以下に、本発明に係る電気接続箱の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る電気接続箱の実施形態の1つを図1から図3に基づいて説明する。
図1−図3の符号1は、本実施形態の電気接続箱を示す。この電気接続箱1とは、例えば、図示しない電源(二次電池)と電子機器との間に介在させ、その電源から電子機器への供給電力を調整するものである。この電気接続箱1は、リレーボックス、ヒューズボックス、ジャンクションボックス等と称される場合もある。
電気接続箱1は、複数の電子部品10と筐体20とを備える。
電子部品10とは、リレー、ヒューズやヒュージブルリンク等のことである。電子部品10は、リレー本体やヒューズ本体等の電子部品本体(図示略)と、この電子部品本体に対して電気的に接続された電気接続部としての金属製の端子(図示略)と、を備える。この電子部品10は、筐体20の内部に収容され、この筐体20の内部の金属製の相手側端子(図示略)と着脱自在に且つ電気的に接続される。端子と相手側端子は、一方を雄型に成形し、他方を雌型に成形する。この電子部品10は、端子間の接触圧によって相手側端子に保持される。本実施形態では、この電子部品10として、ヒューズ11とヒュージブルリンク12とリレー13とを筐体20の内部に収容している。尚、電子部品10は、筐体20の内部において、そのような相手側端子だけでなく、他の部品(例えばプリント基板等)に対して端子が電気的に接続されるものもある。
筐体20は、内部に電子部品10や相手側端子が収容されるケース本体21を備える。そのケース本体21は、電子部品10等の収容空間である内部空間が形成されるよう合成樹脂で箱状に成形する。
この筐体20は、そのケース本体21そのものに相手側端子の保持部(図示略)を形成し、この保持部で相手側端子を介して電子部品10を保持するように構成してもよい。その保持部は、相手側端子を突出させた状態で保持するものであってもよく、相手側端子を収容室(図示略)に収容させた状態で保持するものであってもよい。但し、この例示では、相手側端子が保持された保持部材30をケース本体21とは別体で設け、その保持部材30をケース本体21の内部に取り付けることによって、ケース本体21の内部に電子部品10や相手側端子を収容しつつ保持する。
その保持部材30は、この技術分野において所謂ブロックと称されるものである。この保持部材30は、1つのブロック又は複数のブロックの組み合わせによって構成する。この例示の保持部材30は、第1ブロック31と第2ブロック32とによって構成している。
第1ブロック31は、ヒューズ11の収容室31aとヒュージブルリンク12の収容室31bの集合体である。収容室31aは、1つのヒューズ11を収容する空間であり、ヒューズ11の端子と接続される相手側端子を収容しつつ保持している。この収容室31aは、ヒューズ11が全体的に収まるよう形成されたものであってもよく、ヒューズ11が部分的に収まるよう形成されたものであってもよい。この例示の収容室31aは、前者の形状に形成する。また、収容室31bは、1つのヒュージブルリンク12を収容する空間であり、ヒュージブルリンク12の端子と接続される相手側端子を収容しつつ保持している。この収容室31bは、ヒュージブルリンク12が全体的に収まるよう形成されたものであってもよく、ヒュージブルリンク12が部分的に収まるよう形成されたものであってもよい。この例示の収容室31bは、前者の形状に形成する。この例示の第1ブロック31は、複数の収容室31aと複数の収容室31bとを適宜配列して、合成樹脂によって主体部分を直方体状に成形する。全ての収容室31a,31bは、そのそれぞれの開口(ヒューズ11やヒュージブルリンク12の挿入口)を同一方向に向けて配列する。この例示では、各収容室31a,31bの開口の集合体が矩形を成すように配列している。
この第1ブロック31には、その主体部分の側面(収容室31a,31bの開口に対して直交している面)に、第2ブロック32との第1接合部(図示略)とケース本体21との第2接合部(図示略)を形成している。第1接合部は、1つ又は複数形成する。
