JP2016102035A - 窒化ケイ素セラミックスの製造方法、窒化ケイ素セラミックス - Google Patents

窒化ケイ素セラミックスの製造方法、窒化ケイ素セラミックス Download PDF

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【課題】従来よりも安価に、緻密な窒化ケイ素セラミックスを製造することができる窒化ケイ素セラミックスの製造方法、および、その製造方法によって製造された窒化ケイ素セラミックスを提供する。【解決手段】本発明の窒化ケイ素セラミックスの製造方法は、ケイ素粒子の表面を、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆して、前記希土類酸化物粒子、前記典型金属酸化物粒子および前記遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種による前記ケイ素粒子の被覆率が1%以上の複合粒子を形成する第1の工程と、前記複合粒子からなる成形体を成形する第2の工程と、前記成形体を窒素雰囲気中で焼成し、前記成形体を窒化する第3の工程と、窒化した前記成形体を緻密化する第4の工程と、を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、窒化ケイ素セラミックスの製造方法、および、その製造方法によって製造された窒化ケイ素セラミックスに関する。
窒化ケイ素(Si)セラミックスは、熱伝導性と機械的強度に優れた材料であり、各種構造部材に応用されている。
窒化ケイ素セラミックスの製造方法としては、例えば、次のような方法が知られている。窒化ケイ素粉末に、焼結助剤として、酸化イットリウムと酸化アルミニウムを添加した混練体を調製する。次いで、その混練体を用いて、加圧成形により、成形体を作製する。次いで、その成形体を焼結して緻密化し、窒化ケイ素セラミックスを得る(例えば、特許文献1参照)。
また、窒化ケイ素セラミックスの製造方法としては、次のような方法も知られている。90質量%以上のβ窒化ケイ素粒子と、α窒化ケイ素粒子と、焼結助剤とからなる混練体を調製する。次いで、その混練体を用いて、押出成形により、柱状のβ窒化ケイ素粒子を長手方向に配向させた成形体を作製する。次いで、その成形体を焼結して緻密化し、窒化ケイ素セラミックスを得る(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−2067号公報 特開2000−185986号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2の方法は、高価な窒化ケイ素粉末、β窒化ケイ素粒子、α窒化ケイ素粒子を用いるため、製造コストが高くなり、窒化ケイ素セラミックスの実用化を難しくしているという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、従来よりも安価に、緻密な窒化ケイ素セラミックスを製造することができる窒化ケイ素セラミックスの製造方法、および、その製造方法によって製造された窒化ケイ素セラミックスを提供することを目的とする。
本発明の窒化ケイ素セラミックスの製造方法は、ケイ素粒子の表面を、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆して、前記希土類酸化物粒子、前記典型金属酸化物粒子および前記遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種による前記ケイ素粒子の被覆率が1%以上の複合粒子を形成する第1の工程と、前記複合粒子からなる成形体を成形する第2の工程と、前記成形体を窒素雰囲気中で焼成し、前記成形体を窒化する第3の工程と、窒化した前記成形体を緻密化する第4の工程と、を有することを特徴とする。
本発明の窒化ケイ素セラミックスの製造方法において、前記窒素雰囲気中における前記成形体の焼成温度は1300℃〜1450℃、焼成時間は1時間〜10時間、前記窒素雰囲気の圧力は0.1MPa〜1MPaであることが好ましい。
本発明の窒化ケイ素セラミックスは、本発明の窒化ケイ素セラミックスの製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、従来よりも安価に、緻密な窒化ケイ素セラミックスを製造することができる。
実施例1〜3および比較例において、窒化後の成形体の構成相を、X線回折により同定した結果を示す図である。 実施例1の窒化ケイ素セラミックスについて、走査型電子顕微鏡により微構造観察を行った結果を示す走査型電子顕微鏡像である。 実施例2の窒化ケイ素セラミックスについて、走査型電子顕微鏡により微構造観察を行った結果を示す走査型電子顕微鏡像である。 実施例3の窒化ケイ素セラミックスについて、走査型電子顕微鏡により微構造観察を行った結果を示す走査型電子顕微鏡像である。 比較例の窒化ケイ素セラミックスについて、走査型電子顕微鏡により微構造観察を行った結果を示す走査型電子顕微鏡像である。
