JP2015150771A - 印刷制御装置および印刷制御方法 - Google Patents

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大輔 松本
岡田 英樹
Hideki Okada
英樹 岡田
信也 百瀬
Shinya Momose
信也 百瀬
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Abstract

【課題】非平面を有する印刷対象物に対する印刷品質の更なる向上を図ることができる印刷制御装置及び方法を提供する。
【解決手段】非平面を有する印刷対象物に対して印刷ヘッドを走査し、当該印刷ヘッドが有するノズルからインクを吐出させて印刷を行う印刷制御装置であって、印刷対象物の各位置の傾きを取得する傾き取得部と、ノズルから印刷対象物の各位置へ吐出させるインク量を傾きに応じて変化させる制御部とを備え、制御部は、1回の走査によるインク吐出の対象となる印刷対象物の一定領域に含まれる走査の方向における傾きが所定のしきい値以上である特定位置を対象としたインク吐出に際し、異なる色のインク滴を隣接させる場合は、当該特定位置に対する走査の回数を増加させることにより当該特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、異なる色のインク滴を隣接させない場合は、当該特定位置へ吐出されるインク滴のサイズを増加させる。
【選択図】図9

Description

本発明は、印刷制御装置および印刷制御方法に関する。
ノズルからインクを吐出する印刷ヘッドにおけるインク吐出面(ノズルが開口する面)と平行でない斜面や曲面(まとめて非平面と呼ぶ。)を有する印刷対象物に印刷を施す技術が知られている。
関連技術として、プリンタヘッドは平面状に配列された多数の吐出ノズルを有し、プリント制御装置は、印刷対象物の表面における多数の吐出ノズルが対向する印刷箇所の表面曲率に応じて、多数の吐出ノズルからのインクの吐出速度および量を制御する技術が知られている(特許文献1参照)。
また、インクジェットプリントヘッドから立体物のプリント面までの距離を各吐出地点毎に測定し、吐出地点間の間隔に対する当該測定距離の変位量を求め、この変位量に基づいてインク吐出量を変化させることにより、斜面や曲面における傾斜の度合が大きい区間では吐出インク量を増加させるインクジェットプリント装置が知られている(特許文献2)。
特開2008‐221496号公報 特開平9‐193368号公報
前記文献のように、印刷対象物の表面の曲率や傾きに応じてインク量を制御する場合でも画質劣化が見られた。例えば、当該表面に対してほぼ同時に吐出されるインク滴同士が乾燥する前に混ざり合うことによる画質劣化が生じ得た。また、印刷においては、画質向上とともに、印刷時間の短縮も求められている。
本発明は上述の課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、非平面を有する印刷対象物に対する印刷品質の更なる向上を図り、かつ印刷時間の増加の抑制にも効果的な印刷制御装置および印刷制御方法を提供する。
本発明の態様の一つは、非平面を有する印刷対象物に対して印刷ヘッドを走査し、当該印刷ヘッドが有するノズルからインクを吐出させて印刷を行う印刷制御装置であって、前記印刷対象物の各位置の傾きを取得する傾き取得部と、前記ノズルから前記印刷対象物の各位置へ吐出させるインク量を前記傾きに応じて変化させる制御部とを備える。前記制御部は、1回の前記走査によるインク吐出の対象となる前記印刷対象物の領域に含まれる前記走査の方向における前記傾きが所定のしきい値以上である特定位置を対象としたインク吐出に際し、異なる色のインク滴を隣接させる場合は、当該特定位置に対する前記走査の回数を増加させることにより当該特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、異なる色のインク滴を隣接させない場合は、当該特定位置へ吐出されるインク滴のサイズを増加させる。
当該構成によれば、非平面を有する印刷対象物の前記走査の方向における傾きがある程度大きい特定位置へのインク吐出では、吐出されるインク量を増加させることで、当該印刷対象物の表面を確実にインクで被覆する。このとき、異なる色のインク滴を隣接させる場合は、走査回数の増加により特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、異なる色のインク滴を隣接させない場合は、走査回数を増加させずにインク滴のサイズの増加により特定位置へ吐出されるインク量を増加させる。従って、ほぼ同時に吐出された異なる色のインク滴同士が乾燥する前に混ざり合うこと(混色)による画質劣化が無く、かつ、走査回数の増加による印刷時間の増加を最小限に抑えることができる。
また、同様の効果を奏するための構成として、印刷データに基づき、非平面を有する印刷対象物に対して印刷ヘッドを走査し、当該印刷ヘッドが有するノズルからインクを吐出させて印刷を行う印刷制御装置であって、前記制御部は、前記傾きが所定のしきい値以上である特定位置を対象としたインク吐出に際し、前記印刷データが規定するインク量が所定値以上である場合は、当該特定位置に対する前記走査の回数を増加させることにより当該特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、前記印刷データが規定するインク量が前記所定値に満たない場合は、当該特定位置へ吐出されるインク滴のサイズを増加させる、としてもよい。
なお、前記隣接とは、前記走査の方向における隣接又は前記走査の方向と交差する方向における隣接である。つまり、前記走査の方向、又は、前記走査の方向と交差する方向に異なる色のインク滴を隣接させる場合、それらインク滴同士の混色を生じさせずに、印刷対象の非平面に必要な量のインクを吐出する。
前記異なる色とは、前記印刷ヘッドが吐出するインクの色のうち一部の特定の色の組み合わせであるとしてもよい。つまり、異なる色のインク滴を隣接させる場合、常に走査回数の増加によるインク量の増加を選択するのではなく、特に、前記混色により画質劣化が生じ易い特定の色の組み合わせに対して、走査回数の増加によるインク量の増加を選択する。一例として、前記特定の色の組み合わせとはブラックとイエローである。
本発明の態様の一つは、前記印刷対象物は、前記走査が行われていないタイミングで前記走査の方向と交差する方向に一定距離送られ、前記制御部は、前記送りの方向における前記傾きが所定のしきい値以上である特定位置を対象としてインク吐出をさせる際には、前記印刷対象物を送る距離を減らすとしてもよい。
当該構成によれば、非平面を有する印刷対象物への印刷に関して、前記走査の方向の前記傾きに応じた適切なインク量の制御が行なわれることに加え、前記送りの方向の前記傾きに応じた適切なインク量の制御も行なわれる。
本発明の態様の一つは、前記制御部は、前記印刷対象物の各位置の前記傾きに応じて前記ノズルから吐出させるインク量を、前記印刷対象物の特性に応じて異ならせるとしてもよい。
当該構成によれば、印刷対象物の各位置の前記傾きに応じて前記ノズルから吐出させるインク量を増加させる場合に、印刷対象物の特性(例えばインクの滲み易さ)に応じて当該増加の程度を調整することにより、印刷対象物の特性に応じた最適な印刷結果を得ることができる。
