JP2016120897A - 車両用制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者が一定の制動操作を行っている際であっても、電動機に係るハンチング現象に由来する雑音の発生を抑えて、車室内雰囲気の快適性を向上する。
【解決手段】車両用制動装置10は、制動モータ72を有し、制動モータ72の駆動によって制動液圧を発生させるモータシリンダ装置16と、ブラシレスモータである制動モータ72が有するロータ72Bに係る回転角を取得するホールセンサ群103と、ロータ72Bに係る回転角を、制動操作に基づく目標制動液圧を実現する目標回転角に追従させるように制動モータ72に係る駆動制御を行う制動制御装置101と、を備える。制動制御装置101は、制動液圧の保持要求が生じた場合に、制動液圧の保持要求が生じていない場合と比べて、回転磁界を発生させるための電圧位相を永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角制御を行う。
【選択図】図2A

Description

本発明は、電動機を用いて車両を制動する車両用制動装置に関する。
例えばハイブリッド車両では、油圧系統を媒介して制動力を発生させる既存のブレーキシステムに加えて、電気系統を媒介して制動力を発生させる、バイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムが採用されている。かかるバイ・ワイヤ式のブレーキシステムでは、運転者による制動操作量を電気信号に変換して、マスタシリンダに連通する制動液圧発生部におけるスレーブシリンダのピストンを駆動するための電動機に与える。すると、マスタシリンダとスレーブシリンダ間の制動液の流通を閉鎖弁により遮断した状態で、電動機によるピストンの駆動によって倍力された制動液圧がスレーブシリンダに発生する。こうしてスレーブシリンダに発生した制動液圧が、ホイールシリンダ(ディスクキャリパ)を作動させて制動力を発生させる(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−221995号公報
しかしながら、特許文献1に係るバイ・ワイヤ式のブレーキシステムでは、例えば長い下り坂や停車中に、運転者が一定の制動操作を行っているにもかかわらず、制動液圧発生部が有する制動液圧発生用の電動機の出力トルクがふらつく、電動機に係るハンチング現象を生じるおそれがあった。このような電動機に係るハンチング現象が生じると、車室内で不快な雑音が生じて雰囲気の快適性が損なわれるという課題があった。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、運転者が一定の制動操作を行っている際であっても、電動機に係るハンチング現象に由来する雑音の発生を抑えて、車室内雰囲気の快適性を向上可能な車両用制動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、制動液圧発生用の電動機に係るハンチング現象を生じる要因について、調査・研究を行った。その調査・研究を通して、電動機に係るハンチング現象に由来する雑音の大きさは、制動液圧発生用の電動機が有するロータの回転位置を取得するための回転位置センサに係る分解能に依存する傾向があることがわかった。
そこで、本発明者らは、例えば、レゾルバと比べてロータ回転位置に係る分解能は劣るがコスト削減効果では優位なホール素子を回転位置センサとして用いた場合であっても、電動機に係るハンチング現象に由来する雑音を可及的に抑制すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、電動機の駆動制御を適切に行えば、電動機に係るハンチング現象に由来する雑音を抑制することができることを見出し、そのための要件を整理することによって、遂に本発明を完成させた。
(1)に係る発明は、車両の制動操作に応じて駆動される電動機を有し、該電動機の駆動によって制動液圧を発生させる制動液圧発生部と、前記電動機が有するロータに係る回転角を取得する回転角取得部と、前記回転角取得部により取得される前記ロータに係る回転角を、前記制動操作に基づく目標制動液圧を実現する目標回転角に追従させるように前記電動機に係る駆動制御を行う制御部と、を備え、前記電動機は、電気巻線に回転磁界を発生させるステータの内方に、磁石を有する前記ロータを回転自在に設けたブラシレスモータであり、前記制御部は、前記制動液圧の保持要求が生じた場合に、前記制動液圧の保持要求が生じていない場合と比べて、前記回転磁界を発生させるための通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角制御を行うことを最も主要な特徴とする。
(1)に係る発明によれば、制御部は、制動液圧の保持要求が生じた場合に、制動液圧の保持要求が生じていない場合と比べて、電気巻線に回転磁界を発生させるための通電角の位相を磁石の位相に対して遅らせる遅角制御を行うため、ロータの動作が安定な位相領域を拡大すると同時に、ロータの動作が不安定な位相領域を狭めることができる。その結果、電動機に係るハンチング現象を抑制することができるため、運転者が一定の制動操作を行っている際であっても、電動機に係るハンチング現象に由来する雑音の発生を抑えて、車室内雰囲気の快適性を向上することができる。
また、(2)に係る発明は、(1)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記車両の速度を取得する車速取得部をさらに備え、前記制御部は、前記車速取得部により取得される車速が予め定められる車速閾値未満の場合に、前記遅角制御を行うことを特徴とする。
