JP2016105033A - 冷蔵庫のヒンジ装置 - Google Patents

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【課題】庫本体に対して扉部が移動しながら回動するよう構成された冷蔵庫のヒンジ装置において、強度や耐久性を損なうことなく、扉部を自閉できる冷蔵庫を提供する。【解決手段】ヒンジ装置は、扉部を回動可能に且つ移動可能に支持する本体側部材105と、自閉機構Iとを備え、自閉機構Iは、本体側部材105の側部に設けたローラガイド面155と、扉部に対してスライド可能に支持したスライド部107と、スライド部107に取り付けられ、スライド部107のスライドによってローラガイド面155に対して接離可能なローラ部172と、ローラ部172がローラガイド面155に向かうようにスライド部107を押圧する押圧機構とを有し、扉部が閉位置にあるときにはローラ部172をローラガイド面155に当接させる一方、閉位置から開くときにはローラ部172をローラガイド面155に沿って転動させる。【選択図】図6

Description

本発明は、冷蔵庫のヒンジ装置に関する。
特許文献1には、冷蔵庫のヒンジ装置の一例が記載されている。この特許文献1に記載のヒンジ装置(ヒンジ部)は、扉部側に設けられる扉側部材(ストッパ板)と、庫本体に取り付けられ、扉側部材、ひいては扉部を相対移動可能に且つ相対回動可能に支持する本体側部材(ヒンジ板)と、を備えている。このヒンジ装置はまた、扉部が閉位置から開くときに、その回転軸(ヒンジピン)の位置を左右乃至前後に移動させるように構成されているため、閉位置から開く扉部は、庫本体に対して移動しながら回動することになる。また、扉側部材には、合成樹脂から成る一体のフック部(リップ部)が取り付けられていると共に、本体側部材の側部には、このフック部が係合可能な湾入部が凹設されている。このヒンジ装置は、扉部が閉位置にあるときには、フック部を湾入部に係入させることで係合させる一方、扉部が閉位置から開くときには、このフック部を湾入部に接触させて擦り当てるように構成されていて、この接触により、フック部を弾性的に変形させる。この変形により生じる復元力は、扉部の開動に逆らうように、すなわち、扉部を閉動させるように作用する。このヒンジ装置は、そうした復元力を利用することにより、扉部を閉位置に保持すると共に自閉させるよう構成されている。
特開2004−301457号公報
ところで、前記特許文献1のヒンジ装置のように、扉部が閉位置から開くときに、庫本体に対して扉部が移動する場合には、そうした相対移動を許容するように、すなわち、本体側部材に対して扉側部材が移動してもなお、フック部と湾入部とが接触するように、その移動量の分だけ、フック部を比較的大きく変形させることが考えられる。
しかしながら、前記特許文献1のフック部は、合成樹脂から成る一体の部材であるため、そうした部材を過度に変形させてしまうと、折損、又は、塑性的な変形等を招くため、強度という観点からは不都合である。また、仮に、十分な強度を有するフック部を設けたとしても、強度が増した分だけ、フック部を変形させるのに必要な力も増大するため、今度は操作感を悪化させてしまうという点で、不都合である。
そこで、前記特許文献1のようにフック部を湾入部に係合させる構成では、フック部の変形量を増大させるのではなく、湾入部を比較的深く凹設することで、扉部が相対移動してもなお、フック部と湾入部との間の接触を保持するように構成することが考えられる。ところが、そうした構成では、湾入部を深くした分だけ、それに係入させるフック部の寸法も長く取ることが要求される。しかし、合成樹脂から成るフック部の寸法を長く取ってしまっては、前記の場合と同様に、やはり、強度と操作感との両立という観点からは不都合である。
しかも、前記特許文献1のヒンジ装置のように、扉部が開閉するたびに、フック部と湾入部とが擦れ合うのは、局部摩耗を招いたり、摺動抵抗の分だけ操作感を悪化させたりするため、耐久性及び操作性という観点からも不都合である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、庫本体に対して扉部が移動しながら回動するよう構成された冷蔵庫のヒンジ装置において、強度や耐久性を損なうことなく、扉部を自閉させることにある。
前記の目的を達成するために、この発明では、扉部に対してスライド可能に支持したスライド部を常時押圧し、扉部が閉位置から開くときに、この押圧によってスライド部をスライドさせることで、スライド部に設けたローラ部と本体側部材に設けたローラガイド面との間の接触を保持するようにした。
具体的に、第1の発明は、庫本体の前面に設けた開口部を開閉する少なくとも1枚の扉部を上下から支持する冷蔵庫のヒンジ装置において、前記扉部に設けられる扉側部材、及び、前記庫本体に取り付けられ、前記扉側部材を介して前記扉部を相対移動可能に且つ相対回動可能に支持する本体側部材を含む上下のヒンジ機構と、前記扉部の下部に設けられる自閉機構と、を備え、前記上下のヒンジ機構は、双方とも、前記扉部が閉位置から開くとき、該扉部の開動に伴って、前記扉側部材が前記本体側部材に対して移動しながら回動するように構成され、前記自閉機構は、前記本体側部材の側部に形成されたローラガイド面と、前記扉部に対してスライド可能に支持されるスライド部と、前記スライド部に回転可能に取り付けられ、該スライド部のスライドにより前記ローラガイド面に対して接離するように移動可能なローラ部と、前記ローラ部が前記ローラガイド面に向かうように、前記スライド部を常時押圧する押圧機構と、を有し、前記自閉機構は、前記扉部が閉位置にあるときには、前記ローラ部を前記ローラガイド面に当接させるように構成され、前記自閉機構は、前記扉部が閉位置から開くときには、前記ローラ部を前記ローラガイド面に沿って転動させると共に、前記スライド部を前記押圧機構による押圧に抗する方向にスライドさせるように且つ当該押圧を前記扉部が閉位置に向かう方向に案内するように構成される、ことを特徴とするものである。
ここでいう“冷蔵庫”には、庫本体内に貯蔵された被収容物を冷却することによって、該被収容物を冷蔵したり冷凍したりするものを含む。
また、ここでいう“押圧機構”には、付勢部材による付勢力を利用したものや、扉部の自重を利用したものを含む。
この第1の発明によると、前記ヒンジ装置は、扉側部材に設けたスライド部をスライドさせることにより、そのスライド部に設けたローラ部を本体側部材に設けたローラガイド面に接触させるように構成されている。
したがって、前記特許文献1におけるフック部とは異なり、扉部が庫本体に対して移動しながら回動するときに、スライド部を弾性的に変形させずとも、移動する扉部に対してスライドさせることで、ローラ部とローラガイド面との間の接触を保持することができるから、扉部の相対移動を許容する上で有利になると共に、過度の弾性変形に伴う、折損、及び、塑性的な変形という問題は、根本的に解決されることになる。
しかも、扉部が閉位置にあるときには、ローラ部をローラガイド面に当接させる一方、扉部が閉位置から開くときには、このローラ部をローラガイド面に沿って転動させるようにしたから、開閉時の局部摩耗を低減して耐久性を向上させると共に、摺動抵抗を低減することにより操作感を向上させることもできる。
また、自閉機構は、扉部が閉位置から開くときには、押圧機構による押圧に抗する方向にスライド部をスライドさせるように構成されている。
したがって、押圧機構の押圧に逆らう方向にスライドさせるのに必要な仕事(力学的仕事)の分だけ、扉部を閉位置から開くのに必要な仕事が増大することになるから、この増大した仕事の分だけ、扉部を閉位置に保持する上で有利になる。
さらに、自閉機構は、扉部が閉位置から開くときには、押圧機構による押圧を、扉部が閉位置に向かう方向に案内させるように構成されているから、この案内によって、扉部は閉位置に向けて自閉されることになる。
また、ここでいう“自閉”とは、庫本体に設けた開口部を閉塞するような、扉部の自動的な閉動を意味する。
こうして、本発明に係る自閉機構は、従来構成のように、合成樹脂から成る一体のフック部を湾入部に係合させることで扉部を閉位置に保持したり、そうしたフック部を弾性的に変形させたときの復元力を利用して扉部を自閉させたりせずとも、押圧機構がスライド部を押圧する力を利用することによって、扉部を閉位置に保持したり自閉させたりすることができる。
また、押圧機構による押圧の強さ、スライド部の配置、スライド部が移動可能な距離、及び、ローラガイド面の形態等を調整することで、強度の低下という問題を招くことなく、扉部を閉位置に保持したり自閉させたりする力の大きさ等を比較的容易に調整することができるから、冷蔵庫の全体構成を変更したとしても、その変更に対応させる上で有利になる。ゆえに、部品共通化を図り、製造コストを削減する上で有利になる。
特に、前記従来構成に係るヒンジ装置は、湾入部内のフック部と湾入部とが擦れ合っている最中にしか扉部を自閉させることができないから、扉部が自閉を開始する開度を調整するには不都合である。一方で、この第1の発明では、押圧機構がスライド部を常時押圧しているから、扉部が閉位置から開いた後もローラ部とローラガイド面との間の接触を保持することが可能となり、それにより、扉部が自閉を開始する開度を調整する上で有利になる。
また、前記特許文献1のように鈎状のフック部を湾入部に係合させる従来構成では、扉部の相対移動を許容するために、フック部の変形量を増大させるのではなく、湾入部を比較的深く凹設することが考えられてきた。しかし、この第1の発明では、スライド部をスライドさせることで、そうした相対移動を許容することができるから、ローラガイド面の形状を従来構成よりも凹凸が比較的浅くなるように構成することができる。したがって、ローラガイド面の形態の自由度を高めることが可能となり、扉部が自閉を開始する開度を調整する上で一層有利になる。また、使用者がローラガイド面に接触したときの凹凸感を低減する上でも有利になる。
第2の発明は、前記第1の発明において、前記押圧機構は、前記ローラ部が前記ローラガイド面に向かうように、前記スライド部を付勢する付勢部材を有する、ことを特徴とするものである。
この第2の発明では、付勢部材による付勢を利用することで、スライド部を押圧するようにしたから、前記のような効果を奏するのに適した押圧機構を得ることができる。つまり、付勢部材を用いることで、押圧機構ひいては自閉機構をより簡素に構成することができるようになり、製造バラツキ、不良率及び各種管理費等を低減して、製造コストを削減することができる。
また、付勢部材を用いることで、樹脂の弾性変形を用いる場合と比較して、強度を低下させたり、操作感を悪化させたりすることなく、自閉の強さを増大させる上で有利になる。
なお、ここでいう“自閉の強さ”は、扉部を自閉させる力(自閉力)の大きさと、そうした自閉力に伴うトルクとを含む。
こうした付勢部材としては、例えば、圧縮コイルばね又は引張コイルばねとしてもよい。この場合、圧縮コイルばね又は引張コイルばねの圧縮又は伸長に伴う復元力を自閉に利用することで、自閉の強さを調整する上で有利になると共に、製造コストをさらに削減することができる。
第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明において、前記ローラ部の厚みは、前記ローラガイド面の厚み以下に形成される、ことを特徴とするものである。
この第3の発明では、ローラ部の厚みをローラガイド面の厚み以下に形成したから、扉部が移動しながら回動するときに、ローラ部とローラガイド面との間の接触を安定して保持する上で有利になる。
第4の発明は、前記第1の発明から第3の発明のいずれか1つにおいて、前記自閉機構は、前記扉部の下部に取り付けられた支持部を有し、前記支持部は、前記スライド部を前記扉部が回動する回転軸に対して垂直な方向にスライド可能に支持する、ことを特徴とするものである。
この第4の発明では、スライド部を直接扉部に取り付けるのではなく、支持部を介して支持するように構成したから、スライド部の配置を調整する上で有利になる。支持部の取付位置を調整することで、ローラガイド面の形態に応じてローラ部の当該ローラガイド面に対する相対位置を調整することができるから、自閉機構を構成する各部品の共通化を図り、製造コストを削減する上で有利になる。
また、近年、冷蔵庫においては、大容量化を図る上で、庫本体の上下寸法を長く取ることなく、庫内において上下に並ぶ各貯蔵室の容積を増大させようとする要求がある。通常、各貯蔵室は、それぞれ、庫本体の前面に開口した開口部に連通しているため、各貯蔵室の容積を増大させるべく、各貯蔵室ひいては各貯蔵室に係る開口部の上下寸法を長く取った場合、各開口部を開閉する扉部間の上下の間隔が狭まることになる。一方で、本発明に係る扉部は、ヒンジ機構によって上下から支持されており、下ヒンジ機構付近にはさらに自閉機構が設けられているから、前記のような要求を満足するには、ヒンジ機構及び自閉機構を配設するスペースを確保することと、扉部間の上下の間隔を狭めることとを両立させることが求められる。
この第4の発明によると、スライド部が扉部の回転軸に対して垂直な方向にスライドするように支持したから、回転軸に対して平行な方向にスライドする場合、つまり、スライド部が上下にスライドする場合と比較して、スライド部と扉部上面又は扉部下面との間の干渉を防止する上で有利になる。ゆえに、扉部間の上下の間隔を狭め、ひいては冷蔵庫の大容量化を図る上で有利になる。
第5の発明は、前記第4の発明において、前記支持部は、前記扉部の下部に対向する側面と前記ローラガイド面に対向する側面とが開放された箱状に形成され、前記扉部の下部には、前記スライド部と前記押圧機構との少なくとも一部を収容可能な埋込部が凹設され、前記支持部と前記埋込部とが、前記スライド部と前記押圧機構とを収容する収容空間を形成する、ことを特徴とするものである。
この第5の発明によると、扉部の下部に設けた埋込部に、スライド部及び押圧機構の一部を収容させるようにしたから、スライド部及び押圧機構を収容させた分だけ、扉部間の上下の間隔を狭めることが可能となり、ひいては冷蔵庫の大容量化を図る上で有利になる。
さらに、扉部の下部に対向する一側面が開放するように形成されているから、部品点数の削減を図ったり、スライド部又は押圧機構の交換を図ったりする上で有利になる。
また、スライド部は、扉部の回転軸に対して垂直な方向にスライドするよう支持されているから、スライド部が回転軸に対して平行な方向にスライドする場合、つまり、スライド部が上下にスライドする場合と比較して、埋込部を上下に浅く凹設することができる。通常、扉部の上面又は下面に凹設した場合、その深さ次第では、埋込部付近の断熱性能が低下してしまい、埋込部内が結露してしまう虞がある、と考えられている。しかしながら、この第5の発明によると、埋込部を上下に浅く設けることができるから、浅く設けた分だけ、埋込部内の結露を防止する上で有利になる。
