<本発明に係る一形態を得るに至った経緯>
電力変換装置の一次側に配置されたインバータ回路が、フルブリッジ型の場合、四つのスイッチング素子のオンオフを切り替えるタイミングを制御することにより、電力変換装置の二次側から出力される電圧の振幅を制御することができる。しかし、この場合、電力変換装置の二次側から電力を出力しない期間に、インバータ回路において、循環電流が発生する。循環電流は電力のロスとなる。このような課題は、上記特許文献1において言及されていない。そこで、一次側のインバータ回路において、循環電流が発生しないようにするために、本発明を創作するに至った。
<発明の一態様の概要>
本発明の一態様である電力変換装置は、図1を参照して、一次巻線19と一次巻線19と磁気結合される二次巻線21とを含むトランス9と、直流電源17からの直流電圧を交流電圧に変換し、変換した交流電圧を一次巻線19に供給するインバータ回路5と、商用電力系統27又は負荷29のいずれか一方と電気的に接続可能な第1端15aと第2端15bとを含む接続部15と、接続部15の第1端15aと二次巻線21の第1端21aとの間に挿入される第1スイッチング素子S5と、接続部15の第2端15bと二次巻線21の第1端21aとの間に挿入される第2スイッチング素子S6と、接続部15の第1端15aと二次巻線21の第2端21bとの間に挿入される第3スイッチング素子S7と、接続部15の第2端15bと二次巻線21の第2端21bとの間に挿入される第4スイッチング素子S8と、接続部15から出力される出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する制御部7と、を備え、図5、図16及び図17を参照して、制御部7は、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内の少なくとも一方を、二次巻線21の電圧(トランス電圧V1)が正である第1期間における第1オン時点Ton1において、オフからオンに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内の少なくとも一方を、第1期間に続く二次巻線21の電圧が負である第2期間における第2オン時点Ton2において、オフからオンに切り替え、第1オン時点Ton1または第2オン時点Ton2の内の少なくともいずれか一方をシフトさせることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
本発明の一態様である電力変換装置1によれば、電力変換装置1の二次側に配置された第1〜第4スイッチング素子S5〜S8を制御することによって、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。このため、一次側のインバータ回路5では、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御するための処理が不要なので(インバータ回路5を構成するスイッチング素子S1,S2,S3,S4を駆動させる信号の位相を固定できるので)、一次側のインバータ回路5において、循環電流が発生しないようにすることができる。
上記構成において、図5を参照して、制御部7は、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内で第1オン時点Ton1にてオフからオンに切り替えないスイッチング素子を、第1期間および第2期間に渡って、オン状態とし、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内で第2オン時点Ton2にてオフからオンに切り替えないスイッチング素子を、第1期間および第2期間に渡って、オン状態とすることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
この構成は、図5に示すように、非対称制御において、電力供給モードを実現できる。また、図5に示す期間T1,T3において、トランス電流i1が0になり、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8によって構成される回路からインバータ回路5に電力が回生されないので、電力のロスを少なくできる。
なお、トランス電流i1が0とは、理想的には、0という意味であり、実際には、漏れ磁束等の影響でトランス電流i1が若干発生している。以降、トランス電流i1が0とは、この意味である。
上記構成において、図5、図16及び図17を参照して、制御部7は、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内で第1オン時点Ton1にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第2期間の第1オフ時点Toff1において、オンからオフに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内で第2オン時点Ton2にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第2期間に続く二次巻線21の電圧が正である第3期間における第2オフ時点Toff2において、オンからオフに切り替えることにより、出力電圧の振幅または出力電流の少なくとも一方を制御する。
この構成は、スイッチング素子のオンからオフに切り替えるタイミングの一例である。この構成を図5に示す非対称制御に適用した場合、電力のロスを少なくできる。
上記構成において、図6を参照して、制御部7は、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内のいずれか一方を、第1オン時点Ton1と異なる予め定められた第3オン時点Ton3において、オフからオンに切り替え、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内のもう一方を、第1期間で、かつ、第3オン時点Ton3よりも前の第4オン時点Ton4において、オフからオンに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内のいずれか一方を、第2オン時点Ton2と異なる予め定められた第5オン時点Ton5において、オフからオンに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内のもう一方を、第2期間で、かつ、第5オン時点Ton5よりも前の第6オン時点Ton6において、オフからオンに切り替え、第4オン時点Ton4または第6オン時点Ton6の少なくともいずれか一方をシフトさせることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
この構成は、図6に示すように、非対称制御において、電力回生モードを実現できる。また、図6に示す期間T6,T8において、トランス電流i1が0になり、インバータ回路5から第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8によって構成される回路に電力が供給されないので、電力のロスを少なくできる。
上記構成において、図6を参照して、制御部7は、第1期間において、第3オン時点を設定し、第2期間において、第5オン時点を設定する。
この構成は、直流電源17と負荷29とを接続して運転(自立運転)をする場合、及び、直流電源17と商用電力系統27とを接続して運転(系統連系運転)をする場合のいずれにも適用することができる。
上記構成において、図6を参照して、制御部7は、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内で第3オン時点Ton3にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第2期間で、かつ、第5オン時点Ton5よりも後の第3オフ時点Toff3において、オンからオフに切り替え、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内で第4オン時点Ton4にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第3オフ時点Toff3よりも後の第4オフ時点Toff4において、オンからオフに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内で第5オン時点Ton5にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第2期間に続く二次巻線21の電圧が正である第3期間における第5オフ時点Toff5において、オンからオフに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内で第6オン時点Ton6にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第3期間における第6オフ時点Toff6において、オンからオフに切り替えることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
この構成は、スイッチング素子のオンからオフに切り替えるタイミングの一例である。
上記構成において、図15を参照して、制御部7は、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内のいずれか一方を、第1オン時点Ton1と異なる予め定められた第3オン時点Ton3において、オフからオンに切り替え、第3オン時点Ton3後、第2期間における第3オフ時点Toff3において、オンからオフに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内のいずれか一方を、第2オン時点Ton2と異なる予め定められた第5オン時点Ton5において、オフからオンに切り替え、第5オン時点Ton5より前の第1期間における第5オフ時点Toff5において、オンからオフに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内のもう一方を、第2期間で、かつ、第3オフ時点Toff3よりも前である第6オン時点Ton6において、オフからオンに切り替え、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内のもう一方を、第1期間で、かつ、第5オフ時点Toff5よりも前である第4オン時点Ton4において、オフからオンに切り替え、第4オン時点Ton4または第6オン時点Ton6の少なくともいずれか一方をシフトさせることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
この構成は、図15に示すように、非対称制御において、電力回生モードを実現できる。また、図15に示す期間T6,T8において、トランス電流i1が0になり、インバータ回路5から第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8によって構成される回路に電力が供給されないので、電力のロスを少なくできる。
この構成は、直流電源17と負荷29とを接続して運転(自立運転)をする場合、及び、直流電源17と商用電力系統27とを接続して運転(系統連系運転)をする場合のいずれにも適用することができる。
上記構成において、図15を参照して、制御部7は、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との内で、第4オン時点Ton4にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第5オン時点Ton5よりも後である第4オフ時点Toff4において、オンからオフに切り替え、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との内で、第6オン時点Ton6にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第6オン時点Ton6よりも前で、かつ、第3オン時点Ton3よりも後である第6オフ時点Toff6において、オンからオフに切り替えることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
この構成は、スイッチング素子のオンからオフに切り替えるタイミングの一例である。
上記構成において、図1を参照して、接続部15の第1端15aと二次巻線21の第1端21aとの間に、第1スイッチング素子S5と並列に挿入され、電流を流す方向が第1スイッチング素子S5と逆方向である第5スイッチング素子S9と、接続部15の第2端15bと二次巻線21の第1端21aとの間に、第2スイッチング素子S6と並列に挿入され、電流を流す方向が第2スイッチング素子S6と逆方向である第6スイッチング素子S10と、接続部15の第1端15aと二次巻線21の第2端21bとの間に、第3スイッチング素子S7と並列に挿入され、電流を流す方向が第3スイッチング素子S7と逆方向である第7スイッチング素子S11と、接続部15の第2端15bと二次巻線21の第2端21bとの間に、第4スイッチング素子S8と並列に挿入され、電流を流す方向が第4スイッチング素子S8と逆方向である第8スイッチング素子S12と、を備え、制御部7は、接続部15から出力される出力電流が正である期間において、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8を制御することによって、出力電圧の振幅を制御し、接続部15から出力される出力電流が負である期間において、第1スイッチング素子S5に替えて第6スイッチング素子S10を制御し、第2スイッチング素子S6に替えて第5スイッチング素子S9を制御し、第3スイッチング素子S7に替えて第8スイッチング素子S12を制御し、第4スイッチング素子S8に替えて第7スイッチング素子S11を制御することによって、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
この構成によれば、出力電流が正負に応じて、制御するスイッチング素子を替えることによって、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
第1スイッチング素子S5に替えて第6スイッチング素子S10を制御し、第2スイッチング素子S6に替えて第5スイッチング素子S9を制御し、第3スイッチング素子S7に替えて第8スイッチング素子S12を制御し、第4スイッチング素子S8に替えて第7スイッチング素子S11を制御する、とは、以下の(a)〜(g)である。
