JP2021164532A - 多孔膜、積層体、容器、及びバイオカプセルデバイス - Google Patents

多孔膜、積層体、容器、及びバイオカプセルデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】細胞スフェロイドを透過せず、且つ細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質を透過することができる多孔膜を提供する。【解決手段】多孔膜10は、非分解性生体適合性材料からなり、30μm以上100μm未満の平均径を有する複数の貫通孔12を画成する孔縁部13を含む多孔領域14を含み、前記多孔領域14において20%を超え50%以下の開口率を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、多孔膜、積層体、容器、及びバイオカプセルデバイスに関する。
近年、人工材料と細胞とを組み合わせて作られるバイオカプセルデバイスが研究されている。バイオカプセルデバイスは、細胞と、細胞を外部環境から隔離するための隔離膜を備える。バイオカプセルデバイスは、患者の体内に移植され、患者の臓器の機能を一時的又は半永久的に提供するバイオ人工臓器として用いられる。
特許文献1において、生きている細胞を半透膜内に封入する方法が記載されている。特許文献1によれば、この方法により、人工膵臓として使用することができるカプセルの製造が可能になる。また、特許文献2において、細胞を外部環境から隔離するための半透膜とその製造方法が記載されている。この半透膜は、微小な孔が複数設けられている多孔膜である。
特開昭55−157502号公報 WO2017/126612
発明者の鋭意検討によれば、特許文献1に記載の方法で使用される半透膜は、細胞の代謝物(例えば、分泌物、老廃物)、栄養、液性因子、酸素等の物質の透過性が低い。そのため、カプセル内の細胞の代謝物がカプセル外に排出されにくく、また、患者の体液からカプセル内の細胞への栄養及び酸素の供給が不十分である。そのため、カプセル内の細胞は長期間生存することが難しい。したがって、特許文献1に記載の方法を用いて製造されるカプセルは、人工臓器として長期間使用することが難しい。
特許文献2に記載の半透膜は、細胞の代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質の透過性を高めるために開口率を高める必要がある。しかし、特許文献2に記載の製造方法では、半透膜にランダムに孔が形成されるため、孔を粗大化させることなく開口率を高めることが困難である。粗大な孔を有する半透膜は細胞を透過するため、バイオカプセルデバイスの隔離膜には適さない。
また、複数の細胞の集合体である細胞スフェロイド(細胞凝集体又は細胞塊とも呼ばれる)は、単独の細胞と比べて、その機能を長期間維持できる。そのため、細胞スフェロイドをバイオカプセルデバイスに適用することが期待される。
そこで、本発明は、細胞スフェロイドを透過せず、且つ細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質を透過することができる、多孔膜、並びにこの多孔膜を含む積層体、容器及びバイオカプセルデバイスを提供することを目的とする。
本発明の第一の態様に従えば、非分解性生体適合性材料からなり、
30μm以上100μm未満の平均径を有する複数の貫通孔を画成する孔縁部を含む多孔領域を含み、
前記多孔領域において20%を超え50%以下の開口率を有する、多孔膜が提供される。
本発明の第二の態様に従えば、
第一の態様の多孔膜と、
前記多孔膜を支持する支持膜と、
を含み、
前記支持膜が、非分解性生体適合性材料からなり、複数の貫通孔を含み、50〜95%の開口率を有する、積層体が提供される。
本発明の第三の態様に従えば、第一の態様の多孔膜又は第二の態様の積層体を含む、容器が提供される。
本発明の第四の態様に従えば、
第三の態様の容器と、
前記容器内の細胞スフェロイドと、
を含む、バイオカプセルデバイスが提供される。
本発明によれば、細胞スフェロイドを透過せず、且つ細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質を透過することができる、多孔膜、並びにこの多孔膜を含む積層体、容器及びバイオカプセルデバイスが提供される。
