JP2016109095A - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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治則 宮村
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Abstract

【課題】スライドバルブを用いたアンロード機構を備えたスクリュー圧縮機において、部分負荷時に過圧縮損失を抑えるとともに吐出ガスが低圧側へ漏れるのも防止することにより、年間を通じて効率のよい運転を可能にする。【解決手段】スライドバルブ70の吐出開口調整部の傾斜面78を、部分負荷時は常に上記吐出ポート25を上記螺旋溝41から遮断するように形成し、かつ、軸直角平面に対する傾斜角度を、ゲートロータ50との噛合部から遠い部分よりも近い部分ほど大きくする。【選択図】図10

Description

本発明は、スクリュー圧縮機に関し、特に、スライドバルブを用いたアンロード機構により運転容量を制御するように構成されたスクリュー圧縮機に関するものである。
従来、冷媒や空気を圧縮する圧縮機として、スクリュー圧縮機が用いられている。例えば、特許文献1には、1つのスクリューロータと2つのゲートロータとを備えたシングルスクリュー圧縮機が開示されている。
このシングルスクリュー圧縮機では、スクリューロータとゲートロータがケーシング内に収容されている。スクリューロータには螺旋溝が形成されており、この螺旋溝にゲートロータが噛み合うことにより圧縮室が形成されている。また、ケーシング内には、低圧空間と高圧空間が形成されている。そして、スクリューロータが回転駆動されると、低圧空間内の流体が圧縮室へ吸入されて圧縮され、圧縮室内で圧縮された流体が高圧空間へ吐出される。
特許文献1のスクリュー圧縮機には、スライドバルブが設けられている。スライドバルブは、その内面(ケーシングの径方向内側に位置する面)がスクリューロータの外周と対面するように配置され、スクリューロータの回転軸と平行な方向へスライド可能となっている。特許文献1のシングルスクリュー圧縮機のスライドバルブは、圧縮機の運転容量を調節するためのアンロード機構に用いられている。
このスライドバルブは、圧縮途中の冷媒を圧縮室の吸入側に戻すバイパス通路の開度を全閉から全開まで調整するように構成されている。スライドバルブは、スクリューロータの軸方向へスライドして移動可能であり、その位置に応じてバイパス通路の開度が調整されて、バイパス通路を流れるバイパスガス流量を変化させるようになっている。そして、バイパスガス流量を調整することによって、スクリュー圧縮機の運転容量が制御される。
また、スライドバルブがスクリューロータの軸方向へ移動するのに伴って、吐出ポートの開口面積の大きさが変化する。スライドバルブには、吐出ポートの開口面積を変化させる部分に、スクリューロータの螺旋溝のねじれ方向に傾斜する傾斜面が設けられている。
スライドバルブを用いたアンロード機構は、雄ロータと雌ロータを備えたツインスクリュー圧縮機においても用いられている。ツインスクリュー圧縮機では、雄ロータと雌ロータが噛み合って圧縮室が形成されている。
特許第4301345号公報
従来のスクリュー圧縮機では、一般に、最大負荷運転時の成績係数(COP)を重視してスライドバルブの吐出ポート側の端面の傾斜角度が設計されていた。具体的には、図13(A)に示すように、スライドバルブ(100)がスライドバルブ収納部(110)内で吸入側の端部(図の上方の移動端)に位置する最大負荷時の効率が最大となる開口タイミングで上記傾斜面(101)の傾斜角度が設計されていた。しかしながら、スクリュー圧縮機が最大負荷で運転される期間が年間に占める割合は現実には少なく、年間のほとんどの場合は部分負荷運転が行われている。そこで、スクリュー圧縮機を、部分負荷時の性能を重視して設計することが望まれる。言い換えると、年間を通じれば、負荷の大きい期間や小さい期間、その中間の期間などがあることから、それぞれの負荷時のCOPに重み付けをして、年間を通じて効率のよい運転を行える設計をすることが望ましい。
ここで、スライドバルブ(100)を用いたアンロード機構では、図13(A)に示す最大負荷時にCOPを最適化する設計をしていると、その最大負荷時には、図13(B)に示すようにハッチングを付した吐出ポート(120)の面積が最大になるものの、スライドバルブ(100)が図の下方へスライドしてアンロードを行う部分負荷時には、図13(C)に示すように吐出ポート(120)の面積が小さくなり、過圧縮損失が大きくなって圧縮機の効率が低下してしまう。
これに対して、図13(D)に示すように部分負荷時に効率が最適化されるようにスライドバルブ(100)の傾斜面(101)の傾斜角度を設計すると、部分負荷時には図13(E)に示すように吐出ポート(120)の面積を確保できるので過圧縮損失を抑えることができる。しかしながら、この場合は、図13(F)に示すように圧縮行程が終わっていないのに吐出ポート(120)とバイパス通路(130)がスクリューロータの螺旋溝(140)を介して連通してしまうことがあり、そうなると、吐出ガスが矢印で示すように高圧側から低圧側へ漏れるために圧縮機の効率が低下してしまう。このように、部分負荷時の効率を重視してスライドバルブを設計することは、実際には容易ではないという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スライドバルブを用いたアンロード機構を備えたスクリュー圧縮機において、部分負荷時に過圧縮損失を抑えるとともに吐出ガスが高圧側から低圧側へ漏れるのも防止することにより、部分負荷時の効率の低下を抑えて年間を通じて効率のよい運転を行えるようにすることである。
