JP2016104970A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の冷機時に排気ガス浄化触媒と機関本体を早期に昇温して排気ガス有害成分の総量を低減する内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。【解決手段】内燃機関の冷機時には、弁停止機構により一方の排気弁を作動停止すると共に、可変位相変更機構により、他方の排気弁の閉時期を上死点より進角した位置に制御する。冷機時において、他方の排気弁の閉時期を上死点より進角した位置に制御しているので、高温の燃焼ガスが筒内に封じ込められるので機関本体の昇温が促進されるようになる。更に、一方の排気弁の作動を停止することにより排気ポ−ト側に流出する際のスワ−ル効果を高めることができ、未燃焼成分の酸化反応が促進され、排気ガス温度の低下を抑制して、排気有害成分の総量を低減することができるようになる。【選択図】図16

Description

本発明は内燃機関に用いられる可変動弁装置に係り、特に冷機時の排気有害成分を低減する内燃機関の可変動弁装置に関するものである。
自動車用内燃機関においては、排気通路に排気ガス浄化触媒を設けることが一般に行われている。この排気ガス浄化触媒は、所定の活性温度になるまでは十分な機能を発揮せず、内燃機関の始動直後、特に冷間時の始動後に如何に早期に活性温度まで昇温させるかが大きな課題である。
排気ガス浄化触媒の早期の昇温を図る技術として種々の技術が提案されている。例えば、各気筒が第1排気弁と第2排気弁との2つの排気弁を有する内燃機関において、第1排気弁を第1排気通路を介して触媒の直上流に接続し、第2排気弁を第1排気通路とは別途独立して構成された第2排気通路を介して、触媒の直上流でかつ第1排気通路の開口位置とは異なる所定の位置に接続した技術が提案されている。そして、触媒の低温時には、可変バルブ機構により第1排気弁の作動を停止、或いはバルブリフト量の低減、或いは開弁期間の短縮等を行って、第2排気弁から集中して多量の排気ガスを放出するようにしている。
これによって、触媒の所定の位置に多量の排気ガスが集中して流れるので、触媒が局部的に早期に昇温されるものとなっている。このような技術は、触媒の局部的な昇温を行おうとするものであり、換言すれば早期に昇温すべき触媒を一部に限定して、触媒の実質的な熱容量低減化によって早期の昇温を図るものとなっている。
しかしながら、このような技術では排気通路が第1排気弁用と第2排気弁用とで触媒直上流までの長い系路を個々独立した特別の形式として構成しなくてはならない、触媒が局部的にしか早期に昇温されない等の種々の課題が指摘されている。
このような課題を対策する技術として、例えば特開平9‐41955号公報(特許文献1)に示されているような技術が提案されている。この特許文献1によれば、排気弁のリフト量を可変とする可変バルブ機構を設け、触媒の低温時に可変バルブ機構によって一方の排気弁を閉じた状態で、他方の排気弁のリフト量を触媒の高温時に比べて20〜40%とする構成が開示されている。排気弁の開弁直後には、いわゆるブロ−ダウンとよばれるように、極めて高温かつ多量の排気ガスが気筒から放出される。この排気弁の開弁直後の排気ガスの放出速度を遅くすることにより、高温かつ多量の排気ガスを比較的長い時間をかけて排気通路を通過させることになり、排気通路が早期に昇温されることになる。また、放出速度を遅くすることにより、排気弁の閉弁時まで高い排気ガス温度を維持することが可能になり、排気ガスの有する熱が排気通路の高温化のために有効に利用されることになる。したがって、排気通路、特に触媒までの排気通路が早期に昇温されて、触媒の早期の昇温が図られることになる。
特開平9‐41955号公報
ところで、特許文献1に記載されているような可変動弁機構においては、開かれている排気弁の具体的な開閉時期について検討されておらず、内燃機関の冷機時の排気有害成分の総量を低減するための更なる改良が必要である。例えば、排気有害成分を低減するための排気ガス浄化触媒の早期の昇温の他に、内燃機関の機関本体を早期に暖めることによって排気有害成分の総量を低減することができる。このように排気ガス浄化触媒の早期の昇温と、機関本体の早期の昇温を行うことが要請されている。
本発明の目的は、内燃機関の冷機時に排気ガス浄化触媒と機関本体を早期に昇温して排気ガス有害成分の総量を低減する内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。
本発明の特徴は、内燃機関の冷機時には、可変動弁機構の弁停止機構により一方の排気弁を作動停止すると共に、可変動弁機構の可変位相変更機構により、他方の排気弁の閉時期を上死点より進角した位置に制御する、ところにある。尚、ここで、可変位相変更機構とはバルブタイミングを変更する機構やバルブリフトを変更する機構を含んでおり、要は排気弁の開閉時期の位相を変更できるものであれば良いものである。
本発明によれば、冷機時において、他方の排気弁の閉時期を上死点より進角した位置に制御しているので、高温の燃焼ガスが筒内に封じ込められるので機関本体の昇温(=暖機)が促進されるようになる。更に、一方の排気弁の作動を停止することにより他方の排気弁から排出される燃焼ガスが、排気ポ−ト側に流出する際のスワ−ル効果(乱れ効果)を高めることができ、排気ポ−ト側において未燃焼成分の酸化反応(いわゆる後燃え)が促進され、排気(燃焼)ガス温度の低下を抑制し、これにより後流に配置された排気ガス浄化触媒を昇温して転化率も高められるようになる。これによって排気有害成分の総量を低減することができるようになる。
本発明に係る可変動弁装置を2気筒内燃機関に適用した第1実施形態を示す排気弁側の斜視図である。 同実施形態の吸気弁側を示す斜視図である。 図1と図2のA−A線断面図である。 (A)は本実施形態の排気側に供される第1弁停止機構を示す縦断面図、(B)は同第1弁停止機構の作用を示す縦断面図、(C)はAのB−B線断面図である。 (A)は本実施形態の排気弁(吸気弁)側に供される第2(第3)弁停止機構を示す縦断面図、(B)は同第2(第3)弁停止機構の作用を示す縦断面図、(C)はBのC−C線断面図である。 本実施形態における弁停止機構が備えられていない油圧ラッシアジャスタを示す縦断面図である。 本実施形態の制御油圧回路を示す概略図である。 本実施形態における排気弁と吸気弁のバルブリフト量、作動角特性図である。 (A)は本実施形態における弁停止機構が備えられている排気弁が最大リフト量(L4)に制御された場合の開弁時の作用説明図、(B)は同排気弁の閉弁時の作用説明図である。 (A)は本実施形態における弁停止機構が備えられていない排気弁の最大リフト量(L4)に制御された場合の開弁時の作用説明図、(B)は同排気弁の閉弁時の作用説明図である。 (A)は本実施形態における弁停止機構が備えられている排気弁が最小リフト量(L1)に制御された場合の開弁時の作用説明図、(B)は各排気弁の閉弁時の作用説明図、(C)は弁停止機構によるロストモーション作用説明図である。 #1気筒側の吸気弁の作動状態を示し、(A)は開弁した吸気弁のバルブリフト量がLIとなったピークリフト状態を示し、(B)は閉弁した吸気弁の状態を示す作用説明図、(C)は弁停止機構によるロストモーション作用説明図である。 本実施形態に供される排気VTCの要部を断面して示す作動説明図であって、(A)は最大進角制御状態を示す図14のA−A線断面図、(B)は最大遅角制御状態を示す図14のA−A線断面図である。 同排気VTCの縦断面である。 本実施形態における機関回転数と機関トルクとのマップ上における弁停止運転領域と全筒運転領域を示す図である。 図15に示す運転領域A〜運転領域Dへの切り換え移行時の#1気筒と#2気筒の吸排気弁の作動特性を示す図である。 本発明の第2実施形態になる運転領域Aの冷機時と暖機時の切り換え移行時の#1気筒と#2気筒の吸排気弁の作動特性を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
まず、本発明に係る多気筒内燃機関の可変動弁装置の各実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態では、ガソリン仕様の直列2気筒の内燃機関に適用されたものである。図1は#1気筒と#2気筒の排気側の動弁装置を示し、図2は#1気筒と#2気筒の吸気側の動弁装置を示している。
排気側動弁系は、図1に示すように、後述する可変動弁装置を構成する可変動弁機構としての可変リフト機構である排気VELの揺動カム7がスイングアーム6を介して各排気弁3a、3a、3b、3bを開閉作動するようになっている。
また、駆動軸5(カムシャフト)の端部には可変動弁機構としての可変位相変更機構である排気VTC100が設けられている。この排気VTC100は排気弁の開閉位相を進角或いは遅角する制御を行う機能を備えているものであるが、詳細は後述する。尚、可変リフト機構もリフトが大きくなると開時期の位相が進み、閉時期の位相が遅れ、リフトが小さくなると開時期の位相が遅れ、閉時期の位相が進むので可変位相変更機構といえるものである。
一方、吸気側動弁系は、図2に示すように、吸気カムシャフト73(駆動軸)の各回転カム73aが直接各スイングアーム74を介して各吸気弁71a、71a、71b、71bを開閉作動させるようになっている。また吸気カムシャフト73の端部には排気VTC100と同様の吸気VTC200が設けられている。吸気VTC200は吸気弁の開閉位相を進角或いは遅角する制御を行う機能を備えている。
図1及び図2に示す右側位置のフロント(F)側の#1気筒が気筒休止可能な気筒、すなわち、全ての吸気弁と排気弁の弁作動停止が可能な気筒になっていると共に、リア(R)側の#2気筒は気筒休止せず、常時少なくとも1つの排気弁と吸気弁が作動する常時稼働気筒になっている。但し、本実施形態では、この常時稼働気筒の#2気筒のリア(R)側の排気弁3bのみは弁停止可能になっている。
図1に示す排気側動弁系では、各気筒のR側の排気弁3a、3bには、後述するように、油圧ラッシアジャスタ10b、10dにそれぞれ第1弁停止機構11b、11cが設けられ、#1気筒のF側の排気弁3aには、第2弁停止機構11aが設けられている。一方、図2に示す吸気側動弁系の#1気筒の両吸気弁71a、71aは、ラッシアジャスタ75a、75bにそれぞれ第3弁停止機構11d、11eが設けられている。これら以外の吸排気弁3b(F側)、71b、71bの各油圧ラッシアジャスタ10c、75c、75dには弁停止機構が設けられていない。
また、図3には図1、図2のA−A線断面、すなわち、#1気筒(気筒休止可能気筒)における吸気側及び排気側の動弁装置を示している。
〔排気側の動弁装置〕
