JP2016113725A - 難燃性布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】 難燃性と消臭性を兼備し、しかも難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れる布帛を提供する。【解決手段】 ビニロン繊維を含む布帛であって、前記布帛表面に、平均2次粒径が1500nm以下の両性金属化合物を含む、難燃性布帛。本発明の布帛によれば、難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れる。従って、洗濯耐久性に優れる難燃性及び消臭性、が要求される衣料、例えば、溶接作業服、消防服、戦闘服、アウトドア用品等に好適に用いることができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、ビニロン繊維を含む布帛に関し、特に消臭性に優れる難燃性布帛に関する。
従来、難燃性を有する繊維製品は、数多く提案されており、産業資材から衣料まで幅広い用途で使用されている。そして、例えば、難燃性を有する繊維製品を衣料用途に用いる場合、難燃性に加えて、抗菌性や消臭性等の機能も要求され、さらに該機能が洗濯によって低下しないことも要求される。
難燃性と抗菌性の耐久性に優れた布帛として、ポリエステル系難燃繊維と光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を含んでなる布帛であって、洗濯50回後又はJIS L 1076(1992)D−3法による摩擦後において、LOI値が26以上であって、蛍光灯下で黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、MRSAに対する殺菌活性値が0以上である難燃抗菌性に優れた布帛が知られている(例えば、特許文献1参照。)。該布帛は、光触媒機能を有する剤をバインダーを用いて繊維に付着させる方法では多量のバインダーが用いられるため難燃性が十分に発揮できないことから、アクリロニトリル系繊維に抗菌活性金属化合物を練り込み、該繊維とポリエステル系難燃繊維とを混用することにより、難燃性と抗菌性の耐久性に優れるとされている。
難燃性と洗濯耐久性に優れた抗菌性とを併せ持つ難燃抗菌性繊維製品として、該難燃抗菌性繊維がa)熱分解温度が400℃以上であり、b)JIS L1091 E法でLOI値が25以上である芳香族ポリアミド繊維に、抗菌剤が繊維全体の0.1〜50重量%練りこまれてなる難燃抗菌性繊維である難燃抗菌性繊維製品が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
難燃性能、消臭性能、制菌性能をも兼備する繊維集合体として、アンチモン化合物を硼酸亜鉛量対比で2.0重量%以上コーティングした硼酸亜鉛と、アンチモン化合物とを、アクリロニトリル30〜70重量%、ハロゲン含有ビニル系単量体70〜30重量%およびこれらと共重合可能なビニル系単量体10重量%以下よりなるアクリロニトリル系重合体に対して、0.5〜50重量%含有するアクリル樹脂系合成繊維を含有する繊維複合体が知られている(例えば、特許文献3参照。)。該繊維集合体は、該繊維中に硼酸亜鉛が含有されているため、消臭性能、制菌性能に優れるとされている。
以上のように、従来、難燃性と消臭性等を兼備させる方法としては、消臭性を与える物質をバインダーを用いて繊維に付着させると難燃性が低下する虞があることから、消臭性を与える物質を繊維中に練り込ませることがおこなわれている。
特開2006−176914号公報 特開2007−303017号公報 特開2003−96619号公報
しかし、上記特許文献1〜3に開示されている、消臭性を与える物質を繊維中に練り込ませる方法は、消臭性が不十分であるという問題と、繊維強度が低下するという問題とがある。加えて、特許文献1および3に開示されている方法では布帛を構成する繊維としてポリアクリロニトリル繊維を使用しているところ、該繊維は燃焼する際に強い毒性を有するシアンガスが発生するという問題もある。また、特許文献1に開示されている難燃性ポリエステル繊維は、燃焼する際にメルトドロップ(溶液落下物)が発生するという問題もある。
本発明の課題は、上記問題を解決し、難燃性と消臭性を兼備し、しかも難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れる布帛を提供することを目的とする。
本発明者は、消臭性を与える物質を、繊維中に練り込ませるのではなく、従来、難燃性の維持が困難と考えられていた、バインダーを介して繊維表面に付着させることについて着目した。
具体的に、従来、繰り返し洗濯をおこなっても消臭性を与える物質が脱落しないようにするためには、バインダーの使用量を多くする必要があった。しかし、バインダーの使用量を多くすると、布帛が有する難燃性が低下してしまう。従って、消臭性を与える物質をバインダーを介して繊維表面に付着させる方法において、難燃性が損なわれないようにしつつ、消臭性を与える物質の脱落を抑制することは、非常に困難であると考えられていた。
