JP2016117189A - 画像形成装置、画像形成方法およびプログラム - Google Patents

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Takuya Shimada
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Abstract

【課題】立体物への画像の記録において、高品質な記録が可能な画像形成装置および画像形成方法を提供する。【解決手段】画像記録装置は、記録材を吐出して記録媒体124に着弾させる吐出手段と、記録媒体124の表面傾斜情報を取得する取得手段と、取得された記録媒体124の表面傾斜情報に基づいて、記録媒体124に対する、吐出手段から吐出される記録材の着弾方向を含む画像形成条件を設定する設定手段と、設定された画像形成条件に基づいて吐出手段と記録媒体124との相対的配置を制御して、記録媒体124に画像を形成させる制御手段と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置、画像形成方法およびプログラムに関する。
従来、凹凸を有する立体物に画像を記録する方法として、記録ヘッドを立体物に対して相対的に走査しつつ、記録ヘッドから立体物に対してインクを吐出し、立体物上に画像を記録する方法が知られている。
特開2001−260329号公報
例えば、特許文献1に開示される画像記録においては、記録ヘッド(印字ヘッド)を主走査方向に移動しながらインクを吐出する場合に、インクの移動方向(着弾方向)が垂直方向下方であることを前提としている。つまり、記録ヘッドから垂直方向下方に吐き出されたインクは、そのまま垂直方向下方に進んで記録媒体に着弾するとされている。
しかしながら、記録ヘッドが主走査方向に移動しながらインクを吐出する場合には、インクの移動方向(飛翔方向)は、記録ヘッドの主走査方向の移動速度ベクトル(水平方向)と、記録ヘッドからのインク吐出しベクトル(垂直方向下方)とにより形成される斜め下方のベクトルの方向となる。したがって、例えば、立体物に凸部がある場合、記録ヘッドから吐出されて斜め下方に移動するインクが、立体物の凸部に遮られてしまい、凸部背面の所望の領域に画像を記録できない(インクが到達しない)場合がある。
一方、凹凸を有する立体物に対してインクを吐出する場合、立体物上のインク着弾位置の傾斜の大小によって、着弾したインクによって形成されるドット形状が変化するため、ドット形状のばらつきに起因する色ムラや彩度低下が生じる。このような立体的な物体(例えば、凹凸部を有する記録媒体)への画像記録では、ドット形状のばらつきに起因する画質劣化を抑制し、画像を高品質に記録することが求められている。
そこで本発明では、立体物への画像の記録において、記録媒体の凹凸に起因する画質劣化を抑制して所望の画質で画像形成が可能な画像形成装置、画像形成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明の1つの態様によれば、
記録材を吐出して記録媒体に着弾させる吐出手段と、
前記記録媒体の表面傾斜情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記記録媒体の前記表面傾斜情報に基づいて、前記記録媒体に対する、前記吐出手段から吐出される前記記録材の着弾方向を含む画像形成条件を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記画像形成条件に基づいて前記吐出手段と前記記録媒体との相対的配置を制御して、前記記録媒体に画像を形成させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明により、立体物への画像の記録において、記録媒体の凹凸に起因する画質劣化を抑制して所望の画質で画像形成がが可能となる。
実施形態1の画像記録装置の概略構成を示す模式図である。 実施形態1のヘッドモジュールの概略構成を示す模式図である。 実施形態1の画像記録装置のハードウエア構成を示すブロック図である。 インク滴の飛翔方向と記録媒体の凹凸との関係を説明する模式図である。 着弾角度と形成されるドットの形状との関係を説明する模式図である。 着弾角度と、ドットの長軸の長さと短軸の長さの比との関係を説明する図である。 画像記録装置の画像記録手順を示すフローチャートである。 記録媒体の色・光沢画像データおよび高さ画像データを説明する模式図である。 記録媒体の表面傾斜情報の算出方法の一例を説明する模式図である。 着弾方向に関する記録条件の設定手順を示すフローチャートである。 画像記録装置の機能構成を示すブロック図である。 吐出信号の生成方法を説明する模式図である。 変形例1の機能構成を示すブロック図である。 変形例1の吐出信号の生成方法を説明する模式図である。 変形例2の記録条件を説明する模式図である。 変形例2の記録条件を説明する模式図である。 変形例2の記録条件を説明する模式図である。 変形例2の吐出信号の生成方法を説明する模式図である。 変形例3の面内回転角度の調整について説明する模式図である。 実施形態2の画像記録装置の概略構成を示す模式図である。 実施形態2のヘッドモジュールの概略構成を示す模式図である。 実施形態2の画像記録装置の概略構成を示すブロック図である。 実施形態2の画像記録装置の機能構成を示すブロック図である。
以下、本発明の画像記録装置および画像記録方法の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている事項、要素、ステップの組み合わせの全てが本発明に必須のものとは限らない。以下に説明する実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものである。
以下の記載において、同一の要素およびステップについては、同じ符号を付して説明する。
実施形態1
(画像記録装置の構成)
本実施形態の画像記録装置(画像形成装置)の構成を説明する。図1は、本実施形態の画像記録装置の一例としてのインクジェット記録装置1の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、ヘッドモジュール走査ステージ11と、試料台ステージ12を正面から見た図であり、図1(b)は、試料台ステージ12を上側から見た図である。図1(a)において、インクジェット記録装置1の高さ方向をZ方向、左右方向をX方向(主走査方向)、紙面垂直方向をY方向(副走査方向)とする。
図1に示されるように、インクジェット記録装置1は、ヘッドモジュール走査ステージ11と、試料台ステージ12とを備える。インクジェット記録装置1は、ヘッドモジュール113と、試料台123上に設置された記録媒体124とを相対移動させつつ、ヘッドモジュール113に組み込まれた記録ヘッド21(図2)から記録媒体124に向かってインクを吐出することで記録媒体124上に画像を記録する。
ヘッドモジュール走査ステージ11は、ヘッドモジュール113と、ヘッドモジュール113を保持するZキャリッジ112と、Zキャリッジ112が取り付けられるXキャリッジ106とを有する。
ヘッドモジュール113は、Zキャリッジ112に位置決めして取り外し可能に取り付けられる。ヘッドモジュール113の詳細は図2を参照して後述する。
Zキャリッジ112は、ヘッドモジュール113の底面が試料台123と平行になるように、ヘッドモジュール113を保持する。Zキャリッジ112は、駆動信号や測定信号などをヘッドモジュール113へ送受信するためのコネクタを有する。Xキャリッジ106に取り付けられたZキャリッジ112は、Z走査ガイドレール111に沿って移動可能となっている。Zキャリッジ112は、Z走査モータ107を駆動源として、Z走査モータプーリ108、Z走査従動プーリ109およびZ走査タイミングベルト110などの駆動機構により駆動される。Zキャリッジ112の位置および移動は、ヘッドモジュール113に搭載された記録ヘッド21(図2)と記録媒体124との距離が適切な距離になるように制御される。
Xキャリッジ106は、X走査ガイドレール105に沿って移動可能となっている。Xキャリッジ106は、X走査モータ101を駆動源としてX走査モータプーリ102、X走査従動プーリ103およびX走査タイミングベルト104などの駆動機構により駆動され、その位置および移動が制御される。本明細書では、Xキャリッジ106のX走査ガイドレール105に沿った移動を「主走査」と称し、その移動方向を「主走査方向」と称する。また、図1(a)のように、インクジェット記録装置1を正面から見たとき、X走査ガイドレール105の左端から右端への主走査を「往路走査」と称し、この移動方向を「往路方向」と称する。X走査ガイドレール105の右端から左端への主走査を「復路走査」と称し、この移動方向を「復路方向」と称する。
試料台ステージ12は、Yキャリッジ118と、Yキャリッジ118に回転可能に取り付けられた試料台123とを備える。
試料台123は、θ回転モータ119を駆動源としてθ回転モータプーリ120、θ回転従動プーリ121、θ回転タイミングベルト122などの駆動機構により駆動(回転)される。試料台123上には、記録媒体124が載置される。試料台123の回転は、インクジェット記録装置1に入力された画像データの画素の並び(画素列)に対応する記録媒体124上の記録位置の軌跡(ライン)が、主走査方向と平行になるように制御される。
Yキャリッジ118は、Y走査ガイドレール117に沿って移動可能となっている。Yキャリッジ118は、Y走査モータ114を駆動源としてY走査モータプーリ115、不図示のY走査従動プーリおよびY走査タイミングベルト116などの駆動機構により駆動され、その位置および移動が制御される。本明細書においては、Yキャリッジ118のY走査ガイドレール117に沿った移動を「副走査」と称し、その移動方向を「副走査方向」と称する。
図2は、ヘッドモジュール113を示す模式図である。図2に示されるように、ヘッドモジュール113は、インクを吐出する記録ヘッド21と、記録媒体124(図1)の形状を取得するための測定部22と、記録ヘッド21にインク(記録材)を供給するインクタンク23とを備える。記録ヘッド21のインク吐出口211はヘッドモジュール113の底面にある。上記したように、ヘッドモジュール113は、記録ヘッド21の吐出口211のある底面(以下「吐出口面」とも称する)が試料台123と平行になるように保持される。
インクタンク23は、ヘッドモジュール113に取り外し可能に搭載される。インクタンク23は6種類のインクを貯蔵する6個のタンクからなる。6種類のインクは、一例として、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、白(W)、クリア(S)である。イエロインクはタンク23(Y)に貯蔵され、マゼンタインクはタンク23(M)に貯蔵され、シアンインクはタンク23(C)に貯蔵され、クリアインクはタンク23(S)に貯蔵される。ブラックインクと白(ホワイト)インクのタンクは図示の都合上、示されていない。6個のインクタンクはそれぞれ独立している。各インクタンクは、ヘッドモジュール113に着脱自在となっている。
記録ヘッド21は、底面にインクを吐出する6つの吐出口211を備える。6つの吐出口は、シアンインク吐出口211(C)、マゼンタインク吐出口211(M)、イエロインク吐出口211(Y)、ブラックインク吐出口211(K)、白インク吐出口211(W)およびクリアインク吐出口211(S)である。各インク吐出口211は複数の孔を有し、1回の吐出しで複数のインク滴を吐出すことにより、画像を高速に記録することができる。インク滴はインク吐出口211から垂直下方に吐き出される。なお、インク滴の滴下方向(着弾方向)はインク吐出速度ベクトル(垂直方向下方)と記録ヘッド21の移動速度ベクトル(水平方向)により決定される(詳細は後述する)。
記録ヘッド21は、吐出口211のある底面にシャッター(図示せず)を備えてもよい。画像記録時のみシャッターを開くようにすることで、インクの乾燥や吐出口の汚れが抑制できる。
測定部22は、例えば、光学式距離センサであり、光源221とセンサ222とを有する。測定部22は、光源221から照明されて記録媒体124で反射された光を、センサ222で検出することにより、ヘッドモジュール113と記録媒体124(図1)との距離を測定する。光源221は、例えばレーザ光源であり、センサ222は、例えばフォトダイオードアレイを含むセンサである。距離の測定は、例えば、三角測距方式で行う。
(画像記録動作)
次に、インクジェット記録装置1の画像記録動作について図1を参照して説明する。