第1の発明は、ケーシング(10)と、螺旋溝(41)を有し上記ケーシング(10)内で回転するスクリューロータ(40)と、該スクリューロータ(40)にかみ合って上記ケーシング(10)内に圧縮室(23)を形成するゲートロータ(50)と、上記圧縮室(23)の圧縮途中位置から該圧縮室(23)の吸入側に連通するバイパス通路(33)と、上記圧縮室(23)から高圧ガスが吐出される吐出ポート(25)と、上記スクリューロータ(40)の軸方向へスライド可能に構成されたスライドバルブ(70)を有するアンロード機構(70,80)と、を備え、上記スライドバルブ(70)が、上記バイパス通路(33)の開度を調整するバイパス開度調整部(71)と、上記吐出ポート(25)の開口面積を調整する吐出開口調整部(72)を備え、該吐出開口調整部(72)が、上記螺旋溝(41)のねじれ方向へ傾斜した傾斜面(78)を有するスクリュー圧縮機を前提としている。
そして、このスクリュー圧縮機は、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記バイパス通路(33)が上記螺旋溝(41)に連通している部分負荷時は常に上記吐出ポート(25)を上記螺旋溝(41)から遮断するように形成され、かつ、軸直角平面に対する傾斜角度が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分よりも近い部分ほど大きいことを特徴としている。
この第1の発明では、部分負荷時には、螺旋溝(41)とバイパス通路(33)が連通していても、吐出ポート(25)が螺旋溝(41)から遮断されるので、バイパス通路(33)と吐出ポート(25)は連通しない。したがって、吐出ガスはバイパス通路(33)を通って低圧側へ流入しない。また、スライドバルブ(70)の傾斜面(78)の傾斜角度が、ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分よりも近い部分ほど大きいので、部分負荷時に、図10(E)に示すように、図13(C)の従来の部分負荷時の開口面積に比べて吐出ポート(25)の開口面積が大きくなる。したがって、過圧縮損失が抑えられる。
第2の発明は、第1の発明において、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分から近い部分にわたって形成された傾斜角度の異なる複数の傾斜面(78a,78b)で構成されていることを特徴としている。
この第2の発明では、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を傾斜角度の異なる複数の傾斜面(78a,78b)で形成することにより、部分負荷時にバイパス通路(33)と吐出ポート(25)を連通させず、かつ吐出ポート(25)の開口面積を大きくして過圧縮損失を抑えられる。
第3の発明は、第2の発明において、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分に位置する第1傾斜面(78a)と、ゲートロータ(50)との噛合部に近い部分に位置する第2傾斜面(78b)とから構成され、上記第1傾斜面(78a)は第1の負荷時に運転効率が最大となる傾斜角度で形成され、上記第2傾斜面(78b)は第1の負荷時よりも運転容量が小さい第2の負荷時に運転効率が最大となる傾斜角度で形成されていることを特徴としている。
この第3の発明では、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を傾斜角度の異なる第1傾斜面(78a)と第2傾斜面(78b)で構成することにより、第1の負荷時と第2の負荷時のそれぞれにおいて圧縮機を最大の効率で運転することができる。
第4の発明は、第1の発明において、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分から近い部分にわたって形成された連続的な曲面で構成されていることを特徴としている。
この第4の発明では、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を連続的な曲面で形成することにより、部分負荷時にバイパス通路(33)と吐出ポート(25)を連通させず、かつ吐出ポート(25)の開口面積を大きくして過圧縮損失を抑えられる。
第5の発明は、第1から第4の発明の何れか1つにおいて、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から最も遠い部分の傾斜角度が、最大負荷時に運転効率が最大となる傾斜角度で形成されていることを特徴としている。
この第5の発明では、ゲートロータ(50)との噛合部から最も遠い部分の傾斜角度を、最大負荷時に効率が最大となる傾斜角度にしているので、最大負荷運転時にも高効率の運転を行える。
本発明によれば、部分負荷時には、螺旋溝(41)とバイパス通路(33)が連通していても、吐出ポート(25)が螺旋溝(41)から遮断されるので、バイパス通路(33)と吐出ポート(25)が連通しない。したがって、吐出ガスがバイパス通路(33)へ流入しないので、スクリュー圧縮機の効率が低下するのを抑えられる。また、スライドバルブ(70)の傾斜面(78)の傾斜角度が、ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分よりも近い部分の方が大きいので、部分負荷時に、図10(E)に示すように、吐出ポート(25)の開口面積が図13(C)の従来の開口面積に比べて大きくなる。したがって、過圧縮損失が抑えられるので、このことによっても圧縮機の効率が低下するのを抑えられる。以上のように、本発明によれば、部分負荷時の効率の低下を抑えられるので、年間の効率を最適化することが可能になる。
