WO2022239808A1 - 抗寄生虫活性を有する化合物 - Google Patents

抗寄生虫活性を有する化合物 Download PDF

Info

Publication number
WO2022239808A1
WO2022239808A1 PCT/JP2022/019962 JP2022019962W WO2022239808A1 WO 2022239808 A1 WO2022239808 A1 WO 2022239808A1 JP 2022019962 W JP2022019962 W JP 2022019962W WO 2022239808 A1 WO2022239808 A1 WO 2022239808A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
group
compound
salt
atom
aryl
Prior art date
Application number
PCT/JP2022/019962
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
昭子 田仲
克彦 関亦
潔 北
健 ダニエル 稲岡
武司 奈良
Original Assignee
国立研究開発法人理化学研究所
国立大学法人 長崎大学
学校法人医療創生大学
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 国立研究開発法人理化学研究所, 国立大学法人 長崎大学, 学校法人医療創生大学 filed Critical 国立研究開発法人理化学研究所
Publication of WO2022239808A1 publication Critical patent/WO2022239808A1/ja

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N43/00Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators containing heterocyclic compounds
    • A01N43/48Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators containing heterocyclic compounds having rings with two nitrogen atoms as the only ring hetero atoms
    • A01N43/541,3-Diazines; Hydrogenated 1,3-diazines
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01PBIOCIDAL, PEST REPELLANT, PEST ATTRACTANT OR PLANT GROWTH REGULATORY ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR PREPARATIONS
    • A01P1/00Disinfectants; Antimicrobial compounds or mixtures thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01PBIOCIDAL, PEST REPELLANT, PEST ATTRACTANT OR PLANT GROWTH REGULATORY ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR PREPARATIONS
    • A01P5/00Nematocides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/495Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
    • A61K31/505Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim
    • A61K31/506Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim not condensed and containing further heterocyclic rings
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P33/00Antiparasitic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D401/00Heterocyclic compounds containing two or more hetero rings, having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, at least one ring being a six-membered ring with only one nitrogen atom
    • C07D401/02Heterocyclic compounds containing two or more hetero rings, having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, at least one ring being a six-membered ring with only one nitrogen atom containing two hetero rings
    • C07D401/04Heterocyclic compounds containing two or more hetero rings, having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, at least one ring being a six-membered ring with only one nitrogen atom containing two hetero rings directly linked by a ring-member-to-ring-member bond

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pest Control & Pesticides (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Agronomy & Crop Science (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

原虫および蠕虫からなる人獣寄生虫に対して、抗寄生虫活性を有し、寄生虫感染症の治療または予防に有用な化合物および抗寄生虫剤を提供する。一般式(I) (式中、Ar1は置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基、Xは水酸基、アミノ基又は-NR1R2、Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基又はハロゲン原子、Aは(1)単結合又は(2)置換基を有しても良く、酸素原子又は硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基、Ar2は置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基又はヘテロアリール基である)で表される化合物又はその塩を含有する抗寄生虫剤。