最初に、ヘッドモジュール113が所定の原点位置に移動する。次に、Xキャリッジ106がX走査ガイドレール105に沿って記録媒体124上(記録媒体124から所定距離上方の高さで)を主走査方向に移動する。このXキャリッジ106の移動の際にヘッドモジュール113の記録ヘッド21から記録媒体124に向かってインクが吐出される。そして、Xキャリッジ106がX走査ガイドレール105の一端まで移動すると、Yキャリッジ118がY走査ガイドレール117に沿って所定量だけ副走査方向に移動する。Yキャリッジ118の移動が終了すると、再度Xキャリッジ106はX走査ガイドレール105に沿って移動し(その前の主走査方向の移動とは逆方向に移動し)、その際に記録ヘッド21から記録媒体124に向かってインクが吐出される。このように、Xキャリッジ106とYキャリッジ118の移動を繰り返すことによって、記録媒体124の指定領域(入力画像に基づいて決められる印字領域)にインクが吐出されて、画像が記録媒体124に記録される。
(ハードウエア構成)
次に、インクジェット記録装置1の画像記録処理に係るハードウエア構成を説明する。
図3は、インクジェット記録装置1のハードウエア構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、各部を制御して画像記録を行う制御部32と、各種モータを駆動するモータドライバ33と、記録ヘッド21を駆動する記録ヘッドドライバ34と、ハードディスクドライブなどの外部記憶装置35と、操作パネル36と、入出力部37とを備える。インクジェット記録装置1の各部はシステムバス31を介して接続されている。
制御部32は、CPU321と、ランダムアクセスメモリなどのメモリ322と有する。メモリ322には、インクジェット記録装置1の動作に必要なプログラムや、カラーマッチングで使用するルックアップテーブル(カラーテーブル)等が格納されている。CPU321は、メモリ322に格納されたプログラムおよび入出力部37等からの入力データ(例えば、画像記録処理に必要なデータ)に従って種々の処理を実行する。例えば、CPU321は、本実施形態に係る画像記録処理を実行する。上記プログラムや画像記録処理に必要なデータは、あらかじめ外部記憶装置35に格納しておき、外部記憶装置35からメモリ322に読み込み、当該データをCPU321が使用できるようにする。あるいは、上記プログラムや画像記録処理に必要なデータは、入出力部37を介して外部から直接CPU321に入力され(もしくはメモリ322を介してCPU321に入力され)、CPU321が使用できるようにする。
モータドライバ33には、X走査モータ101、Y走査モータ114、Z走査モータ107およびθ回転モータ119が接続されている。モータドライバ33は、制御部32の指示に基づいてX走査モータ101、Y走査モータ114、Z走査モータ107およびθ回転モータ119を駆動し、Xキャリッジ106、Yキャリッジ118、Zキャリッジ112や試料台123を移動させる。
記録ヘッドドライバ34には、6つの記録ヘッド21(Y)、記録ヘッド21(M)、記録ヘッド21(C)、記録ヘッド21(K)、記録ヘッド21(W)および記録ヘッド21(S)が接続されている。記録ヘッドドライバ34は、制御部32の指示に基づいて上記6つの記録ヘッド21(Y)、21(M)、21(C)、21(K)、21(W)、21(S)を駆動し、指定された記録ヘッド21から指定されたインクを吐出させる。
操作パネル36は、液晶ディスプレイなどのディスプレイと、入力ボタンとを有する。操作パネル36は、ディスプレイに画像記録装置1の情報を表示すると共に、入力ボタンにより、ユーザから画像記録条件を入力する。
入出力部37は、外部から提供される画像データや形状データなどの入力と、インクジェット記録装置1内で実行・生成される測定結果や計算結果等の出力とを行う。
(インク着弾方向制御)
次に、記録媒体124が凹凸を有する立体物である場合に、記録媒体124に画像を記録するときの動作を説明する。
図4(a)は、ヘッドモジュール113が主走査の往路方向に移動する場合の、記録ヘッド21の吐出口211(図2)から吐出されたインク滴40の移動方向(吐出方向)41と記録媒体124の凹凸との関係を示す模式図である。上記したように、インク滴40は、記録ヘッド21の吐出口211から記録媒体124に向かって、吐出口面と垂直な方向に吐出される(図4(a)のベクトル43)。図4(a)に示されているように、ヘッドモジュール113が主走査の往路方向(図4(a)の右方向)に移動している場合、吐出直後のインク滴40の移動方向41は、主走査の記録ヘッド21の移動速度ベクトル42(水平方向)とインク滴の吐出速度ベクトル43(垂直方向)とによって決まる。図4(a)ではインク滴40の移動方向41は右斜め下方向である。
インク滴40が記録媒体124に着弾する際の着弾方向(図4(b)や(c)の矢印44)は、移動方向41に略一致する。ここで、着弾方向とは、仮に、記録媒体124が凹凸の無い平滑な物体であった場合に、記録媒体124の着目位置(着弾目標位置)にインク滴が着弾するときのインク滴の移動方向である。
図4(b)は、インク滴40が記録ヘッド21から記録媒体124の位置46に向けて吐き出され、記録媒体124の凸部124aに着弾する様子を示している。位置46はインク滴が着弾すべき着弾目標位置である。図4(a)の状態から所定時間が経過するとヘッドモジュール113は往路方向に所定距離進むので、記録ヘッド21から吐き出されたインク滴のベクトルはベクトル44のようになる。ベクトル44は、インク滴の着弾方向を示す。図4(b)から分かるように、インク滴(ベクトル44)は、記録媒体124の凸部124aに遮られ、着弾目標位置46に着弾することができない。着弾目標位置46に着弾させることを狙って吐出されたインク滴は、異なる位置に着弾してしまう。着弾目標位置にインク滴が着弾しなければ、記録媒体124に記憶される画像に色ムラや彩度低下が発生する。
インク滴が記録媒体124の着弾目標位置に着弾できるか否かは、インク滴の着弾方向と記録媒体124の凸部124aの傾斜度とにより決まる。凸部124aの傾斜が所定値より大きければ、インク滴は着弾目標位置に到達する前に凸部124aに衝突し、着弾目標位置に到達することができない。具体的には、インク滴の着弾方向と記録媒体の着弾目標位置における法線NL方向との成す角度を着弾角度φとするとき、着弾角度φが90度を超えるとインクを着弾目標位置に着弾させることができない。図4(c)は図4(a)の場合に、着弾角度φが90度を超えていないことを示し、図4(d)は図4(b)の場合に、着弾角度φが90度を超えていることを示している。
例えば図4(d)のように、インク滴が着弾目標位置に着弾できない記録媒体上の領域の発生を抑制するために、本実施形態では、着弾目標位置における記録媒体124の傾斜(記録媒体124の表面の傾斜)に基づいて、着弾角度φが、所定の閾値、例えば、90度以下になるように、着弾方向を制御する。着弾方向の制御の仕方は種々考えられるが、本実施形態では、インク吐出速度(図4(a)のベクトル43)とヘッドモジュール113の移動速度(図4(a)のベクトル42)の大きさは変えず、インクを吐き出す際のヘッドモジュール113の移動方向(往路方向または復路方向)を適宜選択することによりインク滴の着弾方向を制御する。図4(a)ではヘッドモジュール113は往路方向に移動して移動速度ベクトル42は右向きになっているが、主走査の方向が逆になる(復路方向になる)と、図4(a)の移動速度ベクトル42は逆向きになる。すなわち、着弾方向(移動方向41)は主走査の方向によって変化する。
図4(e)は、ヘッドモジュール113が復路方向に移動している際にインクを吐出したときの着弾方向45を示す。図4(e)の着弾目標位置46は図4(b)の位置46と同じである。図4(e)のように復路方向の走査においてインクを吐出すれば、記録媒体124の凸部124aに遮られることなく、着弾目標位置46にインク滴を着弾させることができる。
ところで、着弾角度φが90度以下であっても、着弾角度φのばらつきが大きいと、インクの着弾によって形成される記録媒体124上のドットの形状がばらつく場合がある。記録媒体124上のドットの形状のばらつきは、記録画像の色ムラの原因となる。図5は、着弾角度φと、記録媒体124上に形成されるドットの形状との関係を説明する模式図である。
図5(a)と図5(b)は、インク滴40の着弾角度φが0度の場合を示している。図5(a)は正面図であり、図5(b)は上面図である。図5(a)に示されるように、インク滴40の着弾角度φが0度の場合、インク滴の着弾方向47と、破線で示す記録媒体124の着弾目標位置からの法線NL方向とが一致する。この場合、インク滴40は記録媒体124に垂直に着弾するので、記録媒体124上に形成されるドットの形状50aは図5(b)に示されるように略円形となる。図5(b)では、ドットの形状50aは半径rの円で示されている。
一方、図5(c)と図5(d)は、インク滴40の着弾角度φが0度でない場合を示している(φ<90度)。図5(c)は正面図であり、図5(d)は上面図である。図5(c)に示されるように、インク滴40の着弾角度φが0度でない場合、インク滴40は記録媒体124に斜めに着弾するので(着弾方向49)、記録媒体124上に形成されるドットの形状50bは図5(d)に示されるように略楕円形となる。幾何条件(着弾角度φやインクのドット半径)から計算される上記楕円(ドット形状50b)の短軸と長軸の長さは、着弾角度をφ、着弾角度φが0度のときのドットの半径をrとするとき、短軸が2rとなり、長軸が2r/cos(φ)となる。着弾角度φが90度に近い場合、長軸の長さは短軸に比べてかなり長くなる。例えば、着弾角度φが80度の場合、楕円形のドット形状50bは、長軸が短軸の5倍以上となり、大きく扁平した楕円となる。
こうしたドット形状のばらつきを抑制するために、着弾角度φのばらつきが小さくなるように、着弾方向を制御する。着弾方向は、上述したように、ヘッドモジュール113が往路方向に移動する際にインクを吐き出すか復路方向に移動する際にインクを吐き出すかを選択することにより制御できる。従って、着弾方向には、少なくとも2つの選択肢がある。そして、選択できる着弾方向の中から、着弾角度φがより小さい着弾方向を選択すれば、着弾角度のばらつきを抑制することができる。着弾角度φが小さければ、ドットの大きさも小さくなり、解像度の点でも好適となる。
図6を参照して、着弾角度φとドット形状との関係について説明する。図6のグラフの横軸は着弾角度φを示し、縦軸はドット形状の長軸の長さと短軸の長さの比を示している。
図6から分かるように、着弾角度φが0度に近い場合、着弾角度φが多少ばらついても縦軸の値(長軸と短軸の比)の変化は小さい。縦軸の値の変化が小さいということは、ドット形状の変化が小さいことを意味する。図6に示すように、長軸の長さと短軸の長さの比が急激に大きくなるのは着弾角度φが60度を超えた辺りからである。着弾角度φが0度〜30度であれば、縦軸の値は1.2以下(つまり、長軸の長さは短軸の1.2倍以下)である。インクジェット記録装置1によって最終的に得られる画像の質によっては、図6のグラフの縦軸の値が1.2以下であれば十分な場合もある。そのような場合には、着弾角度φが0度〜30度の範囲であれば許容範囲の画質であるといえる。(30度を閾値と考えることができる)。そして、着弾角度φが0度〜30度の範囲にあれば、必ずしも着弾角度φが小さい方の着弾方向を選択する必要は無いという場合もある。
上記したように、着弾角度φが許容範囲内であれば、着弾方向の選択に自由度が与えられる(往路でインクを吐出してもよいし、復路でインクを吐出してもよいという場合がある)。このような場合、インクの吐出を往路と復路に振り分けて記録することにより、往路で連続したインク吐出を行うこと(または復路で連続したインク吐出を行うこと)を抑制できる。その結果、記録ヘッド21の寿命を延ばすことができる。また、往路のみ(または復路のみ)でインクを吐出す場合と比べ、往路と復路の双方でインクを吐出せば、吐出のばらつきを平均化し、ムラを目立たなくすることができる。さらに、異なる色のインクを重ねて記録する場合の制御(インクの重なり順制御)などの処理をより簡易に適用できるようになる。
以上の点を考慮し、本実施形態では次のように着弾方向を制御する。すなわち、着弾角度φが所定の閾値以下となるか、または、着弾角度φがより小さくなるように制御する。この閾値は上記したように、少なくとも90度以下の値であり、例えば、30度以下である。本実施形態では、記録媒体124の着弾目標位置の傾斜(表面傾斜)に基づいて、着弾方向が上記の着弾角度φの条件を満たすように、インク吐出を行う主走査方向(往路方向または復路方向)を設定する(選択する)。これにより、インク滴が記録媒体124の凸部に遮られて画像を記録できない領域が発生することを抑制できる。また、ドット形状のばらつきも抑制できる。
(画像記録手順)
次に、本実施形態のインクジェット記録装置(画像記録装置)1の画像記録手順を説明する。図7は、画像記録手順を示すフローチャートである。
