JP2016105438A - トランジスタ、表示装置及び電子機器 - Google Patents

トランジスタ、表示装置及び電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2016105438A
JP2016105438A JP2014243239A JP2014243239A JP2016105438A JP 2016105438 A JP2016105438 A JP 2016105438A JP 2014243239 A JP2014243239 A JP 2014243239A JP 2014243239 A JP2014243239 A JP 2014243239A JP 2016105438 A JP2016105438 A JP 2016105438A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transistor
electrode
gate electrode
source electrode
drain electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014243239A
Other languages
English (en)
Inventor
栄二 神田
Eiji Kanda
栄二 神田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Samsung Display Co Ltd
Original Assignee
Samsung Display Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Samsung Display Co Ltd filed Critical Samsung Display Co Ltd
Priority to JP2014243239A priority Critical patent/JP2016105438A/ja
Publication of JP2016105438A publication Critical patent/JP2016105438A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

【課題】チャネル長がより長い電気化学トランジスタを実現する。【解決手段】イオン伝導体と、前記イオン伝導体の第1の面に配設されるゲート電極と、前記イオン伝導体の前記第1の面と対向する第2の面に、互いに電気的に絶縁されて配設されるソース電極及びドレイン電極と、前記イオン伝導体中において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域に配設される金属粒子と、を備える、ことを特徴とする、トランジスタを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、トランジスタ、表示装置及び電子機器に関する。
イオン伝導体中の金属イオンの移動を利用してソース電極とドレイン電極との導通及び非導通(すなわちオン動作及びオフ動作)を制御する、電気化学トランジスタと呼ばれるトランジスタが知られている。
例えば、特許文献1には、イオン伝導体の第1の面にゲート電極が形成され、当該イオン伝導体の第1の面と対向する第2の面にソース電極及びドレイン電極が形成され、当該ゲート電極に電圧を印加することによって当該イオン伝導体内で金属イオンを移動させ、ソース電極とドレイン電極とを電気的に接続する電気化学トランジスタが開示されている。特許文献1によれば、印加するゲート電圧の値を適宜制御することにより、当該ゲート電圧の印加を止めた場合であってもソース電極とドレイン電極との導通状態又は非導通状態が維持される、不揮発性の電気化学トランジスタが実現され得ることが記載されている。
特開2012−69612号公報
ここで、特許文献1に記載の電気化学トランジスタでは、ゲート電極に電圧を印加することによってイオン伝導体内で金属イオンを移動させ、ソース電極とドレイン電極との間の領域(すなわちチャネル領域)での当該金属イオンの濃度を過飽和状態にする。当該チャネル領域で、過飽和となった当該金属イオンに対応する金属原子が析出し、当該金属原子からなるフィラメントが形成されることにより、ソース電極とドレイン電極とが電気的に接続される。このように、特許文献1に記載の電気化学トランジスタでは、フィラメントが形成される長さによって、そのチャネル長が規定され得る。
しかしながら、特許文献1に記載の電気化学トランジスタにおいて、フィラメントを安定的に形成するためには、そのチャネル長は、1(nm)〜15(nm)程度である必要がある。このように、特許文献1に記載の技術では、15(nm)程度よりも長い長チャネルの電気化学トランジスタを実現することは困難であった。また、このように短いチャネル長にせざるを得ないことにより、特許文献1に記載の電気化学トランジスタを作製するためには、極めて微細な加工が必要であった。
一方、例えば、従来、表示装置の画素回路に用いられている一般的な電界効果型半導体トランジスタのチャネル長は、2(μm)程度である。従って、電気化学トランジスタを、従来各種の電子機器に用いられている電界効果型半導体トランジスタに代えて適用するためには、より長いチャネル長を有する電気化学トランジスタが実現されることが望まれる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、チャネル長をより長くすることが可能な、新規かつ改良されたトランジスタ、表示装置及び電子機器を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、イオン伝導体と、前記イオン伝導体の第1の面に配設されるゲート電極と、前記イオン伝導体の前記第1の面と対向する第2の面に、互いに電気的に絶縁されて配設されるソース電極及びドレイン電極と、前記イオン伝導体中において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域に配設される金属粒子と、を備える、ことを特徴とする、トランジスタが提供される。当該構成によれば、チャネル領域に金属粒子が配設されるため、チャネル領域におけるフィラメントの形成がより容易になる。従って、より長いチャネル長を有するトランジスタが実現される。
また、当該トランジスタにおいては、前記トランジスタの動作時には、前記イオン伝導体中において、前記ゲート電極を構成する第1の金属及び前記金属粒子によって、前記ソース電極と前記ドレイン電極とを電気的に接続するフィラメントが形成されてもよい。当該構成によれば、ゲート電極から供給される金属イオンの移動によって析出される金属原子のみによってフィラメントが形成されるのではなく、チャネル領域に配設された金属粒子と当該金属原子とによって、フィラメントが形成される。従って、チャネル領域におけるフィラメントの形成がより容易になり、より長いチャネル長を有するトランジスタが実現される。
また、当該トランジスタにおいては、前記ゲート電極を構成する第1の金属がイオン化した第1の金属イオンは、前記イオン伝導体中において、前記チャネル領域に偏在していてもよい。当該構成は、フォーミングが行われた後の当該トランジスタの構成に対応している。当該構成によれば、フォーミングによって1度フィラメントが形成され、金属イオンがチャネル領域に偏在しているために、フォーミング時よりも低い電圧をゲート電圧として印加することによって、当該トランジスタを動作させることが可能になる。
また、当該トランジスタにおいては、前記金属粒子は、スピンコート法、インクジェット法及びエレクトロスプレー法のいずれかの方法によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に分散配置されてもよい。当該構成によれば、金属粒子のチャネル領域への分散配置を、一般的な半導体プロセスにおいて広く用いられているより簡易な方法で実現することができ、当該トランジスタをより容易に作製することが可能になる。
また、当該トランジスタにおいては、前記トランジスタが動作する際のしきい値電圧は、前記金属粒子のサイズ、前記金属粒子の密度及び前記イオン伝導体の膜厚の少なくともいずれかが調整されることによって制御されてもよい。当該構成によれば、上記のパラメータを適宜調整することにより、当該トランジスタのしきい値電圧が制御され得るため、所望の性能を有するトランジスタを実現することが可能となる。
また、当該トランジスタにおいては、前記金属粒子のサイズは、5(nm)〜1000(nm)であってよい。当該金属粒子のサイズは、例えば、当該トランジスタが搭載される電子機器に応じたデザインルールに基づいて決定され得る。このように、本発明によれば、所定のデザインルールに適合したトランジスタが実現され得る。
また、当該トランジスタにおいては、前記金属粒子の密度は、1(1/μm)〜1000(1/μm)であってよい。当該金属粒子の密度は、例えば、当該トランジスタが搭載される電子機器に応じたデザインルールに基づいて決定され得る。このように、本発明によれば、所定のデザインルールに適合したトランジスタが実現され得る。
また、当該トランジスタにおいては、前記イオン伝導体の膜厚は、10(nm)〜100(nm)であってよい。当該イオン伝導体の膜厚は、例えば、当該トランジスタに求められる駆動電圧に基づいて決定され得る。このように、本発明によれば、所望の駆動電圧に対応したトランジスタが実現され得る。