Description

抗寄生虫活性を有する化合物
 本発明は、原虫および蠕虫からなる人獣寄生虫に対して、抗寄生虫活性を有し、ヒト、家畜、ペットおよび野生動物の寄生虫症を改善する化合物および抗寄生虫剤に関する。
 人獣に害を与える寄生虫症は、単細胞生物である原虫および多細胞生物である蠕虫の、宿主への寄生によってもたらされる。寄生虫の特徴は、その生活環において、宿主外の自由生活性の時期と宿主内寄生時期の少なくとも2つの時期を持つことである。前者は好気的環境であるが、後者はしばしば酸素分圧が低い環境になる。この生活環を維持するために、寄生虫の生育には体内の酸化還元バランスを巧妙に保つことが必要であり(非特許文献1および2)、そのバランスを擾乱する薬物は効率よい抗寄生虫薬となる。これまでに、原虫の酸化還元バランスに重要であるトリパノチオン代謝阻害剤や活性酸素を産生するナフトキノン、ニフルチモックス、ベンズニダゾールなどの薬剤が開発されている(非特許文献3~6)。
 細胞内の電子メディエーターであるキノン、特にユビキノン(UQ)は、細胞の酸化還元バランスを維持するために必要であり、細胞内のキノン含量を減らすことが、原虫および蠕虫を致死に導くことが知られている。原虫については、トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トキソプラズマ ゴンディ(Toxoplasma gondii)やトリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)において、ユビキノンの合成を阻害する薬物がこれらの原虫を致死に導くことが知られている(非特許文献7~9)。蠕虫に関しては、ユビキノン合成酵素を欠損した線虫の培養や、ユビキノン合成阻害剤を添加した線虫の培養において、ユビキノンを合成しない大腸菌を餌にすると線虫内のユビキノン量が減少し、線虫が直ちに死んでしまうことが知られている(非特許文献10および11)。
 キノンのもう一つの重要な機能は、エネルギー生産複合体である呼吸鎖で、電子をメディエートしてエネルギー生産に寄与することである。原虫においても蠕虫においても、キノンが減少するとエネルギー代謝が低下することが知られており、この作用が抗寄生虫作用をもたらすことは当然期待できる。
 ヒト、家畜、ペットおよび野生動物などの宿主生物が持つ主要なキノンはユビキノンである。ユビキノンは、チロシンとイソプレン鎖から、一群のユビキノン合成酵素によって合成される。したがってこの合成酵素群の活性を阻害する化合物は、ヒトなど宿主生物の細胞内のユビキノン量を減少させる(非特許文献12~14)。
 ここで、ヒトなどの宿主生物は、CD36分子などを利用してユビキノンを細胞外から取り込むことができる(非特許文献15)。また、ヒトではユビキノンを経口摂取することで、ほとんどのユビキノン欠損症を克服できることが知られている(非特許文献16および17)。したがって、ヒト、家畜、ペットや野生動物など独立生活をする宿主には、キノン合成阻害剤がもたらす害悪は少ない。
 しかし寄生虫においては、キノン合成の阻害は致死的である。そもそも宿主の血中や細胞内におけるユビキノン含量が低いことと、イソプレン鎖の長いユビキノンは細胞膜透過性が低いために、寄生虫が宿主から取り込めるユビキノン量は少なく、寄生虫にとってキノンの生合成は必須である。さらに、多くの原虫や蠕虫において、体内で合成されて使われているキノンは、これらが寄生する宿主である人や牛の体内に存在するユビキノンと異なる構造のキノンである。原虫も蠕虫も、異なる構造のキノンの取り込みでは、生存できないことが知られている(非特許文献13および18)。したがって、寄生虫は寄生生活においては、生存に必要なキノンを体外から摂取することができない。
 シャーガス病はトリパノソーマ クルージーによって引き起こされる寄生虫症である。主として中南米に生息するサシガメ(Triatomine)によって媒介されるが、輸血や食品からの感染、母子感染なども知られており、近年、中南米からの移民の増加によって、北米、欧州などでも感染が広がっている。世界には700万人程度の感染者がいると考えられており、米国にも30万人の患者がいると報告されている。また、この原虫は、イヌ、ネコなどのペットのほか、サル、ネズミなど他の多くの動物種に共通に感染するため、感染動物の治療も必要になる。
 シャーガス病感染の急性期においては、子供などを除いて、発熱、局所腫脹などの軽度の症状であることが多い。しかし、そのうちの約1/3の患者が慢性期に移行し、心臓や消化器の肥大などの重篤な症状をもたらし、社会的な損失が大きい。
 有効なワクチンは開発されておらず、シャーガス病の治療薬は、現在はベンズニダゾールとニフルチモックスしかない。これらは急性期には効果があるものの、慢性期への効果は弱く、また投薬期間が長いうえに重篤な副作用を伴うために治療が困難である場合が少なからず起きる。さらに、近年は、これらの薬剤に対する耐性原虫も出現しており、新しい薬の開発が必要である。
 リーシュマニア症は、リーシュマニア属(Leishmania)に属する20種以上の原虫によって引き起こされ、サシチョウバエによって媒介される。10億人もの人が危険地域に生活をしている。リーシュマニア症は、内臓型、皮膚型、粘膜型に、大きく分かれる。内臓型リーシュマニア症は、リーシュマニア ドノバニ(Leishmania donovani)などによって媒介され、原虫が重要臓器で増殖するため死に至る病気を引き起こす。インド、ネパール、バングラデシュに多い。皮膚リーシュマニア症は、原因原虫の種類も多様でもっとも一般的な原虫症である。放置で症状が治まることが多いが、大きな傷跡を残すために、早期治療が望まれている。感染者は、中南米、中東からアジアにひろがっており、毎年百万人の新規感染者がいるといわれているが、現状では患者数の把握も十分ではない。
 有効なワクチンは開発されておらず、内臓リーシュマニア症の治療には近年ミルテホシンが使われるようになり治療効果は改善されているが、催奇形性が問題となっており、より安価で効力の高い薬剤が必要である。
 アフリカ睡眠病としても知られる、アフリカトリパノソーマ症は、原虫トリパノソーマ ブルーセイによって、引き起こされる。ヒトまたはヒト型病原性寄生虫を持った動物から感染したツエツエバエによって、ヒトに伝染する。ツエツエバエの駆虫によって、患者数は減少しているが、850万人の人が感染地域に生活をしている。さらに、サハラ砂漠南部の広大な地域で、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、イヌなどの家畜への感染(ナガナ病)が報告されており、牛だけでも年間の経済損失が数十億ドルになるといわれている。感染初期には、原虫は皮下組織、血液、リンパ液中で増殖する。発熱、頭痛、関節痛などの炎症症状をしめす。その後、原虫は中枢神経系に感染し、進行性の精神機能の低下、昏睡、臓器不全が進行し、死をもたらす。
 有効なワクチンは開発されておらず、標準的治療薬剤は、ペンタミジン、スラミン、メラルソプロール、ニフルチモックス、エフロルニチンなどが使われているが、いずれも高頻度で深刻な副作用を引き起こすことが報告されている。また、時代とともに、これらに対する耐性株も出現してきている。
 マラリアは、マラリア原虫(Plasmodium parasites)によって引き起こされる生命にかかわる疾病で、感染したハマダラカ(Anopheles mosquitoes)によって媒介される。マラリアは急性の熱疾患であり、子供や移民などの免疫のない患者では、感染後2週間ほどで発熱、頭痛、悪寒などを発症する。媒介昆虫の防除や治療薬などの開発によって患者は減少傾向にあるが、サハラ砂漠以南のアフリカに多く、2019年においても2億人以上の罹患が想定されており、80か国以上の国で40万人以上が死亡している。
 2019年からケニアなどでマラリアワクチンの投与が開始されているが、効力が不十分といわれ、耐性マラリア原虫の出現も懸念され、効果のほどは不明である。マラリアに対しては、いくつかの有効な薬剤が開発され、現在はアルテミシニンと他の薬剤の混合治療が主となっている。しかし、子供や妊婦に対する安全な薬剤の開発や、近年東南アジアで見出されている新しい薬剤耐性株への治療薬が必要となっており、新しい有効な薬物の開発が必要である。
 住血吸虫症は、住血吸虫科に属する寄生虫(Schistosoma haematobium、S.intercalatum、S.japonicum、S.mansoni、S.mekongiなど)が、人獣の尿路、腎臓や生殖器、または、門脈や腸管周辺に寄生することで起き、患部の炎症や出血を引き起こす。致死性は低いが、慢性の内臓疾患であり、社会的な損失は大きい。川や池に入ったときに、中間宿主の淡水産巻貝から泳ぎだしたセルカリアが経皮感染する。アフリカ中心に、中東、アジア、南米など世界中に見られ、2億人以上の感染者がいるとされている。
 有効なワクチンは開発されておらず、プラジカンテルが広く使われているが効力は不十分で虫卵が体内に残ることがあり、再投与が必要であるため、より有効な薬剤の開発が必要である。
 これらが示すように、シャーガス病、リーシュマニア症、アフリカ睡眠病、マラリアなどに対する、有効な抗原虫剤の開発が必要である。臨床上はさらに、30種類ほどの寄生性原虫類の治療が重要である。単細胞の寄生虫である原虫類は、増殖が速く、感染が重篤な害をもたらすことがある。これらは、根足虫類(赤痢アメーバ)、鞭毛虫類(トリコモナス、トリパノソーマ)、胞子虫類(マラリア原虫、トキソプラズマ、クリプトストリジウム)、繊毛虫類(大腸バランチジウム)に分類される。トキソプラズマは、ブタ、ヒツジ、ヤギの生肉や、ネコの糞便から感染する事例が知られている。免疫抑制剤の使用やエイズ感染などに原因する日和見感染症としての、トキソプラズマ症や赤痢アメーバ症などの治療法の開発が、近年の医学的な重大課題となっている。
 くわえて、多細胞生物の寄生虫である蠕虫類も人に害を及ぼし、抗蠕虫剤の開発が必要である。これらには、線虫(回虫、鉤虫、蟯虫、フィラリア、糞線虫、アニサキス)、条虫(広節裂頭条虫、無鉤条虫、有鉤条虫、エキノコックス)、吸虫(住血吸虫、肝吸虫、肝蛭虫、肺吸虫)など、古くから多種のものが知られている。回虫は、ヒトに寄生する蠕虫としては最も一般的であり、アジア、アフリカ、中南米の発展途上国では今も患者が多い。住血吸虫症は患者数も多く、最も大きい社会的損失を引き起こしている蠕虫である。フィラリアはアフリカを中心に、2100万人が感染しており失明を引き起こすために、新薬の開発が必要である。
 寄生虫はヒトや哺乳類と同じ真核生物であるうえに、宿主の免疫応答を回避するために抗原性を様々に変化させる性質を持つ。そのために、一般的に有効なワクチンを開発することが難しく、安価・安全・有効な低分子薬の開発が必要である。さらに、また、これらは人獣共通に感染することが多いため、ヒトに対する薬剤の開発は、家畜、ペットや野生動物などに対する動物薬の開発をもたらす点でも有用性が高い。これらには、先に述べた牛のナガナ病、やぶ蚊を介して犬糸状菌が感染するフィラリア、羊の腸管寄生線虫などがある。
 一方、2,6-ジ置換ピリミジン化合物として、以下の化合物が知られている。
 非特許文献19には、下記式の化合物が記載されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 特許文献1には、農薬用の殺真菌剤(fungicide)として有用なピリジニルピリミジン誘導体の中間体である下記式の化合物が記載されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 特許文献2には、農薬用の殺真菌剤として有用なピリジニルピリミジン誘導体である下記式の化合物が記載されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 また、特許文献2には、中間体として下記式の化合物が記載されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 特許文献3には、農薬用の殺真菌剤として有用なピリミジン誘導体である下記式の化合物が記載されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 特許文献4には、グラム陽性及びグラム陰性菌、酵母及び真菌に対する殺微生物剤として有用なピリジニルピリミジン誘導体の中間体である下記式の化合物が記載されている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 しかしながら、これらの2,6-ジ置換ピリミジン化合物の抗寄生虫剤としての用途は知られていない。
EP0270362A2 EP0431424A2 EP0481405A1 EP1254903A1
Menna-Barreto RF, de Castro SL. The double-edged sword in pathogenic trypanosomatids: the pivotal role of mitochondria in oxidative stress and bioenergetics. Biomed Res Int. 2014;2014:614014. doi: 10.1155/2014/614014. Mesias AC, Garg NJ, Zago MP. Redox Balance Keepers and Possible Cell Functions Managed by Redox Homeostasis in Trypanosoma cruzi. Front Cell Infect Microbiol. 2019;9:435. doi: 10.3389/fcimb.2019.00435. Sales Junior PA, Molina I, Fonseca Murta SM, Sanchez-Montalva A, Salvador F, Correa-Oliveira R, et al. Experimental and Clinical Treatment of Chagas Disease: A Review. Am J Trop Med Hyg. 2017;97(5):1289-303. doi: 10.4269/ajtmh.16-0761. Villalta F, Rachakonda G. Advances in preclinical approaches to Chagas disease drug discovery. Expert Opin Drug Discov. 2019;14(11):1161-74. doi: 10.1080/17460441.2019.1652593. Pinto AV, de Castro SL. The trypanocidal activity of naphthoquinones: a review. Molecules. 2009;14(11):4570-90. doi: 10.3390/molecules14114570. Cristina Desoti V, Lazarin-Bidoia D, Martins Ribeiro F, Cardoso Martins S, da Silva Rodrigues JH, Ueda-Nakamura T, et al. The Combination of Vitamin K3 and Vitamin C Has Synergic Activity against Forms of Trypanosoma cruzi through a Redox Imbalance Process. PLOS ONE. 2015;10(12):e0144033. doi: 10.1371/journal.pone.0144033. Nara, T., Nakagawa, Y., Tsuganezawa, K., Yuki, H., Sekimata, K., Koyama, H., Ogawa, N., Honma, T., Shirouzu, M., Fukami, T., Matsuo, Y., Inaoka, D. K., Kita, K., Tanaka, A. "The ubiquinone synthesis pathway is a promising drug target for Chagas disease" PLoS One, 2021;16(2): e0243855. Szajnman SH, Garcia Linares GE, Li ZH, Jiang C, Galizzi M, Bontempi EJ, et al. Synthesis and biological evaluation of 2-alkylaminoethyl-1,1-bisphosphonic acids against Trypanosoma cruzi and Toxoplasma gondii targeting farnesyl diphosphate synthase. Bioorg Med Chem. 2008;16(6):3283-90. doi: 10.1016/j.bmc.2007.12.010. Lai DH, Poropat E, Pravia C, Landoni M, Couto AS, Rojo FG, et al. Solanesyl diphosphate synthase, an enzyme of the ubiquinone synthetic pathway, is required throughout the life cycle of Trypanosoma brucei. Eukaryot Cell. 2014;13(2):320-8. doi: 