。
調製例5-2:(2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジ
フェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(4-メチルベンジル)ヘキサン-1-オール (52) の合

Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物51(520 mg, 0.669 mmol)のEt2O(13 mL)溶液に、0℃でEtOH(43.0 μL, 0.736 mmol)及びLiBH4(368 μL, 0.736 mmol, 2.0 M THF中)を加えた。得
られた混合物を、1時間撹拌した。アセトンを加えて反応を止めた。反応液を濃縮後、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 10.6 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質52(301 mg, 75%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.72-7.68 (m, 4H, Ph), 7.46-7.37 (m, 6H, Ph), 7.09 (s, 4H, Ph), 3.64-3.53 (m, 3H, C[H]OTBS, C[H2]OTBDPS), 3.51 (dd, 1H, J = 5.6, 10.4 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.43 (dd, 1H, J = 5.6, 10.4 Hz, 1/2 HOC[H2]), 2.73 (dd, 1H,
J = 4.8, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.44 (dd, 1H, J = 4.8, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.33 (s, 3H, PhC[H3]), 2.09-2.01 (m, 1H, CH3C[H]), 1.89-1.80 (m, 1H, HOCH2C[H]), 1.41 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.19 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.07 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.96 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH), 0.85 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.00 (s, 3H, SiC[H3]), −0.11 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C37H56NaO3Si2 627.3666, 実測値:627.3667。
調製例5-3:(6R,8S,9S)-9-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-8,13,13-トリメチル-6-(4-メチルベンジル)-12,12-ジフェニル-2,4,11-トリオキサ-12-シラテトラデカン (53) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物52(288 mg, 0.476 mmol)のCH2Cl2(4.8 mL)溶液に、0℃でDIPEA(249 μL, 1.43 mmol)及びMOMCl(54.2 μL, 0.714 mmol)を加えた。得られた混合
物を室温に昇温し、7時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。
反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得ら
れた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 11.0 g, ヘキサン : EtOAc = 70 :
1)で精製を行うことにより、無色油状物質53(261 mg, 85%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.70-7.67 (m, 4H, Ph), 7.44-7.36 (m, 6H, Ph), 7.06 (s, 4H, Ph), 4.58 (d, 2H, J = 0.8 Hz, CH3OC[H2]O), 3.61-3.49 (m, 3H, C[H]OTBS, C[H2]OTBDPS), 3.36 (dd, 1H, J = 5.6, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.33 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.30 (dd, 1H, J = 5.6, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 2.69 (dd, 1H, J = 4.8, 13.6
Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.49 (dd, 1H, J = 4.8, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.31 (s, 3H, PhC[H3]), 2.05-1.97 (m, 1H, CH3C[H]), 1.94-1.87 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 1.43 (ddd, 1H, J = 4.4, 9.6, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.26 (ddd, 1H, J = 4.4, 9.6, 14.0
Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.05 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.93 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.83 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.02 (s, 3H, SiC[H3]), −0.13 (s, 3H, SiC[H3])
;HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C39H60NaO4Si2 671.3928, 実測値:671.3918。
調製例5-4:(2S,3S,5R)-6-(メトキシメトキシ)-3-メチル-5-(4-メチルベンジル)ヘキサン-1,2-ジオール (54) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物53(225 mg, 0.346 mmol)のTHF(3.5 mL)溶液に、TBAF(1.38 μL, 1.38 mmol, 1.0 M THF中)を加えた。得られた混合物を、室温で22時間撹拌した。
飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 11.2 g, ヘキサン : EtOAc = 1 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質54(103 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 7.08 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ph), 7.04 (d, 2H, J = 8.0 Hz,
Ph), 4.58 (s, 2H, CH3OC[H2]O), 3.63 (ddd, 1H, J = 6.8, 6.8, 15.2 Hz, C[H]OH), 3.46 (d, 2H, J = 6.8 Hz, C[H2]OH), 3.40 (dd, 1H, J = 4.8, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]),
3.34 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.33 (dd, 1H, J = 6.4, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 2.62 (dd, 1H, J = 5.6, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.52 (dd, 1H, J = 5.6, 14.0 Hz, 1/2 C
[H2]PhCH3), 2.31 (s, 3H, PhC[H3]), 2.04-1.94 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 1.79-1.69 (m, 1H, CH3C[H]), 1.52 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.35 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.90 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C17H28NaO4 319.1885, 実測値:319.1884。
調製例5-5:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-4-メチル-2-(4-メチルベンジル)ヘキサン-1-オ
ール (56) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物54(98.1 mg, 0.331 mmol)のTHF(3.3 mL)溶液に、PPh3(260 mg, 0.993 mmol)及びNCS(134 mg, 0.993 mmol)を加えた。得られた混合物を、60℃で5分撹拌した。その後、H2Oを加え反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた
有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.38 g, ヘキサン : EtOAc = 50 : 1)で精製を行うことにより、化合物55を含む粗物質を得ることができた。