また、当該トランジスタは、前記チャネル領域を挟んで前記ゲート電極と対向するように設けられ、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれとも電気的に絶縁されたバックゲート電極、を更に備えてもよい。当該構成によれば、いわゆる4端子のトランジスタが実現される。従って、ゲート電極及びバックゲート電極に印加する電圧の値を適宜調整することにより、イオン伝導体内に生じる電界強度をより精度良く制御することが可能となる。
また、当該トランジスタにおいては、前記ソース電極と前記ドレイン電極の少なくともいずれかは、前記ゲート電極を構成する第1の金属と同一の金属によって形成される第1の層と、前記第1の金属とは異なる第2の金属によって形成される第2の層と、が少なくとも積層されて構成されてもよい。当該構成によれば、オン動作時に、ゲート電極からだけでなく、ソース電極及びドレイン電極の第1の層からも、金属イオンが、イオン伝導体内に供給されることとなる。従って、ソース電極とドレイン電極との間におけるフィラメントの形成がより容易に行われることとなる。よって、オン動作時に、ソース電極とゲート電極との間、及び/又はドレイン電極とゲート電極との間にフィラメントが形成される可能性が低くなり、当該トランジスタをより安定的に動作させることが可能となる。
また、当該トランジスタにおいては、前記ゲート電極と前記ソース電極との間、及び前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に、互いに重なり合う領域が存在するように、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極が配設されてもよい。当該構成によれば、チャネル領域の直上に対応する領域をより確実に覆うように、ゲート電極が設けられる。従って、イオン伝導体内において、チャネル領域の全範囲に渡って、より確実に電界が生じることとなり、当該トランジスタをより安定的に動作させることが可能となる。
また、当該トランジスタにおいては、前記ゲート電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の少なくともいずれかと、が重なり合う領域においては、前記イオン伝導体と前記ゲート電極との間に絶縁膜が設けられてもよい。当該構成によれば、ソース電極及びドレイン電極の上に金属原子が析出し、フィラメントがゲート電極近傍まで成長したとしても、第2の絶縁膜によって、ソース電極とゲート電極との間、及び/又はドレイン電極とゲート電極との間の電気的な接続が遮断される。よって、当該トランジスタをより安定的に動作させることが可能となる。
また、当該トランジスタにおいては、前記ゲート電極と前記ソース電極との間、及び前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に、互いに重なり合う領域が存在しないように、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極が配設されてもよい。当該構成によれば、ソース電極及びドレイン電極の上に金属原子が析出し、フィラメントが、ソース電極とゲート電極との間、及び/又はドレイン電極とゲート電極との間に形成されることが抑制される。従って、当該トランジスタをより安定的に動作させることが可能となる。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、イオン伝導体と、前記イオン伝導体の第1の面に配設されるゲート電極と、前記イオン伝導体の前記第1の面と対向する第2の面に、互いに電気的に絶縁されて配設されるソース電極及びドレイン電極と、前記イオン伝導体中において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域に配設される金属粒子と、を備える、トランジスタが、表示画面を構成する画素を駆動させるための画素回路に用いられる、ことを特徴とする、表示装置が提供される。このように、本発明に係るトランジスタは、表示装置の画素回路における画素駆動用のトランジスタとして、好適に適用可能である。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、イオン伝導体と、前記イオン伝導体の第1の面に配設されるゲート電極と、前記イオン伝導体の前記第1の面と対向する第2の面に、互いに電気的に絶縁されて配設されるソース電極及びドレイン電極と、前記イオン伝導体中において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域に配設される金属粒子と、を備える、トランジスタが、スイッチング素子に用いられる、ことを特徴とする、電子機器が提供される。このように、本発明に係るトランジスタは、各種の電子機器におけるスイッチング素子として、好適に適用可能である。
以上説明したように本発明によれば、チャネル長をより長くすることが可能になる。従って、従来各種の電子機器に用いられている電界効果型半導体トランジスタに代替可能な電気化学トランジスタが実現され得る。
本実施形態に係るトランジスタの一構成例を示す図である。 本実施形態に係るトランジスタのフォーミング時の動作について説明するための説明図である。 本実施形態に係るトランジスタのフォーミング時の動作について説明するための説明図である。 本実施形態に係るトランジスタのスイッチング動作について説明するための説明図である。 本実施形態に係るトランジスタのスイッチング動作について説明するための説明図である。 不揮発性のオン状態及びオフ状態が実現されている場合における、本実施形態に係るトランジスタの電流−電圧特性を概略的に示す図である。 本実施形態に係るトランジスタの製造方法について説明するための図である。 本実施形態に係るトランジスタの製造方法について説明するための図である。 本実施形態に係るトランジスタの製造方法について説明するための図である。 本実施形態に係るトランジスタの製造方法について説明するための図である。 本実施形態に係るトランジスタの製造方法について説明するための図である。 本実施形態に係るトランジスタの製造方法について説明するための図である。 バックゲート電極が省かれる変形例に係るトランジスタの一構成例を示す図である。 ソース電極及びドレイン電極が複数層で構成される変形例に係るトランジスタの一構成例を示す図である。 ゲート電極とソース電極及びドレイン電極との間に絶縁体が設けられる変形例に係るトランジスタの一構成例を示す図である。 本実施形態に係るトランジスタが液晶表示装置の画素回路に適用された場合における、当該画素回路の一構成例を示す図である。 図9に示す画素回路内でのトランジスタの動作を示すタイミング図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.トランジスタの構成)
図1を参照して、本開示の一実施形態に係るトランジスタの構成について説明する。図1は、本実施形態に係るトランジスタの一構成例を示す図である。図1では、本実施形態に係るトランジスタのチャネル方向における断面を示している。なお、本実施形態に係るトランジスタを示す後述する各図面においても、同様に、当該トランジスタのチャネル方向における断面を示しながら、当該トランジスタについて説明を行うこととする。
図1を参照すると、本実施形態に係るトランジスタ10は、バックゲート電極110と、絶縁膜120と、ソース電極130及びドレイン電極140と、イオン伝導体150と、ゲート電極160と、が基板上にこの順に積層されて構成される。また、トランジスタ10においては、イオン伝導体150内において、ソース電極130とドレイン電極140との間のチャネル領域に1又は複数の金属粒子170が配設される。図示するように、金属粒子170は、チャネル領域に分散配置され得る。
なお、図1では簡単のため図示を省略しているが、本実施形態に係るトランジスタ10は、Si基板、ガラス基板、プラスチック基板等の各種の基板上に形成される。本実施形態では、当該基板の種類は限定されず、当該基板としては、一般的に電気化学トランジスタを作製する際に用いられる各種の基板が用いられてよい。例えば、トランジスタ10が、表示装置の画素回路に用いられる場合であれば、その基板としては、例えばガラス基板等の、透明材料からなるものが好適に用いられ得る。なお、本実施形態に係るトランジスタを示す後述する各図面においても、簡単のため、基板についてはその図示を省略している。
このように、トランジスタ10は、イオン伝導体150の第1の面にゲート電極160が形成され、当該イオン伝導体150の第1の面と対向する第2の面にソース電極130及びドレイン電極140が形成された構成を有する。トランジスタ10では、ゲート電極160に正の電圧を印加することにより、ゲート電極160からイオン伝導体150内に金属イオンが供給される。当該金属イオンは、ゲート電圧によって誘起される当該イオン伝導体150内の電界によって、当該イオン伝導体150内を、ソース電極130とドレイン電極140との間の領域(すなわちチャネル領域)まで移動する。当該チャネル領域で過飽和となった金属イオンは、金属原子として析出し、析出した金属原子によって形成されるフィラメントによって、ソース電極130とドレイン電極140とが電気的に接続される。
逆に、トランジスタ10では、ゲート電極160に負の電圧を印加することにより、フィラメントを形成している金属原子の一部が金属イオンとなり、当該フィラメントが切断され、ソース電極130とドレイン電極140との間の電気的な接続が断たれる。
