JP2016117267A - コンクリート表面構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】防水面となる樹脂層の密着性を高めたコンクリート表面構造体及びその製造方法を提供する。【解決手段】コンクリート表面構造体は、コンクリート構造物の表層に形成されるエポキシ樹脂から構成されるプライマー層と、当該プライマー層の表層に形成されるポリウレア樹脂から成り炭酸水素ナトリウムを含有するポリウレア樹脂層が積層されて構成される。【選択図】 図1
Description
本発明は、コンクリート建造物の表面に構成されるコンクリート表面構造体に関し、特に、コンクリート建造物の表面の各種耐性を補強するコンクリート表面構造体及びその製造方法に関する。
近年、コンクリート建造物の劣化、特に、表面が常時水分に接触されるコンクリート建造物の劣化が問題となっている。このようなコンクリート建造物としては、例えば、地下に配される各種用途の水槽や、橋を支える橋梁や、下水道のマンホールとして利用されているものがあり、その表面の防水性・防食性が劣化することによって、コンクリート建造物自体が劣化する大きな原因となっている。
このようなコンクリート建造物の防水性を高めるために、水分と接触して湿潤状態となっている表面(湿潤面)に対して防水加工を行えることが要求されている。
また、老朽化した防火水槽や排水槽のような表面が湿潤面となっている既存のコンクリートに対しても、メンテナンスの観点から、当該湿潤面の劣化を補修して防水性を高めることが要求されている。
このような状況のなか、従来からコンクリート建造物の湿潤面をコーティングするためのコンクリート表面構造体に関する技術が提案されている。
例えば、従来のコンクリート表面構造体では、下地層を介して被塗装面に吹き付けられた速乾性樹脂により塗膜が構成された塗膜構造であって、前記下地層は、前記被塗装面に前記塗膜を接着する接着剤と、該接着剤を介して接着された複数の固体粒状物とを有し、隣り合う複数の前記固体粒状物間に、流体の通過を許容する間隙が形成されるものがある(特許文献1参照)。
この他にも、コンクリート構造物の表層に、エポキシ樹脂組成物を供給してプライマー層を形成させ、プライマー層上にポリウレタンやポリウレア等の硬化性樹脂組成物を供給して樹脂層を形成させるコンクリート表面構造体であって、当該エポキシ樹脂組成物について、水を含むもの(特許文献2参照)や、シランカップリング剤を添加するもの(特許文献3参照)や、第三級アミンまたはその誘導体を添加するもの(特許文献4参照)もある。
しかし、従来のコンクリート表面構造体は、例えば、上記特許文献1では、固体粒状物間の間隙を用いて接着性を高めるという物理的な作用を利用するに留まり、上記間隙の形成度合いによる接着品質のばらつきや経年変化は避けられないため、長期間にわたる根本的な接着性の向上は見込めず、密着性の低下による経年劣化(速乾性樹脂の剥離)は避けられない。
また、例えば、特許文献2〜4では、水、シランカップリング剤、及び第三級アミンなどをプライマー層に添加させることによって、プライマー層の接着性を化学的に高めようとするものであるが、この接着性はあくまでコンクリートと初期に接着する時点での特性であり、経年的には、水分と直接接触する前記樹脂層が最も劣化しやすい箇所となることから、当該樹脂層の劣化によって、プライマー層も劣化しやすくなり、隣接するプライマー層の接着特性も低下し、当該樹脂層が剥離し易くなり、最終的にはコンクリート建造物本体の劣化を招くものとなっている。
また、本質的に、ポリウレア樹脂などの樹脂層は、その高分子特性に起因して疎水性を有する(表面自由エネルギーが小さい)ために、プライマー層との接触面積が小さく、結果としてプライマー層との接着性が弱いという問題もある。
以上のように、従来のコンクリート表面構造体では、前記樹脂層のコーティングに際して、前記樹脂層とプライマー層との接着性が弱いものであり、経年劣化に弱く、防水面となる前記樹脂層が剥離しやすいという課題があった。
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、防水面となる樹脂層の密着性を高めたコンクリート表面構造体及びその製造方法の提供を目的とする。