車両が予め定められる車速閾値(例えば、20km/hなど)を超える車速で走行中のケースでは、車両の走行に伴うタイヤノイズなどの騒音によって、車速が車速閾値未満(停車を含む)の場合と比べて電動機に係るハンチング現象に由来する雑音が乗員に伝わりにくいため、遅角制御の要請が低い。また、車両が車速閾値を超える車速で走行中のケースにおいて、遅角制御を禁止すると、制動に係る性能や応答性の低下を抑制することができる。
そこで、(2)に係る発明では、制御部は、車速取得部により取得される車速が予め定められる車速閾値未満の場合に、前記遅角制御を行う構成を採用することとした。
(2)に係る発明によれば、遅角制御を行う場面を、車速が車速閾値未満の場合に限定したため、(1)に係る発明の作用効果に加えて、遅角制御の要請が低い車速が車速閾値を超える車両の走行シーンにおいて、制動に係る性能や応答性の低下を抑制する効果を期待することができる。
また、(3)に係る発明は、(1)又は(2)に係る発明に記載の車両用制動装置であって、前記電動機の温度を取得する温度取得部をさらに備え、前記制御部は、前記温度取得部により取得される前記電動機の温度が予め定められる温度閾値を超えた場合に、前記回転磁界を発生させるための通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角の量を低減させることを特徴とする。
一般に、回転磁界を発生させるための通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角制御を行うと、遅角制御を行っていない場合と比べて、電動機に係る発熱量が増大する傾向がある。
そこで、(3)に係る発明では、制御部は、温度取得部により取得される電動機の温度が予め定められる温度閾値(例えば、摂氏100度など)を超えた場合に、回転磁界を発生させるための通電角の位相を磁石の位相に対して遅らせる遅角の量を低減させる構成を採用することとした。
(3)に係る発明によれば、電動機の温度が温度閾値を超えた場合に、遅角の量を低減させるため、(1)又は(2)に係る発明の作用効果に加えて、電動機に係る発熱量の増大を抑制する効果を期待することができる。
本発明によれば、運転者が一定の制動操作を行っている際であっても、電動機に係るハンチング現象に由来する雑音の発生を抑えて、車室内雰囲気の快適性を向上することができる。
本発明の実施形態に係る車両用制動装置の概略構成図である。 車両用制動装置が発揮する制動力を制御するための制動制御装置周辺のブロック構成図である。 モータドライバの内部構成を表す説明図である。 車両用制動装置の動作説明に供するフローチャート図である。 遅角制御を行わない場合の、目標q軸電圧に対する実q軸電圧を対比して表す説明図である。 遅角制御を行わない場合に、電動機に係るハンチング現象が顕在化する作用機序を概念的に表す説明図である。 遅角制御を行った場合の、目標q軸電圧に対する実q軸電圧を対比して表す説明図である。 遅角制御を行った場合に、電動機に係るハンチング現象が抑制される作用機序を概念的に表す説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る車両用制動装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の概要〕
本発明の実施形態に係る車両用制動装置10は、油圧系統を媒介して制動力を発生させる既存のブレーキシステムに加えて、電気系統を媒介して制動力を発生させる、バイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムを備えている。
車両用制動装置10は、図1に示すように、一次液圧発生装置14と、モータシリンダ装置16となどを備えて構成されている。車両には、車両挙動安定化支援装置(ビークル・スタビリティ・アシスト装置;VSA装置:ただし、“VSA”は登録商標)18が搭載されている。一次液圧発生装置14、モータシリンダ装置16、VSA装置18は、図1に示すように、ブレーキ液を通流させる配管チューブ22a〜22fを介して相互に連通接続されている。
一次液圧発生装置14は、運転者がブレーキペダル12を介して入力操作した踏力をブレーキ液圧(一次液圧)に変換する。一次液圧発生装置14は、図1に示すように、マスタシリンダ34、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60b、一対のブレーキ液圧センサPm,Pp、並びに、ストロークシミュレータ64を備えて構成されている。
マスタシリンダ34は、ブレーキペダル12を介して入力操作される運転者の踏力を、ブレーキ液圧に変換する。第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bは、車両用制動装置10の正常作動時において、マスタシリンダ34と、四つの各車輪を制動するためのディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLを含む)との間の連通を遮断することで、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧を用いてディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
