JP2016104492A - プレス成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブランク材の成形性及びプレス成形品の生産性を低下することなく伸びフランジ割れの抑制効果の高いプレス成形方法を提供する。【解決手段】本発明に係るプレス成形方法は、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁部3を有する平板部5と、凹状外周縁部3に沿って曲げ成形されたフランジ部7とを有するプレス成形品1を、ダイ23とパンチ25と板押え27を備えて成る金型21を用いてプレス成形するプレス成形方法であって、ブランク材11における平板部5に相当する部位を板押え27で押えることによって凹形状又は凸形状の塑性変形を与えて、当該塑性変形を与えた部位に材料が引き込まれることによって、フランジ部7の屈曲部7aに相当する部位に材料が引き寄せられて、当該屈曲部相当部位に余肉を付与する余肉付与工程と、フランジ部7をダイ23とパンチ25によって成形するフランジ成形工程とを備えたものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属板のプレス成形方法に関し、特に、ダイとパンチと板押えを備えて成る金型を用いて伸びフランジ割れを防止するプレス成形方法に関する。
金属板を金型で挟むことによってプレス成形をすることで、金属板が引張り変形を受けて伸び変形が発生する場合がある。これを伸びフランジ成形という。伸びフランジ成形による伸び変形量が金属板の持つ変形限界を超えた場合には割れが発生する。この割れを伸びフランジ割れというが、伸びフランジ割れは、自動車のプレス成形部品等に用いられる高張力鋼板のプレス成形において特に発生し易く、所定の部品形状が得られない場合がある。
このような伸びフランジ割れを回避する方法について、例えば特許文献1には、伸びフランジ加工で割れが発生する部位の端面の状態を改善することで、伸びフランジ性を向上させる方法が開示されている。
また、特許文献2、特許文献3、特許文献6及び非特許文献1には、プレス成形用金型によって伸びフランジ成形が施される部分に余肉を付与する方法が記載されている。
また、特許文献4及び特許文献5には、伸びフランジ割れの発生しにくいブランク部の形状を用いる方法が開示されている。
また、非特許文献2及び非特許文献3には、逐次接触パンチを用いてプレス成形することにより変形を分散させ、伸びフランジ部位に変形が集中することを抑え、伸びフランジ割れの発生を回避する方法が記載されている。
特開2009−255167号公報 特開2008−119736号公報 特開平3−174926号公報 特許4959605号 特開2009−160655号公報 特開昭63−154216号公報
薄鋼板成形技術研究会編「プレス成形難易ハンドブック第3版」、日刊工業新聞社、2007年3月30日、p.234、表4.23 材料とプロセス、21(2008)、p.321 塑性と加工、第52巻604号、p.569-573、2011
特許文献1に開示された伸びフランジ割れ発生部位の端面の状態を改善する方法は、その効果は限定的であり、伸びフランジ割れの根本的な解決には至るものではない。
特許文献2、特許文献3、特許文献6及び非特許文献1に開示されたプレス成形用金型によって余肉を付与する方法は、余肉を付与する工程と縦壁部を曲げ成形する工程と2つの工程を備えるプレス成形方法であるが、これは2つ目の曲げ成形工程で不足する周長を曲げ成形工程に先立って予め付与する方法であり、余肉を付与する工程において強い塑性引張り変形に伴う加工硬化が発生するため、余肉を付与することにより縦壁部の曲げ成形において成形性が低下し、所望とする形状を得にくいという問題がある。
特許文献4及び特許文献5に開示された伸びフランジ割れの発生しにくいブランクの形状を用いる方法は、ブランクの形状が制約を受けるため製品形状の自由度の低下を招く。また、最終的な製品形状にするためにプレス成形後の形状を整えるための加工が必要となり、コスト増大の原因ともなる。