図1は、実施形態に係る多孔膜の概略斜視図である。 図2は、実施形態に係る多孔膜の貫通孔の形状及び配置の一例を示す概略上面図である。 図3は、実施形態に係る多孔膜の貫通孔の形状及び配置の一例を示す概略上面図である。 図4は、実施形態に係る多孔膜の貫通孔の形状及び配置の一例を示す概略上面図である。 図5は、実施形態に係る多孔膜の貫通孔の断面形状の一例を示す概略断面図である。 図6は、実施形態に係る積層体の概略分解斜視図である。 図7は、実施形態に係る容器及びバイオカプセルデバイスの一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施形態について説明する。なお、以下の説明で参照する図面において、同一の部材又は同様な機能を有する部材には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率が説明の都合上実際の比率とは異なったり、部材の一部が図面から省略されたりする場合がある。また、本願において、記号「〜」を用いて表される数値範囲は、記号「〜」の前後に記載される数値のそれぞれを下限値及び上限値として含む。
(1)多孔膜
まず、実施形態に係る多孔膜10を説明する。多孔膜10は、自立可能な膜である。多孔膜10は、図1に示すように、矩形の形状を有してよいが、多孔膜10の形状はこれに限定されず、任意の形状を有してよい。
多孔膜10は、非分解性生体適合性材料からなる。本願において「非分解性」とは、生体内で分解、腐食、破壊又は吸収されないことを意味する。ただし、多孔膜10の隔離膜としての性能に影響しない程度であれば、生体内で分解、腐食、破壊又は吸収されてもよい。本願において「生体適合性」とは、細胞に対する毒性がないこと、好ましくは、免疫拒絶反応、アレルギー反応又は炎症応答等の生体反応を引き起こさないことを意味する。多孔膜10が非分解性生体適合性材料からなることにより、多孔膜10は生体内で長期間にわたってその機能を維持することができる。
非分解性生体適合性材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂)、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。多孔膜10を後述するバイオカプセルデバイス100(図7参照)のような生体内で長期間用いられるデバイスの隔離膜として用いる場合、多孔膜10は、PTFE樹脂、ポリエステル樹脂(例えばPET樹脂)、又はPP樹脂から形成されてよい。
図1に示すように、多孔膜10は、複数の貫通孔12を画成する孔縁部13を含む。貫通孔12は、多孔膜10の第一面16から第一面16の反対側の第二面17まで貫通する(図5参照)。なお、多孔膜10の全体に貫通孔12が形成されていてもよいし、多孔膜10の一部の領域に貫通孔12が形成されていてもよい。貫通孔12が形成された領域を、本願において多孔領域14という。多孔膜10の全体に貫通孔12が形成されている場合は、多孔膜10の全領域が多孔領域14となる。
多孔領域14において、多孔膜10は、例えば、30μm以下の厚さを有してよい。その場合、細胞スフェロイドの代謝物(例えば、分泌物、老廃物)、栄養、液性因子、酸素等の物質、例えば、インスリン、乳酸、グルコースが多孔膜10を容易に通過することができる。また、多孔膜10は、1μm以上の厚さを有してよい。その場合、多孔膜10のハンドリングが容易になる。
貫通孔12は、任意の形状、例えば、円形、楕円形、多角形の形状の開口を有してよい。開口は、図2に示すように円形状であってよく、図3に示すように正六角形状であってよく、図4に示すように四角形状(例えば、正方形状、長方形状、平行四辺形状、ひし形状)、三角形状(例えば、正三角形状)であってよい。それにより、多孔膜10の機械強度の低下を抑制しながら多孔膜10の開口率を高めることが可能になる。
貫通孔12は、100μm以上の径を有する細胞スフェロイドが通過できず、且つ細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の数nm〜数十nmの大きさを有する物質が容易に通過可能な大きさの径を有する。本願において、貫通孔12の径とは、貫通孔12の開口が円形状の場合は開口の直径を意味し、貫通孔12の開口が円形状でない場合は開口の外接円の直径を意味する。貫通孔12は、30μm以上100μm未満の平均径を有する。貫通孔12の平均径が30μm以上の場合、多孔膜10の作製が容易となる。貫通孔12の平均径が100μm未満であることにより、多孔膜10は、細胞スフェロイドを透過せず、且つ細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質を透過することができる。また、貫通孔12の径の標準偏差は、3μm以下であってよい。それにより、多孔膜10の機械強度の低下を抑制しながら多孔膜10の開口率を高めることが可能となるとともに、多孔膜10の多孔領域14における、細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質の透過性が均一になる。本願における貫通孔12の平均径は、多孔膜10の表面の顕微鏡像から20個以上の貫通孔12を無作為に選択し、これらの径の測定値の相加平均を計算することにより求められる。また、貫通孔12の径の標準偏差は、上記測定値の分布に基づいて求められる。
