JP2016109424A - 熱処理装置 - Google Patents

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岡田 雅樹
Masaki Okada
雅樹 岡田
誠 辰巳
Makoto Tatsumi
誠 辰巳
吉本 修
Osamu Yoshimoto
修 吉本
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Abstract

【課題】電源装置からの電気供給量の増加を抑えつつ、装置内の温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にする。【解決手段】熱処理炉2内には、ヒーター4と、ヒーター4の内側に隔壁5とが配置されている。隔壁5の内側にるつぼ6が配置されている。るつぼ6内には被処理物100が配置されている。隔壁5はるつぼ6及び被処理物100を全包囲している。隔壁5はガス不透過性である。隔壁5内には、黒鉛管12と黒鉛管13と配管14とが連通したガス導入路からガスが導入される。隔壁5内のガスは、黒鉛管15と配管16とが連通したガス排出路から熱処理炉2外に排出される。【選択図】図1

Description

本発明は、被処理物を加熱する熱処理装置に関する。
熱処理装置の炉内には、円筒状のヒーターが配置され、ヒーターの内側にるつぼが配置されている。るつぼ内には被処理物が配置されている(非特許文献1参照)。電源装置からヒーターに電気を供給すると、ヒーターが発熱することにより炉内温度が上昇する。これによりるつぼ内の被処理物が加熱処理される。
岩下他2名、PAN系及びピッチ系炭素繊維を用いたC/Cコンポジットの超高温下での材料力学的特性の比較、p.463のFig.1
被処理物には、Al、B、Be、Ca、Cu、Fe、K、Li、Mg、Na、Ni、S、Si、Ti、V、及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属又はこれら金属の化合物等の不純物が含まれている。近年、炉内温度を2500 ℃以上の超高温にする要望が増えているが、2500 ℃以上では上記金属等が被処理物から揮発しやすい。本発明者らの研究から、揮発した金属等は導電化促進物質となって炉内の雰囲気ガスの導電化を促進させ、雰囲気ガスが電流のバイパスとなることがわかった。
その結果、ヒーターに流れるはずの電気が雰囲気ガスに流れ、ヒーターの通電量が減少することによりヒーターの発熱量が低下する。これにより炉内温度が上昇しにくくなり、目的温度である超高温に達しないことがある。また、炉内温度が目的温度に達するまでの時間が非常に長くなり、被処理物の処理時間が長くなる。
この問題を解決するため、電源装置からの電気供給量を増加することが考えられるが、コストが増加する。
そこで、本発明の目的は、電源装置からの電気供給量の増加を抑えつつ、装置内の温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができる装置を提供することである。
本発明の熱処理装置は、内部が2500 ℃以上3500 ℃以下となる炉と、前記炉内に配置されたヒーターと、前記炉内で熱処理される被処理物と前記ヒーターとの間に配置され、被処理物を全包囲した隔壁と、前記隔壁に接続されているとともに前記隔壁内と前記炉外とを連通したガス導入路及びガス排出路とを備えており、前記隔壁がガス不透過性である。
上記装置では、被処理物から揮発した金属等(金属、金属化合物)が隔壁内に拡散し、隔壁内のガスとともにガス排出路を通って炉外に排出される。隔壁がガス不透過性であるため、隔壁内に拡散した金属等は炉外に排出され、隔壁外のヒーターが配置された空間へ移動しない。すなわち、炉内空間に導電化促進物質が拡散しないため、ヒーターに電気が流れ、炉内の雰囲気ガスに電気が殆ど流れない。これにより炉内温度が上昇しやすくなるため、電源装置からの電気供給量を増加させることなく、炉内温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができる。