第6の発明は、前記第4の発明において、前記支持部は、前記ローラガイド面に対向する側面が開放された箱状に形成されると共に、前記スライド部と前記押圧機構とを収容する収容空間を形成し、前記扉部の下部には、前記支持部の少なくとも一部が嵌入される嵌入部が凹設される、ことを特徴とするものである。
この第6の発明によると、扉部の下部に設けた嵌入部に、スライド部及び押圧機構を収容した支持部を嵌入させるようにしたから、支持部を嵌入させた分だけ、扉部間の上下の間隔を狭めることが可能となり、ひいては冷蔵庫の大容量化を図る上で有利になる。
また、スライド部は、扉部の回転軸に対して垂直な方向にスライドするよう支持されているから、スライド部が平行な方向にスライドする場合、つまり、スライド部が上下にスライドする場合と比較して、嵌入部を上下に浅く凹設することができる。したがって、前記第5の発明と同様に、嵌入部を浅く設けた分だけ、嵌入部内の結露を防止する上で有利になる。
第7の発明は、前記第1の発明から第3の発明のいずれか1つにおいて、前記扉側部材は、前記扉部に対して上下に相対移動可能に設けられ、前記スライド部は、前記上下のヒンジ機構のうち前記扉部を下から支持する下ヒンジ機構の扉側部材と当該扉部との間に介在して設けられ、前記押圧機構は、前記スライド部と前記扉側部材又は前記扉部とにそれぞれ設けられた、互いに摺接する一対の傾斜面から成る傾斜カム機構を有し、前記一対の傾斜面は、互いに摺動することによって前記スライド部をスライドさせるように構成され、前記傾斜カム機構は、前記扉部の自重を前記一対の傾斜面が互いに摺動するように作用させることによって、前記スライド部を前記ローラ部が前記ローラガイド面に向かうように押圧するよう構成される、ことを特徴とするものである。
なお、ここでいう“扉部の自重”は、扉部自体の重さであってもよいし、扉部自体の重さと扉部に収容された被収容物の重さとの和であってもよい。
この第7の発明によると、扉部の自重を利用してスライド部を押圧するようにしたから、扉部の本体側部材に対する相対位置に拘らず、スライド部を常時押圧することができる。したがって、前記押圧機構に適用する上で有利な構成が得られる。
また、前述のように、近年、冷蔵庫においては、大容量化を図ろうとする要求がある。そうした要求を満足するには、扉部の後面側に被収容物を収容したり、貯蔵室の容積を増大させたりする等の方策が考えられる。前者の方策においては、収容した被収容物の重さ分だけ、扉部の自重が増大することになる。一方で、後者の方策においても、貯蔵室の容積を増大させた分だけ、当該貯蔵室に連通する開口部、ひいては当該開口部を開閉する扉部の寸法が大きく取られることになって、扉部自体の重さが増大することになる。
この場合、扉部を閉位置に保持したり自閉させたりする上で、扉部の自重が増大した分だけ、押圧機構による押圧の強さを増大させることが好ましい。
そこで、この第7の発明によると、扉部の自重を一対の傾斜面が互いに摺動するように作用させるから、扉部の自重が増大するにつれて、そうした作用の大きさを増大させることができる。さらに、この傾斜カム機構は、一対の傾斜面が互いに摺動することによりスライド部をスライドさせるように構成されているから、扉部の自重が増大するにつれて、スライド部をスライドさせようとする押圧の強さを増大させることができる。したがって、冷蔵庫の大容量化を図る上で有利な構成が得られる。
また、扉部の自重を利用した傾斜カム機構と、前記第2の発明に係る付勢部材とを併せて適用することによって、押圧機構による押圧の強さを、扉部の自重に応じて適切に増減させる上で有利になる。
第8の発明は、前記第7の発明において、前記傾斜カム機構は、互いに異なる2箇所以上に設けられる、ことを特徴とするものである。
この第8の発明によると、複数の傾斜カム機構を互いに異なる箇所に設けることで、扉部の自重を各傾斜面に分散させることができるから、スライド部を安定して支持したり、各傾斜カム機構の強度及び耐久性を向上させたりする上で有利になる。
第9の発明は、前記第7の発明又は前記第8の発明において、前記扉側部材は、前記スライド部を前記扉部が回動する回転軸に対して垂直な方向にスライド可能に収容する、ことを特徴とするものである。
この第9の発明によると、スライド部が扉部の回転軸に対して垂直な方向にスライドするように支持したから、スライド部が上下にスライドする場合と比較すると、前記第4の発明と同様に、スライド部と扉部上面又は扉部下面との間の干渉を防止する上で有利になる。ゆえに、扉部間の上下の間隔を狭め、ひいては冷蔵庫の大容量化を図る上で有利になる。
第10の発明は、前記第9の発明において、前記扉部の下部には、前記自閉機構の少なくとも一部が収容される収容部が凹設される、ことを特徴とするものである。
この第10の発明によると、扉部の下部に設けた埋込部に、自閉機構の少なくとも一部を収容させるようにしたから、埋込部に収容させた分だけ、扉部間の上下の間隔を狭めることが可能となり、ひいては冷蔵庫の大容量化を図る上で有利になる。
また、スライド部は、扉部の回転軸に対して垂直な方向にスライドするよう支持されているから、スライド部が上下にスライドする場合と比較すると、前記第5の発明及び前記第6の発明と同様に、埋込部を上下に浅く設けることができるようになり、ひいては埋込部内の結露を防止する上で有利になる。
以上説明したように、本発明では、扉部に対しスライド可能に支持したスライド部を常時押圧し、この押圧によりスライド部をスライドさせることで、スライド部に設けたローラ部を本体側部材に設けたローラガイド面に接触させるようにしたから、扉部の相対移動を許容する上で有利になると共に、強度や耐久性を損なうことなく、扉部を自閉させることができる。
図1は、第1の実施形態に係る冷蔵庫を前側且つ右側から見た斜視図である。 図2は、同実施形態のヒンジ装置の主要構成を示す分解斜視図である。 図3は、同実施形態の自閉機構を示す斜視図である。 図4は、同実施形態の自閉機構を構成するローラユニットを示す斜視図である。 図5は、同実施形態のローラユニットを冷蔵庫に取り付けた状態を破断して示す斜視図である。 図6は、同実施形態のヒンジ機構及び自閉機構の作動説明図であり、扉部の回動角度=0度の閉位置を示す平面図である。 図7は、扉部の回動角度=10度の開閉途中の位置を示す図6相当図である。 図8は、扉部の回動角度=40度の開閉途中の位置を示す図6相当図である。 図9は、前記ローラユニットの変形例に係る図4相当図である。 図10は、前記変形例に係る図5相当図である。 図11(a)は、前記実施形態のローラガイド面と閉位置にあるローラ部とを示す平面図であり、図11(b)は、同実施形態のローラガイド面の変形例と閉位置にあるローラ部とを示す平面図である。 図6の囲み部を拡大して示す説明図である。 図7の囲み部を拡大して示す説明図である。 図14は、ヒンジピン付勢部材によるヒンジピンの付勢を簡略的に示す説明図である。 図15は、第2の実施形態に係る冷蔵庫を前側且つ右側から見た斜視図である。 図16は、同実施形態のヒンジ装置の主要構成を部分的に分解して示す斜視図である。 図17は、同実施形態の自閉機構の要部を左方且つ上方から見て示す分解斜視図である。 図18は、同実施形態の自閉機構の要部を右方且つ下方から見て示す図17相当図である。 図19は、同実施形態の自閉機構の要部を前方から見て示す図17相当図である。 図20(a)及び図20(b)は、同実施形態のヒンジ機構及び自閉機構の作動説明図であり、それぞれ、扉部の回動角度=0度の閉位置を下方から見て示す平面図、及び、同位置における傾斜カム機構を示すX−X断面図である。 図21(a)及び図21(b)は、それぞれ、扉部の回動角度=第1角度の開閉途中の位置における、図20(a)及び図20(b)相当図である。 図22(a)及び図22(b)は、それぞれ、扉部の回動角度=第1角度の位置よりも扉部がさらに開いた扉部の回動角度=第2角度の開閉途中の位置における、図20(a)及び図20(b)相当図である。 図23は、同実施形態のローラガイド面と閉位置にあるローラ部とを示す図11(a)相当図である。 図24は、図21(a)の囲み部を拡大して示す説明図である。 図25は、同実施形態の変形例を一部省略して示す説明図である。 図26(a)は、同実施形態の自閉機構を前側から見た状態を簡略的に示す平面図であり、図26(b)は、同実施形態の別の変形例に係る図26(a)相当図である。
<第1の実施形態>
以下、冷蔵庫のヒンジ装置の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示にすぎない。以下で説明する第1の実施形態は、請求項1から請求項5に係るものであり、図1から図8、及び図11から図14に示されている。
(第1の実施形態に係る冷蔵庫の全体構成)
初めに、この実施形態に係る冷蔵庫100の全体構成について説明する。
前記冷蔵庫100は、図1に示すように、前面の上部に第1開口部(開口部)112を有する庫本体101と、前記第1開口部112を開閉する2枚の扉部102と、前記扉部102を上下から支持するヒンジ装置103と、を備えている。
なお、以下の説明における前後、左右、及び上下とは、特段の記載がない限り、それぞれ、扉部102が第1開口部112を閉塞する閉位置D1にあるとき(図1及び図6参照)の、冷蔵庫100についての前後、左右、及び上下と同じである。
前記庫本体101は、上下方向に延びる縦長で略直方体状の外形を有していて、その内部には、各々が略直方体状の形状を有する第1貯蔵室(貯蔵室)111、第2貯蔵室(不図示)及び第3貯蔵室(不図示)が内壁部によって区画されている。第1貯蔵室111、第2貯蔵室及び第3貯蔵室は、それぞれ、庫本体101前面の上部から下部にかけて一列に並ぶように開口した矩形状の第1開口部112、第2開口部(不図示)及び第3開口部(不図示)に連通されていて、各貯蔵室に連通した開口部を介して、被収容物を室内に貯蔵することができる。
以下、単に“貯蔵室”と記載した場合、前記第1貯蔵室111を意味するものとする。同様に、単に“開口部”と記載した場合、前記第1開口部112を意味するものとする。
前記扉部102は、開口部112を左右両側から開閉する左扉121及び右扉122から成る観音開き式のものである。そして、左右両扉121,122において、それらを閉じたときに庫本体101に対向する後面には、扉部102が開口部112を閉塞する閉位置D1にあるときに、開口部112の周縁部と密着する裏面側ガスケット(不図示)が設けられている。また、この閉位置D1において、左右両扉121,122の互いに向かい合う側面、つまり、戸先側の側面には、前記裏面側ガスケットとは別に、相互に密着する一対の戸先側ガスケット(不図示)が設けられている。裏面側ガスケット内には、紐状に形成されたマグネット(不図示)が挿し入れられていて、扉部102が閉位置D1にあるとき、庫本体101の前面側に配設した金属板(不図示)がこのマグネットを吸着するようになっている。
前記扉部102の後面には、前記裏面側ガスケットよりも内側に位置し、扉部102が閉位置D1にあるときに、開口部112を介して貯蔵室111内に嵌入されるドアポケット形成部(不図示)が形成されている。このドアポケット形成部は、扉部102の後面側に不図示の収容スペースを形成していて、その内部(貯蔵室111内)に被収容物を貯蔵することができる。
この冷蔵庫100は、貯蔵室111内に貯蔵された被収容物を冷却することによって、該被収容物を冷蔵したり、冷凍したり等する。
なお、前記第2貯蔵室及び第3貯蔵室には、上段側引出扉部102a及び下段側引出扉部102bがそれぞれ設けられており、前後にスライドすることによって、それぞれ、第2開口部及び第3開口部を開閉するようになっている。左右両扉121,122と、上段側引出扉部102aとがいずれも閉位置D1にあるとき、左右両扉121,122の下面と、上段側引出扉部102aの上面とが対向することになる。
また、前記ヒンジ装置103は、前記扉部102を、閉位置D1と、開口部112を開放する開放位置(不図示)との間で開閉するように支持するものである。なお、開放位置とは、各扉121,122が前記閉位置D1から所定の開度まで開いた位置である。図1に示すように、ヒンジ装置103は、左扉121の上下左端部、及び、右扉122の上下右端部に設けられている。
なお、ここでいう“開度”とは、各扉121,122が閉位置D1から開いた度合いを示している。また、以下の記載において、“回動角度”とは、開度の大きさを示す指標であり、各扉121,122の後面と庫本体101の前面とが成す角度に相当する。
前記ヒンジ装置103は、左右両扉121,122の下部に設けられた、扉部102を下から支持する下ヒンジ機構H2と、左右両扉121,122の上部に設けられ、扉部102を上から支持する上ヒンジ機構H1と、左右両扉121,122の下部において下ヒンジ機構H2よりも戸先側に設けられ、左右両扉121,122をそれぞれ閉位置D1に保持したり、閉位置D1に自閉させたりする自閉機構Iと、を備えている。
なお、ここでいう“戸先方向”とは、右扉122の右端部、又は、左扉121の左端部から、各扉122,121の戸先に向かう方向を意味するものであり、扉部102が閉位置D1にあるときには、左方(右扉122の戸先側)又は右方(左扉121の戸先側)と同じである。また、戸先から左右端部に向かう方向を、以下では“ヒンジ方向”と記載する。
前記上ヒンジ機構H1及び下ヒンジ機構H2は、右扉122と左扉121とで同一構成である。これらは、図2に示すように、それぞれ、扉部102に設けられる扉側部材104と、庫本体101に取り付けられ、該扉側部材104を介して扉部102を相対移動可能に且つ相対回動可能に支持する本体側部材105と、扉部102が開閉するときの動作を案内するガイド機構Gとを有している。
(第1の実施形態に係るヒンジ機構の構成)
以下では、右扉122を下から支持する下ヒンジ機構H2の構成について説明する。以下の説明では、“下ヒンジ機構H2”を単に“ヒンジ機構H“と記載することがある。
また、以下の説明では、右扉122は、特段の記載がない限りは、閉位置D1にあるものとする。
前記扉側部材104は、図2等に示すように、略矩形平板状に形成されていて、右扉122の右端部に凹設した嵌入部に嵌入された状態で固定されている。
扉側部材104の下面右側前端の角部付近には、右方に向かって前方に向かうように延びる長穴141が凹設されている一方、当該下面左側後端の角部付近には、略円柱状のガイドピン142が下方に向けて突設されている。
前記長穴141は、右方且つ前方に向けて延びる2本の平行線の両端を、それぞれ半円で連結した長円状に形成されていて、上方に向けて凹設されている。
前記本体側部材105は、庫本体101に固定されるヒンジ取付部151と、扉側部材104を下から支持するヒンジ板本体152と、を有していて、ヒンジ取付部151に設けたネジ穴を介して、庫本体101前面にネジ止めされて固定されている。
前記ヒンジ板本体152は、ヒンジ取付部151から略水平面に沿って前方に延びる略矩形平板状に形成されていて、その上面の右側前端の角部付近には、略円柱状のヒンジピン153が上方に向けて突設されている。また、前記ヒンジ板本体152の上面の左側には、当該上面の後部から前方に向かって長溝状に延びるガイド溝154が凹設されている。