まず、図7のステップS701で、画像記録に必要なデータをインクジェット記録装置1に入力する。入力データは、例えば、外部から入出力部37を介してインクジェット記録装置1に入力される。入力データは、画像データと形状データを含む。画像データは、例えば、RGB(Red,Green,Blue)やCMYKの色信号で構成されるTIFF(Tagged Image File Format)やJPEG(Joint Photographic Experts Group)などのフォーマットのデータである。画像データは、色情報として白色やメタリック色などの特色(特練色)を含むものであってもよいし、モノカラーの画像データでもよい。また、画像データは、色情報に加えて光沢情報を備えるデータでもよい。さらに、画像データは、サイズの等しい格子状の画素で構成される画像データに限らず、不定サイズのポリゴンの集合で構成され、各ポリゴンに色情報や光沢情報を備えるようなフォーマットの画像データであってもよい。以下では、一例として、色信号に加えて、鏡面光沢度に関する光沢信号と光沢写像性に関する光沢信号を備える画像データを入力する例を説明する。また、入力データに含まれる形状データは、例えば、STL(StereoLithography)やOBJ(オブジェクトファイルフォーマット)などのフォーマットのデータである。画像データと形状データは、個別のデータでもよいし、両方の情報を備える一つのデータでもよい。
次に、ステップS702において、プレ処理(前処理)を行う。このプレ処理では、ステップS701で入力したデータと記録媒体124との位置合わせを行ってリサンプリングし、色画像データRGBと光沢画像データg, cと高さ画像データhとを生成する。色・光沢画像データと高さ画像データは、図8を参照して説明する。
図8(a)は色・光沢画像データを説明する模式図であり、図8(b)は高さ画像データを説明する模式図である。図8(a)は、試料台123に置かれた記録媒体124を上から見た図であり(図8の例では、試料台123は625個のマス目で描かれている)、記録媒体124を格子状の領域90に区分した様子を示す。領域90は、インク信号や記録条件信号の処理単位である。色・光沢画像データは、この区分された領域90毎に色信号R,G,Bと鏡面光沢度に関する光沢信号gおよび光沢写像性に関する光沢信号cを備えるデータである。高さ画像データは、上記領域90毎に高さ信号hを備えるデータである。図8(b)は、図8(a)の記録媒体124の部分80の断面図である。高さ信号hは、例えば、1つの領域90の中心点を通り試料台123に垂直な直線を直線81、試料台123の表面と直線81との交点を点82、記録媒体124の表面であってヘッドモジュール113側の表面と直線81との交点を点83とするとき、点82と点83の距離を表す信号である。また、色・光沢画像データと高さ画像データは、図8のXz方向およびYz方向が、それぞれ、画像記録装置の主走査方向および副走査方向と一致するように生成される。
次に、図7のステップS703において、記録媒体124の表面傾斜情報を取得する。本実施形態のインクジェット記録装置1は、入力した形状データに基づいて表面傾斜情報を取得する。表面傾斜情報は、例えば、図8(b)の画像データにおける各領域90の法線方向ベクトル(nx,ny,nz)の集合である。以下、この法線ベクトルを表面傾斜信号と称することもある。表面傾斜信号の算出方法は、図9を参照して説明する。
図9は、傾斜信号の算出方法の一例を説明するための、高さ画像データの模式図である。図9には、図8に示された記録媒体124の領域90の内の25個(5x5)の矩形領域90a、90b、90c…が示されている。中央の矩形領域90Nが表面傾斜情報を取得すべき領域(着目領域)であるとする。矩形領域90Nの回りには別の矩形領域92が規定される。当該別の矩形領域92は、8個の三角形からなる。8個の三角形の頂点は、図9において黒丸で示されている(9個の黒丸。その内の1つが符号91の黒丸)。8個の三角形の各々は、着目領域90Nの中心点91とその近傍の2つの領域(例えば、領域90sと90t)の中心点とを頂点とする三角形である。各三角形の法線ベクトルは、各領域90の位置と高さ信号hとから得られる頂点の3次元座標を用いて、面の方程式を解くことで算出される。8個の三角形の法線ベクトルが算出されると8個の法線ベクトルが得られる。これら8個の法線ベクトルを合成して単位ベクトル化した結果を着目領域90Nの表面傾斜信号(nx,ny,nz)とする。
図7に戻り、次に、図7のステップS704において、ステップS703で取得した表面傾斜情報に基づいて記録条件を設定する。ここで、記録条件は、インク(記録材)の着弾方向に関する条件であり、本実施形態のインクジェット記録装置1は、記録条件としてインクを吐出するときの記録ヘッド21の主走査方向を設定する(例えば、往路方向でインクを吐き出すか復路方向でインクを吐き出すかの選択をする。)。記録条件は、図8(a)の画像データにおける領域90毎に設定される。記録条件の設定手順は図10を参照して説明する。
図10は、記録条件の設定手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS1001で着弾角度φを取得する。この着弾角度φは、ステップS703で取得した各領域90の法線ベクトルと、各主走査方向(往路方向の走査と復路方向の走査)におけるインクの着弾方向との成す角度である。着弾角度φは、往路走査におけるインクの着弾方向に関する値と、復路走査におけるインクの着弾方向に関する値とを取得する。
次に、ステップS1002において、ステップS1001で取得した着弾角度φと所定の閾値とを比較し、着弾角度φが閾値以下となる記録条件があるか判定する。閾値は、上述したように、少なくとも90度以下の値であり、例えば、60度以下、さらには30度以下である。着弾角度φが閾値以下となる記録条件があれば、ステップS1003に進む。
ステップS1003では、対象領域90の記録条件に着弾角度φが閾値以下となる条件を設定する。往路走査の着弾角度φが閾値(例えば、30度)以下で復路走査の着弾角度φが閾値を超える場合には、往路走査でインクを吐出することを示す値として、記録条件信号flagに1を設定する。復路走査の着弾角度φが閾値以下で往路走査の着弾角度φが閾値を超える場合には、復路走査でインクを吐出することを示す値として、記録条件信号flagに2を設定する。往路走査の着弾角度φと復路走査の着弾角度φが共に閾値以下の場合には、往路走査と復路走査の両方でインクを吐出することを示す値として、記録条件信号flagに3を設定する。
S1002において着弾角度φが閾値以下となる記録条件がなければ、ステップS1004に進む。ステップS1004では、選択可能な記録条件の中(例えば、着弾角度φが30度を越えるが60度は越えない場合)で着弾角度φが小さい方の記録条件を対象領域90の記録条件に設定する。本実施形態では、往路走査の着弾角度φが復路走査の着弾角度φよりも小さければ、記録条件信号flagに1を設定する。逆に復路走査での着弾角度φが往路走査の着弾角度φより小さければ、記録条件信号flagに2を設定する。往路走査の着弾信号と復路走査の着弾信号が同一の場合には、記録条件信号flagに3を設定する。
このようにして、ステップS1003またはステップS1004で記録条件を設定する。設定された記録条件で記録することで、インク滴が記録媒体の凸部に遮られることがなくなり、また、ドット形状のばらつきも抑制される。その結果、画像を高品質に記録することが可能となる。ステップS1003またはステップS1004の終了により、図7のステップS704が終了するので、図7のステップS705に進む。
ステップS705において、ステップS702で生成した色データRGB、光沢画像データg、cおよび高さ画像データhと、ステップS704で設定した記録条件とに基づいて、インク吐出信号(以下、単に「吐出信号」と称することもある。)を生成する。本実施形態のインクジェット記録装置1では、画像データから各インク(シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエロインク(Y)、ブラックインク(K)、白インク(W)、クリアインク(S))の量に関する信号を取得し、この信号と記録条件信号とに基づいて、往路走査用の吐出信号と、復路走査用の吐出信号とを生成する。信号処理の詳細は後述する。ステップS705が終了すると、ステップS706に進む。
ステップS706において、ステップS705で生成したインク吐出信号に基づいて記録ヘッド21を駆動し、記録媒体124に画像を記録する。
(機能構成)
次に、本実施形態のインクジェット記録装置1の機能構成と信号処理を説明する。
図11は、本実施形態のインクジェット記録装置1の機能ブロック図である。本実施形態のインクジェット記録装置1は、入出力部37で入力したデータから、往路走査用のインク吐出信号Cr',Mr',Yr',Kr',Wr',Sr'と、復路走査用のインク吐出信号Cl',Ml',Yl',Kl',Wl',Sl'とを生成する。そして、インクジェット記録装置1は、インク吐出信号に基づいて、画像記録部(制御手段)1109で記録媒体124に画像を記録する。
入出力部37は、図7の画像記録手順のステップS701の処理を行い、画像データと形状データを入力する。上記したように、画像データは、例えば、RGBやCMYKの色信号で構成されるTIFFやJPEGなどのフォーマットのデータである。画像データは、鏡面光沢度に関する光沢信号と光沢写像性に関する光沢信号も有している。形状データは、例えば、STLやOBJなどのフォーマットのデータである。入出力部37は、画像データと形状データをプレ処理部1101に出力する。
プレ処理部1101は、図7の画像記録手順のステップS702の処理を行い、色信号R,G,Bと光沢信号g,cから成る色・光沢画像データと、高さ信号hから成る高さ画像データとを生成する。プレ処理部1101は、当該画像データを傾斜情報取得部1102と、吐出信号生成部1107と、色変換部1104に出力する。
傾斜情報取得部1102は、プレ処理部1101から入力された画像データ(高さ信号h)に、図7のステップS703の処理を行い、表面傾斜情報を取得する。具体的には、高さ信号hから表面傾斜信号nx,ny,nzを算出する。傾斜情報取得部1102は、表面傾斜信号nx,ny,nzを記録条件設定部1103とインク信号補正部1106に出力する。
記録条件設定部1103は、傾斜情報取得部1102から入力された表面傾斜信号nx,ny,nzに、図7のステップS704の処理を行い、表面傾斜情報に基づいて記録条件を設定する。具体的には、表面傾斜信号nx,ny,nzに基づいて、記録条件信号flagを設定する。記録条件設定部1103は、記録条件信号flagを吐出信号生成部1107に出力する。
色変換部1104は、カラーテーブル格納部1110に格納されるカラーテーブルを用いて、色信号RGBと光沢信号g, cを、インクジェット記録装置1で再現可能な色信号R'G'B'と光沢信号g', c'に変換する。つまり、色変換部1104は、カラーマッチング処理を行う。カラーテーブルは、離散的なRGBgc信号に対応するR'G'B'g'c'信号を記述したルックアップテーブル(以下、「LUT」と記す。)である。任意のRGBgc信号に対応するR'G'B'g'c'信号の値は、公知の補間方法を用いて算出される。光沢再現優先や色再現優先などの複数のカラーテーブルを用意しておき、ユーザに選択されたカラーテーブルに基づいて変換を行うことができる。色変換部1104は、色信号R'G'B'と光沢信号g'c'をインク分解部1105に出力する。
インク(記録材)分解部1105は、インク分解テーブル格納部1111に格納されるインク分解テーブルを用いて、色信号R'G'B'と光沢信号g'c'をインクの量に関するインク信号C,M,Y,K,W,Sに変換する。インク分解テーブルは、離散的なR'G'B' g'c'信号に対応するC,M,Y,K,W,S信号を記述したLUT(ルックアップテーブル)である。任意のR'G'B' g'c'信号に対応するC,M,Y,K,W,S信号の値は、公知の補間方法を用いて算出することができる。インク分解部1105は、インク信号C,M,Y,K,W,Sをインク信号補正部1106に出力する。
インク信号補正部1106は、傾斜情報取得部1102から入力された表面傾斜情報に基づいてインク信号C,M,Y,K,W,Sを補正し、補正後のインク信号C',M',Y',K',W',S'を生成する。インク分解部1105から出力されたインク信号C,M,Y,K,W,Sは、例えば、試料台123に平行な、傾斜の無い面に画像を記録するときのインクの量に対応する。記録面積は、記憶媒体124の傾斜によって異なるため、傾斜に応じてインクの量を補正する。法線方向が試料台123の法線方向に対して角度ψ傾斜した領域は、傾斜の無い面に比べて記録面積が1/cos(ψ)倍になる。このため、各インク信号を1/cos(ψ)倍する補正を行う。なお、cos(ψ)の値は、傾斜情報取得部1102が取得した表面傾斜信号のnzの値に等しい。インク信号補正部1106は、補正後のインク信号C',M',Y',K',W',S'を吐出信号生成部1107に出力する。