このように、トランジスタ10は、イオン伝導体150中の金属イオンの移動を利用してソース電極130とドレイン電極140との導通及び非導通が制御される、いわゆる電気化学トランジスタである。
なお、以下では、トランジスタ10において、ゲート電極160にゲート電圧として正の電圧を印加して、ソース電極130とドレイン電極140とを電気的に接続させる動作のことを、オン動作とも呼称する。また、オン動作後の、ソース電極130とドレイン電極140とが電気的に接続された状態のことを、オン状態とも呼称する。
また、トランジスタ10において、ゲート電極160にゲート電圧として負の電圧を印加して、ソース電極130とドレイン電極140との電気的な接続を切断する動作のことを、オフ動作とも呼称する。また、オフ動作後の、ソース電極130とドレイン電極140との電気的な接続が切断された状態のことを、オフ状態とも呼称する。
なお、トランジスタ10のオン動作及びオフ動作の詳細については、下記(2.トランジスタの動作)で改めて説明する。
以下、トランジスタ10を構成する部材について説明する。
(バックゲート電極110)
バックゲート電極110は、トランジスタ10を駆動する際に基板電位を与えるための電極である。バックゲート電極110は、例えば、Cu、Ag、Pt、Mo、Al又はこれらをそれぞれ主成分とする合金等の、導電性を有する各種の材料によって形成される。以下では、本実施形態の一例として、バックゲート電極110がAlによって形成される場合について説明する。ただし、バックゲート電極110を形成する材料は上記で例示したものに限定されず、バックゲート電極110は、一般的に電気化学トランジスタのバックゲート電極に用いられ得る各種の材料によって形成されてよい。
(絶縁膜120)
絶縁膜120は、バックゲート電極110上に配設され、バックゲート電極110、ソース電極130及びドレイン電極140を互いに電気的に絶縁する。絶縁膜120を形成する材料は特に限定されず、絶縁膜120は、一般的に電気化学トランジスタの絶縁膜に用いられ得る各種の材料によって形成されてよい。以下では、本実施形態の一例として、絶縁膜120がSiOによって形成される場合について説明する。
(ソース電極130及びドレイン電極140)
ソース電極130及びドレイン電極140は、トランジスタ10を駆動する際にソース電位及びドレイン電位をそれぞれ与えるための電極である。ソース電極130及びドレイン電極140は、絶縁膜120上に、互いに所定の距離だけ離隔して配設される。ソース電極130とドレイン電極140との間の距離が、トランジスタ10のチャネル長に対応する。
ソース電極130及びドレイン電極140は、例えば、Cu、Ag、Pt、Mo、Al又はこれらをそれぞれ主成分とする合金等の、導電性を有する各種の材料によって形成される。ソース電極130及びドレイン電極140は、バックゲート電極110と同様の物質によって形成されてよい。以下では、本実施形態の一例として、ソース電極130及びドレイン電極140がAlによって形成される場合について説明する。ただし、ソース電極130及びドレイン電極140を形成する材料は上記で例示したものに限定されず、ソース電極130及びドレイン電極140は、一般的に電気化学トランジスタのソース電極及びドレイン電極に用いられ得る各種の材料によって形成されてよい。
(イオン伝導体150)
イオン伝導体150は、絶縁膜120、ソース電極130及びドレイン電極140の上に配設される。トランジスタ10のオン動作時には、ゲート電極160を構成する金属の金属イオンがイオン伝導体150の内部においてソース電極130とドレイン電極140との間のチャネル領域に移動することにより、当該金属イオンに対応する金属原子がチャネル領域に析出し、当該金属原子からなるフィラメントによって、ソース電極130とドレイン電極140とが電気的に接続される。逆に、トランジスタ10のオフ動作時には、フィラメントを形成する金属原子がイオン化されてイオン伝導体150中を移動することにより、当該フィラメントが切断される。
イオン伝導体150は、例えば、タンタル酸化物、チタン酸化物、タングステン酸化物、又はこれらが組み合わされて構成される混合酸化物等の、イオン導電材料によって形成される。あるいは、イオン伝導体150は、固体高分子形燃料電池又はリチウムイオン電池などで使用される高分子イオン交換膜(例えば、フッ素樹脂系のものであれば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)等)等のイオン導電材料によって形成されてもよい。以下では、本実施形態の一例として、イオン伝導体150がタンタル酸化物(Ta)によって形成される場合について説明する。ただし、イオン伝導体150を形成する材料はかかる例に限定されず、イオン伝導体150は、一般的に電気化学トランジスタのイオン伝導体に用いられ得る各種の材料によって形成されてよい。
ここで、ゲート電圧を印加した際にイオン伝導体150内に生じる電界強度は、当該イオン伝導体150の膜厚に依存している。当該電界強度に応じて、トランジスタ10のしきい値電圧も変化し得るため、イオン伝導体150の膜厚は、トランジスタ10のしきい値電圧を考慮して適宜設計され得る。
(ゲート電極160)
ゲート電極160は、トランジスタ10を駆動する際にゲート電圧を与えるための電極である。ゲート電極160を形成する材料としては、イオン伝導体150に対して金属イオンを供給可能であり、かつ、当該金属イオンがイオン伝導体150内を円滑に移動可能なものが選択され得る。例えば、ゲート電極160は、好適に、Cu、Ag又はこれらをそれぞれ主成分とする合金等によって形成される。上述したイオン伝導体150を形成し得る材料内においては、Cuイオン及びAgイオンが円滑に移動可能であることが知られているからである。以下では、本実施形の一例として、ゲート電極160がCuによって形成される場合について説明する。ただし、ゲート電極160を形成する材料はかかる例に限定されず、ゲート電極160は、一般的に電気化学トランジスタのゲート電極に用いられ得る各種の材料によって形成されてよい。
ゲート電極160は、イオン伝導体150上に、少なくともチャネル領域に対応する領域を覆うように配設される。上述したように、トランジスタ10のオン動作時及びオフ動作時には、ゲート電極160にゲート電圧を印加することによりイオン伝導体150内に生じる電界によって、チャネル領域への金属イオンの移動及びチャネル領域からの金属イオンの移動が、それぞれ行われるからである。
ここで、チャネル領域の全域に渡ってより安定的に電界を生じさせるためには、ゲート電極160の一部領域と、ソース電極130及びドレイン電極140の少なくともいずれかの一部領域と、が互いに重なり合うように、ゲート電極160、ソース電極130及びドレイン電極140が配設されることが好ましい。なお、本明細書において、積層される一の部材と他の部材とが重なり合っている状態とは、必ずしもこれらの部材が接触した状態で重なり合っている状態だけを意味しているのではなく、当該一の部材の直上の領域に、更に他の部材を介して当該他の部材が存在している状態も含む。
一方、オン動作時に、イオン伝導体150内で金属原子が析出する際には、当該金属原子は、本来フィラメントが形成されるべき領域であるチャネル領域だけでなく、ソース電極130及びドレイン電極140の上にも析出し得る。従って、ソース電極130とゲート電極160との間、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間にもフィラメントが形成され、これらの電極が導通することにより、トランジスタ10の正常な動作が阻害されてしまう恐れがある。
例えば、イオン伝導体150の膜厚を調整することにより、このような、フィラメントが形成されることによる、ソース電極130とゲート電極160との間の導通、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間の導通を、ある程度抑制することが可能である。しかしながら、上記のように、イオン伝導体150の膜厚は、トランジスタ10のしきい値電圧にも関連する因子であるため、イオン伝導体150の膜厚を調整することにより、ソース電極130とゲート電極160との間の導通、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間の導通を抑制することには限界がある。
従って、このような、フィラメントが形成されることによる、ソース電極130とゲート電極160との間の導通、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間の導通をより好適に抑制するためには、ゲート電極160の一部領域と、ソース電極130及びドレイン電極140の少なくともいずれかの一部領域と、が互いに重なり合わないように、ゲート電極160、ソース電極130及びドレイン電極140が配設されることが好ましい。
ゲート電極160と、ソース電極130及びドレイン電極140と、の重なり具合をどのように設計するかは、トランジスタ10に求められる要望に応じて適宜決定されてよい。チャネル領域により確実にフィラメントを形成することを重視する場合であれば、ゲート電極160の一部領域と、ソース電極130及びドレイン電極140の少なくともいずれかの一部領域と、は互いに重なり合っていることが好ましい。一方、ソース電極130とゲート電極160との間の導通、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間の導通を抑制することを重視する場合であれば、ゲート電極160の一部領域と、ソース電極130及びドレイン電極140の少なくともいずれかの一部領域と、は互いに重なり合っていないことが好ましい。