上記第2の発明によれば、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を傾斜角度の異なる複数の傾斜面(78a,78b)で形成したことにより、部分負荷時にバイパス通路(33)と吐出ポート(25)を連通させず、かつ吐出ポート(25)の開口面積を大きくして過圧縮損失を抑える構成を容易に実現できる。
上記第3の発明によれば、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を傾斜角度の異なる第1傾斜面(78a)と第2傾斜面(78b)で構成したことにより、第1の負荷時と第2の負荷時のそれぞれで、圧縮機を最大の効率で運転することができる構成を容易に実現できる。
上記第4の発明によれば、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を連続的な曲面で形成したことにより、部分負荷時にバイパス通路(33)と吐出ポート(25)を連通させず、かつ吐出ポート(25)の開口面積を大きくして過圧縮損失を抑える構成を容易に実現できる。
上記第5の発明によれば、ゲートロータ(50)との噛合部から最も遠い部分の傾斜角度を、最大負荷時に効率が最大となる傾斜角度にしているので、最大負荷運転時にも高効率の運転を行える構成を容易に実現できる。
図1は、本発明の実施形態に係るスクリュー圧縮機の全体構成を示す側面図である。 図2は、スクリュー圧縮機の要部の構成を示す断面図である。 図3は、図2におけるA−A断面を示す断面図である。 図4は、スクリュー圧縮機の要部を抜き出して示す斜視図である。 図5は、スライドバルブの斜視図である。 図6は、スライドバルブの正面図である。 図7(A)は、スクリュー圧縮機の圧縮機構の吸込行程の動作を示す平面図、図7(B)は、スクリュー圧縮機の圧縮機構の圧縮行程の動作を示す平面図、図7(C)は、スクリュー圧縮機の圧縮機構の吐出行程の動作を示す平面図である。 図8は、スクリュー圧縮機の部分拡大断面図であって、運転容量が最大になっている状態を示す。 図9は、スクリュー圧縮機の部分拡大断面図であって、運転容量が最小になっている状態を示す。 図10(A)〜図10(F)は、それぞれ、実施形態1に係るスライドバルブの動作状態図である。 図11(A)〜図11(D)は、それぞれ、実施形態1の変形例に係るスライドバルブの動作状態図である。 図12(A)〜図12(D)は、それぞれ、実施形態2に係るスライドバルブの動作状態図である。 図13(A)〜図13(F)は、それぞれ、従来のスライドバルブの動作状態図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
図1に示すように、このスクリュー圧縮機(1)では、圧縮機構(20)とそれを駆動する電動機(15)とが1つのケーシング(10)に収容されている。このスクリュー圧縮機(1)は、半密閉型に構成されている。
ケーシング(10)は、横長の円筒状に形成されている。ケーシング(10)の内部空間は、ケーシング(10)の一端側に位置する低圧空間(S1)と、ケーシング(10)の他端側に位置する高圧空間(S2)とに仕切られている。ケーシング(10)には、低圧空間(S1)に連通する吸入管接続部(11)と、高圧空間(S2)に連通する吐出管接続部(12)とが設けられている。図示していないが、チラーシステムなどの冷凍装置が有する冷媒回路の蒸発器から流れてきた低圧ガス冷媒は、吸入管接続部(11)を通って低圧空間(S1)へ流入する。また、圧縮機構(20)から高圧空間(S2)へ吐出された圧縮後の高圧ガス冷媒は、吐出管接続部(12)を通って冷媒回路の凝縮器へ供給される。
ケーシング(10)内では、低圧空間(S1)に電動機(15)が配置され、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)の間に圧縮機構(20)が配置されている。圧縮機構(20)の駆動軸(21)は、電動機(15)に連結されている。スクリュー圧縮機(1)の電動機(15)は商用電源(図示せず)に接続されている。電動機(15)は、商用電源から交流を供給されて一定の回転速度で回転する。
また、ケーシング(10)内では、高圧空間(S2)に油分離器(16)が配置されている。油分離器(16)は、圧縮機構(20)から吐出された冷媒から冷凍機油を分離する。高圧空間(S2)における油分離器(16)の下方には、潤滑油である冷凍機油を貯留するための油貯留室(17)が形成されている。油分離器(16)において冷媒から分離された冷凍機油は、下方へ流れ落ちて油貯留室(17)に蓄えられる。
図2,図3に示すように、圧縮機構(20)は、ケーシング(10)内に形成された円筒壁(30)と、該円筒壁(30)の中に配置された1つのスクリューロータ(40)と、該スクリューロータ(40)に噛み合う2つのゲートロータ(50)とを備えている。円筒壁(30)は、後述する軸受ホルダ(35)と共に、シリンダ部を構成している。スクリューロータ(40)には駆動軸(21)が挿通し、スクリューロータ(40)と駆動軸(21)は、キー(22)によって連結されている。駆動軸(21)はスクリューロータ(40)と同軸上に配置されている。スクリューロータ(40)は、該スクリューロータ(40)の吸入側に配置された電動機(15)によりケーシング(10)内で回転駆動される。
円筒壁(30)の高圧空間(S2)側の端部には、軸受ホルダ(35)が挿入されている。軸受ホルダ(35)は、概ね円筒状に形成されている。軸受ホルダ(35)の外径は、円筒壁(30)の内周面(即ち、スクリューロータ(40)の外周面と摺接する面)の直径と実質的に等しくなっている。軸受ホルダ(35)の外周面のうち後述するスライドバルブ(70)と摺接する部分は、摺接面であるガイド面(37)となっている。軸受ホルダ(35)の内側には、軸受(36)が設けられている。軸受(36)には駆動軸(21)の先端部が挿通しており、この軸受(36)が駆動軸(21)を回転自在に支持している。
