JP2016104046A - 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016104046A
JP2016104046A JP2016046912A JP2016046912A JP2016104046A JP 2016104046 A JP2016104046 A JP 2016104046A JP 2016046912 A JP2016046912 A JP 2016046912A JP 2016046912 A JP2016046912 A JP 2016046912A JP 2016104046 A JP2016104046 A JP 2016104046A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell culture
hollow fiber
porous body
module
facing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016046912A
Other languages
English (en)
Inventor
栄 中川
Sakae Nakagawa
栄 中川
恵美 坂本
Emi Sakamoto
恵美 坂本
直生 五味
Naoki Gomi
直生 五味
毅 高戸
Takeshi Takato
毅 高戸
和人 星
Kazuto Hoshi
和人 星
秀人 松山
Hideto Matsuyama
秀人 松山
百合子 垣花
Yuriko Kakihana
百合子 垣花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe University NUC
University of Tokyo NUC
Nomura Unison Co Ltd
Original Assignee
Kobe University NUC
University of Tokyo NUC
Nomura Unison Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe University NUC, University of Tokyo NUC, Nomura Unison Co Ltd filed Critical Kobe University NUC
Priority to JP2016046912A priority Critical patent/JP2016104046A/ja
Publication of JP2016104046A publication Critical patent/JP2016104046A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】患者の手術に必要な所望量の培養細胞を1つの細胞培養モジュール内で培養することが容易であること。【解決手段】中空糸束20と、細胞培養面30Sを備えると共に、移植部位に対応した形状・サイズを有する多孔質体20と、対向面40Sを備えた対向部材40と、中空糸束20、多孔質体30および対向部材40を格納するハウジング50と、を少なくとも有し、細胞培養面30Sの面内において、細胞培養面30Sから対向面40Sまでの最短距離Dminが略一定となるように、細胞培養面30Sと対向面40Sとを対面させた状態で、ハウジング50内に多孔質体30および対向部材40が配置されると共に、中空糸束20が、少なくとも細胞培養面30Sと対向面40Sとの間に形成される空間の一部分を占めるように配置されている細胞培養用中空糸モジュールおよびこれを用いた細胞培養方法。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法に関するものである。
機能不全に陥った生体組織を再生する方法として、近年、再生医療が注目されている。そして、このような再生医療などへの利用を目的として、種々の細胞培養装置・方法が提案されており、一例として、中空糸を用いた様々な細胞培養装置・方法が提案されている(特許文献1〜4)。
一方、一度損傷を受けると自然には治りにくい軟骨欠損を治療する治療法が提案されている(非特許文献1)。この治療法(自家培養軟骨移植術)では、軟骨に損傷を受けた患者から、軟骨を少量採取して培養し、培養された軟骨を手術で欠損部へ戻すことにより治療を行う。ここで、軟骨の培養は、採取した軟骨をゲル状のアテロコラーゲンと混合した後、培養することにより行われる。
特開2001−178445号公報 特開2001−190270号公報 特開2003−180334号公報 特開2012−44908号公報
http://www.jpte.co.jp/business/regenerative/cultured_cartilage.html
しかしながら、培養される細胞は、何がしかの固体表面に沿ってしか増殖しない上に、非特許文献1に開示される培養方法では、シャーレを使って培養するため、移植手術に必要な量の培養細胞を得るためには、30〜100皿程度のシャーレを使って培養した後、各々のシャーレで培養された培養細胞をかき集める必要がある。
それゆえ、下記(1)〜(3)に示す問題が生じている。
(1)1人の患者の移植手術に必要な所望量の培養細胞を確保するために、多数のシャーレを用いる。このため、1人の患者の移植手術のために多数のシャーレをインキュベーター内に配置して細胞培養を行う必要がある。よって、結果的に、患者1人当たりのインキュベーターの利用効率が極めて低い。
(2)多数のシャーレから必要量の培養細胞をかき集めた後に移植手術を行うため、不衛生になり易く、また、衛生状態を確保・維持するためのコストが増大する。
(3)培養細胞をかき集めて移植した直後の状態では移植部位の強度に欠ける。このため、軟骨欠損の移植手術などのように移植部位に、当該移植部位が健全な状態であった時と同程度の強度が要求される場合には、移植部位の強度が増大・回復までの長期間に渡って患者に負担を強いることになる。たとえば、膝の変形性関節症の治療のために、軟骨細胞を移植する手術を行った場合、手術により軟骨が埋め込まれた部位が、歩行ができる程度に十分な強度を回復するまでに、一般的に6カ月以上を要する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、患者の手術に必要な所望量の培養細胞を1つの細胞培養モジュール内で培養することが容易である細胞培養用中空糸モジュールおよびこれを用いた細胞培養方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