吐出信号生成部1107は、補正後のインク信号C',M',Y',K',W',S'と、記録条件設定部1103が設定した記録条件flagと、プレ処理部1101から入力される高さ信号hとから、各主走査用のインク吐出信号を生成する。すなわち、吐出信号生成部1107は、往路走査用のインク吐出信号C1,M1,Y1,K1,W1,S1と、復路走査用のインク吐出信号C2,M2,Y2,K2,W2,S2とを生成する。インク吐出信号の生成は、図12を参照して説明する。
図12は、吐出信号の生成方法を説明する模式図である。図12(a)には、複数の正方形のセル1201a,1201b,1201c,…が複数横に並べられて形成されたライン(帯状のもの)1201が示されている。このライン1201は、図8(a)の記録媒体124の領域90の横1ラインを抜き出したものである(例えば、図8(a)の部分80)。図12(a)に示された記録媒体ライン1201を構成する正方形のセル1201a,1201b,1201c,…の各々は、図8(a)の1つの処理領域90に対応する。上記したように、各領域90(すなわち、各セル1201a,1201b,1201c,…)は、インク信号や記録条件信号の処理単位である。
図12(a)に示された記録媒体ライン1201を構成する複数のセル1201a,1201b,1201c,…は、それぞれインク信号や記録条件信号を有する。各セル1201a,1201b,1201c,…には3つ異なる模様(斜線模様、ドット模様、格子模様)のうちの1つが付されている。この模様は記録条件を示す。すなわち、斜線模様は往路走査でインクを吐出する領域(記録条件信号1)、ドット模様は復路走査でインクを吐出する領域(記録条件信号2)、格子模様はどちらの走査でインクを吐出してもよい領域(記録条件信号3)を示す。
図12(a)の上部には第2のライン(吐出信号列)1202が示されている。これは往路走査用の吐出信号列1202を示す。図中、右向きの矢印は往路走査方向を示す。図12(b)にも図12(a)の記録媒体ライン1201と同じ記録媒体ライン1201が示されており、図12(b)の上部には第3のライン(吐出信号列)1203が示されている。このラインは復路走査用の吐出信号列1203を示す。各走査方向の吐出信号の並び順は、矢印の方向である。吐出信号列1202および吐出信号列1203は複数の長方形のセルにより構成されている。長方形のセルは吐出タイミングを示し、各長方形のセルは対応する吐出信号を有する。吐出タイミングは、等間隔で、インク信号や記録条件信号よりも細かくサンプリングされる。吐出信号列1202および1203の各セルからは下方に斜線1207が延びている。この斜線1207は、そのセルの吐出タイミングでインクが吐出されたときのインクの軌跡(飛翔方向、着弾方向)を示す。記録媒体ライン1201の各セルが示すインク信号や記録条件信号は、記録媒体124の対応する位置にインクを着弾させる吐出タイミングに対応付けられる。例えば、図12(a)の記録媒体ライン1201のセル1201kのインク信号や記録条件信号は、このセル1201kに対応する領域の中心点である点1205にインクを着弾させる、吐出信号列1202のセル1202m2の吐出タイミングに対応付けられる。
各吐出タイミングの吐出信号は、対応するインク信号や記録条件信号の値に基づいて次の様に生成される。まず、対応する記録条件信号のないタイミングは、吐出信号に0が設定される。このタイミングは、吐出信号列1202および1203において模様の無い白地のセルで示される。吐出信号列1202の斜線模様のセルは、往路走査の吐出信号で、値が1の記録条件信号に対応付けられるタイミングを示す。また、この吐出信号には、対応するインク信号の値が設定される。吐出信号列1202の黒地のセルは、往路走査の吐出信号で、値が2の記録条件信号に対応付けられるタイミングを示す。この吐出信号にはインクの吐出禁止を示す−1が設定される。同様に、吐出信号列1203のドット模様のセルは、復路走査の吐出信号で、値が2の記憶条件信号に対応付けられるタイミングを示す。この吐出信号には、対応するインク信号の値が設定される。吐出信号列1203の黒地のセルは、復路走査の吐出信号で、値が1の記録条件信号に対応付けられるタイミングを示す。この吐出信号には、−1が設定される。値が3の記録条件信号に対応付けられるタイミングは、吐出信号に、対応するインク信号の半分の値が設定される。このタイミングは、吐出信号列1202および1203において、格子模様のセルで示される。
図11に戻る。このような処理により、吐出信号生成部1107は、往路走査用のインク吐出信号C1,M1,Y1,K1,W1,S1と、復路走査用のインク吐出信号C2,M2,Y2,K2,W2,S2を生成する。吐出信号生成部1107は、インク吐出信号C1,M1,Y1,K1,W1,S1と、C2,M2,Y2,K2,W2,S2をハーフトーン処理部1108に出力する。
ハーフトーン処理部1108は、インク吐出信号のハーフトーン処理を行い、インクを吐出するか否かを示す信号(2値のインク吐出信号)に変換する。2値のインク吐出信号は、例えば、インクを吐出するタイミングには1を設定し、インクを吐出しないタイミングには0を設定する。このようにして、ハーフトーン処理部1108は、往路走査用の2値インク吐出信号C1',M1',Y1',K1',W1',S1'と、復路走査用の2値インク吐出信号C2',M2',Y2',K2',W2',S2'を生成する。ハーフトーン処理は、公知の誤差拡散法やディザ法を用いて行うことができる。なお、ディザ法を利用する場合は、事前にローパスフィルタを適用して吐出信号を周辺領域に分散させておく。また、インク吐出信号が-1の吐出タイミングの2値信号には、誤差拡散法の周辺領域からの累積誤差や、ディザ法の閾値の値によらず、インクを吐出しないことを示す0を設定する。ハーフトーン処理部1108は、2値インク吐出信号C1',M1',Y1',K1',W1',S1'と、C2',M2',Y2',K2',W2',S2'とを画像記録部1109に出力する。
画像記録部1109は、ハーフトーン処理部1108から入力された2値インク吐出信号に基づいて記録媒体124に画像を記録する。記録ヘッド21の往路走査では、往路走査用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出し、復路走査では、復路走査用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出する。
なお、上記した実施形態では、着弾角度φの制御(着弾角度φが少なくとも90度以下になるようにすること)は、インク吐出し時のヘッドモジュール113の移動方向(往路方向移動中にインクを吐出すのか、復路方向移動にインクを吐出すのか)を適宜選択することにより行ったが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、着弾角度φの制御は、記録媒体124の移動方向を制御することによって行ってもよい。この場合、まず、図11のインクジェット記録装置1の記録条件設定部1103は、記録条件として、インクを吐出するときの、ヘッドモジュール113(記録ヘッド21)と記録媒体124の相対的な移動方向の情報を設定する。そして、画像記録部1109は、設定された記録条件で、記録ヘッド21を記録媒体124に対して相対的に移動させながらインクを吐出して画像を記録する。
以上説明したように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、記録ヘッド21を記録媒体124に対して往復移動させながら記録媒体124にインクを吐出して画像を記録媒体124に記録する。そして、入力した形状データから記録媒体124の領域90毎の表面傾斜情報を取得し、この表面傾斜情報に基づいて記録条件を設定することでインクの着弾方向を制御する(往路でインクを吐出すか復路でインクを吐出すかを選択する)。記録条件は、インクを吐出するときの記録ヘッド21と記録媒体124の相対的な移動方向の情報であり、移動方向を往路方向または復路方向に設定する。これにより、記録媒体124の凸部に遮られて画像を適切に記録できない領域が発生するという課題や、ドット形状のばらつきに起因する色ムラや彩度低下が生じるという課題が抑制され、凹凸を有する記録媒体124に、高品質な記録をすることができる。
(変形例1)
実施形態1では、図4(a)に示した主走査方向速度ベクトル42の大きさと、インクの吐出速度ベクトル43とを変えず、インクを走査往路方向で吐出すか走査復路方向で吐出すかによって着弾方向を制御した。換言すると、記録条件に、インクを吐出するときの、記録ヘッド21と記録媒体124の相対的な移動方向の情報を設定することで、インクの着弾方向を制御した。本発明はこのような実施形態に限定されない。例えば、主走査方向速度ベクトル42の大きさを変えることにより、着弾方向を制御するようにしてもよい。すなわち、記録条件に、記録ヘッド21と記録媒体124の相対的な移動速度の情報を設定することで、インクの着弾方向を制御してもよい。以下の記載において、記録ヘッド21と記録媒体124の相対的な移動速度の情報を設定することにより、インクの着弾方向を制御する構成を変形例1として説明する。なお、実施形態1と同じ機能・構成については、同じ符号を付してある。
変形例1のインクジェット記録装置1a(図13)は、例えば、ヘッドモジュール113(記録ヘッド21)の移動速度を任意に制御できる画像記録装置である。
図13は、変形例1のインクジェット記録装置1aの機能ブロック図である。インクジェット記録装置1aは、入出力部37と、プレ処理部1101と、傾斜情報取得部1102と、記録条件設定部1301と、色変換部1104と、インク分解部1105と、インク信号補正部1106と、吐出信号生成部1302、ハーフトーン処理部1303、画像記録部1304と、カラーテーブル格納部1110と、インク分解テーブル格納部1111とを備える。変形例1は、実施形態1と比較した場合、記録条件設定部1301、吐出信号生成部1302、ハーフトーン処理部1303および画像記録部1304以外は、実施形態1と同一である。以下の変形例1の記載では、実施形態1と異なる点を説明する。
記録条件設定部1301は、傾斜情報取得部1102から表面傾斜情報nx、ny、nzを受け取る。記録条件設定部1301は、当該表面傾斜情報nx、ny、nzに基づいて、記録条件(ヘッドモジュール移動速度)を設定する。記録条件として、例えば、記録条件設定部1301は、着弾角度φ(図4(c)または図4(d))が0度になるヘッドモジュール移動速度を選択し、当該ヘッドモジュール移動速度を表す信号を記録条件信号sigとする。図4(a)に示すように、インクの着弾方向41(移動方向と着弾方向は実質的に同じであると考える。)は、主走査の移動速度ベクトル42 とインクの吐出速度ベクトル43とによって決まる。すなわち、インクの吐出速度ベクトル43が一定である(変わらない)とすると、主走査の移動速度ベクトル42を変えることにより、インクの着弾方向41を制御することができる。逆に言えば、インクの着弾方向41を決めると、どのような主走査の移動速度ベクトル42にすればよいかが決まる。上記したように、変形例1では、インクの着弾方向41は、着弾角度φが0度となるように設定される。着弾方向41の設定は、記録媒体124の表面傾斜情報に基づいて行う。なお、移動速度に関する信号は、走査方向が識別できるようにするために、例えば、プラスとマイナスを付す。例えば、プラスの信号(プラスの値)は往路走査を表し、マイナスの信号は復路走査を表す。記録条件設定部1301は、設定条件信号sigを画像記録部1304と吐出信号生成部1302とに出力する。
吐出信号生成部1302は、プレ処理部1101から領域90毎の高さ信号hを受け取り、記録条件設定1301から記録条件信号sigを受け取り、インク信号補正部1106からインク信号を受け取る。吐出信号生成部1302は、高さ信号hと記録条件信号sigとインク信号C',M',Y',K',W',S'とに基づいて、図8の画像データの領域90毎にインク吐出信号を生成する。インク吐出信号の生成は、図14を参照して説明する。
図14は、変形例1の吐出信号の生成方法を説明する模式図である。図14(a)の吐出信号列1401は、記録媒体ライン1201のセル1201fに対応する領域90に記録をするための吐出信号列を示す。吐出信号列1401は複数の白地のセル1401a1,1401a2,1401a3,1401b1,1401b2, 1401b3,1401c1,1401c2,1401c3,・・・と1つの斜線のセル1401h3とからなる。吐出信号列1401の各セルは、記録条件設定部1301で設定されたヘッドモジュール移動速度における吐出タイミングを示し、対応する吐出信号を持つ。吐出信号列1401では、模様の無い白地のセルの吐出信号には0が設定され、斜線のセル1401h3には、記録媒体124のセル1201fのインク信号が設定される。吐出信号列1401のセル1401h3から下方に延びる実線1207aは、吐出されたインクの軌跡(図4(a)の着弾方向41に相当)を示す。実線1027aと記録媒体124の着弾目標位置の傾きから分るように、吐出信号は、着弾角度φが0度となるように(つまり、着弾方向と記録媒体124の着弾目標位置における法線とが一致するように)設定されており、よって、インクが記録領域90の鉛直方向真上(正面)から着弾する。
