JP2016107354A - 研削工具及び排ガス回収ダクトの製造方法 - Google Patents

研削工具及び排ガス回収ダクトの製造方法 Download PDF

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【課題】従来に比べて、施工コストや施工時間が掛からない排ガス回収ダクトを製造する方法及び該方法で用いる研削工具を提供する。【解決手段】先端部が略角錐台形状である研削工具5を用いて排ガス回収ダクトを製造する。複数並列された円管2と該円管2同士を接合する接合部材3とを有する平板状のパネル10を形成する。パネル10の表面に肉盛溶接を施すことによって、パネル10の表面に保護層4を形成する。研削工具5には、先端部の略角錐台形の傾斜面の少なくとも一部に、保護層4の目標の厚みと円管2の半径との和と等しい半径を有する円柱の側面と同じ形状となる曲面が形成されている。研削工具5の先端部の上底面で、接合部材3に形成された保護層4を研削し、研削工具5の先端部の傾斜面で、円管2に形成された保護層4を研削する。保護層4で排ガスの通路が形成されるようにパネル10を接合することで、排ガス回収ダクトを製造する。【選択図】図3

Description

本発明は、複数並列された円管と該円管同士を接合する接合部材とを有するパネルを接合することで製造される排ガス回収ダクトを製造する方法及びその方法において用いられる研削工具に関する。
溶融鉄の精錬に用いられる転炉から排ガスを回収し、回収した排ガスを煙道(排ガス回収ダクト)を介して集塵機に導いてダストを回収する転炉OG(Oxygen Converter Gas)回収設備が用いられている。排ガス回収ダクトの構造として、高温となる排ガスの通路を構成する表面が耐火物で被覆されてなるものがある他に、水などの冷却用媒体が内部で循環可能となっている冷却管が複数接合されてなるものがある。
冷却管が複数接合されてなる構造として、特許文献1には、冷却用液体を循環させるフードチューブ(本発明の「円管」に対応)を平面視略円形状に並設して、隣接するフードチューブの放熱用のフィン(本発明の「接合部材」に対応)同士を連結したメンブレン構造により円筒状に成形されたフードが記載されている。また、特許文献1には、転炉からの排ガスに含まれる酸化鉄等のダストがフードチューブに衝突し続けると該フードチューブは次第に摩耗していくので、時間の経過とともにフードチューブの厚みが磨り減り、さらには、転炉からの輻射熱及び排ガスからの伝導熱によってフードチューブにヒートクラックが生じる可能性があり、最終的には、フードチューブが破損して冷却用媒体が漏れ出る危険性があると記載されている。
そこで、特許文献1では、フードチューブ及びフィンを肉盛溶接したフードのメンテナンスを定期的に行い、補修作業者がフードチューブの状況を確認しながら、肉厚が減少した部分については被覆アーク溶接棒による手溶接または半自動アーク溶接などの溶接方法によって手作業で順次肉盛溶接することが記載されている。特許文献1には、排ガス回収ダクトの排ガスの通路を構成する表面に、肉盛溶接によって保護層が形成されることが記載されている。
特開2010−235982号公報
特許文献1では、肉盛溶接によって形成された保護層を有する排ガス回収ダクトを製造する方法は記載されていない。保護層は、いずれの部位においても冷却用媒体によって均一に冷却されるように、厚みが同じであることが望ましい。そこで、排ガス回収ダクトを製造する際、保護層を手作業で研削していた。よって、従来、排ガス回収ダクトの製造に施工コストや施工時間が多大に掛かっており、現状、施工コストや施工時間があまり掛からない排ガス回収ダクトを製造する方法は確立されていないというのが実情である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来に比べて、施工コストや施工時間が掛からない排ガス回収ダクトを製造する方法及び該方法で用いる研削工具を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
