JP2016118783A - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】感光体への負荷が大きいハイエンド機種においても、耐オゾン性に優れ、繰返し使用後でも残留電位を維持し、且つ極めて良好な耐摩耗性を有する電子写真感光体、前記電子写真感光体を用いたカートリッジ、及び画像形成装置を提供する。【解決手段】導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、前記感光層が電荷輸送物質、結着樹脂、及び一般式(1)で表される分子量350以下の化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。【選択図】なし

Description

電子写真技術は、即時的に高品質の画像が得られることから、複写機、プリンター、印刷機として広く使用されている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜「感光体」という)については、無公害で成膜、製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電物質を使用した感光体が主流である。
電子写真方式を採用した画像形成装置は、年々高画質化、高速化、高耐久化が求められている。帯電、露光、現像、転写等の感光体周りのプロセスも、前記要求に応えるべく個々のプロセスの改良検討がなされているが、個々の改良がなされても全体として求められる性能を満足できない、あるいはコスト的な理由で採用されない場合も多い。その場合は、感光体における改良が必要となる。
例として、ケミカルトナーのような球形に近いトナーを使用する場合、クリーニングが難しいためクリーニングブレードの感光体に対する当接圧を高めることがよく行われる。その場合、感光体の摩耗度合いが大きくなったり、トナー成分の感光体表面への付着(フィルミング)、傷やクリーニングブレードのビビリ(異音)等の問題が発生し易くなり、現像系、クリーニング系での改良ではなく、感光体の組成を改良することで解決することが求められることがある。一方で、感光体組成で前記問題点を解決できれば、現像系及びクリーニング系は従来の技術が転用できるため、コスト的にも有利となる。
感光体の組成改良にも、様々な制約がある。例えば、高速化の要求に応えるために、感光体の電気的応答性を高めようとする場合には、通常は感光層中の電荷輸送物質の結着樹脂に対する比率を高める(特許文献1参照)が、これによって感光層は摩耗し易くなり、高耐久性の要求に応えられなくなる。このように、感光体の組成設計においては、相反する性能があり、いかにそれを両立させて要求性能を満たすかが開発の鍵となっている。
そのような中で、高耐久性の要求を満たすために、感光層にポリアリレート樹脂を用い、かつ分子量の小さい化合物を添加して電気特性に悪影響を与えずに感光体の表面物性を改良する技術が開示されている(特許文献2参照)。
特開昭61−270765号公報 特開2011−170041号公報
しかしながら、特に高寿命・高速ハイエンド機種においては、感光体にかかる負荷は大きくなり、それに伴って耐摩耗性や摩耗後の電気特性における感光体への依存も大きくなるため、更に高いレベルの電気特性と耐摩耗性を有する感光体が求められる。即ち、本発明の目的は耐オゾン性に優れ、繰返し使用後でも残留電位を維持でき、且つ極めて良好な耐摩耗性を有する電子写真感光体、前記電子写真感光体を用いたカートリッジ、及び画像形成装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、電荷輸送物質、結着樹脂、及び特定構造を有する化合物を含む感光層を有する感光体とすることにより、耐オゾン性に優れ、繰返し使用後でも残留電位を維持でき、且つ極めて良好な耐摩耗性を改良することを見出し、以下の本
発明の完成に至った。本発明の要旨は下記の<1>〜<8>に存する。
<1>導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、前記感光層が電荷輸送物質、結着樹脂、及び一般式(1)で表される分子量350以下の化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
Figure 2016118783
(式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、及び置換基を有していてもよいアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表し、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表し、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表し、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基、又は単結合を表す。nは、0以上3以下の整数を表す。但し、Ar及びArのうち少なくとも一つは置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、及び置換基を有していてもよいアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの基である。また、Ar及びArは炭素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を介して、又は直接結合して環を形成してもよい。)
<2>前記一般式(1)で表される化合物中のAr及びArが、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、Xが単結合であることを特徴とする<1>に記載の電子写真感光体。
<3>前記電荷輸送物質がトリアリールアミン誘導体又はエナミン誘導体であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4>前記一般式(1)で表される化合物を結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、30質量部以下含有することを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<5>前記一般式(1)で表される化合物を結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上、15質量部以下含有することを特徴とする<4>に記載の電子写真感光体。
<6>前記電荷輸送物質の分子量が450以上であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<7><1>〜<6>のいずれか1つに記載の電子写真感光体、並びに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする、電子写真感光体カートリッジ。
<8><1>〜<6>のいずれか1つに記載の電子写真感光体、並びに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置を備えた
ことを特徴とするフルカラー画像形成装置。
本発明は、耐オゾン性に優れ、繰返し使用後でも残留電位を維持し、且つ極めて良好な耐摩耗性を有するハイエンド機種に適用できる電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及びフルカラー画像形成装置の提供を可能とする。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのCuKα特性X線によるX線回折スペクトルを示す図である。 実施例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのCuKα特性X線によるX線回折スペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
≪電子写真感光体≫
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、電荷輸送物質、結着樹脂、及び前記一般式(1)で表される分子量350以下の化合物を含有する感光層を有していれば、その構成は特に限定されない。電子写真感光体の感光層が後に説明する積層型の場合には、電荷輸送層に、電荷輸送物質、結着樹脂、分子量350以下の化合物、及びその他に必要に応じて酸化防止剤、レベリング剤、その他添加物を含むものである。また、電子写真感光体の感光層が、単層型の場合には、前述の積層型感光体の電荷輸送層に用いられる成分に加えて電荷発生物質、電子輸送物質を用いるのが一般的である。
<ユニバーサル硬度、及び弾性変形率>
感光層のユニバーサル硬度は、耐摩耗性の観点から、145 N/mm以上、好まし