しかし、本発明者が鋭意検討した結果、消臭性を与える物質として、特定範囲の粒径である両性金属化合物を選択し、これを繊維表面に付着させることにより、バインダーの使用量を少なくしても両性金属化合物の脱落を抑制することができ、結果、得られる布帛は難燃性と消臭性を兼備し、難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れることを見出した。本発明者は、さらに検討を重ね、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ビニロン繊維を含む布帛であって、前記布帛表面に、平均2次粒径が1500nm以下の両性金属化合物を含む、難燃性布帛。
(2)前記両性金属化合物が、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、ベリリウム、チタン、鉄、コバルト、ゲルマニウム、シリコン、ジルコニウム、銀及び金からなる群より選ばれる1種以上の元素の酸化物及び/または水酸化物である、前記(1)に記載の難燃性布帛。
(3)前記両性金属化合物を、アクリル樹脂またはウレタン樹脂からなるバインダー層中に含む、前記(1)または(2)に記載の難燃性布帛。
(4)前記バインダー層上に、フッ素系撥水剤からなる層が積層されている、前記(3)に記載の難燃性布帛。
(5)前記フッ素系撥水剤からなる層が、トリアジン化合物架橋剤及び/またはブロックイソシアネート架橋剤を含有する、前記(4)に記載の難燃性布帛。
(6)家庭洗濯10回後において、LOI値が26以上、並びに、アンモニア及び酢酸の消臭性が70%以上である、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の難燃性布帛。
(7)ビニロン繊維を含む布帛を両性金属化合物及びバインダー樹脂を含有する水溶液に含浸し、熱処理する第1工程を含む、難燃性布帛の製造方法。
(8)前記第1工程より後に、前記第1工程を経た前記布帛を、フッ素樹脂を含む水溶液に含浸し、熱処理する第2工程と、を含む、難燃性布帛の製造方法。
本発明の布帛によれば、難燃性と消臭性を兼備し、しかも難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れる。従って、洗濯耐久性に優れる難燃性及び消臭性、が要求される衣料、例えば、溶接作業服、消防服、戦闘服、アウトドア用品等に好適に用いることができる。
以下、本発明に係る布帛について詳細に説明する。
本発明の布帛はビニロン繊維を含む。これにより、得られる布帛は難燃性に優れたものとなる。
本発明において、ビニロン繊維とは、水及び熱水に不溶性であり、ビニルアルコール単位を全構成単位の70モル%以上含有するポリマー、または、ビニルアルコール単位及び塩化ビニル単位を含有し、該ビニルアルコール単位と該塩化ビニル単位の合計が全構成単位の70モル%以上であるポリマーからなるものである。難燃性により一層優れるという観点から、ビニロン繊維は、ビニルアルコール単位及び塩化ビニル単位を含有し、該ビニルアルコール単位と該塩化ビニル単位の合計が95モル%以上であるポリマーであることがより好ましく、98モル%以上がさらに好ましく、99モル%以上が特に好ましく、99.8モル%以上であることがより一層好ましい。ビニルアルコール単位からなるポリビニルアルコールの重合度に関しては特に限定はないが、より一層強度が高いものとする観点から、該重合度が500以上であることが好ましく、1500以上であることがさらに好ましい。
本発明において、ビニロン繊維は、耐熱水性に一層優れたものとする観点から、ビニルアルコール単位が分子内および/または分子間アセタール化などの後反応を施したものであってもよい。また、ビニルアルコール単位及び塩化ビニル単位のポリマー重量比率(ビニルアルコール単位/塩化ビニル単位)は、85/15〜35/65であることが好ましい。さらに、さらに、ビニロン繊維は、水及び熱水に対する不溶性により一層優れるという観点から、ポリビニルアルコール成分に対するアセタール化度は、10〜40モル%の範囲にあることが好ましい。
上記ビニルアルコール単位、または、ビニルアルコール単位及び塩化ビニル単位のほかに他の成分が共重合されてもよく、他の成分としては、例えば、エチレン、酢酸ビニル、イタコン酸、ビニルアミン、アクリルアミド、ビバリン酸ビニル、無水マレイン酸、スルホン酸含有ビニル化合物などのモノマー成分が挙げられる。また、ビニロン繊維は、難燃剤(例えば、粉末状の錫系化合物、粉末状のアンチモン系化合物等)、制電剤、酸化防止剤などを含有してもよい。
本発明において、難燃性により優れるという観点から、用いるビニロン繊維は、LOI値が32以上のものであることがより好ましく、35以上のものが特に好ましい。なお、本発明において、LOI値とは、JIS K 7201−2:2009に従い、測定される酸素指数である。LOI値が32以上のビニロン繊維としては、例えば、ユニチカトレーディング株式会社製の商品名「ミューロンFR」等があげられる。
本発明において、ビニロン繊維は、長繊維、短繊維のいずれでもよい。長繊維とする場合は、マルチフィラメント、モノフィラメントいずれでもよい。短繊維とする場合は、例えば、紡績糸とすることが挙げられる。