図14(b)は他の吐出信号列1404を示す。この吐出信号列1404は、記録媒体124のセル1201kに対応する領域に記録をするための吐出信号列を示す。吐出信号列1404の各セルは、記録条件設定部1301で設定されたヘッドモジュール移動速度における吐出タイミングを示し、対応する吐出信号を持つ。吐出信号列1404の模様の無い白地のセルの吐出信号には0が設定され、斜線のセル1404m1には、セル1201kのインク信号が設定される。吐出信号列1404のセル1404kから下方に延びる実線1207bは、吐出されたインクの軌跡(図4(a)の着弾方向41に相当)を示す。実線1027bと記録媒体124の着弾目標位置の傾きから分るように、吐出信号は、着弾角度φが0度となるように(つまり、着弾方向と法線が一致するように)設定されており、よって、インクが記録領域90の正面から着弾する。
上記した手順により、吐出信号生成部1302は、図8の画像データの領域90毎にインク吐出信号を生成する。吐出信号生成部1302は、当該インク吐出信号をハーフトーン処理部1303に出力する。
ハーフトーン処理部1303は、吐出信号生成部1302から入力されたインク吐出信号を2値化する。つまり、ハーフトーン処理部1303は、インクを吐出するか否かを示す信号(2値のインク吐出信号)を生成する。2値のインク吐出信号は、例えば、インクを吐出するタイミングには1を設定し、インクを吐出しないタイミングには0を設定する。ハーフトーン処理は、公知の誤差拡散法やディザ法を用いて行うことができる。ハーフトーン処理部1303は、2値化した信号を画像記録部1304に出力する。
画像記録部1304は、記録条件設定部1301で設定した移動速度で記録ヘッド21を走査しながら、ハーフトーン処理部1303が出力した吐出信号に基づいてインクを吐出して、記録媒体124に画像を記録する。
次に、図7のフローチャートを用いて、変形例1のインクジェット記録装置1aの画像記録手順を説明する。
ステップS701乃至ステップS703は、実施形態1と同一の処理を行う。
変形例1のステップS704では、記録条件設定部1301が上記したような手順で記録条件を設定する。変形例1のステップS705では、吐出信号生成部1302とハーフトーン処理部1303が吐出信号を生成する。最後にステップS706において、画像記録部1304が画像を記録する。
なお、上記した変形例1では、インクジェット記録装置1aが、ヘッドモジュール113(記録ヘッド21)の移動速度を制御したが、ヘッドモジュール113の移動速度ではなく記録媒体124の移動速度を制御してもよい。その場合、図4(a)の主走査の移動速度ベクトル42は、記録媒体124に対する記録ヘッド21の相対的な移動速度のベクトルを表し、記録条件設定部1301は、記録ヘッド21と記録媒体124の相対的な移動速度に対応した信号を設定する。また、画像記録部1304は、記録ヘッド21と記録媒体124の相対的な移動速度を制御し、設定された条件で画像を記録する。
以上説明したように、変形例1のインクジェット記録装置1は、記録媒体124の各領域90の表面傾斜情報に基づいて、ヘッドモジュール113(記録ヘッド21)と記録媒体124の相対的な移動速度の情報を記録条件に設定することで、インクの着弾方向を制御する。これにより、記録媒体124の凸部に遮られて所望の位置にインクを着弾させることができない(所望の位置に画像を記録できない)領域が発生するという課題や、ドット形状のばらつきに起因する色ムラや彩度低下が生じるという課題が抑制される。よって、凸凹を有する記録媒体124へ画像を記録する場合において、高品質な記録が可能となる。
(変形例2)
変形例1では記録ヘッド21の移動速度を変えることにより、インクの着弾方向(着弾角度φ)を制御したが、記録ヘッド21に対する記録媒体124の設置角度(記録媒体124を載置している試料台123の傾き)を変えることによってもインクの着弾方向を制御することができる。つまり、記録条件として、記録ヘッド21に対する記録媒体124の設置角度の情報を設定することで、インクの着弾方向を制御することができる。このような構成を、変形例2として以下に説明する。なお、変形例2では着弾角度φの閾値は例えば30度であるとする。
変形例2のインクジェット記録装置1b(図11)は、例えば、試料台123(図1)の傾きが調整できる画像記録装置である。インクジェット記録装置1bは、試料台123の傾きを変えるためのリフト機構(図示せず)を備える。試料台123の上には記録媒体124が載置されているので、試料台123の傾きを変えることにより、記録媒体124の設置角度(記録媒体全体の傾斜角度)を制御することができる。調整可能な傾きの方向は、試料台123の法線ベクトルと主走査方向の方向ベクトルが同一面に含まれる方向である。これを図1(a)を用いて説明するならば、変形例2のインクジェット記録装置1bは、図1(a)に描かれている試料台123の形(長方形)を変えることなく試料台123を傾けることができるようになっている。なお、試料台123の表面と副走査方向とは、試料台123の傾きが調整されても平行に保たれる。
記録媒体124の凹凸部(表面傾斜角度が大きい領域)に記録するときは、試料台123を傾けることで着弾角度φを小さくすることができる。例えば、図15Aのように記録媒体124の凸部124aの左面の着弾目標位置46bにインクが着弾方向41で吐出される場合、記録媒体124全体の傾きが当初の傾き(水平:傾き0度)であれば、インクの着弾方向41と着弾目標位置46bからの法線NLとの間の着弾角度φは閾値(30度)を越えてしまう。記録媒体124の試料台123を右に傾けると、着弾角度φを閾値(30度)以内にすることができる。
以下では、一例として、記録媒体124(試料台123)の設置角度を-43度、0度(初期角度)、43度の3段階に調整できるインクジェット記録装置1bについて説明する。記録媒体124の設置角度が−43度になると、図15Aにおいて記録媒体124(または試料台123)が右方向(時計回り)に43度傾くことになる。43度時計回りに傾いた状態は図15Bに示されている。図15Bの一点鎖線は試料台123が43度傾く前の試料台123の位置を示している(図示の都合上、試料台123の左半分のみを一点鎖線で示している。)。
このインクジェット記録装置1bは、往路走査と復路走査のインク着弾方向(図15Aの着弾方向41)が、−21度と21度の方向であるとする。−21度のインク着弾方向は図15Aに示されているように、往路でインクが吐出された場合の着弾方向41の方向を示す。21度のインク着弾方向は復路でインクが吐出された場合の方向である。
以下の記載において、記録媒体124の設置角度(記録媒体124全体の傾斜角度)は、記録媒体124の下面が平らであると仮定した場合の記録媒体124の下面の角度を意味する。記録媒体124の平らな下面は試料台123の上面に接しているので、記録媒体124の設置角度は試料台123の上面の角度(あるいは、試料台123の設置角度)であると言える。
図11を用いて、変形例2のインクジェット記録装置1bの機能構成を説明する。インクジェット記録装置1bの入出力部37、プレ処理部1101、傾斜情報取得部1102、色変換部1104、インク分解部1105、インク信号補正部1106、カラーテーブル格納部1110およびインク分解テーブル格納部1111は、実施形態1のインクジェット記録装置1と同一の処理を行う。これらの機能構成は、説明を省略し、実施形態1と異なる点を説明する。変形例2のインクジェット記録装置1bは、着弾角度φを30度以内に抑えるように構成されているとする。
変形例2のインクジェット記録装置1bの記録条件設定部1103は、記録条件として、記録媒体124の設置角度と、インクを吐出するときの主走査方向に関する信号(往路でインクを吐出すか復路でインクを吐出すかを示す信号)とを設定する。設置角度と走査方向の組み合わせは、(A)設置角度−43度、往路走査、(B)設置角度0度、往路走査、(C)設置角度0度、復路走査、(D)設置角度43度、復路走査、の4種類とする。記録条件設定部1103は、記録媒体124の各領域90の表面傾斜情報に基づいて、次の7つの中のいずれかの記録条件を設定(選択)する。すなわち、(1)対象領域を組み合わせAで記録、(2)AとBで記録、(3)Bで記録、(4)BとCで記録、(5)Cで記録、(6)CとDで記録、(7)Dで記録、の7つの記録条件から1つの記録条件が選択される。
図15Cは、変形例2の記録条件(上記した7つの記録条件)を説明する模式図である。図15Cの上横軸は記録媒体124上の着弾目標位置46bからの法線NLと、記録媒体124の設置角度を0度に調整したときの試料台123の上面からの法線とにより規定される角度を示している。−90度は、図15Aの法線NLが試料台123の上面と平行になる場合である。つまり、記録媒体124上の着弾目標位置46bを含む凸部124aの左面が試料台123の上面に対して垂直になる場合である。0度は記録媒体124の表面が平らな場合(試料台123と平行な場合)である。90度は凸部124aの右側の面が試料台123の上面に対して垂直になる場合である。図15Cの左縦軸は上記した4種類の設置角度と走査方向の組み合わせ(A),(B),(C)および(D)である。図15Cの下横軸は上記した7つの記録条件(1)乃至(7)である。
変形例2では、例えば、着弾目標位置(対象領域)の法線NL方向と、記録媒体124の設置角度を0度に調整したときの試料台123の法線方向との成す角度が、−90度以上−47度未満であれば、(1)の記録条件を表す値である1を記録条件信号flagに設定する。−47度以上−38度未満であれば(2)の記録条件を表す値である2を記録条件信号flagに設定する。−38度以上−5度未満であれば(3)の記録条件を表す値である3を記録条件信号flagに設定する。−5度以上5度以下であれば(4)の記録条件を表す値である4を記録条件信号flagに設定する。5度を超え38度以下であれば(5)の記録条件を表す値である5を記録条件信号flagに設定する。38度を超え47度以下であれば(6)の記録条件を表す値である6を記録条件信号flagに設定する。47度を超えれば(7)の記録条件を表す値である7を記録条件信号flagに設定する。図15Cの黒い逆三角形は、上記組み合わせ(A)乃至(D)の各々において、着弾角度φが0度となる点を示す。例えば、組み合わせ(A)の黒い逆三角形は、−64度の位置にある。−64度から43度傾けると−21度になり、インクの着弾方向41の角度(−21度)と一致するからである。
例えば、図15Aの場合、着弾目標位置(対象領域)46bの法線NL方向と、記録媒体124の設置角度を0度に調整したときの試料台123の法線方向(図中、破線で示す方向)との成す角度は−75度である。この角度は−90度以上−47度未満の範囲に入る。したがって、(1)の記録条件が設定(選択)される。(1)の記録条件が設定されると、記録媒体124の設置角度が−43度傾けられる。つまり、記録媒体124は図15Bに示されるように時計回りに43度傾けられる。−75度から時計回りに43度回転されるので、法線NLは-32度の位置に移動する。−32度の法線NLと−21度のインク着弾方向41とが形成する着弾角度φは11度となる。よって、着弾角度φは、閾値(30度)以下になる。図15Aの状態では、着弾角度φは30度より大きい(75度−21度=54度)である。
記録条件を上記のように設定することで、着弾角度φは30度以内に抑制できる。すなわち、着弾角度φが閾値以下となる記録条件が設定される。
図11に戻って、変形例2の吐出信号生成部1107は、上記4つの組み合わせ(A),(B),(C)および(D)(設置角度と走査方向の組み合わせ)に対応したインク吐出信号を生成する。すなわち、吐出信号生成部1107は、組み合わせ(A)用の吐出信号C1,M1,Y1,K1,W1,S1と、組み合わせ(B)用の吐出信号C2,M2,Y2,K2,W2,S2と、組み合わせ(C)用の吐出信号C3,M3,Y3,K3,W3,S3と、組み合わせ(D)用の吐出信号C4,M4,Y4,K4,W4,S4とを生成する。吐出信号の生成は図16を参照して説明する。
図16は、変形例2の吐出信号の生成方法を説明する模式図である。図16(a)は往路でインクを吐出し、記録媒体124(試料台123)を時計回りに傾けた場合、図16(b)は往路でインクを吐出し、記録媒体124の傾きが当初のままの場合、図16(c)は復路でインクを吐出し、記録媒体124の傾きが当初のままの場合、図16(d)は復路でインクを吐出し、記録媒体124を反時計回りに傾けた場合を示している。
図16の記録媒体124のライン1601は、インク信号や記録条件信号の処理単位である記録媒体上の微小領域90の列を示し、図8(a)の1ライン(80)を抜き出したものである。図16のライン1601は複数の正方形のセルからなる。各セルは、1つの処理領域90に対応し、対応するインク信号や記録条件信号を持つ。セルの模様は記録条件に対応し、最も明るい模様がflag=1に対応する。図16(a)ではセル1601kの模様が最も明るい。セルの模様は、記録条件信号の値が大きいほど暗くなり、最も暗い模様がflag=7に対応する。図16(a)ではセル1601Nの模様が最も暗い。