第一の本発明の細胞培養用中空糸モジュールは、半透膜機能を有する中空糸を1本以上含む中空糸束と、細胞培養面を備えると共に、移植部位に対応した形状およびサイズを有する多孔質体と、細胞培養面に向き合うと共に、細胞培養面に略対応する表面形状を有する対向面を備えた対向部材と、中空糸束、多孔質体および対向部材を格納するハウジングと、を少なくとも有し、細胞培養面の面内において、細胞培養面から対向面までの最短距離が略一定となるように、細胞培養面と対向面とを対面させた状態で、ハウジング内に多孔質体および対向部材が配置されると共に、中空糸束が、少なくとも細胞培養面と対向面との間に形成される空間の一部分を占めるように配置されていることを特徴とする。
第一の本発明の細胞培養用中空糸モジュールの他の実施形態は、細胞培養面から対向面までの最短距離が、0.1mm〜5.0mmの範囲内であることが好ましい。
第二の本発明の細胞培養用中空糸モジュールは、半透膜機能を有する中空糸を1本以上含む中空糸束と、細胞培養面を備えると共に、移植部位に対応した形状およびサイズを有する多孔質体と、細胞培養面に向き合う対向面を備えた対向部材と、中空糸束、多孔質体および対向部材を格納するハウジングと、を少なくとも有し、細胞培養面から前記対向面までの最短距離が0.1mm〜5.0mmの範囲内となるように、細胞培養面と対向面とを対面させた状態で、ハウジング内に多孔質体および対向部材が配置されると共に、中空糸束が、少なくとも細胞培養面と対向面との間に形成される空間の一部分を占めるように配置されていることを特徴とする。
第一および第二の本発明の細胞培養用中空糸モジュールの他の実施形態は、中空糸束が、多孔質体を貫通すると共に、細胞培養面と交差するように配置されていることが好ましい。
第一および第二の本発明の細胞培養用中空糸モジュールの他の実施形態は、中空糸束が、細胞培養面と略平行を成すように配置されていることが好ましい。
第一および第二の本発明の細胞培養用中空糸モジュールの他の実施形態は、細胞培養面が、不規則に湾曲した非平坦面であることが好ましい。
第一および第二の本発明の細胞培養用中空糸モジュールの他の実施形態は、多孔質体を構成する材料が、人工骨材料であることが好ましい。
第一および第二の本発明の細胞培養用中空糸モジュールの他の実施形態は、中空糸を構成する材料が、生分解性材料、非生分解性材料、および、両者の混合材料、から選択されるいずれか1種の材料であることが好ましい。
本発明の細胞培養方法は、第一の本発明の細胞培養用中空糸モジュールおよび第二の本発明の細胞培養用中空糸モジュールから選択されるいずれかの細胞培養用中空糸モジュールを用いた細胞培養方法であって、細胞培養面と、対向面と、ハウジングの内周面とにより囲まれた空間内に、種細胞を少なくとも含む被培養部材を配置する種細胞配置工程、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明の細胞培養用方法の一実施形態は、中空糸の内部空間に、酸素を含むガス、および、培養液から選択される少なくとも1種の媒体を供給する媒体供給工程を含むことが好ましい。
本発明の細胞培養用方法の他の実施形態は、種細胞が軟骨細胞であることが好ましい。
本発明の細胞培養用方法の他の実施形態は、細胞の培養が完了した後に、多孔質体と、増殖した細胞を含む被培養部材と、中空糸束とが一体となった状態で、これら部材をハウジング内から取り出す取り出し工程を含むことが好ましい。
以上に説明した本発明によれば、患者の手術に必要な所望量の培養細胞を1つの細胞培養モジュール内で培養することが容易である細胞培養用中空糸モジュールおよびこれを用いた細胞培養方法を提供することができる。
第一の本実施形態の細胞培養用中空糸モジュールの一例を示す模式側面図である。 図1に示すモジュールを用いて細胞培養を行った後、培養細胞層内に中空糸を残したままの状態で、培養細胞層と多孔質体とが一体となった状態で取り出した複合部材の一例を示す模式断面図である。 第一の本実施形態の細胞培養用中空糸モジュールの他の例を示す模式側面図である。 第二の本実施形態の細胞培養用中空糸モジュールの一例を示す模式側面図である。
<<第一の実施形態>>
図1は、第一の本実施形態の細胞培養用中空糸モジュール(以下、「モジュール」と略す場合がある)の一例を示す模式側面図であり、図中の点線A−B間については、断面構造について示したものである。但し、図1中、中空糸束を構成する各々の中空糸や多孔質体の断面構造の詳細については記載を省略してある。
図1に例示するモジュール10A(10)は、半透膜機能を有する中空糸22を1本以上含む中空糸束20と、細胞培養面30Sを備えた多孔質体30と、細胞培養面30Sに向き合うと共に、細胞培養面30Sに略対応する表面形状を有する対向面40Sを備えた対向部材40と、中空糸束20、多孔質体30および対向部材40を格納するハウジング50と、を少なくとも有する。そして、細胞培養面30Sの面内において、細胞培養面30Sから対向面40Sまでの最短距離Dminが略一定となるように、細胞培養面30Sと対向面40Sとを対面させた状態で、ハウジング50内に多孔質体30および対向部材40が配置されると共に、中空糸束20が、少なくとも細胞培養面30Sと対向面40Sとの間に形成される空間の一部分を占めるように配置される。なお、細胞培養面30Sから対向面40Sまでの最短距離Dminを略一定とする場合、細胞培養面30Sの面内の任意の2点(たとえば、図1中のX1点およびX2点)における最短距離Dminはいずれも同一としてもよいが、最短距離Dminの最大値と最小値との中心値(=(最大値+最小値)/2)を基準値(100%)とした際に±5%の範囲内でばらついていることも許容される。そして、図1に示すモジュール10Aでは、中空糸束20が、多孔質体30を貫通すると共に、細胞培養面30Sと交差するように配置されている。
なお、ハウジング50は、円筒状部材60と、円筒状部材60の両端開口部を各々封止するキャップ62L、62Rとを有している。そして、細胞培養面30Sと対向面40Sとの間に形成される空間(より厳密には、当該空間のうち中空糸束20を構成する個々の中空糸22の外部側の空間)ECS(Extracapillary Space)内への物質供給およびECS外への物質排出のために、円筒状部材60の外周面には、モジュール10外とECSとを接続する第一ECS導管70Aおよび第二ECS導管70Bが、円筒状部材60の中心軸Cを挟んで一方側(図1中、上方側)と他方側(図1中、下方側)とに各々配置されている。また、中空糸束20を構成する個々の中空糸22の内部空間(以下、「ルーメン」と称す場合がある)とモジュール10外とを接続するために、中空糸22は、ハウジング50の両端部(キャップ62L、62R)に各々設けられた第一ルーメン導管80Aおよび第二ルーメン導管80Bに接続されている。