(1)複数並列された円管と該円管同士を接合する接合部材とを有する平板状のパネルが接合されて製造されるダクトにおける前記パネルの表面に形成される保護層を研削するための研削工具であって、先端部が略角錐台形状であり、該略角錐台形の傾斜面の少なくとも一部に、前記保護層の目標の厚みtと前記円管の半径rとの和で表される半径Rの円柱の側面と同じ形状となる曲面が形成されることを特徴とする研削工具。
(2)上記(1)に記載の研削工具を用いて、排ガスを回収するダクトを製造する方法であって、複数並列された円管と該円管同士を接合する接合部材とを有する平板状のパネルを形成し、前記パネルの表面に肉盛溶接を施すことによって前記表面に保護層を形成し、前記パネルの接合部材に形成された保護層に研削工具の先端部の上底面を当接した状態とし、前記パネルの円管に形成された保護層に研削工具の先端部の傾斜面を当接した状態で、前記研削工具を回転させることで前記保護層を研削し、前記保護層で排ガスの通路が形成されるように前記パネルを接合して、排ガス回収ダクトを製造することを特徴とする排ガス回収ダクトの製造方法。
本発明によって、従来に比べて施工コストや施工時間を掛けずに、排ガス回収ダクトを製造することが可能となる。
排ガス回収ダクトの断面を示す図である。 研削工具を示す図である。 図2に示す研削工具を用いた保護層の研削工程を示す図である。 図2とは別の形態の研削工具を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。まずは、排ガス回収ダクトの構成を説明する。図1に、排ガス回収ダクトの断面を示す斜視図及び斜視図において細線で囲まれた部分を示す拡大図を示す。排ガス回収ダクト1は、平板状のパネル10が複数接合されて形成されており、該パネル10の内側には排ガス通路11が形成されている。図1の紙面垂直方向に排ガス通路11が延在しており、排ガス通路11は、転炉の上方から延在し、例えば、集塵機に繋がっている。
パネル10は、複数並列された円管2と該円管2同士を接合する略平板状の接合部材3とを有する。円管2と接合部材3とを溶接して、円管2と接合部材3とを接合する。図1においては、見易さのために、排ガス通路11を構成するパネル10の内面において、円管2及び接合部材3を示す直線や、円管2と接合部材3とを接合する溶接部分は図示を省略してある。
円管2は、水などの冷却用媒体が内部を循環可能な構造となっている。例えば、円管2を二重管構造とし、内管及び内管と外管との間隙のうち一方を給水流路とし、他方を排水流路とし、円管2の端部で給水流路と排水流路と連通することによって、冷却水(冷却用媒体)を円管2の内部に循環させることが可能となる。排ガス通路11には、転炉からの高温の排ガスが通過し、該排ガスの熱が、円管2と接合部材3とに伝導することになるが、円管2が冷却用媒体で抜熱されるとともに、接合部材3も抜熱される。
パネル10の内面に肉盛溶接を施すことによって、保護層4が形成される。保護層4がパネル10の内面に形成されていない場合、排ガスに含まれるダストが、排ガス通路11を構成するパネル10の内面(円管2と接合部材3)に衝突することになる。ダストが、円管2に衝突し続けると、円管2は次第に摩耗していき、ひいては、円管2の厚みが磨り減り、円管2内部の水圧で破穴し、水漏れが発生する可能性がある。よって、円管2には保護層4が形成されており、円管2に合せて、接合部材3にも保護層4が形成されている。
