JP2016118552A - センサシート - Google Patents

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Abstract

【課題】被検体の温度を精度よく測定することができるようにする。【解決手段】第1の配線電極3aの上に導電性感温材料5を形成し、導電性感温材料5の上に第2の配線電極4aを形成することで製造されたものである。そのため、第1の配線電極3aと導電性感温材料5との間、および、導電性感温材料5と第2の配線電極4aとの間に、後から貼り合わせたときにできるような貼り合わせ面(境界面)が存在しない。【選択図】図3

Description

本発明は、センサシート、及びこれを備えたセンサシステムに関する。
特許文献1には、可撓性を有する基材と、基材上に形成された平行な電極群と、電極群を被覆する感熱性材料とによって構成された温度検出用装置が開示されている。特許文献1に記載の技術によると、電極の交点付近における温度に応じた感熱性材料の電気抵抗値の変化を検出することが可能である。
特開2000−88670号公報
しかしながら、特許文献1の温度検出用装置は、それぞれに電極群が形成された一対のシート状部材を貼り合わせることで製造されており、両者の間に貼り合わせ面(境界面)が存在する。この貼り合わせ面には微小の凹凸が存在するため、貼り合わせ面に圧力が加わると、両者の接触面積が変化する。これにより、感熱性材料の電磁気的特性に圧力による変化が生じ、外乱の要因となる。よって、被検体の温度を精度よく測定することができないという問題がある。
また、被検体の同一箇所において温度と圧力とを同時に測定したいというニーズがある。さらには、被検体の同一箇所において温度分布と圧力分布とを同時に測定したいというニーズがある。しかし、従来、温度センサと圧力センサとは別体であるため、被検体の同一箇所に温度センサと圧力センサとをそれぞれ設置することはできなかった。
本発明の第1の目的は、被検体の温度を精度よく測定することが可能なセンサシート、及びこれを備えたセンサシステムを提供することである。さらに、本発明の第2の目的は、被検体の温度を精度よく測定することが可能な温度分布センサシート、及びこれを備えたセンサシステムを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記に掲げる態様の発明を提供する。なお、本明細書において、「上」または「下」との文言は(例えば、「電極の上(または下)」との表現)、直接接している場合のほか、接していない場合も含む。
項1.フィルム基材と、
前記フィルム基材上に設けられた、複数の第1の配線電極対であって、当該各第1の配線電極対は、交差する一対の配線電極を有する、複数の第1の配線電極対と、
前記各第1の配線電極対において、前記一対の配線電極の交差する箇所である温度検出部に設けられ、当該一対の配線電極の間に配置された導電性感温材料と、
を備え、
複数の前記温度検出部の各々は、温度の高低に応じて電磁気的特性が変化するように構成されており、
前記一対の配線電極と前記導電性感温材料とが固定されている、センサーシート。
項2.前記複数の第1の配線電極対は、
前記フィルム基材の上に設けられ、線状の第1の配線電極が第1の方向に複数並設されてなる第1の配線電極群と、
前記第1の配線電極群の上に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に線状の第2の配線電極が複数並設されてなる第2の配線電極群と、
を備え、
前記導電性感温材料は、
前記第1の配線電極と前記第2の配線電極とが交差する箇所である前記温度検出部に設けられ、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極との間に配置されており、
前記第1の配線電極の上に前記導電性感温材料が固定されるように形成され、前記導電性感温材料の上に前記第2の配線電極が固定されるように形成されている、項1に記載のセンサシート。
項3.前記温度検出部同士の間に絶縁材料が設けられることで、前記第1の配線電極から前記第2の配線電極にかけての厚みが均一にされている、項2に記載のセンサシート。
項4.前記温度検出部が絶縁材料で被覆されている、項2又は3に記載のセンサシート。
項5.前記フィルム基材上に設けられた、複数の第2の配線電極対であって、当該各第2の配線電極対は、交差する一対の配線電極を有する、複数の第2の配線電極対と、
前記各第2の配線電極対において、前記一対の配線電極の交差する箇所である圧力検出部に設けられ、当該一対の配線電極の間に配置された導電性感圧材料と、
をさらに備え、
複数の前記圧力検出部の各々は、前記各第2の配線電極対において、前記一対の配線電極が積層する方向に加えられた圧力の大小に応じて電磁気的特性が変化するように、構成されている、項1に記載のセンサーシート。
項6.前記複数の第1の配線電極対は、
前記フィルム基材の上に設けられ、線状の第1の配線電極が第1の方向に複数並設されてなる第1の配線電極群と、
前記第1の配線電極群の上に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に線状の第2の配線電極が複数並設されてなる第2の配線電極群と、
を備え、
前記導電性感温材料は、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極とが交差する箇所である前記温度検出部に設けられ、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極との間に配置されており、
前記複数の第2の配線電極対は、
前記第2の配線電極群と、
前記第2の配線電極群の上または下に設けられ、前記第2の方向と交差する第3の方向に線状の第3の配線電極が複数並設されてなる第3の配線電極群と、
を備え、
前記導電性感圧材料は、前記第2の配線電極と前記第3の配線電極とが交差する箇所である前記圧力検出部に設けられ、前記第2の配線電極と前記第3の配線電極との間に配置されている、項5に記載のセンサーシート。
なお、第1の方向と第3の方向とを、一致させることもできる。
項7.平面視において、複数の前記温度検出部が配置された領域と、複数の前記圧力検出部が配置された領域とが重なっている、項6に記載のセンサーシート。この場合、第3の配線電極は、第2の配線電極群の上に設けられることがある。
項8.平面視において、複数の前記温度検出部が配置された領域と、複数の前記圧力検出部が配置された領域とが重なっていない、項6に記載のセンサーシート。この場合、第3の配線電極は、第2の配線電極群の下に設けられることがある。
項9.前記導電性感圧材料は、第1部位と、第2部位とを備え、
前記第1部位は、前記各第2の配線電極に沿って配置され、
前記第2部位は、前記各第3の配線電極に沿って配置され、
前記第1部位と第2部位とは、離間可能に接触している、項6に記載のセンサーシート。
項10.前記複数の第1の配線電極対は、
前記フィルム基材の上に設けられ、線状の第4の配線電極が第1の方向に複数並設されてなる第4の配線電極群と、
前記第4の配線電極群の上に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に線状の第5の配線電極が複数並設されてなる第5の配線電極群と、
を備え、
前記導電性感温材料は、前記第4の配線電極と前記第5の配線電極とが交差する箇所である前記温度検出部に設けられ、前記第4の配線電極と前記第5の配線電極との間に配置されており、
前記複数の第2の配線電極対は、
前記フィルム基材の上に設けられ、線状の第6の配線電極が前記第1の方向に複数並設されてなる第6の配線電極群と、
前記第6の配線電極群の上に設けられ、前記第2の方向に線状の第7の配線電極が複数並設されてなる第7の配線電極群と、
を備え、
前記導電性感圧材料は、前記第6の配線電極と前記第7の配線電極とが交差する箇所である前記圧力検出部に設けられ、前記第6の配線電極と前記第7の配線電極との間に配置されており、
平面視において、複数の前記温度検出部が配置された領域と、複数の前記圧力検出部が配置された領域とが重なっていない、項5に記載のセンサーシート。
項11.前記第4の配線電極と前記第6の配線電極は、前記第2の方向に沿って交互に配置され、
前記第5の配線電極と前記第7の配線電極は、前記第1の方向に沿って交互に配置されている、項10に記載のセンサーシート。
項12.前記温度検出部同士の間、および、前記圧力検出部同士の間に絶縁材料が設けられることで、前記第1の配線電極から前記第3の配線電極にかけての厚みが均一にされている、項10又は11に記載のセンサシート。
項13.項5〜12のいずれかに記載のセンサシートと、
前記温度検出部および前記圧力検出部における電磁気的特性の変化を出力値として取得する電気回路と、
複数の前記温度検出部の各々で得られた出力値から温度分布を算出するとともに、複数の前記圧力検出部の各々で得られた出力値から圧力分布を算出する算出部と、
少なくとも、前記センサーシートの動作を制御する制御部と、
を有する、センサシステム。
項14.前記温度検出部および前記圧力検出部の一方で得られた出力値に基づいて、他方で得られた出力値を補正する補正部をさらに有する項13に記載のセンサシステム。
項15.前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器をさらに有する、項13又は14に記載のセンサシステム。
項16.前記制御部は、
前記センサシートの一又は複数の前記温度検出部が所定の温度に保持されているときに得られた前記一又は複数の温度検出部からの出力値に基づいて、前記温度検出部に加えられた温度入力値に対して相関性のある温度出力値が得られるようにするための前記温度検出部からの出力値に対する変換係数を導出するように、項13〜15のいずれかに記載のセンサシステム。
項17.前記制御部は
前記センサシートの一又は複数の前記温度検出部が互いに異なる複数の温度に保持されているときに得られた前記一又は複数の温度検出部からの出力値に基づいて、前記変換係数を導出する、項16に記載のセンサシステム。
項18.前記制御部は、
前記温度検出部の出力値に前記変換係数を乗算した温度出力値が、前記温度検出部に加えられた温度入力値と一致するか判定する、項16または17に記載のセンサシステム。
項19.前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器をさらに有し、
前記制御部は、前記計測器が計測した温度値を前記温度入力値とする、項16〜18のいずれかに記載のセンサシステム。
項20.前記制御部は、
前記センサシートの一又は複数の前記圧力検出部に所定の圧力を加えたときに得られた前記一又は複数の圧力検出部からの出力値に基づいて、前記圧力検出部に加えられた圧力入力値に対して相関性のある圧力出力値が得られるようにするための前記圧力検出部からの出力値に対する変換係数を導出する、項16〜19のいずれかに記載のセンサシステム。
項21.前記制御部は、
前記センサシートの一又は複数の前記圧力検出部に互いに異なる複数の圧力を加えたときに得られた前記一又は複数の圧力検出部からの出力値に基づいて、前記変換係数を導出する、項20に記載のセンサシステム。
項22.前記制御部は、
前記圧力検出部の出力値に前記変換係数を乗算した圧力出力値が、前記圧力検出部に加えられた圧力入力値と一致するか判定する、項20または21に記載のセンサシステム。
項23.前記制御部は、
複数の前記センサシート毎に前記変換係数を記憶しておき、使用される前記センサシートに最適な変換係数を選択する、項16〜22のいずれかに記載のセンサシステム。
項24.前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器をさらに有し、
前記制御部は、前記計測器によって測定された湿度に基づいて、前記変換係数を決定する、項16〜23のいずれかに記載のセンサシステム。
項25.前記導電性感温材料が、導電性粒子及び樹脂を含んでおり、
200℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.2倍以上である、項1〜12のいずれかに記載のセンサーシート。
項26.30℃〜200℃の温度範囲における体積抵抗率が、10Ω・cm〜100KΩ・cmの範囲にある、項25に記載のセンサーシート。
項27.前記導電性感温材料は、前記導電性粒子の含有量が15質量%未満である、項25または26に記載のセンサーシート。
項28.前記導電性感温材料の厚みが100μm以下である、請求項25〜27のいずれかに記載のセンサーシート。
項29.100℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の5倍以下である、項25〜28のいずれかに記載のセンサーシート。
項30.30℃〜200℃の温度範囲における電気抵抗値の変化率が0.12〜2.4%/℃の範囲にある、項25〜29のいずれかに記載のセンサーシート。
本発明に係る他のセンサシートは、温度分布を測定する温度分布センサシートにおいて、フィルム基材の上に設けられ、線状の第1の配線電極が第1の方向に複数並設されてなる第1の配線電極群と、前記第1の配線電極群の上に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に線状の第2の配線電極が複数並設されてなる第2の配線電極群と、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極とが交差する箇所である温度検出部に設けられ、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極との間に配置された導電性感温材料と、を有し、複数の前記温度検出部の各々は、温度の高低に応じて電磁気的特性が変化し、前記第1の配線電極の上に前記導電性感温材料を形成し、前記導電性感温材料の上に前記第2の配線電極を形成することで製造されたものである。
本発明によると、第1の配線電極の上に導電性感温材料を形成し、導電性感温材料の上に第2の配線電極を形成することで製造されたものであるので、第1の配線電極と導電性感温材料との間、および、導電性感温材料と第2の配線電極との間に、後から貼り合わせたときにできるような貼り合わせ面(境界面)が存在しない。よって、被検体の温度を検出する際に、貼り合わせ面に加わった圧力で感熱性材料の電磁気的特性が変化するようなことがないので、温度検出部において変化する電磁気的特性に外乱が生じない。これにより、被検体の温度を精度よく測定することができる。
本発明において、前記温度検出部同士の間に絶縁材料が設けられることで、前記第1の配線電極から前記第2の配線電極にかけての厚みが均一にされていてもよい。
本発明において、前記温度検出部が絶縁材料で被覆されていてもよい。
本発明に係るセンサシステムは、上記の温度分布センサシートと、前記温度検出部における電磁気的特性の変化を出力値として取得する電気回路と、複数の前記温度検出部の各々で得られた出力値から温度分布を算出する算出手段と、を有する。
本発明に係るセンサシステムは、前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器をさらに有していてもよい。
本発明に係る校正プログラムは、前記温度分布センサシートの一又は複数の前記温度検出部が所定の温度に保持されているときに得られた前記一又は複数の温度検出部からの出力値に基づいて、前記温度検出部に加えられた温度入力値に対して相関性のある温度出力値が得られるようにするための前記温度検出部からの出力値に対する変換係数を導出するように前記センサシステムを動作させる。