一対のブレーキ液圧センサPm,Ppは、マスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧を検出する機能を有する。ストロークシミュレータ64は、車両用制動装置10の異常作動時において、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断される一方、第3遮断弁62が開弁された状態で、マスタシリンダ34で生じたブレーキ液圧を吸収する役割を果たす。このとき、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ64に至るブレーキ液の流れが生じるため、ブレーキペダル12にストロークが生じるようになる。
モータシリンダ装置16は、マスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧に応じて、又は、マスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧とは無関係に、ブレーキ液圧(二次液圧)を発生させる機能を有する。モータシリンダ装置16は、図1に示すように、制動モータ72や、第1及び第2のスレーブピストン88a,88bなどを備えて構成されている。第1及び第2のスレーブピストン88a,88bは、制動モータ72の回転駆動力を受けてブレーキ液圧を発生させる役割を果たす。モータシリンダ装置16は、本発明の“制動液圧発生部”に相当する。
制動モータ72は、例えば、三相(u相、v相、w相)の電気巻線72A1に回転磁界を発生させるステータ72Aと、このステータ72Aの内方に回転自在に設けられ、永久磁石72B1を有するロータ72Bと、を備えるIPM(Interior Permanent Magnet)型のブラシレスモータである。制動モータ72は、本発明の“電動機”に相当する。
VSA装置18は、モータシリンダ装置16で発生したブレーキ液圧に基づいて車両の挙動の安定化を支援する機能を有する。VSA装置18は、マスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサPhや、ブレーキ液を加圧するための加圧ポンプ136や、加圧ポンプ136を駆動するためのポンプモータMなどを備えて構成されている。VSA装置18は、制動操作時における車輪のロックを防ぐALB(アンチロック・ブレーキ)機能、加速時等における車輪の空転を防ぐTCS(トラクション・コントロール・システム)機能、及び、旋回時の横すべり等を抑制する機能を有する。
なお、VSA装置18としては、ALB機能のみを有する構成を採用してもよい。
図1におけるその他の要素については、本発明とは直接的な関係がないので、その説明を省略する。
〔車両用制動装置10の基本動作〕
ここで、車両用制動装置10の基本動作について説明する。
車両用制動装置10では、モータシリンダ装置16やバイ・ワイヤの制御を行う後記の制動制御装置101(図2A参照)の正常作動時において、運転者がブレーキペダル12を踏むと、いわゆるバイ・ワイヤ式のブレーキシステムがアクティブになる。
具体的には、正常作動時の車両用制動装置10では、運転者がブレーキペダル12を踏むと、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断される一方、第3遮断弁62が開弁された状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧(二次液圧)を用いてディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
このとき、ブレーキ液は、マスタシリンダ34から第3遮断弁62を介してストロークシミュレータ64に流れ込む。このため、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが遮断されていても、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ64へのブレーキ液の流れが生じるため、ブレーキペダル12にストロークが生じる。
一方、車両用制動装置10では、モータシリンダ装置16や制動制御装置101が不作動である異常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むと、既存の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。具体的には、異常時の車両用制動装置10では、運転者がブレーキペダル12を踏むと、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bをそれぞれ開弁状態とし、かつ、第3遮断弁62を閉弁状態として、マスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)に伝達して、ディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させる。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10が有する制動制御装置101の周辺構成〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10が有する制動制御装置101の周辺構成について、図2A及び図2Bを参照して説明する。図2Aは、車両用制動装置10が発揮する制動力を制御するための制動制御装置周辺のブロック構成図である。図2Bは、モータドライバ110の内部構成を表す説明図である。
制動制御装置101には、図2Aに示すように、入力系統として、ホールセンサ群103、ブレーキペダルセンサ105、車速センサ107、モータ電流センサ109、ブレーキ液圧センサPm,Pp,Ph(図2A中では不図示)などが接続されている。
