JP2016100927A - 永久磁石式回転電機及びそれを用いた圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速域におけるトルク特性を低下させることなく、永久磁石の表面積を拡大でき、小形・高効率な永久磁石式回転電機及びそれを用いた圧縮機を提供することにある。【解決手段】永久磁石式回転電機1は、固定子鉄心12に形成された複数のスロット7内にティース4を取り囲むよう電機子巻線8が巻装される固定子2と、回転子鉄心12に複数の永久磁石挿入孔13に永久磁石14を配する回転子3とを備える。回転子3は、固定子2の内周に空隙を介して回転自在に支承され、永久磁石14は、略中心部が回転子3の内周面3aへ向かう円弧状の中央部40と、中央部40の両端部より回転子の径方向であって回転子の外周面3bへ向かい延伸する略直線状の側部41を有する。【選択図】図3
Description
本発明は、界磁用の永久磁石を回転子に備えている永久磁石式回転電機に係り、特に、エアコン、冷蔵庫、冷凍庫、あるいはショーケースなどの圧縮機に使用される永久磁石式回転電機に関する。
従来、この種の永久磁石式回転電機においては、固定子巻線に集中巻が、界磁には永久磁石がそれぞれ採用され、小形・高効率化を達成している。永久磁石式回転電機の小形・高効率化の方法として、永久磁石の表面積(軸方向に対する二次元断面積:横断面図)を拡大し、永久磁石の磁束量を増やすことが挙げられる。回転子の横断面において、永久磁石の磁束量を増やすためには、永久磁石の形状・配置を工夫する必要がある。
永久磁石の形状・配置を工夫するものとして、例えば、特許文献1が提案されている。特許文献1では、回転子に埋設した永久磁石の形状を径方向内側に凸となる略バスタブ状とすることが開示されている。永久磁石の具体的形状は、回転子の横断面において、磁化方向に対し垂直に伸びる中央部と、この中央部の周方向両端部に2つの屈曲点を有し、これら屈曲点より極の端部側へ向けて伸びる2つの側部を有する形状としている。
しかしながら、特許文献1では、永久磁石を構成する中央部とその両端部に接続される側部との間に形成される2つの屈曲点において、磁化方向が急激に変化する。これにより、所望の磁力を得られず、永久磁石の表面積拡大による磁束量の増加について改善の余地がある。また、高速域において負荷トルクが大きい場合、トルク特性の低下を招く恐れがある。
そこで本発明は、高速域におけるトルク特性を低下させることなく、永久磁石の表面積を拡大でき、小形・高効率な永久磁石式回転電機及びそれを用いた圧縮機を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、固定子鉄心に形成された複数のスロット内にティースを取り囲むよう電機子巻線が巻装される固定子と、回転子鉄心に複数の永久磁石を配する回転子とを備え、前記回転子が、前記固定子の内周面に空隙を介して回転自在に支承される永久磁石式回転電機において、前記永久磁石は、略中心部が前記回転子の内周面へ向かう円弧状の中央部と、前記中央部の両端部より前記回転子の径方向であって前記回転子の外周面へ向かい延伸する略直線状の側部と、を有することを特徴とする。
また本発明は、少なくとも、作動流体である気体を圧縮容器内に供給する吸込みパイプと、前記作動流体の容積を縮小する圧縮機構と、前記圧縮機構に駆動力を伝達する永久磁石式回転電機と、前記圧縮機構により圧縮された作動流体を前記圧力容器外に排出する吐出パイプを有する圧縮機において、前記永久磁石式回転電機は、固定子鉄心に形成された複数のスロット内にティースを取り囲むよう電機子巻線が巻装される固定子と、回転子鉄心に複数の永久磁石を配する回転子とを有し、前記回転子が、前記固定子の内周面に空隙を介して回転自在に支承され、前記永久磁石は、略中心部が前記回転子の内周面へ向かう円弧状の中央部と、前記中央部の両端部より前記回転子の径方向であって前記回転子の外周面へ向かい延伸する略直線状の側部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、高速域におけるトルク特性を低下させることなく、永久磁石の表面積を拡大でき、小形・高効率な永久磁石式回転電機及びそれを用いた圧縮機を提供することが可能となる。