#1、#2気筒の排気側の動弁装置について具体的に説明すると、図1及び図3に示すように、シリンダヘッド1内に形成された一対の排気ポート2、2を開閉する一気筒当たり一対の排気弁が設けられている。すなわち、#1気筒では第1、第2排気弁3a、3a、#2気筒では第1、第2排気弁3b、3bが設けられている。ここで、各気筒とも第1排気弁3a、3bはF側に、第2排気弁3a、3bはR側にそれぞれ配置されている。
各気筒の一対の排気ポート2、2は、シリンダヘッド1と一体に形成された図1に破線(一点鎖線)で示す隔壁1bによって、図3に示すポート開口2aから隔壁1bの先端部1cまで互いに結合されていると共に、先端部1cより後流側は隔壁1bがなくなり、両排気ポ−トが集合した集合排気ポ−トとなり、その断面積は、F側の排気ポ−ト2の断面積とR側排気ポ−ト2の断面積の和とほぼ一致するように設定されている。そして各気筒の集合排気ポ−トは図外の排気マニフォルドで更に1つに集合されるようになっている。したがって、各気筒の燃焼室から各排気ポート2、2に排出された排気ガスは途中で集合排気ポ−トに集合され、更に排気マニフォルド内で全気筒(2気筒)の集合排気ポ−トが1つに集合されて後流に送られ、触媒を経由して更に排気管や消音器を介して外部に排出されるようになっている。
各排気弁3a〜3bに設けられた排気VELは、図1及び図3に示すように、各気筒の上方側に機関前後方向に沿って配置され、外周に2つの駆動カム5aを有する駆動軸5と、駆動軸5の外周面に回転自在に支持されて、各スイングアーム6を介して各排気弁3a〜3bを開閉作動させるそれぞれカム面7b、7bを有する一対の揺動カム7、7と、各駆動カム5aの回転力を揺動力に変換して各揺動カム7に伝達する伝達機構8と、伝達機構8を介して各排気弁3a〜3bの作動角(開弁期間)とリフト量を制御する制御機構9と、から構成されている。
また、シリンダヘッド1には、各スイングアーム6と各排気弁3a〜3bとの間の隙間及び各揺動カム7の各カム面7bのベースサークルとの間の隙間を零ラッシに調整する支点部材(ピボット)である4つの第1〜第4油圧ラッシアジャスタ10a、10b、10c、10dが保持されている。つまり、#1気筒の排気弁側には、第1、第2油圧ラッシアジャスタ10a、10bが配設され、#2気筒の排気弁側には第3、第4油圧ラッシアジャスタ10c、10dが配設されている。
ここで、第1油圧ラッシアジャスタ10aは、#1気筒のF側に配設され、第2油圧ラッシアジャスタ10bは、同R側に配設され、第3油圧ラッシアジャスタ10cは、#2気筒のF側に配設され、第4油圧ラッシアジャスタ10dはR側に配設されている。
#1気筒の第1、第2排気弁3a、3a側には、機関運転状態に応じて#1気筒側の第1、第2油圧ラッシアジャスタ10a、10bを介して#1気筒の第1、第2排気弁3a、3aの開閉作動をそれぞれ停止させる第2、第1弁停止機構(ロストモーション機構)11a、11bが設けられている。#2気筒のR側の第2排気弁3b側には、#2気筒側のR側の第4油圧ラッシアジャスタ10dを介して第2排気弁3bの開閉作動を停止させるもう1つの第1弁停止機構(ロストモーション機構)11cが設けられている。
また、排気側には、図7に示すように、駆動軸5のF側の端部に、各排気弁3a〜3bの開閉タイミングを機関運転状態に応じて可変にする可変動弁機構を構成する可変バルブタイミング制御装置(排気VTC)100が設けられている。この排気VTC100は、例えば図外のベーンロータを油圧で位相変換する通常タイプとすれば良い。この構成については図13、図14を用いて後述する。
以下、#1、#2気筒における各構成部材について、図1、図3に基づいて説明すると、4つの排気弁3a〜3bは、各バルブガイド4を介してシリンダヘッド1に摺動自在に保持されていると共に、各ステムエンド3cの近傍に設けられた各スプリングリテーナ3dとシリンダヘッド1の内部上面との間に弾接された各バルブスプリング12によって閉方向に付勢されている。
駆動軸5は、シリンダヘッド1の上端部に設けられた複数の軸受部13に揺動カム7のカムシャフト7aを介して回転自在に支持され、一端部に設けられた前述の排気VTC100の図外のハウジング(図14には図示)に設けられたタイミングプーリを介してクランクシャフトの回転力がタイミングベルトによって伝達されるようになっている。また、駆動軸5の外周に一気筒当たり1つ設けられた駆動カム5aは、その軸心Yが駆動軸5の軸心Xから径方向へ偏心していると共に、外周のカムプロフィールが円形状に形成されている。
各スイングアーム6は、一端部6aの平坦状あるいはやや凸状の下面が各排気弁3a〜3bの各ステムエンド3cに当接している一方、他端部6bの下面凹部6cが各油圧ラッシアジャスタ10a〜10dの頭部に当接していると共に、中央に形成された収容孔内に、それぞれローラ軸14aを介してローラ14が回転自在に収容配置されている。
各揺動カム7は、図1及び図3に示すように、円筒状のカムシャフト7aの両端部に、下面にベースサークル面やランプ面及びリフト面からなるカム面7bが形成されており、ベースサークル面とランプ面及びリフト面が、揺動カム7の揺動位置に応じてスイングアーム6のローラ14の上面を転接するようになっている。
カムシャフト7aは、外周面の軸方向ほぼ中央位置に形成されたジャーナル部が軸受部13に微小クリアランスをもって回転自在に支持されていると共に、内周面によって駆動軸5の外周面を回転自在に支持するようになっている。
各伝達機構8は、駆動軸5の上方に配置されたロッカアーム15と、ロッカアーム15の一端部15aと駆動カム5aとを連係するリンクアーム16と、ロッカアーム15の他端部15bと一つの揺動カム7とを連係するリンクロッド17と、を備えている。
ロッカアーム15は、中央に有する筒状の基部が支持孔を介して後述する制御カムに回転自在に支持されていると共に、一端部15aがピン18によってリンクアーム16に回転自在に連結されている一方、他端部15bがリンクロッド17の上端部にピン19を介して回転自在に連結されている。
リンクアーム16は、円環状の基部の中央位置に有する嵌合孔16aに駆動カム5aのカム本体が回転自在に嵌合している一方、突出端がピン18によってロッカアーム一端部15aに連結されている。リンクロッド17は、下端部がピン20を介して揺動カム7の一方のカム面7bが形成されたカムノーズ部に回転自在に連結されている。尚、各ロッカアーム15の他端部15bとリンクロッド17の上端部との間には、各構成部品の組み付け時に各排気弁3a〜3bのリフト量を微調整するアジャスト機構23がそれぞれ設けられている。
制御機構9は、駆動軸5の上方位置に同じ軸受部に回転自在に支持された制御軸21と、制御軸21の外周にロッカアーム15の支持孔に摺動自在に嵌入されて、各ロッカアーム15の揺動支点となる2つの制御カム22が固定されている。制御軸21は、駆動軸5と並行に機関前後方向に配設されていると共に、図7に示すアクチュエータ50によって回転制御されている。一方、制御カム22は、円筒状を呈し、軸心が制御軸21の軸心から所定分だけ偏倚している。
アクチュエータ50は、図7に示すように、図外のハウジングの一端部に固定された電動モータ51と、ハウジングの内部に設けられて、電動モータ51の回転駆動力を制御軸21に伝達する減速機構として、ボール螺子要素及び変換リンクなどからなるボール螺子機構52と、から構成されている。電動モ−タ51は、比例型のDCモータによって構成され、機関運転状態を検出するコントロールユニット53からの制御信号によって正逆回転制御されるようになっている。
4つの油圧ラッシアジャスタ10a〜10dは、図4〜図6に示すように、シリンダヘッド1の円柱状の各保持穴1a内にそれぞれ保持された有底円筒状のボディ24と、ボディ24内に上下摺動自在に収容されて、下部に一体に有する隔壁25を介して内部にリザーバ室26を構成するプランジャ27と、ボディ24の下部内に形成されて、隔壁25に貫通形成された連通孔25aを介してリザーバ室26と連通する高圧室28と、高圧室28の内部に設けられて、リザーバ室26内の作動油を高圧室28方向へのみ流入を許容するチェック弁29と、を備えている。また、シリンダヘッド1の内部には、保持穴1a内の溜まった作動油を外部に排出する排出孔1bが形成されている。
ボディ24は、外周面に円筒状の第1凹溝24aが形成されていると共に、第1凹溝24aの周壁に、シリンダヘッド1の内部に形成されて下流端が第1凹溝24aに開口した油通路30とボディ24内部とを連通する第1通路孔31が径方向に貫通形成されている。また、#1気筒の第1、第2油圧ラッシアジャスタ10a、10b(F、R側)と、#2気筒の第4油圧ラッシアジャスタ10d(R側)の各ボディ24は、図4(A)、(B)、図5(A)、(B)にそれぞれ示すように、底部24b側が、図6に示す弁停止機構が設けられていない#2気筒側の第3油圧ラッシアジャスタ10c(F側)のボディ24の底部24cよりも下方向へ延設されてほぼ円柱状に形成されている。
油通路30は、図3に示すように、シリンダヘッド1内に形成された潤滑油供給用のメインオイルギャラリ30aと連通しており、このメインオイルギャラリ30aには、図7に示すオイルポンプ54または64から潤滑油が圧送されるようになっている。プランジャ27は、図4〜図6に示すように、軸方向のほぼ中央の外周面に円筒状の第2凹溝27aが形成されていると共に、第2凹溝27aの周壁に第1通路孔31とリザーバ室26とを連通する第2通路孔32が径方向に沿って貫通形成されている。
また、各プランジャ27の先端頭部27bの先端面が各スイングアーム6の他端部6bの球面状の下面凹部6cとの良好な摺動性を確保するために球面状に形成されている。尚、この各プランジャ27は、ボディ24の上端部に嵌着固定された円環状のストッパ部材33によってその最大突出量が規制されるようになっている。
第2凹溝27aは、その軸方向の幅が比較的大きく形成され、これによってボディ24に対するプランジャ27のいずれの上下摺動位置においても第1通路孔31と第2通路孔32とを常時連通するようになっている。各チェック弁29は、連通孔25aの下部開口縁(シート)を開閉するチェックボール29aと、チェックボール29aを閉方向へ付勢する第1コイルばね29bと、第1コイルばね29bを保持するカップ状のリテーナ29cと、ボディ24の底壁24cの内底面とリテーナ29cの円環状上端部との間に弾装されて、リテーナ29cを隔壁25方向へ付勢しつつプランジャ27全体を上方に付勢する第2コイルばね29dとから構成されている。
そして、揺動カム7のカム面7bのベースサークル区間では、第2コイルばね29dによる付勢力によるプランジャ27の進出移動(上方移動)に伴って高圧室28内が低圧になると、油通路30から保持穴1a内に供給された作動油が第1凹溝24aから第1通路孔31と第2凹溝27a及び第2通路孔32を通ってリザーバ室26に流入して、更にチェックボール29aを第1コイルばね29bのばね力に抗して押し開き、作動油を高圧室28内に流入させる。