<細胞の培養>
ここで、モジュール10を用いた細胞の培養・増殖は、細胞培養面30Sと、対向面40Sと、ハウジング50を構成する円筒状部材60の内周面とにより囲まれた空間(すなわち、ECS)内に種細胞を少なくとも含む被培養部材を配置する種細胞配置工程を少なくとも実施することにより行われる。この場合、ECS内を埋め尽くすように種細胞を増殖させることが極めて容易である。それゆえ、1人の患者の移植手術に必要な所望量の培養細胞を、1つのモジュール10を用いるだけで確保することも極めて容易である。また、それ故に、従来のように多数のシャーレから必要量の培養細胞をかき集める必要も無いため、高い衛生状態を確保・維持することも容易である。このような効果が得られる理由は、シャーレ内部の空間と比べて、ECSが、細胞が何がしかの固体表面に沿って増殖するという性質を最大限に発揮し易い空間、言い換えれば、細胞の3次元的かつ効率的な増殖に適した空間になっているためである。
すなわち、ECSは、細胞培養面30S、対向面40S、ハウジング50(円筒状部材60)の内周面、および、細胞培養面30Sと対向面40Sとの間の空間内を横切るように配置された中空糸22の外周面で囲まれた狭い空間である。これに加えて、直径10cm程度、高さ1cm〜2cm程度の一般的なシャーレの内部空間と比べて、ECSは、その空間体積がより狭く、中空糸が存在するため空間形状を定める固体表面の面積割合が空間体積に比して非常に大きい。このことからは、ECSは、細胞が増殖・占有可能な空間の単位体積に対して、細胞が増殖しやすい固体表面の面積割合が大きいと言える。これに加えて、シャーレ内の空間形状は単純な円柱状を成すが、ECSは、細胞培養面30Sと対向面40Sとの間の空間を横切るように配置された中空糸22の外周面によっても、その空間形状が定められるため、ECSの空間形状は非常に複雑である。このことからは、ECS内では、一方の固体表面に沿って増殖した細胞と、他方の固体表面に沿って増殖した細胞とが互いに接触し、両固体表面間を細胞で埋め尽くすように増殖し易いと言える。
また、モジュール10を用いて細胞培養を実施した場合、ECS内にて細胞を培養・増殖し終えることにより形成された層(増殖した細胞を含む被培養部材、あるいは、培養細胞層)の形状維持性や、強度を確保することが容易である。これは、培養細胞層内を貫通するように存在する中空糸22が、培養細胞層をその内側から支持すると共に、培養細胞層の流動や型崩れを防止して、培養細胞層全体の強度の向上に寄与するためである。これに加えて、多孔質体30の表面を構成する細胞培養面30Sには、多数の孔が存在する。それゆえ、細胞は、細胞培養面30S近傍の孔内にも増殖するため、アンカー効果によって、培養細胞層は、細胞培養面30Sに安定して固定される。それゆえ、培養を終えた後に、細胞培養面30Sに付着した状態で培養細胞層をモジュール10から取り出すことが容易になる。
これに加えて、図1に示す例では、中空糸22は、細胞培養面30Sと対向面40Sとの間の空間を横切るように配置されているため、中空糸22の軸方向と平行な方向、すなわち、培養細胞層の厚み方向に対して、細胞を均一に増殖させることが極めて容易である。シャーレを用いて培養する場合と異なり、図1に示す例では、培養細胞層の厚み方向に対して均一に培養液を供給することができるためである。また、細胞培養面30Sを基準面とした場合の単位面積当たりの中空糸22の配置密度、中空糸22の外径/内径、中空糸22のルーメンを流れる培養液の単位時間当たりの流量等を適宜選択することで、中空糸22の軸方向と直交する方向、すなわち、培養細胞層の平面方向についても、細胞を均一に増殖させることができる。
図2は、図1に示すモジュール10Aを用いて細胞培養を行った後、培養細胞層内に中空糸22を残したままの状態で、培養細胞層と多孔質体とが一体となった状態で取り出した複合部材の一例を示す模式断面図である。なお、図2中、多孔質体の細孔構造と、中空糸内部の構造については記載を省略してある。図2に示す複合部材100は、多孔質体30と、多孔質体30の細胞培養面30S上に形成された培養細胞層110と、多孔質体30および培養細胞層110を貫通する複数の中空糸22とを有する。なお、図2に示す複合部材100では、中空糸22が、多孔質体30および培養細胞層110の双方を貫通している。このため、中空糸22が、培養細胞層110を、多孔質体30に固定する作用も有する。
一方、第一の本実施形態のモジュール10を用いて細胞の培養が完了した後に、培養した細胞を利用して移植手術を行う場合、移植手術の目的・形態に応じて、(1)単に培養細胞層110のみをハウジング50から取り出す取り出し工程を経て移植する第一の態様、あるいは、(2)図2に一例を示したように、多孔質体30と、培養細胞層110と、中空糸22とが一体となった状態で、これら部材を取り出す取り出し工程を経て移植する第二の態様、のいずれを選択することも可能である。ここで、第一の態様では、培養細胞層110が型崩れし難しいため、培養細胞の取り出し・回収が容易である上に、培養細胞の回収効率を高く維持することが容易である。また、第二の態様で移植手術を実施した場合、移植手術直後から、移植部位の強度をある程度確保することができ、さらに、移植部位の強度が十分に回復するまでの期間の短縮も容易になる。ここで、第二の態様による移植手術の例としては、特に限定されるものではないが、代表的には、軟骨欠損の治療を目的とした移植手術が挙げられる。また、特に、第二の態様で取り出し工程を実施する場合、中空糸20を、対向面40Sに対応する位置で切断することが望ましい。この場合、培養開始前にモジュール10内にセットされた中空糸20に対して、対向面40Sに対応する位置(切断予定位置)に切り目や折り目を予め設けておいてもよい。
なお、種細胞としては、患者もしくは患者と生体適合性の高い他人の体内から採取した細胞、iPS細胞(人工多能性幹細胞)あるいはSTAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)などから分化した細胞を利用することができる。種細胞の種類については目的とする移植手術に応じて適宜選択でき、たとえば、軟骨欠損を治療するための移植手術が目的であれば、種細胞としては軟骨細胞を利用する。また、被培養部材を構成する成分は、種細胞を含むものであれば特に限定されないが、通常は、種細胞の他に、アガロースやコラーゲン等のゲル状物質や、各種の培地成分などが含まれることが好ましい。