例えば、高速域において、高負荷、ならびに電機子巻線を増加して高インダクタンスとなる場合であっても、電機子反作用による機内磁束の高調波成分を低減し、力率改善による高トルク化が図られる。また、巻線着磁による磁束量の低下を抑制できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本明細書では、6極の回転子と、9スロットの固定子から構成される永久磁石式回転電機、すなわち、回転子の極数と固定子のスロット数の比を、2:3とする永久磁石式回転電機を例に説明するが、回転子の極数及び固定子のスロット数は、これに限られない。他の極数、スロット数との比による永久磁石式回転電機でも同様の効果を得ることができるものである。また、回転子の極数は、例えば、4極あるいは8極等としても良い。
また、本明細書では、「軸方向」とは回転子の軸方向を示し、「径方向」とは回転子の径方向を示し、「周方向」とは回転子の周方向を示すものとする。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
図1に、本発明の一実施例に係る実施例1による永久磁石式回転電機の横断面図を示す。図1に示すように、永久磁石式回転電機1は、固定子2と回転子3から構成される。固定子2は、ティース4とコアバック5からなる固定子鉄心6、周方向に隣接するティース4間のスロット7内であってティース4を取り囲むように巻装された集中巻の電機子巻線8より構成される。すなわち、電機子巻線8は、径方向に放射状に配されるティース4の軸心周りに巻装され、周方向に、三相巻線のU相巻線8a,V相巻線8b,W相巻線8cが相互に空隙を介して配される。ここで、永久磁石式回転電機1は、回転子3の極数が6極、固定子2のスロット数が9スロットであるから、スロットピッチは電気角で120度である。また、回転子3の中心に、円柱状のシャフト(図示せず)を収容するシャフト孔15が形成されている。
図2は、図1に示す永久磁石式回転電機1の回転子鉄心形状を示す横断面図である。図2に示すように、回転子3は、シャフト孔15を形成した回転子鉄心12に横断面略U字形状の永久磁石挿入孔13を備え、 永久磁石挿入孔13内にフェライトの永久磁石14を収容し固定している。永久磁石14の磁束軸がd軸となり,d軸と電気角で90°隔てられた磁極間に位置する軸がq軸となる。回転子鉄心12の外周面と、ティース4の内周面との間には、径方向にギャップ長g1の空隙が形成されている。
図3は、図1に示す永久磁石式回転電機の1極分の回転子鉄心形状を示す横断面図である。図3において、永久磁石14は、1極につき回転子3の径方向外側から径方向内側へ向かって伸びる2つの略直線状の側部41と、回転子3の径方向内側に凸となる円弧状の中央部40を有する。すなわち、永久磁石14は、所定の曲率で規定され、その略中心部が回転子内周面3aに向かう(径方向内側向かう)円弧状の中央部40と、中央部40の両端部よりそれぞれ回転子外周面3b側(径方向外側)へと延伸する略直線状の側部41を備える。これにより、中央部40の両端部(図3中、点線で示す)と側部41とが連続する形状となる。
このような形状に永久磁石14を形成することで、永久磁石14の表面積を拡大することができると共に、永久磁石14の径方向外側の回転子鉄心断面積が大きくなり、リラクタンストルクを積極的に活用することが可能となる。
また、図3に示すように、中央部40であって、回転子内周面3aに最も近い端面40aと回転子内周面3a(シャフト孔15)との距離をL1、上記端面40aにおける中央部40の径方向の幅(磁石厚み)をL2、また、中央部40の端面40aとは径方向反対側に位置する面(径方向内側の面)と回転子外周面3bとの径方向の距離をL3としたとき、これらが、L1≦L2<L3の関係となるよう永久磁石14が構成される。図3中に白抜き矢印にて示す磁化方向16は、永久磁石14を構成する中央部40の径方向内側の面と、2つの側部41の周方向内内側の面とで連続して滑らかに変化する。特に、中央部40の両端部を含む領域において、急激な磁化方向16の変化は生じない。これにより、確実に着磁することが可能となる。
また、上述のように、永久磁石14は、L1≦L2<L3の関係となるよう構成されている。これにより、電機子反作用による機内磁束の高調波成分が低減され、力率改善による高トルク化が図られ、小形・高効率な永久磁石式回転電機を実現できる。また、巻線着磁による磁束量の低下を抑制でき、小形・高効率な永久磁石式回転電機が実現される。