本発明の窒化ケイ素セラミックスの製造方法、および、その製造方法によって製造された窒化ケイ素セラミックスの実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「窒化ケイ素セラミックスの製造方法」
本実施形態の窒化ケイ素セラミックスの製造方法は、ケイ素粒子の表面を、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆して、前記希土類酸化物粒子、前記典型金属酸化物粒子および前記遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種による前記ケイ素粒子の被覆率が1%以上の複合粒子を形成する第1の工程と、前記複合粒子からなる成形体を成形する第2の工程と、前記成形体を窒素雰囲気中で焼成し、前記成形体を窒化する第3の工程と、窒化した前記成形体を緻密化する第4の工程と、を有する。
第1の工程において、ケイ素粒子の表面を、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆する方法としては、例えば、乾式機械的処理による方法、静電吸着複合法、カップリング剤等の表面処理剤を用いた表面処理法等が挙げられる。
乾式機械的処理による方法は、粒径の大きなケイ素粒子と、粒径の小さな希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種との混合物に、機械的な剪断・衝撃作用を加えることにより、ケイ素粒子の表面が、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆された複合粒子を形成する。
乾式機械的処理による複合粒子の形成では、粒子間の衝突、粒子の解砕および分散、粒子の付着が生じる。
粒子の解砕および分散では、原料の粒子(ケイ素粒子、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子、遷移金属酸化物粒子)が、一次粒子が凝集した二次粒子(凝集体)を形成している場合、二次粒子が解砕されて一次粒子となる。そして、解砕された粒子は、混合物の全体に均一に分散する。なお、粒子の解砕および分散は、粒子間の衝突によって生じる。
解砕された粒子のうち、粒径の小さな希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種が、粒径の大きなケイ素粒子の表面に付着し、ケイ素粒子の表面が、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆される。
乾式機械的処理に用いられる装置としては、例えば、機械的粒子複合化装置が挙げられる。機械的粒子複合化装置としては、例えば、粉体(粒子)を収容するチャンバー(容器)と、ブレードを有し、チャンバー内で回転するローターとを備えた装置が用いられる。この機械的粒子複合化装置では、チャンバー内でローターが高速で回転することにより、ブレードとチャンバーの内面との間に挟まれた粒子に、剪断・衝撃作用が加えられる。
静電吸着複合法は、ケイ素粒子と、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種とに、高分子等の電解質等を付着させて、それぞれの粒子の表面電荷を調整し、ケイ素粒子と、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種とが異なる電荷を帯びるようにすることで、ケイ素粒子の表面に、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種を静電的に吸着させることにより、ケイ素粒子の表面が、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆された複合粒子を調整する方法である。
カップリング剤等の表面処理剤を用いた表面処理法は、ケイ素粒子の表面と、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種との表面を、シランカップリング剤等によって表面処理し、それぞれの粒子の表面における接着性を向上させることで、ケイ素粒子の表面に、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種を付着(接着)させることにより、ケイ素粒子の表面が、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆された複合粒子を調整する方法である。
ケイ素粒子の平均一次粒子径は、0.1μm〜20μmであることが好ましく、0.2μm〜10μmであることがより好ましい。