円管2及び接合部材3のいずれの部位であっても、冷却効果を低下させないために、保護層4は薄く且つ厚みが同じであることが望ましい。保護層4を肉盛溶射によって形成する場合、肉盛溶接によって形成する場合に比べて、保護層4は薄くなり、冷却用媒体による円管2及び接合部材3の冷却が促進されるものの、円管2及び/または接合部材3との結合力が小さくなるので、保護層4は、円管2及び/または接合部材3から剥離し易くなり、寿命が短くなる傾向がある。一方で、保護層4を肉盛溶接によって形成する場合、肉盛溶射によって形成する場合に比べて、保護層4は、円管2及び/または接合部材3との結合力が大きくなり、寿命が長くなるものの、保護層4は厚くなり、冷却用媒体による円管2及び接合部材3が冷却されにくくなる。加えて、肉盛溶接によって保護層4の表面に凹凸部が形成される。凹部と凸部とで冷却用媒体による抜熱量が相異なり、熱応力も相異なるので、保護層4の表面に亀裂が生じ易くなる上に、また、凹凸部は、応力が集中し易く、亀裂の起点となり得る。よって、保護層4は、薄く且つその厚みがいずれの部位でも同じであり、その表面が平滑であることが望ましい。
肉盛溶接によって保護層を形成する場合、従来、保護層4の厚みを薄く且ついずれの部位でも同じにするべく、例えばグラインダなどを用いて手作業で研削を行っていたが、その場合、研削時間が長くなりコストも多く掛かる。そこで、本発明者は、従来に比べ時間を掛けずに、保護層4を薄くすることを可能とし且つ円管2及び接合部材3のいずれに形成される部位であっても、保護層4をある程度同じ厚みとする方法を鋭意検討した。その結果、本発明者は、先端部が略角錐台形状である研削工具を用い、パネル10の接合部材3に形成された保護層4に研削工具の先端部の上底面を当接した状態とし、パネル10の円管2に形成された保護層4に研削工具の先端部の傾斜面を当接した状態で、研削工具を回転させることで保護層4を研削する方法を完成した。
研削工具を図2に示し、その構成について説明する。研削工具5は、先端部6と、該先端部6が端部に設けられた円柱形状の本体部7と、を有する。先端部6は、2つの円管2とこれらを接合する接合部材3(図1参照)との表面に適合するように略四角錐台形状となっており、該略四角錐台形の傾斜面の少なくとも一部に、保護層4の目標の厚みtと円管2の半径rとの和で表される半径Rの円柱の側面と同じ形状となる曲面が形成されている。先端部6はこの形状で研削刃の機能を発揮し、研削工具5は、本体部7が円柱形状の軸を中心として回転すると、先端部6が回転して、前記曲面で円管2の表面に形成される保護層4を研削し、略四角錐台形の上底面で接合部材3の表面に形成される保護層4を研削するように構成されている。
図2において、(a)は、ある位置から視た研削工具5の側面図であり、(a’)は、(a)に対応する底面図である。(b)は、(a)の状態から本体部7を90℃回転させた状態の研削工具5の側面図であり、(b’)は、(b)に対応する底面図である。説明のために、紙面垂直方向に延在する形で隣り合い、半径r[mm]となる円管2を2点鎖線で示し、本体部7(研削工具5)の中心軸を1点鎖線で示し、その他補助線を示してある。図2に示す研削工具5は、直径D[mm]が円管2の中心軸の間隔P[mm]と等しい。図2(a)及び(b)に示すように、本体部7は、柱形状であり、研削工具5のある側面とそれとは別の側面から視ても同じ側面形状となっている。一方で、先端部6は、略四角錐台形状であり、研削工具5のある側面とそれとは別の側面から視て、側面形状が異なっている。
先端部6は、上底面6a、及び、四角錐台の一対の傾斜面となる傾斜面6bと、該傾斜面6bと同様に一対の傾斜面となるテーパー面6c、を有し、上底面6aは、水平方向に沿った長さXとする平坦面となっている。傾斜面6bには、上底面6aの研削による保護層4の目標の厚みt[mm]と円管2の半径rとの和で表される半径R[mm]の円柱の側面と同じ形状となる曲面が、本体部7の側端部から中心方向に向けて形成されている。前記曲面と上底面6aとを結ぶ部分には曲面Sが形成されており、この部分は滑らかな曲面となっている。
