JP2016118493A - Gnss測位装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】測位信号がマルチパスの影響を受けている可能性がある環境において、測位精度の低下を抑制できるGNSS測位装置を提供する。【解決手段】自車両の周辺に存在する周辺車両が測位衛星から受信した測位信号のC/Nを含む車両受信情報を、周辺車両から受信する無線通信器と、測位衛星が送信した測位信号を受信するGNSS受信器と、GNSS受信器が受信した測位信号のC/Nを取得する受信品質取得部(S1)と、受信品質取得部が取得したC/Nと、無線通信器が受信した車両受信情報に含まれているC/Nとの比較に基づいて、受信品質取得部が取得したC/Nに対応する測位信号が、マルチパスの影響を受けているか否かを判断する判断部(S3)と、GNSS受信器が受信した測位信号から、判断部がマルチパスの影響を受けていると判断した測位信号を除外して、測位演算を行う測位演算部(S5、S6)とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、GNSS測位装置に関し、特に、測位精度を向上させる技術に関する。
GNSS(Global Navigation Satellite System)測位においては、測位信号がマルチパスの影響を受けていると、測位誤差が大きくなる。そこで、特許文献1では、固定基準局が、位置補正用データに加えて、固定基準局における衛星ごとの搬送波電力対雑音電力密度比(以下、C/N)を移動局に送信する。移動局は、自身で受信した衛星ごとの測位信号に基づいてC/Nを算出し、固定基準局から受信したC/Nと比較する。
移動局が受信した測位信号がマルチパスの影響を受けていると、C/Nが劣化する。そこで、移動局は、自身が算出したC/Nと、固定基準局から受信したC/Nとを比較して、閾値以上、C/Nが劣化している測位信号は測位演算から除外する。
国際公開第2006/132003号公報
特許文献1の技術を実施するためには、移動局の比較的近隣に固定基準局がある必要がある。移動局と固定基準局との距離が離れるほど衛星受信環境が異なるため、マルチパスの影響を正しく判断できない可能性が高くなる。また、ネットワーク型RTK法のように、仮想的な固定基準局を用いて位置補正する手法には適用できないという問題もある。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、測位信号がマルチパスの影響を受けている可能性がある環境において、測位精度の低下を抑制できるGNSS測位装置を提供することにある。
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、発明の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するための本発明は、車両の周辺に存在する周辺車両が測位衛星から受信した測位信号の受信品質を表す受信品質情報を含む車両受信情報を、周辺車両から受信する車車間通信器(101)と、測位衛星から測位信号を受信する受信器(102)と、受信器が受信した測位信号の受信品質情報を取得する受信品質取得部(S1)と、受信品質取得部が取得した受信品質情報と、車車間通信器が受信した車両受信情報に含まれている受信品質情報との比較に基づいて、受信品質取得部が取得した受信品質情報に対応する測位信号が、マルチパスの影響を受けているか否かを判断する判断部(S3)と、受信器が受信した測位信号から、判断部がマルチパスの影響を受けていると判断した測位信号を除外して、測位演算を行う測位演算部(S5、S6)とを備えることを特徴とするGNSS測位装置である。
本発明のGNSS測位装置は、周辺車両から受信した車両受信情報に含まれている受信品質情報と、自身が受信した測位信号の受信品質情報とを比較する。周辺車両は自車両の周辺に存在する車両であるので、自車両と衛星受信環境が類似している。したがって、周辺車両から受信した車両受信情報に含まれている受信品質情報と、自車両の受信器が受信した測位信号の受信品質情報を比較することで、自車両の受信器が受信した測位信号がマルチパスの影響を受けているか否かを精度よく判断することができる。自車両の受信器が受信した測位信号がマルチパスの影響を受けていると判断した場合には、その測位信号を除外して測位演算を行う。よって、測位信号がマルチパスの影響を受ける可能性がある環境でも、測位精度の低下を抑制できる。