このプログラムについては、以下の通りである(以下、「プログラムに係る説明」という)。例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む半導体メモリのほか、DVD(Digital Versatile Disc)及びCD(Compact Disc)を含む光学ディスク、並びに、ハードディスク(hard disk)及びFD(flexible disk)を含む磁気ディスクといった記録媒体に格納されることができる。当該プログラムコードは、データ信号として通信リンクを介してリモートコンピュータ又は装置からダウンロードされ、コンピュータプログラム製品としてコンピュータの記憶装置に格納されてよい。代替的に、当該プログラムコードは、コンピュータプログラム製品として記録媒体に格納された状態で流通するものであってもよい。また、プログラムコードは、公知のいずれか一つ以上のプログラム言語で記載されたものであってよい。ここで、コンピュータは、パーソナルコンピュータのような汎用型に限らず、複数の温度検出部を含む温度分布センサシートの校正のために特化した装置であってもよい。
本発明において、校正プログラムは、前記温度分布センサシートの一又は複数の前記温度検出部が互いに異なる複数の温度に保持されているときに得られた前記一又は複数の温度検出部からの出力値に基づいて、前記変換係数を導出するように前記センサシステムを動作させてもよい。
本発明において、校正プログラムは、前記温度検出部の出力値に前記変換係数を乗算した温度出力値が、前記温度検出部に加えられた温度入力値と一致するか判定するように前記センサシステムを動作させてもよい。
本発明において、前記センサシステムは、前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器を有し、校正プログラムは、前記計測器が計測した温度値を前記温度入力値としてもよい。
本発明において、校正プログラムは、複数の前記温度分布センサシート毎に前記変換係数を記憶しておき、使用される前記温度分布センサシートに最適な変換係数を選択するように前記センサシステムを動作させてもよい。
本発明に係るさらに他のセンサシートは、温度分布および圧力分布を測定するセンサシートであって、フィルム基材の上に設けられ、線状の第1の配線電極が第1の方向に複数並設されてなる第1の配線電極群と、前記第1の配線電極群の上に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に線状の第2の配線電極が複数並設されてなる第2の配線電極群と、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極とが交差する箇所である温度検出部に設けられ、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極との間に配置された導電性感温材料と、前記第2の配線電極群の上に設けられ、前記第2の方向と交差する第3の方向に線状の第3の配線電極が複数並設されてなる第3の配線電極群と、前記第2の配線電極と前記第3の配線電極とが交差する箇所である圧力検出部に設けられ、前記第2の配線電極と前記第3の配線電極との間に配置された導電性感圧材料と、を有し、複数の前記温度検出部の各々は、温度の高低に応じて電磁気的特性が変化し、複数の前記圧力検出部の各々は、前記第2の配線電極群と前記第3の配線電極群とが積層する方向に加えられた圧力の大小に応じて電磁気的特性が変化し、平面視において、複数の前記温度検出部が配置された領域と、複数の前記圧力検出部が配置された領域とが重なっている。
本発明によると、平面視において、複数の温度検出部が配置された領域と、複数の圧力検出部が配置された領域とを重ねることで、センサシートをコンパクトに成形することができる。これにより、被検体の同一箇所に温度検出部と圧力検出部とをそれぞれ配置することができるので、被検体の同一箇所において温度と圧力とを同時に測定することができる。
本発明において、前記第1の配線電極の上に前記導電性感温材料を形成し、前記導電性感温材料の上に前記第2の配線電極を形成することで製造されたものであってよい。
本発明において、前記温度検出部同士の間、および、前記圧力検出部同士の間に絶縁材料が設けられることで、前記第1の配線電極から前記第3の配線電極にかけての厚みが均一にされていてもよい。
本発明に係るセンサシステムは、上記のセンサシートと、前記温度検出部および前記圧力検出部における電磁気的特性の変化を出力値として取得する電気回路と、複数の前記温度検出部の各々で得られた出力値から温度分布を算出するとともに、複数の前記圧力検出部の各々で得られた出力値から圧力分布を算出する算出部と、を有する。
本発明において、前記温度検出部および前記圧力検出部の一方で得られた出力値に基づいて、他方で得られた出力値を補正する補正部をさらに有していてもよい。
本発明において、前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器をさらに有していてもよい。
本発明に係る校正プログラムは、前記センサシートの一又は複数の前記温度検出部が所定の温度に保持されているときに得られた前記一又は複数の温度検出部からの出力値に基づいて、前記温度検出部に加えられた温度入力値に対して相関性のある温度出力値が得られるようにするための前記温度検出部からの出力値に対する変換係数を導出するように前記センサシステムを動作させる。
このプログラムについては、上述した「プログラムに係る説明」で示したとおりである。
本発明において、温度検出に関する校正プログラムは、上述したとおりである。
本発明において、校正プログラムは、前記センサシートの一又は複数の前記圧力検出部に所定の圧力を加えたときに得られた前記一又は複数の圧力検出部からの出力値に基づいて、前記圧力検出部に加えられた圧力入力値に対して相関性のある圧力出力値が得られるようにするための前記圧力検出部からの出力値に対する変換係数を導出するように前記センサシステムを動作させてもよい。
本発明において、校正プログラムは、前記センサシートの一又は複数の前記圧力検出部に互いに異なる複数の圧力を加えたときに得られた前記一又は複数の圧力検出部からの出力値に基づいて、前記変換係数を導出するように前記センサシステムを動作させてもよい。
本発明において、校正プログラムは、前記圧力検出部の出力値に前記変換係数を乗算した圧力出力値が、前記圧力検出部に加えられた圧力入力値と一致するか判定するように前記センサシステムを動作させてもよい。
本発明において、校正プログラムは、複数の前記センサシート毎に前記変換係数を記憶しておき、使用される前記センサシートに最適な変換係数を選択するように前記センサシステムを動作させてもよい。
また、本発明は、従来の温度センサとは異なり、広い温度範囲にわたって被検体の温度を精度高く測定できる感温素子(または、温度検出部)を提供する。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極及び第2の電極に電気的に接続された感温抵抗体(または、導電性感温材料)とを備え、感温抵抗体が、導電性粒子及び樹脂を含んでおり、200℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.2倍以上である感温素子は、広い温度範囲にわたって被検体の温度を精度高く測定できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.少なくとも1つの第1の電極と、
少なくとも1つの第2の電極と、
前記各第1の電極及び前記各第2の電極に電気的に接続された、少なくとも1つの感温抵抗体と、
を備え、
前記感温抵抗体が、導電性粒子及び樹脂を含んでおり、
200℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.2倍以上である、感温素子。
項2.30℃〜200℃の温度範囲における体積抵抗率が、10Ω・cm〜100KΩ・cmの範囲にある、項1に記載の感温素子。
項3.前記感温抵抗体は、前記導電性粒子の含有量が15質量%未満である、項1または2に記載の感温素子。
項4.前記感温抵抗体の厚みが100μm以下である、項1〜3のいずれかに記載の感温素子。
項5.100℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の5倍以下である、項1〜4のいずれかに記載の感温素子。
項6.30℃〜200℃の温度範囲における電気抵抗値の変化率が0.12〜2.4%/℃の範囲にある、項1〜5のいずれかに記載の感温素子。
項7.基材をさらに備え、
前記基材上に、前記第1の電極、前記感温抵抗体、及び前記第2の電極が、配置されている、項1〜6のいずれかに記載の感温素子。
項8.前記第1及び第2の電極は、線状に形成されており、
前記基材上に、複数の前記第1の電極と、複数の前記第2の電極とが配置され、
前記複数の第1の電極は第1の方向に延びるように平行に配置され、
前記複数の第2の電極は前記第1の方向と交差する第2の方向に延びるように平行に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極とが交差する箇所である温度検出部に、前記感温抵抗体がそれぞれ配置されている、項7に記載の感温素子。
項9.前記温度検出部同士の間に絶縁材料が設けられることで、前記第1の電極から前記第2の電極にかけての厚みが均一にされている、項8に記載の感温素子。
項10.前記温度検出部が絶縁材料で被覆されている、項8または9に記載の感温素子。
項11.導電性粒子と、樹脂と、溶剤とを含み、
200℃での電気抵抗値が30℃での電気抵抗値の1.2倍以上となる感温抵抗体を形成するためのインク。
項12.項11に記載のインクを電極の表面に塗布する工程を備える、感温素子の製造方法。
温度分布センサシートの斜視分解図である。 温度分布センサシートの平面図である。 温度分布センサシートの断面図である。 図2の要部Cの拡大図である。 温度分布センサシートの斜視図である。 温度分布センサシートの製造方法を示す図である。 センサシステムの構成図である。 センサ出力と温度との関係を示す図である。 温度分布センサを段階的に加圧したときの、温度分布センサの出力を示す図である。 温度分布センサのイクイリブレーション処理を示すフローチャートである。 イクイリブレーション処理において補正係数を導出する手順を説明するための図である。 温度分布センサのキャリブレーション処理を示すフローチャートである。 キャリブレーション処理について説明するための図である。 温度分布センサシートの他の例を示す断面図である。 温度圧力分布センサシートの斜視分解図である。 温度圧力分布センサシートの平面図である。 温度圧力分布センサシートの断面図である。 図16の要部Cの拡大図である。 温度圧力分布センサシートの斜視図である。 温度圧力分布センサシートの製造方法を示す図である。 温度圧力分布センサシートの他の製造方法を示す図である。 圧力分布センサのイクイリブレーション処理を示すフローチャートである。 イクイリブレーション処理において補正係数を導出する手順を説明するための図である。 圧力分布センサのキャリブレーション処理を示すフローチャートである。 キャリブレーション処理について説明するための図である。 温度圧力センサーシートの他の例を示す平面図である。 図26のA−A線断面図である。 図26のB−B線断面図である。 温度圧力センサーシートのさらに他の例を示す平面図である。 図29のC−C線断面図である。 図29の温度圧力センサーシートの製造方法を示す斜視図である。 本発明の実施例に係る感温素子他の例を示す断面図である(抵抗値及びその変化率の測定に使用したもの)。 図33の平面図である(抵抗値及びその変化率の測定に使用したもの)。 実施例1で得られた感温素子の電気抵抗値と測定温度との関係を表すグラフである。 実施例2で得られた感温素子の電気抵抗値と測定温度との関係を表すグラフである。 実施例3で得られた感温素子の電気抵抗値と測定温度との関係を表すグラフである。 比較例1で得られた感温素子の電気抵抗値と測定温度との関係を表すグラフである。 実施例1で得られた感温素子の電気抵抗値の逆数と測定温度との関係を表すグラフである。 実施例2で得られた感温素子の電気抵抗値の逆数と測定温度との関係を表すグラフである。 実施例3で得られた感温素子の電気抵抗値の逆数と測定温度との関係を表すグラフである。 比較例1で得られた感温素子の電気抵抗値の逆数と測定温度との関係を表すグラフである。 実施例及び比較例で得られた感温素子の電気抵抗値の変化率と測定温度との関係を表すグラフである。 実施例に係る感温素子の他の例を示す断面図である(体積抵抗率の測定に使用したもの)。 図43の平面図である(体積抵抗率の測定に使用したもの)。
A.温度分布センサーシート
以下、本発明に係る温度分部を測定するためのセンサーシートの好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(温度分布センサシートの構成)
本発明の実施形態による温度分布センサシートは、温度分布を測定するものである。この温度分布センサシートは、温度の高低に応じて抵抗値などの電磁気的特性が変化する複数の感温センサが二次元的に配列されたものである。
このような温度分布センサシートは、半導体、セラミックコンデンサ、液晶、ガラス、プリンター、フィルム等の製造工程において加熱加工する際や、ホットプレートやパソコン、電池等の電子機器類の発熱部分、及びこれらと接触する金属や樹脂材料の熱伝播や放熱状態、人体や動物の体温等、あらゆるものの温度分布を計測するのに使用することができる。そのため、材料加工の効率化、材料設計、機械設計、改良、商品開発、治療、療養の分析判断等に利用することができる。
温度分布センサシート1は、斜視分解図である図1に示すように、フィルム基材2と、フィルム基材2の上に設けられた第1の配線電極群3と、第1の配線電極群3の上に設けられた第2の配線電極群4と、第1の配線電極群3と第2の配線電極群4との間に設けられた導電性感温材料5と、を有している。
第1の配線電極群3は、平面図である図2に示すように、線状の第1の配線電極3aがA方向(第1の方向)に複数並設されてなる。また、第2の配線電極群4は、線状の第2の配線電極4aがB方向(第2の方向)に複数並設されてなる。本実施形態において、A方向とB方向とは直交しているが、それ以外の角度で交差していてもよい。
導電性感温材料5は、断面図である図3に示すように、複数の第1の配線電極3aの各々を覆うように設けられている。しかし、導電性感温材料5は、少なくとも後述する温度検出部21に設けられて、第1の配線電極3aと第2の配線電極4aとの間に配置されていればよい。ここで、温度検出部21は、第1の配線電極3aと第2の配線電極4aとが交差する箇所である。
第1の配線電極群3と第2の配線電極群4と導電性感温材料5とは、温度分布センサを構成している。図2の要部Cの拡大図である図4に示すように、第1の配線電極3aと第2の配線電極4aとが交差する箇所である温度検出部21の1つ1つが感温センサとして機能する。
温度検出部21を所定の温度に保持すると、温度の高低に応じて導電性感温材料5の電気抵抗が変化する。電気抵抗は温度検出部21から第1の配線電極3aと第2の配線電極4aとを通じて電源に伝達される。これにより抵抗値が測定される。測定した抵抗値から温度検出部21が保持されている温度を検出することができる。