ホールセンサ群103は、図2Bに示すように、例えば、3つのホール素子103a,103b,103cから構成される。これらのホール素子103a,103b,103cは、ロータ72Bの回転方向に沿って120度の間隔を置いてそれぞれ設けられている。ホールセンサ群103は、3つのホール素子103a,103b,103cによってそれぞれ120度の位相差をもつロータ回転信号(回転方向及び回転速度の情報を含む)を検出し、検出したロータ回転信号を出力する機能を有する。ホールセンサ群103で検出されたロータ回転信号は、制動制御装置101へと送られる。
ブレーキペダルセンサ105は、運転者によるブレーキペダル12の操作量(ストローク量)を検出する機能を有する。ブレーキペダルセンサ105で検出されたブレーキペダルストローク量に係る信号は、制動制御装置101へと送られる。
車速センサ107は、車両の速度(車速)を検出する機能を有する。車速センサ107で検出された車速信号は、制動制御装置101の判定部112へと送られる。
モータ電流センサ109は、制動モータ72に流れる電流の値を検出する機能を有する。モータ電流センサ109で検出された制動モータ72に係る電流検出信号は、制動制御装置101の判定部112へと送られる。
ブレーキ液圧センサPm,Pp,Phは、配管チューブ22a〜22fを含む各部の液圧を検出する機能を有する。ブレーキ液圧センサPm,Pp,Phでそれぞれ検出されたブレーキ液圧に係る信号は、制動制御装置101へと送られる。
一方、制動制御装置101には、図2Aに示すように、出力系統として、モータドライバ110が接続されている。
モータドライバ110は、図2Bに示すように、三相インバータ回路110Aと、インバータ駆動回路110Bとにより構成される。
三相インバータ回路110Aは、例えば蓄電池からなる直流電源BTから供給される直流電力を、パルス幅変調波信号(PWM信号)に基づいてu相・v相・w相の擬似正弦波である三相交流電力に変換し、変換後の擬似正弦波である三相交流電力を制動モータ72へ供給することで、制動モータ72の駆動制御を行う機能を有する。
詳しく述べると、三相インバータ回路110Aは、図2Bに示すように、第1〜第6のスイッチング素子Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnを有する。第1〜第6のスイッチング素子Sup〜Swnスイッチング素子としては、IGBT(Insulated-gate bipolar transistor)、電力用MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、電力用バイポーラトランジスタなどの半導体素子を用いることができる。
第1および第2のスイッチング素子Sup,Sunは、第1の接続点Nd1を介して直列接続されている。第1および第2のスイッチング素子Sup,Sunのそれぞれには、還流ダイオードDupおよび寄生ダイオードDunが逆並列接続されている。第1の接続点Nd1は、制動モータ72のu相動力線に接続されている。
第3および第4のスイッチング素子Svp,Svnは、第2の接続点Nd2を介して直列接続されている。第3および第4のスイッチング素子Svp,Svnのそれぞれには、還流ダイオードDvpおよび寄生ダイオードDvnが逆並列接続されている。第2の接続点Nd2は、制動モータ72のv相動力線に接続されている。
第5および第6のスイッチング素子Swp,Swnは、第3の接続点Nd3を介して直列接続されている。第5および第6のスイッチング素子Swp,Swnのそれぞれには、還流ダイオードDwpおよび寄生ダイオードDwnが逆並列接続されている。第3の接続点Nd3は、制動モータ72のw相動力線に接続されている。
第1および第2のスイッチング素子Sup,Sunの直列接続回路、第3および第4のスイッチング素子Svp,Svnの直列接続回路、および、第5および第6のスイッチング素子Swp,Swnの直列接続回路のそれぞれは、正の直流母線PLおよび負の直流母線NLの間に、相互に並列に接続されている。
インバータ駆動回路110Bは、制動制御装置101において生成されるスイッチング制御信号(電圧指令Vu*,Vv*,Vw*;図2A参照)に従って、第1〜第6のスイッチング素子Sup〜Swnのスイッチング制御(PWM制御)を行うことにより、三相インバータ回路110Aを駆動させる機能を有して構成されている。
これにより、制動モータ72のステータ72Aが有する3相(u相、v相、w相)の電気巻線72A1には、スイッチング制御信号に従ったモータ電流が順次流れる。その結果、制動モータ72は、スイッチング制御信号に従うトルクをもって駆動される。
制動制御装置101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータによって構成される。このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行する。
これにより、制動制御装置101は、ブレーキペダルストローク量に係る信号に基づいて、運転者の要求に応じた目標制動液圧を演算し、この演算による目標制動液圧及びロータ回転信号に基づいて、目標制動液圧を実現するための目標デューティを演算し、この演算による目標デューティ、及び制動液圧の保持要求が生じているか否か、などを考慮して設定された遅角量に基づいて、モータドライバ110に供給するためのスイッチング制御信号を生成するように動作する。
詳しく述べると、制動制御装置101は、目標制動液圧演算部111、判定部112、目標デューティ演算部113、遅角量設定部115、VdVq変換部117、及び、2軸三相変換部119を備えて構成されている。