ケイ素粒子の平均一次粒子径が0.1μm未満では、ケイ素粒子の表面積が大きいため、ケイ素粒子を被覆するために必要な、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種が大量になるか、あるいは、ケイ素粒子の平均一次粒子径と、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種の平均一次粒子径とが同程度になることから、ケイ素粒子の表面を、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で均一に被覆できなくなることがある。一方、ケイ素粒子の平均一次粒子径が20μmを超えると、ケイ素粒子の内部まで窒化が進行せず、窒化した成形体を緻密化する際に、未反応のケイ素粒子が欠陥となって、窒化ケイ素セラミックスの強度の低下を引き起こすことがある。
希土類酸化物粒子としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも1種の希土類元素の酸化物の粒子が用いられる。すなわち、希土類酸化物粒子としては、酸化スカンジウム(Sc)、酸化イットリウム(Y)、酸化ランタン(La)、酸化セリウム(CeO)、十一酸化六プラセオジム(Pr11)、酸化ネオジム(Nd)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ユウロピウム(Eu)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化テルビウム(Tb)、酸化ジスプロジウム(Dy)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化エルビウム(Er)、酸化ツリウム(Tm)、酸化イッテルビウム(Yb)および酸化ルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも1種の希土類酸化物の粒子が用いられる。
希土類酸化物粒子の平均一次粒子径は、0.005μm〜1μmであることが好ましく、0.01μm〜0.2μmであることがより好ましい。
希土類酸化物粒子の平均一次粒子径が0.005μm未満では、希土類酸化物粒子が強く凝集するため、ケイ素粒子の表面を希土類酸化物粒子によって均一に被覆することができないことがある。一方、希土類酸化物粒子の平均一次粒子径が1μmを超えると、ケイ素粒子の表面に存在する希土類酸化物粒子の数が少ないため、ケイ素粒子を均一に窒化できないか、あるいは、窒化した成形体の緻密化に必要な液相が均一にできないため、その成形体を緻密化する際に、気孔が残存して、窒化ケイ素セラミックスの強度の低下を引き起こすことがある。
典型金属酸化物粒子としては、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)およびマグネシウム(Mg)からなる群から選択される少なくとも1種の典型金属の酸化物の粒子が用いられる。すなわち、典型金属酸化物粒子としては、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)および酸化マグネシウム(MgO)からなる群から選択される少なくとも1種の典型金属酸化物の粒子が用いられる。
典型金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、0.005μm〜1μmであることが好ましく、0.01μm〜0.2μmであることがより好ましい。
典型金属酸化物粒子の平均一次粒子径が0.005μm未満では、典型金属酸化物粒子が強く凝集するため、ケイ素粒子の表面を典型金属酸化物粒子によって均一に被覆できないことがある。一方、典型金属酸化物粒子の平均一次粒子径が1μmを超えると、窒化した成形体の緻密化に必要な液相が均一にできないため、その成形体を緻密化する際に、気孔が残存して、窒化ケイ素セラミックスの強度の低下を引き起こすことがある。
遷移金属酸化物粒子としては、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)およびタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属の酸化物の粒子が用いられる。すなわち、遷移金属酸化物粒子としては、酸化チタン(TiO)、酸化バナジウム(V)、酸化クロム(Cr)、酸化マンガン(MnO、Mn、Mn)、酸化鉄(FeO、Fe、Fe)、酸化コバルト(CoO、Co、Co)、酸化ニッケル(NiO、Ni、Ni)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(NbO、NbO、Nb、Nb)、酸化モリブデン(MoO、Mo、MoO、Mo、MoO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(TaO、Ta、TaO、Ta)および酸化タングステン(WO、W、WO、W、WO)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属酸化物の粒子が用いられる。
