JP2016107750A - 車線維持支援装置及び車線維持支援方法 - Google Patents

車線維持支援装置及び車線維持支援方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ステアバイワイヤシステムを用いた車両において、操舵入力の切り増し又は切り戻しに応じて反力制御を切り替える。【解決手段】運転者の操舵入力を受けるステアリングホイールと車両の向きを変える転舵輪とが機械的に切り離された車両において、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクをステアリングホイールに付与することで、車両の車線維持制御を行う。このとき、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクを求める処理として、車両が車線の逸脱方向に近づく際に操舵反力トルクを求める第1処理と、車両が車線の逸脱回避方向に近づく際に操舵反力トルクを求める第2処理と、を別々に実施可能となっている。また、車両の走行状況が同一のとき、第1処理により求められる操舵反力トルクのほうが、第2処理により求められる操舵反力トルクよりも大きい。【選択図】図15

Description

本発明は、車両の車線維持制御を行う車線維持支援装置及び車線維持支援方法に関する。
車両の車線維持支援装置として、例えば特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1には、運転者からステアリングホイールに入力された操舵トルクの方向に応じてアシストトルクを付与する電動パワーステアリング(EPS)システムが開示されている。
特開2010−188825号公報
車線維持支援装置では、高い車線追従性能と、運転者への十分な反力伝達性能との両立が求められるが、ステアリングホイールと車輪とが機械的に連結している電動パワーステアリングシステムでは、車線追従性能を高めた場合、ステアリングホイールに付与する反力は車輪の転舵角制御に伴って自動的に決まってしまい、2つの性能を満足することが困難であった。
ステアリングホイールと車輪とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(SBW)システムを用いれば、反力と転舵角とを別々に制御できるようになることから、上記の問題は解決する。しかし、反力を高めたときに、過剰な0反力により運転者の操舵入力を超えてステアリングホイールが回ってしまうと、それに応じて車輪の転舵角が変化して車両の挙動に影響するため、反力制御の自由度は制限される。
本発明の目的は、ステアバイワイヤシステムのようにステアリングホイールと車輪とが機械的に切り離された車両において、操舵入力の切り増し又は切り戻しに応じて反力制御を切り替える車線維持支援装置及び車線維持支援方法を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る車線維持支援装置は、運転者の操舵入力を受けるステアリングホイールと車両の向きを変える転舵輪とが機械的に切り離された車両において、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクをステアリングホイールに付与することで、車両の車線維持制御を行う。このとき、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクを求める処理として、車両が車線の逸脱方向に近づく際に操舵反力トルクを求める第1処理と、車両が車線の逸脱回避方向に近づく際に操舵反力トルクを求める第2処理と、を別々に実施可能となっている。また、車両の走行状況が同一のとき、第1処理により求められる操舵反力トルクのほうが、第2処理により求められる操舵反力トルクよりも大きい。
本発明の一態様によれば、操舵入力の切り増し側(逸脱側)での反力と、切り戻し側(逸脱回避側)での反力とを別々に求めることが可能であり、操舵入力の切り増し又は切り戻しに応じて反力制御を切り替えることができる。
車線維持支援装置を搭載した車両Aの操舵系の構成例を表すブロック図である。 操舵反力制御部の構成例を表すブロック図である。 横力オフセット部の構成例を表すブロック図である。 操舵反力オフセット部の構成例を表すブロック図である。 逸脱余裕時間に応じた反力演算部の構成例を表すブロック図である。 横位置に応じた反力演算部の構成例を表すブロック図である。 車線維持制御部の構成例を表すブロック図である。 補正操舵角の設定に関するフローチャートである。 現在操舵角、補正操舵角、及び無効操舵角の関係を示すグラフである。 ラッチ操舵角の更新に関するフローチャートである。 ラッチ操舵角の更新における左方向対応処理に関するフローチャートである。 ラッチ操舵角の更新における右方向対応処理に関するフローチャートである。 切り替えゲイン(切り増しゲイン及び切り戻しゲイン)の演算に関するフローチャートである。 切り替えゲインの適用に関するフローチャートである。 車両が左方向の車線端部に寄っている場合の逸脱余裕時間−反力変換マップの説明図である。 車両が右方向の車線端部に寄っている場合の逸脱余裕時間−反力変換マップの説明図である。 車両が左方向の車線端部に寄っている場合の横位置偏差−反力変換マップの説明図である。 車両が右方向の車線端部に寄っている場合の横位置偏差−反力変換マップの説明図である。 転舵制御部の構成例を表すブロック図である。 外乱抑制指令転舵角演算部の構成例を表すブロック図である。 ヨー角に応じた反発力演算部の構成例を表すブロック図である。 横位置に応じた反発力演算部の構成例を表すブロック図である。 横位置フィードバック制御の実行領域を表す図である。
<実施形態>
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
(構成)
図1は、本実施形態に係る車線維持支援装置を搭載した車両Aの操舵系の構成例を表すブロック図である。
図1に示すように、車両Aは、操舵部1と、転舵部2と、バックアップクラッチ3と、SBWコントローラ4とを備える。車両Aは、運転者の操舵入力を受ける操舵部1と、転舵輪である左右前輪5FL、5FRを転舵する転舵部2とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(SBW)システムを採用している。
操舵部1は、ステアリングホイール1aと、コラムシャフト1bと、反力モータ1cと、操舵角センサ1dと、トルクセンサ1eを備える。
ステアリングホイール1aは、運転者の操舵入力を受けて回転する。
コラムシャフト1bは、ステアリングホイール1aと一体に回転する。
反力モータ1cは、出力軸がコラムシャフト1bと同軸であり、SBWコントローラ4からの指令(後述する反力モータ用電流ドライバ9aが出力した指令電流)に応じて、ステアリングホイール1aに付与する操舵反力トルクをコラムシャフト1bに出力する。例えば、反力モータ1cは、ブラシレスモータ等である。
操舵角センサ1dは、コラムシャフト1bの回転角、すなわち、ステアリングホイール1aの操舵角(ハンドル角度)を検出する。そして、操舵角センサ1dは、検出結果を後述するSBWコントローラ4に出力する。
トルクセンサ1eは、コラムシャフト1bに掛かる回転方向の力である操舵トルクを検出する。回転方向は操舵トルクの符号(±)により表現される。そして、トルクセンサ1eは、検出結果を後述するSBWコントローラ4に出力する。
転舵部2は、ピニオンシャフト2aと、ステアリングギア2bと、転舵モータ2cと、転舵角センサ2dと、ラック2fと、ラックギア2eとを備える。
ステアリングギア2bは、ピニオンシャフト2aの回転に応じて、左右前輪5FL、5FRを転舵する。ステアリングギア2bとしては、例えば、ラック・アンド・ピニオン式のステアリングギア等を採用できる。
転舵モータ2cは、出力軸が減速機を介してラックギア2eと接続され、SBWコントローラ4からの指令(後述する転舵モータ用電流ドライバ9bが出力した指令電流)に応じて、ラック2fに左右前輪5FL、5FRを転舵するための転舵トルクを出力する。例えば、転舵モータ2cは、ブラシレスモータ等である。
転舵角センサ2dは、転舵モータ2cの回転角を検出する。ここで、転舵モータ2cの回転角と左右前輪5FL、5FRの転舵角(タイヤ角度)との間には、一意に定まる相関関係がある。それゆえ、左右前輪5FL、5FRの転舵角は、転舵モータ2cの回転角から検出できる。以下では特に記載しない限り、左右前輪5FL、5FRの転舵角は、転舵モータ2cの回転角から算出されたものとする。
バックアップクラッチ3は、コラムシャフト1bとピニオンシャフト2aとの間に設けられている。そして、バックアップクラッチ3は、解放状態になると操舵部1と転舵部2とを機械的に切り離し、締結状態になると操舵部1と転舵部2とを機械的に接続する。
また、車両Aは、カメラ6と、各種センサ7と、ナビゲーションシステム8と、電流ドライバ9とを備える。
カメラ6は、車両A前方の走行路の映像を検出する。続いて、カメラ6は、検出結果をSBWコントローラ4に出力する。
各種センサ7は、車速センサ7aと、加速度センサ7bと、ペダル操作センサ7cとを含む。
車速センサ7aは、車両Aの車速を検出する。続いて、車速センサ7aは、検出結果をSBWコントローラ4に出力する。
加速度センサ7bは、車両Aの前後方向の加速度(前後加速度)、及び車両Aの左右方向の加速度(横加速度)を検出する。そして、加速度センサ7bは、検出結果をSBWコントローラ4に出力する。
ペダル操作センサ7cは、車両Aのアクセルペダルの操作量及びブレーキペダルの操作量(ペダル操作情報)を検出する。そして、ペダル操作センサ7cは、検出結果をSBWコントローラ4に出力する。
ナビゲーションシステム8は、GPS(Global Positioning System)受信機、地図データベース、及び表示モニタを備える。そして、ナビゲーションシステム8は、GPS受信機及び地図データベースから車両Aの位置及び道路情報を取得する。続いて、ナビゲーションシステム8は、取得した車両Aの位置及び道路情報に基づいて経路探索を行う。続いて、ナビゲーションシステム8は、経路探索の結果を表示モニタに表示する。また、ナビゲーションシステム8は、取得した道路情報のうち、車両Aの走行路の道路情報をSBWコントローラ4に出力する。例えば、走行路の道路情報は、走行路の種別(高速道路、一般道)、及び現在の車両位置の走行路の車線幅(車線幅情報)等である。
電流ドライバ9は、反力モータ用電流ドライバ9aと、転舵モータ用電流ドライバ9bとを含む。
反力モータ用電流ドライバ9aは、反力モータ1cの電流値から推定される実操舵反力トルクを、SBWコントローラ4からの指令操舵反力トルクと一致させるトルクフィードバックにより、反力モータ1cへの指令電流を制御する。
転舵モータ用電流ドライバ9bは、転舵角センサ2dにより検出される実転舵角を、SBWコントローラ4からの指令転舵角と一致させる角度フィードバックにより、転舵モータ2cへの指令電流を制御する。