図16(a)には組み合わせ(A)用の吐出信号列1620が示されている。図16(b)には、組み合わせ(B)用の吐出信号列1603が示されている。図16(c)には、組み合わせ(C)用の吐出信号列1604が示されている。図16(d)には、組み合わせ(D)用の吐出信号列1605が示されている。各組み合わせの吐出信号の並び順は、矢印の方向である。吐出信号列の長方形のセルは吐出タイミングを示し、各セルは対応する吐出信号を持つ。吐出タイミングは、等間隔で、インク信号や記録条件信号よりも細かくサンプリングされる。なお、設置角度と走査方向の組み合わせによって、吐出タイミングの間隔が異なる構成であってもよい。
各タイミングの吐出信号は、対応するインク信号や記録条件信号の値に基づいて次の様に生成される。まず、対応する記録条件信号のないタイミングは、吐出信号に0が設定される。このタイミングは、吐出信号列1602乃至1605において模様の無い白地のセルで示される。対応する記録条件信号が、その設置角度と走査方向の組み合わせではインクを吐出しないことを示す値である場合は、吐出信号に-1が設定される。このタイミングは、吐出信号列1602乃至1605において黒地のセルで示される。吐出信号列1602において、値が1の記録条件信号に対応付けされたタイミングは、吐出信号に対応するインク信号の値が設定される。同様に、吐出信号列1603、1604、1605において、値が3、5、7の記録条件信号に対応付けされたタイミングは、吐出信号に、対応するインク信号の値が設定される。また、吐出信号列1602と1603において、値が2の記録条件信号に対応付けされたタイミングは、吐出信号に、対応するインク信号の半分の値が設定される。同様に、吐出信号列1603と1604において、値が4の記録条件信号に対応付けされたタイミングと、吐出信号列1604と1605において、値が6の記録条件信号に対応付けされたタイミングは、吐出信号に、対応するインク信号の半分の値が設定される。このようにして、吐出信号生成部1107は吐出信号を生成し、ハーフトーン処理部1108に吐出信号を出力する。
変形例2のハーフトーン処理部1108は、吐出信号生成部1107から吐出信号を受け取り、実施形態1と同じ処理を、上記組み合わせ(A)乃至(D)の4種類のインク吐出信号に施し、各インク吐出信号に対応した2値インク吐出信号を生成する。ハーフトーン処理部1108は、2値インク吐出信号を画像記録部1109に出力する。
変形例2の画像記録部1109は、ハーフトーン処理部1108から入力された2値信号に基づいて記録媒体124に画像を記録する。例えば、まず、記録媒体124の設置角度を-43度に調整して、記録ヘッド21の往路走査で上記組み合わせ(A)用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出する。次に、記録媒体124の設置角度を0度に調整して、記録ヘッド21の往路走査で上記組み合わせ(B)用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出し、復路走査で上記組み合わせ(C)用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出する。次に、設置角度を43度に調整して、記録ヘッド21の復路走査で上記組み合わせ(D)用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出する。
次に、図7を用いて、変形例2のインクジェット記録装置1bの画像記録手順を説明する。ステップS701乃至ステップS703は、実施形態1と同一の処理を行う。
変形例2のステップS704において、変形例2の記録条件設定部1103が記録条件を設定し、ステップS705において、変形例2の吐出信号生成部1107とハーフトーン処理部1108が吐出信号を生成する。最後にステップS706において、変形例2の画像記録部1109が画像を記録媒体124に記録する。
なお、インクジェット記録装置1bは、記録媒体124全体の傾き(試料台123の傾き)の代わりに、記録ヘッド21の傾きを制御してもよい。この場合、変形例2の記録条件設定部1103は、記録ヘッド21に対する記録媒体124の相対的な設置角度に対応した信号を設定する。また、画像記録部1109は、記録ヘッド21に対する記録媒体124の相対的な設置角度を制御し、設定された条件で画像を記録する。
以上説明したように、変形例2のインクジェット記録装置1bは、記録媒体124の各領域90の表面傾斜情報に基づいて、記録ヘッド21に対する記録媒体124の相対的な設置角度の情報を記録条件に設定することで、インクの着弾方向を制御する。これにより、記録媒体124の凸部に遮られて画像を記録できない領域が発生するという課題や、ドット形状のばらつきに起因する色ムラや彩度低下が生じるという課題が抑制され、立体的な記録媒体124への画像の記録において高品質な記録が可能となる。
(変形例3)
本変形例では、記録条件に、記録媒体124の面内回転角度の情報を設定することで、インクの着弾方向(着弾角度φ)を制御する構成について説明する。記録媒体124の面内回転とは、図1のX方向(主走査方向)とY方向(副走査方向)により規定される面内で、記録媒体124(試料台123)が回転することを意味する。この回転の中心は、試料台123の中心である。記録媒体124の面内回転角度は、所定平面内における記録媒体124の回転角度位置と言うこともできる。
変形例3のインクジェット記録装置1c(図11)は、図1(b)に示されたインクジェット記録装置1と同じように、試料台123を回転させる回転機構を備えている。試料台123は、θ回転モータ119を駆動源として、プーリ120、121およびタイミングベルト122などにより、回転される。試料台123は、その法線方向を軸として、記録ヘッド21の吐出面と平行を保ったまま回転する。
試料台123の180度回転+往路走査は、着弾方向に関して復路走査と同等である。すなわち、往路走査でインクを吐き出した後、試料台123を180度回転して、往路走査で行ったインク吐出を再び行うと、180度回転後のインク吐出は、復路走査のインク吐き出しになる。よって、実施形態1で説明した構成と同様の効果は、記録媒体124の面内回転角度を記録条件に設定する構成(変形例3)でも得ることができる。
また、変形例2では、主走査方向における記録媒体124全体の傾きは変化するが、副走査方向における記録媒体124全体の傾きは変わらない。つまり、変形例2では、副走査方向で見た場合、往路走査と復路走査とにおいて、インクの着弾角度は変わらない。従って、変形例2の構成では、副走査方向における着弾角度φを制御できない。しかし、記録媒体124を90度回転することができれば(変形例3)、副走査方向における着弾角度φを制御できるようになる。
以下の記載では、一例として、記録媒体124の面内回転角度を0度、90度、180度、270度の4つの角度に調整でき、往路走査のみで画像を記録するインクジェット記録装置1cについて説明する。
図17は、変形例3の記録条件である面内回転角度の調整について説明する模式図である。
図17(a)乃至(d)には、それぞれ、面内回転角度が0度、90度、180度、270度に調整されたときの記録媒体124が示されている。図17(a)の状態から図17(b)の状態に変化する際、試料台123は図中の矢印170で示すように時計回りに90度回転する。図17の矢印Xzは記録ヘッド21の主走査方向を示し、矢印Yzは副走査方向を示す。また、格子は、インク信号のサンプリング点を示し、各マス目の領域90は、対応するインク信号に基づいて画像が記録される領域である。例えば、図17(a)の記録媒体124の領域90は、面内回転角度が0度に調整されたときは、記録ヘッド21が点P1から点P3の方向に移動しているときに吐出されたインクによって画像が記録される。図17(b)に示されるように、記録媒体124の領域90は、面内回転角度が90度に調整されたときは、記録ヘッド21が、点P2から点P4の方向に移動しているときに吐出されたインクによって画像が記録される。図17(c)に示されるように、記録媒体124の領域90は、面内回転角度が180度に調整されたときは、記録ヘッド21が、点P3から点P1の方向に移動しているときに吐出されたインクによって画像が記録される。図17(d)に示されるように、記録媒体124の領域90は、面内回転角度が270度に調整されたときは、記録ヘッド21が、点P4から点P2の方向に移動しているときに吐出されたインクによって画像が記録される。
このように、面内回転角度の設定によって、記録媒体124の領域90に対する記録ヘッド21の相対的な走査方向が変わるため、領域90における着弾角度φが変化する。すなわち、変形例3のインクジェット記録装置1cは、各領域90について4つの着弾角度φに対応した記録条件を選択できる。
図11を用いて、変形例3のインクジェット記録装置1cの機能構成を説明する。
変形例3のインクジェット記録装置1cの入出力部37、プレ処理部1101、傾斜情報取得部1102、色変換部1104、インク分解部1105、インク信号補正部1106、カラーテーブル格納部1110およびインク分解テーブル格納部1111は、実施形態1と同一の処理を行う。これらの構成は、説明を省略し、実施形態1と異なる点を説明する。
変形例3のインクジェット記録装置1cの記録条件設定部1103は、傾斜情報取得部1102から表面傾斜情報を受け取る。記録条件設定部1103は、当該表面傾斜情報に基づいて、記録条件を設定する。変形例3では、記録条件設定部1103は、記録条件として、記録媒体124の面内回転角度(所定平面内における記録媒体124の回転角度位置)に関する信号を設定する。図10のフローチャートを用いて、変形例3の記録条件の設定手順を説明する。
図10に示されるように、まず、ステップS1001において、記録媒体124(試料台123)を各面内回転角度(0度、90度、180度、270度)に調整したときの着弾角度φを取得する。着弾角度φは、記録媒体124のインク着弾目標位置における法線ベクトル(NL)と、各主走査方向におけるインクの着弾方向との成す角度(図4(c)や図4(d)に示されている角度φ)であり、領域90毎に、4つの面内回転角度に対応する4つの値を取得する。
次に、ステップS1002において、ステップS1001で取得した着弾角度φと所定の閾値とを比較し、着弾角度φが閾値以下となる記録条件があるか判定する。閾値は、実施形態1で説明したように、少なくとも90度以下の値であり、例えば、30度である。着弾角度φが閾値以下となる記録条件があれば、ステップS1003に進み、他の場合はステップS1004に進む。
ステップS1003では、対象領域90の記録条件に着弾角度φが閾値以下となる条件を設定する。変形例3の記録条件信号flagは、各桁の値が面内回転角度に対応した4桁の値であり、例えば、1桁目の値が、面内回転角度0度に対応し、2桁目の値が、面内回転角度90度に対応し、3桁目の値が、面内回転角度180度に対応し、4桁目の値が面内回転角度270度に対応する。
記録条件信号flagの各桁の値は0または1である。対応する面内回転角度度の着弾角度φが閾値以下となる場合には、記録を行うことを示す1が設定され、その他の場合には、記録を行わないことを示す0が設定される。例えば、面内回転角度0度の着弾角度φだけが閾値以下となる場合の記録条件信号flagの値は、1桁目が1となり2桁目、3桁目および4桁目は0となるので、0001になる。また、90度と270度の着弾角度φが閾値以下となる場合、記録条件信号flagの値は1010となり、全ての面内回転角度度の着弾角度φが閾値以下となる場合、記録条件信号flagの値は1111となる。
ステップS1004では、選択可能な記録条件の中で着弾角度φの小さい記録条件を対象領域90の記録条件に設定する。この場合、記録条件信号flagには、設定された記録条件の面内回転角度に対応した桁のみに1が設定され、その他の桁は0が設定される。例えば、面内回転角度度0度と90度と180度の着弾角度が選択可能な記録条件である場合であって、面内回転角度0度の着弾角度φが最も小さい(最も閾値30度に近い)場合には、記録条件信号flagには0001が設定される。なお、設定する記録条件は、最も着弾角度φの小さい条件が好ましいが、着弾角度φがほぼ等しい複数の記録条件が選択可能な場合には、最も着弾角度φの小さい条件の代わりに、この条件と着弾角度φがほぼ等しい記録条件を設定してもよい。つまり、個々の記録対象領域90を考えると、最も着弾角度φの小さい条件が好ましいが、記録媒体124全体を考えると、例えば、2番目に小さい着弾角度を選択した方が全体の記録(印字)バランスが良くなる場合もある。
このようにして、記録条件設定部1103は記録条件を設定し、当該記録条件を表す記録条件信号flagを吐出信号生成部1107(図11)に出力する。
