JP2016101800A - 車両用電源制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャパシタが搭載された車両を廃車する際に、廃車用に専用の部品を設けることなく、キャパシタに残る電荷を消費させる。【解決手段】電気負荷6は、降圧回路5が出力する第1電圧で作動する第1電気負荷である。受付部211は、車両を廃車する際に作業者によって入力される廃車コマンドを受け付ける。B−ISG2、PTCヒータ18、及びヒートキャタリスト19は、第1電圧より高い第2電圧で作動される第2電気負荷である。制御部212は、受付部211により廃車コマンドが受け付けられた場合、車両を廃電モードに設定し、第2電気負荷を作動させる。【選択図】図2

Description

本発明は車両の電源を制御する技術に関するものであり、特に車両の廃車時におけるキャパシタの制御に関するものである。
近年、鉛バッテリ等の蓄電池に加えて急速な充放電が可能な電気二重層キャパシタ(以下、キャパシタと記載する。)が搭載された車両が知られている。キャパシタを設けることで、鉛バッテリでは困難であった、減速時におけるエンジンからの回生電力を蓄積することが可能になる。
キャパシタが搭載された車両をスクラップをする際、キャパシタに電荷が残っていると火花が飛び、火災などの発生が懸念される。そのため、廃車時にはキャパシタの電荷を消費させる必要がある。例えば、特許文献1では、コンデンサを電気機器から取り外す操作に起因して、コンデンサの一対の電極を電気的に接続し、コンデンサに残っている電荷を放電させる放電用導電体を備えたコンデンサ用安全装置が開示されている。
特開2005−64036号公報
しかしながら、特許文献1では、放電用導電体といった専用の部品を廃棄用にわざわざ設ける必要があるため、部品点数が増大すると共にコストが嵩むという課題がある。また、キャパシタが搭載された車両においては、キャパシタに廃電抵抗を設け、廃車時にキャパシタの電荷を廃電抵抗を用いて消費させる手法が考えられる。しかしながら、設置スペースやコストの関係上、キャパシタの電荷を短時間で消費できるような大きな抵抗値を持つ廃電抵抗を車両に搭載することは困難である。したがって、この手法では、キャパシタの電荷を消費するのに長時間かかるという課題がある。
本発明の目的は、キャパシタが搭載された車両を廃車する際に、廃車用に専用の部品を設けることなく、キャパシタに残る電荷を消費できる技術を提供することである。
本発明の一態様による車両用電源制御装置は、車両の電源を制御する車両用電源制御装置であって、
キャパシタと、
前記キャパシタの電力を用いて作動し、前記車両が備える既存の部品で構成される電気負荷と、
廃車コマンドの入力を受け付ける受付部と、
前記受付部により前記廃車コマンドが受け付けられた場合、前記電気負荷を作動させ、前記電気負荷に前記キャパシタの電荷を消費させる制御部とを備える。
この構成によれば、廃車コマンドが入力されると、電気負荷が作動され、キャパシタの電荷が消費される。ここで、電気負荷は、車両において特定の用途に使用される、車両が備える既存の部品である。そのため、キャパシタの電荷を消費させるために専用の部品を設けることなく、既存の車両の部品を用いてキャパシタの電荷を消費することができる。
また、上記態様において、前記鉛バッテリの公称電圧である第1電圧で作動される第1電気負荷と、
前記キャパシタの電力を前記第1電圧に降圧し、前記第1電気負荷に供給する降圧回路とを更に備え、
前記電気負荷は、前記第1電圧よりも高い第2電圧で作動される第2電気負荷であってもよい。
この態様によれば、鉛バッテリの公称電圧よりも高い第2電圧で作動される第2電気負荷を用いてキャパシタの電荷が消費される。そのため、キャパシタの電荷を速やかに消費できる。その結果、キャパシタの電荷を廃電するための廃電作業に要する時間を短縮できる。
また、上記態様において、前記受付部は、イグニッションスイッチがONした後、前記車両が備える既存の部品に対する所定の操作を検知した場合、前記廃車コマンドが入力されたと判定してもよい。