本願に開示するコンクリート表面構造体は、コンクリート構造物の表層に形成されるエポキシ樹脂から構成されるプライマー層と、当該プライマー層の表層に形成されるポリウレア樹脂から成り炭酸水素ナトリウムを含有するポリウレア樹脂層が積層されて構成されるものである。このように、ポリウレア樹脂層が炭酸水素ナトリウムを含有するポリウレア樹脂から構成されることから、炭酸水素ナトリウムの作用(発泡作用、膨張作用、研磨作用など)によってポリウレア樹脂層における表面自由エネルギーが増大する(親水性が高められる)こととなり、プライマー層に対する初期の結合強度が高められると共に、経年的にも、プライマー層の表層に対して当該親水性を奏するポリウレア樹脂層が、プライマー層との接着性を維持できることとなり、前記ポリウレア樹脂層と前記プライマー層が高い密着性で接着され、経年的に高い強度を奏することができる。
本願に開示するコンクリート表面構造体は、必要に応じて、炭酸水素ナトリウムを含有しない第二のポリウレア樹脂層が、前記ポリウレア樹脂層の表層に積層されて構成されるものである。このように、炭酸水素ナトリウムを含有しない第二のポリウレア樹脂層が、前記ポリウレア樹脂層の表層に積層されて構成されることから、前記プライマー層の表層に対しては炭酸水素ナトリウム由来の親水性の作用による高い密着性によって接着し、外気に曝される第二のポリウレア樹脂層では炭酸水素ナトリウムが無いため親水化が引き起こされないことから、外表面での水分接触による表面劣化が抑制されることとなり、経年劣化を抑制することができる。
本願に開示するコンクリート表面構造体は、必要に応じて、前記プライマー層が、水酸化カルシウムを含有するものである。このように、前記プライマー層が、水酸化カルシウムを含有することから、水酸化カルシウムの作用により前記プライマー層の表層に水分の排出が促進されることとなり、当該プライマー層の表層と、炭酸水素ナトリウムの作用により親水性が高められた前記ポリウレア樹脂層の表層とが親水作用によって、強固な結合が生じることとなり、前記ポリウレア樹脂層と前記プライマー層が高い密着性で接着し、長期的にも高い強度を奏することができる。
また、前記プライマー層が、上記のように、水酸化カルシウムの作用によりプライマー層の表層から外部に水分が積極的に排出されることから、プライマー層内部の耐水性が向上し、外部からの水分がプライマー層で弾かれてコンクリート構造物本体に侵入し難くなることとなり、コンクリート構造物の湿潤による経年劣化を抑制することができる。
本願に開示するコンクリート表面構造体は、必要に応じて、前記プライマー層が、イソシアネート化合物を含有するものである。このように、前記プライマー層が、イソシアネート化合物を含有することから、同じく前記ポリウレア樹脂層にも含有されているイソシアネート成分との親和性が高められることとなり、前記ポリウレア樹脂層と前記プライマー層の層間において高い密着性が発揮されて、高い強度を奏することができる。
本願に開示するコンクリート表面構造体の製造方法は、湿潤状態のコンクリート構造物の表層にエポキシ樹脂を塗布してプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、前記プライマー層の表層に炭酸水素ナトリウムを含有するポリウレア樹脂を塗布してポリウレア樹脂層を形成するポリウレア樹脂層形成工程とを含むものである。
このように、ポリウレア樹脂層に炭酸水素ナトリウムが含有されることから、炭酸水素ナトリウムの作用によって、ポリウレア樹脂層の親水性が高められることとなり、湿潤状態のコンクリート構造物由来の水分を含むプライマー層に対する初期の結合強度が高められると共に、経年的にも、表層に親水性を奏するポリウレア樹脂層が、水分を含有するプライマー層との接着性を維持できることとなり、前記ポリウレア樹脂層と前記プライマー層が、親水作用によって、高い密着性で接着され、経年的にも高い強度を奏することができる。
本願に開示するコンクリート表面構造体の製造方法は、必要に応じて、炭酸水素ナトリウムを含有しない第二のポリウレア樹脂層が、前記ポリウレア樹脂層形成工程で形成された前記ポリウレア樹脂層の表層に積層されて形成される第二ポリウレア樹脂層形成工程を含むものである。