また、周辺車両から受信した車両受信情報を用いて、受信器が受信した測位信号がマルチパスの影響を受けているか否かを判断しており、仮想基準局における受信品質を必要としない。よって、ネットワーク型RTK法のように、仮想的な固定基準局を用いて位置補正する手法にも適用できる。
実施形態の車載装置100が使用される状況を例示する図である。 図1の車載装置100の構成図である。 図2の測位処理部105が、測位信号11を受信した場合に実行する処理を示すフローチャートである。 衛星管理DBの構造を説明する図である。 図3のステップS3の詳細処理を示すフローチャートである。 図5のステップS34の判断を行う理由を説明するための図である。 図3のステップS4の具体的処理を示すフローチャートである。 図7のステップS41で生成する車両受信情報のフォーマットを示す図である。 図2の測位処理部105が、車両受信情報14を受信した場合に実行する処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1では、本発明のGNSS測位装置としての機能を備える車載装置100a、100b、100cが、それぞれ、自車両C0、他車両C1、C2に搭載されている。これら車載装置100a、100b、100cは同じ構成である。以下、これら車載装置100a、100b、100cを区別しないときは、車載装置100と記載する。なお、図1では、他車両C1、C2の数は2台であるが、2台は一例である。
車載装置100は、GNSS測位衛星(以下、単に測位衛星)G(n=1、2・・)が周期的に送信する測位信号11を受信し、その測位信号11に基づいて現在位置を逐次算出する。測位衛星GはGPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidouの各衛星測位システムのうち、少なくとも一つの衛星測位システムが備える測位衛星である。
測位信号11aは、直接、車載装置100に受信されているのに対して、測位信号11bは、建物13により反射して自車両C0に搭載された車載装置100aに受信されている。すなわち、測位信号11bはマルチパスの影響を受けた測位信号である。
また、車載装置100は、互いに車車間通信により車両受信情報14を送受信する。この車両受信情報14は、車両受信情報14を送信する車載装置100が測位衛星Gから受信した測位信号11のC/N(dB)などを含んでいる情報である。C/Nは請求項の受信品質情報に相当する。車載装置100は、周辺車両から受信した車両受信情報14を用いて測位信号11bを判断して、測位信号11bを除外して測位演算を行う。
(車載装置100の構成)
車載装置100は、図2に示すように、無線通信器101、GNSS受信器102、ジャイロセンサ103、車速センサ104、測位処理部105、アプリケーション部106を備えている。
無線通信器101は、請求項の車車間通信器に相当しており、周辺車両と通信を行う通信器である。通信方式は、狭域通信でも、広域通信でもよい。たとえば、ARIB STD-T109に規定されている規格に従う狭域通信を行う。
GNSS受信器102は、測位信号11を受信し、その測位信号11に基づいて、測位演算に必要なコード疑似距離、搬送波位相、ドップラーシフトなどを決定する。また、C/Nを、測位信号11を受信した測位衛星Gごとに決定する。そして、これら、コード疑似距離、搬送波位相、ドップラーシフト、C/Nを、測位衛星Gを特定する衛星IDとともに測位処理部105に送信する。衛星IDは測位信号に含まれている衛星番号、あるいは、拡散コードである。
ジャイロセンサ103は、車両Cの姿勢変化を検出する。車速センサ104は、車載装置100が搭載されている車両Cの速度を検出する。これらジャイロセンサ103、車速センサ104は、地下や高架下等で衛星測位ができないときに、慣性推測航法を行うためのセンサである。これらジャイロセンサ103、車速センサ104の検出値は、測位処理部105へ送信される。
測位処理部105は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータであり、無線通信器101、GNSS受信器102、ジャイロセンサ103、車速センサ104から得た情報を用いて現在位置を表す座標を逐次算出する。そして、算出した座標をアプリケーション部106に送信する。なお、測位処理部105が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