この態様によれば、既存の車両の部品を用いた所定の操作を行うことで廃車コマンドが入力される。そのため、廃車コマンドを入力するための専用の入力手段を車両に搭載する必要がなくなり、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
また、上記態様において、前記操作は複数あり、
前記第2電気負荷は複数あり、
前記制御部は、複数の操作に応じて異なる1又は複数の第2電気負荷を作動させてもよい。
この態様によれば、ある第2電気負荷を作動させるための操作を入力した場合において、その第2電気負荷が故障していたとしても、別の第2電気負荷を作動させるための操作を入力することで、別の第2電気負荷を作動させることができる。そのため、ある第2電気負荷が故障しているためにキャパシタの電荷が消費されなくなる事態を回避できる。
また、上記態様において、前記制御部は、前記複数の第2電気負荷を同時に作動させてもよい。
この態様によれば、複数の電気負荷が同時に作動されるので、キャパシタの電荷を速やかに消費できる。
また、上記態様において、前記複数の第2電気負荷のそれぞれについての故障の有無を管理する故障管理部を更に備え、
前記制御部は、故障している第2電気負荷以外の第2電気負荷を作動させてもよい。
この場合、故障している第2電気負荷以外の第2電気負荷を用いてキャパシタの電荷が消費されるため、キャパシタの電荷が消費されない事態を回避できる。
また、上記態様において、前記キャパシタの電荷を廃電する廃電抵抗を更に備え、
前記制御部は、前記第2電気負荷の作動に加えて、前記廃電抵抗に前記キャパシタの電荷を消費させてもよい。
この場合、第2電気負荷に加えて廃電抵抗を用いてキャパシタの電荷が消費されるため、廃電作業に要する時間を更に短縮できる。
本発明によれば、キャパシタの電荷を消費させるために専用の部品を設けることなく、既存の車両の部品を用いてキャパシタの電荷を消費することができる。
本発明の実施の形態にかかる車両用電源制御装置が搭載された車両の電気的構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態の車両用電源制御装置の制御系統を示すブロック図である。 本発明の実施の形態における車両用電源制御装置の動作を示すフローチャートである。
(1)車両の全体構成
図1は、本発明の実施の形態にかかる車両用電源制御装置が搭載された車両の電気的構成を示す回路図である。実施の形態1では、車両として、例えば、4輪自動車が採用できる。本図に示される車両は、エンジン1、ベルト駆動式スタータ(以下、B−ISG2と記述する。)、バッテリ3、キャパシタ4、降圧回路5、電気負荷6、ギア駆動式スタータ7(Sta)、トランスミッション8、デファレンシャル9、車輪10、車輪軸11、協調ブレーキ12、バイパスリレー13、電圧センサ14、電流センサ15、キャパシタリレー16、電圧センサ17、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ18、ヒートキャタリスト19、廃電抵抗R、及びスイッチング素子41を含む。
B−ISG2とキャパシタ4とは線路L1を介して電気的に接続されている。降圧回路5は、キャパシタ4との接続点K1と電気負荷6とを接続する線路L2上に設けられている。バイパスリレー13は、降圧回路5と並列接続された線路L3上に設けられている。バッテリ3は、降圧回路5の出力側の接続点K2を介して電気負荷6及びギア駆動式スタータ7と電気的に接続され、負極が接地されている。接続点K2には電圧センサ14が電気的に接続されている。バッテリ3の負極には電流センサ15が電気的に接続されている。線路L1上には、キャパシタリレー16が設けられている。キャパシタリレー16とB−ISG2との間の線路L1上には、PTCヒータ18及びヒートキャタリスト19が設けられている。
エンジン1は、車両のエンジンルームに設けられ、車両を走行させる。エンジン1としては、例えば、レシプロエンジン、或いはディーゼルエンジンが採用できる。
B−ISG(ベルト駆動式Integrated Starter Generator)2は、キャパシタ4及びバッテリ3の少なくともいずれか一方からの電力を用いてアイドルストップ(以下、「IS」と記述する。)状態のエンジン1を再始動させると共に、車両の少なくとも減速時にはエンジン1から動力を得て発電し、キャパシタ4、バッテリ3、及び電気負荷6に電力を供給する。ここで、B−ISG2は、エンジン1を再始動させるに際し、主にキャパシタ4からの電力を用い、キャパシタ4の残容量が低い場合はバッテリ3からの電力を用いる。
