JP2016106808A - 乗員状態取得装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の衝突時において、生体センサによる生体情報の取得の確実性を向上装置を提供する。【解決手段】車両に装備されるシート4に設置され、シート4に着座する乗員5に向けて波動を照射し、その反射波を検出することで乗員5の生体情報を取得する生体センサ11と、車両の衝突時に衝突形態を推定する推定手段と、推定手段で推定された衝突形態に応じて波動の照射角度を設定する設定手段とを備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の乗員に向けて電磁波や音波といった波動を照射し、その反射波を検出することで乗員の生体情報を取得する生体センサを備えた乗員状態取得装置に関する。
近年、車両に乗車する乗員の健康状態を評価,管理すべく、生体情報を取得する生体センサを車両に搭載されつつある。この生体情報は、乗員の健康状態の指標となり、車載の制御装置や車両外部の医療機関などへ送信され、客観的な乗員の健康状態の判定に利用される。このような生体情報の利用は、乗員の健康維持や体調不良時の緊急対応に役立つものと考えられている。
上述の生体センサとしては、乗員に対して非接触に設けられ、乗員の胸部付近へ向けてマイクロ波を照射するものが知られる(例えば特許文献1,2)。すなわち、乗員に向けて照射したマイクロ波(波動)と、その反射波または透過波とに基づいて、乗員の心拍や呼吸,体表面変位などに関する生体情報を取得するものである。
特開2013-153783号公報 特許第5454593号公報
一般に生体センサでは、取得された生体情報の精度(データ精度)が、波動の照射角度に依存することが知られている。これは、波動の照射角度が小さいほど、その伝播方向に対して垂直な面上では波動の及ぶ範囲(検出範囲)が狭くなるため、波動が目標位置に集中しやすくなり、データ精度が向上するというものである。したがって、データ精度が高く有用な生体情報を取得するには、波動の照射角度を小さく設定することが好ましい。
しかしながら、車両に搭載された生体センサの場合、車両の衝突時に検出対象である乗員が生体センサに対して移動する可能性がある。つまり、予め生体センサの検出範囲が乗員の位置を含むように設定されていたとしても、車両の衝突形態によっては乗員が大きく移動し、検出範囲から外れる虞がある。特に、波動の照射角度が小さいほど検出範囲は狭くなるため、乗員が検出範囲から外れやすくなり、乗員の生体情報を適切に取得することができない可能性がある。
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、車両の衝突時において、生体センサによる生体情報の取得の確実性を向上させることができるようにした、乗員状態取得装置を提供することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示する乗員状態取得装置は、車両に装備されるシートに設置され、前記シートに着座する乗員に向けて波動を照射し、前記波動の反射波を検出することで前記乗員の生体情報を取得する生体センサと、前記車両の衝突時に衝突形態を推定する推定手段と、前記推定手段で推定された前記衝突形態に応じて前記波動の照射角度を設定する設定手段と、を備える。前記照射角度は、前記生体センサによって照射される前記波動の広がる角度を意味する。
(2)前記設定手段は、前記衝突形態から予測される前記乗員の移動が大きいほど、前記照射角度を大きく設定することが好ましい。
(3)前記設定手段は、前記衝突形態が側面衝突以外である場合に前記照射角度を第一角度に設定し、前記衝突形態が前記側面衝突である場合に前記照射角度を前記第一角度よりも大きな第二角度に設定することが好ましい。
(4)前記設定手段は、前記波動の周波数帯を調節することによって前記照射角度を設定することが好ましい。
(5)その場合、前記乗員状態取得装置が、複数の周波数帯の前記波動を照射可能な前記生体センサを備えることが好ましい。
(6)あるいは、前記乗員状態取得装置が、互いに異なる周波数帯の前記波動を照射する複数の前記生体センサを備えることが好ましい。この場合、前記設定手段が、複数の前記生体センサのうちの一つを選択することによって前記照射角度を設定することが好ましい。
(7)また、この場合、前記波動の周波数帯が低い前記生体センサほど車幅方向内側に配置されることが好ましい。
(8)前記乗員状態取得装置が、前記波動が通る位置に開口を有し、前記開口の面積を変更する絞り調整手段を備えることが好ましい。この場合、前記設定手段が、前記絞り調整手段を調節することによって前記照射角度を設定することが好ましい。
(9)前記生体センサが、前記シートの車幅方向中心部に設置されることが好ましい。
開示の乗員状態取得装置によれば、生体センサで照射される波動の照射角度が、車両の衝突時に推定された衝突形態に応じて設定されるため、取得される生体情報の精度(データ精度)と、生体情報が取得される確率(確実性)とのバランスを、車両衝突時の状況に応じて設定することができる。これにより、車両の衝突時にデータ精度が低下することや、生体情報を取得できなくなることを回避することができる。したがって、車両の衝突時に、生体センサによる生体情報取得の確実性を向上させることができる。
第一実施形態に係る乗員状態取得装置が適用されたシートの模式的な縦断面図(図2のA−A矢視断面図)であり、(a)は照射角度が小さい場合,(b)は照射角度が大きい場合である。 図1の乗員状態取得装置のブロック構成図である。 図1の乗員状態取得装置における照射角度の変更手順を例示するフローチャートである。 第二実施形態に係る乗員状態取得装置が適用されたシートの模式的な縦断面図であり、(a)は照射角度が小さい場合,(b)は照射角度が大きい場合である。 第三実施形態に係る乗員状態取得装置の要部の模式的な縦断面図であり、(a)は照射角度が小さい場合,(b)は照射角度が大きい場合である。