また、種細胞配置工程の実施に際しては、たとえば、第一ECS導管70AからECS内に被培養部材を供給し、この際、過剰量の被培養部材や予めECS内に存在していた物質は、第二ECS導管70Bから排出させる。また、細胞の培養に際しては、中空糸22の内部空間(ルーメン)には、空気等の酸素を含むガス、および、培養液から選択される少なくとも1種の媒体が配置される。これによりECS内に存在する細胞の培養に必要な酸素や培地成分を、中空糸22を介して供給できると共に、ECS内で発生した細胞の代謝成分等をECSからルーメン側へと移動させることができる。なお、ルーメン内には、一旦、媒体を配置したら、細胞の培養が完了するまで交換しなくてもよいが、通常は、たとえば、第一ルーメン導管80A側から媒体を断続的あるいは連続的に供給する媒体供給工程を実施することが特に好ましい。これにより、細胞の培養に必要十分な媒体をECS側へと供給することが極めて容易となる。なお、この場合、過剰量の媒体および物質交換によってECS側からルーメン内に移動した物質(細胞の代謝物等)が第二ルーメン導管80B側から排出される。
なお、培養液は、培養しようとする細胞の生育必須成分を含有するものであれば、従来公知のいかなる培養液も用いることができ、特に限定されない。ここで、「生育必須成分」とは、培養しようとする細胞が増殖する上で必要不可欠な成分を意味し、通常は、種々の有機物および無機物から構成され、細胞に酸素等を供給するための溶存ガスも含まれる。生育必須成分としては、たとえば、ダルベッコMEM、RPMI1640、ハムF12等の汎用培地に、血清あるいは各種増殖因子、分化誘導因子を添加して作製した培地等が用いられる。また、ルーメン内への培養液の供給は、通常、容器に収納された培養液を、ポンプにてルーメン内を繰り返し循環させることにより実施されるが、ルーメン内に供給された培養液を循環させない一過性の供給であってもよい。
<モジュールの他のバリエーション>
なお、第一の本実施形態のモジュール10は、図1に例示したように、中空糸束20が、多孔質体30を貫通すると共に、細胞培養面30Sと交差するように配置された実施形態(第一バリエーション)では無く、中空糸束20が、細胞培養面30Sと略平行を成すように配置された形態(第二バリエーション)であってもよい。図3は、本実施形態のモジュールの他の例(第二バリエーション)の一例を示す模式側面図であり、図中の点線A−B間については、断面構造について示したものである。但し、図3中、中空糸束を構成する各々の中空糸や多孔質体の断面構造の詳細については記載を省略してある。
ここで、ハウジング50内に配置される多孔質体30と対向部材40とは、図1に例示するモジュール10Aでは、円筒状部材60の中心軸Cの一方側(図1中、左側)と他方側(図1中、右側)とに各々配置されるのに対して、図3に例示するモジュール10B(10)では、円筒状部材60の中心軸Cを挟んで一方側(図3中、上方側)と他方側(図3中、下方側)とに各々配置されている点に特徴がある。それゆえ、図1に例示した場合と同様に、中心軸Cと略平行を成すように配置された中空糸束20は、図3に示すモジュール10Bにおいては、細胞培養面30Sと略平行を成しており、かつ、細胞培養面30Sと対向面40Sとの間に存在している。また、円筒状部材60の外周面に設けられる第一ECS導管70Aおよび第二ECS導管70B(図3中、双方共に図示省略)は、図3に示すモジュール10Bでは、一方の導管が、図3中の紙面手前側に配置されており、他方の導管が図3中の紙面奥側に配置されている。そして、以上に説明した点を除けば、図1に例示するモジュール10Aも、図3に例示するモジュール10Bも実質的に同様の構成を有する。
なお、図3に示すモジュール10Bを用いて細胞の培養・増殖を行った場合、中空糸22は、形成された培養細胞層110および多孔質体30の双方を貫通しない。このため、多孔質体30に対する培養細胞層110の固定強度という点では、図3に示すモジュール10Bを用いて細胞を培養した場合よりも、図1に示すモジュール10Aを用いて細胞を培養した場合の方がより大きい。
<モジュールの内部構造および各部の詳細>
次に、第一の本実施形態のモジュール10の内部構造および第一の本実施形態のモジュール10を構成する主要部材の詳細について説明する。
−細胞培養面から対向面までの最短距離−
まず、細胞培養面30Sから対向面40Sまでの最短距離Dminとしては、非特許文献1記載の技術で利用されているような一般的なシャーレの高さ(1〜2cm程度)よりも十分に小さければ特に限定されない。0.1mm〜5.0mmの範囲内であることが好ましく、0.3mm〜3.0mmの範囲内であることがより好ましい。最短距離Dminが5.0mmを上回ると、細胞培養面30Sと対向面40Sとの隙間が大きすぎるため、ECS内を細胞で埋め尽くすように細胞を培養することができても、培養細胞層110の強度が確保し難くなる可能性がある。このため、モジュール10から多孔質体30と、培養細胞層110と、中空糸22とが一体となった部材を回収したり、この部材を移植しようとした際に、培養細胞層110が型崩れし易くなるおそれがある。また、最短距離Dminが0.1mmを下回ると、移植手術に必要な量の細胞が確保できなくなったり、移植手術に必要な培養細胞層110の厚みが確保できなくなる場合がある。これに加えて、生体内における骨と骨との間の隙間などのように、生体内に形成される隙間は、一般的には0.3mm〜3.0mm程度である。よって、移植手術の際に、隙間のサイズが異なる個々の患部への移植を容易にするためのマージンの確保を考慮しても、最短距離Dminは0.1mm〜5.0mmの範囲内であることが好ましく、0.3mm〜3.0mmの範囲内であることがより好ましいと言える。
−多孔質体−
また、多孔質体30の形状は、特に限定されず適宜選択できるが、上述した第二の態様で移植手術を行う場合には、移植部位に対応した形状およびサイズを有することが好ましい。ここで、「移植部位に対応した形状およびサイズ」とは、広義には、移植手術の対象となる部分に対して、取付・固定し易い形状およびサイズを意味する。なお、このような形状・サイズは、通常は、移植手術の対象となる部分に対して、隙間やサイズ的な過不足を極力小さくした状態で多孔質体30を含む複合部材100を取り付けられるように、移植手術の対象となる部分の表面形状に対応した形状およびサイズを有していることが好ましい。