図4に示すスクリューロータ(40)は、概ね円柱状に形成された金属製の部材である。スクリューロータ(40)は、円筒壁(30)に回転可能に嵌合しており、その外周面が円筒壁(30)の内周面と油膜を介して摺接する。スクリューロータ(40)の外周部には、スクリューロータ(40)の一端から他端へ向かって螺旋状に延びる螺旋溝(41)が複数(本実施形態では、6本)形成されている。
スクリューロータ(40)の各螺旋溝(41)は、図4における手前側の端部が始端となり、同図における奥側の端部が終端となっている。また、スクリューロータ(40)は、同図における手前側の端部(吸入側の端部)がテーパー状に形成されている。図4に示すスクリューロータ(40)では、テーパー面状に形成されたその手前側の端面に螺旋溝(41)の始端が開口する一方、その奥側の端面に螺旋溝(41)の終端は開口していない。
各ゲートロータ(50)は、樹脂製の部材である。各ゲートロータ(50)には、長方形板状に形成された複数(本実施形態では、11枚)のゲート(51)が放射状に設けられている。各ゲートロータ(50)は、円筒壁(30)の外側に、スクリューロータ(40)の回転軸に対して軸対称となるように配置されている。各ゲートロータ(50)の軸心は、スクリューロータ(40)の軸心に垂直な平面内にある。各ゲートロータ(50)は、ゲート(51)が円筒壁(30)の一部を貫通してスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)に噛み合うように配置されている。
ゲートロータ(50)は、金属製のロータ支持部材(55)に取り付けられている(図4を参照)。ロータ支持部材(55)は、基部(56)とアーム部(57)と軸部(58)とを備えている。基部(56)は、やや肉厚の円板状に形成されている。アーム部(57)は、ゲートロータ(50)のゲート(51)と同数だけ設けられており、基部(56)の外周面から外側へ向かって放射状に延びている。軸部(58)は、棒状に形成されて基部(56)に立設されている。軸部(58)の中心軸は、基部(56)の中心軸と一致している。ゲートロータ(50)は、基部(56)及びアーム部(57)における軸部(58)とは反対側の面に取り付けられている。各アーム部(57)は、ゲート(51)の背面に当接している。
ゲートロータ(50)が取り付けられたロータ支持部材(55)は、円筒壁(30)に隣接してケーシング(10)内に区画形成されたゲートロータ室(90)に収容されている(図3を参照)。図3におけるスクリューロータ(40)の右側に配置されたロータ支持部材(55)は、ゲートロータ(50)が下端側となる向きで設置されている。一方、同図におけるスクリューロータ(40)の左側に配置されたロータ支持部材(55)は、ゲートロータ(50)が上端側となる向きで設置されている。各ロータ支持部材(55)の軸部(58)は、ゲートロータ室(90)内の軸受ハウジング(91)に軸受(92,93)を介して回転自在に支持されている。なお、各ゲートロータ室(90)は、低圧空間(S1)に連通している。
圧縮機構(20)では、円筒壁(30)の内周面と、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と、ゲートロータ(50)のゲート(51)とによって囲まれた空間が圧縮室(23)になる。スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)は、吸入側端部において低圧空間(S1)に開放しており、この開放部分が圧縮機構(20)の吸入口(24)になっている。
スクリュー圧縮機(1)には、圧縮途中のガスの一部を低圧側に戻すアンロード動作を行うことにより運転容量を調節するためのスライドバルブ(70)が設けられている。このスライドバルブ(70)は、スライドバルブ収納部(31)内に設けられている。スライドバルブ収納部(31)は、円筒壁(30)がその周方向の2カ所において径方向外側に膨出した部分であって、吐出側の端部(図2における右端部)から吸入側の端部(同図における左端部)へ向かって延びる概ね半円筒形状に形成されている。スライドバルブ(70)は、円筒壁(30)の軸心方向にスライド可能に構成されており、スライドバルブ収納部(31)へ挿入された状態でスクリューロータ(40)の外周面と対面する。スライドバルブ(70)の詳細な構造は後述するが、図2の吐出側への移動端が全開側の移動端、吸入側への移動端が全閉側の移動端になっている。
ケーシング(10)内には、円筒壁(30)の外側に連通路(32)が形成されている。連通路(32)は、各スライドバルブ収納部(31)に対応して1つずつ形成されている。連通路(32)は、円筒壁(30)の軸方向へ延びる通路であって、その一端が低圧空間(S1)に開口し、その他端がスライドバルブ収納部(31)の吸入側の端部に開口している。円筒壁(30)のうち連通路(32)の一端(図2における右端)に隣接する部分は、スライドバルブ(70)の先端面(P2)が当接するシート部(13)を構成している。また、シート部(13)では、スライドバルブ(70)の先端面(P2)と向かい合う面がシート面(P1)を構成している。
スライドバルブ(70)が高圧空間(S2)寄り(図2における駆動軸(21)の軸方向を左右方向とした場合の右側寄り)へスライドすると、スライドバルブ収納部(31)の端面(P1)とスライドバルブ(70)のバイパス開度調整部(71)の端面(P2)との間に軸方向隙間が形成される。この軸方向隙間は、圧縮室(23)の圧縮途中位置から低圧空間(S1)へ冷媒を戻すためのバイパス通路(33)を、連通路(32)と共に構成している。つまり、バイパス通路(33)は、圧縮室(23)の吸入側である低圧空間(S1)に一端が連通し、圧縮室(23)の圧縮途中位置である円筒壁(30)の内周面に他端が開口可能となっている。スライドバルブ(70)を移動させてバイパス通路(33)の開度を変更すると、圧縮途中から低圧側へ戻る冷媒の流量が変化するので、圧縮機構(20)の容量が変化する。