図面を参照して、実施形態としての乗員状態取得装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
以下、本乗員状態取得装置が搭載された車両の進行方向を前方とし、前方を基準に左右を定め、左右方向を車幅方向という。さらに、重力の方向を下方とし、その逆を上方とする。
[1.第一実施形態]
[1−1.装置構成]
第一実施形態に係る乗員状態取得装置1は、図2に示す車両10に搭載される。この車両10は、車室内の前部右側に運転席を有する右ハンドル車両である。本実施形態に係る乗員状態取得装置1は、車両10の運転席に着座する運転手を対象に設けられる。
車両10には、乗員状態取得装置1のほかに、車両ECU2と衝突センサ3a,3bとシート4とが設けられる。車両ECU2(電子制御装置;Electronic Control Unit)は、車両10を統合制御するコンピュータであり、例えば周知のマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両10に設けられた車載ネットワークの通信ラインに接続される。
衝突センサ3a,3bは、車両10の衝突によって生じる物理量を検出するためのセンサである。ここでは衝突センサ3a,3bが何れも、車両10の加速度を検出する加速度センサであるものとする。衝突センサ3aは、車両10の前後方向の加速度を検出するものであり、例えば車両10の前部の車幅方向の略中央部に一つ設置される。また、衝突センサ3bは、車両10の車幅方向の加速度(横加速度)を検出するものであり、例えば車両10の左右のセンターピラー下部に一つずつ配設される。衝突センサ3a,3bは、検出した情報を車両ECU2に伝達する。
シート4は、車両10に乗車する乗員が着座するためのものであり、車両10の車室内に装備される。図2に示すシート4は、車両10の運転席である。このシート4は、背もたれ部分を形成するシートバック4aと、座部分を形成するシートクッション4bとを有する。これらのシートバック4a及びシートクッション4bは、適度な柔軟性及び反発性を有する素材で構成される。
また、図1(a),(b)に示すように、シート4は、何れも骨格部材としてのシートパン4cと、二つのシートフレーム4dと、二つのシートレール4eとを有する。なお、図1(a),(b)は、図2のA−A矢視断面図であり、ここでは断面を表すハッチングを省略し、シート4に着座している乗員5(すなわち本実施形態では運転手)の腰部を二点鎖線で示している。
シートパン4cは、シートクッション4bを支持する面状の部材であり、シートクッション4bの下方または内部に設けられる。本実施形態のシートパン4cは、略水平面状に延びる部位の左右両側がシート4の外側に向かって上り傾斜するように屈曲された形状であって、左右対称な形状に形成されている。シートパン4cの車幅方向中心は、シート4の車幅方向中心(図1の一点鎖線O)と一致する。なお、シートパン4cには、図示しないスプリング部材を介して、あるいは直接的に、シートクッション4bが固定される。
シートフレーム4dは、シートパン4cを支持する部材であり、シートパン4cの左右に一対設けられる。本実施形態のシートフレーム4dは、前後方向に延びる鉛直面の下端からシート4の内側に向かってフランジを延出させたアングル形状に形成されている。シートフレーム4dの上端辺は、シートパン4cの左右両端辺にそれぞれ固定される。また、シートフレーム4dの下端辺は、シートレール4eに支持される。
シートレール4eは、シートフレーム4dを前後方向にスライド可能に支持する軌条であり、各シートフレーム4dの下方において互いに平行に設けられ、図示しない車体(フロアパネル)に固定される。シートレール4eには、シートフレーム4dの前後方向の位置をロックする図示しないロック機構が付設される。
上述のシートパン4c,シートフレーム4d及びシートレール4eは何れも、例えば板金をプレス加工することにより形成される。また、シートパン4cとシートフレーム4dとは、図示しないブラケットを介して結合され、あるいは溶接により直接結合される。
図2に示すように、乗員状態取得装置1は、シート4に設置された生体センサ11と、この生体センサ11を制御するための推定部21及び設定部22とを備える。本実施形態の推定部21及び設定部22は、車両ECU2の機能要素として設けられる。
生体センサ11は、シート4に着座する乗員5に向けて所定の周波数帯の電磁波(波動)を照射し、その反射波を検出することで乗員5の生体情報を取得するものである。この生体センサ11は、例えば、照射した電磁波と乗員5の体表面で反射された反射波とを比較することによって、乗員5の体表面変位を検出するドップラーセンサである。このように、生体センサ11は乗員5の生体情報として、例えば、乗員5の脈動や呼吸に伴って発生する体表面変位を取得する。生体センサ11は、取得した生体情報を車両ECU2に伝達する。
図1(a)に示すように、本実施形態の生体センサ11は、シート4のシートパン4cの上面に固定されている。生体センサ11は、車幅方向の位置が、シート4の車幅方向中心Oと一致するように設定され、前後方向の位置が、乗員5の腰部の前後方向位置と一致するように設定される。つまり、生体センサ11は、シート4の車幅方向中心部であって、乗員5の腰部の鉛直下方に設置される。