また、上記装置において、前記ヒーター、前記隔壁、前記ガス導入路及び前記ガス排出路の主成分が炭素であり、前記ヒーター、前記隔壁、前記ガス導入路及び前記ガス排出路の灰分が50 ppm以下であることが好ましい。これらの炉内部品に含まれる不純物は導電化促進物質であり、炉内に拡散すると雰囲気ガスの導電化を促進させるが、上記灰分では炉内部品に含まれる不純物量が少ないので、装置内を2500 ℃以上にしても揮発する不純物量が少ない。したがって、電源装置から流した電気は炉内の雰囲気ガスに殆ど流れず、ヒーターに流れるため、炉内温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができる。
また、前記隔壁は、熱分解炭素被覆炭素材、ガラス状炭素被覆炭素材、及び炭化タンタル被覆炭素材からなる群から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。炭素材を被覆する膜は2500 ℃以上でも安定しているため、ヒーターの熱を被処理物に確実に伝えることができる。また、炭素材が被覆されていることにより、炭素材から不純物が放出されるのを抑止できる。さらに、熱分解炭素、ガラス状炭素及び炭化タンタルの被覆膜は導電性物質を放出するおそれが小さいため、隔壁に起因するヒーターの抵抗変化率の減少率を小さくできる。
また、本発明の熱処理装置は、内部が2500 ℃以上3500 ℃以下となる炉と、前記炉内に配置されたヒーターと、前記炉内で熱処理される被処理物と前記ヒーターとの間に配置され、被処理物の一部または全部を包囲した隔壁と、前記隔壁に接続されているとともに前記隔壁内と前記炉外とを連通したガス排出路とを備えており、前記炉内において熱処理中の気体の流れが前記隔壁外から前記隔壁内に向かっている。
上記装置では、炉内のガスが隔壁外から隔壁内に向かって流れているため、被処理物から揮発した金属等はガス排出路を通って装置外に排出され、隔壁外のヒーターが配置された空間に拡散しない。これによりヒーターに流した電気は炉内の雰囲気ガスに殆ど流れず、ヒーターに流れるため、装置内の温度が上昇しやすい。したがって電源装置からの電気供給量を増加させることなく、装置内の温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができる。
また、上記装置において、被処理物の全部を包囲する前記隔壁はガス透過性であることが好ましい。炉内のガスが隔壁を通過して隔壁内へ移動し、隔壁内の金属等とともにガス排出路を通って装置外に排出されるため、電源装置から流した電気は炉内の雰囲気ガスに殆ど流れず、ヒーターに流れる。
また、上記装置において、前記ヒーター、前記隔壁及び前記ガス排出路の主成分は炭素であり、前記ヒーター、前記隔壁及び前記ガス排出路の灰分が50 ppm以下であることが好ましい。これらの炉内部品に含まれる不純物は導電化促進物質であり、炉内に拡散すると雰囲気ガスの導電化を促進させるが、上記灰分では炉内部品に含まれる不純物量が少ないので、装置内を2500 ℃以上にしても揮発する不純物量が少ない。したがって、電源装置から流した電気は炉内の雰囲気ガスに殆ど流れず、ヒーターに流れるため、炉内温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができる。
また、上記装置において、前記隔壁外と前記隔壁内とで気圧差を生じさせる気圧差発生手段を備えていることが好ましい。気圧差発生手段により炉内のガス流れを隔壁外から隔壁内に向かうようにすることができる。
上記装置において、2500 ℃から2900 ℃にかけての前記ヒーターの抵抗変化率の減少率が20 %以下であることが好ましい。2500 ℃以上でもヒーターの抵抗変化率があまり減少しないため、ヒーターの発熱量が殆ど低減しない。したがって炉内の温度を短時間で且つ確実に超高温にすることができる。