なお、ソース電極130とゲート電極160との間の導通、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間の導通をより確実に抑制するための構成については、下記(4−2.ソース電極及びドレイン電極が複数層で構成される変形例)及び下記(4−3.ゲート電極とソース電極及びドレイン電極との間に絶縁体が設けられる変形例)で、本実施形態の変形例として、改めて詳しく説明する。
(金属粒子170)
金属粒子170は、イオン伝導体150内において、ソース電極130とドレイン電極140との間のチャネル領域に配設される。例えば、金属粒子170は、イオン伝導体150を積層する前に、絶縁膜120上のチャネル領域に対応する領域に、スピンコート法、インクジェット法又はエレクトロスプレー法等の方法によって、当該金属粒子170を含む水溶液を塗布することにより、配設される。
本実施形態では、金属粒子170は、トランジスタ10のオン動作時において、フィラメントの一部を形成し得る。つまり、トランジスタ10では、金属粒子170と、ゲート電極160を構成する金属のイオンがイオン伝導体150内を移動して析出した金属原子と、によって、チャネル領域にフィラメントが形成される。
従って、金属粒子170は、ゲート電極160と同種の材料によって形成されることが好ましい。例えば、金属粒子170は、ゲート電極160と同様に、Cu、Ag又はこれらをそれぞれ主成分とする合金等によって形成され得る。以下では、本実施形態の一例として、金属粒子170が、ゲート電極160と同じCuである場合について説明する。ただし、金属粒子170を形成する材料は、必ずしもゲート電極160と同種の材料でなくてもよい。金属粒子170は、フィラメントが形成された際にソース電極130とドレイン電極140とを電気的に接続可能であればよく、他の各種の導電性を有する材料によって形成されてよい。
ここで、例えば上記特許文献1に例示される一般的な電気化学トランジスタでは、本実施形態に係る金属粒子170に対応する構成が設けられていない。従って、一般的な電気化学トランジスタにおけるフィラメントは、ゲート電極を構成する金属のイオンがイオン伝導体内を移動して析出した金属原子によってのみ形成される。よって、一般的な電気化学トランジスタでは、長い距離に渡ってフィラメントを安定的に形成することが困難であり、そのチャネル長が1(nm)〜15(nm)程度に制限されていた。
一方、本実施形態に係るトランジスタ10では、上述したように、金属粒子170と、ゲート電極160を構成する金属のイオンがイオン伝導体150内を移動して析出した金属原子と、によって、チャネル領域にフィラメントが形成される。従って、当該金属原子が、チャネル領域の全範囲に渡って析出しなくても、当該金属粒子170間において析出すれば、フィラメントが形成され、ソース電極130とドレイン電極140とが電気的に接続されることとなる。従って、トランジスタ10では、より長いチャネル長が実現され得るのである。
また、金属粒子170は、例えばスピンコート法、インクジェット法又はエレクトロスプレー法といった、半導体プロセスにおいて一般的に用いられている各種の方法を用いて、配設することができる。従って、トランジスタ10は、高度な技術や高価な装置を要することなく、より簡易に作製することができる。
以上、図1を参照して、本実施形態に係るトランジスタ10の構成について説明した。
(2.トランジスタの動作)
図2A−図4を参照して、本実施形態に係るトランジスタ10の動作について説明する。
(2−1.フォーミング)
まず、図2A及び図2Bを参照して、本実施形態に係るトランジスタ10のフォーミング時の動作について説明する。図2A及び図2Bは、本実施形態に係るトランジスタ10のフォーミング時の動作について説明するための説明図である。
トランジスタ10においては、製造された後、実際にスイッチング動作(オン動作及びオフ動作)を行う前に、フォーミングと呼ばれる工程が行われる。フォーミングとは、トランジスタ10をスイッチング素子として動作させるために行われる工程であり、ゲート電極160に電圧を印加して、チャネル領域にフィラメントを形成する工程である。例えば、フォーミングは、トランジスタ10が完成した後、メーカーにおいて工場出荷前に実行される。
1度フィラメントが形成されると、イオン伝導体150内では、チャネル領域にフィラメントを構成するための金属イオン180(すなわち、ゲート電極160を構成するCuのイオン180)が偏在することとなる。従って、フォーミング実行後のトランジスタ10では、フォーミング実行前に比べて、より低いゲート電圧で、トランジスタ10のオン動作を行うことが可能となる。
フォーミングでは、図2Aに示すように、ゲート電極160とバックゲート電極110との間に電圧を印加しながら、ソース電極130とドレイン電極140との間にも電圧を印加する。このとき、ゲート電極160及びソース電極130に、それぞれ正の電圧が印加されるようにする。
ゲート電極160に正の電圧を印加すると、ゲート電極160を構成するCu原子が酸化(イオン化)され、Cuイオン180が、例えば酸化タンタルであるイオン伝導体150中に供給される。イオン伝導体150中に供給されたCuイオン180は、ゲート電圧の印加によってイオン伝導体150中に誘起される電界によって、ソース電極130及びドレイン電極140に向かってイオン伝導体150中を拡散する。
その結果、ソース電極130及びドレイン電極140の近傍ではCuイオンの濃度が上昇し、ゲート電圧がある一定の値に達した時点で過飽和状態となり、絶縁膜120上にCu原子180が析出する。このとき、ソース電極130とドレイン電極140との間にも電圧が印加されているため、Cu原子180のマイグレーションにより、金属粒子170と当該Cu原子180とによって、ソース電極130とドレイン電極140との間にフィラメントが形成される。当該フィラメントによってソース電極130とドレイン電極140とが電気的に接続され、ソース電極130とドレイン電極140との間に電流が流れる。図2Bは、ソース電極130とドレイン電極140との間にフィラメントが形成された様子を図示している。なお、図2A及び図2B、並びに後述する図3A及び図3Bでは、便宜的に、銅イオン180と銅原子180とに、同一の符号を付して図示している。
(2−2.スイッチング動作)
次に、図3A及び図3Bを参照して、本実施形態に係るトランジスタ10のスイッチング動作について説明する。図3A及び図3Bは、本実施形態に係るトランジスタ10のスイッチング動作について説明するための説明図である。
トランジスタ10では、上述したフォーミングが行われた後のトランジスタ10に対して、ゲート電圧が適宜制御されることにより、スイッチング動作が行われる。
図3Aは、オン状態におけるトランジスタ10の様子を示している。オン状態は、ソース電極130とドレイン電極140との間にフィラメントが形成されている状態(図2Bに示す状態と同様の状態)である。オン状態は、所定のしきい値電圧(後述する図4に示すVa)よりも高い正の電圧を、ゲート電圧としてゲート電極160にゲート電圧として正の電圧が印加することにより、実現され得る。
オン状態で、ゲート電極160に、ゲート電圧として、所定のしきい値電圧(後述する図4に示すVb)よりも低い負の電圧を印加すると、図3Bに示すように、フィラメントを形成していたCu原子180のうちの一部が酸化(イオン化)され、Cuイオン180が、イオン伝導体150中をゲート電極160に向かって移動する。従って、フィラメントが切断され、ソース電極130とドレイン電極140との電気的な接続が断たれた状態、すなわちオフ状態になる。
このように、トランジスタ10では、ゲート電極160への正又は負のゲート電圧の印加によって、当該トランジスタ10のオン動作及びオフ動作が実現される。このとき、上述したように、フォーミングを行い、1度フィラメントを形成していると、フォーミング時よりも低いゲート電圧で、オン動作を行うことが可能になる。
ここで、本実施形態に係るトランジスタ10は、上記特許文献1に記載の電気化学トランジスタに対して金属粒子170が追加されたものに対応し、その動作原理はほぼ同様であり得る。従って、本実施形態に係るトランジスタ10では、上記特許文献1に記載の電気化学トランジスタと同様に、印加するゲート電圧の大きさを制御することにより、不揮発性のオン状態及びオフ状態を実現することができる。
図4に、不揮発性のオン状態及びオフ状態が実現されている場合における、トランジスタ10の電流−電圧特性を概略的に示す。図4は、不揮発性のオン状態及びオフ状態が実現されている場合における、本実施形態に係るトランジスタ10の電流−電圧特性を概略的に示す図である。
図4では、横軸にゲート電極160に印加されるゲート電圧Vgを取り、縦軸にソース電極130及びドレイン電極140間の電流Idsを取っている。図4に示すように、トランジスタ10は、ゲート電圧Vgとして所定の正の電圧値Vaを与えた際に、Idsが所定の値まで急峻に増加する特性を有する。従って、ゲート電圧Vgとして当該電圧値Vaよりも高い電圧が与えられることにより、トランジスタ10をオン状態に遷移させることができる。オン状態になった後に、ゲート電極160及びバックゲート電極110をフローティング状態にしたとしても、トランジスタ10ではオン状態が維持される。
