JP2016102231A - ステンレス箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】1000℃以上の高温でも優れた耐酸化性と形状安定性を有し、さらには高い生産効率の基に製造することが可能なステンレス箔を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.025%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.050%以下、S:0.01%以下、Cr:15.0〜30.0%、Al:2.5〜6.5%、Ni:0.05〜0.50%、N:0.025%以下およびREM:0.01〜0.15%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、両面にそれぞれ30nm〜150nm厚のAlコーティング層を設ける。【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレス箔に関し、特には1000℃以上の高温での耐酸化性と形状安定性に優れたフェライト系ステンレス箔に関する。
5mass%程度のAlを含有するフェライト系ステンレス鋼は、高温での耐酸化性に優れるため、ステンレス箔に加工され、自動車、オートバイ、マリンバイク、モーターボート、大型芝刈り機、小型発電機などの排ガス浄化装置用触媒担体(メタルハニカム)に使用されている。
このメタルハニカムは、例えば、板厚50μm〜200μm程度の平坦なステンレス箔(平箔)と波状に加工されたステンレス箔(波箔)とを交互に積み重ねてなるハニカム構造を有し、箔同士はロウ付け等によって固定されている。そして、このステンレス箔の表面に触媒物質を塗布したものが、排ガス浄化装置に用いられる。メタルハニカム用のステンレス箔には、高温での耐酸化性に優れることのほか、ハニカム成型時のろう付け性に優れることや、高温で使用されても形状が変化しないこと(変形すると触媒層が剥がれたりハニカムの孔が潰れて排ガスが通りにくくなったりする)などが求められる。また、これらの特性に優れる5mass%程度のAlを含有するフェライト系ステンレス鋼は、メタルハニカムに加え、薄板の形状でストーブや加熱炉の部材、ヒーターの発熱体など幅広い分野に適用が進んでいる。
近年、排ガス浄化装置における排ガス排出抵抗の低減や表面積の増加、部材軽量化などの観点から、メタルハニカム用ステンレス箔には更なる薄肉化が求められている。しかし、板厚が薄くなると、表面積あたりの鋼中Al量が低下するため、高温でAlが枯渇しやすくなる。Alが枯渇すると異常酸化が生じたり箔の形状が変化して、箔の耐熱寿命が尽きる。そのため、板厚が薄くなると、箔材の耐熱寿命が低下する。一方、燃費向上の観点から自動車や二輪車の排ガス温度は高温化する傾向にあり、要求される耐熱温度は1000℃を超え始めている。
そのため、このような高温環境下において、板厚が30μm以下でも優れた耐酸化性と形状安定性を有するステンレス箔の開発が望まれている。
しかし、鋼中のAl含有量を増やせば耐酸化性や形状安定性は向上するが、熱間加工性と靭性の低下により、箔の素材である熱延鋼板や冷延鋼板の製造が困難になるという問題がある。
一方、ステンレス箔の耐酸化性を向上させる手段として、蒸着などによる表面コーティング技術が知られている。
例えば、特許文献1には、「ステンレス鋼フォイルの少なくとも片面に触媒を担持するためのアルミナ被覆が設けられている基体であって、該ステンレス鋼表面に蒸着めっき又は電気めっきによりAlめっきを施し、該蒸着めっきと同時またはめっき後の加熱処理によりAlめっき層にα−Al23ウイスカーを生成させた後に、該ウイスカー上にγ−Al23を被覆して上記アルミナ被覆を形成したことを特徴とする触媒担体用基体」が開示されている。
また、特許文献2には、「クロム16重量%以上25重量%以下とアルミニウム2.5重量%以上5.5重量%以下とを含有する厚さ25μm以上45μm以下のFe−Cr−Al系合金箔の両面に、それぞれ厚さ0.2μm以上2.5μm以下のアルミニウム層を設けたことを特徴とするFe−Cr−Al系合金箔」が開示されている。
特開昭64−15144号公報 特開平1−159384号公報