くは150 N/mm以上、より好ましくは160 N/mm以上である。また、使用時の削れを低減する観点から、通常250N/mm以下、好ましくは220mm以下である。感光層の弾性変形率は、フィルミングの観点から、通常40%以上、好ましくは43%以上である。クリーニングの観点から、通常60%以下、好ましくは55%以下である。
前記ユニバーサル硬度、及び弾性変形率は、微小硬度計(Fischer社製 : FISCHERSCOPE
H100C)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で測定した値である。測定には対面角136°のビッカース四角錘ダイヤモンド圧子を用いる。測定条件は以下の通りに設定して行い、圧子にかかる荷重とその荷重下における押し込み深さを連続的に読み取り、プロファイルを取得する。
[測定条件]
最大押し込み荷重 5mN
負荷所要時間 10s
除荷所要時間 10s
ユニバーサル硬度は、押し込み荷重5mNまで押し込んだときの値であり、その押し込み深さから以下の式により定義される値である。
ユニバーサル硬度(N/mm)= 試験荷重(N)/ 試験荷重下でのビッカース圧子の表面積(mm
本発明における弾性変形率は、下記式により定義される値であり、押し込みに要した全仕事量に対して、除荷の際に膜が弾性によって行う仕事の割合である。
弾性変形率(%) = (We/Wt) × 100
弾性変形率が大きいほど、負荷に対する変形が残留しにくく、100の時には変形が残らないことを意味する。
<導電性支持体>
導電性支持体については特に制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いてもよい。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが好ましい。
導電性支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものでもよい。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子を結着樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き
層に用いられる結着樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の結着樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられる結着樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、結着樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合してもよい。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いてもよい。
<電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生物質を含有すると共に、通常は結着樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生物質及び結着樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得られる。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、中でも特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種の結着樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類等が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、金属フタロシアニンが好ましく、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、又は26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましく、ガリウム系フタロシアニンの、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、又は26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
電荷発生物質として、無金属フタロシアニン化合物、又は金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば、780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られる。また、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光(例えば、380nm〜500nmの範囲の波長を有するレーザー光)に対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態における混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
一方、電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、光入力用光源に対して感度を有するものであれば従前公知の各種のアゾ顔料を使用することが可能であるが、各種のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として、上記例示の有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂は特に制限されないが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いてもよい。
電荷発生層は、具体的に、上述の結着樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
電荷発生層において、結着樹脂と電荷発生物質との配合比(質量比)は、結着樹脂100質量部に対して電荷発生物質が、感度の観点から、通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、塗布液安定性の観点から、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲である。電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、電荷輸送物質、結着樹脂、式(1)で表される分子量350以下の化合物と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、前記3成分と、その他の成分を溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥して得られる。
[分子量350以下の化合物]
本発明の感光層に含有される化合物は下記式(1)で表される分子量350以下の化合物であればいかなるものであってもよい。
Figure 2016118783
(式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、及び置換基を有していてもよいアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表し、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表し、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表し、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基、又は単結合を表す。nは、0以上3以下の整数を表す。但し、Ar及びArのうち少なくとも一つは置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、及び置換基を有していてもよいアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの基である。また、Ar及びArは炭素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を介して
、又は直接結合して環を形成してもよい。)