10.1128/EC.00271-13. Hihi, A. K., Gao, Y., Hekimi, S. Ubiquinone is necessary for Caenorhabditis elegans development at mitochondrial and non-mitochondrial sites. J. Biol. Chem. 2002;277(3):2202-6. doi: 10.1074/jbc.M109034200 Wang Y, Branicky R, Stepanyan Z, Carroll M, Guimond MP, Hihi A, et al. The anti-neurodegeneration drug clioquinol inhibits the aging-associated protein CLK-1. J Biol Chem. 2009;284(1):314-23. Epub 2008/10/18. doi:10.1074/jbc.M807579200. Tsuganezawa K, Sekimata K, Nakagawa Y, Utata R, Nakamura K, Ogawa N, et al. Identification of small molecule inhibitors of human COQ7. Bioorg Med Chem. 2020;28(1):115182. doi: 10.1016/j.bmc.2019.115182. Nara, T., Nakagawa, Y., Tsuganezawa, K., Yuki, H., Sekimata, K., Koyama, H., Ogawa, N., Honma, T., Shirouzu, M., Fukami, T., Matsuo, Y., Inaoka, D. K., Kita, K., Tanaka, A. "The ubiquinone synthesis pathway is a promising drug target for Chagas disease" PLoS One, 2021;16(2): e0243855. Wang Y, Branicky R, Stepanyan Z, Carroll M, Guimond MP, Hihi A, et al. The anti-neurodegeneration drug clioquinol inhibits the aging-associated protein CLK-1. J Biol Chem. 2009;284(1):314-23. doi: 10.1074/jbc.M807579200. Anderson CM, Kazantzis M, Wang J, Venkatraman S, Goncalves RL, Quinlan CL, et al. Dependence of brown adipose tissue function on CD36-mediated coenzyme Q uptake. Cell Rep. 2015;10(4):505-15. doi: 10.1016/j.celrep.2014.12.048. Acosta MJ, Vazquez Fonseca L, Desbats MA, Cerqua C, Zordan R, Trevisson E, Salviati L. Coenzyme Q biosynthesis in health and disease. Biochim. Biophys. Acta. 2016; 1857: 1079-1085. Alcazar-Fabra M, Trevisson E, Brea-Calvo G. Clinical syndromes associated with Coenzyme Q10 deficiency. Essays Biochem. 2018; 62: 377-398. Jonassen T, Davis DE, Larsen PL, Clarke CF. Reproductive fitness and quinone content of Caenorhabditis elegans clk-1 mutants fed coenzyme Q isoforms of varying length. J Biol Chem. 2003;278(51):51735-42. doi: 10.1074/jbc.M308760200. Takahashi, M, Watanabe, S. Reaction of amidoximes with diphenylcyclopropenone. Synthesis of 2-aryl-5,6-diphenylpyrimidin-4-ones. Chemistry Letters, 1979;8(10):1213-14.
 本発明は、原虫および蠕虫からなる人獣寄生虫に対して、抗寄生虫活性を有し、寄生虫感染症の治療または予防に有用な化合物および抗寄生虫剤を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記一般式(I)、(I-a)又は(I-b)で表される本発明の化合物が、キノン欠乏を惹起することによって、抗寄生虫活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
 本発明の化合物は、細胞内のキノン含量を減少させることによって、特異的に寄生虫を死に至らしめ、寄生虫によって引き起こされる様々な人獣の疾病を改善する。
 即ち、本発明は以下を提供する。
[1] 一般式(I)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
(式中、
Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
Xは水酸基、アミノ基又は-NR(式中、Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い)であり、
Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、
Aは(1)単結合又は(2)C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良く、酸素原子又は硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基であり、
Ar2はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-6ハロアルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基又はヘテロアリール基である)
で表される化合物又はその塩を含有する、抗寄生虫剤。
[2] Ar1がC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
Xが水酸基又はアミノ基である、[1]に記載の抗寄生虫剤。
[3] トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる寄生虫の増殖抑制剤である、[1]又は[2]に記載の抗寄生虫剤。
[4] シャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる寄生虫感染症の治療又は予防剤である、[1]又は[2]に記載の抗寄生虫剤。
[5] 一般式(I-a)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
(式中、
Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
Xは水酸基、アミノ基又は-NR(式中、Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い)であり、
Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、
A1は-CF2-又は-CHF-であり、
Ar2はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-6ハロアルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基又はヘテロアリール基である)
で表される化合物又はその塩。
[6] Ar1がC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
Xが水酸基又はアミノ基である、[5]に記載の化合物又はその塩。
[7] Ar1がC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、2-ピリジル、1-イソキノリル又は3-イソキノリルである、[5]又は[6]に記載の化合物又はその塩。
[8] Xが水酸基である、[5]~[7]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[9] Yが水素原子又はC1-6アルキル基である、[5]~[8]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[10] A1が-CF2-である、[5]~[9]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[11] 一般式(I-b)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
(式中、
Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
Xは水酸基、アミノ基又は-NR(式中、Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い)であり、
Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、
A2は(1)単結合又は(2)C1-6アルキル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良いC1-3アルキレン基であり、
Ar2はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-6ハロアルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基又はヘテロアリール基であり、
ただし、
(a) A2が単結合であるとき、
(i) Ar1は無置換の2-ピリジルであり、かつAr2
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
であるか、
(ii) Ar1は無置換の2-ピリジルであり、Ar2は無置換のフェニルであり、かつYは塩素原子であるか、
(iii) Ar1は5-クロロピリジン-2-イルであり、かつAr2は無置換の2-ピリジルであるか、又は
(iv) Ar1は4-プロピルピリジン-2-イルであり、かつAr2は無置換のフェニル、無置換の2-ピリジル又は4-クロロフェニルであり、
(b) A2が無置換のC1-3アルキレン基又はC1-6アルキル基で置換されたC1-3アルキレン基であるとき、Ar1は無置換の2-ピリジルであり、かつAr2は無置換のフェニル又は2,4,5-トリフルオロフェニルである)
で表される化合物又はその塩。
[12] Ar1がC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
Xが水酸基又はアミノ基である、[11]に記載の化合物又はその塩。
[13] [5]~[12]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩を含有する医薬組成物。
「14」 [5]~[12]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩を含有する抗寄生虫剤。
[15] [5]~[12]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩を含有する、トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる寄生虫の増殖抑制剤。
[16] [5]~[12]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩を含有するシャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる寄生虫感染症の治療又は予防剤。
[17] [5]~[12]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩の有効量を、哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における寄生虫感染症の治療又は予防方法。
[18] 抗寄生虫剤を製造するための、[5]~[12]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩の使用。
[19] 寄生虫感染症の治療又は予防に使用するための、[5]~[12]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[20] [1]又は[2]に記載の一般式(I)で表される化合物又はその塩の有効量を、哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における寄生虫感染症の治療又は予防方法。
[21] 寄生虫がトリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる、[20]に記載の方法。
[22] 寄生虫感染症がシャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる、[20]に記載の方法。
[23] 抗寄生虫剤を製造するための、[1]又は[2]に記載の一般式(I)で表される化合物又はその塩の使用。
[24] 抗寄生虫剤がトリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる寄生虫の増殖抑制剤である、[23]に記載の使用。
[25] 抗寄生虫剤がシャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる寄生虫感染症の治療又は予防剤である、[23]に記載の使用。
[26] 寄生虫感染症の治療又は予防に使用するための、[1]又は[2]に記載の一般式(I)で表される化合物又はその塩。
[27] 寄生虫がトリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる、[26]に記載の使用のための化合物又はその塩。
[28] 寄生虫感染症がシャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる、[26]に記載の使用のための化合物又はその塩。
 本発明の化合物は、寄生虫の生存に必須であるキノンの欠乏を惹起することによって、寄生虫の増殖を特異的に抑制し、寄生虫による感染症を抑制する。宿主であるヒト等の哺乳動物に対しては毒性が低く、安全で有効な抗寄生虫剤となり得る。
 本発明の化合物は、原虫感染症の治療、特に、トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)感染によるシャーガス病、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)感染によるヒトのアフリカ睡眠病や動物のナガナ病、リーシュマニア属に属する原虫の感染によるリーシュマニア症、マラリア原虫の感染によるマラリア、好ましくはシャーガス病に対して強い効果を有する。また、本発明の化合物は、蠕虫感染症の治療、特に住血吸虫症に対して強い効果を有する。
図1は、薬理試験例4の結果を示すグラフである。試験薬物添加、4日後のエピマスチゴートの細胞数(%)と、添加薬物濃度の関係を示した。図中、黒丸(●)はベンズニダゾールを、黒四角(■)は実施例30の化合物を、黒三角(▲)は実施例1の化合物を添加したときの測定結果を示す。 図2は、薬理試験例6の結果を示すグラフである。原虫感染後4日目から、実施例1の化合物を3mg/kgの投与量で1日2回(bid)腹腔内投与した。投与前日、2日後、5日後、8日後のマウス体内の原虫数を発光によって検出し、投与前日の発光量を100%として表示し、試験薬物の効果を示した。図中、黒丸(●)は実施例1の化合物を、白丸(〇)は媒体を投与したときの測定結果を示す。 図3は、薬理試験例7の結果を示すグラフである。試験薬物添加、4日後のエピマスチゴートの細胞数(%)と、ユビキノン補填効果の関係を示した。図中、黒棒は終濃度30μMのユビキノン-9(UQ)を添加した場合の細胞数を、灰色棒は非添加の場合の細胞数を示す。
 以下、本発明を詳細に説明する。
 本明細書中、特に限定しない限り、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
 「C1-6アルキル基」は、炭素数1から6のアルキル基を意味し、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。本明細書中、特に限定しない限り、「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2-メチルブチル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル等が挙げられる。
