JP2016095526A - 波長可変干渉フィルター、光モジュール、及び光分析装置 - Google Patents
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この特許文献1の波長可変干渉フィルターでは、一対の基板の互いに対向する面に、駆動電極が対向配置されており、各駆動電極に駆動電圧を印加することで、静電引力によりギャップ間隔を調整することができる。ここで、一方の基板は、反射膜の周辺部分の厚さが他の部分に比べて薄く形成された低剛性部を有し、この低剛性部にも駆動電極が設けられている。そして、低剛性部の変形によって、一方の基板における反射膜の平坦性が確保される。このような構成により、波長可変干渉フィルターは、ギャップ間隔に応じた特定波長の光を透過させることが可能となる。
このように、波長可変干渉フィルターは、ギャップ間隔を調整することで、所望の波長の光を透過させるものであるため、高いギャップ精度が要求される。
このように、駆動電極の内部応力により、基板が撓んでしまうと、駆動電極に駆動電圧が印加されていない初期状態において、反射膜にも撓みが生じ、波長可変干渉フィルターの分解能が低下してしまうという問題がある。
本発明では、第2電極が第2基板における連結保持部の厚み寸法より大きい部分に設けられている。よって、連結保持部には第2電極(膜)が形成されていないため、連結保持部には第2電極の内部応力が作用しない。このため、内部応力により生じる基板の撓みを低減することができる。従って、基板の撓みによる反射膜の反りを抑制できるので、波長可変干渉フィルターの分解能を向上させることができる。
また、第2電極の内側電極のみが可動部に設けられているため、内側電極および外側電極を可動部に設けた場合に比べ、可動部に加わる重量を抑制することができる。従って、可動部の慣性を小さくすることができるので、駆動時の反射膜の応答性を向上させることができる。
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の概略構成〕
図1は、本発明に係る第1実施形態の波長可変干渉フィルターを備える測色装置(光分析装置)の概略構成を示す図である。
この測色装置1は、図1に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の光モジュールである測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって射出する。
測色センサー3は、図1に示すように、本発明の波長可変干渉フィルターを構成するエタロン5と、エタロン5を透過する光を受光する受光手段としての受光素子31と、エタロン5で透過させる光の波長を可変する電圧制御部6とを備えている。また、測色センサー3は、エタロン5に対向する位置に、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、エタロン5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を受光素子31にて受光する。
受光素子31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光素子31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
図2は、エタロン5の概略構成を示す平面図であり、図3は、エタロン5の概略構成を示す断面図である。なお、図3では、検査対象光が図中下側から入射するものとする。
エタロン5は、図2に示すように、平面正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。このエタロン5は、図3に示すように、第1基板51、及び第2基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、本実施形態では、SiO2(二酸化珪素)から構成される石英ガラス基材を用いている。なお、各基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されていてもよい。また、これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスを用いてもよく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述するミラー56,57や各電極53,54の密着性、基板51,52同士の接合強度を向上させることが可能となる。そして、これらの2つの基板51,52は、後述する接合面513,524が接合されることで、一体的に構成されている。
さらに、第1基板51と第2基板52との間には、固定ミラー56及び可動ミラー57の間のミラー間ギャップGの寸法を調整するための第1静電アクチュエーター55Aおよび第2静電アクチュエーター55Bが設けられている。
第1基板51は、厚みが例えば500μmの石英ガラス基材(SiO2:二酸化珪素)をエッチングにより加工することで形成される。具体的には、図3および図4に示すように、第1基板51には、エッチングにより、電極形成溝511とミラー固定部512とが形成される。
電極形成溝511は、図4に示すようなエタロン5を厚み方向から見た平面視(以降、エタロン平面視と称す)において、平面中心点を中心とした円形に形成されている。
ミラー固定部512は、エタロン平面視において、電極形成溝511の中心部から第2基板52側に突出して形成される。
ここで、第1電極53は、導電性を有し、後述する第2基板52の第2電極54との間で電圧を印加することで、第1電極53及び第2電極54間に静電引力を発生させることが可能なものであれば、特に限定されないが、本実施形態では、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)を用いる。また、Au/Cr膜(クロム膜を下地とし、その上に金膜を形成した膜)などの金属積層体を用いてもよい。
なお、本実施形態では、固定ミラー56として、TiO2−SiO2系の誘電体多層膜のミラーを用いる例を示すが、分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAg合金単層のミラーを用いる構成としてもよい。
第2基板52は、厚みが例えば200μmの石英ガラス基材(SiO2:二酸化珪素)をエッチングにより加工することで形成される。
また、第2基板52には、図2および図3に示すように、エタロン平面視において、基板中心点を中心とした円形の変位部521が形成される。この変位部521は、円柱状の可動部522と、可動部522と同軸であり可動部522を保持する連結保持部523とを備えている。
ここで、この可動ミラー57は、上述した固定ミラー56と同一の構成のミラーであり、例えば直径が3mmの円形状で、TiO2−SiO2系の誘電体多層膜のミラーが用いられる。
なお、第2電極54は、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)または、Au/Cr膜などの金属積層体が用いられる。
また、第2電極パッド542Pは、内側第1電極パッド531Pおよび外側第1電極パッド532Pと同様に、電圧制御部6に接続され、静電アクチュエーター55Aの駆動時には、第2電極パッド542Pに電圧が印加される。
電圧制御部6は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、各静電アクチュエーター55A,55Bの第1電極53及び第2電極54に印加する電圧を制御する。
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、及び測色処理部43(分析処理部)などを備えて構成されている。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部6は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長を透過させるよう、各静電アクチュエーター55A,55Bへの印加電圧を設定する。
測色処理部43は、測色センサー制御部42を制御して、エタロン5のミラー間ギャップを変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部43は、受光素子31から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光の光量を取得する。そして、測色処理部43は、上記により得られた各波長の光の受光量に基づいて、検査対象Aにより反射された光の色度を算出する。
上述の第1実施形態に係るエタロン5によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、第2電極54が、第2基板52における連結保持部523以外の部分に設けられているため、連結保持部523には、第2電極54の内部応力が作用しない。このため、第2基板52の中でも剛性が低い連結保持部523が、第2電極54の内部応力の影響を受けることを防止でき、内部応力により生じる第2基板52の撓みを低減することができる。従って、基板の撓みによる反射膜の反りを抑制できるので、エタロン5の分解能を向上させることができる。
さらに、電圧制御部6により各静電アクチュエーター55A,55B毎に印加電圧を制御できるため、より精度の高いギャップの設定が可能となる。
以下、本発明に係る第2実施形態について、図6に基づき説明する。
前記第1実施形態のエタロン5が備える第2電極54は、可動部522に形成されていた。
これに対し、本実施形態のエタロンが備える第2電極54は、内側第2電極541が連結保持部523の内側、つまり可動部522に形成され、外側第2電極542が連結保持部523の外側に形成されている。また、第2基板52の第1基板51と反対側の面52Bには、透光性を有する撓み防止膜59が設けられている。
なお、以下の説明では、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
このエタロン5Aにおいて、第2基板52の変位部521は、図6に示すように、可動部522と、可動部522を保持する連結保持部523と、連結保持部523の外側から連結保持部523を支持する支持部526とを備えている。
可動部522および連結保持部523は、前記第1実施形態と同様に構成されている。すなわち、連結保持部523は、可動部522の周囲を囲う環状のダイアフラムであり、可動部522は、連結保持部523よりも厚み寸法が大きく形成されている。
支持部526は、第2基板52における連結保持部523の外側の部分であって、第1基板51の電極固定面511Aと対向する部分で構成される。この支持部526は、連結保持部523よりも厚み寸法が大きく形成され、その厚み寸法が、例えば第2基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。
すなわち、第2基板52の第1基板51に対向する面52Aに第2電極54や可動ミラー57を成膜する際、第2電極54や可動ミラー57の内部応力(圧縮応力)により、第2基板52は、第1基板51側に撓もうとする。
M1∝σ1×T1×S1=(σ11×T11×N11×S1)+(σ12×T12×N12×S1)・・・(1)
同様に、第2基板52に作用する第2電極54の曲げモーメントがM2、第2電極54の内部応力がσ2、第2電極54の厚み寸法がT2、エタロン平面視における第2電極54の面積がS2であるとすると、以下の関係式(2)が成立する。
M2∝σ2×T2×S2・・・(2)
上記のように、可動ミラー57の内部応力σ1と、第2電極54の内部応力σ2とが同一方向であり、圧縮応力となる場合、第2基板52には、下記式(3)に示すような曲げモーメントM3が作用し、第2基板52を第1基板51側に撓ませようとする力となる。