なお、永久磁石14の中央部40の曲率については、回転子3の大きさ(直径)及び極数に応じて、適宜設定すれば良い。この場合においても、L1≦L2<L3の関係となるよう設定される。これにより、回転子3内における永久磁石14の表面積(横断面における面積)を増大でき、小型且つ高効率の永久磁石式回転電機が実現できる。また、一般的に設定される回転子3の極数は、4極、6極あるいは8極であり、曲率半径が大きくなるに伴って、円弧状の中央部40の両端部に連続し、回転子3の径方向であって、当該回転子3の外周側に延伸する2つの側部41の開き角は大きくなる。従って、極数も考慮の上、中央部40の曲率半径が設定される。
ここで、比較例について図4を用いて説明する。図4は、比較例の永久磁石式回転電機の1極分の回転子鉄心形状を示す横断面図である。図4に示すように、比較例の回転子3’は、周方向に2箇所の屈曲点42を有し、この2箇所の屈曲点42を端部とする直線状の中央部40’と、各屈曲点42より径方向外側へと延伸する略直線状の側部41’から永久磁石14’が構成される。図4中、白抜き矢印にて示す磁化方向16’は、各屈曲点42近傍にて、急激に変化する。また、図4に示すように、中央部40’であって、径方向内側の面と回転子内周面3a’(シャフト孔15)との距離L1、中央部40’の径方向の幅(磁石厚み)L2、また、中央部40’の径方向外側の面と回転子外周面3b’との径方向の距離L3としたとき、比較例の永久磁石14’は、L2<L1<L3の関係にある。このような比較例の構成では、仮に、永久磁石14’の中央部40’をより径方向内側(回転子内周面3a’側)に配置した場合、2箇所の屈曲点42では巻線着磁による磁束量の低下が生じる。すなわち、屈曲点42近傍では、磁化方向16’が混在するため、所望の通りに磁化されず、永久磁石14’の表面積を拡大したことによる磁束量の増加が図られない。
次に、本実施例の永久磁石式回転電機1と、図4に示す比較例の永久磁石式回転電機1’のトルク特性について説明する。図5は、図1に示す永久磁石式回転電機1のトルク特性(高速域)を、比較例のトルク特性と共に示す図である。図5では、定格電流を1P.U.(Per Unit)とし、また、その定格電流を流した際の永久磁石式回転電機1のトルク(高速域)を1P.U.とし、基準化している。図5に示されるように、本実施例の永久磁石式回転電機1のトルクは、図4に示した比較例の永久磁石式回転電機1’より、大きくなっているのがわかる。よって、本実施例の永久磁石式回転電機1によれば、電機子反作用の影響による力率低下ならびに巻線着磁による磁束量の低下を改善することができ、トルクの低下を抑制し、小形・高効率な永久磁石式回転電機を実現できる。
なお、本実施例では、L1≦L2<L3の関係となるよう永久磁石14を構成し配する例を説明したがこれ限られるものではない。例えば、L1≦L2の関係が満たされるよう、永久磁石14を構成し、回転子鉄心12に配しても良い。
本実施例によれば、高速域におけるトルク特性を低下させることなく、永久磁石の表面積を拡大でき、小形・高効率な永久磁石式回転電機を実現できる。
また、本実施例によれば、高速域において、高負荷、ならびに電機子巻線を増加して高インダクタンスとなる場合であっても、電機子反作用による機内磁束の高調波成分を低減し、力率改善による高トルク化が図られる。また、巻線着磁による磁束量の低下を抑制できる。
図6に、本発明の他の実施例に係る実施例2による永久磁石式回転電機の1極分の回転子鉄心形状を示す横断面図を示す。図3と同一の構成要素に同一の符号を付している。実施例1では、図3に示すように横断面略U字状の永久磁石14を一体形成し、回転子鉄心12に形成された永久磁石挿入孔13内に永久磁石14を軸方向に挿入し固定する構成とした。これに対し、本実施例では、永久磁石14を、中央部40、中央部40の両端部にて分割された2つの側部41により構成した点が異なる。
図6に示すように、永久磁石14は、1極あたり、2つの側部41と中央部40とに3分割された構造を備える。すなわち、永久磁石14は、回転子3の径方向外側から径方向内側へ向かって伸びる2つの側部41を、所定の曲率で規定され、その略中心部が回転子内周面3aに向かう円弧状の中央部40の両端部に接合することで形成される。
以下、本実施例の永久磁石14を、回転子鉄心12に形成された永久磁石挿入孔13へ組み込む方法について、2つの異なる組み込み法を説明する。
(1)第一の組み込み法