非特許文献2及び非特許文献3に開示された逐次接触パンチを用いる方法は、パンチの接触タイミングをコントロールするため、一般的なプレス成形に比べて金型の形状が複雑となることで、金型製造コストが増大することに加え、工具ストロークが増大することで生産性の低下が懸念される。
本発明は、上記のような種々の問題を解決するためになされたものであり、ブランク材や金型形状の大きな変更を必要とせず、また、ブランク材の成形性及びプレス成形品の生産性を低下することなく、伸びフランジ割れの抑制効果の高いプレス成形方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁部を有する平板部と、前記凹状外周縁部に沿って曲げ成形されたフランジ部とを有するプレス成形品を、ダイとパンチと板押えを備えて成る金型を用いてプレス成形するプレス成形方法であって、前記平板部に相当するブランク材の部位に板押えとパンチ、又は、ダイとパンチで凹形状又は凸形状の塑性変形を与えて、当該塑性変形を与えた部位に材料が引き込まれることによって、前記フランジ部の屈曲部に相当する部位に材料が引き寄せられて、当該屈曲部相当部位に余肉を付与する余肉付与工程と、前記フランジ部を前記ダイと前記パンチによって成形するフランジ成形工程とを備えることを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記塑性変形の形状はビード形状であることを特徴とするものである。
本発明においては、余肉付与工程でブランク材におけるプレス成形品の平板部に相当する部位に板押えとパンチ、又は、ダイとパンチで凹形状又は凸形状の塑性変形を与えて、当該塑性変形を与えた部位に材料が引き込まれ、フランジ部の屈曲部に相当する部位に材料が引き寄せられて、当該屈曲部相当部位に余肉を付与することによって、該屈曲部の成形性を低下させず、伸びフランジ割れの発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明に使用する金型の構造は一般の金型とほぼ同一のため、本発明のプレス成形方法を用いることで、製造コストの増加及び生産性の低下が生じる懸念もない。
本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の説明図である。 本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法によってプレス成形されるプレス成形品の説明図である。 本発明の一実施の形態における効果を説明するために用いたプレス成形品の説明図である。 本発明の一実施の形態においてブランク材に形成されるビードの断面形状の説明図である。 本発明の一実施の形態の効果を説明するためのFEM解析の結果を示す図である(その1)。 本発明の一実施の形態の効果を説明するためのFEM解析の結果を示す図である(その2)。 本発明の他の実施の形態に係るプレス成形方法によってプレス成形されるプレス成形品の説明図である。 本発明の他の実施の形態に係るプレス成形方法の説明図である。 本発明の実施例に係るFEM解析の結果を示す図である(その1)。 本発明の実施例に係る板厚減少率の評価点を説明する図である。 本発明の実施例に係るFEM解析による平均板厚減少率及び最大板厚減少率の結果である(その1)。 本発明の実施例に係るFEM解析による平均板厚減少率及び最大板厚減少率の結果である(その2)。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法は、図2に例を示すような平板部5とフランジ部7を有するプレス成形品1をプレス成形するプレス成形方法であって、ブランク材11における平板部5に相当する部位を図1に示す板押え27でパンチ23に押えて平板部5に相当する部位にビード9を形成し、ビード9に向かって材料が引き込まれることによって屈曲部7aに相当する部位に材料が引き寄せられて余肉を付与する余肉付与工程(図1(a)参照)と、フランジ部7を成形するフランジ成形工程(図1(c)参照)を備えている。
図1(a)はブランク材11を金型21に載置した状態、図1(b)は余肉付与工程直後の状態、図1(c)はフランジ成形工程の途中における状態をそれぞれ図示したものであって、図1(b)及び図1(c)は、余肉付与工程直後及びフランジ成形工程におけるブランク材11の形状を示すために、パンチ23及びダイ25を省略してそれぞれ図示したものである。
