JP2014145134A - ビニロン混紡糸布帛及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗濯処理がほどこされた後においても難燃性を低下させることなく、さらに衣料に適する風合いが維持されたビニロン混紡糸布帛を提供する。
【解決手段】本発明のビニロン混紡糸布帛は、LOI値が28〜35であるビニロン繊維とセルロース系繊維との混紡糸を用いてなる布帛であって、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとにより樹脂加工されていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビニロン混紡糸布帛及びその製造方法に関する。
近年、安全性や防炎性に対する社会的ニーズの増大に伴い、難燃ビニロン繊維からなる布帛、あるいは難燃ビニロン繊維と綿やレーヨンなどのセルロース系繊維とからなる布帛において、難燃性をさらに向上させる方法が検討されている。
従来、布帛に対して難燃性を付与する方法として、各種の難燃剤を使用して布帛表面に加工をほどこす方法が知られている。このような方法を採用すると難燃性が向上された布帛を得ることができる。しかしながら、その後、洗濯処理を繰り返すことにより難燃性が低下しやすい(つまり、難燃性の洗濯耐久性に劣る)という問題があり、さらに該布帛の風合いが十分なものではないという問題がある。そのため、このような加工がほどこされた布帛は、産業資材分野おいては好適に使用できるが、衣料分野における使用には不適であるという問題がある。
また、難燃性に優れた布帛を得るためのビニロン繊維として、ポリビニルアルコールとポリ塩化ビニルとを主たる原料とするものであって、さらに防炎剤や難燃剤を配合して得られるビニロン繊維が検討されている(例えば、特許文献1〜5)。
また、ビニロン繊維とセルロース系繊維とを含む布帛に対して、グリオキザール系樹脂などの特定の樹脂による樹脂加工をほどこすことにより、該布帛に難燃性を付与することが検討されている(例えば、特許文献6)。
特開平5−78909号公報 特開平9−302521号公報 特開平11−107046号公報 特開平11−200152号公報 特開平11−286827号公報 特開平7―189124号公報
しかしながら、特許文献1〜5において得られる布帛は、難燃性にバラツキがあり、さらに、原糸として高い難燃性を示していても、布帛を後加工する工程において難燃性の低下が生じてしまうという問題がある。加えて、このような繊維を用いて得られた布帛は、難燃性の洗濯耐久性に劣るという問題もある。
また、特許文献6において得られる布帛には、難燃性の洗濯耐久性、および風合いはいまだ十分ではないという問題がある。
本発明は、このような現状に鑑み、難燃ビニロン繊維とセルロース系繊維との混紡糸を用いてなる布帛(ビニロン混紡糸布帛)において、洗濯処理がほどこされた後においても難燃性を低下させることなく、さらに衣料に適する風合いが維持されたビニロン混紡糸布帛を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)LOI値が28〜35であるビニロン繊維とセルロース系繊維との混紡糸を用いてなる布帛であって、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとにより樹脂加工されていることを特徴とするビニロン混紡糸布帛。
(2)前記混紡糸におけるビニロン繊維の混率が60〜80質量%であることを特徴とする(1)のビニロン混紡糸布帛。
(3)塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとを含有する水溶液を布帛に付与し、次いで乾燥処理することなくスチーミング処理をほどこすことを特徴とする(1)または(2)のビニロン混紡糸布帛の製造方法。
本発明によれば、LOI値が28〜35であるビニロン繊維を用いているため、その強度を維持しつつ、難燃性に優れるビニロン混紡糸布帛を得ることができる。さらに、セルロース系繊維を併用することにより、洗濯後も硬くなりづらく風合いのよいビニロン混紡糸布帛を得ることができる。
さらに、該ビニロン混紡糸布帛には、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドという、特定の物質が組み合わせられて樹脂加工がほどこされているため、難燃性の洗濯耐久性に顕著に優れるという効果が奏される。