したがって、特に第二の態様での移植手術での利用を考慮すると、多孔質体30の形状としては、円柱状、多角柱状、板状等の規則的かつ定型的な形状ではなく、移植部位の形状に合わせて、通常、不規則かつ不定形的な形状が採用されることになる。この場合、細胞培養面30Sは、通常、多くの場合において、患者の移植部位の形状に合わせるために、大なり小なり不規則に湾曲した非平坦面となる。なお、上述したような不規則かつ不定形的な形状およびサイズを持つ多孔質体30は、X線CT検査等によって得られた移植部位の3次元画像データに基づいて、所定の定型状の多孔質体(既製品)を切削加工したり、鋳型あるいは3Dプリンターにより造形物を作製した後に、必要に応じて造形物をポーラス化処理するなどにより容易に得ることができる。また、図1に示すモジュール10A内に多孔質体30をセットして使用する場合には、この多孔質体30には、中空糸22の直径に略対応した貫通孔も設けられる。
なお、多孔質体30を構成する材料としては、細胞の培養・増殖に悪影響を及ぼすものでなければ公知の材料が適宜利用できるが、たとえば、セラミックス、ガラスセラミックス、ガラス、金属、樹脂あるいはこれらを2種類以上組み合わせた複合材料から適宜選択可能である。しかしながら、これらの材料の中でも、特にβ−TCP(β−リン酸カルシウム)、HAP(ハイドロキシアパタイト)等の人工骨材料を用いることが好ましい。このような人工骨材料は、機械的強度も高く、また、生体や培養細胞に対する親和性も高いことから、上述した第二の態様による移植手術にも適している。
−対向部材−
対向部材40の形状は、対向面40Sが、細胞培養面30Sに略対応する表面形状を有しているのであれば特に限定されず、適宜選択できる。ここで、「対向面40Sが、細胞培養面30Sに略対応する表面形状を有する」とは、対向面40Sと細胞培養面30Sとが対面するように対向部材40と多孔質体30とを接触させた場合、対向面40Sと細胞培養面30Sとが、大きな隙間が形成されることなくほぼ全面が密着して接触できることを意味する。また、対向面40Sの表面は、細胞培養面30Sと異なり、通常、微細な凹凸や孔の無い平滑面とされる。これにより、培養した細胞をモジュール10から取り出す際に、培養細胞層110の一部あるいは全部が対向面40S側に付着した状態で取り残される可能性を小さくすることができる。
対向部材40を構成する材料は、細胞の培養・増殖に悪影響を与えるものでなければ特に限定されず、たとえば、金属や、セラミックスなどが適宜利用でき、また、ハウジング50を構成する部材と同一の材料を用いることもできる。なお、対向部材40を構成する材料が、ハウジング50を構成する部材と同一の材料である場合、対向部材40は、ハウジング50を構成する部材(図1に示す例では、円筒状部材60あるいはキャップ62R)と一体的に形成された部材であってもよい。
−中空糸束および中空糸−
また、中空糸22を構成する材料としては、生分解性材料、非生分解性材料、および、両者の混合材料、から選択されるいずれの材料も利用できる。ここで、非生分解性材料としては、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルサルフォン(PES)などを例示することができる。しかしながら、中空糸22を構成する材料としては生分解性材料を単独で用いることが好ましい。この場合、中空糸22と共に培養細胞を移植しても、中空糸22は最終的には生体内で分解され、体内に吸収されるため、生体に対して何らの悪影響を与えるおそれも無い。また、移植に際して中空糸22と培養細胞とを分離する必要性も無いため、培養細胞の回収に際して培養細胞の活性度が低下するのを抑制できる。これに加えて、移植直後においては、中空糸22は、移植部位の強度の弱さを補うこともできる。
中空糸22を構成する生分解性材料としては公知の生分解性材料が利用できる。しかしながら、細胞との親和性等を考慮した場合、生分解性材料としては、下記(i)〜(iii)に示す材料から選択することが好ましい。
(i)ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステル、ポリアミド
(ii)(i)に示す高分子材料からなる群より選択される少なくとも2種類以上の高分子材料を含む混合材料
(iii)(i)に示す高分子材料からなる群より選択される少なくとも2種類以上の高分子材料の重合に用いる各々の単量体を共重合させた共重合体
なお、中空糸22は、この中空糸22を培養細胞と共に生体中に移植した場合において、生体親和性に優れ、材料の分解に伴う生体への負荷も小さいことが必要である。これに加えて、細胞の培養においては、予めモジュール10を滅菌しておくことが必要である。従って、中空糸22を構成する生分解性材料は、生体親和性に優れること、材料分解に伴う生体への負荷が低いこと、および、効果的かつ簡易な滅菌処理が可能な高圧蒸気滅菌処理に耐えうる高い耐熱性を有していることが必要である。これらの特性をバランス良く満たすという観点からは、上記に列挙した生分解性材料の中でも、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、あるいは、これら高分子材料の重合に用いる各々の単量体を2種以上重合させた共重合体が特に好ましい。
また、生分解性材料の重量平均分子量としては、30000〜500000の範囲内が好ましく、30000〜300000の範囲内がより好ましく、70000〜180000の範囲内がさらに好ましい。重量平均分子量を30000以上とすることにより、中空糸22を紡糸する際に用いる紡糸用原料の粘性が増大し、紡糸が容易となる。また、重量平均分子量を500000以下とすることにより、モジュール10内での細胞の培養に必要な期間(通常、最大で6カ月)中においては、生分解性材料の分解の進行に伴う中空糸22の著しい強度の低下を防ぎつつ、生体内への移植後においては速やかな分解が可能となるため、移植治療に好適である。さらに、中空糸22が、円筒状の膜からなり、この膜の厚み方向に貫通する孔が設けられることで半透膜機能を発揮する場合、紡糸用原料の粘性の著しい増大を防ぐことができるため、孔の形成が容易となる。
また、中空糸22は、その表面が親水化処理されたものであってもよい。親水化処理を行うことによって、細胞に対する親和性が増すと共に、培養液の膜透過性も向上するからである。親水化処理方法として、たとえば、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アルコールなどによる処理が挙げられ、アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらの親水化処理方法の中でも、ポリビニルピロリドン処理が好ましい。中空糸22の表面により安定的な親水性を付与することができるからである。