SBWコントローラ4は、操舵角センサ1d、トルクセンサ1e、転舵角センサ2d、カメラ6、車速センサ7a、加速度センサ7b、ペダル操作センサ7c、及びナビゲーションシステム8が出力した検出結果(各種情報)を取得する。例えば、SBWコントローラ4は、電子制御装置(ECU)等である。
本実施形態では、SBWコントローラ4は、映像処理部4aと、車線維持制御部10と、操舵反力制御部20と、転舵制御部30とを備える。なお、実際には、映像処理部4a、車線維持制御部10、操舵反力制御部20、及び転舵制御部30はそれぞれ独立した回路又は装置であっても良い。
映像処理部4aは、カメラ6から取得した車両A前方の走行路の映像に対して、エッジ抽出等の画像処理を行って走行車線の左右の走行路区分線(道路白線)を検出する。なお、実際には、道路白線は、黄線や破線でも良い。また、道路白線が存在しない又は検出し難い場合には、道路白線の代わりに、路肩や縁石、側溝、ガードレール(防護柵)、防音壁、擁壁、中央分離帯等を検出するようにしても良い。そして、映像処理部4aは、走行車線の左右の走行路区分線の検出結果(白線情報)を操舵反力制御部20及び転舵制御部30に出力する。
車線維持制御部10は、操舵角センサ1dが出力した検出結果(操舵角)に基づいて、後述する切り替えゲインを算出する。そして、車線維持制御部10は、算出結果(切り替えゲイン)を操舵反力制御部20に出力する。また、車線維持制御部10は、操舵反力制御部20が出力した指令(指令操舵反力トルク)を監視する。車線維持制御部10の詳細は後述する。
操舵反力制御部20は、取得した各種情報に基づいて、コラムシャフト1bに付与する操舵反力トルクを制御する指令(指令操舵反力トルク)を算出する。そして、操舵反力制御部20は、算出した指令操舵反力トルクを反力モータ用電流ドライバ9aに出力する。必要であれば、車線維持制御部10にも出力する。操舵反力制御部20の詳細は後述する。
転舵制御部30は、取得した各種情報に基づいて、左右前輪5FL、5FRの転舵角を制御する指令(指令転舵角)を算出する。そして、転舵制御部30は、算出した指令転舵角を転舵モータ用電流ドライバ9bに出力する。転舵制御部30の詳細は後述する。
(操舵反力制御部20の構成)
図2は、操舵反力制御部20の構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、操舵反力制御部20は、横力演算部21と、横力オフセット部22と、減算器20aと、SAT演算部23と、加算器20bと、操舵反力トルクオフセット部24と、加算器20cとを備える。
横力演算部21は、操舵角センサ1d及び車速センサ7aが出力した検出結果(操舵角、車速)に基づき、操舵角−横力変換マップ(MAP)を参照して、タイヤ横力を推定する。すなわち、横力演算部21は、操舵角及び車速と、操舵角−横力変換マップとに基づいて、タイヤ横力を推定する。例えば、操舵角−横力変換マップは、予め実験等で算出したコンベンショナルな操舵装置(操舵部1と転舵部2とが機械的に接続された操舵装置)における車速毎の操舵角とタイヤ横力との関係を表すマップである。操舵角−横力変換マップでは、操舵角が大きいほどタイヤ横力を大きな値とする。また、操舵角−横力変換マップでは、操舵角が小さいときは操舵角が大きいときよりも、操舵角の変化量に対するタイヤ横力の変化量を大きくする。更に、操舵角−横力変換マップでは、車速が高いほどタイヤ横力を小さな値とする。そして、横力演算部21は、算出結果を減算器20aに出力する。
横力オフセット部22は、映像処理部4a及び車速センサ7aが出力した検出結果(白線情報、車速)に基づいて、横力オフセット量を算出する。例えば、横力オフセット量は、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルク(SAT)に応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性をオフセットするためのオフセット量である。セルフアライニングトルクは、路面反力によって発生する、車輪が直進状態に戻ろうとする力(復元力)である。また、操舵反力特性は、後述するSAT演算部23で用いる横力−操舵反力変換マップである。横力オフセット量は、道路白線の曲率が大きいほどセルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットする。そして、横力オフセット部22は、算出結果を減算器20aに出力する。横力オフセット部22の詳細は後述する。
減算器20aは、横力演算部21が出力した算出結果(タイヤ横力)から、横力オフセット部22が出力した算出結果(横力オフセット量)を減算する。これにより、減算器20aは、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性(後述する横力−操舵反力変換マップ)をセルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットできる。そして、減算器20aは、減算結果(オフセット後のタイヤ横力)をSAT演算部23に出力する。
SAT演算部23は、減算器20aが出力した算出結果(オフセット後のタイヤ横力)に基づき、横力−操舵反力変換マップを参照して、オフセット後のタイヤ横力によって発生する操舵反力トルクを算出する。すなわち、SAT演算部23は、オフセット後のタイヤ横力と、横力−操舵反力変換マップとに基づいて、オフセット後のタイヤ横力によって発生する操舵反力トルクを算出する。そして、SAT演算部23は、算出結果(操舵反力トルク)を加算器20bに出力する。
例えば、横力−操舵反力変換マップは、予め実験等で算出したコンベンショナルな操舵装置におけるタイヤ横力と操舵力トルクとの関係を表すマップである。すなわち、横力−操舵反力変換マップは、コンベンショナルな操舵装置において、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性を模擬したものとする。横力−操舵反力変換マップでは、タイヤ横力が大きいほど操舵反力トルクを大きな値とする。また、横力−操舵反力変換マップでは、タイヤ横力が小さいときは大きいときよりも、タイヤ横力の変化量に対する操舵反力トルクの変化量を大きくする。更に、横力−操舵反力変換マップでは、車速が高いほど操舵反力トルクを小さな値とする。
加算器20bは、SAT演算部23が出力した算出結果(操舵反力トルク)に、ステアリング特性に応じた操舵反力トルク成分(ばね項、粘性項、慣性項)を加算する。ばね項は操舵角に比例する成分であり、操舵角に所定のゲインを乗じて算出する。粘性項は操舵角速度に比例する成分であり操舵角速度に所定のゲインを乗じて算出する。慣性項は操舵角加速度に比例する成分であり、操舵角加速度に所定のゲインを乗じて算出する。そして、加算器20bは、加算結果(操舵反力トルク+操舵反力トルク成分)を加算器20cに出力する。
操舵反力トルクオフセット部24は、映像処理部4a、車速センサ7a、及び車線維持制御部10が出力した検出結果(白線情報、車速、切り替えゲイン)に基づいて、操舵反力オフセット量を算出する。例えば、操舵反力オフセット量は、操舵反力トルクが大きくなる方向への操舵反力特性(横力−操舵反力変換マップ)をオフセットするためのオフセット量である。操舵反力オフセット量は、車両Aから道路白線までの距離(横位置)が短くなるほど操舵反力トルクが大きくなる方向へオフセットする。そして、操舵反力トルクオフセット部24は、算出結果を加算器20cに出力する。操舵反力トルクオフセット部24の詳細は後述する。
加算器20cは、加算器20bが出力した算出結果(操舵反力トルク+操舵反力トルク成分)に、操舵反力トルクオフセット部24が出力した算出結果(操舵反力オフセット量)を加算する。そして、加算器20cは、加算結果を、指令操舵反力トルク(反力指令)として反力モータ用電流ドライバ9aに出力する。必要であれば、車線維持制御部10にも出力する。
(横力オフセット部22の構成)
図3は、横力オフセット部22の構成例を表すブロック図である。
図3に示すように、横力オフセット部22は、曲率演算部22aと、上下限リミッタ22bと、SATゲイン演算部22cと、乗算器22dと、リミッタ処理部22eとを備える。
曲率演算部22aは、映像処理部4aが出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点での道路白線の曲率(設定時間(0.5秒)後の車両A位置の道路白線の曲率)を算出する。そして、曲率演算部22aは、算出結果を乗算器22dに出力する。
上下限リミッタ22bは、車速センサ7aが出力した検出結果(車速)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、車速が0〜V1(>0)の範囲で車速が大きくなるほど増大し、車速がV1以上の範囲で最大値とする。そして、上下限リミッタ22bは、上下限リミッタ処理後の車速をSATゲイン演算部22cに出力する。
SATゲイン演算部22cは、上下限リミッタ22bが出力した算出結果(リミッタ処理後の車速)に基づいて、車速に応じたSATゲインを算出する。車速に応じたSATゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で車速が大きくなるほど増大し、車速70km/h以上の範囲で最大値になる。また、車速に応じたSATゲインは、車速が大きいときは車速が小さいときよりも、車速の変化量に対する当該SATゲインの変化量が大きくなる。そして、SATゲイン演算部22cは、算出結果を乗算器22dに出力する。
乗算器22dは、曲率演算部22aが出力した算出結果(前方注視点での道路白線の曲率)にSATゲイン演算部22cが出力した算出結果(車速に応じたSATゲイン)を乗算する。そして、乗算器22dは、乗算結果を横力オフセット量としてリミッタ処理部22eに出力する。これにより、乗算器22dは、前方注視点での道路白線の曲率が大きいほど、つまり、道路白線の曲率半径が小さいほど横力オフセット量を増大できる。
リミッタ処理部22eは、乗算器22dが出力した算出結果(横力オフセット量)の最大値及び変化率の上限を制限する。横力オフセット量の最大値は、1000Nとする。また、横力オフセット量の変化率の上限は、600N/sとする。そして、リミッタ処理部22eは、制限後の横力オフセット量を減算器20aに出力する。
(操舵反力トルクオフセット部24の構成)
図4は、操舵反力トルクオフセット部24の構成例を表すブロック図である。
図4に示すように、操舵反力トルクオフセット部24は、ヨー角演算部24aと、横位置演算部24bと、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25と、横位置に応じた反力演算部26と、反力選択部24cと、リミッタ処理部24dとを備える。