さらに、本発明のビニロン混紡糸布帛の製造方法によれば、上記のような樹脂加工において樹脂の定着が乾燥処理ではなくスチーム処理を用いて実施されるので、風合いおよび強度の低下が抑えられ、かつ着色の少ない白度に優れたビニロン混紡糸布帛を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のビニロン混紡糸布帛は、LOI値が28〜35であるビニロン繊維とセルロース系繊維との混紡糸を用いてなる布帛であって、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとにより樹脂加工されてなるものである。
本発明において、ビニロン繊維は28〜35のLOI値を有することが必要である。ビニロン繊維のLOI値が28未満であると、難燃性に劣るビニロン混紡糸布帛しか得られないという問題がある。一方、ビニロン繊維のLOI値が35を超えると、ビニロン繊維の強度が低下し、強度に劣るビニロン混紡糸布帛しか得られないという問題がある。さらに、樹脂加工後において布帛の強度が低下し易い傾向にあり、風合いの維持、着色抑制の点でも不利となることがある。
LOI値とは、繊維における限界酸素指数を意味するものであり、繊維の難燃性を判断するための尺度である。一般的に、LOI値が21未満である繊維は、空気中(例えば、酸素の含有率が20.8質量%である空気中)で容易に着火し、急速に燃焼する繊維であることを示し、LOI値が25以上である繊維は、特に優れた難燃性を有する繊維であると言われている。また、通常のビニロン繊維におけるLOI値は19程度である。
翻って、本発明のビニロン混紡糸布帛においては、セルロース系繊維が混用されている。ところが、セルロース系繊維は、一般に難燃性を具備しないものである。したがって、布帛に所定の難燃性を付与するにはセルロース系繊維の非難燃性をカバーする必要があり、そのためにLOI値が適宜手段により高められたビニロン繊維を用いるのである。
なお、LOI値は、JIS K 7201に従って求められる。
LOI値が28〜35であるビニロン繊維は、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、ポリビニルアルコールとポリ塩化ビニルのポリマー成分を主体とし、これに粉末の錫化合物やアンチモン系化合物などの難燃助剤を混合し、紡糸液を得る。次いで、この紡糸液を用いて湿式紡糸した後、適宜な条件で延伸および熱処理をほどこし、さらに必要に応じて、アルデヒド類が含有された酸性浴にてアセタール化処理する。その後、得られた繊維を適宜手段により短繊維化する。
ここで、ビニロン繊維を得る際に使用するポリビニルアルコールとポリ塩化ビニルとの質量比率としては、(ポリビニルアルコール):(ポリ塩化ビニル)=80:20〜60:40であることが好ましい。ポリビニルアルコールの割合が、ポリビニルアルコールとポリ塩化ビニルの合計に対して80質量%を越えると、ビニロン繊維のLOI値が低下し28未満となってしまい、優れた難燃性が得られない場合がある。一方、ポリビニルアルコールの割合が60質量%未満であると、得られるビニロン繊維は難燃性には優れるものの、該ビニロン繊維の強度が低下する。そのため、得られるビニロン混紡糸布帛の強度も低下する場合がある。
ビニロン繊維における難燃助剤の含有量については、特に限定されるものでなく、上記のLOI値を逸脱しない限りにおいて、任意に選択される。
本発明において、セルロース系繊維は、優れた風合いを発現させるために用いられるものである。セルロース系繊維を構成するセルロースは、以下のような高分子である。つまり、D−グルコース単位がβ(1→4)グリコシド結合を介して連なる縮合体であり、2個のD−グルコース単位が互い違いに裏返しに並んだ繰り返し立体構造を有する。
セルロース系繊維としては、綿や麻などの天然植物繊維;木材、綿、竹などを溶解した後に繊維化して得られたレーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテートなどの再生繊維などが挙げられる。
ビニロン繊維およびセルロース系繊維の単糸繊度や繊維長は、特に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、コストや強度、あるいは混紡糸とされる際の生産性などを考慮して、適宜に選択される。