本実施形態の生体センサ11は、鉛直上方に向けて電磁波を照射するように設定される。生体センサ11で照射された電磁波は、鉛直上方(伝播方向)に進むに連れて、水平方向(伝播方向と直交する方向)に広がっていく。以下、この電磁波の広がる角度、すなわち電磁波の伝播方向に延びる任意の断面における電磁波の外形線(生体センサ11の照射口を始点とした二本の半直線)のなす角度を照射角度という。なお、照射角度は、電磁波の伝播方向に延びる任意の断面を基準にして定めることができる。ここでは、生体センサ11を通る車幅方向の鉛直断面〔図1(a),(b)に示す断面〕を基準にして、照射角度(後述の第一角度θ1及び第二角度θ2)を定める。
生体センサ11は、電磁波の照射角度が小さいほど電磁波の指向性が向上するため、取得される生体情報の精度(データ精度)が高くなる。一方、生体センサ11は、電磁波の照射角度が大きいほど電磁波の及ぶ水平方向の範囲(検出範囲)が広がるため、生体情報が取得される確率(確実性)が高くなる。また、電磁波の照射角度は、その電磁波の周波数に応じて異なる。
そこで、本実施形態の乗員状態取得装置1では、生体センサ11で照射される電磁波の周波数帯を調節することによって、電磁波の照射角度を設定(変更)する。これにより、生体センサ11によるデータ精度と生体情報の取得の確実性とのバランスを調節する。
本実施形態の生体センサ11には、複数の周波数帯の電磁波を照射可能なものが適用される。ここでは一つの生体センサ11が、二つの周波数帯(例えば2GHz帯及び10GHz帯)の電磁波を照射する場合について説明する。生体センサ11は、車両10の通常状態(走行中や停車中など衝突時以外の状態)では、二つの周波数帯のうち高い周波数帯(例えば10GHz帯)の電磁波を照射するように設定されている。一方、生体センサ11は、車両10の衝突時では、二つの周波数帯のうち車両10の衝突形態に応じて設定される何れか一方の周波数帯の電磁波を照射するように制御される。生体センサ11は、車両ECU2から伝達される設定信号に応じて、照射する電磁波の周波数帯が設定される。
[1−2.制御構成]
車両ECU2は、生体センサ11で照射される電磁波の照射角度を制御する。ここではおもに、車両10の衝突時における照射角度の制御について説明する。車両ECU2は、上述の乗員状態取得装置1の推定部21としての機能要素と、設定部22としての機能要素とを備える。
推定部21(推定手段)は、車両10の衝突時に、その衝突形態を推定するものである。衝突形態には、大きく分けて前面衝突(前突),側面衝突(側突),後面衝突(後突)があるが、本実施形態では、前突及び側突について例示する。前突には、車体前面の全幅に亘って衝突するフルラップ衝突,車体前面の左右いずれかの端部側に片寄って衝突するオフセット衝突やスモールオーバーラップ衝突等があり、側突には、立ち木やポール等の柱状物体と狭い範囲で衝突するポール衝突,他車両や壁体のような物体と広範囲で衝突するバリア衝突がある。
本実施形態の推定部21は、衝突形態の推定だけでなく、車両10の衝突の有無の判定も行うものとする。すなわち、この推定部21は、まず車両10に衝突があったか否かを判断し、衝突があったと判断した場合には、さらにその衝突形態を推定する。
推定部21は、例えば、衝突センサ3aから伝達された加速度の絶対値が所定の閾値以上である場合、及び、衝突センサ3bから伝達された横加速度の絶対値が所定の閾値以上である場合の少なくとも一方の場合に、車両10が何らかの物体と衝突した(車両10に衝撃が加わった)と判断する。なお、推定部21は、車両10の衝突の有無について、衝突センサ3a,3bによる検出情報以外の情報を用いて(あるいは併用して)判断することも可能である。例えば、車両10に装備されたエアバッグ装置の作動信号や、他の電子制御装置(例えば、エンジンECU,モータECU,車体制御ECU,バッテリECUなど)から出力された緊急停止信号などに基づいて、車両10の衝突の有無を判断してもよい。
推定部21は、衝突があったと判断した場合に、例えばこの判断に用いた加速度の方向に基づいて衝突の方向を判断して、衝突形態を推定する。具体的には、推定部21は、衝突センサ3bで検出された横加速度の絶対値が所定の閾値以上であった場合に、車両10が側突したと推定する。また、推定部21は、衝突センサ3aで検出された後ろ方向の加速度が所定の閾値以上であった場合に、車両10が前突したと推定する。
なお、衝突形態の推定方法はこれに限らず、公知の様々な方法を適用可能である。また、推定部21で推定される衝突形態は、上述の側突及び前突に限らず、公知の推定条件に基づいて種々の衝突形態を推定することができる。例えば、車体表面における衝突面積に基づいてポール衝突,バリア衝突を推定したり、車両10の回転角や回転方向に基づいてフルラップ衝突,オフセット衝突,スモールオーバーラップ衝突やロールオーバーを推定したりしてもよい。推定部21は、推定した衝突形態の情報を設定部22に伝達する。
設定部22(設定手段)は、推定部21で推定された衝突形態に応じて、生体センサ11で照射される電磁波の照射角度を設定するものである。本実施形態の設定部22は、生体センサ11で照射される電磁波の周波数帯を調節することによって、照射角度を設定する。
設定部22は、推定部21で推定された衝突形態が側突以外である場合(すなわち本実施形態では、推定部21で衝突形態が前突であると推定された場合)に、生体センサ11で照射される電磁波の周波数帯を高い方の周波数帯(例えば10GHz帯)に設定する。これにより、図1(a)に示すように、電磁波の照射角度は比較的小さい角度(以下、この角度を第一角度θ1という)となるように設定される。言い換えると、設定部22は、推定部21で推定された衝突形態が側突以外である場合に、生体センサ11の照射角度を第一角度θ1に設定する。この第一角度θ1は、生体センサ11で取得される生体情報の精度(データ精度)が所定精度以上となるように設定された角度である。