アプリケーション部106は、測位処理部105が算出した座標を利用してドライバに対するサービスを行う。サービスは、たとえば、経路案内、カーブ逸脱防止制御、駐車支援、車両間衝突防止支援、自動走行制御などである。
(測位信号11を受信した場合の処理)
図3は、測位処理部105が実行する機能のうち、GNSS受信器102が測位信号11を受信した場合に実行する処理を示している。なお、以下の説明では、自車両C0に搭載されている車載装置100aを例にして説明する。
GNSS受信器102が、コード疑似距離、搬送波位相、ドップラーシフト、C/N、衛星IDなど測位処理部105に送信すると、それを測位処理部105が受信する(ステップS1)。これをトリガとして、ステップS2以下を実行する。ステップS1の処理が請求項の受信品質取得部に相当する。
GNSS受信器102が測位処理部105にコード擬似距離等を送信する周期は100msecとする。したがって、図3の処理は、100msec周期で実行することになる。ただし、この周期は変更可能であり、同じ車載装置100であっても、他車両Cm(mは1、2、・・・)に搭載されている車載装置100がこの図3の処理を実行する周期が異なることもある。
ステップS2では、ステップS1で受信した衛星IDを受信衛星リストに登録し、また、その衛星IDと、ステップS1で受信したC/Nを、衛星管理データベース(以下、衛星管理DB)に登録する。受信衛星リストは、GNSS受信器102が現エポックで測位信号11を受信している測位衛星Gの衛星IDを列挙したリストである。なお、エポックとは、データ取得時を意味する。
衛星管理DBは、図4に例示しているように、衛星IDごとに、自車両C0のGNSS受信器102が受信した測位信号11のC/N、他車両CmのGNSS受信器102が受信した測位信号11のC/N、他車両Cmの除外情報を格納している。他車両Cmの除外情報とは、他車両Cmが、測位信号11を受信したが、その測位信号11を測位演算には使用しない(すなわち除外する)と決定したか否かを1と0により表している。除外情報=1は除外すると決定したことを意味し、0は除外しないと決定したことを意味する。
この衛星管理DBはエポック毎に作成する。また、詳しくは図9を用いて説明するが、衛星管理DBは、自車両C0の周辺に存在する他車両である周辺車両から車両受信情報14を受信したことに基づいて更新する。
ステップS3では、衛星管理DBに含まれている全測位衛星Gを対象にして、除外衛星とするか否かを判断して、除外衛星とした測位衛星Gの衛星IDのリストである除外衛星リストを作成する。
除外衛星とは、測位信号11を受信したが、その測位信号11を、後述する測位演算(S6)においては除外する測位信号11を送信した測位衛星Gを意味する。除外する理由は、測位信号11がマルチパスの影響を受けていると判断したからである。このステップS3は、請求項の判断部に相当する。ステップS3の詳細処理を図5に示す。
ステップS31では、判断対象となっている測位衛星Gについて、衛星管理DBの他車両C/Nの中で最大のC/Nを抽出する。C/Nが最大である場合、受信品質が最もよいことを意味する。判断対象となっている測位衛星Gは、この図5の初回の実施時は、最も小さい衛星IDとなっている測位衛星Gである。たとえば、図4に例示している衛星管理DBでは、最初の判断対象となる測位衛星Gは衛星Gであり、他車両C/Nの中で最大のC/Nは65(dB)である。
ステップS32では、自車両C/Nが、ステップS31で抽出した他車両C/Nの最大値よりも小さく、かつ、他車両C/Nの最大値と自車両C/Nとの差が閾値T1以上であるか否かを判断する。閾値T1は、たとえば4dBである。この閾値T1は請求項の所定値に相当する。
自車両C/Nと他車両C/Nの最大値を比較するだけでなく、その差が閾値T1以上であるかも判断している理由は、次の通りである。すなわち、他車両C/Nの最大値よりも自車両C/Nが小さい測位信号をすべて除外してしまうと、測位演算に用いる測位信号11の数が少なくなりやすく、その結果、かえって測位精度が低下してしまう恐れがあるからである。