そして、上述のビニロン繊維とセルロース系繊維とを適宜手段で混紡し、得られた混紡糸を使用して、本発明の布帛を構成する。
該混紡糸において、LOI値が28〜35であるビニロン繊維の混率は、60〜80質量%であることが好ましい。ビニロン繊維の混率が、60質量%未満であると、ビニロン混紡糸布帛の難燃性および強度が低下する傾向にある。一方、80質量%を超えると、セルロース系繊維の混率が過少となるために、セルロース系繊維に由来する風合いの向上が期待できない傾向にある。つまり、本発明においては、混紡糸におけるビニロン繊維の混率をこのような範囲とすることで、難燃性および風合いにバランスよく優れるビニロン混紡糸布帛とすることができる。
混紡糸の形態としては、特に限定されず、構成繊維(つまり、ビニロン繊維とセルロース系繊維)が均一に混紡された形態であってもよい。または、ビニロン繊維およびセルロース系繊維の各々が集合した状態で混紡されている形態であってもよい。この場合、例えば、断面が芯鞘型の二層構造をなし、芯部に鞘部が捲回した構造をなす芯鞘型二層構造混紡糸などが挙げられる。
布帛の形態としては、織物であってもよいし、編物であってもよい。織物としては、平織組織、綾織組織あるいは朱子組織などの織物が挙げられる。これらの織物はエアージェット織機、レピア織機あるいはフライシャトル織機などを使用して得られる。また、編物としては、天竺、鹿の子あるいはスムースなどの編組織のものが挙げられる。これらの編物は、丸編機や経編機などを使用して得られるものである。
なお、本発明における混紡糸の番手(英式綿番手)、布帛の目付けなどは、特に限定されず、目的とされる用途に応じて適宜選択される。衣料用途に適する風合いや強度などを備える布帛を得るという観点からは、10〜100番手であることが好ましい。
また、該布帛においては、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、染色などの各種の加工がほどこされていてもよい。
さらに、本発明のビニロン混紡糸布帛には、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとによる樹脂加工がほどこされている。
このような樹脂加工により、布帛に難燃性の洗濯耐久性が付与される。
より具体的には、本発明においては、樹脂加工に際し、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体を用いることで、布帛に対してより優れた難燃性を付与することができる。
なお、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体以外の樹脂、例えば、グリオキザール系樹脂、ホルマリン系樹脂、N−メチロール系樹脂、スルホン系樹脂などは、繊維布帛の付帯加工に一般に用いられるものであるが、これらの樹脂を使用しても所望の難燃性は得られない。
塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体において、塩化ビニルとアクリル酸エステルの共重合比率は、モル比で、(塩化ビニル):(アクリル酸エステル)=50:50〜80:20であることが好ましい。塩化ビニルの共重合比率が80モル%を超えると、難燃性を付与する効果は向上するが、該共重合体が硬化する傾向にあり、取扱性に劣る場合がある。一方、塩化ビニルの共重合比率が50モル%未満になると、アクリル酸エステルの割合が過多になるため、得られるビニロン混紡糸布帛においては難燃性が低下する場合がある。さらに、ビニロン混紡糸布帛が柔らかくなり過ぎることにより、かえって取扱性に劣る場合がある。
なお、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体の形態は、生産加工性に優れる観点から、水系エマルジョンの形態とすることが好ましい。水系エマルジョンとされる場合の分散方法などは、特に限定されない。
ビニロン混紡糸布帛における塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体の付与量は、加工前の布帛(基布)100質量%に対して固形分換算で3.0〜7.0質量%であることが好ましい。塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体の付与量が、3.0質量%未満であると、難燃性の向上が期待できない傾向にある。一方、7.0質量%を超えると、セルロース系繊維において架橋が進み過ぎ、強度の低下が生じる場合があるため好ましくない。
