JP2016111522A - デジタル温度補償型発振器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】デジタル温度補償型発振器は、電圧制御型発振器1と、温度特性の異なる第1及び第2のリングオシレータ2a,2bと、電圧制御型発振器の発振周波数に基づいて設定されるカウント時間での各リングオシレータの発振周波数から得られる周波数カウントデータに対して、温度及び電圧の2元の2次以上の多項式近似式を設定し、第1及び第2のリングオシレータの周波数カウントデータを前記多項式近似式に適用した第1及び第2の方程式による連立2元方程式から温度及び電源電圧を演算により求める温度電圧変換部33と、電圧制御型発振器の温度補償をするための温度補償デジタルデータを生成する温度補償回路4と、当該データをアナログ制御電圧に変換するD/A変換器7とを備える。
【選択図】図11
Description
特許文献1は、温度で変化する電流源で駆動されるリングオシレータと温度に対して安定な電流源で駆動されるリングオシレータを用い、温度に対して安定なリングオシレータをカウントクロックとして、他の温度変化するリングオシレータのクロックのパルス幅をカウントする方法で、温度をカウント値で一次近似している。また、温度センサを組み込んだデジタル温度補償型発振器は、例えば、特許文献2に記載されている。
また、出願人が提案した先のディジタル温度補償発振器は、D/A変換器の経年劣化及び温度ドリフトによる周波数変動を改善することができる。また、温度センサにリングオシレータを使うことによって水晶振動子以外は、半導体ICチップ内の回路で実現できるようになった。しかし、このディジタル温度補償発振器に用いられる温度センサのリングオシレータも発振周波数に電圧依存性があり、精度の高い温度計測は困難が伴うものであった。
本発明は、このような事情によりなされたもので、デジタル温度補償型発振器は、精度の高い温度測定ができる温度センサを有しており、測定された温度情報を基にした補償電圧(発振器に対する制御電圧信号)により高い周波数安定度を実現することができる温度補償発振器を提供する。また、この温度センサを用いることで、温度測定と同時に逐次変動する電源電圧の測定も行うことができるため、測定した電源電圧の情報を加味して上記補償電圧を生成することによって更に安定な発振周波数を維持する温度補償発振器を提供する。
本発明のデジタル温度補償型発振器は、以下の温度センサを用いて得られた温度のデジタル情報を基に温度補償データを作成し、発振周波数の温度補償を行うことを特徴としている。温度センサは、半導体IC上に形成した温度に敏感で温度特性の異なる2つのリングオシレータの発振周波数(f1、f2)を 同一の温度(T)、電圧(V)環境にて、温度安定性の良い基準周波数f0(水晶発振クロック等)で計測し、予め各リングオシレータの発振周波数(f1、f2)を温度T、電圧Vを変えて測定したデータから計算で求めた2つのT、Vの2元の高次多項式近似式:f1(T,V)及びf2(T,V)の係数を使って、T、Vを未知数とする2つのリングオシレータの2元連立方程式からT、Vを半導体IC上の演算回路で解くことを特徴としている。
この実施例において用いられる温度センサは、温度に敏感で温度特性の異なる2つのリングオシレータ2a、2bの発振周波数(f1、f2)を、同一の温度(T)、電圧(V)環境で、温度安定性の良い基準周波数f0(基準クロック信号)で計測し、予め各リングオシレータ2a、2bの発振周波数(f1、f2)を温度T、電圧Vを変えて測定したデータから計算で求めた2つのT、Vの2元の高次多項式近似式(f1(T、V)、f2(T、V))の係数を使って、T、Vを未知数とする2つのリングオシレータ2a、2bの2元連立方程式からT、Vを半導体IC(チップ)に形成された演算回路で解くことを特徴としている。