また、前記被処理物にAl、B、Be、Ca、Cu、Fe、K、Li、Mg、Na、Ni、S、Si、Ti、V、及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属又はこれら金属の化合物(以下金属等」と称する)が含まれていることがある。これらの金属等は沸点が比較的低く、2500 ℃以上で揮発しやすい導電化促進物質であるが、上述した装置では被処理物から揮発した金属等はガス排出路を通って装置外に排出され、ヒーターが配置された空間に拡散しない。したがって電源装置から流した電気が殆どヒーターに流れる。よって被処理物に上記金属等が含まれていても、装置内の温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができるため、本発明の装置による効果が最大限活かされる。
さらに、前記ヒーターは筒状に形成され、内部に被処理物を配置するるつぼが前記ヒーターの内側に配置されていることが好ましい。筒状のヒーターの内側に熱伝導性の良いるつぼを配置することにより、ヒーターの熱がるつぼを介して被処理物に伝わりやすい。したがって被処理物を効率良く加熱することができる。
本発明によると、電源装置からの電気供給量の増加を抑えつつ、装置内の温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができる。
本発明の第1実施形態に係る熱処理炉の内部構成を示す模式断面図である。 図1に示すヒーターの斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る熱処理炉の内部構成を示す模式断面図である。 比較例で用いた熱処理炉の内部構成を示す模式断面図である。 実験(No.1とNo.3)の結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
熱処理装置1は、熱処理炉2と、電源装置3とを備えている。熱処理炉2内には、ヒーター4と、ヒーター4の内側に隔壁5とが配置されている。隔壁5内にはるつぼ6が配置されている。るつぼ6内には被処理物100が配置されている。また、ヒーター4の外側には、断熱材7が配置されている。
熱処理炉2は水冷ジャケット8で覆われている。水冷ジャケット8により熱処理炉2の外面が高温になることを抑止できる。熱処理炉2の底壁にはガス導入管9が貫通している。熱処理炉2の側壁(図1中の左側壁)にはガス排出管10が貫通している。熱処理炉2の天井壁には、炉内圧力を測定する圧力計11が取り付けられている。
電源装置3は2つの黒鉛電極21及び黒鉛電極22によってヒーター4に接続されている。電源装置3には、電圧計及び電流計が内蔵されている。
ヒーター4は、図2に示すように、円筒状に形成されている。ヒーター4にはスリット4a及びスリット4bが周方向に交互に形成されている。スリット4aはヒーター4の下端から上方向に形成され、スリット4bはヒーター4の上端から下方向に形成されている。ヒーター4の主成分は炭素であり、ヒーター4は例えば黒鉛材料から形成されている。
隔壁5は、図1に示すように箱状の部材であり、るつぼ6及び被処理物100を全包囲するように配置されている。隔壁5の底部には黒鉛管12の一端が配置されている。黒鉛管12の下方には黒鉛管13及び配管14が順に配置されている。黒鉛管12と黒鉛管13と配管14は連通し、隔壁5内と熱処理炉2外とを連通したガス導入路を形成している。配管14には金属製の配管等を用いることができる。
隔壁5の天井部には、黒鉛管15の一端が配置されている。黒鉛管15の上方には配管16が配置されている。黒鉛管15と配管16は連通し、隔壁5内と熱処理炉2外とを連通したガス排出路を形成している。配管16には金属製の配管等を用いることができる。
熱処理炉2の内部は、隔壁5の内側の処理空間A1と、隔壁5の外側の外部空間B1とに分かれている。処理空間A1は、隔壁5に囲まれた空間である。隔壁5はガス不透過性であり、処理空間A1のガスが隔壁5を通過して外部空間B1へ移動することはない。また、外部空間B1のガスが隔壁5を通過して処理空間A1へ移動することもない。