前記ヒンジピン153は、長穴141に挿入可能に形成されていて、長穴141に挿入させた状態では、この長穴141に対して相対回動させることができる。また、ヒンジピン153は、長穴141に挿入させた状態では、長穴141の長手方向の両端部のうち、右側且つ前側の一端部(閉動側端部)141aと、左側且つ後側の他端部(開動側端部)141bとの間を相対移動可能に構成されている。さらに、ヒンジピン153を長穴141に挿入させることで、ヒンジ板本体152の上面の少なくとも一部と右扉122の下面とが接触することになる。
この構成により、扉側部材104ひいては右扉122は、本体側部材105に対して、ヒンジピン153の中心C1を回転軸として回動可能(図6の矢印A2参照)に且つ、長穴141の長手方向に移動可能(図6の矢印A1参照)に支持されている。図6に示すように、右扉122が閉位置D1にあるとき、ヒンジピン153は、閉動側端部141aに当接した状態にある。
この実施形態では、長穴141内には、図14に概略的に示すように、長穴141内に挿入させたヒンジピン153を、開動側端部141bに向けて付勢するヒンジピン付勢部材143が設けられている。
この場合、長穴141の閉動側端部141a付近の内壁部には、長穴141の長手方向に沿って略円柱状に延びるヒンジピン付勢部材用収容空間141cが穿設されている。そして、圧縮コイルばねとして構成されたヒンジピン付勢部材143は、当該ヒンジピン付勢部材用収容空間141cの内底面とヒンジピン153の一側面との間に縮装されており、長穴141内に挿入されたヒンジピン153を、開動側端部141bに向けて付勢する(図14の矢印A5参照)。
一方、前記ガイド溝154は、ヒンジ板本体152の上面左側に凹設されている。このガイド溝154は、当該上面の後部に設けた一端部(ガイド溝端部)154aから略前方に向かって延設されていて、他端側はヒンジ板本体152の前面に開放されている。
このガイド溝154は、前記ガイド溝端部154aからヒンジ板本体152上面の前後略中央部付近まで延びる第1ガイド溝154bと、この第1ガイド溝154bの前端から略前方に向かって延設され、ヒンジ板本体152前面の開放口まで延びる第2ガイド溝154cと、から成る一体的な長溝部として形成されている。第1ガイド溝154b及び第2ガイド溝154cは、それぞれ、互いに異なる箇所を中心とした略円弧状に湾曲形成されている。具体的に、第1ガイド溝154bに係る円弧の中心C2(不図示)は、ヒンジピン153の中心C1よりも後方且つ右方に位置しており、その一方で、第2ガイド溝154cは、ヒンジピン153の中心C1を中心とした略円弧状に形成されている。
ガイド溝154は、前記ガイドピン142を嵌挿可能に構成されていて、ガイドピン142を嵌挿させた状態では、図6、図7及び図8に示すように、嵌挿させたガイドピン142を第1ガイド溝154b及び第2ガイド溝154cに沿って移動させることができる。また、この状態では、図6に示すように、右扉122が閉位置D1にあるとき、ガイドピン142は、前記ガイド溝端部154aに前方から当接した状態にある。
前記ガイドピン142及び前記ガイド溝154は、前記右扉122が閉位置D1から開くときに、当該右扉122が移動しながら回動するように案内するガイド機構Gを構成している。
前述の構成は、右扉122を上から支持する上ヒンジ機構H1についても同様である。つまり、上ヒンジ機構H1については、基本的には、各部の構成を上下に反転させればよい。
しかしながら、上ヒンジ機構H1とは異なり、下ヒンジ機構H2を構成するヒンジ板本体152の側部には、さらに、図11(a)に示すようなローラガイド面155が形成されている。
すなわち、ローラガイド面155は、ヒンジ板本体152の左側部(左側面)から前側部(前面)、及び右側部(右側面)にかけて形成されている。このローラガイド面155は、ヒンジ板本体152左側面の後端部から前後略中央部まで平面状に延び且つ、左側面の前後略中央部から前方に向かうにつれて、左方に向けて湾曲するように曲面状に延びる係止面155aと、この係止面155aに連続し、左側面の前後略中央部付近から略前方に向かって延びる自閉面155bと、この自閉面155bに連続し、ヒンジ板本体152左側面の前部付近から前方に向かうにつれて紙面時計回り方向に湾曲して略円弧状に延びる回動ガイド面155cと、ヒンジ板本体152の前面及び右側面を構成する伸長許容面155dとを有している。各面は順次連続していて、ヒンジ板本体152の左側面から前側面を経由して右側面まで延びる一体的な曲面を構成している。
そして、右扉122が閉位置D1にあるとき、及び、閉位置D1から開くときの下ヒンジ機構H2の作動について説明すると、右扉122が閉位置D1にあるとき、前述のように、ヒンジピン153及びガイドピン142は、それぞれ、長穴141の閉動側端部141a及びガイド溝154のガイド溝端部154aに位置することになる。
ヒンジピン153は、開動側端部141bに向かって付勢されているものの、自閉機構Iの作用によって閉動側端部141aに当接した状態を保持することになる。
この閉位置D1にある右扉122が閉位置D1から開くとき、この実施形態に係るガイド機構Gは、図6及び図7に示すように、ガイドピン142が第1ガイド溝154bに沿って移動することで、ヒンジピン153を閉動側端部141aから開動側端部141bに向けて相対移動(図7の矢印A3参照)させながら且つ、ヒンジピン153を長穴141に対して相対回動(図7の矢印A4参照)させるよう案内する。この案内によって、扉側部材104は、本体側部材105に対して右方且つ前方に移動しながら、右扉122の下方から見て時計回り方向に回動することになり、右扉122全体は、庫本体101に対して、ヒンジピンの中心C1よりも後方且つ右方に設けた中心C2を中心とした略円弧状の軌道を描くように開くことになる。
前記ガイド機構Gは、図7に示すように、ガイドピン142が第1ガイド溝154bに沿った移動を終えた前後、つまり、ガイドピン142が第1ガイド溝154bの前側の一端部と第2ガイド溝154cの後側の一端部とが連続する境界部付近まで移動したときに、ヒンジピン153の開動側端部141bまでの移動を完了させるように構成されている。
右扉122がさらに開くと、ガイド機構Gは、図7及び図8に示すように、ガイドピン142が第2ガイド溝154cに沿って移動することで、ヒンジピン153を開動側端部141bに当接させた状態を保持しつつ、このヒンジピン153を長穴141に対して相対回動(図7及び図8の矢印A4参照)させるよう案内する。この案内によって、右扉122は、庫本体101に対して、ヒンジピンの中心C1を中心とした略円弧状の軌道を描くように開くことになる。また、図7及び図8に示す状態では、ヒンジピン153は、ヒンジピン付勢部材143による付勢によって、開動側端部141bに当接した状態を保持することになる。
前述の作動は、右扉122を上から支持する上ヒンジ機構H1についても同様である。したがって、前記上下のヒンジ機構H1,H2は、双方とも、右扉122が閉位置D1から開くとき、右扉122の開動、つまり、右扉122が開放位置に向かって開く開き動作に伴って、扉側部材104が本体側部材105に対して移動しながら回動するように構成されることになる。
(第1の実施形態に係る自閉機構の構成)
以下では、前記自閉機構Iの構成について説明する。この自閉機構Iは、左右で同一構成であるため、ここでは、右扉122の下部に設けられる一方のみを説明する。
前記自閉機構Iは、図2に示すように、前記ローラガイド面155と、右扉122の下面に取り付けられるローラユニット109とを含む。
前記ローラユニット109は、合成樹脂から形成された、支持部としての樹脂ケース106と、この樹脂ケース106に対してスライド可能に支持されると共に、そのスライドにより前記ローラガイド面155に対して接離可能となる軸支部171を有するスライド部107と、この軸支部171に回転可能に取り付けられたローラ部172と、軸支部171とローラ部172とが前記ローラガイド面155に向かう方向に、前記スライド部107を常時押圧する押圧機構Pとを有している。
前記樹脂ケース106は、図3、図4及び図6等に示すように、略矩形薄箱状に形成されていて、右扉122下面に対し、該樹脂ケース106の上面と右扉122下面とが対向し且つ、その長手方向と右扉122下面の長手方向とが略平行になるような姿勢で取り付けられている。
また、樹脂ケース106は、図2及び図6等に示すように、前記本体側部材105及び前記ローラガイド面155よりも戸先側に取り付けられていて、右扉122が回動したり移動したりするときに、その長手方向一側面を、ヒンジ側、ひいてはローラガイド面155に向けた姿勢を保持しながら、右扉122と一体的に回動したり移動したりするように構成されている。
樹脂ケース106は、右扉122下面に対向する上面と、ローラガイド面155に対向する長手方向一側面とが、それぞれ開放されている。そして、上面側の開放部の周縁には、長手方向に沿って外向きフランジ状に延びる鍔部161が設けられており、樹脂ケース106は、この鍔部161に設けた複数のネジ穴を介して、右扉122下面にネジ止めされて固定されている。一方で、長手方向一側面側の開放部には、略矩形状の開口を形成する開放端部163が設けられている。
樹脂ケース106内には、スライド部107の下部と、押圧機構Pの下部とを収容するケース側収容部162が形成されている。
前記ケース側収容部162は、樹脂ケース106の長手方向に沿ってヒンジ側に向かって延びる長溝状に形成されていて、樹脂ケース106内の空間と前記開放端部163が形成する開口とを連通させている。
ケース側収容部162は、戸先側の一端から順に、半円筒状に形成されたケース側ばね収容部162aと、矩形溝状に形成されていて、ケース側ばね収容部162aよりも前後方向(樹脂ケース106の短手方向)の寸法が長く取られたスライド許容部162bと、前記開放端部163まで続く矩形長溝状に形成されていて、スライド許容部162bよりも前後方向の寸法が短く取られ且つ前記開放端部163に接続されたスライド案内部162cと、を有している。
一方で、右扉122下面には、前記ケース側収容部162とは別に、埋込部としての扉側収容部123が、前記スライド部107の上側の一部と、押圧機構Pの上側の一部とを埋め込んで収容するように凹設されている。
この扉側収容部123は、右扉122下面の長手方向に延びる長溝状に形成されていて、扉側部材104よりも戸先側に凹設されている。扉側収容部123は、戸先側の一端から順に、半円筒状の扉側ばね収容部123aと、矩形溝状の扉側スライド部収容部123bと、を有している。
樹脂ケース106を右扉122下面に取り付けた状態では、図5に示すように、前記ケース側収容部162の各部の内壁部と、扉側収容部123の各部の内壁部とによって、押圧機構P及びスライド部107を収容する一体の収容空間Sが形成されている。前記スライド部107及び前記押圧機構Pは、この収容空間S内に収容されている。
スライド部107は、図3及び図4等に示すように、略矩形長板状に形成されていて、スライド案内部162cの内壁部に沿って摺動可能に形成されている。スライド部107の基端部には、基端側に開口する円筒状のばね挿入部173が一体に形成されていて、このばね挿入部173の開口周縁には、外向きフランジ状の抜止部174が形成されている。抜止部174は、前記スライド許容部162bの内壁部に沿って摺動可能に形成されている。したがって、スライド部107は、抜止部174により抜け止めされた状態で、樹脂ケース106の長手方向に沿ってヒンジ側又は戸先側に向かうようにスライド可能となる。
具体的に、スライド部107は、ヒンジ側に向かう方向、すなわち、開放端部163から突出する方向にスライドした突出位置と、戸先側に向かう方向、すなわち、当該開放端部163から没入する方向にスライドした没入位置との間でスライド可能である。
また、前記スライド部107は、ヒンジピンの中心C1が延びる方向、すなわち右扉122の回転軸に対して垂直な方向にスライドするように構成されている。
前記スライド部107の先端部には、軸支部171が形成されている。この軸支部171は、前記開放端部163から突出していて、その先端には、合成樹脂から形成されたローラ部172が上下方向の軸心で相対回転可能に取り付けられている。図5に示すように、このローラ部172の厚みT1は、ローラガイド面155の厚みT2以下に形成されている。
ローラ部172は、スライド部107が突出位置に向かう方向にスライドしたときには、前記ローラガイド面155に接近する方向に移動する一方、没入位置に向かう方向にスライドしたときには、ローラガイド面155から離れる方向に移動するよう構成されている。
前記押圧機構Pは、この実施形態では、付勢部材としての圧縮コイルばね108から構成されている。この圧縮コイルばね108は、図5に示すように、ケース側ばね収容部162aの基端側(戸先側)の内底面とばね挿入部173の内底面との間に縮装されており、その復元力(付勢力)Fsによって、スライド部107が突出位置に向けてスライドするよう常時付勢(押圧)している。これにより、前記ローラ部172も、スライド部107への付勢を介して、ローラガイド面155に向かう方向(図6等参照)に常時付勢されることになる。
(第1の実施形態に係る自閉機構の作動)
以下では、右扉122が閉位置D1にあるとき、及び、閉位置D1から開くときの、前記自閉機構Iの作動について説明する。左扉121についても同様である。
自閉機構Iは、右扉122が閉位置D1にあるとき、図6(回動角度=0度)に示すように、スライド部107を、突出位置と没入位置との間の中間位置に位置させている。このとき、前記圧縮コイルばね108は、スライド部107が突出位置にあるときよりも比較的圧縮した状態で且つ、没入位置にあるときよりも比較的伸長した状態にある。スライド部107は、圧縮コイルばね108により付勢されて、ローラ部172を係止面155a前側の湾曲部に当接させた状態に保持されている。
前述のように、自閉機構Iは、右扉122が閉位置D1にあるとき、ヒンジピン付勢部材143による付勢に逆らって、ヒンジピン153を閉動側端部141aに当接させた状態を保持する。
下ヒンジ機構H2は、右扉122が閉位置D1から開くとき、前述のように、扉側部材104を、本体側部材105に対して右方且つ前方に移動させながら、右扉122の下方から見て時計回り方向に回動させるように構成されている。
このとき、自閉機構Iは、図7(回動角度=10度)に示すように、ローラ部172を、係止面155aから自閉面155bに転動させて、この自閉面155bに沿って前記時計回り方向に転動させると共に、ローラユニット109を、右扉122と一体的に、右方且つ前方に向かって移動させながら前記時計回り方向に回動させる。自閉面155bは略前方に向かって延びており、ローラユニット109が右方に移動した分、及び、時計回り方向に回動した分だけ、樹脂ケース106の開放端部163と自閉面155bとが接近するものの、自閉機構Iは、この接近した自閉面155bによってローラ部172を押圧(図7の矢印B2参照)させて、スライド部107を前記中間位置から没入位置に向けてスライドさせることで、そうした接近を許容する。