図4には、第1及び第2のリングオシレータの出力f1、f2と基準クロックf0が記載されており、基準クロックf0で設定されるカウント時間Toscでそれぞれの周波数をカウントして周波数カウントデータF1、F2を得るものである。周波数を計測するには波形の立ち上がりエッジをカウントする。
図5は、共通の電源2cを用いて電流駆動のリングオシレータと電圧駆動のリングオシレータを説明している。リングオシレータの電源ラインをリングオシレータの回路とは別に形成した電流源(カレントソース)に接続して電流駆動(RO1)とする。実際の回路の一例は、図7(c)、(d)に記載されている。
半導体ICに形成されるリングオシレータの発振周波数は、温度依存性を有する以外に電圧依存性を有している。フェムトセルの要求するクロック精度(50ppb程度)温度補償発振器の温度補償回路で実現する場合に必要な温度センサに要求される温度精度は、温度補償発振器に使われる温度センサの特性から計算して約0.05℃が必要とされる。このリングオシレータの電源電圧をレギュレータによって安定化することも考えられるが、−50〜125℃などの広範囲でその電源電圧を温度精度0.05℃に相当する電圧変動以内(1mVより遥かに下である)に安定化することは容易ではない。この実施例によって説明される発明は、このような課題を解決するものである。
RO1の周波数カウント値F1は、式2で表される。
F1(T,V)=a41T4+a31T3+a21T2+a11T+b21V2+b11V+c11TV+c01 (式2)
a41、a31、a21、a11、b21、b11、c11、c01は、各項の係数である。
また、RO2の周波数カウント値F2は、式3で表される。
F2(T,V)=a42T4+a32T3+a22T2+a12T+b22V2+b12V+c12TV+c02 (式3)
a42、a32、a22、a12、b22、b12、c12、c02は、各項の係数である。
このような処理によって求められた係数は、温度電圧センサが形成された半導体ICの係数メモリに書き込まれている。係数メモリは、図1のメモリ(ROM)34に相当する。係数メモリにはEPROM、EEPROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが適当である。
F1=a41T4+a31T3+a21T2+a11T+b21V2+b11V+c11TV+c01 (式4)
F2=a42T4+a32T3+a22T2+a12T+b22V2+b12V+c12TV+c02 (式5)
しかしながら、2元(T,V)の4次連立方程式の解は、2次方程式のように定式化されていないために、ニュートン−ラフソン法を用いて、漸化式による繰り返し演算によって解を求める。
Y1(T,V)=a41T4+a31T3+a21T2+a11T+b21V2+b11V+c11TV+c01−F1 (式6)
Y2(T,V)=a42T4+a32T3+a22T2+a12T+b22V2+b12V+c12TV+c02−F2 (式7)
∂Y1/∂T=4a41T3+3a31T2+2a21T+a11+c11V (式8)
∂Y2/∂T=4a42T3+3a32T2+2a22T+a12+c12V (式9)
∂Y1/∂V=2b21V+b11+c11T (式10)
∂Y2/∂V=2b22V+b12+c12T (式11)
これらの式から、T、Vの変化分ΔT、ΔVは、図9に記載された式12及び式13で表される。
ΔT=−(Y1*∂Y2/∂V−Y2*∂Y1/∂V)/det
(式14)
ΔV=(Y1*∂Y2/∂T−Y2*∂Y1/∂T)/det
(式15)
ここで示したΔT、ΔVの計算式を用いてニュートン−ラフソン法による漸化式は、次式で表される。
Tn+1=Tn+ΔT (式16)
Vn+1=Vn+ΔV (式17)
計算の最初は、式16、式17のTn、Vnのn=0に相当するT0、V0を初期値として与える必要がある。このT0、V0には想定されるT、Vの変動範囲のほぼ中心値を与えることもできる。