ガス不透過性とは、例えば、常温で平均圧力100 kPa(1気圧)の条件下で、窒素ガスで測定した時の透過率が好ましくは1.0×10-5 cm2/s以下であることを言う。隔壁5には、熱分解炭素被覆炭素材、ガラス状炭素被覆炭素材及び炭化タンタル被覆炭素材からなる群から選ばれた少なくとも1つを用いることができる。熱分解炭素、ガラス状炭素及び炭化タンタルの被覆膜は超高温下でも安定であり、ヒーターの熱を被処理物に有効に伝達する。また、熱分解炭素、ガラス状炭素及び炭化タンタルの被覆膜では、被覆膜自体から導電性物質が放出されるおそれが小さい。さらにこれらの被覆膜で炭素材を被覆することにより、炭素材から不純物が放出されることを抑止できる。
2500 ℃から2900 ℃に至るヒーター4の抵抗変化率の減少率は20 %以下であることが好ましく、より好適には15 %以下である。2500 ℃以上の減少率が上記のように低い場合、2500 ℃以上でもヒーターの発熱量H(=I2T)が低下しにくい。したがって炉内目標温度が2500 ℃以上の超高温であっても、炉内温度が目標温度に到達する。
抵抗変化率は以下の式で表される。抵抗変化率とは、室温の抵抗を1としたときに対する高温時の抵抗の変化の度合いである。
また、2500 ℃から2900 ℃に至る抵抗変化率の減少率は以下の式で表される。
抵抗変化率の減少率=(2500 ℃の抵抗変化率−2900 ℃の抵抗変化率)/2500 ℃の抵抗変化率
断熱材7は、ヒーター4の外周面に対向するように配置された外周断熱部7aと、ヒーター4の上方に配置された上断熱部7bと、ヒーター4の下方に配置された下断熱部7cとを有している。断熱材7は炭素繊維を含む材料で形成されている。
ヒーター4と、隔壁5と、ガス導入路(黒鉛管12及び黒鉛管13)と、ガス排出路(黒鉛管15)等の炉内部品には、原料に由来するアルミニウム、鉄、チタン、ケイ素等の金属成分、若しくは金属化合物等の高沸点物質(不純物)が含まれる。上記炉内部品の灰分は50 ppm以下であることが好ましく、より好適には40 ppm以下である。灰分とは、JIS R 7223に示される方法で測定され、黒鉛を空気浴中にて約800 ℃で燃焼したときの非揮発性残滓の濃度のことであり、黒鉛中の不純物量を評価する一つの化学的物性である。灰分が50 ppm以下であると、熱処理炉2の内部空間が2500 ℃以上となっても、炉内部品から揮発する不純物量が少ない。
上記の炉内部品は、例えば下記の方法で製造される。
コークス等の原料を粉砕し(粉砕工程)、粉砕した原料とバインダー(結合材)を混合する(混捏工程)。得られた混合物を粉砕し、成形する(成形工程)。このとき、冷間静水圧成形法等を用いることができる。成形物を焼成することで炭化させ(焼成工程)、必要に応じてピッチ含浸や再焼成を行う(ピッチ含浸工程、再焼成工程)。その後、焼成物を約3000 ℃で熱処理することにより黒鉛化(黒鉛化工程)する。
次に、熱処理装置1で被処理物100を加熱処理する方法及び熱処理炉2内のガス流れについて説明する。
ガス導入管9から熱処理炉2内にアルゴンガスを含むガスを導入する。またガス排出管10を開状態とし、熱処理炉2内のガスをガス排出管10から熱処理装置1外に放出できるようにする。
さらに、隔壁5内に配管14から黒鉛管13及び黒鉛管12を介してアルゴンガスを含むガスを導入する。また、隔壁5内のガスが黒鉛管15を介して配管16から熱処理装置1外に放出できるようにする。
上記により、熱処理炉2内の空間(処理空間A1及び外部空間B1)はアルゴンガスを含むガス雰囲気となる。なお、隔壁5はガス不透過性であるため、隔壁5内の処理空間A1に存在するガスや被処理物から揮発した不純物等は、隔壁5を通過して外部空間B1へ移動しない。また、隔壁5外の外部空間B1に存在するガスや被処理物は、隔壁5を通過して処理空間A1へ移動しない。
電源装置3を作動させると、電源装置3から黒鉛電極21及び黒鉛電極22を介してヒーター4に電気が流れ、ヒーター4が発熱する。これにより熱処理炉2内の温度が上昇し、るつぼ6内の被処理物100が加熱される。熱処理炉2内が2500 ℃以上の超高温となることで、被処理物100から金属等の不純物(導電化促進物質)が揮発しても、不純物は隔壁5を通過せず、処理空間A1のガスとともに黒鉛管15及び配管16を通って熱処理炉2の外部に排出される。