なお、温度検出部21は、保持される温度が高くなるにつれてその抵抗値が増加するものであるが、保持される温度が高くなるにつれてその抵抗値が低下するものであってもよい。また、温度検出部21は、温度の高低に応じて電荷量又は誘導電流などの抵抗値以外の電磁気的特性が変化するものであってもよい。
フィルム基材2は、ポリイミド、PETなどの可撓性を有する材料からなる。第1の配線電極3aおよび第2の配線電極4aは、銀箔、銅箔、アルミ箔等の金属箔や、導電性ポリマー等からなるが、これに限定されず、導電率の高い材料からなるものであればよい。なお、フィルム基材及び配線電極を構成する材料については、後述する温度・圧力センサにおいても同じである。
導電性感温材料5については後述するが、導電性粒子にバインダーを添加してなるものである。
ここで、本実施形態においては、図3に示すように、第1の配線電極3aの上に導電性感温材料5を形成し、導電性感温材料5の上に第2の配線電極4aを形成することで製造されたものである。そのため、第1の配線電極3aと導電性感温材料5との間、および、導電性感温材料5と第2の配線電極4aとの間に、後から貼り合わせたときにできるような貼り合わせ面(境界面)が存在しない。すなわち、第1の配線電極3aと導電性感温材料5、および、導電性感温材料5と第2の配線電極4aとは、それぞれ密着し、固定されている。通常、貼り合わせ面には微小の凹凸が存在するため、貼り合わせ面に圧力が加わると、貼り合わせたもの同士の接触面積が変化する。これにより、感熱性材料5の電磁気的特性に圧力による変化が生じ、外乱の要因となる。しかし、本実施形態においては貼り合わせ面が存在しない。よって、被検体の温度を検出する際に、貼り合わせ面に加わった圧力で感熱性材料5の電磁気的特性が変化するようなことがないので、温度検出部21において変化する抵抗値に外乱が生じない。これにより、被検体の温度を精度よく測定することができる。
図3に示すように、温度検出部21同士の間には、絶縁材料9が設けられている。これにより、第1の配線電極3aから第2の配線電極4aにかけての厚みが均一にされている。
第1の配線電極3aから第2の配線電極4aにかけての厚みを均一にすることで、温度分布の計測時に、被検体による押圧力が温度検出部21に集中するのを防止することができる。その結果、温度検出部21に設けられた導電性感温材料5に歪が生じないので、測温誤差の発生を防止することができる。また、温度分布センサシート1が押し付けられた被検体に凹凸圧痕が発生するのを防止することができる。
また、斜視図である図5に示すように、第2の配線電極群4の上には、絶縁材料からなる保護用フィルム基材8が設けられている。これにより、第2の配線電極4aの表面が保護されているとともに、第2の配線電極4a同士の短絡が防止されている。なお、保護用フィルム基材8を設ける代わりに、温度検出部21を絶縁樹脂材で被覆してもよい。
温度検出部21を保護用フィルム基材8や絶縁樹脂材といった絶縁材料で被覆することで、吸湿により温度検出部21の電磁気的特性が変化したり、加水分解により導電性感温材料5が劣化して変質したりするのを防止することができる。
(導電性感温材料)
本実施形態に係る導電性感温材料5は、温度の上昇と共に、電気抵抗値が上昇する特性を備えており、例えば、少なくとも30℃〜200℃の範囲においては、温度が上昇すると電気抵抗値が高くなり、温度が低下すると電気抵抗値が低くなる特性を備えるものとすることができる。また、この導電性感温材料5は、導電性粒子と、樹脂とを含んでいる。
導電性感温材料5に含まれる導電性粒子としては、導電性を備える粒子であれば特に制限されず、公知の導電性感温材料に含まれる導電性粒子を用いることができる。導電性粒子の具体例としては、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイルなどの炭素系粒子(繊維状物も含む);鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、マグネシウム、プラチナ、銀、金、及びこれらの金属のうち少なくとも1種を含む合金などの金属粒子;酸化スズ、酸化亜鉛、ヨウ化銀、ヨウ化銅、チタン酸バリウム、酸化インジウム錫、チタン酸ストロンチウムなどの導電性無機材料粒子などが挙げられる。これらの中でも、広い温度範囲にわたって被検体の温度を精度高く測定できる感温素子とする観点からは、導電性カーボンブラックが特に好ましい。導電性粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
導電性粒子の粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは1μm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下が挙げられる。
導電性感温材料5に含まれる導電性粒子の含有量としては、特に制限されず、所望の電気抵抗値や体積抵抗値となるように設定すればよいが、広い温度範囲にわたって被検体の温度を精度高く測定できる感温素子とする観点からは、好ましくは15質量%未満、より好ましくは2〜9質量%程度が挙げられる。例えば、導電性粒子として、オイルファーネス法で製造された導電性カーボンブラックを用いる場合、同様の観点から、好ましくは10質量%未満、より好ましくは1〜8質量%程度、さらに好ましくは2〜6質量%程度が挙げられる。また、アセチレン分解法で作製された導電性カーボンブラックを用いる場合であれば、同様の観点から、好ましくは15質量%未満、より好ましくは4〜12質量%程度、さらに好ましくは6〜9質量%程度が挙げられる。
導電性感温材料5に含まれる樹脂としては、特に制限されず、公知の導電性感温材料に含まれる樹脂を用いることができる。樹脂のガラス転移温度は、感温素子の使用態様に応じて適宜選択することができる。広い温度範囲にわたって被検体の温度を精度高く測定できる感温素子とする観点からは、樹脂のガラス転移温度は、温度検出部21の温度測定範囲の上限値以上であることが好ましい。すなわち、例えば、温度検出部21の温度測定範囲の上限値が200℃である場合には、樹脂のガラス転移温度は、200℃以上であることが好ましく、温度検出部21の温度測定範囲の上限値が100℃である場合には、樹脂のガラス転移温度は、100℃以上であることが好ましい。樹脂のガラス転移温度の調整法としては、例えば、樹脂の分子量や分子骨格などを調整する方法が挙げられる。樹脂のガラス転移温度としては、好ましくは80〜400℃程度が挙げられる。なお、導電性感温材料に複数種類の樹脂が含まれる場合には、樹脂のガラス転移温度は、導電性感温材料に含まれる樹脂全体としてのガラス転移温度を意味する。
樹脂の具体例としては、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、広い温度範囲にわたって被検体の温度を精度高く測定できる感温素子とする観点からは、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂が好ましく、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂が特に好ましい。ガラス転移温度が200℃以上の樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態において、樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定された値である。
導電性感温材料に含まれる樹脂の含有量としては、導電性粒子の種類などに応じて設定するうことができ、特に制限されないが、広い温度範囲にわたって被検体の温度を精度高く測定できる温度検出部21とする観点からは、好ましくは85質量%以上、より好ましくは91〜98質量%程度が挙げられる。例えば、導電性粒子として、オイルファーネス法で製造された導電性カーボンブラックを用いる場合、同様の観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92〜99質量%程度、さらに好ましくは94〜98質量%程度が挙げられる。また、アセチレン分解法で製造された導電性カーボンブラックを用いる場合であれば、同様の観点から、好ましくは85質量%以上、より好ましくは88〜96質量%程度、さらに好ましくは91〜94質量%程度が挙げられる。
導電性感温材料5には、前述の導電性粒子及び樹脂に加えて、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、特に制限されず、酸化チタン、アルミナ、マイカなどのPTC特性を備える導電性感温材料5に含まれる公知の添加剤を使用することができる。
本実施形態の各温度検出部21は、200℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.2倍以上である。すなわち、導電性感温材料5に電極を配して測定される200℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.2倍以上となり、導電性感温材料5の電気抵抗値と温度との関係がこのような特定の関係になる。この温度検出部21においては、導電性感温材料5が導電性粒子及び樹脂を含んでおり、かつ、電気抵抗値と温度とがこのような特定の関係を有することにより、広い温度範囲(例えば、30℃〜200℃の範囲)にわたって被検体の温度を精度高く測定できる。なお、本実施形態において、導電性感温材料5の電気抵抗値の値は、後述する実施例に記載の方法により測定された値である。
30℃〜200℃の範囲で被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、導電性感温材料5の200℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.5倍以上であることが好ましく、1.7倍以上であることがより好ましい。
また、例えば30℃〜150℃の範囲で被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、各温度検出部(導電性感温材料)21の150℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.2倍以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、1.7倍以上であることがさらに好ましい。さらに、例えば、30℃〜100℃の範囲で被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、各温度検出部(導電性感温材料)21の100℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましく、1.7倍以上であることがさらに好ましい。
また、各温度検出部(導電性感温材料)21の温度測定範囲の最高温度での電気抵抗値が、最低温度の電気抵抗値の5倍以下であることにより、被検体の温度をより一層精度高く測定することができる。例えば、30℃〜100℃の範囲で被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、各温度検出部(導電性感温材料)21の100℃での電気抵抗値は、30℃での電気抵抗値の5倍以下であることが好ましく、3.5倍以下であることがより好ましい。例えば、30℃〜150℃の範囲で被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、温度検出部(導電性感温材料)21の150℃での電気抵抗値が、20℃での電気抵抗値の5倍以下であることが好ましく、4.5倍以下であることがより好ましい。例えば、30℃〜200℃の範囲で被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、温度検出部(導電性感温材料)21の200℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の5倍以下であることが好ましい。
本実施形態の温度検出部(導電性感温材料)21において、30℃〜200℃の温度範囲における電気抵抗値の変化率としては、特に制限されないが、被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、0.12〜2.4%/℃の範囲にあることが好ましく、0.5〜1%/℃の範囲にあることが特に好ましい。なお、各温度検出部(導電性感温材料)21を30℃〜200℃よりも狭い温度範囲で使用する場合には、当該温度範囲における電気抵抗値の変化率が1〜2.4%/℃の範囲にあることにより、被検体の温度をより一層精度高く測定することができる。例えば、30℃〜150℃の範囲で被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、30℃〜150℃の温度範囲における電気抵抗値の変化率が上記の範囲にあることがましい。また、例えば、30℃〜100℃の範囲で被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、30℃〜100℃の温度範囲における電気抵抗値の変化率が上記の範囲にあることが好ましい。なお、本実施形態において、温度検出部(導電性感温材料)21の電気抵抗値の変化率の値は、後述する実施例に記載の方法により測定された値である。
本実施形態の温度検出部(導電性感温材料)21の30℃〜200℃の温度範囲における体積抵抗率としては、特に制限されないが、被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、好ましくは10Ω・cm〜100kΩ・cm、より好ましくは100Ω・cm〜50kΩ・cmが挙げられる。なお、本実施形態において、温度検出部(導電性感温材料)21の30℃〜200℃の温度範囲における体積抵抗率の値は、後述する実施例に記載の方法により測定された値である。
導電性感温材料は、シート状(薄膜状)に形成されるが、その厚みは、特に制限されない。但し、被検体の温度をより一層精度高く測定する観点からは、好ましくは100μm以下、より好ましくは10〜50μm程度、さらに好ましくは20〜40μm程度が挙げられる。
次に、上記導電性感温材料を形成するためのインクについて説明する。このインクは、前述の導電性粒子と、前述の樹脂に加えて、溶剤を含んでおり、導電性粒子と樹脂が溶剤中に分散した形態を備えている。本実施形態のセンサーシートは、例えば、このインクを電極の表面に塗布し、溶剤を乾燥させることにより容易に製造することができる。
本実施形態のインクに使用される溶剤としては、導電性粒子と樹脂を分散させることができ、電極の表面に塗布した後に乾燥させることができるものであれば、特に制限されない。溶剤の具体例としては、トリエチレングリコールジメチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。溶剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
このインクにおける溶剤の割合としては、特に制限されず、例えば20〜40質量%程度が挙げられる。また、導電性粒子及び樹脂の配合量等は、溶剤が乾燥した後に前述の導電性感温材料における含有量となるように調整すればよい。
このインクには、溶剤に加えて、消泡剤などの公知の成分を加えてもよい。