第2ブロック32は、リレー13の収容室32aを1つ又は複数備えたものである(図2)。その収容室32aは、1つのリレー13を収容する空間であり、リレー13の端子と接続される相手側端子を収容しつつ保持している。この収容室32aは、リレー13が全体的に収まるよう形成されたものであってもよく、リレー13が部分的に収まるよう形成されたものであってもよい。この例示の収容室32aは、リレー13の端子のみを収める後者の形状に形成する。この第2ブロック32は、収容室32aが1つの場合、この収容室32aが含まれるよう合成樹脂によって主体部分を直方体状に成形する。一方、この第2ブロック32は、複数の収容室32aを有する場合、各収容室32aを適宜配列して、合成樹脂によって主体部分を直方体状に成形する。この場合、全ての収容室32aは、そのそれぞれの開口(リレー13の挿入口)を同一方向に向けて配列する。
この第2ブロック32には、その主体部分の側面(収容室32aの開口に対して直交している面)に、第1ブロック31との第1接合部(図示略)とケース本体21との第2接合部(図示略)を形成している。この第2ブロック32において、第1接合部は、他の第2ブロック32との接合部としても利用できる。
この例示の保持部材30においては、1つの第1ブロック31と複数の第2ブロック32とを互いの第1接合部同士を接合することによって一体化する。それぞれの第1接合部は、第1ブロック31と第2ブロック32とを着脱自在に接合させるものである。例えば、それぞれの第1接合部は、一方を板状に形成すると共に、他方を当該板状の端部を案内するガイド部の如く形成して、互いをスライドさせながら挿入する。その際、第1ブロック31と各第2ブロック32は、互いの収容室31a,31b,32aの開口が全て同一方向を向くように接合する。この例示の保持部材30においては、直方体状の第1ブロック31に対して、複数の第2ブロック32が直方体状の集合体の如くなるように接合している。
このようにして形成された保持部材30は、第1ブロック31及び第2ブロック32における第2接合部とケース本体21の接合部(図示略)とを接合することによって、ケース本体21の内部に固定する。その第2接合部とケース本体21の接合部は、保持部材30をケース本体21に対して着脱自在に接合させるものである。例えば、この第2接合部とケース本体21の接合部は、一方を板状に形成すると共に、他方を当該板状の端部を案内するガイド部の如く形成して、互いをスライドさせながら挿入する。
この保持部材30の取り付けのために、ケース本体21には、図2に示すように、保持部材30の挿入口としての第1開口部21aを設けている。その第1開口部21aは、箱状に成形されたケース本体21の或る1つの面を全体的に開口させたものであり、ケース本体21(筐体20)の内部と外部とを連通させる。この例示の第1開口部21aは、ケース本体21における或る1つの矩形の面を矩形状に開口させる。保持部材30は、第1開口部21a側に第1ブロック31が配置され、第1開口部21aよりも挿入方向の奥側に第2ブロック32の集合体部分が配置されるように、この第1開口部21aからケース本体21の内部へと挿入する。
この筐体20は、その第1開口部21aを筐体20の外側から塞ぐ開閉自在な第1カバー40を備える。その第1カバー40は、第1開口部21aの形状に合わせて合成樹脂で矩形に成形する。そして、この筐体20は、ケース本体21と第1カバー40との間で当該第1カバー40を開閉させるための第1ヒンジ41を備える。第1ヒンジ41は、その回動軸を中心にして、第1カバー40をケース本体21に対して回動させるものである。その第1ヒンジ41は、第1カバー40が閉状態(第1カバー40が第1開口部21aを塞いでいる状態)のときに対向している第1開口部21aと第1カバー40とにおける4箇所の辺部の内、或る1箇所の辺部に設ける。つまり、この第1ヒンジ41は、相互間で対向状態となる第1開口部21aにおける或る1箇所の辺部と第1カバー40における或る1箇所の辺部との間に配置する。