得られた粗物質にMeOH : 2 M HCl = 3 : 1(3.3 mL)を加えた。得られた混合物を、50℃で22 時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 6.89 g, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1)で精製を行うことにより、白色固体56(74.3 mg, 2段階、78%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.10 (d, 2H, J = 12.0 Hz, Ph), 7.08 (d, 2H, J = 12.0 Hz, Ph), 4.08 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.0, 8.8 Hz, C[H]Cl), 3.74 (dd, 1H, J = 6.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.66 (dd, 1H, J = 8.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.55 (dd, 1H, J = 5.2, 11.2 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.49 (dd, 1H, J = 5.2, 11.2 Hz, 1/2 HOC[H2]),
2.61 (dd, 2H, J = 6.0, 9.6 Hz, C[H2]PhCH3), 2.32 (s, 3H, PhC[H3]), 2.30 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.8, 14.0 Hz, CH3C[H]), 1.94-1.84 (m, 1H, C[H]CH2Ph), 1.45 (dd, 2H, J = 6.8, 14.0 Hz, C[H2]CHCH3), 0.97 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (FAB, m-NBA) [M]+ 次式の計算値:C15H22Cl2O 288.1048, 実測値:288.1043。
調製例5-6:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(メトキシメトキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(4-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (59) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物56(59.0 mg, 0.204 mmol)のCH2Cl2(2.0 mL)溶液に、TEMPO(3.2 mg, 0.0204 mmol)及びPhI(OAc)2(164 mg, 0.510 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で2.5時間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣
を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 12.7 g, ヘキサン : EtOAc = 35 : 1)で精製を行うことで、化合物57を含む粗物質を得ることができた。
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(0.30 mL)にn-BuLi(220 μL, 0.341 mmol, 1.55 M n-ヘキサン中)を加えた後、化合物9(65.9 mg, 0.171 mmol)のTHF(0.60 mL)溶液を加えた。続いて、前記混合物に粗物質のTHF(0.60 mL)溶液を滴下し、−78℃で5分撹拌し
た。その後、MeOHを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 7.29 g, ヘキサン : EtOAc = 10 : 1)で粗精製を行うことにより、化合物58を含む粗物質を得た。
続いて、窒素雰囲気下、粗物質のCH2Cl2(1.6 mL)溶液に、D.M.P.(98.8 mg, 0.233 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で20分撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液及び飽和NaHCO3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層
を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 7.43 g, ヘキサン : EtOAc = 15 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質59(58.5 mg, 3段階、53%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.07 (d, 2H, J = 12.0 Hz, Ph), 7.05 (d, 2H, J = 12.0 Hz, Ph), 5.50 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.43 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.28 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.25 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 4.11 (ddd, 1H, J = 2.4, 6.4, 8.0 Hz, C[H]Cl), 3.96 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.75 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.65 (dd, 1H, J = 6.4, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.57 (dd, 1H, J = 8.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.55-3.49 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 3.46 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.44 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.12 (dd, 1H, J = 6.0, 14.0 Hz,
1/2 C[H2]PhCH3), 2.56 (dd, 1H, J = 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.28 (s, 3H, PhC[H3]), 2.25-2.19 (m, 1H, CH3C[H]), 1.81 (ddd, 1H, J = 6.0, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.53 (ddd, 1H, J = 6.0, 8.0, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.86 (d, 3H,
J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C26H35Cl2NNaO7 566.1688,
実測値:566.1687。
調製例5-7:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリ
ジン-3-イル)-4-メチル-2-(4-メチルベンジル)ヘキサン-1-オン (A5-005) の合成
Figure 2016121072
化合物59(39.6 mg, 0.0727 mmol)のCH2Cl2(0.73 mL)溶液に、0℃でTFA(0.73 mL)を加えた。得られた混合物を、5分撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を
止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮し
た。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 6.48 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1)で精製を行うことにより、白色固体A5-005(32.4 mg, 98%)を得ることがで
きた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.10 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ph), 7.04 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ph), 4.71-4.61 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 4.17 (ddd, 1H, J = 2.4, 6.0, 8.4 Hz, C[H]Cl), 4.15 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.80 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.66 (dd, 1H, J = 6.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.57 (dd, 1H, J = 8.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.04 (dd, 1H,
J = 6.0, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.62 (dd, 1H, J = 7.6, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]PhCH3), 2.29 (s, 3H, PhC[H3]), 2.13-2.07 (m, 1H, CH3C[H]), 1.88 (ddd, 1H, J = 5.2, 9.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.58 (ddd, 1H, J =5.2, 9.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.88 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C22H27Cl2NNaO5 478.1164, 実測値:478.1151。