上記式(1)において、Ar、Arは水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、及び置換基を有していてもよいアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、Ar、Arのうち少なくとも一つは置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、及び置換基を有していてもよいアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの基である。これらの中でも、感光層の膜物性の面から、Ar及びArのうち少なくとも一つは置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、より好ましくは、Ar及びArの両方が置換基を有していてもよいフェニル基、又はArが置換基を有していてもよいフェニル基、且つArが置換基を有していてもよいナフチル基であり、更に好ましくはAr及びArの両方が置換基を有していてもよいフェニル基である。なお、Ar及びArのそれぞれが直接結合するか、または炭素原子、酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子などから構成される連結基を介して環状構造を形成してもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表し、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基又はアントラセン等が挙げられ、耐摩耗性、繰返し残留電位の維持の観点からフェニル基、ナフチル基が好ましく、特に好ましくはフェニル基である。
前記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表し、それらの中でも水素原子、アルキル基であることを好ましく、より好ましくはR〜Rのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましく、更により好ましくはR〜Rのうち少なくとも二つが水素原子である。Xは置換基を有していてもよいフェニレン基、または単結合を表す。感光層の膜物性の観点から単結合であることがより好ましい。nは、0以上3以下の整数を表し、溶解性および化合物の安定性から0以上2以下の整数が好ましく、0または1がより好ましい。
Ar〜Arが有していてもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子等が挙げられる。具体的には、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基及びエチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基及びエチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。これら置換基の中でも原料の汎用性の観点から炭素数3以下のアルキル基、アルコキシ基、塩素原子またはフッ素原子が好ましく、メチル基またはフッ素原子がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
前記式(1)で表される化合物は通常分子量350以下である。耐摩耗性の及び電気特性の観点から、好ましくは340以下、より好ましくは330以下、更により好ましくは320以下である。また、耐摩耗性の観点から、通常分子量200以上、好ましくは210以上、より好ましくは220以上、更により好ましくは230以上である。
以下に本発明に好適な前記式(1)で表される化合物の構造を例示する。以下の構造は本発明をより具体的にするために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
Figure 2016118783
感光層における、前記式(1)で表される化合物の含有量は、耐摩耗性、耐オゾンの観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。残留電位の観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
[電荷輸送物質]
電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子輸送物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン
誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の正孔輸送物質等が挙げられる。これらの中でも、電気特性の観点から、トリアリールアミン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
電荷輸送物質の分子量は、電気特性及び耐摩耗性の観点から、好ましくは450以上、より好ましくは600以上である。溶解性の観点から、通常1200以下、好ましくは1000以下である。
前記電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。
Figure 2016118783
Figure 2016118783
Figure 2016118783
結着樹脂と電荷輸送物質との割合としては、通常結着樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、通常電荷輸送物質を100質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送物質と結着樹脂との相溶性の観点から70質量部以下が好ましく、耐摩耗性の観点から60質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から50質量部以下が特に好ましい。
[電荷輸送物質]
電荷輸送物質などを結着樹脂により結着することにより形成される。結着樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、および
その共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルポリカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂の中でも感光体としての光減衰特性、機械強度の面から、ポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。繰返し使用後の残留電位の維持の観点からポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記結着樹脂に好適な繰り返し構造単位の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の結着樹脂を混合して用いてもよい。
Figure 2016118783
結着樹脂の粘度平均分子量は、機械的強度の観点から、通常20,000以上、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、更に好ましくは50,000以上、また、感光層形成のための塗布液作成の観点から、通常150,000以下、好ましくは120,000以下、より好ましくは100,000以下である。
[その他の添加物]
感光層又を構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させてもよい。また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、電荷輸送層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等からなる粒子や、無機化合物の粒子を含有させてもよい。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行ってもよい。
≪画像形成装置≫
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。一般的な帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等の非接触のコロナ帯電装置、あるいは電圧印加された帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる接触型帯電装置(直接型帯電装置)が挙げられる。本発明で使用される接触帯電装置の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等が挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラー)を示している。通常帯電ローラーは樹脂、及び可塑剤等の添加剤を金属シャフトと一体成型して製造され、必要に応じて積層構造を取ることも有る。なお、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行って電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行うようにしてもよい。露光を行