具体的には、B−ISG2は、モータジェネレータ21と、モータジェネレータ21のロータシャフトに結合されたロータプーリ22と、エンジン1のクランクシャフトに結合されたクランクプーリ23と、ロータプーリ22及びクランクプーリ23に巻かれたベルト24とを備える。ここで、B−ISG2は、エンジン1の再始動時にはクランクシャフトを介してエンジン1に動力を供給する。
B−ISG2は、エンジン1のクランクシャフトと連動して回転するモータジェネレータ21が備えるロータを磁界中で回転させることで発電を行うものであり、磁界を発生するフィールドコイルへの電流の増減に応じて発電電流を調節する。また、B−ISG2には、発電された交流電力を直流電力に変換する整流器(図示省略)が内蔵されている。つまり、B−ISG2で発電された電力は、この整流器で直流に変換された後に、PTCヒータ18、ヒートキャタリスト19、キャパシタ4、バッテリ3、及び電気負荷6に送電される。
バッテリ3は、例えば、鉛バッテリであり、B−ISG2と電気的に接続され、B−ISG2で発電された電力を蓄える。鉛バッテリは化学反応によって電気エネルギーを蓄えるものであるため、急速な充放電には不向きである。しかし、鉛蓄バッテリは、充電容量を確保し易いため、比較的多量の電力を蓄えることができるという特性を持つ。
キャパシタ4は、例えば、電気二重層キャパシタであり、B−ISG2と電気的に接続され、B−ISG2で発電された電力を蓄える。電気二重層キャパシタは、鉛蓄バッテリとは異なり、電解質イオンの物理的な吸着によって電気を蓄えるものである。このため、電気二重層キャパシタは比較的急速な充放電が可能で、内部抵抗も小さいという特性を持つ。
降圧回路5は、例えば、DCDCコンバータで構成され、B−ISG2及びキャパシタ4から供給される電圧を所定の第1電圧に降圧して、電気負荷6に供給する。第1電圧としては、バッテリ3の公称電圧(例えば12V)が採用できる。
電気負荷6は、降圧回路5が出力する第1電圧で作動する1以上の電装品で構成される。本実施の形態では、例えば、EPAS(電動パワーステアリング機構)、エアコン、オーディオ、及びグローパスが電気負荷6として採用されるが、これらは一例である。
ギア駆動式スタータ7は、エンジン1の始動時に駆動されてエンジン1をクランキングする。ここで、ギア駆動式スタータ7は、スターターモータ71及びピニオン72等を含み、ピニオン72がスターターモータ71の動力をエンジン1に設けられたリングギア111に伝えることで、エンジン1をクランキングする。本実施の形態では、ギア駆動式スタータ7は、主にイグニッションキーのONによるエンジン1の始動時にエンジン1をクランキングする。
トランスミッション8は、例えば、マニュアルトランスミッション、オートマチックトランスミッション、或いはCVT等で構成され、エンジン1の回転数を走行に適した回転数に変速する。デファレンシャル9は、カーブによって生じる内側車輪の抵抗分だけ外側車輪の駆動力を自動的に増やし、車両がスムーズにカーブを曲がれるようにする。車輪軸11はエンジン1の動力をトランスミッション8及びデファレンシャル9を介して車輪10に伝える。協調ブレーキ12は、フットブレーキペダル121の操作量に応じて、回生ブレーキと油圧ブレーキとを協調制御する。
電圧センサ14は、バッテリ3の電圧を測定する。電流センサ15はバッテリ3に流れる電流を測定する。キャパシタリレー16は、キャパシタ4を回路から切り離すときにOFFされ、回路に組み込むときにONされる。
PTCヒータ18は、キャパシタ4が蓄積する電力及びB−ISG2が発電する電力によって作動し、車両の室内を加熱する。
ヒートキャタリスト19は、キャパシタ4が蓄積する電力及びB−ISG2が発電する電力によって作動し、排気ガスを浄化するためのキャタリストを加熱する。
廃電抵抗Rは、スイッチング素子41を介して接地されており、車両の廃車時にキャパシタ4に残存する電荷を消費するために用いられる。