本発明の布帛は、ビニロン繊維以外の他の繊維を混用することができる。混用する他の繊維としては、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等)、セルロース繊維(例えば、綿や麻などの天然植物繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテートなどの再生繊維)等が挙げられる。中でも、染色性、防縮性、防皺性及び風合いをより優れたものとする観点から、ビニロン繊維とセルロース繊維を混用したものがより好ましい。なお、本発明において、セルロース繊維とは、D−グルコース単位がβ(1→4)グリコシド結合を介して連なる縮合体を含む高分子からなり、2個のD−グルコース単位が互い違いに裏返しに並んだ繰り返し立体構造を有するものである。
混用の方法としては特に限定されず、例えば、混紡、混繊、合撚、交編織等が挙げられる。特に、難燃性をより一層優れたものとする観点から、混紡とすることが好ましく、中でも、ビニロン繊維とセルロース繊維との混紡糸とすることがより一層好ましい。ビニロン繊維とセルロース繊維を混用する場合、難燃性と、染色性、防縮性、防皺性及び風合いとが一層優れたものとする観点から、ビニロン繊維の混用率は、55〜85質量%の範囲であることが好ましく、60〜75質量%であることがより好ましい。
ビニロン繊維と他の繊維とを混紡する場合、ビニロン繊維及び他の繊維の単糸繊度や繊維長は、特に限定されるものではない。なかでも、ビニロン繊維とセルロース繊維との混紡糸とする場合、ビニロン繊維及びセルロース繊維の単糸繊度は、コストや強度、あるいは混紡糸とする際の生産性などの観点から、0.6〜4.2dtexの範囲であることが好ましい。また、ビニロン繊維及びセルロース繊維の繊維長は、10〜60mmであることが好ましい。
混紡糸の形態としては、特に限定されず、ビニロン繊維と他の繊維が均一に混紡された形態であってもよい。または、ビニロン繊維と他の繊維の各々が集合した状態で混紡されている形態であってもよい。あるいは、断面が芯鞘型の二層構造をなし、ビニロン繊維及び他の繊維のいずれか一方が芯部、他方が鞘部を構成し、芯部に鞘部が捲回した構造をなす芯鞘型二層構造混紡糸であってもよい。芯鞘型二層構造混紡糸とするとき、芯部および鞘部のいずれか一方において、ビニロン繊維と他の繊維が混紡されて用いられてもよい。また、混紡糸としたときの番手については特に限定されず、目的とされる用途に応じて適宜選択される。
布帛の形態としては、織物であってもよいし、編物であってもよい。織物としては、平織組織、綾織組織あるいは朱子組織などの織物が挙げられる。これらの織物はエアージェット織機、レピア織機あるいはフライシャトル織機などを使用して得られる。また、編物としては、天竺、鹿の子あるいはスムースなどの編組織のものが挙げられる。これらの編物は丸編機、経編機などを使用して得られるものである。布帛の目付は特に限定されず、目的とされる用途に応じて適宜選択される。
本発明の布帛は、前記布帛表面に両性金属化合物を含む。例えば、消臭性を与える物質としては有機化合物のものもあるが、難燃性に劣るものとなる。一方、本発明においては、消臭性を与える物質として無機化合物である両性金属化合物を選択することにより、難燃性と消臭性を兼備することが可能となる。
本発明において、両性金属化合物とは、酸とも塩基とも反応する物質であり、金属酸化物および/または金属水酸化物を含む。なお、ここで、「金属」には半金属も含まれる。両性金属化合物としては、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、ベリリウム、チタン、鉄、コバルト、ゲルマニウム、シリコン、ジルコニウム、銀及び金からなる群より選ばれる1種以上の元素の酸化物及び/または水酸化物が挙げられる。中でも、光触媒機能を有さない両性金属化合物とすると、繊維自身やバインダーが分解されにくく、分解ガスによる悪臭が発生されにくくなり、より好ましい。中でも、難燃性と消臭性に一層優れるという観点から、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムがより好ましく、酸化亜鉛が特に好ましい。
本発明において、両性金属化合物の平均2次粒子径は、1500nm以下とする必要がある。これにより、バインダーの使用量を少なくしても両性金属化合物の脱落を抑制することができ、結果、得られる布帛は難燃性と消臭性を兼備し、難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れるものとなる。本発明において、平均2次粒径とは、布帛の表面を、SEMを用いて1500倍程度の倍率で撮影し、撮影した画像中の両性金属化合物を任意に10点選択してそれぞれの最大径を測定し、その平均値を平均2次粒径とする。難燃性と消臭性の洗濯耐久性に一層優れるという観点から、両性金属化合物の平均2次粒径は、50〜1200nmがより好ましく、100〜1000nmがさらに好ましく、300〜1000nmが特に好ましく、300〜800nmがより一層好ましい。
両性金属化合物の平均2次粒径が1500nmを超える場合、両性金属化合物は、布帛に付与するバインダー液中において、沈殿しやすくなる。そして、該バインダー液中にパディングし、乾燥して得られる布帛は、両性金属化合物がバインダー層中において不均一に含有されたものとなり、結果、洗濯により脱落しやすくなる。そして、脱落を防ぐべくバインダー量を多くすると、難燃性に劣るものとなってしまう。一方、本発明においては、両性金属化合物を平均2次粒径が1500nm以下のものとすることにより、布帛に付与するバインダー液中における両性金属化合物の分散が良好なものとなる。そして、得られる布帛は、両性金属化合物がバインダー層中において均一に含有されたものとなり、バインダー量を少なくしても洗濯時の粒子の脱落が少なくなることから、難燃性と消臭性を兼備し、しかも難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れたものとなる。
