JP2016114372A - てん輪及び調速装置 - Google Patents

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優作 仁井田
Yusaku Niida
優作 仁井田
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Abstract

【課題】てん輪の全体の重心を回転中心に維持しつつ、慣性モーメントの調整を簡単に行うことができるものとする。【解決手段】てん輪10は、中心Oから半径方向に延びた4本のアーム11a,12aがそれぞれ、中心Oの回りに等角度間隔で形成された固定アーム部材(第1アーム部材)11及び調整アーム部材(第2アーム部材)12と、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとに連結された4つの調整リンク部材16(リンク部材)とを備え、固定アーム部材11と調整アーム部材12とは、中心Oを回転軸として相対的に回転可能に連結され、調整リンク部材16は、固定アーム部材11と調整アーム部材12との相対的な回転角度に対応して、中心Oから調整リンク部材16ごとの重心Gまでの距離L1(L2)が変化するように形成されている。【選択図】図6

Description

本発明は、時計に用いられるてん輪及び調速装置に関する。
機械式時計は、正確な歩度を得るために、調速装置におけるてんぷの振動周期の精度が求められる。そして、てんぷの振動周期は、てん輪の回転中心回りの慣性モーメントに依存するため、慣性モーメントが精度よく調整されていることが必要である。
従来、てん輪の慣性モーメントは、てん輪のリング部にねじ込まれたちらねじのねじ込み量を調整することで行われていた。
また、てん輪のブリッジ部等に、半径方向に移動可能の錘部を設け、この錘部を半径方向にスライドさせることで、慣性モーメントを調整するてんぷが提案されている(特許文献1)。
特開2014−160037号公報
しかし、上述したちらねじによる調整や特許文献1により提案された技術は、1つのちらねじや1つの錘部を調整して慣性モーメントを変化させると、てん輪全体の重心が回転中心から位置ずれする。
このため、ちらねじの調整では、慣性モーメントの調整を行いつつ重心の位置を回転中心からずれないようにするために、複数のちらねじを並行して調整する必要がある。また、錘部を移動させて慣性モーメントの調整を行う技術では、回転中心に対して対称となる位置に設けられた2つの錘部を常に同じ量だけ移動させて、重心が回転中心から移動するのを防止する必要がある。
このように、従来、てん輪の慣性モーメントを調整する作業は非常に煩雑であった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、全体の重心を回転中心に維持しつつ、慣性モーメントの調整を簡単に行うことができるてん輪及び調速装置を提供することを目的とする。
本発明の第1は、回転中心から半径方向に延びた少なくとも2本のアームが、前記回転中心の回りに等角度間隔で形成された第1アーム部材と、前記回転中心から半径方向に延びた少なくとも2本のアームが、前記回転中心の回りに等角度間隔で形成された第2アーム部材と、前記第1アーム部材のアームと前記第2アーム部材のアームとに連結された少なくとも2つのリンク部材と、を備え、前記第1アーム部材と前記第2アーム部材とは、前記回転中心を回転軸として相対的に回転可能に連結され、前記リンク部材は、前記第1アーム部材と前記第2アーム部材との相対的な回転角度に対応して、前記回転中心から前記リンク部材ごとの重心までの距離が変化するように形成されたてん輪である。
本発明の第2は、本発明のてん輪と、前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材とを前記回転中心において連結するてん真と、前記てん真に一端が取り付けられたひげぜんまいと、を備えた調速装置である。
本発明に係るてん輪によれば、全体の重心を回転中心に維持しつつ、慣性モーメントの調整を簡単に行うことができる。
本発明に係る調速機によれば、てん輪にてん真及びひげぜんまいを組み合わせた状態で、全体の重心を回転中心に維持しつつ慣性モーメントの調整を簡単に行うことができる。
本発明の第1の実施形態である携帯用時計(例えば腕時計)における調速装置(てんぷ)を示す斜視図である。 調速装置の分解斜視図である。 てん輪を構成する固定アーム部材と調整アーム部材とを示す斜視図である。 てん輪を構成する固定アーム部材の一部と、調整アーム部材の一部と、調整リンク部材とを示す斜視図である。 調速装置におけるてん輪の固定アーム部材と調整アーム部材とを、中心Oを回転軸として相対的に回転させた状態を示す、図1相当の斜視図である。 (A)は図1の状態の調速装置を上方から見た平面図、(B)は図5の状態の調速装置を上方から見た平面図である。 てん真の大径部と固定アーム部材の中心孔及び調整アーム部材の中心孔とに、それぞれ軸方向に延び、互いに噛み合うセレーションが形成されているてん輪の一部を示す平面図であり、(A)は固定アーム部材のアームと調整アーム部材のアームとの間の角度が角度θ1のとき、(B)は固定アーム部材のアームと調整アーム部材のアームとの間の角度が角度θ2(<θ1)のときをそれぞれ示す。 2本のアームの固定アーム部材と、2本のアームの調整アーム部材と、2つの調整リンク部材とが組み合わされて形成されたてん輪を有する調速装置の例を示す、図1相当の斜視図である。 調整リンク部材が半径方向の内方に凹んで形成された調速装置の実施形態を示す図6相当の図であり、(A)は固定アーム部材と調整アーム部材との間の角度が角度θ3のときの状態、(B)は固定アーム部材と調整アーム部材との間の角度が角度θ3よりも小さい角度θ2のときの状態をそれぞれ示す。 1つの弾性部材で形成された調整リンク部材を適用したてん輪及び調速装置を示す図6相当の平面図であり、(A)は固定アーム部材と調整アーム部材との間の角度が角度θ5のときの状態、(B)は固定アーム部材と調整アーム部材との間の角度が角度θ5よりも小さい角度θ6(<θ5)のときの状態をそれぞれ示す。 折り筋が予め付けられた樹脂により形成された調整リンク部材を適用したてん輪及び調速装置を示す図10相当の平面図であり、(A)は固定アーム部材と調整アーム部材との間の角度が角度θ7の時の状態、(B)は固定アーム部材と調整アーム部材との間の角度が角度θ7よりも小さい角度θ8(<θ7)のときの状態をそれぞれ示す。