上記スライドバルブ(70)は、上記バイパス通路(33)の開度を調整するバイパス開度調整部(71)と、上記吐出ポート(25)の開口面積を調整する吐出開口調整部(72)を備えている。この吐出開口調整部(72)は、上記スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)のねじれ方向へ傾斜した傾斜面(78)を有している。
上記円筒壁(30)には、圧縮室(23)と高圧空間(S2)とを連通させるための吐出ポート(25)が形成されている。また、スライドバルブ(70)の吐出開口調整部(72)は、スライドバルブ(70)の位置が変化するのに伴って吐出ポート(25)の開口面積を変化させるように構成されている。
上記スクリュー圧縮機(1)には、スライドバルブ(70)をスライド駆動してバイパス通路(33)の開度を調整するためのスライドバルブ駆動機構(80)が設けられている。スライドバルブ(70)とスライドバルブ駆動機構(80)とによりアンロード機構(70,80)が構成されている。このスライドバルブ駆動機構(80)は、ケーシング(10)に固定されたシリンダ(81)と、該シリンダ(81)内に装填されたピストン(82)と、該ピストン(82)のピストンロッド(83)に連結されたアーム(84)と、該アーム(84)とスライドバルブ(70)とを連結する連結ロッド(85)と、アーム(84)を図2の右方向(アーム(84)をケーシング(10)から引き離す方向)に付勢するスプリング(86)とを備えている。
図2に示すスライドバルブ駆動機構(80)では、ピストン(82)の左側空間(ピストン(82)に対してスクリューロータ(40)側に形成される空間)の内圧が、ピストン(82)の右側空間(ピストン(82)に対してアーム(84)側に形成される空間)の内圧よりも高くなっている。そして、スライドバルブ駆動機構(80)は、ピストン(82)の右側空間の内圧(即ち、右側空間内のガス圧)を調節することによって、スライドバルブ(70)の位置を調整するように構成されている。
スクリュー圧縮機(1)の運転中において、スライドバルブ(70)では、その軸方向の端面の一方(バイパス開度調整部(71)の端面(P2))に圧縮機構(20)の吸入圧が、他方に圧縮機構(20)の吐出圧がそれぞれ作用する。このため、スクリュー圧縮機(1)の運転中において、スライドバルブ(70)には、常にスライドバルブ(70)を低圧空間(S1)側へ押す方向の力が作用する。従って、スライドバルブ駆動機構(80)におけるピストン(82)の左側空間及び右側空間の内圧を変更すると、スライドバルブ(70)を高圧空間(S2)側へ引き戻す方向の力の大きさが変化し、その結果、スライドバルブ(70)の位置が変化する。
〈スライドバルブの構成〉
スライドバルブ(70)について、図5,図6を参照しながら詳細に説明する。
スライドバルブ(70)は、弁体部(73)と、ガイド部(75)と、連結部(77)とによって構成されている。このスライドバルブ(70)において、弁体部(73)とガイド部(75)と連結部(77)とは、1つの金属製の部材で構成されている。つまり、弁体部(73)とガイド部(75)と連結部(77)とは、一体に形成されている。
弁体部(73)は、図3にも示すように、中実の円柱の一部を削ぎ落としたような形状となっており、削ぎ落とされた部分(内面側の部分:ケーシングの径方向内側に位置する部分)がスクリューロータ(40)を向く姿勢でケーシング(10)内に設置されている。弁体部(73)において、スクリューロータ(40)と向かい合う摺接面(74)は、その曲率半径が円筒壁(30)の内周面の曲率半径と等しい円弧面となっており、弁体部(73)の軸方向へ延びている。この弁体部(73)の摺接面(74)は、スクリューロータ(40)と油膜を介して摺接すると共に、螺旋溝(41)によって形成された圧縮室(23)に臨んでいる。
弁体部(73)では、一方の端面(図6における左端面)が、弁体部(73)の軸心と直交する平坦面となっている。この端面は、バイパス開度調整部(71)の端面であって、スライドバルブ(70)のスライド方向における先端面(P2)となっている。また、弁体部(73)では、他方の端面(同図における右端面)(78)が、弁体部(73)の軸直角平面に対して傾斜した傾斜面(78)となっている。この弁体部(73)の傾斜面(78)の傾斜方向は、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)のねじれ方向と同じ方向である。なお、傾斜面(78)の具体的な形状は後述する。
ガイド部(75)は、断面がT字形の柱状に形成されている。このガイド部(75)において、T字形の横棒に対応する側面(即ち、図5において手前側を向いている側面)は、その曲率半径が円筒壁(30)の内周面の曲率半径と等しい円弧面となっており、軸受ホルダ(35)の外周面と油膜を介して摺接する摺接面(76)を構成している。つまり、この摺接面(76)は、軸受ホルダ(35)のガイド面(37)と摺接している。スライドバルブ(70)において、ガイド部(75)は、その摺接面(76)が弁体部(73)の摺接面(74)と同じ側を向く姿勢で、弁体部(73)の端面(傾斜面)(78)から間隔をおいて配置されている。
連結部(77)は、比較的短い柱状に形成され、弁体部(73)とガイド部(75)を連結している。この連結部(77)は、弁体部(73)の摺接面(74)やガイド部(75)の摺接面(76)とは反対側にオフセットした位置に設けられている。そして、スライドバルブ(70)では、弁体部(73)とガイド部(75)の間の空間とガイド部(75)の背面側(即ち、摺接面(76)とは反対側)の空間とが吐出ガスの通路を形成している。また、弁体部(73)の摺接面(74)とガイド部(75)の摺接面(76)との間が上記吐出ポート(25)の開口面積を調整するための吐出開口調整部(72)となっている。