本発明の技術的思想は、上述した印刷制御装置のみによって実現されるものではない。例えば、前記印刷制御装置の各部が実行する処理工程を備える印刷制御方法を一つの発明として捉えることができる。また、そのような印刷制御方法の各工程をハードウェア(コンピューター)に実行させるコンピュータープログラム、さらには当該プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体、等の各種カテゴリーにて本発明が実現されてもよい。
本実施形態にかかる装置構成を概略的に示す図である。 印刷ヘッドの構成等を簡易的に例示する図である。 印刷制御処理を示すフローチャートである。 インク量変化処理の詳細を示すフローチャートである。 印刷対象物の表面の各位置の傾きを例示する図である。 ドットデータをバンドデータに分割した様子を例示する図である。 対象バンドデータの一部を例示する図である。 主走査方向処理用の補正テーブルを例示する図である。 主走査方向処理後のドットデータに基づくドットを説明する図である。 送り方向処理後ドットデータに基づくドットを説明する図である。 第3の実施形態のインク量変化処理の詳細を示すフローチャートである。
本発明の実施形態を、以下の順序に従って説明する。
1.装置構成の概略
2.印刷制御処理
3.他の実施形態
1.装置構成の概略
図1は、本実施形態にかかる印刷制御システム1の構成を概略的に示している。印刷制御システム1は、プリンター20と、プリンター20を制御するための印刷制御装置(制御装置10)とを含む。制御装置10は、プリンター20を制御するためのプログラムを搭載した装置であり、印刷制御方法の実行主体となる。制御装置10は、代表的にはデスクトップ型あるいはラップトップ型のパーソナルコンピューター(PC)であるが、タブレット型端末や携帯型端末等であってもよい。
印刷制御システム1を構成する制御装置10やプリンター20等は、通信可能に接続された個別の装置であってもよいし、それらがまとまった一製品を構成していてもよい。例えば、プリンター20が、機体の一部に制御装置10を含むとしてもよい。この場合、印刷制御10を機体内に含むプリンター20が、印刷制御システム1や印刷制御装置に該当し、印刷制御方法の実行主体となる。また、印刷制御システム1や印刷制御装置に該当するプリンター20は、スキャナーやファクシミリ等としても機能する複合機であってもよい。
制御装置10では、演算処理の中枢をなすCPU12がシステムバスを介して制御装置10全体を制御する。当該バスには、ROM13、RAM14、各種インターフェース(I/F)19等が接続され、またハードディスクドライブ(HD DRV)15を介して記憶手段としてのハードディスク(HD)16が接続されている。ただし記憶手段は、半導体メモリー等であってもよい。記憶手段(HD16)には、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラム、プリンタードライバーPD等が記憶され、これらプログラム類はCPU12によって適宜RAM14に読み出され実行される。CPU12、ROM13、RAM14をまとめて制御部11と呼ぶ。また前記記憶手段には、補正テーブルCTや傾き情報SD等が記憶され得る。
I/F19は、プリンター20と有線あるいは無線により接続している。さらに制御装置10は、例えば液晶ディスプレーによって構成される表示部17や、例えばキーボードやマウスやタッチパッドやタッチパネル等によって構成される操作部18等を備える。
なお、本実施形態で制御装置10が実行するものとして説明する事項は、それらの全てあるいは一部をプリンター20側で所定のプログラムに従って実行するとしてもよい。
プリンター20では、I/F25が制御装置10側のI/F19と有線あるは無線により通信可能に接続し、かつ、制御部21等がシステムバスを介して接続されている。制御部21においては、CPU22が、ROM23等に記憶されたプログラム(ファームウェア等)を適宜RAM24に読み出して所定の演算処理を実行する。制御部21は、印刷ヘッド26、ヘッド駆動部27、キャリッジ機構28、送り機構29の各部と接続して各部を制御する。
印刷ヘッド26は、複数種類の液体(例えば、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、ブラック(K)インク、等)毎の不図示のカートリッジから各種インクの供給を受ける。印刷ヘッド26は、各種インクに対応して設けられた複数のノズルからインク滴を噴射(吐出)可能である。むろん、プリンター20が使用する液体の具体的な種類や数は上述したものに限られず、例えば、ライトシアン、ライトマゼンダ、オレンジ、グリーン、グレー、ライトグレー、ホワイト、メタリック等のインクや、プレコート液等、種々の液体やインクを使用可能である。
キャリッジ機構28は、制御部21に制御されて、プリンター20が備える不図示のキャリッジを所定の主走査方向に沿って当該主走査方向の一端側から他端側へ(及び又は他端側から一端側へ)移動させる。キャリッジには印刷ヘッド26が搭載され、印刷ヘッド26は、キャリッジにより当該移動を行う。送り機構29は、制御部21に制御されて、ローラー(不図示)やベルト(図2の符号29a参照)等によって印刷対象物を主走査方向と交差(直交)する送り方向へ搬送する。ヘッド駆動部27は、制御部21がI/F25を介して制御装置10から取得した印刷データ(印刷データについては後述。)に基づいて、印刷ヘッド26の各ノズルに対応して設けられた圧電素子を駆動するための駆動電圧を生成する。
ヘッド駆動部27は、当該駆動電圧を印刷ヘッド26へ出力する。圧電素子は、当該駆動電圧が印加されると変形して、対応するノズルからインクを吐出させる。これにより、前記キャリッジによって移動中の印刷ヘッド26は、各ノズルから印刷対象物へインク種類毎のインク滴を吐出する。吐出されたインク滴が印刷対象物に付着し、印刷対象物の表面にドットが形成されることで、印刷対象物に印刷データに基づく画像が再現される。なお、印刷ヘッド26の主走査方向に沿った前記一端側から他端への移動、あるいは前記他端側から一端側への移動を、主走査、あるいはパスとも呼ぶ。
また、プリンター20は、例えば液晶ディスプレーによって構成される表示部30や、例えばボタンやタッチパネル等によって構成される操作部31等を備える。プリンター20においては、ノズルからインク滴を吐出させる手段は、前記圧電素子に限られず、発熱素子によりインクを加熱してノズルからインク滴を吐出させる手段を採用してもよい。
本実施形態において印刷対象物は非平面を有する。印刷対象物は、立体物であってもよいし、シート状の印刷媒体であって少なくとも一部が湾曲等することで非平面を有する状態の物であってもよい。印刷対象物の素材は、着色可能な素材であればよく、紙、繊維、プラスチック、金属、その他の自然物や人工物、さらには、食品や薬剤等の人間が摂取可能な物であってもよい。人間が摂取可能な物を印刷対象物とする場合は、使用するインクも人間が摂取可能な液体であるとする。
図2は、プリンター20における印刷ヘッド26の構成等を簡易的に例示している。図2の左側には、印刷ヘッド26のインク吐出面におけるノズルNzの配列を例示している。インク吐出面とは、ノズルNzが開口する面であり、印刷ヘッド26が主走査方向に移動するとき印刷対象物Gと相対する面である。インク吐出面は、プリンター20を水平面に設置したときは水平となる。印刷ヘッド26は、吐出するインク色(例えばC,M,Y,K)毎のノズル列NLを有している。ノズル列NLとは、ノズルNzが送り方向に沿って等間隔で並ぶ列であり、図2の例では、ノズル列NLが4列平行に設けられている。1色のインクは、1つのノズル列NLによって吐出される以外にも、例えば、互いに送り方向にずれて配設された複数のノズル列NLによって吐出されるとしてもよい。