(a)図5、図16及び図17を参照して、制御部7は、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内の少なくとも一方を、二次巻線21の電圧が正である第1期間における第1オン時点Ton1において、オフからオンに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内の少なくとも一方を、第1期間に続く二次巻線21の電圧が負である第2期間における第2オン時点Ton2において、オフからオンに切り替え、第1オン時点Ton1または第2オン時点Ton2の内の少なくともいずれか一方をシフトさせることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
(b)図5を参照して、制御部7は、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内で第1オン時点Ton1にてオフからオンに切り替えないスイッチング素子を、第1期間および第2期間に渡って、オン状態とし、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内で第2オン時点Ton2にてオフからオンに切り替えないスイッチング素子を、第1期間および第2期間に渡って、オン状態とすることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
(c)図5、図16及び図17を参照して、制御部7は、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内で第1オン時点Ton1にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第2期間の第1オフ時点Toff1において、オンからオフに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内で第2オン時点Ton2にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第2期間に続く二次巻線21の電圧が正である第3期間における第2オフ時点Toff2において、オンからオフに切り替えることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
(d)図6を参照して、制御部7は、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内のいずれか一方を、第1オン時点Ton1と異なる予め定められた第3オン時点Ton3において、オフからオンに切り替え、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内のもう一方を、第1期間で、かつ、第3オン時点Ton3よりも前の第4オン時点Ton4において、オフからオンに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内のいずれか一方を、第2オン時点Ton2と異なる予め定められた第5オン時点Ton5において、オフからオンに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内のもう一方を、第2期間で、かつ、第5オン時点Ton5よりも前の第6オン時点Ton6において、オフからオンに切り替え、第4オン時点Ton4または第6オン時点Ton6の少なくともいずれか一方をシフトさせることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
(e)図6を参照して、制御部7は、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内で第3オン時点Ton3にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第2期間で、かつ、第5オン時点Ton5よりも後の第3オフ時点Toff3において、オンからオフに切り替え、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内で第4オン時点Ton4にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第3オフ時点Toff3よりも後の第4オフ時点Toff4において、オンからオフに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内で第5オン時点Ton5にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第2期間に続く二次巻線21の電圧が正である第3期間における第5オフ時点Toff5において、オンからオフに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内で第6オン時点Ton6にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第3期間における第6オフ時点Toff6において、オンからオフに切り替えることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
(f)図15を参照して、制御部7は、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内のいずれか一方を、第1オン時点Ton1と異なる予め定められた第3オン時点Ton3において、オフからオンに切り替え、第3オン時点Ton3後、第2期間における第3オフ時点Toff3において、オンからオフに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内のいずれか一方を、第2オン時点Ton2と異なる予め定められた第5オン時点Ton5において、オフからオンに切り替え、第5オン時点Ton5より前の第1期間における第5オフ時点Toff5において、オンからオフに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内のもう一方を、第2期間で、かつ、第3オフ時点Toff3よりも前である第6オン時点Ton6において、オフからオンに切り替え、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内のもう一方を、第1期間で、かつ、第5オフ時点Toff5よりも前である第4オン時点Ton4において、オフからオンに切り替え、第4オン時点Ton4または第6オン時点Ton6の少なくともいずれか一方をシフトさせることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
(g)図15を参照して、制御部7は、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との内で、第4オン時点Ton4にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第5オン時点Ton5よりも後である第4オフ時点Toff4において、オンからオフに切り替え、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との内で、第6オン時点Ton6にてオフからオンに切り替えたスイッチング素子を、第6オン時点Ton6よりも前で、かつ、第3オン時点Ton3よりも後である第6オフ時点Toff6において、オンからオフに切り替えることにより、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
上記構成において、図20を参照して、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8を含む正群コンバータと、第5スイッチング素子S9、第6スイッチング素子S10、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12を含む負群コンバータと、を備え、制御部7は、出力電流の極性が切り替わるタイミングを、直流電源17から商用電力系統27又は負荷29に電力を供給していない期間に設定し、正群コンバータ及び負群コンバータに対して、電力変換装置1の二次側で短絡が発生しない予め定められた制御をする。
この構成によれば、電力変換装置1の二次側で短絡が発生しないので、出力電流の極性をスムーズに切り替えることができる。
上記構成において、図22〜図24を参照して、制御部7は、予め定められた制御として、第1スイッチング素子S5と第2スイッチング素子S6と第5スイッチング素子S9と第6スイッチング素子S10とを、オフ状態とする。
この構成は、予め定められた制御の一例である。
上記構成において、出力電流が正の期間、出力電流が負の期間、及び、出力電流の極性が切り替わる期間において、第1〜第8スイッチング素子S5〜S12の少なくとも1つをオン状態とする。
この構成によれば、出力電流が正の期間、出力電流が負の期間、及び、出力電流の極性が切り替わる期間のいずれにおいても、第1〜第8スイッチング素子S5〜S12の全てがオフ状態とならない。
上記構成において、図1及び図26を参照して、接続部15と正群コンバータ及び負群コンバータとの間に挿入される交流用リアクトル(コイル23)を備え、制御部7は、予め定められた制御として、二次巻線21の電圧が負である第4期間において、第1スイッチング素子S5、第4スイッチング素子S8、第6スイッチング素子S10及び第7スイッチング素子S11をオンし、かつ、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7、第5スイッチング素子S9及び第8スイッチング素子S12をオフした状態にし、第3スイッチング素子S7及び第8スイッチング素子S12を、第4期間における第7オン時点Ton7において、オフからオンに切り替えることにより、交流用リアクトルを充電することを開始し、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10を、第7オン時点Ton7より後で、かつ、第4期間に続く二次巻線21の電圧が正である第5期間に切り替わる前における第7オフ時点Toff7において、オンからオフに切り替え、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9を、第5期間における第8オン時点Ton8において、オフからオンに切り替え、第4スイッチング素子S8及び第7スイッチング素子S11を、第8オン時点Ton8より後で、かつ、第5期間における第8オフ時点Toff8において、オンからオフに切り替えることにより、交流用リアクトルに蓄積されたエネルギーを放出させる。
この構成は、予め定められた制御の他の例である。
上記構成において、図2を参照して、制御部7は、出力電圧と出力電流との極性が同じとき、直流電源17から商用電力系統27又は負荷29に電力を供給する電力供給モードを実行し、出力電圧と出力電流との極性が異なるとき、商用電力系統27又は負荷29から直流電源17に電力を回生する電力回生モードを実行する。
この構成によれば、電力供給と電力回生とを実行することができる。
上記構成において、図40を参照して、インバータ回路5に接続され、電力供給モードにおいて昇圧動作をし、電力回生モードにおいて降圧動作をするチョッパ回路81を備え、制御部7は、チョッパ回路81と第1〜第8スイッチング素子S5〜S12とを制御することにより、出力電圧の振幅を制御する。
この構成によれば、チョッパ回路81を備えることにより、電圧の変動幅の大きな直流電源17にも柔軟に対応できる。例えば、EV(electric vehicle)バッテリー、太陽電池、燃料電池が電圧の変動幅が大きい場合においても適用することができる。
上記構成において、図18及び図19を参照して、第1ダイオードD5、第2ダイオードD6、第3ダイオードD7及び第4ダイオードD8を備え、制御部7が、第1スイッチング素子S5及び第3スイッチング素子S7の一方を通る経路から他方を通る経路に転流する制御をするときに、第1ダイオードD5及び第3ダイオードD7の一方が逆バイアス状態となり、かつ、他方が順バイアス状態となるように、第1ダイオードD5と第1スイッチング素子S5とが直列接続され、かつ、第3ダイオードD7と第3スイッチング素子S7とが直列接続されており、制御部7が、第2スイッチング素子S6及び第4スイッチング素子S8の一方を通る経路から他方を通る経路に転流する制御をするときに、第2ダイオードD6及び第4ダイオードD8の一方が逆バイアス状態となり、かつ、他方が順バイアス状態となるように、第2ダイオードD6と第2スイッチング素子S6とが直列接続され、かつ、第4ダイオードD8と第4スイッチング素子S8とが直列接続されている。
この構成によれば、ソフトスイッチングによって、転流をすることができる。
(実施の形態1)
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る電力変換装置1の回路図である。電力変換装置1は、接続部3、インバータ回路5、制御部7、トランス9、サイクロコンバータ11、フィルタ回路13、及び、接続部15を備えるパワーコンディショナーである。
接続部3は、直流電源17の正極と電気的に接続される第1端3aと、直流電源17の負極と電気的に接続される第2端3bとを備える。直流電源17として、蓄電池を例にしているが、他の直流電源(例えば、太陽電池、燃料電池)についても、本実施形態を適用することができる。
直流電源17の電力は、接続部3を介して、インバータ回路5に供給される。インバータ回路5は、高周波インバータであり、直流電源17から供給された直流電圧を高周波電圧(交流電圧)に変換する。
インバータ回路5は、4個のスイッチング素子S1,S2,S3,S4がブリッジ接続された構成を有するフルブリッジ型の回路である。スイッチング素子S1,S2,S3,S4として、npn型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタを例にしているが、フルブリッジ型の回路を構成できるスイッチング素子であればよく、例えば、電界効果型のトランジスタが採用されてもよい。
制御部7は、スイッチング素子S1,S4をオン制御しているときに、スイッチング素子S2,S3をオフ制御し、スイッチング素子S1,S4をオフ制御しているときに、スイッチング素子S2,S3をオン制御する。
インバータ回路5は、4個の還流ダイオードD1,D2,D3,D4を備える。還流ダイオードD1は、所定の向きの電流が流れるように、スイッチング素子S1のエミッタとコレクタとに接続されている。所定の向きの電流とは、スイッチング素子S1がオン状態のときにスイッチング素子S1に流れる電流と逆向きの電流である。これと同様にして、還流ダイオードD2がスイッチング素子S2のエミッタとコレクタとに接続され、還流ダイオードD3がスイッチング素子S3のエミッタとコレクタとに接続され、還流ダイオードD4がスイッチング素子S4のエミッタとコレクタとに接続されている。