そのため外部空間B1には導電化促進物質が殆ど存在しない。これにより電源装置3から供給された電気の殆どがヒーター4に流れ、外部空間B1の雰囲気ガスに流れない。したがって炉内の温度が上昇しやすい。また炉内の目標温度が2500 ℃以上の超高温である場合でも、電源装置3から供給された電気供給量を増加させることなく、炉内温度が短時間で目的温度に到達する。
ここで、るつぼ6内の被処理物100にAl、B、Be、Ca、Cu、Fe、K、Li、Mg、Na、Ni、S、Si、Ti、V、及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属又はこれら金属の化合物(以下「金属等」と称する)が含まれていることがある。これらの金属等の沸点は比較的低く、2500 ℃以上で揮発しやすい導電化促進物質であるが、隔壁5を通過せず、隔壁5内のガスとともに黒鉛管15及び配管16を通って熱処理炉2の外部に排出される。したがって被処理物100に金属等が含まれていても、炉内温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができるため、上記効果が最大限活かされる。
また、ヒーター4、隔壁5、ガス導入路(黒鉛管12、黒鉛管13)、及びガス排出路(黒鉛管15)等の炉内部品の灰分が50 ppm以下であるときは、熱処理炉2内が超高温となっても、これらの部品から高沸点物質が殆ど揮発しないため、外部空間B1に導電化促進物質が殆ど存在しない。したがって電源装置から流した電気は炉内の雰囲気ガスに殆ど流れず、ヒーター4に流れるため、炉内温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができる。
また、隔壁5が、熱分解炭素被覆炭素材、ガラス状炭素被覆炭素材、及び炭化タンタル被覆炭素材からなる群から選ばれた少なくとも1つであるときは、炭素材を被覆する膜が2500 ℃以上でも安定しているため、ヒーターの熱を被処理物に確実に伝えることができる。また、炭素材が被覆されていることにより、炭素材から不純物が放出されるのを抑止できる。さらに、熱分解炭素、ガラス状炭素及び炭化タンタルの被覆膜は導電性物質が放出するおそれが小さいため、隔壁5に起因するヒーターの抵抗低下を防ぐことが出来る。
また、2500 ℃から2900 ℃にかけてのヒーター4の抵抗変化率の減少率が20 %以下であると、2500 ℃以上でもヒーター4の抵抗変化率があまり減少しないため、ヒーター4の発熱量が殆ど低減しない。したがって炉内の温度を短時間で且つ確実に2500 ℃以上の超高温にすることができる。
さらに、円筒状のヒーター4の内側に熱伝導性が良好なるつぼ6を配置することにより、ヒーター4の熱がるつぼ6を介して被処理物100に伝わりやすい。したがって被処理物100を効率良く加熱することができる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について、図3を参照しつつ説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、隔壁の構成とガス導入路を有さない点である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
隔壁205は、図3に示すように箱状の部材であり、るつぼ6及び被処理物100を全包囲するように配置されている。隔壁205の底部には黒鉛管215の一端が配置されている。黒鉛管215の下方には黒鉛管216及び配管217が順に配置されている。黒鉛管215と黒鉛管216と配管217は連通し、隔壁205内と熱処理炉2外とを連通したガス排出路を形成している。配管217には金属製の配管等を用いることができる。黒鉛管215及び黒鉛管216の灰分は50 ppm以下であることが好ましく、より好適には40 ppm以下である。
熱処理炉2の内部空間は、隔壁205の内側の処理空間A2と、隔壁205の外側の外部空間B2とに分かれている。処理空間A2は、隔壁5に囲まれた空間である。隔壁5はガス透過性である。隔壁205は、例えば炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)、多孔質黒鉛材、炭素材等によって形成されている。