具体的には、下記の式18、式19に表すように、ΔT、ΔVが予め設定した誤差範囲Et、Ev未満になったときに収束したと判断する。
ABS(ΔT)<Et (式18)
ABS(ΔV)<Ev (式19)
なお、ABS(X)は、Xの絶対値を表す。
また、下記の式20に示すように、計算回数(Nctv)がリミット回数(Mtv)を超える場合には時間オーバーとして計算を中止し、その時点での最終結果を出力する。もしくは、問題のないディフォルト値を出力する事もあり得る。
Nctv>Mtv (式20)
以上のニュートン−ラフソン法による計算は、半導体IC上に搭載されたデジタル演算回路と演算シーケンス(プログラム)によって実現可能である。このプログラムは半導体ICに形成されたメモリに記憶される。
事前に、RO1用係数(a41、a31、a21、a11、b21、b11、c11、c01、4a41、3a31、2a21、2b21)、RO2用係数(a42、a32、a22、a12、b22、b12、c12、c02、4a42、3a32、2a22、2b22)、det逆数計算用係数(2)、温度(T)用誤差リミット値(Et)、電圧(V)用誤差リミット値(Ev)、det逆数用誤差リミット値(Edet)、T及びV用計算回数リミット値(Mtv)、det逆数用計算回数リミット値(Mdet)が図1に示すメモリ(ROM)(係数記憶部)34に書き込まれている。
計算方法は、2つのフローに分かれており、左側のフロー(図10(a))がメインフロー、右側のフロー(図10(b))がサブフローであり、Idet(=1/det)を計算するものである。
[計算開始] 計算が開始されると、RO1及びRO2の周波数カウントデータF1、F2を取得する。このカウントデータは、通常は、カウンタ(図1の32)から取得したデータをレジスタなどに記憶しているので、レジスタから取得するとしても良い。
[初期値設定] つぎに、ニュートン−ラフソン法で計算する場合の温度データT、電圧データVの初期値として、T0、V0を与える。初期値は、予めメモリ(図1の34)に記憶しておき、このメモリから読み出すこともできる。
[カウンタリセット] 次に、ニュートン−ラフソン法の演算繰り返し回数のカウンタをリセットする(即ち、計算回数(Nctv)を0とする)。そして、既に与えた初期値T0、V0を式6、式7のT、Vに代入して、Y1(T、V)、Y2(T、V)を計算する。
dY1T=∂Y1/∂T (式21)
dY2T=∂Y2/∂T (式22)
dY1V=∂Y1/∂V (式23)
dY2V=∂Y2/∂V (式24)
次に、detを計算する。detを表す式13に式8乃至式11を代入して計算する。
ΔT*det=−(Y1*∂Y2/∂V−Y2*∂Y1/∂V)
(式25)
ΔV*det=(Y1*∂Y2/∂T−Y2*∂Y1/∂T)
(式26)
上記で計算したY1、Y2、dY1T、dY2T、dY1V、dY2V、det、ΔT*det、ΔV*detの計算結果は、計算後一時記憶レジスタに保管される。
次に、Idet(=1/det)の計算を説明するが、詳細は、サブフロー(図10(b))でするので、ここではIdetが計算されたものとして、説明を進める。
ΔT=Idet*(ΔT*det) (式27)
ΔV=Idet*(ΔV*det) (式28)
次に、式16、式17により、T=T1、V=V1を計算する。具体的にはn=0とした次の式29、式30にあらわされる。
T1=T0+ΔT (式29)
V1=V0+ΔV (式30)
[収束判断] 次に、計算された結果がニュートン−ラフソン法でいう収束に相当するかどうかを判断するために、ABS(ΔT)<EtとABS(ΔV)<Vtの大小比較を計算する。その結果がYesであれば上記で計算したT1、V1を計算結果として出力し、計算終了となる。
次に、計算回数カウントNctvが計算回数リミット値Mtvを超えていないかを計算する。超えている場合(Yes)には、T、V計算結果出力を行い、計算終了となり、超えない場合(No)には、Y1、Y2の計算から計算の繰り返しを行う。
