JP2016106115A - 防腐効果のある医薬の組合せ - Google Patents

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Abstract

【課題】ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、繰り返し容器を開閉して使用しても防腐効果を十分に発揮できる新たな医薬組成物を提供すること。【解決手段】本発明に係るドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物は、ベンザルコニウム塩化物を含まず、マルチドーズ型容器に入れられている。本発明は、チモロール又はその塩を含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まず、マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法にも関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物に関する。
炭酸脱水酵素阻害剤であるドルゾラミドとβ受容体遮断薬であるチモロールは、ともに眼圧下降作用を示すことから緑内障又は高眼圧症の治療薬として用いられている。さらに、ドルゾラミドとチモロールの両方を含有する組成物は高眼圧の処置に有用であることが特許文献1に記載されており、これら両方を含有する製剤がコソプト(登録商標)配合点眼液として販売されている。
ところで、点眼液は、繰り返しの使用に伴う菌類等の繁殖を防止するため、一定以上の防腐効力が必要であり、そのため、上述のコソプト(登録商標)配合点眼液には防腐剤としてベンザルコニウム塩化物が配合されている。一方で、ベンザルコニウム塩化物の患者への影響を考慮して、ベンザルコニウム塩化物を含まないコソプト(登録商標)配合点眼液も販売されているが、防腐剤を含まないことから、一回使い切りのユニットドーズ容器又はPFMD(Preservative Free Multi Dose)容器が用いられている。つまり、ドルゾラミドとチモロールとの両方を含有する点眼液は、繰り返し使用するためには、ベンザルコニウム塩化物を含有するか容器の構造によって防腐効果を担保する必要があると認識されている。
ドルゾラミド及びチモロールを含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まずに防腐効果を発揮する組成物が特許文献2に記載されている。しかし、チモロールを含む、その組成物においては、ホウ酸を一定量含まなければ防腐効果を発揮しないことが明確に記載されている。
利便性、安全性や製造コスト等の観点から、ベンザルコニウム塩化物を含まず、かつ、特別な構造の容器を用いることなく繰り返し使用できる新たなドルゾラミドとチモロールとの配合点眼液が望まれている。
特許第2527513号公報 国際公開WO2011/013794号パンフレット
本発明の課題は、ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、繰り返し容器を開閉して使用しても防腐効果を十分に発揮できる新たな医薬組成物を提供することである。
本発明者らは、意外にも、ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物が、ベンザルコニウム塩化物を含まないにもかかわらず、繰り返し容器を開閉して使用しても防腐効果を十分に発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下を提供する。
(1) ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた、医薬組成物。
(2) ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.5以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた、医薬組成物。
(3) ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.0以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた、医薬組成物。
(4) ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ベンザルコニウム塩化物以外の防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた、医薬組成物。
(5) ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ベンザルコニウム塩化物以外の防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.5以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた、医薬組成物。
(6) ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ベンザルコニウム塩化物以外の防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.0以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた、医薬組成物。
(7) エデト酸又はその塩を含み、エデト酸又はその塩の含有量が0.0001〜0.1%(w/v)である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(8) エデト酸又はその塩の含有量が0.005〜0.03%(w/v)である、(7)に記載の医薬組成物。
(9) ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、エデト酸及びその塩以外の防腐剤を含まず、
前記エデト酸又はその塩の含有量が、0.0001〜0.1%(w/v)であり、
マルチドーズ型容器に入れられた、医薬組成物。
(10) エデト酸又はその塩の含有量が0.005〜0.03%(w/v)である、(9)に記載の医薬組成物。
(11) エデト酸の塩が、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム又はエデト酸二ナトリウム二水和物である、(7)〜(10)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(12) ドルゾラミド又はその塩がドルゾラミド塩酸塩である、(1)〜(11)のいずれかに一項に記載の医薬組成物。