インクの塗布法は、特に制限されず、例えば公知の方法を用いて行うことができ、例えば、キャスト法、ディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法などの塗布法;スクリーン印刷法、インクジェット法、グラビア印刷法、フレキソグラフィー印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法などの各種印刷法を採用することができる。
(温度分布センサシートの製造方法)
次に、温度分布センサシート1の製造方法について図6を参照して説明する。温度分布センサシート1は、例えば、以下のようにして製造される。まず、図6に示すように、フィルム基材2の上に第1の配線電極群3をスクリーン印刷により形成する。次に、第1の配線電極3aの上に導電性感温材料5をスクリーン印刷により形成する。次に、導電性感温材料5を挟むようにして、第1の配線電極群3の上に第2の配線電極群4をスクリーン印刷により形成する。
なお、第1の配線電極群3、第2の配線電極群4、および、導電性感温材料5をスクリーン印刷によって形成しているが、これに限定されず、インクジェット印刷や転写式により形成してもよい。また、第1の配線電極群3および第2の配線電極群4を、基板配線技術(銅エッチングなど)により配線してもよい。これにより、非常に薄く(例えば0.1mm)、且つ、柔軟性のある温度分布センサシート1を成形することができる。
なお、温度分布センサシート1の製造方法は上記のものに限定されず、フィルム基材2に対して、第1の配線電極群3、導電性感温材料5、第2の配線電極群4をこの順番で形成してもよい。
(センサシステム)
次に、本実施形態によるセンサシステムについて説明する。センサシステム101は、説明図である図7に示すように、温度分布センサシート1と、PC(Personal Computer)31と、コネクタ(電気回路)32とを有している。コネクタ32は、PC31に有線で電気的に接続されているが、無線で接続されていてもよい。
コネクタ32は、温度分布センサシート1を支持する。温度分布センサシート1の端部領域には、図示しない複数の端子が設けられており、各端子がコネクタ32に設けられた複数の接点のいずれかと電気的に接続される。温度分布センサシート1に設けられた複数の温度検出部21の各々は、対応する端子と配線を介して接続されている。
コネクタ32は、温度検出部21における電磁気的特性の変化を出力値として取得する。コネクタ32には、複数の温度検出部21に順番に電圧の印加等を行うために、マルチプレクサという電子素子が組み込まれている。
コネクタ32は、複数の温度検出部21に順番に電圧を印加することで、複数の温度検出部21の各々から順番に出力を得る。具体的には、第1の配線電極3aと第2の配線電極4aのうち、一方をドライブ電極、他方をレシーブ電極とすると、コネクタ32は、複数のドライブ電極に順番に電圧を印加し、印加された状態で複数のレシーブ電極の抵抗値を順番に測定することにより、それぞれの温度検出部21の出力を得る。レシーブ電極の抵抗値は、オペアンプで反転増幅し、電圧値として取得する。印加電圧や出力の増幅率を設定することで、出力を任意に増幅することができる。
コネクタ32は、温度分布センサシート1の各温度検出部21から出力された温度値を示すアナログ信号をデジタル信号に変換してPC31へと出力する。
PC31は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されているハードディスク及びROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一次記憶するためのRAM(Random Access Memory)とを有している。
また、センサシステム101は、温度分布センサシート1と同じ雰囲気の温度を測定する図示しない熱電対(計測器)を有している。熱電対は、コネクタ32に設置されているが、これに限定されず、温度分布センサシート1の近傍に設置されてもよい。熱電対から出力された測定信号は、デジタル信号に変換されてPC31に入力される。なお、温度分布センサシート1と同じ雰囲気の温度を測定する手段は熱電対に限定されない。また、温度のみならず、温度分布センサシート1と同じ雰囲気の湿度を測定する計測器を設けることもでき、この計測器を温度を計測する装置と一体化することもできる。
PC31は、複数の温度検出部21の各々で得られた出力値から温度分布を算出する算出部として機能する。複数の温度検出部21の各々で得られた出力値から温度分布を算出することで、被検体の温度分布を測定することができる。
温度分布センサにおける、センサ出力と温度との関係を図8に示す。ここで、センサ出力の単位は温度(℃)である。20℃から70℃の間で温度を変化させると、これに追従してセンサ出力が変化するのがわかる。
また、室温(22℃)で一定にした状態で温度分布センサを100kPa、200kPa、300kPa、400kPaと段階的に加圧したときの、温度分布センサの出力を図9に示す。温度センサ出力が圧力に依存しないことがわかる。
また、PC31には、本実施形態による校正プログラムに係るプログラムコードがインストールされている。これによって、PC31は、後述するイクイリブレーション処理及びキャリブレーション処理を行う制御部として機能する。
(温度分布センサのイクイリブレーション処理)
次に、図10に示すフローチャートを参照して、温度分布センサの温度分布を補正するイクイリブレーション処理について説明する。温度分布センサシート1は、複数の温度検出部21を備えているため、温度検出部21間で出力にばらつきが出ることが予想される。そこで、すべての温度検出部21を一定の温度に保持し、各温度検出部21の出力値とその平均値とを用いて、各温度検出部21同士の感度差を補正するための補正係数を導出しておくことで、実際の測定時に複数の温度検出部21同士の感度差を修正することが可能となる。すべての温度検出部21を一定の温度に保持する際には、恒温槽を好適に使用することができる。
まず、コネクタ32に温度分布センサシート1を装着する。そして、温度分布センサシート1を温度が一様な雰囲気中に設置する(ステップS1)。そして、PC31は、各温度検出部21のデジタル出力を取得する(ステップS2)。
次に、PC31は、各温度検出部21のデジタル出力の平均値を算出する(ステップS3)。そして、PC31は、各温度検出部21の補正係数を算出する(ステップS4)。具体的には、平均値を各出力値で除算した商を各温度検出部21の補正係数としてそれぞれ求める。そして、PC31は、各温度検出部21の補正係数を記憶する(ステップS5)。具体的には、PC31は、各温度検出部21の補正係数を含む校正ファイルを生成し、記憶部(RAM、ハードディスクなど)に記憶する。
一例として、図11(a)には、3行3列で9個の温度測定部(感温センサ)21で構成された仮想的な温度分布センサシート1のイクイリブレーション処理において、9個の温度検出部21から得られた各温度検出部21の出力値を示す。これら9個の出力値の平均値は49.9であるので、平均値/出力値を計算する。これらの除算によって得られた商が、図11(b)に示す各温度検出部21の補正係数である。
このようにして得られた補正係数を、実際の用途において温度分布センサシート1を使用して得られた温度検出部21からの出力値に乗算することで、図11(c)に示す補正結果となる。これにより、温度分布センサシート1内の複数の温度検出部21間の感度差をなくすことができる。
なお、上述した例では温度検出部21を1つの所定温度に保持して得られた出力値を用いてイクイリブレーション処理を行っているが、温度検出部21を互いに異なる2つ以上の所定温度に保持して得られた出力値を用いてイクイリブレーション処理を行ってもよい。その場合、各温度検出部21について図11(b)に示したような補正係数を互いに異なる2以上の所定温度でそれぞれ求め、その平均値を当該温度検出部21の固定した補正係数として導出してもよい。代替的には、互いに異なる2以上の所定温度でそれぞれ求めた補正係数から、補正係数を温度の関数として導出してもよい。
(温度分布センサのキャリブレーション処理)
次に、図12に示すフローチャートを参照して、温度分布センサの出力値を補正するキャリブレーション処理について説明する。本実施形態の校正プログラムは、温度分布センサシート1の一又は複数の温度検出部21が所定の温度に保持されているときに得られた一又は複数の温度検出部21からの出力値に基づいて、温度検出部に加えられた温度入力値に対して相関性(線形性、非線形性)のある温度出力値が得られるようにするための温度検出部21からの出力値に対する変換係数を導出するようにセンサシステム101を動作させる。即ち、キャリブレーション処理を行うようにセンサシステム101を動作させる。
各温度検出部21の出力は、実際の温度に比例した出力とならないことが予想される。そこで、既知の温度を温度入力値として加えた状態でそれぞれの温度検出部21の出力値を取得して、出力値と温度入力値との関係式(温度換算式)を求める。そして、この温度換算式から、各温度検出部21に加えられた温度入力値に対して相関性(線形性、非線形性)のある温度出力値が得られるようにするための温度検出部21からの出力値に対する変換係数を導出する。この変換係数を温度検出部21の出力値に乗算することで、温度検出部21に加えられた温度入力値に対して相関性(線形性、非線形性)のある温度出力値を得ることが可能となる。
まず、コネクタ32に温度分布センサシート1を装着する。そして、温度分布センサシート1を温度が一様な雰囲気中に設置する(ステップS11)。また、熱電対を温度分布センサシート1と同じ雰囲気中に設置する。そして、熱電対が測定した温度値xをPC31に入力する(ステップS12)。その後、PC31は、各温度検出部21のデジタル出力yを取得する(ステップS13)。なお、PC31が各温度検出部21のデジタル出力yを取得した後に、熱電対が測定した温度値xをPC31に入力してもよい。温度分布センサシート1と同じ雰囲気の温度を熱電対で測定することで、温度入力を自動で行うことができる。また、熱電対が測定した温度値を温度入力値とすることで、任意の温度で校正を行うことができる。
次に、別の温度による補正を行うか否かを判定する(ステップS14)。後述するように、2点以上を用いて直線補正または曲線補正を行う場合には、別の温度による補正を行うと判定し(S14:YES)、雰囲気の温度を変更する(ステップS15)。そして、ステップS12およびS13を繰り返す。即ち、校正プログラムは、温度分布センサシート1の一又は複数の温度検出部21が互いに異なる複数の温度に保持されているときに得られた一又は複数の温度検出部21からの出力値に基づいて、変換係数を導出するようにセンサシステム101を動作させる。
ステップS14において、別の温度による補正を行わないと判定した場合には(S14:NO)、PC31は変換係数を算出する(ステップS16)。具体的には、直線補正の場合には、温度換算式の傾きの逆数を、温度検出部21からの出力値に対する変換係数として求める。また、曲線補正の場合には、センサ出力値の関数を、温度検出部21からの出力値に対する変換係数として求める。ここで、センサ出力値とは、温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21からの出力値の総和である。そして、PC31は、各温度検出部21の変換係数を記憶する(ステップS17)。具体的には、PC31は、各温度検出部21の変換係数、および、温度換算式を含む校正ファイルを生成し、記憶手段(RAM、ハードディスクなど)に記憶する。
一例として、実際の温度検出部(感温センサ)21の入出力特性が、直線X1で表される場合、図13(a)に示すように、温度入力値x1(℃)に対してセンサ出力値y1(信号強度を表す任意の単位Raw)が得られる。ここでいう温度入力値x1は温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21に加えた温度値の総和であり、センサ出力値y1は温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21からの出力値の総和を意味している。PC31は、y=ax+bに既知の温度変化率(傾き)aとy1,x1とを代入することで切片bを求める。なお、既知の温度変化率aは、予め実験により取得されたものである。
また、一例として、実際の温度検出部21の入出力特性が直線X2で表される場合、図13(b)に示すように、温度入力値x1(℃)に対してセンサ出力値y1(信号強度を表す任意の単位Raw)が、温度入力値x2に対してセンサ出力値y2がそれぞれ得られる。ここでいう温度入力値x1,x2は温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21に加えた温度値の総和であり、センサ出力値y1,y2は温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21からの出力値の総和を意味している。PC31は、y=ax+bにこれら2点を代入することで、傾きaと切片bとを求める。
また、一例として、実際の温度検出部21の入出力特性が曲線Y1で表される場合、図13(c)に示すように、温度入力値x1(℃)に対してセンサ出力値y1(信号強度を表す任意の単位Raw)が、温度入力値x2に対してセンサ出力値y2が、温度入力値x3に対してセンサ出力値y3がそれぞれ得られる。ここでいう温度入力値x1,x2,x3は温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21に加えた温度値の総和であり、センサ出力値y1,y2,y3は温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21からの出力値の総和を意味している。PC31は、これら3点と既知の曲線式(対数曲線、累乗曲線)から最小二乗法を用いて傾きaを求める。具体的には、対数曲線の場合、傾きaと切片bとを求める。累乗曲線の場合、傾きaと指数bとを求める。
このようにして求められた変換係数を、実際の用途において温度分布センサシート1を使用して得られた温度検出部21からの出力値に乗算することで、温度検出部21への温度入力値とほぼ同じ値となる温度出力値を求めることができる。
なお、上述した例では温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21を用いてキャリブレーション処理を行っているが、全温度検出部21中の一部の温度検出部21(1つでもよい)を用いてキャリブレーション処理を行ってもよい。この場合、変換係数の精度を高めるためには、最初にイクイリブレーション処理を行い、出力値に補正係数を乗算した補正出力値に対して温度換算式を求めた方が好ましい。
(検証処理)
PC31は、イクイリブレーション処理で求められた温度検出部21ごとの補正係数、キャリブレーション処理で求められた変換係数、および、温度換算式を含む校正ファイルを生成し、記憶する。校正ファイルは、温度検出部21ごとの補正係数、及び、変換係数を含むものであってもよいし、補正係数に変換係数を乗算して得られた積を温度検出部21ごとの校正係数として含むものであってもよい。
校正プログラムは、温度検出部21の出力値に変換係数を乗算した温度出力値が、温度検出部21に加えられた温度入力値と一致するか判定するようにセンサシステム101を動作させる。即ち、PC31は、温度検出部21からの出力値に変換係数を乗算することで補正した温度出力値が、熱電対が測定した温度値(温度入力値)と一致するか判定する。