なお本明細書において、各構成の方向や位置等について、直交、水平、等間隔、平行、等と表現した場合であっても、それらは厳密な直交、水平、等間隔、平行のみを意味するのではなく、製品性能上許容される程度の誤差や製品製造時に生じ得る程度の誤差も含む意味である。
図2では、ベルト29a上に置かれて送り方向に送られる印刷対象物Gを例示している。ベルト29aは、送り機構29の一部である。さらに図2では、印刷対象物Gのある部分を主走査方向と平行に切断したときの切断面CS1と、印刷対象物Gのある部分を送り方向と平行に切断したときの切断面CS2とをそれぞれ例示している。印刷対象物Gは、印刷ヘッド26のインク吐出面と相対する表面の少なくとも一部が非平面である。
本実施形態では、印刷ヘッド26は、ノズルから前記駆動電圧に応じて、複数の異なるサイズのインク滴を吐出することが可能である。インク滴のサイズが異なるとは、インク滴あたりの重量が異なることを意味する。例えば、印刷ヘッド26は、最も大きいサイズのインク滴(Lサイズのインク滴)と、その次に大きいサイズのインク滴(Mサイズのインク滴)と、最も小さいサイズのインク滴(Sサイズのインク滴)とを吐出可能である。上述したように「ドット」とは、基本的には、印刷対象物に着弾した状態のインク滴を指す。ただし、インク滴が印刷対象物に着弾する以前の段階においても、説明の都合上、ドットという表現を用いることがある。また、Lサイズのインク滴を「大ドット」、Mサイズのインク滴を「中ドット」、Sサイズのインク滴を「小ドット」、とも表現する。
2.印刷制御処理
図3は、制御装置10がプリンタードライバーPDに従ってプリンター20に印刷を実行させる処理(印刷制御処理)をフローチャートにより示している。
ステップS100では、制御部11は、ユーザーによって任意に選択された画像データを所定の入力元から取得する。ユーザーは、表示部17等に表示されたユーザーインターフェース画面(UI画面)を視認しながら操作部18等を操作することにより、印刷対象物へ印刷したい画像を表現した画像データを任意に選択することができる。画像データの入力元は特に限定されず、例えば、HD16、制御装置10やプリンター20に外部から挿入された不図示のメモリーカード等の他、制御装置10と通信可能に接続されたあらゆる画像入力装置が該当する。
ステップS100で取得される画像データ(入力画像データ)の形式は、例えば、ビットマップ形式であり、画素毎にR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各階調値を有している。また、制御部11は、取得した画像データがこのようなRGB表色系に対応していない場合、取得した画像データを当該表色系のデータに変換する。さらに、制御部11は、画像データに対して、プリンター20の主走査方向および送り方向の印刷解像度に合わせるための解像度変換処理などを適宜実施する。
ステップS110では、制御部11は、ステップS100後の画像データを対象として色変換処理を実行する。つまり、画像データの表色系を、プリンター20が印刷に使用するインク表色系(例えば、CMYK)に変換する。上述したように画像データが各画素の色をRGBで階調表現する場合、画素毎にRGBの階調値をCMYK毎の階調値(例えば、0〜255の256階調)に変換する。このような色変換後のCMYK値は、対応する画素におけるインク量(濃度)を階調表現していると言え、以下では、このような画素毎にCMYKの階調値で表現された画像データを「インク量データ」と呼ぶ。色変換処理は、任意の色変換ルックアップテーブルを参照することにより実行可能である。
ステップS120では、制御部11は、ステップS110で得られたインク量データにハーフトーン処理を施し、ドットデータを生成する。制御部11は、例えば、予め規定されたディザマスクを用いたディザリングによりハーフトーン処理を実行してもよいし、誤差拡散法によりハーフトーン処理を実行してもよい。ハーフトーン処理により、画素毎に、CMYK各色インクの吐出(大ドット形成、又は、中ドット形成、又は、小ドット形成)又は非吐出(ドット非形成)を規定したドットデータが生成される。ドットデータは印刷データの一種である。
ここでは一例として、前記ディザリングによるハーフトーン処理を説明する。当該ステップS120では、制御部11は先ず、ステップS110の後のインク量データに対し、いわゆるドット振分処理を行なう。つまり、インク量データの各画素が有するインク色CMYK毎のインク量を、大、中、小ドット毎の記録率(0〜100%)に振り分ける処理を行なう。ドット振分処理は、インク量データが取り得る階調値と大、中、小ドット毎の記録率との変換関係を規定した既知のドット振分テーブルを参照することにより実行する。ドット振分処理により、インク量データの各画素の各インク色について、複数のサイズのドットのうちの少なくとも一部のドットについての記録率(大ドットの記録率、中ドットの記録率、小ドットの記録率)が規定される。
そして、制御部11は、前記ディザマスクと前記ドット振分処理後のインク量データとを重畳したときに重なり合う画素毎かつインク色毎に、ディザマスクに格納されたしきい値(例えば、0〜255の256階調)と各サイズのドットの記録率とを比較し、大、中、小ドットのいずれか1つの形成あるいはドット非形成を決定したドットデータ(4値データ)を生成する。
例えば、制御部11は、ある画素のあるインク色についてのドット振分処理後の大ドットの記録率、中ドットの記録率、小ドットの記録率をそれぞれ、大ドットの記録率=LR、中ドットの記録率=MR、小ドットの記録率=SRとした場合、次のようにディザマスクのしきい値THと比較する。当該比較にあたり、しきい値TH(0〜255)は、LR、MR、SRと同様の数値範囲(0〜100%)に規格化される。制御部11は、まず、LR、LR+MR、LR+MR+SR、という各数値を算出する。次に、
TH≦LRであれば、大ドット形成を決定し、
LR<TH≦LR+MRであれば、中ドット形成を決定し、
LR+MR<TH≦LR+MR+SRであれば、小ドット形成を決定し、
LR+MR+SR<THであれば、ドット非形成を決定する。
仮に、LR=0%、MR=10%、SR=40%であり、TH=35%であれば、上記の例によれば、小ドット形成と決定する。
次に、ステップS130では、制御部11は、ステップS120で生成されたドットデータに対して、印刷対象物の傾きに応じてインク量を変化させる(補正する)インク量変化処理を施す。
図4は、インク量変化処理(ステップS130)の詳細をフローチャートにより示している。
ステップS131では、制御部11は、印刷対象物の各位置の傾きを示す傾き情報SDを取得する。当該ステップS131を実行する点で、制御部11は傾き取得部として機能すると言える。傾き情報SDの取得とは、既に生成されて所定の記憶領域(例えばHD16)に保存されている傾き情報SDを取得する場合と、後述するように印刷対象物の測定により傾き情報SDを生成する場合とのいずれであってもよい。例えば、量産された同一形状の立体物を順次着色していく印刷工程のように、当該立体物(印刷対象物)の形状が予め判っている場合には、傾き情報SDは印刷制御処理(図3)の開始前に生成され、前記所定の記憶領域に保存されている。