図1において、電気負荷6は、第1電圧で作動される第1電気負荷の一例に該当する。また、B−ISG2、PTCヒータ18、及びヒートキャタリスト19は、それぞれ、第1電圧より高い第2電圧で作動される第2電気負荷の一例に該当する。また、バッテリ3及び電気負荷6は、低電圧回路を構成する。また、キャパシタ4、PTCヒータ18、ヒートキャタリスト19、及びB−ISG2は、高電圧回路を構成する。
図1に示す車両の動作を簡単に説明する。まず、イグニッションキーがONされると、ギア駆動式スタータ7がバッテリ3からの電力によって駆動し、エンジン1をクランキングし、エンジン1が始動する。
車両の減速時において、B−ISG2はエンジン1からの動力により発電する。B−ISG2によって発電された電力はキャパシタ4に蓄積される。また、B−ISG2によって発電された電力は、降圧回路5によって電圧が降圧されて電気負荷6に供給されると共に、余剰電力はバッテリ3に充電される。
車両が停止するといった所定のIS条件が成立すると、エンジン1がIS状態に移行される。一方、IS状態において所定のIR(アイドルストップリスタート)条件が成立すると、B−ISG2は、キャパシタ4からの電力によって駆動し、エンジン1を再始動させる。また、電気負荷6の電力需要が高く、線路L2に流れる電流が所定の値以上になると、バイパスリレー13がONし、線路L3は降圧回路5のバイパス経路となる。これにより、キャパシタ4及びB−ISG2の電力は降圧回路5によって降圧されずに線路L3を介して電気負荷6に供給される。これにより、電気負荷6の駆動を継続させることができる。また、IS中及びISからの再始動時にキャパシタ4の電力が不足する場合、バイパスリレー13がONされバッテリ3の電力が第2電気負荷に供給される。
(2)制御系統
図2は、本発明の実施の形態の車両用電源制御装置の制御系統を示すブロック図である。本図に示すように、車両用電源制御装置は、PCM(Power train control module)210、アクセルSW(スイッチの略、以下同様。)201、フットブレーキSW202、車速センサ203、電圧センサ14、電流センサ15、電圧センサ17、B−ISG2、ギア駆動式スタータ7、インジェクタ204、ハンドルSW205、IG−SW206、空調SW207、ランプ208、ヒートキャタリスト19、及びPTCヒータ18を備える。PCM210は、各種信号線を介してアクセルSW201及びフットブレーキSW202等の図2のブロックで示す各部品と電気的に接続されている。
アクセルSW201は、アクセルペダルの操作によりアクセルペダルがONされたことを検知し、アクセルペダルのON及びアクセルペダルの操作量を示す検知信号をPCM210に出力する。
フットブレーキSW202は、フットブレーキペダル121(図1参照)の操作によりフットブレーキペダル121がONされたことを検知し、フットブレーキペダル121のON及びフットブレーキペダル121の操作量を示す検知信号をPCM210に出力する。
車速センサ203は、車両の走行速度を検知し、検知した速度を示す検知信号をPCM210に出力する。
電圧センサ14は、図1で説明したようにバッテリ3の電圧を計測し、PCM210に出力する。電流センサ15は、図1で説明したようにバッテリ3の電流を計測し、PCM210に出力する。電圧センサ17は、キャパシタ4の電圧を計測し、PCM210に出力する。
B−ISG2及びギア駆動式スタータ7は、図1で説明したものであり、PCM210の制御の下、駆動する。インジェクタ204は、PCM210の制御の下、エンジン1に燃料を噴射する。
ハンドルSW205は、車両のハンドルが操作されたことを検知すると、ハンドルがONされたことを示す検知信号をPCM210に出力する。ここで、ハンドルSW205はハンドルが1回操作される都度、検知信号をPCM210に出力すればよい。これにより、後述する受付部211は、ハンドルが操作された回数をカウントでき、後述の廃車コマンドの入力を判定できる。
IG(イグニッション)−SW206は、イグニッションキーがONされたことを検知し、ONを示す検知信号をPCM210に出力する。