また、第一の本実施形態のモジュール10に用いられる中空糸束20は、1本以上の中空糸22を含むものである。なお、中空糸束20が2本以上の中空糸22から構成される場合、通常、各々の中空糸22は互いに略平行に配置される。また、中空糸22は、直線を成すようにその両端がハウジング50内に固定される。たとえば、図1および図3に例示したようにハウジング50が円筒体である場合、中空糸22が、ハウジング50を構成する円筒状部材60の中心軸Cと略平行を成すように、中空糸22の両端をハウジング50内に固定することができる。
中空糸束20を構成する中空糸22は、半透膜機能を有する。ここで、半透膜機能とは、ルーメン側からESC側へ、あるいは、ESC側からルーメン側へと、溶液中に含まれる一部の成分は通すが、他の成分は通さない機能を意味する。半透膜機能を有する中空糸22は、たとえば、孔径によって通過可能な成分を変化させることができる多孔質膜や、濃度勾配による通過のみならず様々な膜通過機能を有する生体膜と同様の機能を有する膜や部材等から構成することができ、培養しようとする細胞の種類や培養液等に応じて、中空糸22を構成する部材を適宜選択して用いることができる。なお、以下の説明においては、中空糸22が、円筒状の膜からなり、この膜の厚み方向に貫通する孔が設けられることで半透膜機能を発揮する場合について説明する。
ここで、中空糸22を構成する膜に設けられる孔の孔径(以下、「膜孔径」と称す場合がある。)は、培養液をルーメン側からESC側に通過させることができ、培養しようとする細胞がESC側からルーメン側へと通過できないものであれば特に限定されるものではない。なお、膜孔径が小さくなれば膜強度は強くなるが、物質交換率は小さくなり、一方、膜孔径が大きくなれば膜強度は弱くなるが、物質交換率は大きくなる。したがって、膜強度、すなわち中空糸22の強度と、大きな物質交換率とを、バランス良く両立させるためには、中空糸22の平均膜孔径は、0.01μm〜0.8μmの範囲内が好ましく、0.05μm〜0.2μmの範囲内がより好ましい。
中空糸22の内径としては、培養液を供給することができる太さであれば、特に限定されないが、高い膜透過性を確保する観点から、0.1mm〜3mmの範囲内が好ましい。また、加工が容易であることや、培養液中に生じた不溶成分による目詰まりを抑制する観点も考慮した場合、内径は、0.3mm〜1.0mmの範囲内がより好ましい。なお、内径は、0.3mm〜1.0mmの範囲内とする場合、外径は、0.2mm〜3.0mmの範囲内とすることが好ましい。
また、中空糸束20を構成する中空糸22の本数や、膜厚は、細胞の培養が可能であれば特に限定されないが、必要とする培養細胞の量、培養細胞が必要とする栄養量および酸素量、モジュール10内のECSの体積のいずれか1つまたは複数との関係等で適宜調整することが好ましい。
中空糸束20が2本以上の中空糸22から構成される場合、中空糸束20の両端部分は、一般に使用される封止材を用いて中空糸22間の間隙を封鎖すると共に、たとえば、糊付け等することでハウジング50の内周面側に固定することができる。封止材としては、たとえば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの公知の樹脂を利用できる。
−ハウジング−
ハウジング50は、(1)中空糸束20、多孔質体30および対向部材40を少なくとも格納でき、(2)最短距離Dminが略一定となるように細胞培養面30Sと対向面40Sとを対面させた状態で、多孔質体30および対向部材40を配置でき、かつ、(3)中空糸束20が多孔質体30および対向部材40の間に形成される空間の一部を占めるように配置できるのであれば、その構造は図1および図3に示す例に限定されない。また、ハウジング50には、図1および図3に例示したように、細胞の培養を効率的に行う観点から、通常は、ECSおよびルーメンに接続される導管が適宜設けられる。そして、細胞の培養に際して、これらの導管には、チューブを介して外部の機器(たとえば、ポンプ、培養液供給タンク、被培養部材供給タンクなど)に適宜接続される。また、ハウジング50の内周面のうち、少なくともECSを構成する内周面は、細胞培養面30Sと異なり、通常、微細な凹凸や孔の無い平滑面とされる。これにより、培養した細胞をモジュール10から取り出す際に、培養細胞層110の一部あるいは全部が内周面側に付着した状態で取り残される可能性を小さくすることができる。
ハウジング50を構成する材質は、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂などの樹脂材料を利用することができる。これらの樹脂材料の中でも、ポリカーボネート樹脂およびポリスルホン樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂およびポリスルホン樹脂は、耐熱性に優れるため、ハウジング50の高圧蒸気滅菌が可能となり、効率的な滅菌処理を行うことができる。また、ポリカーボネート樹脂およびポリスルホン樹脂は、透明性が高いため、肉眼により細胞の培養状態を容易に確認することができる。
また、第一の本実施形態のモジュール10では、ハウジング50の任意の部分が脱着可能であることが好ましい。ここで、「ハウジングの任意の部分が脱着可能」とは、ハウジング50の任意の部分(脱着可能部分)がハウジング50のその他の部分(本体部分)から分離可能であり、かつ、脱着可能部分は、本体部分に装着可能であることを意味する。また、「脱着可能」とは、脱着可能部分を、本体部分と接触させたまま開閉することが可能な態様、または、脱着可能部分を本体部分から完全に離間するように分離できると共に、分離した脱着可能部分を再び本体部分に取り付け可能な態様を意味する。たとえば、図1および図3に示すモジュール10では、ハウジング50の本体部分を構成する円筒状部材60に対して、キャップ62R、62Rが脱着可能に設けられてもよい。このキャップ62R、62Rは、たとえば、スクリュー式、はめ込み式、ボルト止め式等により脱着可能としてよい。なお、多孔質体30、培養細胞層110および中空糸束20を一体的に取り出すこと容易にする上では、たとえば、図1に示すモジュール10Aでは、多孔質体30をキャップ62L側に固定して取り付けることが好ましく、図3に示すモジュール10Bでは、多孔質体30および対向部材40をキャップ62L側に固定して取り付けることが好ましい。
<<第二の実施形態>>
図4は、第二の本実施形態の細胞培養用中空糸モジュールの一例を示す模式側面図である。図4中に示す各部材について、図1中に示すものと同様の機能を持つ部材については同一の符号が付してある。図4に示す第二の本実施形態のモジュール200では、細胞培養面30Sから対向面40Sまでの最短距離Dminが0.1mm〜5.0mmの範囲内に設定される。最短距離Dminを上記範囲内に設定することにより、容易にECS内を細胞で埋め尽くすように細胞を培養することができると共に、移植手術に必要な量の細胞の確保も極めて容易である。