ここで、そのケース本体21と第1カバー40と第1ヒンジ41は、それぞれに別体のものとし、第1ヒンジ41を介してケース本体21と第1カバー40とを取り付けるように構成してもよい。但し、この例示では、そのケース本体21と第1カバー40と第1ヒンジ41とを一体成形した一体物として構成する。このため、第1ヒンジ41は、所謂樹脂ヒンジとして形成する。例えば、この第1ヒンジ41は、第1開口部21aにおける上記の或る1箇所の辺部と第1カバー40における上記の或る1箇所の辺部とを繋ぐ弾性片部であり、筐体20の外側に突出させた弧状に形成する。その弾性片部には、第1カバー40の開閉動作を行い得る範囲内での弾性を持たせる。この筐体20においては、その互いの辺部における所定の2箇所に第1ヒンジ41を配置している。
また、この筐体20は、その第1カバー40を閉状態でケース本体21(筐体20)に固定することで、この第1カバー40の閉状態の保持を可能にする第1ロック機構42を備える。その第1ロック機構42は、第1カバー40を閉状態でケース本体21に固定するロック状態と、第1カバー40を閉状態でケース本体21に固定していない未ロック状態と、を作り出すものである。ロック状態が解除された未ロック状態においては、第1カバー40の開閉動作が許容されている。この第1ロック機構42は、第1開口部21aと第1カバー40との間において第1カバー40が閉状態のときに対向している互いの4つの辺部の内、第1ヒンジ41が配置されていない辺部に設ける。この例示では、第1カバー40の自由端側の辺部に設けている。
第1ロック機構42は、第1カバー40に設けた第1係合部42aと、ケース本体21の第1開口部21aの近傍に設けた第2係合部42bと、を有する。この第1ロック機構42は、その第1係合部42aと第2係合部42bとを係合させることによってロック状態を形成し、その係合状態を解除させることによって未ロック状態を形成する。例えば、第1係合部42aと第2係合部42bは、その内の一方を突出部として形成し、他方を突出部が挿入されると共に係止される係止部として形成する。その係止部は、第1カバー40の閉動作に応じた突出部の挿入と共に弾性変形し、第1カバー40が閉状態となったときに弾性変形に伴う弾発力によって元の形状に戻り、第1カバー40が開かないように突出部を係止する。第1ロック機構42は、その係止に伴ってロック状態となる。一方、この第1ロック機構42においては、ロック状態で作業者が係止部に対して突出部の挿入時の弾性変形方向に力を加えると、突出部と係止部との間の係止状態が解除されて未ロック状態となる。この例示では、第1係合部42aを突出部として第1カバー40に一体成形し、第2係合部42bを係止部としてケース本体21に一体成形する。
ケース本体21には、更に第2開口部21bを設けている。その第2開口部21bは、電子部品10の着脱時の開口であり、ケース本体21(筐体20)の内部と外部とを連通させる。その第2開口部21bは、箱状に成形されたケース本体21の或る1つの面で、かつ、第1開口部21aと第1ヒンジ41と第1ロック機構42とが設けられていない面に設ける。その面は、第1開口部21aに対する矩形の直交平面である。作業者は、その第2開口部21bから電子部品10を保持部材30に取り付けたり、その第2開口部21bを介して電子部品10を保持部材30から取り外したりする。このため、保持部材30は、ケース本体21の内部において、その第2開口部21bからの電子部品10の着脱作業が行える位置に収容室31a,31b,32aの開口を近づけて配置する。
具体的に、この例示の第2開口部21bは、ヒューズ11とヒュージブルリンク12の着脱作業を行うための開口部として形成する。この第2開口部21bは、第1ブロック31上での各収容室31a,31b(つまりヒューズ11とヒュージブルリンク12)の配列に合わせて矩形に形成する。ここでは、その第1ブロック31が第1開口部21a側に配置される。このため、第1開口部21aと第2開口部21bは、共通の辺部(直交状態の第1開口部21aと第2開口部21bとが交わる部分)を有することになる。この例示では、その共通の辺部をケース本体21から取り除き、第1開口部21aと第2開口部21bとを互いの直交部分で連通させることによって、保持部材30のケース本体21に対する着脱作業性を高めている。但し、この例示において、閉状態の第1カバー40における1つの辺部は、図1に示すように、ケース本体21から取り除かれた第2開口部21bの辺部の代りのものとして利用する。