貫通孔12は、規則的な配列で配置されてよく、等間隔に配置されてよい。それにより、多孔膜10の機械強度の低下を抑制しながら多孔膜10の開口率を高めることができるとともに、多孔膜10の多孔領域14における、細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質の透過性が均一になる。特に貫通孔12は最密配列で配置されてよい。例えば、図2〜4に示すように、貫通孔12は60°千鳥配列で配置されてよい。
多孔膜10は、多孔領域14において、20%を超え50%以下、好ましくは30〜50%の開口率を有してよい。開口率が20%超、特に30%以上であることにより、細胞スフェロイドの代謝物(例えば、分泌物、老廃物)、栄養、液性因子、酸素等の物質が多孔膜10の多孔領域14を容易に通過することができる。開口率が50%以下であることにより、多孔膜10は十分な機械強度を有することができる。なお、開口率は、貫通孔12の開口も含む多孔領域14の面積に対する、貫通孔12の開口の合計面積の割合を意味する。
図5に示すように、貫通孔12の中心軸Aが多孔膜10の膜厚方向に対して傾いたり、貫通孔12の中心軸Aが湾曲したりする場合、貫通孔12の中心軸Aの長さLが多孔領域14における多孔膜10の厚さTを超える。実施形態の多孔膜10において、貫通孔12の中心軸Aの平均長さは、多孔領域14における多孔膜10の厚さTの1〜1.02倍であってよい。すなわち、貫通孔12の中心軸Aの平均長さと多孔領域14における多孔膜10の厚さTの比は、1:0.98〜1:1であってよい。それにより、細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質が貫通孔12を通過しやすくなる。なお、本願において、貫通孔12の中心軸Aの平均長さは、多孔膜10の断面の顕微鏡像等から20個以上の貫通孔12を無作為に選択し、これらの中心軸Aの長さLの測定値の相加平均を計算することにより求められる。
貫通孔12の平均アスペクト比は0.01〜1.5であってよい。本願において、貫通孔12の平均アスペクト比は、(貫通孔12の中心軸Aの平均長さ)/(貫通孔12の平均径)を意味する。平均アスペクト比が0.01以上である貫通孔12は、容易に形成できる。平均アスペクト比が1.5以下であることにより、多孔膜10は十分な細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質の透過性を有することができる。
上述したように、実施形態に係る多孔膜10は、細胞スフェロイドを透過せず、且つ細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質を透過することができる。多孔膜10は非分解性生体適合性材料からなるため、多孔膜10は、生体内で長期間にわたって、物質透過性を維持することができる。したがって、多孔膜10は、生体内で長期間用いられるバイオカプセルデバイスの隔離膜として用いるのに適している。
(2)積層体
図6に示すように、実施形態に係る積層体25は、多孔膜10と、多孔膜10を支持する支持膜20を含む。多孔膜10と支持膜20は積層されて接合されている。多孔膜10と支持膜20は熱圧着等により直接接合されていてもよいし、接着剤等を介して接合されていてもよい。接着剤として、生体適合性の熱可塑性樹脂、医療用接着剤、手術用接着剤、止血剤等、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、スチレン−イソブチレン共重合体(SIB)、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)、ポリアミド合成樹脂(例えば、ナイロン(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、及びポリカーボネート(PC)を用いることができる。
多孔膜10は、上述の実施形態に係る多孔膜10と同様のものであるため、説明は省略する。ただし、積層体25に含まれる多孔膜10は、1〜10μmの厚さを有してよい。この場合、多孔膜10は単体では比較的低い機械強度を有する。しかし、積層体25において多孔膜10は支持膜20により支持されているため、積層体25は十分な機械強度を有することができる。
支持膜20は、非分解性生体適合性材料からなる。それにより、支持膜20は生体内で長期間にわたってその機能を維持することができる。支持膜20に用いられる非分解性生体適合性材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂)、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂、チタンが挙げられる。