ここで、特許文献1には、種々の厚みのAl蒸着めっき層を設けたステンレス鋼フォイルが開示されているが、1000℃以上の高温環境下において十分な耐酸化性を得るには、鋼中のAl含有量を5mass%程度としても、Al蒸着めっき層の厚さを0.4μm以上とする必要がある。しかし、Al蒸着めっき層の厚さが大きくなると、蒸着時間が長時間化し、生産効率が低下するという問題があった。また、1000℃以上の高温環境下における形状安定性については、何ら考慮されていなかった。
この点、特許文献2に記載の合金箔では、必要とされるアルミニウム層の厚さが0.2μm以上であり、生産効率の点で一定の改善が図られているが、蒸着時間のさらなる短時間化による生産効率の一層の向上が求められているのが現状である。また、特許文献2においても、1000℃以上の高温環境下における形状安定性についてはやはり考慮が払われていなかった。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、1000℃以上の高温でも極めて優れた耐酸化性と形状安定性を有し、さらには高い生産効率の基に製造することが可能なステンレス箔を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討したところ、高Al含有フェライト系ステンレス箔において、成分組成を適正に調整することで、ステンレス箔の表面におけるAlコーティング層の厚みを極めて薄くする場合であっても、優れた高温での耐酸化性が得られ、同時に十分な形状安定性も確保できることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えた末に完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.025%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.050%以下、S:0.01%以下、Cr:15.0〜30.0%、Al:2.5〜6.5%、Ni:0.05〜0.50%、N:0.025%以下およびREM:0.01〜0.15%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
両面にそれぞれ30nm〜150nm厚のAlコーティング層を有することを特徴とするステンレス箔。
2.前記ステンレス箔が、さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%、V:0.01〜0.20%、Zr:0.01〜0.10%、Hf:0.01〜0.10%、B:0.0002〜0.0050%、Ca:0.0002〜0.0100%およびMg:0.0002〜0.0100%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする前記1に記載のステンレス箔。
3.前記ステンレス箔が、さらに、質量%で、Mo:0.1〜6.0%およびW:0.1〜6.0%のうちから選んだ少なくとも1種を含有し、その合計量が6.0%以下であることを特徴とする前記1または2に記載のステンレス箔。
本発明によれば、高温での耐酸化性や形状安定性に優れたフェライト系ステンレス箔を、高い生産効率の基に製造することが可能となる。
また、本発明のステンレス箔は、自動車、オートバイ、マリンバイク、スノーモービル、船舶などの排ガス浄化装置用触媒担体のみならず、その他の燃焼ガス排気系部材に用いても好適である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明のステンレス箔が、1000℃以上の高温環境下でも優れた耐酸化性と形状安定性を有する理由について説明する。
本発明のステンレス箔は、従来開示されているような表面のAlコーティング層自体が、Al23皮膜を生成するためのAl供給源となって、耐酸化性を高める機構とは大きく異なるものである。
すなわち、Alを含めてステンレス箔の成分組成を最適化するとともに、ステンレス箔の表面に極薄く蒸着されたAlコーティング層を設けることで、ステンレス箔中に含有されるAlが酸化して生成されるAl23酸化皮膜を改質するものである。
より具体的には、後述する成分組成に調整したステンレス箔の両面に、厚さ30nm〜150nmのAlコーティング層を蒸着することで、300℃以上で酸化された際に生成するAl23酸化皮膜の構造に影響を与え、Al23酸化皮膜中の酸素の拡散速度が低減する。その結果、Al23酸化皮膜の成長速度を大幅に低減して鋼中Alが枯渇するまでの寿命を格段に延長させ、これにより、高温での耐酸化性が大幅に向上するのである。また、Al23酸化皮膜中の酸素の拡散速度が低減される結果、鋼中Alが枯渇後に生じる形状変化も抑制できるのである。