熱処理装置201で被処理物100を加熱処理するときは、ガス導入管9から熱処理炉2にアルゴンガスを含むガスを導入し、隔壁5内のガスが黒鉛管215及び黒鉛管216を介して配管217から熱処理装置1外に放出できるようにする。また、熱処理炉2内でガス流れが外部空間B2から処理空間A2に向かうようにする。この方法として、例えば、ガス導入管9の入口に増圧機または配管217の出口にポンプ等の気圧差発生手段を配置して、外部空間B2の気圧を処理空間A2の気圧より高くする方法がある。また、気圧差発生手段等の他の部材を用いることなく、配管217から熱処理装置1外にガスを放出可能な状態にする、ガス導入管9から熱処理炉2へのガス導入量を多くする(例えば配管217からのガス吸引量よりも多くする)、又は配管217からのガス吸引量を多くする(例えば、ガス導入管9から熱処理炉2へのガス導入量よりも多くする)等の方法によっても、炉内のガス流れを外部空間B2から処理空間A2に向かうようにすることができる。
上記により、熱処理炉2内の空間(処理空間A2及び外部空間B2)は、アルゴンガスを含むガス雰囲気となる。
電源装置3を作動させると、ヒーター4が発熱し、熱処理炉2内の温度が上昇してるつぼ6内の被処理物100が加熱される。熱処理炉2内が2500 ℃以上の超高温となることで、被処理物100から金属等の不純物(導電化促進物質)が揮発しても、炉内のガスは外部空間B2から処理空間A2に向かって流れるため、不純物は外部空間B2に移動せず、処理空間A2のガスとともに黒鉛管215及び黒鉛管216を介して配管217から熱処理炉2の外部に排出される。そのため外部空間B2には導電化促進物質が殆ど存在しない。これにより電源装置3から供給された電気の殆どがヒーター4に流れ、外部空間B2の雰囲気ガスに流れないため、炉内の温度が上昇しやすい。したがって、炉内の目標温度が2500 ℃以上の超高温である場合でも、電源装置からの電気供給量を増加させることなく、炉内温度が短時間で目的温度に到達する。
また、ガス排出路(黒鉛管215及び黒鉛管216)の灰分が50 ppm以下であるときは、熱処理炉2内が超高温となっても、これらの部品から揮発する高沸点物質が殆どないため、外部空間B2に導電化促進物質が殆ど存在しない。したがって電源装置から流した電気は炉内の雰囲気ガスに殆ど流れず、ヒーター4に流れるため、炉内温度を短時間で2500 ℃以上の超高温にすることができる。
なお、第2実施形態ではガス透過性の隔壁205がるつぼ6及び被処理物100を全包囲するように配置されているが、隔壁205はるつぼ6及び被処理物100の一部(外周部等)だけを包囲する構成としてもよい。例えば、隔壁205の上端部の一部が開口し、隔壁205が被処理物100の上端部の一部を覆っていなくてもよい。また、隔壁205の下端部の一部が開口し、隔壁205が被処理物100の下端部の一部を覆っていなくてもよい。またるつぼ6及び被処理物100の一部を包囲する隔壁205はガス不透過性でもよい。隔壁205がガス不透過性である場合は、隔壁205の開口から隔壁205内にガスが流入することにより、炉内のガスが外部空間B2から処理空間A2に向かって流れて上記効果が得られる。
次に、本発明の実施例及び比較例を説明する。
(1)るつぼの周囲に隔壁を配置した場合と隔壁を配置しなかった場合の炉内到達温度とヒーターの抵抗変化率の減少率を測定した。
実施例1では、るつぼの周囲にガス不透過性の隔壁を配置した。実施例2では、るつぼの周囲にガス透過性の隔壁を配置した。比較例1では、るつぼの周囲に隔壁を配置しなかった。実施例1では図1に示す熱処理装置を用い、実施例2では図3に示す熱処理装置を用い、比較例1では図4に示す熱処理装置を用いた。比較例1の熱処理装置は、実施例1の熱処理装置の隔壁5、ガス導入路(黒鉛管12、黒鉛管13、配管14)、及びガス排出炉(黒鉛管15、配管16)を有さない点と、圧力計11及びガス排出管310の位置が異なる点とで、実施例1の熱処理装置と異なる。比較例1の熱処理装置では、熱処理炉2内のガスがガス排出管310から熱処理炉2外に排出される。