一方、トランジスタ10は、ゲート電圧Vgとして所定の負の電圧値Vbを与えた際に、Idsが略ゼロまで急峻に減少する特性を有する。従って、ゲート電圧Vgとして当該電圧値Vbよりも低い電圧が与えられることにより、トランジスタ10をオン状態からオフ状態に遷移させることができる。オフ状態で、ゲート電極160及びバックゲート電極110をフローティング状態にしたとしても、トランジスタ10ではオフ状態が維持される。再度トランジスタ10をオン状態にしたい場合には、ゲート電圧Vgとして電圧値Vaよりも高い値を与えればよい。
トランジスタ10は、図4に示すような電流−電圧特性を有するため、オン状態又はオフ状態にされた後、電源が落とされたとしても、当該オン状態又は当該オフ状態がそのまま維持されることとなる。すなわち、トランジスタ10は不揮発性のトランジスタとして機能し得る。
なお、上述した電圧値Va及び電圧値Vbは、トランジスタ10の、いわゆるしきい値電圧に対応する。トランジスタ10のしきい値電圧は、金属粒子170のサイズ、金属粒子170の密度及びイオン伝導体150の膜厚の少なくともいずれかが調整されることによって制御され得る。
金属粒子170のサイズは、例えば、トランジスタ10のチャネル長に基づいて決定され得る。例えば、従来、表示装置における画素回路においては、一般的に、電界効果型半導体トランジスタのチャネル長が2(μm)程度であるようなデザインルールが適用されている場合が多い。従って、トランジスタ10を当該電界効果型半導体トランジスタに代えて、表示装置の画素回路に用いる場合であれば、当該トランジスタ10も、そのチャネル長が略2(μm)になるように設計され得る。この場合、金属粒子170のサイズは、トランジスタ10のチャネル長を考慮して、例えば5(nm)〜1000(nm)になるように設計される。また、このとき、チャネル領域における金属粒子170の密度は、金属粒子170のサイズ及びチャネル長から計算すれば、1(1/μm)〜1000(1/μm)になり得る。金属粒子170のサイズ及び密度は、このような設計上の制約を満たす範囲において、トランジスタ10のしきい値電圧を制御するために適宜調整されてよい。
ただし、上記の金属粒子170のサイズ及び密度は、あくまで、トランジスタ10が一般的な表示装置の画素回路に用いられる場合における一例である。金属粒子170のサイズ及び密度は、トランジスタ10が適用される電子機器において用いられているデザインルール等に応じて、適宜決定されてよい。
また、イオン伝導体150の膜厚は、当該イオン伝導体150内に生じる電界強度に関係している。上記特許文献1にも記載されているように、電気化学トランジスタにおいては、当該電気化学トランジスタの駆動電圧とイオン伝導体の膜厚との間には、密接な関係がある。例えば、特許文献1には、イオン伝導体として酸化タンタルを用いた電気化学トランジスタにおいて、実用的な電圧である20V以下での動作を実現するためには、当該酸化タンタルの膜厚を40(nm)以下にする必要があることが記載されている。
上記の例と同様に、例えば、トランジスタ10が表示装置の画素回路に用いられる場合を考えると、トランジスタ10の駆動電圧は、10(V)〜20(V)であることが想定される。イオン伝導体150として酸化タンタルを用いた場合において、10(V)〜20(V)の駆動電圧を実現するためには、トランジスタ10の当該イオン伝導体150の膜厚は、例えば、10(nm)〜100(nm)程度であることが求められる。イオン伝導体150の膜厚は、このような駆動電圧に基づく制約を満たす範囲において、トランジスタ10のしきい値電圧を制御するために適宜調整されてよい。
ただし、上記のイオン伝導体150の膜厚は、あくまで、イオン伝導体150として酸化タンタルを用いた場合であって、トランジスタ10が一般的な表示装置の画素回路に用いられる場合における一例である。イオン伝導体150の膜厚は、イオン伝導体150の材料や、トランジスタ10が適用される電子機器において当該トランジスタ10に求められる駆動電圧等に基づいて、適宜決定されてよい。
(3.トランジスタの製造方法)
図5A−図5Fを参照して、本実施形態に係るトランジスタ10の製造方法について説明する。図5A−図5Fは、本実施形態に係るトランジスタ10の製造方法について説明するための図である。図5A−図5Fは、トランジスタ10のチャネル方向における断面を、当該トランジスタ10の製造方法における工程順に概略的に図示したものであり、当該製造方法におけるプロセスフローを表すものである。
トランジスタ10の製造方法においては、まず、基板(図示せず)上に、バックゲート電極110が形成される(図5A)。例えば、バックゲート電極110は、基板上にAlをスパッタリング法等によって成膜した後に、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによって当該Al膜を所定のパターンに加工することによって作製される。ただし、バックゲート電極110の作製方法はかかる例に限定されず、当該作製方法としては、一般的な電気化学トランジスタにおいてバックゲート電極を作製する際に用いられる各種の方法が適用されてよい。
なお、上記(1.トランジスタの構成)で説明したように、基板としては、Si基板、ガラス基板、プラスチック基板等、各種の材料からなる基板の中から適当なものが選択され得る。また、同じく上記(1.トランジスタの構成)で説明したように、バックゲート電極110は、Al以外の各種の導電性を有する材料によって形成されてよい。
次に、バックゲート電極110上に、絶縁膜120が成膜される(図5B)。例えば、絶縁膜120は、SiOをCVD法によって成膜することにより作製される。ただし、絶縁膜120の材料及び作製方法はかかる例に限定されず、当該材料及び作製方法としては、一般的な電気化学トランジスタにおいて絶縁膜を作製する際に用いられる各種の材料及び方法が適用されてよい。
次に、絶縁膜120上に、ソース電極130及びドレイン電極140が、互いに所定の距離だけ離隔して形成される(図5C)。例えば、ソース電極130及びドレイン電極140は、絶縁膜120上にAlをスパッタリング法等によって成膜した後に、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによって当該Al膜を所定のパターンに加工することによって作製される。ただし、ソース電極130及びドレイン電極140の作製方法はかかる例に限定されず、当該作製方法としては、一般的な電気化学トランジスタにおいてソース電極及びドレイン電極を作製する際に用いられる各種の方法が適用されてよい。また、上記(1.トランジスタの構成)で説明したように、ソース電極130及びドレイン電極140は、Al以外の各種の導電性を有する材料によって形成されてよい。
次に、絶縁膜120上の、ソース電極130とドレイン電極140との間のチャネル領域に、金属粒子170が配設される(図5D)。例えば、金属粒子170は、スピンコート法、インクジェット法又はエレクトロスプレー法等によって、金属粒子170を含む水溶液を塗布することによって、当該チャネル領域に配設される。
ここで、金属粒子170としては、バイオミネラリゼーションと呼ばれる現象を利用して形成された金属粒子170を用いることができる。ここで、バイオミネラリゼーションとは、生物が無機物質を集積、結晶化させる現象である。例えば、フェリチンと呼ばれるタンパク質は、内部に空洞を有するかご状の分子を有しており、生体内において、当該フェリチン分子の空洞内に鉄イオンが集積し、酸化鉄の結晶が形成されることが知られている。このようなフェリチン分子の生体内での反応を応用することにより、当該フェリチン分子の空洞内で多様な金属粒子を形成可能であることが、実験的に確かめられている。
例えば、バイオミネラリゼーションを利用して、フェリチン分子の空洞内にCu粒子を形成することが可能である。本実施形態では、このような、空洞内にCu粒子が形成されたフェリチン分子を用いて、Cu粒子(すなわち金属粒子170)を、チャネル領域に配設することができる。
具体的には、空洞内にCu粒子が形成されたフェリチン分子を含む水溶液を、スピンコート法、インクジェット法又はエレクトロスプレー法等によってチャネル領域に塗布した後に、アッシングにより高分子化合物(すなわちフェリチン分子)を除去する。これにより、Cu粒子のみがチャネル領域上に残存することとなり、すなわち、チャネル領域にCu粒子が分散配置され得る。なお、バイオミネラリゼーションを利用した金属粒子の形成方法については、バイオナノプロセスと呼ばれる手法において一般的に提案されている各種の方法を用いることができるため、ここではその詳細な説明は省略する。
ただし、上述したバイオミネラリゼーションを用いる方法は、金属粒子170の配設方法の一例である。本実施形態では、金属粒子170は、他の各種の公知な方法によって配設されてもよい。
金属粒子170が配設されると、次に、当該金属粒子170が配設された絶縁膜120上、並びに、ソース電極130及びドレイン電極140上に、イオン伝導体150が積層される(図5E)。例えば、イオン伝導体150は、酸化タンタルをスパッタリング法等によって成膜することにより作製される。ただし、イオン伝導体150の作製方法はかかる例に限定されず、当該作成方法としては、一般的な電気化学トランジスタにおいてイオン伝導体を作製する際に用いられる各種の方法が適用されてよい。また、上記(1.トランジスタの構成)で説明したように、イオン伝導体150は、酸化タンタル以外の各種のイオン導電材料によって形成されてよい。