図5は、切断面CS1(あるいは切断面CS2)の輪郭の一部を用いて、印刷対象物Gの表面上の任意の各位置Pの傾きθm(あるいは傾きθs)を例示している。傾きθm,θsは、水平線HLに対する位置Pにおける局所的な面の傾きであり、最小値は0度、最大値は90度である。傾きθmは、位置Pの主走査方向における傾きであり、傾きθsは、位置Pの送り方向における傾きである。傾き情報SDは、印刷対象物の表面の位置P毎の傾きθm,θsを記述した情報である。位置Pは、主走査方向および送り方向それぞれにおいて所定間隔で定義される。好ましくは、主走査方向の位置Pの間隔は、プリンター20が採用する主走査方向の印刷解像度(dpi)によるドット間隔と略等しく、送り方向の位置Pの間隔は、プリンター20が採用する送り方向の印刷解像度によるドット間隔と略等しい。
傾きθm,θsの測定方法は、それらを測定できる方法であれば良く、特に限られない。例えば、印刷対象物の鉛直方向上側から照射した光の印刷対象物からの反射角度を、主走査方向と送り方向とのそれぞれで測定することにより、各位置Pの傾きθm,θsを算出することができる。あるいは、印刷対象物の鉛直方向上側の基準位置から印刷対象物の表面までの鉛直方向の距離を位置P毎に測定し、主走査方向における隣の位置Pからの当該距離の変位量に応じて傾きθmを算出し、かつ、送り方向における隣の位置Pからの当該距離の変位量に応じて傾きθsを算出してもよい。当該距離の測定は、印刷対象物の表面に対する物理的な接触(特許文献2の接触針参照。)による測定や、赤外線センサー等を用いた非接触による測定等、様々である。あるいは、撮像手段(カメラ)により印刷対象物を撮像して得られた画像データを解析して印刷対象物の3次元形状を特定することにより、各位置Pの傾きθm,θsを割り出すことも可能である。
ステップS132では、制御部11は、ステップS120で生成されたドットデータのうち、以降のステップS133,S134の処理対象とするバンドデータを1つ特定する。バンドデータとは、ドットデータの一部を構成する帯状のデータ領域であり、印刷ヘッド26の1回の主走査(パス)によって印刷される領域に対応している。ステップS132で特定したバンドデータを、対象バンドデータと呼ぶ。
図6は、ステップS120で生成されたドットデータIMを複数のバンドデータBDに分割した様子を例示している。1つのバンドデータBDは、その長手方向においてドットデータの一端から他端までをカバーし、当該長手方向は主走査方向に対応している。なお、ドットデータIMは、図6内の拡大図に示すように、インク色(CMYK)毎の版で構成されており、インク色(CMYK)毎の版は、各画素が、ドット非形成を意味する情報(例えば“00”)、小ドット形成を意味する情報(例えば“01”)、中ドット形成を意味する情報(例えば“10”)、大ドット形成を意味する情報(例えば“11”)、のいずれかを有している。
ステップS133では、制御部11は、対象バンドデータについて主走査方向処理を実行する。主走査方向処理とは、対象バンドデータが規定するインク量を、位置毎の傾きθmに応じて補正する処理である。詳しくは、主走査方向処理では、1回のパスによるインク吐出の対象となる印刷対象物の領域(1つのバンドデータBDで印刷される領域)に含まれる傾きθmが所定のしきい値θm1以上である特定位置を対象としたインク吐出に際し、異なる色のインク滴を隣接させる場合は、当該特定位置に対するパスの回数を増加させることにより当該特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、異なる色のインク滴を隣接させない場合は、当該特定位置へ吐出されるインク滴のサイズを増加させる。
より詳細には、制御部11は、対象バンドデータを構成する単位領域毎に、異なる色のドットが隣接する状態であるか否かを検出して処理を分岐する(ステップS1331)。
図7は、対象バンドデータOBDの一部を例示している。図7では、理解を容易とするために、画素毎に規定されているドットを“インク色(CMYK)/サイズ(SML)”で表記し、ドットが規定されていない画素は空白としている。例えば、Cインクの中ドットであれば“C/M”、Kインクの小ドットであれば“K/S”等と示している。前記単位領域とは、例えば、対象バンドデータOBDの長手方向に沿って並ぶ画素からなる1つの画素列PLである。
制御部11は、対象バンドデータOBDを構成するインク色CMYK毎の版を解析し、ある画素列PL1内に、異なる色のドットと隣接するドットが存在する(例えば図7に示すように、画素列PL1内のある画素がC/Mを有し、当該画素と画素列方向(画素列PLの長手方向)において隣接する画素がY/Sを有している)場合、画素列PL1は異なる色のドットが隣接する状態であるとして、ステップS1333の処理対象とする。制御部11は、異なる色のドットが隣接するか否かは、画素列方向だけでなく、画素列PLが並ぶ方向(送り方向)においても調査する。仮に、図7に示した画素列PL1内におけるC/Mの、画素列方向における両隣画素のいずれにも他の色のドットが存在していなくても、画素列PLが並ぶ方向における両隣画素のいずれかに他の色のドットが存在していれば、当該C/Mを含む単位領域(画素列PL1)は、異なる色のドットが隣接する状態であるとしてステップS1333の処理対象とする。一方、異なる色のドットが隣接する状態ではない単位領域については、ステップS1332の処理対象とする。このようなステップS1331の分岐によれば、図7の例では、画素列PL1および画素列PL2はステップS1333の処理対象とされ、画素列PL3はステップS1332の処理対象とされる。
ステップS1332では、制御部11は、処理対象とする単位領域(例えば、図7に示した画素列PL3)に規定されている各ドットについて、位置毎の傾きθmに応じてサイズを増加させる。この場合、制御部11は、処理対象とする単位領域を構成する各画素の位置に対応する傾きθmを傾き情報SDから読み出し、当該読み出した各傾きθmに基づいて、主走査方向処理用の補正テーブルCTを参照する。ちなみに、図7においてグレーで示した範囲の各画素は、傾きθmがしきい値θm1以上であるとする(つまり特定位置の一例に該当する)。
図8は、主走査方向処理用の補正テーブルCTを例示している。制御部11は、処理対象とする単位領域において、傾きθmがしきい値θm1に満たない位置の画素については、ドットサイズはそのまま(ステップS120で生成されたドットデータが規定するまま)とする。一方、傾きθmがしきい値θm1以上である位置の画素については、傾きθmが大きいほど、ドットサイズを増加させる度合いを強める。図8においては、0度<θm1<θm2<90度、である。
一例として、制御部11は、傾きθmがθm1以上かつθm2未満である位置の画素については、ドットサイズをMサイズへ増加させる。これは、当該画素が、元々中ドットや大ドットを有している場合は、中ドットや大ドットについては、ドットサイズをそのままとするが、小ドットを有している場合はその小ドットを中ドットに変更することを意味する。当該画素が、例えば、元々Kインクの小ドット(K/S)を有している場合、当該(K/S)の情報を、Kインクの中ドット(K/M)の情報に書き換える。
また、制御部11は、傾きθmがθm2以上である位置の画素については、ドットサイズをLサイズへ増加させる。これは、当該画素が、元々大ドットを有している場合は、その大ドットについてはドットサイズをそのままとするが、小ドットや中ドットを有している場合はその小ドットや中ドットを大ドットに変更することを意味する。当該画素が、例えば、元々Kインクの小ドット(K/S)を有している場合、当該(K/S)の情報を、Kインクの大ドット(K/L)の情報に書き換え、元々Kインクの中ドット(K/M)を有している場合、当該(K/M)の情報を、Kインクの大ドット(K/L)の情報に書き換える。