一方、設定部22は、推定部21で推定された衝突形態が側突である場合に、生体センサ11で照射される電磁波の周波数帯を低い方の周波数帯(例えば2GHz帯)に設定する。これにより、図1(b)に示すように、電磁波の照射角度は第一角度θ1よりも大きい角度(以下、この角度を第二角度θ2という)となるように設定される。言い換えると、設定部22は、推定部21で推定された衝突形態が側突である場合に、生体センサ11の照射角度を第一角度θ1よりも大きい第二角度θ2に設定する。この第二角度θ2は、データ精度と検出範囲とに応じて設定された角度である。設定部22は、設定した照射角度に対応した設定信号を生体センサ11に伝達する。
衝突形態が側突である場合は、衝突形態が前突の場合に比べて、シートベルトで拘束されている乗員5の腰部の車幅方向の移動が大きくなると予測される。本実施形態の設定部22は、衝突形態が側突である場合には、衝突形態が前突である場合に比べて照射角度を大きく設定する。つまり、本実施形態の設定部22は、衝突形態から予測される乗員5の移動が大きいほど、電磁波の照射角度を大きく設定するものといえる。
なお、本実施形態では、衝突形態が側突の場合と前突の場合との二つの場合で照射角度を変更する例を示したが、さらに細かく照射角度を変更するようにしてもよい。例えば、衝突形態がオフセット前面衝突である場合は、衝突形態がフルラップ前面衝突である場合に比べて、車両の車幅方向の移動が比較的大きいため、乗員5の車幅方向の移動が大きくなると予測される。そのため、衝突形態がオフセット前面衝突である場合には、衝突形態がフルラップ前面衝突である場合に比べて照射角度を大きく設定してもよい。
また、衝突形態が側突である場合に、さらにその側突が右側面衝突であるか左側面衝突であるかに応じて照射角度を変更してもよい。なお、上述の場合分けに代えて、あるいはこれと併せて、例えば衝突形態がポール衝突の場合とバリア衝突の場合とで、照射角度を変更するようにしてもよい。
車両ECU2は、生体センサ11で取得された生体情報に基づいて各種制御を実施する。例えば、車両ECU2は、取得された生体情報を医療機関へ送信し、医療関係者に乗員5の心拍数や呼吸の有無などの情報をリアルタイムで提供したり、さらに医療関係者と連絡できるようにしてもよい。また、車両ECU2に、生体センサ11で取得された生体情報に基づいて乗員5の健康状態を判断する機能を設け、車両ECU2が乗員5の健康状態を評価するようにしてもよい。この場合、車両ECU2が乗員5の体調不良を判断したら、シートバック4aを後方へ倒したりシートベルトの緊縛を解除したり空調を作動させたりするなどの制御を実施するようにしてもよい。
また、車両ECU2は、車両10の衝突時に限らず、車両10の通常状態(例えば走行時)にも生体センサ11の取得情報に基づいて各種制御を実施することができる。例えば、車両ECU2は、車両10の走行中に生体センサ11で取得された生体情報に基づいて乗員5の健康状態を判定し、体調不良であると判断した場合には、車両10を安全に緊急停止させ、ハザードランプなどを点灯させて周辺に報知するような制御を実施してもよい。
[1−3.フローチャート]
図3は、車両ECU2で実施される制御内容を説明するためのフローチャート例である。このフローチャートは、車両10が通常状態であって車両ECU2がオン状態のときに、所定の演算周期で繰り返し実施される。なお、このフローチャートの開始時点において、車両10は通常状態である(衝突時ではない)ため、生体センサ11の照射角度は第一角度θ1に設定されている。
ステップS1では、衝突センサ3a,3bからの検出情報が車両ECU2に入力される。ステップS2では、推定部21において、ステップS1で入力された情報に基づき車両10の衝突の有無が判断される。ここで、車両10の衝突があったと判断された場合にはステップS3に進み、衝突がない場合は、ステップS8へ進む。
ステップS3では、推定部21において衝突形態が推定される。続くステップS4では、設定部22において、ステップS3で推定された衝突形態が側突であるか否かが判定される。衝突形態が側突であると判定された場合はステップS5に進み、衝突形態が側突でないと判定された場合はステップS6に進む。
ステップS5では、設定部22において、生体センサ11で照射される電磁波の照射角度が第二角度θ2に切り替えられる。つまり本実施形態では、第二角度θ2に対応する周波数帯の設定信号が、車両ECU2から生体センサ11へと出力される。これに対し、ステップS4において衝突形態が側突でないと判定された場合には、生体センサ11で照射される電磁波の照射角度が第一角度θ1のままに維持される。
続くステップS6では、生体センサ11から設定された照射角度で電磁波が照射されて生体情報が取得され、この生体情報が車両ECU2に入力される。そして、ステップS7では、ステップS6で入力された生体情報に基づいて、車両ECU2による各種制御が実施され、このフローを終了する。
一方、ステップS8では、ステップS6と同様に、生体センサ11から設定された照射角度(第一角度θ1)で電磁波が照射されて生体情報が取得され、この生体情報が車両ECU2に入力される。そして、ステップS9では、ステップS8で入力された生体情報に基づいて乗員5の健康状態に異常があるか否かが判定され、異常がなければこのフローをリターンし、異常があればステップS10において各種制御を実施し、このフローをリターンする。
[1−4.作用,効果]