これによって、プランジャ27は、スイングアーム6の他端部6bを押し上げてローラ14と揺動カム7との接触を介して揺動カム7とスイングアーム6の一端部6a及び各吸気弁3のステムエンド3aとの間の隙間を零ラッシに調整するようになっている。そして、揺動カム7のリフト区間では、プランジャ27に下方荷重が作用するので、高圧室28内の油圧が上昇し、高圧室28内のオイルがプランジャ27とボディ24の隙間から漏れ出てプランジャ27は僅かに降下する(リークダウン)。
再び、揺動カム7のカム面7bのベースサークル区間になると、前述のように、第2コイルばね29dによる付勢力でプランジャ27の進出移動(上方移動)により、各部の隙間を零ラッシに調整するのである。このようなラッシ調整機能を、第1〜第4油圧ラッシアジャスタ10a〜10dの全てが有している。
ロストモーション機構(第2、第1弁停止機構)である11a、11b、11cは、#1気筒のF側とR側の第1、第2油圧ラッシアジャスタ10a、10b側と#2気筒のR側の第4油圧ラッシアジャスタ10dのみに設けられ、図6に示すように、#2気筒のF側の第3油圧ラッシアジャスタ10cには設けられていない。
すなわち、#1、#2気筒の各R側の第2、第4油圧ラッシアジャスタ10b、10d側の第1弁停止機構11b、11cと、#1気筒のF側の第1油圧ラッシアジャスタ10a側の第2弁停止機構11aが設けられており、後述するように機関運転状態に応じて弁停止と弁作動が切り換えられるようになっている。これに対して、#2気筒のF側には弁停止機構が設けられておらず、したがって、通常のピボット機能と零ラッシ調整機能のみを有している。また、第1弁停止機構11b、11cと第2弁停止機構11aとは、図4及び図5に示すように構造の一部(規制機構)が相違している。
第1弁停止機構11b、11cは、図4(A)、(B)に示すように、各保持穴1aの底部側に連続して形成された円柱状の一対の摺動用穴34と、各摺動用穴34の底面とボディ24の下面との間に弾装されて、第2、第4油圧ラッシアジャスタ10b、10dを上方向へそれぞれ付勢する一対のロストモーションスプリング35と、第2、第4油圧ラッシアジャスタ10b、10dのロストモーションを規制する一対の規制機構36と、から構成されている。
各摺動用穴34は、内径が保持穴1aの内径と同一に設定されて各ボディ24が保持穴1aから連続的に上下方向へ摺動可能に保持するようになっている。各ロストモーションスプリング35は、コイルスプリングによって形成されて、ボディ24の底面を上方向へ付勢してプランジャ27の先端頭部27bをスイングアーム6の他端部6b下面の凹部6cに弾接させるようになっている。
また、各ボディ24は、シリンダヘッド1の内部に挿通配置されたストッパピン37によって最大上方移動位置が規制されるようになっている。すなわち、各ストッパピン37は、シリンダヘッド1内をボディ24に向かって軸直角方向に配置され、先端部37aが第1凹溝24a内に摺動可能に臨設配置されて、ボディ24の上方移動に伴い先端部37aが第1凹溝24aの下端縁に当接することによってボディ24の最大上方の摺動位置が規制されるようになっている。
したがって、各油圧ラッシアジャスタ10b、10dは、スイングアーム6の揺動に伴いロストモーションスプリング35のばね力を介して保持穴1aと摺動用穴34との間を上下にストロークしてロストモーションを行うことによって、スイングアーム6の揺動支点としての機能が失われて、揺動カム7のリフト作動が吸収され、各排気弁3aの開閉作動を停止させるようになっている。
第1弁停止機構11b、11cの各第1規制機構36は、図4(A)〜(C)に示すように、ボディ24の底部24bの内部径方向に貫通形成された移動用孔38と、シリンダヘッド1内に保持穴1aと軸直角方向に形成された規制用孔39と、移動用孔38の内部一端側に固定されたばね支持用のリテーナ40と、移動用孔38の内部に摺動自在に設けられて、移動用孔38内に摺動自在に設けられた摺動ピン41と、移動用孔38と規制用孔39に跨って移動可能な円柱状の規制ピン(第1規制ピン)42と、摺動ピン41の後端とリテーナ40との間に弾装されて、摺動ピン41を介して規制ピン42を規制用孔39方向へ付勢するリターンスプリング43と、から主として構成されている。
規制用孔39は、ボディ24がストッパピン37によって最大上方位置に規制された際に、移動用孔38と軸方向から合致するようになっており、内径が移動用孔38とほぼ同一に形成されていると共に、一端側にシリンダヘッド1内に形成された油通路孔44から信号油圧が導入されるようになっている。
ここで、ボディ24の回転方向の規制は、ストッパピン37の飛び出し量を僅かに増やすと共に、ボディ24の第1凹溝24a内に長手方向にスリットを設け、このスリット形成部の下端をストッパピン37先端と係合させることによって容易に実現できる。あるいは、別個の回転規制部材をシリンダヘッド1とボディ24の間に装着してもよい。
リテーナ40は、有蓋円筒状に形成されて、底壁に摺動ピン41の円滑な移動を確保するための呼吸孔40aが貫通形成されていると共に、後端面の呼吸孔40aが臨む中央部40bが平坦に形成されているが、外端部40c、40cは、滑らかな摺動性を確保するために摺動用穴34の内周面とほぼ同一曲率の円弧面状に形成されている。
また、このリテーナ40の軸方向の長さは、図4(B)に示すように、規制ピン42が移動用孔38に完全に収容される前に、先端縁に規制ピン42の後端縁が当接してそれ以上の後退移動を規制する長さに設定されている。なお、移動用孔38にリークした僅かな作動油は、呼吸孔40aを介してリテーナ40の底壁外面と摺動用穴34の内周面を通って摺動用穴34内に導かれるようになっている。
摺動ピン41は、図4(A)、(C)に示すように、有蓋円筒状に形成されて、外径が移動用孔38の内径よりも僅かに小さく形成されて円滑な摺動性が確保されていると共に、先端部の先端面41aが滑らかな摺動性を確保するために摺動用穴34の内周面と同じ曲率の円弧面状に形成されている。
規制ピン42は、中実円柱状に形成されて、軸方向の長さが規制用孔39の軸方向長さとほぼ同一に形成されて、図4(A)に示すようにリターンスプリング43のばね力で摺動ピン41を介して規制用孔39内に移動すると、全体が規制用孔39内に収容されるようになっている。これによって、#1、#2気筒のR側の油圧ラッシアジャスタ10b、10dの上下方向の移動、つまり、ロストモーションが行われるようになっている。
また、この規制ピン42は、外径が移動用孔38と規制用孔39の内径よりも僅かに小さく形成されてこれらに対して円滑な摺動性が確保されていると共に、油通路孔44から規制用孔39に供給された油圧を平坦な受圧面としての先端面42aが受けることにより、図4(B)に示すように、リターンスプリング43のばね力に抗して図中左方向へ移動して摺動ピン41がリテーナ40に軸方向から当接した場合に、先端部が規制用孔39から移動用孔38内に跨って収容されて#1、#2気筒の第2、第4油圧ラッシアジャスタ10b、10dの上下方向の移動を規制、つまりロストモーションを規制してシリンダヘッド1にロックするようになっている。
油通路孔44(規制用孔39)には、図7に示すように、第1オイルポンプ54から圧送された油圧が第1電磁切換弁55を介して信号油圧として供給されるようになっている。すなわち、この第1電磁切換弁55は、切り換えエネルギである油圧を供給する状態と供給停止する状態とを変換する、切り換えエネルギ変更手段(第1油圧変更手段)となっている。
第1電磁切換弁55(第1油圧供給/供給停止変換手段)は、図外のバルブボディの内部に摺動自在に設けられたスプール弁を、ソレノイドの電磁力とコイルスプリングのばね力とによって、オン、オフ的に2段階に切り換えるようになっている。ソレノイドには、電動モータ51の駆動を制御する同じコントロールユニット(コントロ−ラ)53から制御電流が通電、非通電(オン、オフ)されてポンプ吐出通路と第1油通路孔44とを連通して第1規制ピン42に第1信号油圧を供給するか、またはポンプ吐出通路を閉止して油通路孔44とドレン通路45を連通するように切り換え制御されるようになっている。
したがって、機関停止時には、コントロールユニット53からソレノイドに通電されず第1電磁切換弁55が、ポンプ吐出通路を閉止して油通路44とドレン通路45を連通することから第1弁停止機構11b、11cによるロストモーションが作動可能状態になっている。すなわち、第1弁停止機構11b、11cは、切り換えエネルギである油圧の供給が停止された場合に、弁停止状態に機械的に安定する、弁停止安定型となっている。
一方、第2弁停止機構11aは、図5(A)〜(C)に示すように、第2規制機構46が第1弁停止機構11b、11cの第1規制機構36と構造が異なり、摺動ピン41と第1規制ピン42と一体に形成されている。
すなわち、第1規制機構36と共通の構成部材は同一の符号を付して簡単に説明すると、第2規制機構46は、ボディ24の底部24bの内部径方向に貫通形成された移動用孔38と、シリンダヘッド1内に保持穴1aと軸直角方向に形成された規制用孔39と、移動用孔38の内部一端側に固定されたリテーナ40と、移動用孔38の内部に摺動自在に設けられて、移動用孔38から規制用孔39に跨って移動可能な第2規制ピン47と、第2規制ピン47の後端とリテーナ40との間に弾装されて、第2規制ピン47を規制用孔39方向へ付勢するリターンスプリング49と、から主として構成されている。
リテーナ40は、軸方向の長さが図5(B)に示すように、第2規制ピン47が移動用孔38に完全に収容された時点で、先端縁に第2規制ピン47の後端が当接してそれ以上の後退移動を規制する長さに設定されている。
第2規制ピン47は、円筒状に形成されて、中実な先端部47aが軸方向へ延設されていると共に、外径が移動用孔38と規制用孔39の内径よりも僅かに小さく形成されて円滑な摺動性が確保されている。また、この第2規制ピン47は、第2油通路孔48から規制用孔39に供給された油圧を受圧面として先端面47aが受けることにより、図5(B)に示すように、リターンスプリング49のばね力に抗して後退移動して先端部が規制用孔39から抜け出して全体が移動用孔38内に収容されて、規制が解除されるようになっている。
また、第2規制ピン47は、図5(C)に示すように、先端面47aが良好な摺動性を確保するために摺動用穴34の内周面とほぼ同じ曲率の円弧面状に形成されている。また、リテーナ40は、後端面の呼吸孔40aが臨む中央部40bが平坦に形成されているが、外端部40c、40cが、滑らかな摺動性を確保するために摺動用穴34の内周面とほぼ同一の曲率の円弧面状に形成されている。