トランス9は、高周波トランスであり、一次巻線19と、一次巻線19と磁気結合される二次巻線21とを備える。一次巻線19の第1端19aと第2端19bとは、インバータ回路5の出力端子と接続されている。二次巻線21の第1端21aと第2端21bとは、サイクロコンバータ11の入力端子と接続されている。
トランス9は、インバータ回路5とサイクロコンバータ11とを絶縁し、電力供給モードのとき、インバータ回路5から一次巻線19に供給された高周波電圧を、サイクロコンバータ11に供給し、電力回生モードのとき、サイクロコンバータ11から二次巻線21に供給された電圧を、インバータ回路5に供給する。これらのモードについては、後で詳しく説明する。
サイクロコンバータ11は、トランス9から供給された高周波電圧を、直接、商用の交流電圧に変換する直接交流コンバータである。
サイクロコンバータ11は、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8がブリッジ接続された構成を有する正群コンバータと、第5スイッチング素子S9、第6スイッチング素子S10、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12がブリッジ接続された構成を有する負群コンバータと、を含む。これらのスイッチング素子として、npn型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタを例にしているが、これに限定されない。
正群コンバータは、接続部15から出力される出力電流が正のときに動作する。負群コンバータは、接続部15から出力される出力電流が負のときに動作する。
第1スイッチング素子S5は、接続部15の第1端15aと二次巻線21の第1端21aとの間に挿入される。第2スイッチング素子S6は、接続部15の第2端15bと二次巻線21の第1端21aとの間に挿入される。第3スイッチング素子S7は、接続部15の第1端15aと二次巻線21の第2端21bとの間に挿入される。第4スイッチング素子S8は、接続部15の第2端15bと二次巻線21の第2端21bとの間に挿入される。
サイクロコンバータ11は、さらに、第1ダイオードD5、第2ダイオードD6、第3ダイオードD7及び第4ダイオードD8を備える。これらのダイオードは、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8によって構成される正群コンバータの動作時において、ZVS(Zero Voltage Switching)やZCS(Zero Current Switching)を実行するために用いられる。ZVSやZCSは、ソフトスイッチングと称され、ZVSは、電圧がゼロの状態で行なうスイッチングであり、ZCSは、電流がゼロの状態で行なうスイッチングである。
第1ダイオードD5は、二次巻線21の第1端21aと第1スイッチング素子S5のコレクタとの間に挿入されている。第1ダイオードD5の順方向は、第1スイッチング素子S5が電流を流す向きである。
第2ダイオードD6は、接続部15の第2端15bと第2スイッチング素子S6のコレクタとの間に挿入されている。第2ダイオードD6の順方向は、第2スイッチング素子S6が電流を流す向きである。
第3ダイオードD7は、二次巻線21の第2端21bと第3スイッチング素子S7のコレクタとの間に挿入されている。第3ダイオードD7の順方向は、第3スイッチング素子S7が電流を流す向きである。
第4ダイオードD8は、接続部15の第2端15bと第4スイッチング素子S8のコレクタとの間に挿入されている。第4ダイオードD8の順方向は、第4スイッチング素子S8が電流を流す向きである。
第5スイッチング素子S9は、接続部15の第1端15aと二次巻線21の第1端21aとの間に、第1スイッチング素子S5と並列に挿入され、電流を流す方向が第1スイッチング素子S5と逆方向である。詳しく説明すると、第5スイッチング素子S9のコレクタは、第5ダイオードD9を介して、第1スイッチング素子S5のエミッタに接続され、第5スイッチング素子S9のエミッタは、第1ダイオードD5を介して、第1スイッチング素子S5のコレクタに接続されている。
第6スイッチング素子S10は、接続部15の第2端15bと二次巻線21の第1端21aとの間に、第2スイッチング素子S6と並列に挿入され、電流を流す方向が第2スイッチング素子S6と逆方向である。詳しく説明すると、第6スイッチング素子S10のコレクタは、第6ダイオードD10を介して、第2スイッチング素子S6のエミッタに接続され、第6スイッチング素子S10のエミッタは、第2ダイオードD6を介して、第2スイッチング素子S6のコレクタに接続されている。
第7スイッチング素子S11は、接続部15の第1端15aと二次巻線21の第2端21bとの間に、第3スイッチング素子S7と並列に挿入され、電流を流す方向が第3スイッチング素子S7と逆方向である。詳しく説明すると、第7スイッチング素子S11のコレクタは、第7ダイオードD11を介して、第3スイッチング素子S7のエミッタに接続され、第7スイッチング素子S11のエミッタは、第3ダイオードD7を介して、第3スイッチング素子S7のコレクタに接続されている。
第8スイッチング素子S12は、接続部15の第2端15bと二次巻線21の第2端21bとの間に、第4スイッチング素子S8と並列に挿入され、電流を流す方向が第4スイッチング素子S8と逆方向である。詳しく説明すると、第8スイッチング素子S12のコレクタは、第8ダイオードD12を介して、第4スイッチング素子S8のエミッタに接続され、第8スイッチング素子S12のエミッタは、第4ダイオードD8を介して、第4スイッチング素子S8のコレクタに接続されている。
サイクロコンバータ11は、さらに、第5ダイオードD9、第6ダイオードD10、第7ダイオードD11及び第8ダイオードD12を備える。これらのダイオードは、第5スイッチング素子S9、第6スイッチング素子S10、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12によって構成される負群コンバータの動作時において、ZVSやZCSを実行するために用いられる。
第5ダイオードD9は、接続部15の第1端15aと第5スイッチング素子S9のコレクタとの間に挿入されている。第5ダイオードD9の順方向は、第5スイッチング素子S9が電流を流す向きである。
第6ダイオードD10は、二次巻線21の第1端21aと第6スイッチング素子S10のコレクタとの間に挿入されている。第6ダイオードD10の順方向は、第6スイッチング素子S10が電流を流す向きである。
第7ダイオードD11は、接続部15の第1端15aと第7スイッチング素子S11のコレクタとの間に挿入されている。第7ダイオードD11の順方向は、第7スイッチング素子S11が電流を流す向きである。
第8ダイオードD12は、二次巻線21の第2端21bと第8スイッチング素子S12のコレクタとの間に挿入されている。第8ダイオードD12の順方向は、第8スイッチング素子S12が電流を流す向きである。
第1ダイオードD5と第1スイッチング素子S5との順番が逆でもよい。すなわち、第1ダイオードD5の順方向に対して、第1ダイオードD5が下流側、第1スイッチング素子S5が上流側に配置されているが、第1ダイオードD5が上流側、第1スイッチング素子S5が下流側に配置されていてもよい。第2ダイオードD6と第2スイッチング素子S6との順番〜第8ダイオードD12と第8スイッチング素子S12との順番についても同様である。
制御部7は、第1〜第8スイッチング素子S5〜S12のオンオフ制御をすることによって、接続部15から出力される出力電圧の振幅を制御する。詳しくは、後で説明する。なお、制御部7は、例えば、プロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro−Processing Unit)、など)により、構成されてもよい。このとき、当該プロセッサは、メモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで、本開示で示される制御方法を実行してもよい。
フィルタ回路13は、サイクロコンバータ11の出力と接続部15との間に挿入されている。フィルタ回路13は、コイル23とコンデンサ25とにより構成され、サイクロコンバータ11から出力された交流信号を平滑化する。これにより、サイクロコンバータ11から出力された矩形波の交流信号が、パルス幅に応じた振幅を持つ正弦波状の交流信号に変換される。
接続部15は、商用電力系統27又は負荷29のいずれか一方と電気的に接続可能な第1端15aと第2端15bとを含むスイッチである。負荷29は、力率が1となる抵抗負荷や、力率が1と異なる誘導性負荷や容量性負荷である。直流電源17から商用電力系統27に電力を供給するとき(売電)や、直流電源17を充電するとき、接続部15と商用電力系統27とが接続される。直流電源17から負荷29(例えば、家電製品)に電力を供給するとき、接続部15と負荷29とが接続される。
本実施形態に係る電力変換装置1の動作について説明する。図2は、この動作の概要を説明する説明図である。図1及び図2を参照して、電力変換装置1の動作には、直流電源17からの電力を、商用電力系統27又は負荷29に供給する電力供給モード(インバータモード)と、商用電力系統27又は負荷29からの電力を直流電源17に回生する電力回生モード(コンバータモード)とがある。
図2に示す波形は、接続部15から出力される出力電圧Voと出力電流ioとの一例を示している。なお、フィルタ回路13に印加される電圧の波形には、なまりがないので、これを出力電圧Voとして説明する。出力電圧Voと出力電流ioとの位相差は、90°である。出力電流ioが正のとき、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8によって構成される正群コンバータが動作する。出力電流ioの負のとき、第5スイッチング素子S9、第6スイッチング素子S10、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12によって構成される負群コンバータが動作する。
出力電圧Voと出力電流ioとの極性が同じとき、電力供給モードとなる。電力供給モードには、(1)で示す出力電圧Voと出力電流ioとが正であるモードと、(3)で示す出力電圧Voと出力電流ioとが負であるモードとがある。
出力電圧Voと出力電流ioとの極性が異なるとき、電力回生モードとなる。電力回生モードには、(2)で示す出力電圧Voが負であり、出力電流ioが正であるモードと、(4)で示す出力電圧Voが正であり、出力電流ioが負であるモードとがある。
図2に示す波形は、出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が90°であり、電力供給モードと電力回生モードとが交互に発生している。これに対して、図3に示すように、出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が0°(すなわち、力率が1)のとき、電力回生モードがなく、電力供給モードのみとなる。また、図4に示すように、出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が180°(すなわち、力率が0)のとき、電力供給モードがなく、電力回生モードのみとなる。なお、図2は遅れ力率の図であるが、進み力率の場合も同様である。
図2に示す表は、第1〜第8スイッチング素子S5〜S12の動作を示している。(1)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が正の場合、(1)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が負の場合、(2)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が正の場合、(2)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が負の場合、(3)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が正の場合、(3)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が負の場合、(4)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が正の場合、(4)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が負の場合のそれぞれに応じて、第1〜第8スイッチング素子S5〜S12の動作が異なる。なお、表内において、「常時ON」とは、トランス電圧V1の正負が切り替わる期間も、ONであることを示す。
図5は、図3に示す期間T10での電力供給モードのタイムチャートである。図6は、図4に示す期間T12での電力回生モードのタイムチャートである。一次側駆動信号は、インバータ回路5を構成するスイッチング素子S1,S2,S3,S4をオン状態にさせる制御信号である。制御部7は、一次側駆動信号の位相を固定して、一次側駆動信号をスイッチング素子S1,S2,S3,S4に供給する。
トランス電圧V1とは、二次巻線21の電圧である。一次巻線19の電圧の波形は、二次巻線21の電圧の波形と同様なので、一次巻線19の電圧の波形は省略する。トランス電流i1とは、二次巻線21の電流である。一次巻線19の電流の波形は、二次巻線21の電流の波形と同様なので、一次巻線19の電流の波形は省略する。
二次側駆動信号は、サイクロコンバータ11を構成する第1スイッチング素子S5〜第8スイッチング素子S12をオン状態にさせる制御信号である。
図1及び図2を参照して、(1)で示す電力供給モード、及び、(2)で示す電力回生モードでは、出力電流ioが正なので、正群コンバータが動作する。制御部7は、正群コンバータを構成する第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8をオンオフ制御する。
これに対して、(3)で示す電力供給モード、及び、(4)で示す電力回生モードでは、出力電流ioが負なので、負群コンバータが動作する。負群コンバータの動作は、正群コンバータの動作と基本的に同じであり、オンオフ制御されるスイッチング素子が異なるだけである。従って、制御部7は、(3)で示す電力供給モード、及び、(4)で示す電力回生モードにおいて、図5及び図6に示すように、第1スイッチング素子S5の替わりに第6スイッチング素子S10をオンオフ制御し、第2スイッチング素子S6の替わりに第5スイッチング素子S9をオンオフ制御し、第3スイッチング素子S7の替わりに第8スイッチング素子S12をオンオフ制御し、第4スイッチング素子S8の替わりに第7スイッチング素子S11をオンオフ制御する。