支持膜20は、複数の貫通孔22を画成する孔縁部23を含む。貫通孔22は、支持膜20の第一面から第一面の反対側の第二面まで貫通する。なお、支持膜20の全体に貫通孔22が形成されていてもよいし、多孔膜10の多孔領域14に対応する領域に貫通孔22が形成されていてもよい。
支持膜20が多孔膜10を支持するのに十分な機械強度を有するように、支持膜20は、例えば、10μm以上の厚さを有してよい。また、体内に定置した際の異物感(体の変形に対する追従性)の観点から、支持膜20の厚さは200μm以下であってよい。
貫通孔22は、任意の形状、例えば、円形、楕円形、多角形の形状の開口を有してよい。
貫通孔22は、細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質が積層体25を通過することを阻害しない大きさの径を有する。本願において、貫通孔22の径とは、貫通孔22の開口が円形状の場合は開口の直径を意味し、貫通孔22の開口が円形状でない場合は開口の外接円の直径を意味する。貫通孔22は、0.2〜10mmの平均径を有してよい。貫通孔22の平均径が0.2mm以上の場合、支持膜20は十分高い物質透過性を有することができる。貫通孔22の平均径が10mm以下の場合、支持膜20は十分な機械強度を有することができる。本願における貫通孔22の平均径は、支持膜20の表面の顕微鏡像から20個以上の貫通孔22を無作為に選択し、これらの径の測定値の相加平均を計算することにより求められる。
貫通孔22の配置は、特に限定されない。支持膜20の機械強度の低下を抑制しながら支持膜20の開口率を高めるために、貫通孔22は、規則的に等間隔で配置されてよい。
支持膜20は、貫通孔22が設けられている領域において、50%以上、好ましくは85%以上の開口率を有してよい。それにより、支持膜20は十分高い物質透過性を有することができる。また、支持膜20は、貫通孔22が設けられている領域において、95%以下の開口率を有してよい。それにより、支持膜20は十分な機械強度を有することができる。なお、開口率は、貫通孔22が設けられている領域の面積(貫通孔22の開口面積も含む)に対する、貫通孔32の開口の合計面積の割合を意味する。
実施形態に係る積層体25は、細胞スフェロイドを透過せず、且つ細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質を透過することができる。積層体25は非分解性生体適合性材料からなるため、積層体25は、生体内で長期間にわたって、物質透過性を維持することができる。また、積層体25は、支持膜20を含むことにより、高い機械強度を有することができる。したがって、積層体25は、生体内で長期間用いられるバイオカプセルデバイスの隔離膜として用いるのに適している。
(3)バイオカプセルデバイス
実施形態に係るバイオカプセルデバイス100は、生体内に移植して使用されるバイオ人工臓器として用いられる。バイオカプセルデバイス100は、図7に示すように、上記実施形態の多孔膜10を含む容器50と、容器50内に入れられた細胞スフェロイド101とを含む。容器50は、多孔膜10の代わりに、上記実施形態の積層体25を含んでもよい。以下、多孔膜10を含む容器50及び該容器50を含むバイオカプセルデバイス100を説明するが、同様の説明は多孔膜10の代わりに積層体25を含む容器50及び該容器50を含むバイオカプセルデバイス100にも当てはまる。
容器50の全体が多孔膜10から形成されてよい。例えば、容器50は、多孔膜10からなる袋であってよい。あるいは、容器50の一部が多孔膜10から形成されてもよい。例えば、容器50は、開口部を有する容器本体と、該開口部を覆うように固定された多孔膜10とを含んでもよい。
熱圧着、接着剤、固定部材等により多孔膜10を袋状に加工することによって、袋状の容器50を製造することができる。また、熱圧着、接着剤、固定部材等により開口部を有する容器本体に多孔膜10を固定することにより、容器50を製造してもよい。接着剤として、生体適合性の熱可塑性樹脂、医療用接着剤、手術用接着剤、止血剤等、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、スチレン−イソブチレン共重合体(SIB)、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)、ポリアミド合成樹脂(例えば、ナイロン(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、及びポリカーボネート(PC)を用いることができる。熱可塑性樹脂を接着剤として用いる場合又は熱圧着を行う場合は、オーブン、ヒートシーラー、超音波溶着機等を用いて加熱を行ってよい。