第2油通路孔48には、図7に示すように、第2オイルポンプ64から圧送された油圧が第2電磁切換弁65を介して第2信号油圧として供給されるようになっている。第2電磁切換弁65(第2油圧供給/供給停止変換手段)は、図外のバルブボディの内部に摺動自在に設けられたスプール弁を、ソレノイドの電磁力とコイルスプリングのばね力とによって、オン、オフ的に2段階に切り換えるようになっており、ソレノイドに、コントロールユニット53から制御電流が通電、非通電されてポンプ吐出通路と第2油通路孔48とを連通して第2規制ピン47に第2信号油圧を供給するか、またはポンプ吐出通路を閉止して第2油通路孔48と第2ドレン通路66を連通するように切り換え制御されるようになっている。
したがって、機関停止には、コントロールユニット53からソレノイドに通電されず第2電磁切換弁64が、ポンプ吐出通路を閉止して第2油通路48と第2ドレン通路45を連通することから第2弁停止機構11aによるロストモーションが作動せず、第1油圧ラッシアジャスタ10aはシリンダヘッド1にロックされた状態である弁作動態様になっている。すなわち、第2弁停止機構11aは、切り換えエネルギである油圧の供給が停止された場合に、弁作動状態に機械的に安定する弁作動安定型となっている。
コントロールユニット53は、クランク角センサやエアーフローメータ、水温センサ、スロットルバルブ角度センサなどの各種センサ類から機関回転数や負荷、スロットルバルブ開度量などの情報信号に基づいて機関運転状態を検出すると共に、この機関運転状態と制御軸21の現在の回転位置を検出する図外の回転位置センサからの情報信号(VEL制御軸実位置信号)によって電動モータ51を駆動制御して制御軸21の回転位置を制御する。これによって、#1、#2気筒の4つの排気弁3a〜3bのリフト量と作動角を変化させるようになっている。
すなわち、図8に示すように、各排気弁3a〜3bのリフト量は、対応する各油圧ラッシアジャスタ10a、10b、10dが第2、第1弁停止機構11a〜11cによってロストモーションせずにシリンダヘッド1にロックされて弁停止が行われない場合は、最小のL1から最大のL4までの範囲で変化させるのである。
各排気弁3a〜3bが最大リフト量L4に制御された場合の排気VELの作動は、図9、図10に示す通りである。図9は弁停止機構を備えた、例えば#1気筒のR側を示し、#2気筒のR側と#1気筒のF側も同様であって、これらには前述の第1、第2弁停止機構11b、11c、11aが設けられている。この図9に示す状態は、例えば第1弁停止機構11bによって第2油圧ラッシアジャスタ10bがロストモーションせずにシリンダヘッドにロックされた弁作動状態を示している。制御軸21の回転角度は、最大リフト量L4に対応するθ4になっており、駆動カム5aが時計方向に回転し、図9(A)のピークリフトに示す位置で最大リフトL4となり、図9(B)に示す位置で閉弁となる。第1弁停止機構11cを有する#2気筒のR側も同様で、#1気筒のF側も第2弁停止機構11aに置き換わるだけで同様の作用となる。なお、これらは同様のリフト特性で弁作動(弁開閉作動)する。
一方、図10は弁停止機構を備えていない常時稼働#2気筒F側の排気弁3bと第3油圧ラッシアジャスタ10cを示し、ここには弁停止機構が設けられておらず、したがって、図9に示す弁作動態様の場合の#2気筒のR側と同じリフト特性で弁作動する。
図11(A)、(B)は排気弁が最小リフトに制御された場合の作動説明図であり、例えば吸気側の#1気筒のR側において、排気弁3aが最小リフト量L1に制御された場合のVELの作動を示している。第1弁停止機構11bが弁停止作動せず第2油圧ラッシアジャスタ10bがロストモーションせずシリンダヘッドにロックしている場合は、リフト量がL1に制御される。一方、第1弁停止機構11bが弁停止作動(ロストモ−ション作動)している場合には、図11(C)に示すように、第2油圧ラッシアジャスタ10bがM1だけロストモーションして、リフト量が零の状態を継続する弁停止態様(状態)となる。
第1弁停止機構を備えた他の#2気筒のR側の作動は、図11(A)、(B)、(C)に示す#1気筒のR側と同様である。また。第2弁停止機構を備えた#1気筒のF側も、弁停止安定型が弁作動安定型になるだけであって、図11に示す作動は同様である。更に、弁停止機構を備えていない#2気筒のF側に関しては、図示しないが、図11(A)、(B)に示す弁作動態様の場合の#1気筒のR側と同一リフト特性となる。
また、コントロールユニット53は、機関運転状態に応じて排気VTC100の図外の排気VTC電磁切換弁(図14には図示)に制御信号を出力することにより、オイルポンプ54またはオイルポンプ64から吐出された油圧を介してクランクシャフトに対して図外のベーンロータを進角側あるいは遅角側へ相対回転させて駆動軸5の回転位相を可変にする。これによって、各排気弁3a、3a、3b、3bの開閉タイミングやピークリフトの位相を制御するようになっている。尚、以下ではオイルポンプ54を使用して排気VTC100や後述の吸気VTC200の油圧を供給するものとする。
〔吸気側の動弁装置〕
吸気側の動弁装置は、図2、図3及び図7に示されており、排気側のようなリフト可変機構(排気VEL)を有していないが、前述の排気VTC100と同様のバルブタイミング制御機構(吸気VTC)200を有し、#1気筒のみに弁作動安定型の弁停止機構を備えている。
すなわち、図2、図3に示すように、シリンダヘッド1内に形成された一気筒当たり一対の吸気ポート70、70をそれぞれ開閉する一気筒当たり2つの吸気弁71a、71a、71b、71bが設けられている。つまり、#1気筒ではF側とR側の第1、第2吸気弁71a、71a、#2気筒ではF側とR側の第1、第2吸気弁71b、71bが設けられている。
吸気側動弁装置として、各気筒の上方側に機関前後方向に沿って配置され、外周に各吸気弁71a〜71bを各バルブスプリング72のばね力に抗して開作動させる卵形の回転カム73aを有する吸気カムシャフト73が設けられており、各吸気弁71a〜71bと各回転カム73aとの間に介装されたローラ77及び各スイングアーム74を介して各吸気弁71a〜71bを図8、図12Aに示す一定バルブリフト量LIをピークリフトとして開閉作動するようになっている。
また、シリンダヘッド1に保持されて、各スイングアーム74と各吸気弁71a〜71bとの隙間及び各回転カム73aのベースサークルとの間の隙間を零ラッシ調整する支持部材(ピボット)である油圧ラッシアジャスタ75a〜75dがそれぞれ配設されている。つまり、吸気側にも4つの油圧ラッシアジャスタ75a〜75dがあり、#1気筒に第1、第2油圧ラッシアジャスタ75a、75bが配設され、#2気筒に第3、第4油圧ラッシアジャスタ75c、75dが配設されている。
ここで、第1油圧ラッシアジャスタ75aは、#1気筒のF側に配設され、第2油圧ラッシアジャスタ75bは、同R側に配設され、第3油圧ラッシアジャスタ75cは、#2気筒のF側に配設され、第4油圧ラッシアジャスタ75dは、同R側に配設されている。
そして、図2に示す#1気筒のF側とR側の吸気弁71a、71a側の各第1、第2油圧ラッシアジャスタ75a、75bは、それぞれロストモーション機構(第3弁停止機構11d、11e)を備えている。これらの第3弁停止機構11d、11eは、図5に示す排気弁側#1気筒のF側の第2弁停止機構11aと同様の構成となっている。すなわち、切り換えエネルギである油圧の供給が停止された場合に、弁作動状態に機械的に安定する、弁作動安定型となっている。第2弁停止機構11aが排気弁3a側なのに対し、これらは吸気弁71a、71a側に用いられるので、説明の混乱を避けるために第3弁停止機構11d、11eと称する。一方、#2気筒のF、R側の吸気弁71b、71bの第3、第4油圧ラッシアジャスタ75c、75dは弁停止機構を備えていない。
第3弁停止機構11d、11eは、前述した図5に示す第2弁停止機構11aと同様の構造であるから、図5において、同一の参照番号を付して具体的な説明は省略する。すなわち、シリンダヘッド1の各保持穴1aの底部側に連続して形成された円柱状の摺動用穴34と、摺動用穴34の底面とボディ24の下面との間に弾装されて、第1、第2油圧ラッシアジャスタ75a、75bを上方向へ付勢するロストモーションスプリング35、35と、第1、第2油圧ラッシアジャスタ75a、75bのロストモーションを規制する第3規制機構76と、から構成されている。
そして、この第3弁停止機構11d、11eを備えた#1気筒側の第1、第2吸気弁71a、71aは、そのバルブリフト量が図8の破線で示すように、ロストモーションにより弁停止された場合は零リフトとなり、弁停止されていない場合は、ピークリフト量がLI一定となっており、これは同図実線で示す#1、2気筒の各排気弁3a〜3bのやや大きな中リフトL3とほぼ同じであり、最大リフト量L4よりも小さくなるように設定されている。
図12は#1気筒の吸気弁側の作動状態を示し、(A)は第1、第2吸気弁71a、71aがやや大きな一定ピークリフト量LI(≒L3)で作動している状態を示し、(B)は第1、第2吸気弁71a、71aの閉弁状態、(C)は第3弁停止機構11d、11eによって第1、第2ラッシアジャスタ75a、75bのロストモーション作動状態(弁停止状態)を示している。
また、図12(C)に示すように、#1気筒の各吸気弁71a、71a側の各第3弁停止機構11d、11eによる各油圧ラッシアジャスタ75a、75bのロストモーション量はM3と比較的大きく、スイングアーム74とロストモーション方向のなす角度α3も比較的大きな値になっている。ここで、この角度α3は、より具体的には、スイングアーム74の揺動支点とローラの回転中心を結ぶ線と、油圧ラッシアジャスタのロストモーション方向としての軸線とのなす角度である。
しかしながら、このα3程度であれば、高回転になった場合でも各油圧ラッシアジャスタ75a、75bの頭部と各スイングアーム74の凹部との当接が浮くことはなく、円滑なロストモーション作動が得られる。逆にいえば、M3(α3)の値は、円滑なロストモーション作動が得られる範囲内の値となっている。ここで、排気側VELに戻るが、仮に図9に示す大リフトL4制御の状態から弁停止に移行してロストモ−ション量がM4(α4)まで更に大きくなったと想定すると、高回転になった場合には当接部が不均一ないし局部的な接触となり、両者間のズレが生じ、更には当接部に浮き(セパレ−ション)が発生するようになり、円滑なロストモーション作動が得られず不整挙動が発生する場合がでてくる。それを考慮し、図15に示す所定の機関レブリミットが設けられている。
一方、再び吸気側に戻るが、弁停止機構を有さない#2気筒の吸気側の第3、第4ラッシアジャスタ75c、75dは、図6に示す#2気筒の排気側の第3ラッシアジャスタ10cと同じ構造である。そして、この#2気筒の各吸気弁71b、71bの固定的なバルブリフト量も#1気筒の各吸気弁71a、71aと同じくピークリフト量がLIとなるように回転カム73aのカムプロフィールが同一に設定されている。