 「C1-6ハロアルキル基」は、ハロゲン原子で置換された前記「C1-6アルキル基」を意味する。本明細書中、特に限定しない限り、「C1-6ハロアルキル基」としては、1から7個(好ましくは1から5個、より好ましくは1から3個)のハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)で置換されたC1-6アルキル基が挙げられる。C1-6ハロアルキル基の好適な例としては、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、トリクロロメチル、2-ブロモエチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル等が挙げられる。
 「C1-6アルコキシ基」は、炭素数1から6のアルコキシ基を意味し、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。本明細書中、特に限定しない限り、「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、2-メチルブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
 「C1-6ハロアルコキシ基」は、ハロゲン原子で置換された前記「C1-6アルコキシ基」を意味する。本明細書中、特に限定しない限り、「C1-6ハロアルコキシ基」としては、1から7個(好ましくは1から5個、より好ましくは1から3個)のハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)で置換されたC1-6アルコキシ基が挙げられる。C1-6ハロアルコキシ基の好適な例としては、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリクロロメトキシ、2-ブロモエトキシ、テトラフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ等が挙げられる。
 「C3-6シクロアルキル基」は、炭素数3から6のシクロアルキル基を意味する。本明細書中、特に限定しない限り、「C3-6シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
 「C3-6シクロアルキルオキシ基」は、炭素数3から6のシクロアルキルオキシ基を意味する。本明細書中、特に限定しない限り、「C3-6シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ及びシクロヘキシルオキシが挙げられる。
 「C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基」は、前記「C1-6アルコキシ基」が結合したカルボニルアミノ基を意味する。本明細書中、特に限定しない限り、「C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基」としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、イソブトキシカルボニルアミノ、sec-ブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ、2-メチルブチルオキシカルボニルアミノ、ペンチルオキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
 「C1-6アルコキシ-カルボニル基」は、前記「C1-6アルコキシ基」が結合したカルボニル基を意味する。本明細書中、特に限定しない限り、「C1-6アルコキシ-カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、2-メチルブチルオキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
 本明細書中、特に限定しない限り、「アリール基」としては、例えば「C6-10アリール基」が挙げられ、具体的には、フェニル、ナフチル(例、1-ナフチル、2-ナフチル)等が挙げられる。
 本明細書中、特に限定しない限り、「ヘテロアリール基」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1から4個のヘテロ原子を含有する5から10員ヘテロアリール基が挙げられる。
 ヘテロアリール基の好適な例としては、ピリジル(例、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリミジニル(例、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、ピリダジニル(例、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピラジニル(例、2-ピラジニル)、ピロリル(例、2-ピロリル、3-ピロリル)、イミダゾリル(例、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、フリル(例、2-フリル、3-フリル)、チエニル(例、2-チエニル、3-チエニル)、チアゾリル(例、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、イソチアゾリル(例、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、オキサゾリル(例、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソオキサゾリル(例、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサジアゾリル(例、1,2,5-オキサジアゾール-3-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)、チアジアゾリル(例、1,2,3-チアジアゾール-4-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル)、トリアゾリル(例、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,3-トリアゾール-2-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル)、テトラゾリル(例、テトラゾール-1-イル、テトラゾール-5-イル)、トリアジニル(例、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,2,4-トリアジン-5-イル、1,2,4-トリアジン-6-イル)等の5又は6員単環式ヘテロアリール基;
イソキノリル(例、1-イソキノリル、3-イソキノリル)、キノリル(例、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、6-キノリル)、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル(例、2-キノキサリニル、6-キノキサリニル)、キナゾリニル(例、2-キナゾリニル、4-キナゾリニル)、シンノリニル、ベンゾフラニル(例、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル)、ベンゾチエニル(例、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル)、ベンゾオキサゾリル(例、2-ベンゾオキサゾリル)、ベンゾイソオキサゾリル(例、7-ベンゾイソオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(例、2-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例、ベンゾイミダゾール-1-イル、ベンゾイミダゾール-2-イル、ベンゾイミダゾール-5-イル)、ベンゾトリアゾリル(例、1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イル、1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-5-イル)、インドリル(例、インドール-1-イル、インドール-2-イル、インドール-3-イル、インドール-5-イル)、インダゾリル(例、2H-インダゾール-3-イル)等の9又は10員縮合ヘテロアリール基等が挙げられる。
 本明細書中、特に限定しない限り、「含窒素複素芳香環基」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に1から4個の窒素原子を含有する5から10員複素芳香環基が挙げられる。
 含窒素複素芳香環基の好適な例としては、ピリジル(例、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリミジニル(例、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、ピリダジニル(例、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピラジニル(例、2-ピラジニル)、ピロリル(例、2-ピロリル、3-ピロリル)、イミダゾリル(例、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、トリアゾリル(例、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,3-トリアゾール-2-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル)、テトラゾリル(例、テトラゾール-1-イル、テトラゾール-5-イル)、トリアジニル(例、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,2,4-トリアジン-5-イル、1,2,4-トリアジン-6-イル)等の5又は6員単環式含窒素複素芳香環基;
イソキノリル(例、1-イソキノリル、3-イソキノリル)、キノリル(例、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、6-キノリル)、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル(例、2-キノキサリニル、6-キノキサリニル)、キナゾリニル(例、2-キナゾリニル、4-キナゾリニル)、シンノリニル、ベンゾイミダゾリル(例、ベンゾイミダゾール-1-イル、ベンゾイミダゾール-2-イル、ベンゾイミダゾール-5-イル)、ベンゾトリアゾリル(例、1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イル、1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-5-イル)、インドリル(例、インドール-1-イル、インドール-2-イル、インドール-3-イル、インドール-5-イル)、インダゾリル(例、2H-インダゾール-3-イル)等の9又は10員縮合含窒素複素芳香環基等が挙げられる。
 「C1-3アルキレン基」とは、炭素数1から3の直鎖状のアルキレン基を意味する。本明細書中、特に限定しない限り、「C1-3アルキレン基」としては、メチレン基、エチレン基及びトリメチレン基が挙げられる。
 本明細書中、特に限定しない限り、「酸素原子又は硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基」としては、1又は2個(好ましくは1個)の酸素原子又は硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、-CH2S-、-SCH2-、-CH2CH2S-、-CH2SCH2-、-SCH2CH2-、-CH2CH2CH2S-、-CH2CH2SCH2-、-CH2SCH2CH2-、-SCH2CH2CH2-、-CH2CH2SCH2S-、-CH2SCH2CH2S-、-CH2SCH2SCH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CH2CH2O-、-CH2OCH2-、-OCH2CH2-、-CH2CH2CH2O-、-CH2CH2OCH2-、-CH2OCH2CH2-、-OCH2CH2CH2-、-CH2CH2OCH2O-、-CH2OCH2CH2O-、-CH2OCH2OCH2-等が挙げられる。
 本明細書中、「メチレンジオキシ基」とは、式-O-CH2-O-で表される2価の基を意味する。メチレンジオキシ基を有するアリール基としては、例えば、3,4-メチレンジオキシフェニル(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)等が挙げられる。
 一般式(I)で表される化合物について説明する。一般式(I)において、Ar1、X、Y、A及びAr2の好ましい例としては、例えば以下の態様が挙げられる。
 Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、好ましくは、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基である。
 Ar1で表される「含窒素複素芳香環基」としては、環構成原子として炭素原子以外に1又は2個の窒素原子を含有する5から10員複素芳香環基が好ましい。例えば、ピリジル(例、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、イソキノリル(例、1-イソキノリル、3-イソキノリル)、ピラゾリル(例、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)等が挙げられ、2-ピリジル、1-イソキノリル又は3-イソキノリルが好ましい。
 Xは水酸基、アミノ基又は-NRであり、水酸基又はアミノ基が好ましく、水酸基がより好ましい。
 Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員(好ましくは5又は6員、より好ましくは6員)の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子(好ましくは窒素原子及び酸素原子)からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基(好ましくは、tert-ブトキシカルボニル)からなる群より選ばれる1~3個(好ましくは1又は2個、より好ましくは1個)の置換基を有しても良い。前記「5~7員の飽和ヘテロ環」としては、例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、アゼパン環、1,4-ジアゼパン環、1,4-オキサゼパン環、1,4-チアゼパン環等が挙げられ、好ましくは、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等が挙げられる。
 Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基又はハロゲン原子である。Yとしては、水素原子又はC1-6アルキル基がより好ましい。
 Aは(1)単結合又は(2)C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良く、酸素原子又は硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基である。
 Aで表される「酸素原子又は硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基」が有しても良い置換基としては、C1-6アルキル基及びハロゲン原子(例、フッ素原子)からなる群より選ばれる1~3個の置換基が好ましい。
 Aとしては、(1)単結合又は(2)C1-6アルキル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良く、酸素原子又は硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基が好ましい。例えば、単結合、-CF2-、-CHF-、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、-CH(CH2CH3)-、-CH2S-等が挙げられる。Aとしては、1~3個のフッ素原子を有するC1-3アルキレン基がより好ましく、-CF2-又は-CHF-がさらに好ましく、-CF2-が特に好ましい。
 Ar2はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-6ハロアルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基又はヘテロアリール基である。
 Ar2で表される「アリール基」としては、「C6-10アリール基」が挙げられ、例えば、フェニル及びナフチル(例、1-ナフチル、2-ナフチル)が挙げられる。
 Ar2で表される「ヘテロアリール基」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1から4個のヘテロ原子を含有する5から10員ヘテロアリール基が挙げられ、環構成原子として炭素原子以外に1又は2個の窒素原子を含有する6から10員ヘテロアリール基が好ましい。Ar2で表される「ヘテロアリール基」としては、例えば、ピリジル(例、2-ピリジル)が挙げられる。
 一般式(I-a)で表される化合物について説明する。