(1)上記の乗員状態取得装置1では、生体センサ11で照射される波動である電磁波の照射角度が、車両10の衝突時に推定された衝突形態に応じて設定される。例えば図1(a)に示すように、生体センサ11の照射角度が小さく設定される場合には、生体センサ11から一定の距離だけ離れた乗員5の高さ位置において、電磁波を狭い範囲に集中させることができる。そのため、この場合には、生体センサ11で取得される乗員5の生体情報の精度(データ精度)を向上させることができる。
一方、例えば図1(b)に示すように、生体センサ11の照射角度が図1(a)の照射角度よりも大きく設定される場合には、乗員5の高さ位置において、電磁波を図1(a)の範囲よりも広い範囲に拡散させることができる。そのため、この場合には、生体センサ11の検出範囲を拡大させることができ、乗員5の生体情報が取得される確率(確実性)を向上させることができる。
このように上記の乗員状態取得装置1によれば、生体センサ11のデータ精度と生体情報の取得の確実性とのバランスを、車両10の衝突時における状況に応じて変更することができる。そのため、車両10の衝突時にデータ精度が低下することや、生体情報を取得できなくなることを回避することができ、生体センサ11の有用性を向上させることができる。
(2)上記の乗員状態取得装置1では、衝突形態から予測される乗員5の移動が大きいほど、生体センサ11で照射される電磁波の照射角度が大きく設定される。これにより、生体センサ11の検出範囲を乗員5の移動に合わせて拡大させることができる。そのため、車両10の衝突時に、乗員5が生体センサ11の検出範囲内に入る確率を高めることができる。
特に、乗員5の移動が大きいほど、乗員5が車両10の衝突により受けた衝撃力は大きいと考えられるため、乗員5の生体情報をより確実に取得することが求められる。この点、上記の乗員状態取得装置1によれば、乗員5の移動が大きいほど生体センサ11の検出範囲が拡大されるため、生体情報の取得の確実性を高めることができ、乗員5の救護活動に寄与することができる。
(3)上記の乗員状態取得装置1では、生体センサ11で照射される電磁波の照射角度が、衝突形態が側突である場合に、側突以外の場合よりも大きな角度に設定される。つまり、乗員5の移動が比較的大きくなると予測される側突の場合には、他の衝突の場合に比べて生体センサ11の検出範囲を拡大させることができる。これにより、例えば図1(b)に示すように、車両10の右側面衝突時に乗員5の腰部が左方向へ大きく移動したとしても、乗員5に電磁波が当たりやすくなり、乗員5の生体情報を取得できる確率を高めることができる。したがって、側突時に生体情報取得の確実性を高めることができ、乗員5の救護活動に寄与することができる。
また、上記の乗員状態取得装置1では、側突である場合とそうでない場合との二つの場合で、生体センサ11の照射角度を切り替える。これにより、生体センサ11の照射角度の設定に関する制御内容や装置構成の複雑化を抑制することができる。
(4)上記の乗員状態取得装置1では、生体センサ11で照射される電磁波の周波数が調節されることによって、照射角度が設定される。そのため、例えば照射角度を変更する機構や装置を新たに設けることなく、生体センサ11の検出範囲を変更することができ、生産性を高めることができる。
(5)上記の乗員状態取得装置1は、複数の周波数帯の電磁波を照射可能な生体センサ11を備える。そのため、生体センサ11を複数個設けなくても、電磁波の照射角度を変更することができ、装置構成を簡素化することができる。また、生体センサ11の省スペース化を図ることができる。
(6)上記の乗員状態取得装置1では、生体センサ11がシート4の車幅方向中心部に設置される。これにより、乗員5が車幅方向の何れの方向に移動した場合でも、生体情報を取得しやすくすることができる。また、様々な体格の乗員5に対して電磁波を当たりやすくすることができるため、生体センサ11のデータ精度及び生体情報取得の確実性を向上させることができる。
[2.第二実施形態]
[2−1.構成]
図4(a),(b)は、第二実施形態に係る乗員状態取得装置1を説明するための図であり、図1(a),(b)にそれぞれ対応する。ここでは、上述の第一実施形態中で説明した各要素との対応関係を明示すべく、対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態に係る乗員状態取得装置1は、上述の第一実施形態のものに対して、生体センサ11の代わりに二つの生体センサ12,13を備えたものである。本実施形態の生体センサ12,13は、上述の生体センサ11に対して、照射する電磁波の周波数帯が一定である(変更できない)点が異なり、他の点は共通である。
二つの生体センサ12,13は、互いに異なる周波数帯の電磁波を照射する。以下、これら二つの生体センサ12,13を互いに区別する場合は、高い周波数帯(例えば10GHz帯)の電磁波を照射するものを第一生体センサ12といい、低い周波数帯(例えば2GHz帯)の電磁波を照射するものを第二生体センサ13という。
本実施形態の生体センサ12,13は、シート4のシートパン4cの上面において、シート4の車幅方向中心Oを挟んで互いに隣接するように、車幅方向に並んで配置されている。ここで、第二生体センサ13は、第一生体センサ12よりも車幅方向内側(図4では左側)に配置される。すなわち、二つの生体センサ12,13は、照射する電磁波の周波数帯が低いものほど、車幅方向内側に配置される。
車両10の通常状態では、第一生体センサ12が使用される。これに対し、車両10の衝突時には、二つの生体センサ12,13のうち車両10の衝突形態に応じて選択される何れか一方の生体センサ12,13が使用される。使用される生体センサ12,13は、車両ECU2から伝達される設定信号に応じて切り替えられる。