図2(a)に示された状態の先端部6からわかるように、傾斜面6b及び上底面6aの表面は、紙面横方向において本体部7の底面7aの一側端から他側端まで延在していることになり、上底面6aが、接合部材3に形成される保護層4に当接するとともに、傾斜面6bが、円管2に形成される保護層4に当接することが可能となる。一方で、図2(b)に示された状態の先端部6からわかるように、テーパー面6cは、図2(b)の紙面横方向において、底面7aの側端からではなく中心部分近傍から突出しており、テーパー面6cは円管2に形成される保護層4に接触することはない。
以上の構造の先端部6を有する研削工具5を回転させつつ保護層4に近づけると、研削工具5は、ある時には先端部6が図2(a)に示された姿勢となり、接合部材3に形成される保護層4に上底面6aが当接し、円管2に形成される保護層4に傾斜面6bが当接して、上底面6aと傾斜面6bとによって保護層4が研削される。更に、研削工具5が回転して、図2(b)に示された姿勢となり、上底面6aは当接した状態となっていて、接合部材3に形成される保護層4は研削され続けるものの、テーパー面6cは保護層4に接触せず、円管2に形成される保護層4は研削が中断される。しかしながら、研削工具5の回転を続けていると、図2(a)に示された姿勢となり、再度、上底面6aと傾斜面6bとによって保護層4が研削される。保護層4が目標の厚みtとなるまで、研削工具5を回転させつつ保護層4に近づけ、上底面6aと傾斜面6bとによる研削を続けることで、保護層4を研削できる(図3(b)及び(c)参照)。そして、図3の紙面垂直方向に沿って研削工具5を平行移動させて、円管2と接合部材3とに形成された保護層4を全て研削できる。
なお、上底面6aで研削される保護層4及び傾斜面6bで研削される保護層4が目標の厚みtとなったときに、曲面Sと円管2との間隔及び曲面Sと接合部材3との間隔が、それぞれ、目標の厚みtとなるように、曲面Sを形成することが望ましい。
次に、上記研削工具5を用いて排ガス回収ダクト1の製造方法を説明する。円管2と略平板状の接合部材3とを複数準備する。次いで、円管2を複数並列し、複数並列された円管2と、接合部材3とを溶接して、接合部材3で円管2同士を接合する。これにより、平板状のパネル10を形成する。このパネル10を1枚または複数形成しておく。そして、パネル10の表面に、溶融した金属による肉盛溶接を施すことによって、保護層4を形成する。
研削工具5による保護層4の研削工程を図3に示す。図3を参照して研削工程を説明する。図3においては、円管2を3つ示し、円管2を接合する接合部材3を4つ示しており、(a)では、研削工具5を、保護層4の上方に配置している状態を示してある。図示を省略してあるが、研削工具5は、上下左右及び紙面垂直方向に移動自在な工作機械に取り付けられ且つ該工作機械によって回転可能となっている。図3において、(b)では、3つの円管2のうち、左側と真中の2つの円管2とそれらを接合する接合部材3とに形成される保護層4を研削している状態を示し、(c)では、3つの円管2のうち、右側と真中の2つの円管2とそれらを接合する接合部材3とに形成される保護層4を研削している状態を示している。工作機械を左右に移動させることによって、研削工具5を研削対象の保護層4の上方に配置し、研削工具5を回転させるとともに、工作機械を下方に移動させることによって、保護層4を研削する。
図3(a)に示す状態から、工作機械を下方に移動させることによって、図3(b)に示すように、パネル10の接合部材3に形成される保護層4に研削工具5の上底面6aを当接した状態とし、パネル10の円管2に形成される保護層4に研削工具5の先端部の傾斜面6bを当接した状態で(図2参照)、研削工具5を回転させることで保護層4を研削し、円管2及び接合部材3に形成される保護層4を目標の厚みtとする。
