JP2016099483A - 感放射線性樹脂組成物、重合体及び化合物 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物、重合体及び化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】LWR性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、レジスト膜収縮抑制性及び欠陥発生抑制性に優れる感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される第1構造単位を有する重合体と、感放射線性酸発生体とを含有する感放射線性樹脂組成物。
Figure 2016099483

【選択図】なし

Description

本発明は、感放射線性樹脂組成物、重合体及び化合物に関する。
化学増幅型の感放射線性樹脂組成物は、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)やArFエキシマレーザー光(波長193nm)等に代表される遠紫外線、電子線等の照射(露光)により、露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする化学反応により露光部及び未露光部の現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる。
ArFエキシマレーザーを光源とする感放射線性樹脂組成物としては、例えば193nm領域に吸収を有しない脂環式炭化水素を骨格中に有する重合体を含む組成物が知られており、この組成物によれば現像コントラストが向上するとされている。上記重合体としては、スピロラクトン構造を有する構造単位を含む重合体が提案されている(特開2005−002248号公報参照)。
しかしながら、従来の感放射線性樹脂組成物は、有機溶媒現像に用いると、現像時に重合体の溶け残りが起こる場合があり、形成されるレジストパターンのライン幅のばらつきを表す値であるLWR性能(Line Width Roughness)、解像性、レジストパターンの断面形状の矩形性、焦点深度等を十分に満足することができない。また、上記従来の感放射線性樹脂組成物は、アルカリ水溶液現像に用いても、LWR性能、解像性、レジストパターンの断面形状の矩形性、焦点深度等を十分に満足することができない。加えて、従来の感放射線性樹脂組成物は、レジスト膜とし、露光した後のポストエクスポージャーベーク(PEB)時に膜収縮が大きいという問題がある。さらに、従来の感放射線性樹脂組成物は、パターン形成時に感放射線性樹脂組成物由来の欠陥が発生するという問題がある。
特開2005−002248号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、LWR性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、レジスト膜収縮抑制性及び欠陥発生抑制性(以下、「LWR性能等」ともいう)に優れる感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、下記式(1)で表される第1構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)と、感放射線性酸発生体(以下、[B]酸発生体ともいう)とを含有する感放射線性樹脂組成物である。
Figure 2016099483
(式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜5の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。但し、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの少なくとも1つは、上記1価の有機基である。Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。但し、R及びRが共に水素原子の場合、Rは上記1価の有機基であり、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。Rが上記1価の有機基かつRが水素原子の場合、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよく、またR、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。R及びRが共に上記1価の有機基の場合、R、R、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。)
本発明の重合体は、下記式(1)で表される構造単位(I)を有する。
Figure 2016099483
(式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜5の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。但し、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの少なくとも1つは、上記1価の有機基である。Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。但し、R及びRが共に水素原子の場合、Rは上記1価の有機基であり、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。Rが上記1価の有機基かつRが水素原子の場合、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよく、またR、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。R及びRが共に上記1価の有機基の場合、R、R、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。)
本発明の化合物は、下記式(i)で表される化合物(以下、「化合物(i)」ともいう)である。
Figure 2016099483
(式(i)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜5の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。但し、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの少なくとも1つは、上記1価の有機基である。Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。但し、R及びRが共に水素原子の場合、Rは上記1価の有機基であり、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。Rが上記1価の有機基かつRが水素原子の場合、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよく、またR、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。R及びRが共に上記1価の有機基の場合、R、R、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。)
本発明の感放射線性樹脂組成物によれば、優れた焦点深度及びレジスト膜収縮抑制性を発揮しつつ、LWRが小さく、解像度が高く、断面形状の矩形性に優れかつ欠陥の少ないレジストパターンを形成することができる。本発明の重合体は、当該感放射線性樹脂組成物の重合体成分として好適に用いることができる。本発明の化合物は、当該重合体の原料単量体として好適に用いることができる。従って、これらは、更なる微細化が求められるリソグラフィー工程において好適に用いることができる。
<感放射線性樹脂組成物>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体と[B]酸発生体とを含有する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[C]溶媒、[D]酸拡散制御体及び[E][A]重合体よりフッ素原子含有率が高い重合体(以下、「[E]重合体」ともいう)を含有することができる。さらに、当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分を詳述する。
<[A]重合体>