オキサゾリン基を含有する化合物、およびN−メチロールアクリルアミドは、上述の塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体の架橋剤として用いられるものである。したがって、これらを用いることにより、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体中に架橋構造を形成させることができる。その結果、洗濯処理を繰り返した後においても、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体が布帛から脱落することを抑制することができ、難燃性の洗濯耐久性を向上させることができる。
オキサゾリン基を含有する化合物について以下に述べる。オキサゾリン基を含有する化合物とは、その側鎖にオキサゾリン基を有するものであり、例えば、水溶性ポリマーの形態を有するものである。
なお、オキサゾリン基を有する化合物は、本発明の布帛を構成する繊維(つまり、ビニロン繊維およびセルロース系繊維)とは一般に反応し難いものと考えられる。しかしながら、該化合物は、布帛の構成繊維の表面および内部に浸透した塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル残基と強固に架橋反応し、結果として布帛全体で見た場合、該共重合体が布帛に強固に固着されうる。このため、洗濯処理後においても難燃性の低下が抑制されると推測される。
N−メチロールアクリルアミドについて以下に述べる。N−メチロールアクリルアミドは、重合性を有するビニル基、および縮合性を有するN−メチロール基を有する化合物である。重合性を有するビニル基は、他の重合体中のビニル基と重合反応するという作用を有する。また、N−メチロール基は、水酸基を有する繊維(つまり、布帛を構成するものであるビニロン繊維およびセルロース系繊維)と架橋反応するという作用を有する。
つまり、N−メチロールアクリルアミド中のビニル基と塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体におけるビニル基とが架橋反応すると考えられる。さらに、N−メチロールアクリルアミドを用いることにより、N−メチロールアクリルアミド中のN−メチロール基と、布帛を構成する繊維であるビニロン繊維およびセルロース系繊維における水酸基とが架橋反応すると考えられる。これにより、N−メチロールアクリルアミドを介して、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と布帛を構成する繊維とが強固に固着されるものとなり、難燃性の洗濯耐久性に優れた布帛とすることができると推測される。なお、N−メチロールアクリルアミドは反応開始剤とともに使用されることが好ましい。
ここで、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体の架橋剤として、オキサゾリン基を含有する化合物およびN−メチロールアクリルアミド以外の物質、例えば、エポキシ樹脂やイソシアネート系化合物などを用いたとしても、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体を布帛に対して強固に付着させることができず、その結果、難燃性の洗濯耐久性に劣る布帛しか得られないという問題がある。
つまり、本発明においては、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドという特定の物質を同時に用いた樹脂加工がほどこされていることで、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体が布帛に対して強固に固着されるものとなり、洗濯処理後においても優れた難燃性を達成することができることが見出されたものである。
架橋剤であるオキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドの使用量は、上記塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体100質量%に対して3.0〜10.0質量%であることが好ましい。架橋剤の使用量が3.0質量%未満であると、難燃性の洗濯耐久性に劣る場合がある。一方、10.0質量%を超えると効果が飽和してしまい、コストなどにおいて不利になる場合があるため好ましくない。