空調SW207は、空調器機をON/OFFするためのON/OFFボタン及び空調器機の温度を設定するための温度設定ダイヤルを含む。空調SW207は、ON/OFFボタンがONされると、空調機器がONされたことを示す検知信号をPCM210に出力する。また、空調SW207は、温度設定ダイヤルにより設定された温度を示す検知信号をPCM210に出力する。
ランプ208は、廃車時にキャパシタ4から電荷を消費させる廃電モードに車両が設定されたことを作業者に報知するためのランプである。ここで、ランプ208は、廃電モードのために別途設けられた専用のランプであってもよいし、既存のランプであってもよい。既存のランプとしては、例えば、インストルメントパネルに配置されたランプ(例えば、バッテリーの異常を通知するためのランプやウインカーランプ等)が採用できる。
PTCヒータ18は、図1で示したPTCヒータ18である。ここで、PTCヒータ18は例えばPWM信号のデューティ比を調節することで出力が制御される。廃電モードでは、PTCヒータ18は、デューティ比が100%のPWM信号で作動され、最高出力で作動される。
ヒートキャタリスト19は、図1で示したヒートキャタリスト19である。ここで、ヒートキャタリスト19は、例えばPWM信号のデューティ比を調節することで出力が制御される。廃電モードでは、ヒートキャタリスト19は、デューティ比が100%のPWM信号で作動され、最高出力で作動される。
PCM210は、例えば、CPU、ROM、及びRAM等を含むマイクロコンピュータ、或いは、専用のハードウェア回路で構成され、車両の制御系統の全体制御を司る。本実施の形態において、PCM210は、受付部211、制御部212、及び故障管理部213の機能ブロックを備えている。これらの機能ブロックは、例えば、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することで実現されてもよいし、専用のハードウェア回路で実現されてもよい。
受付部211は、車両を廃車する際に作業者によって入力される廃車コマンドを受け付ける。ここで、廃車コマンドの入力手法としては、既存の車両の部品をユーザに操作させる手法が採用できる。普段の車両の運転時に入力されるような操作が廃車コマンドの入力手法として採用されると、ドライバーの意図に反して廃車コマンドが入力されてしまう可能性がある。
そこで、本実施の形態では、廃車コマンドの入力手法としては、普段の車両の操作では入力されないような既存の車両の部品を用いた操作パターンが採用される。ここで、既存の車両の部品を用いた操作パターンとしては、ハンドル操作に基づく操作パターンや、空調機器の操作に基づく操作パターン等が採用できる。
ハンドル操作に基づく操作パターンとしては、例えば、IG−SW206がONされた後の車両の停車状態において、一定時間内にハンドルが右に数回切られた後、左に数回切られるといった操作パターンが採用できる。空調機器の操作に基づく操作パターンとしては、例えば、空調器機の温度設定ダイヤルをマックス又はミニマムに設定した状態で空調器機のON/OFFボタンを一定時間内に一定回数以上入力するといった操作パターンが採用できる。
但し、ここで、挙げた操作パターンはほんの一例にすぎず、普段の車両の操作では入力されないような既存の車両の部品を用いた操作パターンであれば、どのような操作パターンが採用されてもよい。
一例として、アクセル操作に基づく操作パターンが挙げられる。例えば、IG−SW206がONされた後の車両の停車状態において、アクセルペダルが一定時間内に一定回数踏まれる操作パターンがアクセル操作に基づく操作パターンとして採用できる。
また、別の一例として、ブレーキ操作に基づく操作パターンが挙げられる。例えば、IG−SW206がONされた後の車両の停車状態において、フットブレーキペダル121が一定時間内に一定回数踏まれる操作パターンが、ブレーキ操作に基づく操作パターンとして採用できる。
また、更に別の一例として、上記のハンドル操作に基づく操作パターン、空調器機の操作に基づく操作パターン、アクセル操作に基づく操作パターン、及びブレーキ操作に基づく操作パターンのうち、少なくとも2以上を組み合わせた操作パターンが既存の車両の部品を用いた操作パターンとして採用されてもよい。