[A]重合体は、上記式(1)で表される構造単位(I)を有する重合体である。[A]重合体は、好ましくは、構造単位(I)以外の構造単位であって酸解離性基を含む構造単位(II)をさらに有する。また[A]重合体は、構造単位(I)及び構造単位(II)以外の構造単位であって、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む構造単位(III)を有していてもよい。さらに[A]重合体は、本発明の効果を損なわない限り、構造単位(I)、構造単位(II)及び構造単位(III)以外のその他の構造単位を有してもよい。なお、[A]重合体は、各構造単位を2種以上有してもよい。以下、各構造単位を詳述する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、上記式(1)で表される構造単位である。構造単位(I)のラクトン環には少なくとも1つの有機基が結合しており、[A]重合体の疎水性が高くなっていると考えられ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物は、LWR性能等を向上させることができる。当該感放射線性樹脂組成物が、上記構成を有することで上記効果を発揮する理由は必ずしも明確ではないが、例えば構造単位(I)が有するラクトン環に、少なくとも1つの有機基が結合していることによって、有機溶媒現像の場合は、[A]重合体と有機溶媒との親和性が効果的に向上すること、アルカリ現像の場合は、[A]重合体のアルカリ水溶液への溶解性が低下し、形成されるレジスト膜の未露光部がアルカリ水溶液に溶解するのを効果的に抑制できること等が考えられる。また、構造単位(I)はラクトン環を有するので、レジスト膜の基板への密着性を高めることができる。
上記式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜5の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。但し、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの少なくとも1つは、上記1価の有機基である。Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。但し、R及びRが共に水素原子の場合、Rは上記1価の有機基であり、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。Rが上記1価の有機基かつRが水素原子の場合、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよく、またR、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。R及びRが共に上記1価の有機基の場合、R、R、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。
上記R〜Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等の1価の炭化水素基、上記炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子を有する基を含む1価のヘテロ原子含有基、上記炭化水素基及びヘテロ原子含有基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された1価の基等が挙げられる。
上記鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有する基のヘテロ原子としては、炭素原子及び水素原子以外の原子であり、例えば酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子、イオウ原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有する基としては、例えば−O−、−NR’−、−S−、−CO−、−CS−、−SO−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。R’は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
上記置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられ、また、同一の炭素原子に結合する2個の水素原子を置換する酸素原子(=O、オキシ基)等が挙げられる。
aとしては、2又は3が好ましい。
Lで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基等の2価の炭化水素基、上記炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子を有する基を含む2価のヘテロ原子含有基、上記炭化水素基及びヘテロ原子含有基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された2価の基等が挙げられる。
これらの具体例としては、上記R〜Rで表される炭素数1〜20の1価の有機基として例示したものから1個の水素原子を除いて2価とした基等が挙げられる。
、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上、並びにR、R、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上により形成される炭素数3〜20の環構造としては、シクロヘプタン環構造、シクロヘキサン環構造、ノルボルナン環構造、アダマンタン環構造、ベンゼン環構造等が挙げられる。
構造単位(I)としては、例えば以下の式(1−1)〜(1−17)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2016099483
上記式中、Rは式(1)と同義である。
[A]重合体における構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、5モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、50モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。
<化合物(i)の製造方法>
[A]重合体は、後述するように、上記構造単位(I)を与える単量体を、必要に応じて他の構造単位を与える単量体と共にラジカル重合等させることで得られる。上記構造単位(I)を与える化合物(i)は、例えば下記式(a)で表される化合物と、下記式(b)で表される化合物とをエステル化反応させることにより製造することができる。
Figure 2016099483
上記式(a)及び(b)中、R、R〜R、a及びLは式(1)と同義である。
下記式(b)で表される化合物は、公知方法に従い合成することができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、酸解離性基を含む構造単位である。構造単位(I)は酸解離性基となりうる場合があるため、構造単位(II)は、構造単位(I)以外の構造単位である。当該感放射線性樹脂組成物は、露光部において、構造単位(II)中の酸解離性基が[B]酸発生体から発生した酸の作用により解離することにより、[A]重合体の現像液に対する溶解性が変化するので、感度よくレジストパターンを形成することができる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物は、LWR性能等をより向上させることができる。構造単位(II)における「酸解離性基」とは、例えばカルボキシ基、ヒドロキシ基等の極性基の水素原子を置換する基であって、酸の存在下で解離する基をいう。構造単位(II)としては、酸解離性基を含む限り、特に限定されないが、例えば下記式(2)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2016099483
上記式(2)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、1価の酸解離性基である。
上記Rで表される1価の酸解離性基としては下記式(I)で表される基が好ましい。
Figure 2016099483
上記式(I)中、Rp1は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。Rp2及びRp3は、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。
上記Rp1で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記Rp1、Rp2及びRp3で表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記Rp1、Rp2及びRp3で表される炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記Rp1、Rp2及びRp3で表される炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
これらのうち、Rp1が炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基であり、Rp2及びRp3の基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成されるアダマンタン構造又はシクロアルカン構造を表すことが好ましい。
構造単位(II)としては、例えば下記式(2−1)〜(2−4)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016099483
上記式(2−1)〜(2−4)中、Rは、上記式(1)と同義である。Rp1、Rp2及びRp3は、上記式(I)と同義である。nは、1〜4の整数である。