目標制動液圧演算部111は、ブレーキペダルストローク量に係る信号に基づいて、運転者の制動に係る要求に応じた目標制動液圧を演算する機能を有する。目標制動液圧演算部111の演算結果(目標制動液圧)は、目標デューティ演算部113及び遅角量設定部115にそれぞれ送られる。
判定部112は、制動液圧が生じているか否かを判定する制動液圧判定機能、制動液圧の保持要求が生じているか否かを判定する制動液圧保持要求判定機能、車速が予め定められる車速閾値(例えば、20km/hなど)未満か否かを判定する車速判定機能、制動モータ72の温度が予め定められる温度閾値(例えば、摂氏100度など)を超えたか否かを判定する昇温判定機能を有する。判定部112の判定結果は、遅角量設定部115に送られる。
判定部112は、時々刻々と変動するブレーキペダルストローク量に係る時系列信号の推移を監視し、ブレーキペダルストローク量が、原点(制動要求なし)に対して予め定められる所定幅を超えた場合に、制動要求が生じている旨の判定を下すことにより、制動要求判定機能を実現する。
また、判定部112は、時々刻々と変動するブレーキペダルストローク量に係る時系列信号の推移を監視し、予め定められる所定時間内におけるブレーキペダルストローク量の変動幅が予め定められる所定範囲に収束している場合に、制動液圧の保持要求が生じている旨の判定を下すことにより、制動液圧保持要求判定機能を実現する。
また、判定部112は、時々刻々と変動する車速の推移を監視し、車速が車速閾値未満になったか否かを判定することにより、車速判定機能を実現する。
また、判定部112は、時々刻々と変動する制動モータ72に係るモータ電流の推移を監視し、制動モータ72に係るモータ電流が予め定められる電流閾値(例えば、実験等により、制動モータ72の性能に支障を生じはじめる温度を適宜設定する。)を超えた場合に、制動モータ72の温度が予め定められる温度閾値を超えた旨の判定を下すことにより、昇温判定機能を実現する。ここで、制動モータ72に係るモータ電流値を二乗した値は、制動モータ72の温度によく近似することがわかっている。この特性を用いて、制動モータ72に係るモータ電流の値に基づいて、制動モータ72の温度を推定することができる。
目標デューティ演算部113は、目標制動液圧演算部111の演算による目標制動液圧、及び、ホールセンサ群103により検出されたロータ回転信号に基づいて、目標デューティを演算する機能を有する。目標デューティ演算部113の演算結果(目標デューティ)は、VdVq変換部117に送られる。目標デューティは、目標制動液圧を実現するためのベクトル量である。
遅角量設定部115は、目標制動液圧演算部111での演算による目標制動液圧、判定部112による判定結果、及び、制動モータ72に係るモータ回転速度に基づいて、制動液圧の保持要求が生じているか否かなどを考慮することで、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相を、ロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角量を設定する機能を有する。遅角量設定部115による設定内容(遅角量)は、VdVq変換部117に送られる。
詳しく述べると、遅角量設定部115は、制動要求が生じており、かつ、制動液圧の保持要求が生じている場合に、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相を、ロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して遅らせるように、電圧位相の遅角量を設定する。ここで、電圧位相の遅角量は、基本的に、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が静的に安定な位相領域を拡大すると同時に、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が静的に不安定な位相領域を狭めることを考慮して設定される。これについて、詳しくは後記する。
VdVq変換部117は、目標デューティ演算部113の演算により求められたベクトル量である目標デューティ、及び、遅角量設定部115により設定された通電角位相の遅角量に基づいて、d軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を生成する機能を有する。VdVq変換部117により生成されたd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*は、2軸三相変換部119に送られる。
2軸三相変換部119は、VdVq変換部117で生成されたd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を、制動モータ72のステータ72Aが有する三相(u相、v相、w相)の電気巻線72A1に供給するための電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換する機能を有する。2軸三相変換部119により変換された電圧指令Vu*,Vv*,Vw*は、モータドライバ110に送られる。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の概略動作〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の概略動作について、図3を参照して説明する。図3は、車両用制動装置10の動作説明に供するフローチャート図である。
