JP2016095024A - 軸受装置、機械装置および軸受 - Google Patents

軸受装置、機械装置および軸受 Download PDF

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英之 筒井
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Abstract

【課題】静止荷重を受けることによる異常発生が抑制されており、軸受寿命が長い軸受装置、機械装置および軸受を提供する。
【解決手段】軸受装置1は、内輪31と、内輪31の外周を囲むように形成された外輪32とを含む軸受30を備え、軸受30の作動時は外輪32が軸受30の周方向に回転する一方、内輪31は周方向に回転しないように構成されており、内輪31の周方向の一部は、軸受30の静止時においてラジアル荷重を受ける負荷域となっており、内輪31において負荷域を移動可能な移動部50をさらに備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、軸受装置、機械装置および軸受に関し、特に交換作業が困難な軸受を備える軸受装置、該軸受装置を備える機械装置、および当該軸受に関する。
軸受装置には、回転動作に伴う荷重が加えられるが、動作停止時(静止時)においても自重などによるラジアル荷重(静止荷重)が加えられる。軸受装置に対する静止荷重は、軸受装置の構成に応じて内輪または外輪の転走面において周方向における一部領域に加えられる。
転がり軸受を備える軸受装置では、たとえば内輪と固定軸とがはめあわされており、外輪と軸受装置において移動可能(たとえば回転可能)な部材とがはめあわされている場合に、内輪に静止荷重(内輪静止荷重)が加えられる。内輪において静止荷重を受ける領域(以下、負荷域という)は周方向において内輪の一部に形成される。そのため、内輪負荷域は、内輪と転動体との間に形成される転がり接触部において内輪負荷域以外の他の領域と比べて負荷を受ける頻度が最も高く、金属疲労による剥離等の異常が発生しやすい。
また、すべり軸受を備える軸受装置では、軸が軸受装置において固定されており、該軸に対して軸受が相対的に移動可能に設けられている場合に、軸に静止荷重(軸静止荷重)が加えられる。ここで、すべり軸受を備える軸受装置では、上記内輪静止荷重を軸静止荷重と置き換えることができ、軸の摺動面が軸受の摺動面に比べて摺動距離が長いため摩耗が進みやすい。
これらのような軸受装置では、軸受交換が容易にかつ低コストで行える場合には、軸受に剥離等の異常発生や摩耗進行を受けて軸受寿命に達したとして軸受交換するのが一般的である。たとえば、特開2002−235754号公報には、軸受交換を容易に行うための分割軸受が記載されている。また、特開2004−011737号公報には、風車において軸受交換の頻度を減らすことを目的として、ショットピーリング処理が施された内輪を備える自動調心ころ軸受が記載されている。
特開2002−235754号公報 特開2004−011737号公報
しかしながら、大型の軸受装置や交換作業が困難な場所に設置されている軸受装置では、軸受交換が容易でなく高コストな場合がある。このような軸受装置の例としては、風力発電装置用軸受装置、潮力発電装置用軸受装置、圧延ローラやガイドローラなどがある。
特に、風力発電装置用軸受装置のドライブトレーンを構成する主軸受は、高所に配置されたナセル内に設けられているため、交換作業を行うにはドライブトレーン全体を地上に降ろす必要がある。また、主軸受を交換後のドライブトレーンを再びナセル内に設置し直す必要がある。そのため、軸受交換は非常に高コストであり、軸受交換を行わずに停止状態の風力発電装置をそのまま放置する場合もある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、静止荷重を受けることによる異常発生が抑制されており、軸受寿命が長い軸受装置、機械装置および軸受を提供することにある。
本発明に係る軸受装置は、内輪と、前記内輪の外周を囲むように形成された外輪とを含む軸受を備え、前記軸受の作動時は前記外輪が前記軸受の周方向に回転する一方、前記内輪は前記周方向に回転しないように構成されており、前記内輪の前記周方向の一部は、前記軸受の静止時においてラジアル荷重を受ける負荷域となっており、前記内輪において前記負荷域を移動可能な移動部をさらに備える。
本発明によれば、静止荷重を受けることによる異常発生が抑制されており、軸受寿命が長い軸受装置、機械装置および軸受を提供することができる。
実施の形態1に係る軸受装置の遊星歯車機構を説明するための図である。 実施の形態1に係る軸受装置を説明するための断面図である。 図2中の線分III−IIIにおける断面図である。 実施の形態1に係る軸受装置における固定軸を説明するための側面図である。 図4中の矢印Vから見た上面図である。 図4中の線分VI−VIにおける断面図である。 図4中の線分VII−VIIにおける断面図である。 図4中の線分VIII−VIIIにおける断面図である。 図2中の線分IX−IXにおける断面図である。 実施の形態1に係る機械装置を説明するための断面図である。 実施の形態2に係る軸受装置を説明するための断面図である。 図11中の線分XII−XIIにおける断面図である。 実施の形態2に係る軸受装置の変形例を説明するための断面図である。 図13中の線分XIV−XIVにおける断面図である。 実施の形態1および実施の形態2に係る軸受装置の変形例を説明するための断面図である。 図15中の線分XVI−XVIにおける断面図である。 図15に示す軸方向シール部材の断面図である。 図16に示す周方向シール部材の側面図である。 図18中の矢印XIX−XIXから見た断面図である。 図18中の矢印XX−XXから見た断面図である。 図15に示す軸方向シール部材の変形例を示す断面図である。 図15に示す軸方向シール部材の他の変形例を示す断面図である。 図15に示す軸方向シール部材のさらに他の変形例を示す断面図である。 図16に示す周方向シール部材の変形例を示す側面図である。 図24中の矢印XXV−XXVから見た断面図である。 図24中の矢印XXVI−XXVIから見た断面図である。 図16に示す周方向シール部材の他の変形例を示す側面図である。 図27中の矢印XXVIII−XXVIIIから見た断面図である。 図27中の矢印XXIX−XXIXから見た断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
はじめに、本発明の実施の形態の概要を列挙する。
(1)ある実施例において、軸受装置1は、内輪31と、内輪31の外周を囲むように形成された外輪32とを含む軸受30を備え、軸受30の作動時は外輪32が軸受30の周方向に回転する一方、内輪31は周方向に回転しないように構成されており、内輪31の周方向の一部は、軸受30の静止時においてラジアル荷重を受ける負荷域となっており、内輪31において負荷域を移動可能な移動部50をさらに備える。
図2を参照して、内輪31は、軸受30の静止時におけるラジアル荷重(以下、単に静止荷重という)を受ける負荷域が軸受30の周方向R(以下、単に周方向Rという)の一部に形成されていることから、本実施例における軸受30は内輪31に静止荷重が加えられるいわゆる内輪静止荷重(あるいは軸静止荷重)の軸受30である。なお、軸受30には、たとえば転がり軸受や滑り軸受などを採用することができる。軸受30が滑り軸受である場合には、内輪31は固定軸として構成されており、外輪32は軸受として構成されていればよい。
このような軸受30の内輪31における負荷域を移動部50により移動させることで、静止荷重が内輪31の周方向Rにおける一部の特定領域に加えられ続ける(言い換えると、負荷域が内輪31の周方向Rにおいて特定の位置に固定される)ことを回避することができる。その結果、軸受寿命が長い軸受装置1を得ることができる。なお、移動部50による内輪31における負荷域の移動は、金属疲労が進行した先の使用時における負荷域と重ならない領域を新たな負荷域とするように移動させてもよいし、先の使用時における負荷域において最も大きな静止荷重を受けていた一部(最大面圧部)以外の領域と部分的に重なる領域を新たな負荷域とするように移動させてもよい。
また、移動部50による負荷域の移動は、たとえば負荷域において局所的な金属疲労が進行して剥離等の異常が発生させる前に実施されてもよいし、負荷域において局所的な金属疲労が進行して剥離等の異常が確認された後に実施されてもよい。