次に、イオン伝導体150上に、ゲート電極160が形成される(図5F)。例えば、ゲート電極160は、イオン伝導体150上にCuをスパッタリング法等によって成膜した後に、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによって当該Cu膜を所定のパターンに加工することによって作製される。ただし、ゲート電極160の作製方法はかかる例に限定されず、当該作製方法としては、一般的な電気化学トランジスタにおいてゲート電極を作製する際に用いられる各種の方法が適用されてよい。また、上記(1.トランジスタの構成)で説明したように、ゲート電極160は、Cu以外の各種の金属材料によって形成されてよい。
ゲート電極160が形成されることにより、本実施形態に係るトランジスタ10が完成する。本発明者らは、以上説明した製造方法に従ってトランジスタ10と同様の構成を有するトランジスタを作製し、その動作確認を行った。その結果、当該トランジスタにおいて図4に示すような電流−電圧特性が得られた。このように、本実施形態によれば、スイッチング素子として確かに機能し得るトランジスタが実現され得ることが確認された。
以上、図5A−図5Fを参照して、本実施形態に係るトランジスタ10の製造方法について説明した。
(4.変形例)
本実施形態に係るトランジスタ10の具体的な構成は、以上説明した構成に限定されない。トランジスタ10は、多様な構成によって実現されてよい。ここでは、以上説明した実施形態におけるいくつかの変形例について説明する。
(4−1.バックゲート電極が省かれる変形例)
図6を参照して、本実施形態の一変形例として、バックゲート電極が省かれる変形例に係るトランジスタの構成について説明する。図6は、バックゲート電極が省かれる変形例に係るトランジスタの一構成例を示す図である。
図6を参照すると、本変形例に係るトランジスタ20は、絶縁膜120と、ソース電極130及びドレイン電極140と、イオン伝導体150と、ゲート電極160と、が基板上にこの順に積層されて構成される。なお、トランジスタ20は、以上説明した実施形態に係るトランジスタ10に対して、バックゲート電極110が省かれたものに対応する。トランジスタ20のその他の各部材の構成及び機能は、トランジスタ10の対応する部材の構成及び機能と同様であるため、その詳細な説明は省略する。また、トランジスタ20の動作も、トランジスタ10と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
図1に示すトランジスタ10がいわゆる4端子のトランジスタであったのに対し、図6に示すように、トランジスタ20は、いわゆる3端子のトランジスタである。トランジスタ20では、トランジスタ10に比べて、ゲート電圧を印加した際のイオン伝導体150内での電界強度は弱くなる可能性はあるが、バックゲート電極110を形成する工程を削減することができるため、製造コストを低減することが可能となる。
このように、本実施形態に係るトランジスタは、トランジスタ10のように4端子のトランジスタとして実現されてもよいし、トランジスタ20のように3端子のトランジスタとして実現されてもよい。トランジスタ10のように4端子のトランジスタとすることにより、イオン伝導体150内での電界強度をより精度良く制御することが可能になる。一方、トランジスタ20のように3端子のトランジスタとすることにより、上述したように製造コストを低減することができる。いずれの構成を採用するかは、トランジスタが搭載される回路及び電子機器の種類や、それに応じて当該トランジスタに求められる性能等に基づいて、適宜決定されてよい。
以上、図6を参照して、バックゲート電極が省かれる変形例に係るトランジスタの構成について説明した。
(4−2.ソース電極及びドレイン電極が複数層で構成される変形例)
図7を参照して、本実施形態の一変形例として、ソース電極及びドレイン電極が複数層で構成される変形例に係るトランジスタの構成について説明する。図7は、ソース電極及びドレイン電極が複数層で構成される変形例に係るトランジスタの一構成例を示す図である。
図7を参照すると、本変形例に係るトランジスタ30は、絶縁膜120と、ソース電極330及びドレイン電極340と、イオン伝導体150と、ゲート電極160と、が基板上にこの順に積層されて構成される。なお、トランジスタ30は、以上説明した実施形態に係るトランジスタ10に対して、ソース電極130及びドレイン電極140の構成が変更されたものに対応する。トランジスタ30のその他の各部材の構成及び機能は、トランジスタ10の対応する部材の構成及び機能と同様であるため、その詳細な説明は省略する。また、トランジスタ30の動作も、トランジスタ10と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
図示するように、トランジスタ30では、ソース電極330は、第1の層331及び第2の層332がこの順に積層されて構成される。同様に、ドレイン電極340は、第1の層341及び第2の層342がこの順に積層されて構成される。第1の層331、341は、ゲート電極160及び金属粒子170と同種の材料(例えばCu)によって形成される。また、第2の層332、342は、第1の層331、341とは異なる材料(例えばAl)によって形成される。
当該構成によれば、オン動作時に、ゲート電極160からだけでなく、第1の層331、341からも、金属イオン(例えばCuイオン)が、イオン伝導体150内に供給されることとなる。従って、トランジスタ10のようにソース電極130及びドレイン電極140がゲート電極160とは異なる材料のみによって単層で構成される場合に比べて、ソース電極330とドレイン電極340との間におけるフィラメントの形成がより容易に行われることとなる。
ここで、上記(1.トランジスタの構成)でも説明したように、図1に示すトランジスタ10では、オン動作時にイオン伝導体150内で金属原子が析出する際に、当該金属原子は、本来フィラメントが形成されるべき領域であるチャネル領域だけでなく、ソース電極130及びドレイン電極140の上にも析出し得る。従って、ソース電極130とゲート電極160との間、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間にもフィラメントが形成されてしまい、トランジスタ10の正常な動作が阻害されてしまう可能性がある。
本変形例に係るトランジスタ30においても、トランジスタ10と同様に、オン動作時には、金属原子は、チャネル領域だけでなく、ソース電極130及びドレイン電極140の上にも析出し得る。しかしながら、上述したように、トランジスタ30では、金属イオンが、ゲート電極160からだけでなく、ソース電極330及びドレイン電極340の第1の層331、341からも、イオン伝導体150内に供給されるため、ソース電極330とドレイン電極340との間におけるフィラメントの形成がより容易に行われ得る。従って、トランジスタ30では、オン動作時に、ソース電極330とゲート電極160との間、及び/又はドレイン電極340とゲート電極160との間にフィラメントが形成される可能性が低くなり、トランジスタ30をより安定的に動作させることが可能となる。
以上、図7を参照して、ソース電極330及びドレイン電極340が複数層で構成される変形例に係るトランジスタの構成について説明した。なお、図7に示す例では、ソース電極330及びドレイン電極340の両方が複数層で構成されているが、本変形例はかかる例に限定されず、ソース電極330及びドレイン電極340のいずれか一方のみが複数層で構成されてもよい。例えば、ソース電極330及びドレイン電極340のうち、電気特性的にゲート電極160との間にフィラメントが形成されやすい方のみが、複数層で構成されてもよい。
(4−3.ゲート電極とソース電極及びドレイン電極との間に絶縁体が設けられる変形例)
図8を参照して、本実施形態の一変形例として、ゲート電極とソース電極との間及びドレイン電極との間に絶縁体が設けられる変形例に係るトランジスタの構成について説明する。図8は、ゲート電極とソース電極及びドレイン電極との間に絶縁体が設けられる変形例に係るトランジスタの一構成例を示す図である。
図8を参照すると、本変形例に係るトランジスタ40は、絶縁膜120と、ソース電極330及びドレイン電極340と、イオン伝導体150と、絶縁膜490(絶縁膜120と区別するために、以下、第2の絶縁膜490と呼称する)と、ゲート電極160と、が基板上にこの順に積層されて構成される。なお、トランジスタ40は、以上説明した実施形態に係るトランジスタ10に対して、第2の絶縁膜490が追加されたものに対応する。トランジスタ40のその他の各部材の構成及び機能は、トランジスタ10の対応する部材の構成及び機能と同様であるため、その詳細な説明は省略する。また、トランジスタ40の動作も、トランジスタ10と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
図示するように、トランジスタ40では、少なくともゲート電極160とソース電極130及びドレイン電極140とが重なり合う領域(すなわち、ソース電極130及びドレイン電極140が形成される領域の直上の領域)において、イオン伝導体150とゲート電極160との間に、第2の絶縁膜490が設けられる。第2の絶縁膜490は、例えば、絶縁膜120と同様に、SiOによって形成され得る。ただし、第2の絶縁膜490を形成する材料はかかる例に限定されず、第2の絶縁膜490は、一般的に電気化学トランジスタの絶縁膜に用いられる各種の材料によって形成されてよい。