ここで、この第2開口部21bを有するケース本体21の矩形の或る1つの面においては、リレー13と共に第2ブロック32を覆う外板部22が設けられている。その外板部22は、第2ブロック32とリレー13の配列に合わせて矩形に形成する。つまり、その矩形の或る1つの面には、矩形の第2開口部21bと矩形の外板部22とが隣接している。
この筐体20は、その第2開口部21bを筐体20の外側から塞ぐ開閉自在な第2カバー50を備える。その第2カバー50は、第2開口部21bの形状に合わせて合成樹脂で矩形に成形する。筐体20は、ケース本体21と第2カバー50との間で当該第2カバー50を開閉させるための第2ヒンジ51を備える。第2ヒンジ51は、その回動軸を中心にして、第2カバー50をケース本体21に対して回動させるものである。この第2ヒンジ51は、第2カバー50が閉状態(第2カバー50が第2開口部21bを塞いでいる状態)のときに対向している第2開口部21bと第2カバー50とにおける4箇所の辺部の内、或る1箇所の辺部に設ける。つまり、この第2ヒンジ51は、相互間で対向状態となる第2開口部21bにおける或る1箇所の辺部と第2カバー50における或る1箇所の辺部との間に配置する。
この例示の第2カバー50は、その矩形の外表面50aが外板部22の矩形の外表面22aと面一になるようケース本体21に設ける。このため、この例示では、外板部22における第2開口部21bとの境界に相当する一辺と、この一辺と対向する第2カバー50の辺部と、の間に第2ヒンジ51を設ける。つまり、この筐体20においては、外板部22と第2カバー50との境界部分に第2ヒンジ51を配置することによって、外板部22の一辺に第2ヒンジ51を介して第2カバー50を開閉自在に保持させる。
ここで、ケース本体21と第2カバー50と第2ヒンジ51は、それぞれに別体のものとし、第2ヒンジ51を介してケース本体21(つまりケース本体21の外板部22)と第2カバー50とを取り付けるように構成してもよい。但し、この例示では、そのケース本体21と第2カバー50と第2ヒンジ51とを一体成形した一体物として構成する。即ち、この例示では、ケース本体21の外板部22と第2カバー50と第2ヒンジ51とが一体になっている。このため、第2ヒンジ51は、所謂樹脂ヒンジとして形成する。
第2ヒンジ51は、例えば、第2カバー50側で筐体20の外側へと突出させた第1弾性片部51aと、筐体20(つまりケース本体21の外板部22)側で当該筐体20の外側へと突出させた第2弾性片部51bと、第1弾性片部51aと第2弾性片部51bのそれぞれの突出側の端部を線で繋いだ連結線部51cと、を有する樹脂ヒンジとして形成する。その第1弾性片部51aは、第2カバー50における外板部22との境界部分の一辺に設ける。また、第2弾性片部51bは、外板部22における第2カバー50との境界部分の一辺に設ける。この第2ヒンジ51は、その連結線部51cを第2カバー50の開閉時の回動軸とするものである。よって、第1弾性片部51aと第2弾性片部51bと連結線部51cには、第2カバー50の開閉動作を行い得る範囲内での弾性を持たせる。
また、第2ヒンジ51は、第2カバー50と筐体20(ケース本体21の外板部22)との境界部分における互いの辺部を繋ぐ弾性片部からなる樹脂ヒンジとして形成してもよい。この第2ヒンジ51は、その弾性片部を筐体20の外側に突出させた弧状に形成する。その弾性片部には、第2カバー50の開閉動作を行い得る範囲内での弾性を持たせる。
この筐体20は、その第2カバー50を閉状態でケース本体21(筐体20)に固定することで、この第2カバー50の閉状態の保持を可能にする第2ロック機構52を備える(図3)。その第2ロック機構52は、第2カバー50を閉状態でケース本体21に固定するロック状態と、第2カバー50を閉状態でケース本体21に固定していない未ロック状態と、を作り出すものである。ロック状態が解除された未ロック状態においては、第2カバー50の開閉動作が許容されている。この第2ロック機構52は、第2開口部21bと第2カバー50との間において第2カバー50が閉状態のときに対向している互いの4つの辺部の内、第2ヒンジ51が配置されていない辺部に設ける。この例示では、第2カバー50の自由端側の辺部に設けている。