いずれの場合にも、金属疲労が進行した先の使用時における負荷域(少なくとも最大面圧部)と重ならない領域を負荷域として、交換作業を行うことなく1つの軸受装置1を継続して使用することができ、軸受寿命が長い軸受装置1を提供することができる。
(2)別の実施例において、移動部50は、内輪31において負荷域を周方向Rに移動可能に設けられている。
このようにすれば、内輪31における負荷域を容易に移動させることができる。また、内輪31の全周にわたって負荷域を移動させることができるため、たとえば内輪31の周方向Rの全領域に少なくとも1度は負荷域が形成されるまで軸受装置1を継続して使用することができる。その結果、従来の軸受装置と比べて、軸受寿命が極めて長い軸受装置1を提供することができる。
(3)別の実施例において、軸受30は、転がり軸受であり、軸受30の作動時に内輪31が固定されている遊星軸21と、円環状であって、その内周側において遊星軸21とはめあわされるとともに内輪31と接続されており、内輪31と一体として遊星軸21に対し移動可能に設けられている間座34とをさらに備え、間座34において遊星軸21との接触面31Aには、周方向に延在する間座溝部35が形成されており、間座溝部35の内部は、遊星軸21から突出する突出部材27により互いに独立し周方向Rに並ぶ第1空間35Aと第2空間35Bとに区分されており、移動部50は、第1空間35Aを広げるように第1空間35Aに第1媒体を供給可能に設けられている。
このようにすれば、間座溝部35は間座34上に(内輪31の転走面以外の面上に)形成されているため、移動部50により転がり軸受30の回転動作を妨げることなく負荷域を移動可能である。さらに、第1空間35Aと第2空間35Bとは少なくとも周方向において遊星軸21に位置決めされた突出部材27により区分されているため、第1空間35Aの周方向Rにおける一方端は突出部材27により軸受装置1において固定端として構成されている。第1空間35Aの他方端は、間座34において遊星軸21との接触面31A上に設けられた間座溝部35の端部であり、内輪31が遊星軸21に対して周方向Rにおいて相対的に移動可能であるため、軸受装置1において周方向Rに移動可能に構成されている。そのため、移動部50は、第1空間35Aに第1媒体(気体、液体など)を供給することにより、上記他方端を突出部材27(上記一方端)から周方向Rにおいて離れるように移動させることができる。その結果、金属疲労が進行した先の使用時における負荷域と異なる領域を負荷域とすることができる。したがって、軸受30の交換作業を行うことなく1つの軸受装置1を継続して使用することができ、軸受寿命が長い軸受装置1を提供することができる。
(4)別の実施例において、軸受装置1は、第2空間35Bと軸受装置1の外部とをつなぐ流通路(第2流通孔24)を含む。
第1空間35Aおよび第2空間35Bは、間座溝部35の内部において突出部材27が配置されている領域以外の領域に形成されており、第1空間35Aの容積と第2空間35Bの容積との和は内輪31における負荷域の位置(異なる観点から言えば間座溝部35と突出部材27との相対的な位置関係)によらず一定である。そのため、移動部50により第1空間35Aを広げるように第1空間35Aに第1媒体が供給されると、第1空間35Aが周方向Rに広がって第1空間35Aの容積が大きくなるとともに第2空間35Bの容積が小さくなる。そのため、軸受装置1が第2空間35Bと外部とをつなぐ流通路を含む、たとえば遊星軸21が第2空間35Bと遊星軸21の外部とを接続する第2流通孔24を含むことにより、第1空間35Aに第1媒体を供給するとともに第2空間35Bに充填されていた第1媒体(気体、液体など)を外部に逃がすことができる。その結果、第2空間35Bの容積が小さくなる際に第2空間35B内の第1媒体が圧縮され、第2空間35Bの圧力が高まり、移動部50による負荷域の移動が妨げられることを抑制することができる。
(5)別の実施例において、突出部材27は遊星軸21の表面から突出した状態と、表面から突出していない状態とに位置変更可能となっている。
このような軸受装置1は遊星歯車機構200を備える場合に好適である。遊星歯車機構200の一般的な組み立て作業では、まず軸受(内輪31)と間座34とが予め取り付けられた遊星歯車20を準備し、これを支持部(キャリア22)において遊星歯車20が取り付けられる所定の位置に設置する。つまり、キャリア22において遊星軸21が支持される部分(穴)と、内輪31および間座34において遊星軸21が挿入される貫通孔とが重なるように遊星歯車20とキャリア22とを配置する。次に、遊星軸21をキャリア22の穴と内輪31および間座34の貫通孔に同時に挿入する。そのため、突出部材27が遊星軸21の表面から常に突出した状態として設けられている場合には、上記のような一般的な組み立て方法で遊星歯車機構200を組み立てることが不可能である。
また、突出部材27が遊星軸21の表面から常に突出した状態として設けられている場合にも、キャリア22が軸方向に分割されているか、あるいはキャリア22の穴が半径方向に分割されていれば遊星歯車機構として組み立てることは可能となる。しかし、そのような遊星歯車機構では、上記のような一般的な組み立て作業によって組み立てられた従来の遊星歯車機構と同等の強度や位置合わせ精度を実現することは困難である。
これに対し、本実施例における軸受装置1では、突出部材27は遊星軸21の表面から突出した状態と、表面から突出していない状態とに位置変更可能に設けられていることにより、軸受装置1は高強度で高い位置合わせ精度を有する遊星歯車機構200を備えることができる。
(6)別の実施例において、軸受装置1は、内輪31と遊星軸21との摩擦力を低減させる摩擦力低減部60をさらに備え、遊星軸21において内輪31との接触面21Aには固定軸溝部25が形成されており、固定軸溝部25と内輪31との間には第3空間が形成されており、摩擦力低減部60は、第3空間内に第2媒体を供給可能に設けられている。
たとえば内輪31と遊星軸21との接触面において鉛直方向の上方に位置する部分に軸受30の自重が負荷されている場合、当該部分には移動部50による負荷域の移動を妨げる摩擦力が生じる。このような場合、摩擦力低減部60により当該摩擦力を低減することにより、移動部50による負荷域の移動を容易に行うことができる。
(7)別の実施例において、軸受30は転がり軸受であり、内輪31が固定されている遊星軸21と、遊星軸21を支持する支持部80とをさらに備え、支持部80において遊星軸21との接触面には、周方向Rに延在する支持部溝部81が形成されており、支持部溝部81の内部は、遊星軸21から突出する凸部83により互いに独立し周方向Rに並ぶ第4空間81Aと第5空間81Bとに区分されており、移動部50は、第4空間81Aを広げるように第4空間81Aに第1媒体を供給可能に設けられている。
このようにすれば、遊星軸21が支持部80に対して周方向Rにおいて相対的に移動可能に設けられており、第4空間81Aの一方端は凸部83により支持部溝部81の内部を周方向Rに移動可能に構成されている。そのため、移動部50は、第4空間81Aに第1媒体(気体、液体など)を供給することにより、上記他方端を突出部材27(上記一方端)から周方向Rにおいて離れるように移動させることができる。その結果、金属疲労が進行した先の使用時における負荷域と異なる領域を負荷域とすることができ、交換作業を行うことなく1つの軸受装置1を継続して使用することができ、軸受寿命が長い軸受装置1を提供することができる。
また、支持部溝部81は内輪31の転走面以外の面上に形成されているため、移動部50は転がり軸受30の回転動作を妨げることなく負荷域を移動可能である。
(8)別の実施例において、軸受30は滑り軸受であり、内輪31が固定されている遊星軸21と、遊星軸21を支持する支持部80とをさらに備える。移動部50は、支持部80に対して内輪31を相対的に移動させることにより、内輪31において負荷域を移動可能に設けられている。
このようにすれば、軸静止荷重の滑り軸受30を備える軸受装置1であっても、金属疲労が進行した先の使用時における負荷域と異なる領域を負荷域とすることができ、交換作業を行うことなく1つの軸受装置1を継続して使用することができ、軸受寿命が長い軸受装置1を提供することができる。
(9)別の実施例において、支持部80において遊星軸21との接触面には、周方向Rに延在する支持部溝部81が形成されており、支持部溝部81の内部は、遊星軸21から突出する凸部83により互いに独立し周方向Rに並ぶ第4空間81Aと第5空間81Bとに区分されており、移動部50は、第4空間81Aを広げるように第4空間81Aに第1媒体を供給可能に設けられている。