ステップS32の判断がYESであればステップS33に進み、判断対象となっている測位衛星Gの衛星IDを除外衛星リストに追加する。前述したように、衛星管理DBは、周辺車両から車両受信情報14を受信したことに基づいて更新している。自車両C0と周辺車両とは、受信環境が類似しているため、C/Nが互いに似た値になりやすい。それにもかかわらず、自車両C/Nが他車両C/Nの最大値よりも閾値T1以上低い場合には、自車両C0が受信した測位信号11は、マルチパスの影響を受けて、C/Nが低下している可能性が高い。そこで、ステップS33では、除外衛星リストに、判断対象となっている測位衛星Gの衛星IDを追加するのである。
図4の例では、衛星Gは、ステップS32の判断がYESになるので、ステップS33の処理により、除外衛星リストに追加される。一方、衛星G2は、ステップS32の判断がNOになる。
ステップS32の判断がNOである場合にはステップS34に進む。ステップS34では、他車除外情報が1であるC/Nが、自車両C/N以上であるか否かを判断する。この判断がYESである場合にも、自車両C0が受信した測位信号11は、マルチパスの影響を受けて、C/Nが低下していると判断し、判断対象となっている測位衛星Gの衛星IDを除外衛星リストに追加する(ステップS35)。この理由を説明する。
他車両Cm(ここではC2とする)に搭載されている車載装置100も図5の処理を実行する。他車両C2が測位信号11を除外している理由は、他車両C2において、図5のステップS32の判断またはステップS34の判断がYESとなったためである。
ステップS32の判断がYESになるのは、他車両C2にとっての他車両(ここではC3とする)が受信した測位信号11のC/Nよりも、他車両C2が受信した測位信号11のC/Nが低く、かつ、その差が閾値T1以上である場合である。
そして、衛星管理DBは、周辺車両から受信した車両受信情報14に基づいて更新するので、他車両C2、C3は互いに近い位置に存在している。また、図4に示す衛星管理DBには、他車両C2からの情報が格納されている。すなわち、自車両C0と他車両C2は互いに近い位置に存在する。したがって、自車両C0と他車両C3も互いに近い位置に存在すると言える。
ステップS34の判断がYESになる場合、自車両C0が受信した測位信号11のC/Nは、他車両C3が同じ測位衛星Gから受信した測位信号11のC/Nよりも低く、かつ、その差は閾値T1以上であることになる。そこで、ステップS34の判断がYESになった場合も、判断対象となっている測位衛星Gの衛星IDを除外衛星リストに追加するのである。
図4の例では、衛星Gは、ステップS34の判断がYESになる。たとえば、図6に示す状況において、ステップS34の判断がYESになる。図6では、自車両C0と他車両C3の距離は比較的近いが、建物15により電波が遮蔽されているので、他車両C3が無線通信器101(図6には示さず)から送信した車両受信情報14を、自車両C0は受信できない。
しかし、他車両C2、C3との通信、および、自車両C0と他車両C2との通信は、建物15により遮蔽されない。また、同図に示すように、ある同じ測位衛星G(Gとする)から受信した測位信号11のC/Nは、自車両C0、他車両C2は、ともにマルチパスの影響を受けているためC/N=45であり、他車両C3はC/N=60であるとする。
この図6に例示する状況であると、他車両C2に搭載されている車載装置100cは、図4の衛星Gの欄に例示しているように、衛星Gについて、C/N=45、除外情報=1を含んだ車両受信情報14を送信する。この車両受信情報14を自車両C0が備える車載装置100aが受信すると、衛星Gについて、図5のステップS34がYESになり、衛星Gを除外衛星リストに追加する。
図5のステップS33またはS35を実行した場合、または、ステップS34の判断がNOになった場合にはステップS36に進む。ステップS36では、衛星管理DBに含まれる全衛星について、除外衛星リストに追加するか否かの判定を行なったか否かを判断する。
このステップS36の判断がNOであればステップS37に進む。ステップS37では、判定対象の測位衛星Gを次の測位衛星Gに設定する。その後、ステップS31に戻る。ステップS31〜S37を繰り返し実行して、ステップS36の判断がYESになると、図5の処理を終了する。この場合、図3のステップS4に進む。
ステップS4は請求項の送信制御部としての処理であり、衛星管理DBに含まれている各測位衛星Gについて受信品質を表す自車両C/N、ステップS3で作成した除外衛星リストなどを含む車両受信情報14を作成して、無線送信する。