以下、本発明に係るプレス成形方法について図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
<プレス成形品>
本実施の形態におけるプレス成形方法の目標形状となるプレス成形品1は、図2に示すように、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁部3を有する平板部5と、平板部5における凹状外周縁部3に沿って曲げ成形されたフランジ部7を有するものである。このような形状のプレス成形品1は、フランジ部7が伸びフランジ成形となり、フランジ部7の屈曲部7aに伸び変形が集中して伸びフランジ割れが発生しやすい。そこで、本発明に係るプレス成形品1は、伸びフランジ成形において屈曲部7aの割れを防止するため、平板部5にビード9を形成し、ビード9に向かって材料が引き込まれることにより、屈曲部7aに余肉を付与するものである。
<プレス成形金型>
プレス成形金型21は、図1に例を示すように、パンチ23と、ダイ25と、ブランク材11を押える板押え27とを備えている。
パンチ23は、プレス成形品1の平板部5を成形する平板成形部29と、プレス成形品1のフランジ部7を成形するフランジ成形部31とを備えている。平板成形部29とフランジ成形部31との縁部は中央が凹状に凹んだ形状をしている。平板成形部29には、ブランク材11にビード9を形成するため、平板成形部29の上面側に対して凸形状又は凹形状のビード形成部33が設けられている。
ダイ25は、パンチ23の各成形部に対応した形状を有している。
板押え27の端部は、図1(a)に示すように、プレス成形品1の凹状外周縁部3と同様に中央部が内方に凹んだ形状をし、ブランク材11にビード9を形成するため、板押え27の上面側に対して凸形状又は凹形状のビード形成部35を備えている。図1(a―1)にビード形成部33及びビード形成部35が凹形状のものを一例として図示する。
ブランク材11の上面側に対して凸形状のビード9を形成する場合、平板成形部29のビード形成部33及び板押え27のビード形成部35は共に上面側に対して凸形状であり、ビード9がブランク材11の上面側に対して凹形状の場合、平板成形部29のビード形成部33及び板押え27のビード形成部35は共に上面側に凹形状である。
<プレス成形方法>
次に、上記金型21を用いたプレス成形方法について、前述した余肉付与工程及びフランジ成形工程を詳細に説明する。
≪余肉付与工程≫
余肉付与工程は、図1(a)に示すように、ブランク材11をパンチ23の平板成形部29に載置して板押え27で押えると共にブランク材11にビード9を形成することによって、ビード9に向かって材料が引き込まれることにより、ブランク材11における屈曲部7aに相当する部位に余肉を付与する工程である。
ブランク材11は、フランジ部7に相当する部位を、ダイ25の移動によって曲げ加工されるように配置される。
板押え27は、板押え27の端部を平板部5における凹状外周縁部3のR止まりに相当する部位に沿って載置し、平板部5に相当する部位を押える。
該余肉付与工程において、パンチ23のビード形成部33及び板押え27のビード形成部35によってブランク材11に塑性変形が与えられ、ビード9が形成され、同時にビード9に向かって材料が引き込まれる(図1(b))。
板押え27によりブランク材11をパンチ23の平板成形部位33に押圧する押圧力は、パンチ23及び板押え27によってブランク材11にビード9を形成することができて、かつ、ダイ25を移動してフランジ部7を成形するフランジ成形工程において、平板部5における板押えしている部位に変形が生じないような十分強い圧力とする。
≪フランジ成形工程≫
フランジ成形工程は、ダイ25を移動させてブランク材11の曲げ加工を行い(図1(c)参照)、凹状外周縁部3とフランジ部7を有するプレス成形品1を成形する工程である。
余肉付与工程において、ブランク材11における平板部5に相当する部位に塑性変形を与えることによって、ブランク材11の凹状縁部に余肉が付与されるメカニズムについて、以下説明する。