なお、最短距離Dminは、0.3mm〜3.0mmの範囲内であることがより好ましい。また、最短距離Dminは、図1等に例示した第一の本実施形態のモジュール10と同様に、細胞培養面30Sの面内において略一定の値であってもよいが、図4に例示するように、ばらついていてもよい。この場合、たとえば、生体内に形成される一般的な隙間の隙間間隔がばらついているときでも、隙間を過不足無く培養細胞で埋め尽くすように移植手術を行うことが極めて容易になる。ここで、細胞培養面30Sの面内において最短距離Dminがばらつく場合は、最短距離Dminの最大値と最小値との中心値(=(最大値+最小値)/2)を基準値(100%)とした際に±5%を超える範囲でばらつく。したがって、対向部材40の形状は、図1等に例示した第一の本実施形態のモジュール10と同様に、対向面40Sが、細胞培養面30Sに略対応する表面形状を有していてもよく、図4に例示したように細胞培養面30Sに対応しない表面形状を有していてもよい。
なお、第二の本実施形態のモジュール200において、中空糸束20は、図4に示す例では、多孔質体30を貫通すると共に細胞培養面30Sと交差するように配置されているが、図3に例示したように細胞培養面30Sと略平行を成すように配置することもできる。
以上に説明した点を除けば、図4に例示する第二の本実施形態のモジュール200は、図1または図3等に例示した第一の本実施形態のモジュール10と実質同様の構成を有する。
図1に示すモジュール10Aを用いて軟骨細胞の培養実験を行った。なお、培養実験に用いたモジュール10Aの最短距離Dminは約3mmであり、細胞培養面30Sの単位面積当たりの中空糸22(外径:1.4mm)の配置密度は約5.8本/cmである。
培養実験に際しては、まず、ECS内に被培養部材(間葉系幹細胞を含むゲル状物質、軟骨細胞密度:10個/ml、ゲル成分:キトサンゲル)を充填した。次に、中空糸22のルーメンに、溶存酸素量7〜8mg/lの培養液を14日間に渡って連続的に供給し続けた。なお、培養液の代わりに水性インクを溶解した水溶液を供給した拡散試験の結果からは、中空糸22に導入した培養液がECS内に行き渡るのに要する時間は約15分程度と推定される。培養終了後、細胞培養面30Sと対向面40Sとの間に形成された培養細胞層110について、光学顕微鏡を用いて観察したところ、軟骨細胞の密度は10個/mlまで増大していた。また、培養細胞層110の厚み方向(図1中における中心軸Cに対応する方向)に対して、軟骨細胞がばらつき無く一様に増殖していることが確認された。
10、10A、10B :モジュール
20 :中空糸束
22 :中空糸
30 :多孔質体
30S :細胞培養面
40 :対向部材
40S :対向面
50 :ハウジング
60 :円筒状部材
62L :キャップ
62R :キャップ
70A :第一ECS導管
70B :第二ECS導管
80A :第一ルーメン導管
80B :第二ルーメン導管
100 :複合部材
110 :培養細胞層
200 :モジュール

Claims (7)

  1. 半透膜機能を有する中空糸を1本以上含む中空糸束と、
    細胞培養面を備えると共に、移植部位に対応した形状およびサイズを有する多孔質体と、
    前記細胞培養面に向き合うと共に、前記細胞培養面に略対応する表面形状を有する対向面を備えた対向部材と、
    前記中空糸束、前記多孔質体および前記対向部材を格納するハウジングと、を少なくとも有し、
    前記細胞培養面の面内において、前記細胞培養面から前記対向面までの最短距離が略一定となるように、前記細胞培養面と前記対向面とを対面させた状態で、前記ハウジング内に前記多孔質体および前記対向部材が配置されると共に、
    前記中空糸束が、少なくとも前記細胞培養面と前記対向面との間に形成される空間の一部分を占めるように配置されていることを特徴とする細胞培養用中空糸モジュール。
  2. 半透膜機能を有する中空糸を1本以上含む中空糸束と、
    細胞培養面を備えると共に、移植部位に対応した形状およびサイズを有する多孔質体と、
    前記細胞培養面に向き合う対向面を備えた対向部材と、
    前記中空糸束、前記多孔質体および前記対向部材を格納するハウジングと、を少なくとも有し、
    前記細胞培養面から前記対向面までの最短距離が0.1mm〜5.0mmの範囲内となるように、前記細胞培養面と前記対向面とを対面させた状態で、前記ハウジング内に前記多孔質体および前記対向部材が配置されると共に、
    前記中空糸束が、少なくとも前記細胞培養面と前記対向面との間に形成される空間の一部分を占めるように配置されていることを特徴とする細胞培養用中空糸モジュール。
  3. 請求項1または2に記載の細胞培養用中空糸モジュールにおいて、
    前記多孔質体の形状が、不規則かつ不定形的な形状であることを特徴とする細胞培養用中空糸モジュール。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の細胞培養用中空糸モジュールにおいて、
    前記細胞培養面が、不規則に湾曲した非平坦面であることを特徴とする細胞培養用中空糸モジュール。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の細胞培養用中空糸モジュールを用いた細胞培養方法であって、
    前記細胞培養面と、前記対向面と、前記ハウジングの内周面とにより囲まれた空間内に、種細胞を少なくとも含む被培養部材を配置する種細胞配置工程、
    を少なくとも含むことを特徴とする細胞培養方法。
  6. 請求項5に記載の細胞培養方法において、
    前記種細胞が軟骨細胞であることを特徴とする細胞培養方法。
  7. 請求項5または6に記載の細胞培養方法において、
    細胞の培養が完了した後に、前記多孔質体と、増殖した細胞を含む前記被培養部材と、前記中空糸束とが一体となった状態で、これら部材を前記ハウジング内から取り出す取り出し工程を含むことを特徴とする細胞培養方法。