その後、図3(a)に示すように工作機械を上方向に移動させ、次いで、右方向に移動させる。そして、図3(c)に示すように、既に左上半分の保護層4が研削された真中の円管2と右端の円管2とに形成された保護層4に研削工具5の傾斜面6bを当接した状態とし、それらの間の接合部材3に形成された保護層4に研削工具5の上底面6aを当接した状態で、研削工具5を回転させることで保護層4を研削し、保護層4を目標の厚みtとする。図3(a)〜(c)に示すような保護層4の研削を繰り返して、パネル10を構成する全ての円管2と接合部材3とに形成された保護層4を研削し、保護層4の厚みを目標の厚みtとすることができる。
上述のように研削された保護層4で排ガス通路11が形成されるように、パネル10を接合して、排ガス回収ダクトを製造する。図1に示す形態では、平板状のパネル10を4枚接合して、排ガス通路11を構成する内部の断面が略四角形状となる排ガス回収ダクト1を製造しているが、本発明に係る方法で製造される排ガス回収ダクトの断面は、この形状に限定されるものではない。例えば、平板状のパネル10を5枚準備して、前述の通り、研削工具5によってパネル10の表面に形成される保護層4を研削した後に、5枚のパネル10を接合すれば、断面が五角形状となる排ガス回収ダクトを製造することができる。また、排ガス回収ダクト1を構成するパネル10の枚数を多くすることとし、保護層4を研削した後にパネル10を円弧状に屈曲させ、屈曲したパネル10を多数接合して、断面が略円形状となる排ガス回収ダクトを製造することもできるし、1枚のパネル10のサイズを大きくし、円形状に屈曲し、屈曲したパネル10を接合して、断面が略円形状となる排ガス回収ダクトを製造することもできる。
図2に示すように、研削工具5の直径Dは、2つの円管2の中心軸の間隔Pと等しいこと(D=P)が望ましい。これにより、研削工具5の回転中心位置を、接合部材3の中心に容易に設定することが可能となる。直径Dが間隔Pと等しい場合、接合部材3及びその両隣の円管2上に厚みが目標の厚みtとなる保護層4を形成したときに、例えば、研削工具5の先端部の傾斜面で両隣の円管2の左右上半分側を研削できており、その両隣の円管2の頂部で、既に研削されているあるいは未だに研削されていないことを表す境界線が形成されることになる。よって、例えば、研削工具5を、既に研削が終了した接合部材3の隣の接合部材3に形成された保護層4を研削しようとする場合、研削工具5の側端を前記境界線に合せるように、研削工具5を前記隣の接合部材3の上方に配置すれば、研削工具5の回転中心位置が、接合部材3の中心に設定されたことになる。
図2に示す形態では、研削工具5の直径Dは、2つの円管2の中心軸の間隔Pと等しいが、本発明に係る研削工具の直径は必ずしもこの形態に限定されるものではない。例えば、直径Dが間隔Pを超えていれば(D>P)、図3(b)から(c)に示す状態に、研削工具5を移動させる場合であっても、図3(b)及び(c)に示すいずれの研削工程でも、真中の円管2の頂部が確実に研削できるという利点がある。図3(a)〜(c)に示すような保護層4の研削を繰り返せば、全ての円管2と接合部材3とに形成されるいずれの部位であっても、保護層4の厚みを目標の厚みtとなる。
図2に示す形態では、研削工具5の先端部6において、上底面6aと傾斜面6bとを結ぶ部分には曲面S、傾斜面6bには、半径R[mm]の円柱の側面と同じ形状となる曲面、を形成しているが、本発明に係る研削工具の先端部は必ずしもこの形態に限定されるものではない。図2に示すように、傾斜面6bに、半径R[mm]の円柱の側面と同じ形状となる曲面が形成されている場合、上底面6aで接合部材3に形成される保護層の厚みを目標の厚みtとするときに、円管2に形成される保護層4の厚みを目標の厚みtとすることは容易である。また、上底面6aと傾斜面6bとを結ぶ部分には曲面Sを形成しない場合、上底面6aの縁と傾斜面6bの縁との結合部が尖形状となり、この尖形による研削によって、結合部に対応する保護層4の部分には、連続的で滑らかな面が形成されず、熱膨張による応力がその角部分に集中的に掛かりやすくなり、亀裂発生の起点となりやすい線状加工部が発生する。よって、保護層4にヒートクラックが生じ易くなる。しかしながら、傾斜面6bと上底面6aとを結ぶ部分が尖形であっても、円管2に形成される保護層4は研削すること自体は可能であり、保護層4に凹凸部が形成されることを防止することは可能である。