遷移金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、0.005μm〜1μmであることが好ましく、0.01μm〜0.2μmであることがより好ましい。
遷移金属酸化物粒子の平均一次粒子径が0.005μm未満では、遷移金属酸化物粒子が強く凝集するため、ケイ素粒子の表面を遷移金属酸化物粒子によって均一に被覆できないことがある。一方、遷移金属酸化物粒子の平均一次粒子径が1μmを超えると、窒化した成形体の緻密化に必要な液相が均一にできないため、その成形体を緻密化する際に、気孔が残存して、窒化ケイ素セラミックスの強度の低下を引き起こすことがある。
また、第1の工程では、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種による、ケイ素粒子の被覆率が1%以上の複合粒子を形成する。
ケイ素粒子の被覆率は、2%以上が好ましく、4%以上がより好ましい。
希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種による、ケイ素粒子の被覆率が1%未満では、前記の複合粒子からなる成形体を成形した場合、ケイ素粒子同士が接触する領域が存在するため、その成形体を窒化する際に、ケイ素粒子間で熱が伝達し、ケイ素粒子の連鎖的窒化反応が生じて、ケイ素粒子が溶融する。その結果、最終的に得られる窒化ケイ素セラミックスの機械的強度が低下する。
本実施形態において、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種による、ケイ素粒子の被覆率(x)は、下記式(1)によって定義される。
上記式(1)において、Sは被覆率が0(%)の場合の複合粒子の比表面積、Sは被覆率がx(%)の場合の複合粒子の比表面積、fは複合粒子におけるケイ素粒子の含有率(質量%)、Sはケイ素粒子の比表面積を表わす。
複合粒子の比表面積Sは、原料粉(ケイ素粒子、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む)の組成と、ケイ素粒子、並びに、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種の比表面積とから算出することができる。
前記の複合粒子における、希土類酸化物粒子と典型金属酸化物粒子の比率は、質量比で、1:0.1〜1:2であることが好ましく、1:0.2〜1:1であることがより好ましい。
希土類酸化物粒子と典型金属酸化物粒子の比率が上記の範囲内であれば、低融点で窒化ケイ素に対するぬれ性が良好な液相が生成し、緻密な焼結体が得られる。
ケイ素粒子、希土類酸化物粒子および典型金属酸化物粒子から選択される少なくとも1種を含む原料粉において、それぞれの成分の配合割合は、ケイ素粒子:希土類酸化物粒子および典型金属酸化物粒子から選択される少なくとも1種=70質量%〜98質量%:30質量%〜2質量%であることが好ましく、80量%〜94質量%:20質量%〜6質量%であることがより好ましい。
ケイ素粒子と、希土類酸化物粒子および典型金属酸化物粒子から選択される少なくとも1種との配合割合を上記の範囲内とすることにより、希土類酸化物粒子および典型金属酸化物粒子から選択される少なくとも1種による、ケイ素粒子の被覆率が1%以上の複合粒子を形成することができる。
次に、複合粒子に、パラフィンとフタル酸ジオクチル(DOP)を溶媒に溶解して調製した溶液を添加し、この溶液と複合粒子を混合する。
溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、キシレン、トルエン、エタノール等の有機溶媒が用いられる。
この溶液における、パラフィンおよびフタル酸ジオクチルの原料粉に対する割合は、1質量%〜20質量%であることが好ましく、2質量%〜10質量%であることがより好ましい。
また、ケイ素粒子、並びに、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種の混合粉末と、溶液との配合割合は、混合粉末:溶液=10体積%〜70体積%:90体積%〜30体積%であることが好ましい。
混合粉末と溶液との配合割合を上記の範囲内とすることにより、混合粉末を溶液に分散することができる。
次に、混合粉末と溶液の混合物を乾燥して、溶媒を除去した後、パラフィンおよびフタル酸ジオクチルが付着した複合粒子を造粒し、造粒粉体を得る。
ここで得られる造粒粉体の粒子径は、10μm〜500μmであることが好ましく、50μm〜300μmであることがより好ましい。