図3に示すプレス成形品41を本実施の形態に係るプレス成形方法でプレス成形する有限要素法(FEM)解析を行い、図4に示す凸形状断面のビード49を余肉付与工程においてブランク材11に形成する過程におけるブランク材11の変形挙動の解析結果を図5に示す。
前記FEM解析は構造解析ソフトウェア(LSTC社製LS−DYNAバージョン971)を用いて行い、解析条件として、ブランク材11の板厚を1.2mm、材質を590MPa級鋼板とし、ブランク材11に形成するビード49は長さL=30mm、幅W=10mm、深さH=3mmとした(図3及び図4参照)。
図5に示すブランク材11の変形挙動は、前記FEM解析においてブランク材11を要素分割し、ブランク材11にビードを形成した際の節点のX方向変位(図5(a))、Y方向変位(図5(b))及びZ方向変位(図5(c))であり、各方向の変位は、ブランク材11の凹状縁部の屈曲部位(図5中のA)の中心を原点とした時のものである。
なお、図5において示した白抜きの破線は、ビード49が形成された部位を示すための補助線である。
ビード49の形成により、前記屈曲部位近傍の材料がビード49に向かって引き込まれる(図5(b))とともに、前記屈曲部位の両側から中央部に向かって材料が引き寄せられ(図5(a))、該中央部はz軸負方向にたわみが生じる(図5(c))。
すなわち、パンチ23と板押え27によりビード49が形成されたブランク材11は、ビード49の形成時にブランク材11の凹状縁部の屈曲部位Aがビード49に向かって引き込まれることにより、当該屈曲部位AにおいてはX方向両側から材料が引き寄せられることで余肉が付与される。
ここで、例えば特許文献2、特許文献3、特許文献6又は非特許文献1で開示されているような前工程で張り出し成形等により伸びフランジ成形の屈曲部7aに直接余肉を成形する場合に対し、本発明では付与する余肉は当該屈曲部7aではないため、ビード49と前記屈曲部位の間の部位に強い引張り塑性変形は発生しない。よって、ブランク材11の成形性を損なうことなく、ビード49を形成することで前記屈曲部7aに余肉を付与することが可能となる。
さらに、前記屈曲部位とビード49の間に余肉が付与された状態に保持したブランク材11をダイ25の移動によってフランジ部7を成形する曲げ加工を行う際に、前記余肉が付与された分だけ、伸びフランジ割れに対する成形余裕度を向上させることができる
次に、前記FEM解析において、余肉付与工程でブランク材11に形成するビード49の長さ(図3)をL=90mmとした場合のブランク材11の変形挙動の解析結果を図6に示す。
図5と同様に、図6において示した白抜きの破線は、ビード49が形成された部位を示すための補助線である。
ビード長さL=30mmの場合と同様に、ビード49の形成時に前記屈曲部位近傍の材料がビード49に向かって引き込まれることにより、ブランク材11の凹状縁部の屈曲部位においてはX方向両側から材料が該中心部に向かって材料が移動し、該中心部に余肉が付与される。また、ビード長さL=30mm(図5)に比べて、前記中心部に向かうX方向の変位が大きく、その結果、該中心部におけるZ軸負方向のたわみ(変位量)も増加する(図6(c))。
したがって、Z方向の変位量が増加することによりブランク材11の凹状縁部の前記屈曲部位に付与される余肉が増加し、伸びフランジ割れに対する成形余裕度が向上する。
ブランク材11に形成されるビード49は、凹形状又は凸形状のいずれの場合でも前記屈曲部位に余肉が付与されて、伸びフランジ割れを防止する効果は得られる。また、ブランク材11の凹状縁部の屈曲部位中心に向かって材料が引き込まれる効果を得ることができるのであれば、ビード49のような形状に限られるものでものない。
また、本発明に係るプレス成形方法の工程や金型構造は、一般のプレス成形とほぼ同一のため、当該プレス成形方法を用いることで製造コストが増加する懸念もない。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係るプレス成形方法は、図7に例を示すような天板部53と縦壁部55とフランジ部57を備えるプレス成形品51のプレス成形方法である。図8(a)に示すブランク材11において、縦壁部55に相当する部位を板押え27又はダイによって押えると共に縦壁部55に相当する部位にビード59を形成し、フランジ部57の屈曲部57aに相当する部位に余肉を付与する余肉付与工程(図8(b))と、縦壁部55を成形する縦壁成形工程(図8(c))と、フランジ部57を成形するフランジ成形工程(図8(d))を備えている。