(13) チモロール又はその塩がチモロールマレイン酸塩である、(1)〜(12)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(14) ドルゾラミド又はその塩の含有量が0.1−5%(w/v)である、(1)〜(13)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(15) ドルゾラミド又はその塩の含有量が1%(w/v)又は2%(w/v)である、(14)記載の医薬組成物。
(16) チモロール又はその塩の含有量が0.01−2%(w/v)である、(1)〜(15)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(17) チモロール又はその塩の含有量が0.5%(w/v)である、(16)に記載の医薬組成物。
(18) ホウ酸又はその塩を含まない、(1)〜(17)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(19) さらに高分子量重合体を含有する、(1)〜(18)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(20) 前記高分子量重合体が、ヒドロキシエチルセルロースを含む、(19)に記載の医薬組成物。
(21) さらに非イオン性等張化剤を含有する、(1)〜(20)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(22) 前記非イオン性等張化剤が、マンニトールを含む、(21)に記載の医薬組成物。
(23) さらに緩衝剤を含有する、(1)〜(22)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(24) 前記緩衝剤が、クエン酸又はその塩を含む、(23)に記載の医薬組成物。
(25) pHが4〜8である、(1)〜(24)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(26) pHが5.5〜6.8である、(25)に記載の医薬組成物。
(27) 緑内障又は高眼圧症の治療に用いられる、(1)〜(26)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(28) (1)〜(27)のいずれか一項に記載の医薬組成物と、マルチドーズ型容器と、を備える製品。
(29) チモロール又はその塩を含有し、防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法。
(30) チモロール又はその塩を含有し、防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.5以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法。
(31) チモロール又はその塩を含有し、防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.0以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法。
(32) チモロール又はその塩を含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ベンザルコニウム塩化物以外の防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法。
(33) チモロール又はその塩を含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ベンザルコニウム塩化物以外の防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.5以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法。
(34) チモロール又はその塩を含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ベンザルコニウム塩化物以外の防腐剤を含まない又は所定量で含み、
前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.0以下となる量であり、
ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法。
(35) チモロール又はその塩を含有し、ホウ酸もしくはその塩を含まない又はホウ酸もしくはその塩の含有量が0.001%(w/v)未満であり、マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、
さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法であって、
前記ドルゾラミド又はその塩を含有させる前の医薬組成物は、該医薬組成物をエスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記医薬組成物を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記医薬組成物をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下である、方法。
(36) チモロール又はその塩を含有し、ホウ酸もしくはその塩を含まない又はホウ酸もしくはその塩の含有量が0.001%(w/v)未満であり、マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、
さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法であって、
前記ドルゾラミド又はその塩を含有させる前の医薬組成物は、該医薬組成物をエスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記医薬組成物を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記医薬組成物をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.5以下である、方法。
(37) チモロール又はその塩を含有し、ホウ酸もしくはその塩を含まない又はホウ酸もしくはその塩の含有量が0.001%(w/v)未満であり、マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、
さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法であって、