本実施形態の設定部22は、推定部21で推定された衝突形態に応じて、二つの生体センサ12,13のうち一つを選択する。つまり、設定部22は、車両10の衝突時に、その衝突形態に基づき、第一生体センサ12を継続して使用するか、第一生体センサ12から第二生体センサ13へ切り替えるかについて判断し、使用する生体センサ12,13を選択することで電磁波の照射角度を設定する。
設定部22は、推定部21で推定された衝突形態が側突以外である場合に、第一生体センサ12を選択し、電磁波の照射角度を第一角度θ1に設定する。これにより、図4(a)に示すように、電磁波は第一生体センサ12から比較的小さい照射角度(第一角度θ1)で照射される。
一方、設定部22は、推定部21で推定された衝突形態が側突である場合に、第二生体センサ13を選択し、電磁波の照射角度を第一角度θ1よりも大きい第二角度θ2に設定する。これにより、図4(b)に示すように、電磁波は第二生体センサ13から第一角度θ1よりも大きい照射角度(第二角度θ2)で照射される。
設定部22は、第二生体センサ13を選択した場合には、第一生体センサ12に対して電磁波の照射を停止させる信号を伝達するとともに、第二生体センサ13に対して電磁波の照射を開始させる信号を伝達する。一方、設定部22は、第一生体センサ12を選択した場合には、そのままの状態を維持する(信号の伝達は行わない)。これらによって、使用される生体センサ12,13が切り替えられる。
[2−2.作用,効果]
本実施形態の乗員状態取得装置1には、互いに異なる周波数帯の電磁波を照射する二つの生体センサ12,13が設けられる。また、設定部22が、これらの生体センサ12,13のうちの一つを選択することによって、電磁波の照射角度を設定する。つまり、本実施形態の乗員状態取得装置1では、一定の周波数帯の電磁波を照射する生体センサであって異なる周波数帯のものを複数個設ければよく、複数の周波数帯の電磁波を照射可能な(すなわち、周波数帯を切り替えることができる)生体センサを設ける必要がないため、上述の第一実施形態のものと比べて、個々の生体センサにかかるコストを抑制することができる。また、例えば一つの生体センサを備える既存の装置に対して、異なる周波数帯の電磁波を照射する別の生体センサを付加することで製造することができるため、既存の製品を活用することができ、生産性を高めることができる。
また、本実施形態の乗員状態取得装置1では、照射する電磁波の周波数帯が低い生体センサ13ほど車幅方向内側に配置される。乗員5の車幅方向内側には外側よりも大きなスペースが存在する場合があるため、車両10の衝突時には、乗員5の車幅方向内側への移動が車幅方向外側への移動よりも大きくなる可能性が高いと考えられる。特に、乗員5の車幅方向外側に、側面衝突に対応するためのサイドエアバッグ装置やカーテンエアバッグ装置が搭載されている場合には、乗員5が車幅方向内側へと移動する余地がより顕著となる。そのため、上述のように生体センサ13を車幅方向内側に配置し、シート4の車幅方向内側に広い検出範囲を設けることによって、例えば図4(b)に示すように乗員5が車幅方向内側に大きく移動したとしても、生体センサ13の検出範囲内に乗員5が入る確率を高めることができる。したがって、生体センサ13による生体情報の取得の確実性を向上させることができる。
その他、本実施形態の乗員状態取得装置1によれば、上記第一実施形態と同様の構成からは上記第一実施形態と同様の作用,効果を得ることができる。
[3.第三実施形態]
[3−1.構成]
図5(a),(b)は、第三実施形態に係る乗員状態取得装置1を説明するための模式図である。ここでは、上述の第一及び第二実施形態中で説明した各要素との対応関係を明示すべく、対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態に係る乗員状態取得装置1は、上述の第一実施形態のものに対して、生体センサ11の代わりに、一定の周波数帯の電磁波を照射する生体センサ13(上記第二実施形態で説明した第二生体センサ13)を備え、さらに、この生体センサ13で照射された電磁波の照射角度を変更するための絞り調整部30を備えたものである。なお、図5は生体センサ13と絞り調整部30の一部とを車幅方向に延びる鉛直面で切断した図であり、ここでは生体センサ13の断面を表すハッチングを省略し、絞り調整部30の一部の要素を模式的に示している。
絞り調整部30(絞り調整手段)は、生体センサ13を収容するケース31と、ケース31に対してスライド可能に取り付けられた複数のリブ32と、各リブ32のスライド位置を変更するアクチュエータ33とを有する。
ケース31は、例えば一端が閉鎖された筒状の筐体であり、閉鎖された一端(下端)が底面部として機能する。ケース31は、その軸心Cが鉛直方向に延在し、開放された他端(上端)が鉛直上方を向くように配置される。ケース31の底面部の中心(ケース31の軸心C上)には、生体センサ13が設置される。
本実施形態のケース31は、生体センサ13の車幅方向及び前後方向の位置が上記第一実施形態の生体センサ11の位置と等しくなるように、シート4のシートパン4cの上面に対して固定される。以下、ケース31の軸心Cに向かう側を内側といい、この逆を外側という。
リブ32は、カメラのレンズを部分的に覆う、所謂虹彩絞りのシャッターのように、ケース31の開放された上端を部分的に覆うように設けられる。本実施形態のリブ32は、ケース31の上端縁に沿って周方向に並んで配設され、図示しない外側の端部がケース31に対してピン結合されている。本実施形態のリブ32は、ケース31の軸心Cと同軸上に略円形の開口32aを形成する。つまり、この開口32aは、各リブ32の内側の端部によって囲まれた部分である。この開口32aは、生体センサ13で照射された電磁波が通る位置に設けられる。