ステップS4の具体的処理を図7に示す。ステップS41では、無線信号フォーマットに従って車両受信情報14を生成する。図8に、その無線信号フォーマットを示す。図8に示すように、無線信号フォーマットは、車両ID、情報生成時刻、車両位置情報と、測位信号11を受信した測位衛星Gの衛星ID、その測位信号11のC/N、その測位信号11を測位演算から除外したか否かを表す除外情報を含んでいる。除外情報は、前述したように、0または1であり、0は除外しないと決定したことを意味し、1は除外すると決定したことを意味する。なお、除外情報が1となっている衛星IDが、請求項の除外衛星IDに相当する。
この図8において、車両IDは、車載装置100が搭載されている車両Cまたは無線通信器101に付与されているIDである。車両位置情報は、車載装置100を搭載している車両Cの現在位置である。この現在位置は、後述するステップS6で演算する最新の現在位置である。衛星IDは、前述したように、測位信号に含まれている衛星番号、あるいは、拡散コードである。なお、この車両受信情報14に含ませる衛星ID、C/N、除外情報は、測位信号11を受信した測位衛星Gに限る。したがって、無線信号フォーマットは全体として可変長フィールドである。
ステップS42では、ステップS41で生成した車両受信情報14を、無線通信器101へ送信することにより、その無線通信器101から、自車両C0の外部へ車両受信情報14を送信する。送信方式は、受信相手を指定する方式でもよいし、受信相手を指定しないで放送する方式でもよい。
(車両受信情報14を受信した場合の処理)
車両受信情報14が他車両Cmから送信され、他車両Cmの無線通信器101の通信圏内に自車両C0が位置していると、他車両Cmから送信された車両受信情報14を、自車両C0の無線通信器101が受信する。無線通信器101は、その車両受信情報14を測位処理部105に送る。この場合、測位処理部105は、図9に示す処理を実行する。
ステップS11では、車両受信情報14を無線通信器101から受信する。これをトリガとして、ステップS12へ進む。ステップS12では、車両受信情報14に含まれている情報生成時刻は、衛星管理DBの有効期限内であるか否かを判断する。有効期限は、ここでは衛星管理DBを新規に作成してから1秒とする。
ステップS12の判断がYESであればステップS13に進む。ステップS13では、ステップS11で受信した車両受信情報14に含まれている車両位置情報と、自車両C0の現在位置とを比較して、車両受信情報14を送信した他車両Cmは、自車両C0から閾値T2(m)以内に位置しているか否かを判断する。閾値T2は、たとえば200mとする。したがって、本実施形態では、周辺車両を、自車両C0の周囲、200mに存在する他車両Cmとしていることになる。この閾値T2は請求項の所定距離に相当する。
ステップS13の判断がYESであればステップS14に進む。ステップS14では、ステップS11で受信した車両受信情報14を用いて衛星管理DBを更新する。したがって、図3の実行周期の間に、同じ他車両Cmから同じ測位衛星GについてのC/Nを含んでいる車両受信情報14を複数回受信した場合には、最新のC/Nが衛星管理DBに反映される。
ステップS12の判断がNOになった場合、および、ステップS13の判断がNOになった場合にはステップS15に進み、ステップS11で受信した車両受信情報14を破棄する。
説明を図3に戻す。ステップS5では、受信衛星リストから、ステップS3で作成した除外衛星リストに含まれている測位衛星Gを除外する。
ステップS6では、受信衛星リストに残った測位衛星Gから受信した測位信号11を用いて、公知の測位演算を行って、自車両C0の現在位置を更新する。ステップS5、S6は請求項の測位演算部に相当する。
ステップS7では、ステップS6で得た測位演算結果を、アプリケーション部106に送信する。測位演算結果には、現在位置を示す緯度、経度、高度のほか、HDOP(horizontal dilution of precision)や、測位方式を示す測位ステータスなど、測位誤差を類推できる情報も含まれている。
ステップS8では、衛星管理DBを更新する。衛星管理DBは、前述したように、有効期限を1秒としている。有効期限が切れた場合には、衛星管理DB全体を破棄して、次回のステップS2において新規に作成する。