ここで、この筐体20では、前述したように、第1カバー40の1つの辺部が第2開口部21bの一辺を成している。このため、この筐体20においては、第1カバー40を閉じた後で、第2カバー50を閉じる必要がある。そして、その第2開口部21bの一辺(第1カバー40の1つの辺部)には、第2カバー50の自由端側の辺部が閉状態のときに接する。そこで、第2ロック機構52は、第1カバー40と第2カバー50との間に設ける。
第2ロック機構52は、第2カバー50に設けた第1係合部52aと、第1カバー40に設けた第2係合部52bと、を有する。この第2ロック機構52は、その第1係合部52aと第2係合部52bとを係合させることによってロック状態を形成し、その係合状態を解除させることによって未ロック状態を形成する。例えば、第1係合部52aと第2係合部52bは、その内の一方を爪状の突出部として形成し、他方を挿入された突出部の爪部分を係止する係止部として形成する。その突出部は、第2カバー50の閉動作に応じた係止部への挿入と共に弾性変形し、第2カバー50が閉状態となったときに弾性変形に伴う弾発力によって元の形状に戻り、第2カバー50が開かないように爪部分が係止部に係止される。第2ロック機構52は、その係止に伴ってロック状態となる。一方、この第2ロック機構52においては、ロック状態で作業者が突出部に対して係止部への挿入時の弾性変形方向に力を加えると、爪部分と係止部との間の係止状態が解除されて未ロック状態となる。この例示では、第1係合部52aを係止部として第2カバー50に一体成形し、第2係合部52bを突出部として爪部分52b1と共に第1カバー40に一体成形する。
ケース本体21には、更に、図2に示すように、第3開口部21cを設けている。ケース本体21の内部においては、保持部材30のそれぞれの相手側端子に対して、電線15を電気的に接続している。その電線15は、保持部材30における電子部品10の収容室31a,31b,31cの開口とは反対側の開口から挿入して、相手側端子に接続する。この電線15は、ケース本体21(筐体20)の内部から外部に引き出す。第3開口部21cは、この電線15をケース本体21(筐体20)の内部から外部に引き出すためのものである。
この電気接続箱1において、筐体20は、車両のエンジンコンパートメントや車室内等における車体の構造物にボルト等の螺子部材(図示略)を介して固定する。ケース本体21には、その車体の構造物への固定点に向けて延出させた支持部23を設けている。その支持部23には、螺子部材を挿通させる貫通孔23aが形成されている。また、この電気接続箱1においては、筐体20から引き出されている電線15が車体上を配策され、車両の二次電池と電子機器とに電気的に接続される。
ところで、第2ロック機構52には、その作動状態として、第1係合部52aと第2係合部52bとが係合していない解放状態と、第1係合部52aと第2係合部52bとが接触して係合してはいるが、第2係合部52bの爪部分52b1が第1係合部52aに係止されていない半係合状態と、第2係合部52bの爪部分52b1が第1係合部52aに係止されている完全係合状態と、が存在する。ここで、この電気接続箱1においては、第1係合部52aが第2係合部52bに挿入される際のストローク量が小さいと、第2カバー50を一瞥しただけでは、第2カバー50が閉状態になっているのか、それとも閉状態に近い位置で留まっているのか判別しにくい。このため、このままでは、第2ロック機構52の作動状態を凝視しなければ、この第2ロック機構52が解放状態や半係合状態であるにも拘わらず、第2ロック機構52が完全係合状態になっていると作業者に誤認させてしまう可能性がある。
また、別の形態ではあるが、この電気接続箱1においては、そのような第2ロック機構52を別のものに置き換えることも可能である。例えば、その新たな第2ロック機構とは、第2ロック機構52と同じように、第2カバー50に設けた第1係合部と、第1カバー40に設けた第2係合部と、を備える(図示略)。但し、この第2ロック機構は、第2ロック機構52のように、第2カバー50の閉動作に連動して係合動作が行われるものではない。この第2ロック機構は、第2カバー50が閉状態になった後で、作業者が第1係合部又は第2係合部を他方の係合部に向けて操作することによって、第1係合部と第2係合部とを完全に係合させ、第2カバー50を閉状態でケース本体21(筐体20)に固定する、という周知のものである。