次に、本発明のビニロン混紡糸布帛の製造方法について説明する。
本発明のビニロン混紡糸布帛の製造方法は、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとを含有する水溶液を布帛に付与し、次いで乾燥処理することなくスチーム処理をほどこすものである。
このような方法を採用することにより、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体の架橋をおこなうことができる。なお、架橋反応を促進し、効率よく架橋度合いを向上させるために、反応開始剤として、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩を、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドと併せて用いることが好ましい。反応開始剤の使用量としては、上記の架橋剤の合計量100質量%に対して5.0〜50質量%であることが好ましい。
ここで、水溶液付与後に乾燥処理を行ってしまうと、上記共重合体の被膜が形成され、得られる布帛の風合いが硬化してしまう。さらに、ビニロン繊維に含有される難燃剤などの影響により着色することがある。よって、白度が向上された布帛を得ることができないという問題もある。本発明者の研究によると、理由は不明であるが、水分の存在下で架橋を行うと、結果として風合い低下や着色が抑えられ、併せて強度低下も抑えられる。この点、乾燥処理後にスチーム処理をおこなっても、乾燥処理により一旦被膜が形成されてしまうので、こういう状況下で布帛をスチーム処理しても、所望の風合い、強度は得られず、着色も十分には抑えられない。
なお、布帛には、予め染色がほどこされていてもよい。染色をほどこす場合には、例えば、糊抜き精練、漂白、シルケットなどの処理をおこなった後、通常の染料や染色法を用い、染色をおこなえばよい。
染色の際に用いられる染料については、衣料用途にて求められる染色堅牢度および染色濃度に応じ、適宜選択することができる。一般的に、ビニロン繊維に対しては、スレン染料あるいは金属錯塩酸性染料などが好適に用いられる。また、セルロース系繊維に対しては、直接染料、反応染料あるいはスレン染料などが好適に用いられる。また、染色方法としては、連続染色法あるいはバッチ染色法などが挙げられる。
塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとを含有する水溶液には、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、浸透剤などの各種の添加剤が含有されていてもよい。
布帛(基布)に上記水溶液を付与する方法としては、特に限定されるものではなく、パディング法、スプレー法、キスロールコータ法、スリットコーター法など、公知の方法を適宜用いることができる。また、水溶液への布帛の含浸に際してパディング法が採用される場合、パディング時の絞り率は特に限定されるものではなく、通常、水溶液の固形分濃度に応じて好適範囲を選択すればよい。
次いで、布帛に対して乾燥処理をおこなうことなく、直ちにスチーム処理をほどこすことにより、本発明のビニロン混紡糸布帛が得られる。
スチーム処理としては、コスト、得られる布帛の風合いおよび白度の観点から、常圧下でのスチーム(蒸気)による処理をおこなうことが好ましい。また、スチーム処理時の温度としては、80〜180℃の範囲が好ましく、98〜150℃の範囲がより好ましい。
また、スチーム処理の時間としては、特に限定されるものではないが、コスト、得られる布帛の風合いおよび白度の観点から、例えば、1〜20分間であればよい。
本発明の製造方法においては、スチーム処理後に、布帛に残留する未反応の樹脂、あるいは過硫酸塩などの開始剤などを除去するために、湯洗などの洗浄がおこなわれてもよい。洗浄方法としては、特に限定されるものではなく、公知の連続洗浄機あるいは液流染色機を使用すればよい。洗浄温度についても特に限定されるものではなく、例えば、70〜80℃の温度でおこなうことができる。
得られた布帛には、乾燥された後、サンフォライズ加工機やカムフィット加工機などを用いた機械的防縮処理がほどこされてもよい。機械的防縮処理をおこなうことで、工程中に生じた経方向の歪みも同時に修正され、より実使用に即したものとなる。なお、機械的防縮処理をおこなう際の圧縮率は、特に限定されず、例えば5%程度であればよい。