衛星管理DB自体は有効期限内である場合、衛星管理DBに格納されている各レコードのうち、ライフタイムが切れたレコードを破棄する。本実施形態では、このライフタイムは、この図3の実行周期としている。したがって、衛星管理DBには、図3の実行周期の間に受信した他車受信情報に含まれているC/N、除外情報のみを格納していることになる。
よって、他車両Cmが車両受信情報14を送信する周期が、自車両C0が図3を実行する周期よりも長い場合には、他車両Cmが車両受信情報14を送信した後、最初に自車両C0が図3を実行したときは、他車両Cmが送信した車両受信情報14に含まれているC/N、除外情報が衛星管理DBに格納される。しかし、次に、自車両C0が図3を実行したときは、他車両Cmが送信した車両受信情報14に含まれているC/N、除外情報は衛星管理DBから破棄される。
また、図9のステップS14で説明したように、他車両Cmが車両受信情報14を送信する周期が、自車両C0が図3を実行する周期よりも短い場合には、その他車両Cmが送信する最新の車両受信情報14に含まれているC/N、除外情報が衛星管理DBに格納される。
なお、各車両Cは、測位衛星Gから受信する測位信号11に含まれている時刻により同期して図3の処理を実行する。その結果、ある車両CがステップS4で車両受信情報14を送信してから、別の車両Cが図9の処理を実行するまで、通信遅延時間分の差がある。そのため、衛星管理DBに含まれている他車両CmのC/Nが決定された時刻は、自車両C0がC/Nを決定した時刻よりも、1エポック前の時刻である。
(実施形態の効果)
以上、説明した本実施形態では、同じ測位衛星Gについて、周辺車両から受信した車両受信情報に含まれているC/Nと、自車両C0のGNSS受信器102が受信した測位信号11のC/Nとを比較する(S32、S34)。周辺車両は自車両C0の周辺に存在する車両であるので、自車両C0と衛星受信環境が類似している。
したがって、同じ測位衛星Gから受信した測位信号11について、周辺車両から受信した車両受信情報に含まれているC/Nと、自車両C0のGNSS受信器102が受信した測位信号11のC/Nを比較することで、自車両C0のGNSS受信器102が受信した測位信号11がマルチパスの影響を受けているか否かを精度よく判断することができる。
自車両C0のGNSS受信器102が受信した測位信号11がマルチパスの影響を受けていると判断した場合には(S32:YES、S34:YES)、その測位信号11を除外して測位演算を行う(S5、S6)。よって、測位信号11がマルチパスの影響を受ける可能性がある環境でも、測位精度の低下を抑制できる。
周辺車両から受信した車両受信情報に含まれているC/Nと、自車両C0のGNSS受信器102が受信した測位信号11のC/Nとの比較は、2種類行う。まず1つは、周辺車両から受信した車両受信情報に含まれているC/Nよりも、自車両C0のGNSS受信器102が受信した測位信号11のC/Nの方が閾値T1以上低い場合には、判断対象となっている測位衛星Gから受信した測位信号11を、測位演算から除外する。
それだけではなく、2つ目の比較として、他車両Cmの除外情報=1であるC/Nが自車両C/N以上である場合(S34:YES)も、測位信号11を測位演算から除外する(S35)。これにより、図6を用いて説明したように、他車両C2が受信した測位信号11もマルチパスの影響を受けているとしても、その他車両C2から受信した車両受信情報に基づいて、自車両C0が受信した測位信号11がマルチパスの影響を受けていることを判断できる。
また、周辺車両から受信した車両受信情報を用いて、GNSS受信器102が受信した測位信号11がマルチパスの影響を受けているか否かを判断しているので、仮想基準局における受信品質を必要としない。よって、ネットワーク型RTK法のように、仮想的な固定基準局を用いて位置補正する手法にも適用できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
11:測位信号、 13:建物、 14:車両受信情報、 15:建物、 100:車載装置、 101:無線通信器、 102:GNSS受信器、 103:ジャイロセンサ、 104:車速センサ、 105:測位処理部、 106:アプリケーション部、 C0:自車両、 Cm:他車両、 Gn:測位衛星

Claims (8)

  1. 自車両の周辺に存在する周辺車両が測位衛星から受信した測位信号の受信品質を表す受信品質情報を含む車両受信情報を、前記周辺車両から受信する車車間通信器(101)と、