また、スライド部107は、突出位置に向けて常時付勢されているから、この自閉機構Iは、スライド部107を没入位置に向けてスライドさせたとしても、過度にスライドさせることなく、ローラ部172と自閉面155bとが接触した状態を保持する。したがって、ローラ部172は、右扉122が閉位置D1から開くときには、自閉面255bに沿って略前方に転動することになる。
また、右扉122を閉位置D1から開くためには、圧縮コイルばね108による付勢に逆らう方向(抗する方向)にスライド部107をスライドさせる必要がある。したがって、こうした付勢のない構成と比較すると、スライド部107をスライドさせるのに必要な仕事(力学的仕事)の分だけ、右扉122を閉位置D1から開くのに必要な仕事が増大する。
また、前記のような形状を有する自閉面155bに対して略左方(戸先側)から当接するローラ部172は、右扉122が閉位置D1から開くとき、ローラユニット109が(右扉122の下方から見て)時計回り方向に回動することにより、右方且つ後方に向けて付勢されることになる。したがって、図6及び図7の仮破線の囲み部をそれぞれ拡大した図12及び図13に示すように、圧縮コイルばね108による付勢力Fsのうち、自閉面155bに対して垂直な方向に作用する成分F1は、ローラ部172を略右方に向けて付勢する一方、自閉面155bに対して平行な方向に作用する成分F2は、自閉面155bが延びる方向に沿ってローラ部172を略後方に向けて付勢することになる。前者の成分F1は、ローラ部172を介してローラガイド面155を押圧するのに寄与する一方、後者の成分F2は、ローラ部172を介して、ローラユニット109ひいては右扉122を、当該右扉122の下方から見て反時計回り方向に回動させるのに寄与する。したがって、後者の成分F2は、右扉122を閉位置D1に向けて案内する自閉力として作用することになり、これにより右扉122を自閉させる。つまり、この自閉力F2、及び、自閉力F2に伴うトルクは、右扉122を閉位置D1に引き込むように作用して、右扉122を自動的に閉動させる。
自閉機構Iは、右扉122がそうした自閉に逆らって図7の状態からさらに開くとき、ローラ部172を自閉面155bから回動ガイド面155cに転動させる。回動ガイド面155cは、右扉122が開いていくにつれて、開放端部163から徐々に離隔していくように形成されているものの、自閉機構Iは、圧縮コイルばね108による付勢力Fsを利用してスライド部107を前記没入位置から突出位置に向けてスライドさせることで、そうした離隔を許容してローラ部172と回動ガイド面155cとが接触した状態を保持する。ローラ部172を回動ガイド面155cに沿って転動させることにより、右扉122の開動が案内される。
自閉機構Iは、前記の状態から右扉122がさらに開いてローラ部172が回動ガイド面155cを通過したときには、図8(回動角度=40度)に示すように、ローラ部172を回動ガイド面155cから続く伸長許容面155dから離隔させる。自閉機構Iは、ローラ部172を伸長許容面155dに向けた姿勢を保持しつつ、スライド部107を突出位置にスライドさせた状態で(図8の矢印B3参照)開放位置まで回動することになる。
これに対し、右扉122が閉位置D1に向けて閉じる場合も同様である。この場合、右扉122が所定の開放位置から閉じることによって、ローラ部172は、回動ガイド面155c及び自閉面155bを順次転動することになる。この場合、自閉機構Iは、ローラ部172が回動ガイド面155cに沿って転動するときには、圧縮コイルばね108による付勢力Fsに逆らって、スライド部107を突出位置から没入位置に向かうように比較的緩やかにスライドさせる。自閉機構Iは、ローラ部172が自閉面155bから係止面155aにかけての領域に沿って転動するときには、前記付勢力Fsによって、スライド部107を没入位置から突出位置に向かうようにスライドさせると共に、右扉122を閉位置D1に引き込む自閉力F2を作用させて右扉122を自閉させる。このとき、自閉機構Iは、ローラ部172が自閉面155bから係止面155aに転動する際には、係止面155a前側に設けた湾曲部の寸法及び曲率に応じて、前記付勢力Fsによってスライド部107を中間位置まで比較的速やかにスライドさせてローラ部172を係止面155aに当接させることによって、右扉122の自閉を完了させる。
以上の構成は、左扉121に係る下ヒンジ機構H2及び自閉機構Iについても同様である。
以上説明したように、前記ヒンジ装置103は、扉部102が庫本体101に対して移動しながら回動するときに、スライド部107をスライドさせることで、ローラ部172とローラガイド面155との間の接触を保持することができるから、扉部102の相対移動を許容する上で有利になると共に、合成樹脂の過度の弾性変形に伴う、折損、及び、塑性的な変形という問題は根本的に解決されることになる。
しかも、扉部102が閉位置D1にあるときには、ローラ部172をローラガイド面155に当接させる一方、扉部102が閉位置D1から開くときには、このローラ部172をローラガイド面155に沿って転動させるようにしたから、開閉時の局部摩耗を低減して耐久性を向上させると共に、摺動抵抗を低減することにより操作感を向上させることもできる。
また、ローラガイド面155の自閉面155bは、扉部102が閉位置D1から開くときには、押圧機構Pによる押圧に逆らう方向、つまり、圧縮コイルばね108による付勢力Fsに逆らう方向にスライド部107をスライドさせるように構成されているため、こうしたスライドをさせるのに必要な仕事の分だけ、扉部102を閉位置D1に保持する上で有利になる。
また、押圧機構Pがスライド部107を介してローラ部172を押圧する力のうち、つまり、圧縮コイルばね108がスライド部107を介してローラ部172を付勢する付勢力Fsのうち、自閉面155bに対して平行な方向に作用する成分F2は、扉部102を閉位置D1に向けて案内するように作用するから、この成分F2を利用して、扉部102を自閉させることができる。
また、圧縮コイルばね108による付勢力Fs、スライド部107の配置、スライド部107が移動可能な距離、及び、ローラガイド面155の形態等を調整することで、強度の低下という問題を招くことなく、扉部102を閉位置D1から開くのに必要な仕事、扉部102を閉位置D1に向けて案内する自閉の強さ(自閉力F2の大きさ、及び、該自閉力F2に伴うトルク)等を、冷蔵庫100の全体構成に応じて、比較的容易に調整することができる。ゆえに、部品共通化を図り、製造コストを削減する上で有利になる。
また、この実施形態では、押圧機構Pがスライド部107を常時押圧しているから、扉部102が閉位置D1から開いた後もローラ部172とローラガイド面155との間の接触を保持することが可能となり、それにより、扉部102が自閉を開始する回動角度を調整する上で有利になる。
また、フック部を湾入部に係合させる従来構成では、扉部102の相対移動を許容するために、フック部の変形量を増大させるのではなく、湾入部を比較的深く凹設することが考えられてきた。しかし、前記実施形態では、スライド部107をスライドさせることで、そうした相対移動を許容することができるから、スライド部107が接触することになるローラガイド面155の形状を、従来構成よりも凹凸が比較的浅くなるように構成することができる。したがって、ローラガイド面155の形態の自由度を高めることが可能となり、扉部102が自閉を開始する回動角度を調整する上で一層有利になる。また、使用者がローラガイド面155に接触したときの凹凸感を低減する上でも有利となる。
また、このローラガイド面155は、自閉面155bと伸長許容面155dとの間に回動ガイド面155cを有している。扉部102を自閉させるためには、突出位置までスライドさせたスライド部107を、一旦、没入位置に向かうようスライドさせる必要があるものの、ローラ部172が回動ガイド面155cを転動することによって、そうしたスライドを比較的緩やかに行うことができる。そのことで、そうしたスライドに伴う圧縮コイルばね108の伸長及び圧縮も比較的緩やかに行うことができるから、扉部102を開閉するときの操作感を向上させる上で有利になる。
押圧機構Pを圧縮コイルばね108から構成することで、樹脂の弾性変形を用いる場合と比較して、押圧機構Pひいては自閉機構Iをより簡素に構成することができるようになるから、製造バラツキ、不良率及び各種管理費等を低減して、製造コストを削減することができる。
また、圧縮コイルばね108を用いることで、樹脂の弾性変形を用いる場合と比較して、強度を低下させたり、操作感を悪化させたりすることなく、自閉の強さを増大させる上で有利になる。具体的に、圧縮コイルばね108の復元力の大きさは、伸縮したときの変形量に比例するから、例えば、図6に示す構成において、樹脂ケース106の取付位置をローラガイド面155に接近させるだけで、自閉の強さを増大させることができる。また、圧縮コイルばね108のばね係数を調整してもよい。このように、圧縮コイルばね108の復元力を自閉に利用することで、自閉の強さを調整する上で有利となり且つ、製造コストを削減する上でも有利になる。
また、ローラ部172の厚みT1を、ローラガイド面155の厚みT2以下に形成したから、扉部102が移動しながら回動するときに、上ヒンジ機構H1と下ヒンジ機構H2とで、長穴141に対するヒンジピン153の相対位置が互いにずれてしまい右扉122が前後左右に傾いてしまったとしても、ローラ部172とローラガイド面155との間の接触を安定して保持する上で有利になる。
また、スライド部107を、扉部102の下面に取り付けた樹脂ケース106に対して支持するようにしたから、スライド部107の配置を調整する上で有利になる。樹脂ケース106の取付位置を調整することで、ローラガイド面155の形態に応じてローラ部172の相対位置を調整することができるから、自閉機構Iを構成する各部品の共通化を図り、製造コストを削減する上で有利になる。
また、スライド部107が扉部102の回転軸に対して垂直な方向にスライドするように支持したから、回転軸に対して平行な方向にスライドする場合、つまり、スライド部107が上下にスライドする場合と比較して、スライド部107と、扉部102の下面又は上段側引出扉部102aの上面との間の干渉を防止する上で有利になる。ゆえに、扉部102の下面と上段側引出扉部102aの上面との間の間隔を狭め、ひいては冷蔵庫100の大容量化を図る上で有利になる。
また、扉部102の下面に凹設した扉側収容部123の内壁部と、樹脂ケース106に設けたケース側収容部162の内壁部とで収容空間Sを形成するようにしたから、スライド部107の上側の一部と、押圧機構Pを構成する圧縮コイルばね108の上側の一部とを、扉側収容部123に収容させることができる。したがって、スライド部107及び圧縮コイルばね108を収容させた分だけ、扉部102の下面と、上段側引出扉部102aの上面との間の間隔を狭めることができるようになるから、冷蔵庫100の大容量化を図る上で有利になる。
さらに、扉部102の下面に対向する上面を開放させているから、部品点数の削減を図ったり、スライド部107又は圧縮コイルばね108の交換を図ったりする上で有利になる。
また、スライド部107は、右扉122の回転軸に対して垂直な方向にスライドするよう支持されているから、スライド部107が回転軸に対して平行な方向にスライドする場合、つまり、スライド部107が上下にスライドする場合と比較して、扉側収容部123を上下に浅く凹設することができる。ゆえに、扉側収容部123を上下に浅く設けた分だけ、扉側収容部123内の結露を防止する上で有利になる。
(ローラユニットの変形例)
以下、ローラユニット109の変形例について説明する。以下で説明する変形例は、請求項1から請求項4、及び請求項6に係るものであり、図9及び図10に示されている。以下では、前記実施形態に係るローラユニット109との間の差異と、その差異により奏する効果について説明する。
前記実施形態では、右扉122の下面に凹設した扉側収容部123の内壁部と、樹脂ケース106に設けたケース側収容部162の内壁部とで、収容空間Sを形成するように構成したが、この構成に代えて、図9に示すように、樹脂ケース106を箱状に形成してもよい。この樹脂ケース106は、矩形薄箱状に形成されていて、前記実施形態と同様に、長手方向のヒンジ側の一側面、具体的には、ローラガイド面155に対向する一側面には開放端部163を設けた一方で、前記実施形態とは異なり、右扉122の下面に対向する一側には樹脂ケース106に一体的な上面部164が設けられている。樹脂ケース106は、スライド部107と圧縮コイルばね108とを収容可能な収容空間Sを形成するように構成されていて、右扉122の下面には、前述の実施形態における扉側収容部123に代えて、樹脂ケース106の上部を嵌入可能な嵌入部としてのケース嵌入部124が形成されている。したがって、この樹脂ケース106をケース嵌入部124に嵌入させて固定した状態では、図10に示すように、樹脂ケース106内に収容されたスライド部107の上部と圧縮コイルばね108の上部とが、それぞれ、ケース嵌入部124内に埋め込まれることになる。
このように、扉部102の下面に凹設したケース嵌入部124に、スライド部107及び圧縮コイルばね108を収容した樹脂ケース106を嵌入させるようにしたから、樹脂ケース106を嵌入させた分だけ、扉部102の下面と上段側引出扉部102aの上面との間の間隔を狭めることができる。したがって、冷蔵庫100の大容量化を図る上で有利になる。
また、スライド部107は、右扉122の回転軸に対して垂直な方向にスライドするよう支持されているから、スライド部107が回転軸に対して平行な方向にスライドする場合、つまり、スライド部107が上下にスライドする場合と比較して、ケース嵌入部124を上下に浅く凹設することができる。ゆえに、ケース嵌入部124を上下に浅く設けた分だけ、ケース嵌入部124内の結露を防止する上で有利になる。
(第1の実施形態に係るその他の変形例)
なお、樹脂ケース106の形態については、前記のものに限定されない。ケース嵌入部124又は扉側収容部123を設ける構成についても必須ではない。
ヒンジ機構Hの構成についても前記のものに限定されない。例えば、本体側部材105に長穴を設ける一方で、扉側部材104にヒンジピンを設けてもよい。また、長穴141とヒンジピン153とを設ける構成に代えて、扉側部材104の回転軸(前記実施形態におけるヒンジピンに相当する部材)を、本体側部材105に対して揺動可能に支持するようにしてもよい(所謂リンク式ヒンジ機構)。その場合、扉側部材104は、その回転軸まわりで回動可能になる一方、回転軸そのものを揺動させることにより、本体側部材105に対して移動可能にもなる。