JP2016046912A 2016-03-10 2016-03-10 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法 Pending JP2016104046A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016046912A JP2016104046A (ja) 2016-03-10 2016-03-10 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016046912A JP2016104046A (ja) 2016-03-10 2016-03-10 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014032894A Division JP5995886B2 (ja) 2014-02-24 2014-02-24 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016104046A true JP2016104046A (ja) 2016-06-09

Family

ID=56101856

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016046912A Pending JP2016104046A (ja) 2016-03-10 2016-03-10 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016104046A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05184351A (ja) * 1991-06-19 1993-07-27 Endotronics Inc 細胞培養装置
JP2001178445A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Able Corp 三次元動物細胞培養担体及び三次元動物細胞
JP2001190270A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Able Corp 動物細胞傾斜培養装置
JP2003180334A (ja) * 2001-12-17 2003-07-02 Japan Science & Technology Corp 三次元高密度細胞培養用モジュール
JP2004166717A (ja) * 1999-08-25 2004-06-17 Toyobo Co Ltd 血管網類似構造体を有する細胞培養用モジュール
JP2012044908A (ja) * 2010-08-25 2012-03-08 Nomura Unison Co Ltd 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05184351A (ja) * 1991-06-19 1993-07-27 Endotronics Inc 細胞培養装置
JP2004166717A (ja) * 1999-08-25 2004-06-17 Toyobo Co Ltd 血管網類似構造体を有する細胞培養用モジュール
JP2001178445A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Able Corp 三次元動物細胞培養担体及び三次元動物細胞
JP2001190270A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Able Corp 動物細胞傾斜培養装置
JP2003180334A (ja) * 2001-12-17 2003-07-02 Japan Science & Technology Corp 三次元高密度細胞培養用モジュール
JP2012044908A (ja) * 2010-08-25 2012-03-08 Nomura Unison Co Ltd 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11464640B2 (en) Method of making a personalized bone graft
US10851340B2 (en) Unitary 3D culture device
JP6696206B2 (ja) ガス不透過性管を用いた細胞培養装置および細胞培養方法
JPH07298876A (ja) 通液性細胞培養担体と、この担体を用いる培養方法お よび培養装置
JP5727174B2 (ja) 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法
JP6958350B2 (ja) 幹細胞培養上清の製造方法
JP2021003527A (ja) 生体親和性多孔質膜、バイオカプセルデバイスおよび生体親和性多孔質膜の製造方法
JP5995886B2 (ja) 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法
JPWO2016140213A1 (ja) 中空糸モジュールを用いた細胞培養方法
JP6126716B2 (ja) 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法
Farag et al. Fabrication and characterization of decellularized periodontal ligament cell sheet constructs
JP2016104046A (ja) 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法
JP6537313B2 (ja) 移植用部材および移植用部材の製造方法
BABA et al. Combined automated culture system for tubular structure assembly and maturation for vascular tissue engineering
JP2021164532A (ja) 多孔膜、積層体、容器、及びバイオカプセルデバイス
JP2011062216A (ja) 細胞培養用中空糸モジュールおよび細胞培養方法
Hervella Baturone Influence of oxygen mass transport on bioreactors for Tissue Engineering
Carmona-Moran et al. A Novel Multi-Stimuli Bioreactor for Tissue Engineering Cartilage

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160323

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160419

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170919