 一般式(I-a)において、Ar1、X、Y、A1及びAr2の好ましい例としては、それぞれ一般式(I)のAr1、X、Y、A及びAr2と同様のものが挙げられる。
 A1は-CF2-又は-CHF-である。A1としては、-CF2-が好ましい。
 一般式(I-b)で表される化合物について説明する。
 一般式(I-b)において、Ar1、X、Y、A2及びAr2の好ましい例としては、それぞれ一般式(I)のAr1、X、Y、A及びAr2と同様のものが挙げられる。
 A2は(1)単結合又は(2)C1-6アルキル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良いC1-3アルキレン基である。A2としては、例えば、単結合、-CF2-、-CHF-、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、-CH(CH2CH3)-等が挙げられる。A2としては、1~3個のフッ素原子を有するC1-3アルキレン基がより好ましく、-CF2-又は-CHF-がさらに好ましく、-CF2-が特に好ましい。
 一般式(I-a)で表される化合物の好適な態様としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物(I-a-A)]
 一般式(I-a)で表される化合物又はその塩であって、
Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基及びアリール基(例、フェニル)からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基(例、2-ピリジル、1-イソキノリル、3-イソキノリル)であり、
Xは水酸基、アミノ基又は-NR(式中、Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く(例、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環)、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い)であり、
Yは水素原子又はC1-6アルキル基であり、
A1は-CF2-又は-CHF-であり、
Ar2はC1-6アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、C1-6ハロアルキル基及びアリール基(例、フェニル)からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い、アリール基(例、フェニル)である、化合物又はその塩。
 本発明の抗寄生虫剤の有効成分である一般式(I)で表される化合物の好適な態様としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物(I-A)]
 一般式(I)で表される化合物又はその塩であって、
Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基及びアリール基(例、フェニル)からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基(例、2-ピリジル、1-イソキノリル、3-イソキノリル)であり、
Xは水酸基、アミノ基又は-NR(式中、Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く(例、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環)、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い)であり、
Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基(例、フェニル)又はハロゲン原子であり、
Aは(1)単結合又は(2)C1-6アルキル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良く、硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基(例、単結合、-CF2-、-CHF-、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、-CH(CH2CH3)-、-CH2S-)であり、
Ar2はC1-6アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、C1-6ハロアルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基及びアリール基(例、フェニル)からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基(例、フェニル、ナフチル)又はヘテロアリール基(例、ピリジル)である、化合物又はその塩。
 一般式(I)、(I-a)又は(I-b)で表される化合物の塩としては、医薬上許容される塩が好ましく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸との塩;アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等);アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩等)等の無機塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
 以下、一般式(I)、(I-a)又は(I-b)で表される化合物又はその塩を総称して本発明化合物とも称する。
 本発明化合物が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も本発明化合物に包含される。例えば、本発明化合物に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も本発明化合物に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(例、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)、光学分割手法(例、分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法等)等によりそれぞれを単品として得ることができる。
 本発明化合物は、溶媒和物(例、水和物等)であっても、無溶媒和物(例、非水和物等)であってもよく、いずれも本発明化合物に包含される。
 同位元素(例、H、11C、14C、18F、35S、125I等)等で標識された化合物や、重水素変換体も、本発明化合物に包含される。
本発明化合物の製造方法
 一般式(I)で示される化合物(一般式(I-a)の化合物及び一般式(I-b)の化合物を含む)は、例えば、以下に示す方法もしくは実施例に示す方法またはこれらに準ずる方法、あるいは公知の方法(例えば、「Lisa C. W.ら、J. Med. Chem. 2004, 47 (26) 6529-6540.」に記載の方法)を適宜改良することによって製造することができる。なお、以下の製造方法において、原料化合物は塩としてもよい。
 一般式(I)で示される化合物は、例えば以下に示す反応工程式に従って、製造することができる(反応工程式中、A、Ar1、Ar2、Y、R1及びR2は前記と同じ意味を表す。)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 これらの各反応は、公知の反応に準じて行うことができ、それらを具体的に説明する。
 反応工程式中、一般式I-1で示される化合物は、例えば、一般式IIで示される化合物と一般式IIIで示される化合物を、有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール等あるいはこれらの混合溶液)中、塩基(例えば、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)存在下、0℃から130℃で反応することにより製造することができる。
 なお、出発原料として用いる一般式II及びIIIで示される化合物は、それ自体公知であるか、あるいは公知の方法で製造することができる。一般式IIIで示される化合物は、例えば、「Magnus C. E.ら、Synlett. 2018, 29 (11), 1455-1460」等に記載された方法で製造することができる。
 具体的には、一般式IIIで示される化合物は、一般式IV(式中、A及びAr2は前記と同じ意味を表す。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
で示される化合物と酢酸エチルを有機溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ベンゼン等)中、塩基(例えば、カリウムtert-ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、リチウムジイソプロピルアミド等)存在下、室温から70℃で反応することにより製造することができる。
 反応工程中、一般式I-2で示される化合物は、例えば、一般式I-1で示される化合物と塩素化剤(例えば、塩化オキサリル、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン等)を室温から120℃で反応することにより製造することができる。
 反応工程中、一般式I-3で示される化合物は、例えば、一般式I-2で示される化合物とアンモニア水溶液を、室温から120℃で反応することにより製造することができる。
 反応工程中、一般式I-4で示される化合物は、例えば、一般式I-2で示される化合物と一般式Vで示されるアミン化合物を室温から120℃で反応することにより製造することができる。この反応は、必要に応じて、塩基(例えば、炭酸カリウム等)の存在下で行うことができる。
 本明細書の各反応において、加熱を伴う反応は、当業者にとって明らかなように、水浴、油浴又はマイクロ波反応装置を用いて行うことができる。
 本明細書の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、又は洗浄、再結晶の方法により精製することができる。
 本発明の化合物は、抗寄生虫剤、特に、キノン欠乏を惹起することを特徴とする抗寄生虫剤として有用である。「キノン欠乏を惹起する」とは、寄生虫の体内のキノン含量を減少させることをいう。ここで「キノン欠乏」及び「キノン含量」の「キノン」は、トリパノソーマ クルージーおよびトリパノソーマ ブルーセイに含まれるユビキノン-9(UQ)、リーシュマニア属に属する原虫に含まれるクロロビウムキノンおよびユビキノン-9、マラリア原虫に含まれるユビキノン-8(UQ)およびユビキノン-9(UQ)、住血吸虫に含まれるユビキノン-10(UQ10)およびロドキノン-10(RQ10)などを意味する。
 本発明の抗寄生虫剤の対象となる寄生虫は、原虫又は蠕虫である。抗寄生虫剤は、寄生虫の感染および増殖を抑制する薬剤を意味し、抗原虫剤及び抗蠕虫剤を含む。
 本発明の抗寄生虫剤は、寄生虫感染症の治療又は予防剤として、哺乳動物(例、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギ、サル、マウス、ラット、ハムスター等)に投与することができる。
 本発明の抗寄生虫剤の対象となる原虫としては、根足虫類(赤痢アメーバ)、鞭毛虫類(トリコモナス、トリパノソーマ)、胞子虫類(マラリア原虫、トキソプラズマ、クリプトストリジウム)、繊毛虫類(大腸バランチジウム)が挙げられる。例えば、トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi);トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei);トキソプラズマ ゴンディ(Toxoplasma gondii);リーシュマニア ドノバニ(Leishmania donovani)等のリーシュマニア属に属する原虫;マラリア原虫(Plasmodium parasites)等が挙げられる。
 本発明の抗寄生虫剤の対象となる蠕虫としては、線虫(回虫、鉤虫、蟯虫、フィラリア、糞線虫、アニサキス)、条虫(広節裂頭条虫、無鉤条虫、有鉤条虫、エキノコックス)、吸虫(住血吸虫、肝吸虫、肝蛭虫、肺吸虫)等が挙げられる。例えば、Schistosoma haematobium、S.intercalatum、S.japonicum、S.mansoni、S.mekongi等の住血吸虫科に属する吸虫が挙げられる。
 寄生虫感染症は、上記の寄生虫による感染症を含む。例えば、トリパノソーマ クルージー感染によるシャーガス病;トリパノソーマ ブルーセイ感染によるヒトのアフリカ睡眠病及び動物(例、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、イヌ等)のナガナ病;リーシュマニア属に属する原虫の感染によるリーシュマニア症(例、内臓型リーシュマニア症、皮膚リーシュマニア症);マラリア原虫の感染によるマラリア;トキソプラズマ症;赤痢アメーバ症;住血吸虫症;フィラリア;腸管寄生線虫による感染症等の原虫又は蠕虫による感染症が挙げられる。
 本発明の抗寄生虫剤としては、トリパノソーマ クルージー、トリパノソーマ ブルーセイ、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる寄生虫の感染および増殖抑制剤などが挙げられ、より好ましくはトリパノソーマ クルージーによる感染抑制剤が挙げられる。
 また、本発明の抗寄生虫剤としては、シャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる寄生虫感染症の治療又は予防剤が挙げられ、より好ましくはシャーガス病の治療又は予防剤が挙げられる。
 本発明化合物をヒト又はヒト以外の動物に投与する場合、それ自体又はそれを医薬上許容される担体、賦形剤、希釈剤等と混合し、経口投与剤(例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤)、非経口投与剤(例えば、注射剤)、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)等の医薬組成物として経口的又は非経口的に安全に投与することができる。これらの製剤は、従来公知の方法により製造することができる。
 注射剤としては、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射又は点滴剤等が挙げられる。注射剤は、本発明の化合物を可溶化剤(例えば、β-シクロデキストリン類)、分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム)、保存剤(例,メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノール)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖)等とともに常法にしたがって水性注射剤にすることもできる。また、植物油(例えば、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油)、プロピレングリコール等に溶解、懸濁又は乳化して油性注射剤にすることもできる。
 経口投与剤は、本発明化合物に、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、デンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース)又は滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール)等を適宜添加して圧縮成形し、次いで必要に応じてヒドロキシプロピルメチルセルロース等のコーティングを施すことにより製造することもできる。坐剤は、本発明化合物と、非刺激性の賦形剤(例えば、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸のグリセライド)とを混合して製造することができる。
 本発明化合物の投与量は、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、1日0.01~100mg/kg、好ましくは0.05~50mg/kg、より好ましくは0.1~10mg/kgを1回から数回に分けて経口又は非経口投与される。
 以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。本発明化合物は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。なお、実施例に使用される原料化合物の製造法を製造例として説明する。
 以下の実施例中の「室温」は通常10℃から35℃を示す。%は断らない限り重量%を示す。以下の実験例化合物の構造式に対応したIUPAC名を発生させるために、CambridgeSoft ChemDraw Ultra (Ver. 18)を用いた。
