JP2016095421A - 位相差フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基材の一面側に、配向層2と、位相差層3とがこの順に配置された位相差フィルムであって、配向層がポリビニルシンナメートを含有する配向層形成用組成物又はその硬化物からなり、位相差層が、液晶化合物と、界面活性剤と、溶剤とを含有する、位相差層形成用組成物の硬化物からなり、界面活性剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンである、位相差フィルム10。
【選択図】図1
Description
上記位相差層を有する位相差フィルムとしては、樹脂基材上に、液晶化合物を一定方向に配列させる配向規制力を有する配向層と、当該配向層上に形成され、一定方向に配列された液晶化合物を含有する位相差層とを有するものが用いられている。
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に3次元表示が可能なものにできるという利点がある。
前記界面活性剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする。
なお、本発明において、光軸とは、遅相軸を意味する。
本発明において、配向規制力とは、位相差層中の液晶化合物を特定方向に配列させる相互作用を意味する。
本発明において、位相差フィルムとは、特に断りがない限りパターン位相差フィルムをも含むものである。
本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したもののことをいう。
本発明に係る位相差フィルムは、透明基材の一面側に、配向層と、位相差層とがこの順に配置された位相差フィルムであって、前記配向層がポリビニルシンナメートを含有する配向層形成用組成物又はその硬化物からなり、前記位相差層が、液晶化合物と、界面活性剤と、溶剤とを含有する位相差層形成用組成物の硬化物からなり、
前記界面活性剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンである、ことを特徴とする。
本発明の位相差フィルム10は、図1に例示されるように、透明基材1の少なくとも一面側に、配向層2と、位相差層3とがこの順に配置されている。本発明の位相差フィルム10は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の層を積層してもよく、図示はしないが、例えば、位相差層3上に、接着層を介し、或いは、接着層を介さずに偏光子が配置された偏光子付き位相差フィルムであってもよい。
また、本発明の位相差フィルムは、図2に例示されるように、透明基材1の一面側に配向層2として、第一配向領域4Aと、第一配向領域4Aとは異なる配向性を有する第二配向領域4Bを有するパターン配向層4を有し、位相差層3として、第一位相差領域5Aと第一位相差領域とは異なる方向に液晶化合物が配列された第二位相差領域5Bを有するパターン位相差層5を有するパターン位相差フィルム20であってもよい。
本発明者らは鋭意検討の結果、位相差層形成用組成物に用いられる界面活性剤として、上記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンを選択して用いることにより、ポリビニルシンナメートを含有する配向層上に塗工した場合であっても、位相差層形成用組成物のハジキが抑制されて均一な位相差層が形成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンは、一般式(I)で表される繰り返し単位を少なくとも20個有する比較的長いシロキサン構造を主骨格として有すると共に、側鎖に一般式(II)で表されるポリエーテルを有している。作用については未解明な部分もあるが、このような特定のポリエーテル変性シリコーンを用いることにより、位相差層形成用組成物の表面張力を低減し、ポリビニルシンナメートとの親和性も高めながら、表面平滑性が向上するものと推定される。
このようなことから、本発明の位相差フィルムは、製造時における位相差層のハジキが抑制され、当該位相差層の表面平滑性が向上して、ムラが無く均一性の高い位相差層を得ることができ、光学性能に優れた位相差フィルムとなる。
透明基材は、配向層や位相差層を支える機能を有するものである。透明基材としては、位相差フィルムに用いられる公知の透明基材を適宜選択して用いればよい。前記透明基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を用いて形成されたものを挙げることができる。
配向層は、後述する位相差層に含まれる液晶化合物を一定方向に配列させるための層である。
本発明においては、ポリビニルシンナメートを含有する配向層形成用組成物、又はその硬化物からなる配向層を用いることにより、後述する位相差層中の液晶化合物に対する配向規制力に優れると共に、後述する位相差層に用いられる特定の界面活性剤との組み合わせにより、均一性に優れた位相差層とすることができ、優れた光学性能を有する位相差フィルムを得ることができる。
本発明において配向層形成用組成物は、ポリビニルシンナメートを含有すればよく、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を有していてもよい。
ポリビニルシンナメートは、液晶化合物の配向性の点から、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
R5におけるアリール基は、炭素原子数が6〜12のアリール基であることが好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R5におけるアルコキシ基は、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
R5におけるアシル基は、炭素原子数が1〜6のアシル基であることが好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
一般式(III)においてpは0〜5の数を表し、0〜2であることが好ましく、0〜1であることがより好ましい。
位相差層は、前記配向層が有する配向規制力により、液晶化合物が規則的に配列し、位相差性が付与された層である。本発明において位相差層は、液晶化合物と、界面活性剤として一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンと、溶剤とを含有する位相差層形成用組成物の硬化物からなる。
本発明においては、位相差層形成用組成物が上記特定の界面活性剤を有するため、ポリビニルシンナメートを有する配向層上に塗工しても位相差層形成用組成物のハジキが抑制され、得られる位相差層の表面平滑性が向上し、位相差フィルムにおけるムラの発生が抑制されて、光学性能に優れた位相差フィルムを得ることができる。
本発明において位相差層は、界面活性剤として下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する。当該ポリエーテル変性シリコーンを含有する位相差層形成用組成物を用いることにより、ポリビニルシンナメートを含有する配向層上におけるハジキが抑制されて均一な位相差層を形成することができる。
また、R1及びR2におけるアリール基は、位相差層形成用組成物のハジキを抑制する点から、炭素原子数が6〜14のアリール基が好ましく、炭素原子数が6〜8のアリール基が好ましい。当該アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
一般式(II)においてmは、エーテルの繰り返し単位数を表す。本発明においてmは2以上の数であればよく、特に限定されない。位相差層形成用組成物のハジキが抑制される点から、mは2〜8であることが好ましく、mは3〜6であることがより好ましい。
主鎖骨格の末端は、特に限定されないが、前記R1及びR2と同様のものとすることができ、中でも、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
液晶化合物は、一般に、屈折率異方性が大きいため、位相差フィルムに所望の位相差性を付与しやすい。液晶化合物としては、例えば、ネマチック液晶化合物、コレステリック液晶化合物、カイラルネマチック液晶化合物、スメクチック液晶化合物、ディスコチック液晶化合物を挙げることができる。また、液晶分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられる。重合性官能基を有するものであれば、光の照射によって光重合開始剤から発生したラジカル、または電子線等の作用により、液晶化合物を架橋することができるため位相差フィルムの安定性が向上する。
また、前記位相差層形成用組成物の全固形分中の前記般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンの含有量は、接着剤適性が良好な位相差層が得られやすい点から、0.05質量%以上0.3質量%未満であることが好ましく、0.1〜0.2質量%であることがより好ましい。なお、本発明において固形分とは、溶剤を除くすべての成分を表す。
なお、本発明において接触角は、配向層表面に、測定対象となる位相差層形成用組成物を1μL滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測する。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて、測定することができる。
本発明において位相差フィルムの製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を適宜選択することができる。
以下に、位相差フィルムの量産性に優れる方法として、前記長尺状透明基材を用いた位相差フィルムの製造方法の一例を説明する。
次いで、配向層形成工程により、前記長尺状透明基材の一面側に配向層を形成する。配向層形成工程は、長尺透明基材上に配向層形成用組成物を塗工する工程の他、必要に応じて、配向層形成用組成物の塗膜を乾燥する工程や、配向層形成用組成物を硬化する工程、更には配向層形成用組成物を賦型する工程等、その他の工程を有していてもよい。
前記長尺状透明基材の搬送方法は、長尺状の基材を連続的に搬送することができる従来公知の方法を適宜選択して用いればよい。具体的には、例えば、ロール状にした長尺状透明基材を連続的に供給する巻き出し機、及び、長尺状透明基材を巻き取る巻き取り機等を用いるロールトゥロール方式において、ベルトコンベア、搬送用ロールや、エアの吐出と吸引とを行うことにより長尺透明基材を浮上させた状態で搬送する浮上式搬送台等の各種搬送機構を組み合わせて用いる方法等が挙げられる。
塗膜の乾燥工程は、加熱乾燥機構、減圧乾燥機構、ギャップ乾燥機構等、公知の乾燥機構を用いて乾燥すればよく、それぞれの乾燥機構に合わせ、乾燥温度、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶媒雰囲気濃度等を適宜調整すればよい。塗膜を連続的に均一に乾燥する点からは、上記搬送機構と組み合わせて行われることが好ましい。
上記偏光露光工程は、上記搬送機構と組み合わせて用いることが好ましい。
位相差層形成用組成物を塗工する方法は、所望の厚みの位相差層を精度良く塗布できる方法であればよく、前記配向層形成用樹脂組成物を塗工する方法と同様の方法とすることができる。