[計算開始] まず、ニュートン−ラフソン法を用いて、detの逆数を計算する方法を説明する。
例えば、数値aの逆数をxとした場合、式31のように、f(x)=0を解けばx=1/aが求められる。f(x)の微分値は、式32に示される。
f(x)=(1/x)−a (式31)
f′(x)=−1/x2 (式32)
これらの式を用いて、式33に示す漸化式が得られる。漸化式は、式33のように表される。
xn+1=xn−f(xn)/f′(xn)=xn(2−axn)
(式33)
まず、メインフローの途中でレジスタに保管されたdetデータを取得する。
[カウンタリセット] 次に、計算回数カウンタNcdetをリセットする(Ncdet=0)。そして、式33に従って、Idetを計算する。その際、ROMのdet逆数計算用係数(2)を使用する。
[収束判断] 次に、計算された結果がニュートン−ラフソン法でいう収束に相当するかどうかを判断するために、ABS(ΔIdet)<Edetであるか否かを計算する。ΔIdetは、式33では、「xn+1−xn」のことである。ABS(ΔIdet)<EdetがYes(収束)であれば、上記で計算したIdetを計算結果として出力して計算終了となる。一方、もし、その結果がNo(未収束)であれば、再度計算を繰り返すために、計算回数カウント数Ncdetを1つカウントアップする。Ncdetが初期リセットされていれば、カウントアップしてNcdet=1となる。
次に、計算回数カウントNcdetが計算回数リミット値Mtvを越えていないかを計算する。超えている場合(Yes)には、Idet計算結果出力を行い、計算終了となる。超えていない場合(No)には、Idetの計算から計算繰り返しを行う。
この実施例は、電圧制御型発振器(VCO)1の温度補償と共に、PWM出力回路57の電源電圧の電圧補償をΔΣモジュレータ5及び受動型多段ローパスフィルタ6によって構成されたD/A変換器7で行う方法である。D/A変換器7のデジタル出力の最終段にあるPWM出力は、その電源電圧に直接左右される。そのため、電源電圧を固定する必要があるが完全に安定化することは困難である。そこで、この実施例では、温度電圧センサ出力の電圧データを使って、温度補償量以外に電圧補償量も計算し、両方の補償量を加算して、D/A変換器7に入力するものである。
電圧制御型発振器1は、半導体ICに外付けされた水晶振動子(水晶発振器)11及び電圧制御発振回路12を有しており、環境温度の変化に対して周波数が変化する発振周波数(第1の発振周波数)を生成すると共に、受動型4段LPF6から出力される制御電圧によって第1の発振周波数の制御が可能な発振信号を生成するものである。この生成された第1の発振周波数を有する発振信号は、バッファ8に出力されて、分周回路9を経て温度電圧デジタルデータ生成部3の制御回路31に入力する一方、バッファ8から出力バッファ10を介して外部に出力される。
ΔΣモジュレータ5は、乗算器51と、加算器52a、52b、52cと、遅延回路53a、53b、53cと、乗算器54a、54bと、量子化器55と、PWM変調器56、PWM出力回路57とからなる。加算器52bにはディザ信号が入力される。ディザ信号は、リングオシレータの出力を受けたカウンタの出力の下位ビットのデータからなるものである。例えば、リングオシレータの出力を受けたカウンタの出力が18ビットのデータとすると、下位の4ビット程度のデータをディザ信号とすると好適である。
また、量子化器55は3値以上の多値量子化器であり、例えば、「00」、「01」、「10」、「11」の4つのレベルで量子化した4値のPDM信号をPWM変調器56 に出力するとともに、加算器52cに出力する。PWM変調器56は、3レベル以上の多レベルのパルス幅で2値のPWM信号を出力するもので、例えば、量子化器55 が4値(4レベル)であれば、同様に「0」、「1」、「2」、「3」の4つのレベルのパルス幅のうち、入力したPDM信号のレベルに対応するレベルのパルス幅を有する2値のPWM信号に変換し、PWM出力回路57にてバッファリングした後、受動型4段LPF6に出力する。一方、加算器52cには、量子化器55の出力とともに、加算器52bに入力する信号も入力し、前記加算器52cからは量子化器55による量子化誤差が出力される。
