JP2016098847A - 差動装置 - Google Patents

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良二 中田
Ryoji Nakada
良二 中田
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Abstract

【課題】差動装置のデフケースが、リングギヤの回転力を差動機構に伝達する第1ケースと、その第1ケースとの間に差動機構の収容空間を画成する第2ケースとから構成されるものにおいて、第1,第2ケースの荷重負担差に配慮して第1,第2フランジの肉厚や溶接深さを設定することで、従来装置よりも更に軽量化した差動装置を提供する。
【解決手段】第1ケースC1に形成した第1フランジ部F1の少なくとも一部分F1mと、第2ケースC2に形成した第2フランジ部F2とが、デフケースDC周方向に交互に並ぶように配置されてリングギヤRの内周部に各々溶接wされ、第2フランジ部F2は、第1フランジ部F1の前記少なくとも一部分F1mよりも薄肉に形成され且つリングギヤRに対する溶接深さが浅く設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、差動装置、特に回転力を受けるリングギヤと、このリングギヤと一体に回転するデフケースと、そのデフケースにリングギヤから伝達された回転力を一対の出力軸に分配して伝達する差動機構とを備え、デフケースが、リングギヤの回転力を差動機構に伝達する第1ケースと、その第1ケースとの間に差動機構の収容空間を画成する第2ケースとを備えた差動装置の改良に関する。
従来、斯かる差動装置は、例えば特許文献1にも記載されているように公知であり、この従来装置では、第1ケースに設けた第1フランジ部と、第2ケースに設けた第2フランジ部とをリングギヤに対し同一円周上で効率よく溶接できるようにしている。
特開2010−91046号公報
上記従来装置では、リングギヤから差動機構側への動力伝達経路となる第1ケースと、差動機構に対する単なるカバーとして機能するに過ぎない第2ケースとの荷重負担の差に配慮して、リングギヤに対する第1フランジの周方向溶接長さを第2フランジのそれよりも長く設定しているが、それら第1,第2フランジの肉厚や溶接深さに関して差動装置の更なる軽量化を図るための工夫は、特になされていない。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたもので、第1,第2ケースの荷重負担差に配慮して第1,第2フランジの肉厚や溶接深さを設定することで、従来装置よりも更に軽量化できる差動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、回転力を受けるリングギヤと、このリングギヤと一体に回転するデフケースと、そのデフケースに前記リングギヤから伝達された回転力を一対の出力軸に分配して伝達する差動機構とを備え、前記デフケースが、前記リングギヤの回転力を前記差動機構に伝達する第1ケースと、その第1ケースとの間に前記差動機構の収容空間を画成する第2ケースとを備えた差動装置において、前記第1ケースに形成した第1フランジ部の少なくとも一部分と、前記第2ケースに形成した第2フランジ部とが、デフケースの周方向に交互に並ぶように配置されて前記リングギヤの内周部に各々溶接され、前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部の前記少なくとも一部分よりも薄肉に形成され且つ前記リングギヤに対する溶接深さが浅く設定されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記リングギヤは、ヘリカルギヤよりなる入力歯部を有する環状のリム部と、このリム部の内周に連設されて前記第1および第2フランジ部に溶接されるハブ部とを備え、前記第1フランジ部には、前記デフケースの軸方向で前記ハブ部の一方側の端部に係合する段部が形成され、前記第1フランジ部と前記リングギヤとは、前記軸方向で前記ハブ部の他方側より溶接されることを第2の特徴とする。
また本発明は、第2の特徴に加えて、前記第1フランジ部は、前記デフケースの周方向に間隔をおいて互いに並列配置されて前記リングギヤと溶接される、前記一部分を構成する複数の主フランジ部と、それら主フランジ部よりも薄肉に形成されて前記周方向で相隣なる主フランジ部の相互間を一体に接続し且つ前記第2フランジ部に空隙を存して対向する複数の副フランジ部とを含み、それら主、副フランジ部に前記段部が形成されることを第3の特徴とする。
また本発明は、第1〜第3の何れかの特徴に加えて、前記差動機構は、前記第1ケースに保持されてピニオンを支持するピニオン支持部と、そのピニオンに噛合する環状の歯部を外周部に有して前記一対の出力軸にそれぞれ接続される一対のサイドギヤとを備え、前記ピニオン支持部が、前記デフケースの回転軸線と直交する投影面で見て前記第1フランジ部の前記少なくとも一部分とオーバラップしていることを第4の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、差動装置のデフケースにおいて、リングギヤの回転力を差動機構に伝達する第1ケースに形成した第1フランジ部の少なくとも一部分と、第2ケースに形成した第2フランジ部とが、デフケース周方向に交互に並ぶように配置されてリングギヤの内周部に各々溶接され、第2フランジ部は、第1フランジ部の前記少なくとも一部分よりも薄肉に形成され且つ溶接深さが浅く設定されるので、動力伝達経路となって荷重負担の大きい第1ケース側の第1フランジは、これの少なくとも一部分(即ちリングギヤに溶接される部分)では肉厚を十分に確保しつつ溶接深さも十分深くすることができ、一方、動力伝達経路とはならず荷重負担の比較的小さい第2ケース側の第2フランジは、薄肉にしてリングギヤとの溶接深さも浅くすることができる。これにより、第1,第2ケースの荷重負担差に配慮しながら、差動装置を、そのデフケースの必要強度を確保しつつ効果的に軽量化することができる。
また特に本発明の第2の特徴によれば、リングギヤは、ヘリカルギヤよりなる入力歯部を有する環状のリム部と、このリム部の内周に連設されて第1、第2フランジ部に溶接されるハブ部とを備え、第1フランジ部には、ハブ部の軸方向一方側の端部に係合する段部が形成され、第1フランジ部とリングギヤとは、ハブ部の軸方向他方側より溶接されるので、リングギヤの入力歯部をヘリカルギヤとしたことでデフケース側に比較的大きなスラスト荷重が作用しても、その一方側のスラスト荷重は前記段部により受け止められ、またその他方側のスラスト荷重は、その他方側からの溶接により受け止められ、従って、その溶接方向を二方向に設定する必要はなく、それだけ溶接工程が簡略化できる。
また特に本発明の第3の特徴によれば、第1フランジ部は、デフケースの周方向に間隔をおいて互いに並列配置されてリングギヤと溶接される複数の主フランジ部と、それら主フランジ部よりも薄肉に形成されて周方向で相隣なる主フランジ部の相互間を一体に接続し且つ第2フランジ部に空隙を存して対向する複数の副フランジ部とを含み、それら主、副フランジ部に前記段部が形成されるので、その主、副フランジ部の段部によりスラスト荷重を確実に受け止めることができ、また溶接に関与しない副フランジ部は、第2フランジとの間に空隙が形成されるほどに十分薄肉に形成できて、差動装置の軽量化に寄与することができる。
また特に第4の特徴によれば、差動機構のピニオン支持部が、デフケースの回転軸線と直交する投影面で見て第1フランジ部の前記少なくとも一部分とオーバラップしているので、第1ケースにおいてリングギヤに対し結合強度の高い部位でピニオン支持部を保持させることができ、それだけピニオンに対する支持剛性を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る差動装置及びその周辺の縦断面図(図2の1−1線断面図) 図1の2−2線断面図 (A)は図1の3−3線断面図、(B)は、前記(A)のB−B線断面図、(C)は前記(A)のC矢視部拡大図 前記差動装置におけるデフケースの要部分解斜視図 溶接工程を説明するための、差動装置の単体断面図 前記差動装置のピニオン支持部の変形例を示す要部断面図
本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
先ず、図1及び図2において、差動装置Dは、自動車に搭載されるエンジン(図示せず)から伝達された回転駆動力を、左右一対の車軸に連なる左右一対の出力軸Aに分配して伝達することにより、その左右車軸を、それらの差動回転を許容しつつ駆動するためのものであって、例えば車体前部のエンジンの横に配置されたミッションケース1内に収容、支持されている。
この差動装置Dは、動力源としてのエンジンから回転力を受けるファイナルドリブンギヤとしてのリングギヤRと、このリングギヤRと一体に回転するデフケースDCと、そのデフケースDCにリングギヤRから伝達された回転力を左右一対の出力軸Aに分配して伝達する差動機構DMとを備える。そして、そのデフケースDCは、リングギヤRの回転力を差動機構DMに伝達する機能を担う第1ケースC1と、その第1ケースC1との間に差動機構DMの収容空間を画成するようにして第1ケースC1の開放端を塞いで差動機構DMを隠す蓋機能を担う第2ケースC2とで構成される。
また差動機構DMは、複数のピニオンPと、それらピニオンPを回転自在に支持すべく第1ケースC1に保持されるピニオン支持部としてのピニオンシャフトPSと、ピニオンPに噛合する環状の入力歯部Sgを外周部に有して左右一対の出力軸Aにそれぞれ接続される一対のサイドギヤSとを備える。その一対のサイドギヤSは、一対の出力軸Aの内端部がそれぞれスプライン嵌合4されて接続される円筒状の軸部Sjと、その軸部Sjから半径方向外方に一体に張出す環状突起部5とを備えており、その環状突起部5に前記入力歯部Sgが形成される。
尚、本実施形態ではピニオンPを2個とし、ピニオン支持部としてのピニオンシャフトPSを入力部材Iの一直径線に沿って延びる直線棒状に形成して、それの両端部に2個のピニオンPをそれぞれ支持させるようにしたものを示したが、ピニオンPを3個以上設けてもよい。その場合には、ピニオンシャフトPSを、3個以上のピニオンPに対応して入力部材Iの回転軸線Lから三方向以上に枝分かれして放射状に延びる交差棒状(例えばピニオンPが4個の場合には十字状)に形成して、その各先端部にピニオンPを各々支持させるようにする。尚また、ピニオンP及びサイドギヤSは、本実施形態ではベベルギヤに形成されているが、そのようなベベルギヤに代えて他のギヤを採用してもよく、例えばサイドギヤSをフェースギヤとし且つピニオンPをスパーギヤ又はヘリカルギヤとしてもよい。尚また、ピニオンシャフトPSにはピニオンPを図示例のように直接嵌合させてもよいし、或いは軸受ブッシュ等の軸受手段(図示せず)を介挿させてもよい。またピニオンシャフトPSは、全長に亘り略一様等径の軸状としてもよいし、或いは段付き軸状としてもよい。またピニオンシャフトPSとピニオンPとの嵌合面の少なくとも一方に凹部を設けて、そこを油通路としてもよい。
前記デフケースDCは、左右一対の軸受2を介してミッションケース1に回転自在に支持される。またミッションケース1に形成されて各出力軸Aが嵌挿される貫通孔1aの内周と、各出力軸Aの外周との間には、その間をシールする環状シール部材3が介装される。そして、ミッションケース1の底部には、その内部空間に臨んで所定量の潤滑油を貯溜するオイルパン(図示せず)が設けられており、その潤滑油がミッションケース1内においてデフケースDCその他の回転部材の回転により差動装置Dの周辺に飛散することで、リングギヤRや軸受2等が潤滑される。またデフケースDC内には、差動機構DMを潤滑する潤滑油が封入される。
前記リングギヤRは、ヘリカルギヤよりなる入力歯部Rgを有する環状のリム部10と、このリム部10の内周に一体に連設されるハブ部11とを備えており、その入力歯部Rgは、エンジンの動力で回転駆動されるドライブギヤ(図示せず)と噛合する。尚、リングギヤRの入力歯部Rgは、本実施形態ではヘリカルギヤとして形成されるが、本発明では、必ずしもヘリカルギヤとする必要はなく、通常のスパーギヤでもよい。
また、ハブ部11は、デフケースDCを構成する第1,第2ケースC1,C2にそれぞれ一体に形成した第1,第2フランジ部F1,F2に溶接wされる。
次にデフケースDCを構成する第1,第2ケースC1,C2及びその両ケースC1,C2間の結合構造について図3及び図4も併せて参照して、具体的に説明する。
第1ケースC1は、差動機構DMの大部分を収納し得る内部空間を有して一端が開放された椀状に形成される第1ケース本体6と、その第1ケース本体6の他端に一体に形成されるボス部7とを備える。このボス部7は、その外周が左右一方の軸受2を介してミッションケース1に支持され、またその内周に左右一方の出力軸Aが回転自在に嵌合される。また第1ケース本体6の周壁には、ピニオンシャフトPSの両端部を嵌合支持する支持孔6aが形成されており、その支持孔6aに嵌合したピニオンシャフトPSの一端部が、第1ケース本体6に圧入されて該一端部に嵌挿される抜止めピン6pにより第1ケース本体6に固定される。また、第1ケース本体6の内端面は、これと対向する左右一方のサイドギヤSの環状突起部5の背面をワッシャ15を介して回転自在に支持している。尚、このワッシャ15を省略して、第1ケース本体6の内端面にサイドギヤSの環状突起部5の背面を直接支持してもよく、また前記ワッシャ15に加えて、間隔調整用のシムを介装してもよい。
また第2ケースC2は、一端開放の短円筒状に形成されて第1ケースC1の開放端を塞ぐ第2ケース本体8と、その第2ケース本体8の他端に一体に形成されるボス部9とを備える。このボス部9は、その外周が左右他方の軸受2を介してミッションケース1に支持され、またその内周に左右他方の出力軸Aが回転自在に嵌合される。また第2ケース本体8の内端面は、これと対向する左右他方のサイドギヤSの環状突起部5の背面をワッシャ16を介して回転自在に支持している。尚、このワッシャ16を省略して、第2ケース本体8の内端面にサイドギヤSの環状突起部5の背面を直接支持してもよく、また前記ワッシャ16に加えて、間隔調整用のシムを介装してもよい。
前記第1ケース本体6の開放端部、即ち第2ケースC2側の端部には、円環状の第1フランジ部F1が一体に形成され、また第2ケース本体8の周壁部の外周面には、半径方向外方に各々延び且つ周方向に互い間隔をおいて並列して扇形の板状に各々形成される複数の第2フランジ部F2が一体に形成される。
また本実施形態において、第1フランジ部F1は、リングギヤRのハブ部11が溶接wされる、軸方向に厚肉の複数の主フランジ部F1mと、その主フランジ部F1mよりも薄肉に形成される複数の副フランジ部F1sとを周方向交互に一体に連ねて一連の環状に構成される。しかもその第1フランジ部F1(即ち主、副フランジ部F1m,F1s)の内周部は、第2ケースC2の第2ケース本体8の外周部に嵌合している。また、複数の副フランジ部F1sは、複数の第2フランジ部F2にそれぞれ対応した扇形をなし、しかもその副フランジ部F1sの端面は、主フランジ部F1mの端面よりも軸方向内方側(ピニオンシャフトPS側)に後退している。
そして、その第1フランジ部F1における複数の主フランジ部F1mと、複数の第2フランジ部F2とは、周方向に交互に且つ隙間なく並列される配置となる。しかもその並列配置状態で、周方向に相隣なる主フランジ部F1m間に挟まれる第2フランジ部F2と、その相隣なる主フランジ部F1m間に存する副フランジ部F1sとは、空隙18を存して軸方向に相対向する。
而して、第1フランジF1の少なくとも一部分、即ち主フランジ部F1mと、第2フランジ部F2とは、上記のように周方向に交互に並列配置された状態で、リングギヤRのハブ部11にその周方向全周に亘り連続して突き当て溶接wされる。この場合、第2フランジ部F2は、第1フランジ部F1の主フランジ部F1mよりも薄肉に形成されるだけでなく、溶接工程で用いるレーザトーチGからのレーザ出力調整により、その第2フランジ部F2の溶接深さが主フランジ部F1mのそれよりも浅く設定される。
また本実施形態では、図3からも明らかなように、第1フランジ部F1の主フランジ部F1mは、ピニオン支持部としてのピニオンシャフトPSの端部に対して、デフケースDCの回転軸線Lと直交する投影面で見て一部が重なり合う配置とされる。尚、その重なり合う領域を、図3(C)において符号Xで示す。この配置によれば、第1ケースC1においてリングギヤRに対し結合強度の高い部位(即ち厚肉の主フランジ部F1mと隣接する部位)でピニオンシャフトPsを保持させることができるから、それだけピニオンPに対する支持剛性が高められる。
また、第1,第2ケース本体6,8の相対向する端部の何れか一方と他方には、第1,第2フランジ部F1,F2よりも半径方向内方側且つ軸方向内方側(即ちピニオンシャフトPS側)において互いに同軸に凹凸嵌合する嵌合凸部20と嵌合凹部21がそれぞれ形成される。
また第1フランジ部F1を構成する主、副フランジ部F1m,F1sには、リングギヤRのハブ部11の軸方向一方側(ピニオンシャフトPS寄り)の端部に係合する環状段部19が形成される。そして、この環状段部19の特設に関係して、第1,第2フランジ部F1,F2とリングギヤRとは、前記ハブ部11の軸方向他方側(ピニオンシャフトPSとは反対側)より溶接wされる。
次に、前記実施形態の作用について説明する。本実施形態の差動装置Dは、リングギヤRからデフケースDCにエンジンから回転力を受けた場合に、ピニオンPがピニオンシャフトPS回りに自転しないでデフケースDCと共にその軸線L回りに公転するときは、左右のサイドギヤSが同速度で回転駆動されて、その駆動力が均等に左右の出力軸Aに伝達される。また、自動車の旋回走行等により左右の出力軸Aに回転速度差が生じるときは、ピニオンPが自転しつつ公転することで、そのピニオンPから左右のサイドギヤSに対してその差動回転を許容しつつ回転駆動力が伝達される。以上は、従来周知の差動装置の作動と同様である。
ところで本実施形態の組立工程では、先ず、差動機構DMを構成するピニオンP、ピニオンシャフトPS及び一方のサイドギヤSを第1ケースC1内に装入し、また他方のサイドギヤSを第2ケースC内に装入する。この場合、ピニオンシャフトPSの第1ケースC1への固定は、第1ケースC1に圧入される前記抜止めピン6pにより行われる。
上記のようにして差動機構DMを第1,第2ケースC1,C2内に装入した後に、第1,第2ケースC1,C2相互が結合される。その結合作業に際しては、第1,第2ケースC1,C2の嵌合凸部20と嵌合凹部21を同軸嵌合させると共に、第1フランジF1の厚肉の主フランジ部F1mと、薄肉の第2フランジ部F2とを、前述のように周方向に交互に並列配置し互いに噛み合わせるようにして、第1,第2フランジ部F1,F2相互を嵌合させる。
次いで、このようなデフケースDCの組立状態において、交互に並列する主フランジ部F1m及び第2フランジ部F2の外周部にリングギヤRのハブ部11内周面を嵌合させると共に、ハブ部11の一端を第1フランジ部F1の環状段部19に係合させ、しかる後に、主フランジ部F1m及び第2フランジ部F2に対しリングギヤRのハブ部11を突き当て溶接wさせることにより、デフケースDCにリングギヤRを一体的に結合する。
この溶接作業は、例えば、図5に示すように第2ケースC2の外側方に配備される溶接用レーザトーチGから、主フランジ部F1m及び第2フランジ部F2と、リングギヤRのハブ部11との嵌合部、即ち突き当て部の外端に向けてレーザを照射し、且つ駆動装置(図示せず)でデフケースDCをその回転軸線L回りに緩やかに一周回転させることに行われる。これにより、レーザのエネルギで、主フランジ部F1m及び第2フランジ部F2と、リングギヤRのハブ部11とを互いに突き当て溶接wすることができる。
この場合、ハブ部11に対する主フランジ部F1mの溶接深さを、第2フランジ部F2の溶接深さよりも深くするために、レーザトーチGからのレーザ出力調整がなされる。このレーザ出力調整は、例えばデフケースDCを回転駆動する前記駆動装置に付設されてデフケースDC(特に主フランジ部F1m及び第2フランジ部F2)のレーザトーチGに対する相対回転位置を検出可能なセンサからの信号に基づいて、レーザトーチGの出力調整装置を制御することにより実行される。この場合、レーザトーチGのレーザ出力部が主フランジ部F1mに対応する位置にあるときのレーザ出力は、第2フランジ部F2に対応する位置にあるときのレーザ出力よりも大きくなるように調整され、そのレーザ出力の強・弱に応じて溶接深さが深・浅に設定可能となる。
尚、前記したレーザトーチGによる溶接wは、デフケースDCを一周少々回転させて溶接開始位置を二度打ち(二回溶接)することで終了するが、その溶接開始位置(即ち二度打ち位置)は、主フランジ部F1m及び第2フランジ部F2間の境界部を避けた位置に設定されることが望ましく、例えば、本実施形態では二度打ち(二回溶接)となる溶接領域を図3に符号WWで示すように、周方向に比較的幅広である主フランジ部F1mの周方向中間領域に設定している。そして、このような溶接領域の設定によれば、二度打ち(二回溶接)による溶接強度の低下が前記境界部及びその近傍に及ぶのを回避可能となる。
而して、本実施形態では、デフケースDCにおける第1ケースC1の第1フランジF1の少なくとも一部分(主フランジ部F1m)と、第2フランジ部F2とが、周方向に交互に並ぶように配置され且つリングギヤRのハブ部11にその周方向に連続して溶接wされ、第2フランジ部F2は、第1フランジ部F1の主フランジ部F1mよりも薄肉に形成され且つリングギヤRに対する溶接深さが浅く設定される。これにより、差動装置Dの動力伝達経路となって荷重負担の大きい第1ケースC1側の第1フランジF1は、これの少なくとも一部分即ちリングギヤRに溶接される部分F1mでは肉厚(従ってその剛性強度)を十分に確保しつつ溶接深さ(従って溶接部の結合強度)も十分深くすることができ、一方、動力伝達経路とはならず荷重負担の比較的小さい第2ケースC2側の第2フランジF2は、薄肉軽量にしてリングギヤRとの溶接深さも浅くすることができるため、第1,第2ケースC1,C2の荷重負担差に配慮しながら、差動装置Dを、そのデフケースDCの必要強度を確保しつつ効果的に軽量化することが可能となる。
その上、第1フランジ部F1は、リングギヤRと溶接wされる厚肉の複数の主フランジ部F1mと、周方向で相隣なる主フランジ部F1mの相互間を一体に接続し且つ第2フランジ部F2に空隙18を存して対向する薄肉の複数の副フランジ部F1sとを周方向に交互に並列して結合一体化したものであるので、それら主、副フランジ部F1m,F1sの結合一体化により第1フランジ部F1の全体的な剛性強度が高められる。しかも、それら主、副フランジ部F1m,F1sに、リングギヤRのハブ部11と係合させる環状段部19が形成されるため、その主、副フランジ部F1m,F1sに跨がる周方向に長い環状段部19によりリングギヤRからのスラスト荷重を確実強固に受け止めさせることができる。また、溶接wに関与しない副フランジ部F1sは、これと第2フランジF2との間に前記空隙18が形成されるほどに十分薄肉に形成できることから、差動装置Dの軽量化が図られる。
ところで、差動装置Dによる伝動中は、リングギヤRの入力歯部Rgをヘリカルギヤとしたことでハブ部11からデフケースDC側に比較的大きなスラスト荷重が作用する場合がある。このような場合でも、本実施形態では、軸方向一方側(即ちハブ部11を前記環状段部19に押し付ける方向)のスラスト荷重は、該環状段部19により確実に受け止められる。また、軸方向他方側(即ちハブ部11を前記環状段部19から離反させる方向)のスラスト荷重は、その他方側からの前記溶接wにより受け止められる荷重支持形態となる。このため、その溶接方向を軸方向で二方向に設定する必要はなくなり、それだけ溶接工程の簡素化が図られる。
また、前記実施形態では、ピニオン支持部として長いピニオンシャフトPSを用いるものを示したが、図6に示すようにピニオンPの大径側の端面に同軸に一体に結合された支持軸部PS′でピニオン支持部を構成してもよい。尚、この実施形態では、ピニオンPに支持軸部PS′が一体化されるので、前記実施形態で用いた抜止めピン6pは不要となる。また、この実施形態では、支持軸部PS′を第1ケース本体6の支持孔6aに回転自在に直接嵌合させてもよいし、或いは図示例のように軸受ブッシュ25を介して嵌合させてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、第1フランジ部F1を、厚肉の複数の主フランジ部F1mと薄肉の複数の副フランジ部F1sとを周方向交互に一体に連ねて全体として円環状に構成したものを示したが、本発明では、副フランジ部F1sに相当する部分を省略(切欠くように)して、扇形状をなして周方向に空隙を存して並ぶ厚肉の複数の主フランジ部F1mのみで第1フランジ部F1を構成してもよい。
また前記実施形態では、第1フランジ部F1に形成されてリングギヤRのハブ部11と係合させる段部19として、主、副フランジ部F1m,F1sに跨がるように周方向に連続して延びる環状段部19を例示したが、本発明では、この段部19を周方向全周に亘り連続した環状段部とする必要はなく、例えば円弧状の段部であってもよい。
また、前記実施形態において、差動装置Dは、左右車軸の回転差を許容するものであったが、前輪と後輪の回転差を吸収するセンターデフにも本発明の差動装置を実施可能である。
A・・・・・出力軸
C1・・・・第1ケース
C2・・・・第2ケース
D・・・・・差動装置
DC・・・・デフケース
DM・・・・差動機構
F1・・・・第1フランジ部
F1m・・・一部分としての主フランジ部
F1s・・・副フランジ部
F2・・・・第2フランジ部
P・・・・・ピニオン
PS・・・・ピニオン支持部としてのピニオンシャフト
PS′・・・ピニオン支持部としての支持軸部
R・・・・・リングギヤ
Rg・・・・入力歯部
S・・・・・サイドギヤ
Sg・・・・歯部
w・・・・・溶接
10・・・・リム部
11・・・・ハブ部
18・・・・空隙
19・・・・段部としての環状段部

Claims (4)

  1. 回転力を受けるリングギヤ(R)と、このリングギヤ(R)と一体に回転するデフケース(DC)と、そのデフケース(DC)に前記リングギヤ(R)から伝達された回転力を一対の出力軸(A)に分配して伝達する差動機構(DM)とを備え、前記デフケース(DC)が、前記リングギヤ(R)の回転力を前記差動機構(DM)に伝達する第1ケース(C1)と、その第1ケース(C1)との間に前記差動機構(DM)の収容空間を画成する第2ケース(C2)とを備えた差動装置において、
    前記第1ケース(C1)に形成した第1フランジ部(F1)の少なくとも一部分(F1m)と、前記第2ケース(C2)に形成した第2フランジ部(F2)とが、デフケース(DC)の周方向に交互に並ぶように配置されて前記リングギヤ(R)の内周部に各々溶接(w)され、
    前記第2フランジ部(F2)は、前記第1フランジ部(F1)の前記少なくとも一部分(F1m)よりも薄肉に形成され且つ前記リングギヤ(R)に対する溶接深さが浅く設定されることを特徴とする差動装置。
  2. 前記リングギヤ(R)は、ヘリカルギヤよりなる入力歯部(Rg)を有する環状のリム部(10)と、このリム部(10)の内周に連設されて前記第1および第2フランジ部(F1,F2)に溶接(w)されるハブ部(11)とを備え、前記第1フランジ部(F1)には、前記デフケース(DC)の軸方向で前記ハブ部(11)の一方側の端部に係合する段部(19)が形成され、前記第1フランジ部(F1)と前記リングギヤ(R)とは、前記軸方向で前記ハブ部(11)の他方側より溶接(w)されることを特徴とする、請求項1に記載の差動装置。
  3. 前記第1フランジ部(F1)は、前記デフケース(DC)の周方向に間隔をおいて互いに並列配置されて前記リングギヤ(R)と溶接(w)される、前記一部分を構成する複数の主フランジ部(F1m)と、それら主フランジ部(F1m)よりも薄肉に形成されて前記周方向で相隣なる主フランジ部(F1m)の相互間を一体に接続し且つ前記第2フランジ部(F2)に空隙(18)を存して対向する複数の副フランジ部(F1s)とを含み、それら主、副フランジ部(F1m,F1s)に前記段部(19)が形成されることを特徴とする、請求項2に記載の差動装置。
  4. 前記差動機構(DM)は、前記第1ケース(C1)に保持されてピニオン(P)を支持するピニオン支持部(PS,PS′)と、そのピニオン(P)に噛合する環状の歯部(Sg)を外周部に有して前記一対の出力軸(A)にそれぞれ接続される一対のサイドギヤ(S)とを備え、前記ピニオン支持部(PS,PS′)が、前記デフケース(DC)の回転軸線と直交する投影面で見て前記第1フランジ部(F1)の前記少なくとも一部分(F1m)とオーバラップしていることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の差動装置。
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