容器50は、バイオカプセルデバイス100の移植部位や用途に応じて任意の寸法及び形状を有してよい。
容器50は、細胞スフェロイド101を入れる空間52を画成する内表面54を有する。空間52には、細胞スフェロイド101が存在する。すなわち、容器50は細胞スフェロイド101を内包する。
細胞スフェロイド101は、100μm以上の径を有してよい。それにより、細胞スフェロイド101は、多孔膜10の貫通孔12を通過できない。そのため、細胞スフェロイド101が容器50から流出して散逸することが防止される。ここで、細胞スフェロイドの径は、顕微鏡観察により求めた値である。
細胞スフェロイド101は、例えば、全能性幹細胞、多能性幹細胞、単能性幹細胞(例えば、神経幹細胞、上皮幹細胞、肝幹細胞、生殖幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、骨格筋幹細胞等)、人工多能性幹細胞等の幹細胞、又は、これらの幹細胞から分化した細胞(例えば、神経細胞、肝細胞、筋肉細胞、白血球等)のスフェロイドであってよい。細胞スフェロイド101は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ラット、マウス、トリ等の動物から得た細胞のスフェロイドであってもよい。細胞スフェロイド101は、植物細胞、真正細菌、古細菌、藻類、原生生物等の微生物の細胞のスフェロイドであってもよい。細胞スフェロイド101に含まれる細胞の由来、種類、フェノタイプ、遺伝子改変の有無、継代数は特に限定されない。また、細胞スフェロイド101に含まれる細胞は、浮遊細胞であっても、接着細胞であってもよい。細胞スフェロイド101は、任意の形状を有してよい。特に、細胞スフェロイド101は、インスリン産生細胞のスフェロイド、単離された膵島、又は肝細胞からなるスフェロイドであってよい。これらの細胞スフェロイド101は通常100〜250μmの直径を有するため、多孔膜10の貫通孔12を通過しない。そのため、細胞スフェロイド101が容器50から流出して散逸することが防止される。
空間52には、さらに、任意のゲル、寒天培地、液体培地が存在してもよい。
バイオカプセルデバイス100は、容器50の注入口を介して細胞スフェロイド101を容器50に入れ、その後注入口を封止することにより製造できる。バイオカプセルデバイス100は、封止された容器50に、針付シリンジを用いて細胞スフェロイド101を注入し、再度封止することにより製造することもできる。
多孔膜10は、細胞スフェロイド101を透過せず、且つ細胞スフェロイド101の代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質を透過することができる。そのため、バイオカプセルデバイス100において、多孔膜10は、細胞スフェロイド101が容器50から流出することを防止しながら、細胞スフェロイド101の代謝物、液性因子等を容器50から流出させて生体に供給するとともに生体中の栄養、液性因子、酸素等を容器50内に供給することを可能にする、隔離膜として機能する。それにより、細胞スフェロイド101は容器50内で長期間生存でき、バイオカプセルデバイス100が長期間にわたり高い治療効果を有することができる。
(4)多孔膜の製造方法
実施形態に係る多孔膜10において、貫通孔12の孔径と配置を制御することが重要である。したがって、貫通孔12の形成方法としては、パターニング技術を用いることが好ましい。例えば、半導体で用いられているパターニング技術と加工技術を用いることができる。例えば、非分解性生体適合性材料のシートの表面にパターンを形成し、裏面(パターン形成面の裏側)からドライエッチング処理を行うことで、パターンに影響を与えることなく残渣の除去が可能となる。したがって、裏面からのドライエッチング処理が貫通孔形成には有効である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
半導体加工技術により、12μmの厚さを有するPTFEのシート(膜)に貫通孔を形成した。なお、設計時の孔径は30μm、開口率は35%とした。こうして試験体を得た。
実施例2
PTFEのシートの代わりにPETのシートを用い、半導体加工技術により貫通孔を形成した。こうして試験体を得た。
実施例3
PTFEのシートの代わりにPPのシートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、試験体を得た。
比較例1
12μmの厚さを有するPETのシートを用意した。このシートに、トラックエッチング法により貫通孔を形成して、試験体を得た。