実施の形態2における余肉付与工程は、実施の形態1における余肉付与工程において平板部5に相当する部位にビード49を形成して屈曲部47aに余肉を付与する場合と同様に(図1(b)、図3)、実施の形態1における平板部5に対応する縦壁部55に相当する部位にビード59を形成することにより、プレス成形品51の屈曲部57aに相当する部位に余肉を付与する工程である。
そして、縦壁部55を成形した後にフランジ部57を伸びフランジ加工するフランジ成形工程において、屈曲部57aでは伸び変形が生じるが、前記余肉付与工程において屈曲部57aに付与された余肉によって伸び変形に対する成形余裕度が向上しているため、屈曲部57aにおいて伸びフランジ割れが生じるのを防止することができる。
以上の説明においては、伸びフランジ割れの発生を防止することを目的として、伸びフランジ割れが発生する部位に余肉を付与するため、当該部位近傍にビードを形成するものであったが、実施の形態1と同様に、伸びフランジ割れが発生する部位にブランク材の材料が引き込まれる効果を得ることができるものであれば、余肉付与工程でブランク材に塑性変形を施すものとしてはビード形状に限るものではない。
本発明に係るプレス成形方法の作用効果を検証する計算機シミュレーションを行ったので、その結果について以下に説明する。
該計算機シミュレーションは、図3に示すプレス成形品41をプレス成形する過程をFEM解析するものであって、ブランク材11の板厚に対するプレス成形品41の成形下死点における板厚の変化、すなわちブランク材11を基準として板厚減少率を求めることにより、伸びフランジ割れ発生の傾向を評価するというものである。
解析対象としたプレス成形品41は、図3に示す平板部45と、フランジ部47と、ビード49を備えたものであり、前記FEM解析は図1に示すプレス成形法と同様に、まずブランク材11における平板部5に相当する部位を板押え27によって押えると共にビード長さLのビード49を形成し、その後フランジ部47を成形する過程を解析するものである。
前記FEM解析の解析条件として、ブランク材11は板厚1.2mmの鋼板とし、引張り強度が270MPa級と590MPa級の2種類の鋼板とした。また、ブランク材11に形成するビード49は、図4に示す凸形状の断面であって、プレス成形品41の凹状外周縁部43のR止まり端部に相当する部位に形成し、ビード長さはL=15〜150mmまで15mm毎に変更した。
なお、ブランク材11にビード49を形成しない条件は、従来のプレス成形方法であって、本発明の効果を実証する際の比較基準として行った。
本実施例において、前記FEM解析は構造解析ソフトウェア(LSTC社製LS−DYNAバージョン971)を用いて行ったものであるが、他の構造解析ソフトウェアを用いても同等の解析結果が得られる。
図9に、270MPa級鋼板を用いた場合のプレス成形品41における板厚減少率の分布を示す。図9(b)はビード長さL=90mmのビード49を形成してプレス成形を行った本発明例であり、図9(a)はビード49を形成せずにプレス成形を行った比較例である。
図9より、本発明例及び比較例ともに、プレス成形品41の屈曲部47aにおいて板厚が特に減少し、伸びフランジ割れが発生しやすいことを示唆している。屈曲部47aにおける最大板厚減少率は、比較例では16.4%であるのに対し、本発明例では13.6%であった。これより、プレス成形品41において伸びフランジ割れが発生しやすい屈曲部47a近傍の平板部45にビード49を形成することで屈曲部47aに余肉が付与され、フランジ部47を成形する過程での板厚の減少が抑制され、伸びフランジ割れ発生を抑制することができることが示された。
なお、特許文献2等に記載されるように、屈曲部47aを含む部位にビード49を形成して伸びフランジ成形を行うと、屈曲部47aの加工硬化が著しく大きくて、図9に示す形状の成形品が得られないことがわかった。