ガイド機構Gの構成についても、前記のものに限定されない。扉部102が閉位置D1から開くときに、扉部102を左右乃至前後に移動させながら回動させるように構成されたものであればよい。
また、前述の実施形態では、ヒンジピン153を開動側端部141bに向けて付勢するようにしたが、この構成に限定されない、例えば、前記ガイド機構Gとは別に、右扉122が所定以上に開いたときに、ヒンジピン153を開動側端部141bに当接させた状態を保持するようなガイド機構を設けてもよい、そうした、ガイド機構を成すガイドピン及びガイド溝の構成についても、可能な範囲で選択することができる。
ローラガイド面155の構成についても、前記のものに限定されない。例えば、前記伸長許容面155dに代えて、ヒンジピン153の中心C1を中心として円弧状に延びる曲面を設けてもよい。そうすることで、閉位置D1から開放位置に至るまで、ローラ部172を常時転動させることができる。また、自閉面155bの曲率を変更したり、前方に向かって延設したりすることにより、図6等に示す形態よりも、扉部102が自閉を開始する回動角度を大きくすることもできる。
ローラガイド面155の変形例としては、例えば、図11(b)に示すように、係止面155aと自閉面155bとを滑らかに連続させてもよい。また、係止面155aは必須ではない。
押圧機構Pの構成についても、前記のものに限定されない。この実施形態では、圧縮コイルばね108を用いて構成したが、これに代えて又はこれに加えて、引張コイルばねを用いて構成することもできる。
<第2の実施形態>
以下、冷蔵庫のヒンジ装置の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示にすぎない。以下で説明する第2の実施形態は、請求項1から請求項3、及び、請求項7から請求項9に係るものであり、図15から図24と、図26(a)とに示されている。
(第2の実施形態に係る冷蔵庫の全体構成)
この実施形態に係る冷蔵庫200の要部の構成を説明する。
この冷蔵庫200は、前述の第1の実施形態と同様に、前面の上部に第1開口部(開口部)212を有する庫本体201と、前記第1開口部212を開閉する2枚の扉部202と、前記扉部202を上下から支持するヒンジ装置203と、を備えている。
なお、以下の説明における前後、左右、及び上下とは、第1の実施形態と同様に、特段の記載がない限り、それぞれ、扉部202が第1開口部212を閉塞する閉位置D2にあるとき(図15及び図20(a)等に示す状態)の、冷蔵庫200についての前後、左右、及び上下と同じである。
前記庫本体201は、第1の実施形態に係る庫本体101と同様に、上下方向に延びる縦長で略直方体状の外形を有していて、その内部には、各々が略直方体状の形状を有する第1貯蔵室(貯蔵室)211、第2貯蔵室(不図示)及び第3貯蔵室(不図示)が内壁部によって区画されている。第1貯蔵室211、第2貯蔵室及び第3貯蔵室は、それぞれ、庫本体201前面の上部から下部にかけて一列に並ぶように開口した矩形状の第1開口部212、第2開口部(不図示)及び第3開口部(不図示)に連通されていて、各貯蔵室に連通した開口部を介して、被収容物を室内に貯蔵することができる。
以下、単に“貯蔵室”と記載した場合、前記第1貯蔵室211を意味するものとする。同様に、単に“開口部”と記載した場合、前記第1開口部212を意味するものとする。
前記扉部202は、第1の実施形態に係る扉部102と同様に、開口部212を左右両側から開閉する左扉221及び右扉222から成る観音開き式のものである。そして、左右両扉221,222において、それらを閉じたときに庫本体201に対向する後面には、扉部202が開口部212を閉塞する閉位置D2にあるときに、開口部212の周縁部と密着する裏面側ガスケット(不図示)が設けられている。また、この閉位置D2において、左右両扉221,222の互いに向かい合う側面、つまり、戸先側の側面には、前記裏面側ガスケットとは別に、相互に密着する一対の戸先側ガスケット(不図示)が設けられている。裏面側ガスケット内には、紐状に形成されたマグネット(不図示)が挿し入れられていて、扉部202が閉位置D2にあるとき、庫本体201の前面側に配設した金属板(不図示)がこのマグネットを吸着するようになっている。
前記扉部202の後面には、前記裏面側ガスケットよりも内側に位置し、扉部202が閉位置D2にあるときに、開口部212を介して貯蔵室211内に嵌入されるドアポケット形成部(不図示)が形成されている。このドアポケット形成部は、扉部202の後面側に不図示の収容スペースを形成していて、その内部(貯蔵室211内)に被収容物を貯蔵することができる。
この冷蔵庫200は、貯蔵室211内に貯蔵された被収容物を冷却することによって、該被収容物を冷蔵したり、冷凍したり等する。
なお、前記第2貯蔵室及び第3貯蔵室には、上段側引出扉部202a及び下段側引出扉部202bがそれぞれ設けられており、前後にスライドすることによって、それぞれ、第2開口部及び第3開口部を開閉するようになっている。左右両扉221,222と、上段側引出扉部202aとがいずれも閉位置D2にあるとき、左右両扉221,222の下面と、上段側引出扉部202aの上面とが対向することになる。
また、“戸先方向”及び“ヒンジ方向”の定義についても、第1の実施形態と同じである。つまり、“戸先方向”とは、右扉222の右端部、又は、左扉221の左端部から、各扉222,221の戸先に向かう方向を意味するものであり、扉部202が閉位置D2にあるときには、左方(右扉222の戸先に向かう方向)又は右方(左扉221の戸先に向かう方向)と同じである。そして、“ヒンジ方向”とは、戸先から左右端部に向かう方向を意味するものであり、扉部202が閉位置D2にあるときには、右方(右扉222の右端部に向かう方向)又は左方(左扉221の左端部に向かう方向)と同じである。
前記ヒンジ装置203は、第1の実施形態に係るヒンジ装置103と同様に、前記扉部202を、閉位置D2と、開口部212を開放する開放位置(不図示)との間で開閉するように支持するものである。なお、開放位置とは、各扉221,222が前記閉位置D2から所定の開度まで開いた位置である。図15に示すように、ヒンジ装置203は、左扉221の上下左端部、及び、右扉222の上下右端部に設けられている。
なお、ここでいう“開度”とは、第1の実施形態と同様に、各扉221,222が閉位置D2から開いた度合いを示している。“回動角度”の定義についても、第1の実施形態と同様であり、各扉221,222の後面と庫本体201の前面とが成す角度に相当する。
前記ヒンジ装置203は、第1の実施形態に係るヒンジ装置103と同様に、左右両扉221,222の下部に設けられた、扉部202を下から支持する下ヒンジ機構J2と、左右両扉221,222の上部に設けられ、扉部202を上から支持する上ヒンジ機構J1と、左右両扉221,222の下部に設けられ、左右両扉221,222をそれぞれ閉位置D2に保持したり、閉位置D2に自閉させたりする自閉機構Kと、を備えている。
前記上ヒンジ機構J1及び下ヒンジ機構J2は、右扉222と左扉221とで同一構成である。これらは、図16から図19等に示すように、それぞれ、扉部202に設けられる扉側部材204と、庫本体201に取り付けられ、該扉側部材204を介して扉部202を相対移動可能に且つ相対回動可能に支持する本体側部材205と、扉部202が開閉するときの動作を案内する不図示のガイド機構とを有している。
(第2の実施形態に係るヒンジ機構の構成)
以下では、右扉222を下から支持する下ヒンジ機構J2の構成について説明する。以下の説明では、“下ヒンジ機構J2”を単に“ヒンジ機構J“と記載することがある。
また、以下の説明では、右扉222は、特段の記載がない限りは、閉位置D2にあるものとする。つまり、その状態では、“戸先方向”及び“ヒンジ方向”は、それぞれ、左方及び右方と同じである。
前記扉側部材204は、図16に示すように、略矩形状の外形を有しており、右扉222の右端部下面に固定される挟持部材225を介して右扉222に設けられている。
扉側部材204の上面右端の前後略中央部付近には、略円柱状のヒンジ側挿通ピン244aが上方に向けて突設されている一方で、当該上面左端の前後略中央部付近には、略円柱状に形成され且つ前記ヒンジ側挿通ピン244aよりも小径の戸先側挿通ピン244bが上方に向けて突設されている。
前記挟持部材225は、左右に延びる略矩形薄板状に形成されていて、その右端の前後略中央部付近と、その左端の前後略中央部付近とには、それぞれ、前記ヒンジ側挿通ピン244aを挿通可能なヒンジ側第1挿通孔225aと、戸先側挿通ピン244bを挿通可能な戸先側第1挿通孔225bとが穿設されている。この挟持部材225は、図26(a)に示すように、その上面225dを右扉222下面に接触させた状態でネジ止めされて固定されている。
また、右扉222下面には、略円柱状に穿設された不図示の穴部が2箇所にわたって設けられており、それらは、挟持部材225を固定した状態では、それぞれ、ヒンジ側第1挿通孔225a及び戸先側第1挿通孔225bに連続している。
前記ヒンジ側挿通ピン244a及び前記戸先側挿通ピン244bを、それぞれ、前記ヒンジ側第1挿通孔225a及び前記戸先側第1挿通孔225bを介して右扉222下面の前記各穴部に挿入させた状態では、扉側部材204は、各挿通ピン244a,244bが延びる上下方向に沿って、右扉222に対して上下に相対移動可能となる。
一方で、前記本体側部材205は、庫本体201に固定されるヒンジ取付部251と、扉側部材204を下から支持するヒンジ板本体252と、を有しており、ヒンジ取付部251に設けたネジ穴を介して、庫本体201前面にネジ止めされて固定されている。
前記本体側部材205の構成の詳細、及び、本体側部材205による扉側部材204の支持構造の詳細については省略するが、基本的には、第1の実施形態と同様に、扉側部材204ひいては右扉222は、本体側部材205に対して、ヒンジ側挿通ピン244a付近に設けられたヒンジピン(不図示)の中心C3を回転軸として回動可能(図20(a)の矢印A7参照)に且つ、略前後方向に移動可能(図20(b)の矢印A6参照)に支持されている(特願2014−166133号参照)。
そして、右扉222が閉位置D2にあるとき、及び、閉位置D2から開くときの下ヒンジ機構J2の作動について説明する。
右扉222は、閉位置D2にあるとき、前記開口部212の周縁部に前側から接触した状態にある。
詳細については省略するが、第2の実施形態に係るガイド機構は、第1の実施形態に係るガイド機構Gと同様に、右扉222が閉位置D2から開くとき、本体側部材205に対する扉側部材204の相対移動及び相対回動を案内するように構成されている(特願2014−166133号参照)。この案内によって、扉側部材204は、図20(a)及び図21(a)に示すように、本体側部材205に対して右方且つ前方に移動(図21(a)の矢印A8参照)しながら、右扉222の下方から見て時計回り方向に回動(図21(a)の矢印A9参照)することになり、そのことで、右扉222全体は、庫本体201に対して、前記ヒンジピンの中心C3よりも後方且つ右方に設けた不図示の中心C4を中心とした略円弧状の軌道を描くように開くことになる。
そして、第2の実施形態に係るガイド機構は、右扉222が所定の回動角度まで開いたときに、扉側部材204の右方且つ前方への移動を完了させるように構成されている。
右扉222がさらに開くと、第2の実施形態に係るガイド機構は、第1の実施形態に係るガイド機構Gと同様に、本体側部材205に対して扉側部材204を相対回動(図21(a)及び図22(a)の矢印A9参照)させるよう案内する。この案内によって、右扉222は、図21(a)及び図22(a)に示すように、庫本体201に対して、前記ヒンジピンの中心C3を中心とした略円弧状の軌道を描くように開くことになる。
前述の構成及び作動は、右扉222を上から支持する上ヒンジ機構J1についても同様である。つまり、上ヒンジ機構J1については、基本的には、各部の構成及び作動を上下に反転させればよい。したがって、前記上下のヒンジ機構J1,J2は、双方とも、右扉222が閉位置D2から開くとき、右扉222の開動、つまり、右扉222が開放位置に向かって開く開き動作に伴って、扉側部材204が本体側部材205に対して移動しながら回動するように構成されることになる。そして各ヒンジ機構J1,J2に係る扉側部材204は、双方とも、右扉222に対して上下に相対移動可能に設けられている。この実施形態に係る扉側部材204は、本体側部材205に対して上下に移動不能に支持されており、それにより、扉部202が扉側部材204に対して上下に移動することになる。
しかしながら、下ヒンジ機構J2のヒンジ板本体252は、上ヒンジ機構J1のヒンジ板本体252とは異なる構成を有している。
具体的に、下ヒンジ機構J2を構成するヒンジ板本体252の側部には、上ヒンジ機構J1とは異なり、図23に示すようなローラガイド面255が形成されている。
すなわち、ローラガイド面255は、ヒンジ板本体252の左側部(左側面)から前側部(前面)、及び右側部(右側面)にかけて形成されている。このローラガイド面255は、ヒンジ板本体252左側面の前後略中央部から前部付近まで平面状に延び且つ、当該左側面の前後略中央部から前方に向かうにつれて、右方に向かう方向に緩やかに傾斜して平坦に延びる自閉面255bと、この自閉面255bの前端に連続し、左側面の前部付近から前端部まで平面状に延び且つ、当該左側面の前部付近から前方に向かうにつれて、前記自閉面255bよりも右方に向かうように急峻に傾斜して延びる回動ガイド面255cと、ヒンジ板本体252の前面及び右側面を構成する伸長許容面255dとを有している。各面は順次連続していて、ヒンジ板本体252の左側面から前側面を経由して右側面まで延びる一体的な面を構成している。
また、下ヒンジ機構J2の扉側部材204及び挟持部材225も、上ヒンジ機構J1の扉側部材204及び挟持部材225とは異なる構成を有している。
具体的に、下ヒンジ機構J2の扉側部材204は、上ヒンジ機構J1の扉側部材204とは異なり、図17及び図18に示すように、戸先側の一側面と上面の略中央部とが開放された矩形薄箱状に形成されており、前記自閉機構Kのスライド部207をスライド可能に収容している。下ヒンジ機構J2の扉側部材204は、収容したスライド部207に設けた第1上向傾斜面276a及び第2上向傾斜面277aを、下ヒンジ機構J2の扉側部材204に設けた各開放部から、それぞれ略上方に面するように突出させている。
また、下ヒンジ機構J2の挟持部材225には、上ヒンジ機構J1の挟持部材225とは異なり、第1下向傾斜面226aと第2下向傾斜面227aとがそれぞれ略下方に面するように設けられている。そして、下ヒンジ機構J2が右扉222を支持した状態では、下ヒンジ機構J2の扉側部材204から突出した第1上向傾斜面276aと第2上向傾斜面277aとが、それぞれ、第1下向傾斜面226aと第2下向傾斜面227aとに摺接している。