[実施例6]
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(ナフタレン-1-イルメチル)ヘキサン-1-オン (A5-006) の合成
化合物A5-006の合成を、下記スキームに従って行った。
Figure 2016121072
調製例6-1:(S)-4-ベンジル-3-((2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(ナフタレン-1-イルメチル)ヘキ
サノイル)オキサゾリジン-2-オン (60) の合成
Figure 2016121072
アルゴン雰囲気下、-78℃でTHF(5.0 mL)にNaHMDS(1.58 mL, 1.58 mmol, 1.0 M THF
中)を加えた後、化合物3(0.764 g, 1.13 mmol)のTHF(6.3 mL)溶液を加えた。1時間
撹拌後、1-ブロモメチルナフタレン(736 μL, 3.39 mmol)を加え、1.5時間撹拌した。
その後、飽和NH4Cl水溶液で反応を止めた。反応液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 20.7 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質60(692 mg, 75%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.17 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.84 (dd, 1H, J = 1.2, 8.0 Hz, Ar), 7.72-7.68 (m, 5H,Ar), 7.54 (ddd, 1H, J = 1.2, 6.8, 8.0 Hz, Ar), 7.48 (dd, 1H, J = 1.2, 8.0 Hz, Ar), 7.44 (dd, 1H, J = 1.2, 8.0 Hz, Ar), 7.43-7.35 (m, 7H,Ar), 7.20-7.11 (m, 3H,Ar), 6.82 (dd, 2H, J = 1.2, 8.0 Hz, Ar), 4.64-4.54 (m, 2H, NC[H]CH2O, NC(=O)C[H]), 4.00 (t, 1H, J = 8.8 Hz, 1/2 NCHC[H2]O), 3.91 (dd, 1H, J = 2.8, 8.8 Hz, 1/2 NCHC[H2]O), 3.66-3.60 (m, 2H, C[H]OTBS, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.58-3.53 (m, 1H, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.48 (dd, 2H, J = 4.8, 8.8 Hz, C[H2]ナフチル), 2.78 (dd, 1H, J = 2.8, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.23-2.19 (m, 1H, CH3C[H]), 2.17 (dd, 1H, J = 9.2, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 1.87 (ddd, 1H, J = 4.0,
9.2, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.63 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.2, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.15 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH), 1.07 (s, 9H, Si(CH3)3), 0.82 (s, 9H, Si(CH3)3), −0.02 (s, 3H, SiCH3), −0.13 (s, 3H, SiCH3);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式
の計算値:C50H63NNaO5Si2 836.4142, 実測値:836.4133。
調製例6-2:(2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジ
フェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(ナフタレン-1-イルメチル)ヘキサン-1-オール (61) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物60(702 mg, 0.864 mmol)のEt2O(17.3 mL)溶液に、0℃でEtOH(56 μL, 0.950 mmol)及びLiBH4(475 μL, 0.950 mmol, 2.0 M THF中)を加えた。得
られた混合物を、1時間撹拌した。アセトンを加えて反応を止めた。反応液を濃縮後、H2Oを加え、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られ
た残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 28.1 g, ヘキサン : EtOAc = 25 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質61(307 mg, 55%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.08 (dd, 1H, J = 2.4, 6.4 Hz, Ar), 7.88-7.84 (m,1H,Ar), 7.72 (d, 2H, J = 7.2 Hz, Ar), 7.69 (d, 3H, J = 7.2 Hz, Ar), 7.52-7.47 (m, 2H,Ar), 7.46-7.33 (m, 8H,Ar), 3.62-3.55 (m, 3H, C[H]OTBS, C[H2]OTBDPS), 3.52 (dd, 1H, J = 4.8, 10.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.45 (dd, 1H, J = 4.8, 10.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.23 (dd, 1H, J = 4.8, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.91 (dd, 1H, J = 8.8, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.19-2.08 (m, 1H, CH3C[H]), 2.06-2.00 (m, 1H, HOCH2C[H]), 1.60 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 14.0 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.32 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 14.0 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.06 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.01 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH), 0.85 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.01 (s, 3H, SiC[H3]), −0.11 (s,
3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C40H56NaO3Si2 663.3666, 実測値:663.3679。
調製例6-3:(6R,8S,9S)-9-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-8,13,13-トリメチル-6-(ナフタレン-1-イルメチル)-12,12-ジフェニル-2,4,11-トリオキサ-12-シラテトラデ
カン (62) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物61(286 mg, 0.447 mmol)のCH2Cl2 (4.5 mL)溶液に、0℃でDIPEA(233 μL, 1.34 mmol)及びMOMCl(51.0 μL, 0.671 mmol)を加えた。得られた混合物を室温に昇温し、5時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。
反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得ら
れた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.2 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質62(280 mg, 92%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.23 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.95 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz, Ar), 7.82-7.78 (m, 5H,Ar), 7.61-7.44 (m, 10H,Ar), 4.69 (dd, 2H, J = 6.4, 10.8 Hz, CH3OC[H2]O), 3.73 (dd, 1H, J = 3.2, 5.6 Hz, C[H2]OTBDPS), 3.69-3.64 (m, 2H, CHOTBS, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.51-3.47 (m, 2H, MOMOC[H2]), 3.44 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.31 (dd, 1H, J = 5.2, 9.6 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 3.16 (ddd, 1H, J = 3.2, 5.2, 9.6 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.31-2.20 (m, 2H, CH3C[H], C[H]CH2ナフチル), 1.80 (ddd, 1H, J = 4.0, 8.4, 14.0 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.50 (ddd, 1H, J = 4.0, 8.4, 14.0 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.18 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.12 (d, 3H, J = 6.8