この第2ロック機構は、その作業者の操作の過程における作動状態として、第2ロック機構52と同じように、解放状態と半係合状態と完全係合状態とが存在する。そして、この第2ロック機構は、先に述べたように、第2カバー50が閉状態のときに作業者の操作によって作動させるものである。このため、この第2ロック機構を採用した電気接続箱1においては、第2ロック機構の作動状態に拘わらず、第2カバー50が閉状態になっている可能性がある。従って、このままでは、第2ロック機構の作動状態を凝視しなければ、この第2ロック機構が解放状態や半係合状態であるにも拘わらず、第2ロック機構が完全係合状態になっていると作業者に誤認させてしまう可能性がある。
そこで、この電気接続箱1には、第2ロック機構52(上記の別形態の第2ロック機構の場合も含む)の作動状態、つまり第2ロック機構52による第2カバー50のロック状態と未ロック状態とを作業者に容易に判別させるためのロック状態確認機構を設ける。
そのロック状態確認機構は、第2カバー50が第2ロック機構52によって閉状態で固定されていない未ロック状態のときに、この第2カバー50を閉状態の位置に対して第2ヒンジ51の回動軸を中心にして開側へと少なくとも所定量回動させることで、第2カバー50の未ロック状態を視認可能にするものである。このため、その所定量は、例えば、作業者が第2カバー50を一瞥しただけで、この第2カバー50が閉状態になっているのか否かを判別できるだけの第2カバー50の開側への回動量の最小値に設定すればよい。
具体的に、本実施形態では、このロック状態確認機構として第2ヒンジ51を利用する。そのために、第2ヒンジ51は、第2カバー50を所定位置よりも閉じたときに当該第2カバー50に対して開側への反発力を発生させるよう構成する。その所定位置とは、第2カバー50に対して開側への力も閉側への力も作用していないときの第2カバー50の開状態における位置であり、第2カバー50の初期位置に相当する。この所定位置は、上記の所定量における第2カバー50の開状態の位置又は当該開状態の位置よりも開側の位置に設定する。ロック状態確認機構は、その第2ヒンジ51の反発力を利用して、第2カバー50が未ロック状態のときに、この第2カバー50を閉状態の位置に対して開側へと少なくとも所定量回動させる。
第2ヒンジ51としては、第2カバー50を所定位置よりも閉じたときに屈曲して弾性変形し、この弾性変形に伴う弾発力によって第2カバー50に対する開側の反発力を発生させる樹脂ヒンジを用いればよい。例えば、この第2ヒンジ51は、先に説明した第1弾性片部51aと第2弾性片部51bと連結線部51cとを有するものであってもよく、第2カバー50と筐体20(ケース本体21の外板部22)との境界部分における互いの辺部を繋ぐ弧状の弾性片部からなるものであってもよい。
ここで、第2ヒンジ51の反発力は、半係合状態の第2ロック機構52に作用している力(例えば第1係合部52aと第2係合部52bとの間に作用している摩擦力等)を考慮して決める。そして、この反発力は、次のようにして調整することができる。例えば、第1弾性片部51a等を有する第2ヒンジ51の場合、その反発力は、第1弾性片部51aと第2弾性片部51bと連結線部51cとの間に跨がって形成した孔部53の大きさと位置と数量とによって調整することができる。また、弧状の弾性片部からなる第2ヒンジ51の場合、その反発力は、その弾性片部に形成した孔部の大きさと位置と数量とによって調整することができる。
以上示したように、本実施形態の電気接続箱1において、第2カバー50は、未ロック状態のときに、ロック状態確認機構(第2ヒンジ51)によって、開状態であると視認できる位置まで開く。このため、この電気接続箱1においては、その第2カバー50の開状態に基づいて、第2ロック機構52の作動状態を作業者が容易に判別することができる。よって、作業者は、第2カバー50の未ロック状態を認識したときに、第2ロック機構52を作動させ、第2カバー50のケース本体21(筐体20)への固定を確実ならしめることができる。従って、この電気接続箱1においては、振動や衝撃等で未ロック状態の第2カバー50が開いてしまう事態を防ぐことができるので、他部品等との衝突に伴う第2カバー50の傷付きや破損の発生を低減させることができる。