図3に示すステップS11において、制動制御装置101の判定部112は、制動要求が生じているか否かを判定する。ステップS11の判定の結果、制動要求が生じていない旨の判定が下された場合(ステップS11のNo)、制動制御装置101は、制動要求が生じるまで、ステップS11の処理を繰り返す。一方、ステップS11の判定の結果、制動要求が生じている旨の判定が下された場合(ステップS11のYes)、制動制御装置101は、処理の流れを次のステップS12へと進ませる。
ステップS12において、制動制御装置101の判定部112は、制動液圧の保持要求が生じているか否かを判定する。ステップS12の判定の結果、制動液圧の保持要求が生じていない旨の判定が下された場合(ステップS12のNo)、制動制御装置101は、処理の流れを次のステップS13へと進ませる。一方、ステップS12の判定の結果、制動液圧の保持要求が生じている旨の判定が下された場合(ステップS12のYes)、制動制御装置101は、処理の流れをステップS14へとジャンプさせる。
ステップS13において、制動制御装置101は、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、標準の電気角を用いて、モータドライバ110に通電制御を行わせる。ここで、標準の電気角を用いるとは、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、ロータ72Bが有する永久磁石72B1の位相に対して一致させるか、又は進ませることにより、制動制御装置101がモータドライバ110に通電制御を行わせることをいう。
ステップS14において、制動制御装置101は、ステータ72Aに回転磁界を発生させるための通電角の位相として、遅角量設定部115で設定された電圧位相の遅角量を用いて、モータドライバ110に通電制御(遅角制御)を行わせる。
〔遅角制御の作用効果〕
次に、遅角制御による作用効果について、遅角制御を行わない場合と遅角制御を行った場合とを対比して、図4A,図4B,図5A,図5Bを参照して説明する。
図4Aは、遅角制御を行わない場合の、目標q軸電圧に対する実q軸電圧を対比して表している。図4Aの横軸は電気角である。遅角制御を行わない場合では、目標q軸電圧に対する実q軸電圧の特性線図は、図4Aに示すように、基本的に、正弦波特性を呈している。
図4Bは、実q軸電圧の特性線図を、一周期分だけ拡大して示してある。図4Bにおいて、紙面の右手方向は制動液圧の減圧方向を、紙面の左手方向は制動液圧の昇圧方向を、それぞれ示す。実q軸電圧の特性線図では、図4Bに示すように、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が静的に安定な静的安定領域(図4BのEA1−EA2の領域を参照)と、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が静的に不安定な静的不安定領域(図4BのEA1−EA3の領域を参照)が存在する。
静的安定領域に属する例えば点4Xでは、制動モータ72に係るロータ72Bが昇圧方向に動くとトルクが減る一方、制動モータ72に係るロータ72Bが減圧方向に動くとトルクが増える。そのため、静的安定領域に属する点4Xでは、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が安定する。
これに対し、静的不安定領域に属する例えば点4Yでは、制動モータ72に係るロータ72Bが昇圧方向に動くとトルクが増える一方、制動モータ72に係るロータ72Bが減圧方向に動くとトルクが減る。そのため、静的不安定領域に属する点4Yでは、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が不安定になる。
遅角制御を行わない場合、図4Bに示すように、静的安定領域と、静的不安定領域とは、ほぼ均等の大きさを占めている。その結果、静的不安定領域に属する電気角を用いた通電制御を行う頻度が50%と比較的高いため、例えば長い下り坂や停車中に、運転者が一定の制動操作を行っているにもかかわらず、制動モータ72に係るハンチング現象を生じるおそれがあった。
図5Aは、遅角制御を行った場合の、目標q軸電圧に対する実q軸電圧を対比して表している。図5Aの横軸は電気角である。遅角制御を行った場合では、目標q軸電圧に対する実q軸電圧の特性線図は、図5Aに示すように、基本的に、鋸波特性を呈している。
図5Bは、実q軸電圧の特性線図を、一周期分だけ拡大して示してある。図5Bにおいて、紙面の右手方向は制動液圧の減圧方向を、紙面の左手方向は制動液圧の昇圧方向を、それぞれ示す。実q軸電圧の特性線図では、図5Bに示すように、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が静的に安定な静的安定領域(図5BのEA11−EA12の領域を参照)と、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が静的に不安定な静的不安定領域(図5BのEA11−EA13の領域を参照)が存在する。
静的安定領域に属する例えば点5Xでは、制動モータ72に係るロータ72Bが昇圧方向に動くとトルクが減る一方、制動モータ72に係るロータ72Bが減圧方向に動くとトルクが増える。そのため、静的安定領域に属する点5Xでは、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が安定する。
これに対し、静的不安定領域に属する例えば点5Yでは、制動モータ72に係るロータ72Bが昇圧方向に動くとトルクが増える一方、制動モータ72に係るロータ72Bが減圧方向に動くとトルクが減る。そのため、静的不安定領域に属する点5Yでは、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が不安定になる。