上述したように、上記スライドバルブ(70)の弁体部(73)の吐出ポート(25)側の端面(78)は、上記螺旋溝(41)のねじれ方向に傾斜した傾斜面(78)である。そして、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)は、上記バイパス通路(33)が上記螺旋溝(41)に連通している部分負荷時に上記吐出ポート(25)を上記螺旋溝(41)から遮断するように形成されている(図10(F)に示すように、バイパス通路(33)が螺旋溝(41)から外れるタイミングで吐出ポート(25)がまだ開かない(螺旋溝(41)と連通しない)ように形成されている)。
また、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)は、軸直角の平面に対する傾斜角度が、ゲートロータ(50)との噛合部から遠い側(78a)よりも噛合部に近い側(78b)ほど大きくなっている。
詳しくは、図5,図6,図10(A)〜図10(F)に示すように、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)は、ゲートロータ(50)との噛合部に近い側から遠い側にわたって形成された、傾斜角度の異なる複数の傾斜面(78a,78b)で構成されている。本実施形態において、複数の傾斜面(78a,78b)は、ゲートロータ(50)との噛合部から遠い側に位置する第1傾斜面(78a)と、ゲートロータ(50)との噛合部に近い側に位置する第2傾斜面(78b)とで構成されている。
上記第1傾斜面(78a)は第1の部分負荷時(例えば75%負荷の運転時)に効率が最大となる傾斜角度で形成され、上記第2傾斜面(78b)は第1の部分負荷時よりも運転容量が小さい第2の部分負荷時(例えば50%負荷の運転時)に効率が最大となる傾斜角度で形成されている。
−運転動作−
スクリュー圧縮機(1)の全体的な運転動作について、図7を参照しながら説明する。
スクリュー圧縮機(1)において電動機(15)を起動すると、駆動軸(21)が回転するのに伴ってスクリューロータ(40)が回転する。このスクリューロータ(40)の回転に伴ってゲートロータ(50)も回転し、圧縮機構(20)が吸入行程、圧縮行程および吐出行程を繰り返す。ここでは、図7においてドットを付した圧縮室(23)に着目して説明する。
図7(A)において、ドットを付した圧縮室(23)は、低圧空間(S1)に連通している。また、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)は、同図の下側に位置するゲートロータ(50)のゲート(51)と噛み合わされている。スクリューロータ(40)が回転すると、このゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって相対的に移動し、それに伴って圧縮室(23)の容積が拡大する。その結果、低圧空間(S1)の低圧ガス冷媒が吸入口(24)を通じて圧縮室(23)へ吸い込まれる。
スクリューロータ(40)が更に回転すると、図7(B)の状態となる。同図において、ドットを付した圧縮室(23)は、閉じきり状態となっている。つまり、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)は、同図の上側に位置するゲートロータ(50)のゲート(51)と噛み合わされ、このゲート(51)によって低圧空間(S1)から仕切られている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって移動すると、圧縮室(23)の容積が次第に縮小する。その結果、圧縮室(23)内のガス冷媒が圧縮される。
スクリューロータ(40)が更に回転すると、図7(C)の状態となる。同図において、ドットを付した圧縮室(23)は、吐出ポート(25)を介して高圧空間(S2)と連通した状態となっている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって移動すると、圧縮された冷媒ガスが圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ押し出されてゆく。
次に、スライドバルブ(70)を用いた圧縮機構(20)の容量制御について、図2,図8,図9を参照しながら説明する。なお、圧縮機構(20)の容量とは、“単位時間当たりに蒸発器を通過し、吸入管接続部(11)から圧縮機(1)に吸入される冷媒の量”を意味する。この圧縮機構(20)の容量は、スクリュー圧縮機(1)の運転容量と同義である。
スライドバルブ(70)が図2の左側へ最も押し込まれた状態では、図8に示すようにスライドバルブ(70)が全閉側(吸入側)の移動端に位置する。そして、スライドバルブ(70)の先端面(P2)がシート部(13)のシート面(P1)に押し付けられ、圧縮機構(20)の容量が最大となる。つまり、この状態では、バイパス通路(33)がスライドバルブ(70)の弁体部(73)によって完全に塞がれ、低圧空間(S1)から圧縮室(23)へ吸入された冷媒ガスの全てが高圧空間(S2)へ吐出される。したがって、この状態では、スクリュー圧縮機(1)の運転容量が最大となる。
一方、スライドバルブ(70)が図2の右側へ退き、スライドバルブ(70)の先端面(P2)がシート面(P1)から離れると、円筒壁(30)の内周面にバイパス通路(33)が開口する。この状態において、低圧空間(S1)から圧縮室(23)へ吸入された冷媒ガスは、その一部が圧縮行程途中の圧縮室(23)からバイパス通路(33)を通って低圧空間(S1)へ戻り、残りが最後まで圧縮されて高圧空間(S2)へ吐出される。