前記ドルゾラミド又はその塩を含有させる前の医薬組成物は、該医薬組成物をエスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記医薬組成物を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記医薬組成物をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.0以下である、方法。
(38) チモロール又はその塩を含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ホウ酸もしくはその塩を含まない又はホウ酸もしくはその塩の含有量が0.001%(w/v)未満であり、マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、
さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法であって、
前記ドルゾラミド又はその塩を含有させる前の医薬組成物は、該医薬組成物をエスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記医薬組成物を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記医薬組成物をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下である、方法。
(39) チモロール又はその塩を含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ホウ酸もしくはその塩を含まない又はホウ酸もしくはその塩の含有量が0.001%(w/v)未満であり、マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、
さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法であって、
前記ドルゾラミド又はその塩を含有させる前の医薬組成物は、該医薬組成物をエスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記医薬組成物を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記医薬組成物をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.5以下である、方法。
(40) チモロール又はその塩を含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ホウ酸もしくはその塩を含まない又はホウ酸もしくはその塩の含有量が0.001%(w/v)未満であり、マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、
さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法であって、
前記ドルゾラミド又はその塩を含有させる前の医薬組成物は、該医薬組成物をエスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記医薬組成物を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記医薬組成物をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.0以下である、方法。
なお、前記(1)から(40)の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
本発明によれば、ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、繰り返し容器を開閉して使用しても防腐効果を十分に発揮できる新たな医薬組成物を提供することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の医薬組成物において、含有されるドルゾラミドは、化学名(4S, 6S)-4-Ethylamino-6-methyl-5, 6-dihydro-4H-thieno[2, 3-b]thiopyran-2-sulfonamide 7, 7-dioxideで表される化合物である。
本発明の医薬組成物において、含有されるチモロールは、化学名(2S)-1-[(1, 1-Dimethylethyl)amino]-3-(4-morpholin-4-yl-1, 2, 5-thiadiazol-3-yloxy)propan-2-olで表される化合物である。
本発明の医薬組成物において、含有されるドルゾラミド及びチモロールは塩であってもよく、医薬として許容される塩であれば特に制限はない。塩としては無機酸との塩、有機酸との塩、四級アンモニウム塩、ハロゲンイオンとの塩、アルカリ金属との塩、アルカリ土類金属との塩、金属塩、有機アミンとの塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、アラニン、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、没食子酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等との塩が挙げられる。
四級アンモニウム塩としては、臭化メチル、ヨウ化メチル等との塩が挙げられる。
ハロゲンイオンとの塩としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等との塩が挙げられる。
アルカリ金属との塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等との塩が挙げられる。
アルカリ土類金属との塩としては、カルシウム、マグネシウム等との塩が挙げられる。
金属塩としては、鉄、亜鉛等との塩が挙げられる。
有機アミンとの塩としては、トリエチレンジアミン、2−アミノエタノール、2,2−イミノビス(エタノール)、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−2−D−ソルビトール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、プロカイン、N,N−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミン等との塩が挙げられる。
ドルゾラミドの塩としては、一塩酸塩(ドルゾラミド塩酸塩)が特に好ましく、チモロールの塩としては、一マレイン酸塩(チモロールマレイン酸塩)が特に好ましい。
本発明の医薬組成物において、含有されるドルゾラミド、チモロール及びそれらの塩は、水和物又は溶媒和物の形態をとってもよい。