上記式(2)又は(2−1)〜(2−4)で表される構造単位としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016099483
Figure 2016099483
上記式中、Rは、上記式(2)と同義である。
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル等が挙げられる。
[A]重合体における構造単位(II)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して15モル%が好ましく、25モル%がより好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、50モル%がより好ましい。このような含有割合とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の感度等を向上させることができ、その結果、LWR性能等をより向上させることができる。
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、構造単位(I)及び構造単位(II)以外の構造単位であって、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む構造単位である。[A]重合体が、構造単位(III)をさらに有することで、レジスト膜の基板への密着性等を高めることができる。
構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2016099483
Figure 2016099483
Figure 2016099483
Figure 2016099483
上記式中、RL1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
[A]重合体における構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%以上60モル%以下が好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることでレジスト膜の密着性をより高めることができる。
<他の構造単位>
[A]重合体は、上記以外の他の構造単位を有していてもよい。他の構造単位を与える重合性不飽和単量体としては、例えば国際公開2007/116664号[0065]〜[0085]段落に開示されている単量体等が挙げられる。
上記他の構造単位としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル又は(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルに由来する構造単位が好ましい。
[A]重合体における他の構造単位の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、通常30モル%以下であり、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
[A]重合体の含有量としては、感放射線性樹脂組成物の全固形分中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、ラジカル重合等の常法に従って合成できる。合成方法としては、例えば単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法;各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等が挙げられる。
上記重合における反応温度は、ラジカル開始剤種によって適宜決定されるが、反応温度の下限としては、通常30℃であり、40℃が好ましく、50℃がより好ましい。反応温度の上限としては、通常180℃であり、160℃が好ましく、140℃がより好ましい。滴下時間は、反応温度、ラジカル開始剤の種類、反応させる単量体等によって異なるが、滴下時間の下限としては、通常30分であり、45分が好ましく、1時間がより好ましい。滴下時間の上限としては、通常8時間であり、6時間が好ましく、5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間の下限としては、通常30分であり、45分が好ましく、1時間がより好ましい。全反応時間の上限としては、通常8時間であり、7時間が好ましく、6時間がより好ましい。
上記ラジカル開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。これらのラジカル開始剤は2種以上を混合して使用できる。
上記重合に用いられる溶媒としては、各単量体の重合を阻害する溶媒以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば限定されない。溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、ラクトン系溶媒、ニトリル系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を併用できる。
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することができる。再沈溶媒としては、アルコール系溶媒等を使用できる。
[A]重合体を合成するための重合反応においては、分子量を調整するために、分子量調整剤を使用できる。分子量調整剤としては、例えばクロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の下限としては、1,000が好ましく、2,000がより好ましい。Mwの上限としては、20,000が好ましく、10,000がより好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の感度、LWR性能等のリソグラフィー性能をさらに向上させることができる。
[A]重合体中の低分子量成分の含有量としては、0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.06質量%以下が特に好ましい。低分子量成分の含有量を上記範囲とすることで、現像コントラストをより向上することができる。なお、低分子量成分とは、分子量1,000未満のものをいう。
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がより好ましい。なお、本明細書における重合体のMw及びMnは下記の条件によるGPCにより測定される。
カラム:G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、及びG4000HXL 1本(東ソー社)
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、感放射線性酸発生体である。[B]酸発生体は、露光により酸を発生し、その酸により[A]重合体の構造単位(II)等が有する酸解離性基などを解離させカルボキシ基等を発生させる。その結果、[A]重合体の極性が増大し、露光部における[A]重合体が、アルカリ水溶液現像の場合は現像液に対して溶解性となり、一方、有機溶媒現像の場合は現像液に対して難溶性となる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]感放射線性酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。これらのうち、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が好ましい。
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)−ヘキサン−1−スルホネート等が挙げられる。
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
スルホンイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
これらの[B]酸発生剤のうち、スルホニウム塩が好ましく、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネートがより好ましい。
これらの[B]酸発生剤は、2種以上を併用することができる。[B]酸発生体が酸発生剤である場合の含有量の下限としては、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、[A]重合体100質量部に対して、通常0.1質量部であり、1質量部が好ましく、3質量部がより好ましい。上記含有量の上限としては、通常30質量部であり、25質量部が好ましく、20質量部がより好ましい。[B]酸発生体の含有量が上記下限未満の場合、感放射線性樹脂組成物の感度及び現像性が低下する傾向がある。一方、[B]酸発生体の含有量が上記上限を超えると、露光光に対する透明性が低下し、所望のレジストパターンを得られ難くなるおそれがある。
<[C]溶媒>
当該感放射線性樹脂組成物は、通常[C]溶媒を含有する。[C]溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し、各成分と反応しないものが好適に用いられる。[C]溶媒としては、例えばアルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル類、炭化水素類等が挙げられる。なお、これらの溶媒は、2種以上を併用することができる。