[変形例]
図4−6の符号2は、本変形例の電気接続箱を示す。本変形例の電気接続箱2は、前述した実施形態の電気接続箱1において、第2カバー50の傷付きの抑制効果を更に高めたものである。この電気接続箱2には、実施形態の電気接続箱1において、筐体20の外表面への傷付きを抑えるための外表面保護機構60を設ける。その外表面保護機構60とは、車両に組み付けられる前の電気接続箱2の製造工程や搬送工程において、筐体20の外表面に傷が付かないように保護するためのものである。この例示の外表面保護機構60には、設置対象物(車体の構造物)に取り付けた状態の筐体20において、作業者等が視認できる領域(以下、「視認可能領域」という。)に存在している外表面を保護させる。ここでは、図6に示す第2カバー50と外板部22のそれぞれの矩形の外表面50a,22aが視認可能領域となる場合を例示する。尚、その第2カバー50と外板部22のそれぞれの外表面50a,22aとは、第2カバー50が閉状態のときに表に出ている部分のことである。
具体的に、ケース本体21(筐体20)と閉状態における第2カバー50の外表面50aとが対向する位置まで第2カバー50が開いたときには、その外表面50aへの他部品や工具等の接触が起こりにくくなり、この外表面50aの傷付きを抑えることができる。また、そのような位置まで第2カバー50が開いているときには、その外表面50aに対向しているケース本体21(筐体20)の外壁面への他部品や工具等の接触も起こりにくくなり、この外壁面の傷付きを抑えることができる。これらの傷付きの抑制効果は、第2カバー50の外表面50aとケース本体21(筐体20)の外壁面の成す角度が少なくとも所定角度以下の挟角となる位置まで第2カバー50を開くことで得られる。その所定角度以下の角度とは、その外表面50aや外壁面への他部品や工具等の接触が起こりにくくなっている角度のことである。その傷付きの抑制効果は、その外表面50aと外壁面との間に他部品や工具等が入り込みにくくなる位置まで第2カバー50を開くことによって得やすくなる。より好ましくは、その外表面50aと外壁面とが略平行な状態で対向する位置まで第2カバー50を開かせる。そこで、外表面保護機構60としては、そのような位置で第2カバー50をケース本体21(筐体20)に係止させる係止機構を用いる。
この例示において、その外表面50aと角度を持って又は外表面50aと略平行な状態で対向するケース本体21(筐体20)の外壁面とは、外板部22の外表面22aに相当する。このため、この外表面保護機構(係止機構)60は、第2カバー50の外表面50aと外板部22の外表面22aとを保護するものになる。従って、この電気接続箱2においては、外表面保護機構(係止機構)60の作動時に第2カバー50の外表面50aで外板部22の外表面22aの全体を覆うことによって、外板部22の外表面22aについての傷付きの抑制効果を高めることができる。よって、この例示の第2カバー50と外板部22と第2ヒンジ51は、その第2カバー50が外表面保護機構(係止機構)60でケース本体21(筐体20)に係止されているときに、この第2カバー50の外表面50aで外板部22の外表面22aの全体を覆うように構成する。その外表面50aの形状と外表面22aの形状は、第2カバー50の開きによって略平行な状態で対向しているときに、外表面50aで外表面22aの全体を覆うように形成する。この例示では、第2カバー50の外表面50aと外板部22の外表面22aについて、各々が略平行な状態で対向しているときに略同一の形状及び大きさで向かい合うように形成する。
例えば、この外表面保護機構(係止機構)60は、第2カバー50と筐体20(ケース本体21の外板部22)の内の一方に設けた爪状の第1係合部と、第2カバー50と筐体20の内の他方に設けた第2係合部と、を備える。この外表面保護機構(係止機構)60は、その第1係合部の爪部分を第2係合部に係合させることで第2カバー50を筐体20に係止し、その第1係合部と第2係合部との係合を解除することで第2カバー50の筐体20に対する係止状態を解除する。