Hz, C[H3]CH), 0.98 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.11 (s, 3H, SiC[H3]), 0.01 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C42H60NaO4Si2 707.3928, 実測値:707.3921。
調製例6-4:(2S,3S,5R)-6-(メトキシメトキシ)-3-メチル-5-(ナフタレン-1-イルメチル)ヘキサン-1,2-ジオール (63) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物62(259 mg, 0.379 mmol)のTHF(3.8 mL)溶液に、TBAF(1.50 μL, 1.50 mmol, 1.0 M THF中) を加えた。得られた混合物を、室温で23時間撹拌した。
飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフー(シリカゲル 6.9 g, ヘキサン : EtOAc = 0 : 1)で精製を行うことにより、無色透明油状物質63(115 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.05 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.85 (dd, 1H, J = 1.2, 8.0 Hz, Ar), 7.73 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.53-7.45 (m, 2H,Ar), 7.39 (t, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.32 (dd, 1H, J = 1.2, 8.0 Hz, Ar), 4.58 (dd, 2H, J = 6.4, 11.2
Hz, CH3OC[H2]O), 3.53 (dd, 1H, J = 7.2, 9.8 Hz, 1/2 C[H2]OH), 3.44-3.88 (m, 4H,
1/2 C[H2]OH, C[H]OH, MOMOC[H2]), 3.35 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.08 (dd, 2H, J = 4.0, 7.2 Hz, C[H2]ナフチル), 2.26-2.17 (m, 1H, C[H]CH2ナフチル) 1.76-1.64 (m, 1H, CH3C[H]), 1.62 (ddd, 1H, J = 4.4, 8.0, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.45 (ddd, 1H, J = 4.4, 8.0, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 0.88 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C20H28NaO4 355.1885, 実測値:355.1887。
調製例6-5:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-4-メチル-2-(ナフタレン-1-イルメチル)ヘキサ
ン-1-オール (65) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物63(116 mg, 0.347 mmol)のTHF(3.5 mL)溶液に、PPh3(273 mg, 1.04 mmol)及びNCS(138.9 mg, 1.04 mmol)を加えた。得られた混合物を、60℃で1
分間撹拌した。その後、H2Oを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わ
せた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 7.4 g, ヘキサン : EtOAc = 60 : 1)で精製を行うことにより、化合
物64を含む粗物質を得ることができた。
得られた粗物質に、MeOH : 2 M HCl = 3 : 1(3.5 mL)を加えた。得られた混合物を、50℃で65時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 13.7 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1)で精製を
行うことにより、無色油状物質65(72.2 mg, 2段階、64%)を得ることができた。
1H-NMR (600 MHz, CDCl3) δ 8.06 (d, 1H, J = 9.0 Hz, Ar), 7.86 (d, 1H, J = 9.0 Hz, Ar), 7.73 (d, 1H, J = 9.0 Hz, Ar), 7.52 (ddd, 1H, J = 1.8, 7.2, 9.0 Hz, Ar),
7.48 (ddd, 1H, J = 1.8, 7.2, 9.0 Hz, Ar), 7.40 (dd, 1H, J = 7.2, 9.0 Hz, Ar), 7.34 (d, 1H, J = 7.2 Hz, Ar), 4.03 (ddd, 1H, J = 3.0, 6.0, 9.0 Hz, CHCl), 3.70 (dd, 1H, J = 6.0, 11.4 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.61 (dd, 1H, J = 9.0, 11.4 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.55 (dd, 2H, J = 10.8, 25.2 Hz, HOC[H2]), 3.13 (dd, 1H, J = 8.4, 13.8 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 3.07 (dd, 1H, J = 8.4, 13.8 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.29 (dq, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz, CH3C[H]), 2.12-2.05 (m, 1H, HOCH2C[H]), 1.61 (t, 2H, J = 6.0 Hz, C[H2]CHCH3), 0.94 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (EI) [M]+ 次式の計
算値:C18H22Cl2O 324.1048, 実測値:324.1046。
調製例6-6:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(メトキシメトキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(ナフタレン-1-イルメチル)ヘキサン-1-オン (68) の合

Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物65(52.0 mg, 0.160 mmol)のCH2Cl2(1.6 mL)溶液に、TEMPO(2.50 mg, 0.0160 mmol)及びPhI(OAc)2 (129 mg, 0.400 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で1.5 時間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液を加え反応を止めた。反応
液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 7.7 g, ヘキサン : EtOAc = 35 : 1)
で精製を行うことで、化合物66を含む粗物質を得ることができた。
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(0.30 mL)にn-BuLi(164 μL, 0.255 mmol, 1.55 M n-hexane中)を加えた後、化合物2(49.3 mg, 0.128 mmol)のTHF(0.50 mL)溶液を加えた。続いて、前記混合物に粗物質のTHF(0.50 mL)溶液を滴下し、−78℃で10分撹拌した。その後、MeOHを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.2 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1)で粗精製を行うことにより、化合物67を含む粗物質を得た。
続いて、窒素雰囲気下、粗物質のCH2Cl2(1.2 mL)溶液に、D.M.P.(73.8 mg, 0.174 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で5分間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液
及び飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(