このようにすれば、遊星軸21が支持部80に対して周方向Rにおいて相対的に移動可能に設けられており、第4空間81Aの一方端は凸部83により支持部溝部81の内部を周方向Rに移動可能に構成されている。そのため、移動部50は、第4空間81Aに第1媒体(気体、液体など)を供給することにより、上記他方端を突出部材27(上記一方端)から周方向Rにおいて離れるように移動させることができる。その結果、金属疲労が進行した先の使用時における負荷域と異なる領域を負荷域とすることができ、交換作業を行うことなく1つの軸受装置1を継続して使用することができ、軸受寿命が長い軸受装置1を提供することができる。
また、支持部溝部81は内輪31(遊星軸21)と外輪32との滑り面以外の面上に形成されているため、移動部50は滑り軸受30の回転動作を妨げることなく負荷域を移動可能である。
(10)別の実施例において、遊星軸21と支持部22との摩擦力を低減させる摩擦力低減部60をさらに備え、遊星軸21において支持部22との接触面21Aには固定軸溝部25が形成されており、固定軸溝部25と遊星軸21との間には第6空間が形成されており、摩擦力低減部60は、第6空間内に第2媒体を供給可能に設けられている。
たとえば内輪31と遊星軸21との接触面において鉛直方向の上方に位置する部分に軸受30の自重が負荷されている場合、当該部分には移動部50による負荷域の移動を妨げる摩擦力が生じる。このような場合、摩擦力低減部60により当該摩擦力を低減することにより、移動部50による負荷域の移動を容易に行うことができる。なお、移動部50により第1空間35Aに供給される第1媒体と、摩擦力低減部60により第6空間の内部に供給される第2媒体とは、同一の媒体(気体、液体など)であってもよいし、異なる媒体(気体、液体など)であってもよい。
(11)移動部50は、油圧アクチュエータを含む。
油圧アクチュエータとは、油圧として入力されたエネルギーを外輪32の動力に変換する任意の装置であり、たとえば油圧ポンプや油圧ジャッキなどであってもよい。移動部50が油圧アクチュエータを含むことで、たとえば内輪の外径が1メートル以上ある大型の軸受装置1であっても、移動部50は大型の内輪を移動(回転)させるのに必要な大きなトルクを容易に発生させることができる。また、油圧アクチュエータを含む移動部50は高い安定性、制御性などを有している。そのため、油圧アクチュエータを含む移動部50は、上記のようなサイズや設置場所等の制約により交換作業が困難な軸受30を備える軸受装置1の移動部50として、好適である。
(12)ある実施例における機械装置100は、上記軸受装置1を備えている。
上述した軸受装置1は、任意の機械装置100に備えられていればよいが、たとえば風力発電装置、潮力発電装置などの遊星歯車機構を有する機械装置や、大型の圧延ローラやガイドローラなどの機械装置に備えられていればよい。このような機械装置100は、軸受寿命が長い軸受装置1を備えているため、従来の機械装置と比べて軸受寿命に達したことによる軸受30の交換作業の頻度を低減することができる。また、風力発電装置など、軸受30の交換作業が極めて高コストであり交換作業が困難であるために装置の寿命が軸受寿命に左右される機械装置では、機械装置自体を長寿命化することができる。
(13)別の実施例における軸受30は、上記軸受装置1に備えられている。
上述した軸受装置1は、軸受30の静止時においてラジアル荷重を受ける負荷域が周方向Rの一部に形成されている内輪31を含む軸受30を備えている。当該軸受30は、移動部50により負荷域を移動可能に設けられている限りにおいて任意の構成を備えていればよく、転がり軸受30であってもよいし、すべり軸受30であってもよい。このような軸受30は、移動部50により負荷域を移動可能に設けられているため、負荷域が内輪31における特定の位置に固定されている従来の軸受装置に備えられている軸受と比べて、長寿命である。
(実施の形態1)
次に、図1〜図9を参照して、実施の形態1に係る軸受装置1について説明する。軸受装置1は、遊星軸21と、内輪31が遊星軸21に固定されている軸受30とを備える限りにおいて任意の構成を備えていればよい。軸受装置1は、たとえば遊星歯車機構200を備える。
遊星歯車機構200は、太陽歯車10と、遊星歯車20と、遊星軸受30と、内歯車40とを含む。太陽歯車10は、出力軸11と接合されている。
遊星歯車20は、遊星軸21と遊星軸受30を介して接続されている。遊星軸21は、キャリア22(支持部)により支持されている。キャリア22は、軸受装置1において回転可能に設けられている。つまり、遊星歯車20は、キャリア22により公転可能に支持されている。
遊星軸受30は、たとえば転がり軸受である。遊星軸受30は、任意の構造を備えていればよいが、たとえば自動調心ころ軸受である。遊星軸受30は、内輪31と、外輪32と、複数の転動体33(たとえば球面ころ)とを含む。内輪31はその外周面に複数の転動体33と接触している転走面を有しており、外輪32はその内周面に複数の転動体33と接触している転走面を有している。
内輪31はその転走面よりも径方向の内側において遊星軸21とははめあわされており、外輪32はその転走面よりも径方向の外側において遊星歯車20とはめあわされている。内輪31と遊星軸21とは、周方向Rにおいて相対的に移動可能であって、キャリア22によって公転可能に設けられている。外輪32と遊星歯車20とは互いに固定され一体として回転可能に設けられている。あるいは外輪32自体が遊星歯車20として構成されて回転可能に設けられていてもよい。すなわち、転がり軸受30は、いわゆる内輪静止荷重の転がり軸受である。なお、軸受装置1の作動時には、外輪32が周方向Rに回転する一方、内輪31は周方向Rに回転しないように構成されている。
軸受装置1において、転がり軸受30は1つの遊星軸21に任意の数だけ取り付けられていればよいが、たとえば1つの遊星軸21に2つの転がり軸受30が取り付けられている。2つの転がり軸受30は、たとえばその軸方向において間座34を挟んで平行に配置され、間座34により相対的に位置決めされている。
図2および図9を参照して、間座34は、内輪31と同様に円環状に設けられており、その内部において遊星軸21とはめあわされている。間座34と内輪31とは、少なくとも周方向Rおよび転がり軸受30の径方向(以下、単に径方向という)において互いに固定され一体として移動可能に設けられている。内輪31と間座34とは、たとえば軸方向において嵌合可能に設けられている。たとえば、内輪31には軸方向において間座34と接続される面から軸方向に凹んだ凹部が設けられているとともに、間座34には軸方向において内輪31と接続される面から軸方向に突出した凸部が設けられており、間座34の凸部が内輪31の凹部に嵌合されることにより内輪31と間座34とが互いに固定され一体として移動可能に設けられていてもよい。また、内輪31に設けられた凸部と間座34に設けられた凹部とが嵌合されることにより内輪31と間座34とが互いに固定され一体として移動可能に設けられていてもよい。間座34において遊星軸21との接触面には、周方向Rに延在する間座溝部35が形成されている。
間座溝部35は周方向Rに延在しており、かつ周方向Rにおいて端部を有している(全周に連なっていない)限りにおいて、周方向Rにおいて任意の領域に任意の長さにわたって形成されていればよい。異なる観点から言えば、間座34の内周面34Aには、遊星軸21の外周面21Aと摺動する接触部36が周方向Rにおいて一部分に形成されている。好ましくは、間座溝部35は内輪31と遊星軸21との接触面の大部分に渡って形成されている。このようにすれば、間座溝部35が周方向Rに広く形成されているため、周方向Rにおける内輪31の移動可能範囲を長くとることができる。より好ましくは、間座溝部35は周方向Rにおいて複数形成されており、複数の間座溝部35は遊星軸21を挟んで対向するように配置されている。このようにすれば、間座溝部35(間座溝部35の内部に形成される第1空間35A)に移動部50によって第1媒体が供給されたときにも、第1媒体が内輪31に対し径方向に及ぼす力を相殺して、第1媒体が内輪31に対し周方向Rに及ぼす力を効果的に利用することができる。
間座溝部35は、1つの転がり軸受30の軸方向(以下、単に軸方向という)において、少なくとも1つ形成されていればよく、複数形成されていてもよい。複数の間座溝部35は、それぞれ同一の構成を備えていてもよいし、異なっていてもよい。