 1H-NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)はフーリエ変換型NMRで測定した。解析には、MestReNova x64を用いた。水酸基やアミノ基などのプロトンが非常に緩やかなピークについては記載していない。MS(マススペクトル)は、LC/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)により測定した。イオン化法としてはESI(Electrospray Ionization)法を用い、ポジティブモード(ESI+)とネガティブモード(ESI-)で測定した。データは実測値を記載した。
 以下の実施例及び薬理試験例において下記の略号を使用する。
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴、s: 一重線、d:二重線、t:三重線、m:多重線
CDCl3:重クロロホルム
DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
LC/MS:液体クロマトグラフ質量分析計
MS:LC/MSによるエレクトロンスプレーイオン化法を用いた質量分析
[M+H]+:分子イオンピーク
M:モル濃度(mol/L)
N:規定度
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
製造例1
エチル 4-(2-クロロフェニル)-4,4-ジフルオロ-3-オキソブタノアート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
 酢酸エチル(0.361 mL)のテトラヒドロフラン溶液(5 mL)に水素化ナトリウム(137 mg)を加え、10分間室温で撹拌した後、エチル 2-(2-クロロフェニル)-2,2-ジフルオロアセタート(644 mg)を加え、5時間加熱還流した。反応後、10%酢酸水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、標題化合物(405 mg)を得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 11.99 (s, 0.3H), 7.45 (t, 2H), 7.32 - 7.21 (m, 2H), 5.62 (s, 0.3H), 4.32 - 4.07 (m, 2H), 3.69 (s, 2 × 0.7H), 2.40 (s, 3H), 1.40 - 1.12 (m, 3H).
 以下、製造例1と同様に操作し、酢酸エチルとエチル2-(2-クロロフェニル)-2,2-ジフルオロアセタートに相当するエステル誘導体を用いて、製造例2から6の化合物を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
製造例7
エチル 4,4-ジフルオロ-2-メチル-3-オキソ-4-フェニルブタノアート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
 エチル 4,4-ジフルオロ-3-オキソ-4-フェニルブタノアート(100 mg)のDMF溶液(5 mL)に炭酸カリウム(86 mg)を加えた後、ヨウ化メチル(0.161 mL)を加え、一晩室温で撹拌した。反応後、水を加えた後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、標題化合物(95 mg)を得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 7.64 - 7.48 (m, 2H), 7.53 - 7.37 (m, 3H), 4.29 - 4.13 (m, 2H), 4.15 - 4.06 (m, 1H), 1.43 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.23 (t, 3H).
実施例1
6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
 ピコリンイミドアミド塩酸塩(0.90g)の1 M水酸化ナトリウム溶液(5.71 mL)にエチル 4,4-ジフルオロ-3-オキソ-4-フェニルブタノアート(1.49 g)のエタノール溶液(5.71 mL)を加え、一晩90℃で撹拌した。放冷後、1 M塩酸水溶液を加え、析出した固体をろ過して、水で洗浄後、減圧乾燥し、標題化合物(1.52 g)を得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 11.05 (s, 1H), 8.67 - 8.61 (m, 1H), 8.42 - 8.34 (m, 1H), 7.94 - 7.83 (m, 1H), 7.74 - 7.62 (m, 2H), 7.53 - 7.44 (m, 3H), 7.45 (s, 1H), 6.88 (s, 1H).
MS(ESI): m/z 300.3 [M+H]+.
 以下、実施例1におけるピコリンイミドアミド塩酸塩及びエチル 4,4-ジフルオロ-3-オキソ-4-フェニルブタノアートを各々対応するアミジン誘導体及びβ-ケトエステル誘導体に変換し、実施例1と同様に操作し、実施例2から23の化合物を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000023
実施例24
6-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
 ピコリンイミドアミド塩酸塩(158 mg)の1 M水酸化ナトリウム水溶液(1 mL)にエチル 3-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-3-オキソプロパノアート(0.265 mg)のエタノール溶液(1 mL)を加え、室温で3日間撹拌した。反応液に、1 M塩酸水溶液を加え、析出した固体をろ過して、水で洗浄後、減圧乾燥した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール)により精製し、標題化合物(56 mg)を得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 11.07 (s, 1H), 8.73 - 8.64 (m, 1H), 8.63 - 8.53 (m, 1H), 8.01 - 7.89 (m, 2H), 7.88 - 7.78 (m, 1H), 7.58 - 7.39 (m, 2H), 6.85 (s, 1H), 2.48 (s, 3H).
MS(ESI): m/z 298.1 [M+H]+.
 以下、実施例24におけるピコリンイミドアミド塩酸塩及びエチル 3-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-3-オキソプロパノアートを各々対応するアミジン誘導体及びβ-ケトエステル誘導体に変換し、実施例24と同様に操作し、実施例25から29の化合物を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000025
実施例30
6-(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
 ピコリンイミドアミド塩酸塩(489 mg)の1 M水酸化ナトリウム水溶液(3.1 mL)にエチル 3-(4-(tert-ブチル)フェニル)-3-オキソプロパノアート(850 mg)のエタノール溶液(1.5 mL)を加え、一晩室温で撹拌した。反応溶液に、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物(915 mg)を得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 8.74 - 8.57 (m, 2H), 8.09 - 8.00 (m, 2H), 8.00 - 7.88 (m, 1H), 7.60 - 7.46 (m, 3H), 6.89 (s, 1H), 1.38 (s, 9H).
MS(ESI): m/z 306.3 [M+H]+.
 以下、実施例30におけるピコリンイミドアミド塩酸塩及びエチル 3-(4-(tert-ブチル)フェニル)-3-オキソプロパノアートを各々対応するアミジン誘導体及びβ-ケトエステル誘導体に変換し、実施例30と同様に操作し、実施例31から42の化合物を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000027
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000028
実施例43
2-(ピリジン-2-イル)-6-(p-トリル)ピリミジン-4-オール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
 ナトリウムエトキシド(68 mg)のエタノール溶液(1.5 mL)に、ピコリンイミドアミド塩酸塩(158 mg)とエチル3-オキソ-3-(p-トリル)プロパノアート(0.215 mL)を加え、マイクロ波照射下130℃で3時間撹拌した。放冷後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール)により精製し、標題化合物(129 mg)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 11.03 (s, 1H), 8.69 - 8.66 (m, 1H), 8.65 - 8.59 (m, 1H), 8.04 - 7.97 (m, 2H), 7.99 - 7.91 (m, 1H), 7.55 - 7.48 (m, 1H), 7.35 - 7.27 (m, 2H), 6.88 (s, 1H), 2.44 (s, 3H).
MS(ESI): m/z 264.2 [M+H]+.
 以下、実施例43におけるピコリンイミドアミド塩酸塩及びエチル 3-オキソ-3-(p-トリル)プロパノアートを各々対応するアミジン誘導体及びβ-ケトエステル誘導体に変換し、実施例43と同様に操作し、実施例44及び45の化合物を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000030
実施例46
6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
(1)4-クロロ-6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン
 実施例1で合成した6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-オール(1.00 g)に、オキシ塩化リン(0.78 mL)を加え、120℃で50分間撹拌した。放冷後、水を加えた後、飽和水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH 8とした。混合溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール)により精製し、4-クロロ-6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン(0.98 g)を得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 8.91 - 8.82 (m, 1H), 8.50 - 8.40 (m, 1H), 7.92 - 7.79 (m, 1H), 7.75 - 7.64 (m, 3H), 7.53 - 7.38 (m, 4H).
MS(ESI): m/z 318.2 [M+H]+
(2)6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-アミン
 4-クロロ-6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン(69 mg)に28%アンモニア水(0.69 mL)を加え、封管し、一晩120℃で撹拌した。放冷後、減圧濃縮し、得られた残渣をアミノシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール)により精製し、標題化合物(60 mg)を得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 8.83 - 8.75 (m, 1H), 8.48 - 8.39 (m, 1H), 7.87 - 7.74 (m, 1H), 7.74 - 7.64 (m, 1H), 7.49 - 7.29 (m, 4H), 7.27 (s, 1H), 6.82 (s, 1H), 5.32 (s, 2H).
MS(ESI): m/z 299.2 [M+H]+.
実施例47
6-(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
 実施例46における6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-オールを6-(4-tert-ブチルフェニル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-オールに変換し、実施例46と同様に操作して標題化合物を製造した。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.85 - 8.80 (m, 1H), 8.71 - 8.65 (m, 1H), 8.10 - 8.04 (m, 2H), 7.89 - 7.82 (m, 1H), 7.56 - 7.50 (m, 2H), 7.41 - 7.35 (m, 1H), 6.84 (s, 1H), 5.14 (s, 2H), 1.37 (s, 9H).
MS(ESI): m/z 305.2 [M+H]+.
 以下、実施例1におけるピコリンイミドアミド塩酸塩及びエチル 4,4-ジフルオロ-3-オキソ-4-フェニルブタノアートを各々対応するアミジン誘導体及びβ-ケトエステル誘導体に変換し、実施例1と同様に操作し、実施例49、52、54及び55の化合物を製造した。
 実施例24におけるピコリンイミドアミド塩酸塩及びエチル3-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-3-オキソプロパノアートを各々対応するアミジン誘導体及びβ-ケトエステル誘導体に変換し、実施例24と同様に操作し、実施例50及び51の化合物を製造した。
 実施例30におけるピコリンイミドアミド塩酸塩及びエチル3-(4-(tert-ブチル)フェニル)-3-オキソプロパノアートを各々対応するアミジン誘導体及びβ-ケトエステル誘導体に変換し、実施例30と同様に操作し、実施例48、53及び56から59の化合物を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000033
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000034
 以下、実施例1におけるピコリンイミドアミド塩酸塩及びエチル 4,4-ジフルオロ-3-オキソ-4-フェニルブタノアートを各々対応するアミジン誘導体及びβ-ケトエステル誘導体に変換し、実施例1と同様に操作し、実施例68から75の化合物を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000035
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000036
実施例76
tert-ブチル 4-(6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシラート
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000037
 実施例46における4-クロロ-6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン(55 mg)のアセトニトリル溶液(1 mL)に、炭酸カリウム(65 mg)と1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン(46 mg)を加え、90℃で2時間撹拌した。放冷後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール)により精製し、標題化合物(80 mg)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.79 - 8.77 (m, 1H), 8.37 - 8.35 (m, 1H), 7.80 - 7.77 (m, 1H), 7.70 - 7.68 (m, 2H), 7.47 - 7.39 (m, 3H), 7.36 - 7.34 (m, 1H), 6.90 (s, 1H), 3.85 - 3.82 (m, 4H), 3.62 - 3.55 (m, 4H), 1.48 (m, 9H).
MS(ESI): m/z 468.4 [M+H]+.
 以下、実施例76における1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジンを対応する複素環式アミンに変換し、実施例76と同様に操作し、実施例77、78及び79の化合物を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000038
実施例80
6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-N-メチル-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-アミン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000039