具体的には、互いに異なる2以上の所定の温度入力値を温度検出部21に加え、各出力値に補正係数と変換係数とを乗算して温度出力値を導出する。そして、各温度出力値と対応する温度入力値とを比較して所定の誤差範囲内に収まっているかどうかを確認する。なお、各出力値に変換係数のみを乗算して温度出力値を導出してもよい。
例えば、100℃の環境下で温度検出部21の個々の出力値がD1=121raw、D2=130raw、D3=142raw、D4=111rawであって、補正した温度出力値がD1=100℃、D2=100℃、D3=101℃、D4=100℃であった場合、その誤差は±1%以下であり、温度換算式は温度分布センサに適合していると判断できる。しかしながら、温度分布センサがこの温度換算式と合致していない場合、例えば、温度分布センサシート1を交換した場合や温度検出部21の劣化、損耗等で部分的に感度変化を起こした場合には、補正した温度出力値に、D1=112℃、D2=102℃、D3=109℃、D4=103℃のように誤差が生じる。この誤差の大きさを予め任意に設定していた閾値と比較することで、温度出力値と温度入力値との一致の度合いを把握することができる。これを温度分布センサシート1内のすべての温度検出部21について行う。そして、「校正ファイルが温度分布センサシートと適合していません」や「適合率99.8%」、「温度分布センサシートを交換してください。もしくは再度校正を実施してください」のような文言をディスプレイに表示させる。これにより、正確な計測を実施するための支援が可能となる。もし、所定の誤差範囲内に収まらない温度検出部21があった場合には、不良品として扱う、又は、イクイリブレーション処理及びキャリブレーション処理を再度行う。
また、校正プログラムは、複数の温度分布センサシート1毎に変換係数を記憶しておき、使用される温度分布センサシート1に最適な変換係数を選択するようにセンサシステム101を動作させる。即ち、PC31は、複数の温度分布センサシート1毎に校正ファイルを記憶しておき、使用される温度分布センサシート1に最適な校正ファイルを選択する。
例えば、特定の温度分布センサA(温度分布センサシートA)から取得して保存しておいた校正ファイルA1を、他の温度分布センサB,C(温度分布センサシートB,C)から取得して保存しておいた校正ファイルB1,C1と識別するために、常温あるいは特定の温度で温度分布センサAの各温度検出部21から取得した出力値と、校正ファイルA1,B1,C1の各々との適合率を算出する。これにより特定した最適な校正ファイルを温度検出部21からの出力値に反映(補正)することで、精度の良い計測が可能となる。ここで、予め複数の温度域で取得した出力値から校正ファイルを生成しておくことで、単独の温度域で取得した出力値から生成した校正ファイルを用いるのに比べて、より精度の良い計測が可能となる。
なお、温度検出部21は、吸湿によって電磁気的特性が変化したり、加水分解により、導電性感温材料5が劣化して変質することが考えられる。これに対しては、上述した計測器によって、温度分布センサシート1と同じ雰囲気の湿度を測定し、測定した湿度に基づいて、上述した変換係数を決定することもできる。すなわち、任意の湿度におけるキャリブレーションも合わせて行っておき、測定した湿度に対応する変換係数を用いて、センサシステム101を動作させることができる。このような機能も校正プログラムに実装しておくことができる。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る温度分布センサシート1によると、第1の配線電極3aの上に導電性感温材料5を形成し、導電性感温材料5の上に第2の配線電極4aを形成することで製造されたものであるので、第1の配線電極3aと導電性感温材料5との間、および、導電性感温材料5と第2の配線電極4aとの間に、後から貼り合わせたときにできるような貼り合わせ面(境界面)が存在しない。よって、被検体の温度を検出する際に、貼り合わせ面に加わった圧力で感熱性材料5の電磁気的特性が変化するようなことがないので、温度検出部21において変化する電磁気的特性に外乱が生じない。これにより、被検体の温度を精度よく測定することができる。
また、第1の配線電極3aから第2の配線電極4aにかけての厚みを均一にすることで、温度分布の計測時に、被検体による押圧力が温度検出部21に集中するのを防止することができる。その結果、温度検出部21に設けられた導電性感温材料5に歪が生じないので、測温誤差の発生を防止することができる。また、温度分布センサシート1が押し付けられた被検体に凹凸圧痕が発生するのを防止することができる。
また、温度検出部21を絶縁材料(保護用フィルム基材8など)で被覆することで、吸湿により温度検出部21の電磁気的特性が変化したり、加水分解により導電性感温材料5が劣化して変質したりするのを防止することができる。
また、本実施形態に係るセンサシステム101によると、複数の温度検出部21の各々で得られた出力値から温度分布を算出することで、被検体の温度分布を測定することができる。
また、温度分布センサシート1と同じ雰囲気の温度を熱電対で測定することで、温度入力を自動で行うことができる。
また、本実施形態に係る校正プログラムによると、温度検出部21に加えられた温度入力値に対して相関性(線形性、非線形性)のある温度出力値が得られるようにするための温度検出部21からの出力値に対する変換係数を導出する。各温度検出部21の出力値は、実際の温度に比例した値にならないことが予想される。そこで、一又は複数の温度検出部21からの出力値と一又は複数の温度検出部21に加えられた温度入力値との関係を表す温度換算式を導出する。そして、温度換算式から変換係数を導出し、温度検出部21の出力値に変換係数を乗算する。これにより、温度検出部21への温度入力値とほぼ同じ値となる温度出力値を求めることができる。よって、温度検出部21の出力値に対して適正な温度を得ることができる。
また、温度分布センサシート1の一又は複数の温度検出部21が互いに異なる複数の温度に保持されているときに得られた一又は複数の温度検出部21からの出力値に基づいて、変換係数を導出する。一又は複数の温度検出部21を、互いに異なる複数の温度に保持することで、温度と出力とが比例直線関係にない温度換算式を求めることができる。これにより、単一の温度に保持することで導出した変換係数よりも精度の高い変換係数を導出することができる。
また、温度検出部21の出力値に変換係数を乗算した温度出力値が、温度検出部21に加えられた温度入力値と一致するか判定する。例えば、温度分布センサシート1を交換した場合や温度検出部21の劣化、損耗等で部分的に感度変化を起こした場合には、補正した温度出力値に誤差が生じる。この誤差の大きさを予め任意に設定していた閾値と比較することで、温度出力値と温度入力値との一致の度合いを把握することができる。よって、誤差が生じた状態で計測が行われるのを回避することができる。
また、センサシステム101が有する熱電対が計測した温度値を温度入力値とすることで、任意の温度で校正を行うことができる。
また、複数の温度分布センサシート1毎に変換係数を記憶しておき、使用される温度分布センサシート1に最適な変換係数を選択する。例えば、常温あるいは特定の温度で各温度検出部21から取得した出力値と、複数の変換係数の各々との適合率を算出することで、最適な変換係数を特定する。この変換係数を温度検出部21からの出力値に反映することで、精度の良い計測が可能となる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、温度分布センサは、同じフィルム基材2の上に第1の配線電極群3と第2の配線電極群4とが互いに離隔して設けられ、第1の配線電極群3の端部と第2の配線電極群4の端部とを含む領域の上に、導電性感温材料5が設けられたものであってもよい。この場合であっても、導電性感温材料5に加えられた圧力が所定値以下であれば、第1の配線電極3aと導電性感温材料5との接触面積、および、第2の配線電極4aと導電性感温材料5との接触面積が変化しないようにすることで、導電性感温材料5において変化する電磁気的特性に外乱が生じないようにすることができる。
また、図14に示すように、保護フィルム8と、フィルム基材2との間の全体に亘って、絶縁材料9を充填することができる。これにより、保護フィルム8とフィルム基材2との間の距離がセンサーシート全体に亘って同じになり、圧力を均一に作用させることができる。すなわち、第1及び第2配線電極群3,4が交差する箇所は、例えば、図6に示すように、フィルム基材2から突出しているため、圧力が集中しやすいが、図14のようにすることで、この箇所に圧力が集中して作用するのが抑制され、配線電極群等を保護することができる。なお、製造方法としては、例えば、図6において、第2配線電極群4aを形成した後、フィルム基材2全体を覆うように、絶縁材料を形成し、その後、保護フィルム8を配置すればよい。
B.温度・圧力分布センサーシート
以下、本発明の温度及び圧力を測定可能なセンサーシートの好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、上述した温度分布センサーシートと共通の構成については、同一の符号を付して、説明を省略することがある。
(センサシートの構成)
本発明の実施形態によるセンサシートは、温度分布および圧力分布を測定するものである。このセンサシートは、温度分布を測定する温度分布センサと、圧力分布を測定する圧力分布センサとを有している。温度分布センサは、温度の高低に応じて抵抗値などの電磁気的特性が変化する複数の感温センサが二次元的に配列されたものである。また、圧力分布センサは、圧力の大小に応じて抵抗値などの電磁気的特性が変化する複数の感圧センサが二次元的に配列されたものである。
このようなセンサシートは、上述した温度分布センサーシートと同様の用途に用いることができる。
センサシート1は、図15〜図18に示すように、フィルム基材2と、フィルム基材2の上に設けられた第1の配線電極群3と、第1の配線電極群3の上に設けられた第2の配線電極群4と、第1の配線電極群3と第2の配線電極群4との間に設けられた導電性感温材料5と、を有している。なお、これらの温度分布を測定するための構成は、上述した温度分布センサシートと同じであるため、詳しい説明を省略する。例えば、図15〜図18に係る説明のうち、温度分布を測定するための構成は、温度分布センサーシートと同じである。
次に、圧力分布を測定するための構成について説明する。本実施形態に係るセンサシート1は、図15に示すように、第2の配線電極群4の上に設けられた第3の配線電極群6と、第2の配線電極群4と第3の配線電極群6との間に設けられた導電性感圧材料7と、を有している。導電性感圧材料7は、一対の導電性感圧材料7a,7b(第1部位、及び第2部位)からなるが、これに限定されず、単体であってもよい。この場合、例えば、第2の配線電極群4と導電性感圧材料7とを固定し、導電性感圧材料7と第3の配線電極群6とが離間可能に接触するようにすることができる。あるいは、第3の配線電極群6と導電性感圧材料7とを固定し、導電性感圧材料7と第2の配線電極群4とが離間可能に接触するようにすることができる。この点は、以下の実施形態においても同じであり、一対の電極の間に導電性感圧材料が配置されている場合、導電性感圧材料を2つに分割し、これらを各電極に固定した上で、分割した導電性感圧材料が離間可能に接触していればよい。あるいは、導電性感圧材料を一体化し、いずれか一方の電極と固定し、他方の電極とは離間可能に接触していればよい。
第3の配線電極群6は、図16に示すように、線状の第3の配線電極6aがA方向(第3の方向)に複数並設されてなる。なお、本実施形態において、第1の配線電極群3の第1の配線電極3aが並設される方向(第1の方向)と、第3の配線電極群6の第3の配線電極6aが並設される方向(第3の方向)とは同じであるが、これに限定されない。第3の配線電極群6の第3の配線電極6aが並設される方向(第3の方向)は、特に限定されない。
導電性感圧材料7aは、図17に示すように、複数の第2の配線電極4aの各々を覆うように設けられている。導電性感圧材料7bは、複数の第3の配線電極6aの各々を覆うように設けられている。しかし、導電性感圧材料7aおよび導電性感圧材料7bは、少なくとも後述する圧力検出部22に設けられて、第2の配線電極4aと第3の配線電極6aとの間に配置されていればよい。ここで、圧力検出部22は、第2の配線電極4aと第3の配線電極6aとが交差する箇所である。
第2の配線電極群4と第3の配線電極群6と導電性感圧材料7とは、圧力分布センサを構成している。図18に示すように、第2の配線電極4aと第3の配線電極6aとが交差する箇所である圧力検出部22の1つ1つが感圧センサとして機能する。
第2の配線電極群4と第3の配線電極群6とが積層する方向に沿って、圧力検出部22に圧力を加えると、互いに対向する導電性感圧材料7aと導電性感圧材料7bとが接触し、接触面積が変化することで、一対の導電性感圧材料7a,7b間の電気抵抗が変化する。電気抵抗は圧力検出部22から第2の配線電極4aと第3の配線電極6aとを通じて電源に伝達される。これにより抵抗値が測定される。測定した抵抗値から圧力検出部22に加えられた圧力を検出することができる。
なお、圧力検出部22は、加えられた圧力が増加するにつれてその抵抗値が低下するものであるが、加えられた圧力が増加するにつれてその抵抗値が増加するものであってもよい。また、圧力検出部22は、圧力の大小に応じて電荷量又は誘導電流などの抵抗値以外の電磁気的特性が変化するものであってもよい。
第3の配線電極6aは、第1の配線電極3aおよび第2の配線電極4aと同様に、銀箔、銅箔、アルミ箔等の金属箔や導電性ポリマー等からなる。導電性感圧材料7は、導電性感温材料5と同様に、導電性粒子にバインダーを添加してなるものである。本実施形態において、導電性感温材料5と導電性感圧材料7とは同一の組成からなるが、異なっていてもよい。それぞれの組成を調整することで、測定に必要な電子回路を共用することが可能となる。
なお、本実施形態においては、図15に示すように、温度分布センサと圧力分布センサとで第2の配線電極群4が供用されているが、この構成に限定されない。第2の配線電極群4と導電性感圧材料7aとの間に第4の配線電極群を設けて、この第4の配線電極群を構成する第4の配線電極の各々を覆うように導電性感圧材料7aを設けるようにしてもよい。この構成によれば、第1の配線電極群3と第2の配線電極群4と導電性感温材料5とで、温度分布センサが構成され、第4の配線電極群と第3の配線電極群6と導電性感圧材料7とで、圧力分布センサが構成されることになる。具体的な構成については、後述する。
さらに、センサシート1は、図15に示すように、第3の配線電極群6の上に設けられた保護用フィルム基材8を有している。保護用フィルム基材8は、フィルム基材2と同様に、ポリイミド、PETなどの可撓性を有する材料からなる。
ここで、本実施形態においては、図17に示すように、第1の配線電極3aの上に導電性感温材料5を形成し、導電性感温材料5の上に第2の配線電極4aを形成することで製造されたものである。すなわち、第1の配線電極3aと導電性感温材料5、および、導電性感温材料5と第2の配線電極4aとは、それぞれ密着し、固定されている。そのため、第1の配線電極3aと導電性感温材料5との間、および、導電性感温材料5と第2の配線電極4aとの間に、後から貼り合わせたときにできるような貼り合わせ面(境界面)が存在しない。この点は、上述した温度分布センサシートと同じである。