ヨー角演算部24aは、映像処理部4aが出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点でのヨー角(道路白線と車両A進行方向とのなす角度)を算出する。そして、ヨー角演算部24aは、算出結果を逸脱余裕時間に応じた反力演算部25に出力する。
横位置演算部24bは、映像処理部4a及びナビゲーションシステム17が出力した検出結果(白線情報、車線幅情報)に基づいて、車両Aの現在位置での車両Aから道路白線までの距離(横位置)(以下、現在位置での横位置とも呼ぶ)、及び前方注視点での横位置を算出する。そして、横位置演算部24bは、算出結果を逸脱余裕時間に応じた反力演算部25及び横位置に応じた反力演算部26に出力する。
逸脱余裕時間に応じた反力演算部25は、車速センサ7a、車線維持制御部10、ヨー角演算部24a、及び横位置演算部24bが出力した検出結果等(車速、切り替えゲイン、前方注視点でのヨー角、前方注視点での横位置)に基づいて、逸脱余裕時間に応じた反力を算出する。逸脱余裕時間に応じた反力としては、例えば、逸脱余裕時間が短いほど増大する反力がある。逸脱余裕時間としては、例えば、車両Aが車線から逸脱するまでに要する時間(余裕時間)がある。そして、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25は、算出結果を反力選択部24cに出力する。逸脱余裕時間に応じた反力演算部25の詳細は後述する。
横位置に応じた反力演算部26は、車線維持制御部10及び横位置演算部24bが出力した算出結果(切り替えゲイン、現在位置での横位置)に基づいて、横位置に応じた反力を算出する。横位置に応じた反力としては、例えば、横位置偏差が長いほど増大する反力がある。横位置偏差としては、例えば、車両Aから目標左横位置までの距離及び車両Aから目標右横位置までの距離のうち大きいほうがある。また、目標左横位置としては、例えば、左道路白線から道路中央側90cmの位置がある。目標右横位置としては、例えば、右道路白線から道路中央側90cmの位置がある。そして、横位置に応じた反力演算部26は、算出結果を反力選択部24cに出力する。横位置に応じた反力演算部26の詳細は後述する。
反力選択部24cは、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25が出力した算出結果(逸脱余裕時間に応じた反力)と、横位置に応じた反力演算部26が出力した算出結果(横位置に応じた反力)のうち絶対値が大きなほうを選択する。そして、反力選択部24cは、選択結果を操舵反力オフセット量としてリミッタ処理部24dに出力する。
リミッタ処理部24dは、反力選択部24cが出力した選択結果(操舵反力オフセット量)の最大値及び変化率の上限を制限する。操舵反力オフセット量の最大値は、2Nmとする。また、操舵反力オフセット量の変化量の上限は、10Nm/sとする。そして、リミッタ処理部24dは、制限後の操舵反力オフセット量を加算器20c(図2参照)に出力する。
(逸脱余裕時間に応じた反力演算部25の構成)
図5は、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25の構成例を表すブロック図である。
図5に示すように、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25は、乗算器25aと、除算器25bと、除算器25cと、逸脱余裕時間選択部25dと、逸脱余裕時間反力マップ演算部25eとを備える。
乗算器25aは、ヨー角演算部24aが出力した算出結果(ヨー角)に車速を乗算する。そして、乗算器25aは、乗算結果(以下、車両Aの横速度とも呼ぶ)を除算器25b及び除算器25cに出力する。
除算器25bは、横位置演算部24bが出力した算出結果(現在位置での横位置)のうち、前方注視点での車両Aから左道路白線までの距離(左道路白線に対する横位置)を、乗算器25aが出力した算出結果(横速度)で除算する。そして、除算器25bは、除算結果(以下、左道路白線に対する逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間選択部25dに出力する。
除算器25cは、横位置演算部24bが出力した算出結果(現在位置での横位置)のうち、前方注視点での車両Aから右道路白線までの距離(右道路白線に対する横位置)を、乗算器25aが出力した算出結果(横速度)で除算する。そして、除算器25bは、除算結果(以下、右道路白線に対する逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間選択部25dに出力する。
逸脱余裕時間選択部25dは、除算器25bが出力した算出結果(左道路白線に対する逸脱余裕時間)及び除算器25cが出力した算出結果(右道路白線に対する逸脱余裕時間)のうち短いほうを選択する。そして、逸脱余裕時間選択部25dは、選択結果(以下、逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間反力マップ演算部25eに出力する。
逸脱余裕時間反力マップ演算部25eは、車線維持制御部10が出力した算出結果(切り替えゲイン)及び逸脱余裕時間選択部25dが出力した算出結果(逸脱余裕時間)に基づいて、逸脱余裕時間に応じた反力を算出する。逸脱余裕時間に応じた反力は、逸脱余裕時間が3秒以上の範囲で最低値(例えば、ほぼ0)となり、逸脱余裕時間が0〜3秒の範囲で逸脱余裕時間が短いほど増大する(逸脱余裕時間に反比例した値となる)。そして、逸脱余裕時間反力マップ演算部25eは、算出結果(逸脱余裕時間に応じた反力)を反力選択部24c(図4参照)に出力する。これにより、逸脱余裕時間に応じた反力は、逸脱余裕時間が短いほど増大する。
本実施形態では、逸脱余裕時間反力マップ演算部25eは、逸脱余裕時間に応じた操舵反力トルクのマップ(逸脱余裕時間−反力変換マップ)を車線の切り増し側(逸脱側)と切り戻し側(逸脱回避側)との2種類用意する。例えば、逸脱余裕時間−反力変換マップとして、第1の逸脱側マップと、第1の逸脱回避側マップとを用意する。そして、それぞれのマップに対して切り替えゲインを適用することで、逸脱余裕時間に応じた反力を算出する。切り替えゲインの適用の詳細は後述する。
(横位置に応じた反力演算部26)
図6は、横位置に応じた反力演算部26の構成例を表すブロック図である。
図6に示すように、横位置に応じた反力演算部26は、減算器26aと、減算器26bと、横位置偏差選択部26cと、横位置偏差反力マップ演算部26dとを備える。
減算器26aは、横位置演算部24bが出力した算出結果(車両Aの現在位置での車両Aから左道路白線までの距離(左道路白線に対する横位置))から予め定めた目標左横位置(例えば、90cm)を減算する。そして、減算器26aは、減算結果(以下、左道路白線に対する横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差選択部26cに出力する。
減算器26bは、横位置演算部24bが出力した算出結果(車両Aの現在位置での車両Aから右道路白線までの距離(右道路白線に対する横位置))から予め定めた目標右横位置(例えば、90cm)を減算する。そして、減算器26bは、減算結果(以下、右道路白線に対する横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差選択部26cに出力する。
横位置偏差選択部26cは、減算器26aが出力した算出結果(左道路白線に対する横位置偏差)及び減算器26bが出力した算出結果(右道路白線に対する横位置偏差)のうち大きいほうを選択する。そして、横位置偏差選択部26cは、選択結果(以下、横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差反力マップ演算部26dに出力する。
横位置偏差反力マップ演算部26dは、車線維持制御部10が出力した算出結果(切り替えゲイン)及び横位置偏差選択部26cが出力した算出結果(横位置偏差)に基づいて、横位置に応じた反力を算出する。横位置に応じた反力は、横位置偏差が設定値未満の範囲で横位置偏差が大きくなるほど増大し、横位置偏差が設定値以上の範囲で最大値になる。そして、横位置偏差反力マップ演算部26dは、算出結果(横位置に応じた反力)を反力選択部24c(図4参照)に出力する。これにより、横位置に応じた反力は、横位置偏差が長いほど増大する。
本実施形態では、横位置偏差反力マップ演算部26dは、横位置に応じた操舵反力トルクのマップ(横位置偏差−反力変換マップ)を車線の切り増し側(逸脱側)と切り戻し側(逸脱回避側)との2種類用意する。例えば、横位置偏差−反力変換マップとして、第2の逸脱側マップと、第2の逸脱回避側マップとを用意する。そして、それぞれのマップに対して切り替えゲインを適用することで、横位置に応じた反力を算出する。切り替えゲインの適用の詳細は後述する。
なお、本実施形態では、上記の逸脱余裕時間反力マップ演算部25e及び横位置偏差反力マップ演算部26dで使用される切り替えゲインは、車線維持制御部10により算出される。ここでは、車線維持制御部10と操舵反力制御部20とはそれぞれ独立した構成としている。但し、実際には、車線維持制御部10は、操舵反力制御部20の一部でも良い。例えば、車線維持制御部10は、操舵反力トルクオフセット部24の一部でも良い。以下に、車線維持制御部10の詳細について説明する。
(車線維持制御部10の構成)
図7は、車線維持制御部10の構成例を表すブロック図である。
図7に示すように、車線維持制御部10は、補正操舵角設定部10aと、ラッチ操舵角更新部10bと、切り替えゲイン演算部10cとを備える。
(補正操舵角の設定)
図8は、補正操舵角の設定に関するフローチャートである。また、図9は、後述する現在操舵角、補正操舵角、及び無効操舵角の各々の関係と、図8に示す処理フローの各段階における現在操舵角及び補正操舵角の変化を示すグラフである。
補正操舵角設定部10aは、操舵角センサ1dが出力した検出結果(操舵角)に基づき、現在の操舵角(現在操舵角)が、補正に用いる操舵角(補正操舵角)に既定の無効操舵角を加算した操舵角以上(現在操舵角≧補正操舵角+無効操舵角)であるか判断する(ステップS101)。ここでは、補正操舵角の初期値は0度である。無効操舵角はステアリングホイール1aの切り返しにおける「遊び」(緩み)に相当する操舵角(不感帯)であり、この無効操舵角の分は回転しても無視する。なお、無効操舵角は、例えば1度である。無効操舵角は、予め設定された固定値でも良い。
現在操舵角が補正操舵角に無効操舵角を加算した操舵角以上である場合(ステップS101でYes)、補正操舵角設定部10aは、補正操舵角を更新する(ステップS102)。ここでは、補正操舵角設定部10aは、補正操舵角を、現在操舵角から無効操舵角を減じた操舵角に置き換える(補正操舵角=現在操舵角−無効操舵角)。なお、現在操舵角が補正操舵角に無効操舵角を加算した操舵角以上である場合とは、ステアリングホイール1aを切り増し側(逸脱側)に切っている状況である。このとき、補正操舵角は、常に、現在操舵角から無効操舵角を減算した値を保っている。