受動型4段LPF6は、抵抗素子と容量素子からなるLPFを4段で構成したものである。各抵抗素子の抵抗値は、例えば、抵抗値の総和が1GΩであり、1段目の抵抗素子が700MΩで、他の3個の抵抗素子はそれぞれ100MΩに設定している。また、各容量素子の容量値は、例えば、容量値の総和が100pFであり、最終段目である4段目の容量素子が70pFで、他の3個の容量素子はそれぞれ10pFに設定している。このように、1段目の抵抗値と、最終段目の容量値を他の抵抗値あるいは容量値よりも大きく設定すると、低周波域での減衰量を大きく取れる。PWM信号はこの受動型4段LPF6を通ることでアナログ信号に変換される。このアナログ信号は、制御電圧信号として電圧制御型発振器1の電圧制御発振回路12に入力される。
次に、温度電圧デジタルデータ生成部3に関して説明する。
リングオシレータ1(2a)及びリングオシレータ2(2b)の周波数情報をもつ出力は、それぞれ対応するカウンタ32a、32bにて周波数カウントデータF1、F2となる。これらのカウンタ32a、32bのカウント時間は、分周回路9の出力クロックを基準クロックとして制御回路31において発生される。
前述した温度補償回路4を構成する温度電圧補償演算回路41は、温度電圧変換回路33からの温度データT、電圧データVを入力し、予めメモリ42に記憶されている電圧制御型発振器1の温度特性の補償特性、又はPWM出力回路57の電源電圧特性あるいは電圧制御型発振器1の電源電圧特性のいずれか、あるいは両方の補償特性に相当する係数を用いて、温度電圧補償用デジタルデータTVCを演算し、D/A変換器7に出力する。
この実施例は、PWM出力回路や電圧制御型発振器1の電源電圧VAを供給する安定化電源100の電圧補正を電源電圧制御回路110に入力することに特徴がある。
この実施例では、温度補償デジタルデータを生成する温度補償回路4を構成する温度電圧補償演算回路41の出力を温度補償に関わるデータTCと、電圧補償に関わるデータVCに分けて出力する。データTCは、実施例1(図11参照)と同じようにD/A変換器7に入力され、電圧制御型発振器1の温度補償を行う。一方、データVCは、温度電圧補償演算回路41から出力されて電源電圧制御回路110に入力され、その出力が安定化電源100の電圧補償を行う。電源電圧制御回路110は、デジタルデータであるデータVCをそのアナログ電圧値に変換し、安定化電源100へ出力するものである。
以上、この実施例において、デジタル温度補償型発振器は、精度の高い温度測定ができると共に温度測定と同時に電源電圧変動の測定も行うことができる温度電圧センサを組み込むことによって、安定な発振周波数を維持することができる。
この実施例では、この温度電圧センサに用いられるリングオシレータについて説明する。
リングオシレータは、通常、半導体プロセスの出来栄えを評価するモニタに使用されている回路であり、特に広く普及しているCMOSプロセスでは一般的に用いられている。また、CMOS回路では、回路ブロック内の温度測定や電圧降下の測定に使用されている。しかし、従来のリングオシレータによる温度測定は、せいぜい1次(線形)近似であり、本願発明が目的とするような高精度を狙ったものはない。
また、消費電流による電源ラインの電圧降下の測定にリングオシレータが使用された論文は公知であるが、リングオシレータを 使って、温度と電圧の両方をセンシングしたものは知られていない。