ここで、発明者らの検討の結果、ステンレス箔の成分を最適化することにより、厚さ30nm以上のAlコーティング層をステンレス箔の両面に設けることで優れた耐酸化性と形状安定性が得られることが判明した。一方、Alコーティング層の厚さが150nmを超えると、効果が飽和するばかりか、蒸着時間の増加による生産性の低下やコストの上昇を招く。従って、Alコーティング層の厚さは30nm〜150nmとする。好ましくは40nm〜100nmである。
次に、本発明のステンレス箔における成分組成の限定理由について説明する。なお、成分組成における元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
C:0.025%以下
C含有量が0.025%を超えると、ステンレス箔の素材となる熱延鋼板や冷延鋼板の靭性が低下して、ステンレス箔の製造が困難になる。このため、C含有量は0.025%以下、好ましくは0.015%以下とする。さらに好ましくは0.010%以下である。
Si:1.0%以下
Si含有量が1.0%を超えると、ステンレス箔の素材となる熱延鋼板や冷延鋼板の靭性が低下して、ステンレス箔の製造が困難になる。このため、Si含有量は1.0%以下、好ましくは0.50%以下とする。さらに好ましくは0.20%以下である。ただし、Si含有量を0.01%未満にしようとすると精錬が困難になるので、0.01%以上とすることが好ましい。
Mn:1.0%以下
Mn含有量が1.0%を超えると、鋼の耐酸化性が失われる。このため、Mn含有量は1.0%以下、好ましくは0.5%以下とする。さらに好ましくは0.15%以下である。ただし、Mn含有量を0.01%未満にすると精錬が困難になるので、0.01%以上とすることが好ましい。
P:0.050%以下
P含有量が0.050%を超えると、鋼の靭性および延性が低下してステンレス箔の製造が困難になる。このため、P含有量は0.050%以下、好ましくは0.030%以下とする。なお、Pは極力低減することがより好ましい。
S:0.01%以下
S含有量が0.01%を超えると、熱間加工性が低下してステンレス箔の素材となる熱延鋼板の製造が困難になる。このため、S含有量は0.01%以下、好ましくは0.005%以下とする。より好ましくは0.002%以下である。
Cr:15.0〜30.0%
Crは、高温での耐酸化性と形状安定性を確保する上で必要不可欠な元素である。Cr含有量が15.0%未満では、高温での十分な耐酸化性と形状安定性、特に形状安定性を確保できない。一方、Cr含有量が30.0%を超えると、ステンレス箔製造における中間素材のスラブや熱延鋼板の靭性が低下して、その製造が困難になる。このため、Cr含有量は15.0〜30.0%、好ましくは16.0〜26.0%、さらに好ましくは17.0〜22.0%とする。
Al:2.5〜6.5%
Alは、高温での酸化時にAl23を主成分とする酸化皮膜を生成させて耐酸化性と形状安定性を大きく向上させる元素である。Al含有量が2.5%以上でその効果が得られる。一方、Al含有量が6.5%を超えると、冷間加工性が低下してステンレス箔の素材となる冷延鋼板の製造が困難になる。このため、Al含有量は2.5〜6.5%、好ましくは3.0〜6.0%とする。
Ni:0.05〜0.50%
Niは触媒担体成形時のロウ付け性を向上する効果があるため、その含有量は0.05%以上とする。しかし、Niは、オーステナイト組織安定化元素であるため、その含有量が0.50%を超える場合、高温での酸化進行時にAlが枯渇してCrが酸化され始めると、オーステナイト組織を生成させて箔の熱膨張係数を変化させ、これにより、箔の括れや破断などの不具合が発生することになる。このため、Ni含有量は0.05〜0.50%、好ましくは0.10〜0.20%とする。
N:0.025%以下
N含有量が0.025%を超えると、鋼の靱性が低下してステンレス箔の製造が困難になる。このため、N含有量は0.025%以下、好ましくは0.010%以下とする。
REM:0.01〜0.15%
REMとは、Sc、Yおよびランタノイド系元素(La、Ce、Pr、Nd、Smなど原子番号57〜71までの元素)をいう。REMは、Al23酸化皮膜の密着性を改善するとともに、酸化速度を低減する効果がある。このような効果を得るには、REM含有量を合計で0.01%以上とする必要がある。一方、REM含有量が0.15%を超えると、熱間加工性が低下して熱延鋼板の製造が困難になる。よって、REM含有量は0.01〜0.15%、好ましくは0.03〜0.10%とする。なお、REMの添加には、コスト低減のため、これらが分離精製されていない金属(ミッシュメタル等)を用いることもできる。