このように、炭酸水素ナトリウムを含有しない第二のポリウレア樹脂層が、前記ポリウレア樹脂層に積層されることから、前記プライマー層に対しては炭酸水素ナトリウム由来の親水性の作用によって高い密着性で接着し、外気と接する外表面である第二のポリウレア樹脂層では、炭酸水素ナトリウムが無いため親水化が引き起こされないことから、外表面での水分接触による表面劣化が抑制されることとなり、劣化し難い強度を呈することができる。
本願に開示するコンクリート表面構造体の製造方法は、必要に応じて、前記プライマー層形成工程の前記エポキシ樹脂が、水酸化カルシウムを含有するものである。このように、前記エポキシ樹脂に水酸化カルシウムが含有されることから、水酸化カルシウムの作用によって前記プライマー層の水分が、外部に排出されることが促進されることとなり、前記プライマー層の表層と、炭酸水素ナトリウムにより親水性が高められた前記ポリウレア樹脂層の表層とが、親水作用によって、強固な結合が生じることとなり、前記ポリウレア樹脂層と前記プライマー層が高い密着性で接着し、長期的にも高い強度を維持することができる。
また、前記プライマー層が、上記のように、水酸化カルシウムによりプライマー層の表層から水分が積極的に外部排出されることから、外部からの水分がプライマー層で弾かれてコンクリート構造物本体に侵入し難くなることとなり、コンクリート構造物の湿潤が抑制され、経年劣化を抑制することができる。
本願に開示するコンクリート表面構造体の製造方法は、必要に応じて、前記プライマー層形成工程の前記エポキシ樹脂が、イソシアネート化合物を含有するものである。このように、前記プライマー層が、イソシアネート化合物を含有することから、前記ポリウレア樹脂層を構成するイソシアネート成分との親和性が高められることとなり、前記ポリウレア樹脂層と前記プライマー層が高い密着性で接着し、経年的にも高い強度を維持することができる。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係るコンクリート表面構造体を説明する。
以下、第1の実施形態に係るコンクリート表面構造体を説明する。
第1の実施形態に係るコンクリート表面構造体は、図1に示すように、コンクリート構造物100の表層に形成されるエポキシ樹脂から構成されるプライマー層1と、このプライマー層1の表層に形成されるポリウレア樹脂から成り炭酸水素ナトリウム2aを含有するポリウレア樹脂層2が積層されて構成される。
プライマー層1は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分とする。主成分であるエポキシ樹脂以外の他の成分は特に制約されない。当該他の成分としては、エポキシ樹脂の硬化性を高めるために、例えば、酸無水物系硬化剤やポリアミン系硬化剤などの硬化剤や、可塑性を高める可塑剤や、軟化作用のある軟化剤や、シリカゲルに代表されるケイ素化合物などの各種添加物を含有させることができる。
好ましくは、ポリアミン系硬化剤などの硬化剤を含有させることであり、この場合には分子間の結合が密な状態となり、複雑な架橋構造の形成によって、三次元網目構造の形成が促進され、プライマー層1の接着性を高めることができる。
ポリウレア樹脂層2は、ポリウレア樹脂を主成分とし、プライマー層1に積層されて形成される。ポリウレア樹脂は、イソシアネートとアミノ基との化学反応によって形成されるウレア結合を主体とする化合物であり、硬化時間が早く、無溶剤・無触媒で環境負荷が低く、耐酸・耐アルカリ性等の耐薬品性や耐久性に優れる材料である。
ポリウレア樹脂層2に含まれる炭酸水素ナトリウム2aの含有率は1〜2wt%の範囲内であることが好ましい。この理由はこの含有率が1wt%より少ない場合には、炭酸水素ナトリウム由来の親水基の発生が十分な量に至らず、この含有率が2wt%を超える場合には、炭酸水素ナトリウム由来の親水基の発生が上限値に至り頭打ちとなるためである。すなわち、この親水基の発生は、有限であり、前記含有量の上限値がこの発生の上限となり得るためである。
本実施形態の対象となるコンクリート構造物100は、特に限定されないが、図1に示すように、水分を貯蔵する防火水槽等に用いるもので、外表面が湿潤状態となっているコンクリート構造物を対象とすることができる。また、これに限定されず、湿潤状態のものに限定されず、乾燥状態のコンクリート構造物を対象とすることも可能である。