間座溝部35は、軸方向において間座溝部35の遊星軸21との接触面上の任意の位置に形成されていればよいが、たとえば軸方向における中央に形成されている。
なお、間座溝部35の周方向Rにおける一方端部は、後述する第1空間35Aの周方向Rにおける固定端(突出部材27と第1空間35Aとの接続端面)以外の端部を構成し、その他方端部は、後述する第2空間35Bの周方向Rにおける固定端(突出部材27と第2空間35Bとの接続端面)以外の端部を構成している。
間座溝部35の内部は、遊星軸21から突出する突出部材27により互いに独立し周方向Rに並ぶ第1空間35Aと第2空間35Bとに区分されている。つまり、第1空間35Aは、周方向Rに延びるように形成されており、周方向Rにおける一方の端部が突出部材27と第1空間35Aとの接続端面であって、他方の端部が間座溝部35の周方向Rにおける一方端部である。また、第2空間35Bは、周方向Rに延びるように形成されており、周方向Rにおける一方の端部が突出部材27と第2空間35Bとの接続端面であって、他方の端部が間座溝部35の周方向Rにおける他方端部である。
ここで、間座34は、上述のように、内輪31と一体として周方向Rに移動可能に設けられているため、間座34および内輪31は遊星軸21に対して相対的に移動可能である。そのため、間座34に設けられている間座溝部35と遊星軸21に対して位置決めされている突出部材27とは相対的な位置関係が変更可能に設けられている。間座溝部35と突出部材27との相対的な位置関係が変更されると、間座溝部35および突出部材27の形状は一定であるため、第1空間35Aおよび第2空間35Bはそれぞれ一方が広がると他方が狭まるように変化する。
第1空間35Aが最も広がったときの第1空間35Aの周方向Rにおける両端部間と軸受30の軸心との成す角度は、移動部50が遊星軸21に対し内輪31を移動可能な角度に相当し、たとえば150度程度とすることができる。
突出部材27は、内輪31において第1の穴28Aから内輪31と遊星軸21との接触面よりも外輪32側に向かって突出している。突出部材27は、径方向における一方の端部が第1の穴28Aの内部において支持部材29により支持されている状態で、他方の端部が間座溝部35と軸方向において嵌合している。
第1の穴28Aは、遊星軸21において、突出部材27を収容可能であり、かつ周方向Rおよび軸方向において突出部材27を位置決め可能に設けられている。第1の穴28Aは、たとえば内輪31の軸心を通って径方向に延びるように設けられている。この場合には、第1の穴28Aは2つの突出部材27を収容可能であって、2つの突出部材27は第1の穴28Aから外輪32側に向かってそれぞれ突出している。
遊星軸21には、第1の穴28Aと連なるとともに第1の穴28Aと交差する方向、たとえば軸方向に延びる第2の穴28Bが形成されている。第2の穴28Bは、支持部材29を収容可能であって、周方向Rおよび径方向において支持部材29を位置決め可能に設けられている。第2の穴28Bは、遊星軸21の軸方向における端面に連なっており、遊星軸21と遊星軸受30および間座34とをはめあせている状態で支持部材29を遊星軸21に対して出し入れ可能とするように設けられている。
支持部材29は、第1の穴28Aの内部において突出部材27と接続されて突出部材27を径方向において支持可能に設けられている。突出部材27と支持部材29との接続面は、軸方向および径方向に対して傾斜している。これにより、支持部材29を遊星軸21の軸方向Aにおける端面に開口した第2の穴28Bに挿入して第1の穴28Aの内部にまで押し込むことにより、第1の穴28Aの内部に収容されていた突出部材27を径方向に移動させて間座溝部35と嵌合するまで突出させることができる。
つまり、突出部材27は、支持部材29との接続の有無(支持部材29が第1の穴28Aの内部に挿入されているか否か)によって、遊星軸21の表面から突出した状態と、表面から突出しない状態とに変更可能に設けられている。
間座34において、突出部材27と間座溝部35とが嵌合可能な領域は周方向Rにわたって広く形成されている。言い換えると、間座溝部35の周方向Rに垂直な断面形状は周方向Rにわたって等しく設けられており、かつ間座溝部35の周方向Rに垂直な断面形状と突出部材27の周方向Rに垂直な断面形状とがほぼ等しく設けられている。このようにすれば、後述する移動部50により第1空間35Aに第1媒体(たとえば高い圧力を有する油)を供給して第1空間35Aを周方向Rに広げるときにも、突出部材27と間座溝部35との嵌合状態を維持しながら内輪31および間座34を遊星軸21に対して相対的に移動させることができる。
図3、図4および図5を参照して、遊星軸21には、第1空間35Aと外部とを接続するための第1流通孔23と、第2空間35Bと外部とを接続するための第2流通孔24とが形成されている。つまり、第1流通孔23および第2流通孔24は、周方向Rにおいて突出部材27および第1の穴28Aを挟むように配置されている。突出部材27を挟んで設けられている第1流通孔23と第2流通孔24とは、同一の間座溝部35に接続可能に設けられている。周方向Rにおいて複数の間座溝部35が形成されている場合には、第1流通孔23、第2流通孔24、突出部材27および間座溝部35は、周方向Rにおいて回転対称に設けられているのが好ましい。
移動部50は、遊星軸21における第1流通孔23を介して第1空間35Aに接続可能に設けられている。軸受装置1には、たとえば移動部50に接続されており、第1媒体を流通可能なホースを第1流通孔23に接続するためのホース導入口51が形成されており、軸受装置1のメンテナンス時などにホース導入口51から上記ホースを導入して第1流通孔23に接続させてもよい。つまり、移動部50は、軸受装置1の運転時などにおいては第1流通孔23と接続されていなくてもよい。なお、第2空間35Bは、第2流通孔24を介して軸受装置1の外部と接続されている。
移動部50は、第1空間35Aを広げるように、遊星軸21を介して第1空間35Aに第1媒体を供給可能に設けられている。移動部50は、内輪31における負荷域を移動可能な限りにおいて、任意の構成を備えていればよいが、たとえば油圧アクチュエータを含む。つまり、第1媒体は、気体や液体のうちから任意に選択され得るが、たとえば高い圧力の油である。
次に、本実施の形態に係る軸受装置1の作用効果について説明する。軸受装置1は、内輪31において遊星軸21との接触面には、周方向Rに延在する間座溝部35が形成されており、間座溝部35の内部は、遊星軸21から突出する突出部材27により互いに独立し周方向Rに並ぶ第1空間35Aと第2空間35Bとに区分されている。移動部50は、第1空間35Aを広げるように、第1空間35Aに突出部材27を介して第1媒体を供給可能に設けられている。
そのため、軸受装置1の作動時には外輪32が周方向Rに回転する一方、内輪31は周方向Rに回転しないように構成されていても、軸受装置1のメンテナンス時など移動部50を作動させることにより、負荷域を移動させることができる。このとき、間座溝部35は間座34上に(内輪31の転走面以外の面上に)形成されているため、移動部50は転がり軸受30の回転動作を妨げることなく負荷域を移動可能である。さらに、第1空間35Aと第2空間35Bとは突出部材27により区分されているため、第1空間35Aの周方向Rにおける一方端は遊星軸21に固定された突出部材27により軸受装置1において固定端として構成されている。第1空間35Aの他方端は、間座34と遊星軸21との接触面上に設けられた間座溝部35の端部であり、内輪31および間座34が遊星軸21に対して周方向Rにおいて相対的に移動可能であるため、軸受装置1において周方向Rに移動可能に構成されている。そのため、移動部50は、第1空間35Aに第1媒体(気体、液体など)を供給することにより、上記他方端を突出部材27(上記一方端)から周方向Rにおいて離れるように移動させることができる。その結果、金属疲労が進行した先の使用時における負荷域(少なくとも最大面圧部)と重ならない領域を負荷域とすることができる。したがって、軸受30の交換作業を行うことなく1つの軸受装置1を継続して使用することができる。