う際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行えばよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行われる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行うことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行うことで電子写真感光体の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工
程等の工程を行うことができる構成としたり、オフセット印刷を行う構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真 感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。
以下、実施例を示して本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下に示した実施例に限定されるものではなく任意に変形して実施することができる。また、以下の実施例、及び比較例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「質量部」を示す。
<化合物の作成>
[製造例1:例示化合物AD−1]
例示化合物AD−5を下記スキーム1に従って製造した。
Figure 2016118783
アルデヒド化合物A(60g)及びリン酸エステル化合物B(138g)をTHF500ml中に仕込み5℃に冷却させた。別途THF200mlにt−ブトキシカリウム(56g)を溶解させ、前記冷却した溶液に滴下し、滴下終了後、室温にて1時間反応させた。反応終了後、反応液を水に放出し、トルエンで抽出後、有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより目的物質である添加剤AD−1を85g得た(収率66%)。
[製造例2〜3:例示化合物AD−2〜AD−3]
製造例1と同様の処方により下記に示すAD−2、AD−3を製造した。
Figure 2016118783
<電子写真感光体シートの作成>
[実施例1]
下引き層用分散液の調製は以下の手法で行なった。即ち、平均一次粒子径40 nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機[(株)カワタ社製「SMG300」]に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(F)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(G)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(H)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(I)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(J)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液とした。
Figure 2016118783
電荷発生層用塗布液の調製は、以下の手法で行った。CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10部を1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理により顔料分散液を作製した。こうして得られた顔料分散液160質量部と、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5%1,2−ジメトキシエタン溶液100質量部と、適量の1,2−ジメトキシエタンとを混合して、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
電荷輸送層用塗布液の調製は、以下の手法で行った。日本国特開2014−81621号公報の製造例1に記載の方法で製造した電荷輸送物質(HTM34)を40質量部、ポリエステル樹脂(PE−1:粘度平均分子量36,500)を100質量部、製造例1で合成した化合物AD−1を10質量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)4質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 2016118783
表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、前記下引き層用分散液
をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させ下引き層を形成した。続いて電荷発生層用塗布液を、前記下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイアバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。次に、電荷輸送用塗布液を前記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が18μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。
[実施例2〜3]
化合物AD−1をそれぞれ製造例2〜3で示した化合物AD−2〜AD−3に変更した以外は、実施例1と同様に感光体シートを作製した。
[実施例4]
化合物AD−1を下記に示すAD−4(東京化成工業製)に変更した以外は、実施例1と同様に感光体シートを作製した。
Figure 2016118783
[比較例1]
化合物AD−1を添加しないこと以外は、実施例1と同様に感光体シートを作製した。
[比較例2〜4]
化合物AD−1をそれぞれ以下に示した化合物AD−5〜7に変更した以外は、実施例1と同様に感光体シートを作製した。
Figure 2016118783
<電気特性評価>
実施例1〜4及び比較例1〜4の電子写真感光体シートを、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(「続電子写真技術の基礎と応用」、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを実施することにより、電気特性の評価を行なった。
温度25℃、湿度50%の条件下、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、0.9μJ/cmの照射エネルギーで露光後に測定した表面電位(単位:−V)を残留電位とした。結果を表−1に示す。残留電位は低い方が感光体として特性が優れている。
<オゾンばく露後の帯電保持率の評価>
オゾン暴露試験の方法を以下に記す。川口電気社製EPA8200を使用し、実施例1〜4及び比較例1〜4の電子写真感光体シートをコロトロン帯電器に25μAの電流を印可して帯電させ、その帯電値をV1とした。その後、これらの感光体に300−400ppm濃度のオゾンを1日3−5時間、2日間暴露し、暴露後に同様に帯電値を測定し、この値をV2とした。オゾン暴露前後の帯電保持率(V2/V1×100)(%)を表−1に示す。帯電保持率が高い方が劣化しづらいことを表す。
Figure 2016118783
<実施例5>
電荷輸送物質(HTM34)を電荷輸送物質(HTM41)に変更した以外は、実施例1と同様に感光体シートを作製した。
Figure 2016118783
<比較例5>
電荷輸送物質(HTM34)を電荷輸送物質(HTM41)に変更した以外は、比較例1と同様に感光体シートを作製した。
<比較例6>
電荷輸送物質(HTM34)を電荷輸送物質(HTM41)に変更した以外は、比較例3と同様に感光体シートを作製した。
<高温高湿(HH)環境の電気特性評価>
実施例1、5及び比較例1、3、5、6の電子写真感光体シートを、上記電気特性評価と同様の装置を用い以下の手順に従って帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを実施することにより、高温高湿環境での電気特性の評価を行なった。
温度35℃、湿度85%(HH)の条件下、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、0.9μJ/cmの照射エネルギーで露光後に測定した表面電位(単位:−V)を残留電位(VL)とした。また、HH条件で、上記の電気特性測定のプロセスを1.5万回転繰り返した後のVLの変化量ΔVLを求めた。ΔVLの値が大きい場合、繰返し使用時の電位変動が大きく、好ましくない。結果を表−2に示す。
Figure 2016118783
<電子写真感光体の作成>
<下引き層形成用塗布液の製造>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO55N」