各リブ32は、例えば外側の端部を回動中心として、ケース31に対して水平方向に移動可能に設けられる。これらのリブ32の移動は、何れも軸心Cに対して等しくなるように調節される。このようなリブ32の移動により、開口32aは、その形状が略円形に保たれたまま、その面積(上面視における大きさ)が変更される。
例えば図5(a)に示すように、開口32aの面積が比較的小さい場合、生体センサ13で照射された電磁波は、開口32aを通過するときにその広がりが抑制される。すなわち、この場合は、生体センサ13で照射される電磁波の照射角度が、開口32aによって第一角度θ1に絞られる。言い換えると、生体センサ13の照射角度が第一角度θ1となるように、開口32aの面積が設定される。
一方、例えば図5(b)に示すように、開口32aの面積が比較的大きい場合、生体センサ13で照射された電磁波は、開口32aを通過するときにその広がりがほとんど抑制されることなく広がっていく。すなわち、この場合は、生体センサ13で照射される電磁波の照射角度が、開口32aによって変更されることなく第二角度θ2のまま維持される。言い換えると、生体センサ13の照射角度が第二角度θ2となるように、全開状態の開口32aの面積が設定される。このように、本実施形態では、生体センサ13によって照射される電磁波の周波数帯は一定であるのに対し、電磁波の照射角度がリブ32によって形成される開口32aの面積に応じて変更される。
アクチュエータ33は、各リブ32を所定の位置まで移動させるものであり、設定部22からの設定信号に応じて操作される。アクチュエータ33は、少なくとも各リブ32を水平方向外側に移動させて、開口32aの面積を拡大させることのできるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。アクチュエータ33は、例えばバネやシリンダなどで構成することができる。
本実施形態の設定部22は、推定部21で推定された衝突形態に応じて、アクチュエータ33を調節(操作)する。つまり、本実施形態の設定部22は、アクチュエータ33を通じてリブ32の位置を調節することにより、電磁波の照射角度を設定する。
設定部22は、推定部21で推定された衝突形態が側突以外である場合に、アクチュエータ33を制御して各リブ32を比較的内側の位置に配置し、開口32aの面積を小さくして電磁波の照射角度を第一角度θ1に設定する。これにより、図5(a)に示すように、電磁波は生体センサ13から比較的小さい照射角度(第一角度θ1)で乗員5に向けて照射される。
一方、設定部22は、推定部21で推定された衝突形態が側突である場合に、アクチュエータ33を制御して各リブ32を比較的外側の位置に配置し、開口32aの面積を大きくして電磁波の照射角度を第二角度θ2に設定する。これにより、図5(b)に示すように、電磁波は生体センサ13から第一角度θ1よりも大きい照射角度(第二角度θ2)で乗員5に向けて照射される。設定部22は、設定した照射角度に対応した設定信号を、アクチュエータ33に伝達する。
[3−2.作用,効果]
本実施形態の乗員状態取得装置1には、電磁波が通る位置に開口32aを有し、この開口32aの面積を変更する絞り調整部30が設けられる。また、設定部22が、この絞り調整部30を調節(操作)することによって、電磁波の照射角度を設定する。そのため、生体センサ13で照射された電磁波の広がる角度を、開口32aの面積を調節することによって変更することができる。
したがって、本実施形態によれば、一定の周波数帯の電磁波を照射する一つの生体センサ13に対して、照射角度を変更できる機能(構成)を付加するだけで生体情報のデータ精度と生体情報の取得の確実性とのバランスをとることができる。
その他、本実施形態の乗員状態取得装置1によれば、上記第一及び第二実施形態と同様の構成からは上記第一及び第二実施形態と同様の作用,効果を得ることができる。
[4.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の各実施形態では、車両10が右ハンドル車両である場合を例示したが、本乗員状態取得装置1は左ハンドル車両に対しても同様に搭載可能である。また、本乗員状態取得装置1は、車両10の運転手に限らず、車両10に乗車する他の乗員を対象に設けられてもよい。すなわち上述の生体センサ11〜13は、車両10の運転席であるシート4以外のシート(座席)に設置されてもよい。
また、上述の各実施形態では、生体センサ11〜13がシート4のシートパン4cに設置される場合を例示したが、生体センサ11〜13は、少なくともシート4において乗員5の生体情報を取得できる位置であれば、上述した位置以外の位置に設けられてもよい。生体センサ11〜13は、例えば、シートバック4aの内部やシートクッション4bの内部に設けられてもよいし、シート4の車幅方向中心Oよりもやや左寄りであって、乗員5の心臓の拍動をより検知しやすい部位に向けて電磁波を照射できるような位置に設置されてもよい。また、上述の第二実施形態では、二つの生体センサ12,13が車幅方向に隣接して配置される場合を例示したが、これらの生体センサ12,13の配置関係は変更可能である。例えば、これらの生体センサ12,13は、前後方向に並んで配置されてもよいし、互いに間隔をあけて配置されてもよい。
また、上述の各実施形態では、生体センサ11〜13が乗員5の体表面変位を検出する場合を例示したが、生体センサ11〜13は、乗員5の体表面変位の代わりに乗員5の体内で動く器官の変位を検出するものであってもよい。すなわち、本乗員状態取得装置1に適用される生体センサ11〜13は、少なくとも乗員5に向けて電磁波を照射し、その反射波を検出することで乗員5の生体情報を取得するものであればよく、取得する生体情報は上述の体表面変位に限定されない。