上記アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
上記エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジ脂肪族エーテル;
ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル等のジ芳香族エーテル;
アニソール、フェニルエチルエーテル等の芳香族−脂肪族エーテル等が挙げられる。
上記ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチルアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等の脂肪族ケトン系溶媒;
アセトフェノン、プロピオフェノン、トリルメチルケトン等の脂肪族−芳香族ケトン系溶媒;
ベンゾフェノン、トリルフェニルケトン、ジトリルケトン等の芳香族ケトン系溶媒等が挙げられる。
上記アミド系溶媒としては、例えば
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
上記エステル系溶媒としては、例えば
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のモノエステル系溶媒;
ジ酢酸グリコール、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のジエステル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールモノエーテルアセテート系溶媒;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらのうち、エステル類、ケトン類が好ましく、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンがより好ましい。
<[D]酸拡散制御体>
当該感放射線性樹脂組成物は、[D]酸拡散制御体を含有することが好ましい。[D]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。当該感放射線性樹脂組成物が、[D]酸拡散制御体をさらに含有することで、当該感放射線性樹脂組成物は、パターン現像性、LWR性能により優れるレジストパターンを形成することができる。当該感放射線性樹脂組成物における[D]酸拡散制御体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[D]酸拡散制御剤」ともいう)でも重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[D]酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばN−(t−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−(t−ペンチルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−ペンチルオキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キナゾリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、2−キノキサリノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
[D]酸拡散制御剤としては、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(K1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(K2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
Figure 2016099483
上記式(K1)及び(K2)中、R〜R12は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子である。Z及びEは、OH、R−COO、R−SO 、R−N−SO−R又は下記式(K3)で表されるアニオンである。但し、Rは、アルキル基、アリール基又はアルカリール基である。Rは、フッ素原子を有していてもよいアルキル基である。
Figure 2016099483
上記式(K3)中、R13は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。
[D]酸拡散制御剤は2種以上を併用してもよい。[D]酸拡散制御体が[D]酸拡散制御剤である場合の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、15質量部がより好ましい。[D]酸拡散制御剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等がより向上する。
[[E]重合体]
[E]重合体は、[A]重合体よりフッ素原子含有率が高い重合体である。上記レジスト材料が[E]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に[E]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表層に偏在化する傾向がある。結果として、液浸露光を行う場合、酸発生剤や酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制でき好ましい。また、この[E]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角が所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。なお、フッ素原子含有率(質量%)は、重合体の構造を13C−NMR、H−NMR、IRスペクトル等を測定することにより求め、算出することができる。
[E]重合体としては、[A]重合体よりフッ素原子含有率が高い限り特に限定されないが、フッ素化アルキル基を有することが好ましい。[E]重合体は、フッ素原子を構造中に含む単量体を少なくとも1種以上用いて重合することにより形成される。フッ素原子を構造中に含む単量体としては、主鎖にフッ素原子を含む単量体、側鎖にフッ素原子を含む単量体、主鎖と側鎖とにフッ素原子を含む単量体が挙げられる。
主鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えばα−フルオロアクリレート化合物、α−トリフルオロメチルアクリレート化合物、β−フルオロアクリレート化合物、β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、α,β−フルオロアクリレート化合物、α,β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換された化合物等が挙げられる。
側鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えばノルボルネン等の脂環式オレフィン化合物の側鎖がフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基であるもの、アクリル酸又はメタクリル酸のフルオロアルキル基又はその誘導基を有するエステル化合物、1種類以上のオレフィンの側鎖(二重結合を含まない部位)がフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基である単量体等が挙げられる。
主鎖と側鎖とにフッ素原子を含む単量体としては、例えばα−フルオロアクリル酸、β−フルオロアクリル酸、α,β−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、β−トリフルオロメチルアクリル酸、α,β−トリフルオロメチルアクリル酸等のフルオロアルキル基又はその誘導基を有するエステル化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換された化合物の側鎖をフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基で置換した単量体、1種類以上の脂環式オレフィン化合物の二重結合に結合している水素原子をフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換し、かつ側鎖がフルオロアルキル基又はその誘導基である単量体等が挙げられる。なお、この脂環式オレフィン化合物とは環の一部が二重結合である化合物を示す。
[E]重合体がフッ素原子を有する態様としては、下記式(F1)で表される構造単位(IV)を含むことが好ましい。
Figure 2016099483
上記式(F1)中、R14は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R15は、少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基である。kは、1〜3の整数である。但し、R15が複数の場合、複数のR15はそ同一であっても異なっていてもよい。Aは、単結合又は(k+1)価の連結基である。