現在操舵角が補正操舵角に無効操舵角を加算した操舵角以上ではない場合(ステップS101でNo)、補正操舵角設定部10aは、現在操舵角が補正操舵角から無効操舵角を減じた操舵角以下(現在操舵角≦補正操舵角−無効操舵角)であるか判断する(ステップS103)。
現在操舵角が補正操舵角から無効操舵角を減じた操舵角以下である場合(ステップS103でYes)、補正操舵角設定部10aは、補正操舵角を更新する(ステップS104)。ここでは、補正操舵角設定部10aは、補正操舵角を、現在操舵角に無効操舵角を加算した操舵角に置き換える(補正操舵角=現在操舵角+無効操舵角)。なお、現在操舵角が補正操舵角から無効操舵角を減じた操舵角以下である場合とは、ステアリングホイール1aを切り戻し側(逸脱回避側)に切っている状況である。このとき、補正操舵角は、常に、現在操舵角に無効操舵角を加算した値を保っている。
ここで、補正操舵角設定部10aは、現在操舵角が0度(中立位置)になったか判断する(ステップS105)。現在操舵角が0度になっていない場合(ステップS105でNo)には、未だステアリングホイール1aを切り戻し側(逸脱回避側)に切っている状況であるため、上記の処理(ステップS104)で更新した補正操舵角を用いる。
現在操舵角が0度になった場合(ステップS105でYes)、現在操舵角をそれ以上補正する必要がないため、補正操舵角設定部10aは、補正操舵角を直ちに0にする。すなわち、補正操舵角を初期化する。なお、車線維持制御において、現在操舵角が0度となるのは、車両が車線に沿って道なりに走行する時(例えば車線中央を走行する時)であると考えられる。車線がカーブである場合には、上記の現在操舵角の「0度」を「カーブ曲率又は転舵角に応じた最適な操舵角」としても良い。但し、実際には、これらの例に限定されない。
現在操舵角が補正操舵角から無効操舵角を減じた操舵角以下でない場合(ステップS103でNo)、補正操舵角設定部10aは、補正操舵角を更新せずに現状維持する(ステップS107)。例えば、運転者がステアリングホイール1aを切り増し側(逸脱側)に切り始めた状況で現在操舵角が無効操舵角以下である場合や、運転者がステアリングホイール1aを回転させず一定の操舵角で固定している状況(保舵状態)で現在操舵角が変化していない場合には、補正操舵角設定部10aは、補正操舵角を更新せずに現状維持する。
補正操舵角設定部10aは、補正操舵角をラッチ操舵角更新部10bに出力する(ステップS108)。
(ラッチ操舵角の更新)
図10Aは、ラッチ操舵角の更新に関するフローチャートである。
ラッチ操舵角更新部10bは、操舵反力制御部20から出力される指令操舵反力トルク(反力指令)を監視する。例えば、ラッチ操舵角更新部10bは、操舵反力制御部20から出力される指令操舵反力トルクを毎回ラッチしても良い。このとき、ラッチ操舵角更新部10bは、少なくとも直近の2回分の指令値、すなわち指令操舵反力トルクの前回値(直前に出力した反力指令)と前々回値(その1つ前に出力した反力指令)とを保持する。そして、ラッチ操舵角更新部10bは、指令操舵反力トルクの前回値が0又は前々回値と逆符号であるか判断する(ステップS201)。すなわち、ステアリングホイール1aの回転方向の切り替え(切り増し→切り戻し、又は切り戻し→切り増し)があるか判断する。指令操舵反力トルクの前回値が0でも前々回値と逆符号でもない場合(ステップS201でNo)、ステアリングホイール1aの回転方向の切り替えがないため、補正操舵角をラッチ(保存)しない。すなわち、現在ラッチされている操舵角(ラッチ操舵角)を初期化しない。
指令操舵反力トルクの前回値が0又は前々回値と逆符号である場合(ステップS201でYes)、ステアリングホイール1aの回転方向の切り替えが発生したため、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角設定部10aが出力した補正操舵角をラッチする(ステップS202)。すなわち、ラッチ操舵角を初期化するため、ラッチ操舵角の値に、その時点での補正操舵角を代入する(ラッチ操舵角=補正操舵角)。
ラッチ操舵角更新部10bは、ステアリングホイール1aに左方向への操舵反力トルクが発生しているか判断する(ステップS203)。なお、ステアリングホイール1aに左方向への操舵反力トルクが発生するのは、車両Aが車線の右側の道路白線に近い又は近づいている状態であり、車両Aを車線の中央側に戻そうとする左方向の反力が発生している状態である。
ステアリングホイール1aに左方向への操舵反力トルクが発生している場合(ステップS203でYes)、ラッチ操舵角更新部10bは、図10Bに示す左方向対応処理を行い、ラッチ操舵角を更新する。左方向対応処理の詳細は後述する。
また、ラッチ操舵角更新部10bは、ステアリングホイール1aに左方向への操舵反力トルクが発生していない場合(ステップS203でNo)、ステアリングホイール1aに右方向への操舵反力トルクが発生しているか判断する(ステップS204)。なお、ステアリングホイール1aに右方向への操舵反力トルクが発生するのは、車両Aが車線の左側の道路白線に近い又は近づいている状態であり、車両Aを車線の中央側に戻そうとする右方向の反力が発生している状態である。
ステアリングホイール1aに右方向への操舵反力トルクが発生している場合(ステップS204でYes)、ラッチ操舵角更新部10bは、図10Cに示す右方向対応処理を行い、ラッチ操舵角を更新する。右方向対応処理の詳細は後述する。
ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角及びラッチ操舵角を切り替えゲイン演算部10cに出力する(ステップS205)。
(左方向対応処理)
図10Bは、ラッチ操舵角の更新における左方向対応処理に関するフローチャートである。
ステアリングホイール1aに左方向への操舵反力トルクが発生している場合(図10AのステップS203でYes)、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角がラッチ操舵角より大きい値(補正操舵角>ラッチ操舵角)であるか判断する(ステップS211)。
補正操舵角がラッチ操舵角より大きくない場合(ステップS211でNo)、ラッチ操舵角更新部10bは、映像処理部4a及び操舵反力制御部20が出力した検出結果(白線情報、指令操舵反力トルク)に基づいて、道路のカーブ曲率が閾値以上かつ指令操舵反力トルクがカーブ外側方向に閾値以上であるか判断する(ステップS212)。すなわち、ステアリングホイール1aやコラムシャフト1bの捩れ(フリクション)分のトルクを検知できるか判断する。例えば、カーブを走行中に運転者がステアリングホイール1aに加える力を緩めているときには、フリクションが発生しないため、フリクション分のトルクを検知できない。
補正操舵角がラッチ操舵角より大きい場合(ステップS211でYes)、又は、道路のカーブ曲率が閾値以上かつ指令操舵反力トルクがカーブ外側方向に閾値以上である場合(ステップS212でYes)、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角をラッチする(ステップS213)。すなわち、ラッチ操舵角を更新するため、ラッチ操舵角の値に、その時点での補正操舵角を代入する(ラッチ操舵角=補正操舵角)。すなわち、ラッチ操舵角の最大値が更新される。
道路のカーブ曲率が閾値以上かつ指令操舵反力トルクがカーブ外側方向に閾値以上ではない場合(ステップS212でNo)、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角が、ラッチ操舵角から操舵角ヒス(ヒステリシス値)を減じた操舵角より大きいか判断する(ステップS214)。なお、操舵角ヒスは、例えば1度である。操舵角ヒスは、予め設定された固定値でも良い。補正操舵角が、ラッチ操舵角から操舵角ヒスを減じた操舵角より大きくない場合(ステップS214でNo)、ラッチ操舵角更新部10bは、何もしない。
補正操舵角が、ラッチ操舵角から操舵角ヒスを減じた操舵角より大きい場合(ステップS214でYes)、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角に操舵角ヒスを加算した操舵角をラッチする(ステップS215)。これにより、ラッチ操舵角は更新され、補正操舵角に操舵角ヒスを加算した操舵角となる(ラッチ操舵角=補正操舵角+操舵角ヒス)。ここでは、ゲインを1よりも大きくしないために、ラッチ操舵角と補正操舵角との差分を操舵角ヒス分までとしている。
(右方向対応処理)
図10Cは、ラッチ操舵角の更新における右方向対応処理に関するフローチャートである。
ステアリングホイール1aに右方向への操舵反力トルクが発生している場合(図10AのステップS204でYes)、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角がラッチ操舵角より小さい値(補正操舵角<ラッチ操舵角)であるか判断する(ステップS221)。
補正操舵角がラッチ操舵角より小さくない場合(ステップS221でNo)、ラッチ操舵角更新部10bは、道路のカーブ曲率が閾値以上かつ指令操舵反力トルクがカーブ外側方向に閾値以上であるか判断する(ステップS222)。
補正操舵角がラッチ操舵角より小さい場合(ステップS221でYes)、又は、道路のカーブ曲率が閾値以上かつ指令操舵反力トルクがカーブ外側方向に閾値以上である場合(ステップS222でYes)、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角をラッチする(ステップS223)。すなわち、ラッチ操舵角を更新するため、ラッチ操舵角の値に、その時点での補正操舵角を代入する(ラッチ操舵角=補正操舵角)。
道路のカーブ曲率が閾値以上かつ指令操舵反力トルクがカーブ外側方向に閾値以上ではない場合(ステップS222でNo)、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角が、ラッチ操舵角に既定の操舵角ヒスを加算した操舵角より小さいか判断する(ステップS224)。補正操舵角が、ラッチ操舵角に操舵角ヒスを加算した操舵角より小さくない場合(ステップS224でNo)、ラッチ操舵角更新部10bは、何もしない。
補正操舵角が、ラッチ操舵角に操舵角ヒスを加算した操舵角より小さい場合(ステップS224でYes)、ラッチ操舵角更新部10bは、補正操舵角から操舵角ヒスを減じた操舵角をラッチする(ステップS225)。これにより、ラッチ操舵角は更新され、補正操舵角から操舵角ヒスを減じた操舵角となる(ラッチ操舵角=補正操舵角−操舵角ヒス)。
(切り替えゲインの演算)
図11は、切り替えゲイン(切り増しゲイン及び切り戻しゲイン)の演算に関するフローチャートである。
切り替えゲイン演算部10cは、切り戻しゲインを設定する(ステップS301)。ここでは、切り戻しゲインに、ラッチ操舵角から補正操舵角を減じた操舵角を、操舵角ヒスで割った値を設定する(切り戻しゲイン=(ラッチ操舵角−補正操舵角)/操舵角ヒス)。