 実施例46における4-クロロ-6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン(50 mg)のメタノール溶液(0.5 mL)に、40%メチルアミン溶液(0.04 mL)を加えた。室温で1.5時間撹拌した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、標題化合物(43 mg)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.78 - 8.76 (m, 1H), 8.42 - 8.40 (m, 1H), 7.78 - 7.77 (m, 1H), 7.72 - 7.68 (m, 2H), 7.48 - 7.40 (m, 3H), 7.36 - 7.33 (m, 1H), 6.73 (s, 1H), 5.80 - 5.64 (m, 1H), 3.05 (s, 3H).
LC/MS(ESI): m/z 313.2 [M+H]+.
実施例81
4-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-6-(ピペラジン-1-イル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000040
 実施例76におけるtert-ブチル 4-(6-(ジフルオロ(フェニル)メチル)-2-(ピリジン-2-イル)ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボキシラート(78 mg)のジクロロメタン溶液(1.76 mL)に、トリフルオロ酢酸(0.14 mL)を加え、氷浴で1時間撹拌した後、室温で一晩撹拌した。減圧濃縮し、得られた残渣を陽イオン交換クロマトグラフィー(展開溶媒:メタノール/アンモニア水)により精製し、標題化合物(55 mg)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.78 - 8.77 (m, 1H), 8.37 - 8.35 (m, 1H), 7.79 - 7.76 (m, 1H), 7.70 - 7.68 (m, 2H), 7.47 - 7.39 (m, 3H), 7.37 - 7.27 (m, 1H), 6.89 (s, 1H), 3.84 - 3.80 (m, 4H), 3.03 - 2.98 (m, 4H).
LC/MS(ESI): m/z 368.4 [M+H]+.
製剤例1:カプセル剤
 1)実施例1の化合物          30 mg
 2)微結晶セルロース          10 mg
 3)乳糖                19 mg
 4)ステアリン酸マグネシウム       1 mg
              計      60 mg
 1)、2)、3)および4)を混合して、ゼラチンカプセルに充填する。
製剤例2:錠剤の製造
 1)実施例1の化合物           30 g
 2)乳糖                 50 g
 3)トウモロコシデンプン         15 g
 4)カルボキシメチルセルロースカルシウム 44 g
 5)ステアリン酸マグネシウム        1 g
            1000錠  計 140 g
 1)、2)、3)の全量および30gの4)を水で練合し、真空乾燥後、整粒を行う。この整粒末に14gの4)および1gの5)を混合し、打錠機により打錠する。このようにして、1錠あたり実施例1の化合物30mgを含有する錠剤1000錠を得る。
製剤例3:錠剤の製造
 1)実施例67の化合物          30 g
 2)乳糖                 50 g
 3)トウモロコシデンプン         15 g
 4)カルボキシメチルセルロースカルシウム 44 g
 5)ステアリン酸マグネシウム        1 g
            1000錠  計 140 g
 1)、2)、3)の全量および30gの4)を水で練合し、真空乾燥後、整粒を行う。この整粒末に14gの4)および1gの5)を混合し、打錠機により打錠する。このようにして、1錠あたり実施例67の化合物30mgを含有する錠剤1000錠を得る。
薬理試験例1.ヒト感染型トリパノソーマ クルージーに対する感染阻害試験
 トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)トラフューエン ストレイン(Tulahuan)を用いた。エピマスチゴート(Epimastigote)は、リバーインフュージョントリプトース培地に、10%牛胎児血清と10μg/mlのヘミンを添加して、27℃で培養した。ヒト感染型の原虫は、マウス3T3-SWISS アルビーノ線維芽細胞を用いて継代した。
 ヒト感染型に対する化合物活性の評価は、ヒト正常細胞WI-38を1.5x10細胞/ウエルで播種後一晩培養し、ここに4.5x10細胞/ウエル量のトリポマスチゴートを添加して感染させ、同時に評価化合物を添加して、さらに4日間37℃のCOインキュベータ内で培養した。培地には、10%牛胎児血清と抗生物質を添加したダルベッコモディファイドイーグル培地を用いた。培養後、ウエルをPBSで洗い、Diff-Quik溶液(シスメックス)で核染色をして、感染細胞と非感染細胞を顕微鏡下でカウントした。総計400以上の宿主細胞をカウントすることを原則として、結果の公正さを確保した。
 実施例60から65の化合物として、表14に示す既知化合物を使用した。NTは試験をおこなっていないことを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000041
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000042
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000043
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000044
 表15から17に示されるとおり、本発明化合物はヒト感染型トリパノソーマ クルージーに対して強力な感染抑制活性を示した。
薬理試験例2.ヒト感染型トリパノソーマ クルージーに対する感染阻害試験
 トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)トラフューエン ストレイン(Tulahuan)を用いた。エピマスチゴート(Epimastigote)は、リバーインフュージョントリプトース培地に、10%牛胎児血清と10μg/mlのヘミンを添加して、27℃で培養した。ヒト感染型の原虫は、マウス3T3-SWISS アルビーノ線維芽細胞を用いて継代した。
 ヒト感染型に対する化合物活性の評価は、ヒト正常細胞WI-38を1.5x10細胞/ウエルで播種後一晩培養し、ここに3x10細胞/ウエル量のトリポマスチゴートを添加して感染させ、同時に評価化合物を添加して、さらに4日間37℃のCOインキュベータ内で培養した。培地には、10%牛胎児血清と抗生物質を添加したダルベッコモディファイドイーグル培地を用いた。培養後、ウエルをPBSで洗い、Diff-Quik溶液(シスメックス)で核染色をして、感染細胞と非感染細胞を顕微鏡下でカウントした。総計400以上の宿主細胞をカウントすることを原則として、結果の公正さを確保した。
 実施例66及び67の化合物として、表18に示す既知化合物を使用した。表18に示されるとおり、本発明化合物はヒト感染型トリパノソーマ クルージーに対して強力な感染抑制活性を示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000045
薬理試験例3.ヒト感染型トリパノソーマ クルージーに対する増殖阻害試験
 あらかじめ改良型ホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc2)を発現させておいたトリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi) シルビオ ストレイン(Sylvio)を用いた。エピマスチゴート(Epimastigote)は、リバーインフュージョントリプトース培地に、10%牛胎児血清と10μg/mlのヘミンを添加して、27℃で培養した。ヒト感染型の原虫は、マウス3T3-SWISS アルビーノ線維芽細胞を用いて継代した。
 ヒト感染型に対する化合物の増殖阻害活性の評価は、マウス3T3-SWISS アルビーノ線維芽細胞を1.0x10細胞/ウエルで播種後一晩培養し、ここに1.0x10細胞/ウエル量のトリポマスチゴートを添加して感染させ、同時に評価化合物を添加して、さらに4日間37℃のCOインキュベータ内で培養した。培地には、10%牛胎児血清と抗生物質を添加したダルベッコモディファイドイーグル培地を用いた。培養後、ウエルにルシフェリン試薬を添加して発光させ、原虫数に比例する発光量をルミノメーターで定量した。
 表19は、インビトロのトリパノソーマ クルージーに対する化合物の有効性を示す。化合物は、終濃度1、0.3、0.1μMで添加した。化合物の有効性は、コントロール感染実験の原虫由来発光量を100%とした、増殖阻害率(%)で定義される。
 表19に示されるとおり、本発明化合物はヒト感染型トリパノソーマ クルージーに対して強力な増殖抑制活性を示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000046
薬理試験例4.昆虫感染型トリパノソーマ クルージーに対する増殖阻害試験
 トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)トラフューエン ストレイン(Tulahuan)を用いた。エピマスチゴート(Epimastigote)は、リバーインフュージョントリプトース培地(LIT培地)に、10%牛胎児血清と10μg/mlのヘミンを添加して、27℃で培養した。
 増殖阻害評価においては、2x10/mlのエピマスチゴートを、評価化合物を添加したグルコース添加なしのLIT培地で4日間培養した。化合物評価のためのエピマスチゴートには、あらかじめ改良型ホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc2)を発現させておいたものを用い、細胞数は培養溶液のもつルシフェラーゼ活性によって決定した。ルシフェラーゼ活性は、ピッカジーンLT-2.0検出試薬(東京インク)を用いて試験溶液を発光させ、発光量はプレートリーダーで測定した。
 図1は、インビトロのトリパノソーマ クルージーに対する化合物の有効性を示す。化合物の有効性は、コントロール培養に対する(%)で定義される。実施例30の化合物および実施例1の化合物は終濃度1μM以下の添加で、原虫の生育を50%以上阻害した。これは、現在使用されているベンズニダゾールに比較して、より有効な原虫致死活性を示している。
 このとき、各化合物のIC50値は、ベンズニダゾール、実施例1、実施例30がそれぞれ、5.0, 0.52, 0.19 μMであった。さらに、実施例46、実施例80の化合物のIC50値は、それぞれ、0.33, 0.57 μMであった。
薬理試験例5.発明化合物の寄生虫に対する選択的致死性
 トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)トラフューエン ストレイン(Tulahuan)を用いた。エピマスチゴート(Epimastigote)は、リバーインフュージョントリプトース培地に、10%牛胎児血清と10μg/mlのヘミンを添加して、27℃で培養した。ヒト感染型の原虫は、マウス3T3-SWISS アルビーノ線維芽細胞を用いて継代した。
 ヒト感染型に対する化合物活性の評価は、ヒト正常細胞WI-38を1.5x10細胞/ウエルで一日培養しておき、ここに4.5x10細胞/ウエル量のトリポマスチゴートを添加して感染させ、同時に評価化合物を添加して、さらに4日間37℃のCOインキュベータ内で培養した。培地には、10%牛胎児血清と抗生物質を添加したダルベッコモディファイドイーグル培地を用いた。培養後、ウエルをPBSで洗い、Diff-Quik溶液(シスメックス)で核染色をして、感染細胞と非感染細胞を顕微鏡下でカウントした。総計400以上の宿主細胞をカウントすることを原則として、結果の公正さを確保した。
 ヒト細胞に対する毒性評価は、一般的に使用されるアフリカミドリザルの腎臓上皮細胞由来細胞株ベロ細胞を用いた。10個のベロ細胞を播種し、一晩培養したのちに化合物を添加して2日間培養し、生存細胞数を計測した。培地には10%牛胎児血清と抗生物質を添加した抗生物質添加イーグル最小必須培地を用いた。生存細胞数の計測にはセルタイターグロー2.0アッセイキット(プロメガ)を用いて、細胞内のアデノシントリフォスフェートを発光させることで定量した。
 表20は、インビトロのトリパノソーマ クルージーに対する化合物の選択的有効性を示す。これら化合物の効果は、原虫に選択性が高く、人獣に使用する抗寄生虫薬として有用である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000047
薬理試験例6.マウス感染モデルにおける抗寄生虫活性
 トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)トラフューエン ストレイン(Tulahuan)を、バルブシー(BALB/c)マウスに感染させる動物モデルを用いた。感染を増強するために、馴化させたマウスに事前に免疫抑制剤シクロフォスファミドを投与しておく。1頭当たり10のトリポマスチゴートを腹腔内投与して感染させた。感染後4日目から、3mg/kgの投与量の実施例1の化合物または媒体を1日2回(bid)腹腔内投与した。媒体は15% DMSO/17.5% Cremophor EL/8.75% EtOH/8.75% HCO-40/50% PBSを用いた。マウスは、一群当たり4頭を実験に用いた。原虫には、あらかじめ改良型ホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc2)を発現させたものを用いた。マウス体内の原虫量はマウス腹腔にルシフェリンを投与することによって原虫を発光させ、非侵襲的に発光量を測定する、インビボ バイオルミネッセンス法によって決定した。
 図2は、実施例1の化合物が、感染マウス体内の原虫の増殖を抑制することを示す。図の横軸は、感染後の日数を示し、縦軸は非侵襲的に測定したマウス体内の原虫の発光量である。発光量は、薬物投与開始前日、Day4の値を100%として表記した。図2は、媒体投与群では、感染後9日のマウス体内の原虫は100倍の増加をしているが、実施例1の化合物投与群では完全に増殖を抑制していることを示している。
薬理試験例7.ユビキノン添加による抗原虫活性の抑制効果
 本発明の化合物による抗原虫作用の原因が原虫体内のユビキノン含量の減少であることを示すために、大過剰量のユビキノンを培地に添加することによる化合物の抗原虫活性の抑制効果を試験した。
 トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)トラフューエン ストレイン(Tulahuan)を用いた。エピマスチゴート(Epimastigote)は、リバーインフュージョントリプトース培地(LIT培地)に、10%牛胎児血清と10μg/mlのヘミンを添加して、27℃で培養した。
 増殖阻害評価においては、2x10/mlのエピマスチゴートを、評価化合物を添加したグルコース添加なしのLIT培地で、4日間培養した。化合物添加と同時にこの原虫の体内にある主たるキノンであるユビキノン-9(UQ)を培地に添加して、原虫体内のユビキノンの減少を補填する効果を調べる比較実験を行う。ユビキノン-9は、終濃度30μMとなる大過剰量を添加した。化合物評価のためのエピマスチゴートには、あらかじめ改良型ホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc2)を発現させておいたものを用い、細胞数はルシフェラーゼ活性によって決定した。ルシフェラーゼ活性は、ピッカジーンLT-2.0検出試薬(東京インク)を用いて試験培養溶液を発光させ、発光量はプレートリーダーで測定した。
 図3は、インビトロのトリパノソーマ クルージーに対する化合物の抗原虫活性をユビキノン-9の添加が無効にすることを示す。化合物の有効性は、コントロール培養に対する原虫細胞数の比率(%)で定義される。実施例1、実施例30の化合物および実施例31の化合物は0.5μM以下の添加で、原虫の生存をコントロール培養の5%以下に阻害した。この培養液に、化合物によって減少したユビキノン-9を補填するための終濃度30μMユビキノン-9を添加しておくと、原虫死は阻止され、30%以上の原虫が生存する。この補填効果は、標準薬ベンズニダゾールでは観察されない。この結果から、本発明の化合物による抗原虫作用の原因が原虫体内のユビキノン含量の減少であることが示された。
 本発明の化合物は、寄生虫の生存に必須であるキノンの欠乏を惹起することによって、寄生虫の増殖を特異的に抑制し、寄生虫による感染を抑制する。本発明の化合物及び抗寄生虫剤は、寄生虫感染症の治療又は予防剤として有用である。
 本出願は、日本で出願された特願2021-080582(出願日:2021年5月11日)を基礎としており、その内容は参照により本明細書に全て包含されるものである。