上記Aで表される(k+1)価の連結基としては、例えば酸素原子、硫黄原子、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミド基、スルホニルアミド基、ウレタン基、カルボニルオキシ−ジ(オキシカルボニル)エタンジイル基、カルボニルオキシ−ジ(オキシカルボニル)プロパンジイル基、トリ(カルボニルオキシ)エタンジイル基、カルボニルオキシ−トリ(オキシカルボニル)エタンジイル基、カルボニルオキシ−トリ(オキシカルボニル)プロパンジイル基、テトラ(カルボニルオキシ)エタンジイル基等が挙げられる。
構造単位(IV)を与える単量体としては、トリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル、2,2−ジ(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)エチル(メタ)アクリル酸エステル及び2,2−ジ(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)エチル(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル及び2,2−ジ(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)エチル(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
[E]重合体は、構造単位(IV)を2種以上有してもよい。構造単位(IV)の含有割合としては、[E]重合体における全構造単位に対して、通常5モル%以上であり、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましい。構造単位(IV)の含有割合が5モル%未満であると、70°以上の後退接触角を達成できなかったり、レジスト膜からの酸発生剤等の溶出を抑制できないおそれがある。
[E]重合体には、構造単位(IV)以外にも、現像液に対する溶解速度をコントロールするために酸解離性基を含む上記[A]重合体における構造単位(II)、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む上記[A]重合体における構造単位(III)、脂環式炭化水素基を含む構造単位等の他の構造単位を1種以上含有することができる。
上記脂環式炭化水素基を含む構造単位としては、例えば下記式(F2)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016099483
上記式(F2)中、R16は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Xは、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。
上記Xで表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン等のシクロアルカン類に由来する脂環族環からなる炭化水素基が挙げられる。
上記他の構造単位の含有割合としては、[E]重合体を構成する全構造単位に対して、通常90モル%以下であり、80モル%以下が好ましい。
[E]重合体の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。上記含有量の上限としては20質量部が好ましく、10質量部がより好ましい。[E]重合体の含有量を上記範囲とすることで、形成されるレジスト膜表面の撥水性をより適度に高めることができる。
([E]重合体の合成方法)
[E]重合体の合成方法としては、例えば[A]重合体の合成方法と同様の方法に従って合成することができる。[E]重合体のMwとしては、1,000以上50,000以下が好ましく、1,000以上30,000以下がより好ましく、1,000以上10,000以下がさらに好ましい。[E]重合体のMwが1,000未満の場合、十分な前進接触角を得ることができない場合がある。
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物は、上記成分の他、その他の成分として、偏在化促進剤、界面活性剤、増感剤等を含有してもよい。なお、当該感放射線性樹脂組成物は、上記その他の成分を2種以上含有してもよい。
[偏在化促進剤]
偏在化促進剤は、当該感放射線性樹脂組成物が[E]フッ素原子含有重合体を含有する場合に、この[E]フッ素原子含有重合体をより効率的にレジスト膜表面に偏在化させる効果を有するものである。当該感放射線性樹脂組成物にこの偏在化促進剤を含有させることで、撥水性添加剤の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、LWR、現像欠陥、パターン倒れ耐性等のレジスト基本特性を損なうことなく、レジスト膜からの液浸液への成分の溶出をさらに抑制したり、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制するレジスト膜表面の疎水性を向上させることができる。このような偏在化促進剤として用いることができるものとしては、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物を挙げることができる。このような化合物としては、例えばラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。
上記ラクトン化合物としては、例えばγ−ブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等が挙げられる。
上記カーボネート化合物としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
上記ニトリル化合物としては、例えばスクシノニトリル等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えばグリセリン等が挙げられる。
これらの中で、ラクトン化合物及びカーボネート化合物が好ましく、γ−ブチロラクトン及びプロピレンカーボネートがより好ましく、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。市販品としては、例えばKP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業製)等が挙げられる。
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生体の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[C]溶媒中で[A]重合体、[B]酸発生体及びその他の成分を所定の割合で混合することにより調製できる。当該感放射線性樹脂組成物は、使用に際して通常、溶媒に溶解した後、例えば孔径200nm程度のフィルターでろ過することによって調製される。溶媒に溶解する際の全固形分濃度の下限としては、通常1質量%であり、1.5質量%が好ましい。上記全固形分濃度の上限としては、通常30質量%であり、25質量%が好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物は、有機溶媒現像に好適に用いることができる。当該感放射線性樹脂組成物は、上述したように、上記構成を有することで[A]重合体と有機溶媒との親和性が効果的に向上すると考えられるので、有機溶媒現像に用いると、LWR性能等を向上させることができる。
当該感放射線性樹脂組成物は、アルカリ水溶液現像に好適に用いることができる。当該感放射線性樹脂組成物は、上述したように、上記構成を有することで[A]重合体のアルカリ水溶液への溶解性が低下し、形成されるレジスト膜の未露光部がアルカリ水溶液に溶解するのを効果的に抑制できると考えられるので、アルカリ水溶液現像に用いると、LWR性能等を向上させることができる。
<レジストパターンの形成方法>
当該感放射線性樹脂組成物を用いたレジストパターン形成方法は、(1)当該感放射線性樹脂組成物を用い、基板上にレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう)、(2)上記レジスト膜を露光する工程(以下、「工程(2)」ともいう)、及び(3)露光された上記レジスト膜を現像する工程(以下、「工程(3)」ともいう)を有する。以下、各工程を詳述する。
[工程(1)]
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物を用い、基板上にレジスト膜を形成する。基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板を使用できる。また、例えば特公平6−12452号公報や、特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の下層反射防止膜を基板上に形成してもよい。
塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成されるレジスト膜の膜厚の下限としては、通常10nmであり、10nmが好ましい。上記膜厚の上限としては、通常1,000nmであり、500nmが好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物を塗布した後、必要に応じてプレベーク(PB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。PBの温度条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、温度の下限としては、通常30℃であり、50℃が好ましい。温度の上限としては通常200℃であり、150℃が好ましい。
[工程(2)]
本工程では、工程(1)で形成したレジスト膜の所望の領域に特定パターンのマスク、及び必要に応じて液浸液を介して縮小投影することにより露光を行う。例えば、所望の領域にアイソラインパターンマスクを介して縮小投影露光を行うことにより、アイソトレンチパターンを形成できる。また、露光は2回以上行ってもよい。なお、露光の際に用いられる液浸液としては、例えば水、フッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましい。露光光がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水が好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤を僅かな割合で添加してもよい。この添加剤は、ウェハ上のレジスト層を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
露光に使用される露光光としては、[B]酸発生体の種類に応じて適宜選択されるが、例えば紫外線、遠紫外線、EUV(超紫外線)、X線、荷電粒子線等が挙げられる。これらのうち、ArFエキシマレーザー光及びKrFエキシマレーザー光(波長248nm)の遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光がより好ましい。露光量等の露光条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選択される。
本工程では、露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、当該感放射線性樹脂組成物中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行できる。PEB温度の下限としては、通常30℃であり、50℃以上が好ましい。上限に関しては、通常200℃未満であり、150℃未満が好ましい。30℃より低い温度では、上記解離反応が円滑に進行しないおそれがあり、一方、200℃以上の温度では、[B]酸発生体から発生する酸が未露光部にまで広く拡散し、良好なパターンが得られないおそれがある。
[工程(3)]
本工程では、工程(2)の後に現像液を用いて現像を行い、レジストパターンを形成する。現像液としては、有機溶媒現像の場合、有機溶媒を80質量%以上含有するネガ型現像液を用いることが好ましい。ネガ型現像液とは低露光部及び未露光部を選択的に溶解・除去させる現像液のことである。ネガ型現像液に含有される有機溶媒としては、炭素数3〜7のカルボン酸アルキルエステル及び炭素数3〜10のジアルキルケトンからなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒が好ましい。現像液として上記特定有機溶媒を用いることで、当該感放射線性樹脂組成物の現像液への溶解性がより向上し、LWR性能等がより向上すると考えられる。
上記炭素数3〜7のカルボン酸アルキルエステルとしては、例えばジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル等が挙げられる。
上記炭素数3〜10のジアルキルケトンとしては、例えばアセトン、2−ブタノン、メチルイソアミルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン等が挙げられる。
これらのうち、酢酸n−ブチル、メチルアミルケトンが好ましい。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
また、アルカリ水溶液現像の場合、現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液を用いることが好ましい。
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
<重合体>
当該重合体は、上記式(1)で表される構造単位(I)を有する。従って、当該重合体は当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。当該重合体は、ベース重合体として用いてもよいし、フッ素原子を含む構造単位を含有させて撥水性添加剤として用いてもよい。
<化合物>
当該化合物は、上記式(i)で表される。当該化合物は上記式(i)で表される構造を有するので、当該重合体中に構造単位(I)を組み込む単量体化合物として好適に用いることができる。
なお、当該重合体及び当該化合物の詳細な説明は、当該感放射線性樹脂組成物に含有される[A]重合体の項で行っているので、ここでは省略する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例及び比較例における各測定は、下記の方法により行った。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
東ソー社のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、多分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
13C−NMR分析]
測定装置として日本電子社の「JNM−ECX400」を、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
<化合物の合成>
[実施例1](化合物(M−1)の合成)
300mLの丸底フラスコに亜鉛粉末8.67g(133mmol)、テトラヒドロフラン70mL及びトリメチルシリルクロリド0.852g(7.85mmol)を加え、室温で30分撹拌した。そこへ、5−ヒドロキシアダマンタン−2−オン13.0g(78.5mmol)及びエチルブロモメタクリレート19.7g(102mmol)をテトラヒドロフラン60mLに溶解させた溶液を、ゆっくりと内温を40℃以下に保ちつつ滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌し、シリカゲルを5g加えて反応を停止させた。ろ過により不溶物を除去した後、酢酸エチルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィで精製することにより、化合物(m−1)を14.6g(収率79%)得た。
200mLの丸底フラスコに化合物(m−1)7.0g(29.9mmol)及びメタノール50mLを加え、氷浴にて0℃に冷却した。そこへ、水素化ホウ素ナトリウム0.969g(25.6mmol)を固体のままゆっくりと加えた。0℃のまま3時間撹拌した。シリカゲルを2g加えて反応を停止した後、ろ過によって不溶物を除去した。酢酸エチルを加え、水で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィで精製することにより、化合物(m−2)を4.60g(収率65%)得た。
300mLの丸底フラスコに化合物(m−2)4.50g(19.0mmol)、トリエチルアミン2.31g(22.9mmol)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.641g(5.71mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド60mLを加え、水浴にて室温で撹拌した。そこへ、塩化メタクリロイル2.59g(24.8mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌した。水を加えて反応を停止し、有機層を水で2回洗浄した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することにより(M−1)を4.25g(収率73%)得た。
Figure 2016099483
[実施例2〜17](化合物(M−2)〜(M−17)の合成)
前駆体を適宜選択し、実施例1と同様の操作を行うことによって、下記式(M−2)〜(M−17)で表される化合物を合成した。
Figure 2016099483
<[A]重合体及び[E]重合体の合成>
各実施例及び比較例における各重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。
Figure 2016099483
Figure 2016099483
[実施例18](重合体(A−1)の合成)