M3=M1+M2・・・(3)
M4∝σ4×T4×S4・・・(4)
M4=M3・・・(5)
すなわち、第2電極54のうちの内側第2電極541のみが可動部522に設けられているため、第2電極54の内側第2電極541および外側第2電極542を可動部522に設けた場合に比べ、可動部522に加わる重量を抑制することができる。従って、可動部522の慣性を小さくすることができるので、駆動時の可動ミラー57の応答性を向上できる。
また、内側第2電極541が可動部522に設けられ、外側第2電極542が支持部526に設けられているため、両方の電極541,542を可動部522に設けた場合に比べ、第2電極54が可動部522に与える内部応力を小さくすることができる。従って、可動部522の反りを防止でき、可動ミラー57の平坦性を確保することができる。
また、撓み防止膜59が形成されている分、可動部522の厚み寸法が増大するため、可動部522の剛性が大きくなり撓みにくくなる。このため、より確実に可動ミラー57の撓みを防止することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1実施形態では、第2電極54を構成する内側第2電極541および外側第2電極542は可動部522に設けられ、前記第2実施形態では、内側第2電極541が可動部522に、外側第2電極542が支持部526にそれぞれ設けられていたが、これに限られない。例えば、図7に示すように、エタロン5Bにおいて、内側第2電極541および外側第2電極542を支持部526に設けてもよい。
また、前記各実施形態では、第1電極53および第2電極54は、それぞれ二重リング状に形成されていたが、これら電極53,54の形状としては、これに限られない。第1電極53および第2電極54は、単一のリング状であってもよく、三重以上の多重リング状であってもよい。
第2電極54にも絶縁膜58を形成することにより、第1電極53及び第2電極54間で、放電等による電流のリークを確実に防止できる。このため、第1電極53及び第2電極54に、設定電圧に応じた所望の電荷を保持させることができる。これにより、固定ミラー56及び可動ミラー57の間のギャップ間隔を精度良く制御することができ、エタロン5から所望の波長の光を精度良く取り出すことができる。
また、上記の本発明に係る波長可変干渉フィルターは、透光性を有する第1基板と、前記第1基板と対向する透光性の第2基板と、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1反射膜と、前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第1電極に対向する第2電極とを備え、前記第2基板は、前記第2反射膜が設けられた可動部と、前記可動部を基板厚み方向に移動可能に保持する連結保持部とを備え、前記連結保持部は、前記可動部を囲んで連続して形成され、かつ前記可動部よりも厚み寸法が小さく形成され、前記第2電極は、前記第2基板の前記連結保持部より厚み寸法が大きい部分に設けられていることを特徴とする。
Claims (6)
- 透光性を有する第1基板と、
前記第1基板と対向する透光性の第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1反射膜と、
前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第1反射膜とギャップを介して対向する第2反射膜と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、
前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第1電極に対向する第2電極とを備え、
前記第2基板は、前記第2反射膜が設けられた可動部と、前記可動部を基板厚み方向に移動可能に保持する連結保持部とを備え、
前記連結保持部は、前記可動部を囲んで連続して形成され、かつ前記可動部よりも厚み寸法が小さく形成され、
前記第2電極は、前記第2基板の前記連結保持部より厚み寸法が大きい部分に設けられている
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項1に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記第2電極は前記可動部に設けられている
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項1に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記連結保持部よりも厚み寸法が大きく形成され、前記連結保持部を支持する支持部を備え、
前記第2電極は、前記第2反射膜を囲んで形成された内側電極と、前記内側電極を囲んで形成された外側電極とを備え、
前記内側電極は前記可動部に設けられ、
前記外側電極は前記支持部に設けられている
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記第2基板の前記第1基板と対向する面とは反対側の面に設けられた撓み防止膜を備え、
前記撓み防止膜の面方向に作用する内部応力の方向と、前記第2反射膜および前記第2電極の面方向に作用する内部応力の方向とは、同一方向である
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターと、
前記波長可変干渉フィルターを透過した検査対象光を受光する受光手段とを備えた
ことを特徴とする光モジュール。 - 請求項5に記載の光モジュールと、
前記光モジュールの前記受光手段により受光された光に基づいて、前記検査対象光の光特性を分析する分析処理部とを備えた
ことを特徴とする光分析装置。
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