)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタン50部と、メタノール120部を混合してなる原料スラリー1kgを、直径約100μmのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を分散メディアとして、ミル容積約0.15Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)を用い、ロータ周速10m/秒、液流量10kg/時間の液循環状態で1時間分散処理し、酸化チタン分散液を作製した。
前記酸化チタン分散液と、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、および、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行い、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比が3/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が7/1/2であって、含有する固形分の濃度が18.0質量%の下引き層形成用塗布液を作製した。
Figure 2016118783
<電荷発生層形成用塗布液の製造>
電荷発生物質として、図2のCuKα特性X線によるX線回折スペクトルを示すオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られた結着液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Aを調製した。
電荷発生物質として、図3のCuKα特性X線によるX線回折スペクトルを示すオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで4時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られた結着液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Bを調製した。
電荷発生層形成用塗布液Aと電荷発生層形成用塗布液Bを55:45の質量比で混合し
、本実施例で用いる電荷発生層形成用塗布液を作製した。
<電荷輸送層形成用塗布液の製造>
[塗布液C1]
ポリアリレート樹脂97.2部(PE−2:粘度平均分子量65,000)、末端にポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂2.8部(PE−3:粘度平均分子量49,600、ポリマー中のポリシロキサン構造の含有量5.7質量%)、特開2002−80432号公報の実施例1に基づいて合成された電荷輸送物質(HTM39)を70部、化合物AD−1を10部、下記に示すAD−8を2部、ジメチルポリシロキサン(信越化学社製KF96−10CS)0.03部をテトラヒドロフラン/トルエン(8/2(質量比))混合溶媒650部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液C1を調製した。
Figure 2016118783
[塗布液C2]
化合物AD−1を化合物AD−6に変更した以外は、塗布液C1と同様にして塗布液C2を作成した。
[塗布液C3]
化合物AD−1で表される化合物を用いない以外は塗布液C1と同様にして塗布液C3を作製した。
<感光体ドラムの製造>
表面が粗切削された外径30mm、長さ248mm、肉厚0.75mmのアルミニウム
合金よりなるシリンダーを、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。得られたシリンダーに、塗布液の製造例で作製した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.5μm、0.4μm、36μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で24分間行なった。
<画像試験>
得られた感光体を、Samsung社製モノクロプリンタ ML6510(接触帯電、LD露光、磁性2成分非接触現像)の感光体カートリッジに搭載して、気温25℃、相対湿度50%下において、印字率5%で、400,000枚の連続印刷を行った。耐刷後の電荷輸送層の膜厚を測定し、耐刷前後の電荷輸送層の膜厚比較することにより膜減り量を確認し、耐刷性を評価した。
<電子写真感光体の評価>
得られた電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(「続電子写真技術の基礎と応用」、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを実施することにより、電気特性の評価を行なった。
温度25℃、湿度50%の条件下、感光体の初期表面電位が−800Vになるように帯電後、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とした光を1.0μJ/cm2の照射エネルギーで露光し、露光して57msec後に測定した表面電位(単位:−V)を残留電位とした。
[実施例6、比較例7〜8]
表−3に示す感光体ドラムを作製し、耐刷性、及び電子写真感光体の評価を行った。結果を表−3に示す。
Figure 2016118783
表-1〜3から分かるように、本発明の電子写真感光体を用いることで、初期電特が良
好で、耐オゾン性に優れ、また繰返し使用後でも残留電位を維持し、かつ耐刷時の膜減りが少ない耐久性の優れた高機能な感光体を得ることが出来る。

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、前記感光層が電荷輸送物質、結着樹脂、及び一般式(1)で表される分子量350以下の化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2016118783
    (式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、及び置換基を有していてもよいアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表し、Arは、置換基を有していてもよいアリール基を表し、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表し、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基、又は単結合を表す。nは、0以上3以下の整数を表す。但し、Ar及びArのうち少なくとも一つは置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、及び置換基を有していてもよいアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの基である。また、Ar及びArは炭素原子、酸素原子若しくは硫黄原子を介して、又は直接結合して環を形成してもよい。)
  2. 前記一般式(1)中、Ar及びArが、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、Xが単結合であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記電荷輸送物質がトリアリールアミン誘導体又はエナミン誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物を結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、30質量部以下で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記一般式(1)で表される化合物を結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上、15質量部以下含有することを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記電荷輸送物質の分子量が450以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体、並びに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする、電子写真感光体カートリッジ。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体、並びに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装
    置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置を備えたことを特徴とするフルカラー画像形成装置。
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