ここで注目すべきは、遅角制御を行った場合、図5Bに示すように、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が安定な静的安定領域が拡大されると共に、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が不安定な静的不安定領域が狭小になっている点である。その結果、静的不安定領域に属する電気角を用いた通電制御を行う頻度がじゅうぶんに低くなって、制動モータ72に係るハンチング現象を抑制することができるため、運転者が一定の制動操作を行っている際であっても、制動モータ72に係るハンチング現象に由来する雑音の発生を抑えて、車室内雰囲気の快適性を向上することができる。
〔本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る車両用制動装置10の作用効果について説明する。
第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用制動装置10に係る発明では、車両の制動操作に応じて駆動される制動モータ(電動機)72を有し、制動モータ72の駆動によって制動液圧を発生させるモータシリンダ装置(制動液圧発生部)16と、制動モータ72が有するロータ72Bに係る回転角を取得するホールセンサ群(回転角取得部)103と、ホールセンサ群103により取得されるロータ72Bに係る回転角を、制動操作に基づく目標制動液圧を実現する目標回転角に追従させるように制動モータ72に係る駆動制御を行う制動制御装置(制御部)101と、を備える。
制動モータ72は、電気巻線72A1に回転磁界を発生させるステータ72Aの内方に、永久磁石72B1を有するロータ72Bを回転自在に設けたブラシレスモータであり、制動制御装置101は、制動液圧の保持要求が生じた場合に、制動液圧の保持要求が生じていない場合と比べて、回転磁界を発生させるための電圧位相(通電角の位相)を永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角制御を行う。
第1の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明によれば、制動制御装置101は、制動液圧の保持要求が生じた場合に、制動液圧の保持要求が生じていない場合と比べて、電気巻線72A1に回転磁界を発生させるための電圧位相(通電角の位相)を永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角制御を行うため、ロータ72Bの動作が安定な位相領域を拡大すると同時に、ロータ72Bの動作が不安定な位相領域を狭めることができる。その結果、制動モータ72に係るハンチング現象を抑制することができるため、運転者が一定の制動操作を行っている際であっても、制動モータ72に係るハンチング現象に由来する雑音の発生を抑えて、車室内雰囲気の快適性を向上することができる。
また、第2の観点(請求項2に対応)に基づく車両用制動装置10に係る発明では、車両の速度を取得する車速センサ(車速取得部)107をさらに備え、制動制御装置101は、車速センサ107により取得される車速が予め定められる車速閾値未満の場合に、遅角制御を行う構成を採用してもよい。
車両が予め定められる車速閾値(例えば、20km/hなど)を超える車速で走行中のケースでは、車両の走行に伴うタイヤノイズなどの騒音によって、車速が車速閾値未満(停車を含む)の場合と比べて制動モータ72に係るハンチング現象に由来する雑音が乗員に伝わりにくいため、遅角制御の要請が低い。また、車両が車速閾値を超える車速で走行中のケースにおいて、遅角制御を禁止すると、制動に係る性能や応答性の低下を抑制することができる。
そこで、第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明では、制動制御装置101は、車速センサ107により取得される車速が予め定められる車速閾値未満の場合に、遅角制御を行う構成を採用することとした。
第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明によれば、遅角制御を行う場面を、車速が車速閾値未満の場合に限定したため、第1の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明の作用効果に加えて、遅角制御の要請が低い車速が車速閾値を超える車両の走行シーンにおいて、制動に係る性能や応答性の低下を抑制する効果を期待することができる。
また、第3の観点(請求項3に対応)に基づく車両用制動装置10に係る発明では、制動モータ72の温度を取得するモータ電流センサ(温度取得部)109をさらに備え、制動制御装置101は、モータ電流センサ109により取得される制動モータ72の温度が予め定められる温度閾値を超えた場合に、回転磁界を発生させるための電圧位相(通電角の位相)を永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角の量を低減させる。
一般に、回転磁界を発生させるための電圧位相を永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角制御を行うと、遅角制御を行っていない場合と比べて、制動モータ72に係る発熱量が増大する傾向がある。
そこで、第3の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明では、制動制御装置101は、モータ電流センサ109により取得される制動モータ72の温度が予め定められる温度閾値(例えば、摂氏100度など)を超えた場合に、回転磁界を発生させるための電圧位相(通電角の位相)を永久磁石72B1の位相に対して遅らせる遅角の量を低減させる構成を採用することとした。