なお、図12Aに示すように、ピークリフト状態でのスイングアーム74とロストモーション方向とのなす角度β3は理想の90°に近く、高回転域でバルブのジャンピングなどが発生しても、スイングアーム74と油圧ラッシアジャスタ頭部27との横ずれは発生しにくく、スイングアーム74の外れなどは発生しにくくなっている。
また、排気側についても、ピークリフト状態でのスイングアーム6のロストモーション方向とのなす角度は、図9(A)及び図10(A)に示すリフト量L4制御でのβ4で示すように、理想の90°に近い角度になっており、同様にして弁作動時におけるスイングアームの外れなどの不整挙動は発生しにくくなっている。すなわち、弁作動時におけるβ3〜β4と90°との差は、ロストモ−ション時におけるα3と90°との差より小さく、弁作動時におけるスイングアームの外れなどの不整挙動はロストモ−ション時より発生しにくくなっている。
尚、吸気VTC200は、排気VTC100と同様の構造であり、コントロールユニット53は、機関運転状態に応じて吸気VTC200の図外の吸気VTC電磁切換弁に制御信号を出力することによりオイルポンプ54から吐出された油圧を介してクランクシャフトに対して図外のベーンロータを進角側あるいは遅角側へ相対回転させて駆動軸5の回転位相を可変にする。
これによって、各吸気弁71a〜71bの開閉タイミング(リフト位相)を制御するようになっている。ここで、本実施例では吸気VTC電磁切換弁に油圧を供給するオイルポンプは、排気VTC電磁切換弁に油圧を供給するオイルポンプ54と共用されている。ただし、必要に応じて個別に設けられていても良いものである。共用する場合はエンジンシステム構造が簡素化され、個別に設ける場合は各VTCの変換応答性が向上するというそれぞれ別の長所を備えるようになる。
図13、図14に排気VTC100の構成を示している。排気VTC100は、いわゆるベーンタイプのものであって、図13(A)、(B)及び図14に示すように、機関のクランクシャフトによって回転駆動されて、この回転駆動力を駆動軸5(カムシャフト)に伝達するタイミングスプロケット161と、駆動軸5(カムシャフト)の端部に固定されてタイミングスプロケット161内に回転自在に収容されたベーン部材132と、ベーン部材132を油圧によって正逆回転させる油圧回路とを備えている。
タイミングスプロケット161は、ベーン部材132を回転自在に収容したハウジング134と、ハウジング134の前端開口を閉塞する円板状のフロントカバー135と、ハウジング134の後端開口を閉塞するほぼ円板状のリアカバー136とから構成され、これらハウジング134及びフロントカバー135、リアカバー136は、4本の小径ボルト137によって駆動軸5(カムシャフト)の軸方向から一体的に共締め固定されている。
ハウジング134は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面の周方向の約90°位置に4つの隔壁であるシュー134aが内方に向かって突設されている。
この各シュー134aは、横断面ほぼ台形状を呈し、ほぼ中央位置に各ボルト137の軸部が挿通する4つのボルト挿通孔134bが軸方向へ貫通形成されていると共に、各内端面に軸方向に沿って切欠形成された保持溝内に、コ字形のシール部材138とシール部材138を内方へ押圧する図外の板ばねが嵌合保持されている。
フロントカバー135は、円盤プレート状に形成されて、中央に比較的大径な支持孔135aが穿設されていると共に、外周部に各シュー134aの各ボルト挿通孔134bに対応する位置に図外の4つのボルト孔が穿設されている。
リアカバー136は、後端側にタイミングチェーンが噛合する歯車部136aが一体に設けられていると共に、ほぼ中央に大径な軸受孔136bが軸方向に貫通形成されている。
ベーン部材132は、中央にボルト挿通孔を有する円環状のベーンロータ132aと、ベーンロータ132aの外周面の周方向のほぼ90°位置に一体に設けられた4つのベーン132bとを備えている。
ベーンロータ132aは、前端側の小径筒部がフロントカバー135の支持孔135aに回転自在に支持されている一方、後端側の小径な円筒部がリアカバー136の軸受孔136bに回転自在に支持されている。
また、ベーン部材132は、ベーンロータ132aのボルト挿通孔に軸方向から挿通した固定ボルト157によって駆動軸5(カムシャフト)の前端部に軸方向から固定されている。
各ベーン132bは、その内の3つが比較的細長い長方体形状に形成され、他の1つの幅長さが大きな台形状に形成されて、3つのベーン132bはそれぞれの幅長さがほぼ同一に設定されているのに対して1つのベーン132bはその幅長さが3つのものよりも大きく設定されて、ベーン部材132全体の重量バランスが取られている。
また、各ベーン132bは、各シュー134a間に配置されていると共に、各外面の軸方向に形成された細長い保持溝内にハウジング134の内周面に摺接するコ字形のシール部材140及びシール部材140をハウジング134の内周面方向に押圧する板ばねが夫々嵌着保持されている。また、各ベーン132bの吸気側カムシャフト159の回転方向と反対側の一側面には、ほぼ円形状の凹溝132cが形成されている。また、この各ベーン132bの両側と各シュー134aの両側面との間に、それぞれ4つの進角側油圧室141と遅角側油圧室142がそれぞれ隔成されている。
油圧回路は、図14に示すように、各進角側油圧室141に対して作動油の油圧を給排する第1油圧通路143と、各遅角側油圧室142に対して作動油の油圧を給排する第2油圧通路144との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路143、144には、供給通路145とドレン通路146とが夫々通路切り換え用の電磁切換弁147を介して接続されている。供給通路145には、オイルパン148内の油を圧送する一方向のオイルポンプ149が設けられている一方、ドレン通路146の下流端がオイルパン148に連通している。なお、本実施例においては、オイルポンプ149は、前述のオイルポンプ54が兼用される。
第1、第2油圧通路143、144は、円柱状の通路構成部139の内部に形成され、この通路構成部139は、一端部がベーンロータ132aの小径筒部から内部の支持穴132d内に挿通配置されている一方、他端部が電磁切換弁147に接続されている。また、通路構成部139の一端部の外周面と支持穴114dの内周面との間には、各油圧通路143、144の一端側間を隔成シールする3つの環状シール部材160が嵌着固定されている。
第1油圧通路143は、支持穴132dの駆動軸6側の端部に形成された油室143aと、ベーンロータ132aの内部にほぼ放射状に形成されて油室143aと各進角側油圧室141とを連通する4本の分岐路143bとを備えている。
一方、第2油圧通路144は、通路構成部139の一端部内で止められ、一端部の外周面に形成された環状室144aと、ベーンロータ132の内部にほぼL字形状に折曲形成されて、環状室144aと各遅角側油圧室142と連通する第2油路144bとを備えている。
電磁切換弁147は、4ポート3位置型であって、内部の弁体が各油圧通路143、144と供給通路145及びドレン通路146とを相対的に切り替え制御するようになっていると共に、コントローラ53からの制御信号によって切り替え作動されるようになっている。
また、この電磁切換弁147は、制御電流が出力されない場合に、供給通路145が進角側油圧室141に連通する第1油圧通路143と連通し、ドレン通路146が遅角側油圧室142と連通する第2油圧通路144に連通するようになっている。また、電磁切換弁147内のコイルスプリングによって機械的にかかるポジションとなるように形成されている。
図7に示すコントローラ53は、機関運転状態を検出すると共に、駆動軸5(カムシャフト)の回転位置を検出するカム角センサからの検出信号とクランク角センサの検出信号からクランクシャフトに対する駆動軸5(カムシャフト)の相対回転角(排気VTC100の実位置)を検出するようになっている。
また、ベーン部材132とハウジング134との間には、このハウジング134に対してベーン部材132の回転を拘束及び拘束を解除する拘束手段であるロック機構が設けられている。このロック機構は、幅長さの大きな1つのベーン132bとリアカバー136との間に設けられ、ベーン132bの内部の駆動軸106の軸方向に沿って形成された摺動用穴150と、摺動用穴150の内部に摺動自在に設けられた有蓋円筒状のロックピン151と、リアカバー136に有する固定孔内に固定された横断面カップ状の係合穴構成部152に設けられて、ロックピン151のテーパ状先端部151aが係脱する係合穴152aと、摺動用穴150の底面側に固定されたスプリングリテーナ153に保持されて、ロックピン151を係合穴152a方向へ付勢するばね部材154とから構成されている。また、係合穴152aには、図外の油孔を介して進角側油圧室141内の油圧あるいはオイルポンプ54の油圧が直接供給されるようになっている。
そして、ロックピン151は、ベーン部材132が最進角側に回転した位置で、先端部151aがばね部材154のばね力によって係合穴152aに係合してハウジング130とベーン部材132との相対回転をロックする。また、進角側油圧室141から係合穴152a内に供給された油圧あるいはオイルポンプ54(149)の油圧によって、ロックピン151が後退移動して係合穴152aとの係合が解除されるようになっている。
また、各進角側油圧室141の内部、つまり、各ベーン132bの一側面と一側面に対向する各シュー134aの対向面との間には、ベーン部材132を進角側へ回転付勢する付勢部材である一対のコイルスプリング155、156が配置されている。
各コイルスプリング155、156は、最大圧縮変形時にも互いが接触しない軸間距離をもって並設されていると共に、各一端部がベーン132bの凹溝132cに嵌合する図外の薄板状のリテーナを介して連結されている。
以下、排気VTC100の基本的な動作を説明すると、まず、機関停止時には、コントローラ53から電磁切換弁147に対する制御電流の出力が停止されて、図14に示すように、供給通路145と進角側の第1油圧通路143とが連通されると共に、ドレン通路146と第2油圧通路144が連通される。また、かかる機関が停止された状態ではオイルポンプ54の油圧が作用せず供給油圧も0になる。
したがって、ベーン部材132は、図13(A)に示すように、各コイルスプリング155、156のばね力によって最進角側に回転付勢されて1つの幅広ベーン132bの一端面が対向する1つのシュー134aの一側面に当接する、と同時にロック機構のロックピン51の先端部151aが係合穴152a内に係入して、ベーン部材132をかかる最進角位置に安定に保持する。すなわち、最進角位置に排気VTC100が機械的に安定するデフォルト位置になっている。ここで、デフォルト位置とは、非作動時、つまり、制御信号が発せられない場合や、油圧が発生していない場合に機械的に自動的に安定する位置のことである。