    前記測位衛星から前記測位信号を受信する受信器(102)と、
    前記受信器が受信した前記測位信号の前記受信品質情報を取得する受信品質取得部(S1)と、
    前記受信品質取得部が取得した前記受信品質情報と、前記車車間通信器が受信した前記車両受信情報に含まれている前記受信品質情報との比較に基づいて、前記受信品質取得部が取得した前記受信品質情報に対応する前記測位信号が、マルチパスの影響を受けているか否かを判断する判断部(S3)と、
    前記受信器が受信した前記測位信号から、前記判断部がマルチパスの影響を受けていると判断した測位信号を除外して、測位演算を行う測位演算部(S5、S6)とを備えることを特徴とするGNSS測位装置。
  2. 請求項1において、
    前記受信品質情報が受信品質を数値で表すものであり、
    前記判断部は、前記受信器が受信した前記測位信号についての前記受信品質情報が、前記車車間通信器が受信した前記車両受信情報に含まれている前記受信品質情報よりも所定値以上、受信品質が悪いことを示す値になっていることに基づいて、前記受信器が受信した前記測位信号がマルチパスの影響を受けていると判断することを特徴とするGNSS測位装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記車両受信情報には、前記受信品質情報とともに、前記周辺車両が測位演算において除外した測位信号を送信した前記測位衛星のIDである除外衛星IDも含まれており、
    前記判断部は、前記車両受信情報に含まれている前記除外衛星IDと、前記受信器が受信した前記測位信号を送信した前記測位衛星のIDとが同じであり、かつ、前記車車間通信器が受信した前記受信品質情報が表す受信品質が、前記受信品質取得部が取得した前記受信品質情報が表す受信品質以上である場合に、前記受信品質取得部が取得した前記受信品質情報に対応する前記測位信号が、マルチパスの影響を受けていると判断することを特徴とするGNSS測位装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記車両受信情報には、前記周辺車両の位置が含まれており、
    前記判断部は、前記自車両の位置と前記車両受信情報に含まれている前記周辺車両の位置との間の距離が所定距離以下である場合に、前記受信品質取得部が取得した前記受信品質情報と、前記車車間通信器が受信した前記車両受信情報に含まれている前記受信品質情報とを比較することを特徴とするGNSS測位装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    前記車両受信情報には、この車両受信情報を生成した時刻である情報生成時刻が含まれており、
    前記判断部は、前記車両受信情報に含まれている前記情報生成時刻が有効期限内である場合に、前記受信品質取得部が取得した前記受信品質情報と、前記車車間通信器が受信した前記車両受信情報に含まれている前記受信品質情報とを比較することを特徴とするGNSS測位装置。
  6. 請求項5において、
    前記判断部は、前記受信器が、前記有効期限内に、同一の前記測位衛星から受信した前記測位信号の前記受信品質情報を複数の前記周辺車両から受信した場合、複数の前記受信品質情報のうち、最もよい受信品質を表す前記受信品質情報と、前記受信品質取得部が取得した前記受信品質情報とを比較することを特徴とするGNSS測位装置。
  7. 車両に搭載され、
    測位衛星から測位信号を受信する受信器(102)と、
    前記受信器が受信した前記測位信号に基づいて測位演算を行う測位演算部(S5、S6)と、
    前記受信器が受信した前記測位信号の受信品質を表す受信品質情報を含む車両受信情報を前記車両の周囲に送信する車車間通信器(101)とを備えることを特徴とするGNSS測位装置。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記受信品質情報と、前記測位演算部が除外した測位信号を送信した前記測位衛星のIDである除外衛星IDとを含ませた前記車両受信情報を、前記車車間通信器を用いて、前記自車両の周辺に送信する送信制御部(S4)を備えることを特徴とするGNSS測位装置。
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