また、本実施形態においては、図18に示すように、平面視において、複数の温度検出部21が配置された領域と、複数の圧力検出部22が配置された領域とが重なっている。このように、複数の温度検出部21の配置領域と、複数の圧力検出部22の配置領域とを重ねることで、センサシート1をコンパクトに成形することができる。これにより、被検体の同一箇所に温度検出部21と圧力検出部22とをそれぞれ配置することができるので、被検体の同一箇所において温度と圧力とを同時に測定することができる。
なお、本実施形態においては、図18に示すように、平面視において、各温度検出部21と各圧力検出部22とが重なっているが、両者は重なっていなくてもよい。この点は、後述する変形例において、説明する。
図17に示すように、温度検出部21同士の間、および、圧力検出部22同士の間には、絶縁材料9が設けられている。これにより、第1の配線電極3aから第3の配線電極6aにかけての厚みが均一にされている。
第1の配線電極3aから第3の配線電極6aにかけての厚みを均一にすることで、温度分布および圧力分布の計測時に、被検体による押圧力が温度検出部21および圧力検出部22に集中するのを防止することができる。その結果、温度検出部21に設けられた導電性感温材料5に歪が生じないので、測温誤差の発生を防止することができる。また、圧力検出部22とそれ以外との高低差をなくすことができるので、高低差による測圧誤差の発生を防止することができる。また、センサシート1が押し付けられた被検体に凹凸圧痕が発生するのを防止することができる。
また、斜視図である図19に示すように、第3の配線電極群6の上には、絶縁材料からなる保護用フィルム基材8が設けられている。これにより、第3の配線電極6aの表面が保護されているとともに、第3の配線電極6a同士の短絡が防止されている。
圧力検出部22を保護用フィルム基材8や絶縁樹脂材といった絶縁材料で被覆することで、吸湿により圧力検出部22の電磁気的特性が変化したり、加水分解により導電性感圧材料7が劣化して変質したりするのを防止することができる。
(センサシートの製造方法)
次に、センサシート1の製造方法について図20を参照して説明する。センサシート1は、例えば、以下のようにして製造される。まず、図20に示すように、フィルム基材2の上に第1の配線電極群3をスクリーン印刷により形成する。次に、第1の配線電極3aの上に導電性感温材料5をスクリーン印刷により形成する。続いて、導電性感温材料5を挟むようにして、第1の配線電極群3の上に第2の配線電極群4をスクリーン印刷により形成する。これに続いて、第2の配線電極4aの上に導電性感圧材料7aをスクリーン印刷により形成する。
一方、保護用フィルム基材(第2のフィルム基材)8の上に第3の配線電極群6をスクリーン印刷により形成する。次に、第3の配線電極6aの上に導電性感圧材料7bをスクリーン印刷により形成する。その後、第2の配線電極群4と第3の配線電極群6とが対向するように、フィルム基材2と保護用フィルム基材8とを貼り合わせる。このとき、第2の配線電極4aの上に導電性感圧材料7aと、第3の配線電極6aの上に導電性感圧材料7bとは、接しているが、必ずしも固定しなくてもよい。すなわち、フィルム基材と保護用フィルム基材を離間すれば、これら導電性感圧材料7a,7bも離間可能とすることができる。
また、次のような製造方法を適用することもできる。図21に示すように、まず、フィルム基材2の上に第1の配線電極群3をスクリーン印刷により形成する。次に、第1の配線電極群3と直交するように、複数の帯状の導電性感温材料5をスクリーン印刷により平行に形成する。続いて、各導電性感温材料5上に第2の配線電極4aをスクリーン印刷により形成する。これにより、第2の配線電極群4が形成される。これに続いて、第2の配線電極4aの上に帯状の導電性感圧材料7aをスクリーン印刷により形成する。
その後の工程は、図20と同じであり、保護用フィルム基材(第2のフィルム基材)8の上に第3の配線電極群6、及び導電性感圧材料7bを順に、スクリーン印刷により形成する。そして、第1の配線電極群3と第3の配線電極群6とが対向するように、フィルム基材2と保護用フィルム基材8とを貼り合わせる。
なお、第1の配線電極群3、第2の配線電極群4、第3の配線電極群6、導電性感温材料5、および、導電性感圧材料7を、スクリーン印刷によって形成しているが、これに限定されず、インクジェット印刷や転写式により形成してもよい。また、第1の配線電極群3、第2の配線電極群4、および、第3の配線電極群6を、基板配線技術(銅エッチングなど)により配線してもよい。これにより、非常に薄く(例えば0.1mm)、且つ、柔軟性のあるセンサシート1を成形することができる。
なお、センサシート1の製造方法は上記のものに限定されず、フィルム基材2に対して、第1の配線電極群3、導電性感温材料5、第2の配線電極群4、導電性感圧材料7、第3の配線電極群6をこの順番で形成してもよい。
(センサシステム)
次に、本実施形態によるセンサシステムについて説明する。センサシステム101は、温度分布センサーシートのシステムと同様のものを用いることができる。すなわち、説明図である図7と同様に、センサシート1と、PC(Personal Computer)31と、コネクタ(電気回路)32とを有している。コネクタ32は、PC31に有線で電気的に接続されているが、無線で接続されていてもよい。これらの構成は、圧力分布センサが設けられている以外は、温度分布センサーシートのシステムと同じであるため、説明を省略する。
コネクタ32は、センサシート1を支持する。センサシート1の端部領域には、図示しない複数の端子が設けられており、各端子がコネクタ32に設けられた複数の接点のいずれかと電気的に接続される。センサシート1に設けられた複数の温度検出部21および複数の圧力検出部22の各々は、対応する端子と配線を介して接続されている。
コネクタ32は、温度検出部21および圧力検出部22における電磁気的特性の変化を出力値として取得する。コネクタ32には、複数の温度検出部21および複数の圧力検出部22に順番に電圧の印加等を行うために、マルチプレクサという電子素子が組み込まれている。上述したように、第2の配線電極群4を温度検出部21と圧力検出部22とで共用しているが、温度検出部21からの出力値の取得と、圧力検出部22からの出力値の取得とを時間的に分離することで、個別に出力を得ることができる。
コネクタ32は、複数の温度検出部21に順番に電圧を印加することで、複数の温度検出部21の各々から順番に出力を得る。この点は、上述した温度分布センサシートのシステムと同じである。
同様に、コネクタ32は、複数の圧力検出部22に順番に電圧を印加することで、複数の圧力検出部22の各々から順番に出力を得る。具体的には、第2の配線電極4aと第3の配線電極6aのうち、一方をドライブ電極、他方をレシーブ電極とすると、コネクタ32は、複数のドライブ電極に順番に電圧を印加し、印加された状態で複数のレシーブ電極の抵抗を順番に測定することにより、それぞれの圧力検出部22の出力を得る。レシーブ電極の抵抗値は、オペアンプで反転増幅し、電圧値として取得する。印加電圧や出力の増幅率を設定することで、出力を任意に増幅することができる。
コネクタ32は、センサシート1の各温度検出部21から出力された温度値を示すアナログ信号をデジタル信号に変換してPC31へと出力する。また、コネクタ32は、センサシート1の各圧力検出部22から出力された圧力値を示すアナログ信号をデジタル信号に変換してPC31へと出力する。
PC31の構成は、上述した温度センサーシートのシステムと同じである。
また、センサシステム101は、上述した温度センサーシートのシステムと同様の熱電対を有している。また、湿度を計測する計測器を有することもできる。
また、センサシステム101は、センサシート1に加えられる圧力を測定する図示しない圧力センサを有している。この点は、上述した温度分布センサシートのシステムと同じである。
PC31は、複数の温度検出部21の各々で得られた出力値から温度分布を算出するとともに、複数の圧力検出部22の各々で得られた出力値から圧力分布を算出する算出部として機能する。複数の温度検出部21の各々で得られた出力値から温度分布を算出することで、被検体の温度分布を測定することができる。また、複数の圧力検出部22の各々で得られた出力値から圧力分布を算出することで、被検体の圧力分布を測定することができる。
温度分布センサにおける、センサ出力と温度との関係は、上述した図8に示したものと同じであるため、説明を省略する。また、図9に係る説明についても同じである。
また、PC31は、温度検出部21および圧力検出部22の一方で得られた出力値に基づいて、他方で得られた出力値を補正する補正部として機能する。温度検出部21で得られた出力値に基づいて、圧力検出部22で得られた出力値を補正することで、圧力検出部22の温度依存性を排除することができる。また、圧力検出部22で得られた出力値に基づいて、温度検出部21で得られた出力値を補正することで、温度検出部21の圧力依存性を排除することができる。
圧力分布センサの温度依存性は、具体的には以下の方法で排除することができる。まず、一定加圧状態で温度を変化させたときの出力曲線より、圧力分布センサの温度依存性を求める。これは、センサシート1の工場出荷時に行ってもよいし、各ユーザーにより行ってもよい。また、すべての圧力検出部22に対して実施してもよいし、代表値をすべての圧力検出部22に適用してもよい。次に、温度分布センサを用いて複数の温度点における出力を測定することで、温度分布センサの校正を行う。即ち、後述するイクイリブレーション処理及びキャリブレーション処理を行う。これは、センサシート1の工場出荷時に行ってもよいし、各ユーザーにより行ってもよい。また、すべての温度検出部21に対して実施してもよいし、代表値をすべての温度検出部21に適用してもよい。
そして、圧力分布センサによる圧力分布の測定時に、校正された温度分布センサによって正確な温度値を取得し、先に求めた圧力分布センサの温度依存曲線を用いて圧力分布を補正する。これにより、圧力分布センサの温度依存性を排除することができる。この方法では、温度変化率と、圧力分布センサの温度依存性による変化率とが一致していなくても、圧力分布の補正が可能である。
また、温度分布センサの圧力依存性は、具体的には以下の方法で排除することができる。まず、一定温度に保持した状態で圧力を変化させたときの出力曲線より、温度分布センサの圧力依存性を求める。これは、センサシート1の工場出荷時に行ってもよいし、各ユーザーにより行ってもよい。また、すべての温度検出部21に対して実施してもよいし、代表値をすべての温度検出部21に適用してもよい。次に、圧力分布センサを用いて複数の圧力点における出力を測定することで、圧力分布センサの校正を行う。即ち、後述するイクイリブレーション処理及びキャリブレーション処理を行う。これは、センサシート1の工場出荷時に行ってもよいし、各ユーザーにより行ってもよい。また、すべての圧力検出部22に対して実施してもよいし、代表値をすべての圧力検出部22に適用してもよい。
そして、温度分布センサによる温度分布の測定時に、校正された圧力分布センサによって正確な圧力値を取得し、先に求めた温度分布センサの圧力依存曲線を用いて温度分布を補正する。これにより、温度分布センサの圧力依存性を排除することができる。この方法では、圧力変化率と、温度分布センサの圧力依存性による変化率とが一致していなくても、温度分布の補正が可能である。
また、PC31には、本実施形態による校正プログラムに係るプログラムコードがインストールされている。これによって、PC31は、後述するイクイリブレーション処理及びキャリブレーション処理を行う制御部として機能する。
(温度分布センサのイクイリブレーション処理、温度分布センサのキャリブレーション処理、及び検証処理)
温度分布センサのイクイリブレーション処理、温度分布センサのキャリブレーション処理、及び検証処理については、上述した温度分布センサシートのシステムと同じであるため、説明を省略する。
(圧力分布センサのイクイリブレーション処理)
次に、図22に示すフローチャートを参照して、圧力分布センサの圧力分布を補正するイクイリブレーション処理について説明する。センサシート1は、複数の圧力検出部22を備えているため、圧力検出部22間で出力にばらつきが出ることが予想される。そこで、すべての圧力検出部22に一定の圧力を加え、各圧力検出部22の出力とその平均値とを用いて、各圧力検出部22同士の感度差を補正するための補正係数を導出しておくことで、実際の測定時に複数の圧力検出部22同士の感度差を修正することが可能となる。すべての圧力検出部22に一定の圧力を加える際には、空圧で膨らむブラダ(空気袋)を好適に使用することができる。
まず、コネクタ32にセンサシート1を装着する。そして、センサシート1に一様な圧力を印加する(ステップS21)。そして、PC31は、各圧力検出部22のデジタル出力を取得する(ステップS22)。
次に、PC31は、各圧力検出部22のデジタル出力の平均値を算出する(ステップS23)。そして、PC31は、各圧力検出部22の補正係数を算出する(ステップS24)。具体的には、平均値を各出力値で除算した商を各圧力検出部22の補正係数としてそれぞれ求める。そして、PC31は、各圧力検出部22の補正係数を記憶する(ステップS25)。具体的には、PC31は、各圧力検出部22の補正係数を含む校正ファイルを生成し、記憶部(RAM、ハードディスクなど)に記憶する。
一例として、図23(a)には、3行3列で9個の圧力測定部(感圧センサ)22で構成された仮想的なセンサシート1のイクイリブレーション処理において、9個の感圧センサから得られた各感圧センサの出力値を示す。これら9個の出力値の平均値は49.9であるので、平均値/出力値を計算する。これらの除算によって得られた商が、図23(b)に示す各感圧センサの補正係数である。
このようにして得られた補正係数を、実際の用途においてセンサシート1を使用して得られた圧力検出部22からの出力値に乗算することで、図23(c)に示す補正結果となる。これにより、センサシート1内の複数の圧力検出部22間の感度差をなくすことができる。
なお、上述した例では圧力検出部22を1つの所定圧力で押圧して得られた出力値を用いてイクイリブレーション処理を行っているが、圧力検出部22を互いに異なる2つ以上の所定圧力で押圧して得られた出力値を用いてイクイリブレーション処理を行ってもよい。その場合、各圧力検出部22について図23(b)に示したような補正係数を互いに異なる2以上の所定圧力でそれぞれ求め、その平均値を当該圧力検出部22の固定した補正係数として導出してもよい。代替的には、互いに異なる2以上の所定圧力でそれぞれ求めた補正係数から、補正係数を圧力の関数として導出してもよい。
(圧力分布センサのキャリブレーション処理)
次に、図24に示すフローチャートを参照して、圧力分布センサの出力値を補正するキャリブレーション処理について説明する。本実施形態の校正プログラムは、センサシートの一又は複数の圧力検出部22に所定の圧力を加えたときに得られた一又は複数の圧力検出部22からの出力値に基づいて、圧力検出部22に加えられた圧力入力値に対して相関性(線形性、非線形性)のある圧力出力値が得られるようにするための圧力検出部22からの出力値に対する変換係数を導出するようにセンサシステム101を動作させる。即ち、キャリブレーション処理を行うようにセンサシステム101を動作させる。
各圧力検出部22の出力は、実際の圧力に比例した出力とならないことが予想される。そこで、既知の圧力を圧力入力値として加えた状態でそれぞれの圧力検出部22の出力値を取得して、出力値と圧力入力値との関係式(圧力換算式)を求める。そして、この圧力換算式から、各圧力検出部22に加えられた圧力入力値に対して相関性(線形性、非線形性)のある圧力出力値が得られるようにするための圧力検出部22からの出力値に対する変換係数を導出する。この変換係数を圧力検出部22の出力値に乗算することで、圧力検出部22に加えられた圧力入力値に対して相関性(線形性、非線形性)のある圧力出力値を得ることが可能となる。