化合物(M’−1)6.51g(30モル%)、化合物(M’−2)6.30g(40モル%)、化合物(M’−3)4.37g(20モル%)及び化合物(M−1)2.82g(10モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、開始剤としてAIBN0.76g(全モノマーに対して5モル%)を添加して単量体溶液を調製した。次いで20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分間窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を得た(15.8g、収率79%)。重合体(A−1)のMwは7,400であり、Mw/Mnは1.54であった。13C−NMR分析の結果、(M’−1)、(M’−2)、(M’−3)及び(M−1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ30.1モル%、40.1モル%、19.6モル%及び10.2モル%であった。
[実施例38](重合体(A−21)の合成)
化合物(M’−4)49.19g(60モル%)、化合物(M’−5)25.11g(20モル%)、化合物(M−2)25.71g(20モル%)、開始剤としてAIBN4.15g(全モノマーに対して5モル%)及びt−ドデシルメルカプタン1.14g(全モノマーに対して1.5モル%)を、プロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合溶液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで上記重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−21)を得た(66.2g、収率76%)。重合体(A−21)のMwは7600であり、Mw/Mnは1.91であった。13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン、(M’−5)及び(M−2)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ60.2モル%、19.8モル%及び20.0モル%であった。
[実施例19〜37、39〜43及び合成例1〜9](重合体(A−2)〜(A−20)及び(A−22)〜(A−35)の合成)
表1及び表2に示すようにモノマーを適宜選択し、実施例18と同様の操作を行うことによって、重合体(A−2)〜(A−20)及び(A−22)〜(A−35)を合成した。
Figure 2016099483
Figure 2016099483
[合成例10](重合体(E−1)の合成)
化合物(M’−6)79.9g(70モル%)及び化合物(M’−17)20.91g(30モル%)を、100gの2−ブタノンに溶解し、開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート4.77gを溶解させて単量体溶液を調製した。次いで100gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分間窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。反応溶液を2L分液漏斗に移液した後、150gのn−ヘキサンで上記重合溶液を均一に希釈し、600gのメタノールを投入して混合した。次いで30gの蒸留水を投入し、さらに攪拌して30分間静置した。その後、下層を回収し、固形分である重合体(E−1)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率60%)。重合体(E−1)のMwは7,200であり、Mw/Mnは2.00であった。13C−NMR分析の結果、(M’−6)及び(M’−17)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ71.1モル%及び28.9モル%であった。
<感放射線性樹脂組成物(I)の調製>
下記実施例44〜63及び比較例1〜8の感放射線性樹脂組成物(I)の調製に用いた[B]酸発生剤、[D]酸拡散制御剤及び[C]溶媒を以下に示す。
[[B]酸発生剤]
B−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノルボルナンスルトン−2−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
各構造式を以下に示す。
Figure 2016099483
[[D]酸拡散制御剤]
D−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート
D−2:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
D−3:N−(n−ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
D−4:2,6−ジi−プロピルアニリン
D−5:トリn−ペンチルアミン
各構造式を以下に示す。
Figure 2016099483
[[C]溶媒]
C−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−2:シクロヘキサノン
[[F]偏在化促進剤]
F−1:γ−ブチロラクトン
[ArF露光用感放射線性樹脂組成物]
[実施例44]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)8.5質量部、[D]酸拡散制御剤としての(D−1)2.3質量部、[E]重合体としての(E−1)3質量部、[C]溶媒としての(C−1)2,240質量部及び(C−2)960質量部、並びに[F]偏在化促進剤としての(F−1)30質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
[実施例45〜63及び比較例1〜8]
下記表3に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例44と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
Figure 2016099483
<レジストパターンの形成(1)>
12インチのシリコンウエハー表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いてアルカリ現像し、水で洗浄した後、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成したパターンが、線幅40nmの1対1ラインアンドスペース状に形成される露光量を最適露光量とした。
<レジストパターンの形成(2)>
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
<評価>
上記形成したレジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物を評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。
[LWR性能]
レジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど良いことを示す。
[解像性]
上記最適露光量において解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この測定結果を解像性(nm)とした。測定値が小さいほど解像性は良いことを示す。
[断面形状]
上記最適露光量において解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの高さ方向における中間での線幅Lb及び膜の上部での線幅Laを測定した。これらの測定値からLa/Lbを算出し、断面形状の矩形性の指標とした。0.9≦La/Lb≦1.1である場合、断面形状は「良好」と評価でき、上記範囲外である場合、断面形状は「不良」と評価できる。
[焦点深度]
上記最適露光量において解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%〜110%に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定結果を焦点深度(nm)とした。測定値が大きいほど焦点深度は良いことを示す。
評価結果を表4に示す。
Figure 2016099483
[レジスト膜収縮抑制性]
12インチのシリコンウエハー表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、70mJで全面露光を行った後に膜厚測定を実施し、膜厚Aを求めた。続いて、90℃で60秒間のPEBを実施した後に、再度膜厚測定を実施し、膜厚Bを求めた。このとき、100×(A−B)/A(%)を求め、これをPEBによる膜収縮率とした。評価結果を表5に示す。測定値が小さいほどPEBによる膜収縮は良いことを示す。
Figure 2016099483
[欠陥抑制性]