前記両性金属化合物の付着量は、本発明の布帛100質量%に対して、0.05〜10質量%以上であることが好ましく、0.1〜5質量%以上であることがより好ましい。
本発明の布帛において、前記布帛表面に上記両性金属化合物を付着させるバインダーとしては特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−シリコーン共重合樹脂、ポリエステル樹脂、グリオキザール樹脂等とすることが挙げられる。
中でも、後述するように、布帛に速乾性の機能を付与すべく、バインダー層上にフッ素系撥水剤からなる層を積層する場合、フッ素系撥水剤に由来する速乾性の性能の洗濯耐久性をより一層優れたものとする観点から、アクリル樹脂またはウレタン樹脂とすることがより好ましい。フッ素系撥水剤は、他の樹脂との密着性が良好なものではないため、通常、バインダー樹脂上に積層させると密着性に劣り、洗濯耐久性に劣るものとなりやすい。しかし、本発明においては、消臭性を与える物質として特定範囲の粒径である両性金属化合物を選択することによりバインダー自体の量を少ないものとすることができることと、バインダー樹脂として上記アクリル樹脂またはウレタン樹脂とすることとの相乗効果により、フッ素系撥水剤がバインダー上により一層耐久性よく積層されやすくなり、速乾性の洗濯耐久性がより一層優れたものとなりやすくなる。
本発明の布帛は、消臭性を与える物質として特定範囲の粒径である両性金属化合物を選択することによりバインダー自体の量を少ないものとすることができる。バインダーの付着量の好ましい具体例としては、例えば、布帛100質量%に対し、0.1〜5質量%とすることが好ましく挙げられ、0.3〜2質量%とすることがより好ましく挙げられる。
本発明の布帛は、両性金属化合物を含むバインダー層上にフッ素系撥水剤からなる層が積層したものとすることが好ましい。これにより、難燃性、消臭性に加え、速乾性にも優れたものとすることができる。この場合、前述のように、バインダー層を形成する樹脂は、アクリル樹脂またはウレタン樹脂とすることがより好ましい。
本発明において、フッ素系撥水剤は、特に限定されないが、例えば、炭素数が6以下のフルオロアルキルアクリレート基を有するフッ素系撥水剤が挙げられ、フッ素原子と炭素原子4〜6個が結びついたC4〜6有機フッ素化合物(C4〜C6)を主成分とするフッ素系撥水剤が好ましく挙げられ、パーフルオロヘキサン酸(C6)系撥水剤が好ましく挙げられる。さらに、フッ素系撥水剤は、PFOA(パーフルオロオクタン酸)を実質的に含有しないことが好ましい。PFOA(パーフルオロオクタン酸)を実質的に含有しないフッ素系撥水剤としては、例えば、アサヒガードEシリーズ(旭硝子株式会社製)、NKガードSシリーズ(日華化学株式会社製)、ユニダインマルチシリーズ(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
本発明の布帛において、フッ素系撥水剤の付着量は、布帛100質量%に対し、例えば、0.1〜2質量%が挙げられ、0.5〜2質量%が好ましく挙げられる。
本発明の布帛において、上記フッ素系撥水剤からなる層は、速乾性の洗濯耐久性に一層優れるという観点から、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、同様の観点から、トリアジン化合物架橋剤及び/またはブロックイソシアネート架橋剤とすることがより好ましい。
本発明で用いるトリアジン化合物としては下記(1)に示す一般式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2016113725
但しR1~R6はいずれも−H、−OH、−CH2OH3、−CH2OC2H5、−CH2OH、−CH2CH2OHまたは−CH2CH2CH2OHである。
本発明におけるブロックイソシアネート系架橋剤としては、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物が好ましく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、トリイソシアネート化合物、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリスビュレット変性体等のヘキサメチレンジイソシアネートの変性物がより好ましい。
特に、ビニロン繊維とセルロース繊維とを混用する場合、架橋剤として、ブロックイソシアネート系架橋剤のみとすると、速乾性の耐久性がより一層優れたものとなるので好ましい。さらに、ブロックイソシアネート系架橋剤とトリアジン化合物とを併用すると、撥水性の洗濯耐久性がより一層優れたものとなるので好ましい。
架橋剤の付着量については、布帛100質量%に対して0.01~1.0質量%の範囲であることが好ましい。架橋剤の付着量を上記範囲とすることにより、布帛の撥水性の洗濯耐久性と、風合いとの両立をより一層図りやすくなる。