以下、本発明に係るてん輪及び調速装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1の実施形態]
<調速装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態(実施形態1)である携帯用時計(例えば腕時計)における調速装置(てんぷ)100を示す斜視図、図2は、調速装置100の分解斜視図である。
図示の調速装置100は、図1,2に示すように、てん輪10と、てん真20と、ひげぜんまい30と、ひげだま40とを備えている。
てん真20は、図2に示すように、軸部21と、鍔部22と、大径部23と、小径部24とが形成されている。軸部21には、時計ムーブメントの地板及びてんぷ受けの受け石にそれぞれ回転可能に支持される上端部21a及び下端部21bが形成されている。鍔部22、大径部23、小径部24は、軸部21の上端部21aと下端部21bとの間の部分に、図示の下方からこの順序で、軸部21と同軸に形成されている。
大径部23は、円柱状に形成され、てん輪10の中心部に形成された中心孔10cに嵌め合わされる。小径部24も円柱状で、大径部23よりも外径が小さく形成されている。小径部24は、ひげだま40に嵌め合わされて、ひげだま40を固定する。鍔部22は、中心孔10cの内径よりも大きな外径で形成されている。
てん真20は、てん輪10の中心孔10cに対して図示下方から、鍔部22がてん輪10の図示下端面に突き当たる位置まで挿入される。このとき、大径部23は中心孔10cに嵌め合わされ、小径部24はてん輪10の図示上端面から突出する。そして、この小径部24にひげだま40が嵌め合わされる。
ひげだま40には、ひげぜんまい30の内周端が固定されている。ひげぜんまい30の外周端は、ひげもちを介して、てんぷ受けに固定されている。
<てん輪の構成>
図3は、てん輪10を構成する固定アーム部材11(第1アーム部材の一例)と調整アーム部材12(第2アーム部材の一例)を示す斜視図、図4は、てん輪10を構成する固定アーム部材11の一部と、調整アーム部材12の一部と、調整リンク部材16(リンク部材の一例)とを示す斜視図である。
てん輪10は、図3,4に示すように、固定アーム部材11と、調整アーム部材12と、4つの調整リンク部材16と、8つの連結ピン17とを備えた構成である。
(固定アーム部材)
固定アーム部材11は、中心部にてん真20の大径部23が嵌め合わされる中心孔11cが形成された中心円環部11bと、中心孔11cの中心Oを回転中心としたときの半径方向に直線状に延びた4つのアーム11aとが一体に形成されている。固定アーム部材11は、全体として平面視で+字の形状を呈している。
4つのアーム11aは、中心孔11cの回りに等角度間隔(90[度]間隔)に形成されている。中心円環部11bは、アーム11aの直線部分の厚さ(図示の上下方向の寸法)の半分の厚さであり、アーム11aの厚さの下側半分の位置に対応して形成されている。なお、4つのアーム11aの長さは同じである。
固定アーム部材11の半径方向の外側に対応した各アーム11aの端部には、図4に示した調整リンク部材16と連結される連結円環部11dが形成されている。この連結円環部11dも、中心円環部11bと同様に、アーム11aの直線部分の厚さの半分の厚さであり、アーム11aの直線部分の厚さの下側半分の位置に対応して形成されている。また、連結円環部11dの中心部には、調整リンク部材16と連結するための連結ピン17(図4参照)が嵌め合わされる連結孔11eが形成されている。
(調整アーム部材)
調整アーム部材12は、固定アーム部材11を上下逆さまにしたような構成であり、中心部にてん真20が嵌め合わされる中心孔12cが形成された中心円環部12bと、中心孔12cの中心Oを回転中心としたときの半径方向に直線状に延びた4つのアーム12aとが一体に形成されている。調整アーム部材12は、全体として平面視で+字の形状を呈している。
4つのアーム12aは、中心孔12cの回りに等角度間隔(90[度]間隔)に形成されている。中心円環部12bは、アーム12aの直線部分の厚さの半分の厚さであり、アーム12aの直線部分の厚さの上側半分の位置に対応して形成されている。4つのアーム12aの長さは同じである。
また、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとは同じ長さに形成されているとともに、直線部分の厚さも同じに形成されている。
調整アーム部材12の半径方向の外側に対応した各アーム12aの端部にも、調整リンク部材16と連結される連結円環部12dが形成されている。この連結円環部12dも、アーム12aの直線部分の厚さの半分の厚さであり、アーム12aの直線部分の厚さの上側半分の位置に対応して形成されている。また、連結円環部12dの中心部には、連結ピン17が嵌め合わされる連結孔12eが形成されている。
固定アーム部材11と調整アーム部材12とは、固定アーム部材11の中心円環部11bの上に調整アーム部材12の中心円環部12bが重ね合わされることで、組み合わされる。そして、2つの中心円環部11b,12bを重ね合わせて固定アーム部材11と調整アーム部材12とを組み合わせた組立体は、厚さが固定アーム部材11の単体の厚さ又は調整アーム部材12の単体の厚さと同じになる。
なお、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを組み合わせた組立体において、中心孔11cと中心孔12cとは、厚さ方向に同軸に連なった円柱状の開口となり、この開口が、てん輪10における中心孔10c(図2参照)となり、てん真20の大径部23が嵌め合わされる。固定アーム部材11と調整アーム部材12とは、てん真20に嵌め合わされた状態で、中心Oを回転中心として相対的に回転可能である。