素子の経年変化を比較した場合に、一般的にMOSトランジスタの重要な特性であるスレッショールド(閾値)電圧はドリフトする傾向がある。そのため、リングオシレータの発振周波数が経年変化して、その結果温度センサの特性が経年変化する ことを気にする場合には、CMOSリングオシレータよりもバイポーラによるリングオシレータの方が良い。
2・・・リングオシレータ
2a・・・第1のリングオシレータ(RO1)
2b・・・第2のリングオシレータ(RO2)
2c・・・電源
3・・・温度電圧デジタルデータ生成回路
4・・・温度補償回路
5・・・ΔΣモジュレータ
6・・・パッシブ型ローパスフィルタ(LPF)
7・・・D/A変換回路
8・・・バッファ
9・・・分周回路
10・・・出力バッファ
11・・・水晶発振器(水晶振動子)
12・・・電圧制御発振回路
31・・・制御回路
32a、32b・・・周波数カウンタ
33・・・温度電圧変換部(温度電圧変換回路)
34・・・係数記憶部(メモリ)
41・・・温度電圧補償演算回路
42・・・メモリ
100・・・安定化電源
110・・・電源電圧制御回路
Claims (3)
- 環境温度の変化に対して周波数が変化する第1の発振周波数を生成すると共に制御電圧によって前記第1の発振周波数の制御が可能な発振信号を生成する電圧制御型発振器と、前記環境温度の変化に対して前記第1の発振周波数よりも変化率が大きい第2の発振周波数を生成する第1のリングオシレータと、前記環境温度の変化に対して前記第1の発振周波数よりも変化率が大きく且つ前記第2の発振周波数とは温度特性が異なる第3の発振周波数を生成する第2のリングオシレータと、前記第1の発振周波数に基づいて設定されるカウント時間での前記第2及び第3の発振周波数の計測により、得られる周波数カウントデータに対して、温度及び電圧の2元の2次以上の多項式近似式を設定した上で、予め前記温度及び電源電圧を変えて測定した前記周波数カウントデータを基に算出した前記第1のリングオシレータ及び前記第2のリングオシレータの前記多項式近似式における第1の係数セット及び第2の係数セットを記憶する係数記憶部と、同一の温度及び電源電圧の環境にて動作する前記第1のリングオシレータ及び前記第2のリングオシレータの第2及び第3の発振周波数を、前記カウント時間で計測することにより、そのときの発振周波数に対応する第1の周波数カウントデータ及び第2の周波数カウントデータを生成する周波数カウンタと、前記第1の周波数カウントデータと前記第1の係数セットを前記多項式近似式に適用した第1の方程式と、前記第2の周波数カウントデータと前記第2の係数セットを前記多項式近似式に適用した第2の方程式による連立2元方程式から、前記第1及び第2の周波数カウントデータを生成した時の温度及び電源電圧を演算により求める温度電圧変換部と、前記第1及び第2の周波数カウントデータを生成したときの前記同一の温度に基づいて前記第1の発振周波数の環境温度に対する変化を補償するための温度補償デジタルデータを生成する温度補償回路と、ΔΣモジュレータと受動素子からなる受動型多段ローパスフィルタによって構成されて前記温度補償デジタルデータをアナログ電圧で表わされる前記制御電圧に変換するD/A変換器とを備えることを特徴とするデジタル温度補償型発振器。
- 前記温度補償回路は、前記温度補償デジタルデータ及び電圧補償に関わるデジタルデータをそれぞれ出力し、前記温度補償デジタルデータは、前記D/A変換器に入力し、前記電圧補償に関わるデジタルデータは、前記電圧制御型発振器の電源電圧を供給する安定化電源を制御する電源電圧制御回路に入力することを特徴とする請求項1に記載のデジタル温度補償型発振器。
- 前記温度補償回路は、前記温度電圧変換部によって得られた温度及び電源電圧の両方に基づいた補償データを前記温度補償デジタルデータとして出力し、前記D/A変換器に入力することを特徴とする請求項1に記載のデジタル温度補償型発振器。
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