また、布帛に対して本発明の効果を損なわない範囲で、適宜の仕上げ剤(例えば、柔軟剤など)を用いることにより、さらに風合いを向上させてもよい。
本発明の製造方法によれば、難燃剤などに由来するビニロン繊維の着色が抑えられるため単色であれば白度が向上され、加えて、柔軟な風合いおよび優れた難燃性が達成されたビニロン混紡糸布帛を得ることができる。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
本発明の各種評価は、以下の方法によりおこなった。
(1)難燃性(LOI値)
洗濯前のビニロン混紡糸布帛と、家庭洗濯後のビニロン混紡糸布帛とをそれぞれJIS K 7201の酸素指数(LOI)法に従って、布帛のLOI値を測定し、難燃性を評価した。ここで、家庭洗濯後のビニロン混紡糸布帛として、JIS L 0217 103法に基づく洗濯を連続的に30回繰り返し、洗濯後、常温で吊干し乾燥したものを測定に供した。なお、布帛の場合、LOI値としては26以上が好ましく、この範囲を満足していると難燃性に優れる布帛であると判定できる。
(2)強力(引裂強力)
樹脂加工直前の段階にある布帛(未加工布)と、最終的に得られた布帛(加工布)について、それぞれ、JIS L 1096に基づくペンジュラム法に従って引裂強力を測定し、下記の基準で強力を評価した。
○:未加工布と加工布とにおける引裂強力に差がほとんど認められない。
△:加工布の引裂強力が未加工布の引裂強力と比べ若干低い状態にある。
×:加工布の引裂強力が未加工布の引裂強力と比べかなり低い状態にある。
(3)風合い(官能評価)
得られたビニロン混紡糸布帛に対してハンドリングにより官能検査をおこない、下記の基準で評価した。
○:衣料に適した非常に柔軟な風合いであった。
△:衣料に適するが、やや硬い風合いであった。
×:衣料に適さない非常に硬い風合いであった。
(4)着色
得られたビニロン混紡糸布帛を目視により観察し、下記の基準で評価した。
○:着色しておらず、白度が高いものであった。
△:やや着色していた。
×:著しく着色していた。
(実施例1)
LOI値32のビニロン繊維(クラレ社製、単糸繊度:1.7dtex、平均繊維長:38mm)75質量%、綿繊維(1.7dtex、平均繊維長:35mm)25質量%を用い、通常の紡績方法により英式綿番手30番手双糸の混紡糸を得た。この混紡糸を用い、エアージェット織機(石川製作所社製)にて、綾組織の織物を製織し、常法に従って糊抜き、精練、シルケットをおこなった。
次に、下記処方1の水溶液を調製し、該水溶液に上記のようにして得られた織物を浸漬した。
<処方1>
塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体のエマルジョン(日信化学工業社製、「ビニブラン278」、固形分濃度:43質量%) 300g/L
オキサゾリン基を含有する化合物(日本触媒社製、「エポクロスWS−500」、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン含有オキサゾリン化合物水溶液、固形分濃度40質量%) 20g/L
ポリエチレン系柔軟剤(里田化工社製、「レペロンOPC」) 20g/L
過硫酸アンモニウム(架橋反応開始剤) 3g/L
浸透剤(ハンツマン社製、「インバディン650」、脂肪族アルコールエトキシレート系浸透剤) 2g/L
その後、水溶液から織物を取り出してマングルにて絞り(絞り率:40%)、直ちに、常圧型蒸熱機を用いて103℃で10分間のスチーム処理をほどこした。次いで、70℃で湯洗を行い、ピンテンター型乾燥機にて130℃で2分間の乾燥をおこなった。さらに、サンフォライズ防縮機(サンフォライズ社製)で機械的防縮処理を行い(シリンダー温度:120℃、圧縮率:約5%)、実施例1のビニロン混紡糸布帛を得た。
(実施例2)
オキサゾリン基を含有する化合物20g/Lに代えて、N−メチロールアクリルアミド(固形分濃度60質量%の水溶液)を20g/L用いること、および過硫酸アンモニウム3g/Lに代えて、過硫酸カリウムを3g/L用いること以外は、<処方1>の場合と同様にして水溶液を調製し、以降は、この水溶液を用いて実施例1と同一の方法により、実施例2のビニロン混紡糸布帛を得た。
(比較例1)
オキサゾリン基を含有する化合物および過硫酸アンモニウムを省略した以外は、<処方1>の場合と同様にして水溶液を調製し、以降は、この水溶液を用いて実施例1と同一の方法により、比較例1のビニロン混紡糸布帛を得た。