(調整リンク部材)
調整リンク部材16は、図4に示すように、2本のリンク13,14と、連結ピン15(ジョイントの一例)とによって構成されている。リンク13,14は同じものである。また、各リンク13,14は、固定アーム部材11及び調整アーム部材12と同じ厚さに形成されている。
リンク13,14は、それぞれ直線状に延びて形成されている。リンク13の両端部にはそれぞれ連結円環部13a,13bが形成されている。リンク14の両端部にもそれぞれ連結円環部14a,14bが形成されている。
リンク13の各連結円環部13a,13bは、リンク13の直線部分の厚さの半分の厚さであり、一方の連結円環部13aはリンク13の直線部分の厚さの上側半分の位置に対応して形成されている。他方の連結円環部13bはリンク13の直線部分の厚さの下側半分の位置に対応して形成されている。連結円環部13bの中心部分には、連結ピン15が嵌め合わされる連結孔13dが形成されている。連結円環部13aの中心部分には、連結ピン17が嵌め合わされる連結孔13cが形成されている。
リンク14の各連結円環部14a,14bも、リンク14の直線部分の厚さの半分の厚さであり、一方の連結円環部14aはリンク14の直線部分の厚さの上側半分の位置に対応して形成され、他方の連結円環部14bはリンク14の直線部分の厚さの下側半分の位置に対応して形成されている。連結円環部14aの中心部分には、連結ピン15が嵌め合わされる連結孔14cが形成されている。連結円環部14bの中心部分には、連結ピン17が嵌め合わされる連結孔14dが形成されている。
リンク13とリンク14とは、連結円環部13bの上に連結円環部14aが重ね合わされることで組み合わされる。そして、2つの連結円環部13b,14aを重ね合わせてリンク13とリンク14とを組み合わせた組立体は、厚さがリンク13の単体の厚さ又はリンク14の単体の厚さと同じになる。
連結円環部13bの上に連結円環部14aが重ね合わされた状態で、連結孔14cと連結孔13dとが厚さ方向に同軸に連なる。この連結孔14c,13dに連結ピン15が挿入されて嵌め合わされ、リンク13とリンク14とが連結されている。
固定アーム部材11及び調整アーム部材12と4つの調整リンク部材16とは、固定アーム部材11の4つのアーム11aと調整リンク部材16の4つのリンク13とが連結され、調整アーム部材12の4つのアーム12aと調整リンク部材16の4つのリンク14とが連結されることによって連結される。
固定アーム部材11のアーム11aとリンク13とは、連結円環部11dの上に連結円環部13aが重ね合わされることで組み合わされる。そして、連結円環部11dの上に連結円環部13aが重ね合わされた状態で、連結孔11eと連結孔13cとが厚さ方向に同軸に連なる。この連結孔11e,13cに連結ピン17が挿入されて嵌め合わされ、固定アーム部材11と調整リンク部材16とが連結されている。
調整アーム部材12のアーム12aとリンク14とは、連結円環部14bの上に連結円環部12dが重ね合わされることで組み合わされる。そして、連結円環部14bの上に連結円環部12dが重ね合わされた状態で、連結孔14dと連結孔12eとが厚さ方向に同軸に連なる。この連結孔14d,12eに連結ピン17が挿入されて嵌め合わされ、調整アーム部材12と調整リンク部材16とが連結されている。
ここで、固定アーム部材11及び調整アーム部材12と調整リンク部材16とが連結されたてん輪10は、厚さが固定アーム部材11の単体の厚さ又は調整アーム部材12の単体の厚さと同じになる。
なお、てん真20(図1,2参照)が中心孔11c,12c(図3参照)に嵌め合わされた固定アーム部材11と調整アーム部材12とは、てん真20を回転軸として相対的に回転可能となっている。また、リンク13とリンク14とは、連結ピン15(図4参照)を回転軸として相対的に回転可能となっている。さらに、固定アーム部材11とリンク13とは、連結ピン17を回転軸として相対的に回転可能で、調整アーム部材12とリンク14とは、連結ピン17を回転軸として相対的に回転可能となっている。
また、連結ピン17は、固定アーム部材11のアーム11a、調整アーム部材12のアーム12aと一体的に形成されていてもよいし、これとは反対に、調整リンク部材16のリンク13,14と一体的に形成されていてもよい。
<調速装置及びてん輪の作用>
図5は、調速装置100におけるてん輪10の固定アーム部材11と調整アーム部材12とを、てん真20を回転軸として相対的に回転させた状態を示す図、図6(A)は図1の状態の調速装置100を上方から見た平面図、図6(B)は図5の状態の調速装置100を上方から見た平面図である。
てん輪10は、固定アーム部材11と調整アーム部材12とがてん真20の中心Oを回転中心として相対的に回転可能であるため、共通する調整リンク部材16に連結された固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとによって挟まれる角度を連続的に変化させることができる。したがって、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度を、例えば図6(A)に示す角度θ1から図6(B)に示す角度θ2(<θ1)に変化させることができる。
ここで、図6(A)に示した角度θ1の状態のてん輪10は、各調整リンク部材16が中心Oからの半径方向の外方に突出した形状を呈している。4つの調整リンク部材16は、同じ形状を呈している。そして、中心Oから調整リンク部材16ごとの重心Gまでの距離はそれぞれ距離L1となる。
一方、図6(B)に示した角度θ2の状態のてん輪10も、調整リンク部材16が中心Oからの半径方向の外方に突出した形状を呈している。なお、4つの調整リンク部材16は、同じ形状を呈している。そして、中心Oから調整リンク部材16ごとの重心Gまでの距離は、それぞれ距離L1よりも長い距離L2(>L1)となる。
このように、中心Oから調整リンク部材16ごとの重心Gの位置は、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度が角度θ1のときと角度θ2のときとで異なり、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度に応じて変化する。
これに対して、固定アーム部材11のアーム11aごとの重心の位置及び調整アーム部材12のアーム12aごとの重心の位置は、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度に拘わらず常に一定である。したがって、図6(A)に示した角度θ1の状態と図6(B)に示した角度θ2の状態とで、アーム11aごとの重心の位置及びアーム12aごとの重心の位置は同じである。アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度が他の角度の場合も同様である。
この結果、中心Oに対するてん輪10の慣性モーメントは、調整リンク部材16ごとの重心Gの位置の変化に応じて変化する。つまり、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度を変化させることにより、中心Oに対するてん輪10の慣性モーメントは変化する。具体的には、中心Oからの、調整リンク部材16ごとの重心Gまでの距離が長くなるにしたがって、てん輪10の慣性モーメントが大きくなる。
一方、調整リンク部材は中心Oの回りに等角度間隔(角度90[度]ごと)で設けられているため、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度が変化しても、てん輪10全体の重心は中心Oに一致した状態で変化しない。
このように、本実施形態のてん輪10及び調速装置100によれば、てん輪10を構成する固定アーム部材11と調整アーム部材12とで挟まれる角度を変化させるだけの簡単な操作で、てん輪10全体の重心を中心Oに維持しつつ、慣性モーメントの調整を行うことができる。
そして、このてん輪10及び調速装置100は、慣性モーメントの調整が行われた後に、接着剤の塗布などにより、固定アーム部材11と調整アーム部材とが直接的又は間接的に回転方向に関して固定される。
このてん輪10及び調速装置100によれば、てん輪10の慣性モーメントが所定の値に調整された状態で、固定アーム部材11と調整アーム部材12とが回転方向に関して固定されていることにより、所定の慣性モーメントに調整され、慣性モーメントが変化することのないてん輪10及び調速装置100を得ることができる。
また、てん輪10の慣性モーメントは、中心Oから調整リンク部材16ごとの重心Gまでの距離の2乗に比例する。本実施形態のてん輪10及び調速装置100は、調整リンク部材16がアーム11aにおける半径方向の外周側の端部とアーム12aにおける半径方向の外周側の端部とに連結されている。したがって、このてん輪10及び調速装置100によれば、調整リンク部材16ごとの重心Gの位置の変化量に対するてん輪10の慣性モーメントの変化量を最大にすることができる。
よって、調整リンク部材16がアーム11a及びアーム12aに連結された態様においては、てん輪10の慣性モーメントの調整可能の範囲(変化量)を最大に確保することができる。
また、てん輪10は、図3,4に示すように、固定アーム部材11と調整アーム部材12と調整リンク部材16とは、それぞれの単体の厚さの半分の部分(中心円環部11b,12b、連結円環部13a,14b)同士を重ね合わせて形成されている。したがって、てん輪10の全体の厚さを、薄くすることができる。
しかも、固定アーム部材11、調整アーム部材12及び調整リンク部材16の単体の厚さは同じであるため、てん輪10全体の厚さを、固定アーム部材11、調整アーム部材12又は調整リンク部材16の単体の厚さと同じにすることができ、最小限の厚さに抑えることができる。
また、本実施形態のてん輪10及び調速装置100は、各調整リンク部材16が、2本のリンク13,14の一端部同士が連結ピン15により連結され、リンク13の他端部が固定アーム部材11に連結され、リンク14の他端部が調整アーム部材12に連結されている。このため、図6に示すように、固定アーム部材11と調整アーム部材12との相対的な回転による調整リンク部材16の変形が、連結ピン15を中心とした2本のリンク13,14の間での屈曲によって実現される。
したがって、固定アーム部材11と調整アーム部材12との相対的な回転に対応して、調整リンク部材16は規則的な変形となり、調整リンク部材16ごとの重心Gの位置を規則的に変化させることができる。
なお、固定アーム部材11と調整アーム部材12との相対的な回転による調整リンク部材16の変形が、全ての調整リンク部材16で同じになるものであれば、調整リンク部材16は、2本のリンク13,14を連結したものに限定されない。すなわち、調整リンク部材16は、3本以上のリンクを連結したものであってもよい。
本実施形態のてん輪10及び調速装置100は、固定アーム部材11と調整アーム部材12とが連結された部分(てん真20にそれぞれ嵌め合わされた部分)に接着剤を塗布して、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを直接的に固定してもよい。また、固定アーム部材11若しくは調整アーム部材12と調整リンク部材16とが連結された部分(連結ピン17が嵌め合わされた部分)に接着剤を塗布して、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを間接的に固定することもできる。また、2本のリンク13,14が連結された部分(連結ピン15が嵌め合わされた部分)に接着剤を塗布して、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを間接的に固定することもできる。
このように、本実施形態のてん輪10及び調速装置100は、上述した複数の連結された部分のうちのいずれか1か所の連結された部分のみに接着剤を塗布することで、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを直接的又は間接的に固定することができる。したがって、固定アーム部材11と調整アーム部材12との固定作業が容易である。
なお、固定アーム部材11と調整アーム部材12との直接的又は間接的な、回転方向に関する固定は、接着剤の塗布によるものに限定されるものではない。
例えば、固定アーム部材11、調整アーム部材12、調整リンク部材16及びてん真20が樹脂で形成されている場合は、上述した連結する部分にレーザ光を照射する等して、連結する部分の一部分を溶着させて、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを直接的又は間接的に固定してもよい。
また、固定アーム部材11と調整アーム部材12との直接的又は間接的な固定は、機械構造的な固定であってもよい。
図7は、てん真20の大径部23と固定アーム部材11の中心孔11c及び調整アーム部材12の中心孔12cとに、それぞれ軸方向に延び、互いに噛み合うセレーション23s,11s,12sが形成されているてん輪10の一部を示す平面図であり、(A)は、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとの間の角度が角度θ1のとき、(B)は、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとの間の角度が角度θ2(<θ1)のときをそれぞれ示す。
このように構成されたてん輪10は、例えば、図7(A)に示した状態において、固定アーム部材11のセレーション11sとてん真20のセレーション23sとが噛み合って、固定アーム部材11とてん真20とは、回転方向に関して固定されている。同様に、調整アーム部材12のセレーション12sとてん真20のセレーション23sとが噛み合って、調整アーム部材12とてん真20とは、回転方向に関して固定されている。
これにより、固定アーム部材11と調整アーム部材12とは、てん真20を介して回転方向に関して固定されている。
ここで、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとの間の角度を変更するときは、固定アーム部材11の中心孔11c及び調整アーム部材12の中心孔12cからてん真20を、図7の紙面奥行方向に引き抜く。このとき、固定アーム部材11と調整アーム部材12とは、回転方向に関して互いに拘束されない。
したがって、この状態で、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとの間の角度を、図7(B)に示した角度θ2に変更した上で、固定アーム部材11の中心孔11c及び調整アーム部材12の中心孔12cにてん真20を再び挿入した状態とする。
これにより、固定アーム部材11のセレーション11sとてん真20のセレーション23sとが噛み合い、かつ、調整アーム部材12のセレーション12sとてん真20のセレーション23sとが噛み合って、固定アーム部材11と調整アーム部材12とは、てん真20を介して回転方向に関して固定される。
このように構成されたてん輪10によれば、固定アーム部材11及び調整アーム部材12からのてん真20の引き抜きと、固定アーム部材11と調整アーム部材12との相対的な回転と、固定アーム部材11及び調整アーム部材12へのてん真20の挿入とを行うことで、てん輪10の慣性モーメントを調整した後は、所定の慣性モーメントに調整された状態で、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを、回転方向に関して固定することができる。
なお、この機械構造的な固定アーム部材11と調整アーム部材12との固定は、固定アーム部材11と調整アーム部材12とが一旦固定された後も、固定を容易に解除し、さらに、慣性モーメントの調整を行うことができる。したがって、特に、時計のアフターマーケットにおいても、慣性モーメントの調整を容易に行うことができる。
図7に示したてん輪10は、固定アーム部材11、調整アーム部材12及びてん真20にセレーション11s,12s,23sが形成されたものであるが、セレーション11s,12s,23sに代えてスプラインを形成してもよい。
また、例えば、図3に示す固定アーム部材11の中心円環部11bの、調整アーム部材12の中心円環部12bに重ね合わされる面(以下、調整アーム部材対向面という。)に、回転方向に沿って並ぶ複数の孔を形成する。一方、調整アーム部材12の中心円環部12bの、固定アーム部材11の中心円環部11bに重ね合わされる面(以下、固定アーム部材対向面という。)に、調整アーム部材対向面に形成されたいずれかの孔に嵌め合わされる突起を形成する。
そして、固定アーム部材11に調整アーム部材12が重ね合わされた状態では、調整アーム部材12の固定アーム部材対向面に形成された突起が、固定アーム部材11の調整アーム部材対向面に形成されたいずれかの孔に嵌め合わされる。これにより、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを、回転方向に関して固定することができる。
固定アーム部材11と調整アーム部材12とを上下方向に離した状態では、調整アーム部材12の固定アーム部材対向面に形成された突起が、固定アーム部材11の調整アーム部材対向面に形成された孔から抜ける。これにより、固定アーム部材11と調整アーム部材12とは、相対的な回転が可能になり、回転した後は、その回転した位置にもっとも近い孔に突起を嵌め合わせることができる。
したがって、このような固定アーム部材11の調整アーム部材対向面に形成された複数の突起と、調整アーム部材12の固定アーム部材対向面に形成された突起とによって、固定アーム部材11と調整アーム部材12とを、機械構造的に固定することができる。
また、調整リンク部材16は2本のリンク13,14が同じ長さであるため、2本のリンク13,14が同じ長さでない場合に比べて、固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の回転可能の角度を大きくすることができる。これにより、2本のリンク13,14が同じ長さでない場合に比べて、てん輪10の慣性モーメントを調整できる範囲を大きくすることができる。
ただし、本発明に係るてん輪及び調速装置は、2本のリンク13,14が同じ長さに形成されたものに限定されず、2本のリンク13,14が異なる長さに形成されていてもよい。
本実施形態のてん輪10及び調速装置100は、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとがそれぞれ4本であるが、本発明に係るてん輪及び調速装置100は、アーム11a,12aがそれぞれ4本のものに限定されるものではない。具体的には、アーム11a,12aは、等角度間隔で2本以上であればよく、3本であってもよいし、5本以上であってもよい。
図8は、2本のアーム11aの固定アーム部材11と、2本のアーム12aの調整アーム部材12と、2つの調整リンク部材16とが組み合わされて形成されたてん輪10を有する調速装置100の例を示す、図1相当の斜視図である。図8に示したてん輪10は、2本のアーム11aが180[度]の角度間隔で形成され、2本のアーム12aが180[度]の角度間隔で形成されている。
このてん輪10及び調速装置100は、本発明のてん輪及び調速装置において、第1アーム部材のアーム及び第2アーム部材のアームがそれぞれ最小限の本数で形成された一例である。
そして、このようにアーム11a,12aがそれぞれ最小限の本数で形成されたてん輪10及び調速装置100も、固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度θに対応して、調整リンク部材16ごとの中心Oからの重心Gまでの距離が変化する。また、この角度θの変化によっても、てん輪10の全体の重心は、中心Oに一致した状態を維持する。
したがって、このてん輪10及び調速装置100によっても、実施形態1と同様に、固定アーム部材11と調整アーム部材12とで挟まれる角度θを変化させるだけの簡単な操作で、てん輪10全体の重心を中心Oに維持しつつ、慣性モーメントの調整を行うことができる。
なお、アーム11a,12aの数が多くなるにしたがって、調整リンク部材16により形成される外形が円環状に近づき、てん輪10の中心O回りの周方向における重量バランスが向上する。
一方、アーム11a,12aの数が増加するにしたがって、固定アーム部材11と調整アーム部材12との間で動かすことができる角度が小さくなって、調整リンク部材16ごとの重心Gの移動量が小さくなり、てん輪10の慣性モーメントの変化量が小さくなる。
しかも、アーム11a,12aの数が増加することで、てん輪10の全体の重量に対する調整リンク部材16の重量の割合が低下し、てん輪10の慣性モーメントにおける、調整リンク部材16ごとの重心Gの位置への依存度が低下する。
したがって、中心O回りの周方向における重量バランスの向上と、慣性モーメントを調整できる範囲の大きさとを比較考量して、アーム11a,12aの数を決定するのが好ましい。この観点から、アーム11a,12aの数は、2〜8本が好ましく、4〜6本がより好ましい。
また、本実施形態のてん輪10及び調速装置100は、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとが同じ数であるが、本発明に係るてん輪及び調速装置は、アーム11aとアーム12aとが必ずしも同じ数でなくてもよい。ただし、アーム11aとアーム12aとが同じ数でない構成の場合、連結されないアーム11a又は編む12aが発生するため、てん輪10の全体の重量が増加するとともに、調整リンク部材16による慣性モーメントの変化量が相対的に小さくなる。
本実施形態のてん輪10及び調速装置100は、固定アーム部材11の4本のアーム11aと調整アーム部材12の4本のアーム12aとは中心Oからの長さが等しい。しかし、本発明に係るてん輪及び調速装置は、固定アーム部材11のアーム11aと調整アーム部材12のアーム12aとは、中心Oからの長さが同じでなくてもよい。
具体的には、固定アーム部材11の4本のアーム11aを調整アーム部材12の4本のアーム12aよりも長く形成した構成又は短く形成した構成であってもよい。この場合、固定アーム部材11の4本のアーム11aは同じ長さとし、調整アーム部材12の4本のアーム12aは同じ長さとする。
このように構成されたてん輪10及び調速装置100であっても、固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度に拘わらずに、てん輪10の全体の重心Gの位置を中心Oに一致させつつ、固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度に応じて、調整リンク部材16ごとの中心Oからの重心Gの位置を半径方向に変化させることができる。なお、この場合、調整リンク部材16のリンク13の長さとリンク14の長さとを異なる長さとしてもよい。
図6に示したてん輪10及び調速装置100は、調整リンク部材16が、中心Oから半径方向の外方に突出するように屈曲して変形するように形成されている。しかし、本発明に係るてん輪及び調速装置は、調整リンク部材16が半径方向の外方に突出することにより、てん輪10の慣性モーメントが調整されるものに限定されない。
図9は、調整リンク部材16が半径方向の内方に凹んで形成されたてん輪10及び調速装置100の実施形態を示す図6相当の図であり、(A)は固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が角度θ3のときの状態、(B)は固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が角度θ3よりも小さい角度θ2のときの状態をそれぞれ示す。
てん輪10及び調速装置100は、図9に示すように、固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が小さくなる(θ3(図9(A))→θ4(図9(B)))にしたがって、調整リンク部材16は、中心Oから半径方向の内方に凹むように屈曲して変形するものであってもよい。そして、このてん輪10は、調整リンク部材16が半径方向の内方に凹むように屈曲するにしたがって、調整リンク部材16ごとの重心Gの位置が半径方向の内方に移動する。
つまり、図9(A)に示した状態では、中心Oから調整リンク部材16ごとの重心Gまでの距離は距離L3であり、図9(B)に示した状態では、中心Oから調整リンク部材16ごとの重心Gまでの距離は距離L3よりも短い距離L4(<L3)となる。
したがって、図9に示したてん輪10及び調速装置100によれば、固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が小さくなるにしたがって、てん輪10の慣性モーメントを小さくなる方向に変化させることができる。
また、図9に示したてん輪10及び調速装置100によれば、調整リンク部材16が、固定アーム部材11及び調整アーム部材12の外周縁の軌跡である仮想円Rの外方に突出しない。したがって、このてん輪10及び調速装置100は、外方に突出する図6に示したてん輪10及び調速装置100よりもの、平面内での大きさを小さくすることができる。
なお、調整リンク部材16を、図9に示すように半径方向の内方に凹むように屈曲させるてん輪10においては、固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が小さくなるにしたがって、アーム11aの直線部分とリンク13の直線部分とが、連結円環部11d,13aの近傍部分で干渉するおそれがある。同様に、アーム12aの直線部分とリンク14の直線部分とが、連結円環部12d,14bの近傍部分で干渉するおそれがある。
このため、干渉するおそれのあるアーム11aの直線部分の一部とリンク13の直線部分の一部とを、連結円環部11d,13aと同様に厚さをそれぞれ半分に形成して、干渉するおそれのない形状に形成するのが好ましい。同様に、干渉するおそれのあるアーム12aの直線部分の一部とリンク14の直線部分の一部とを、連結円環部12d,14bと同様に厚さをそれぞれ半分に形成して、干渉するおそれのない形状に形成するのが好ましい。
[第2の実施形態]
<てん輪及び調速装置の構成>
(調整リンク部材)
図10は、実施形態1のてん輪10及び調速装置100における剛体のリンク13,14および連結ピン15を備えた調整リンク部材16に代えて、1つの弾性部材(ベータチタン等金属などの弾性変形する部材)で形成された調整リンク部材116を適用したてん輪110及び調速装置200を示す図6相当の平面図であり、(A)は固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が角度θ5のときの状態、(B)は固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が角度θ5よりも小さい角度θ6(<θ5)のときの状態をそれぞれ示す。
このてん輪110は本発明に係るてん輪の第2の実施形態(実施形態2)であり、調速装置200は本発明に係る調速装置の実施形態2である。
てん輪110の固定アーム部材11及び調整アーム部材12は、実施形態1のてん輪10における固定アーム部材11及び調整アーム部材12と同じである。また、調速装置200におけるひげぜんまい30及びひげだま40は、実施形態1の調速装置100におけるひげぜんまい30及びひげだま40と同じである。
調整リンク部材116は、一方の端部が固定アーム部材11の各アーム11aの連結円環部11dに連結され、他方の端部が、調整アーム部材12の、一方の端部が連結されたアーム11aに隣り合うアーム12aの連結円環部12dに連結されている。調整リンク部材116と固定アーム部材11及び調整アーム部材12との連結の構造については、どのような構造であってもよい。例えば、図4に示した調整リンク部材16のリンク13,14のように、調整リンク部材116の端部に連結円環部を形成して、連結ピン17によって連結する構造を適用することもできる。
固定アーム部材11と調整アーム部材12とを連結する4つの調整リンク部材116は、長さ、厚さ及び材質も全て同じに形成されている。
<てん輪及び調速装置の作用>
このように構成されたてん輪110は、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度を、例えば図10(A)に示す角度θ5から図10(B)に示す角度θ6に変化させることができる。
ここで、図10(A)に示した角度θ5の状態のてん輪110は、調整リンク部材116が弾性変形により外方にわずかに突出した形状に弾性変形していて、中心Oから調整リンク部材116ごとの重心Gまでの距離は距離L5となる。一方、図10(B)に示した角度θ6の状態のてん輪110は、調整リンク部材116が弾性変形により外方に大きく突出した形状に弾性変形していて、中心Oから調整リンク部材16ごとの重心Gまでの距離が、距離L5よりも長い距離L6(>L5)となる。
このように、中心Oから調整リンク部材116ごとの重心Gの位置は、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度が角度θ5のときと角度θ6のときとで異なり、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度に応じて変化する。
この結果、中心Oに対するてん輪110の慣性モーメントは、調整リンク部材116ごとの重心Gの位置の変化に応じて変化する。つまり、実施形態2のてん輪110は、実施形態1のてん輪10と同様に、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度を変化させることにより、中心Oに対するてん輪110の慣性モーメントが変化する。具体的には、中心Oからの、調整リンク部材116ごとの重心Gまでの距離が長くなるにしたがって、てん輪110の慣性モーメントが大きくなる。
なお、4つの調整リンク部材116は、長さ、厚さ及び材質が同じであるため弾性係数も同じで、しかも、各調整リンク部材116に作用する荷重も同じであるため、同じ形状に弾性変形する。したがって、アーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度が変化しても、てん輪110全体の重心は中心Oに一致した状態で変化しない。
このように、実施形態2のてん輪110及び調速装置200によれば、てん輪110を構成する固定アーム部材11と調整アーム部材12とで挟まれる角度を変化させるだけの簡単な操作で、てん輪110全体の重心を中心Oに維持しつつ、慣性モーメントの調整を行うことができる。
そして、このてん輪10及び調速装置100は、調整リンク部材116が弾性変形した状態で、接着剤の塗布などにより、固定アーム部材11と調整アーム部材12とが直接的又は間接的に回転方向に関して固定される。
これにより、調整リンク部材116は、所定の形状に弾性変形された状態(慣性モーメントの所定の値に調整が行われた状態)で固定され、慣性モーメントが変化することのないてん輪10及び調速装置100を得ることができる。
なお、実施形態2のてん輪110及び調速装置200も、調整リンク部材116がアーム11aにおける半径方向の外周側の端部とアーム12aにおける半径方向の外周側の端部とに連結されているため、調整リンク部材116ごとの重心Gの位置の変化量に対するてん輪10の慣性モーメントの変化量を最大にすることができる。
また、実施形態2のてん輪110及び調速装置200は、調整リンク部材116が1つの部材で形成されているため、最小限の部品で調整リンク部材116を構成することができる。さらに、調整リンク部材116の変形が弾性変形となるため、変形の形状が規則的な変形となり、調整リンク部材16ごとの重心Gの位置を規則的に変化させることができる。
なお、実施形態2のてん輪110及び調速装置200は、調整リンク部材116として弾性部材を適用したものであるが、調整リンク部材116は変形可能の部材であればよく、塑性変形するものであってもよい。ただし、塑性変形するものを調整リンク部材116として適用した場合、調整リンク部材116ごとに変形後の形状が異なるおそれがある。したがって、この場合は、予め設定された形状に変形させるための折り目や折り筋などのクセ(座屈を誘発する強度の弱い部分)を付けておくのが好ましい。
図11は、実施形態2のてん輪110における調整リンク部材116に代えて、折り筋216aが予め付けられた樹脂により形成された調整リンク部材216を適用したてん輪210及び調速装置300を示す図10相当の平面図であり、(A)は固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が角度θ7のときの状態、(B)は固定アーム部材11と調整アーム部材12との間の角度が角度θ7よりも小さい角度θ8(<θ7)のときの状態をそれぞれ示す。
このてん輪210も本発明に係るてん輪の実施形態であり、調速装置300は本発明に係る調速装置の実施形態である。
このように構成されたてん輪210も、調整リンク部材216ごとの重心Gの位置がアーム11aとアーム12aとによって挟まれる角度に応じて変化し、中心Oに対する慣性モーメントが変化する。
ここで、調整リンク部材216は樹脂により形成されていて弾性部材ではないが、調整リンク部材の長手方向の中央部に、図11の紙面の奥行方向に延びた折り筋216aが予め形成されている。これにより、各調整リンク部材216が変形するときは、それぞれ折り筋216aに沿って屈曲した規則的な変形となる。
このように、てん輪210及び調速装置300によれば、4つの調整リンク部材216を同じ形状に変形させることができ、弾性部材ではない調整リンク部材216も本発明のリンク部材として適用することができる。
なお、調整リンク部材216としては、樹脂に限らず、金属等の弾性部材を適用することもできる。
10 てん輪
11 固定アーム部材(第1アーム部材の一例)
12 調整アーム部材(第2アーム部材の一例)
11a,12a アーム
16 調整リンク部材(リンク部材の一例)
20 てん真
30 ひげぜんまい
100 調速装置
G 調整リンク部材ごとの重心
O 中心(回転中心)
L1,L2 中心Cから重心Gまでの距離

Claims (6)

  1. 回転中心から半径方向に延びた少なくとも2本のアームが、前記回転中心の回りに等角度間隔で形成された第1アーム部材と、
    前記回転中心から半径方向に延びた少なくとも2本のアームが、前記回転中心の回りに等角度間隔で形成された第2アーム部材と、
    前記第1アーム部材のアームと前記第2アーム部材のアームとに連結された少なくとも2つのリンク部材と、を備え、
    前記第1アーム部材と前記第2アーム部材とは、前記回転中心を回転軸として相対的に回転可能に連結され、
    前記リンク部材は、前記第1アーム部材と前記第2アーム部材との相対的な回転角度に対応して、前記回転中心から前記リンク部材ごとの重心までの距離が変化するように形成されたてん輪。
  2. 前記リンク部材は、前記第1アーム部材のアームにおける前記半径方向の外周側の端部と、前記第2アーム部材のアームにおける前記半径方向の外周側の端部とに連結されている請求項1に記載のてん輪。
  3. 前記リンク部材は、2本のリンクの一端部同士がジョイントにより連結され、前記リンクの他端部が前記第1アーム部材又は前記第2アーム部材にそれぞれ連結されている請求項1又は2に記載のてん輪。
  4. 前記リンク部材は、1つの変形可能の部材である請求項1又は2に記載のてん輪。
  5. 前記第1アーム部材と前記第2アーム部材とが、前記第1アーム部材、前記第2アーム部材及び前記リンク部材の全体の前記回転中心に対する所定の慣性モーメントに応じた回転角度で、回転方向に関して固定されている請求項1から4のうちいずれか1項に記載のてん輪。
  6. 請求項1から5のうちいずれか1項に記載のてん輪と、
    前記第1のアーム部材と前記第2のアーム部材とを前記回転中心において連結するてん真と、
    前記てん真に一端が取り付けられたひげぜんまいと、を備えた調速装置。
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