切り替えゲイン演算部10cは、切り増しゲインを設定する(ステップS302)。ここでは、切り増しゲインに、1から切り戻しゲインを減じた値を設定する(切り増しゲイン=1−切り戻しゲイン)。
これにより、切り戻しゲインと切り増しゲインとの合計値が1になる範囲内で、切り戻しゲインと切り増しゲインとの値のバランスがとられる。したがって、切り戻しゲイン及び切り増しゲインはそれぞれ0から1の間で変動する。
切り替えゲイン演算部10cは、算出結果(切り替えゲイン)を操舵反力制御部20に出力する。ここでは、切り替えゲインは、切り戻しゲインと、切り増しゲインとを示す。すなわち、切り替えゲイン演算部10cは、算出結果(切り替えゲイン)として、切り戻しゲイン及び切り増しゲインを操舵反力制御部20に出力する。このとき、切り替えゲイン演算部10cは、算出結果(切り替えゲイン)として、切り戻しゲイン及び切り増しゲインを、逸脱余裕時間反力マップ演算部25e(図5参照)及び横位置偏差反力マップ演算部26d(図6参照)に出力しても良い。
(他の実施例:操舵角に相当する情報を用いた切り替えゲインの演算)
上記の説明では、車線維持制御部10は、操舵角を用いて切り替えゲインを算出している。但し、実際には、操舵角に限らず、操舵角に相当する情報を用いて切り替えゲインを算出することも可能である。例えば、操舵角に相当する情報として、ステアリングホイールに発生する操舵トルクや、道路形状から推定される推定ヨーレート(ヨー角の変化速度)と実際に発生している実ヨーレートとの差分等を用いて切り替えゲインを算出しても良い。
操舵角、操舵トルク、及びヨーレートの差分はいずれも、ステアリングホイールの操舵状態が逸脱方向に大きくなるに従って大きな値となる操舵状態値である。
(a)操舵トルク
操舵角の代わりに操舵トルクを用いて切り替えゲインを算出する場合、上記の説明において、操舵角を操舵トルクと読み替える。操舵角と操舵トルクとは、いずれもステアリングホイール1aの回転の度合いを示す値であるため、互換性がある。例えば、操舵角はステアリングホイール1aの回転角を示し、操舵トルクはステアリングホイール1aの回転方向の力を示す。なお、操舵トルクについては、トルクセンサ1e(図1参照)が操舵トルクを検出し、検出結果を車線維持制御部10に出力するようにしても良い。
(b)推定ヨーレートと実ヨーレートとの差分
操舵角の代わりに推定ヨーレートと実ヨーレートとの差分を用いて切り替えゲインを算出する場合、上記の説明において、操舵角を推定ヨーレートと実ヨーレートとの差分と読み替える。例えば、推定ヨーレートは、車線に沿って道なりに走行していると仮定した場合のヨーレートを表す推定値であり、実ヨーレートは、現在のヨーレートを表す実測値である。推定ヨーレートと実ヨーレートとの差分は、操舵角と同じく、ステアリングホイール1aの操舵に応じて変化する値である。なお、推定ヨーレートについては、目標ヨーレート演算部32g(図17参照)が目標ヨーレートを算出し、算出結果を推定ヨーレートとして車線維持制御部10に出力するようにしても良い。また、実ヨーレートについては、各種センサ7の1つとして更にヨーレートセンサ7d(図示せず)を設け、このヨーレートセンサ7dが車両Aのヨーレートを検出し、検出結果を実ヨーレートとして車線維持制御部10に出力するようにしても良い。
(切り替えゲインの適用)
図12は、切り替えゲインの適用に関するフローチャートである。なお、切り替えゲインの適用は、逸脱余裕時間反力マップ演算部25e(図5参照)及び横位置偏差反力マップ演算部26d(図6参照)のそれぞれにおいて実施するが、使用するマップと情報(逸脱余裕時間、横位置偏差)が異なる点以外は、基本的に共通である。
逸脱余裕時間反力マップ演算部25e及び横位置偏差反力マップ演算部26dの各々は、切り戻しゲインを切り戻し側(逸脱回避側)のマップに乗じて切り戻し操舵反力トルクを算出する(ステップS401)。
例えば、逸脱余裕時間反力マップ演算部25eは、逸脱余裕時間を用いて、図13又は図14に示す切り戻し側(逸脱回避側)の逸脱余裕時間−反力変換マップ(第1の逸脱回避側マップ)から逸脱余裕時間に応じた操舵反力トルクを取得し、逸脱余裕時間に応じた操舵反力トルクに切り戻しゲインを乗じて、逸脱余裕時間に応じた切り戻し操舵反力トルクを算出する。
また、横位置偏差反力マップ演算部26dは、横位置偏差を用いて、図15又は図16に示す切り戻し側(逸脱回避側)の横位置偏差−反力変換マップ(第2の逸脱回避側マップ)から横位置偏差に応じた操舵反力トルクを取得し、横位置偏差に応じた操舵反力トルクに切り戻しゲインを乗じて、横位置偏差に応じた切り戻し操舵反力トルクを算出する。
逸脱余裕時間反力マップ演算部25e及び横位置偏差反力マップ演算部26dの各々は、切り増しゲインを切り増し側(逸脱側)のマップに乗じて切り増し操舵反力トルクを算出する(ステップS402)。
例えば、逸脱余裕時間反力マップ演算部25eは、逸脱余裕時間を用いて、図13又は図14に示す切り増し側(逸脱側)の逸脱余裕時間−反力変換マップ(第1の逸脱側マップ)から逸脱余裕時間に応じた操舵反力トルクを取得し、逸脱余裕時間に応じた操舵反力トルクに切り増しゲインを乗じて、逸脱余裕時間に応じた切り増し操舵反力トルクを算出する。
また、横位置偏差反力マップ演算部26dは、横位置偏差を用いて、図15又は図16に示す切り増し側(逸脱側)の横位置偏差−反力変換マップ(第2の逸脱側マップ)から横位置偏差に応じた転舵角を取得し、横位置偏差に応じた転舵角に切り増しゲインを乗じて、横位置偏差に応じた切り増し操舵反力トルクを算出する。
逸脱余裕時間反力マップ演算部25e及び横位置偏差反力マップ演算部26dの各々は、切り戻し操舵反力トルクに切り増し操舵反力トルクを加算して合計操舵反力トルクを算出する(ステップS403)。
例えば、逸脱余裕時間反力マップ演算部25eは、逸脱余裕時間に応じた切り戻し操舵反力トルクに、逸脱余裕時間に応じた切り増し操舵反力トルクを加算して、逸脱余裕時間に応じた合計操舵反力トルクを算出する。
また、横位置偏差反力マップ演算部26dは、横位置偏差に応じた切り戻し操舵反力トルクに、横位置偏差に応じた切り増し操舵反力トルクを加算して、横位置偏差に応じた合計操舵反力トルクを算出する。
逸脱余裕時間反力マップ演算部25e及び横位置偏差反力マップ演算部26dの各々は、加算結果(合計操舵反力トルク)を指令値として、反力選択部24c(図4参照)に出力する(ステップS404)。
例えば、逸脱余裕時間反力マップ演算部25eは、逸脱余裕時間に応じた合計操舵反力トルクを、逸脱余裕時間に応じた反力として、反力選択部24c(図4参照)に出力する。
また、横位置偏差反力マップ演算部26dは、横位置偏差に応じた合計操舵反力トルクを、横位置偏差に応じた反力として、反力選択部24c(図4参照)に出力する。
このように、逸脱余裕時間反力マップ演算部25e及び横位置偏差反力マップ演算部26dの各々は、横位置に応じて、切り戻し側(逸脱回避側)と切り増し側(逸脱側)との2種類のマップのマップ引きを行って操舵反力トルクを取得し、切り戻し側(逸脱回避側)の操舵反力トルクに切り戻しゲインを乗じ、切り増し側(逸脱側)の操舵反力トルクに切り増しゲインを乗じて、それらの乗算結果を合算する。すなわち、切り戻しゲインと切り増しゲインとを用いて、2種類のマップのブレンド(混合)を行う。
(マップの遷移)
図13は、車両Aが左方向の車線端部に寄っている場合の逸脱余裕時間−反力変換マップの説明図である。図14は、車両Aが右方向の車線端部に寄っている場合の逸脱余裕時間−反力変換マップの説明図である。図15は、車両Aが左方向の車線端部に寄っている場合の横位置偏差−反力変換マップの説明図である。図16は、車両Aが右方向の車線端部に寄っている場合の横位置偏差−反力変換マップの説明図である。
図13〜図16において、本実施形態に係る車線維持支援装置は、運転者がステアリングホイール1aを切って車線中央から車線端部に寄っていく時(図中のX点)には、切り増し側(逸脱側)のマップに基づいて反力を算出する。具体的には、切り増し側(逸脱側)のマップから得られる反力に切り増しゲインを乗じた値と、切り戻し側(逸脱回避側)のマップから得られる反力に切り戻しゲインを乗じた値とを合算して反力を算出しているが、この間には切り増しゲインが1であり、切り戻しゲインが0であるため、結果として切り増し側(逸脱側)のマップから得られる反力のみ使用することになる。
次に、本実施形態に係る車線維持支援装置は、運転者がステアリングホイール1aを切るのを止めた時(図中のY点)、反力制御によりステアリングホイール1aが少し戻りつつ、切り増し側(逸脱側)のマップから切り戻し側(逸脱回避側)のマップに遷移する(図中のY点→Z点)。具体的には、切り増し側(逸脱側)のマップから得られる反力に切り増しゲインを乗じた値と、切り戻し側(逸脱回避側)のマップから得られる反力に切り戻しゲインを乗じた値とを合算して反力を算出しているが、この間に、切り増しゲインが1から0に変化し、切り戻しゲインが0から1に変化するため、合算した反力において、切り増し側(逸脱側)のマップから得られる反力の占める割合は徐々に小さくなっていき、切り戻し側(逸脱回避側)のマップから得られる反力の占める割合は徐々に大きくなっていく。
次に、本実施形態に係る車線維持支援装置は、運転者がステアリングホイール1aを切って車線端部から車線中央に戻っていく時(図中のZ点)には、切り戻し側(逸脱回避側)のマップに基づいて反力を算出する。具体的には、切り増し側(逸脱側)のマップから得られる反力に切り増しゲインを乗じた値と、切り戻し側(逸脱回避側)のマップから得られる反力に切り戻しゲインを乗じた値とを合算して反力を算出しているが、この間には切り増しゲインが0であり、切り戻しゲインが1であるため、結果として切り戻し側(逸脱回避側)のマップから得られる反力のみ使用することになる。
本実施形態によれば、逸脱側に対する反力を大きく設計しても、逸脱回避側では反力が弱まるため、挙動への影響が少ない。そのため、大きな反力伝達と、少ない挙動への影響との両立が可能となる。また、逸脱余裕時間−反力変換マップと横位置偏差−反力変換マップとは、同じ切り替えゲインを用いて切り替えているため、逸脱余裕時間−反力変換マップの切り替えと、横位置偏差−反力変換マップの切り替えとは、同時に行うことになる。
(転舵制御部30の構成)
図17は、転舵制御部30の構成例を表すブロック図である。
図17に示すように、転舵制御部30は、SBW指令転舵角演算部31と、外乱抑制指令転舵角演算部32と、加算器30aとを備える。
SBW指令転舵角演算部31は、操舵角センサ1d及び車速センサ7aが出力した検出結果(操舵角、車速)に基づいて、ステアリングホイール1aの操舵に応じた左右前輪5FL、5FRの転舵角とするための転舵角(SBW指令転舵角)を算出する。そして、SBW指令転舵角演算部31は、算出結果を加算器30aに出力する。