本発明の布帛は、ビニロン繊維を含み、該ビニロン繊維表面に、平均2次粒径が1500nm以下の両性金属化合物を含むことから、難燃性と消臭性を兼備し、しかも難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れる。本発明の布帛が備える、難燃性と消臭性の洗濯耐久性としては、より具体的には、家庭洗濯10回後において、LOI値が26以上、並びに、アンモニア及び酢酸の消臭性が70%以上であることが好ましく挙げられる。家庭洗濯10回後にLOI値が26以上であれば、特に優れた難燃性を備える布帛と判定することができる。また、家庭洗濯10回後にアンモニア及び酢酸の消臭率が70%以上であれば、社団法人繊維評価技術協議会の消臭加工マークを取得できることから、衣料としたときの着用快適性がより一層向上することができる。さらに、家庭洗濯10回後における、LOI値、並びにアンモニア及び酢酸の消臭率は、LOI値が26以上、アンモニア及び酢酸の消臭率が85%以上が好ましい。
ここで、家庭洗濯とは、JIS L 0217 103法(1995)に準拠するものであり、つり干しをおこなうものである。アンモニア及び酢酸の消臭性は、社団法人繊維評価技術協議会の消臭加工繊維製品認定基準(JED301)の方法に従い、検知管法により測定されるものである。
本発明の布帛は、フッ素系撥水剤からなる層が積層されている場合、撥水性の洗濯耐久性も優れたものとなりやすくなる。本発明の布帛が備える、撥水性の洗濯耐久性としては、より具体的には、家庭洗濯10回後の撥水性が3級以上であることがより一層好ましく、4級以上が特に好ましく挙げられる。なお、撥水性は、JIS L 1092:2009 7.2はっ水度試験(スプレー試験)により評価されるものである。
次に、本発明の布帛の製造方法について説明する。
まず、ビニロン繊維を含む布帛を準備する。該布帛には、予め染色がほどこされていてもよい。染色をほどこす場合には、例えば、糊抜き精練、漂白、シルケットなどの処理をおこなった後、通常の染料や染色法を用い、染色をおこなえばよい。染色の際に用いられる染料については、衣料用途にて求められる染色堅牢度および染色濃度に応じ、適宜選択することができる。中でも、スレン染料あるいは金属錯塩酸性染料などが好適に用いられる。また、セルロース系繊維を混用する場合は、直接染料、反応染料あるいはスレン染料などが好適に用いられる。また、染色方法としては、連続染色法あるいはバッチ染色法などが挙げられる。
本発明の製造方法は、上記準備した布帛を、両性金属化合物及びバインダー樹脂を含有する水溶液に含浸し、熱処理する第1工程を含むことが好ましい。両性金属化合物とバインダー樹脂を含有する水溶液に対して布帛を含浸させる方法としては、通常のパッドドライ法などを用いればよい。含浸に際してパディング時の絞り率は、特に限定されるものではなく、例えば、40〜110%の範囲であればよい。また、両性金属化合物及びバインダー樹脂を含有する水溶液には、本発明の効果を阻害しない範囲で、布帛に両性金属化合物及びバインダー樹脂を浸透させる界面活性剤等の浸透剤を含有させてもよいし、他の添加剤を含有させてもよい。熱処理条件は特に限定されるものではなく、例えば、80〜180℃の温度で、ピンテンターなどの通常の熱処理機を用いて1〜10分間おこなえばよい。このような条件でおこなうことにより、布帛の黄変をより一層防ぎやすくなる。
本発明の製造方法は、前記第1工程より後に、前記第1工程を経た前記布帛を、フッ素系撥水剤を含む水溶液に含浸し、熱処理する第2工程を含むことが好ましい。フッ素系撥水剤を含む水溶液には、速乾性の洗濯耐久性をより一層優れたものとする観点から、トリアジン化合物架橋剤及び/またはブロックイソシアネート架橋剤を含有させることが好ましい。また、布帛への浸透性をより一層向上させる界面活性剤、柔軟剤、抗菌剤等を含有させることもできる。さらに、防縮、防皺機能が要望される場合には、グリオキザール系樹脂及び触媒を含有させることができる。フッ素系撥水剤を含む水溶液に対して布帛を含浸させる方法としては、通常のパッドドライ法などを用いればよい。含浸に際してパディング時の絞り率は、特に限定されるものではなく、例えば、40〜110%であればよい。熱処理条件は特に限定されるものではなく、例えば、80〜180℃の温度で、ピンテンターなどの通常の熱処理機を用いて1〜10分間おこなえばよい。このような条件でおこなうことにより、布帛の黄変をより一層防ぎやすくなる。フッ素系撥水剤を含む水溶液に含浸した布帛の熱処理は、上記熱処理の後にさらに熱処理する、2段階の熱処理をおこなうことがより好ましい。2段階目の熱処理条件としては、150〜180℃の温度で30〜300秒間が好ましく挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
各実施例の評価は、以下の方法によりおこなった。
1.難燃性
(1)LOI値
前述した方法により、得られた布帛の家庭洗濯10回前後におけるLOI値を測定した。家庭洗濯10回前後においてLOI値が26以上を合格とした。
(2)燃焼長さ
JIS L 1091:1999 8.1.3 垂直法に従い、得られた布帛の家庭洗濯10回前後における燃焼長さを測定した。家庭洗濯10回前後において試料数5点の平均が17.8cm以下の場合を合格とした。
2.消臭性
前述した方法により、得られた布帛の家庭洗濯10回前後におけるアンモニア及び酢酸の消臭性について評価した。家庭洗濯10回前後において70%以上を合格とした。