電力供給モード及び電力回生モードにおいて、制御部7は、インバータ回路5を構成するスイッチング素子S1,S2,S3,S4をオンオフ制御することによって、常時、デューティー比50パーセントの高周波電力をインバータ回路5から出力させる。従って、インバータ回路5は、常時、デューティー比50パーセントで対称駆動する方形波発振器として動作する。制御部7は、インバータ回路5の動作と同期させて、サイクロコンバータ11を制御することにより、出力電圧Voの振幅を制御(言い換えれば、出力電圧Voの波形を成形)する。
サイクロコンバータ11の制御を、(1)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が正の場合から順番に説明する。図7は、その場合のサイクロコンバータ11の動作を説明する説明図である。図7に示す回路は、図1に示す電力変換装置1の二次側を示している。図8〜図14に示す回路も同様である。電力変換装置1の二次側に商用電力系統27が接続されている態様で説明するが、電力変換装置1の二次側に負荷29が接続されている態様についても同様のことが言える。
図5及び図7を参照して、制御部7は、正群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第1スイッチング素子S5に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。制御部7は、第2スイッチング素子S6に対して、オン制御してもよいし、オフ制御してもよい。図5では、第2スイッチング素子S6をオフ制御する例が示されている。制御部7は、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8に対して、常時、オン制御する。
制御部7は、負群コンバータを構成する第5〜第8スイッチング素子S9〜S12に対して、常時、オフ制御をする。
なお、第1スイッチング素子S5の動作と第4スイッチング素子S8の動作とを入れ替えてもよい。すなわち、制御部7は、第1スイッチング素子S5に対して、常時、オン制御し、第4スイッチング素子S8に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。
第1スイッチング素子S5がオフ制御されている期間T1のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第3スイッチング素子S7、商用電力系統27及び第4スイッチング素子S8を通る経路31を流れる。期間T1において、電力変換装置1は一次側と二次側とで電流の経路が分離される。そのため、トランス電流i1が0となる。よって、電流供給モードにおいて、無効電力は電力変換装置1の一次側に回生されず、二次側だけで消費されるので、電力ロスを低下できる。
第1スイッチング素子S5がオフ制御からオン制御に切り替えられ、第1スイッチング素子S5がオン制御されている期間T2のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第1スイッチング素子S5、商用電力系統27及び第4スイッチング素子S8を通る経路32を流れる。期間T2では、直流電源17からの電力が、商用電力系統27に供給される。期間T2において、第3スイッチング素子S7はオン制御されているが、第3ダイオードD7が逆バイアス状態なので、電流は第3ダイオードD7を流れることができない。従って、第3スイッチング素子S7がオン制御されていても、電流は第3スイッチング素子S7を流れない。
以上の通り、(1)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が正の場合、制御部7は、第1スイッチング素子S5に電流が流れていない状態から流れている状態にシフトさせる制御(位相シフト)をする。
図8は、(1)で示す電力供給モードにおいてトランス9の電圧が負の場合のサイクロコンバータ11の動作を説明する説明図である。図5及び図8を参照して、制御部7は、正群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第1スイッチング素子S5に対して、オン制御してもよいし、オフ制御してもよい。図5では、第1スイッチング素子S5をオフ制御する例が示されている。制御部7は、第2スイッチング素子S6に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。制御部7は、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8に対して、常時、オン制御する。
制御部7は、負群コンバータを構成する第5〜第8スイッチング素子S9〜S12に対して、常時、オフ制御をする。
なお、第2スイッチング素子S6の動作と第3スイッチング素子S7の動作とを入れ替えてもよい。すなわち、制御部7は、第2スイッチング素子S6に対して、常時、オン制御し、第3スイッチング素子S7に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。
第2スイッチング素子S6がオフ制御されている期間T3のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第3スイッチング素子S7、商用電力系統27及び第4スイッチング素子S8を通る経路33を流れる。期間T3において、電力変換装置1は一次側と二次側とで電流の経路が分離される。そのため、トランス電流i1が0となる。よって、電流供給モードにおいて、無効電力は電力変換装置1の一次側に回生されず、二次側だけで消費されるので、電力ロスを低下できる。
第2スイッチング素子S6がオフ制御からオン制御に切り替えられ、第2スイッチング素子S6がオン制御されている期間T4のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第3スイッチング素子S7、商用電力系統27及び第2スイッチング素子S6を通る経路34を流れる。期間T4では、直流電源17からの電力が、商用電力系統27に供給される。期間T4において、第4スイッチング素子S8はオン制御されているが、第4ダイオードD8が逆バイアス状態なので、電流は第4ダイオードD8を流れることができない。従って、第4スイッチング素子S8がオン制御されていても、電流は第4スイッチング素子S8を流れない。
以上の通り、(1)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が負の場合、制御部7は、第2スイッチング素子S6に電流が流れていない状態から流れている状態にシフトさせる制御(位相シフト)をする。
図9は、(2)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が正の場合のサイクロコンバータ11の動作を説明する説明図である。図6及び図9を参照して、制御部7は、正群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第1スイッチング素子S5に対してオフ制御する。制御部7は、第2スイッチング素子S6及び第3スイッチング素子S7に対してオン制御する。制御部7は、第4スイッチング素子S8に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。
制御部7は、負群コンバータを構成する第5〜第8スイッチング素子S9〜S12に対して、常時、オフ制御をする。
第4スイッチング素子S8がオフ制御されている期間T5のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第3スイッチング素子S7、商用電力系統27及び第2スイッチング素子S6を通る経路35を流れる。期間T5において、商用電力系統27からの電力が、直流電源17に回生される。
第4スイッチング素子S8がオフ制御からオン制御に切り替えられ、第4スイッチング素子S8がオン制御されている期間T6のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第3スイッチング素子S7、商用電力系統27及び第4スイッチング素子S8を通る経路36を流れる。期間T6において、電力変換装置1は一次側と二次側とで電流の経路が分離されるので、無効電力は電力変換装置1の一次側に回生されず、二次側だけで消費される。
期間T6において、第2スイッチング素子S6はオン制御されているが、第2ダイオードD6が逆バイアス状態なので、電流は第2ダイオードD6を流れることができない。従って、第2スイッチング素子S6がオン制御されていても、電流は第2スイッチング素子S6を流れない。
以上の通り、(2)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が正の場合、制御部7は、第2スイッチング素子S6に電流が流れている状態から流れていない状態にシフトさせる制御(位相シフト)をし、かつ、第4スイッチング素子S8に電流が流れていない状態から流れている状態にシフトさせる制御(位相シフト)をする。
図10は、(2)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が負の場合のサイクロコンバータ11の動作を説明する説明図である。図6及び図10を参照して、制御部7は、正群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第1スイッチング素子S5に対して、オン制御する。制御部7は、第2スイッチング素子S6に対してオフ制御する。制御部7は、第3スイッチング素子S7に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。制御部7は、第4スイッチング素子S8に対してオン制御する。
制御部7は、負群コンバータを構成する第5〜第8スイッチング素子S9〜S12に対して、常時、オフ制御をする。
第3スイッチング素子S7がオフ制御されている期間T7のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第1スイッチング素子S5、商用電力系統27及び第4スイッチング素子S8を通る経路37を流れる。期間T7において、商用電力系統27からの電力が、直流電源17に回生される。
第3スイッチング素子S7がオフ制御からオン制御に切り替えられ、第3スイッチング素子S7がオン制御されている期間T8のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第3スイッチング素子S7、商用電力系統27及び第4スイッチング素子S8を通る経路38を流れる。期間T8において、電力変換装置1は一次側と二次側とで電流の経路が分離されるので、無効電力は電力変換装置1の一次側に回生されず、二次側だけで消費される。
期間T8において、第1スイッチング素子S5はオン制御されているが、第1ダイオードD5が逆バイアス状態なので、電流は第1ダイオードD5を流れることができない。従って、第1スイッチング素子S5がオン制御されていても、電流は第1スイッチング素子S5を流れない。
以上の通り、(2)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が負の場合、制御部7は、第1スイッチング素子S5に電流が流れている状態から流れていない状態にシフトさせる制御(位相シフト)をし、かつ、第3スイッチング素子S7に電流が流れていない状態から流れている状態にシフトさせる制御(位相シフト)をする。
図11は、(3)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が正の場合のサイクロコンバータ11の動作を説明する説明図である。図5及び図11を参照して、制御部7は、負群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第5スイッチング素子S9に対して、オン制御してもよいし、オフ制御してもよい。図5では、第5スイッチング素子S9をオフ制御する例が示されている。制御部7は、第6スイッチング素子S10に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。制御部7は、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12に対して、常時、オン制御する。
制御部7は、正群コンバータを構成する第1〜第4スイッチング素子S5〜S8に対して、常時、オフ制御をする。
なお、第6スイッチング素子S10の動作と第7スイッチング素子S11の動作を入れ替えてもよい。すなわち、制御部7は、第6スイッチング素子S10に対して、常時、オン制御し、第7スイッチング素子S11に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。
第6スイッチング素子S10がオフ制御されている期間T1のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第8スイッチング素子S12、商用電力系統27及び第7スイッチング素子S11を通る経路39を流れる。期間T1において、電力変換装置1は一次側と二次側とで電流の経路が分離される。そのため、トランス電流i1が0となる。よって、電流供給モードにおいて、無効電力は電力変換装置1の一次側に回生されず、二次側だけで消費されるので、電力ロスを低下できる。
第6スイッチング素子S10がオフ制御からオン制御に切り替えられ、第6スイッチング素子S10がオン制御されている期間T2のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第6スイッチング素子S10、商用電力系統27及び第7スイッチング素子S11を通る経路40を流れる。期間T2では、直流電源17からの電力が、商用電力系統27に供給される。期間T2において、第8スイッチング素子S12はオン制御されているが、第8ダイオードD12が逆バイアス状態なので、電流は第8ダイオードD12を流れることができない。従って、第8スイッチング素子S12がオン制御されていても、電流は第8スイッチング素子S12を流れない。なお、(3)で示す電力供給モードのとき、出力電圧Voは負となる。
以上の通り、(3)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が正の場合、制御部7は、第6スイッチング素子S10に電流が流れていない状態から流れている状態にシフトさせる制御(位相シフト)をする。