以上、基本成分について説明したが、本発明のステンレス箔では、Cu:0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%、V:0.01〜0.20%、Zr:0.01〜0.10%、Hf:0.01〜0.10%、B:0.0002〜0.0050%、Ca:0.0002〜0.0100%およびMg:0.0002〜0.0100%のうちから選んだ少なくとも1種を適宜含有させることができる。
Cu:0.01〜0.10%、
Cuは、鋼中に析出し高温強度を向上させる効果がある。この効果は、Cu含有量が0.01%以上で得られる。一方、Cu含有量が0.10%を超えると、鋼の靭性が低下する。このため、Cuを含有させる場合、その含有量は0.01〜0.10%、より好ましくは0.02〜0.05%とする。
Ti:0.01〜0.20%
TiはC、Nを固定して、ステンレス箔の素材となる熱延鋼板や冷延鋼板の靭性を向上させる。この効果は、Ti含有量が0.01%以上で得られる。しかし、Ti含有量が0.20%を超えると、Ti酸化物がAl23酸化皮膜中に多量に混入し、高温での耐酸化性および形状安定性が低下する。よって、Tiを含有させる場合、その含有量は0.01〜0.20%、好ましくは0.01%以上0.10%以下とする。
Nb:0.01〜0.20%
NbはC、Nを固定して、ステンレス箔の素材となる熱延鋼板や冷延鋼板の靭性を向上させる。この効果は、Nb含有量が0.01%以上で得られる。一方、Nb含有量が0.20%を超えると(Fe,Al)NbO4酸化皮膜が生成し、高温での耐酸化性が著しく低下する。また、(Fe,Al)NbO4は熱膨張率が大きいため、箔の変形を助長し、触媒の剥離を引き起こす。よって、Nbを含有させる場合、その含有量は0.01〜0.20%とする。
V:0.01〜0.20%
Vは焼鈍時の粒成長抑制効果を発揮し再結晶粒を微細化させるため、ステンレス箔の素材となる熱延焼鈍鋼板や冷延鋼板の靭性を向上させる。この効果はV含有量が0.01%以上で得られる。しかし、V含有量が0.20%を超えると耐酸化性の低下を招く。従って、Vを含有させる場合、その含有量は0.01〜0.20%とする。好ましくは0.01〜0.05%である。
Zr:0.01〜0.10%
Zrは、Al23酸化皮膜の密着性を改善するとともにその成長速度を低減して耐酸化性を顕著に向上させる。また、ZrはC、Nを固定して熱延鋼板や冷延鋼板の靭性を向上させる。これらの効果は、Zr含有量が0.01%以上で得られる。しかし、Zr含有量が0.10%を超えると、Zr酸化物がAl23酸化皮膜中に多量に混入し、酸化皮膜の成長速度が増加して耐酸化性が低下する。また、ZrはFeなどと金属間化合物をつくり、ステンレス鋼の靭性を低下させる。よって、Zrを含有させる場合、その含有量は0.01〜0.10%とする。好ましくは0.02〜0.05%である。
Hf:0.01〜0.10%
Hfは、Al23酸化皮膜の密着性を改善するとともにその成長速度を低減して耐酸化性を顕著に向上させる。その効果は、Hf含有量が0.01%以上で得られる。しかし、Hf含有量が0.10%を超えると、Hf酸化物がAl23酸化皮膜中に多量に混入し、酸化皮膜の成長速度が増加して耐酸化性が低下する。また、HfはFeなどと金属間化合物をつくり、靭性を低下させる。よって、Hfを含有させる場合、その含有量は0.01〜0.10%とする。好ましくは0.02〜0.05%である。
B:0.0002〜0.0050%
Bは結晶粒界に濃化することで粒界エネルギーを低下させ、ステンレス箔の素材となる熱延鋼板の靭性や冷延焼鈍鋼板の靭性を低下させる一因となる粒界Cr炭窒化物の析出を抑制する。この効果は、B含有量が0.0002%以上で得られる。しかし、B含有量が0.0050%を超えると粒界への濃化が過度に進むと逆にB析出物が生成して靭性を低下させる。従って、Bを含有させる場合、その含有量は0.0002〜0.0050%とする。
Ca:0.0002〜0.0100%、Mg:0.0002〜0.0100%