乾燥工程は、位相差層形成用塗膜中の液晶性化合物を配向させる点から、加熱乾燥であることが好ましい。加熱温度は、用いる液晶性化合物によっても異なるが、液晶性化合物の相転移温度より0〜10℃高いことが好ましい。
重合性官能基を有する液晶化合物をメチルイソブチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに界面活性剤として全固形分に対して0.2質量%の割合でポリエーテル変性シリコーン(ポリオキシアルキル(C2−C4)変性−ジメチルポリシロキサン;一般式(I)におけるnが20〜30のシリコーン鎖を有し、Si−Oの含有割合が約15質量%)であるEvonik Tego Chemie社製のFlow425を添加することにより、位相差層形成用組成物Aを調製した。
重合性官能基を有する液晶化合物をメチルイソブチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに界面活性剤として、全固形分に対して0.2質量%の割合でポリエーテル変性シリコーン(一般式(I)におけるnが30以上のシリコーン鎖を有し、Si−Oの含有割合が約20質量%)であるEvonik Tego Chemie社製のGlide450を添加することにより、位相差層形成用組成物Bを作製した。
重合性官能基を有する液晶化合物をメチルイソブチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに界面活性剤として全固形分に対して0.2質量%の割合でポリエーテル変性シロキサンコポリマー(一般式(I)におけるnが20未満)である共栄社製ポリフローKL−700を添加することにより、位相差層形成用組成物Cを作製した。
透明基材(材質アクリル、厚さ40μm、サイズ210mm×297mm)の一面側に、光二量化反応型の光配向材料であるポリビニルシンナメートを含有する配向層形成用組成物を塗布し、乾燥させて塗膜とした。
当該塗膜に、第一の偏光紫外線を幅523μmのストライプパターンを有するマスクを介して照射した。次いで、第一の偏光紫外線の偏光軸とのなす角が90°の偏光軸を有する第二の偏光紫外線をマスクを介さずに照射して、ストライプパターンを有する膜厚が150nmの配向層を形成した。
次に、前記配向層上に、前記位相差層形成用組成物Aを塗布し、紫外線を照射することにより硬化させて、膜厚が1μmの位相差層を形成することにより、パターン位相差フィルム1を得た。
実施例1において位相差層形成用組成物Aの代わりに位相差層形成用組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、パターン位相差フィルム2を得た。
実施例1において位相差層形成用組成物Aの代わりに位相差層形成用組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、パターン位相差フィルム3を得た。
<位相差層形成用組成物のハジキ性評価(1):接触角の測定>
前記実施例1と同様にして、透明基材上に膜厚が150nmの配向層が形成された積層体を作成した。
当該積層体の配向層表面に、実施例1〜2及び比較例1で用いた位相差層形成用組成物A〜Cをそれぞれ1μL滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いて測定した。結果を表1に示す。
実施例1〜2及び比較例1で得られた位相差フィルム1〜3をそれぞれ目視で観察して、単位面積当たりの位相差層形成用組成物のハジキの個数を測定した。結果を表1に示す。
実施例1〜2及び比較例1で得られた位相差フィルム1〜3をそれぞれ、位相差測定装置(Axostep、AXOMETRICS社製)にて観察したところ、実施例1〜2の位相差フィルムは、面内で位相差の変動が±1nm以下となっており、位相差ムラが観察されなかった。一方、比較例1の位相差フィルムは面内での位相差の変動が±2nm以上となっており位相差ムラが観察された。
一般式(I)の繰り返し単位が20個以上のポリエーテル変性シリコーンを用いた位相差層形成用樹脂組成物を用いた実施例1及び2では、ポリビニルシンナメートを含有する配向層に対して、接触角が10度未満となり、濡れ広がり易いことが明らかとなった。その結果、単位面積(m2)当たりのハジキの個数が0.2個未満となり、位相差層が均一で位相差ムラの無い、光学性能に優れた位相差フィルムを得ることができた。
一方、一般式(I)の繰り返し単位が20個未満のポリエーテル変性シリコーンを用いた比較例1の位相差層形成用樹脂組成物を用いた比較例1では、ポリビニルシンナメートを含有する配向層に対して接触角が11.2度となり、濡れ広がりにくいことが明らかとなった。その結果、単位面積当たりのハジキの個数が0.42個と実施例と比較して多く、また得られた位相差フィルムは、位相差ムラを生じていた。
2 配向層
3 位相差層
4 パターン配向層
4A 第一配向領域
4B 第二配向領域
5 パターン位相差層
5A 第一位相差領域
5B 第二位相差領域
10 位相差フィルム
20 パターン位相差フィルム
Claims (1)
- 透明基材の一面側に、配向層と、位相差層とがこの順に配置された位相差フィルムであって、前記配向層がポリビニルシンナメートを含有する配向層形成用組成物又はその硬化物からなり、前記位相差層が、液晶化合物と、界面活性剤と、溶剤とを含有する、位相差層形成用組成物の硬化物からなり、
前記界面活性剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリエーテル変性シリコーンである、位相差フィルム。
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