炉内をアルゴンガス雰囲気とし、炉内目標温度を3000 ℃とした。ヒーターの抵抗変化率(RT/R0)において、抵抗RTを昇温中に測定した電源装置の電圧及び電流から求め、抵抗R0を設置前に炉外にて専用装置で測定した。表1にはこれらの結果を示している。
表1に示すように、実施例1及び実施例2では炉内温度が目標の3000 ℃に到達したが、比較例1では2970 ℃と3000 ℃に到達しなかった。また、2500 ℃から2900 ℃にかけてのヒーターの抵抗変化率の減少率は、実施例1では6 %、実施例2では7 %であり、いずれも20 %以下であったが、比較例1では27 %であり20 %を超えていた。
実施例1及び実施例2では、被処理物から揮発した不純物(導電化促進物質)が隔壁外に移動せず、電気の殆どがヒーター4に流れたと考えられる。比較例1では、被処理物から揮発した不純物が炉内に拡散し、雰囲気ガスの導電化を促進したことで雰囲気ガスが電流のバイパスとなり、電気が雰囲気ガスに流れたと考えられる。また、揮発した不純物が多いため、ヒーターの抵抗変化率の減少率が高くなったと考えられる。これらにより炉内温度が目標温度の3000 ℃に到達しなかった。
(2)ヒーターの灰分を変えたときの炉内到達温度と抵抗変化率の減少率を調べた。
図4に示す装置を用いた。但し被処理物100を充填せずに、(1)と同様に炉内をアルゴンガス雰囲気とし、炉内の目標到達温度を3000 ℃として昇温操作を行った。ヒーターの抵抗変化率(RT/R0)については、(1)と同様な方法で求めた。表2にはこれらの結果を示している。また図5に実験No.1とNo.3の抵抗変化率の減少率を示している。
表2に示すように、No.1及びNo.2では炉内温度が目標の3000 ℃に到達したが、No.3では2910 ℃と3000 ℃に到達しなかった。また、2500 ℃から2900 ℃にかけてのヒーターの抵抗変化率の減少率は、No.1では15 %、No.2では 9 %であり、いずれも20 %以下であったが、No.3では25 %であり、20 %を超えていた。
No.1及びNo.2では、ヒーターの灰分量が低いため、ヒーターから揮発する不純物(導電化促進物質)が殆どなかったものと考えられる。その結果、電気が殆どヒーターに流れ、ヒーターの抵抗変化率の減少率が小さくなると共に炉内温度が目標温度に達したと考えられる。一方No.3では、ヒーターの灰分量が多いため、ヒーターから不純物が多く揮発し炉内に拡散することにより、炉内雰囲気ガスの導電化が促進されたと考えられる。これにより電源装置から流した電気が雰囲気ガスに流れた結果、ヒーターの抵抗変化率の減少率が大きくなり、炉内温度が目標温度に達しなかったと考えられる。上記現象は、No.1とNo.3との抵抗変化率に差異が生じ始めた2500 ℃近辺から生じたことが図5からわかった。
No.1〜No.3の実験では図4に示す装置を用いたが、被処理物を用いていないため、図4の炉内空間は、図1の外部空間B1及び図3の外部空間B2と同じ状態である。したがって、上記実験を図1に示す熱処理装置及び図3に示す熱処理装置を用いて行っても、表2と同様な結果が得られると考えられる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態に示すヒーター4、隔壁5,205、ガス導入路(黒鉛管12、黒鉛管13、配管14)、ガス排出路(黒鉛管15,215,216、配管16,217)及び断熱材7の形状等は一例であり、変更可能である。また、ガス導入管9及びガス排出管10の位置も変更可能である。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、配管14、配管16及び配管217として金属製の配管を例示したが、非金属製の配管を用いてもよい。配管14、配管16及び配管217に非金属製の配管を用いた場合、配管14、配管16及び配管217の灰分は50 ppm以下であることが好ましく、より好適には40 ppm以下である。このような灰分量であると、熱処理炉の内部空間が2500 ℃以上となっても、配管14、配管16及び配管217から揮発する高沸点物質が殆どないため、電源装置から流した電気は炉内の雰囲気ガスに殆ど流れず、ヒーターに流れる。