図12は、(3)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が負の場合のサイクロコンバータ11の動作を説明する説明図である。図5及び図12を参照して、制御部7は、負群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第5スイッチング素子S9に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。制御部7は、第6スイッチング素子S10に対して、オン制御してもよいし、オフ制御してもよい。図5では、第6スイッチング素子S10をオフ制御する例が示されている。制御部7は、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12に対して、常時、オン制御する。
制御部7は、正群コンバータを構成する第1〜第4スイッチング素子S5〜S8に対して、常時、オフ制御をする。
なお、第5スイッチング素子S9の動作と第8スイッチング素子S12の動作を入れ替えてもよい。すなわち、制御部7は、第5スイッチング素子S9に対して、常時、オン制御し、第8スイッチング素子S12に対して、オフ制御からオン制御に切り替えてもよい。
第5スイッチング素子S9がオフ制御されている期間T3のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第8スイッチング素子S12、商用電力系統27及び第7スイッチング素子S11を通る経路41を流れる。期間T3において、電力変換装置1は、一次側と二次側とで電流の経路が分離される。そのため、トランス電流i1が0となる。よって、電流供給モードにおいて、無効電力は電力変換装置1の一次側に回生されず、二次側だけで消費されるので、電力ロスを低下できる。
第5スイッチング素子S9がオフ制御からオン制御に切り替えられ、第5スイッチング素子S9がオン制御されている期間T4のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第8スイッチング素子S12、商用電力系統27及び第5スイッチング素子S9を通る経路42を流れる。期間T4では、直流電源17からの電力が、商用電力系統27に供給される。期間T4において、第7スイッチング素子S11はオン制御されているが、第7ダイオードD11が逆バイアス状態なので、電流は第7ダイオードD11を流れることができない。従って、第7スイッチング素子S11がオン制御されていても、電流は第7スイッチング素子S11を流れない。
以上の通り、(3)で示す電力供給モードにおいてトランス電圧V1が負の場合、制御部7は、第5スイッチング素子S9に電流が流れていない状態から流れている状態にシフトさせる制御(位相シフト)をする。
図13は、(4)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が正の場合のサイクロコンバータ11の動作を説明する説明図である。図6及び図13を参照して、制御部7は、負群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第5スイッチング素子S9に対して、オン制御する。制御部7は、第6スイッチング素子S10に対してオフ制御する。制御部7は、第7スイッチング素子S11に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。制御部7は、第8スイッチング素子S12に対してオン制御する。
制御部7は、正群コンバータを構成する第1〜第4スイッチング素子S5〜S8に対して、常時、オフ制御をする。
第7スイッチング素子S11がオフ制御されている期間T5のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第8スイッチング素子S12、商用電力系統27及び第5スイッチング素子S9を通る経路43を流れる。期間T5において、商用電力系統27からの電力が、直流電源17に回生される。なお、(4)で示す電力回生モードの場合、出力電圧Voは正となる。
第7スイッチング素子S11がオフ制御からオン制御に切り替えられ、第7スイッチング素子S11がオン制御されている期間T6のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第8スイッチング素子S12、商用電力系統27及び第7スイッチング素子S11を通る経路44を流れる。期間T6において、電力変換装置1は一次側と二次側とで電流の経路が分離されるので、無効電力は電力変換装置1の一次側に回生されず、二次側だけで消費される。
期間T6において、第5スイッチング素子S9はオン制御されているが、第5ダイオードD9が逆バイアス状態なので、電流は第5ダイオードD9を流れることができない。従って、第5スイッチング素子S9がオン制御されていても、電流は第5スイッチング素子S9を流れない。
以上の通り、(4)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が正の場合、制御部7は、第5スイッチング素子S9に電流が流れている状態から流れていない状態にシフトさせる制御(位相シフト)をし、かつ、第7スイッチング素子S11に電流が流れていない状態から流れている状態にシフトさせる制御(位相シフト)をする。
図14は、(4)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が負の場合のサイクロコンバータ11の動作を説明する説明図である。図6及び図14を参照して、制御部7は、負群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第5スイッチング素子S9に対してオフ制御する。制御部7は、第6スイッチング素子S10及び第7スイッチング素子S11に対して、オン制御する。制御部7は、第8スイッチング素子S12に対して、オフ制御からオン制御に切り替える。
制御部7は、正群コンバータを構成する第1〜第4スイッチング素子S5〜S8に対して、常時、オフ制御をする。
第8スイッチング素子S12がオフ制御されている期間T7のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第6スイッチング素子S10、商用電力系統27及び第7スイッチング素子S11を通る経路45を流れる。期間T7において、商用電力系統27からの電力が、直流電源17に回生される。
第8スイッチング素子S12がオフ制御からオン制御に切り替えられ、第8スイッチング素子S12がオン制御されている期間T8のとき、電力変換装置1の二次側の電流は、第8スイッチング素子S12、商用電力系統27及び第7スイッチング素子S11を通る経路46を流れる。期間T8において、電力変換装置1は一次側と二次側とで電流の経路が分離されるので、無効電力は電力変換装置1の一次側に回生されず、二次側だけで消費される。
期間T8において、第6スイッチング素子S10はオン制御されているが、第6ダイオードD10が逆バイアス状態なので、電流は第6ダイオードD10を流れることができない。従って、第6スイッチング素子S10がオン制御されていても、電流は第6スイッチング素子S10を流れない。
以上の通り、(4)で示す電力回生モードにおいてトランス電圧V1が負の場合、制御部7は、第6スイッチング素子S10に電流が流れている状態から流れていない状態にシフトさせる制御(位相シフト)をし、かつ、第8スイッチング素子S12に電流が流れていない状態から流れている状態にシフトさせる制御(位相シフト)をする。
以上が、図2の表で示す電力変換装置1の動作である。
図5を参照して、第1オン時点Ton1とは、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10が、トランス電圧V1(二次巻線21の電圧)が正である第1期間において、オフからオンに切り替わる時点である。第2オン時点Ton2とは、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9が、第1期間に続くトランス電圧V1(二次巻線21の電圧)が負である第2期間において、オフからオンに切り替わる時点である。
図6を参照して、第3オン時点Ton3とは、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10が、上記第1期間において、オフからオンに切り替わる時点である。第4オン時点Ton4とは、第4スイッチング素子S8及び第7スイッチング素子S11が、第1期間で、かつ、第3オン時点Ton3よりも前において、オフからオンに切り替わる時点である。第5オン時点Ton5とは、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9が、上記第2期間において、オフからオンに切り替わる時点である。第6オン時点Ton6とは、第3スイッチング素子S7及び第8スイッチング素子S12が、第2期間で、かつ、第5オン時点Ton5よりも前において、オフからオンに切り替わる時点である。
図6を、電力回生モードの一例のタイムチャートとする。図15は、電力回生モードの他の例のタイムチャートである。すなわち、図15は、非対称制御をしたとき、図4に示す期間T12での電力回生モードの他の例のタイムチャートである。
図15を参照して、第3オン時点Ton3とは、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10が、上記第2期間において、オフからオンに切り替わる時点である。第3オフ時点Toff3とは、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10が、第3オン時点Ton3後、第2期間において、オンからオフに切り替わる時点である。
第5オン時点Ton5とは、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9を、上記第3期間において、オフからオンに切り替わる時点である。第5オフ時点Toff5とは、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9を、第5オン時点Ton5より前の第1期間において、オンからオフに切り替わる時点である。
第6オン時点Ton6とは、第3スイッチング素子S7及び第8スイッチング素子S12を、第2期間で、かつ、第3オフ時点Toff3よりも前において、オフからオンに切り替わる時点である。
第4オン時点Ton4とは、第4スイッチング素子S8及び第7スイッチング素子S11を、第1期間で、かつ、第5オフ時点Toff5よりも前において、オフからオンに切り替わる時点である。第4オフ時点Toff4とは、第4スイッチング素子S8及び第7スイッチング素子S11が、第5オン時点Ton5よりも後において、オンからオフに切り替わる時点である。
第6オフ時点Toff6とは、第3スイッチング素子S7及び第8スイッチング素子S12が、第6オン時点Ton6よりも前で、かつ、第3オン時点Ton3よりも後において、オンからオフに切り替わる時点である。
制御部7は、一次側のスイッチング素子S1〜S4がオンからオフに切り替わるタイミング、及び、オフからオンに切り替わるタイミングを固定し、そして、第1オン時点Ton1、第2オン時点Ton2、第4オン時点Ton4及び第6オン時点Ton6を、αで示すように、シフトさせることにより、出力電圧Voまたは出力電流ioの少なくとも一方の振幅を制御する。
制御部7は、直流電源17と商用電力系統27とを接続して運転(系統連系運転)をする場合、出力電流ioの振幅を制御し、直流電源17と負荷29とを接続して運転(自立運転)をする場合、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅を制御する。以降、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅を制御する例で説明する。
詳しく説明すると、図5に示す電力供給モードにおいて、αで示す期間を短くすると、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅が大きくなり、αで示す期間を長くすると、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅が小さくなる。図6及び図15に示す電力回生モードにおいて、αで示す期間を短くすると、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅が小さくなり、αで示す期間を長くすると、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅が大きくなる。
なお、制御部7は、第1オン時点Ton1又は第2オン時点Ton2のうち少なくともいずれか一方を、αで示すように、シフトさせることにより、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅を制御してもよい。また、制御部7は、第4オン時点Ton4又は第6オン時点Ton6のうち少なくともいずれか一方を、αで示すように、シフトさせることにより、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅を制御してもよい。
図5、図6及び図15に示すように、制御部7は、正群コンバータを動作させる場合、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との組を非対称に制御し、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との組を非対称に制御し、負群コンバータを動作させる場合、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との組を非対称に制御し、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との組を非対称に制御している。これを、非対称制御と称する。制御部7が、これらの組をそれぞれ、対称に制御してもよい。これを対称制御と称する。非対称に制御するとは、言い換えれば、異なる制御をすることであり、対称に制御するとは、言い換えれば、同じ制御をすることである。
対称制御において、図3に示す期間T10での電力供給モードのタイムチャートを図16で示し、図4に示す期間T12での電力回生モードのタイムチャートを図17で示す。図5、図6及び図15に示すタイムチャートと比べて、制御部7は、正群コンバータを動作させる場合、第1スイッチング素子S5と第4スイッチング素子S8との組を対称に制御し、第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7との組を対称に制御し、負群コンバータを動作させる場合、第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11との組を対称に制御し、第5スイッチング素子S9と第8スイッチング素子S12との組を対称に制御している。