外乱抑制指令転舵角演算部32は、車速センサ7a及び映像処理部4aが出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、SBW指令転舵角演算部31が出力した算出結果(SBW指令転舵角)を補正するための転舵角(外乱抑制指令転舵角)を算出する。例えば、外乱抑制指令転舵角は、外乱により発生したヨー角(後述)等を低減するための転舵角である。そして、外乱抑制指令転舵角演算部32は、算出結果を加算器30aに出力する。
加算器30aは、SBW指令転舵角演算部31が出力した算出結果(SBW指令転舵角)に外乱抑制指令転舵角演算部32が出力した算出結果(外乱抑制指令転舵角)を加算する。これにより、加算器30aは、SBW指令転舵角を外乱抑制指令転舵角で補正する。そして、加算器30aは、加算結果を、指令転舵角(転舵指令)として転舵モータ用電流ドライバ9bに出力する。
(外乱抑制指令転舵角演算部32の構成)
図18は、外乱抑制指令転舵角演算部32の構成例を表すブロック図である。
図18に示すように、外乱抑制指令転舵角演算部32は、ヨー角演算部32aと、曲率演算部32bと、横位置演算部32cと、ヨー角に応じた反発力演算部33と、横位置に応じた反発力演算部34と、加算器32dと、目標ヨーモーメント演算部32eと、目標ヨー加速度演算部32fと、目標ヨーレート演算部32gと、指令転舵角演算部32hと、リミッタ処理部32iとを備える。
ヨー角演算部32aは、車速センサ7a及び映像処理部4aが出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、前方注視点でのヨー角を算出する。前方注視点でのヨー角としては、例えば、設定時間(例えば、0.5秒)後に走行車線(道路白線)と車両A進行方向とのなす角度がある。そして、ヨー角演算部32aは、算出結果をヨー角に応じた反発力演算部33及び横位置に応じた反発力演算部34に出力する。
曲率演算部32bは、車速センサ7a及び映像処理部4aが出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、前方注視点での道路白線の曲率を算出する。前方注視点での道路白線の曲率としては、例えば、設定時間(0.5秒)後の車両A位置の走行車線(道路白線)の曲率がある。そして、曲率演算部32bは、算出結果をヨー角に応じた反発力演算部33及び横位置に応じた反発力演算部34に出力する。
横位置演算部32cは、映像処理部4aが出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離(横位置)(以下、前方注視点での横位置とも呼ぶ)を算出する。前方注視点での横位置としては、例えば、設定時間(0.5秒)後の車両A位置から道路白線までの距離(横位置)がある。そして、横位置演算部32cは、算出結果を横位置に応じた反発力演算部34に出力する。
ヨー角に応じた反発力演算部33は、ヨー角演算部32a、曲率演算部32b、及び車速センサ7aが出力した検出結果(前方注視点でのヨー角、前方注視点での道路白線の曲率、車速)に基づいて、ヨー角フィードバック制御(転舵制御)を行う。ヨー角フィードバック制御では、外乱により発生したヨー角を低減するための車両Aの反発力(以下、ヨー角に応じた反発力とも呼ぶ)を算出する。これにより、ヨー角フィードバック制御では、前方注視点でのヨー角に基づいて当該ヨー角が低減する方向へ左右前輪5FL、5FRの転舵角を制御する。そして、ヨー角に応じた反発力演算部33は、算出結果を加算器32dに出力する。ヨー角に応じた反発力演算部33の詳細は後述する。
横位置に応じた反発力演算部34は、ヨー角演算部32a、曲率演算部32b、横位置演算部32c、及び車速センサ7aが出力した検出結果(前方注視点でのヨー角、前方注視点での道路白線の曲率、前方注視点での横位置、車速)に基づいて、横位置フィードバック制御(転舵角制御)を行う。横位置フィードバック制御では、外乱により発生した横位置変化を低減するための車両Aの反発力(以下、横位置に応じた反発力とも呼ぶ)を算出する。これにより、横位置フィードバック制御では、前方注視点での横位置に基づいて車両Aが走行車線の中央方向、つまり、横位置が低減する方向へ左右前輪5FL、5FRの転舵角を制御する。そして、横位置に応じた反発力演算部34は、算出結果を加算器32dに出力する。横位置に応じた反発力演算部34の詳細は後述する。
加算器32dは、ヨー角に応じた反発力演算部33が出力した算出結果(ヨー角に応じた反発力)、及び横位置に応じた反発力演算部34が出力した算出結果(横位置に応じた反発力)を加算する。そして、加算器32dは、加算結果(以下、横方向反発力とも呼ぶ)を目標ヨーモーメント演算部32eに出力する。
目標ヨーモーメント演算部32eは、加算器32dが出力した算出結果(横方向反発力)に基づいて、目標ヨーモーメントを算出する。具体的には、目標ヨーモーメント演算部32eは、横方向反発力、ホイールベースWHEELBASE、後輪軸重、及び前輪軸重に基づき、下記(1)式に従って目標ヨーモーメントMを算出する。そして、目標ヨーモーメント演算部32eは、算出結果を目標ヨー加速度演算部32fに出力する。
=横方向反発力×(後輪軸重/(前輪軸重+後輪軸重))×WHEELBASE ……(1)
目標ヨー加速度演算部32fは、目標ヨーモーメント演算部32eが出力した算出結果(目標ヨーモーメント)に基づいて、目標ヨー加速度を算出する。具体的には、目標ヨー加速度演算部32fは、目標ヨーモーメントに予め定めたヨー慣性モーメント係数を乗算する。そして、目標ヨー加速度演算部32fは、乗算結果を目標ヨー加速度として目標ヨーレート演算部32gに出力する。
目標ヨーレート演算部32gは、目標ヨー加速度演算部32fが出力した算出結果(目標ヨー加速度)に基づいて、目標ヨーレートを算出する。具体的には、目標ヨーレート演算部32gは、目標ヨー加速度に車頭時間を乗算する。そして、目標ヨーレート演算部32gは、乗算結果を目標ヨーレートとして指令転舵角演算部32hに出力する。
指令転舵角演算部32hは、目標ヨーレート演算部32g及び車速センサ7aが出力した検出結果(目標ヨーレート、車速)に基づいて、外乱抑制指令転舵角を算出する。具体的には、指令転舵角演算部32hは、目標ヨーレートφ、車速V、ホイールベースWHEELBASE、及び車両Aの特性速度Vchに基づき、下記(2)式に従って外乱抑制指令転舵角δstを算出する。ここで、車両Aの特性速度Vchとしては、例えば、既知のアッカーマン方程式の中の、車両Aのセルフステアリング特性を表すパラメータがある。そして、指令転舵角演算部32hは、算出結果をリミッタ処理部32iに出力する。
δst=(φ×WHEELBASE×(1+(V/Vch))×180)/(V×MPI) ……(2)
なお、MPIは、予め定めた係数である。
リミッタ処理部32iは、指令転舵角演算部32hが出力した算出結果(外乱抑制指令転舵角δst)の最大値及び変化率の上限を制限する。外乱抑制指令転舵角δstの最大値は、コンベンショナルな操舵装置(操舵部1と転舵部2とが機械的に接続された操舵装置)において、ステアリングホイール1aの操舵角が中立位置付近の遊びの角度範囲(例えば、左右3度)にあるときの当該遊びの範囲に対応する左右前輪5FL、5FRの転舵角範囲(例えば、左右0.2度)とする。そして、リミッタ処理部32iは、制限後の外乱抑制指令転舵角δstを加算器30a(図17参照)に出力する。
(ヨー角に応じた反発力演算部33の構成)
図19は、ヨー角に応じた反発力演算部33の構成例を表すブロック図である。
図19に示すように、ヨー角に応じた反発力演算部33は、上下限リミッタ33aと、設定ゲイン乗算部33bと、車速補正ゲイン乗算部33cと、曲率補正ゲイン乗算部33dと、乗算器33eとを備える。
上下限リミッタ33aは、ヨー角演算部32aが出力した算出結果(前方注視点でのヨー角)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、ヨー角が正値の場合(道路白線と車両A進行方向の延長線とが交差するときのヨー角を正とする)には、外乱を抑制可能な設定値以上の値で、且つ、車両Aが振動的となる値及び運転者の操舵によって発生する値未満の正値(上限値。例えば、1度)とする。また、上下限リミッタ処理では、例えば、ヨー角が負の場合には0とする。そして、上下限リミッタ33aは、上下限リミッタ処理後のヨー角を設定ゲイン乗算部33bに出力する。これにより、上下限リミッタ処理後のヨー角は、ヨー角が発生した場合にのみ正値となる。
設定ゲイン乗算部33bは、上下限リミッタ33aが出力した算出結果(上下限リミッタ処理後のヨー角)に予め定めた設定ゲインを乗算する。設定ゲインは、例えば、制御量不足を回避しつつ応答性を確保できる値以上の値とする。また、設定ゲインは、車両Aが振動的となる値、及び運転者が操舵角と転舵角との中立ずれを感じる値未満の値とする。そして、設定ゲイン乗算部33bは、乗算結果(以下、上限値乗算後の設定ゲインとも呼ぶ)を乗算器33eに出力する。
車速補正ゲイン乗算部33cは、車速センサ7aが出力した検出結果(車速)に予め定めた車速補正ゲインを乗算する。車速補正ゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で最大値となり、車速70〜130km/hの範囲で車速が大きくなるほど減少し、車速130km/h以上の範囲で最小値(例えば、ほぼ0)となる。そして、車速補正ゲイン乗算部33cは、乗算結果を乗算器33eに出力する。
曲率補正ゲイン乗算部33dは、曲率演算部32bが出力した検出結果(前方注視点での曲率)に予め定めた曲率補正ゲインを乗算する。曲率補正ゲインは、例えば、曲率がR1〜R2(>R1)の範囲で最大値となり、曲率がR2〜R3(>R2)の範囲で曲率が大きくなるほど減少し、曲率R3以上の範囲で最小値(例えば、ほぼ0)となる。そして、曲率補正ゲイン乗算部33dは、乗算結果を乗算器33eに出力する。これにより、曲率補正ゲイン乗算部33dは、前方注視点での曲率が大きいほど乗算結果を低減できる。
乗算器33eは、設定ゲイン乗算部33b、車速補正ゲイン乗算部33c及び曲率補正ゲイン乗算部33dが出力した算出結果を互いに乗算する。そして、乗算結果をヨー角に応じた反発力として加算器32dに出力する。これにより、乗算器33eは、外乱抑制指令転舵角演算部32は、ヨー角が発生した場合にのみヨー角フィードバック制御を行う。
また、乗算器33e(転舵制御部30)は、前方注視点での曲率が大きいほど、ヨー角に応じた反発力の絶対値を低減できる。それゆえ、転舵制御部30は、例えば、車両Aが曲率半径の小さいカーブ(曲路)を走行する場合に、ヨー角に応じた反発力を低減できる。そのため、転舵制御部30は、ヨー角が低減する方向への左右前輪5FL、5FRの転舵を抑制できる。これにより、運転者は、より意図に応じた経路で車両Aを運転できる。
(横位置に応じた反発力演算部34の構成)
図20は、横位置に応じた反発力演算部34の構成例を表すブロック図である。
図20に示すように、横位置に応じた反発力演算部34は、減算器34aと、上下限リミッタ34bと、距離補正ゲイン乗算部34cと、横位置フィードバックゲイン乗算部34dと、車速補正ゲイン乗算部34eと、曲率補正ゲイン乗算部34fとを備える。