1,201 熱処理装置
2 熱処理炉(炉)
4 ヒーター
5,205 隔壁
6 るつぼ
7 断熱材
9 ガス導入管
10,310 ガス排出管
12,13 黒鉛管(ガス導入路)
14 配管(ガス導入路)
15,215,216 黒鉛管(ガス排出路)
16,217 配管(ガス排出路)
100 被処理物

Claims (10)

  1. 内部が2500 ℃以上3500 ℃以下となる炉と、
    前記炉内に配置されたヒーターと、
    前記炉内で熱処理される被処理物と前記ヒーターとの間に配置され、被処理物を全包囲した隔壁と、
    前記隔壁に接続されているとともに前記隔壁内と前記炉外とを連通したガス導入路及びガス排出路とを備えており、
    前記隔壁がガス不透過性であることを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記ヒーター、前記隔壁、前記ガス導入路及び前記ガス排出路の主成分が炭素であり、
    前記ヒーター、前記隔壁、前記ガス導入路及び前記ガス排出路の灰分が50 ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 前記隔壁は、熱分解炭素被覆炭素材、ガラス状炭素被覆炭素材、及び炭化タンタル被覆炭素材からなる群から選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理装置。
  4. 内部が2500 ℃以上3500 ℃以下となる炉と、
    前記炉内に配置されたヒーターと、
    前記炉内で熱処理される被処理物と前記ヒーターとの間に配置され、被処理物の一部または全部を包囲した隔壁と、
    前記隔壁に接続されているとともに前記隔壁内と前記炉外とを連通したガス排出路とを備えており、
    前記炉内において熱処理中の気体の流れが前記隔壁外から前記隔壁内に向かっていることを特徴とする熱処理装置。
  5. 被処理物の全部を包囲する前記隔壁はガス透過性であることを特徴とする請求項4に記載の熱処理装置。
  6. 前記ヒーター、前記隔壁及び前記ガス排出路の主成分は炭素であり、
    前記ヒーター、前記隔壁及び前記ガス排出路の灰分が50 ppm以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱処理装置。
  7. 前記隔壁外の気圧を前記隔壁内の気圧より高くする気圧差発生手段を備えていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱処理装置。
  8. 2500 ℃から2900 ℃にかけての前記ヒーターの抵抗変化率の減少率が20 %以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱処理装置。
  9. 前記被処理物は、Al、B、Be、Ca、Cu、Fe、K、Li、Mg、Na、Ni、S、Si、Ti、V、及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属又はこれら金属の化合物が含まれることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱処理装置。
  10. 前記ヒーターは筒状に形成され、
    前記ヒーターの内側に配置され、内部に被処理物が配置されるるつぼを備えていることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112176289A (zh) * 2020-09-22 2021-01-05 中国建材国际工程集团有限公司 一种碲化镉/硫化镉/硒化镉薄膜沉积用坩埚舟及其制备方法
CN113151655A (zh) * 2020-12-03 2021-07-23 深圳市万泽航空科技有限责任公司 一种用于高温合金铸件的热处理方法及热处理装置

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