次に、一軸加圧成形またはシップ(CIP)成形により、上記の造粒粉体(複合粒子)からなる成形体を成形する(第2の工程)。
次に、上記の成形体を、空気中で、250℃〜600℃で、3時間〜24時間加熱することにより、成形体を脱脂する。
この工程により、成形体に含まれるパラフィンおよびフタル酸ジオクチルを除去する。
次に、第2の工程で成形した成形体を型から離型し、成形体を窒素雰囲気中で焼成し、成形体を窒化する(第3の工程)。
第3の工程において、窒素雰囲気中における成形体の焼成温度は1300℃〜1450℃であることが好ましい。
また、成形体を焼成する時間は、1時間〜10時間であることが好ましい。
さらに、窒素雰囲気の圧力は、0.1MPa〜1MPaであることが好ましい。
第3の工程により、成形体を構成する複合粒子に含まれるケイ素粒子が窒化して、窒化ケイ素粒子が生成する。
次に、窒素雰囲気下、窒化した成形体をガス圧焼結法により焼結し、緻密化する(第4の工程)。
第4の工程において、成形体の焼結温度は、1600℃〜1900℃であることが好ましい。
また、成形体を焼結する時間は、1時間〜12時間であることが好ましい。
さらに、窒素雰囲気の圧力は、0.1MPa〜1MPaであることが好ましい。
第4の工程により、単結晶の窒化ケイ素粒子の粒成長を促すことができる。
以上の工程により、窒化ケイ素セラミックスが得られる。
本実施形態の窒化ケイ素セラミックスの製造方法によれば、柱状の窒化ケイ素粒子が発達し、かつ相対密度が高い窒化ケイ素セラミックスを製造することができる。また、高価な窒化ケイ素粉末、β窒化ケイ素粒子、α窒化ケイ素粒子を用いる必要がないため、従来よりも安価に、緻密化した(相対密度が高い)窒化ケイ素セラミックスを製造することができる。
「窒化ケイ素セラミックス」
本実施形態の窒化ケイ素セラミックスは、本実施形態の窒化ケイ素セラミックスの製造方法によって製造されたものである。
本実施形態の窒化ケイ素セラミックスは、例えば、相対密度が高い構造部材であって、柱状の窒化ケイ素粒子を含む構造を有するものである。
また、上述の本実施形態の窒化ケイ素セラミックスの製造方法において、原料の組成から求めた計算密度を真密度としたとき、本実施形態の窒化ケイ素セラミックスの相対密度は、97.5%以上である。すなわち、本実施形態の窒化ケイ素セラミックスは緻密な構造をなしている。
焼結体の相対密度は、アルキメデス法(JIS Z 8807)により測定する。測定溶媒としては、蒸留水を用いる。
また、本実施形態の窒化ケイ素セラミックスは、相対密度が高く、柱状の窒化ケイ素粒子が発達しているので、機械的強度が高くなっている。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
[窒化ケイ素セラミックスの作製]
ケイ素粒子(平均粒子径6μm、山石金属社製)と、酸化イットリウム粒子(商品名:BB、信越化学工業社製)と、酸化アルミニウム粒子(商品名:AKP−30、住友化学社製)とを、質量比で、ケイ素粒子:酸化イットリウム粒子:酸化アルミニウム粒子=87.4:8.3:4.4となるように秤量した。
ケイ素粒子については、あらかじめボールミルにより粉砕した。粉砕後のケイ素粒子の比表面積は、9.4m/gであった。
次いで、ケイ素粒子、酸化イットリウム粒子および酸化アルミニウム粒子を含む原料粉を、機械的粒子複合化装置(商品名:ノビルタNOB−130、ホソカワミクロン社製)を用いて乾式混合した。このとき、機械的粒子複合化装置の出力を3kWとした。
次いで、複合粒子に、パラフィンとフタル酸ジオクチル(DOP)をシクロヘキサンに溶解して調製したシクロヘキサン溶液を添加し、このシクロヘキサン溶液と複合粒子を混合した。
次いで、複合粒子と溶液の混合物を乾燥して、溶媒を除去した後、パラフィンおよびフタル酸ジオクチルが付着した複合粒子を、ナイロン篩を用いて篩に掛けて造粒し、造粒粉体を得た。
次いで、一軸加圧成形により、上記の造粒粉体(複合粒子)からなり、直径15mm、厚さ8mmの円柱状の成形体を成形した。
次いで、上記の成形体を、空気中で、500℃で、3時間加熱することにより、成形体を脱脂した。
次いで、成形体を型から離型し、窒素雰囲気下、その成形体をガス圧焼結法により焼結し、成形体を窒化した。ガス圧焼結法による成形体の焼結温度を1375℃、成形体を焼結する時間を2時間、窒素雰囲気の圧力を0.15MPaとした。
次いで、窒素雰囲気下、窒化した成形体を焼結し、緻密化し、実施例1の窒化ケイ素セラミックスを得た。成形体の焼結温度を1800℃、成形体を焼結する時間を2時間、窒素雰囲気の圧力を0.9MPaとした。
「実施例2」
[窒化ケイ素セラミックスの作製]
機械的粒子複合化装置の出力を4kWとした以外は、実施例1と同様にして、複合粒子を作製した。
また、その複合粒子を用いて、実施例1と同様にして、実施例2の窒化ケイ素セラミックスを得た。