また、突出部材27は、支持部材29との接続の有無(支持部材29が第1の穴28Aの内部に挿入されているか否か)によって、遊星軸21の表面から突出した状態と、表面から突出しない状態とに変更可能に設けられている。そのため、遊星軸21と内輪31および間座34とを嵌め合わせる際には突出部材27が遊星軸21の第1の穴28A内に収容されている状態とし、遊星軸21と内輪31および間座34とを嵌め合わせた後に突出部材27と間座溝部35とを嵌合させることができる。その結果、キャリア22が軸方向に分割されているか、あるいはキャリア22の穴が半径方向に分割されていなくても、遊星歯車機構を備える軸受装置1を組み立てることが可能であるため、軸受装置1は高強度で高い位置合わせ精度を有する遊星歯車機構200を備えることができる。
図2、図5および図7を参照して、実施の形態1に係る軸受装置1は、内輪31と遊星軸21との接触面における摩擦力を低減させる摩擦力低減部60をさらに備えていてもよい。
遊星軸21において、内輪31との接触面には遊星軸溝部25が形成されている。遊星軸溝部25は、移動部50により内輪31と遊星軸21とを相対的に移動させる際に内輪31と遊星軸21との間で摩擦力が生じる領域(たとえば軸受30よりも鉛直方向上方に位置する領域)の少なくとも一部上に形成される。遊星軸溝部25は、たとえば周方向Rに延びるように形成されている。遊星軸溝部25は、1つの軸受30において1以上の任意の数形成されていればよいが、たとえば間座溝部35と重ならない領域(第1の穴28Aが形成されていない領域)に複数形成されている。
遊星軸21には、遊星軸溝部25と外部とを接続するための第3流通孔26が形成されている。遊星軸溝部25は、第3流通孔26を介して摩擦力低減部60と接続されている。摩擦力低減部60は、第3流通孔26を介して遊星軸溝部25の内部に第2媒体を供給可能に設けられている。
このようにすれば、内輪31と遊星軸21とがこれらの接触面の少なくとも一部において第2媒体(気体、液体など)を介して接続されるため、内輪31と遊星軸21との摩擦力を低減することができる。この結果、移動部50による負荷域の移動を容易に行うことができる。
実施の形態1に係る軸受装置1は、軸受30を備えている様々な機械装置に適用可能であるが、特に軸受30の交換が容易に行えない機械装置に有利に適用される。図10を参照して、軸受装置1は、たとえば風力発電装置100に備えられていてもよい。風力発電装置100は、旋回翼であるブレード70と、ブレード70の中心軸を含むように、一端においてブレード70に接続された主軸71と、主軸71の他端に接続された増速機74とを備えている。主軸71は、軸受を介してハウジング73に支持されている。さらに、増速機74は、出力軸75(図2に示す出力軸11)を含んでおり、出力軸75は、発電機76に接続されている。ハウジング73、増速機74、発電機76は、機械室としてのナセル79の内部に格納されている。主軸71の一端はナセル79の外部に突出してブレード70に接続されている。
軸受装置1は風力発電装置100においてブレード70の回転を増速するための増速機74に含まれており、ブレード70の回転はキャリア22(図2参照)を介して軸受装置1に入力され、太陽歯車10と一体の出力軸11(図2参照)から出力されるように設けられている。
このようにすれば、風力発電装置100は、軸受30の交換作業が極めて高コストであり交換作業が困難であるために装置の寿命が軸受寿命に左右される機械装置であるが、機械装置自体を長寿命化することができる。
実施の形態1に係る軸受装置1に備えられている軸受30は、上述のように、間座34における遊星軸21との接触面31Aに間座溝部35が周方向Rに延びるように形成されている。
(実施の形態2)
次に、図11および図12を参照して、実施の形態2に係る軸受装置1について説明する。実施の形態2に係る軸受装置1は、基本的には実施の形態1に係る軸受装置1と同様の構成を備えるが、移動部50が固定軸(遊星軸21)を支持する支持部(キャリア80)に設けられている支持部溝部を用いて内輪31における負荷域を周方向Rに移動可能に設けられている点で異なる。
遊星軸21は、周方向Rにおいて内輪31と一体として回転可能に設けられている。遊星軸21は、キャリア80により支持されている。遊星歯車20は、キャリア80により公転可能に支持されている。さらに、実施の形態2における遊星軸21は、移動部50を稼働させた時に、キャリア80に対して回転可能(自転可能)に設けられている。遊星軸21は、移動部50を稼働させていない時、たとえば軸受装置1の運転動作時には、キャリア80に自転不能に支持されているのが好ましい。
キャリア80において遊星軸21との接触面には、周方向Rに延在する支持部溝部81が形成されている。支持部溝部81は周方向Rに延在しており、かつ周方向Rにおいて端部を有している(全周に連なっていない)限りにおいて、周方向Rにおいて任意の領域に任意の長さにわたって形成されていればよい。異なる観点から言えば、キャリア80の内周面80Aには、遊星軸21の外周面21Aと摺動する接触部82が周方向Rにおいて一部分に形成されている。つまり、接触部82は、支持部溝部81の底面に対して凸状に形成されている。
好ましくは、支持部溝部81はキャリア80と遊星軸21との接触面の大部分に渡って形成されている。このようにすれば、支持部溝部81が周方向Rに広く形成されているため、周方向Rにおける遊星軸21(内輪31)の移動可能範囲を長くとることができる。より好ましくは、支持部溝部81は周方向Rにおいて複数形成されており、複数の支持部溝部81は遊星軸21を挟んで対向するように配置されている。言い換えると、接触部82は周方向Rにおいて複数形成されており、複数の接触部82は遊星軸21を挟んで対向するように配置されている。
支持部溝部81は、1つの転がり軸受30の軸方向(以下、単に軸方向という)において、少なくとも1つ形成されていればよく、複数形成されていてもよい。複数の支持部溝部81は、それぞれ同一の構成を備えていてもよいし、異なっていてもよい。
支持部溝部81は、軸方向において支持部溝部81の遊星軸21との接触面上の任意の位置に形成されていればよいが、たとえば軸方向における中央に形成されている。
遊星軸21には、支持部溝部81と軸方向において嵌合可能に設けられている凸部83が形成されている。凸部83の頂面は、キャリア80と遊星軸21との接触面を成している。好ましくは、凸部83は複数形成されており、複数の凸部83は遊星軸21を挟んで対向するように配置されている。
このようにすれば、支持部溝部81に移動部50によって第1媒体が供給されたときにも、第1媒体が遊星軸21に対し径方向に及ぼす力を相殺して、第1媒体が遊星軸21に対し周方向Rに及ぼす力のみを利用することができる。
なお、支持部溝部81の周方向Rにおける一方端部は第4空間81Aの周方向Rにおける固定端を構成し、その他方端部は第5空間81Bの周方向Rにおける固定端を構成している。
支持部溝部81の内部は、遊星軸21から突出する凸部83により互いに独立し周方向Rに並ぶ第4空間81Aと第5空間81Bとに区分されている。つまり、第4空間81Aおよび第5空間81Bは、それぞれ周方向Rに延びるように形成されており、周方向Rにおける一方の端部が凸部83により構成され、他方の端部が支持部溝部81により構成されている。
移動部50は、第4空間81Aを広げるように第4空間81Aに第1媒体を供給可能に設けられている。第4空間81Aと移動部50とは任意の方法により第1媒体を流通可能に設けられていればよいが、たとえば遊星軸21には周方向Rにおいて凸部83に近接する位置に第4空間81Aと外部とを接続する第4流通孔84が形成されており、移動部50は第4流通孔84を介して第4空間81Aに第1媒体を供給可能に設けられている。
キャリア80には、支持部溝部81と外部とを接続するための第5流通孔85が形成されている。第5流通孔85は、支持部溝部81の一方端部の近傍と外部とを接続するように設けられているのが好ましい。このとき、第4流通孔84および第5流通孔85は、それぞれ1つずつが1つの支持部溝部81に接続されるとともに、いずれか一方が接触部82と凸部83との間に形成される第4空間81Aまたは第5空間81Bに接続されるように設けられている。
つまり、実施の形態1に係る軸受装置1は、キャリア22に支持され固定された遊星軸21に対して内輪31および間座34を周方向Rに回転させることにより負荷域を移動可能に設けられているのに対し、実施の形態2に係る軸受装置1は、キャリア80に対して該キャリア80に支持された遊星軸21および内輪31を周方向Rに回転させることにより負荷域を移動可能に設けられている。
このようにしても、内輪31における負荷域を所定のタイミングで移動可能であるため、内輪31において特定の領域が静止荷重を受け続けることにより当該領域に剥離等の異常が発生することを抑制することができ、軸受寿命が長い軸受装置、機械装置および軸受を提供することができる。
