JP2016117697A - 口腔用組成物及び口腔用組成物の変色防止方法 - Google Patents
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アスコルビン酸エステル又はその塩を配合した口腔用組成物について、その効果を高めたり、安定化する技術は、種々提案されている(特許文献1〜4参照)。
この場合、(A)、(B)、(C)成分を組み合わせると、特に((A)+(B))/(C)の質量比が特定範囲内において、意外にもイプシロンアミノカプロン酸が変色防止剤として作用し、60℃で1ヶ月保存しても(A)、(B)成分の併用系を含む製剤の変色を抑制し得る優れた変色防止効果を与え、これによって、製剤変色を抑制しつつ防腐力を向上することができる。
なお、抗炎症成分であるイプシロンアミノカプロン酸に変色防止作用があることは今まで知られておらず、また、本発明の上記作用効果は、イプシロンアミノカプロン酸に特異なものであり、口腔用組成物用として公知の他の抗炎症成分を(A)、(B)成分に組み合わせてもなし得ない、格別なものである。
〔1〕
(A)アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を0.1〜1質量%、
(B)パラオキシ安息香酸エステルを0.01〜1質量%、及び
(C)イプシロンアミノカプロン酸を0.01〜0.1質量%
含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(A)アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩が、アスコルビン酸リン酸エステルのナトリウム塩又はマグネシウム塩である〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕
((A)+(B))/(C)が質量比として4〜55である〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕
(A)アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を0.1〜1質量%と(B)パラオキシ安息香酸エステルを0.01〜1質量%とを含有する口腔用組成物に、(C)イプシロンアミノカプロン酸を0.01〜0.1質量%配合して、前記(A)、(B)成分の併用による口腔用組成物の変色を防止することを特徴とする、前記口腔用組成物の変色防止方法。
〔5〕
((A)+(B))/(C)が質量比として4〜55である〔4〕に記載の変色防止方法。
(A)成分のアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩としては、アスコルビン酸の2位、3位、5位、6位の水酸基のいずれか1つ又は2つ以上がリン酸エステルになったもの又はその塩である。例えば、アスコルビン酸リン酸エステルとしては、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−3−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−6−リン酸エステル等が挙げられ、また、その塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できるが、中でも、組成物の安定性の点から、アスコルビン酸の2位又は3位の水酸基がリン酸エステル化された誘導体が好ましく、より好ましくはアスコルビン酸−2−リン酸エステルのマグネシウム塩やナトリウム塩である。
具体的には、市販されているリン酸L−アスコルビルマグネシウム、リン酸L−アスコルビルナトリウム等を使用し得る。
イプシロンアミノカプロン酸の配合量は、組成物全体の0.01〜0.1%であり、好ましくは0.02〜0.08%である。配合量が上記範囲内において、本発明の効果を付与し得るものであり、0.01%に満たなかったり、0.1%を超えると、保存後の変色が抑えられず製剤変色を防止できない。また、渋味、苦味、異味を抑制し、使用感を改善することができない。
アニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストリルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸塩、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタルミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム
カチオン性界面活性剤:塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム
非イオン性界面活性剤:ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのエーテル型又はエステル型の界面活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド
両性界面活性剤:2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等のベタイン系の界面活性剤、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジアミノエチルグリシン等のN−アルキルジアミノエチルグリシン。