シリカゲル 5.7 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質68(29.9 mg, 3段階、32%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.97-7.95 (m, 1H,Ar), 7.84-7.82 (m, 1H,Ar), 7.68 (dd, 1H, J = 2.0, 6.8 Hz, Ar), 7.47 (ddd, 1H, J = 2.0, 6.8, 9.2 Hz, Ar), 7.46 (ddd, 1H, J = 2.0, 6.8, 9.2 Hz, Ar), 7.34 (s, 1H,Ar), 7.33 (t, 1H, J = 9.2 Hz, Ar), 5.26 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.22 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.19 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.14 (d, 1H, J = 5.6 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 4.01 (ddd, 1H, J = 2.4, 6.0, 8.0 Hz, C[H]Cl), 3.94 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.80-3.75 (m, 1H, ArC(=O)C[H]) 3.73 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.62 (dd, 1H, J = 6.0, 14.0
Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 3.59 (dd, 1H, J = 6.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.50 (dd,
1H, J = 8.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.42 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.24 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.07 (dd, 1H, J = 7.2, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.21-2.15 (m, 1H, CH3C[H]), 1.95 (ddd, 1H, J = 6.0, 8.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.67 (ddd, 1H, J
= 6.0, 8.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.84 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C29H35Cl2NNaO7 602.1688, 実測値:602.1677。
調製例6-7:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリ
ジン-3-イル)-4-メチル-2-(ナフタレン-1-イルメチル)ヘキサン-1-オン (A5-006) の合成
Figure 2016121072
化合物68(15.9 mg, 0.0274 mmol)のCH2Cl2(0.27 mL)溶液に、0℃でTFA(0.27 mL)を加えた。得られた混合物を、3分間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応
を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.4 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1)で精製を行うことにより、無色透明油状物質A5-006(63.2 mg, 99%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.11 (dd, 1H, J = 2.8, 6.8 Hz, Ar), 7.76 (dd, 1H, J
= 2.8, 6.8 Hz, Ar), 7.64 (dd, 1H, J = 2.8, 6.8 Hz, Ar), 7.44-7.38 (m, 2H,Ar), 7.34 (s, 1H,Ar), 7.32 (dd, 1H, J = 6.8, 12.0 Hz, Ar), 4.93 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 4.20 (ddd, 1H, J = 2.4, 6.0, 8.4 Hz, C[H]Cl), 3.89 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.74 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.61 (dd, 1H, J = 6.0, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.53 (dd, 1H, J = 8.4, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.47 (dd, 1H, J = 7.2, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 3.23 (dd, 1H, J = 7.2, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.13-2.06 (m, 1H, CH3C[H]), 2.01 (ddd, 1H, J = 4.8, 9.2, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.73 (ddd, 1H, J = 4.8, 9.2, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.88 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C25H27Cl2NNaO5 514.1164, 実測値:514.1174。
[実施例7]
(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(ナフタレン-2-イルメチル)ヘキサン-1-オン (A5-007) の合成
化合物A5-007の合成を、下記スキームに従って行った。
Figure 2016121072
調製例7-1:(S)-4-ベンジル-3-((2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-
6-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(ナフタレン-2-イルメチル)ヘキサノイル)オキサゾリジン-2-オン (69) の合成
Figure 2016121072
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(5.1 mL)にNaHMDS(1.60 mL, 1.60 mmol, 1.0 M THF中)を加えた後、化合物3(0.750 g, 1.11 mmol)のTHF(6.0 mL)溶液を加えた。1時間
撹拌後、2-ブロモメチルナフタレン(736 μL, 3.33 mmol)を加え、2時間撹拌した。そ
の後、飽和NH4Cl水溶液で反応を止めた。反応液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 33.5 g, ヘキサン : EtOAc = 20 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質69(385 mg, 42%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.79 (dd, 1H, J = 4.8, 8.0 Hz, Ar), 7.77 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.72-7.67 (m, 5H, Ar), 7.48-7.37 (m, 9H, Ar), 7.19-7.09 (m, 3H, Ar), 6.83 (dd, 2H, J = 1.2, 8.0 Hz, Ar), 4.63-4.57 (m, 1H, NC[H]CH2O), 4.51-4.44 (m, 1H, NC(=O)C[H]), 4.02 (t, 1H, J = 8.0 Hz, 1/2 NCHC[H2]O), 3.93 (dd, 1H, J = 2.8, 8.0 Hz, 1/2 NCHC[H2]O), 3.66-3.63 (m, 1H, C[H]OTBS) 3.58 (dd, 1H, J = 7.2, 10.0 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.52 (dd, 1H, J = 5.2, 10.0 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.17 (dd, 1H, J = 9.2, 13.6 Hz, C[H2]ナフチル), 3.09 (dd, 1H, J = 5.6, 13.6 Hz, C[H2]ナフチル), 2.92 (dd, 1H, J = 3.2, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.16 (dd, 1H, J = 9.6, 13.6 Hz, 1/2 NCHC[H2]Ph), 2.12-2.06 (m, 1H, CH3C[H]), 1.80 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.4, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.62 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.4, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.06 (s, 9H, Si(C[H3])3), 1.04 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH), 0.80 (s, 9H, Si(CH3)3), −0.03 (s, 3H, SiCH3), −0.14 (s, 3H, SiCH3);HRMS (ESI) [M+Na]+
次式の計算値:C50H63NNaO5Si2 836.4142, 実測値:836.4161。
調製例7-2:(2R,4S,5S)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-((tert-ブチルジ
フェニルシリル)オキシ)-4-メチル-2-(ナフタレン-2-イルメチル)ヘキサン-1-オール (70) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物69(491 mg, 0.604 mmol)のEt2O(12 mL)溶液に、0℃でEtOH(39 μL, 0.664 mmol)及びLiBH4(38.7 μL, 0.664 mmol, 2.0 M THF中)を加えた。得られた混合物を、2時間撹拌した。アセトンを加えて反応を止めた。反応液を濃縮後、H2Oを加え、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた
残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 12.7 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質70(232 mg, 60%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.80 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz, Ar), 7.75 (dd, 1H, J
= 2.0, 8.0 Hz, Ar), 7.74 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.68 (dd, 2H, J = 2.0, 8.0 Hz, Ar), 7.67 (dd, 2H, J = 2.0, 8.0 Hz, Ar), 7.62 (s, 1H, Ar), 7.47-7.35 (m, 8H, Ar), 7.33 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz, Ar), 3.68-3.61 (m, 3H, C[H]OTBS, C[H2]OTBDPS), 3.58 (dd, 1H, J = 5.2, 10.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 3.51 (dd, 1H, J = 5.2, 10.8 Hz, 1/2 HOC[H2]), 2.98 (dd, 1H, J = 4.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.69 (dd, 1H, J = 8.8, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.19-2.11 (m, 1H, CH3C[H]), 2.06-1.98 (m, 1H, HOCH2C[H]), 1.47 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.23 (ddd, 1H, J = 4.0, 9.6, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.05 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 0.97 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.82 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.03 (s, 3H, SiC[H3]), −0.12 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C40H56NaO3Si2 663.3666, 実測値:663.3653。
調製例7-3:(6R,8S,9S)-9-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-8,13,13-トリメチル-6-(ナフタレン-2-イルメチル)-12,12-ジフェニル-2,4,11-トリオキサ-12-シラテトラデ
カン (71) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物70(206 mg, 0.321 mmol)のCH2Cl2(3.2 mL)溶液に0℃でDIPEA(253 μL, 1.45 mmol)及びMOMCl(36.6 μL, 0.482 mmol)を加えた。得られた混合物
を室温に昇温し、3時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を止めた。反
応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られ
た残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 10.3 g, ヘキサン : EtOAc = 50 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質71(208 mg, 95%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.83 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz, Ar), 7.79 (dd, 1H, J
= 2.0, 8.0 Hz, Ar), 7.77 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.74-7.71 (m, 4H, Ar), 7.65 (s, 1H, Ar), 7.50-7.39 (m, 8H, Ar), 7.37 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz, Ar), 4.62 (d, 2H, J = 1.6 Hz, CH3OC[H2]O), 3.66-3.61 (m, 2H, C[H]OTBS, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.57 (dd, 1H, J = 4.8, 9.2 Hz, 1/2 C[H2]OTBDPS), 3.41 (ddd, 2H, J = 5.2, 9.2, 18.0 Hz, MOMOC[H2]), 3.37 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 2.95 (dd, 1H, J = 4.8, 13.2 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.74 (dd, 1H, J = 4.8, 13.2 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.15-2.08 (m, 2H, CH3C[H], C[H]CH2ナフチル), 1.56 (ddd, 1H, J = 4.4, 9.2, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.33 (ddd, 1H, J = 4.4, 9.2, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.10 (s, 9H, SiC(C[H3])3), 1.01 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH), 0.87 (s, 9H, SiC(C[H3])3), −0.02 (s, 3H, SiC[H3]), −0.08 (s, 3H, SiC[H3]);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C42H60NaO4Si2 707.3928, 実測値:707.3903。
調製例7-4:(2S,3S,5R)-6-(メトキシメトキシ)-3-メチル-5-(ナフタレン-2-イルメチル)ヘキサン-1,2-ジオール (72) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物71(207 mg, 0.302 mmol)のTHF(3.0 mL)溶液に、TBAF(1.21 μL, 1.21 mmol, 1.0 M THF中)を加えた。得られた混合物を、室温で17時間撹拌した。
飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 13.2 g, ヘキサン : EtOAc = 1 : 1)で精製を行うことにより、無色透明油状物質72(100 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.81 (d, 1H, J = 7.2 Hz, Ar), 7.78 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.62 (s, 1H, Ar), 7.48-7.41 (m, 2H, Ar), 7.33 (d, 1H, J = 8.8 Hz, Ar), 4.59 (s, 2H, CH3OC[H2]O), 3.63 (dd, 1H, J = 6.8, 15.2 Hz, 1/2 C[H2]OH), 3.49-3.47 (m, 2H, 1/2 C[H2]OH, C[H]OH), 3.43 (dd, 1H, J = 4.0, 9.6 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.38 (dd, 1H, J = 4.0, 6.0 Hz, 1/2 MOMOC[H2]), 3.35 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 2.85 (dd, 1H, J = 5.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.73 (dd, 1H, J = 5.2, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.17-2.11 (m, 1H, C[H]CH2ナフチル) 1.83-1.77 (m, 1H, CH3C[H]), 1.61 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.4 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 1.40 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.4, 13.6 Hz, 1/2 CH3CHC[H2]), 0.94 (d, 3H, J = 7.2 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C20H28NaO4 355.1885, 実測値:355.1887。
調製例7-5:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-4-メチル-2-(ナフタレン-2-イルメチル)ヘキサ
ン-1-オール (74) の合成
Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物72(78.9 mg, 0.237 mmol)のTHF(2.4 mL)溶液に、PPh3(186 mg, 0.711 mmol)及びNCS(94.9 mg, 0.711 mmol)を加えた。得られた混合物を、60℃で3分撹拌した。その後、H2Oを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 6.4 g, ヘキサン : EtOAc = 50 : 1)で精製を行うことにより、化合物73を含む粗物質を得ることができた。