まず、コネクタ32にセンサシート1を装着する。そして、センサシート1に一様な圧力を印加する(ステップS31)。そして、圧力センサが測定した圧力値xをPC31に入力する(ステップS32)。その後、PC31は、各圧力検出部22のデジタル出力yを取得する(ステップS33)。なお、PC31が各圧力検出部22のデジタル出力yを取得した後に、圧力センサが測定した圧力値xをPC31に入力してもよい。
次に、別の圧力による補正を行うか否かを判定する(ステップS34)。後述するように、2点以上を用いて直線補正または曲線補正を行う場合には、別の圧力による補正を行うと判定し(S34:YES)、加圧値を変更する(ステップS35)。そして、ステップS32およびS33を繰り返す。即ち、校正プログラムは、センサシート1の一又は複数の圧力検出部22に互いに異なる複数の圧力を加えたときに得られた一又は複数の圧力検出部22からの出力値に基づいて、変換係数を導出するようにセンサシステム101を動作させる。
ステップS34において、別の圧力による補正を行わないと判定した場合には(S34:NO)、PC31は補正係数を算出する(ステップS36)。具体的には、直線補正の場合には、温度換算式の傾きの逆数を、圧力検出部22からの出力値に対する変換係数として求める。また、曲線補正の場合には、センサ出力値の関数を、圧力検出部22からの出力値に対する変換係数として求める。ここで、センサ出力値とは、センサシート1内のすべての圧力検出部22からの出力値の総和である。そして、PC31は、各圧力検出部22の変換係数を記憶する(ステップS37)。具体的には、PC31は、各圧力検出部22の変換係数、および、圧力換算式を含む校正ファイルを生成し、記憶手段(RAM、ハードディスクなど)に記憶する。
一例として、実際の圧力検出部22の入出力特性が、0点を通る直線X3で表される場合、図25(a)に示すように、圧力入力値x1(kPa)に対してセンサ出力値y1(信号強度を表す任意の単位Raw)が得られる。ここでいう圧力入力値x1はセンサシート1内のすべての圧力検出部22に加えた圧力値の総和であり、センサ出力値y1はセンサシート1内のすべての圧力検出部22からの出力値の総和を意味している。PC31は、y=axにy1,x1を代入することで温度変化率(傾き)aを求める。
また、一例として、実際の圧力検出部22の入出力特性が、0点を通る曲線Y2で表される場合、図25(b)に示すように、圧力入力値x1(kPa)に対してセンサ出力値y1(信号強度を表す任意の単位Raw)が、圧力入力値x2に対してセンサ出力値y2がそれぞれ得られる。ここでいう圧力入力値x1,x2はセンサシート1内のすべての圧力検出部22に加えた圧力値の総和であり、センサ出力値y1,y2はセンサシート1内のすべての圧力検出部22からの出力値の総和を意味している。PC31は、これら2点と0点と既知の曲線式(累乗曲線)から最小二乗法を用いて傾きaと指数bとを求める。
このようにして求められた変換係数を、実際の用途においてセンサシート1を使用して得られた圧力検出部22からの出力値に乗算することで、圧力検出部22への圧力入力値とほぼ同じ値となる圧力出力値を求めることができる。
なお、上述した例ではセンサシート1内のすべての圧力検出部22を用いてキャリブレーション処理を行っているが、全圧力検出部22中の一部の圧力検出部22(1つでもよい)を用いてキャリブレーション処理を行ってもよい。この場合、変換係数の精度を高めるためには、最初にイクイリブレーション処理を行い、出力値に補正係数を乗算した補正出力値に対して圧力換算式を求めた方が好ましい。
(検証処理)
PC31は、イクイリブレーション処理で求められた圧力検出部22ごとの補正係数、キャリブレーション処理で求められた変換係数、および、圧力換算式を含む校正ファイルを生成し、記憶する。校正ファイルは、圧力検出部22ごとの補正係数、及び、変換係数を含むものであってもよいし、補正係数に変換係数を乗算して得られた積を圧力検出部22ごとの校正係数として含むものであってもよい。
校正プログラムは、圧力検出部22の出力値に変換係数を乗算した圧力出力値が、圧力検出部22に加えられた圧力入力値と一致するか判定するようにセンサシステム101を動作させる。即ち、PC31は、圧力検出部22からの出力値に変換係数を乗算することで補正した圧力出力値が、圧力センサが測定した圧力値(圧力入力値)と一致するか判定する。その具体的な方法は、温度分布センサにおけるものと同じであるため、その説明を省略する。
また、PC31は、複数のセンサシート1毎に圧力検出部22に係る校正ファイルを記憶しておき、使用されるセンサシート1に最適な校正ファイルを選択する。その具体的な方法は、温度分布センサにおけるものと同じであるため、その説明を省略する。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るセンサシート1によると、平面視において、複数の温度検出部21が配置された領域と、複数の圧力検出部22が配置された領域とを重ねることで、センサシート1をコンパクトに成形することができる。これにより、被検体の同一箇所に温度検出部21と圧力検出部22とをそれぞれ配置することができるので、被検体の同一箇所において温度と圧力とを同時に測定することができる。
また、上述した温度分布センサシートと同様に、第1の配線電極3aの上に導電性感温材料5を形成し、導電性感温材料5の上に第2の配線電極4aを形成することで製造されたものであるので、被検体の温度を精度よく測定することができる。その他、温度センサシートで示したのと同様の効果を得ることができる。
また、第1の配線電極3aから第3の配線電極6aにかけての厚みを均一にすることで、温度分布および圧力分布の計測時に、被検体による押圧力が温度検出部21および圧力検出部22に集中するのを防止することができる。その結果、温度検出部21に設けられた導電性感温材料5に歪が生じないので、測温誤差の発生を防止することができる。また、圧力検出部22とそれ以外との高低差をなくすことができるので、高低差による測圧誤差の発生を防止することができる。また、センサシート1が押し付けられた被検体に凹凸圧痕が発生するのを防止することができる。
また、圧力検出部22を絶縁材料(保護用フィルム基材8など)で被覆することで、吸湿により圧力検出部22の電磁気的特性が変化したり、加水分解により導電性感圧材料7が劣化して変質したりするのを防止することができる。
また、本実施形態に係るセンサシステム101によると、複数の温度検出部21の各々で得られた出力値から温度分布を算出することで、被検体の温度分布を測定することができる。また、複数の圧力検出部22の各々で得られた出力値から圧力分布を算出することで、被検体の圧力分布を測定することができる。
また、温度検出部21で得られた出力値に基づいて、圧力検出部22で得られた出力値を補正することで、圧力検出部22の温度依存性を排除することができる。また、圧力検出部22で得られた出力値に基づいて、温度検出部21で得られた出力値を補正することで、温度検出部21の圧力依存性を排除することができる。
また、本実施形態に係る校正プログラムによると、次の効果を得ることができる。但し、温度検出については、既に述べたとおりである。
また、圧力検出部22に加えられた圧力入力値に対して相関性(線形性、非線形性)のある圧力出力値が得られるようにするための圧力検出部22からの出力値に対する変換係数を導出する。各圧力検出部22の出力値は、実際の圧力に比例した値にならないことが予想される。そこで、一又は複数の圧力検出部22からの出力値と一又は複数の圧力検出部22に加えられた圧力入力値との関係を表す圧力換算式を導出する。そして、圧力換算式から変換係数を導出し、圧力検出部22の出力値に変換係数を乗算する。これにより、圧力検出部22への圧力入力値とほぼ同じ値となる圧力出力値を求めることができる。よって、圧力検出部22の出力値に対して適正な温度を得ることができる。
また、センサシート1の一又は複数の圧力検出部22に互いに異なる複数の圧力を加えたときに得られた一又は複数の圧力検出部22からの出力値に基づいて、変換係数を導出する。一又は複数の圧力検出部22に、互いに異なる複数の圧力を加えることで、圧力と出力とが比例直線関係にない圧力換算式を求めることができる。これにより、単一の圧力を加えることで導出した変換係数よりも精度の高い変換係数を導出することができる。
また、圧力検出部22の出力値に変換係数を乗算した圧力出力値が、圧力検出部22に加えられた圧力入力値と一致するか判定する。例えば、センサシート1を交換した場合や圧力検出部22の劣化、損耗等で部分的に感度変化を起こした場合には、補正した圧力出力値に誤差が生じる。この誤差の大きさを予め任意に設定していた閾値と比較することで、圧力出力値と圧力入力値との一致の度合いを把握することができる。よって、誤差が生じた状態で計測が行われるのを回避することができる。
また、複数のセンサシート1毎に変換係数を記憶しておき、使用されるセンサシート1に最適な変換係数を選択する。例えば、常温あるいは特定の温度で各温度検出部21から取得した出力値と、複数の変換係数の各々との適合率を算出することで、最適な変換係数を特定する。この変換係数を温度検出部21からの出力値に反映することで、精度の良い計測が可能となる。この点は、圧力検出部22についても、同様である。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、図26〜図28に示すように、各温度検出部21と各圧力検出部22とが重ならないようにすることもできる。図26は、この温度圧力センサーシートを示す平面図(保護用フィルム基材8を除いた平面図)、図27は図26のA−A線断面図、図28は図26のB−B線断面図である。
図26〜図28に示すように、この温度圧力センサーシートでは、フィルム基材上に、第1の配線電極3aと第3の配線電極6aを交互に配置している。そして、第1の配線電極3a上に導電性感温材料5を配置し、第3の配線電極6a上に導電性感圧材料7aを配置している。また、保護用フィルム基材8上に、第2の配線電極4aと第4の配線電極6bとを交互に配置している。第4の配線電極6bは、第1〜第3の配線電極と同様の材料で形成されている。そして、第4の配線電極6b上には、導電性感圧材料7bを配置している。その後、フィルム基材1と、保護用フィルム基材8とが、配線電極同士が対向するように貼り合わせる。これにより、図26に示すように、第1の配線電極3aと第2の配線電極4aが交差する箇所が、温度検出部21を構成し、第3の配線電極6aと第4の配線電極6bが交差する箇所、つまり、導電性感圧材料7a,7bが接触する箇所が圧力検出部22を構成する。
このような構成により、各温度検出部21と各圧力検出部22とが重ならないように分散することができる。温度及び圧力の測定は、上述したものと同様である。温度を測定する場合には、例えば、複数の温度検出部21に順番に電圧を印加することで、複数の温度検出部21の各々から順番に出力を得る。具体的には、第1の配線電極3aと第2の配線電極4aのうち、一方をドライブ電極、他方をレシーブ電極とすると、コネクタ32は、複数のドライブ電極に順番に電圧を印加し、印加された状態で複数のレシーブ電極の抵抗値を順番に測定することにより、それぞれの温度検出部21の出力を得る。
同様に、圧力を測定する場合には、複数の圧力検出部22に順番に電圧を印加することで、複数の圧力検出部22の各々から順番に出力を得る。具体的には、第3の配線電極6aと第4の配線電極6bのうち、一方をドライブ電極、他方をレシーブ電極とすると、コネクタ32は、複数のドライブ電極に順番に電圧を印加し、印加された状態で複数のレシーブ電極の抵抗を順番に測定することにより、それぞれの圧力検出部22の出力を得る。
製造において、保護用フィルム基材8には、第4の配線電極6bと導電性感圧材料7bのみを配置し、第2の配線電極4aをフィルム基材1側に配置することもできる。
なお、上記の例における第1の配線電極3a、第2の配線電極4a、第3の配線電極6a、及び第4の配線電極6bが、本発明に係る第4の配線電極、第5の配線電極、第6の配線電極、及び第7の配線電極に相当する。
また、次のような構成にすることもできる。この点について、図29〜図31を参照しつつ説明する。図29は、この温度圧力センサーシートを示す平面図(保護用フィルム基材8を除いた平面図)、図30は図29のC−C線断面図、図31はこの温度圧力センサーシートの製造方法を示す図である。
図29〜図31に示すように、この温度圧力センサーシートでは、図26〜図28と同様に、フィルム基材2上に、第1の配線電極3aと第3の配線電極6aを交互に配置している。そして、第1の配線電極3a上に導電性感温材料5を配置し、第3の配線電極6a上に導電性感圧材料7aを配置している。さらに、導電性感温材料5上に所定間隔をおいて導電性接着剤95を配置する。また、保護用フィルム基材8上に、第2の配線電極4aを所定間隔をおいて配置し、これらと交差するように、導電性感圧材料7bを配置する。但し、第2の配線電極4a間の保護用フィルム基材上には、必ずしも導電性感圧材料7bを配置する必要はない。なお、第4の配線電極6bは、第1〜第3の配線電極と同様の材料で形成されている。その後、フィルム基材1と、保護用フィルム基材8とが、配線電極同士が対向するように貼り合わせる。具体的には、導電性接着剤95により、第2の配線電極4aを、導電性感温材料5上に固定する。また、導電性感温材料7a上に、導電性感温材料7bが配置されるようにするが、これらは接触しているだけで、固定はされない。これにより、図29に示すように、第1の配線電極3aと第2の配線電極4aが交差する箇所が、温度検出部21を構成し、第3の配線電極6aと第4の配線電極6bが交差する箇所、つまり、導電性感圧材料7a,7bが接触する箇所が圧力検出部22を構成する。図26と異なり、図29の例では、縦の列(図29の上下方向の列)における交差箇所は、すべて温度検出部21または圧力検出部22を構成する。そして、温度検出部21を有する列と、圧力検出部22を有する列が横方向(図29の左右方向)に交互に配置される。
このセンサの動作方法は、図26〜図28に示すセンサと同じである。
なお、上記例における第1の配線電極3a、第2の配線電極4a、及び第3の配線電極6aが、本発明に係る第1の配線電極、第2の配線電極、及び第3の配線電極に相当する。
上記の各例では、第1の配線電極と第3の配線電極、及び第2の配線電極4aと第4の配線電極6bを、それぞれ交互に配置しているが、交互に配置せず、必要な箇所に、温度検出部21や圧力検出部22が配置されるように、配線電極の位置を適宜変更することもできる。
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下では、温度分布センサーシートを構成する各温度検出部を構成する感温素子について検討する。すなわち、以下では、基材4に、第1の電極2、導電性感温材料1、及び第2の電極3をこの順で積層した感温素子について検討する。なお、この感温素子は、例えば、後述する図43及び図44に示すように、基材4上に、第1の電極2と第2の電極3とを所定間隔をおいて配置し、これら電極2,3の間に導電性感温材料1を配置した態様とすることもできる。すなわち、本発明に係る感温素子は、少なくとも1つの第1の電極(例えば、本発明に係る第1または第4の配線電極に相当)と、少なくとも1つの第2の電極(例えば、本発明に係る第2または第5の配線電極に相当)と、各第1の電極及び前記各第2の電極に電気的に接続された、少なくとも1つの導電性感温材料と、を備えていればよい。