実施の形態2に係る軸受装置1は、遊星軸受30が転がり軸受として構成されているがこれに限られるものではなく、たとえば滑り軸受として構成されていてもよい。つまり、内輪31が滑り軸受の軸(遊星軸21)として構成されており、外輪32が遊星軸21とすべり接触する滑り軸受の軸受として構成されていてもよい。
図13および図14を参照して、遊星歯車20は、滑り軸受の軸受と固定され一体として回転可能に設けられているか、あるいは滑り軸受の軸受として構成されて回転可能に設けられている。遊星軸21は、固定部材として、滑り軸受の軸として設けられており、キャリア80により公転可能に支持されている。
この場合、内輪31としての遊星軸21に静止荷重を受ける負荷域が周方向Rの一部に形成されていることから、遊星軸受30はいわゆる軸静止荷重の滑り軸受である。つまり、移動部50は、遊星軸21(内輪31)に形成されている負荷域を周方向Rに移動可能に設けられている。すなわち、移動部50は、遊星軸21をキャリア80に対して周方向Rに回転可能(自転可能)に設けられている。移動部50は、たとえば油圧アクチュエータを含む。
たとえば、図13および図14に示すように、遊星軸21において、キャリア80との接触面には遊星軸溝部86が形成されている。遊星軸溝部86は、第3流通孔87を介して摩擦力低減部と接続されている。摩擦力低減部は遊星軸溝部86の内部に第2媒体を供給可能に設けられていてもよい。
このようにすれば、移動部50は滑り軸受30の回転動作を妨げることなく負荷域を移動可能である。その結果、金属疲労が進行した先の使用時における負荷域(少なくとも最大面圧部)と重ならない領域を負荷域とすることができ、交換作業を行うことなく1つの軸受装置1を継続して使用することができる。
<変形例>
また、図15を参照して、本実施の形態に係る軸受装置1は、第1空間35Aを軸方向において閉じる軸方向シール部材91,92をさらに備えているのが好ましい。また、図16を参照して、軸受装置1は、第1空間35Aを周方向において閉じる周方向シール部材93,94をさらに備えているのが好ましい。
図15に示されるように、軸方向シール部材91,92は、少なくとも間座34と遊星軸21との接触面と、間座溝部35(図2および図3参照)において軸方向に交差する方向(たとえばラジアル方向)に沿って延びる内周面との接続部を覆うように設けられている。さらに、軸方向シール部材91,92は、突出部材27と遊星軸21との接続面(突出部材27の外周面および第1の穴28Aの内周面)と第1空間35Aとの接続部を覆うように設けられている。軸方向シール部材91,92は、軸方向において第1空間35Aを挟んで対向する位置に、それぞれ1つずつ設けられている。軸方向シール部材91,92は、それぞれ周方向R(図3参照)に沿うように設けられており、たとえば間座溝部35の周方向における一端(接触部36)と他端(接触部36)との間に渡って半円弧状に設けられている。
図15に示されるように、軸方向シール部材91は、第1空間35Aに面しており、周方向シール部材93,94、および突出部材27(特に、遊星軸21の第1の穴28Aからラジアル方向に突出している凸部27E)と面接触または線接触している。軸方向シール部材91は、周方向シール部材93および突出部材27と摺動可能に設けられている。軸方向シール部材91は、周方向シール部材94と固定されていてもよい。
図15に示されるように、軸方向シール部材91は、軸方向シール部材92と面接触している。軸方向シール部材91は、軸方向に沿って延びる面とラジアル方向に沿って延びる面とを有し、当該2面がそれぞれ軸方向シール部材92と面接触しているのが好ましい。
軸方向シール部材91は、たとえばラジアル方向における外周端が間座34と面接触または線接触しており、内周端が遊星軸21と面接触している。
図15に示されるように、軸方向シール部材92は、軸方向において軸方向シール部材91と間座34との間に配置されている。軸方向シール部材92は、第1空間35Aから見て軸方向シール部材91の後方に配置されている。軸方向シール部材92は、ラジアル方向における外周端が間座34と面接触または線接触しており、内周端が軸方向シール部材91と面接触または線接触している。軸方向シール部材92は、軸方向における一端が軸方向シール部材91と面接触または線接触しており、他端が間座34と面接触または線接触している。軸方向シール部材92は、間座溝部35内において軸方向への移動が間座34により制限されている。軸方向シール部材92は、間座溝部35内においてラジアル方向の外周側への移動が間座34によって制限されている。
軸方向シール部材91,92は、たとえば弾性を有し、第1媒体に対し耐性を有する任意の材料であればよいが、たとえばニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムなどのゴム、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂などの樹脂、あるいは上記材料を繊維強化した材料、異種材料で積層した材料を例示できる。
軸受装置1において間座溝部35が複数形成されている場合には、軸方向シール部材91,92は各間座溝部35内において上述のように設けられているのが好ましい。2つの間座溝部35が形成されている場合には、各間座溝部35内にそれぞれ2つの軸方向シール部材91,92が配置されるのが好ましい。
図15および図17を参照して、軸方向シール部材91,92は、たとえば周方向R(図3参照)に直交する断面の形状がL字状である。なお、図17は、図15に示される軸方向シール部材91,92の拡大断面図である。軸方向シール部材91,92は、たとえば当該断面において、ラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分911,921と、軸方向に沿って延びるように形成されている部分(部分911,921に対し軸方向に突出している部分)912,922とを有している。
図15および図17に示されるように、軸方向シール部材91のラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分911は、軸方向に沿って延びるように形成されている部分912が位置する側の側面において軸方向シール部材92と面接触している。軸方向シール部材91の上記部分911は、軸方向シール部材92と面接触している側面とは反対側に位置する側面において第1空間35Aに面しており、周方向シール部材93,94および突出部材27(の凸部27E)と面接触または線接触している。また、軸方向シール部材91の上記部分911の外周端および内周端は、それぞれ間座34および遊星軸21に面接触または線接触している。軸方向シール部材91の上記部分912は、ラジアル方向における外周面および内周面がそれぞれ軸方向シール部材92および遊星軸21に面接触または線接触している。
図15および図17に示されるように、軸方向シール部材92のラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分921は、軸方向において間座34により挟持されている。具体的には、間座溝部35はラジアル方向に沿って延び、かつ互いに対向する2つの内周面を有し、軸方向シール部材92の上記部分921は間座溝部35の当該2つの内周面と面接触している。軸方向シール部材92の上記部分921、および軸方向シール部材92の軸方向に沿って延びるように形成されている部分922は、ラジアル方向における外周面および内周面がそれぞれ間座34および軸方向シール部材91に面接触または線接触している。
このように軸方向シール部材91,92が第1空間35Aと間座34の内周面と遊星軸21との接続部を覆うように設けられていれば、第1空間35Aに供給された第1媒体が上記接続部から外部へ漏れ出ることを抑制することができる。具体的には、軸方向シール部材91は、第1空間35Aに供給された第1媒体によって、軸方向において軸方向シール部材92側に押圧される。軸方向シール部材92は、軸方向シール部材91により間座34に向けて押圧される。このとき、軸方向シール部材92は、遊星軸21に対して固定されている間座34により、軸方向に位置決めされている。そのため、軸方向シール部材92は、軸方向に押圧されることにより、ラジアル方向へ突出するように弾性変形する。そのため、遊星軸21と軸方向シール部材91との間、軸方向シール部材91と軸方向シール部材92との間、軸方向シール部材92と間座34との間の面接触または線接触部分は、軸方向シール部材92の弾性変形に伴って当該接触部分の延在方向に対し直交する方向に押圧されることになる。その結果、各接触部分は高いシール性を発揮することができる。これにより、移動部50は、軸受装置が軸方向シール部材を備えない場合と比べて、より少ない量の第1媒体によって第1空間35Aの上記他方端を移動させることができる。軸方向シール部材91,92を備える軸受装置1は、軸方向シール部材91,92を備えない軸受装置と比べて、より効率的に長い軸受寿命を実現できる。