(実施例3および5、比較例2および4)
ビニロン繊維のLOI値を28(実施例3)、35(実施例5)、25(比較例2)、39(比較例4)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同一の方法により、実施例3および5、ならびに比較例2および4のビニロン混紡糸布帛を得た。
(実施例4および6、比較例3および5)
ビニロン繊維のLOI値を28(実施例4)、35(実施例6)、25(比較例3)、39(比較例5)にそれぞれ変更した以外は、実施例2と同一の方法により、実施例4および6、ならびに比較例3および5のビニロン混紡糸布帛を得た。
(参考例1)
実施例1におけるスチーム処理に代えて、120℃で2分間の乾燥をおこなった後、170℃で1分間の乾熱処理をほどこした以外は、実施例1と同一の方法により、参考例1のビニロン混紡糸布帛を得た。
(参考例2)
実施例2におけるスチーム処理に代えて、120℃で2分間の乾燥をおこなった後、170℃で1分間の乾熱処理をほどこした以外は、実施例2と同一の方法により、参考例2のビニロン混紡糸布帛を得た。
(比較例6)
オキサゾリン基を含有する化合物20g/Lに代えて、イソシアネート系化合物(日華化学社製、「NKアシストV」、ブロックイソシアネート化合物水溶液、固形分濃度41質量%)を50g/L用いること、および過硫酸アンモニウムを省略すること以外は、<処方1>の場合と同様にして水溶液を調製し、以降は、この水溶液を用いて実施例1と同一の方法により、比較例6のビニロン混紡糸布帛を得た。
(比較例7)
比較例6におけるスチーム処理に代えて、120℃で2分間の乾燥をおこなった後、170℃で1分間の乾熱処理をほどこした以外は、比較例6と同一の方法により、比較例7のビニロン混紡糸布帛を得た。
実施例1〜6、参考例1〜2および比較例1〜7にて得られたビニロン混紡糸布帛に対する評価結果を、下記表1にまとめて示す。
Figure 2014145134
表1から明らかなように、実施例1〜6にて得られたビニロン混紡糸布帛は、難燃性の洗濯耐久性に加え、強力の低下も抑えられており、風合いもソフトで、加工による着色の少ないものであった。つまり、衣料分野において好適に使用されうる素材であることが明らかである。
参考例1および2にて得られたビニロン混紡糸布帛には、水溶液付与後にスチーム処理に代えて予備乾燥、乾熱処理といった乾燥処理がほどこされていた。そのため、それぞれ実施例1および2に比べると、風合いが低下し、さらに着色が発現しており白度にも劣るものであった。加えて、強力においても劣るものであった。
比較例1にて得られたビニロン混紡糸布帛では、樹脂加工に際し架橋剤が使用されず、また、比較例6および7では、本発明にて規定された以外の架橋剤が使用された。このため、布帛の難燃性として洗濯処理前のものについては一定の効果は認められたものの、洗濯処理を30回繰り返した後の難燃性が顕著に低下しており、つまり難燃性の洗濯耐久性に劣るものであった。
比較例2および3にて得られたビニロン混紡糸布帛は、LOI値が28未満であるビニロン繊維が用いられていたため、難燃性に劣るものであった。
比較例4および5にて得られたビニロン混紡糸布帛は、LOI値が35を超えるビニロン繊維が用いられていたため、難燃性には優れるものであったが、強力に劣るものであった。

Claims (3)

  1. LOI値が28〜35であるビニロン繊維とセルロース系繊維との混紡糸を用いてなる布帛であって、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとにより樹脂加工されていることを特徴とするビニロン混紡糸布帛。
  2. 前記混紡糸におけるビニロン繊維の混率が60〜80質量%であることを特徴とする請求項1記載のビニロン混紡糸布帛。
  3. 塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体と、オキサゾリン基を含有する化合物および/またはN−メチロールアクリルアミドとを含有する水溶液を布帛に付与し、次いで乾燥処理することなくスチーミング処理をほどこすことを特徴とする請求項1または2に記載のビニロン混紡糸布帛の製造方法。
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