一方、ステップS1333では、制御部11は、処理対象とする単位領域(例えば、図7に示した画素列PL1や画素列PL2)について、位置毎の傾きθmに応じてパス数を増加させる。この場合、制御部11は、処理対象とする単位領域を構成する各画素の位置に対応する傾きθmを傾き情報SDから読み出し、当該読み出した各傾きθmに基づいて、主走査方向処理用の補正テーブルCTを参照する。図8の補正テーブルCTによれば、制御部11は、処理対象とする単位領域において、傾きθmがしきい値θm1に満たない位置については、パス数増加の対象せず元々のパス数(1回)を保つ様にする。一方、傾きθmがしきい値θm1以上である位置については、パス数を1回追加し2パスで印刷されるようにする。このとき制御部11は、傾きθmが大きいほど、追加したパスで吐出するインク量を増加させるように設定する。
一例として、制御部11は、傾きθmがθm1以上かつθm2未満である位置については、前記追加したパスによりインク量が所定割合(A%)増加するように設定する。例えば、図7のグレーで示した範囲に含まれる、画素列PL2内で並ぶ3画素が、傾きθmがθm1以上かつθm2未満であるとする。この場合、制御部11は、当該3画素に対応して1回目のパスで吐出されるインク量(ステップS120で生成されたドットデータが当該3画素について規定するインク量)の総量(図7の例では、中ドット1個+小ドット2個)のA%分のインクが前記追加したパスで当該3画素近傍に吐出されるように設定する。ここで言う設定とは、例えば、パス数およびインク量の増加(1回のパス追加でA%の増量)を示すフラグ(第1フラグ)を当該3画素の情報に追記することを言う。なお、追加したパスで吐出するインクの色(CMYK)の比率は、1回目のパスで対応する画素について吐出するインク色間の比率に順ずるものとする。
また、制御部11は、傾きθmがθm2以上である位置については、前記追加したパスによりインク量が所定割合(B%。ただしB>A。)増加するように設定する。例えば、図7のグレーで示した範囲に含まれる、画素列PL2内で並ぶ3画素が、傾きθmがθm2以上であるとする。この場合、制御部11は、当該3画素に対応して1回目のパスで吐出されるインク量(ステップS120で生成されたドットデータが当該3画素について規定するインク量)の総量(図7の例では、中ドット1個+小ドット2個)のB%分のインクが前記追加したパスで当該3画素近傍に吐出されるように設定する。
制御部11は、このようなステップS133の主走査方向処理を、対象バンドデータを構成する全ての単位領域について行う。この結果、対象バンドデータを構成する画素のうち、位置が対応する傾きθmがθm1以上である画素は、傾きθmに応じて、規定するドットサイズが書き換えられたり、パス数の増加等を示す前記第1フラグが書き加えられたりした状態となる。
ステップS134では、制御部11は、対象バンドデータについて送り方向処理を実行する。送り方向処理とは、対象バンドデータが規定しているインク量を、位置毎の傾きθsに応じて補正する処理である。詳しくは、送り方向処理では、傾きθsが所定のしきい値θs1以上である特定位置を対象としてインク吐出をさせる際には、印刷対象物を送る距離(送り量)を減らすことにより、送り方向において高解像度化する。
この場合、制御部11は、対象バンドデータを構成する単位領域(画素列PL)毎に、送り方向の位置が対応する傾きθsを傾き情報SDから読み出し、例えば単位領域内での傾きθsの平均値を、単位領域の傾きθsとする。そして、処理対象とする単位領域について、傾きθsがしきい値θs1に満たない場合は、送り量減(送り量減による高解像度化)の対象としない。一方、傾きθsがしきい値θs1以上である単位領域については、送り量減の対象であることを示すフラグ(第2フラグ)を追記する。制御部11は、このようなステップS134の送り方向処理を、対象バンドデータを構成する全ての単位領域について行う。この結果、対象バンドデータを構成する単位領域のうち、傾きθsが前記しきい値θs1以上である単位領域の画素は、送り量減の対象であることを示す前記第2フラグが書き加えられた状態となる。詳しくは後述するが、ステップS134で第2フラグが付された単位領域を含むバンドデータに基づく印刷を行う際には、一時的に送り量が減少し、第2フラグが付された単位領域近傍において送り方向の印刷解像度が上がる。
ステップS135では、制御部11は、ステップS120で生成されたドットデータを構成する全てのバンドデータを対象バンドデータとして主走査方向処理(ステップS133)および送り方向処理(ステップS134)を終えたか否か判定し、終えた場合にはステップS140(図3)へ進む。一方、主走査方向処理(ステップS133)および送り方向処理(ステップS134)を終えていない未処理のバンドデータが在る場合は、当該未処理のバンドデータの一つを新たに対象バンドデータとして特定し(ステップS132)、主走査方向処理(ステップS133)および送り方向処理(ステップS134)を実行する。
ステップS140では、制御部11は、インク量変化処理(ステップS130)がなされた後のドットデータ(印刷データ)を、印刷ヘッド26に転送すべき順に並べ替える。当該並べ替えの処理により、ドットデータが規定するインクのドットは、その画素位置およびインク色に応じて、印刷ヘッド26内のいずれのノズルによって、どのパスで、どのタイミングで吐出されるかが確定される。かかる並べ替えの処理後のドットデータは、前記第1・第2フラグの情報を含み、I/F19を介してプリンター20側へ出力される(出力処理)。これにより、プリンター20は、I/F25を介して入力したドットデータに基づいて印刷ヘッド26の主走査、各ノズルからのインク滴の吐出、および印刷対象物の送りを制御し、ステップS100で取得された画像データが表現する画像を印刷対象物に印刷する。
図9は、上述した主走査方向処理(ステップS133)が施された後のドットデータ(対象バンドデータOBDの一部)に応じて印刷ヘッド26が吐出するドットを説明するための図である。図9では、各ドットを、それらが対応するドットサイズ(SML)を模した丸(○)により例示している。具体的には、画素列PL1,PL2,PL3を含むバンドデータに基づく印刷における1回目のパスで吐出されるドットを実線の丸で示し、2回目(追加)のパスで吐出されるドットを鎖線の丸で示している。当該1回目のパスと当該2回目のパスとの合間には、送り機構29による印刷対象物の搬送は行われないため、当該1回目のパスが開始されて、当該2回目のパスが終わるまで、印刷対象物は停止している。
まず、画素列PL3について注目する。上述したように画素列PL3は、主走査方向処理(ステップS133)においてステップS1332の処理対象とされた。そのため、図7との比較から判るように、傾きθmがしきい値θm1以上である位置の画素は、ドットサイズが(一例として)Lサイズへ増加させられている。そして、画素列PL3に対応する各ドットは、画素列PL1,PL2,PL3を含むバンドデータに基づく印刷における1回目のパスで全て吐出される。