次に、ブランク材11の凹状縁部の伸びフランジ割れが発生しやすい屈曲部47aにおける板厚減少率に対するビード49のビード長さの影響を詳細に検討した。ここでは、ビード長さL=15〜150mmまで15mm毎に変更し、前記屈曲部位を中心として12.6mmの範囲における点A〜点Oの計15点(図10参照)における板厚減少率の平均値と最大値を前記FEM解析により求めた。
図11に、ブランク材11に270MPa級鋼板を用い、ブランク材11に形成するビード49のビード長さL=15〜150mmの範囲で変更した時の平均板厚減少率及び最大板厚減少率を示す。図11の縦軸は平均板厚減少率又は最大板厚減少率、横軸はビード長さを示しており、ビード49を形成しない場合の結果も併せて示す。
ビード49を形成することにより、ビード49を形成しない場合よりも平均板厚減少率及び最大板厚減少率はどちらも低下した。ビード長さL=90mmまではビード長さが増加するにつれて、板厚減少率は低下し、L=90mmにおいて平均板厚減少率及び最大板厚減少率は共に最小値となった。L=90mm以上では、ビード長さの増加と共に板厚減少率は増加した。
図12に、ブランク材11に590MPa級鋼板を用い、ブランク材11に形成するビード49のビード長さL=15〜150mmの範囲で変更した時の平均板厚減少率及び最大板厚減少率を示す。図12の縦軸は平均板厚減少率又は最大板厚減少率、横軸はビード長さであり、ビード49を形成しない場合の結果も併せて示す。
270MPa級鋼板をブランク材11に用いた場合と同様に、590MPa級鋼板を用いた場合も、ビード49を形成することにより、ビード49を形成しない場合よりも平均板厚減少率及び最大板厚減少率はどちらも低下した。ビード長さL=90mmまでは、ビード長さが増加するにつれて、板厚減少率は低下し、L=90mm〜120mmにおいて平均板厚減少率及び最大板厚減少率は共に最小値となった。L=120mm以上では、ビード長さの増加と共に板厚減少率は増加する傾向が見られた。
以上より、本発明のプレス成形方法を適用することによって、伸びフランジ割れの発生しやすい部位に対して余肉を付与することで、板厚減少率の低下を抑制することができることが示された。
さらに、本発明に係るプレス成形方法はブランク材に余肉を付与するために特別な工程を必要とせず、かつ、金型を特別な形状に変更することなく、ブランク材の成形性及びプレス成形品の生産性を低下することなく、プレス成形品の伸びフランジ割れを効果的に抑制することができる。
1 プレス成形品
3 凹状外周縁部
5 平板部
7 フランジ部
7a 屈曲部
9 ビード
11 ブランク材
21 金型
23 パンチ
25 ダイ
27 板押え
29 平板成形部
31 フランジ成形部
33 ビード形成部
35 ビード形成部
41 プレス成形品
43 凹状外周縁部
45 平板部
47 フランジ部
47a 屈曲部
49 ビード
51 プレス成形品
53 天板部
55 縦壁部
57 フランジ部
57a 屈曲部
59 ビード

Claims (2)

  1. 外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁部を有する平板部と、前記凹状外周縁部に沿って曲げ成形されたフランジ部とを有するプレス成形品を、ダイとパンチと板押えを備えて成る金型を用いてプレス成形するプレス成形方法であって、
    前記平板部に相当するブランク材の部位に板押えとパンチ、又は、ダイとパンチで凹形状又は凸形状の塑性変形を与えて、当該塑性変形を与えた部位に材料が引き込まれることによって、前記フランジ部の屈曲部に相当する部位に材料が引き寄せられて、当該屈曲部相当部位に余肉を付与する余肉付与工程と、
    前記フランジ部を前記ダイと前記パンチによって成形するフランジ成形工程と
    を備えることを特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記塑性変形の形状はビード形状であることを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
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