対称制御の場合、電力供給モード及び電力回生モードのいずれのモードにおいても、直流電源17から商用電力系統27に電力を供給する期間と商用電力系統27から直流電源17に電力を回生する期間とが存在し、制御部7は、その比率を変えることにより、出力電圧Voの振幅及び出力電流ioの振幅を制御する。
このように、対称制御の場合、電力供給モードにおいて、トランス電圧V1の一周期中に、商用電力系統27から直流電源17に電力を回生する期間が発生し、電力回生モードにおいて、トランス電圧V1の一周期中に、直流電源17から商用電力系統27に電力を供給する期間が発生する。これらは、電力のロスとなる。
これに対して、図5、図6及び図15に示す非対称制御の場合、電力供給モードにおいて、トランス電圧V1の一周期中に、商用電力系統27から直流電源17に電力を回生する期間が発生しない。電力回生モードにおいて、トランス電圧V1の一周期中に、直流電源17から商用電力系統27に電力を供給する期間が発生するが、この期間は極めて短く、又は、発生しない。従って、非対称制御は、対称制御と比べて、無駄な回生電流や供給電流をなくすことができるので、高効率な電力変換を実現できる。
なお、非対称制御から対称制御への切り替え、及び、対称制御から非対称制御への切り替えは、回路定数の最適化等を考慮しなければ、サイクロコンバータ11を構成する第1スイッチング素子S5〜第8スイッチング素子S12のそれぞれについて、オンオフ制御のタイミングを変更するだけで実現できる。
特許文献1が示す系統連系インバータ装置によれば、一次側に電力が回生されず、自立運転時に、低力率負荷が系統連系インバータ装置に接続されたとき、回生電力を二次側で処理する。従って、上記系統連系インバータ装置では、直流電源17が蓄電池の場合、蓄電池を充電することができない。
本実施形態に係る電力変換装置1によれば、図6、図15及び図17で説明したように、商用電力系統27から直流電源17に電力を回生できるので、直流電源17が蓄電池の場合、充電することができる。
また、本実施形態に係る電力変換装置1によれば、インバータ回路5で生成された高周波電力を直流電力に変換することなく、サイクロコンバータ11によって、直接、交流電力にする。従って、低損失かつ小型軽量の電力変換装置1を実現できる。
次に、電力変換装置1の転流動作について説明する。図5、図6、図15、図16及び図17に示すように、一次側のインバータ回路5において、上下アームの同時短絡を防止するために、デッドタイムが設けられている。すなわち、制御部7は、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2とが同時にオン状態となることによって生じる短絡を防止するために、スイッチング素子S1のオン期間とスイッチング素子S2のオン期間とが重ならないようにしている。同様に、制御部7は、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4とが同時にオン状態となることによって生じる短絡を防止するために、スイッチング素子S3のオン期間とスイッチング素子S4のオン期間とが重ならないようにしている。
これに対して、二次側のサイクロコンバータ11において、オーバーラッピングタイムが設けられている。すなわち、制御部7は、第1スイッチング素子S5のオン期間と第3スイッチング素子S7のオン期間とが重なる期間、第2スイッチング素子S6のオン期間と第4スイッチング素子S8のオン期間とが重なる期間、第6スイッチング素子S10のオン期間と第8スイッチング素子S12のオン期間とが重なる期間、及び、第5スイッチング素子S9のオン期間と第7スイッチング素子S11のオン期間とが重なる期間を、それぞれ設けることにより、電力変換装置1の二次側に転流電流を発生させる。これを、図5に示す期間T2と、これに続く期間T9との回路動作を例にして説明する。
図18は、期間T2において、電力変換装置1の回路を流れる電流を示す回路図である。期間T2において、図7で説明したように、直流電源17から商用電力系統27に電力が供給されている。直流電源17からの電流は、スイッチング素子S1、トランス9の一次巻線19及びスイッチング素子S4を通る経路51を流れている。これに応じて、二次側において、トランス9の二次巻線21、第1ダイオードD5、第1スイッチング素子S5、商用電力系統27、第4ダイオードD8、第4スイッチング素子S8を通る経路52に、電流が流れる。期間T2において、第3スイッチング素子S7は、オン状態であるが、第3ダイオードD7が逆バイアス状態なので、電流は、第3スイッチング素子S7を流れない。
図19は、期間T9において、電力変換装置1の回路を流れる電流を示す回路図である。制御部7は、スイッチング素子S1,S4をオンからオフに切り替えることによって、期間T2から期間T9に遷移する。一次側において、ダイオードD2、一次巻線19、ダイオードD3を通る経路53に、電流が流れる。
スイッチング素子S1,S4がオンからオフに切り替わることによって、トランス9の二次巻線21の電圧(トランス電圧V1)の極性が反転するので、第3ダイオードD7が順バイアス状態となり、第1ダイオードD5が逆バイアス状態となる。これにより、二次側において、第1ダイオードD5及び第1スイッチング素子S5を流れる電流が、第3ダイオードD7及び第3スイッチング素子S7を流れる電流に切り替わる転流が生じる。
期間T9において、第1スイッチング素子S5及び第3スイッチング素子S7をオンにした状態で、第1ダイオードD5及び第3ダイオードD7の特性を利用して転流するので、第1ダイオードD5及び第1スイッチング素子S5を流れる電流が、第3ダイオードD7及び第3スイッチング素子S7を流れる電流に、徐々に切り替わる。
第1スイッチング素子S5をオンからオフに切り替えるタイミングは、転流が完了した後となるように、予め設定されている。従って、制御部7は、転流が完了した後、第1スイッチング素子S5をオンからオフに切り替える制御をする。
以上の通り、本実施形態によれば、第3ダイオードD7に流れる電流がゼロのときに、第3ダイオードD7をターンオンできる。また、第1ダイオードD5に印加される電圧がゼロ、かつ、第1ダイオードD5に流れる電流がゼロのときに、第1ダイオードD5をターンオフすることができる。これにより、強制的に電流を遮断することによって、電流が流れる経路を変えるのではなく、ソフトスイッチングによって、電流が流れる経路を変えることができる。
ソフトスイッチングを実現するために、電力変換装置1は、以下の構成を備える。制御部7が、第1スイッチング素子S5及び第3スイッチング素子S7の一方を通る経路から他方を通る経路に転流する制御をするときに、第1ダイオードD5及び第3ダイオードD7の一方が逆バイアス状態となり、かつ、他方が順バイアス状態となるように、第1ダイオードD5と第1スイッチング素子S5とが直列接続され、かつ、第3ダイオードD7と第3スイッチング素子S7とが直列接続されている。
同様に、制御部7が、第2スイッチング素子S6及び第4スイッチング素子S8の一方を通る経路から他方を通る経路に転流する制御をするときに、第2ダイオードD6及び第4ダイオードD8の一方が逆バイアス状態となり、かつ、他方が順バイアス状態となるように、第2ダイオードD6と第2スイッチング素子S6とが直列接続され、かつ、第4ダイオードD8と第4スイッチング素子S8とが直列接続されている。
次に、正群コンバータと負群コンバータとの切り替え制御について説明する。図20は、図3に示す出力電流ioがゼロクロスする期間T11において、図5に示す非対称制御での正群コンバータ及び負群コンバータの動作のタイムチャートである。
正群コンバータの動作中(オン)において、PWM信号は、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8の二次側駆動信号を示す。負群コンバータの動作中(オン)において、PWM信号は、第5スイッチング素子S9、第6スイッチング素子S10、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12の二次側駆動信号を示す。
電力供給期間は、例えば、図5の期間T2,T4で示すように、直流電源17から商用電力系統27に電力を供給する期間である。電力非供給期間は、例えば、期間T1,T3で示すように、直流電源17から商用電力系統27に電力を供給していない期間である。
制御部7は、負群コンバータの動作を停止させた状態で、正群コンバータについて、PWM信号の生成期間を徐々に短くする制御、すなわち、第1オン時点Ton1及び第2オン時点Ton2のタイミングを徐々に遅らせる制御をする。これにより、正の出力電流ioは、徐々に小さくなり、0となる。その後、制御部7は、正群コンバータの動作を停止させた状態で、負群コンバータについて、PWM信号の生成期間を徐々に長くする制御、すなわち、第1オン時点Ton1及び第2オン時点Ton2のタイミングを徐々に早くする制御をする。これにより、負の出力電流ioは0から負の方向に徐々に大きくなる。
図5のタイムチャートで示す期間は、トランス電圧V1の極性が切り替わる過渡的な期間(例えば、期間T9)を除いて、電力供給期間と電力非供給期間とで構成される。制御部7が、正群コンバータと負群コンバータとの切り替え制御を、電力供給期間で実行する場合について考察する。
既に説明したように、図18は、正群コンバータが動作している電力供給期間において、電力変換装置1の回路を流れる電流を示す回路図である。図21は、制御部7が、正群コンバータから負群コンバータに切り替える制御をしているときに、電力変換装置1の回路を流れる電流を示す回路図である。
この制御がされているとき、正群コンバータを構成する第1スイッチング素子S5及び第4スイッチング素子S8、並びに、負群コンバータを構成する第6スイッチング素子S10及び第7スイッチング素子S11がオン状態中に、第1ダイオードD5、第4ダイオードD8、第6ダイオードD10及び第7ダイオードD11が、順バイアス状態となる。
これにより、第1ダイオードD5及び第1スイッチング素子S5を通る経路と、第6ダイオードD10及び第6スイッチング素子S10を通る経路とが導通状態となり、かつ、第4ダイオードD8及び第4スイッチング素子S8を通る経路と、第7ダイオードD11及び第7スイッチング素子S11を通る経路とが導通状態となる。この結果、二次側短絡が発生することによって、電力変換装置1の回路に大電流が流れ、回路が破壊する。よって、電力供給期間において、正群コンバータと負群コンバータとの切り替え制御は、実行することができない。
そこで、制御部7は、電力非供給期間において、正群コンバータと負群コンバータとの切り替え制御を実行する。すなわち、制御部7は、出力電流ioの極性を切り替えるタイミングを電力非供給期間に設定し、正群コンバータ及び負群コンバータに対して、電力変換装置1の二次側で短絡が発生しない予め定められた制御をする。
この制御の一例を、図5及び図22〜図24を用いて説明する。図22は、電力非供給期間において、正群コンバータから負群コンバータに切り替えられる直前の電力変換装置1の回路を流れる電流を示す回路図である。図23は、電力非供給期間において、正群コンバータから負群コンバータに切り替え中の電力変換装置1の回路を流れる電流を示す回路図である。図24は、電力非供給期間において、正群コンバータから負群コンバータに切り替えられた直後の電力変換装置1の回路を流れる電流を示す回路図である。
図22に示すように、制御部7は、スイッチング素子S1,S4をオン制御し、正群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8をオン制御し、第1スイッチング素子S5及び第2スイッチング素子S6をオフ制御し、負群コンバータを構成する全てのスイッチング素子をオフ制御している。電力変換装置1の二次側において、第4ダイオードD8、第4スイッチング素子S8、第3ダイオードD7、及び、第3スイッチング素子S7、及び、商用電力系統27を通る経路を、電流が流れている。
次に、制御部7は、図22に示す状態で、図23に示すように、負群コンバータを構成するスイッチング素子のうち、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12をオン制御する。電流は、第4ダイオードD8、第4スイッチング素子S8、第3ダイオードD7、第3スイッチング素子S7、及び、商用電力系統27を通る経路に加えて、第7ダイオードD11、第7スイッチング素子S11、第8ダイオードD12及び第8スイッチング素子S12を通る経路にも流れている。
この状態を継続させると、第3ダイオードD7、第4ダイオードD8、第7ダイオードD11及び第8ダイオードD12のソフトスイッチングによって、第4ダイオードD8、第4スイッチング素子S8、第3ダイオードD7、及び、第3スイッチング素子S7を通る経路を流れる正の電流が徐々に小さくなり、第7ダイオードD11、第7スイッチング素子S11、第8ダイオードD12、及び、第8スイッチング素子S12を通る経路を流れる負の電流が徐々に大きくなる。
第4ダイオードD8、第4スイッチング素子S8、第3ダイオードD7、及び、第3スイッチング素子S7を通る経路から、第7ダイオードD11、第7スイッチング素子S11、第8ダイオードD12、及び、第8スイッチング素子S12を通る経路に完全に切り替わった状態を、図24に示す。電流は、商用電力系統27、第7ダイオードD11、第7スイッチング素子S11、第8ダイオードD12、及び、第8スイッチング素子S12を通る経路を流れる。
制御部7は、図22〜図24で示す期間中、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第5スイッチング素子S9及び第6スイッチング素子S10を常に、オフ制御している。よって、電力変換装置1の二次側で短絡が発生することなく、正群コンバータと負群コンバータとの切り替えを完了することができる。
正群コンバータと負群コンバータとの切り替え制御の他の例(以下、切り替え制御の他の例)を説明する。図25は、切り替え制御の他の例において、正群コンバータから負群コンバータに切り替えられるときに、各スイッチング素子に印加される制御信号の波形を示す波形図である。波形図の縦軸は、制御信号を示し、横軸は、時間を示す。正群コンバータから負群コンバータに切り替える直前の期間を、期間T20とし、切り替え中の期間を、期間T21とし、切り替え直後の期間を、期間T22とする。