なお、界面活性剤の配合量は、通常0.1〜10%、特に0.1〜5%が好ましい。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ぺリラルチンなどが挙げられる。
表1〜3に示す組成の口腔用組成物(歯磨剤)を常法により調製し、下記方法で評価した。結果を表1〜3に示す。
口腔用組成物30g中に供試菌株(環境由来の細菌類、真菌類)を約107CFU/gとなるように接種し、1、7、20、30日後の菌数を測定し、以下の基準に基づき防腐力を評価した。○以上のものを防腐力が優れ合格であるとした。
防腐力の評価基準:
◎:7日以内で菌が死滅。
○:8日以上20日以内で菌が死滅。
△:21日以上30日以内で菌が死滅。
×:31日以上菌が死滅しない。
口腔用組成物をラミネートチューブに50g充填し、各組成物3本を60℃で1ヶ月間又は−5℃で1ヶ月間保存した後、わら半紙上に10cm押し出した。評価者の専門家パネラー5名が、−5℃保存品に比べた60℃保存品の色調変化を観察し、下記の4段階の評点に従って官能評価した。5名の評価結果の平均値を求め、以下の評価基準に基づき、保存後の変色のなさについて判定した。○以上のものを保存後の変色が抑制され合格であると判定した。
評点基準:
4点:変色がまったくない。
3点:変色がわずかに認められる。
2点:変色が認められる。
1点:著しく変色が認められる。
評価基準:
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
評価者として専門家パネラー10人を用いた官能試験を実施した。口腔用組成物約0.5gを市販品の歯ブラシにのせて3分間ブラッシングを行い、使用中に感じた渋味・苦味・異味のなさを評価した。下記の4段階の評点に従って官能評価し、10名の評価結果の平均値を求め、以下の基準で評価した。○以上のものを使用感(渋味・苦味・異味のなさ)が良く合格であると判定した。
評点基準:
4点:渋味・苦味・異味がまったくない。
3点:渋味・苦味・異味がわずかにある。
2点:渋味・苦味・異味がややある。
1点:渋味・苦味・異味がかなりある。
評価基準:
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
(A)リン酸L−アスコルビルマグネシウム:和光純薬工業社製、生化学用
(A)リン酸L−アスコルビルナトリウム:DSMニュートリションジャパン社製、ステイC50
(B)パラオキシ安息香酸メチル:上野製薬社製
(B)パラオキシ安息香酸ブチル:みどり化学社製、ブチルパラベン
(C)イプシロンアミノカプロン酸:第一ファインケミカル社製、イプシロンAC
その他の成分については、医薬部外品原料規格2006に適合したものを用いた。
(A)リン酸L−アスコルビルマグネシウム 0.3%
(B)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(C)イプシロンアミノカプロン酸 0.03%
無水ケイ酸 12%
ソルビット液(70%) 40%
サッカリンナトリウム 0.2%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2%
増粘性シリカ 6%
酸化チタン 0.5%
プロピレングリコール 3%
キサンタンガム 0.7%
ポリアクリル酸ナトリウム 0.4%
クエン酸 0.1%
水酸化ナトリウム 0.1%
香料 0.8%
精製水 バランス
計 100.0%
((A)+(B))/(C)=16.7
(A)リン酸L−アスコルビルマグネシウム 0.3%
(B)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(C)イプシロンアミノカプロン酸 0.03%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60) 0.5%
プロピレングリコール 3%
グリセリン 4.5%
キシリトール 3%
エタノール 2%
クエン酸 0.015%
クエン酸ナトリウム 0.3%
香料 0.2%
精製水 バランス
計 100.0%
((A)+(B))/(C)=16.7
Claims (5)
- (A)アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を0.1〜1質量%、
(B)パラオキシ安息香酸エステルを0.01〜1質量%、及び
(C)イプシロンアミノカプロン酸を0.01〜0.1質量%
含有してなることを特徴とする口腔用組成物。 - (A)アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩が、アスコルビン酸リン酸エステルのナトリウム塩又はマグネシウム塩である請求項1記載の口腔用組成物。
- ((A)+(B))/(C)が質量比として4〜55である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
- (A)アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を0.1〜1質量%と(B)パラオキシ安息香酸エステルを0.01〜1質量%とを含有する口腔用組成物に、(C)イプシロンアミノカプロン酸を0.01〜0.1質量%配合して、前記(A)、(B)成分の併用による口腔用組成物の変色を防止することを特徴とする、前記口腔用組成物の変色防止方法。
- ((A)+(B))/(C)が質量比として4〜55である請求項4記載の変色防止方法。
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