(第2の実施形態に係る自閉機構の構成)
以下では、第2の実施形態に係る自閉機構Kの構成について説明する。この自閉機構Kは、左右で同一構成であるため、ここでは、右扉222の下部に設けられる一方のみを説明する。また、以下の説明では、下ヒンジ機構J2の扉側部材204、及び、下ヒンジ機構J2の挟持部材225を、それぞれ、“扉側部材204”、及び、“挟持部材225”と記載することがある。
第2の実施形態に係る自閉機構Kは、図17から図19に示すように、右扉222の下部に設けられており、前記ローラガイド面255と、扉側部材204に収容され右扉222に対してスライド可能に支持されるスライド部207と、スライド部207に回転可能に取り付けられ、スライド部207のスライドによりローラガイド面255に対して接離するように移動可能なローラ部272と、ローラ部272がローラガイド面255に向かうように、スライド部207を常時押圧する押圧機構Qとを有している。
扉側部材204は、下面及び側面を構成する支持板部244と、上面を構成する上板部245とを有しており、前述のように、戸先側の一側面と上面の略中央部とが開放された薄箱状に形成されている。
前記支持板部244は、ヒンジ側から戸先側に向かって延びる矩形厚板状に形成されており、その上面には、当該上面の長手方向(図17における左右方向であり、ヒンジ方向又は戸先方向と同じである)に沿って略長溝状に延びるスライド案内溝246が凹設されている。
また、支持板部244の上面右端の前後略中央部付近、及び、当該上面左端の前後略中央部付近には、それぞれ、前記ヒンジ側挿通ピン244a及び前記戸先側挿通ピン244bが上方に向かって一体的に突設されている。
前記スライド案内溝246は、支持板部244上面の右端部付近に設けた一端部から戸先側に向かって延設されており、他端側は支持板部244の戸先側の一側面を開放する開放端部246cまで延びている。
また、スライド案内溝246は、支持板部244の長手方向に沿って延びる略矩形長溝状に形成されていて、その長手方向略中央部には、当該スライド案内溝246の側壁を外方(スライド案内溝246の短手方向、図17における前後方向と同じである)に向かって凹陥させた一対のスライド許容溝246aが設けられている。スライド許容溝246aは、それぞれ、略矩形溝状に形成されている。
上板部245は、矩形薄板状に形成されており、上板部245右端の前後略中央部付近には、ヒンジ側挿通ピン244aを挿通可能なヒンジ側第2挿通孔245aが穿設されている一方、上板部245左端の前後略中央部付近には、戸先側挿通ピン244bを挿通可能な戸先側第2挿通孔245bが穿設されている。また、上板部245の略中央部には、略矩形状に開放形成された傾斜カム案内孔245cが穿設されている。この傾斜カム案内孔245cが、扉側部材204の上面を開放している。
前記スライド案内溝246は、前記スライド部207を嵌入可能に形成されており、上板部245の下面とスライド案内溝246の内壁部とによって、扉側部材204内には、前記スライド部207を収容可能な空間が形成されている。
前記スライド部207は、図17から図19に示すように、ヒンジ側から戸先側に向かって延びる略矩形平板状に形成されており、そのヒンジ側の一端の前後略中央部付近には、前記ヒンジ側挿通ピン244aを挿通可能な切欠き207aが穿設されている一方、スライド部207の戸先側の略中央部には、前記戸先側挿通ピン244bを挿通可能な戸先側第3挿通孔207bが穿設されている。
切欠き207aは、スライド案内溝246の長手方向に沿って延設されており、スライド部207の右側部を開放する半長円状に形成されている。この切欠き207aは、ヒンジ側挿通ピン244aがスライド案内溝246の長手方向に相対移動可能に挿通されるよう形成されている。
戸先側第3挿通孔207bは、スライド案内溝246の長手方向に延びる長円状に形成されており、戸先側挿通ピン244bが当該長手方向に相対移動可能に挿通されるよう形成されている。
また、スライド部207の前後両側部は、スライド案内溝246の前後側壁部に沿って摺動可能に形成されており、各側部の左右略中央部付近には、略矩形状の抜止部275がそれぞれ外向きに一体的に突設されている。各抜止部275は、スライド許容溝246aの側壁部に沿って摺動可能に形成されている。
この実施形態では、切欠き207a及び戸先側第3挿通孔207bをそれぞれヒンジ側挿通ピン244a及び戸先側挿通ピン244bに挿通させた上で、さらに、スライド部207下面とスライド案内溝246上面とを当接させることによって、スライド部207がスライド案内溝246に嵌入されることになる。
また、スライド部207上面の略中央部には、第2上向カム部277が上方に向かって突設されている。この第2上向カム部277には、図17及び図19に示すように、略斜め上方に面する第2上向傾斜面277aと、上方に面する位置止面277bと、が設けられている。
具体的に、第2上向カム部277は、図17に示すように、スライド部207上面の略中央部において前後方向に延設されており、図19に示すように、前側から見て上方に突出した略台形状の断面を有している。この第2上向カム部277には、スライド部207上面の略中央部付近から連続し、戸先側からヒンジ側に向かうにつれて上方に向かうように傾斜した第2上向傾斜面277aと、第2上向傾斜面277aの上端部から連続し、戸先側からヒンジ側に向かうにつれて、挟持部材225の上面に対して平行に延びる位置止面277bと、が設けられている。第2上向傾斜面277a及び位置止面277bは、それぞれ、戸先側及び右扉222下部、並びに、右扉222下部に面した平面状に形成されている。
第2上向カム部277は、上板部245に穿設された前記傾斜カム案内孔245cに挿通可能に形成されており、第2上向カム部277を傾斜カム案内孔245cに挿通させた状態では、第2上向カム部277は、スライド案内溝246の長手方向に移動可能になるよう構成されている。
さらに、スライド部207の先端部付近の部分、つまり、スライド部207の戸先側の一端部付近の部分には、第1上向カム部276が設けられている。この第1上向カム部276には、図17及び図19に示すように、略斜め上方に面する第1上向傾斜面276aが設けられている。
具体的に、第1上向カム部276は、図17に示すように、スライド部207の戸先側の一端部付近において前後方向に延設されており、図19に示すように、前側から見て戸先側に突出した略台形状の断面を有している。この第1上向カム部276には、戸先側及び右扉222下部に面した平面状で、ヒンジ側から戸先側に向かうにつれて下方に向かうように傾斜した第1上向傾斜面276aが設けられている。
なお、第1上向傾斜面276a及び第2上向傾斜面277aがスライド部207のスライド方向に対して成す角度は、互いに同一である。
この実施形態では、スライド部207をスライド案内溝246に嵌入した状態で、さらに、ヒンジ側第2挿通孔245a、戸先側第2挿通孔245b及び傾斜カム案内孔245cをそれぞれヒンジ側挿通ピン244a、戸先側挿通ピン244b及び第2上向カム部277に挿通させ、上板部245の下面を支持板部244の上面に固定することにより、スライド部207は、扉側部材204内に収容されることになる。
スライド部207は、扉側部材204内に収容された状態では、抜止部275により抜け止めされた状態で、スライド案内溝246の長手方向に沿ってヒンジ側又は戸先側に向かうようにスライド可能に支持されることになる。
具体的に、スライド部207は、戸先側に向かう方向、すなわち、開放端部246cから突出する方向にスライドした突出位置と、ヒンジ側に向かう方向、すなわち、当該開放端部246cから没入する方向にスライドした没入位置との間でスライド可能である。
また、スライド部207のスライド方向は、前記ヒンジピンの中心C3が延びる方向に対して垂直な方向に、すなわち、右扉222の回転軸が延びる上下方向に対して垂直な方向になるように構成されている。
前記スライド部207の先端部は、図18及び図19に示すように、前記開放端部246cから突出した略断面L字状の板部として形成されている。具体的に、前記スライド部207は、前記第1上向カム部276付近から下方に延びた後に、ヒンジ側に向かって延びるように折り曲げられていて、その先端部には、前記ローラ部272を軸支可能な軸支部271が設けられている。そして、この軸支部271には、合成樹脂から形成されたローラ部272が上下方向の軸心で相対回転可能に取り付けられている。図20(b)に示すように、このローラ部272の厚みT3は、ローラガイド面255の厚みT4以下に形成されている。
また、スライド部207は、扉側部材204内に収容された状態では、右扉222が回動したり移動したりするときに、軸支部271を有する先端部を、ヒンジ側、ひいてはローラガイド面255に向けた姿勢を保持しながら、右扉222と一体的に回動したり移動したりするように構成されている。
ローラ部272は、スライド部207が突出位置に向かう方向にスライドしたときには、前記ローラガイド面255から離れる方向に移動する一方、没入位置に向かう方向にスライドしたときには、ローラガイド面255に接近する方向に移動するように、つまり、ローラガイド面255に向かうように構成されている。
また、スライド部207は、扉側部材204内に収容された状態では、図16及び図19に示すように、前記第1上向カム部276を、扉側部材204の開放端部246cから戸先側に向かって突出させている一方、前記第2上向カム部277を、扉側部材204の傾斜カム案内孔245cから上方に向かって突出させている。前述のように、下ヒンジ機構J2の挟持部材225は、下方に向けて突設された第1下向カム部226と第2下向カム部227とを有していて、下ヒンジ機構J2が右扉222を支持した状態では、第1上向カム部276と第2上向カム部277とが、それぞれ、これら第1下向カム部226と第2下向カム部227とに接触することになる。したがって、この状態では、扉側部材204の支持板部244の上面とスライド部207の下面とが接触する一方で、スライド部207と右扉222下面に固定された挟持部材225とが接触することになるため、スライド部207は、下ヒンジ機構J2の扉側部材204と、右扉222との間に介在して設けられていることになる。
具体的に、第1下向カム部226は、図18に示すように、挟持部材225の戸先側一端部の前後略中央部から戸先側に突設されている。この第1下向カム部226は、前後に延設されており、図19に示すように、前側から見て下方に突設された略直角三角形状の断面を有している。そして、第1下向カム部226には、略斜め下方に面し且つ、戸先側からヒンジ側に向かうにつれて上方に向かうように傾斜した第1下向傾斜面226aが形成されている。
一方で、第2下向カム部227は、図18に示すように、挟持部材225の略中央部付近に設けられている。この第2下向カム部227は、図18及び図19に示すように、挟持部材225に穿設された略矩形状の逃溝部225cと、前側から見て下方に突設された略直角三角形状の断面を有し、略斜め下方に面する第2下向傾斜面227aと、を有している。第2下向き傾斜面227aは、逃溝部225cの戸先側の開口縁部から連続し、ヒンジ側から戸先側に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。
なお、第1下向傾斜面226a及び第2下向傾斜面227aがスライド部207のスライド方向に対して成す角度は、双方とも、第1上向傾斜面276a及び第2上向傾斜面277aが当該方向に対して成す角度と同一である。以下では、こうした角度を単に“傾斜角度”と記載する。
そして、下ヒンジ機構J2が右扉222を支持した状態では、図20(b)等に示すように、第1下向傾斜面226a及び第1上向傾斜面276aと、第2下向傾斜面227a及び第2上向傾斜面277aとが、それぞれ互いに摺接することになる。したがって、この状態では、第1下向傾斜面226a及び第1上向傾斜面276aと、第2下向傾斜面227a及び第2上向傾斜面277aとが、双方とも一対の傾斜面を成し、それぞれ、第1傾斜カム機構Q1と第2傾斜カム機構Q2とを構成している。
第2の実施形態に係る前圧機構Qは、前記のように構成された第1傾斜カム機構Q1と第2傾斜カム機構Q2とを有しており、それぞれが第2の実施形態に係る傾斜カム機構を構成している。図19等に示すように、第1傾斜カム機構Q1は、スライド部207の戸先側端部付近の箇所に設けられている一方で、第2傾斜カム機構Q2は、第1傾斜カム機構Q1から離れた箇所、つまり、スライド部207の略中央部付近の箇所に設けられている。
第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2は、双方とも、右扉222の自重によって、スライド部207を、各傾斜カム機構Q1,Q2に係る一対の傾斜面が互いに摺動することによりローラ部272がローラガイド面255に向かうように押圧するよう構成されている。
以下、第1傾斜カム機構Q1の詳細について説明する。以下の説明は、第2傾斜カム機構Q2についても同様である。
第1下向傾斜面226a及び第1上向傾斜面276aは、互いに摺動することによって、右扉222が下降するにつれてスライド部207を没入位置に向かってスライドさせたり、スライド部207が突出位置に向かってスライドするにつれて挟持部材225ひいては右扉222を上昇させたり、するように構成されている。
具体的に、第1下向傾斜面226aを有する挟持部材225は、前述のように、右扉222下面に固定されているため、扉側部材204及びスライド部207に対して、右扉222と一体的に上下に移動することになる。一方で、第1上向傾斜面276aを有するスライド部207は、前述のように、ヒンジ側又は戸先側に向かってスライド可能に構成されている。また、第1下向傾斜面226aは下方且つヒンジ側に面するように傾斜している一方で、当該第1下向傾斜面226aに摺接する第1上向傾斜面276aは、上方且つ戸先側に面するように傾斜している。
したがって、前記第1傾斜カム機構Q1は、挟持部材225が図21(b)に示す状態から図20(b)に示す状態まで下降するときには、下降する第1下向傾斜面226aが第1上向傾斜面276aをヒンジ側に向かって摺動させることによって、スライド部207を、ヒンジ側に向かって、つまり、没入位置に向かって押し込むようにスライドさせる。
一方で、第1傾斜カム機構Q1は、スライド部207が図20(b)に示す状態から図21(b)に示す状態まで戸先側に向かってスライドしたとき、つまり、突出位置に向かってスライドするときには、戸先側に移動する第1上向傾斜面276aが第1下向傾斜面226aを上方に向かって摺動させることによって、挟持部材225ひいては右扉222を、上方に向かって押し出すように移動させる。