第1の実施形態に係るコンクリート表面構造体の製造方法は、図2(a)に示すコンクリート構造物100の表層(外表面)に対して、図2(b)に示すように、プライマー層1を積層して形成する。
このプライマー層1の形成に際しては、先ず、エポキシ樹脂を主成分として含むA液と、前記他の成分を含むB液とを2液混合して所望の粘度となるまで混錬し、明色バインダー(熱可塑性樹脂)を水に乳化分散させたカチオン型の乳剤と混合して、プライマー層形成剤を得る。この得られたプライマー層形成剤を、コンクリート構造物100の表層に塗布することによって、エポキシ樹脂の硬化反応が進行して硬化し、図2(b)に示すように、プライマー層1が形成される。
このプライマー層形成剤の塗布の方法については、特に限定されず、例えば、はけ塗りやスプレー噴射などの各種の公知の塗布手段を用いることができる。
次に、図2(c)に示すように、この形成されたプライマー層1に対して、炭酸水素ナトリウム2aを含有するポリウレア樹脂形成剤を塗布する。このポリウレア樹脂形成剤は、公知のイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマー剤と、公知のアミノ基及び/又は水酸基を含有する硬化剤を混合することによって形成することができる。このポリウレア樹脂形成剤の他の成分として、可塑剤、溶剤、及び界面活性剤などの公知の添加剤を添加することができる。
このように、ポリウレア樹脂層2が、炭酸水素ナトリウム2aを含有して形成されることから、炭酸水素ナトリウム2aの作用(発泡作用、膨張作用、研磨作用など)によってポリウレア樹脂層における表面自由エネルギーが増大する(親水性が高められる)こととなり、プライマー層1に対する初期の結合強度が高められると共に、経年的にも、この親水性を奏するポリウレア樹脂層2が、プライマー層との接着性を維持できることとなり、プライマー層1とポリウレア樹脂層2とが高い密着性で接着され、経年的にも高い強度を奏することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係るコンクリート表面構造体を説明する。
以下、第2の実施形態に係るコンクリート表面構造体を説明する。
第2の実施形態に係るコンクリート表面構造体は、図3に示すように、第1の実施形態に係るコンクリート表面構造体において、炭酸水素ナトリウム2aを含有しない第二のポリウレア樹脂層21が、前記ポリウレア樹脂層2の表層に積層されて構成されるものである。
この第二のポリウレア樹脂層21は、上述したポリウレア樹脂層2の構成材料から、炭酸水素ナトリウム2aを含まないものである。
第2の実施形態に係るコンクリート表面構造体の製造方法は、上述した第1の実施形態と同様に、図4(a)〜(c)に示すように、コンクリート構造物100を被覆するポリウレア樹脂層2の表層(外表面)に対して、図4(d)に示すように、第二のポリウレア樹脂層21を塗布して積層し形成する。この塗布は、上述した第1の実施形態に記載した前記ポリウレア樹脂形成剤の塗布と同様の手順で、炭酸水素ナトリウム2aを含有しないポリウレア樹脂形成剤を塗布することにより実施することができる。
このように、炭酸水素ナトリウム2aを含有しない第二のポリウレア樹脂層21が、前記ポリウレア樹脂層2の表層に積層されて構成されることから、プライマー層1に対しては炭酸水素ナトリウム2a由来の親水性による高い密着性により接着し、外気と接する外表面である第二のポリウレア樹脂層21では炭酸水素ナトリウム2aが無いため親水化の作用が生じないことから、外表面での水分接触による表面劣化が抑制されることとなり、経年劣化を抑制することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係るコンクリート表面構造体を説明する。
以下、第3の実施形態に係るコンクリート表面構造体を説明する。
第3の実施形態に係るコンクリート表面構造体は、図5(a)に示すように、第2の実施形態に係るコンクリート表面構造体において、前記プライマー層1が、水酸化カルシウム1aを含有するものである。