第3の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明によれば、制動モータ72の温度が温度閾値を超えた場合に、遅角の量を低減させるため、第1又は第2の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明の作用効果に加えて、制動モータ72に係る発熱量の増大を抑制する効果を期待することができる。
〔その他の実施形態〕
以上説明した実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本発明の実施形態中、制動モータ72の温度を取得する温度取得部として、モータ電流センサ109を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。制動モータ72の温度を取得する温度取得部として、モータ電流センサ109に代えて、制動モータ72の温度を検出するサーミスタなどの温度センサを採用してもよい。
また、本発明の実施形態中、制動モータ72の遅角制御を行うに際し、遅角量設定部115により設定された電圧位相の遅角量をVdVq変換部117に与える例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。遅角量設定部115により設定された電圧位相の遅角量を2軸三相変換部119に与えることにより、制動モータ72の遅角制御を行う構成を採用してもよい。
また、本発明の実施形態中、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が静的に安定な位相領域を拡大すると同時に、制動モータ72に係るロータ72Bの動作が静的に不安定な位相領域を狭めることを考慮して、電圧位相の遅角量を設定する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。さらに、第3の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明のように、制動モータ72の温度が温度閾値を超えないことを考慮して、電圧位相の遅角量を設定するのが好ましい。
本来、制動モータ72におけるメカ的な進角量又は遅角量(公差に基づく)を考慮して、各制動モータ72毎に相応しい電圧位相の遅角量を設定するのが理想的である。しかし、制動モータ72の量産組み立て工程において、そのような適用を行うことは事実上難しい。
そこで、第3の観点に基づく車両用制動装置10に係る発明のように、制動モータ72の温度が温度閾値を超えないことを考慮して、電圧位相の遅角量を可変設定するのが好ましい。
このように構成すれば、制動モータ72の量産組み立て工程において、メカ的に遅角量が設定(公差に基づく)された制動モータ72であっても、同制動モータ72が電圧位相に係る遅角量の過剰設定に基づいて過熱状態に陥る事態を未然に回避することができる。
最後に、本発明の実施形態中、制動モータ72として、IPM型のブラシレスモータを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。制動モータ72として、IPM型のブラシレスモータに代えて、SPM(SurfacePermanent Magnet)型のブラシレスモータを採用してもよい。
10 車両用制動装置
16 モータシリンダ装置(制動液圧発生部)
72 制動モータ(電動機)
103 ホールセンサ群(回転角取得部)
107 車速センサ(車速取得部)
109 モータ電流センサ(温度取得部)
101 制動制御装置(制御部)

Claims (3)

  1. 車両の制動操作に応じて駆動される電動機を有し、該電動機の駆動によって制動液圧を発生させる制動液圧発生部と、
    前記電動機が有するロータに係る回転角を取得する回転角取得部と、
    前記回転角取得部により取得される前記ロータに係る回転角を、前記制動操作に基づく目標制動液圧を実現する目標回転角に追従させるように前記電動機に係る駆動制御を行う制御部と、を備え、
    前記電動機は、電気巻線に回転磁界を発生させるステータの内方に、磁石を有する前記ロータを回転自在に設けたブラシレスモータであり、
    前記制御部は、前記制動液圧の保持要求が生じた場合に、前記制動液圧の保持要求が生じていない場合と比べて、前記回転磁界を発生させるための通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角制御を行う
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  2. 請求項1に記載の車両用制動装置であって、
    前記車両の速度を取得する車速取得部をさらに備え、
    前記制御部は、前記車速取得部により取得される車速が予め定められる車速閾値未満の場合に、前記遅角制御を行う
    ことを特徴とする車両用制動装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用制動装置であって、
    前記電動機の温度を取得する温度取得部をさらに備え、
    前記制御部は、前記温度取得部により取得される前記電動機の温度が予め定められる温度閾値を超えた場合に、前記回転磁界を発生させるための通電角の位相を前記磁石の位相に対して遅らせる遅角の量を低減させる
    ことを特徴とする車両用制動装置。
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