さらに、右扉222の自重は、当該右扉222及び挟持部材225を下降させるように常時作用しているため、第1上向傾斜面276aが第1下向傾斜面226aに対してヒンジ側に向かって摺動するように作用することになる。
したがって、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2は、右扉222の自重を第1上向傾斜面276aが第1下向傾斜面226aに対して摺動するように作用させることによって、スライド部207が没入位置に向かってスライドするように、つまり、ローラ部272がローラガイド面255に向かうように、スライド部207を常時押圧している。これにより、前記ローラ部272も、スライド部207への押圧を介して、ローラガイド面255に向かう方向に移動するよう常時押圧されることになる。
第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2が右扉222の自重によってスライド部207を押圧する力のうち、スライド部207のスライド方向に沿って作用する成分を、以下では、“押圧力”Fgと記載する。
この押圧力Fgの大きさは、右扉222の自重の大きさに比例して増大するものであり、この右扉222の自重は、右扉222自体の重さと、右扉222に設けた前記収容スペース内における被収容物の収容状況、及び、前記傾斜角度等に応じて増減する。
つまり、押圧力Fgは、右扉222全体の重量に基づいて作用するものであるから、基本的には、右扉222自体の重さが増大するにつれて、増大することになる。
また、右扉222の自重は、前記収容スペース内に収容された被収容物の重さの分だけ増大することになるから、押圧力Fgは、右扉222の自重が増大した分だけ、増大することになる。
なお、右扉222の寸法は、基本的には、開口部212の寸法が大きく取られるにつれて、大きく取られることになる。したがって、右扉222自体の重さは、開口部212の寸法が大きく取られるにつれて、増大することになる。
また、押圧力Fgは、前記傾斜角度が急峻になるにつれて、具体的には、当該傾斜角度が0度から90度未満の範囲内で増大するにつれて、増大することになる。
また、図21(b)及び図20(b)は、それぞれ、スライド部207が突出位置及び没入位置に位置した状態における自閉機構Kの断面を示している。スライド部207が突出位置にあるときには、図21(b)に示すように、位置止面277bは、挟持部材225の上面225dに対して下方に離れて位置しており、右扉222下面から離隔した状態にある。一方で、スライド部207が没入位置に位置するときには、位置止面277bは、挟持部材225の上面225dと略同一平面状に位置しており、逃溝部225cを介して右扉222下面に下方から当接した状態にある。挟持部材225は、右扉222下面と一体的に上下に移動するように構成されているため、当該挟持部材225が下降することによって、右扉222下面が位置止面277bに接近するように移動することになる。ゆえに、位置止面277bは、右扉222下面に当接した状態では、挟持部材225の下降を規制することになって、そのことで、スライド部207が没入位置からヒンジ側に向けて過度に没入することのないように位置止めすることになる。
(第2の実施形態に係る自閉機構の作動)
以下では、右扉222が閉位置D2にあるとき、及び、閉位置D2から開くときの、第2の実施形態に係る自閉機構Kの作動について説明する。左扉221についても同様である。
ローラ部272は、右扉222が閉位置D2にあるとき、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2により押圧されて、自閉面255bの後端部付近に戸先側(左方)から当接することになる。このとき、図20(a)(回動角度=0度)に示すように、スライド部207は、没入位置に位置している。前述のように、スライド部207が没入位置に位置するときには、位置止面277bが右扉222下面に下方から当接した状態にあるため、スライド部207は、過度に没入することなく、没入位置に保持されることになる。
下ヒンジ機構J2は、右扉222が閉位置D2から開くとき、前述のように、扉側部材204を、本体側部材205に対して右方且つ前方に移動させながら、右扉222の下方から見て時計回り方向に回動させるように構成されている。
このとき、自閉機構Kは、図21(a)(回動角度=第1角度)に示すように、ローラ部272を、自閉面255bに沿って前記時計回り方向に転動させると共に、スライド部207を、右扉222と一体的に、右方且つ前方に向かって移動させながら前記時計回り方向に回動させる。自閉面255bは略前方に向かって延びており、スライド部207が右方に移動した分、及び、時計回り方向に回動した分だけ、スライド部207の戸先側端部と自閉面255bとが接近するものの、自閉機構Kは、この接近した自閉面255bによってローラ部272を押圧(図21(a)の矢印B5参照)させて、スライド部207を没入位置から突出位置に向けてスライドさせることで、そうした接近を許容する。
また、スライド部207は、没入位置に向けて常時押圧されているから、この自閉機構Kは、スライド部207を突出位置に向けてスライドさせたとしても、過度に突出させることなく、ローラ部272と自閉面255bとが接触した状態を保持する。したがって、ローラ部272は、右扉222が閉位置D2から開くときには、自閉面255bに沿って略前方に転動することになる。
また、右扉222を閉位置D2から開くためには、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2による押圧に逆らう方向(抗する方向)にスライド部207をスライドさせる必要がある。したがって、こうした押圧のない構成と比較すると、スライド部207をスライドさせるのに必要な仕事(力学的仕事)の分だけ、右扉222を閉位置D2から開くのに必要な仕事が増大する。そうした仕事は、右扉222の自重が増大するにつれて、増大することになる。
このとき、右扉222は、スライド部207が突出位置に向かうようにスライドすることで、自重に逆らって上昇することになる。
このとき、スライド部207が突出位置に向かうようにスライドすることによって、右扉222は、自重に逆らって上昇することになる。
また、前記のような形状を有する自閉面255bに対して略左方(戸先側)から当接するローラ部272は、右扉222が閉位置D2から開くとき、スライド部207の戸先側端部が(右扉222の下方から見て)時計回り方向に回動することにより、右方且つ後方に向けて押圧されることになる。したがって、図21(a)の仮破線の囲み部を拡大した図24に示すように、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2による押圧力Fgのうち、自閉面255bに対して垂直な方向に作用する成分F3は、ローラ部272を略右方に向けて押圧する一方、自閉面255bに対して平行な方向に作用する成分F4は、自閉面155bが延びる方向に沿ってローラ部272を略後方に向けて押圧することになる。前者の成分F3は、ローラ部272を介してローラガイド面255を押圧するのに寄与する一方、後者の成分F4は、ローラ部272を介して、スライド部207ひいては右扉222を、当該右扉222の下方から見て反時計回り方向に回動させるのに寄与する。したがって、後者の成分F4は、右扉222を閉位置D2に向けて案内する自閉力として作用することになり、これによって右扉222を自閉させる。つまり、この自閉力F4、及び、自閉力F4に伴うトルクは、右扉222を閉位置D2に引き込むように作用して、右扉222を自動的に閉動させる。
自閉機構Kは、右扉222がそうした自閉に逆らって図21(a)の状態からさらに開くとき、ローラ部272を自閉面255bから回動ガイド面255cに転動させる。回動ガイド面255cは、右扉222が開いていくにつれて、スライド部207の戸先側端部から徐々に離隔していくように形成されているものの、自閉機構Kは、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2による押圧力Fgを利用してスライド部207を前記突出位置から没入位置に向かうようにスライドさせることで、そうした離隔を許容してローラ部272と回動ガイド面255cとが接触した状態を保持しようとする。ローラ部272は、回動ガイド面255cの後端部から前端部付近まで延びる所定の領域に沿って転動するように構成されており、当該転動によって、右扉222の開動が案内される。
このとき、スライド部207が没入位置に向かうようにスライドすることによって、右扉222は、自重に従って下降することになる。
自閉機構Kは、前記の状態から右扉222がさらに開いてローラ部272が前記所定の領域に沿った転動を終えたときには、図22(a)(回動角度=第2角度>第1角度)に示すように、ローラ部272を、回動ガイド面255cの前端部付近から前端部まで延びる残りの領域、及び、当該回動ガイド面255cから連続する伸長許容面255dから離隔させる。自閉機構Kは、ローラ部272を伸長許容面255dに向けた姿勢を保持しつつ、スライド部207を没入位置にスライドさせた状態で(図22(a)の矢印B6参照)開放位置まで回動することになる。
これに対し、右扉222が閉位置D2に向けて閉じる場合も同様である。この場合、右扉222が所定の開放位置から閉じることによって、ローラ部272は、回動ガイド面255c及び自閉面255bを順次転動することになる。この場合、自閉機構Kは、ローラ部272が回動ガイド面255cに沿って転動するときには、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2による押圧力Fgに逆らって、スライド部207を没入位置から突出位置に向かうように比較的緩やかにスライドさせる。自閉機構Kは、ローラ部272が自閉面255bに沿って転動するときには、前記押圧力Fgによって、スライド部207を突出位置から没入位置に向かうようにスライドさせると共に、右扉222を閉位置D2に引き込む自閉力F4を作用させて右扉222を自閉させる。
以上説明したように、第2の実施形態に係るヒンジ装置203は、第1の実施形態に係るヒンジ装置103と同様に、扉部202が庫本体201に対して移動しながら回動するときに、スライド部207をスライドさせることで、ローラ部272とローラガイド面255との間の接触を保持することができるから、扉部202の相対移動を許容する上で有利になると共に、合成樹脂の過度の弾性変形に伴う、折損、及び、塑性的な変形という問題は根本的に解決されることになる。
しかも、第1の実施形態と同様に、扉部202が閉位置D2にあるときには、ローラ部272をローラガイド面255に当接させる一方、扉部202が閉位置D2から開くときには、このローラ部272をローラガイド面255に沿って転動させるようにしたから、開閉時の局部摩耗を低減して耐久性を向上させると共に、摺動抵抗を低減することにより操作感を向上させることもできる。
また、第1の実施形態と同様に、ローラガイド面255の自閉面255bは、扉部202が閉位置D2から開くときには、押圧機構Qによる押圧に逆らう方向、つまり、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2による押圧に逆らう方向にスライド部207をスライドさせるように構成されているため、こうしたスライドをさせるのに必要な仕事の分だけ、扉部202を閉位置D2に保持する上で有利になる。
また、第1の実施形態と同様に、押圧機構Qがスライド部207を介してローラ部272を押圧する力のうち、つまり、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2がスライド部207を介してローラ部272を押圧する押圧力Fgのうち、自閉面255bに対して平行な方向に作用する成分F4は、扉部202を閉位置D2に向けて引き込むように作用するから、この成分F4を利用して、扉部202を自閉させることができる。
また、第1の実施形態と同様に、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2による押圧力Fg、スライド部207の配置、スライド部207が移動可能な距離、及び、ローラガイド面255の形態等を調整することで、強度の低下という問題を招くことなく、扉部202を閉位置D2から開くのに必要な仕事、扉部202を閉位置D2に引き込む自閉の強さ(自閉力F4の大きさ、及び、該自閉力F4に伴うトルク)等を、冷蔵庫200の全体構成に応じて、比較的容易に調整することができる。ゆえに、部品共通化を図り、製造コストを削減する上で有利になる。
また、第1の実施形態と同様に、押圧機構Qがスライド部207を常時押圧しているから、扉部202が閉位置D2から開いた後もローラ部272とローラガイド面255との間の接触を保持することが可能となり、それにより、扉部202が自閉を開始する回動角度を調整する上で有利になる。
また、第1の実施形態と同様に、スライド部207をスライドさせることで、扉部202の相対移動を許容することができるから、スライド部207が接触することになるローラガイド面255の形態の自由度を高めることが可能となり、扉部202が自閉を開始する回動角度を調整する上で一層有利になる。また、使用者がローラガイド面255に接触したときの凹凸感を低減する上でも有利となる。
また、このローラガイド面255は、自閉面255bと伸長許容面255dとの間に回動ガイド面255cを有している。扉部202を自閉させるためには、突出位置までスライドさせたスライド部207を、一旦、没入位置に向かうようスライドさせる必要があるものの、ローラ部272が回動ガイド面255cを転動することによって、そうしたスライドを比較的緩やかに行うことができる。そのことで、そうしたスライドに伴う扉部202の上下の移動も比較的緩やかに行うことができるから、扉部202が開閉するときの操作感を向上させる上で有利になる。
また、第2の実施形態に係る自閉機構Kは、扉部202の自重を利用した第1傾斜カム機構Q1と第2傾斜カム機構Q2とを有している。扉部202には重力が常時作用しているから、扉部202の本体側部材205に対する相対位置に拘らず、スライド部207を常時押圧する上で有利になる。
また、扉部202の自重を、第1上向傾斜面276a及び第1下向傾斜面226aと、第2上向傾斜面277a及び第2下向傾斜面227aと、がそれぞれ互いに摺動するように作用させることによって、スライド部207を押圧するから、扉部202の自重が増大するにつれて、スライド部207に作用する押圧力Fgを増大させることができる。ゆえに、扉部202の寸法、及び、扉部202後面に収容した被収容物の重量等に応じて、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2による押圧力Fgを増減させることができる。そのことで、冷蔵庫200の大容量化を図る上で有利になる。