先ず、横断面円弧状の中央部40の両端部に、接着剤等により2つの側部41を固定する。中央部40とその両端部に2つの側部41が固定され一体化された永久磁石14を、永久磁石挿入孔13へ軸方向外側より挿入し固定する。これにより、図6に示す回転子3が得られる。
(2)第二の組み込み法
横断面円弧状の中央部40を、永久磁石挿入孔13へ軸方向外側より挿入する。その後、永久磁石挿入孔13内に挿入された中央部40の両端部に接着剤等を流し込む。続いて、2つの側部41を、それぞれ永久磁石挿入孔13へ軸方向外側より挿入する。この時、永久磁石挿入孔13へ圧入される2つの側部41により、余剰の接着剤は永久磁石挿入孔13の外部へと流出する。その後、余剰の接着剤を除去することで、図6に示す回転子3が得られる。なお、永久磁石挿入孔13内に挿入された中央部40の両端部への接着剤等の流し込みは、これら3分割された中央部40及び2つの側部41を固定する上で望ましいが、必須ではない。すなわち、仮に、永久磁石挿入孔13内へ中央部40を挿入後、2つの側部41を中央部40の両端部に挿入することのみで、これら3分割された中央部40及び2つの側部41が、永久磁石挿入孔13内で緊合される場合は、接着剤等の流し込は不要となる。
(1)第一の組み込み法
先ず、横断面円弧状の中央部40の両端部に、接着剤等により2つの側部41を固定する。中央部40とその両端部に2つの側部41が固定され一体化された永久磁石14を、永久磁石挿入孔13へ軸方向外側より挿入し固定する。これにより、図6に示す回転子3が得られる。
(2)第二の組み込み法
横断面円弧状の中央部40を、永久磁石挿入孔13へ軸方向外側より挿入する。その後、永久磁石挿入孔13内に挿入された中央部40の両端部に接着剤等を流し込む。続いて、2つの側部41を、それぞれ永久磁石挿入孔13へ軸方向外側より挿入する。この時、永久磁石挿入孔13へ圧入される2つの側部41により、余剰の接着剤は永久磁石挿入孔13の外部へと流出する。その後、余剰の接着剤を除去することで、図6に示す回転子3が得られる。なお、永久磁石挿入孔13内に挿入された中央部40の両端部への接着剤等の流し込みは、これら3分割された中央部40及び2つの側部41を固定する上で望ましいが、必須ではない。すなわち、仮に、永久磁石挿入孔13内へ中央部40を挿入後、2つの側部41を中央部40の両端部に挿入することのみで、これら3分割された中央部40及び2つの側部41が、永久磁石挿入孔13内で緊合される場合は、接着剤等の流し込は不要となる。
本実施例によれば、永久磁石を3分割構造とするものであるため、分割面での漏れ磁束が多少生じるものの、製造工程の容易化が可能となる。
また、本実施例においても、電機子反作用の影響による力率低下ならびに巻線着磁による磁束量の低下を改善でき、トルクの低下を抑制することができると共に、小形・高効率な永久磁石式回転電機を実現できる。すなわち、実施例1と同様の効果を得ることができる。
図7に、本発明の他の実施例に係る実施例3による永久磁石式回転電機の1極分の回転子鉄心形状を示す横断面図を示す。図3と同一の構成要素に同一符号を付している。本実施例では、回転子外周面において、実施例1又は実施例2に示した、永久磁石を構成する2つの略直線状の側部の径方向外側の端部と対応する位置に切り欠き部(凹部)を形成した点が、実施例1及び実施例2と異なる。
図7に示すように、永久磁石14を構成する2つの略直線状の側部41の端部41a(回転子鉄心12の径方向外周側に位置する端部)と対応する回転子外周面3bには、端部41aと略平行な切り欠き部(凹部)11が形成されている。この切り欠き部(凹部)11は、回転子3の軸方向に延伸するよう形成されている。これにより、回転子鉄心12の外周形状(回転子外周面3b)は、固定子2を構成するティース4の内周面との空隙がギャップ長g1となる円弧状部と、空隙が最大でギャップ長g2となる略直線状部とを複数有する構成となる。ここで、切り欠き部11とティース4の内周面との空隙が最大のギャップ長g2となる回転子鉄心12の外周面の位置は、少なくとも、各側部41の端部41aのうち周方向外側の端部を含み、更に周方向外側に位置する。すなわち、各切り欠き部11の周方向の長さは、各側部41の端部41aの周方向長さ以上となる。
また、図7に示すように、ティース4の内周面との間にギャップ長g1の空隙を形成する回転子外周面3bの円弧状部は、θpが電気角で90°〜120°となるように構成されている。