次に、機関始動時、つまりイグニッションスイッチをオン操作して、駆動モータ(スタータモータ等)や燃焼圧に基づく回転力等によりクランクシャフトをクランキング回転させると、電磁切換弁147にコントローラ53から制御信号が出力される。しかしながら、このクランク開始直後の時点では、まだオイルポンプ54の吐出油圧が十分に上昇していないことから、ベーン部材132は、ロック機構と各コイルスプリング155、156のばね力とによって最進角側に保持されている。
このとき、コントローラ53から出力された制御信号によって電磁切換弁147が供給通路145と第1油圧通路143を連通させると共に、ドレン通路146と第2油圧通路144とを連通させている。そして、クランキングが進み、オイルポンプ54から圧送された油圧の上昇とともに第1油圧通路143を通って進角側油圧室141に供給される一方、遅角側油圧室142には、機関停止時と同じく油圧が供給されずにドレン通路146から油圧がオイルパン148内に開放されて低圧状態を維持している。
ここで、クランキング回転が上昇し油圧が更に上昇した後は、電磁切換弁147による自在のベーン位置制御ができるようになる。つまり、進角側油圧室141の油圧の上昇に伴ってロック機構の係合穴152a内の油圧も高まってロックピン151が後退移動し、先端部151aが係合穴152aから抜け出してハウジング134に対するベーン部材132の相対回転を許容するため、自在なベーン位置制御が可能になる。
その後、例えば、コントローラ53からの制御信号によって電磁切換弁147が作動して、供給通路145と第2油圧通路144を連通させる一方、ドレン通路146と第1油圧通路143を連通させる。したがって、今度は進角側油圧室141内の油圧が第1油圧通路143を通ってドレン通路146からオイルパン148内に戻され、進角側油圧室141内が低圧になる一方、遅角側油圧室142内に油圧が供給されて高圧となる。
よって、ベーン部材132は、かかる遅角側油圧室142内の高圧化によって各コイルスプリング155、156のばね力に抗して図中反時計方向へ回転して図13(B)に示す位置に向かって相対回転して、タイミングスプロケット161に対する駆動軸5(カムシャフト)の相対回転位相を遅角側に変換する。また、電磁切換弁147のポジションを中立位置にすることで、任意の相対回転位相に保持できる。更に、始動後の機関運転状態に応じて相対回転位相を、図13(A)の最進角位置から図13(B)の最遅角位置まで連続的に変化させるのである。
以上のような可変動弁機構を備えた可変動弁装置の作動とその作用、効果について説明する。
機関停止時には、各オイルポンプ54、64が作動していないので、第1、第2電磁切換弁55、65のオン・オフ位置によらず、信号油圧は非作動ないし低圧となっており、第1弁停止機構11b、11cは弁停止安定型のため弁停止態様、すなわちロストモ−ション作動できる状態になっており、一方、第2弁停止機構11a、第3弁停止機構11d、11eは弁作動安定型のため弁作動態様になっている。
したがって、図16の運転領域Aの「気筒作動」に示すように、#1、#2両気筒の片側(R側)の2つの排気弁3a、3bは弁停止状態、他のF側2つの排気弁3a、3b及び全吸気弁は駆動(弁作動)状態になっている。また、排気VTC100にも油圧が作動していないのでデフォルト位置である最進角位置に維持されている。この時の常時稼働気筒(作動側気筒)である#2気筒の排気弁のリフト中心位相値は位相θaであり、吸気弁のリフト中心位相値は位相θa′であり、それぞれ最進角状態をとっている。
機関始動のためのクランキングが開始されて、始動燃焼が開始されても、オイルポンプ54、64の油圧が急には立ち上がらず、前述した状態(態様)は維持される。したがって、この時の常時稼働気筒である#2気筒の排気弁のリフト中心位相値は位相θaであり、吸気弁のリフト中心位相値は位相θa′であり、それぞれ最進角状態をとっている。
また、第1電磁切換弁55(第1弁停止機構を変換)の信号及び第2電磁切換弁65(第2、第3弁停止機構を変換)の信号ともオフ制御、すなわち、各信号油圧はポンプ油圧でなくドレン通路45、66と連通し、各信号油圧は低圧しか作用し得ない状態となっており、オイルポンプ54、64の油圧がたとえ早めに立ち上がった場合でも、前述の状態を維持できるようになっている。更に、この状態であっても排気VTC100にも油圧が作動していないのでデフォルト位置である最進角位置に維持されている。
ここで、機関始動時には、低い機関温度に起因して機関各部のフリクションが増大しており、また、始動時は機関温度が低く、燃焼不良になりやすいことから排気エミッションも多い。
これに対して本実施形態では、始動クランキング前から全気筒の排気弁3a〜3bが片弁停止(排気弁片弁停止)態様になっているので、クランキング初期から動弁フリクションの低減効果が得られる。この結果、始動フリクションが確実に低減されて始動性を向上できると共に、一方の排気ポ−トのみにしか燃焼ガスが流れないため、排気ガスが接触するポート表面積が半減し壁面冷却が少なくなるのでガス温度低下が抑制される。更に片弁停止により排気ポート2内のガス流動が強化されるので、排気ガス中の未撚成分の反応が促進され、更にその反応熱によって触媒が速やかに昇温して早期活性化が促進される。これによって、始動時の排気エミッションも低減できる。
以上のように、クランキング前から、第1弁停止機構は弁停止態様に予め機械的に安定し、第2弁停止機構は弁作動態様に予め機械的に安定している、すなわち、全気筒(2気筒)とも排気片弁停止態様に機械的に予め構成されているので、クランキング初期から上述の動弁フリクション低減効果などが遅れなく確実に得られるのである。更に、各弁停止機構を制御する各電磁切換弁に断線などの電気系の故障があった場合であっても、上述の全気筒排気片弁停止態様に機械的になっているので、始動性を確保できる、すなわち、いわゆるメカニカルフェールセーフの効果も持つのである。
更にこれらの効果に加え、本実施形態では、電動式の排気VELにより、#1・#2気筒のF側の駆動側排気弁3a、3bも小リフト量、小作動角(リフト量L1、作動角D1)にできるので、更に機関摺動部のフリクションが低減されて始動性が一層向上する。
また、作動角(開弁期間)の縮小化によって排気弁3a、3bの開時期は下死点付近まであるいはそれを越えて遅角し、排気弁の閉時期は上死点よりも十分に進角したタイミングとなる。
すなわち、排気弁の開時期は、下死点付近まであるいはそれを越えて遅角したことにより、筒内の高温燃焼ガスが排出されるまでの期間が延長されるので、機関自体を効果的に暖めることができ、したがって、機関温度上昇を促進できる。
一方、排気弁閉時期は上死点よりも十分に進角したタイミング(ピストンが上死点よりかなり前)なので、筒内に大量の高温の燃焼ガス(排気ガス)を残した状態で排気弁3a、3bが閉じられる。そして、ピストンが上昇するにつれて燃焼ガスは圧縮され、更に温度が上昇して機関が暖められる。以上のようにして、迅速に機関そのものが暖機されるのである。
次に、燃焼ガスが排気ポ−ト2から排出される場合について考察する。ここで、独立して設けられたF側の排気ポ−ト2とR側の排気ポ−ト2の間には、前述したように、隔壁1bが存在する。両#1、#2気筒ともR側の排気弁3a、3bは弁停止状態なので、弁作動側のF側の排気ポ−ト2から高流速(高ガス流動)で燃焼ガスが流出する。この高ガス流動により、排気ガス(燃焼ガス)中の未燃HCやPM(粒子状物質パーティキュレートマター)などの酸化反応が進み(いわゆる後燃え)、これらが排気ガスの温度上昇効果を生み、後流での排気ガス温度低下を抑制するのである。
また、作動側排気弁の開時期は、下死点を越えている場合には、既にピストンは上昇を開始しており、これにより、筒内圧の上昇(ないし燃焼ガス温度低下による筒内圧減少の抑制)が可能となり、スワ−ル効果が一層高まり、上記排気ガスの温度上昇が進むのである。
ここで、大事な点は、以上のようなエミッションに有利な可変動弁の制御位置は、機関停止時における各可変動弁の機械的な安定位置(デフォルト位置)と同じであるため、始動前に予めエミッションに有利な吸排気弁作動態様になっているので、始動燃焼のまさに最初からエミッシヨン低減などの効果を得ることができるのである。
更に、可変動弁制御系において、断線などの電気的故障があった場合でも、機械的にエミッションに有利な吸排気弁作動態様を維持するので、このような故障の場合であっても、エミッション低減を実現できるという、所謂、メカニカルフェ−ルセ−フ効果も持つのである。
また、筒内から高温の排気ガスが排出された直後、この排気ガスが接するのはF側の排気ポ−ト2のみなので、つまり排気ガスを冷却する表面積が半減しているので、排気ガスの伝熱(放熱)による温度低下(冷却)が抑制される。したがって、後燃え効果、伝熱冷却抑制の両面から排気ガスの温度は高く維持される。
ここで、図3の破線で示す隔壁1bの先端1cより後流側についてみてみると、隔壁1bがなくなり両排気ポ−ト2、2が集合し、その集合排気ポ−トの断面積は、集合前のF側の排気ポ−ト2の断面積とR側の排気ポ−ト2の断面積の和とほぼ一致するように設定されている。
排気ガス流が隔壁1bの先端1cを越えると、F側排気ポ−ト2の高流速流は前述の集合排気ポ−トの中心側(R側の排気ポ−ト2側)に方向を変えた斜流となり強い旋回流を生じ、流れの乱流成分が増大する。
この結果、排気ガス(燃焼ガス)中の未燃HCやPM(粒子状物質)などの酸化反応などが更に進み(いわゆる後燃え)、排気ガスの温度上昇が更に進むのである。
ここで、隔壁1bの先端1cの少し後流の位置で、γだけポ−ト方向が急変しており、これによっても、更に乱流成分を増加させ、排気ガスの温度上昇効果を高めることもできる。
以上のように、両排気ポ−ト2、2が分離している隔壁1bの先端1cまでの領域と、隔壁1bの先端1cを越えて両排気ポート2、2が集合した領域の両方において、排気ガスの温度上昇が更に進むのである。
この結果、後流の触媒の位置おいても、排気管路冷却により排気ガス温度が低下した段階での排気ガス温度を相対的に高くでき、もって触媒の温度上昇を促がして触媒を活性化させ、排気エミッション転化率(有害成分の浄化率)を早期に高められ、もって始動時におけるHCやPMといった有害排気エミッションの大気への排出を抑制できるのである。
一方、機関本体の温度そのものも、前述のように暖機が早く進むので、暖機の進行に伴い燃焼が改善されていくため気筒からの有害排気エミッシヨンの排出量自体が減少していき、その面からも、触媒通過後の有害排気エミッション(HC、NOx、PMなど)の放出を一層低減できる。つまり、冷機時での高濃度のエミッションが排出される時間そのものも低減でき、冷機始動運転において大気に排出されるエミッションの総量を低減できるのである。更にはこの時の燃料消費量も併せて低減でき、この点からも有利である。また、この他に機関本体が早期に暖機されるので、暖房の効きを早めることができ冬季における居室内の快適性を高めることができるようになる。