また、扉部202の自重を用いることで、従来構成と比較して、強度を低下させたり、操作感を悪化させたりすることなく、自閉の強さを増大させる上で有利になる。第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2による押圧力Fgの大きさは、各傾斜カム機構Q1,Q2を構成する傾斜面の傾斜角度の大きさに基づいて増減するから、例えば、図19に示す構成において、各傾斜カム機構Q1,Q2に係る傾斜角度を急峻にするだけで、押圧力Fg、ひいては自閉の強さを増大させることができる。このように、扉部202の自重を用いることで、自閉の強さを調整する上で有利になり且つ、製造コストを削減する上でも有利になる。
また、第2の実施形態に係る押圧機構Qは、第1傾斜カム機構Q1と第2傾斜カム機構Q2とを有しているから、扉部202の自重を第1上向傾斜面276aと第2上向傾斜面277aとに分散させることができる。それによって、各傾斜カム機構Q1,Q2の強度及び耐久性を向上させる上で有利になる。
また、第1上向傾斜面276aは、スライド部207の戸先側端部付近に設けられているから、スライド部207の略中央部に設けた第2上向傾斜面277aと比較すると、図19に示すように、戸先側に設けた分だけ、ヒンジピンの中心C3からの距離を長く取ることができる。そのことで、前記自閉力F4に伴うトルクを増大させて、ひいては自閉の強さを増大させることができる。
一方で、第2上向傾斜面277aは、第1上向傾斜面276aと比較すると、スライド部207の中央部に接近した分だけ、スライド部207下面と支持板部244上面との間の接触を保持し、ひいては、支持板部244によりスライド部207を安定して支持する上で有利になる。
また、ローラ部272の厚みT3を、ローラガイド面255の厚みT4以下に形成したから、扉部202が移動しながら回動するときに、上ヒンジ機構J1と下ヒンジ機構J2とで、本体側部材205に対する扉側部材204の相対位置が互いにずれてしまい右扉222が前後左右に傾いてしまったとしても、ローラ部272とローラガイド面255との間の接触を安定して保持する上で有利になる。
また、スライド部207は、扉部202の回転軸に対して垂直な方向にスライドするように支持されているから、第1の実施形態と同様に、スライド部207が上下にスライドする場合と比較して、扉部202の下面と上段側引出扉部202aの上面との間の間隔を狭め、ひいては冷蔵庫200の大容量化を図る上で有利になる。
(第2の実施形態に係る自閉機構の変形例)
以下、第2の実施形態に係る自閉機構Kの変形例を図面に基づいて説明する。この変形例は、請求項1から請求項3、及び、請求項7から請求項9に係るものであり、図17及び図25に示されている。
前記第2の実施形態に係る押圧機構Qは、第1傾斜カム機構Q1と第2傾斜カム機構Q2とを有していたが、この構成に加えて、付勢部材としての圧縮コイルばね208を有していてもよい。
具体的に、圧縮コイルばね208は、図17及び図25に示すように、スライド許容溝246aの戸先側の側面部と、抜止部275の戸先側の側面部との間に、各抜止部275毎に縮装されている。各抜止部275毎に縮装された圧縮コイルばね208のうち前側に縮装された一方は、図25に概略的に示されている。この圧縮コイルばね208は、図25に示すように、抜止部275を介してスライド部207を没入位置に向けて付勢(図25の矢印A10参照)しており、この付勢によって、スライド部207は、ローラ部272がローラガイド面255に向かうように常時押圧されることになる。
この構成によると、押圧機構Qによる押圧の強さを、右扉222の自重に応じて適切に増減させる上で有利になる。図25に示す例では、圧縮コイルばね208の付勢力は、右扉222後面に設けた収容スペース内に被収容物がほとんど収容されていないときに最適になるように調整されている。この調整によって、右扉222内に被収容物がそれほど収容されておらず右扉222の自重が比較的小さいときには、圧縮コイルばね208の付勢力と、第1傾斜カム機構Q1及び第2傾斜カム機構Q2の押圧力Fgとが協働することによって、スライド部207を比較的弱く押圧する一方で、右扉222内に被収容物が比較的多く収容されていて右扉222の自重が比較的大きいときには、各傾斜カム機構Q1,Q2による押圧力Fgが増大した分だけ、スライド部207を比較的強く押圧することができるようになる。
(第2の実施形態に係る自閉機構の別の変形例)
以下、第2の実施形態に係る自閉機構Kの別の変形例を図面に基づいて説明する。この別の変形例は、請求項1から請求項3、及び、請求項7から請求項10に係るものであり、図26(b)に示されている。
この別の変形例に係る右扉222の下面には、図26(b)に示すように、挟持部材225と、扉側部材204の上側の一部とを収容可能な収容部223が凹設されている。この収容部223は、矩形溝状に形成されていて、その底部には、挟持部材225を固定することができる。したがって、挟持部材225を収容部223内に固定した状態では、図26(b)に示すように、挟持部材225と、扉側部材204の上側の一部とが、それぞれ、収容部223内に収容されることになる。
この場合、扉部202の下面と上段側引出扉部202aとの間の間隔U2は、図26(b)の破線部に示すように、挟持部材225と扉側部材204の一部とを収容させた分だけ、前記収容部223を凹設しない構成(図26(a)参照)における当該間隔U1よりも小さくなっている。
このように、扉部202の下面に凹設した収容部223に、挟持部材225と、扉側部材204の上側の一部とを収容させるようにしたから、これらの部材を収容させた分だけ、扉部202の下面と上段側引出扉部202aの上面との間の間隔を狭めることができる。したがって、冷蔵庫200の大容量化を図る上で有利になる。
また、スライド部207は、右扉222の回転軸に対して垂直な方向にスライドするよう支持されているから、スライド部207が回転軸に対して平行な方向にスライドする場合、つまり、スライド部207が上下にスライドする場合と比較して、収容部223を上下に浅く凹設することができる。ゆえに、収容部223を上下に浅く設けた分だけ、収容部223内で結露が生じる虞を低減する上で有利になる。
(第2の実施形態に係るその他の変形例)
なお、扉側部材204及び挟持部材225の形態については、前記のものに限定されない。挟持部材225は必須ではなく、例えば、扉部202下面と一体形成してもよい。
ヒンジ機構Jの構成は、先願に記載のものに限定されない。例えば、第1の実施形態に係るヒンジ機構Hを備えてもよい。その場合、第1の実施形態に係る扉側部材104を、扉部202に対して上下に相対移動可能に設けてもよい。
また、ガイド機構の構成は、先願に記載のものに限定されない。扉部202が閉位置D2から開くときに、扉部202を左右乃至前後に移動させながら回動させるように構成されたものであればよい。
ローラガイド面255の構成についても、前記のものに限定されない。例えば、前記伸長許容面255dに代えて、ヒンジピンの中心C3を中心として円弧状に延びる曲面を設けてもよい。そうすることで、閉位置D2から開放位置に至るまで、ローラ部272を常時転動させることができる。また、自閉面255bの傾斜の大きさを変更したり、前方に向かって延設したりすることにより、図23等に示す形態よりも、扉部202が自閉を開始する回動角度を大きくすることもできる。
ローラガイド面255の変形例としては、例えば、第1の実施形態のように、係止面155aに相当する面を新設してもよい。
押圧機構Qの構成についても、可能な範囲で変更することができる。第2の実施形態では、扉側部材204と一体的に上下に移動可能なスライド部207に設けた第1上向傾斜面276a及び第2上向傾斜面277aと、扉部202下面と一体的に上下に移動可能な挟持部材225に設けた第1下向傾斜面226a及び第2下向傾斜面227aとを、それぞれ、摺接させるように構成したが、この構成に代えて、スライド部207を扉部202下面と一体的に上下に移動するよう構成すると共に、そのように構成したスライド部207に設けた下向きの傾斜面と、扉側部材204に設けた上向きの傾斜面とを摺接させてもよい。
また、第1傾斜カム機構Q1と第2傾斜カム機構Q2とを設ける構成に代えて、傾斜カム機構を1つだけ設けたり、第3の傾斜カム機構を新設したり、してもよい。
また、前記変形例に係る押圧機構Qは、圧縮コイルばね208を有しているが、これに代えて又はこれに加えて、引張コイルばねを有するように構成してもよい。
(他の実施形態)
前記第1の実施形態及び第2の実施形態、並びに、各実施形態の変形例においては、観音開き式の扉部を有する冷蔵庫のヒンジ装置について例示したが、例えば、一枚の扉部によって開口部を開閉するように構成された冷蔵庫に適用してもよい。各貯蔵室の構成についても、可能な範囲で変更することができる。
100,200 冷蔵庫
101,201 庫本体
112,212 開口部
102,202 扉部
121,221 左扉
122,222 右扉
123 扉側収容部(埋込部)
124 ケース嵌入部(嵌入部)
223 収容部
103,203 ヒンジ装置
104,204 扉側部材
105,205 本体側部材
155,255 ローラガイド面
106 樹脂ケース(支持部)
163 開放端部
107,207 スライド部
172,272 ローラ部
108,208 圧縮コイルばね(付勢部材)
109 ローラユニット
H,J ヒンジ機構
H1,J1 上ヒンジ機構
H2,J2 下ヒンジ機構
I,K 自閉機構
P,Q 押圧機構
Q1 第1傾斜カム機構(傾斜カム機構)
Q2 第2傾斜カム機構(傾斜カム機構)
276a 第1上向傾斜面(傾斜面)
277a 第2上向傾斜面(傾斜面)
226a 第1下向傾斜面(傾斜面)
227a 第2下向傾斜面(傾斜面)
S 収容空間
T1,T3 ローラ部の厚み
T2,T4 ローラガイド面の厚み
D1,D2 閉位置(回動角度=0度)

Claims (10)

  1. 庫本体の前面に設けた開口部を開閉する少なくとも1枚の扉部を上下から支持する冷蔵庫のヒンジ装置において、
    前記扉部に設けられる扉側部材、及び、前記庫本体に取り付けられ、前記扉側部材を介して前記扉部を相対移動可能に且つ相対回動可能に支持する本体側部材を含む上下のヒンジ機構と、
    前記扉部の下部に設けられる自閉機構と、を備え、
    前記上下のヒンジ機構は、双方とも、前記扉部が閉位置から開くとき、該扉部の開動に伴って、前記扉側部材が前記本体側部材に対して移動しながら回動するように構成され、
    前記自閉機構は、前記本体側部材の側部に形成されたローラガイド面と、前記扉部に対してスライド可能に支持されるスライド部と、前記スライド部に回転可能に取り付けられ、該スライド部のスライドにより前記ローラガイド面に対して接離するように移動可能なローラ部と、前記ローラ部が前記ローラガイド面に向かうように、前記スライド部を常時押圧する押圧機構と、を有し、
    前記自閉機構は、前記扉部が閉位置にあるときには、前記ローラ部を前記ローラガイド面に当接させるように構成され、
    前記自閉機構は、前記扉部が閉位置から開くときには、前記ローラ部を前記ローラガイド面に沿って転動させると共に、前記スライド部を前記押圧機構による押圧に抗する方向にスライドさせるように且つ当該押圧を前記扉部が閉位置に向かう方向に案内するように構成される、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  2. 請求項1において、
    前記押圧機構は、前記ローラ部が前記ローラガイド面に向かうように、前記スライド部を付勢する付勢部材を有する、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記ローラ部の厚みは、前記ローラガイド面の厚み以下に形成される、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つにおいて、
    前記自閉機構は、前記扉部の下部に取り付けられた支持部を有し、
    前記支持部は、前記スライド部を前記扉部が回動する回転軸に対して垂直な方向にスライド可能に支持する、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  5. 請求項4において、
    前記支持部は、前記扉部の下部に対向する側面と前記ローラガイド面に対向する側面とが開放された箱状に形成され、
    前記扉部の下部には、前記スライド部と前記押圧機構との少なくとも一部を収容可能な埋込部が凹設され、
    前記支持部と前記埋込部とが、前記スライド部と前記押圧機構とを収容する収容空間を形成する、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  6. 請求項4において、
    前記支持部は、前記ローラガイド面に対向する側面が開放された箱状に形成されると共に、前記スライド部と前記押圧機構とを収容する収容空間を形成し、
    前記扉部の下部には、前記支持部の少なくとも一部が嵌入される嵌入部が凹設される、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  7. 請求項1から請求項3のいずれか1つにおいて、
    前記扉側部材は、前記扉部に対して上下に相対移動可能に設けられ、
    前記スライド部は、前記上下のヒンジ機構のうち前記扉部を下から支持する下ヒンジ機構の扉側部材と当該扉部との間に介在して設けられ、
    前記押圧機構は、前記スライド部と前記扉側部材又は前記扉部とにそれぞれ設けられた、互いに摺接する一対の傾斜面から成る傾斜カム機構を有し、
    前記一対の傾斜面は、互いに摺動することによって前記スライド部をスライドさせるように構成され、
    前記傾斜カム機構は、前記扉部の自重を前記一対の傾斜面が互いに摺動するように作用させることによって、前記スライド部を前記ローラ部が前記ローラガイド面に向かうように押圧するよう構成される、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  8. 請求項7において、
    前記傾斜カム機構は、互いに離れた2箇所以上に設けられる、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  9. 請求項7又は請求項8において、
    前記扉側部材は、前記スライド部を前記扉部が回動する回転軸に対して垂直な方向にスライド可能に収容する、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
  10. 請求項9において、
    前記扉部の下部には、前記自閉機構の少なくとも一部が収容される収容部が凹設される、ことを特徴とする冷蔵庫のヒンジ装置。
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