次に、画素列PL1,PL2について注目する。上述したように画素列PL1,PL2は、主走査方向処理(ステップS133)においてステップS1333の処理対象とされた。そのため、画素列PL1,PL2は、画素列PL1,PL2,PL3を含むバンドデータに基づく印刷における1回目のパスで吐出されるドット(実線)と、2回目(追加)のパスで吐出されるドット(鎖線)とを有している。画素列PL1,PL2に対応して1回目のパスで吐出されるドットは、ステップS120で生成されたドットデータが規定したドットである。一方、画素列PL1,PL2に対応して2回目のパスで吐出されるドットは、前記ステップS1333で付されたパス数およびインク量の増加を示す第1フラグに従って追加されるドット(主走査方向追加ドット)である。プリンター20は図9に示すように、主走査方向追加ドットを、前記1回目のパスで吐出されるドット(実線)の間に着弾するように主走査方向にずらして吐出する。
このように主走査方向処理(ステップS133)によれば、主走査方向の傾きθmが比較的大きい(しきい値θm1以上)ために、傾きθmが0度である場合と比べて主走査方向においてより多くのインクによる被覆を必要とする印刷対象物の特定位置に対して、傾きθmの大きさに応じた適切な量のインクを吐出することができる。
また上述したように、主走査方向処理(ステップS133)では、異なる色のドットが主走査方向または送り方向に隣接するか否かで、傾きθmに応じてインク量を増加させる方法を分岐した。これは、画素列PL1,PL2に含まれる画素のように、異なる色のドットが隣接して規定されているとき、当該隣接する異なる色のドットのサイズを増加させてしまうと“混色による画質劣化”が発生し得るからである。つまり、共通のバンドデータに含まれて隣接し合うドットは、同じパスで吐出される場合、印刷対象物の表面にほぼ同時に着弾する。このとき、隣接し合うドットが互いに大きなサイズであると、乾燥して印刷対象物に定着する前に互いに干渉して混ざり合うことで画質劣化(混色による画質劣化)を生じさせる。
本実施形態によれば、画素列PL1,PL2に含まれる画素のように、異なる色のドットが隣接して規定されているときは、当該画素列PL1,PL2のインク量を傾きθmの大きさに応じて増加させる際、パス数を増加させてインク量の増加を実現する。パス数を増加させると、1回目のパスで吐出されたドットは、追加のパスで付近に主走査方向追加ドットが着弾した時点で乾燥している。つまり、パス数を増加させることで、前記“混色による画質劣化”が回避される。また、画素列PL3に含まれる画素のように、異なる色のドットが隣接しないときは、ドットサイズを増加させても、前記“混色による画質劣化”は生じない。そこで、画素列PL3のように、異なる色のドットが隣接しない単位領域では、傾きθmの大きさに応じてインク量を増加させる際にドットサイズの増加で対応することにより(パス数の増加は全体として必要最低限に抑えられ)、印刷時間の増加が抑制される。
図10は、上述した送り方向処理(ステップS134)が施された後のドットデータ(対象バンドデータOBDの一部)に応じて印刷ヘッド26が吐出するドットを説明するための図であり、図9と同様に、各ドットをそれらが対応するドットサイズ(SML)を模した丸(○)により例示している。図10においては、図9で説明した画素列PL1,PL2,PL3を含むバンドデータに基づく印刷における1回目のパスで吐出されるドットを実線の丸で示し、送り方向における高解像度化のために吐出されるドット(送り方向追加ドット)を鎖線の丸で示している。図10では、画素列PL1および画素列PL2に前記第2フラグが付された場合を想定している。なお図10では、本来存在し得る図9に示した主走査方向追加ドットは、図示を省略している。
仮に、ステップS134の結果、画素列PL1,PL2,PL3を含むバンドデータに前記第2フラグが一切付されなかった場合、プリンター20は、当該バンドデータに基づくインク吐出の終了後(1回のパス、あるいは主走査方向処理の結果生じた追加のパス終了後)、次のバンドデータに基づくインク吐出を開始する前に、送り機構29により印刷対象物を所定距離(1つのバンドデータ(図6のBD参照)で印刷される領域の送り方向における幅に相等する距離。第1距離と呼ぶ。)だけ送り方向に搬送する。一方、ステップS134の結果、画素列PL1,PL2,PL3を含むバンドデータのいずれかの単位領域に前記第2フラグが付された場合、プリンター20は、当該バンドデータに基づく1回のパス、あるいは主走査方向処理の結果生じた追加のパス終了後、前記第1距離の搬送を行わずに、第2距離分だけ、送り機構29により印刷対象物を送り方向に搬送する(つまり、送り量を減らす)。
第2距離とは、送り方向追加ドットを形成するために必要な微小な送り量である。仮に、ステップS120で生成されたドットデータにおける送り方向の印刷解像度が360dpiであるとすると、当該第2距離は、当該360dpiによるドット間隔(1インチ/360)よりも短い距離であり、例えば、720dpiによるドット間隔(1インチ/720)に相等する。このような第2距離分だけ、送り機構29により印刷対象物が送られた後で、印刷ヘッド26は更なるパス(送り方向の高解像度化のためのパス)により、送り方向追加ドットを吐出する。上述したように、画素列PL1に前記第2フラグが付されている場合、ステップS120で生成されたドットデータにて画素列PL1に規定されていたドットが、そのまま(あるいは一部が)コピーされて、前記送り方向の高解像度化のためのパスの際に、画素列PL1に対応するドットと画素列PL2に対応するドットとの間に吐出される(図10参照)。
同様に、画素列PL2に前記第2フラグが付されている場合、ステップS120で生成されたドットデータにて画素列PL2に規定されていたドットが、そのまま(あるいは一部が)コピーされて、前記送り方向の高解像度化のためのパスの際に、画素列PL2に対応するドットと画素列PL3に対応するドットとの間に吐出される(図10参照)。プリンター20は、前記送り方向の高解像度化のためのパスの終了後、次のバンドデータに基づくインク吐出のために、送り機構29により印刷対象物を、第1距離−第2距離の分だけ送り方向に搬送する。
このように送り方向処理(ステップS134)によれば、送り方向の傾きθsが比較的大きい(しきい値θs1以上)ために、傾きθsが0度である場合と比べて送り方向においてより多くのインクによる被覆を必要とする印刷対象物の特定位置に対して、適切な量のインクを吐出することができる。なお制御部11は、送り方向処理においても、送り方向の傾きθsに応じて、吐出するインク量の増加程度を可変としてもよい。例えば、送り方向の傾きθsが、前記しきい値θs1より大きなθs2以上である単位領域については、送り方向の傾きθsがθs1以上かつθs2未満である単位領域よりも、送り方向追加ドットのサイズを大きくしたり、送り方向の印刷解像度を上げたりする。また、当該ステップS134では、このような傾きθsの各数値範囲(θs1未満、θs1以上かつθs2未満、θs2以上、等)と印刷解像度とを対応付けた送り方向処理用の補正テーブルCTを参照することにより、送り量を減らす程度(送り方向の高解像度化のためのパスを実現するための前記第2距離)を決定するとしてもよい。
また、主走査方向処理(ステップS133)と送り方向処理(ステップS134)との後のタイミング(図4のステップS134とステップS135との間)に、主走査方向処理、送り方向処理のそれぞれで決定されたインク量の増加を調整するステップを設けるとしてもよい。当該ステップでは、制御部11は、例えば、ある画素について、主走査方向の傾きθmに応じて決定したインクの増加量と送り方向の傾きθsに応じて決定したインクの増加量とを加算し、当該加算した値に補正係数を掛ける等して、当該画素の近傍において増量すべき適切なインク量を決定する。そして、当該決定した増量分のインク量を、傾きθm,θsの比等に応じて当該画素の主走査方向、送り方向それぞれの近傍に振り分けても良い。