このように、既存の車両の部品を用いた操作パターンが廃車コマンドの入力手法として採用された場合、廃車コマンドを入力するための専用の入力手段を車両に搭載する必要がなくなり、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
制御部212は、受付部211により廃車コマンドが受け付けられた場合、車両を廃電モードに設定し、第2電気負荷(B−ISG2、PTCヒータ18、及びヒートキャタリスト19)を作動させる。これにより、キャパシタ4に残存する電荷が第2電気負荷によって消費される。
また、制御部212は、受付部211が廃車コマンドを受け付けた場合、PTCヒータ18及びヒートキャタリスト19については、最大出力で作動させる。これにより、キャパシタ4に残存する電荷を速やかに消費できる。
また、制御部212は、受付部211が廃車コマンドを受け付けた場合、B−ISG2については、B−ISG2がエンジン1をクランキングしない程度の出力でB−ISG2を作動させる。B−ISG2の出力はフィールドコイル及び三相コイルに流れる電流を調整することで制御可能である。そこで、制御部212は、B−ISG2がエンジン1をクランキングしない電流の上限値をフィールドコイル及び三相コイルに流すことで、B−ISG2を作動させればよい。これにより、廃電作業中において、エンジン1がB−ISG2の動力によりクランキングされることを防止できる。
故障管理部213は、第2電気負荷のそれぞれにつき、故障の有無を管理する。例えば、故障管理部213は、ある第2電気負荷が故障したと判定した場合、その第2電気負荷に対応する故障フラグをONに設定し、その第2電気負荷が故障していない場合、その第2電気負荷に対応する故障フラグをOFFに設定すればよい。
なお、故障管理部213は、例えば、PCM210がある第2電気負荷に対して起動指示を行ったにも拘わらず、その第2電気負荷が作動しなかった回数が所定回数以上、連続した場合、その第2電気負荷は故障したと判定すればよい。
図3は、本発明の実施の形態における車両用電源制御装置の動作を示すフローチャートである。このフローチャートはIG−SW206によりイグニッションキーのONが検知された場合に実行される。まず、S301において、制御部212は、電圧センサ17からキャパシタ4の電圧(以下、キャパシタ電圧と呼ぶ。)を読み込む。
次に、受付部211は操作パターンP1又は操作パターンP2が入力されたか否かを判定する。ここでは、操作パターンP1としては、例えば、上述したハンドル操作に基づく操作パターンが採用される。また、操作パターンP2としては、例えば、上述した空調機器の操作に基づく操作パターンが採用される。
操作パターンP1及び操作パターンP2のいずれも入力されなければ(S302でN)、処理はS301に戻される。一方、操作パターンP1又は操作パターンP2が入力されたと受付部211が判定すると(S302でY)、制御部212は、車両を廃電モードに設定し、ランプ208を点灯させる(S303)。これにより、廃電作業を行う作業者は、車両が廃電モードに設定されたことを認識する。なお、作業者は、廃電モードが開始されると、インストルメントパネルのどのランプがランプ208に該当するのかをマニュアル等を通じて事前に学習していることが好ましい。
次に、制御部212は、故障管理部213にどの第2電気負荷が故障しているのかを問い合わせ、第2電気負荷の故障の有無を確認する(S304)。例えば、B−ISG2が故障しており、PTCヒータ18及びヒートキャタリスト19が故障していないのであれば、B−ISG2の故障フラグがON、PTCヒータ18の故障フラグがOFF、ヒートキャタリスト19の故障フラグがOFFに設定されている。この場合、問い合わせを受けた故障管理部213は、「B−ISG2:故障、PTCヒータ18:正常、ヒートキャタリスト19:正常」といった応答を制御部212に通知すればよい。
次に、第2電気負荷が全て正常であれば(S305でY)、制御部212は、全ての第2電気負荷を作動させると共に、スイッチング素子41をONさせる。これにより、図1に示すようにキャパシタ4から線路L1に電流Ixが流れ、キャパシタ4の電荷は第2電気負荷及び廃電抵抗Rによって消費される。その結果、キャパシタ4に残存する電荷を速やかに消費できる。