本発明の医薬組成物において、含有されるドルゾラミド又はその塩の含有量は、所望の薬効及び防腐効力を奏するのに十分な量であれば特に制限されないが、0.1〜5%(w/v)が好ましく、0.2〜3%(w/v)がより好ましく、0.5〜2%(w/v)がさらに好ましく、0.7〜1.2%(w/v)がさらにより好ましく、1%(w/v)が特に好ましい。1%(w/v)又は2%(w/v)が最も好ましい。なお、本発明の医薬組成物においてドルゾラミドの塩が含有される場合、これらの値はフリーのドルゾラミドに換算した含有量である。なお、「%(w/v)」は、本発明の医薬組成物100mL中に含まれる対象成分(ここでは、ドルゾラミド)の質量(g)を意味する。以下、特に断りがない限り同様とする。
本発明の医薬組成物において、含有されるチモロール又はその塩の含有量は、所望の薬効を奏するのに十分な量であれば特に制限されないが、0.01〜2%(w/v)が好ましく、0.05〜1%(w/v)がより好ましく、0.1〜0.8%(w/v)がさらに好ましく、0.2〜0.7%(w/v)がさらにより好ましく、0.5%(w/v)が特に好ましい。なお、本発明の医薬組成物においてチモロールの塩が含有される場合は、これらの値はフリーのチモロールに換算した含有量である。
ドルゾラミド又はその塩の含有量は、治療効果及び防腐効果の観点から、チモロール又はその塩の含有量に対し、0.1〜10倍が好ましく、0.5〜8倍がより好ましく、1倍〜5倍であることがさらに好ましい。
本発明の医薬組成物において、薬の有効成分であるドルゾラミド又はその塩自体が防腐効果を奏することから、防腐剤を含まないか、又は所定量で含むことができる。ここで、「所定量」とは、例えば、単独で防腐効果を発揮しない量を指し、具体的には、防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下となる量であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.8以下、最も好ましくは0.7以下となる量であってもよい。特に、本発明の医薬組成物において、防腐剤としてベンザルコニウム塩化物は含有量が小さい又は含まれないことが望ましい。本発明の医薬組成物において、ベンザルコニウム塩化物が含まれる場合、ベンザルコニウム塩化物が所定量で含まれるのが好ましい。ここで「所定量」とは、例えば、単独で防腐効果を発揮しない量を指し、具体的には、ベンザルコニウム塩化物及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.8以下、最も好ましくは0.7以下となる量であってもよい。より具体的には、ベンザルコニウム塩化物は0.001%(w/v)以下が好ましく、0.0007%(w/v)以下がより好ましく、0.0005%(w/v)以下がさらに好ましく、0.0003%(w/v)以下がもっと好ましく、0.0001%(w/v)以下が特に好ましく、実質的に含まれないことが最も好ましい。さらに、ベンザルコニウム塩化物以外の防腐剤として使用される4級アンモニウム塩も、含有量が小さい又は含まれないことが望ましい。ベンザルコニウム塩化物以外の4級アンモニウム塩の例としては、ベンザルコニウム臭化物、ベンゼトニウム塩化物、ベンジルドデシニウム臭化物等が挙げられる。本発明の医薬組成物において、ベンザルコニウム塩化物以外の4級アンモニウム塩が含まれる場合、その4級アンモニウム塩が所定量で含まれるのが好ましい。ここで「所定量」とは、例えば、単独で防腐効果を発揮しない量を指し、具体的には、該防腐剤(ベンザルコニウム塩化物以外の4級アンモニウム塩)及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.8以下、最も好ましくは0.7以下となる量であってもよい。より具体的には、ベンザルコニウム塩化物以外の4級アンモニウム塩は0.01%(w/v)以上含まれない(含有量が0.01%(w/v)未満)ことが好ましく、0.005%(w/v)以上含まれないことがより好ましく、0.001%(w/v)以上含まれないことがさらに好ましく、0.0005%(w/v)以上含まれないことがもっと好ましく、0.0001%(w/v)以上含まれないことが特に好ましく、実質的に含まれないことが最も好ましい。
本発明の医薬組成物において、4級アンモニウム塩以外の防腐剤も、含有量が小さい又は含まれないことが望ましい。4級アンモニウム塩以外の防腐剤としては、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール、シクロヘキシジン、ホウ酸又はその塩、エデト酸又はその塩等が挙げられる。本発明の医薬組成物において、4級アンモニウム塩以外の防腐剤が含まれる場合、その防腐剤が所定量で含まれるのが好ましい。ここで「所定量」とは、例えば、単独で防腐効果を発揮する量を指し、具体的には、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.8以下、最も好ましくは0.7以下となる量であってもよい。より具体的には(特に、ホウ酸及びその塩の場合)、4級アンモニウム塩以外の防腐剤は、0.5%(w/v)以上含まれない(含有量が0.5%(w/v)未満)ことが好ましく、0.10%(w/v)以上含まれない(含有量が0.10%(w/v)未満)ことがより好ましく、0.05%(w/v)以上含まれないことがさらに好ましく、0.01%(w/v)以上含まれないことがもっと好ましく、0.005%(w/v)以上含まれないことが一層好ましく、0.001%(w/v)以上含まれないことが特に好ましく、実質的に含まれないことが最も好ましい。ホウ酸の塩の例としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等が挙げられる。なお、本発明の医薬組成物においてホウ酸の塩が含有される場合、これらの値はフリーのホウ酸に換算した含有量である。また、エデト酸又はその塩は安定化剤として医薬組成物に添加されることが多いが、これらは防腐効果を有することも知られており、本発明の医薬組成物にエデト酸又はその塩を含む場合、総量としてその含有量は0%(w/v)より多く(0.0001%以上、0.0005%以上、0.001%以上、0.002%以上、0.003%以上、0.005%以上、0.007%以上等)0.5%(w/v)以下が好ましく、0.3%(w/v)以下がより好ましく、0.1%(w/v)以下がさらに好ましく、0.08%(w/v)以下がもっと好ましく、0.05%(w/v)以下が一層好ましく、0.03%(w/v)以下が特に好ましく、0.01%(w/v)以下が最も好ましい。エデト酸の塩の例としては、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられ、エデト酸二ナトリウムが好ましく、エデト酸二ナトリウム二水和物が特に好ましい。特に、本発明の医薬組成物は、エデト酸及びその塩以外の防腐剤を含まないことが好ましい。なお、本発明の医薬組成物においてエデト酸の塩又はその水和物が含有される場合、これらの値はエデト酸の塩又はその水和物の質量を基に計算された含有量である。本発明における防腐剤は、医薬組成物において防腐剤と表記される成分を指し、本発明の医薬組成物中のドルゾラミド又はその塩のように、防腐効果を奏するが防腐剤としては表記されない成分を包含しない。