次に機関の暖機が進んだ暖機後になると、高温残留ガスを筒内に多く保持する必要が薄れるので、図16のA領域上段(暖機後)に示すように、排気弁3a、3bの作動角(開弁期間)を拡大し、吸気弁との間のマイナスのバルブオーバーラップをやめ、マイナスオ−バ−ラップ零あるいは小さな正のバルブオーバーラップを設け、残留ガスを減らし燃焼安定性を向上させる。ここで、排気片弁停止なので、正バルブオーバーラップ区間において、吸排気弁を介して筒内に再度取り込む既燃ガス(燃焼ガス)を低減する効果も得られる。ここでの、常時稼働気筒(#2気筒)の排気弁のリフト中心位相値は位相θaであり、吸気弁のリフト中心位相値は位相θa′であり、冷機時から変更されていない。しかしながら、排気VELによって排気弁3a、3bの作動角(開弁期間)を拡大されているので、排気弁の開弁時期は進角されると共に、閉弁時期は遅角されることになる。
これらにより、常用されるアイドリング運転や低トルク運転領域において、筒内の残留ガス量を抑制することで、回転変動を抑制して音振性能を向上できる。
また、排気片弁停止で且つ作動側排気弁もやや小作動角なので、動弁フリクションが小さく、燃費が向上する。更に、排気弁3a、3bの開時期を下死点よりやや進角しているので、低トルク運転領域の膨張行程において、筒内圧の負圧が発達する前に排気弁3a、3bを開くことができ、低トルク運転領域でありがちな膨張行程でのポンプ損失を抑制でき、一層燃費が向上できる。
一方、排気片弁停止による前述の始動時と同様の排気ガス温度上昇効果を有しており、排気ガス温度を高くでき、もって触媒の転化率を高めることができ、この常用域においても排気エミッション低減効果が得られる。
次に、図15において、A領域から更にアクセルを吹かして、回転やトルクが図15のマップ上の矢印に沿って加速していく場合について考えることにする。
まず、A領域より機関回転数あるいはトルクがやや大きくなると、AB境界ラインを超え、排気片弁状態を維持しつつ、スロットル開度が拡大されるとともに、#1気筒のみが気筒休止するB領域(減筒領域、片弁)に移行する。
すなわち、第2弁停止機構11aと第3弁停止機構11d、11eに第2切換弁制御信号ON信号が送られ、#1気筒が気筒休止態様(4つの吸排気弁が全て停止態様)に移行する。
4つの吸排気弁のうち、R側の排気弁3aはもともと停止態様であるので、弁停止状態に新たに移行するのは、3弁(3箇所)だけである。具体的には、#1気筒の排気弁停止機構11a、#1気筒の吸気弁停止機構11d、11eの3つ(3弁)だけである。
これら3つの弁停止機構11a、11e、11dは、図5に示す作動安定型弁停止機構に分類され、信号油圧が高圧となると、3つの第2規制ピン47が高油圧により押し出され、各々ロストモ−ション状態に移行することで弁停止移行するのである。3つの第2規制ピン47が移動する際にオイルが押し出される容積は、3×A(ピン面積)×S(移動ストロ−ク)であり、油圧をPとしたとき、P×3×A×Sがオイルのする仕事となる。この3×P×A×Sなる仕事を完了するまでかかる時間は、応答遅れとなる。
ここで、前述の従来例における、通常の気筒休止移行について考えてみると、4弁(4箇所)とも一度に弁停止移行することになるので、必要仕事は4×P×A×Sに増加し、もって気筒休止への変換応答性が悪化してしまうことになる。また、高圧を作用させる第2規制ピンへの油通路48は、本実施形態が3つであるのに対し、従来では4つであり、その分、油通路48からのオイル洩れが多くなり、もって作用油圧P自体も低下してしまうことになる。その面からも変換応答性が一層悪化してしまうのである。
しかるに、本実施形態では、高油圧で作動させる規制ピンの数が従来例より少ないため、変換に要するオイル仕事(油圧仕事)を低減でき、また油圧低下も少ないため、気筒休止への移行応答性を高めることができる。また、吸気弁71a、71aと排気弁3aが一度に同時に変換できるので、吸排気弁間の変換タイミングのズレの発生を抑制できる。
このB領域(減筒運転状態)では、常時稼動気筒(#2気筒)は排気弁片弁態様に維持されており、排気片弁停止により、A領域(暖機後)と同様の排気エミッション低減効果は維持され、更に、減筒運転により、常時稼動気筒(#2気筒)のF側の排気弁3bの一つの排気ポ−ト2のみから排気ガスが排出されるため、排気ガスの排気ポートからの熱伝達(熱逃げ、冷却)は一層抑制され、触媒には高温の排気ガスが送られ、触媒転化率が向上して排気エミッションを低減することができる。尚、この時の#2気筒の排気弁のリフト中心位相値は位相θbであり、A領域の場合に比べて遅角側に位相が遅らせられている。一方、吸気弁のリフト中心位相値は位相θa′であり、A領域と同じ位相である。
一方、1気筒のみの燃焼なので、排気ガスの絶対量は少なく、過度に触媒を加熱することは抑制され、触媒の熱劣化は抑制される。
次に、燃費について考える。機関フリクションは#1気筒の3弁の追加停止移行も加わり(さらなる動弁フリクションの低減)、一層低減される。また、減筒運転により、#2気筒での燃焼高負荷シフトによって、サイクル効率が向上し、燃費も更に向上する。すなわち、同じ機関トルクであっても燃焼ガスが接する筒内表面積が減筒運転によりほぼ半減するので、冷却損失なども低減するからである。
ここで、このB領域は、高速道路を一定速度で走行するなど、頻繁に使われる実用領域であり、ここでも、大きな排気エミッション低減効果や燃費低減(燃費向上)効果が得られるのである。
以上のように、減筒運転のB領域では、減筒移行直前と比較して排気エミッションは一層低減し燃費も一層向上するのであるが、とりわけ、本実施形態では、低排気エミッション・低燃費の減筒領域を高トルク側まで拡大でき、車両ト−タルでの燃費を向上できるのである。
なぜなら、図16のB領域の吸排気弁作動に示すように、排気弁3bのリフト量はL3.5、作動角はD3.5まで拡大され(L3リフトカ−ブとL4リフトカ−ブの中間)、排気VTC100によって排気弁は中心位相値θaから中心位相値θbに遅角され、この結果、排気弁の開時期はA領域の暖機後の状態からほぼ不変であるが、排気弁の閉時期は遅角される。これにより吸気弁との間に中程度のバルブオーバーラップが形成され、良好な吸排気作動が行われ、また吸気弁閉時期は下死点付近まで進角されており低中回転の吸気充填効率が確保され、高トルクを発生できるからである。
そして、更に機関回転・トルクが高まると、減筒運転では要求される機関トルクを出せなくなるので、図15のBC境界ラインを超えると、C領域(全筒運転、片弁)に遷移される。
すなわち、第2・第3弁停止機構11a、11d、11eへの第2切換弁制御信号がオフとなり、第2規制ピン47がピンばねにより右方に移動し、ラッシアジャスタがロストモ−ション作動できる状態からシリンダヘッド1に固定された状態に再び切り換わるのである。これにより、図16のC領域の「気筒作動」に示すように、#1気筒も再び稼動を開始するのである。一方、両気筒とも排気片弁状態は維持できており、排気片弁停止よるエミッション低減効果及び低燃費効果(排気片弁停止による低フリクション)を、A領域からC領域において、全筒運転、減筒運転によらず得ているのである。
ここで、BC境界ラインを超えると、全筒運転に切り換わるので、図16のB領域に示す吸排気弁特性のままだと、機関トルクが急増してしまう。
そこで、吸気VTC200によって遅角制御によりB領域の場合に比べて遅角側に中心位相値θc′まで遅らせ、吸気弁71a、71bの閉時期を充分遅らせる。そして、排気VELを最大リフトL4・最大作動角D4に変換し、排気VTC100で中心位相値θbから中心位相値θcにさらに遅角制御させる。尚、排気弁の開時期はB領域の暖機後の状態からほぼ不変であるが、排気弁の閉時期は遅角される。また、吸気VTC200も中心位相値θc′まで遅角制御されるので中程度のバルブオーバーラップが維持されることになる。
これにより、排気弁の開時期やバルブオーバーラップの変化を抑制しつつ吸気弁閉時期を充分遅らせることができ、吸気充填効率を抑制し、ポンプ損失も抑制しつつ、全筒運転化でのトルク急増や過渡性能不安定も抑制しつつ、全筒運転における燃費を向上するのである。
更に、アクセルペダルを踏み込んで加速していくと、トルク要求が高まるので、排気弁の開時期やバルブオーバーラップの変化を抑制しつつ排気弁作動角をD3.5(リフトL3.5)に向け縮小していき、吸気弁の閉時期を下死点側に進角していき、機関トルクを高めていく。しかしながら、全筒運転でも機関トルクが十分には上がらなくなる。なぜなら排気片弁停止は、排気ガス流動効果により排気エミッション低減に寄与してきたものの、全負荷に近い高負荷領域(排気ガス多量領域)ではこの排気ガス流動により排気抵抗が増加してしまうからである。
そこで、C領域の排気片弁停止をやめてD領域に遷移して排気両弁作動に切り換えるのである。すなわち、弁停止安定型弁停止機構である第1弁停止機構11b、11cの第1切換弁制御信号としてON信号を送ると、油圧ラッシアジャスタ10b、10dがロストモ−ション作動していたのがシリンダヘッド1に固定されるため、弁作動態様になるのである。ここでの変換応答性は、2箇所のみの変換であるので良好である。ここで、D領域は低中回転状態と高回転状態をとり、それぞれ排気弁と吸気弁の制御状態が異なっている。
D領域の低中回転状態の時の吸気弁は、吸気VTC200によって進角制御によりC領域の場合に比べて進角側に中心位相値θa′まで進ませ、吸気弁71a、71bの閉時期を進ませ、低中回転における充填効率を高める。そして、排気VELを最大リフトL3.5、最大作動角D3.5に変換し、排気VTC100で中心位相値θcから中心位相値θbにやや進角制御させる。尚、排気弁の開時期はC領域の状態からほぼ不変であるが、排気弁の閉時期は進角される。また、吸気VTC200も中心位相値θa′まで進角制御されているので中程度のバルブオーバーラップが維持されることになる。これにより、良好な吸排気ガス交換が継続すると共に過渡性能が安定化する。
更に、アクセルペダルを踏んで回転が上昇して高回転状態になると、再び中心位相値θa′から中心位相値θb′まで遅角していくので、吸気弁の閉時期は遅角していく。これにより高回転域の充填効率を高める。更に、排気VELを最大リフトL4、最大作動角D4に変換して行くが、排気弁の中心位相値θbはその状態を維持している。このため、排気弁の開弁時期は進角されると共に、閉弁時期は遅角されることになる。これによって中程度のバルブオーバーラップが維持されることになり、良好な吸排気ガス交換が継続すると共に過渡性能が安定化する。