図1及び図25を参照して、スイッチング素子S1,S2,S3,S4は、期間T20、期間T21及び期間T22で動作している。正群コンバータを構成する第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8は、期間T20及び期間T21で動作しているが、期間T22で動作が停止している。負群コンバータを構成する第5スイッチング素子S9、第6スイッチング素子S10、第7スイッチング素子S11及び第8スイッチング素子S12は、期間T20で動作が停止しているが、期間T21及び期間T22で動作している。
図26は、切り替え制御の他の例において、期間T21での制御モードのタイムチャートである。一次側駆動信号、トランス電圧V1、トランス電流i1、二次側駆動信号、出力電圧Voの意味は、図5を用いて既に説明している。制御部7が、スイッチング素子S2,S3をオン制御する一次側駆動信号を発生させる時点と、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10をオン制御する二次側駆動信号を発生させる時点とは、同じにされているが、若干、ずれていてもよい。同様に、制御部7が、スイッチング素子S1,S4をオン制御する一次側駆動信号を発生させる時点と、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9をオン制御する二次側駆動信号を発生させる時点とは、同じにされているが、若干、ずれていてもよい。
期間(0)、時点(1)〜時点(9)、及び、期間(10)での電力変換装置1の動作について、図26〜図37を用いて説明する。図27〜図37において、接続部15には、商用電力系統27が接続されているとし、オン制御されているスイッチング素子を示す符号を点線で囲んでいる。
図27は、図1に示す電力変換装置1において、図26に示す期間(0)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。図26及び図27を参照して、期間(0)において、制御部7は、スイッチング素子S2,S3をオン制御し、スイッチング素子S1,S4をオフ制御する。これにより、トランス電圧V1が負電圧にされている。
期間(0)において、制御部7は、サイクロコンバータ11を構成するスイッチング素子のうち、第1スイッチング素子S5、第4スイッチング素子S8、第6スイッチング素子S10及び第7スイッチング素子S11をオン制御し、残りのスイッチング素子をオフ制御する。
図28は、図1に示す電力変換装置1において、時点(1)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。時点(1)は、期間(0)が終了する時点である。図26及び図28を参照して、スイッチング素子S2,S3をオン制御からオフ制御に切り替える時点(2)が近づいてきたので、電力変換装置1の一次側と商用電力系統27とを切り離す必要がある。そこで、時点(1)において、制御部7は、第3スイッチング素子S7及び第8スイッチング素子S12をオフ制御からオン制御に切り替えて、交流用リアクトル(コイル23)を充電モードにする。これにより、電力変換装置1の一次側と商用電力系統27とを切り離すことができる。このとき、商用電力系統27の電流は、正負のいずれの可能性もある。
図29は、図1に示す電力変換装置1において、時点(2)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。時点(2)は、時点(1)の後である。図26及び図29を参照して、制御部7は、スイッチング素子S2,S3をオン制御からオフ制御に切り替え、かつ、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10をオン制御からオフ制御に切り替える。これにより、トランス電圧V1を反転させる準備をする。
図30は、図1に示す電力変換装置1において、時点(3)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。時点(3)は、時点(2)の後である。図26及び図30を参照して、制御部7は、スイッチング素子S1,S4をオフ制御からオン制御に切り替え、かつ、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9をオフ制御からオン制御に切り替える。
スイッチング素子S1,S4がオフ制御からオン制御に切り替えられることにより、トランス電圧V1が反転する。
第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9がオフ制御からオン制御に切り替えられることにより、交流用リアクトル(コイル23)への充電経路が確保される。トランス電圧V1が商用電力系統27の電圧より大きいので、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9は逆バイアス状態となる。
図31は、図1に示す電力変換装置1において、時点(4)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。時点(4)は、時点(3)の後である。図26及び図31を参照して、制御部7は、第4スイッチング素子S8及び第7スイッチング素子S11をオン制御からオフ制御に切り替える。これにより、交流用リアクトル(コイル23)に蓄積されているエネルギーが開放されるモードになる。
商用電力系統27の電圧の正負に応じて、交流用リアクトル(コイル23)に蓄積されているエネルギーが開放されることにより生じる電流の正負が異なる。正電流であれば、この電流は、第3ダイオードD7、第3スイッチング素子S7、コイル23、商用電力系統27、第2ダイオードD6、及び、第2スイッチング素子S6により構成される経路を流れる。負電流であれば、この電流は、第8ダイオードD12、第8スイッチング素子S12、商用電力系統27、コイル23、第5ダイオードD9、及び、第5スイッチング素子S9により構成される経路に流れる。
図32は、図1に示す電力変換装置1において、期間(5)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。期間(5)が開始する時点は、時点(4)である。図26及び図32を参照して、制御部7が、オン制御しているスイッチング素子は、時点(4)において、オン制御しているスイッチング素子と同じである。
交流用リアクトル(コイル23)にエネルギーが蓄積される期間は、時点(1)〜時点(4)までの期間なので、極めて短い。従って、交流用リアクトル(コイル23)に蓄積されているエネルギーは、直ちにゼロ(Vd=0)となるので、トランス電流i1を0の状態にすることができる。
図33は、図1に示す電力変換装置1において、時点(6)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。時点(6)は、期間(5)が終了する時点である。図26及び図33を参照して、スイッチング素子S1,S4をオン制御からオフ制御に切り替える時点(7)が近づいてきたので、電力変換装置1の一次側と商用電力系統27とを切り離す必要がある。そこで、時点(6)において、制御部7は、第4スイッチング素子S8及び第7スイッチング素子S11をオフ制御からオン制御に切り替えて、交流用リアクトル(コイル23)を充電モードにする。これにより、電力変換装置1の一次側と商用電力系統27とを切り離すことができる。このとき、商用電力系統27の電流は、正負のいずれの可能性もある。
図34は、図1に示す電力変換装置1において、時点(7)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。時点(7)は、時点(6)の後である。図26及び図34を参照して、制御部7は、スイッチング素子S1,S4をオン制御からオフ制御に切り替え、かつ、第2スイッチング素子S6及び第5スイッチング素子S9をオン制御からオフ制御に切り替える。これにより、トランス電圧V1を反転させる準備をする。
図35は、図1に示す電力変換装置1において、時点(8)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。時点(8)は、時点(7)の後である。図26及び図35を参照して、制御部7は、スイッチング素子S2,S3をオフ制御からオン制御に切り替え、かつ、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10をオフ制御からオン制御に切り替える。
スイッチング素子S2,S3がオフ制御からオン制御に切り替えられることにより、トランス電圧V1が反転する。
第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10がオフ制御からオン制御に切り替えられることにより、交流用リアクトル(コイル23)への充電経路が確保される。トランス電圧V1が商用電力系統27の電圧より小さいので、第1スイッチング素子S5及び第6スイッチング素子S10は逆バイアス状態となる。
図36は、図1に示す電力変換装置1において、時点(9)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。時点(9)は、時点(8)の後である。図26及び図36を参照して、制御部7は、第3スイッチング素子S7及び第8スイッチング素子S12をオン制御からオフ制御に切り替える。これにより、交流用リアクトル(コイル23)に蓄積されているエネルギーが開放されるモードになる。
商用電力系統27の電圧の正負に応じて、交流用リアクトル(コイル23)に蓄積されているエネルギーが開放されることにより生じる電流の正負が異なる。正電流であれば、この電流は、第1ダイオードD5、第1スイッチング素子S5、コイル23、商用電力系統27、第4ダイオードD8、及び、第4スイッチング素子S8により構成される経路を流れる。負電流であれば、この電流は、第6ダイオードD10、第6スイッチング素子S10、商用電力系統27、コイル23、第7ダイオードD11、及び、第7スイッチング素子S11により構成される経路に流れる。
図37は、図1に示す電力変換装置1において、期間(10)のとき、オン状態のスイッチング素子を示す電力変換装置1の回路図である。期間(10)が開始する時点は、時点(9)である。図26及び図37を参照して、制御部7が、オン制御しているスイッチング素子は、時点(9)において、オン制御しているスイッチング素子と同じである。
交流用リアクトル(コイル23)にエネルギーが蓄積される期間は、時点(6)〜時点(9)までの期間なので、極めて短い。従って、交流用リアクトル(コイル23)に蓄積されているエネルギーは、直ちにゼロ(Vd=0)となるので、トランス電流i1が0の状態にすることができる。
このように、切り替え制御の他の例によれば、トランス電流i1が0の期間を作り出すことができるので、二次側短絡が発生することなく、正群コンバータと負群コンバータとの切り替えをすることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、出力電流ioがゼロクロスするとき、出力電流ioが正の場合に正群コンバータが動作するシーケンス(正期間制御シーケンス)や、出力電流ioが負の場合に負群コンバータが動作するシーケンス(負期間制御シーケンス)とは、異なる上記切替制御シーケンスを実行する。これにより、スムーズに出力電流ioの極性を切り替えることができると共に、出力電流ioの波形歪を最小限に抑えることができる。
なお、正群コンバータと負群コンバータとを切り替える制御(切替制御シーケンス)は、上述した制御に限定されない。制御部7は、電力非供給期間中に、正群コンバータ及び負群コンバータに対して、電力変換装置1の二次側で短絡が発生しない制御であれば、その制御を適用することができる。
切替制御シーケンスを実行するには、出力電流ioの値を監視する必要がある。図38は、図1に示す電力変換装置1の第1変形例の回路図である。第1変形例に係る電力変換装置1aについて、図1に示す電力変換装置1との相違点を説明する。
電力変換装置1aは、電圧センサー71,75及び電流センサー73,77を備える。電圧センサー71は、フィルタ回路13のコンデンサ25の一端と他端とに接続され、コンデンサ25に入力される電圧を、出力電圧Voとして測定する。電流センサー73は、接続部15の第1端15aとフィルタ回路13との間に挿入され、ここを流れる電流を出力電流ioとして測定する。
電圧センサー75は、直流電源17の電圧を測定する。電流センサー77は、直流電源17と接続部3との間に挿入され、直流電源17の電流を測定する。
制御部7は、電流センサー73によって測定されている出力電流ioの値を監視し、その値がゼロ付近の予め定められた値に到達したと判定したとき、切替制御シーケンスを実行する。
なお、制御部7が出力電圧Voを監視するのは、後で説明するように、電力供給モードと電力回生モードとの切り替え制御をするためである。
直流電源17の電圧及び電流が、それぞれ所定値から外れると、出力電圧Voの振幅を所望の値に制御できない。そこで、制御部7は、電圧センサー75及び電流センサー77を用いて、直流電源17の電圧及び電流の値を監視する。しかしながら、制御部7が、出力電圧Vo、直流電源17の電圧及び電流の値を監視することなく、出力電流ioの値を監視するだけでも、切替制御シーケンスを実行することができる。また、系統連系時のように電圧が既知の場合、内部の電流指令値によっても切替制御シーケンスを実行することができる。
次に、電力供給モードと電力回生モードとの切り替え制御について説明する。図39は、電力供給モードと電力回生モードとの切り替え制御を説明する説明図である。図3で説明したように、出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が0°(すなわち、力率が1)の場合、電力回生モードがなく、電力供給モードのみとなる。図4で説明したように、出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が180°(すなわち、力率が0)の場合、電力供給モードがなく、電力回生モードのみとなる。
出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が、0°及び180°と異なるとき、図39で示すように、商用電力系統27の1周期内において、出力電圧Voと出力電流ioとの極性が同じ期間T15と、その極性が異なる期間T16とが交互に発生する。図39は、出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が90°の例を示している。
期間T15と期間T16とが交互に発生する例として、系統連系運転から自立運転に切り替わったときに、負荷29が低力率である場合(例えば、モーター)や、系統連系運転時に商用電力系統27の周波数が変動した場合がある。