図2に示す形態では、先端部6は略四角錐台の形状となっていて、一対となる2つの傾斜面に、保護層4の目標の厚みtと円管2の半径rとの和で表される半径Rの円柱の側面と同じ形状となる曲面が形成されているが、本発明に係る研削工具の先端部は、研削刃の機能を発揮するものであれば、必ずしもこの形状に限定されるものではない。例えば、先端部が略角錐台の形状であり、上底面6aが接合部材3に形成される保護層4を研削し、少なくとも、傾斜面6bの一面にのみ前記曲面が形成され、他の傾斜面が保護層4に接触しない寸法の形状(例えば、図2のテーパー面6c)になっていれば、円管2に形成される保護層4の研削を適切に行うことができ、先端部は、研削刃の機能を発揮する。よって、本発明に係る研削工具の先端部は、略角錐台の形状であれば、研削刃の機能を発揮可能であり、略三角錐台でも略五角錐台であってもよい。
また、図2に示す形態では、底面7aの一側端から他側端まで延在している部分が1つである一枚の研削刃を有する形状となっているが、本発明の研削工具の先端部は必ずしもこの形態に限定されるものではない。例えば、先端部を、底面7aの一側端から他側端まで延在している部分を複数とした形態としてもよい。図2とは別の形態の研削工具を図4に示す。図4においては、図2と同じ機能を果たす部分には、同じ符号を付してある。図4の形態においては、先端部6、一対の傾斜面6aと上底面6aとが、底面7aの一側端から他側端まで延在している部分が2つある二枚の研削刃を有する形状となっている。これにより、図2の形態では、研削工具5を1回転させる間に、傾斜面6bで、円管2に形成される保護層4を2回研削できるの対し、図4の形態では、傾斜面6bで前記保護層4を4回研削することが可能となり、施工時間がより短縮される。
本発明によって、施工コストや施工時間をあまり掛けずに排ガス回収ダクトを製造することが可能となる。
なお、上記実施形態では、研削工具5は、排ガス回収ダクトを製造する工程で用いたが、パネルの表面に形成される保護層を研削する際に用いるものであるので、排ガス回収ダクトを補修する際に保護層を研削する場合に、本発明の研削工具5を用いてもよい。
1 排ガス回収ダクト
2 円管
3 接合部材
4 保護層
5 研削工具
6 先端部
6a 上底面
6b 傾斜面
6c テーパー面
7 本体部
7a 底面
10 パネル
11 排ガス通路

Claims (2)

  1. 複数並列された円管と該円管同士を接合する接合部材とを有する平板状のパネルが接合されて製造されるダクトにおける前記パネルの表面に形成される保護層を研削するための研削工具であって、
    先端部が略角錐台形状であり、該略角錐台形の傾斜面の少なくとも一部に、前記保護層の目標の厚みtと前記円管の半径rとの和で表される半径Rの円柱の側面と同じ形状となる曲面が形成されることを特徴とする研削工具。
  2. 請求項1に記載の研削工具を用いて、排ガスを回収するダクトを製造する方法であって、
    複数並列された円管と該円管同士を接合する接合部材とを有する平板状のパネルを形成し、
    前記パネルの表面に肉盛溶接を施すことによって前記表面に保護層を形成し、
    前記パネルの接合部材に形成された保護層に研削工具の先端部の上底面を当接した状態とし、前記パネルの円管に形成された保護層に研削工具の先端部の傾斜面を当接した状態で、前記研削工具を回転させることで前記保護層を研削し、
    前記保護層で排ガスの通路が形成されるように前記パネルを接合して、排ガス回収ダクトを製造することを特徴とする排ガス回収ダクトの製造方法。
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