得られた粗物質に、MeOH : 2 M HCl = 3 : 1(2.4 mL)を加えた。得られた混合物を、50℃で38時間撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カ
ラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.4 g, ヘキサン : EtOAc = 3 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質74(57.1 mg, 2段階 74%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.83 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.79 (d, 2H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.64 (s, 1H, Ar), 7.50-7.42 (m, 2H, Ar), 7.35 (dd, 1H, J = 1.6, 8.0 Hz,
Ar), 4.11 (ddd, 1H, J = 3.6, 6.8, 9.2 Hz, C[H]Cl), 3.75 (dd, 1H, J = 6.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.66 (dd, 1H, J = 9.2, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.55 (ddd, 2H, J
= 5.2, 10.8, 20.0 Hz, HOC[H2]), 2.83 (dd, 2H, J = 2.0, 6.0 Hz, C[H2]ナフチル), 2.35 (dq, 1H, J = 3.6, 6.8 Hz, CH3C[H]), 2.06-1.97 (m, 1H, HOCH2C[H]), 1.50 (ddd, 2H, J = 3.6, 6.8, 6.8 Hz, C[H2]CHCH3), 0.96 (d, 3H, J = 6.8 Hz, C[H3]CH);HRMS
(FAB, m-NBA) [M]+ 次式の計算値:C18H22Cl2O 324.1048, 実測値:324.1044。
調製例7-6:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(メトキシメトキシ)ピリジン-3-イル)-4-メチル-2-(ナフタレン-2-イルメチル)ヘキサン-1-オン (77) の合

Figure 2016121072
窒素雰囲気下、化合物74(41.7 mg, 0.128 mmol)のCH2Cl2(1.3 mL)溶液に、TEMPO(2.0 mg, 0.0128 mmol)及びPhI(OAc)2 (103 mg, 0.320 mmol)を加えた。得られた混合
物を、室温で2.5 時間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液を加え反応を止めた。反応
液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 11.0 g, ヘキサン : EtOAc = 30 : 1)で精製を行うことで、化合物75を含む粗物質を得ることができた。
アルゴン雰囲気下、−78℃でTHF(0.30 mL)にn-BuLi(146 μL, 0.238 mmol, 1.63 M n-hexane中)を加えた後、化合物2(45.8 mg, 0.119 mmol)のTHF(0.60 mL)溶液を加えた。続いて、前記混合物に粗物質のTHF(0.60 mL)溶液を滴下し、−78℃で5分撹拌した
。その後、MeOHを加えて反応を止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.8 g, ヘキサン : EtOAc = 5 : 1)で粗精製を行うことにより、化合物76を含む粗物質を得た。
続いて、窒素雰囲気下、粗物質のCH2Cl2(1.1 mL)溶液に、 D.M.P.(68.7 mg, 0.162 mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で5分間撹拌した。その後、飽和Na2S2O3水溶液及び飽和NaHCO3水溶液を加え反応を止めた。反応液を、EtOAcで抽出した。合わせた有機
層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 8.4 g, ヘキサン : EtOAc = 15 : 1)で精製を行うことにより、無色油状物質77(19.3 mg, 3段階、26%)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.76 (dd, 2H, J = 1.6, 8.0 Hz, Ar), 7.72 (d, 1H, J = 8.0 Hz, Ar), 7.63 (s, 1H, Ar), 7.45-7.38 (m, 2H, Ar), 7.34 (dd, 1H, J = 1.6, 8.0 Hz, Ar), 5.46 (d, 1H, J = 6.0 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.39 (d, 1H, J = 6.0 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.27 (d, 1H, J = 6.0 Hz, 1/2 CH3OC[H2]O), 5.22 (d, 1H, J = 6.0 H
z, 1/2 CH3OC[H2]O), 4.15 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.8, 8.4 Hz, C[H]Cl), 3.91 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.73-3.67 (m, 1H, ArC(=O)C[H]) 3.67 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.66 (dd, 1H, J
= 6.8, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.57 (dd, 1H, J = 8.4, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.44 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.41 (s, 3H, C[H3]OCH2O), 3.30 (dd, 1H, J = 6.8, 14.0 Hz,
1/2 C[H2]ナフチル), 2.81 (dd, 1H, J = 6.8, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.33-2.27 (m, 1H, CH3C[H]), 1.90 (ddd, 1H, J = 6.0, 8.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.60
(ddd, 1H, J = 6.0, 8.4, 14.0 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.82 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C29H35Cl2NNaO7 602.1688, 実測値:602.1687。
調製例7-7:(2R,4S,5R)-5,6-ジクロロ-1-(5,6-ジメトキシ-2,4-ビス(ヒドロキシ)ピリ
ジン-3-イル)-4-メチル-2-(ナフタレン-2-イルメチル)ヘキサン-1-オン (A5-007) の合成
Figure 2016121072
化合物77(10.6 mg, 0.0183 mmol)のCH2Cl2(0.18 mL)溶液に、0℃でTFA(0.18 mL)を加えた。得られた混合物を、5分撹拌した。その後、飽和NaHCO3水溶液を加えて反応を
止めた。反応液を、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥した後、濃縮した。得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル 7.0 g, ヘキサン : EtOAc
= 3 : 1)で精製を行うことにより、無色透明油状物質A5-007(9.0 mg, 定量的)を得ることができた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.76 (dd, 2H, J = 2.0, 6.8 Hz, Ar), 7.72, (d, 1H, J
= 8.8 Hz, Ar), 7.64 (s, 1H, Ar), 7.44-7.37 (m, 3H, Ar), 4.77 (m, 1H, ArC(=O)C[H]), 4.19 (ddd, 1H, J = 2.8, 6.4, 9.2 Hz, C[H]Cl), 4.08 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.75 (s, 3H, ArOC[H3]), 3.66 (dd, 1H, J = 6.4, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.56 (dd, 1H, J = 9.2, 11.2 Hz, 1/2 C[H2]Cl), 3.24 (dd, 1H, J = 6.4, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.83 (dd, 1H, J = 6.4, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]ナフチル), 2.17-2.12 (m, 1H, CH3C[H]), 1.66 (ddd, 1H, J = 4.8, 8.8, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 1.64 (ddd, 1H, J = 4.8,
8.8, 13.6 Hz, 1/2 C[H2]CHCH3), 0.89 (d, 3H, J = 6.4 Hz, C[H3]CH);HRMS (ESI) [M+Na]+ 次式の計算値:C25H27Cl2NNaO5 514.1164, 実測値:514.1152。
<I. 新規化合物の薬理試験>
〔試験例1:電子伝達系の複合体II阻害活性試験〕
前記の手順で製造された化合物について、下記の手順で電子伝達系の複合体II阻害活性を調査した。
[複合体II酵素タンパク質の調製方法]