制御部7は、図38に示す電圧センサー71及び電流センサー73によって測定されている値を監視し、出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が、0°及び180°と異なるかを判定する。制御部7は、出力電圧Voと出力電流ioとの位相差が、0°及び180°と異なると判定したとき、出力電流ioが正であれば、正群コンバータを動作させ、出力電流ioが負であれば、負群コンバータを動作させる。制御部7は、正群コンバータと負群コンバータとの切り替えをするとき、上述した切替制御シーケンスを実行する。そして、制御部7は、期間T15において、電力供給モードを実行し、期間T16において、電力回生モードを実行する。
電力変換装置1の第2変形例を説明する。図40は、第2変形例の回路図である。第2変形例に係る電力変換装置1bについて、図1に示す電力変換装置1との相違点を説明する。電力変換装置1bは、チョッパ回路81を備え、この回路は、インバータ回路5と接続部3との間に挿入されている。
チョッパ回路81は、電力供給モードにおいて昇圧動作をし、電力回生モードにおいて降圧動作をする昇降圧チョッパ回路である。制御部7は、チョッパ回路81、正群コンバータを構成する第1スイッチング素子S5〜第4スイッチング素子S8、及び、負群コンバータを構成する第5スイッチング素子S9〜第8スイッチング素子S12を制御することにより、出力電圧Voまたは出力電流ioの少なくとも一方の振幅を制御する。
第2変形例に係る電力変換装置1bによれば、チョッパ回路81を備えることにより、電圧の変動幅の大きな直流電源17にも柔軟に対応できる。例えば、EVバッテリー、太陽電池、燃料電池が電圧の変動幅が大きい場合においても適用することができる。
電力変換装置1の第3変形例を説明する。図41は、第3変形例の回路図である。第3変形例に係る電力変換装置1cについて、図1に示す電力変換装置1との相違点を説明する。電力変換装置1cのインバータ回路5は、ロスレススナバキャパシタC1,C2,C3,C4、励磁インダクタンスL1,L2、及び、電解コンデンサC5,C6を備える。
ロスレススナバキャパシタC1は、スイッチング素子S1のエミッタとコレクタとに接続されている。ロスレススナバキャパシタC2は、スイッチング素子S2のエミッタとコレクタとに接続されている。ロスレススナバキャパシタC3は、スイッチング素子S3のエミッタとコレクタとに接続されている。ロスレススナバキャパシタC4は、スイッチング素子S4のエミッタとコレクタとに接続されている。
電解コンデンサC100は、スイッチング素子S1のコレクタとスイッチング素子S2のエミッタとに接続されている。励磁インダクタンスL1は、電解コンデンサC100と、スイッチング素子S1のエミッタ及びスイッチング素子S2のコレクタとに接続されている。
電解コンデンサC200は、スイッチング素子S3のコレクタとスイッチング素子S4のエミッタとに接続されている。励磁インダクタンスL2は、電解コンデンサC200と、スイッチング素子S3のエミッタ及びスイッチング素子S4のコレクタとに接続されている。
ロスレススナバキャパシタC1,C2,C3,C4、励磁インダクタンスL1,L2、及び、電解コンデンサC100,C200によって、インバータ回路5では、ソフトスイッチングが実現される。これにより、スイッチング素子S1,S2,S3,S4を保護することができる。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2における電力変換装置の構成が、説明される。なお、上述の実施の形態1と重複する説明は、適宜、省略される。
図42は、実施の形態2における電力変換装置4000の概略構成を示す図である。実施の形態2における電力変換装置4000は、トランス4100と、インバータ回路4200と、接続部4300と、スイッチング回路部4400と、リレー部4500と、を備える。
トランス4100は、一次巻線と、一次巻線と磁気結合される二次巻線と、を含む。
インバータ回路4200は、直流電源からの直流電圧を交流電圧に変換し、変換した交流電圧を一次巻線に供給する。
接続部4300は、商用電力系統又は負荷の少なくとも一方と電気的に接続される。
スイッチング回路部4400は、二次巻線と接続部4300とに接続されるスイッチング素子を含む。
リレー部4500は、商用電力系統又は負荷の少なくとも一方と接続部4300との間の、接続状態と非接続状態とを切り替える。
実施の形態2における電力変換装置4000は、スイッチング回路部4400のスイッチング素子のオンオフを制御することで、接続部4300から出力される出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御する。
実施の形態2における電力変換装置4000は、スイッチング回路部4400のスイッチング素子をオフ状態としている間に、リレー部4500により、商用電力系統又は負荷の少なくとも一方と接続部4300との間を、非接続状態から接続状態に切り替える。
以上の構成によれば、リレー部による系統連系時において、二次側のスイッチング回路部のスイッチング素子に、瞬間的に大電流が流れることを抑制できる。これにより、リレー部による系統連系時における、スイッチング素子の負担を軽減することができる。この結果、例えば、瞬間的な大電流によるスイッチング素子の破壊を防ぐことができる。
図43は、実施の形態2における電力変換装置4000の具体的な構成例を示す図である。
図43に示される電力変換装置においては、スイッチング回路部は、第1スイッチング素子S5と、第2スイッチング素子S6と、第3スイッチング素子S7と、第4スイッチング素子S8と、を含む。
第1スイッチング素子S5は、接続部の第1端(15a)と二次巻線の第1端との間に挿入される。
第2スイッチング素子S6は、接続部の第2端(15b)と二次巻線の第1端との間に挿入される。
第3スイッチング素子S7は、接続部の第1端(15a)と二次巻線の第2端との間に挿入される。
第4スイッチング素子S8は、接続部の第2端(15b)と二次巻線の第2端との間に挿入される。
また、図43に示される電力変換装置においては、リレー部4500は、リレー4500aとリレー4500bとで、構成される。
なお、実施の形態1と同様に、各スイッチング素子は、制御部7により制御されてもよい。
また、リレー部であるリレー4500aとリレー4500bとは、制御部7により、その開閉が制御されてもよい。
なお、実施の形態2における電力変換装置は、1次側インバータ回路の前段に、実施の形態1の図40に示すような双方向チョッパ回路を備えてもよい。これにより、電圧の小さい直流電源が使用可能となる。
ここで、実施の形態2における電力変換装置は、第1スイッチング素子S5と第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7と第4スイッチング素子S8との全てをオフ状態としている間に、リレー部(4500a、4500b)により、商用電力系統又は負荷の少なくとも一方と接続部(15a、15b)との間を、非接続状態から接続状態に切り替える。
以上の構成によれば、リレー部による系統連系時において、二次側のスイッチング回路部の第1〜第4スイッチング素子に、瞬間的に大電流が流れることを抑制できる。これにより、リレー部による系統連系時における、第1〜第4スイッチング素子の負担を軽減することができる。
また、図43に示される電力変換装置においては、スイッチング回路部は、第5スイッチング素子S9と、第6スイッチング素子S10と、第7スイッチング素子S11と、第8スイッチング素子S12と、を含む。
第5スイッチング素子S9は、接続部の第1端(15a)と二次巻線の第1端との間に、第1スイッチング素子S5と並列に挿入される。第5スイッチング素子S9は、電流を流す方向が第1スイッチング素子S5と逆方向である。
第6スイッチング素子S10は、接続部の第2端(15b)と二次巻線の第1端との間に、第2スイッチング素子S6と並列に挿入される。第6スイッチング素子S10は、電流を流す方向が第2スイッチング素子S6と逆方向である。
第7スイッチング素子S11は、接続部の第1端(15a)と二次巻線の第2端との間に、第3スイッチング素子S7と並列に挿入される。第7スイッチング素子S11は、電流を流す方向が第3スイッチング素子S7と逆方向である。
第8スイッチング素子S12は、接続部の第2端(15b)と二次巻線の第2端との間に、第4スイッチング素子S8と並列に挿入される。第8スイッチング素子S12は、電流を流す方向が第4スイッチング素子S8と逆方向である。
ここで、実施の形態2における電力変換装置は、接続部から出力される出力電流が正である期間において、第1スイッチング素子S5、第2スイッチング素子S6、第3スイッチング素子S7及び第4スイッチング素子S8を制御することによって、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御してもよい。
さらに、実施の形態2における電力変換装置は、接続部から出力される出力電流が負である期間において、第1スイッチング素子S5に替えて第6スイッチング素子S10を制御し、第2スイッチング素子S6に替えて第5スイッチング素子S9を制御し、第3スイッチング素子S7に替えて第8スイッチング素子S12を制御し、第4スイッチング素子S8に替えて第7スイッチング素子S11を制御することによって、出力電圧または出力電流の少なくとも一方の振幅を制御してもよい。
このとき、実施の形態2における電力変換装置は、第5スイッチング素子S9と第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11と第8スイッチング素子S12との全てをオフ状態としている間に、リレー部により、商用電力系統又は負荷の少なくとも一方と接続部との間を、非接続状態から接続状態に切り替える。
以上の構成によれば、リレー部による系統連系時において、二次側のスイッチング回路部の第1〜第4スイッチング素子に加え第5〜第8スイッチング素子に、瞬間的に大電流が流れることを抑制できる。これにより、リレー部による系統連系時における、第1〜第4スイッチング素子に加え第5〜第8スイッチング素子の負担を軽減することができる。
図44は、実施の形態2における電力変換装置の動作の一例を示す図である。
図44に示す例では、第1〜第8スイッチング素子がオフ状態のため、リレー部による系統連系時において、電流が流れ込まない。
図45は、比較例における系統連系シーケンスの概要を示すタイミングチャートである。
図45は、例えば、特開2004−215439の図1のような装置構成における連系シーケンスを示している。
図45における、時間t1において、チョッパ制御信号が入力され、チョッパ回路が駆動する。
図45における、時間t2において、インバータ制御信号が入力され、インバータ回路が駆動する。
図45における、時間t3において、リレー制御信号が入力され、リレーが閉成される。
すなわち、比較例における構成では、チョッパ回路とインバータ回路の作動が開始された後に、連系リレーが閉成されて、系統連系インバータ装置から商用電力系統への電力供給が開始される。
以上のような比較例の構成では、以下のような課題が生じる。すなわち、入力電圧が上がってから連系するまでの間で、系統電圧の極性切り替え期間で出力コンデンサとリアクトルが共振する。この結果、インバータ装置のスイッチング素子に、瞬間的な電流が、流れる。この結果、リレー部による系統連系時において、インバータ装置のスイッチング素子に負担が加わり、例えば、スイッチング素子が破壊され得る。
図46は、実施の形態2における系統連系シーケンスの概要を示すタイミングチャートである。
図46における、時間t1において、リレー制御信号が入力され、リレー部4500が閉成される。
図46における、時間t3において、インバータ回路4200に制御信号が入力され、インバータ回路4200が駆動される。
図46における、時間t4において、スイッチング回路部4400に制御信号が入力され、スイッチング回路部4400が駆動される。
なお、図46のように、時間t2において、一次側のチョッパ回路などにより、昇圧が行われてもよい。すなわち、時間t2において、チョッパ回路に制御信号が入力され、チョッパ回路が起動されてもよい。チョッパ回路が起動することで、インバータ回路への入力電圧が上昇する。その後、時間t3では、インバータ回路への入力電圧が、目標電圧に達する。その後、電圧一定制御を行うことで、入力電圧が一定に維持される。
以上のように、実施の形態2における構成では、スイッチング回路部4400のスイッチング素子がオフ状態である間に、リレー部4500が閉成されて、電力変換装置4000から商用電力系統または負荷への電力供給が開始される。
以上の実施の形態2の構成によれば、リレー部による系統連系時において、二次側のスイッチング回路部のスイッチング素子に、瞬間的に大電流が流れることを抑制できる。これにより、リレー部による系統連系時における、スイッチング素子の負担を軽減することができる。
また、図43に示される電力変換装置は、第1〜第8ダイオード素子D5〜D12を備える。
第1〜第8ダイオード素子D5〜D12は、第1〜第8スイッチング素子S5〜S12のそれぞれと直列に挿入される。第1〜第8ダイオード素子D5〜D12は、第1〜第8スイッチング素子S5〜S12のそれぞれの電流を流す向きを順方向とする。
このとき、実施の形態2における電力変換装置は、第1スイッチング素子S5と第2スイッチング素子S6と第3スイッチング素子S7と第4スイッチング素子S8との全てをオフ状態としている間、もしくは、第5スイッチング素子S9と第6スイッチング素子S10と第7スイッチング素子S11と第8スイッチング素子S12との全てをオフ状態としている間のうちのいずれか一方の間に、リレー部により、商用電力系統又は負荷の少なくとも一方と接続部との間を、非接続状態から接続状態に切り替える。
以上の構成によれば、オフ状態であるスイッチング素子、もしくは、ダイオードのいずれかにより、第1スイッチング素子から第8スイッチング素子までのスイッチング素子を商用電力系統からの電流が通過する経路が形成されないように制御できる。この結果、リレー部による系統連系時において、二次側のスイッチング回路部の第1〜第8スイッチング素子に、瞬間的に大電流が流れることを抑制できる。これにより、リレー部による系統連系時における、第1〜第8スイッチング素子の負担を軽減することができる。
図47は、実施の形態2における電力変換装置の動作の一例を示す図である。
図47に示す例では、第1〜第8スイッチング素子の一部がオン状態であっても、ダイオードの機能により、リレー部による系統連系時において、電流が流れ込まない。
なお、図47に示されるように、第1〜第4スイッチング素子および第5〜第8スイッチング素子のいずれの群をオフ状態とするかを、商用電力系統の交流電圧の極性に応じて、切り替えてもよい。
なお、上述の実施の形態1または2として示された構成のそれぞれは、適宜、互いに、組み合わされてもよい。