また、上述の各実施形態では、生体センサ11〜13で照射される電磁波の照射角度が第一角度θ1と第二角度θ2との二つに変更される場合を例示したが、この照射角度は三つ以上に変更されてもよい。この照射角度の設定数が増加するほど、生体センサ11〜13の検出範囲をより細かく変更することが可能となる。そのため、生体センサ11〜13によって取得される生体情報のデータ精度と取得の確実性とのバランスを、例えば衝突形態から予測される乗員5の移動に合わせて、より適切に設定することが可能となる。
なお、上述の第二実施形態では、二つの生体センサ12,13が設けられる場合を例示したが、さらに多くの生体センサを設け、これらの生体センサを使い分けることによって上述のように電磁波の照射角度をより細かく変更するようにしてもよい。同様に、上述の第三実施形態においても、例えばリブ32の位置をアクチュエータ33でより細かく調節することによって、上述のように電磁波の照射角度をより細かく変更するようにしてもよい。また、上述の第一及び第二実施形態の構成に対し、上述の第三実施形態の絞り調整部30を組み合わせて、電磁波の照射角度を更に細かく変更するようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、生体センサ11〜13が電磁波を照射する場合を例示したが、生体センサ11〜13は、電磁波以外の波動(例えば音波)を照射して、生体情報を取得するものであってもよい。
また、上述の各実施形態では、乗員状態取得装置1の推定部21と設定部22とが、車両ECU2の機能要素として設けられる場合を例示したが、これら推定部21及び設定部22は、車両ECU2とは別のECU(電子制御装置)の機能要素として設けられてもよい。また、例えば車両ECU2に設けられた他の制御部で車両10の衝突の有無を判定し、その判定結果を推定部21に伝達するようにすれば、上述の推定部21における衝突の有無を判定する機能を省略可能である。すなわち推定部21は、少なくとも車両10の衝突時に衝突形態を推定するものであればよい。
また、上述の各実施形態では、衝突センサ3a,3bが加速度センサである場合を例示したが、この代わりに、あるいはこれと併せて、衝突による車体の変形に伴って生じる圧力変動を検知する圧力センサや、先行車両との間の距離を検出するレーダーやカメラなどを設けてもよい。
また、上述の各実施形態で示したシート4の構造や、上述の第三実施形態で示したケース31及びリブ32の構造はそれぞれ一例であり、変更可能である。例えば、シート4のシートパン4cは水平方向に延びる平面状に形成されてもよいし、ケース31は角型の筐体に形成されてもよい。また、リブ32は、例えば矩形状の開口を囲むような形状に形成されてもよい。つまり、上述の絞り調整部30の開口32aは、少なくとも生体センサ13で照射された電磁波が通る位置に設けられればよく、その具体的な形状は円形に限定されない。
1 乗員状態取得装置
4 シート
5 乗員
10 車両
11 生体センサ
12 第一生体センサ(生体センサ)
13 第二生体センサ(生体センサ)
21 推定部(推定手段)
22 設定部(設定手段)
30 絞り調整部(絞り調整手段)
32a 開口
θ1 第一角度(照射角度)
θ2 第二角度(照射角度)

Claims (9)

  1. 車両に装備されるシートに設置され、前記シートに着座する乗員に向けて波動を照射し、前記波動の反射波を検出することで前記乗員の生体情報を取得する生体センサと、
    前記車両の衝突時に衝突形態を推定する推定手段と、
    前記推定手段で推定された前記衝突形態に応じて前記波動の照射角度を設定する設定手段と、
    を備えたことを特徴とする、乗員状態取得装置。
  2. 前記設定手段は、前記衝突形態から予測される前記乗員の移動が大きいほど、前記照射角度を大きく設定する
    ことを特徴とする、請求項1記載の乗員状態取得装置。
  3. 前記設定手段は、前記衝突形態が側面衝突以外である場合に前記照射角度を第一角度に設定し、前記衝突形態が前記側面衝突である場合に前記照射角度を前記第一角度よりも大きな第二角度に設定する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の乗員状態取得装置。
  4. 前記設定手段は、前記波動の周波数帯を調節することによって前記照射角度を設定する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の乗員状態取得装置。
  5. 複数の周波数帯の前記波動を照射可能な前記生体センサを備える
    ことを特徴とする、請求項4項記載の乗員状態取得装置。
  6. 互いに異なる周波数帯の前記波動を照射する複数の前記生体センサを備え、
    前記設定手段が、複数の前記生体センサのうちの一つを選択することによって前記照射角度を設定する
    ことを特徴とする、請求項4記載の乗員状態取得装置。
  7. 前記波動の周波数帯が低い前記生体センサほど車幅方向内側に配置される
    ことを特徴とする、請求項6記載の乗員状態取得装置。
  8. 前記波動が通る位置に開口を有し、前記開口の面積を変更する絞り調整手段を備え、
    前記設定手段が、前記絞り調整手段を調節することによって前記照射角度を設定する
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の乗員状態取得装置。
  9. 前記生体センサが、前記シートの車幅方向中心部に設置される
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の乗員状態取得装置。
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