「実施例3」
[窒化ケイ素セラミックスの作製]
機械的粒子複合化装置の出力を5kWとした以外は、実施例1と同様にして、複合粒子を作製した。
また、その複合粒子を用いて、実施例1と同様にして、実施例3の窒化ケイ素セラミックスを得た。
「比較例」
[窒化ケイ素セラミックスの作製]
機械的粒子複合化装置を用いる替わりに、ボールミルを用いて、ケイ素粒子、酸化イットリウム粒子および酸化アルミニウム粒子を含む原料粉を乾式混合した以外は、実施例1と同様にして、複合粒子を作製した。
また、その複合粒子を用いて、実施例1と同様にして、比較例の窒化ケイ素セラミックスを得た。
[評価]
実施例1〜3の複合粒子および窒化ケイ素セラミックス、並びに、比較例の複合粒子および窒化ケイ素セラミックスについて、以下の評価を行った。
(1)複合粒子の被覆率の測定
ケイ素粒子および複合粒子の比表面積を、自動比表面積/細孔分布測定装置(商品名:BELSORP−miniII、日本ベル株式会社製)測定し、上記式(1)に従って、複合粒子の被覆率を算出した。結果を、表1に示す。ただし、Sは13.5m/g、Sは9.4m/g、fは87.4質量%である。
(2)構成相の同定
X線回折(X−ray diffraction、XRD)装置(商品名:Multi Flex、RIGAKU社製)を用い、窒化後の成形体の構成相を同定した。結果を図1に示す。
(3)相対密度の測定
アルキメデス法により、窒化ケイ素セラミックスの相対密度を測定した。結果を、表1に示す。
(4)微構造観察
走査型電子顕微鏡(商品名:JSM−7001F、日本電子社製)を用い、窒化ケイ素セラミックスの微構造観察を行った。結果を図2(実施例1)、図3(実施例2)、図4(実施例3)および図5(比較例)に示す。
表1の結果から、実施例1〜3の窒化ケイ素セラミックスは、比較例の窒化ケイ素セラミックスよりも相対密度が高く、より緻密化していることが分かった。
また、図1の結果から、実施例1〜3の複合粒子では、ケイ素のピークが見られなくなり、ケイ素粒子と、酸化イットリウム粒子および酸化アルミニウム粒子とが充分に複合化していることが確認された。一方、比較例の複合粒子では、ケイ素のピークが見られるため、ケイ素粒子と、酸化イットリウム粒子および酸化アルミニウム粒子とが充分に複合化していないことが確認された。
また、図2〜図4の結果から、実施例1〜3の窒化ケイ素セラミックスは、表面に存在する気孔(細孔)が少なく、より緻密化していることが分かった。また、機械的粒子複合化装置の出力を上げていくと、緻密化が進行する(相対密度が高くなる)ことが分かった。一方、図5の結果から、比較例の窒化ケイ素セラミックスは、表面に存在する気孔(細孔)が多く、緻密化が不充分であることが分かった。
本発明の窒化ケイ素セラミックスの製造方法は、高価な窒化ケイ素粉末、β窒化ケイ素粒子、α窒化ケイ素粒子を用いることなく、従来よりも安価に、緻密な窒化ケイ素セラミックスを製造することができる。したがって、本発明の窒化ケイ素セラミックスの製造方法は、製造コストを低減することができ、その工業的価値は大きい。

Claims (3)

  1. ケイ素粒子の表面を、希土類酸化物粒子、典型金属酸化物粒子および遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種で被覆して、前記希土類酸化物粒子、前記典型金属酸化物粒子および前記遷移金属酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも1種による前記ケイ素粒子の被覆率が1%以上の複合粒子を形成する第1の工程と、
    前記複合粒子からなる成形体を成形する第2の工程と、
    前記成形体を窒素雰囲気中で焼成し、前記成形体を窒化する第3の工程と、
    窒化した前記成形体を緻密化する第4の工程と、を有することを特徴とする窒化ケイ素セラミックスの製造方法。
  2. 前記窒素雰囲気中における前記成形体の焼成温度は1300℃〜1450℃、焼成時間は1時間〜10時間、前記窒素雰囲気の圧力は0.1MPa〜1MPaであることを特徴とする請求項1に記載の窒化ケイ素セラミックスの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の窒化ケイ素セラミックスの製造方法によって製造されたことを特徴とする窒化ケイ素セラミックス。
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WO2020052453A1 (zh) * 2018-09-11 2020-03-19 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种用于手机背板的氮化硅陶瓷材料及其制备方法

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