一方、全ての第2電気負荷が正常でなければ(S305でN)、制御部212は、正常な第2電気負荷を全て作動させると共に、スイッチング素子41をONさせる。これにより、正常な第2電気負荷及び廃電抵抗Rを用いてキャパシタ4の電荷を速やかに消費できる。
次に、制御部212は、S301で読み込んだキャパシタ電圧が閾値V0より低くければ(S308でY)、ランプ208を消灯させ(S309)、廃電モードを終了させる。ランプ208の消灯により、作業者は廃電モードが終了したことを認識する。ここで、閾値V0としては、キャパシタ4に残存する電荷がスクラップ時に火花を飛ばさない程度にまで低下したことを示すキャパシタ電圧の値が採用してもよいし、キャパシタ4に残存する電荷が実質的に0になったことを示すキャパシタ電圧の値が採用されてもよい。
一方、キャパシタ電圧が閾値V0以上であれば(S308でN)、制御部212は、タイムアウト時間が経過したか否かを判定する(S310)。ここで、タイムアウト時間とは、廃電作業において、キャパシタ電圧が閾値V0まで低下するのに要する想定時間の最大値が採用される。具体的には、タイムアウト時間としては、消費電力量が最小の第2電気負荷が、満充電のキャパシタ4のキャパシタ電圧を閾値V0にするのに要する時間が採用できる。
タイムアウト時間が経過していなければ(S310でN)、処理がS308に戻され、キャパシタ4の電荷の消費が継続される。一方、タイムアウト時間が経過した場合(S310でY)、制御部212は、ランプ208を一定時間(例えば、数分)、点滅させ、廃電モードを終了させる(S311)。これにより、作業者は何らかの異常が発生しており、キャパシタ4の電荷を消費できないことを認識できる。
タイムアウト時間が経過しているにも拘わらず、キャパシタ電圧が閾値V0まで低下しないということは、何らかの異常によってキャパシタ4の電荷が消費できない状態になっていることを示している。この場合、これ以上、廃電作業を行っても無駄である。そこで、本実施の形態では、タイムアウト時間内にキャパシタ電圧が閾値V0まで低下しなければ、廃電モードを強制的に終了する。これにより、作業者は、第2電気負荷を用いたキャパシタ4の電荷の消費を断念し、廃車作業を次のステップに移行させることができる。
このように、本実施の形態によれば、廃車コマンドが入力されると、第2電気負荷が作動され、キャパシタ4の電荷が消費される。ここで、第2電気負荷は、B−ISG2であればエンジン1の始動及び発電、PTCヒータ18であれば車両の室内の温度の調整、ヒートキャタリスト19であればキャタリストの加熱というように、車両の特定の用途に使用される、車両が備える既存の部品である。そのため、キャパシタ4の電荷を消費させるために専用の部品を設けることなく、既存の車両の部品を用いてキャパシタ4の電荷を消費できる。また、バッテリ3の公称電圧よりも高い電圧で作動される第2電気負荷を用いてキャパシタ4の電荷が消費されている。そのため、キャパシタ4の電荷を速やかに消費できる。その結果、廃電作業に要する時間を短縮できる。
(変形例)
本発明は以下の変形例を採用できる。
(1)上記実施の形態では、制御部212は、受付部211により廃車コマンドが受け付けられると全ての第2電気負荷を作動させたが、本発明はこれに限定されない。制御部212は、操作コマンドを入力するための複数の操作パターンに応じて、作動させる第2電気負荷を予め対応付けておき、入力された操作パターンに対応する第2電気負荷を作動させてもよい。
例えば、ある操作パターンに対して、B−ISG2が対応付けられているのであれば、その操作パターンが入力された場合、制御部212は、B−ISG2を作動させ、別のある操作パターンに対して、PTCヒータ18が対応付けられているのであれば、その操作パターンの入力された場合、制御部212は、PTCヒータ18を作動させればよい。
操作パターンと第2電気負荷との対応付けの一例としては、例えば、ハンドル操作に基づく操作パターンに対してはB−ISG2、空調器機の操作に基づく操作パターンに対してはPTCヒータ18、アクセル操作に基づく操作パターンに対してはヒートキャタリスト19が挙げられる。但し、これは一例にすぎず、他の対応付けが採用されてもよい。また、1つの操作パターンに対応付けられる第2電気負荷は1つであってもよいし、複数であってもよいし、全部であってもよい。