ここで、上記(1.トランジスタの構成)でも説明したように、図1に示すトランジスタ10では、オン動作時にイオン伝導体150内で金属原子が析出する際に、当該金属原子は、本来フィラメントが形成されるべき領域であるチャネル領域だけでなく、ソース電極130及びドレイン電極140の上にも析出し得る。従って、ソース電極130とゲート電極160との間、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間にもフィラメントが形成されてしまい、トランジスタ10の正常な動作が阻害されてしまう可能性がある。
本変形例に係るトランジスタ40においても、トランジスタ10と同様に、オン動作時には、金属原子は、チャネル領域だけでなく、ソース電極130及びドレイン電極140の上にも析出し得る。しかしながら、上述したように、トランジスタ40では、ソース電極130及びドレイン電極140が形成される領域と重なり合う領域において、イオン伝導体150とゲート電極160との間に、第2の絶縁膜490が設けられる。従って、ソース電極130及びドレイン電極140の上に金属原子が析出し、フィラメントがゲート電極160近傍まで成長したとしても、第2の絶縁膜490によって、ソース電極130とゲート電極160との間、及び/又はドレイン電極140とゲート電極160との間の電気的な接続が遮断される。よって、トランジスタ40をより安定的に動作させることが可能となる。
以上、図8を参照して、ゲート電極160とソース電極130及びドレイン電極140との間に絶縁体が設けられる変形例に係るトランジスタの構成について説明した。なお、図8に示す例では、ソース電極130及びドレイン電極140の両方の直上の領域に第2の絶縁膜490が設けられているが、本変形例はかかる例に限定されず、ソース電極130及びドレイン電極140のいずれか一方の直上に対応する領域にのみ、第2の絶縁膜490が設けられてもよい。例えば、ソース電極130及びドレイン電極140のうち、電気特性的にゲート電極160との間にフィラメントが形成されやすい方の直上の領域にのみ、第2の絶縁膜490が設けられてもよい。
(5.適用例)
以上説明した実施形態及びその変形例に係るトランジスタ10、20、30、40は、各種の電子機器において、従来用いられている電界効果型半導体トランジスタに代えて適用され得る。ここでは、トランジスタ10、20、30、40の各種の電子機器への一適用例として、トランジスタ10、20、30、40が、表示装置の画素回路における画素駆動用のトランジスタに適用される場合について説明する。ただし、トランジスタ10、20、30、40が適用され得る電子機器は、表示装置に限定されない。トランジスタ10、20、30、40は、一般的にトランジスタのようなスイッチング素子が用いられているあらゆる電子機器に適用されてよい。
なお、以下の適用例についての説明では、表示装置の画素回路に対してトランジスタ10が適用される場合を例に挙げて説明するが、各変形例に係るトランジスタ20、30、40も、同様に、当該画素回路に適用することが可能である。
図9及び図10を参照して、本実施形態に係るトランジスタ10が、液晶表示装置の画素回路に適用される適用例について説明する。図9は、本実施形態に係るトランジスタ10が液晶表示装置の画素回路に適用された場合における、当該画素回路の一構成例を示す図である。図10は、図9に示す画素回路内でのトランジスタ10の動作を示すタイミング図である。
図9では、液晶表示装置の表示画面を構成する一の画素に対応する画素回路50を図示している。図示する画素回路50が複数組み合わされて、液晶表示装置の表示画面が構成され得る。
図9を参照すると、画素回路50は、液晶素子510と、当該液晶素子510を駆動するためのトランジスタ10と、から構成される。液晶素子510は、液晶パネルや当該液晶パネルを動作させるための電極、偏光板等が組み合わされて構成される液晶表示装置の表示画面の、1つの画素に対応するものである。液晶素子510は、各種の公知な液晶素子と同様の構成及び機能を有するものであるため、その詳細な説明は省略する。
トランジスタ10のゲートは、走査線(Scan(n))に接続されており、トランジスタ10のソースは、データ線(Data)に接続される。液晶素子510のアノードは、トランジスタ10のドレインに接続されており、液晶素子510のカソードは、所定の電位Vcomに接続されている。Scan(n)の電位を高い状態(High状態)にすることにより、Dataの電位に応じた電流がトランジスタ10を介して液晶素子510に供給され、当該液晶素子510が駆動される。
図10では、トランジスタ10を駆動する際の、Scan(n)の電位変化のタイミングの一例を示している。図示するように、非選択時、すなわちトランジスタ10がオフ状態である場合には、Scan(n)の電位はVcomになるように制御される。Vcomは、トランジスタ10をオン状態にするためのしきい値電圧よりも低く設定されており、この状態ではトランジスタ10はオフ状態に保たれる。
データを書き込むタイミング、すなわち液晶素子510を駆動するタイミングで、Scan(n)の電位がHigh状態に切り替えられる。High状態でのScan(n)の電位は、トランジスタ10をオン状態にするためのしきい値電圧よりも高く設定されている。従って、Scan(n)の電位をHigh状態にすることにより、Dataの電位に応じた電流がトランジスタ10を介して液晶素子510に供給され、当該液晶素子510が駆動される。
次の水平走査期間で、Scan(n)の電位が低い状態(Low状態)に切り替えられる。Low状態でのScan(n)の電位は、トランジスタ10をオフ状態にするためのしきい値電圧よりも低く設定されている。従って、Scan(n)の電位をLow状態にすることにより、トランジスタ10がオフ状態となり、液晶素子510は駆動されないこととなる。
その後、Scan(n)の電位がVcomに切り替えられる。ここで、トランジスタ10では不揮発性のオン状態及びオフ状態が実現され得る。従って、図示するように、1度Scan(n)の電位をLow状態にしてトランジスタ10をオフ状態にした後に、Scan(n)の電位をVcomに変化させたとしても、トランジスタ10ではオフ状態が維持される。
以上説明した動作が、各画素回路50において所定のタイミングで繰り返されることにより、表示装置の表示画面に所望の画像が表示されることとなる。
以上、図9及び図10を参照して、本実施形態に係るトランジスタ10が、液晶表示装置の画素回路に適用される適用例について説明した。なお、図9に示す画素回路50の構成及び図10に示すトランジスタ10の動作を示すタイミングは、あくまで一例である。トランジスタ10は、各種の公知な画素回路に搭載されてよいし、トランジスタ10の動作タイミングも、各種の公知なタイミングであってよい。
ここで、上述したように、トランジスタ10では不揮発性のオン状態及びオフ状態が実現され得るため、トランジスタ10におけるオン状態及びオフ状態は、Scan(n)及びDataのへの電源供給が停止されても維持され得る。従って、トランジスタ10が、例えば電子ペーパー等の、所定の画像が所定の時間連続的に表示される表示装置に用いられることにより、電源を供給しなくても当該所定の画像の表示が維持されることとなるため、より消費電力の少ない表示装置が実現され得る。
(6.補足)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10、20、30、40 トランジスタ
50 画素回路
110 バックゲート電極
120 絶縁膜
130、330 ソース電極
140、340 ドレイン電極
150 イオン伝導体
160 ゲート電極
170 金属粒子
180 金属イオン(Cuイオン)、金属原子(Cu原子)
331、341 第1の層
332、342 第2の層
490 第2の絶縁膜

Claims (15)

  1. イオン伝導体と、
    前記イオン伝導体の第1の面に配設されるゲート電極と、
    前記イオン伝導体の前記第1の面と対向する第2の面に、互いに電気的に絶縁されて配設されるソース電極及びドレイン電極と、
    前記イオン伝導体中において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域に配設される金属粒子と、
    を備える、ことを特徴とする、トランジスタ。
  2. 前記トランジスタの動作時には、前記イオン伝導体中において、前記ゲート電極を構成する第1の金属及び前記金属粒子によって、前記ソース電極と前記ドレイン電極とを電気的に接続するフィラメントが形成される、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のトランジスタ。
  3. 前記ゲート電極を構成する第1の金属がイオン化した第1の金属イオンは、前記イオン伝導体中において、前記チャネル領域に偏在している、
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のトランジスタ。
  4. 前記金属粒子は、スピンコート法、インクジェット法及びエレクトロスプレー法のいずれかの方法によって前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に分散配置される、