減算器34aは、予め定めた横位置閾値(例えば、90cm)から、横位置演算部32cが出力した算出結果(前方注視点での車両Aから道路白線までの距離(横位置))を減算する。そして、減算器34aは、減算結果(以下、横位置偏差とも呼ぶ)を上下限リミッタ34bに出力する。これにより、横位置偏差は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合(隣接車線側である場合)にのみ正値となる。
上下限リミッタ34bは、減算器34aが出力した算出結果(横位置偏差)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、横位置偏差が正値である場合には予め定めた正値とし、横位置偏差が負値である場合には0とする。そして、上下限リミッタ34bは、上下限リミッタ処理後の横位置偏差を乗算器34gに出力する。これにより、上下限リミッタ処理後の横位置偏差は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合(隣接車線側である場合)にのみ正値となる。
距離補正ゲイン乗算部34cは、横位置演算部32cが出力した算出結果(前方注視点での横位置)に距離補正ゲインを乗算する。距離補正ゲインは、例えば、車両Aから道路白線までの距離(横位置)がY1〜Y2(>Y1)の範囲で最大値となり、横位置がY2〜Y3(>Y2)の範囲で横位置が大きくなるほど減少し、横位置がY3以上の範囲で最小値になる。そして、距離補正ゲイン乗算部34cは、乗算結果(以下、補正後の道路白線までの距離とも呼ぶ)を横位置フィードバックゲイン乗算部34dに出力する。
横位置フィードバックゲイン乗算部34dは、距離補正ゲイン乗算部34cが出力した算出結果(補正後の道路白線までの距離)に予め定めた横位置フィードバックゲインを乗算する。横位置フィードバックゲインは、例えば、制御量不足を回避しつつ応答性を確保できる設定値以上の値とする。また、横位置フィードバックゲインは、車両Aが振動的になる値、及び運転者が中立ずれを感じる値未満の値とする。更に、横位置フィードバックゲインは、ヨー角フィードバックゲインよりも小さな値とする。そして、横位置フィードバックゲイン乗算部34dは、乗算結果を乗算器34gに出力する。
車速補正ゲイン乗算部34eは、車速センサ7aが出力した検出結果(車速)に予め定めた車速補正ゲインを乗算する。車速補正ゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で最大値となり、車速70〜130km/hの範囲で車速が大きくなるほど減少し、車速130km/h以上の範囲で最小値(例えば、0)となる。そして、車速補正ゲイン乗算部34eは、乗算結果を乗算器34gに出力する。
曲率補正ゲイン乗算部34fは、曲率演算部32bが出力した検出結果(前方注視点での曲率)に予め定めた曲率補正ゲインを乗算する。曲率補正ゲインは、例えば、前方注視点での曲率がR1〜R2(>R1)の範囲で最大値となり、曲率がR2〜R3(>R2)の範囲で曲率が大きくなるほど減少し、曲率がR3以上の範囲で最小値(例えば、0)となる。そして、曲率補正ゲイン乗算部34fは、乗算結果を乗算器34gに出力する。
(横位置フィードバック制御の実行領域)
図21は、横位置フィードバック制御の実行領域を表す図である。
乗算器34gは、横位置フィードバックゲイン乗算部34d、車速補正ゲイン乗算部34e、及び曲率補正ゲイン乗算部34fが出力した算出結果を互いに乗算する。そして、乗算器34gは、乗算結果(以下、横位置に応じた反発力とも呼ぶ)を加算器32dに出力する。これにより、外乱抑制指令転舵角演算部32は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合、つまり、道路白線から90cmの位置より隣接車線側である場合にのみ横位置フィードバック制御を行う。すなわち、図21に示すように、走行車線中央付近は、横位置フィードバック制御を行わない領域(不感帯)となる。
また、乗算器34g(転舵制御部30)は、前方注視点での曲率が大きいほど、横位置に応じた反発力の絶対値を低減できる。それゆえ、転舵制御部30は、例えば、車両Aが曲率半径の小さいカーブを走行する場合に、横位置に応じた反発力を低減できる。そのため、転舵制御部30は、横位置が低減する方向への左右前輪5FL、5FRの転舵を抑制できる。これにより、運転者は、より意図に応じた経路で車両Aを運転できる。
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1)本実施形態に係る車線維持支援装置は、運転者の操舵入力を受けるステアリングホイールと車両の向きを変える転舵輪とが機械的に切り離された車両において、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクをステアリングホイールに付与することで、車両の車線維持制御を行う。このとき、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクを求める処理として、車両が車線の逸脱方向に近づく際に操舵反力トルクを求める第1処理と、車両が車線の逸脱回避方向に近づく際に操舵反力トルクを求める第2処理と、を別々に実施可能となっている。また、車両の走行状況が同一のとき、第1処理により求められる操舵反力トルクのほうが、第2処理により求められる操舵反力トルクよりも大きい。
これにより、操舵入力の切り増し側(逸脱側)での反力と、切り戻し側(逸脱回避側)での反力とを別々に求めることが可能であり、操舵入力の切り増し又は切り戻しに応じて反力制御を切り替えることができる。
また、車両の走行状況が同一のときであっても、運転者が既にステアリングホイールを元に戻し始めており緩慢にステアリングホイールを戻すことが望まれる逸脱回避側よりも、車線端部に向かっており直ちにステアリングホイールを元に戻すことが望まれる逸脱側のほうが、大きい反力を得られるようになる。
(2)本実施形態に係る車線維持支援装置は、車両の走行状況としての車両が車線から逸脱するまでに要する時間を表す逸脱余裕時間に応じて第1処理と第2処理とを実施する。
これにより、逸脱余裕時間が短いほど操舵反力トルクが増大し、かつ、切り増し側(逸脱側)と切り戻し側(逸脱回避側)とで操舵反力トルクが異なるように制御することができる。
(3)本実施形態に係る車線維持支援装置は、車両の走行状況としての車両の車線における横位置に応じて第1処理と第2処理とを実施する。
これにより、横位置偏差が大きいほど操舵反力トルクが増大し、かつ、切り増し側(逸脱側)と切り戻し側(逸脱回避側)とで操舵反力トルクが異なるように制御することができる。
(4)本実施形態に係る車線維持支援装置は、操舵入力の方向の変化に応じて、第1処理により求められる操舵反力トルクと、第2処理により求められる操舵反力トルクとを切り替える。
これにより、操舵入力の方向に応じて、横位置に応じた操舵反力トルクを、車線の逸脱側と逸脱回避側との間で切り替えることができる。
(5)本実施形態に係る車線維持支援装置は、操舵入力の方向の変化があったときに操舵反力トルクの切り替えを遅らせる不感帯を有する。
これにより、操舵入力に対する反応を緩和し、急に方向が切り替わって挙動が不安定になるのを回避することができる。
(6)本実施形態に係る車線維持支援装置は、操舵入力の方向の変化に応じて操舵反力トルクを切り替える際に、切換前の操舵反力トルクの割合が徐々に減少し、切換後の操舵反力トルクの割合が徐々に増加するように、第1処理により求められる操舵反力トルクと第2処理により求められる操舵反力トルクとにそれぞれの割合を乗じて加算した値を、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクとしてステアリングホイールに付与する。
これにより、逸脱側と逸脱回避側との間で、操舵反力トルクを円滑に切り替えながら制御することができる。
(7)本実施形態に係る車線維持支援装置は、ステアリングホイールの操舵状態が逸脱方向に大きくなるに従って大きな値となる操舵状態値が、その時点で保持している操舵状態値であるラッチ値よりも大きくなれば、その時点の操舵状態値でラッチ値を更新する一方で、その時点の操舵状態値が、その時点のラッチ値以下であればラッチ値を保持し、操舵状態値がその時点のラッチ値から予め設定されたヒステリシス値の分だけ小さい値に変化するまでの間は、第1処理により求められる操舵反力トルクの割合は徐々に減少し、第2処理により求められる操舵反力トルクの割合は徐々に増加するように、第1処理により求められる操舵反力トルクと第2処理により求められる操舵反力トルクとにそれぞれの割合を乗じて加算した値を、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクとしてステアリングホイールに付与する。
これにより、逸脱側から逸脱回避側への操舵反力トルクの急激な変化を回避し、緩やかに操舵反力トルクが切り替わるように制御することができる。
(8)本実施形態に係る車線維持支援装置は、操舵状態値が、その時点のラッチ値からヒステリシス値の分だけ減じた値よりも小さくなった場合には、その時点の操舵状態値にヒステリシス値を加えた値でラッチ値を更新する。
これにより、逸脱側の操舵反力トルクと逸脱回避側の操舵反力トルクとのそれぞれの割合(切り替えゲイン)を1よりも大きくしないために、差分をヒステリシス値の分までとして、それぞれの割合を0〜1で変化させるようにすることができる。
(9)本実施形態に係る車線維持支援装置は、操舵反力トルクの値が0になった時点又は操舵反力トルクの符号が逆になった時点で、ラッチ値をその時点の操舵状態値で更新する初期化処理を行う。
これにより、ステアリングホイールに左方向への反力が発生している場合から、右方向への反力が発生している場合に切り替わった時に、ラッチ値を適切に更新することができる。
(10)上記の操舵状態値は、ステアリングホイールの操舵角、ステアリングホイールに発生する操舵トルク、及び道路形状から推定される推定ヨーレートと実際に発生している実ヨーレートとの差分のうちのいずれかである。
すなわち、上記の操舵状態値として、操舵角、操舵トルク、及び推定ヨーレートと実ヨーレートとの差分のうちのいずれかを用いることができる。
なお、上記の操舵状態値として操舵角を用いる場合、上記のラッチ値はラッチ操舵角であり、上記のヒステリシス値は操舵角ヒスである。
また、操舵角と操舵トルクとは、いずれもステアリングホイールの回転の度合いを示す値であるため、互換性がある。例えば、操舵角はステアリングホイールの回転角を示し、操舵トルクはステアリングホイールの回転方向の力を示す。操舵トルクにより、車線中央からの逸脱の度合いを示す。
また、操舵角に相当する情報として、推定ヨーレートと実ヨーレートとの差分を用いることができる。例えば、推定ヨーレートは、車線に沿って道なりに走行していると仮定した場合のヨーレートであり、実ヨーレートは、実際のヨーレートである。推定ヨーレートと実ヨーレートとの差分により、車線中央からの逸脱の度合いを示す。