図11に戻る。変形例3の吐出信号生成部1107は、プレ処理部1101から高さ信号hを受け取り、記録条件設定部1103から記録条件信号flagを受け取り、インク信号補正部1106から方法後のインク信号C’,M’,Y’,K’,W’,S’を受け取る。そして、吐出信号生成部1107は、これら信号に基づいて、面内回転角度に対応したインク吐出信号を生成する。すなわち、面内回転角度0度用の吐出信号C1,M1,Y1,K1,W1,S1、90度用の信号C2,M2,Y2,K2,W2,S2、180度用の信号C3,M3,Y3,K3,W3,S3、270度用の信号C4,M4,Y4,K4,W4,S4を生成する。
図12(a)を用いて、変形例3の各吐出信号の生成方法を説明する。なお、各構成の概要は実施形態1と同じであるため、説明を省略する。各面内回転角度用の吐出信号は、次のように生成する。
まず、吐出信号列1202の各吐出タイミングで、対応する記録条件信号flagのないタイミングには、吐出信号に0を設定する。また、対応する記録条件信号flagが、対象の面内回転角度(例えば、90度)で記録を行わないことを示すタイミングには、インクの吐出禁止を示す−1を設定する。例えば、面内回転角度0度用の吐出信号の生成において、対応する記録条件信号flagの1桁目の値が0であるタイミングには、吐出信号に−1を設定する。他の場合は、対応する記録条件信号flagの各桁の値を加算した記録条件数を算出し、対応するインク信号をこの記録条件数で割った値を吐出信号に設定する。例えば、面内回転角度0度用の吐出信号の生成において、対応付けられた記録条件信号flagの値が、面内回転角度0度と90度で記録を行うことを示す0011であれば、記録条件数は2であり、この吐出タイミングには、対応するインク信号の半分の値が設定される。同じ領域90に2度インクを吐き出すので、1回のインク吐き出し量を1/2にしている。
このようにして、吐出信号生成部1107は、面内回転角度0度、90度、180度、270度用の吐出信号C,M,Y,K,W,Sを生成して、ハーフトーン処理部1108(図11)に出力する。
図11に戻る。変形例3のハーフトーン処理部1108は、実施形態1と同じ処理を、面内回転角度0度、90度、180度、270度用のインク吐出信号に施し、各インク吐出信号に対応した2値インク吐出信号を生成し、画像記録部1109に出力する。
変形例3の画像記録部1109は、ハーフトーン処理部1108から入力された2値信号に基づいて記録媒体124に画像を記録する。例えば、まず、面内回転角度を0度に調整して、面内回転角度0度用の2値インク吐出信号に基づいてインクを記録媒体124に吐出する。次に、面内回転角度を90度に調整して、面内回転角度90度用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出する。その後、面内回転角度を180度に調整して、面内回転角度180度用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出する。そして、面内回転角度を270度に調整して、面内回転角度270度用の2値インク吐出信号に基づいてインクを吐出する。
次に、図7を用いて、変形例3のインクジェット記録装置1cの画像記録手順を説明する。
ステップS701乃至ステップS703は、実施形態1と同一の処理を行う。
変形例3では、ステップS704において、インクジェット記録装置1cの記録条件設定部1103が記録条件を設定する。その後、ステップS705において、インクジェット記録装置1cの吐出信号生成部1107とハーフトーン処理部1108が吐出信号を生成する。最後にステップS706において、インクジェット記録装置1cの画像記録部1109が画像を記録媒体124に記録する。
なお、面内回転角度は上記の4つの角度(0度、90度、180度、270度)に限らない。例えば、0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度にしてもよい。さらに、面内回転角度は、記録媒体124の表面傾斜情報や、ユーザからの指定に基づいて設定するように構成してもよい。
また、各面内回転角度において、往路走査と復路走査でインクを吐出するように構成してもよい。このような構成によれば、画像をより短時間に記録媒体124に記録できる。
以上説明したように、変形例3のインクジェット記録装置1cは、記録媒体124の各領域90の表面傾斜情報に基づいて、記録媒体124の面内回転角度の情報を記録条件に設定することで、インクの着弾方向(着弾角度φ)を制御する。これにより、インクが記録媒体124の凸部に遮られて画像を記録できない領域が発生するという課題や、ドット形状のばらつきに起因する色ムラや彩度低下が生じるという課題が抑制され、立体的な記録媒体124への画像の記録において高品質な記録が可能となる。
実施形態2
実施形態1では、記録ヘッド21を記録媒体124に対して相対的に移動させながらインクを吐出することで、画像を記録媒体124に記録する構成について説明した。本発明はそのような構成に限定されない。例えば、記録ヘッド21がインクを吐き出すとき、記録ヘッド21は必ずしも記録媒体124に対して移動している必要はない。記録ヘッド21を記録媒体124に対して静止させてインクを吐出する構成を、実施形態2として以下に説明する。なお、実施形態1と同様な要素には同じ参照符号を付した。
(画像記録装置の構成)
図18は、実施形態2のインクジェット記録装置(画像記録装置)1800の要部の概略構成を示す模式図である。
図18に示されるように、実施形態2のインクジェット記録装置1800は、ヘッドモジュール1801と、当該ヘッドモジュール1801を支持するパラレルリンク機構1818と、当該パラレルリンク機構1818を駆動する駆動モータ1802、1803、1804、1805、1806、1807と、これら駆動モータ1802乃至1807を取り付けるためのモータ取付部1819と、を備える。インクジェット記録装置1800の下には、試料台1815が設けられている。インクジェット記録装置1800は、試料台1815上に置かれる記録媒体(図示せず)にインクを吐出して記録を行う。また、本実施形態のインクジェット記録装置1800は、図18には図示されていないが(図20A参照)、駆動モータ1802乃至1807を駆動するモータドライバ33(図20A)と、ヘッドモジュール1801を駆動する記録ヘッドドライバ34(図20A)と、インクジェット記録装置1800全体の動作を制御する制御部32と、外部記憶装置35(図20A)と、操作パネル36(図20A)と、入出力部37(図20A)とを備える。
パラレルリンク機構1818は、ヘッドモジュール1801の位置と向きを制御するための機構である。図18に示されるように、パラレルリンク機構1818は、6軸のパラレルリンク機構であり(6軸は図中、6つの双方向矢印で示されている)、複数のアーム1808と、複数のジョイント1810と、複数のリンク1809と、複数の結合部1812とを有する。結合部1812は、リンク1809をヘッドモジュール1801に接続するためのものである。
1つのアーム1808と、当該アーム1808の先端に設けられた1つのジョイント1810と、当該ジョイントによりアーム1808に接続された1つのリンク1809と、当該リンクの先端に設けられた1つの結合部1812とが、1本のリンクを構成する。6本のリンクがパラレルリンク機構1818を構成する。パラレルリンク機構1818の6つの結合部1812は、ヘッドモジュール1801の所定の6箇所に結合(接続)される。
6つの駆動モータ1802乃至1807は、モータ取付部1819の外周の6つの所定位置それぞれ取り付けられている。駆動モータ1802乃至1807は、それぞれ、アーム1808、ジョイント1810、リンク1809および結合部1812を介してヘッドモジュール1801に接続される。
各駆動モータ1802、1803、1804、1805、1806、1807は回転軸を有し、当該回転軸の先端は駆動モータのハウジングから突出している。各アーム1808の基部(基端)は駆動モータの回転軸の突出部に取り付けられる。図18の黒丸1811は、駆動モータ1802の回転軸の突出部を示している。例えば、駆動モータ1802は、モータの回転軸(黒丸1811)を中心に、アーム1808を回転させる。アーム1808を矢印1813の方向へ回転させると、ジョイント1810を介してリンク1809がヘッドモジュール1801との結合部1812を矢印1814の方向へ移動させる。その結果、ヘッドモジュール1801の向きが変化する。
ヘッドモジュール1801は、下面に吐出口1911(図19)を備え、試料台1815の上に設置された記録媒体に向けて、インク滴を吐出して画像を記録する。
図19は、ヘッドモジュール1801を示す模式図である。図19に示すように、本実施形態のヘッドモジュール1801は、インクを吐出する記録ヘッド1910と、記録媒体の形状を取得するための測定部22と、記録ヘッド1910にインク(記録材)を供給するインクタンク23とを備える。測定部22およびインクタンク23の構成は、実施形態1と同じである。
インクは、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、白(W)、クリア(S)の6種類である。各インクタンク23は、記録ヘッド1910に対して着脱自在となっている。記録ヘッド1910は、底面(吐出口面1910a)にインクを吐出する吐出口1911を有する。
図19において、吐出口1911(Y)はイエロインクの吐出口を示す。吐出口1911(M)はマゼンタインクの吐出口を示す。吐出口1911(C)はシアンインクの吐出口を示す。吐出口1911(K)はブラックインクの吐出口を示す。吐出口1911(W)は白インクの吐出口を示す。吐出口1911(S)はクリアインクの吐出口を示す。このように、吐出口面1910aには6つの吐出口1191が、互いに所定距離隔てられて配置されている。
本実施形態の吐出口1911は、各インクについて1個であり、霧状の微細なインク滴を吐出する。各インク滴の吐出方向は同じではないが、6つの吐出方向を平均すると(以下、平均した吐出方向を「平均吐出方向」と称する。)、平均吐出方向は、吐出口面1910aに垂直な方向である。平均吐出方向は、記録ヘッド1910の向きによって制御される。すなわち、インクの平均吐出方向は、記録ヘッド1910を搭載するヘッドモジュール1801の向きによって制御される。吐出口1911から単位時間に吐出されるインクの量は一定であり、吐出時間によって、吐出されるインク量が決まる。記録媒体上に記録される画像の濃度は、例えば、当該インク量により制御される。
(画像記録動作)
実施形態2のインクジェット記録装置1800の画像記録動作について、図18を参照して説明する。
まず、ヘッドモジュール1801が、画像記録媒体の最初の指定領域に画像を記録するためのインク吐出位置に移動する。このとき、記録ヘッド1910の向きは、吐出されるインクの平均着弾角度(実施形態1の着弾角度φに相当)が所定条件を満たすように、当該領域の表面傾斜情報に基づいて設定された向きに調整される。例えば、所定条件は「平均着弾角度は0度」である。記録ヘッド1910の向きの制御については、後述する。そして、記録ヘッド1910から、記録媒体に向けて、インク信号に対応する吐出時間の間、インクが吐出される。インクの吐出が完了したら、次の領域に画像を記録するためのインク吐出位置に移動する。このように、ヘッドモジュール1801の移動とインクの吐出とを間欠的に繰り返すことによって、記録媒体上の所望の領域に画像が記録される。
(ハードウエア構成)
図20Aを用いて、実施形態2のインクジェット記録装置1800のハードウエア構成を説明する。実施形態1(図3)と比較した場合、実施形態2のモータドライバ33は、X、Y、Z、θのモータ101、114、107および119の替わりに、6つのリンクを駆動させる6つの駆動モータ1802乃至1807を制御する。6つの駆動モータ1802乃至1807によりパラレルリンク1818の動作が制御される。その他の構成は、実施形態1と同じであるので、説明を省略する。
(機能構成)
図20Bは、実施形態2の機能構成を示すブロック図である。なお、インクジェット記録装置1800の記録条件設定部2001、吐出信号生成部2002および画像記録部2003以外は、実施形態1と同一であるので説明を省略し、実施形態1と異なる点を説明する。
記録条件設定部2001は、傾斜情報取得部1102から表面傾斜情報を受け取る。記録条件設定部2001は、当該表面傾斜情報に基づいて、吐出されるインクの平均着弾角度が0度になる記録ヘッドの向きを表す信号(記録条件信号)sigを記録条件として設定する。パラレルリンク機構1818の動作範囲の制限によって、記録ヘッド1910の向きを平均着弾角度が0度になる向きに調整できない場合は、吐出されるインクの平均着弾角度が最も小さくなる記録ヘッド1910の向きを表す信号が上記記録条件信号sigとして設定される。記録条件設定部2001は、記録条件信号sigを画像記録部2003に出力する。