本実施例によれば、切り欠き部11により、永久磁石14を構成する2つの側部の径方向外側の端部41aに対応する位置における回転子外周面3bと、ティース4の内周面とで形成される空隙のギャップ長が増大される。これにより磁気抵抗が増大し、実施例1及び実施例2に比べ、更なる電機子反作用の影響を抑制することが可能となり、機内磁束の高調波成分を低減できる。
また、本実施例においても、電機子反作用の影響による力率低下ならびに巻線着磁による磁束量の低下を改善でき、トルクの低下を抑制することができると共に、小形・高効率な永久磁石式回転電機を実現できる。すなわち、実施例1と同様の効果を得ることができる。
図8は、本発明の一実施例に係る永久磁石式回転電機を用いた圧縮機の縦断面図である。本実施例では、上述の実施例1から実施例3のうちいずれか1つの永久磁石式回転電機を圧縮機に適用したものである。
図8に示すように、圧縮機50は、円筒状の圧縮容器69内に、固定スクロール部材60の端板61に直立する渦巻状ラップ62と、旋回スクロール部材63の端板64に直立する渦巻状ラップ65とを備え、これら固定スクロール部材60の渦巻状ラップ62と旋回スクロール部材63の渦巻状ラップ65とが噛み合わされて形成される。また、圧縮機50は、圧縮容器69内に、クランク軸72を介して旋回スクロール部材63に旋回力を伝達する永久磁石式回転電機1を備える。永久磁石式回転電機1により、旋回スクロール部材63がクランク軸72を介して旋回運動することによって圧縮動作を行う。
具体的には、固定スクロール部材60及び旋回スクロール部材63によって形成される圧縮室66a,66b,66c,66d,66eのうち、最も外径側に位置する圧縮室66a,66bが、旋回運動に伴って固定スクロール部材60及び旋回スクロール部材63の中心に向かって移動することにより、容積が次第に縮小し、圧縮動作が行われる。圧縮室66a,66bが固定スクロール部材60及び旋回スクロール部材63の中心近傍に達すると、吸込みパイプ71より供給された圧縮室66a,66b内の作動流体である圧縮ガス(気体)は、圧縮室66eと連通した吐出口67から圧縮容器69内に吐出される。吐出された圧縮ガスは、固定スクロール部材60及びフレーム68に設けられたガス通路(図示せず)を通ってフレーム68下部の圧縮容器69内に至り、圧縮容器69の側壁に設けられた吐出パイプ70から圧縮機50外に排出される。
また、圧縮機50を駆動する永久磁石式回転電機1は、別置のインバータ(図示せず)によって制御され、圧縮動作に適した回転速度で回転する。ここで、永久磁石式回転電機1は、固定子2と回転子3から構成され、回転子3に設けられるクランク軸72は、上側がクランク軸になっている。クランク軸72の内部には、油孔74が形成され、クランク軸72の回転によって圧縮容器69の下部にある油溜め部73の潤滑油が油孔74を介して滑り軸受75へ供給される。このような構成の圧縮機50に、上述の実施例1から実施例3のうちいずれか1つの永久磁石式回転電機1を適用することより、圧縮機の効率向上が図られ、省エネ化が可能となる。
ところで、現在の家庭用及び業務用のエアコンでは、圧縮容器69内にR410A冷媒が封入されているものが多く、永久磁石式回転電機1の周囲温度は80℃以上となることが多い。今後、地球温暖化係数がより小さいR32冷媒の採用が進むと周囲温度はさらに上昇する。特に永久磁石14は、高温になることで磁石の残留磁束密度が低下し、同一出力を確保するために電機子電流が増加することから、前述の実施例1、実施例2又は実施例3の永久磁石式回転電機1を適用することで、効率低下を補うことができる。なお、本実施例の圧縮機に上述の実施例1、実施例2又は実施例3の永久磁石式回転電機1を適用するにあたり、冷媒の種類は制限されるものではない。なお、圧縮機の構成は、図8に示したスクロ−ル圧縮機に限らず、ロ−タリ圧縮機あるいは、その他の圧縮機構を有する圧縮機でも良い。
また、本実施例によれば、小形・高効率な永久磁石式回転電機を適用することにより、省エネ化が可能な圧縮機を実現できる。また、実施例1、実施例2又は実施例3の永久磁石式回転電機を適用することにより、高速運転が可能になるなど、圧縮機の運転範囲を広げることが可能となる。