(11)本実施形態に係る車線維持支援装置は、第1処理において操舵反力トルクを求めるために用いられる逸脱側マップと、第2処理において操舵反力トルクを求めるために用いられる逸脱回避側マップとを有する。
これにより、ステアバイワイヤシステムを用いた車両において、操舵入力の切り増し側(逸脱側)での反力を指示するマップと、切り戻し側(逸脱回避側)での反力を指示するマップとを用いて、操舵入力の切り増し又は切り戻しに応じて反力制御を切り替えることができる。
(変形例)
[逸脱余裕時間又は横位置のいずれか一方のみに応じた操舵反力トルクの算出]
上記の説明では、本実施形態に係る車線維持支援装置は、車両が車線から逸脱するまでに要する時間を表す逸脱余裕時間に応じた操舵反力トルクと、車両の車線における横位置に応じた操舵反力トルクとの両方を求めている。但し、実際には、いずれか一方の操舵反力トルクのみ求めるようにしても良い。この場合、図4に示す操舵反力トルクオフセット部24において、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25と、横位置に応じた反力演算部26とのうちいずれか一方のみ設ければ良い。若しくは、図4に示す操舵反力トルクオフセット部24において、車両Aが低速の場合には逸脱余裕時間に応じた反力演算部25を利用し、車両Aが高速の場合には横位置に応じた反力演算部26を利用するようにしても良い。これにより、図4に示す操舵反力トルクオフセット部24において、反力選択部24cは不要となる。また、いずれか一方の操舵反力トルクのみ求めれば良いため、処理負荷が低減し、かつ、処理速度が向上する。
[マップの即時切り替え]
図13〜図16において、本実施形態に係る車線維持支援装置は、運転者がステアリングホイール1aを切るのを止めた時(図中のY点)、その時点で切り増しゲインを1から0に即時更新し、切り戻しゲインを0から1に即時更新することで(図11のステップS301、S302)、直ちに切り増し側(逸脱側)のマップから切り戻し側(逸脱回避側)のマップに遷移しても良い(図中のY点→Z点)。
これにより、ステアリングホイール1aの回転方向の切り替え時における切り替えゲインの演算及び操舵反力トルクの算出が単純化するため、処理の高速化と負荷低減を図ることができる。例えば、スポーツカーのように、高速で走行することが多く、処理の高速化が求められ、かつ、操舵反力トルクを急に切り替えても運転者への影響が少ない(あまり違和感がない)と推測される車種の場合には、上記のように、直ちに切り増し側(逸脱側)のマップから切り戻し側(逸脱回避側)のマップに遷移する。
[運転者の意図的な車線逸脱への対応]
上記の説明では、本実施形態に係る車線維持支援装置は、車両Aが車線端部(道路白線)に寄っている場合に車両Aを車線中央に戻すように車線維持制御する。但し、実際には、(I)走行車線から隣接車線に車線変更する場合、(II)本線車線から分流車線に移動する場合、(III)合流車線から本線車線に移動する場合、若しくは(IV)緊急時に路側帯に停車する場合、又は(V)道路沿いの店舗や駐車場等に進入する場合等のように、運転者が車線端部の外側への移動を所望する場合には、本実施形態に係る車線維持制御を中断するようにしても良い。
具体的には、取得した道路情報や白線情報等において車線端部の外側に車両Aが進入可能な領域(他の車線、ジャンクション、サービスエリア、路側帯、店舗、公共施設、駐車場等)があるときに、(I)方向指示器を作動させている場合、(II)運転者が一定の角度(閾値)以上に切り増し側(逸脱側)にステアリングホイール1aを切っている場合、又は(III)車両Aを車線中央に戻す操舵反力トルクを発生させても運転者が切り増し側(逸脱側)にステアリングホイール1aを切り続けている場合には、運転者が車線端部の外側への移動を所望していると判断して、本実施形態に係る車線維持制御を中断する。例えば、指令操舵反力トルクや指令転舵角を電流ドライバに出力しない。
反対に、取得した道路情報や白線情報等において車線端部の外側に車両Aが進入可能な領域がない場合には、運転者が車線端部の外側への移動を所望していても、車線端部の外側への移動は不可能であると判断して、本実施形態に係る車線維持制御を無条件で実施する。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
1 操舵部
1a ステアリングホイール
1b コラムシャフト
1c 反力モータ
1d 操舵角センサ
1e トルクセンサ
2 転舵部
2a ピニオンシャフト
2b ステアリングギア
2c 転舵モータ
2d 転舵角センサ
2e ラックギア
2f ラック
3 バックアップクラッチ
4 SBWコントローラ
4a 映像処理部
5FL、5FR 左右前輪
6 カメラ
7 各種センサ
7a 車速センサ
7b 加速度センサ
7c ペダル操作センサ
8 ナビゲーションシステム
9 電流ドライバ
9a 反力モータ用電流ドライバ
9b 転舵モータ用電流ドライバ
10 車線維持制御部
10a 補正操舵角設定部
10b ラッチ操舵角更新部
10c 切り替えゲイン演算部
20 操舵反力制御部
21 横力演算部
22 横力オフセット部
23 SAT演算部
24 操舵反力トルクオフセット部
25 逸脱余裕時間に応じた反力演算部
25e 逸脱余裕時間反力マップ演算部
26 横位置に応じた反力演算部
26d 横位置偏差反力マップ演算部
30 転舵制御部
31 SBW指令転舵角演算部
32 外乱抑制指令転舵角演算部
33 ヨー角に応じた反発力演算部
34 横位置に応じた反発力演算部

Claims (12)

  1. 運転者の操舵入力を受けるステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールと機械的に切り離された転舵輪と、
    車両の走行状況に応じた操舵反力トルクを求めて前記ステアリングホイールに付与する操舵反力制御部と、
    を備え、
    前記操舵反力制御部は、前記車両の走行状況に応じた操舵反力トルクを求める処理として、前記車両が車線の逸脱方向に近づく際に前記操舵反力トルクを求める第1処理と、前記車両が車線の逸脱回避方向に近づく際に前記操舵反力トルクを求める第2処理と、を別々に実施可能となっており、
    前記車両の走行状況が同一のとき、前記第1処理により求められる前記操舵反力トルクのほうが、前記第2処理により求められる前記操舵反力トルクよりも大きいことを特徴とする車線維持支援装置。
  2. 前記操舵反力制御部は、前記車両の走行状況としての前記車両が車線から逸脱するまでに要する時間を表す逸脱余裕時間に応じて前記第1処理と前記第2処理とを実施する請求項1に記載の車線維持支援装置。
  3. 前記操舵反力制御部は、前記車両の走行状況としての前記車両の車線における横位置に応じて前記第1処理と前記第2処理とを実施する請求項1又は請求項2に記載の車線維持支援装置。
  4. 前記操舵反力制御部は、前記操舵入力の方向の変化に応じて、前記第1処理により求められる前記操舵反力トルクと、前記第2処理により求められる前記操舵反力トルクとを切り替える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車線維持支援装置。
  5. 前記操舵反力制御部は、前記操舵入力の方向の変化があったときに前記操舵反力トルクの切り替えを遅らせる不感帯を有する請求項4に記載の車線維持支援装置。
  6. 前記操舵反力制御部は、前記操舵入力の方向の変化に応じて前記操舵反力トルクを切り替える際に、切換前の前記操舵反力トルクの割合が徐々に減少し、切換後の前記操舵反力トルクの割合が徐々に増加するように、前記第1処理により求められる前記操舵反力トルクと前記第2処理により求められる前記操舵反力トルクとにそれぞれの割合を乗じて加算した値を、前記車両の走行状況に応じた前記操舵反力トルクとして前記ステアリングホイールに付与する請求項4又は請求項5に記載の車線維持支援装置。
  7. 前記操舵反力制御部は、前記ステアリングホイールの操舵状態が逸脱方向に大きくなるに従って大きな値となる操舵状態値が、その時点で保持している前記操舵状態値であるラッチ値よりも大きくなれば、その時点の前記操舵状態値でラッチ値を更新する一方で、その時点の前記操舵状態値が、その時点の前記ラッチ値以下であれば前記ラッチ値を保持し、前記操舵状態値がその時点の前記ラッチ値から予め設定されたヒステリシス値の分だけ小さい値に変化するまでの間は、前記第1処理により求められる前記操舵反力トルクの割合は徐々に減少し、前記第2処理により求められる前記操舵反力トルクの割合は徐々に増加するように、前記第1処理により求められる前記操舵反力トルクと前記第2処理により求められる前記操舵反力トルクとにそれぞれの前記割合を乗じて加算した値を、前記車両の走行状況に応じた前記操舵反力トルクとして前記ステアリングホイールに付与する請求項6に記載の車線維持支援装置。
  8. 前記操舵反力制御部は、前記操舵状態値が、その時点の前記ラッチ値から前記ヒステリシス値の分だけ減じた値よりも小さくなった場合には、その時点の前記操舵状態値に前記ヒステリシス値を加えた値で前記ラッチ値を更新する請求項7に記載の車線維持支援装置。
  9. 前記操舵反力制御部は、前記操舵反力トルクの値が0になった時点又は前記操舵反力トルクの符号が逆になった時点で、前記ラッチ値をその時点の前記操舵状態値で更新する初期化処理を行う請求項7又は請求項8に記載の車線維持支援装置。
  10. 前記操舵状態値は、前記ステアリングホイールの操舵角、前記ステアリングホイールに発生する操舵トルク、及び道路形状から推定される推定ヨーレートと実際に発生している実ヨーレートとの差分のうちのいずれかである請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の車線維持支援装置。
  11. 前記操舵反力制御部は、前記第1処理において前記操舵反力トルクを求めるために用いられる逸脱側マップと、前記第2処理において前記操舵反力トルクを求めるために用いられる逸脱回避側マップとを有する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の車線維持支援装置。
  12. 運転者の操舵入力を受けるステアリングホイールに、車両の走行状況に応じた操舵反力トルクを付与することで、前記車両の車線維持制御を行う車線維持支援方法において、
    前記車両が車線の逸脱方向に近づく際に前記操舵反力トルクを求める第1処理と、前記車両が車線の逸脱回避方向に近づく際に前記操舵反力トルクを求める第2処理と、を別々に実施し、
    前記車両の走行状況が同一のとき、前記第1処理により求められる前記操舵反力トルクのほうが、前記第2処理により求められる前記操舵反力トルクよりも大きいことを特徴とする車線維持支援方法。
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