本発明の医薬組成物には、必要に応じて添加剤を用いることができ、添加剤としては、界面活性剤、緩衝化剤、等張化剤、安定化剤、抗酸化剤、高分子量重合体等を加えることができる。
本発明の医薬組成物には、医薬品の添加物として使用可能な界面活性剤、例えばカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を配合することができる。
アニオン性界面活性剤の例としては、リン脂質等が挙げられ、リン脂質としてはレシチン等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の例としては、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、脂肪酸ポリアミン縮合物、アルキルイミダゾリン、1−アシルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシルエチル‐2−アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ビタミンE TPGS等が挙げられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ポリオキシル40等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリソルベート65等が挙げられる。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、酸化エチレンの重合数の異なる種々のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることができ、酸化エチレンの重合数は10〜100が好ましく、20〜80がより好ましく、40〜70が特に好ましく、60が最も好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の具体例としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。
ポリオキシエチレンヒマシ油としては、酸化エチレンの重合数の異なる種々のポリオキシエチレンヒマシ油を用いることができ、酸化エチレンの重合数は5〜100が好ましく、20〜50がより好ましく、30〜40が特に好ましく、35が最も好ましい。ポリオキシエチレンヒマシ油の具体例としては、ポリオキシル5ヒマシ油、ポリオキシル9ヒマシ油、ポリオキシル15ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油等が挙げられる。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル等が挙げられる。
ビタミンE TPGSは、トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステルともいう。
本発明の医薬組成物には、医薬品の添加物として使用可能な緩衝剤を配合することができる。緩衝剤の例としては、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、酢酸又はその塩、炭酸又はその塩、酒石酸又はその塩、ε−アミノカプロン酸、トロメタモール等が挙げられる。
リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられ、クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等が挙げられ、酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられ、炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム等が挙げられる。クエン酸又はその塩が好ましく、クエン酸ナトリウムが特に好ましい。
本発明の医薬組成物に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜10%(w/v)が好ましく、0.01〜5%(w/v)がより好ましく、0.1〜3%(w/v)がさらに好ましく、0.2〜2%(w/v)が最も好ましい。
本発明の医薬組成物には、医薬品の添加物として使用可能な等張化剤を適宜配合することができる。等張化剤の例としては、イオン性等張化剤や非イオン性等張化剤等が挙げられる。イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、塩化ナトリウムが好ましい。非イオン性等張化剤としてはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられ、マンニトールが好ましい。本発明の医薬組成物に等張化剤を配合する場合の等張化剤の含有量は、等張化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.01〜10%(w/v)が好ましく、0.02〜7%(w/v)がより好ましく、0.1〜5%(w/v)がさらに好ましく、0.5〜4%(w/v)が特に好ましく、0.8〜3%(w/v)が最も好ましい。
本発明の医薬組成物には、医薬品の添加物として使用可能な安定化剤を適宜配合することができる。安定化剤の例としては、エデト酸、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられ、エデト酸二ナトリウムが好ましく、エデト酸二ナトリウム二水和物が特に好ましい。本発明の医薬組成物に安定化剤を配合する場合の安定化剤の含有量は、安定化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.0001〜0.5%(w/v)が好ましく、0.0005〜0.3%(w/v)がより好ましく、0.001〜0.1%(w/v)がさらに好ましく、0.002〜0.08%(w/v)がもっと好ましく、0.003〜0.05%(w/v)が一層好ましく、0.005〜0.03%(w/v)が特に好ましく、0.007〜0.01%(w/v)が最も好ましい。
本発明の医薬組成物には、医薬品の添加物として使用可能な抗酸化剤を適宜配合することができる。抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。本発明の医薬組成物に抗酸化剤を配合する場合の抗酸化剤の含有量は、抗酸化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.0001〜1%(w/v)が好ましく、0.0005〜0.1%(w/v)がより好ましく、0.001〜0.02%(w/v)がさらに好ましく、0.005〜0.010%(w/v)が最も好ましい。