これにより、例えば、B−ISG2を作動させる操作パターンを入力したが、B−ISG2が故障しており、キャパシタ4の電荷を消費できなかった場合、PTCヒータ18を作動させる操作パターンを入力することで、キャパシタ4の電荷を消費することができる。
(2)上記実施の形態では、車両の既存の部品を操作することで廃車コマンドが入力されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、廃車コマンドを受け付けるための専用のボタンを設け、受付部211はこのボタンが押された場合に廃車コマンドが入力されたと判定してもよい。この場合、作業者によりこのボタンが押されることで廃車コマンドが入力されるため、ドライバーの意図に反して廃車コマンドが入力されることを防止できる。なお、このボタンの設置場所は特に限定はされないが、例えば、シートの裏側や、ダッシュボードのケース内といった、ドライバーが運転中に押すことがないような場所が好ましい。
(3)上記実施の形態では、廃電抵抗Rを設けたが、廃電抵抗Rは省かれても良い。この場合、廃電用に専用の部品を設ける必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。なお、本実施の形態では、第2電気負荷のみを用いてキャパシタ4の廃電を行った場合、第2電気負荷の消費電力量から換算すると、廃電作業に要する時間は、数分程度を想定している。一方、廃電抵抗Rのみを用いてキャパシタ4の廃電を行った場合、廃電抵抗Rの抵抗値は電気負荷に比較して非常に小さいため、その抵抗値から換算すると廃電作業に要する時間は数時間を想定している。そのため、廃電抵抗Rを省いたとしても、廃電作業に要する時間に与える影響は低い。
(4)上記実施の形態では、第2電気負荷として、B−ISG2、PTCヒータ18、及びヒートキャタリスト19が採用されているが、これは一例にすぎず、第2電圧で作動される電気負荷であればどのようなものが採用されてもよい。
1 エンジン
3 バッテリ
4 キャパシタ
5 降圧回路
6 電気負荷
17 電圧センサ
18 PTCヒータ
19 ヒートキャタリスト
41 スイッチング素子
208 ランプ
210 PCM
211 受付部
212 制御部
213 故障管理部

Claims (7)

  1. 車両の電源を制御する車両用電源制御装置であって、
    キャパシタと、
    前記キャパシタの電力を用いて作動し、前記車両が備える既存の部品で構成される電気負荷と、
    廃車コマンドの入力を受け付ける受付部と、
    前記受付部により前記廃車コマンドが受け付けられた場合、前記電気負荷を作動させ、前記電気負荷に前記キャパシタの電荷を消費させる制御部とを備える車両用電源制御装置。
  2. 前記鉛バッテリの公称電圧である第1電圧で作動される第1電気負荷と、
    前記キャパシタの電力を前記第1電圧に降圧し、前記第1電気負荷に供給する降圧回路とを更に備え、
    前記電気負荷は、前記第1電圧よりも高い第2電圧で作動される第2電気負荷である請求項1記載の車両用電源制御装置。
  3. 前記受付部は、イグニッションスイッチがONした後、前記車両が備える既存の部品に対する所定の操作をを検知した場合、前記廃車コマンドが入力されたと判定する請求項1又は2記載の車両用電源制御装置。
  4. 前記操作は複数あり、
    前記第2電気負荷は複数あり、
    前記制御部は、複数の操作に応じて異なる1又は複数の第2電気負荷を作動させる請求項3記載の車両用電源制御装置。
  5. 前記制御部は、前記複数の第2電気負荷を同時に作動させる請求項4記載の車両用電源制御装置。
  6. 前記複数の第2電気負荷のそれぞれについての故障の有無を管理する故障管理部を更に備え、
    前記制御部は、故障している第2電気負荷以外の第2電気負荷を作動させる請求項5記載の車両用電源制御装置。
  7. 前記キャパシタの電荷を廃電する廃電抵抗を更に備え、
    前記制御部は、前記第2電気負荷の作動に加えて、前記廃電抵抗に前記キャパシタの電力を消費させる請求項6記載の車両用電源制御装置。
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