3.速乾性
家庭洗濯前及び家庭洗濯10回後の布帛を、それぞれ10cm×10cmにカットし、乾燥機にて100℃、60分の条件で乾燥させ、絶乾質量(g)を測定した。次に、乾燥させた布帛を水中に浸漬させた後、遠心脱水機(國産遠心器(株)社製商品名H−130B)を用いて30秒間脱水させた。次いで、脱水した布帛を温度20℃、湿度65%の環境下、釣り干しをしながら、継時的に布帛の質量を測定し、布帛の水分率が3%以下となる時間を測定することにより評価をおこなった。家庭洗濯10回前後において、速乾性が50分以下のものを合格とした。なお、水分率は、以下の計算式により計算した。
水分率(%)=(釣り干ししている布帛の質量(g)−絶乾質量(g))/絶乾質量(g)×100
4.撥水性
前述した方法により、得られた布帛の家庭洗濯10回前後における撥水性を評価した。家庭洗濯10回前後において3級以上を合格とした。
(実施例1)
LOI値35のビニロン繊維(ユニチカトレーディング株式会社製商品名ミューロンFR)(単糸繊度:1.5dtex、繊維長:38mm)のスライバーと綿繊維(単糸繊度:1.42dtex、繊維長:32mm)のスライバーとを用意し、両スライバーを練条、粗紡し、上記ビニロン繊維と上記綿繊維とからなる粗糸とした。次いで、該粗糸をリング精紡機に導入して精紡し、撚係数3.5で、15番手(英式綿番手)の混紡糸を得た。この混紡糸中のビニロン繊維の混率は75質量%であり、綿繊維の混率は25質量%であった。得られた混紡糸を用い、エアージェット織機(株式会社石川製作所製)を用いて、経糸密度88本/2.54cm、かつ緯糸密度59本/2.54cmの綾組織の織物を製織した。得られた織物に対して、通常の糊抜き精練、漂白、シルケットをおこなった。その後、スレン染料を用い連続染色法により染色をほどこし、ブルー色の織物を得た。
上記染色した織物を下記処方1の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した織物を取り出し、マングルにて絞り(絞り率:40%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこない、実施例1の布帛を得た。なお、得られた布帛における酸化亜鉛の平均2次粒径は500nmであった。
<処方1>
ザオバタックNANO−20(大和化学工業株式会社社製、固形分20%の酸化亜鉛分散液):100g/l
ハイレジンTS1686(高松油脂株式会社製、固形分40%のアクリル樹脂系バインダー):75g/l
マイネックスSO(明成化学工業株式会社社製、浸透剤):2g/l
(実施例2)
太さを40番手に変更した以外は実施例1と同様の方法により混紡糸を得た。得られた混紡糸を用い、28ゲージ、釜径30インチの丸編機にて、目付が150g/mである天竺編地を得た。得られた編地に対して、通常の糊抜き精練、漂白をおこなった。その後、液流染色機サーキュラー(株式会社日阪製作所製)を用い、スレン染料でバッチ染色をほどこし、スレン染料を用い連続染色法により染色をほどこし、グリーン色の編地を得た。
上記染色した編地を下記処方2の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した編地を取り出し、マングルにて絞り(絞り率:100%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこない、実施例2の布帛を得た。なお、得られた布帛における酸化亜鉛の平均2次粒径は500nmであった。
<処方2>
ザオバタックNANO−20(大和化学工業株式会社社製、固形分20%の酸化亜鉛分散液):50g/l
ハイレジンTS1686(高松油脂株式会社製、固形分40%のアクリル樹脂系バインダー):50g/l
マイネックスSO(明成化学工業株式会社社製、浸透剤):2g/l
(実施例3)
実施例1で得られた織物を、下記処方3の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した織物を取り出しマングルにて絞り(絞り率:40%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこなった。その後、テンター(株式会社市金工業製)にて170℃×2分の条件で熱処理をおこない、実施例3の布帛を得た。なお、得られた布帛における酸化亜鉛の平均2次粒径は500nmであった。
<処方3>
LSE−009(明成化学工業株式会社社製、固形分20%の炭素数6のフッ素系撥水剤):100g/l
メイカネートWEB(明成化学工業株式会社社製、固形分33%のブロックイソシアネート系架橋剤):30g/l
マイネックスSO(明成化学工業株式会社社製、浸透剤):2g/l
(実施例4)
実施例2で得られた編地を、下記処方4の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した編地を取り出しマングルにて絞り(絞り率:100%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこなった。その後、テンター(株式会社市金工業製)にて160℃×2分の条件で熱処理をおこない、実施例4の布帛を得た。なお、得られた布帛における酸化亜鉛の平均2次粒径は500nmであった。