更に、HeやR32等の冷媒においては、R22,R407C,R410A等の冷媒と比べて、圧縮機は隙間からの漏れが大きく、特に低速運転時には循環量に対する漏れの比率が顕著に大きくなるため、効率の低下が大きい。低循環量(低速運転)時の効率向上のためには、圧縮機構部を小形化し、同じ循環量を得るために回転数を上げることで、漏れ損失を低減させることが有効となるが、最大循環量を確保するためには、最大回転数も上げる必要がある。上述の実施例1、実施例2又は実施例3の永久磁石式回転電機1を圧縮機に備えることで、最大トルク及び最大回転数を大きくすることが可能となり、且つ高速域での損失低減が可能となるため、HeやR32等の冷媒における効率向上に有効となり得る。
以上のとおり、実施例1、実施例2又は本実施例3の永久磁石式回転電機を、空調用・業務用などの各種圧縮機に適用すれば、高効率な圧縮機を実現でき、省エネ化が可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…永久磁石式回転電機
2…固定子
3,3’…回転子
3a, 3a’…回転子内周面
3b, 3b’…回転子外周面
4…ティース
5…コアバック
6…固定子鉄心
7…スロット
8…電機子巻線
11…切り欠き部(凹部)
12, 12’…回転子鉄心
13, 13’…永久磁石挿入孔
14, 14’…永久磁石
15…シャフト孔
16, 16’…磁化方向
40…中央部
41…側部
41a…端部
42…屈曲点
50…電動圧縮機
60…固定スクロール部材
61,64…端板
62,65…渦巻状ラップ
63…旋回スクロール部材
66a,66b,66c,66d,66e…圧縮室
67…吐出口
68…フレーム
69…圧縮容器
70…吐出パイプ
71…吸込みパイプ
72…クランク軸
73…油留め部
74…油孔
75…すべり軸受け
2…固定子
3,3’…回転子
3a, 3a’…回転子内周面
3b, 3b’…回転子外周面
4…ティース
5…コアバック
6…固定子鉄心
7…スロット
8…電機子巻線
11…切り欠き部(凹部)
12, 12’…回転子鉄心
13, 13’…永久磁石挿入孔
14, 14’…永久磁石
15…シャフト孔
16, 16’…磁化方向
40…中央部
41…側部
41a…端部
42…屈曲点
50…電動圧縮機
60…固定スクロール部材
61,64…端板
62,65…渦巻状ラップ
63…旋回スクロール部材
66a,66b,66c,66d,66e…圧縮室
67…吐出口
68…フレーム
69…圧縮容器
70…吐出パイプ
71…吸込みパイプ
72…クランク軸
73…油留め部
74…油孔
75…すべり軸受け
Claims (12)
- 固定子鉄心に形成された複数のスロット内にティースを取り囲むよう電機子巻線が巻装される固定子と、回転子鉄心に複数の永久磁石を配する回転子とを備え、前記回転子が、前記固定子の内周面に空隙を介して回転自在に支承される永久磁石式回転電機において、
前記永久磁石は、略中心部が前記回転子の内周面へ向かう円弧状の中央部と、前記中央部の両端部より前記回転子の径方向であって前記回転子の外周面へ向かい延伸する略直線状の側部と、を有することを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項1に記載の永久磁石式回転電機において、
前記永久磁石は、前記中央部であって前記回転子の内周面に最も近い端面と前記回転子の内周面との径方向距離をL1、前記端面における前記中央部の径方向の幅をL2としたとき、L1≦L2となり、前記中央部の端部と前記各側部とが連続する形状となることを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項2に記載の永久磁石式回転電機において、
前記中央部の端面とは径方向反対側に位置する面と前記回転子の外周面との径方向距離をL3としたとき、
前記永久磁石は、L1≦L2<L3となることを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項2に記載の永久磁石式回転電機において、
前記永久磁石は、前記中央部と前記2つの側部とで3分割された構成を有し、
前記回転子鉄心に設けられた永久磁石挿入孔へ、前記中央部と前記2つの側部を挿入することで前記永久磁石をなすことを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項2に記載の永久磁石式回転電機において、