また、主走査方向処理(ステップS133)を受けて、前記追加のパスで主走査方向追加ドットを吐出する際、プリンター20は、主走査方向における印刷対象物の幅全体に渡って印刷ヘッド26を走査させる必要はない。プリンター20は、前記追加のパスにおいては、印刷対象物の前記傾きθmがしきい値θm1以上である範囲(図7,9の例で言えば、グレーで示した範囲。)を少なくとも含む範囲を印刷ヘッド26に走査させればよく、このような限定的な走査により、主走査方向追加ドットを吐出するための前記追加のパスに要する時間をできるだけ短縮することができる。
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば後述するような各実施形態を採用可能である。
これまでに説明した実施形態を、便宜上、第1の実施形態と呼ぶ。各実施形態を組み合わせた構成も、本発明の開示範囲に入る。
≪第2の実施形態≫
図4のステップS1331では、制御部11は、印刷ヘッド26が吐出する複数のインク色のうち一部の特定の色の組み合わせのみを「異なる色が隣接している」と判定するとしてもよい。ここで言う、特定の色の組み合わせとは、前記“混色による画質劣化”が特に視認されやすい色の組み合わせであり、例えば、YインクとKインクとの組み合わせが挙げられる。換言すると、異なる色のドットが隣接する場合であっても、混色による画質劣化が相対的に視認されにくい組み合わせ(例えば、輝度が比較的低い色であるMインクとKインクとの組み合わせ)の隣接であれば、ステップS1331では異なる色が隣接しているとは判定せず、ステップS1332へ進む。
このような第2の実施形態によれば、例えば、画素列PL1(図7)は、第1の実施形態と同様にステップS1333の処理対象となるが、画素列PL2(図7)は、第1の実施形態と異なりステップS1332の処理対象となる。第2の実施形態によれば、前記傾きθmに応じてインク量を増加させる際に、より多くの単位領域についてドットサイズの増加によるインク量の増加が選択されるため、印刷時間の増加が極力抑制される。
≪第3の実施形態≫
図11は、第3の実施形態にかかるインク量変化処理(ステップS130)の詳細をフローチャートにより示している。図11は、図4と比較したとき、ステップS1331Bが、図4のステップS1331と異なり、それ以外の点は同じである。
ステップS1331Bでは、制御部11は、対象バンドデータを構成する単位領域毎に、インク量データが規定するインク量が所定値(予め定められたしきい値THI)以上であるか否かを判定して処理を分岐する。インク量データとは、上述したようにステップS110の色変換処理によって生成されたインク量データである。第3の実施形態においては、インク量データも印刷データの一種である。つまり、制御部11は、インク量データのうち、対象バンドデータにおける単位領域(例えば画素列PL)に対応する領域のインク量データとしきい値THIとを比較する。
この比較にあたっては、制御部11は、インク量データのうち対象バンドデータにおける単位領域に対応する領域のインク量データについての代表値を決定する。そして、当該代表値がしきい値THI以上であれば、当該代表値にかかる単位領域をステップS1333の処理対象とし、当該代表値がしきい値THI未満であれば、当該代表値にかかる単位領域をステップS1332の処理対象とする。ここでいう代表値とは、単位領域に規定されたインク量の程度を示す値であればよく、例えば、単位領域を構成する画素毎のCMYK値の平均値((C+M+Y+K)/4)の、単位領域内での平均値を採用できる。あるいは、当該代表値は、単位領域を構成する画素毎のCMYK値の最大値の、単位領域内での平均値等であってもよい。
いずれにしても、前記代表値が比較的大きい(しきい値THI以上である)単位領域では、結果的に多くのインクが吐出されることとなり、そのため、異なる色のドットが隣接する可能性も高いと言える。つまり第3の実施形態では、傾きθmに応じてインク量を増加させるための手段として、パス数の増加(ステップS1333)、ドットサイズの増加(ステップS1332)のいずれかを選択する際に、前記ドットデータを解析して異なる色のドットが隣接するか否かの判定により選択を行うのではなく、前記インク量データを解析して異なる色のドットが隣接する可能性が高いか否かの判定により選択を行う。かかる構成であっても、結果的に前記“混色による画質劣化”を適切に避けつつ、印刷時間の増加を抑制することができる。つまり第3の実施形態によれば、制御部11は、前記傾きθmが所定のしきい値θm1以上である特定位置を対象としたインク吐出に際し、印刷データ(インク量データ)が規定するインク量が所定値(しきい値THI)以上である場合は、当該特定位置に対するパス回数を増加させることにより当該特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、印刷データ(インク量データ)が規定するインク量が前記所定値(しきい値THI)に満たない場合は、当該特定位置へ吐出されるインク滴のサイズを増加させる。
≪第4の実施形態≫
制御部11は、印刷対象物の各位置の傾きθm,θsに応じて印刷ヘッド26のノズルから吐出させるインク量を、印刷対象物の特性に応じて異ならせるとしてもよい。ここで言う印刷対象物の特性とは、インクの滲みやすさ(インクの広がりやすさ)である。インクが比較的滲みやすい第1の印刷対象物と、第1の印刷対象物よりもインクが滲みにくい第2の印刷対象物とに同じ量のインクを吐出した場合、着弾したインクが広がる範囲は、第1の印刷対象物の方が広い。インクが滲みやすければ、インクが滲みにくい場合と比較して、印刷対象物を被覆するために必要なインク量も少ないと言える。そこで、第4の実施形態では、それぞれ特性が既知である第1の印刷対象物と第2の印刷対象物とで異なる、主走査方向処理用の補正テーブルCTが予め用意されているものとする。これら主走査方向処理用の補正テーブルCTは、第1の印刷対象物用のものは、第2の印刷対象物用のものと比較したとき、同じ傾きθmに対応付けて規定するインク量の増加程度が低く設定されている。
そして、制御部11は、ステップS133の主走査方向処理を実行する際、そのときの印刷対象物に応じた主走査方向処理用の補正テーブルCTを参照する。つまり、第1の印刷対象物に印刷を行う場合は、第1の印刷対象物用の、主走査方向処理用の補正テーブルCTを参照し、第2の印刷対象物に印刷を行う場合は、第2の印刷対象物用の、主走査方向処理用の補正テーブルCTを参照する。
また、制御部11は、ステップS134の送り方向処理を実行する際、そのときの印刷対象物に応じた送り方向処理用の補正テーブルCTを参照する。つまり、第1の印刷対象物に印刷を行う場合は、第1の印刷対象物用の、送り方向処理用の補正テーブルCTを参照し、第2の印刷対象物に印刷を行う場合は、第2の印刷対象物用の、送り方向処理用の補正テーブルCTを参照する。これら送り方向処理用の補正テーブルCTは、第1の印刷対象物用のものは、第2の印刷対象物用のものと比較したとき、同じ傾きθsに対応付けて規定する送り方向の印刷解像度の増加程度が低く設定されている。このような第4の実施形態によれば、傾きθmや傾きθsが比較的大きいために、それら傾きが0度である場合と比べて多くのインクによる被覆を必要とする印刷対象物の特定位置に対して、傾きθm,θsと印刷対象物の特性(インクの滲みやすさ)とに応じた最適な量のインクを吐出することができる。