下層反射防止膜形成用組成物(日産化学社の「ARC66」)により下層反射防止膜を形成した12インチシリコンウェハ上に、感放射線性樹脂組成物により塗膜を形成し、120℃で50秒間SBを行い、膜厚110nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜についてArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、ターゲットサイズが幅40nmのラインアンドスペース(1L/1S)形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、95℃で50秒間PEBを行った。その後、現像装置(東京エレクトロン社の「クリーントラック ACT8」)のGPノズルによって2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により10秒間現像し、15秒間純水によりリンスし、2,000rpmで液振り切り乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅40nmの1L/1Sを形成する露光量を最適露光量とした。この最適露光量にてウェハ全面に線幅40nmの1L/1Sを形成し、欠陥検査用ウェハとした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CC−4000」)を用いた。この欠陥検査用ウェハ上の欠陥数を、欠陥検査装置(KLA−Tencor社の「KLA2810」)を用いて測定した。そして、上記測定された欠陥をレジスト膜由来と判断されるものと外部由来の異物とに分類し、レジスト膜由来と判断されるものの数を算出した。評価結果を表6に示す。欠陥抑制性は、このレジスト膜由来と判断される欠陥の数が少ないほど良好である。
Figure 2016099483
[電子線露光用感放射線性樹脂組成物]
[実施例64]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20質量部、[D]酸拡散制御剤としての(D−1)3.6質量部、[C]溶媒としての(C−1)4,280質量部及び(C−2)1,830質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−21)を調製した。
[実施例65〜71及び比較例9〜14]
下記表7に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例64と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
Figure 2016099483
<レジストパターンの形成(3)>
8インチのシリコンウエハー表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、表7に記載の各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm)を用いて電子線を照射した。照射後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いて23℃で30秒間現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。
<レジストパターンの形成(4)>
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
<評価>
上記各感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジストパターンについて、上記実施例44〜63及び比較例1〜8と同様の評価を実施した。評価結果を表8に示す。
Figure 2016099483
表3〜8の結果から、実施例の感放射線性樹脂組成物によれば、ArF露光及び電子線露光のいずれの場合においても、かつアルカリ現像及び有機溶媒現像のいずれの場合においても、LWR性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、レジスト膜収縮抑制性及び欠陥発生抑制性に優れることがわかる。なお、一般的に電子線露光によれば、EUV露光の場合と同様の傾向を示すことが知られており、したがって、EUV露光の場合においても、実施例の感放射線性樹脂組成物によれば、LWR性能等に優れることが推測される。
本発明の感放射線性樹脂組成物によれば、優れた焦点深度及びレジスト膜収縮抑制性を発揮しつつ、LWRが小さく、解像度が高く、断面形状の矩形性に優れかつ欠陥の少ないレジストパターンを形成することができる。本発明の重合体は、当該感放射線性樹脂組成物の重合体成分として好適に用いることができる。本発明の化合物は、当該重合体の原料単量体として好適に用いることができる。従って、これらは、更なる微細化が求められるリソグラフィー工程において好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される第1構造単位を有する重合体と、
    感放射線性酸発生体と
    を含有する感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2016099483
    (式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜5の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。但し、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの少なくとも1つは、上記1価の有機基である。Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。但し、R及びRが共に水素原子の場合、Rは上記1価の有機基であり、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。Rが上記1価の有機基かつRが水素原子の場合、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよく、またR、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。R及びRが共に上記1価の有機基の場合、R、R、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。)
  2. 上記重合体が、上記第1構造単位以外の構造単位であって酸解離性基を含む第2構造単位をさらに有する請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
  3. 有機溶媒現像用である請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  4. アルカリ水溶液現像用である請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  5. 下記式(1)で表される第1構造単位を有する重合体。
    Figure 2016099483
    (式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜5の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。但し、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの少なくとも1つは、上記1価の有機基である。Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。但し、R及びRが共に水素原子の場合、Rは上記1価の有機基であり、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。Rが上記1価の有機基かつRが水素原子の場合、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよく、またR、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。R及びRが共に上記1価の有機基の場合、R、R、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。)
  6. 下記式(i)で表される化合物。
    Figure 2016099483
    (式(i)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。aは、1〜5の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。但し、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの少なくとも1つは、上記1価の有機基である。Lは、炭素数1〜20の2価の有機基である。但し、R及びRが共に水素原子の場合、Rは上記1価の有機基であり、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。Rが上記1価の有機基かつRが水素原子の場合、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよく、またR、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。R及びRが共に上記1価の有機基の場合、R、R、R、L、1又は複数のR及び1又は複数のRのうちの2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子又は原子鎖と共に構成される炭素数3〜20の環構造を形成してもよい。)
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