<処方4>
LSE−009(明成化学工業株式会社社製、固形分20%の炭素数6のフッ素系撥水剤):50g/l
NKアシストV(日華化学株式会社製、固形分40%のブロックイソシアネート系架橋剤):20g/l
マイネックスSO(明成化学工業株式会社社製、浸透剤):2g/l
(実施例5)
処方3を下記処方5に変更した以外は実施例3と同様におこない、実施例5の布帛を得た。なお、得られた布帛における酸化亜鉛の平均2次粒径は500nmであった。
<処方5>
LSE−009(明成化学工業株式会社社製、固形分20%の炭素数6のフッ素系撥水剤):100g/l
メイカネートWEB(明成化学工業株式会社社製、固形分33%のブロックイソシアネート系架橋剤):30g/l
リケンレジンMM35(三木理研工業株式会社製、固形分60%トリメチロールメラミン架橋剤):3g/L
リケンフィクサーRC−3(三木理研工業株式会社製、有機アミン系触媒):3g/l
マイネックスSO(明成化学工業株式会社社製、浸透剤):2g/l
(実施例6)
LOI値35のビニロン繊維(ユニチカトレーディング株式会社製商品名ミューロンFR)(単糸繊度:1.5dtex、繊維長:38mm)のスライバーを用意し、該スライバーを練条、粗紡し、上記ビニロン繊維からなる粗糸とした。次いで、該粗糸をリング精紡機に導入して精紡し、撚係数3.5で、15番手(英式綿番手)のビニロン繊維紡績糸を得た。得られた紡績糸を用い、エアージェット織機(株式会社石川製作所製)を用いて、経糸密度88本/2.54cm、かつ緯糸密度59本/2.54cmの綾組織の織物を製織した。得られた織物に対して、通常の糊抜き精練、漂白、シルケットをおこなった。その後、スレン染料を用い連続染色法により染色をほどこし、ブルー色の織物を得た。
上記染色した織物を上記処方1の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した織物を取り出し、マングルにて絞り(絞り率:40%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこなった。
次いで、熱処理した織物を上記処方3の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した織物を取り出しマングルにて絞り(絞り率:40%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこなった。その後、テンター(株式会社市金工業製)にて170℃×2分の条件で熱処理をおこない、実施例6の布帛を得た。なお、得られた布帛における酸化亜鉛の平均2次粒径は500nmであった。
(実施例7)
処方1を下記処方7に変更した以外は実施例3と同様の処理をおこない、実施例7の布帛を得た。なお、得られた布帛における酸化亜鉛の平均2次粒径は500nmであった。
<処方6>
ザオバタックNANO−20(大和化学工業株式会社社製、固形分20%の酸化亜鉛分散液):100g/l
ハイレジンTS1920(高松油脂株式会社製、固形分40%のシリコーン樹脂系バインダー):75g/l
マイネックスSO(明成化学工業株式会社社製、浸透剤):2g/l
(比較例1)
LOI値35のビニロン繊維(ユニチカトレーディング株式会社製商品名ミューロンFR)(単糸繊度:1.5dtex、繊維長:38mm)のスライバーと綿繊維(単糸繊度:1.42dtex、繊維長:32mm)のスライバーとを用意し、両スライバーを練条、粗紡し、上記ビニロン繊維と上記綿繊維とからなる粗糸とした。次いで、該粗糸をリング精紡機に導入して精紡し、撚係数3.5で、15番手(英式綿番手)の混紡糸を得た。この混紡糸中のビニロン繊維の混率は75質量%であり、綿繊維の混率は25質量%であった。得られた混紡糸を用い、エアージェット織機(株式会社石川製作所製)を用いて、経糸密度88本/2.54cm、かつ緯糸密度59本/2.54cmの綾組織の織物を製織した。得られた織物に対して、通常の糊抜き精練、漂白、シルケットをおこなった。その後、スレン染料を用い連続染色法により染色をほどこし、ブルー色の織物を得た。
次いで、染色した織物を上記処方3の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した織物を取り出しマングルにて絞り(絞り率:40%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこなった。その後、テンター(株式会社市金工業製)にて170℃×2分の条件で熱処理をおこない、比較例1の布帛を得た。
(比較例2)
太さを40番手に変更した以外は実施例1と同様の方法により混紡糸を得た。得られた混紡糸を用い、28ゲージ、釜径30インチの丸編機にて、目付が150g/mである天竺編地を得た。得られた編地に対して、通常の糊抜き精練、漂白をおこなった。その後、液流染色機サーキュラー(株式会社日阪製作所製)を用い、スレン染料でバッチ染色をほどこし、スレン染料を用い連続染色法により染色をほどこし、グリーン色の編地を得た。
次いで、染色した編地を上記処方4の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した編地を取り出しマングルにて絞り(絞り率:100%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこなった。その後、テンター(株式会社市金工業製)にて160℃×2分の条件で熱処理をおこない、比較例2の布帛を得た。