プライマー層1に含まれる水酸化カルシウム1aの含有率は5〜10wt%の範囲内であることが好ましい。この理由は、この含有率が5wt%より少ない場合には、水酸化カルシウムにより有意な効果を奏するには量的に不足となり、この含有率が10wt%を超える場合には、水酸化カルシウムのプライマー層1への溶解限度を超えて、化学反応による水酸化ナトリウムの発生量が過多となり、プライマー層1に対して劣化等の悪影響を引き起こす虞がある。すなわち、プライマー層1への溶解許容範囲は前記の範囲内であることが好ましく、それ以上となった場合には、水酸化ナトリウムの発生が過大となりプライマー層1へ負の影響を与える虞がある。
第3の実施形態に係るコンクリート表面構造体の製造方法は、図6(a)〜(d)に示すように、上述した第2の実施形態の製造方法に加えて、プライマー層形成剤に水酸化カルシウム1aを含有させてコンクリート構造物100に塗布してプライマー層1を積層形成する。その後は、上述した第2の実施形態の製造方法と同様に、このプライマー層1にポリウレア樹脂形成剤を塗布してポリウレア樹脂層2を積層形成する。
このように、プライマー層1が、水酸化カルシウム1aを含有することから、水酸化カルシウム1aによりプライマー層1の表層に水分が積極的に排出されることとなり、プライマー層1と、炭酸水素ナトリウム2aを含有することにより親水性が高められたポリウレア樹脂層2の表層との層間に親水作用を介した強固な結合が生じることとなり、プライマー層1とポリウレア樹脂層2とが高い密着性で接着し、長期的にも高い強度を奏することができる。
一方で、プライマー層1が、上記のように、水酸化カルシウム1aによりプライマー層1から水分が積極的に排出されることにより、プライマー層1内部の耐水性が向上し、外部からの水分がプライマー層1で弾かれてコンクリート構造物100本体に侵入し難くなることとなり、コンクリート構造物100の湿潤による経年劣化を抑制することができる。
このように、コンクリート表面構造体は、コンクリート構造物100の湿潤化を抑制する結果、コンクリート構造物100の経年劣化を抑制することができる。
このように優れた効果を奏するメカニズムは、詳細には解明されていないが、プライマー層1及びポリウレア樹脂層2の層間で、水酸化カルシウム1aと炭酸水素ナトリウム2aが化学的に作用することによって(化学反応に近い状態を呈して)、熱分解によって炭酸ナトリウムが生成され、炭酸ナトリウム及び水酸化カルシウム由来の炭酸イオン及びカルシウムイオンが共存し、水に溶け難い炭酸カルシウムが合成されることによって、さらに高い密着性が発現され、長期的な接着強度が維持されているものと推察される。
なお、このポリウレア樹脂層2は、図5(b)に示すように、上記第1の実施形態と同様に、第二のポリウレア樹脂層21無しで構成することもできる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係るコンクリート表面構造体を説明する。
以下、第4の実施形態に係るコンクリート表面構造体を説明する。
第4の実施形態に係るコンクリート表面構造体は、図7(a)に示すように、第3の実施形態に係るコンクリート表面構造体において、前記プライマー層1が、イソシアネート化合物1bを含有するものである。
イソシアネート化合物1bとしては、特に限定されないが、芳香族ジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましく、例えば、2,2'-MDI、 2,4'-MDI、または4,4'-MDI(モノメリックMDI)を用いることができる。この他にも、このモノメリックMDIと高分子量のポリイソシアネートの混合物であるポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)を用いることも可能である。
プライマー層1に含まれるイソシアネート化合物1bの含有率は1〜10wt%の範囲内であることが好ましい。この理由は、この含有率が1wt%より少ない場合には、イソシアネート化合物により有意な効果を奏するには量的に不足となり、この含有率が10wt%を超える場合には、イソシアネート化合物のプライマー中の濃度が高くなることにより諸毒性が高まり、取扱いに不適となるためである。この他の観点としては、プライマー層1は、その基本構造がエポキシ系であり、湿潤コンクリート面に適合する機能を付与させるために疎水性変性樹脂を応用して利用されているケースが多いことからも、イソシアネート化合物を含有させるに際しては、ある程度広い面積に含有させる作業が要求され、プライマー層1の塗布する場所や環境面等の制約から、そのような作業を円滑化させるためのマニュアルの作成や応用を行う必要も生じるという作業負担も考慮すれば、上記範囲内に収まる含有率が好ましい。