≪第5の実施形態≫
プリンター20は、印刷ヘッド26のパスの最中に印刷対象物の主走査方向の傾きθmおよび送り方向の傾きθsを測定し、当該測定結果に応じてパスを追加する等としてもよい。当該第5の実施形態では、図3に示したタイミングでのインク量変化処理(ステップS130)は不要となり、替わりにプリンター20の制御部21がインク量変化処理に相当する処理を行なう。プリンター20は、傾きθm,θsを測定する手段としてのセンサー32(例えば、赤外線センサー)を有する。センサー32は、例えば図2に示すように、印刷ヘッド26に付属しており、印刷ヘッド26とともに移動可能である。センサー32は、印刷ヘッド26のパスがなされている最中に、相対する印刷対象物の面をスキャンすることにより傾きθmおよび傾きθsを測定し、測定結果を制御部21に出力する。
制御部21は、印刷ヘッド26による1回のパス(ステップS120で生成されたドットデータを構成する1つのバンドデータに応じたインク吐出)が終わる度、つまりセンサー32による1回のスキャンが終わる度に、当該スキャンの範囲における傾きθm,θsを解析する。そして、当該スキャンの範囲における少なくとも一部の傾きθmが前記しきい値θm1以上である場合、送り機構29によって印刷対象物を送らせる前に、追加のパスを印刷ヘッド26に実行させ、当該追加のパスでは上述した主走査方向追加ドットを位置毎の傾きθmの大きさに応じて吐出させる。また、制御部21は、当該スキャンの範囲における少なくとも一部の傾きθsが前記しきい値θs1以上である場合、前記1回のパス(ステップS120で生成されたドットデータを構成する1つのバンドデータに応じたインク吐出)あるいは前記追加のパスが終わった後に、送り機構29によって印刷対象物を前記第2距離分だけ送らせる。その上で、制御部21は、前記更なるパス(送り方向の高解像度化のためのパス)を印刷ヘッド26に実行させ、前記送り方向追加ドットを吐出させる。このような送り方向の高解像度化のためのパスの後は、次のバンドデータに基づくインク吐出のために、送り機構29により印刷対象物を、第1距離−第2距離の分だけ送り方向に搬送する。
このような第5の実施形態によれば、印刷対象物の傾きθm,θsの取得と、ステップS120で生成されたドットデータに応じたインク吐出とが同時に実行される。そのため、プリンター20や制御装置10は、印刷ヘッド26に最初のパスを実行させるよりも先に傾き情報SDを取得しておく必要がなく、作業が効率化される。
1…印刷制御システム、10…制御装置、11…制御部、12…CPU、13…ROM、14…RAM、15…HD DRV、16…HD、17…表示部、18…操作部、19…I/F、20…プリンター、21…制御部、22…CPU、23…ROM、24…RAM、25…I/F、26…印刷ヘッド、27…ヘッド駆動部、28…キャリッジ機構、29…送り機構、30…表示部、31…操作部、32…センサー、CT…補正テーブル、G…印刷対象物、Nz…ノズル、PD…プリンタードライバー、SD…傾き情報

Claims (8)

  1. 非平面を有する印刷対象物に対して印刷ヘッドを走査し、当該印刷ヘッドが有するノズルからインクを吐出させて印刷を行う印刷制御装置であって、
    前記印刷対象物の各位置の傾きを取得する傾き取得部と、
    前記ノズルから前記印刷対象物の各位置へ吐出させるインク量を前記傾きに応じて変化させる制御部とを備え、
    前記制御部は、1回の前記走査によるインク吐出の対象となる前記印刷対象物の領域に含まれる前記走査の方向における前記傾きが所定のしきい値以上である特定位置を対象としたインク吐出に際し、
    異なる色のインク滴を隣接させる場合は、当該特定位置に対する前記走査の回数を増加させることにより当該特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、
    異なる色のインク滴を隣接させない場合は、当該特定位置へ吐出されるインク滴のサイズを増加させる、ことを特徴とする印刷制御装置。
  2. 前記隣接とは、前記走査の方向における隣接又は前記走査の方向と交差する方向における隣接であることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
  3. 前記異なる色とは、前記印刷ヘッドが吐出するインクの色のうち一部の特定の色の組み合わせであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
  4. 前記特定の色の組み合わせとは、ブラックとイエローであることを特徴とする請求項3に記載の印刷制御装置。
  5. 前記印刷対象物は、前記走査が行われていないタイミングで前記走査の方向と交差する方向に一定距離送られ、
    前記制御部は、前記送りの方向における前記傾きが所定のしきい値以上である特定位置を対象としてインク吐出をさせる際には、前記印刷対象物を送る距離を減らすことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷制御装置。
  6. 前記制御部は、前記印刷対象物の各位置の前記傾きに応じて前記ノズルから吐出させるインク量を、前記印刷対象物の特性に応じて異ならせることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷制御装置。
  7. 印刷データに基づき、非平面を有する印刷対象物に対して印刷ヘッドを走査し、当該印刷ヘッドが有するノズルからインクを吐出させて印刷を行う印刷制御装置であって、
    前記印刷対象物の各位置の傾きを取得する傾き取得部と、
    前記ノズルから前記印刷対象物の各位置へ吐出させるインク量を前記傾きに応じて変化させる制御部とを備え、
    前記制御部は、前記傾きが所定のしきい値以上である特定位置を対象としたインク吐出に際し、
    前記印刷データが規定するインク量が所定値以上である場合は、当該特定位置に対する前記走査の回数を増加させることにより当該特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、
    前記印刷データが規定するインク量が前記所定値に満たない場合は、当該特定位置へ吐出されるインク滴のサイズを増加させる、ことを特徴とする印刷制御装置。
  8. 非平面を有する印刷対象物に対して印刷ヘッドを走査し、当該印刷ヘッドが有するノズルからインクを吐出させて印刷を行う印刷制御方法であって、
    前記印刷対象物の各位置の傾きを取得する傾き取得工程と、
    前記ノズルから前記印刷対象物の各位置へ吐出させるインク量を前記傾きに応じて変化させる制御工程とを備え、
    前記制御工程では、1回の前記走査によるインク吐出の対象となる前記印刷対象物の領域に含まれる前記走査の方向における前記傾きが所定のしきい値以上である特定位置を対象としたインク吐出に際し、
    異なる色のインク滴を隣接させる場合は、当該特定位置に対する前記走査の回数を増加させることにより当該特定位置へ吐出されるインク量を増加させ、
    異なる色のインク滴を隣接させない場合は、当該特定位置へ吐出されるインク滴のサイズを増加させる、ことを特徴とする印刷制御方法。
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