この例示では、外板部22の外表面22a上に爪状の第1係合部61を設け、第2カバー50に第1係合部61の爪部分61aと係合する第2係合部62を設ける。その第2係合部62としては、第1係合部61の爪部分61aが挿入される貫通孔を設けている。ここでは、第1係合部61と第2係合部62とが筐体20に一体成形されている。この外表面保護機構(係止機構)60においては、第2カバー50の開動作と共に第1係合部61の爪部分61aを第2係合部62に挿入させ、その爪部分61aを第2カバー50の裏面(外表面50aとは反対側の面)に当接させることによって、第2カバー50を筐体20に係止する。第1係合部61は、その爪部分61aの第2係合部62への挿入に際して弾性変形し、爪部分61aが第2係合部62に入りきったときに元の形状に戻る。爪部分61aは、第1係合部61が元の形状に戻ることによって、第2カバー50を裏面から係止する。一方、この外表面保護機構(係止機構)60においては、その係止状態で作業者が第1係合部61に対して第2係合部62への挿入時の弾性変形方向に力を加えると、第2カバー50と筐体20との間の係止状態が解除される。第2カバー50は、その解除状態のときに閉方向へと動かすことによって第1係合部61が第2係合部62から離脱するので、開閉動作が自在に行える状態になる。
また、この外表面保護機構(係止機構)60は、第2ロック機構52の第1係合部52aに第2係合部62としての機能も持たせると共に、この第1係合部52aに係合する爪状の第1係合部61をケース本体21(例えば外板部22)に設けたものであってもよい。この場合の第1係合部61は、第2ロック機構52の第2係合部52bに相当するものとなる。そして、この場合の第1係合部52aには、第2係合部52bの爪部分52b1を係止する係止部分と、第1係合部61における爪部分(爪部分52b1と同等の形状に形成された爪部分)を係止する係止部分と、を形成する。このように、この外表面保護機構(係止機構)60は、第1係合部52aと第2係合部62とを共用化することで、一部ではあるが、第2ロック機構52との共用化を図ることができる。
以上示したように、本変形例の電気接続箱2は、実施形態の電気接続箱1の効果に加えて、車両に組み付けられる前の製造工程や搬送工程で第2カバー50を開いて外表面保護機構(係止機構)60を作動させることによって、車両搭載時に視認可能領域に存在する第2カバー50の外表面50aと外板部22の外表面22aの傷付きを抑制することができる。このため、この電気接続箱2は、車両搭載時の見栄えが向上するので、商品性を高めることができる。更に、この電気接続箱2においては、その外表面保護機構(係止機構)60を電子部品10の着脱作業時にも利用することで、第2カバー50を筐体20に開状態で保持させることができる。よって、この電気接続箱2は、電子部品10の着脱作業性を向上させることもできる。
ここで、従来は、製造工程や搬送工程で電気接続箱の筐体の外表面に傷が付かないように、例えば、少なくともカバー等の視認可能な部分を保護フィルム等の保護材で覆っている。しかしながら、その保護材は、電気接続箱が車両に組み付けられた後で取り外して廃棄されるものであり、原価増大の一因となっている。本変形例の電気接続箱2は、そのような保護材を用いずに、筐体20との一体成形による簡便な構造の外表面保護機構(係止機構)60で保護しているので、低コストで外表面50a,22aの傷付きを抑えることができる。
ところで、本変形例の外表面保護機構(係止機構)60は、ケース本体21(筐体20)に一体化させるものとして例示した。このため、この外表面保護機構(係止機構)60は、車両搭載後も筐体20に残存しており、観点を変えると、見栄えの悪化を招いてしまう可能性もある。そこで、見栄えの悪化を抑えるのであれば、外表面保護機構(係止機構)は、ケース本体21(筐体20)とは別体のものであってもよい。例えば、この外表面保護機構(係止機構)は、開状態の第2カバー50とケース本体21とを挟み込むクリップ状のものであってもよい。このような外表面保護機構(係止機構)は、第2カバー50を閉じる際に筐体20から取り外す必要がある。従って、このような外表面保護機構(係止機構)は、車両上での脱落を防ぐために、車両搭載前に第2カバー50を閉じる電気接続箱2に適用することが望ましい。