適量のCaあるいはMgは、Al23酸化皮膜の鋼に対する密着性向上と成長速度低減により耐酸化性を向上させる。この効果は、Ca含有量が0.0002%以上、Mg含有量が0.0002%以上で得られる。さらに好ましくは、Ca含有量は0.0010%以上、Mg含有量は0.0015%以上である。しかし、これら元素を過剰に添加すると靭性の低下や耐酸化性の低下が起こるため、これらの元素を添加する場合には、Ca、Mgのいずれも0.0100%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.0050%以下である。
また、本発明のステンレス箔では、上記した成分以外に、さらに、質量%で、MoおよびWのうちから選んだ少なくとも1種を、以下のようにして含有させることができる。
Mo:0.1〜6.0%およびW:0.1〜6.0%のうちから選んだ少なくとも1種を含有し、その合計量が6.0%以下
MoおよびWは高温強度を増大させ、またステンレス箔を触媒担体として用いたとき、触媒担体の寿命を伸ばすので、必要に応じて鋼に含有させることができる。この効果は、Mo、Wの含有量がそれぞれ0.1%以上で得られる。一方、Mo、Wのそれぞれの含有量あるいは合計の含有量が6.0%を超えると、加工性の低下によりステンレス箔の製造が困難になる。よって、MoおよびWのうちから選んだ少なくとも1種を含有させる場合、Mo、Wの含有量はそれぞれ0.1〜6.0%とし、その合計量を6.0%以下とする。なお、Mo、Wの含有量はそれぞれ0.5〜3.0%とすることが好ましく、またこれらの合計量は3.0%以下とすることが好ましい。
なお、上記以外の成分はFeおよび不可避的不純物である。
次に、本発明のステンレス箔の素材となるステンレス鋼板について説明する。
本発明のステンレス箔の素材となるステンレス鋼板は、上記成分組成を有する板状の鋼板である。その製造方法は特に限定されず、例えば、上記の成分組成を有する鋼を、転炉や電炉で溶製し、VODやAODなどで精錬後、分塊圧延や連続鋳造によりスラブとし、これを1050〜1250℃に温度に加熱し、熱間圧延する方法で製造された熱延鋼板などが挙げられる。
また、本発明のステンレス箔の素材とするステンレス鋼板は、鋼材表面のスケールや汚染物などを除去するために、サンドブラスト処理、スチールグリッドブラスト処理やアルカリ脱脂、酸洗処理などが施された上記熱延鋼板であってもよい。また、本発明のステンレス箔の素材とするステンレス鋼板は、上記熱延鋼板を冷間圧延してなる冷延鋼板であってもよい。
次に、本発明のステンレス箔の好適な製造方法について説明する。
まず、上記したステンレス鋼板、例えば、表面のスケールや汚染物等が除去された熱延鋼板を、必要に応じて熱延板焼鈍し、冷間圧延し、さらに焼鈍と冷間圧延を繰り返して、所望の厚みのステンレス箔とする。
ここで、ステンレス箔の厚みは、特に限定されないが、本発明のステンレス箔を排ガス浄化装置用触媒担体として適用する場合は、排気抵抗を低下するため、その厚みは薄いほど有利である。この点、本発明のステンレス箔は極めて優れた耐酸化性を有しているため、厚みを20μm〜50μmと薄くしても問題なく使用することができる。一方、特に耐振動特性や耐久性に優れることが必要な場合には、ステンレス箔の厚みを50〜200μm程度としてもよい。
そして、所望の厚みとしたステンレス箔に、Alを蒸着させ、このステンレス箔の両面にAlコーティング層を設ける。
ここに、Alコーティング層の蒸着方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法など既知のPVD法が使用できるが、真空蒸着法を用いることが好ましい。なお、蒸着条件は常法に従えばよい。また、蒸着は適当な大きさに切断したステンレス箔をバッチ式の炉で処理してもよいが、生産性を考慮すると鋼帯を連続的に処理できる連続式蒸着装置を用いることが好ましい。メタルハニカムなど製品に成型してから蒸着してもよいが、形状が複雑な場合は表面全体に均一なAl層を付与することが困難な場合もあるため、加工前のステンレス箔に蒸着することが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
50kg小型真空溶解炉によって溶製した表1に示す成分組成の鋼を、1200℃に加熱後、900〜1200℃の温度域で熱間圧延して板厚3.0mmの熱延鋼板とした。なお、Al含有量が適正範囲を超える表1に記載の鋼記号BDは、熱間圧延時に割れが発生し、健全な熱延鋼板が得られなかった。次いで、鋼記号BDを除く熱延鋼板を大気中、900℃、1分間の条件で焼鈍し、酸洗で表面スケールを除去した後、板厚1.0mmまで冷間圧延し冷延鋼板とした。この鋼板を大気中、900℃、1分間の条件で焼鈍し、酸洗で表面スケールを除去した後、クラスターミルによる冷間圧延と焼鈍を複数回繰り返し、箔厚30μmのステンレス箔を得た。