そして、スライドバルブ(70)の先端面(P2)とスライドバルブ収納部(31)のシート面(P1)との間隔が広がると(つまり、円筒壁(30)の内周面におけるバイパス通路(33)の開口面積が拡大すると)、それにつれてバイパス通路(33)を通って低圧空間(S1)へ戻る冷媒の量が増大し、高圧空間(S2)へ吐出される冷媒の量が減少する。また、スライドバルブ(70)の先端面(P2)とスライドバルブ収納部(31)のシート面(P1)との間隔が広がるほど、冷媒回路の吸入配管から圧縮機(1)に吸入される冷媒の流量が少なくなり、圧縮機構(20)の容量が小さくなる。
スライドバルブ(70)が図9に示す全開側(吐出側)の移動端に位置すると、スライドバルブ(70)の先端面(P2)と円筒壁(30)のシート面(P1)との距離が最大になる。つまり、この状態では、円筒壁(30)の内周面におけるバイパス通路(33)の開口面積が最大となり、圧縮室(23)からバイパス通路(33)を通って低圧空間(S1)へ戻されるバイパスガス冷媒の流量が最大となる。したがって、この状態では、圧縮機構(20)から高圧空間(S2)へ吐出される冷媒の流量が最少となる。また、バイパスガス冷媒の流量が最大になると、冷媒回路の吸入配管から圧縮機(1)に吸入される冷媒の流量が最小になり、スクリュー圧縮機(1)の運転容量が最小となる。
なお、圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ吐出される冷媒は、圧縮室(23)から先ずスライドバルブ(70)に形成された吐出ポート(25)へ流入する。その後、この冷媒は、吐出開口調整部(72)を通り、さらにスライドバルブ(70)のガイド部(75)の背面側に形成された通路を通って高圧空間(S2)へ流入する。
スライドバルブ(70)が図9に示す全開側(吐出側)の移動端に位置する部分負荷の状態(図10(D)参照)では、吐出ポート(25)の開口面積は、図10(E)にハッチングを付して示すように、従来の構造(図13(C)参照)に比べて大きくなる。したがって、この部分負荷の状態において、従来よりも過圧縮損失が少なくなり、スクリュー圧縮機(1)の運転効率が改善される。また、この部分負荷の状態においては、図10(F)に示すように、吐出ポート(25)とバイパス通路(33)は連通しないので、吐出ガスが低圧側へ漏れることもない。
また、スライドバルブ(70)が図8に示す全閉側の移動端に位置する100%負荷の状態では、図10(A)に示すように、従来と同じ吐出ポート(25)の開口面積を得ることができる(図13(B)参照)。吐出ポート(25)が開くタイミングは図10(B),図10(C)に示すように従来の構造よりも若干早くなる(従来の図13(A)に対応する図10(B)のタイミングで吐出ポート(25)が開く)ものの、100%負荷の運転が年間に占める割合は部分負荷の運転に比べて少ないので、期間効率の低下にはほとんど影響しない。
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を傾斜角度の異なる複数の傾斜面(78a,78b)で形成し、該傾斜面(78)の傾斜角度が、ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分(78a)よりも近い部分(78b)ほど大きくなるようにしているので、部分負荷時に螺旋溝(41)とバイパス通路(33)が連通していても、吐出ポート(25)が螺旋溝(41)から遮断され、バイパス通路(33)と吐出ポート(25)が連通しない構成を実現できる。したがって、吐出ガスがバイパス通路(33)へ流入しないので、スクリュー圧縮機の効率が低下するのを抑えられる。
また、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)の傾斜角度が、ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分(78a)よりも近い部分(78b)ほど大きくなるようにしているので、部分負荷時には、図10(E)に示すように、吐出ポート(25)の開口面積が図13(C)の従来の開口面積に比べて大きくなる。したがって、過圧縮損失が抑えられるので、このことによっても圧縮機の効率が低下するのを抑えられる。また、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を傾斜角度の異なる第1傾斜面(78a)と第2傾斜面(78b)で構成したことにより、第1の部分負荷時(75%負荷時)と第2の部分負荷時(50%負荷時)のそれぞれで、圧縮機を最大の効率で運転することができる構成を容易に実現できる。
以上のように、本発明によれば、部分負荷時の効率の低下を抑えられるので、年間の効率を最適化することが可能になる。
−実施形態1の変形例−
上記実施形態1では、スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を傾斜角度の異なる第1傾斜面(78a)と第2傾斜面(78b)とから構成しているが、図11(A)〜図11(D)に示すように、3つの傾斜面(78c,78d,78e)で構成してもよい。
このようにすると、上記実施形態1と比べて、冷凍装置の運転状態に応じてスライドバルブ(70)の位置を細かく調整することが可能になるので、年間を通じた効率をさらに高めることが可能になる。その他の効果は上記実施形態1と同じである。
なお、スライドバルブ(70)の傾斜面(78)は4つ以上の傾斜面で構成してもよい。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
実施形態2は、スライドバルブの傾斜面(78)の形状を実施形態1とは異なるようにしたものである。