前記回転子は、前記各側部の径方向端部と対応する前記回転子の外周面に、前記側部の径方向端部と平行な切り欠き部を有し、当該切り欠き部は前記回転子の軸方向に延伸するよう形成されることを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項5に記載の永久磁石式回転電機において、
前記切り欠き部の周方向長さは、前記側部の径方向端部の周方向長さ以上であることを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項5に記載の永久磁石式回転電機において、
前記回転子の外周面であって、前記隣接する2つの切り欠き部の間の円弧状部の周方向両端部により規定される開度は、電気角で略90度から略120度の範囲内であることを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 請求項3、請求項4、請求項6及び請求項7のうちいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機において、
前記永久磁石は、フェライト磁石で構成されることを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 少なくとも、作動流体である気体を圧縮容器内に供給する吸込みパイプと、前記作動流体の容積を縮小する圧縮機構と、前記圧縮機構に駆動力を伝達する永久磁石式回転電機と、前記圧縮機構により圧縮された作動流体を前記圧縮容器外に排出する吐出パイプを有する圧縮機において、
前記永久磁石式回転電機は、固定子鉄心に形成された複数のスロット内にティースを取り囲むよう電機子巻線が巻装される固定子と、回転子鉄心に複数の永久磁石を配する回転子とを有し、前記回転子が、前記固定子の内周面に空隙を介して回転自在に支承され、
前記永久磁石は、略中心部が前記回転子の内周面へ向かう円弧状の中央部と、前記中央部の両端部より前記回転子の径方向であって前記回転子の外周面へ向かい延伸する略直線状の側部と、を有することを特徴とする圧縮機。 - 請求項9に記載の圧縮機において、
前記永久磁石は、前記中央部であって前記回転子の内周面に最も近い端面と前記回転子の内周面との径方向距離をL1、前記端面における前記中央部の径方向の幅をL2としたとき、L1≦L2となり、前記中央部の端部と前記各側部とが連続する形状となることを特徴とする圧縮機。 - 請求項9に記載の圧縮機において、
前記永久磁石は、前記中央部と前記2つの側部とで3分割された構成を有し、
前記回転子鉄心に設けられた永久磁石挿入孔へ、前記中央部と前記2つの側部を挿入することで前記永久磁石をなすことを特徴とする圧縮機。 - 請求項9に記載の圧縮機において、
前記回転子は、前記各側部の径方向端部と対応する前記回転子の外周面に、前記側部の径方向端部と平行な切り欠き部を有し、当該切り欠き部は前記回転子の軸方向に延伸するよう形成されることを特徴とする圧縮機。
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JP2014234100A JP2016100927A (ja) | 2014-11-19 | 2014-11-19 | 永久磁石式回転電機及びそれを用いた圧縮機 |
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JP2014234100A JP2016100927A (ja) | 2014-11-19 | 2014-11-19 | 永久磁石式回転電機及びそれを用いた圧縮機 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018137948A (ja) * | 2017-02-23 | 2018-08-30 | ファナック株式会社 | ロータ |
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CN112467951A (zh) * | 2020-11-12 | 2021-03-09 | 东南大学 | 一种双定子交替极无刷混合励磁电机 |
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2014
- 2014-11-19 JP JP2014234100A patent/JP2016100927A/ja active Pending
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