第4の実施形態に係るコンクリート表面構造体の製造方法は、図8(a)〜(d)に示すように、上述した第3の実施形態の製造方法に加えて、プライマー層形成剤にイソシアネート化合物1bを含有させてコンクリート構造物100に塗布してプライマー層1を積層形成する。その後は、上述した第3の実施形態の製造方法と同様に、このプライマー層1にポリウレア樹脂形成剤を塗布してポリウレア樹脂層2を積層形成する。
ポリウレア樹脂はポリイソシアネートとポリアミンから形成されるポリマー化合物であり、上記第1の実施形態でも述べたように、ポリウレア樹脂層2を構成するポリウレア樹脂は、イソシアネート基を構成官能基として含有している。
さらに、本実施形態では、プライマー層1が、イソシアネート化合物1bを含有することから、上述したポリウレア樹脂層2を構成するイソシアネート成分と構成材料が共通化されて、層間の親和性が高められることとなり、プライマー層1とポリウレア樹脂層2が高い密着性によって接着し、高い強度を奏することができる。
この高い強度を奏するメカニズムは詳細には解明されていないが、プライマー層1が、イソシアネート化合物1bを含有することによって、化学的に不安定な状態になると共に、ポリウレア樹脂層2中のウレア結合がプライマー層1のイソシアネート化合物1bと化学的に作用することによって、ポリウレア樹脂層2との密着性が高められるものと推察される。
なお、このポリウレア樹脂層2は、図7(b)に示すように、上記第1の実施形態と同様に、第二のポリウレア樹脂層21無しで構成することもできる。
1 プライマー層
1a 水酸化カルシウム
1b イソシアネート化合物
2 ポリウレア樹脂層
2a 炭酸水素ナトリウム
21 第二のポリウレア樹脂層
100 コンクリート構造物
1a 水酸化カルシウム
1b イソシアネート化合物
2 ポリウレア樹脂層
2a 炭酸水素ナトリウム
21 第二のポリウレア樹脂層
100 コンクリート構造物
Claims (8)
- コンクリート構造物の表層に形成されるエポキシ樹脂から構成されるプライマー層と、当該プライマー層の表層に形成されるポリウレア樹脂から成り炭酸水素ナトリウムを含有するポリウレア樹脂層が積層されて構成されることを特徴とする
コンクリート表面構造体。 - 請求項1に記載のコンクリート表面構造体において、
炭酸水素ナトリウムを含有しない第二のポリウレア樹脂層が、前記ポリウレア樹脂層の表層に積層されて構成されることを特徴とする
コンクリート表面構造体。 - 請求項1又は請求項2に記載のコンクリート表面構造体において、
前記プライマー層が、水酸化カルシウムを含有することを特徴とする
コンクリート表面構造体。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート表面構造体において、
前記プライマー層が、イソシアネート化合物を含有することを特徴とする
コンクリート表面構造体。 - 湿潤状態のコンクリート構造物の表層にエポキシ樹脂を塗布してプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
前記プライマー層の表層に炭酸水素ナトリウムを含有するポリウレア樹脂を塗布してポリウレア樹脂層を形成するポリウレア樹脂層形成工程とを含むことを特徴とする
コンクリート表面構造体の製造方法。 - 請求項5に記載のコンクリート表面構造体の製造方法において、
炭酸水素ナトリウムを含有しない第二のポリウレア樹脂層が、前記ポリウレア樹脂層形成工程で形成された前記ポリウレア樹脂層の表層に積層されて形成される第二ポリウレア樹脂層形成工程を含むことを特徴とする - 請求項5に記載のコンクリート表面構造体の製造方法において、
前記プライマー層形成工程の前記エポキシ樹脂が、水酸化カルシウムを含有することを特徴とする
コンクリート表面構造体の製造方法。 - 請求項5〜7のいずれかに記載のコンクリート表面構造体の製造方法において、前記プライマー層形成工程の前記エポキシ樹脂が、イソシアネート化合物を含有することを特徴とする
コンクリート表面構造体の製造方法。
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