吐出信号生成部2002は、インク信号補正部1106から補正後のインク信号を受け取る。吐出信号生成部2002は、当該補正後のインク信号に基づいて、吐出時間に関する吐出信号を生成する。吐出信号は、インク信号から、所定の変換式に基づいて算出してもよいし、離散的なインク信号と吐出信号との対応関係をLUT(ルックアップテーブル)に格納しておき、このLUTを参照して公知の補間方法で算出してもよい。吐出信号生成部2002は、吐出信号を画像記録部2003に出力する。
画像記録部2003は、記録条件設定部2001から記録条件信号sigを受け取り、プレ処理部1101から記録媒体の高さ信号hを受け取り、吐出信号生成部2002から吐出信号を受け取る。画像記録部2003は、記録媒体の高さ信号hと、記録条件信号sigとに基づいてパラレルリンク機構1818の駆動モータ1802乃至1807を制御し、記録ヘッド1910の位置と向きを調整する。記録ヘッド1910の位置は、インクの飛翔距離が所定の一定値となる位置である。インクの飛翔距離は、記録ヘッド1910の吐出口1911とインクが着弾する記録媒体上の点との距離である。記録ヘッド1910の向きは、記録条件設定部2001で用いた条件(例えば、平均着弾角度が0度になるという条件)を満たす向きである。また、画像記録部2003は、吐出信号に基づいて記録ヘッドを制御し、記録材を吐出する。記録材の吐出時間は、吐出信号生成部2002で生成した信号に対応する時間である。
(画像記録手順)
図7を用いて、実施形態2の画像記録手順を説明する。ステップS701乃至ステップS703は、実施形態1と同一の処理を行う。
実施形態2ではステップS704において、記録条件設定部2001が記録条件を設定する。また、ステップS705において、吐出信号生成部2002が吐出信号を生成する。最後にステップS706において、画像記録部2003が画像を記録する。記録条件設定部2001、吐出信号生成部2002、および画像記録部2003の処理・動作は、上記した通りである。
以上説明したように、実施形態2のインクジェット記録装置1800は、記録媒体の各領域の表面傾斜情報に基づいて、記録ヘッド1910の向きを記録条件に設定することで、インクの着弾方向を制御する。これにより、記録媒体の凸部に遮られて画像を記録できない領域が発生するという課題や、ドット形状のばらつきに起因する色ムラや彩度低下が生じるという課題が抑制され、立体的な記録媒体への画像の記録において高品質な記録が可能となる。
その他の実施形態
上記の実施形態では、表面傾斜情報を記録領域90の法線ベクトル(記録媒体124の表面における法線NL)としたが、表面傾斜情報は、試料台123の面方向や、所定の基準ベクトルとの相対的な角度などであってもよい。また、表面傾斜情報の取得は、入力信号から取得する構成に限らず、測定部22を用いて記録媒体の着弾目標位置回りの形状を測定して取得する構成でもよい。さらに、インクジェット記録装置(画像記録装置)は、凹凸形状などの3次元形状を印字(記録)する機能(3次元形状を形成する手段)を備えもよく、当該機能を用いて形成する3次元形状の各部の表面傾斜を推定(予測)することで、表面傾斜情報を取得する構成でもよい。例えば、3次元形状を形成するための記録材(例えば、インク)を備えて3次元形状の形成と画像記録とを行う画像記録装置にも、本発明は適用できる。この場合、表面傾斜情報は、3次元形成手段が形成する形状を予測(計算)することで取得してもよい。
上記した実施形態では、着弾角度φが所定の閾値以下となる条件(もしくは、着弾角度φが最も小さい条件)を記録条件とし、着弾角度φが0度近傍の値になるように制御する構成について説明した。しかし、着弾角度φは0度近傍の値になるように制御しなくてもよい場合がある。例えば、ドット形状のばらつきを抑制したい場合、着弾角度φのばらつきを抑制すればよいのであって、着弾角度φを必ずしも0度近傍の値にしなくてもよい。よって、例えば、着弾角度φと所定のオフセット角度との差の絶対値を偏差角度とし、記録条件を次のように設定する構成でもよい。すなわち、偏差角度が所定の閾値以下となる条件、または、偏差角度が小さい条件を記録条件とし、着弾角度φが前記オフセット角度近傍の値になるように制御する構成でもよい。
インク(記録材)23の種類は、上記の実施形態で例示したものに限定されない。例えば、インク23として、淡色インク、メタリック、赤、緑、肌色などの特色(特練色)インクを用いてもよい。
入出力部37やプレ処理部1101への入力信号は、RGBの色信号に代えて、XYZ色空間やLAB色空間などの色信号であってもよいし、分光信号であってもよい。また、入力される光沢信号は、鏡面光沢度と光沢写像性に限らず、変角反射特性に関する信号でもよい。
インク信号補正部1106は、1/cos(ψ)倍する処理を行わなくてもよい。例えば、離散的な補正前のインク信号と補正後のインク信号との対応関係をLUTに格納しておき、このLUTを参照して公知の補間方法により補正後のインク信号を算出してもよい。
また、インク滴の粒状性や色域を考慮すると、ドット形状が楕円の方が好ましい場合もある。例えば、一般に、ドットの高さ(厚さ)が小さいほど、粒状性が上がるので、円形のドット50a(図5(b))よりも楕円形のドット(図5(d)のドット50bのようなドット)を採用したい場合もあり得る。そのような場合には、所望の楕円形のドットが形成される着弾方向を指定して、記録媒体全域において同じ(または類似の)楕円形のドットが形成されるようにインク移動方向(着弾方向)を設定してもよい。
さらに、以下のようにソフトウェア(プログラム)を実行することも、本発明の範囲に含まれる。即ち、上記した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、当該システム或いは当該装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行することは、本発明に含まれる。
入出力部37
傾斜情報取得部1102
記録条件設定部1103
画像記録部1109

Claims (21)

  1. 記録材を吐出して記録媒体に着弾させる吐出手段と、
    前記記録媒体の表面傾斜情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記記録媒体の前記表面傾斜情報に基づいて、前記記録媒体に対する、前記吐出手段から吐出される前記記録材の着弾方向を含む画像形成条件を設定する設定手段と、
    前記設定手段により設定された前記画像形成条件に基づいて前記吐出手段と前記記録媒体との相対的配置を制御して、前記記録媒体に画像を形成させる制御手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記設定手段は、前記吐出手段からの前記記録材の前記着弾方向と、前記記録媒体表面上の前記記録材の着弾目標位置における法線方向との成す着弾角度が、所定の閾値以下となるよう前記画像形成条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記所定の閾値は、90°以下であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記設定手段は、前記吐出手段からの前記記録材の前記着弾方向と、前記記録媒体表面上の前記記録材の着弾目標位置における法線方向との成す着弾角度が、より小さくなるよう前記画像形成条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記設定手段は、前記吐出手段からの前記記録材の前記着弾方向と、前記記録媒体表面上の前記記録材の着弾目標位置における法線方向との成す着弾角度が、取り得る最小値となるよう前記画像形成条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記設定手段は、前記着弾角度と、前記法線方向からの所定のオフセット角度との差の絶対値が、所定の閾値以下となるよう前記画像形成条件を設定することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記吐出手段を前記記録媒体に対して相対的に走査させる走査手段をさらに備え、
    前記設定手段は、前記画像形成条件として、前記走査手段の主走査方向における、前記吐出手段から前記記録材を吐出すべき前記吐出手段の前記記録媒体に対する相対的移動方向を設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記記録材を吐出すべき前記吐出手段の前記相対的移動方向は、往路走査方向および復路走査方向を含むことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
  9. 前記吐出手段を前記記録媒体に対して相対的に走査させる走査手段をさらに備え、
    前記設定手段は、前記画像形成条件として、前記走査手段の主走査方向における、前記吐出手段の前記記録媒体に対する相対的移動速度を設定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記吐出手段に対する設置角度を調整可能な、前記記録媒体を載置する載置手段をさらに備え、
    前記設定手段は、前記画像形成条件として、前記吐出手段に対する前記載置手段の前記設置角度を設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記吐出手段と前記記録媒体との相対的移動方向に平行な面内で、前記記録媒体を回転可能な回転手段をさらに備え、
    前記設定手段は、前記画像形成条件として、前記回転手段の回転角度位置を設定することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 前記吐出手段は、前記記録媒体に対して相対的に移動しながら前記記録材を吐出することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  13. 前記吐出手段は、前記記録媒体に対して相対的移動および前記記録材の吐出を間欠的に繰り返し、
    前記設定手段は、前記画像形成条件として、前記吐出手段が前記記録材を前記記録媒体に吐出する際の、前記吐出手段の前記記録媒体に対する向きを設定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  14. 前記記録媒体の形状データを入力する入力手段をさらに備え、
    前記取得手段は、前記形状入力手段により入力された形状データから、前記記録媒体上の画像形成の処理領域ごとの前記表面傾斜情報を取得することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  15. 前記記録媒体の形状を測定する測定手段をさらに備え、
    前記取得手段は、前記測定手段により測定された前記記録媒体の形状から、前記記録媒体上の画像形成の処理領域ごとの前記表面傾斜情報を取得することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  16. 前記取得手段は、前記記録媒体の形成された形状を予測することで、前記表面傾斜情報を取得することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  17. 前記制御手段は、入力された画像データと、前記設定手段により設定された前記画像形成条件とに基づいて、前記吐出手段から前記記録媒体への前記記録材の吐出を制御する記録材吐出信号を生成して、前記記録媒体に画像を形成させることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  18. 前記制御手段は、前記吐出手段を前記記録媒体に対して相対的に走査させる走査手段の主走査方向における、往路走査方向と復路走査方向とで、異なる値の前記記録材吐出信号を生成することを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
  19. 記録材を吐出手段から吐出して記録媒体に着弾させるステップと、
    前記記録媒体の表面傾斜情報を取得するステップと、
    取得された前記記録媒体の前記表面傾斜情報に基づいて、前記記録媒体に対する、前記吐出手段から吐出される前記記録材の着弾方向を含む画像形成条件を設定するステップと、
    設定された前記画像形成条件に基づいて、前記吐出手段と前記記録媒体との相対的配置を制御して、前記記録媒体に画像を形成するステップと、
    を備えることを特徴とする画像形成方法。
  20. コンピュータが読み取り実行することで、前記コンピュータを、請求項1乃至18のいずれか1項に記載された画像形成装置の各部として機能させるためのコンピュータプログラム。
  21. 請求項20に記載のプログラムを記録したコンピュータ可読な記録媒体。




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