(比較例3)
綿繊維(単糸繊度:1.42dtex、繊維長:32mm)のスライバーを用意し、該スライバーを練条、粗紡し、上記綿繊維からなる粗糸とした。次いで、該粗糸をリング精紡機に導入して精紡し、撚係数3.5で、15番手(英式綿番手)の綿紡績糸を得た。得られた紡績糸を用い、エアージェット織機(株式会社石川製作所製)を用いて、経糸密度88本/2.54cm、かつ緯糸密度59本/2.54cmの綾組織の織物を製織した。得られた織物に対して、通常の糊抜き精練、漂白、シルケットをおこなった。その後、スレン染料を用い連続染色法により染色をほどこし、ブルー色の織物を得た。
上記染色した織物を上記処方1の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した織物を取り出し、マングルにて絞り(絞り率:40%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこなった。
次いで、熱処理した織物を上記処方3の水溶液に浸漬した。その後、浸漬した織物を取り出しマングルにて絞り(絞り率:40%)、ネット乾燥機にて130℃×2分の条件で熱処理をおこなった。その後、テンター(株式会社市金工業製)にて170℃×2分の条件で熱処理をおこない、比較例3の布帛を得た。なお、得られた布帛における酸化亜鉛の平均2次粒径は500nmであった。
(比較例4)
処方1を下記処方7に変更した以外は実施例3と同様の処理をおこない、比較例4の布帛を得た。なお、得られた布帛における二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物の平均2次粒径は5μmであった。
<処方7>
シュークレンズKD211GF(ラサ工業株式会社社製、固形分100%の二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物):20g/l
ハイレジンTS1686(高松油脂株式会社製、固形分40%のアクリル樹脂系バインダー):75g/l
マイネックスSO(明成化学工業株式会社社製、浸透剤):2g/l
結果を表1に示す。
Figure 2016113725
実施例1〜7の布帛は、ビニロン繊維を含み、ビニロン繊維表面に、平均2次粒径が1500nm以下の両性金属化合物を含むものであったことから、難燃性と消臭性を兼備し、しかも難燃性と消臭性の洗濯耐久性にも優れるものであった。また、実施例3〜7の布帛は、平均2次粒径が1500nm以下の両性金属化合物を含むバインダー層上にフッ素系撥水剤からなる層が積層されていることから、速乾性にも優れるものであった。特に、実施例3〜6の布帛は、両性金属化合物を含むバインダーがアクリル樹脂であったことから、速乾性の耐久性により一層優れるものであった。実施例1〜5、及び7の布帛は、ビニロン繊維とセルロース繊維とが55〜85質量%の範囲で混用されたものであったことから、難燃性と、染色性、防縮性、防皺性及び風合いとが一層優れたものであった。
一方、比較例1及び2の布帛は、ビニロン繊維表面に、平均2次粒径が1500nm以下の両性金属化合物を含まないものであったことから、消臭性に劣るものであった。比較例3の布帛は、ビニロン繊維を含まず、セルロース繊維100%のものであったことから、難燃性に劣るものであった。比較例4の布帛は、両性金属化合物を含むものの、該両性金属化合物の平均2次粒径が1500nmを超えるものであったことから、洗濯を繰り返すと該両性金属化合物がバインダーから脱落しやすくなり、消臭性の洗濯耐久性に劣るものであった。

Claims (8)

  1. ビニロン繊維を含む布帛であって、
    前記布帛表面に、平均2次粒径が1500nm以下の両性金属化合物を含む、難燃性布帛。
  2. 前記両性金属化合物が、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、ベリリウム、チタン、鉄、コバルト、ゲルマニウム、シリコン、ジルコニウム、銀及び金からなる群より選ばれる1種以上の元素の酸化物及び/または水酸化物である、請求項1に記載の難燃性布帛。
  3. 前記両性金属化合物を、アクリル樹脂またはウレタン樹脂からなるバインダー層中に含む、請求項1または2に記載の難燃性布帛。
  4. 前記バインダー層上に、フッ素系撥水剤からなる層が積層されている、請求項3に記載の難燃性布帛。
  5. 前記フッ素系撥水剤からなる層が、トリアジン化合物架橋剤及び/またはブロックイソシアネート架橋剤を含有する、請求項4に記載の難燃性布帛。
  6. 家庭洗濯10回後において、LOI値が26以上、並びに、アンモニア及び酢酸の消臭性が70%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性布帛。
  7. ビニロン繊維を含む布帛を両性金属化合物及びバインダー樹脂を含有する水溶液に含浸し、熱処理する第1工程を含む、難燃性布帛の製造方法。
  8. 前記第1工程より後に、前記第1工程を経た前記布帛を、フッ素樹脂を含む水溶液に含浸し、熱処理する第2工程と、を含む、難燃性布帛の製造方法。
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