したがって、機関回転数増加に応じた最大充填効率が得られるようにし、もって全回転域のトルクを向上できる。尚、回転数が上昇するにつれて吸気弁の閉時期を遅角していく際、バルブオーバーラップは維持しつつ、排気弁の作動角を拡大すれば、排気弁の開時期を早めることで排気効率を高めトルクを一層高めることもできる。
尚、この全負荷に近い高負荷のD領域では、排気ガス量が多いため、逆に排気片弁停止では触媒に流入する排気ガスの温度が過度に上昇し、触媒が熱劣化してしまう可能性がある。しかしながら、本実施例では、D領域は全気筒の両排気弁作動となっており、排気ガスのガス流動が抑えられる。これによって、後燃えが抑制され、更に全気筒において排気ガスが両排気ポ−ト2、2を通過するので熱伝達による冷却効果が最大に得られる。もって、排気ガス温度の過度な上昇を抑制でき、全負荷に近い高負荷で懸念される触媒熱劣化を防止できるのである。
このように、本実施例によれば、内燃機関の冷機時において、可変動弁機構の弁停止機構により一方の排気弁を作動停止すると共に、可変動弁機構の可変位相変更機構により、他方の排気弁の閉時期を上死点より進角した位置に制御するようにしている。
このため、一方の他方の排気弁の閉時期を上死点より進角した位置に制御しているので、高温の燃焼ガスが筒内に封じ込められるので機関本体の昇温(=暖機)が促進されるようになる。更に、一方の排気弁の作動を停止することにより他方の排気弁から排出される燃焼ガスが、排気ポ−ト側に流出する際のスワ−ル効果(乱れ効果)を高めることができ、排気ポ−ト側において未燃焼成分の酸化反応(いわゆる後燃え)が促進され、排気(燃焼)ガス温度の低下を抑制し、これにより後流に配置された排気ガス浄化触媒を昇温して転化率も高められるようになる。これによって排気有害成分の総量を低減することができるようになる。
次に本発明の第2の実施形態について説明するが、第1の本実施形態ではバルブリフトが連続的に変化する排気VELを使用するのに対し、本実施例では排気弁の各々のリフト量を2段階に変更可能な、一対のカム切換え機構を用いている点で相違している。尚、このリフト量を2段階に変更可能なカム切換え機構は、例えば、本出願の発明者等によって提案された特開2001-20711号公報に記載されている周知のカム切換え機構である。尚、このカム切換え機構は高速用カムと低速用カムを備えるものであるが、高速用カム及び低速用カムを実施例1に適応するように制御することで、実施例1に類似した制御が可能となるものである。
図17に示すように、リヤ側排気弁は冷機時にはゼロリフト(弁停止)に制御され、暖機後にはリフト量L3に制御される。つまりリヤ側のカム切換え機構は、ゼロリフトのカム山と弁リフト量L3と対応する大リフトカム山を有しており、この両カムを切り換えるものである。
一方、フロント側排気弁は、冷機時には小リフト量L1に制御され、暖機後にはリフト量L3に変更されるように制御される。つまりフロント側のカム切換え機構は、弁リフト量L1に対応した小リフトカム山と、弁リフト量L3と対応した大リフトカム山を有しており、この両カムを切り換えるのである。
ここで、冷機時についてみると、リヤ側排気弁は弁停止であり、フロント側排気弁はリフト量L1であり、このリフト量L1のリフト特性や開閉タイミングは実施例1の冷機時と同じ特性になっている。従って、リフト量を連続的に制御する排気VELを使わずとも、あるいは排気VTCを必ずしも併用せずとも、実施例1と同様のエミッション低減効果を得ることができる。
また、カム切換え機構のデフォルト位置を前述の冷機時特性に合わせておけば、実施例1と同様に、始動燃焼の初期から同じ効果を得られ、またカム切換え機構の電気系に断線などの故障があった場合でも、同じメカニカルフェ−ルセ−フ効果が得られるものである。
また、暖機が進むと図17の上段に示すように、実施例1と同様に両排気弁ともリフト量L3に変更される。このように、暖機時には常時一定のリフト量L3に維持されるので、実施例1のように細やかな制御はできないが、制御が簡素化されるメリットが得られる。
実施例1では、弁停止機構として、ロストモ−ション機構を用いたものを示し、実施例2ではカム切換え機構で小リフト側のカムをゼロリフトにしたものを説明した。したがって、本発明の主旨から逸脱しない範囲であれば、これらの弁停止機構の構成は特に限定されるものではない。可変バルブリフト機構としても、実施例1では連続可変タイプを示し、実施例2では、カム切換え機構で代用する例を示した。したがって、これらの可変リフトの構成は特に限定されるものではない。また、変換エネルギとしては電動であっても、油圧でもかまわないものである。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前述してきた吸気弁や排気弁の開閉時期としては、まさにリフト開始時期/終了時期としても良いが、リフト開始初期の緩衝区間(所謂上りランプ区間)後の加速度開始部を開時期とし、リフト終了末期の緩衝区間(所謂下りランプ区間)前の加速度終了部を閉時期としても良い。後者の場合は、実質的なガス交換の開始及び終了のタイミングとほぼ対応しているので、より本発明の効果を高めることができる。
1…シリンダヘッド、1a…保持穴、3a、3a…#1気筒側の第1、第2排気弁、3b、3b…#2気筒側の第1、第2排気弁、5…駆動軸、5a…駆動カム、6…スイングアーム、6a…一端部、6b…他端部、7…揺動カム、8…伝達機構、9…制御機構、10a、10b…#1気筒の排気側第1、第2油圧ラッシアジャスタ(支点部材)、10c、10d…#2気筒の排気側第3、第4油圧ラッシアジャスタ(支点部材)、11a…第2弁停止機構、11b、11c…第1弁停止機構、11d、11e…第3弁停止機構、11g、11h…第4弁停止機構、12…排気弁のバルブスプリング、13…軸受部、14…ローラ、24…ボディ、27…プランジャ、27b…先端頭部、34…摺動用孔、35…ロストモーションスプリング(付勢部材)、36…規制機構、38…移動用孔、39…規制用孔、40…リテーナ、41…摺動ピン、42…第1規制ピン、43…リターンスプリング、44…油通路孔、45、66…ドレン通路、47…第2規制ピン、54、64…オイルポンプ、55…第1電磁切換弁、65…第2電磁切換弁、71a、71a…#1気筒側の第1、第2吸気弁、71b、71b…#2気筒側の第1、第2吸気弁、72…吸気弁のバルブスプリング、73…吸気側カムシャフト、73a…回転カム、74…吸気側スイングアーム、75a、75b…#1気筒の吸気側第1、第2油圧ラッシアジャスタ(支点部材)、75c、75d…#2気筒の吸気側第3、第4油圧ラッシアジャスタ(支点部材)。

Claims (10)

  1. 気筒毎にそれぞれ設けられた少なくとも1つ以上の吸気弁及び一対の排気弁と、前記一対の排気弁のうち一方の排気弁の作動及び作動停止を切り換える弁停止機構と、前記一対の排気弁のうち他方の排気弁の開閉時期を制御する可変位相変更機構とを有した内燃機関の可変動弁装置であって、
    冷機始動時には、前記弁停止機構により前記一方の排気弁の作動を停止すると共に、前記可変位相変更機構により前記他方の排気弁の閉時期を上死点より進角した位置に制御することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記冷機始動時には、前記可変位相変更機構により前記他方の排気弁の開時期を下死点より遅角した位置に制御することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記冷機始動時には、前記可変位相変更機構により前記他方の排気弁のリフト量はリフト量可変範囲における最少リフト量となっていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  4. 請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記弁停止機構は、変換エネルギが作用していない場合には、弁停止態様に機械的に安定し、前記可変位相変更機構は、変換エネルギが作用していない場合には、前記他方の排気弁の閉時期が上死点より進角した位置で機械的に安定するように構成されていることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    暖機後の所定運転条件では、一部の気筒の排気弁と吸気弁を弁停止させることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  6. 請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    暖機後には前記可変位相変更機構は、前記他方の排気弁の閉時期を前記冷機時の閉時期より遅角した位置に制御し、前記他方の排気弁の開時期を前記冷機時の開時期より進角した位置に制御することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  7. 請求項6に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    暖機後には前記可変位相変更機構は、前記他方の排気弁のリフトを大きくして前記他方の排気弁の閉時期を前記冷機時の閉時期より遅角した位置に制御すると共に、前記他方の排気弁の開時期を前記冷機時の開時期より進角した位置に制御することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  8. 請求項7に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    暖機後には前記可変位相変更機構は、前記冷機時の前記他方の排気弁のリフトの中心位相値と前記暖機後の前記他方の排気弁のリフトの中心位相値とを同じに制御することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  9. 請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記冷機始動時には、前記可変位相変更機構により前記他方の排気弁の閉時期と前記吸気弁の開時期が重ならないマイナスオーバーラップを形成することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  10. 請求項9に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    暖機後には前記可変位相変更機構により前記他方の排気弁の閉時期と前記吸気弁の開時期が重なるオーバーラップを形成することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
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