このようにして得られたステンレス箔から100mm×100mmの試験片を採取し、真空蒸着法を用いて両面にAlコーティング層を蒸着した。Alコーティング層の厚みは、基本的に50nmとした。ただし、一部の試験片については、Alコーティング層の厚みの影響を評価するため、20nm〜150nmの間でAlコーティング層の厚みを変化させた。なお、Alコーティング層の厚みは、ステンレス箔の両面で同じとした。かくして得られた試験片を用い、以下の評価を実施した。
(1)高温での耐酸化性
Alを蒸着したステンレス箔の試験片から20mm幅×30mm長さの試験片を3枚採取し、拡散接合あるいはロウ付け接合時の熱処理に相当する1200℃で30分間保持する熱処理を5.3×10-3Pa以下の真空中で行った。熱処理後のステンレス箔を、大気雰囲気中、1100℃の条件で酸化させ、25時間ごとに取り出して酸化増量(加熱前後質量変化を初期の表面積で除した量)を測定した。この測定を200時間まで続けた。なお、この際、試料No.18では酸化皮膜の剥離が見られたが、他の試料では酸化皮膜の剥離は見られなかった。
そして、測定した試料の酸化増量に基づき、以下の基準で耐酸化性を評価した。評価結果を表2に併記する。
◎(優れる):200時間酸化した段階の3試料の平均の酸化増量が4g/m2以下
○(良好) :100時間酸化した段階の3試料の平均の酸化増量が4g/m2以下
×(不良) :100時間酸化した段階の3試料の平均の酸化増量が4g/m2
(2)高温での形状安定性
Alを蒸着したステンレス箔の試験片から採取した100mm幅×50mm長さの箔を、長さ方向に直径5mmの円筒状に丸め、端部をスポット溶接により留めたものを3本作製した。これらの円筒状試験片に対し、拡散接合あるいはロウ付け接合時の熱処理に相当する1200℃で30分間保持する熱処理を5.3×10-3Pa以下の真空中で行った。さらに、大気雰囲気中1100℃で200時間酸化させ、円筒状試験片の長さ変化量(加熱前の円筒長さに対する加熱後の円筒長さの増分の割合)を測定し、円筒状試験片の平均の長さ変化量を求めた。
そして、この平均の長さ変化量が±5%以下の場合を○(良好)、±5%超えの場合を×(不良)として、形状安定性を評価した。評価結果を表2に併記する。
Figure 2016102231
Figure 2016102231
表2より、発明例であるNo.1〜15ではいずれも、高温での耐酸化性および形状安定性に優れていることがわかる。また、発明例であるNo.1〜15ではいずれも、酸化皮膜の密着性も十分なものであった。
一方、比較例であるNo.16〜20は、高温での耐酸化性および形状安定性のうち、少なくとも1つの特性に劣っていた。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.025%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.050%以下、S:0.01%以下、Cr:15.0〜30.0%、Al:2.5〜6.5%、Ni:0.05〜0.50%、N:0.025%以下およびREM:0.01〜0.15%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    両面にそれぞれ30nm〜150nm厚のAlコーティング層を有することを特徴とするステンレス箔。
  2. 前記ステンレス箔が、さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%、V:0.01〜0.20%、Zr:0.01〜0.10%、Hf:0.01〜0.10%、B:0.0002〜0.0050%、Ca:0.0002〜0.0100%およびMg:0.0002〜0.0100%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載のステンレス箔。
  3. 前記ステンレス箔が、さらに、質量%で、Mo:0.1〜6.0%およびW:0.1〜6.0%のうちから選んだ少なくとも1種を含有し、その合計量が6.0%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のステンレス箔。
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