本発明の医薬組成物には、医薬品の添加物として使用可能な高分子量重合体を適宜配合することができる。高分子量重合体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール等が挙げられ、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。本発明の医薬組成物に高分子量重合体を配合する場合の高分子量重合体の含有量は、高分子量重合体の種類などにより適宜調整することができるが、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01〜3%(w/v)がより好ましく、0.1〜2%(w/v)がさらに好ましく、0.2〜1%(w/v)が最も好ましい。
本発明の医薬組成物には、医薬品の添加物として使用可能なpH調整剤を適宜配合することができる。pH調整剤の例としては、塩酸、リン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、高分子量重合体としてヒドロキシエチルセルロースを、等張化剤としてマンニトールを、緩衝剤としてクエン酸又はその塩を、それぞれ組み合わせて含むことが特に好ましい。これにより、本発明の医薬組成物は、迅速な殺菌が可能である。この場合において、本発明の医薬組成物にそれぞれの成分を配合する場合のそれぞれの成分の含有量は、ヒドロキシエチルセルロースが0.001〜5%(w/v)、マンニトールが0.01〜10%(w/v)、クエン酸又はその塩が0.001〜10%(w/v)であることが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースが0.01〜3%(w/v)、マンニトールが0.02〜7%(w/v)、クエン酸又はその塩が0.01〜5%(w/v)であることがより好ましく、ヒドロキシエチルセルロースが0.1〜2%(w/v)、マンニトールが0.1〜5%(w/v)、クエン酸又はその塩が0.1〜3%(w/v)であることがさらに好ましく、ヒドロキシエチルセルロースが0.2〜1%(w/v)、マンニトールが0.8〜3%(w/v)、クエン酸又はその塩が0.2〜2%(w/v)であることが最も好ましい。
本発明の医薬組成物のpHは、4.0〜8.0が好ましく、5.0〜7.5がより好ましく、5.5〜7.3がさらに好ましく、5.5〜7.0がもっと好ましく、5.5〜6.8が特に好ましく、6.0〜6.8が最も好ましい。
本発明の医薬組成物は、マルチドーズ型容器に入れられる。マルチドーズ型容器とは、複数回使用することを目的にキャップ等の開閉を自由に行えるようにした容器である。ただし、逆流防止機能等の防腐効果を発揮するための特別な構造を有するPFMD(Preservative Free Multi Dose)容器は含まれない。容器の素材に特に制限はなく、例えば、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製、ポリエチレンテレフタレート(PET)製等の容器を用いることができる。
本発明の医薬組成物の剤形は、医薬品として使用可能なものであれば特に制限されないが、特に点眼剤が好ましく、当該技術分野における通常の方法に従って製造することができる。
本発明の医薬組成物は、緑内障又は高眼圧症の治療剤として有用である。
本発明の医薬組成物を投与する場合、所望の薬効を奏するのに十分であれば用法用量に特に制限はないが、1回1〜3滴、1日1〜3回点眼するのが好ましく、1回1〜2滴、1日1〜2回点眼するのがより好ましく、1回1滴、1日2回点眼するのが最も好ましい。
本発明の医薬組成物は、コンタクトレンズ(装着者)用として有用である。適用されるコンタクトレンズの種類に特に制限はなく、具体的には、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ等が挙げられ、酸素透過性コンタクトレンズでもよい。ソフトコンタクトレンズとしては、含水ソフトコンタクトレンズ、非含水ソフトコンタクトレンズ、(非イオン性)シリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズ等が挙げられる。
上記の本発明の医薬組成物の詳細な説明は、本発明の医薬組成物とマルチドーズ型容器(医薬組成物を収容する)とを備える製品、及び、防腐効力を向上させる方法にも適用される。
本発明の防腐効力を向上させる方法は、チモロール又はその塩を含有し、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ホウ酸もしくはその塩を含まない又はホウ酸もしくはその塩の含有量が0.001%(w/v)未満であり、マルチドーズ型容器に入れられた医薬組成物中に、さらに、ドルゾラミド又はその塩を含有させることによって、防腐効力を向上させる方法であることが好ましい。
本発明の防腐効力を向上させる方法は、ドルゾラミド又はその塩を含有させる前の医薬組成物が、該医薬組成物をエスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、医薬組成物を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、医薬組成物をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましい。
本発明の防腐効力を向上させる方法において、上述のドルゾラミド又はその塩を含有させた後の医薬組成物が、該医薬組成物をエスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、医薬組成物を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、医薬組成物をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が2.5以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、3.5以上であることがさらに好ましく、4.0以上であることがより一層好ましい。あるいは、本発明の防腐効力を向上させる方法において、上述のドルゾラミド又はその塩を含有させた後の医薬組成物が、第十六改正日本薬局方参考情報「保存効力試験法」による基準「カテゴリーIA」を満たすことが好ましい。
以下に製剤例及び防腐効力試験の結果を示すが、これらは本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
製剤例