図12(A)〜図12(D)に示すように、この実施形態2のスライドバルブは、傾斜面(78)が、ゲートロータとの噛合部に近い側から遠い側にわたって形成された連続的な曲面で構成されている。
そして、スライドバルブの傾斜面(78)は、ゲートロータ(50)との噛合部に近い部分は、部分負荷時に効率が最大となる傾斜角度で形成される一方、ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分ほど、運転容量が大きい運転時に効率が最大となる傾斜角度で形成されている。
その他の構成は実施形態1と同じである。
この実施形態2によれば、上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)を連続的な曲面で形成したことにより、部分負荷時にバイパス通路(33)と吐出ポート(25)を連通させず、かつ吐出ポート(25)の開口面積を大きくして過圧縮損失を抑える構成を容易に実現できる。その他の効果は実施形態1と同じである。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記各実施形態のスライドバルブの傾斜面(78)は、ゲートロータから最も遠い側の部分の傾斜角度を、最大負荷時(100%負荷時)に効率が最大となる傾斜角度にしてもよい。
このようにゲートロータ(50)との噛合部から最も遠い部分の傾斜角度を、最大負荷時に効率が最大となる傾斜角度にすると、最大負荷運転時にも高効率の運転を行える構成を容易に実現できる。
また、スライドバルブの傾斜面(78)の傾斜角度を途中で変化させる本発明の構成は、ツインスクリュー圧縮機にも適用できる。ツインスクリュー圧縮機の場合、上記スライドバルブの傾斜面(78)の傾斜角度を、雄ロータと雌ロータの噛合部から遠い部分よりも近い部分ほど大きくなるようにすればよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、スライドバルブを用いたアンロード機構により運転容量の制御を行うように構成されたスクリュー圧縮機について有用である。
1 スクリュー圧縮機
10 ケーシング
23 圧縮室
25 吐出ポート
33 バイパス通路
40 スクリューロータ
41 螺旋溝
50 ゲートロータ
70 スライドバルブ(アンロード機構)
71 バイパス開度調整部
72 吐出開口調整部
78 端面(傾斜面)
78a 第1傾斜面
78b 第2傾斜面
80 スライドバルブ駆動機構(アンロード機構)

Claims (5)

  1. ケーシング(10)と、螺旋溝(41)を有し上記ケーシング(10)内で回転するスクリューロータ(40)と、該スクリューロータ(40)にかみ合って上記ケーシング(10)内に圧縮室(23)を形成するゲートロータ(50)と、上記圧縮室(23)の圧縮途中位置から該圧縮室(23)の吸入側に連通するバイパス通路(33)と、上記圧縮室(23)から高圧ガスが吐出される吐出ポート(25)と、上記スクリューロータ(40)の軸方向へスライド可能に構成されたスライドバルブ(70)を有するアンロード機構(70,80)と、を備え、
    上記スライドバルブ(70)が、上記バイパス通路(33)の開度を調整するバイパス開度調整部(71)と、上記吐出ポート(25)の開口面積を調整する吐出開口調整部(72)を備え、該吐出開口調整部(72)が、上記螺旋溝(41)のねじれ方向へ傾斜した傾斜面(78)を有するスクリュー圧縮機であって、
    上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)は、上記バイパス通路(33)が上記螺旋溝(41)に連通している部分負荷時は常に上記吐出ポート(25)を上記螺旋溝(41)から遮断するように形成され、かつ、軸直角平面に対する傾斜角度が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分よりも近い部分ほど大きいことを特徴とするスクリュー圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分から近い部分にわたって形成された傾斜角度の異なる複数の傾斜面(78a,78b)で構成されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分に位置する第1傾斜面(78a)と、ゲートロータ(50)との噛合部に近い部分に位置する第2傾斜面(78b)とから構成され、
    上記第1傾斜面(78a)は第1の負荷時に運転効率が最大となる傾斜角度で形成され、上記第2傾斜面(78b)は第1の負荷時よりも運転容量が小さい第2の負荷時に運転効率が最大となる傾斜角度で形成されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  4. 請求項1において、
    上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から遠い部分から近い部分にわたって形成された連続的な曲面で構成されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
  5. 請求項1から4の何れか1つにおいて、
    上記スライドバルブ(70)の傾斜面(78)が、上記ゲートロータ(50)との噛合部から最も遠い部分の傾斜角度が、最大負荷時に運転効率が最大となる傾斜角度で形成されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019220562A1 (ja) * 2018-05-16 2019-11-21 三菱電機株式会社 スクリュー圧縮機

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