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  5. 前記トランジスタが動作する際のしきい値電圧は、前記金属粒子のサイズ、前記金属粒子の密度及び前記イオン伝導体の膜厚の少なくともいずれかが調整されることによって制御される、
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  6. 前記金属粒子のサイズは、5(nm)〜1000(nm)である、
    ことを特徴とする、請求項5に記載のトランジスタ。
  7. 前記金属粒子の密度は、1(1/μm)〜1000(1/μm)である、
    ことを特徴とする、請求項5又は6に記載のトランジスタ。
  8. 前記イオン伝導体の膜厚は、10(nm)〜100(nm)である、
    ことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  9. 前記チャネル領域を挟んで前記ゲート電極と対向するように設けられ、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれとも電気的に絶縁されたバックゲート電極、を更に備える、
    ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  10. 前記ソース電極と前記ドレイン電極の少なくともいずれかは、前記ゲート電極を構成する第1の金属と同一の金属によって形成される第1の層と、前記第1の金属とは異なる第2の金属によって形成される第2の層と、が少なくとも積層されて構成される、
    ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  11. 前記ゲート電極と前記ソース電極との間、及び前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に、互いに重なり合う領域が存在するように、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極が配設される、
    ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  12. 前記ゲート電極と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の少なくともいずれかと、が重なり合う領域においては、前記イオン伝導体と前記ゲート電極との間に絶縁膜が設けられる、
    ことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  13. 前記ゲート電極と前記ソース電極との間、及び前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に、互いに重なり合う領域が存在しないように、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極が配設される、
    ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のトランジスタ。
  14. イオン伝導体と、
    前記イオン伝導体の第1の面に配設されるゲート電極と、
    前記イオン伝導体の前記第1の面と対向する第2の面に、互いに電気的に絶縁されて配設されるソース電極及びドレイン電極と、
    前記イオン伝導体中において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域に配設される金属粒子と、
    を備える、トランジスタが、表示画面を構成する画素を駆動させるための画素回路に用いられる、
    ことを特徴とする、表示装置。
  15. イオン伝導体と、
    前記イオン伝導体の第1の面に配設されるゲート電極と、
    前記イオン伝導体の前記第1の面と対向する第2の面に、互いに電気的に絶縁されて配設されるソース電極及びドレイン電極と、
    前記イオン伝導体中において、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間のチャネル領域に配設される金属粒子と、
    を備える、トランジスタが、スイッチング素子に用いられる、
    ことを特徴とする、電子機器。
JP2014243239A 2014-12-01 2014-12-01 トランジスタ、表示装置及び電子機器 Pending JP2016105438A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014243239A JP2016105438A (ja) 2014-12-01 2014-12-01 トランジスタ、表示装置及び電子機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014243239A JP2016105438A (ja) 2014-12-01 2014-12-01 トランジスタ、表示装置及び電子機器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016105438A true JP2016105438A (ja) 2016-06-09

Family

ID=56102792

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014243239A Pending JP2016105438A (ja) 2014-12-01 2014-12-01 トランジスタ、表示装置及び電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016105438A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107907580A (zh) * 2017-11-10 2018-04-13 云南中烟工业有限责任公司 有机磷农药的电化学晶体管传感器及其对有机磷农药的检测方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107907580A (zh) * 2017-11-10 2018-04-13 云南中烟工业有限责任公司 有机磷农药的电化学晶体管传感器及其对有机磷农药的检测方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lee et al. Tuning ionic transport in memristive devices by graphene with engineered nanopores
CN104393000B (zh) 一种阵列基板及其制作方法、显示装置
TWI548088B (zh) Electrochemical transistor
TWI559553B (zh) 氧化物半導體薄膜電晶體、製造其之方法及包含其之有機電致發光裝置
JP2006319028A (ja) スイッチング素子、書き換え可能な論理集積回路、およびメモリ素子
WO2009104229A1 (ja) 抵抗変化型不揮発性メモリ素子とその作製方法
US20110057185A1 (en) Thin film transistor
CN103222055B (zh) 非易失性存储元件及其制造方法
CN105765729B (zh) 半导体装置
WO2006070693A1 (ja) スイッチング素子、スイッチング素子の駆動方法および製造方法、書き換え可能な論理集積回路、メモリ素子
TW200845397A (en) Thin-film transistor and method of manufacturing same
US10236310B2 (en) Transistor substrate, and organic light emitting display panel including the same having a coupled driving gate and switching channel
TW201125119A (en) Organic light emitting display apparatus and method of manufacturing the same
JP2014199959A (ja) 電気化学反応を利用した抵抗変化素子、並びにその製造方法及び動作方法
CN104576744A (zh) 碳纳米管薄膜晶体管、amoled像素柔性驱动电路及制作方法
US10439070B2 (en) Thin-film transistor (TFT) and manufacturing method thereof
US6891186B2 (en) Electronic device having controllable conductance
JP5927602B2 (ja) 表示装置の製造方法
KR102017228B1 (ko) 박막 트랜지스터 및 그 제조 방법
JP2016105438A (ja) トランジスタ、表示装置及び電子機器
WO2018142955A1 (ja) 電解処理装置および電解処理方法
JP6383420B2 (ja) 薄膜トランジスタ、配列基板及び表示パネル
JP7055244B2 (ja) 電場を利用した電流経路範囲制御方法及び電子回路
CN102914927A (zh) 一种阵列基板和制造阵列基板的方法
JP5167744B2 (ja) スイッチング素子の状態設定方法