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量は製剤1mL中の含量である。
製剤例1(マルチドーズ型容器中)
ドルゾラミド 10mg
チモロール 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
製剤例2(マルチドーズ型容器中)
ドルゾラミド 20mg
チモロール 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
なお、前記製剤例1及び2におけるドルゾラミド、チモロール及び添加剤の種類や配合量を適宜調整し所望の組成物を得ることができる。
防腐効力試験(1)
1.被験製剤の調製
ドルゾラミド塩酸塩(22.26mg)、チモロールマレイン酸塩(6.83mg)、クエン酸ナトリウム(2.94mg)、マンニトール(16mg)を水に溶解し濾過滅菌を行った液Aと、別途、ヒドロキシエチルセルロース(4.75mg)を水に溶解して高圧蒸気滅菌を行った液Bを混合し、pH調節剤にてpH5.7とした後、水を加えて全量を1mLとすることにより、実施例1の製剤を調製した。
実施例1(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 22.26mg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クエン酸ナトリウム水和物 2.94mg
マンニトール 16mg
ヒドロキシエチルセルロース 4.75mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.7
実施例1の調製方法と同様の方法にて、実施例2及び比較例1〜2の製剤を調製した。
実施例2(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クエン酸ナトリウム水和物 2.94mg
マンニトール 30mg
ヒドロキシエチルセルロース 4.75mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.7
比較例1(1mL中)
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クエン酸ナトリウム水和物 2.94mg
マンニトール 30mg
ヒドロキシエチルセルロース 4.75mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.8
比較例2(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
クエン酸ナトリウム水和物 2.94mg
マンニトール 30mg
ヒドロキシエチルセルロース 4.75mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.7
2.試験方法
接種菌として以下の菌株を使用した。
細菌:
大腸菌,Escherichia Coli ATCC 8739(E.coliともいう)
緑膿菌,Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027(P.aeruginosaともいう)
黄色ブドウ球菌,Staphylococcus aureus ATCC 6538(S.aureusともいう)
酵母菌およびカビ類:
カンジダ,Candida albicans ATCC 10231(C.albicansともいう)
クロコウジカビ,Aspergillus brasiliensis ATCC16404(A.brasiliensisと
もいう)
各製剤からなる試験試料中の菌液濃度が10〜10個/mL(5菌種共)となるように、接種菌液を試験試料に接種した。具体的には、10〜10cfu/mLとなるように接種菌液を調製し、この接種菌液を10〜10cfu/mLとなるように、実施例1〜2及び比較例1〜2の製剤からなる試験試料に各接種菌液を接種し、均一に混合し試料とした。これらの試料を遮光下20〜25℃に保存し、各サンプリングポイント(6時間後、24時間後又は7日後)において、各試料からマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定した。各サンプリングポイントでは、試料溶液の蓋を空けてサンプリングを実施し、蓋を閉める操作を行った。
3.試験結果及び考察
試験結果を表1に示す。表1の試験結果は、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値で示しており、たとえば「1」の場合には、検査時の生菌数が接種菌数の10%に減少したことを示している。
Figure 2016106115

表1に示されるように、ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する実施例1〜2の製剤は、ベンザルコニウム塩化物を含まないにもかかわらず、いずれの菌に対しても防腐効果を示した。これに対し、ドルゾラミド又はその塩を含まない比較例1、チモロール又はその塩を含まない比較例2の製剤は、防腐効果が劣っており、特に、大腸菌に対しては、7日経過後でも、菌数を1オーダー減少させることができなかった。これにより、本発明の医薬組成物は、幅広い菌種に対して優れた防腐効果を示し、マルチドーズ型容器に入れられて、繰り返し容器を開閉して使用されても防腐効果を十分に発揮できることが示唆された。

防腐効力試験(2)
1.被験製剤の調製
実施例1の調製方法と同様の方法にて、実施例3〜6の製剤を調製した。
実施例3(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
塩化ナトリウム 9mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.65
実施例4(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
塩化ナトリウム 9mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 6.5
実施例5(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クエン酸ナトリウム水和物 2.94mg
マンニトール 30mg
ヒドロキシエチルセルロース 4.75mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.65
実施例6(1mL中)
ドルゾラミド塩酸塩 11.13mg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クエン酸ナトリウム水和物 2.94mg
マンニトール 30mg
ヒドロキシエチルセルロース 4.75mg
エデト酸二ナトリウム二水和物 0.5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.65
2.試験方法
防腐効力試験(1)の2.試験方法と同様の方法にて防腐効力試験を実施した。ただし、サンプリングポイントは、7日後、14日後又は28日後とした。
3.試験結果及び考察
試験結果を表2に示す。表2の試験結果は、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値で示している。
Figure 2016106115
表2に示されるように、ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する実施例3〜6の製剤は、ベンザルコニウム塩化物を含まないにもかかわらず、いずれの菌に対しても防腐効果を示した。これにより、本発明の医薬組成物は、幅広い菌種に対して優れた防腐効果を示し、マルチドーズ型容器に入れられて、繰り返し容器を開閉して使用されても防腐効果を十分に発揮できることが示唆された。

防腐効力試験(3)
1.被験製剤の調製
実施例1の調製方法と同様の方法にて、比較例3及び4の製剤を調製した。
比較例3(1mL中)
チモロールマレイン酸塩 6.83mg
クエン酸ナトリウム水和物 2.94mg
ヒドロキシエチルセルロース 4.75mg
エデト酸二ナトリウム二水和物 0.5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.65
比較例4(1mL中)
クエン酸ナトリウム水和物 2.94mg
ヒドロキシエチルセルロース 4.75mg
エデト酸二ナトリウム二水和物 0.5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 5.65
2.試験方法
防腐効力試験(1)の2.試験方法と同様の方法にて防腐効力試験を実施した。ただし、サンプリングポイントは、7日後とした。
3.試験結果及び考察
試験結果を表3に示す。表3の試験結果は、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値で示している。
Figure 2016106115
表3に示されるように、ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有しない比較例3及び4の製剤は、防腐効果を多少有することが知られているエデト酸二ナトリウム二水和物を含むものの、特に、大腸菌に対して防腐効果を示さないことが確認された。

Claims (21)

  1. ドルゾラミド又はその塩及びチモロール又はその塩を含有する医薬組成物であって、ベンザルコニウム塩化物を含まず、ベンザルコニウム塩化物以外の防腐剤を含まない又は所定量で含み、
    前記所定量は、該防腐剤及び水からなる試験試料中において、エスケリシア・コリ(Escherichia Coli)のATCC 8739の菌液濃度が10〜10cfu/mLの範囲内となるように菌を接種して均一に混合し、前記試験試料を遮光下において20〜25℃で保存してから7日経過後において、前記試験試料をマイクロピペットで1mLを採取し、生菌数を測定したときの菌数(A)に対する接種時の菌数(B)の比(B/A)の常用対数値が1.0以下となる量であり、
    ホウ酸又はその塩の含有量が、0.001%(w/v)未満であり、
    マルチドーズ型容器に入れられた、医薬組成物。
  2. エデト酸又はその塩を含み、エデト酸又はその塩の含有量が0.0001〜0.1%(w/v)である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. エデト酸又はその塩の含有量が0.005〜0.03%(w/v)である、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. エデト酸の塩が、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム又はエデト酸二ナトリウム二水和物である、請求項2又は3に記載の医薬組成物。
  5. ドルゾラミド又はその塩がドルゾラミド塩酸塩である、請求項1〜4のいずれかに一項に記載の医薬組成物。
  6. チモロール又はその塩がチモロールマレイン酸塩である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. ドルゾラミド又はその塩の含有量が0.1−5%(w/v)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. ドルゾラミド又はその塩の含有量が1%(w/v)又は2%(w/v)である、請求項7記載の医薬組成物。
  9. チモロール又はその塩の含有量が0.01−2%(w/v)である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. チモロール又はその塩の含有量が0.5%(w/v)である、請求項9記載の医薬組成物。
  11. ホウ酸又はその塩を含まない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. さらに高分子量重合体を含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 前記高分子量重合体が、ヒドロキシエチルセルロースを含む、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. さらに非イオン性等張化剤を含有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  15. 前記非イオン性等張化剤が、マンニトールを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
  16. さらに緩衝剤を含有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  17. 前記緩衝剤が、クエン酸又はその塩を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. pHが4〜8である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. pHが5.5〜6.8である、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 緑内障又は高眼圧症の治療に用いられる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  21. 請求項1〜20のいずれか一項に記載の医薬組成物と、マルチドーズ型容器と、を備える製品。
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