NADH-フマル酸還元酵素阻害活性測定に使用したブタ回虫成虫由来の複合体IIを含むミ
トコンドリア画分は、Kitaらの文献(Kitaら, Biochim. Biophys. Acta, 2004年, 第1680巻, p. 97-103)に記載の方法にしたがって調製した。また、コハク酸-ユビキノン還元酵素阻害活性測定に使用したウシ心臓由来の複合体IIを含むミトコンドリア画分は、Kuwabaraらの文献(Kuwabaraら, Eur. J. Biochem. 2000年, 第267巻, p. 2538-2546)に記載の方法にしたがって調製した。
[NADH-フマル酸還元酵素阻害活性の測定方法]
ブタ回虫成虫由来の複合体IIに対する阻害活性は、NADH-フマル酸還元酵素阻害活性と
して測定した。石英キュベットに、脱気した50 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)を、反応液の全量が1 mLになるように入れた。次いで、この石英キュベットに、200 nM アン
チマイシンA、100 μg/mL グルコースオキシダーゼ(20,000 ユニット/mg)、2 μg/ml
カタラーゼ(10,000 ユニット/mg)、10 mM β-D-グルコース、及び前記の方法で調製し
たブタ回虫成虫由来の複合体IIを含むミトコンドリア画分を加えて転倒混和した。その後、反応液に、所定の濃度の各実施例化合物又は比較例化合物を添加して、さらに転倒混和した。反応液を、25℃で2分間インキュベートした。その後、反応液に、50 μM ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を添加し転倒混和した。反応液を、25℃で3分間
インキュベートした。次いで、反応液に、5 mM フマル酸ナトリウムを添加して酵素反応
を開始した。反応液中のNADHの吸光度変化を、340 nmで測定した。各実施例化合物及び比較例化合物について、NADH-フマル酸還元酵素阻害活性に関する用量応答曲線を作成して
、各実施例化合物及び比較例化合物の50%阻害活性濃度(IC50値)を算出した。
[コハク酸-ユビキノン還元酵素阻害活性の測定方法]
ウシ心臓由来の複合体IIに対する阻害活性は、コハク酸-ユビキノン還元酵素阻害活性
として測定した。石英キュベットに、0.1% スクロースラウレート及び60 μM ユビキノ
ンを含む50 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)を、反応液の全量が1 mLになるように入れた。次いで、この石英キュベットに、200 nM アンチマイシンA、及び前記の方法で調製したウシ心臓由来の複合体IIを含むミトコンドリア画分(複合体II)を加えて転倒混和した。その後、反応液に、所定の濃度の各実施例化合物又は比較例化合物を添加して、さらに転倒混和した。反応液を、25℃で3分間インキュベートした。次いで、反応液に、10 mM
コハク酸ナトリウムを添加して酵素反応を開始した。反応液中のユビキノンの吸光度変
化を、278 nmで測定した。各実施例化合物及び比較例化合物について、コハク酸-ユビキ
ノン還元酵素阻害活性に関する用量応答曲線を作成して、各実施例化合物及び比較例化合物の50%阻害活性濃度(IC50値)を算出した。
前記手順により、ブタ回虫由来の複合体II活性(NADH-フマル酸還元酵素活性)又はウ
シ心臓由来の複合体II活性(コハク酸-ユビキノン還元酵素活性)に対する各実施例化合
物又は比較例化合物のIC50値を決定した。また、各実施例化合物又は比較例化合物の複合体II阻害活性の種選択性を以下の式に基づき算出した。結果を表1に示す。
Figure 2016121072
Figure 2016121072
表1に示すように、実施例化合物は、ブタ回虫由来の複合体IIに対する阻害活性を有す
るだけでなく、アトペニンA5の阻害活性と比較して、ウシ心臓由来の複合体IIに対する阻害活性が大きく低下した。この結果、実施例化合物は、アトペニンA5と比較して、いずれも高い種選択性を有することが明らかとなった。前記結果から、天然物であるアトペニンA5を原料とすることなく、合成的手段によって、寄生虫に対する種選択性の高い複合体II阻害活性を有する本発明の化合物を製造できることが明らかとなった。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。

Claims (12)

  1. 式(I):
    Figure 2016121072
    [式中、
    R1は、置換若しくは非置換のC4〜C9アルキル、置換若しくは非置換のC4〜C9アルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C9アルキニル、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置換若しくは非置換のC6〜C15アリール、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキル、置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール、又は置換若しくは
    非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルであり、
    R2は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
    R3及びR4は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシであり、
    X1’、X2’、X3’及びX4’は、互いに独立して、酸素又は硫黄であり、
    R1’及びR2’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
    R3’及びR4’は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
    で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
  2. R1が、置換若しくは非置換のC3〜C6シクロアルキル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルケニル、置換若しくは非置換のC4〜C6シクロアルキニル、置換若しくは非置換の3
    〜6員のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のC7〜C11シクロアルキルアルキル、置換若しくは非置換の3〜6員のヘテロシクロアルキル-C1〜C9アルキル、置換若しくは非
    置換のC7〜C20アリールアルキル、又は置換若しくは非置換の5〜15員のヘテロアリール-C1〜C9アルキルである(前記定義において、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールの1個以上の炭素原子は、N、S及びOから選択される1個以上のヘテロ原子によって置換されている)、請求項1に記載の化合物。
  3. R1が、置換若しくは非置換のC7〜C20アリールアルキルである、請求項1又は2に記載の
    化合物。
  4. R2が置換若しくは非置換のアルキルであり、且つR3及びR4が、互いに独立して、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. X1’、X2’、X3’及びX4’が酸素であり、R1’及びR2’が水素であり、且つR3’及びR4’が、互いに独立して、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、又は置換若しくは非置換のアルキニルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化
    合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を製造する方法であって、以下:
    式(III):
    Figure 2016121072
    [式中、
    X1’、X2’、X3’、X4’、R1’、R2’、R3’及びR4’は、請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の定義と同義であり、
    Y1’は、水素、又は塩素、臭素、フッ素及びヨウ素からなる群より選択されるハロゲンである。]
    で表される化合物と、式(IV):
    Figure 2016121072
    [式中、R1、R2、R3及びR4は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の定義と同義である。]
    で表される化合物とを縮合させて、式(II):
    Figure 2016121072
    [式中、X1’、X2’、X3’、X4’、R1’、R2’、R3’、R4’、R1、R2、R3及びR4は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の定義と同義である。]
    で表される化合物を得る、縮合工程;及び
    式(II)で表される化合物を酸化して、式(I)で表される化合物を得る、酸化工程;
    を含む、前記方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有
    効成分として含む抗寄生虫剤。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれ
    らの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれ
    らの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物
  10. マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症からなる群より選択される1種以上の疾
    患若しくは症状の予防又は治療に使用するための、請求項8に記載の医薬。
  11. マラリア、赤痢アメーバ症、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、リーシュマニア症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、リンパ系糸状虫症(象皮病)、オンコセルカ症及び住血吸虫症からなる群より選択される1種以上の疾
    患若しくは症状の予防又は治療に使用するための、請求項9に記載の医薬組成物。
  12. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有
    効成分として含む電子伝達系の複合体II阻害剤。
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