(実施例1〜3及び比較例1)
表1に記載の導電性粒子、樹脂、フィラー、溶剤、及び消泡剤を遊星式攪拌脱泡装置(クラボウ社製のマゼルスターKK−V1000)を用いて混合して導電性感温材料を形成するためのインクを調製した。各成分の詳細は、後述の通りである。
次に、得られたインクを用いて、図32及び図33に示されるような構成を備える感温素子10を製造した。具体的には、図32及び図33に示されるように、ポリイミドシート4(東レ・デュポン社製のカプトン300V)の上に、第1の電極2(ポリイミドの銀フィラー分散体、サンワ化学工業社製のSAP−15、厚みxa=8μm、幅ya=2mm、長さza=7mm)をスクリーン印刷により配置した。次に、電極2の端部を覆うようにして、前述のインクをスクリーン印刷により塗布し、導電性感温材料1(電極の上面に位置する部分の厚みxb=28μm、幅yb=5mm、長さzb=3mm)を形成した。次に、導電性感温材料1の周囲を囲むように流動防止壁7(サンワ化学工業社製のIRP−1407、厚みxb=28μm、外形幅yc=6mm、外形長さzc=4mm)をスクリーン印刷により形成した。これに続いて、導電性感温材料1を覆うようにして、第2の電極3(ポリイミドの銀フィラー分散体、サンワ化学工業社製のSAP−15、厚みxd=8μm、幅yd=7mm、長さzd=2mm)をスクリーン印刷により形成した。なお、温度測定を行う際、融点の低い感温抵抗体1を用いると、その融点より高い温度の測定を行うと、感温抵抗体1が流動するおそれがある。そこで、上記実施例では、感温抵抗体1の周囲に流動防止壁7を設けている。
(電気抵抗値及びその変化率の測定)
上記で得られた感温素子10を用いて、次の条件で表1に記載の各温度における電気抵抗値及び電気抵抗値の変化率を測定した。すなわち、感温素子10を恒温槽(ヤマト科学株式会社製 DF612)に配置し、感温素子10の傍らに熱電対(アズワン株式会社製、被覆熱電対(Dg−K-5m-Y端子))を設置する。そして、熱電対の温度を温度レコーダ(株式会社キーエンス製 NR−1000)でモニターしながら、テスター(日置電機株式会社製 デジタルハイテスタ3805−50)にて各温度における電気抵抗値及び電気抵抗値の変化率を測定した。結果を表1に示す。また、実施例1〜3及び比較例1における測定温度と電気抵抗値との関係を示すグラフを図34〜図37に、測定温度と電気抵抗値の逆数との関係を示すグラフを図38〜図41に、測定温度と電気抵抗値の変化率との関係を示すグラフを図42に示す。
(体積抵抗率の測定)
上記で得られたインクを用い、図43及び図44に示される構造の感温素子10を製造して、表1に記載の温度における体積抵抗率を測定した。具体的には、図43及び図44に示されるように、ポリイミドシート4(東レ・デュポン社製のカプトン300V)の上に、第1の電極2(ポリイミドの銀フィラー分散体、サンワ化学工業社製のSAP−15、厚みx=8μm、幅ya=2mm、長さz=5mm)及び第1の電極3(ポリイミドの銀フィラー分散体、サンワ化学工業社製のSAP−15、厚みx=8μm、幅yb=2mm、長さz=5mm)を間隔y1を空けてスクリーン印刷により形成した。次に、両電極2、3との間を埋めるようにして、前述のインクをスクリーン印刷により塗布し、導電性感温材料1(厚みx=28μm、幅y1=5mm、長さz=5mm)を形成した。
得られた感温素子10を用いて、表1に記載の各温度における体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
表1において、各成分の詳細は以下の通りである。
カーボンブラック:キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製のXC−72Rポリイミド樹脂/エポキシ樹脂、酸化チタン、及びトリエチレングリコールジメチルエーテル、N-メチル-2-ピロリドンの混合物:サンワ化学工業社製のIRP−1407アクリル系重合物:楠本化成社製のディスパロン1970
1 センサシート
2 フィルム基材
3 第1の配線電極群
3a 第1の配線電極
4 第2の配線電極群
4a 第2の配線電極
5 導電性感温材料
6 第3の配線電極群
6a 第3の配線電極
7 導電性感圧材料
8 保護用フィルム基材
9 絶縁材料
21 温度検出部
22 圧力検出部
31 PC
32 コネクタ
101 センサシステム

Claims (30)

  1. フィルム基材と、
    前記フィルム基材上に設けられた、複数の第1の配線電極対であって、当該各第1の配線電極対は、交差する一対の配線電極を有する、複数の第1の配線電極対と、
    前記各第1の配線電極対において、前記一対の配線電極の交差する箇所である温度検出部に設けられ、当該一対の配線電極の間に配置された導電性感温材料と、
    を備え、
    複数の前記温度検出部の各々は、温度の高低に応じて電磁気的特性が変化するように構成されており、
    前記一対の配線電極と前記導電性感温材料とが固定されている、センサーシート。
  2. 前記複数の第1の配線電極対は、
    前記フィルム基材の上に設けられ、線状の第1の配線電極が第1の方向に複数並設されてなる第1の配線電極群と、
    前記第1の配線電極群の上に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に線状の第2の配線電極が複数並設されてなる第2の配線電極群と、
    を備え、
    前記導電性感温材料は、
    前記第1の配線電極と前記第2の配線電極とが交差する箇所である前記温度検出部に設けられ、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極との間に配置されており、
    前記第1の配線電極の上に前記導電性感温材料が固定されるように形成され、前記導電性感温材料の上に前記第2の配線電極が固定されるように形成されている、請求項1に記載のセンサシート。
  3. 前記温度検出部同士の間に絶縁材料が設けられることで、前記第1の配線電極から前記第2の配線電極にかけての厚みが均一にされている、請求項2に記載のセンサシート。
  4. 前記温度検出部が絶縁材料で被覆されている、請求項2又は3に記載のセンサシート。
  5. 前記フィルム基材上に設けられた、複数の第2の配線電極対であって、当該各第2の配線電極対は、交差する一対の配線電極を有する、複数の第2の配線電極対と、
    前記各第2の配線電極対において、前記一対の配線電極の交差する箇所である圧力検出部に設けられ、当該一対の配線電極の間に配置された導電性感圧材料と、
    をさらに備え、
    複数の前記圧力検出部の各々は、前記各第2の配線電極対において、前記一対の配線電極が積層する方向に加えられた圧力の大小に応じて電磁気的特性が変化するように、構成されている、請求項1に記載のセンサーシート。
  6. 前記複数の第1の配線電極対は、
    前記フィルム基材の上に設けられ、線状の第1の配線電極が第1の方向に複数並設されてなる第1の配線電極群と、
    前記第1の配線電極群の上に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に線状の第2の配線電極が複数並設されてなる第2の配線電極群と、
    を備え、
    前記導電性感温材料は、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極とが交差する箇所である前記温度検出部に設けられ、前記第1の配線電極と前記第2の配線電極との間に配置されており、
    前記複数の第2の配線電極対は、
    前記第2の配線電極群と、
    前記第2の配線電極群の上または下に設けられ、前記第2の方向と交差する第3の方向に線状の第3の配線電極が複数並設されてなる第3の配線電極群と、
    を備え、
    前記導電性感圧材料は、前記第2の配線電極と前記第3の配線電極とが交差する箇所である前記圧力検出部に設けられ、前記第2の配線電極と前記第3の配線電極との間に配置されている、請求項5に記載のセンサーシート。
  7. 平面視において、複数の前記温度検出部が配置された領域と、複数の前記圧力検出部が配置された領域とが重なっている、請求項6に記載のセンサーシート。
  8. 平面視において、複数の前記温度検出部が配置された領域と、複数の前記圧力検出部が配置された領域とが重なっていない、請求項6に記載のセンサーシート。
  9. 前記導電性感圧材料は、第1部位と、第2部位とを備え、
    前記第1部位は、前記各第2の配線電極に沿って配置され、
    前記第2部位は、前記各第3の配線電極に沿って配置され、
    前記第1部位と第2部位とは、離間可能に接触している、請求項6に記載のセンサーシート。
  10. 前記複数の第1の配線電極対は、
    前記フィルム基材の上に設けられ、線状の第4の配線電極が第1の方向に複数並設されてなる第4の配線電極群と、
    前記第4の配線電極群の上に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に線状の第5の配線電極が複数並設されてなる第5の配線電極群と、
    を備え、
    前記導電性感温材料は、前記第4の配線電極と前記第5の配線電極とが交差する箇所である前記温度検出部に設けられ、前記第4の配線電極と前記第5の配線電極との間に配置されており、
    前記複数の第2の配線電極対は、
    前記フィルム基材の上に設けられ、線状の第6の配線電極が前記第1の方向に複数並設されてなる第6の配線電極群と、
    前記第6の配線電極群の上に設けられ、前記第2の方向に線状の第7の配線電極が複数並設されてなる第7の配線電極群と、
    を備え、
    前記導電性感圧材料は、前記第6の配線電極と前記第7の配線電極とが交差する箇所である前記圧力検出部に設けられ、前記第6の配線電極と前記第7の配線電極との間に配置されており、
    平面視において、複数の前記温度検出部が配置された領域と、複数の前記圧力検出部が配置された領域とが重なっていない、請求項5に記載のセンサーシート。
  11. 前記第4の配線電極と前記第6の配線電極は、前記第2の方向に沿って交互に配置され、
    前記第5の配線電極と前記第7の配線電極は、前記第1の方向に沿って交互に配置されている、請求項10に記載のセンサーシート。
  12. 前記温度検出部同士の間、および、前記圧力検出部同士の間に絶縁材料が設けられることで、前記第1の配線電極から前記第3の配線電極にかけての厚みが均一にされている、請求項10又は11に記載のセンサシート。
  13. 請求項5〜12のいずれかに記載のセンサシートと、
    前記温度検出部および前記圧力検出部における電磁気的特性の変化を出力値として取得する電気回路と、
    複数の前記温度検出部の各々で得られた出力値から温度分布を算出するとともに、複数の前記圧力検出部の各々で得られた出力値から圧力分布を算出する算出部と、
    少なくとも、前記センサーシートの動作を制御する制御部と、
    を有する、センサシステム。
  14. 前記温度検出部および前記圧力検出部の一方で得られた出力値に基づいて、他方で得られた出力値を補正する補正部をさらに有する請求項13に記載のセンサシステム。
  15. 前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器をさらに有する、請求項13又は14に記載のセンサシステム。
  16. 前記制御部は、
    前記センサシートの一又は複数の前記温度検出部が所定の温度に保持されているときに得られた前記一又は複数の温度検出部からの出力値に基づいて、前記温度検出部に加えられた温度入力値に対して相関性のある温度出力値が得られるようにするための前記温度検出部からの出力値に対する変換係数を導出するように、請求項13〜15のいずれかに記載のセンサシステム。
  17. 前記制御部は
    前記センサシートの一又は複数の前記温度検出部が互いに異なる複数の温度に保持されているときに得られた前記一又は複数の温度検出部からの出力値に基づいて、前記変換係数を導出する、請求項16に記載のセンサシステム。
  18. 前記制御部は、
    前記温度検出部の出力値に前記変換係数を乗算した温度出力値が、前記温度検出部に加えられた温度入力値と一致するか判定する、請求項16または17に記載のセンサシステム。
  19. 前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器をさらに有し、
    前記制御部は、前記計測器が計測した温度値を前記温度入力値とする、請求項16〜18のいずれかに記載のセンサシステム。
  20. 前記制御部は、
    前記センサシートの一又は複数の前記圧力検出部に所定の圧力を加えたときに得られた前記一又は複数の圧力検出部からの出力値に基づいて、前記圧力検出部に加えられた圧力入力値に対して相関性のある圧力出力値が得られるようにするための前記圧力検出部からの出力値に対する変換係数を導出する、請求項16〜19のいずれかに記載のセンサシステム。
  21. 前記制御部は、
    前記センサシートの一又は複数の前記圧力検出部に互いに異なる複数の圧力を加えたときに得られた前記一又は複数の圧力検出部からの出力値に基づいて、前記変換係数を導出する、請求項20に記載のセンサシステム。
  22. 前記制御部は、
    前記圧力検出部の出力値に前記変換係数を乗算した圧力出力値が、前記圧力検出部に加えられた圧力入力値と一致するか判定する、請求項20または21に記載のセンサシステム。
  23. 前記制御部は、
    複数の前記センサシート毎に前記変換係数を記憶しておき、使用される前記センサシートに最適な変換係数を選択する、請求項16〜22のいずれかに記載のセンサシステム。
  24. 前記センサシートと同じ雰囲気の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する計測器をさらに有し、
    前記制御部は、前記計測器によって測定された湿度に基づいて、前記変換係数を決定する、請求項16〜23のいずれかに記載のセンサシステム。
  25. 前記導電性感温材料が、導電性粒子及び樹脂を含んでおり、
    200℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の1.2倍以上である、請求項1〜12のいずれかに記載のセンサーシート。
  26. 30℃〜200℃の温度範囲における体積抵抗率が、10Ω・cm〜100KΩ・cmの範囲にある、請求項25に記載のセンサーシート。
  27. 前記導電性感温材料は、前記導電性粒子の含有量が15質量%未満である、請求項25または26に記載のセンサーシート。
  28. 前記導電性感温材料の厚みが100μm以下である、請求項25〜27のいずれかに記載のセンサーシート。
  29. 100℃での電気抵抗値が、30℃での電気抵抗値の5倍以下である、請求項25〜28のいずれかに記載のセンサーシート。
  30. 30℃〜200℃の温度範囲における電気抵抗値の変化率が0.12〜2.4%/℃の範囲にある、請求項25〜29のいずれかに記載のセンサーシート。
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