<顕微鏡観察>
実施例1−3及び比較例1の試験体をレーザー顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で観察した。実施例1−3及び比較例1のいずれにおいても、貫通孔が形成されたことが確認された。
顕微鏡像から、0.5mm×0.5mmの領域中に含まれる20個の貫通孔の径の平均値を求めた。実施例1−3の試験体の貫通孔の平均径は約30−32μmであった。比較例1の試験体の貫通孔の平均径は約10μmであった。
実施例1−3及び比較例1の試験体の第二面の顕微鏡像から、試験体における孔の面積割合を計算して、試験体の開口率を求めた。実施例1−3及び比較例1の試験体の開口率を表1に示す。
<物質透過性評価>
実施例1−3および比較例1の試験体の物質透過性を以下の手順で評価した。
試験体を直径25mmの円形に切断し、12ウェル用インサートに固定した。インサートに蛍光性デキストラン(分子量:10000)及び培地を加えた。インサートを、培地を加えた12ウェルプレートのウェルに挿入し、室温、暗環境にて3時間保持した。
ウェル内の培地とインサート内の培地の蛍光強度比を求めた。結果を表1に示す。蛍光強度比は、試験体の物質透過性の指標であり、蛍光強度比が大きいほど試験体の物質透過性が高いことを示す。
実施例1−3の試験体は、比較例1の試験体よりも大きい蛍光強度比を示した。すなわち実施例1−3の試験体は、比較例1の試験体よりも高い物質透過性を有していた。したがって、細胞スフェロイドの代謝物、栄養、液性因子、酸素等の物質は、実施例1−3の試験体を通過できる。一方で、実施例1−3の試験体の貫通孔の平均径は約30−32μmであり、細胞スフェロイドの径よりも小さいため、細胞スフェロイドは、実施例1−3の試験体を通過できない。そのため、実施例1−3の試験体は、バイオカプセルデバイスの隔壁として好適に用いることができる。
比較例1の試験体は、小さい蛍光強度比を示した。すなわち、比較例1の試験体の物質透過性は低かった。これは、比較例1の試験体の開口率が低かったためと考えられる。
Figure 2021164532
以上、本発明の実施形態及び実施例について詳述したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができる。例えば、上記実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
10 多孔膜
12 貫通孔
13 孔縁部
14 多孔領域
16 第一面
17 第二面
20 支持膜
22 貫通孔
23 孔縁部
50 容器
100 バイオカプセルデバイス
101 細胞スフェロイド

Claims (10)

  1. 非分解性生体適合性材料からなり、
    30μm以上100μm未満の平均径を有する複数の貫通孔を画成する孔縁部を含む多孔領域を含み、
    前記多孔領域において20%を超え50%以下の開口率を有する、多孔膜。
  2. ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、及びポリプロピレン樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の多孔膜。
  3. 前記多孔領域における前記多孔膜の厚さが1〜30μmである、請求項1に記載の多孔膜。
  4. 前記複数の貫通孔が60°千鳥配列で配置されている、請求項1に記載の多孔膜。
  5. 前記複数の貫通孔の各開口が、円形、正六角形、四角形、及び三角形からなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の多孔膜。
  6. 前記複数の貫通孔の中心軸の長さと前記多孔領域における前記多孔膜の厚さの比が、1:0.98〜1:1である、請求項1に記載の多孔膜。
  7. 請求項1に記載の多孔膜と、
    前記多孔膜を支持する支持膜と、
    を含み、
    前記支持膜が、非分解性生体適合性材料からなり、複数の貫通孔を含み、50〜95%の開口率を有する、積層体。
  8. 前記支持膜が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂及びチタンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項7に記載の積層体。
  9. 請求項1に記載の多孔膜又は請求項7に記載の積層体を含む、容器。
  10. 請求項9に記載の容器と、
    前記容器内の細胞スフェロイドと、
    を含む、バイオカプセルデバイス。
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