Claims (25)

  1.  一般式(I)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001

    (式中、
    Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
    Xは水酸基、アミノ基又は-NR(式中、Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い)であり、
    Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、
    Aは(1)単結合又は(2)C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良く、酸素原子又は硫黄原子が介在しても良いC1-3アルキレン基であり、
    Ar2はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-6ハロアルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基又はヘテロアリール基である)
    で表される化合物又はその塩を含有する、抗寄生虫剤。
  2.  Ar1がC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
    Xが水酸基又はアミノ基である、請求項1に記載の抗寄生虫剤。
  3.  トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる寄生虫の増殖抑制剤である、請求項1又は2に記載の抗寄生虫剤。
  4.  シャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる寄生虫感染症の治療又は予防剤である、請求項1又は2に記載の抗寄生虫剤。
  5.  一般式(I-a)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002

    (式中、
    Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
    Xは水酸基、アミノ基又は-NR(式中、Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い)であり、
    Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、
    A1は-CF2-又は-CHF-であり、
    Ar2はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-6ハロアルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基又はヘテロアリール基である)
    で表される化合物又はその塩。
  6.  Ar1がC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
    Xが水酸基又はアミノ基である、請求項5に記載の化合物又はその塩。
  7.  Ar1がC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、2-ピリジル、1-イソキノリル又は3-イソキノリルである、請求項5又は6に記載の化合物又はその塩。
  8.  Xが水酸基である、請求項5~7のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
  9.  Yが水素原子又はC1-6アルキル基である、請求項5~8のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
  10.  A1が-CF2-である、請求項5~9のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
  11.  一般式(I-b)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003

    (式中、
    Ar1はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
    Xは水酸基、アミノ基又は-NR(式中、Rは水素原子又はC1-6アルキル基であり、RはC1-6アルキル基であるか、又はR及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5~7員の飽和ヘテロ環を形成してもよく、当該飽和ヘテロ環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1個のヘテロ原子をさらに含有しても良く、かつ当該飽和ヘテロ環は、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ-カルボニル基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い)であり、
    Yは水素原子、C1-6アルキル基、アリール基又はハロゲン原子であり、
    A2は(1)単結合又は(2)C1-6アルキル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良いC1-3アルキレン基であり、
    Ar2はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-6ハロアルキル基、C1-6ハロアルコキシ基、メチレンジオキシ基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基をそれぞれ有しても良い、アリール基又はヘテロアリール基であり、
    ただし、
    (a) A2が単結合であるとき、
    (i) Ar1は無置換の2-ピリジルであり、かつAr2
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004

    であるか、
    (ii) Ar1は無置換の2-ピリジルであり、Ar2は無置換のフェニルであり、かつYは塩素原子であるか、
    (iii) Ar1は5-クロロピリジン-2-イルであり、かつAr2は無置換の2-ピリジルであるか、又は
    (iv) Ar1は4-プロピルピリジン-2-イルであり、かつAr2は無置換のフェニル、無置換の2-ピリジル又は4-クロロフェニルであり、
    (b) A2が無置換のC1-3アルキレン基又はC1-6アルキル基で置換されたC1-3アルキレン基であるとき、Ar1は無置換の2-ピリジルであり、かつAr2は無置換のフェニル又は2,4,5-トリフルオロフェニルである)
    で表される化合物又はその塩。
  12.  Ar1がC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、C1-6ハロアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基からなる群より選ばれる1~3個の置換基を有しても良い含窒素複素芳香環基であり、
    Xが水酸基又はアミノ基である、請求項11に記載の化合物又はその塩。
  13.  請求項5~12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有する医薬組成物。
  14.  請求項5~12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有する抗寄生虫剤。
  15.  請求項5~12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有する、トリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる寄生虫の増殖抑制剤。
  16.  請求項5~12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有するシャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる寄生虫感染症の治療又は予防剤。
  17.  請求項5~12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩の有効量を、哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における寄生虫感染症の治療又は予防方法。
  18.  抗寄生虫剤を製造するための、請求項5~12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩の使用。
  19.  寄生虫感染症の治療又は予防に使用するための、請求項5~12のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
  20.  請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物又はその塩の有効量を、哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物における寄生虫感染症の治療又は予防方法。
  21.  寄生虫がトリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる、請求項20に記載の方法。
  22.  寄生虫感染症がシャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる、請求項20に記載の方法。
  23.  抗寄生虫剤を製造するための、請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物又はその塩の使用。
  24.  抗寄生虫剤がトリパノソーマ クルージー(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ ブルーセイ(Trypanosoma brucei)、リーシュマニア属に属する原虫、マラリア原虫及び住血吸虫からなる群より選ばれる寄生虫の増殖抑制剤である、請求項23に記載の使用。
  25.  抗寄生虫剤がシャーガス病、アフリカ睡眠病、ナガナ病、リーシュマニア症、マラリア及び住血吸虫症からなる群より選ばれる寄生虫感染症の治療又は予防剤である、請求項23に記載の使用。
PCT/JP2022/019962 2021-05-11 2022-05-11 抗寄生虫活性を有する化合物 WO2022239808A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021-080582 2021-05-11
JP2021080582 2021-05-11

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2022239808A1 true WO2022239808A1 (ja) 2022-11-17

Family

ID=84029703

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2022/019962 WO2022239808A1 (ja) 2021-05-11 2022-05-11 抗寄生虫活性を有する化合物

Country Status (1)

Country Link
WO (1) WO2022239808A1 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63264478A (ja) * 1986-12-03 1988-11-01 Sumitomo Chem Co Ltd ピリジルピリミジン誘導体およびそれを有効成分とする植物病害防除剤
JPH03251581A (ja) * 1989-12-07 1991-11-11 Bayer Ag ピリジニルピリミジン誘導体
JPH04257577A (ja) * 1990-10-17 1992-09-11 Hoechst Ag ピリミジン誘導体、その製造方法、これを含有する組成物およびこれを殺菌剤として使用する方法
US5250530A (en) * 1989-07-11 1993-10-05 Hoechst Aktiengesellschaft Aminopyrimidine derivatives, and their use as fungicides
JP2003026675A (ja) * 2001-04-20 2003-01-29 Ciba Specialty Chem Holding Inc 殺微生物作用物質としての4−アミノ−2−(2−ピリジル)ピリミジン
JP2016121072A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 学校法人北里研究所 種選択的な電子伝達系の複合体ii阻害活性を有する新規アトペニン類縁体

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63264478A (ja) * 1986-12-03 1988-11-01 Sumitomo Chem Co Ltd ピリジルピリミジン誘導体およびそれを有効成分とする植物病害防除剤
US5250530A (en) * 1989-07-11 1993-10-05 Hoechst Aktiengesellschaft Aminopyrimidine derivatives, and their use as fungicides
JPH03251581A (ja) * 1989-12-07 1991-11-11 Bayer Ag ピリジニルピリミジン誘導体
JPH04257577A (ja) * 1990-10-17 1992-09-11 Hoechst Ag ピリミジン誘導体、その製造方法、これを含有する組成物およびこれを殺菌剤として使用する方法
JP2003026675A (ja) * 2001-04-20 2003-01-29 Ciba Specialty Chem Holding Inc 殺微生物作用物質としての4−アミノ−2−(2−ピリジル)ピリミジン
JP2016121072A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 学校法人北里研究所 種選択的な電子伝達系の複合体ii阻害活性を有する新規アトペニン類縁体

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
NEIL R. NORCROSS, BEATRIZ BARAGAñA, CAROLINE WILSON, IRENE HALLYBURTON, MARIA OSUNA-CABELLO, SUZANNE NORVAL, JENNIFER RILEY, : "Trisubstituted Pyrimidines as Efficacious and Fast-Acting Antimalarials", JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY, vol. 59, no. 13, 14 July 2016 (2016-07-14), US , pages 6101 - 6120, XP055620338, ISSN: 0022-2623, DOI: 10.1021/acs.jmedchem.6b00028 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106928206B (zh) 醛基类化合物及其制法和用途
US7960427B2 (en) 5-hydroxyindole-3-carboxylate derivatives and uses thereof
US3261859A (en) Basically substituted phenyl acetonitrile compounds
TWI542590B (zh) 1,2-雙取代雜環化合物
CN107709321A (zh) 经取代的多环性吡啶酮衍生物及其前药
JP7017523B2 (ja) 代謝性疾患および癌の治療のための新規のミトコンドリア脱共役剤
CN102030700B (zh) 苯甲酰胺基羧酸类化合物及其制法和药物用途
US20220306638A1 (en) Selective btk irreversible inhibitors
JP2020520949A (ja) 組成物、並びにミトコンドリア脱共役剤を調製及び使用する方法
JP6644814B2 (ja) C,o−スピロアリールグリコシド系化合物およびその製造と使用
US20140142170A1 (en) Composition and method for influencing energy metabolism and treating metabolic and other disorders
CN106977506B (zh) 二氢黄酮衍生物、其制备方法和用途
CN112384503A (zh) 乳酸增强化合物及其用途
JP3857429B2 (ja) 含硫黄抗真菌剤
WO2022239808A1 (ja) 抗寄生虫活性を有する化合物
WO2014190899A1 (zh) 2,3-环氧丁二酰胺类化合物、其制备方法和用途
CN101397295B (zh) 作为组蛋白去乙酰化酶抑制剂的2-吲哚满酮衍生物、其制法和用途
SK2722002A3 (en) Use of bis-sulfonamides for producing medicaments used for preventing or treating hyperlipidaemia
JP5932827B2 (ja) チアゾールアミン誘導体および抗ピコルナウイルス感染薬剤としてのその使用
CN1887875B (zh) 哒嗪胺衍生物及其用于制备小rna病毒抑制剂的用途
CN109956868A (zh) 一类苯基羧酸衍生物、其制备方法及其用途
US7799830B2 (en) Cinnamic acid dimers, their preparation and the use thereof for treating neurodegenerative disease
CN113214097A (zh) 治疗阿尔茨海默病的化合物
JP6586692B2 (ja) 新規キノン誘導体およびそれを有効成分とする抗トリパノソーマ剤
KR100903974B1 (ko) 2,4,5-삼중치환-1,3-티아졸 유도체 및 약제학적으로 허용가능한 그의 염, 그의 제조방법 및 그를 유효성분으로함유하는 spc 수용체 활성으로 유발되는 염증관련 질환치료제

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 22807507

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE