JP2016097906A - 浮標 - Google Patents

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Toshiyuki Saito
利幸 齋藤
渡邊 浩
Hiroshi Watanabe
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Abstract

【課題】浮力調整を容易に行うことができ、かつ、浮標に伝わる波の力等を緩和し、浮標と連結されたロープの切断等の事故を未然に防止可能な浮標を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】浮標1は、一端側に視認部として機能する発光ランプ部11及び他端側に締結部12を有するポール状の標体10と、円筒軸方向に沿って貫設された貫通孔21を有し、貫通孔21に挿通された標体10に取設される円筒状の回動軸部20と、回動軸部20を所定のクリアランスを保って内包する内包空間を内部に備え、標体10の長手方向を回動軸として、回動軸部20に回動自在に軸支される浮標回動部30と、浮標回動部30と着脱自在に取設される4つのフロート40と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、浮標に関するものである。更に詳しくは、船舶等の航路標識として主に使用される浮標に関するものである。
従来、海中に設置された漁網や海上の人工構造物等に船舶が接近し衝突したり、船舶のスクリューに漁網が巻き込まれたりする等の事故が発生している。このような事故を防ぐため、漁網等の位置を明確に標示し、船舶等の視認性を良好にする浮標(ブイ)が海上や海中に設置されている(例えば、特許文献1参照。)。この浮標は、海面から一部を立設した略ポール状や円錐状の標体と、当該標体に浮力を与え、立設した状態を保持するためのフロート(浮子)とから一般的に構成されている。なお、船舶等の航路標識として使用する場合には、国際規格に基づいて標体が昼間の場合は塗色によって塗り分けられ、夜間の場合は灯色や点滅のパターンによって浮標の種別が判別可能となっている。
更に、浮標は、人工構造物を建造する際の海上における工事領域を明確に区別し、工事用の船舶以外の侵入を防ぎ、あるいは水深の浅い境界付近に設置し、船舶が座礁等することがない目的で使用されている。ここで、浮標は、海上及び海中での使用に限定されるものではなく、湖、池、川、沼及び人工のプール等の種々の水上及び水中において設置可能なものである。
特開2006−111171号公報
浮標を設置する際には設置場所や使用目的に応じて、サイズや標体としての機能が選択されている。しかしながら、一般的な浮標の場合、浮力を付与するフロートは予め規格化されたものが使用され、単に標体を海上に浮かべるための機能しか有しておらず、設置場所や使用目的に応じて適切な浮力に調整することはほとんどできなかった。
更に、浮標は、ロープを用いて漁網や人工構造物と締結固定され、または海底に沈設されたシンカー(アンカー)と係留索を介して係留されていた。すなわち、ロープ等の長さに応じて浮標が浮遊する範囲、換言すれば、浮標が移動する範囲が制限されていた。このとき、嵐や台風等の天候の変化によって、浮標を浮かべた海面付近に大きな波が到来すると、当該波の力によって浮標が大きく揺動することがあった。この場合、締結されたロープや係留索の締結部位を軸として、浮標自体が大きく回転または回動することがあり、回転等に応じてロープや係留索に捻れが生じることがあった。その結果、ロープ等に過剰な負荷が加わることがあり、ロープ等の耐久性を低下させる虞があった。なお、ロープ等に加わる負荷によってロープ等が切断された場合、海上に浮標が漂流し、船舶等の航行に支障を来す虞があった。また、捻れ防止のため、より戻し(スイベル)を装置する場合もあるが部品購入費用及び仕立てに手間がかかっていた。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、浮力調整を容易に行うことが可能な浮標であって、更に、浮標に伝わる波の力等を緩和し、浮標と連結されたロープ係留索が切断される等の事故を未然に防止可能な浮標が提供される。
本発明によれば、上記課題を解決した浮標が提供される。
[1]一端側に視認部及び他端側に締結部を有する標体と、円筒軸方向に沿って貫設された貫通孔を備え、前記貫通孔に挿通された前記標体に取設される円筒状の回動軸部と、前記回動軸部を所定のクリアランスを保って内包する内包空間を備え、前記標体の長手方向を回動軸として、前記回動軸部に回動自在に軸支される浮標回動部と、前記浮標回動部の周囲に配設されるとともに、前記浮標回動部と着脱自在に取設される1または複数のフロートと、を有する浮標。
[2]前記フロートは、球形状を呈する前記[1]に記載の浮標。
[3]前記標体の前記視認部は、遠方からの視認性を良好とする発光ランプ部、及び、旗部の少なくとも一方から構成される前記[1]または[2]に記載の浮標。
[4]前記浮標回動部は、前記貫通孔から突出した前記視認部を緩挿可能に開孔した上部開孔部と、前記貫通孔から突出した前記締結部を緩挿可能に開孔した下部開孔部と、前記上部開孔部の周囲に設けられ、前記フロートを着脱自在に取設する取付機構部と、を更に有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の浮標。
本発明の浮標によれば、浮標回動部に着脱自在に取設される1または複数のフロートを有することにより、浮標回動部に対するフロートの取付個数を増減させることで、浮標全体の浮力調整を容易に行うことができる。そのため、設置状況や使用目的に応じて適切な浮力を浮標に付与することができる。
更に、本発明の浮標によれば、標体に対して浮標回動部が回動自在に軸支されていることで、海面に浮かぶ浮標が波の力等の影響を受けた場合であっても、標体及び回動軸部に対して浮標回動部が回動し、波によるエネルギーを緩和することができる。その結果、海面における浮標の揺動が抑えられ、標体に締結されたロープや係留索が捻れ、無理な負荷が加わることによって切断される等の不具合を解消することができる。
本発明の一実施形態の浮標の概略構成を示す斜視図である。 浮標の構成を示す分解斜視図である。 浮標の構成を示す正面図である。 浮標の構成を示す図3のA−A断面図である。 本発明の別例の浮標の概略構成を示す斜視図である。 別例の浮標の構成を示す正面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対して適宜変更、修正、改良等を加えるものであっても構わない。
図1は、本発明の一実施形態の浮標1の概略構成を示す斜視図である。更に、図2は、浮標1の構成を示す分解斜視図であり、図3は、浮標1の構成を示す正面図であり、図4は、浮標1の構成を示す図3のA−A断面図である。また、図5は、本発明の別例の浮標1’の概略構成を示す斜視図であり、図6は、別例の浮標1’の構成を示す正面図である。なお、図4において、図示を簡略化するため、標体10の構成を省略して示している。
本実施形態の浮標1は、図1〜図4に示すように、全体が略円棒状(ポール状)を呈する標体10と、標体10の略中央付近に取設された円筒状の回動軸部20と、回動軸部20に対して回動自在に軸支され、標体10を回動中心として回動可能な浮標回動部30と、浮標回動部30と着脱自在に取設される4つのフロート40とを主に有している。以下、個々の構成についてそれぞれ詳述する。
標体10は、一端側に船舶等からの特に夜間における視認性を高めるための光を点灯または点滅させる発光ランプ部11を備え、他端側に浮標1を漁網等と締結するためのロープ2を取り付け可能なリング状の締結部12を備えている。更に詳しく説明すると、標体10は、略円柱状の上部ポール13と、上部ポール13と連結自在に連結され、上部ポール13よりも太径の略円柱状の下部ポール14とを備えている。更に、上部ポール13の先端側に上記発光ランプ部11が設置され、一方、下部ポール14の先端側に上記締結部12が設置されている。
上部ポール13の発光ランプ部11が設けられていない他端側(図2における下側)には、略円錐状の上部側ポール連結部15aが設けられている。一方、下部ポール14の締結部12が設けられていない他端側(図2における上側)には、上部側ポール連結部15aの底面と略同一形状の上面を備え、上部側ポール連結部15aと連結可能な下部側ポール連結部15bが設けられている。上部側ポール連結部15a及び下部側ポール連結部15b同士を密接させ、密接状態を保持するために周知の固定手段によって固定することで、全体として略円柱状またはポール状の標体10を構築することができる。標体10は、大部分がABS樹脂から構成され、一部(締結部12)がロープ2との締結状態を強固にするため、ステンレス等の金属製部材から構成されている。
更に、特に薄暮時や夜間等における船舶等からの視認性を高めるための発光ランプ部11は、周知のLED光源、バッテリー、及び発光回路基板等を含んで構成されており、ここでは詳細な説明は省略する。この場合、LED光源を常時点灯状態とするものであっても、所定の間隔で点滅させるものであってもよく、タイマー機能を付加することにより、夜間及び昼間の間で点灯状態を切り替えるものであってもよい。また、一対のポール連結部15a,15b同士を固定するための周知の固定手段とは、例えば、上部側ポール連結部15a及び下部側ポール連結部15bを互いに密接させた状態でそれぞれ対向する位置に、ボルト孔(図示しない)を穿設し、当該ボルト孔に締結用ボルトを挿通し、ボルト軸に締結用ナットを螺設するものであってもよい。
一方、回動軸部20は、円筒軸方向X(図2参照)に沿って貫設された貫通孔21を有し、外観全体として略円筒状を呈している。更に詳しく説明すると、回動軸部20は、中央付近が凹状に湾曲した一対の半円筒部22a,22bからなる円筒状の円筒軸部23と、半円筒部22a,22bのそれぞれ凹状に湾曲した湾曲内周面24から回動軸部20の中心方向(軸心方向)に突設された断面略台形状のグリップ部25とを有している。半円筒部22a,22bによって形成される円筒軸部23は、高密度ポリエチレン(HDPE)から構成され、グリップ部25は、押圧に対して弾性変形可能な性状を有するニトリルゴム(NBR)から構成されている。本実施形態の浮標1における回動軸部20は、半円筒部22a,22bのそれぞれの湾曲内周面24に二つのグリップ部25が並設され、合計四つのグリップ部25が回動軸部20に取り付けられている(図2等参照)。
浮標回動部30は、上記回動軸部20を内部に内包可能な内包空間31を有し、標体10の長手方向が中心となるように、回動軸部20を回動軸として回動自在に軸支されたものである。浮標回動部30の内部に形成された内包空間31は、円筒状の回動軸部20の外観形状と略一致するように設けられた略円柱状の空間であり、回動軸部20よりも僅かに大きなサイズで形成されている。なお、浮標回動部30は、ABS樹脂から主に構成されている。
これにより、回動軸部20の外表面(円筒軸部23の側面側に相当。)と、内包空間31の内包空間内面(図示しない)との間には、数mm程度のクリアランスが形成されることとなる。そのため、標体10に取設された円筒状の回動軸部20に対して、標体10の長手方向を中心として任意の回動方向R(図1参照)に滑らかに回動することができる。略円柱状の内包空間31の一対の天底部31a,31bは、回動軸部20の円筒径よりも小さな径で構成されている。その結果、内包空間31に収容された状態の回動軸部20は、円筒軸方向に沿って上下(図3における紙面上下方向に相当)の動きが、上記天底部31a,31bによって規制される。すなわち、浮標回動部30に回動軸部20が収容された状態では、浮標回動部30の内包空間31から回動軸部20が脱落することがない。
更に、浮標回動部30は、図1〜図4に示すように、4つの連結部本体32a,32b,32c,32dと、連結部本体32a等の上下方向にそれぞれ取り付けられる4つの略Y字状の連結部フランジ33a,33b,33c,33dとから構成されている。これらの四つの連結部本体32a等及び四つの連結部フランジ33a等からなる計8つの部材を組み合わせることにより、全体として略立方体形状を呈する浮標回動部30を構築することができる。
連結部本体32a等は、それぞれの両端に、連結部本体32a等の長手方向(回動軸部20における円筒軸方向Xに一致。)に直交する方向に延設された平板状の連結部取付片34を有している。一方、略Y字状の連結部フランジ33a等は、平板状の部材から形成され、三方向に延びたフランジ取付片35と、上部開孔部36aまたは下部開孔部36b(詳細は後述する)の一部として機能するフランジ孔部37とを有している。連結部本体32a等及び連結部フランジ33a等をそれぞれ組み合わせて浮標回動部30が構築されると、互いに相対する位置に一対の連結部取付片34及びフランジ取付片35が所定の間隔を開けて平行に配された取付機構部38が形成される。本実施形態の浮標1において、上記取付機構部38は、略立方体形状の浮標回動部30のそれぞれの頂点付近に計8箇所設けられている。係る取付機構部38に、後述するフロート40を着脱自在に取設することができる。なお、フロート40との着脱を可能とするために、平行に配された連結部取付片34及びフランジ取付片35には、それぞれ対向する位置にボルト孔(図示しない)が貫設されている。
更に、浮標回動部30は、図4に示すように、浮標回動部30の中心内部に設けられた内包空間31と上下方向にそれぞれ連通し、回動軸部20の一方の貫通孔21から突出した発光ランプ部11及び上部ポール13を緩挿可能な上部開孔部36aと、他方の貫通孔21から突出した締結部12及び下部ポール14を緩挿可能な下部開孔部36bとを有している。この上部開孔部36a及び下部開孔部36bは、浮標回動部30の中央内部に設けられた内包空間31を挟んで上下方向に、換言すれば、標体10の長手方向に沿って設けられたものであり、図4に示すように、それぞれ略截頭円錐形状の空間として構成されている。これにより、貫通孔21から突出した上部ポール13等は、これらの上部開孔部36aまたは下部開孔部36bを通って、浮標回動部30の外部に一部を突出した状態とすることができる。これにより、発光ランプ部11が外部から視認可能となり、一方、締結部12に対するロープ2の締結が容易となる。
なお、4つの連結部本体32a等及び四つの連結部フランジ33a等から浮標回動部30を構築するには、連結部本体32a等及び連結部フランジ33a等のそれぞれの対応箇所にボルト孔を予め貫設し、貫設されたボルト孔に挿通可能なボルト軸を有する締結用ボルトと、ボルト軸に螺合可能な締結用ナットとからなる周知に固定手段を利用することができる。
一方、フロート40は、略立方体形状の浮標回動部30の上部側の4つの頂点付近に位置する取付機構部38に対して着脱自在に取設される。図1〜図4に示すように、浮標回動部30の下部側のそれぞれの頂点付近にも取付機構部38が設けられているが、本実施形態の浮標1において、フロート40は取り付けられていない。
フロート40は、略球形状を呈し、標体10、回動軸部20、及び浮標回動部30に浮力を与え、浮標1全体を海面等に浮かべるためのものであり、球形状の球体部41と、球体部41の球表面に設けられ、上述の取付機構部38の連結部取付片34及びフランジ取付片35の間に挿入可能な板厚で形成された平板状のフロート固定片42とから主に構成されている。ここで、フロート40は、主にABS樹脂を用いて構成されている。なお、連結部取付片34及びフランジ取付片35に貫設された前述のボルト孔の位置に合わせて、フロート固定片42にもボルト孔(図示しない)が貫設されている。
更に詳しく説明すると、球体部41は、二つの分離可能な略半球状の部材から構成され、フロート固定片42を球表面の一部の備え、浮標回動部30の取付機構部38に取設される半球体基部43aと、半球体基部43aとの接合及び分離が可能な半球体蓋部43bとから構成されている。この半球体基部43a及び半球体蓋部43bは、それぞれ内部が刳り抜かれている。そのため、半球体基部43a及び半球体蓋部43bを組み合わせることにより、内部に空間(空洞部44)が形成される。この空洞部44によってフロート40に浮力を発生させることができる。なお、半球体基部43a及び半球体蓋部43bの接合及び分離を可能とする構成として、例えば、半球体基部43a(または半球体蓋部43b)の円形状の断面の辺縁に沿って雄ねじ(図示しない)を形成し、一方、半球体蓋部43b(または半球体基部43a)の円形状の断面の辺縁に沿って雌ねじ(図示しない)を形成した構成を採用することができる。係る構成を採用することにより、雄ねじ及び雌ねじを螺合させることで全体が球体状のフロート40を構築することができる。一方、上記雄ねじ及び雌ねじの螺合を解除することで、半球体基部43a及び半球体蓋部43bの二つの部材にそれぞれ分離することができる。なお、雄ねじ及び雌ねじは、内部に形成される空洞部44へ水等が侵入し、浮力が損なわれることがないように、水密接合構造で形成されている。
上記構成を採用した本実施形態の浮標1は、球形状の球体部41からなる4つのフロート40が、標体10を中心として、浮標回動部30の周囲に90°間隔で配置されている。ここで、フロート40は、浮標回動部30の上部側の取付機構部38にのみ取り付けられ、下部側にはフロート40は取り付けられていない。そのため、本実施形態の浮標1を海上に浮かべた場合、浮標回動部30の下部側は海面下に沈み、一方、上部側がフロート40の浮力によって海面から上方に突出した状態となる。これにより、標体10の発光ランプ部11及び上部ポール13は、海面上に位置することとなり、標体10の下部ポール14の大部分及び締結部12は海面下に沈んだ状態となる。これにより、浮標1の海面における浮遊した状態を安定させることができる。
更に、本実施形態の浮標1は、海面から立設したポール状の標体10を中心として、浮標回動部30が回動することができる。すなわち、嵐などで海面が激しく揺動し、発生した大きな波が浮標1に向かった場合であっても、当該波による力が標体10に直接加わることがなく、標体10に大きな負荷が加わることがない。このとき、浮標1に加わった波の力は、標体10に対して取設された浮標回動部30が回動軸部20に従って回動するエネルギーに転換される。その結果、標体10を中心として浮標回動部30が回動する。すなわち、大きな波の力を受けた場合であっても、標体10自体に力が加わり、回動することがない。これにより、締結部12に締結されたロープ2が捻れる等の不具合が生じることを防ぐことができる。
次に、本実施形態の浮標1の組み立ての一例について説明する。ここで、図2は、4つのフロート40がそれぞれ浮標回動部30の上部側の取付機構部38に予め取り付けられ、連結部本体32a等及び連結部フランジ33a等の一部が既に連結され、浮標回動部30が左右に分離された一対の第一浮標回動部30a及び第二浮標回動部30bとして構成された半組み立て状態のものを示している。
始めに、標体10に回動軸部20を取り付ける。具体的に説明すると、グリップ部25が配された一対の半円筒部22a,22bの湾曲内周面24を互いに相対させてそれぞれ離間させて配置する。そして、配置された一対の半円筒部22a,22bの間に標体10を配置する。このとき、半円筒部22a,22bによって構成される回動軸部20の一対の貫通孔21を結んだ仮想線と、略円柱状の標体10の長手方向とを一致させる。この状態で、互いの半円筒部22a,22b同士を近接させる。これにより、一方の半円筒部22aの一対の切断端面22cと、他方の半円筒部22bの一対の切断端面22dとが密着し、円筒状の円筒軸部23が構築される。これにより、標体10に回動軸部20が取設された状態となる。
更に具体的に説明すると、標体10に回動軸部20が取設された状態では、半円筒部22a,22bの湾曲内周面24に設けられたグリップ部25は、グリップ部25の先端部分が標体10の下部ポール14の表面と接する。このとき、グリップ部25は、弾性変形可能なニトリルゴムによって構成されているため、円筒軸部23と標体10との間、及び、標体10と半円筒部22a,22bの湾曲内周面24との間で圧縮された状態となる。これにより、グリップ部25は、上述の応力に伴って弾性変形し、係る弾性変形に基づく反発力が発生する。その結果、ポール表面と接した標体10を軸心側に向かって押し付けようとする力、及び、半円筒部22a,22bをそれぞれ軸心方向から離間させようとする力が作用する。これにより、標体10の周囲からグリップ部25による弾性反発力が与えられるため、標体10及び回動軸部20が確実に固定される。その結果、標体10の長手方向に沿って回動軸部20が摺動することが規制され、標体10の当初取付位置に回動軸部20が保持される。
一対の半円筒部22a,22bを近接させ、円筒状の円筒軸部23として保持するためには、周知の固定手段を用いることができる。例えば、半円筒部22a,22bの個々の位置に合わせて貫設されたボルト孔に、締結用ボルトのボルト軸を挿通し、他方のボルト孔から突出したボルト軸の先端に締結用ナットを取り付けて螺設する。係る螺設により、締結用ボルトのボルト頭部と締結用ナットとの間の距離が近接し、ボルト頭部及び締結用ナットの間で一対の半円筒部22a,22bが挟持される。これにより、円筒状の円筒軸部23(回動軸部20)の状態を保持することができる。なお、本実施形態のフロート40において、円筒軸部23を構築するためのボルト孔、締結用ボルト、及び締結用ナットの各構成は、簡略化のため図示を省略している。
円筒軸部23の形態を保持するための固定手段は、上記の締結用ボルト等を用いるものに特に限定されるものではなく、その他の周知の固定手段(例えば、クリップあるいは接着手段等)を用いるものであってもよい。半円筒部22a,22bから構築される円筒状の円筒軸部23は、前述の浮標回動部30に対して回動軸として機能するため、浮標回動部30の滑らかな回動を阻害することがないように、円筒軸部23の表面から突出した突起のような箇所がなく、滑らかな曲面状を呈している。
標体10の下部ポール14に回動軸部20が取設された後、各フロート40がそれぞれ取り付けられ、二つに分離して構成された浮標回動部30の二つの部材(第一浮標回動部30a及び第二浮標回動部30b)を内包空間31、上部開孔部36a及び下部開孔部36bがそれぞれ形成された内面側を互いに対向させ、所定の間隔だけ離間するように配置する。そして、上記標体10に取り付けられた回動軸部20を第一浮標回動部30a及び第二浮標回動部30bの間に配置する。その後、第一浮標回動部30a及び第二浮標回動部30bを近接し、内部に形成される内包空間31に、円筒状の回動軸部20を内包するように収容する。このとき、回動軸部20の貫通孔21に挿通された標体の上部ポール13及び発光ランプ部11は、内包空間31と連通した上部開孔部36a及びフランジ孔部37を通じて浮標回動部30の外部に突出し、一方、標体10の下部ポール14及び締結部12は、内包空間31と連通し、上部開孔部36aと内包空間31を挟んで反対側に位置する下部開孔部36b及びフランジ孔部37を通じて浮標回動部30の外部に突出する。その結果、所定のクリアランスを保って円筒状の回動軸部20が内包空間31に緩嵌めされ、標体10の長手方向に沿って回動軸部20を回動軸として浮標回動部30が回動することができる。これにより、本実施形態の浮標1の組み立てが完了する。
ここで、浮標回動部30の取付機構部38に対するフロート40の取り付けは、フロート40の平板状のフロート固定片42を、所定の間隔で平行に配置された取付機構部38の連結部取付片34及びフランジ取付片35の間に挿入し、互いに貫設されたボルト孔の位置を合わせるようにする。なお、フロート固定片42の板厚は、連結部取付片34及びフランジ取付片35の離間した距離に略一致させるように設計されている。取付機構部38の隙間にフロート固定片42を挿入した場合、ガタツキ等が生じることがなく、浮標回動部30及びフロート40の安定した取設が可能となる。3つのボルト孔の位置を一致させることにより、フロート固定片42が連結部取付片34及びフランジ取付片35に挟持された状態となり、係る状態で一方(例えば、フランジ取付片35側)のボルト孔から締結用ボルト39aのボルト軸を挿通し、対向する他方(例えば、連結部取付片34)のボルト孔から突出したボルト軸の先端に締結用ナット39bを螺設する。
締結用ボルト39a及び締結用ナット39bを螺合させることにより、浮標回動部30に球形状のフロート40が取り付けられる。浮標回動部30の上部の4つの取付機構部38に対してフロート40をそれぞれ取り付けることにより、浮標回動部30に対するフロート40の取り付けが完了する。
本実施形態の浮標1において、浮標回動部30の上部に4つの球形状のフロート40を配置したものを示したが、これに限定されるものではない。すなわち、浮標回動部30の取付機構部38の少なくとも1つにフロート40が取り付けられているものであればよく、浮標1の浮力に応じてフロート40の取付個数を任意に増減させるものでもよい。特に、本実施形態の浮標1において、浮標回動部30の上部のみにフロート40を取り付けるものを示したが、浮標回動部30の下部に設けられた取付機構部38にフロート40を取り付けるものであっても構わない。
本発明の別例の浮標1’として、図5及び図6に示すような構成であってもよい。なお、図5及び図6において、先の浮標1と同一構成のものについては同一符号を付し、詳細な説明は省略するものとする。浮標1’は、前述した浮標1において、標体10の上部ポール13の一端に取設された発光ランプ部11の代わりに、三角形状の旗部50に取設したものである。なお、本発明の浮標においては、標体10の上部側ポール連結部15a及び下部側ポール連結部15bの連結状態を解除した後、一端に旗部50を取設した上部ポール13に交換し、連結することにより、標体10の視認部の機能を容易に変更することができる。ここで、発光ランプ部11は、特に、薄暮時や夕暮れ時において船舶等からの視認性を良好とすることができるものである。一方、旗部50は、ポール状の標体10の存在を遠方からであっても認識しやすくするものであり、主に昼間に船舶等が航行する場所に設置することができる。すなわち、発光ランプ部11によりも複雑な構成を必要とするものではないため、標体10の製造コストを安価にすることができる。その結果、多数の浮標1’を広範囲に設置する際に特に好適である。
以上、本発明において好適な実施形態である浮標1,1’を用いて説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではない。例えば、フロート40として、球形状のものを示したがこれに限定されるものではなく、立方体形状、直方体形状、楕円球形状等の種々の形状のものを使用することができる。すなわち、標体10を海面から立設した状態で浮かべることが可能な形状及びサイズであればよい。加えて、フロート40の球体部41が半球体基部43a及び半球体蓋部43bの二つに分離可能な部材から形成されているものを示したが、これに限定されるものではなく、内部に空洞部44を有する球形状のものであればよく、フロート40の取付数やサイズを任意にすることにより、浮力の微調整や浮標1に対するバランスを最適なものとするものであればよい。
加えて、浮標回動部30として、四つの連結部本体32a等及び四つの連結部フランジ33a等から構築される略立方体形状のものを示したが、これに限定されるものではなく、内部の内包空間31に円筒状の回動軸部20を収容可能であり、回動軸部20に対して回動自在なものであればよい。
本発明は、漁網や人工構造物等に締結され、これらに対する船舶の接触を回避させる目的や航路標識として用いることが可能な浮標として利用することができる。
1,1’:浮標、2:ロープ、10:標体、11:発光ランプ部(視認部)、12:締結部、13:上部ポール、14:下部ポール、15a:上部側ポール連結部、15b:下部側ポール連結部、20:回動軸部、21:貫通孔、22a,22b:半円筒部、22c,22d:切断端面、23:円筒軸部、24:湾曲内周面、25:グリップ部、30:浮標回動部、30a:第一浮標回動部、30b:第二浮標回動部、31:内包空間、31a,31b:天底部、32a,32b,32c,32d:連結部本体、33a,33b,33c,33d:連結部フランジ、34:連結部取付片、35、フランジ取付片、36a:上部開孔部、36b:下部開孔部、37:フランジ孔部、38:取付機構部、39a:締結用ボルト、39b:締結用ナット、40:フロート、41:球体部、42:フロート固定片、43a:半球体基部、43b:半球対蓋部、44:空洞部、50:旗部(視認部)、R:回動方向、X:円筒軸方向。

Claims (4)

  1. 一端側に視認部及び他端側に締結部を有する標体と、
    円筒軸方向に沿って貫設された貫通孔を備え、前記貫通孔に挿通された前記標体に取設される円筒状の回動軸部と、
    前記回動軸部を所定のクリアランスを保って内包する内包空間を備え、前記標体の長手方向を回動軸として、前記回動軸部に回動自在に軸支される浮標回動部と、
    前記浮標回動部の周囲に配設されるとともに、前記浮標回動部と着脱自在に取設される1または複数のフロートと、
    を有する浮標。
  2. 前記フロートは、球形状を呈する請求項1に記載の浮標。
  3. 前記標体の前記視認部は、
    遠方からの視認性を良好とする発光ランプ部、及び、旗部の少なくとも一方から構成される請求項1または2に記載の浮標。
  4. 前記浮標回動部は、
    前記貫通孔から突出した前記視認部を緩挿可能に開孔した上部開孔部と、
    前記貫通孔から突出した前記締結部を緩挿可能に開孔した下部開孔部と、
    前記上部開孔部の周囲に設けられ、前記フロートを着脱自在に取設する取付機構部と、を更に有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の浮標。
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KR102556078B1 (ko) * 2023-03-16 2023-07-17 주식회사 엠에스엘테크놀로지 해상 풍황 계측 및 해수 모니터링이 가능한 등부표

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