図16に示されるように、周方向シール部材93と周方向シール部材94とは、周方向において第1空間35Aを挟むように設けられている。周方向シール部材93は、少なくとも突出部材27と間座34との接触面および突出部材27と遊星軸21との接続面(突出部材27の外周面および第1の穴28Aの内周面)と、第1空間35Aとの接続部を覆うように設けられている。周方向シール部材93は、周方向における一端E1が第1空間35Aに面している。当該一端E1は、突出部材27と遊星軸21との上記接続面よりも、周方向において第1流通孔23側に位置している。周方向シール部材93は、周方向における他端E2が突出部材27と接続されており、たとえば突出部材27に固定されている。
図16に示されるように、周方向シール部材94は、少なくとも間座34と遊星軸21との接触面と間座溝部35においてラジアル方向に沿って延びる内周面との接続部を覆うように設けられている。周方向シール部材94の周方向における一端E1は、第1空間35Aに面しており、かつ周方向シール部材93の上記一端E1と第1空間35Aを挟んで対向している。周方向シール部材94の周方向における他端E2は、間座溝部35の周方向における端部(接触部36)と接続されており、たとえば当該端部に固定されている。
このとき、周方向シール部材93,94の当該一端E1において、ラジアル方向の外周側に位置する部分は間座34と線接触または面接触しており、内周側に位置する部分は遊星軸21と線接触または面接触している。また、周方向シール部材93,94の当該一端E1において軸方向の一方および他方の側に位置する部分は、軸方向シール部材91と線接触または面接触している。
周方向シール部材93は、上述のように、軸方向シール部材91と摺動可能に接続されている。周方向シール部材94は、軸方向シール部材91に固定されていてもよい。周方向シール部材93,94を構成する材料は、たとえば弾性を有し、第1媒体に対し耐性を有する任意の材料であればよいが、たとえばニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムなどのゴム、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂などの樹脂、あるいは上記材料を繊維強化した材料、異種材料で積層した材料を例示できる。
図18〜図20を参照して、周方向シール部材93,94は、たとえば一端E1が他端E2よりも広く設けられている。一端E1には、他端E2側に向かって凹んでいる凹部95が形成されている。上述のように、周方向シール部材93,94は、それぞれの一端E1が第1空間35Aに面するように配置されている。そのため、周方向シール部材93,94の凹部95内は第1空間35Aの一部を構成し、凹部95内にも第1媒体が供給される。これにより、周方向シール部材93,94は、凹部95内に供給された第1媒体により間座34、遊星軸21、または軸方向シール部材91に押圧される。図20に示されるように、周方向シール部材93,94は、周方向に直交する断面の形状がY字状である。
また、上述のように、周方向シール部材93,94がそれぞれ上記接続部を覆うようにもうけられていれば、第1空間35Aに供給された第1媒体が上記接続部に漏れ出ることを抑制することができる。そのため、移動部50は、軸受装置が周方向シール部材を備えない場合と比べて、より少ない量の第1媒体によって第1空間35Aの上記他方端を移動させることができる。その結果、周方向シール部材93,94を備える軸受装置1は、周方向シール部材93,94を備えない軸受装置と比べて、より効率的に長い軸受寿命を実現できる。
また、周方向シール部材93,94において一端E1に凹部95が形成されていることにより、周方向シール部材93,94は、第1空間35Aに供給された第1媒体により凹部95内からを押圧されることになる。そのため、周方向シール部材93,94の一端E1において間座34および遊星軸21と接触している上記部分は、凹部95が形成されていない場合と比べてより強く間座34および遊星軸21と接触することができる。
軸方向シール部材91,92は、図15に示される構成に限られるものではない。図21〜図23は、軸方向シール部材91,92の変形例を示す図である。なお、図21〜図23では、軸方向シール部材および間座34の構成のみを示し、他は図示していない。図21〜図23に示される間座34および第1空間35Aは、図15および図16に示される間座34および第1空間35Aと基本的に同様の構成を備えている。
図21を参照して、軸方向シール部材91は、ラジアル方向において軸方向シール部材92を挟むように形成された2つの軸方向シール部材91A,91Bにより構成されていてもよい。軸方向シール部材91A,91Bは、それぞれラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分と、軸方向に沿って延びるように形成されている部分とを有している。軸方向シール部材91A,91Bのラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分は、それぞれ軸方向に沿って延びるように形成されている部分が位置する側の側面において軸方向シール部材92と面接触しており、当該側面とは反対側に位置する側面において第1空間35Aに面している。軸方向シール部材91Aのラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分、および軸方向シール部材91Bのラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分は、ラジアル方向に連なるように設けられている。軸方向シール部材91Aのラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分の内周端と、軸方向シール部材91Bのラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分の外周端とは、軸方向シール部材92と軸方向に重なる位置において互いに対向するように配置されている。軸方向シール部材91Bの軸方向に沿って延びるように形成されている部分は、外周面が間座34と面接触し、内周面が軸方向シール部材92と面接触している。なお、軸方向シール部材91Aの上記内周端と軸方向シール部材91Bの上記外周端とは、接触していてもよいし、接触可能に設けられていてもよい。
このようにしても、軸方向シール部材91A,91Bは、第1空間35Aに供給された第1媒体により軸方向において軸方向シール部材92側に押圧される。その結果、軸方向シール部材92が上述のように弾性変形するため、遊星軸21(図15参照)と軸方向シール部材91Aとの間、軸方向シール部材91Aと軸方向シール部材92との間、軸方向シール部材92と軸方向シール部材91Bとの間、軸方向シール部材91Bと間座34との間、および軸方向シール部材92と間座34との間の面接触または線接触部分は、軸方向シール部材92の弾性変形に伴って当該接触部分の延在方向に対し直交する方向に押圧されることになる。そのため、各接触部分は高いシール性を発揮することができる。
図22を参照して、軸方向シール部材91は、ラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分の外周端が尖鋭な形状の尖端として形成されていてもよい。軸方向シール部材91のラジアル方向に沿って延びるように形成されている部分は、第1空間35Aに面している側面が1つの平面として構成されており、当該側面とは反対側に位置する側面が互いに交差する方向に延びる2つの平面により構成されている。当該2つの平面は、第1空間35Aに面している側面に対して鋭角を成すように設けられている面、および第1空間35Aに面している側面と略平行に設けられている面である。このとき、軸方向シール部材92は、軸方向シール部材91の上記2つの平面とそれぞれ面接触可能に設けられているのが好ましい。
このようにしても、軸方向シール部材91は、第1空間35Aに供給された第1媒体により軸方向において軸方向シール部材92側に押圧されることにより、軸方向シール部材92をラジアル方向へ突出するように弾性変形させることができる。これにより、遊星軸21(図15参照)と軸方向シール部材91との間、軸方向シール部材91と軸方向シール部材92との間、および軸方向シール部材92と間座34との間の面接触または線接触部分は、軸方向シール部材92の弾性変形に伴って当該接触部分の延在方向に対し直交する方向に押圧されることになる。そのため、各接触部分は高いシール性を発揮することができる。
図15、図20および図21に示される軸方向シール部材91,92は、間座溝部34内において第1空間35Aを挟んで軸方向に対向するように設けられているが、これに限られるものではない。図22を参照して、軸方向シール部材96は、たとえば遊星軸21(図15参照)とともに第1空間35Aを囲むように設けられていてもよい。このとき、軸方向シール部材96は、間座34の間座溝部35の内周面に沿うように形成されているのが好ましい。言い換えると、軸方向シール部材96は、ラジアル方向および軸方向において内側に位置する内周面97が第1空間35Aに面しており、内周面97の反対側に位置する外周面98が間座溝部35の内周面と面接触しているのが好ましい。軸方向シール部材96は、ラジアル方向における内周端が遊星軸21(図15参照)と面接触または線接触している。
軸方向シール部材96は、間座溝部35の上記周方向に直交する断面の形状が方形状の場合に当該断面の形状がコ字状であり、半円形状の場合にC字状である。この場合、周方向シール部材93,94(図16参照)の上記一端E1(図16参照)においてラジアル方向の外周側に位置する部分は、軸方向シール部材96と線接触または面接触している。
このようにしても、軸方向シール部材96が間座34と遊星軸21との接触面と、間座溝部35(図2および図3参照)において軸方向に交差する方向(たとえばラジアル方向)に沿って延びる内周面との接続部を覆うように設けられていれば、第1空間35Aに供給された第1媒体が上記接続部から外部へ漏れ出ることを当該軸方向シール部材96により抑制することができる。そのため、移動部50は、軸受装置が軸方向シール部材を備えない場合と比べて、より少ない量の第1媒体によって第1空間35Aの上記他方端を移動させることができる。その結果、軸方向シール部材96を備える軸受装置1は、軸方向シール部材96を備えない軸受装置と比べて、より効率的に長い軸受寿命を実現できる。
周方向シール部材93,94は、図18〜図20に示される構成に限られるものではない。図24〜図29は、周方向シール部材93,94の変形例を示す図である。図24〜図26を参照して、周方向シール部材93,94は、周方向に直交する断面の形状がV字状であってもよい。このとき、周方向シール部材93,94の一端E1を構成する部分の幅(厚み)は、他端E2を構成する部分の厚みと同等程度であってもよい。また、図27〜図29を参照して、周方向シール部材93,94は、一端E1を構成する部分の幅(厚み)が他端E2を構成する部分の厚みと比べて狭く(薄く)設けられていてもよい。
図24〜図29に示される周方向シール部材93,94の一端E1および他端E2が、図16、図18〜図20に示される周方向シール部材93,94の一端E1および他端E2と同様に軸受装置内に配置されることにより、図24〜図29に示される周方向シール部材93,94は図18〜図20に示される周方向シール部材93,94と同様の効果を奏することができる。
また、図27〜図29に示される周方向シール部材93,94は、上述のように、凹部95に面しており一端E1を構成する部分の厚みが他端E2を構成する部分の厚みと比べて薄いため、両部分の厚みが同等である場合と比べて、第1媒体により凹部95内から押圧されたときに容易に変形することができる。そのため、たとえば周方向シール部材93,94を構成する材料が比較的に弾性率の低い材料であっても、周方向シール部材93,94の一端E1は、間座34、遊星軸21、および軸方向シール部材91と強く接触することができる。
なお、軸方向シール部材91,92および周方向シール部材93,94は、軸受30として転がり軸受または滑り軸受を備える軸受装置1に適用され得る。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、交換作業が困難な軸受を備える軸受装置、機械装置、および軸受に特に有利に適用される。
1 軸受装置、10 太陽歯車、11 出力軸、20 遊星歯車、21 遊星軸、21A 外周面、22,80 キャリア(支持部)、23 第1流通孔、24 第2流通孔、25 遊星軸溝部、26 第3流通孔、27 突出部材、28A 第1の穴、28B 第2の穴、29 支持部材、30 遊星軸受(転がり軸受、滑り軸受)、31 内輪、32 外輪、33 転動体、34 間座、35 間座溝部、35A 第1空間、35B 第2空間、36,82 接触部、40 内歯車、50 移動部、51 ホース導入口、60 摩擦力低減部、70 旋回翼、81 支持部溝部、81A 第4空間、81B 第5空間、83 凸部、84 第4流通孔、85 第5流通孔、91,92,96 軸方向シール部材、93,94 周方向シール部材、95 凹部、100 風力発電装置、200 遊星歯車機構。

Claims (17)

  1. 内輪と、前記内輪の外周を囲むように形成された外輪とを含む軸受を備え、
    前記軸受の作動時は前記外輪が前記軸受の周方向に回転する一方、前記内輪は前記周方向に回転しないように構成されており、
    前記内輪の前記周方向の一部は、前記軸受の静止時においてラジアル荷重を受ける負荷域となっており、
    前記内輪において前記負荷域を移動可能な移動部をさらに備える、軸受装置。
  2. 前記移動部は、前記内輪において前記負荷域を前記周方向に移動可能に設けられている、請求項1に記載の軸受装置。
  3. 前記軸受は、転がり軸受であり、
    前記軸受の作動時に前記内輪が固定されている固定軸と、
    円環状であって、その内周側において前記固定軸とはめあわされるとともに前記内輪と接続されており、前記内輪と一体として前記固定軸に対し移動可能に設けられている間座とをさらに備え、
    前記間座において前記固定軸との接触面には、前記周方向に延在する間座溝部が形成されており、
    前記間座溝部の内部は、前記固定軸から突出する突出部材により互いに独立し前記周方向に並ぶ第1空間と第2空間とに区分されており、
    前記移動部は、前記第1空間を広げるように前記第1空間に第1媒体を供給可能に設けられている、請求項2に記載の軸受装置。
  4. 前記間座溝部内において前記間座および前記固定軸に接続されており、前記軸受の軸方向において前記第1空間を閉じる軸方向シール部材をさらに備える、請求項3に記載の軸受装置。
  5. 前記間座溝部内において前記間座、前記固定軸、および前記軸方向シール部材に接続されており、前記軸受の周方向において前記第1空間を閉じる周方向シール部材をさらに備える、請求項4に記載の軸受装置。
  6. 前記第2空間と前記軸受装置の外部とをつなぐ流通路を備える、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の軸受装置。
  7. 前記突出部材は前記固定軸の表面から突出した状態と、前記表面から突出しない状態とに位置変更可能となっている、請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の軸受装置。
  8. 前記内輪と前記固定軸との摩擦力を低減させる摩擦力低減部をさらに備え、
    前記固定軸において前記内輪との接触面には固定軸溝部が形成されており、
    前記固定軸溝部と前記内輪との間には第3空間が形成されており、
    前記摩擦力低減部は、前記第3空間内に第2媒体を供給可能に設けられている、請求項3に記載の軸受装置。
  9. 前記軸受は、転がり軸受であり、
    前記内輪が固定されている固定軸と、
    前記固定軸を支持する支持部とをさらに備え、
    前記支持部において前記固定軸との接触面には、前記周方向に延在する支持部溝部が形成されており、
    前記支持部溝部の内部は、前記固定軸から突出する凸部により互いに独立し前記周方向に並ぶ第4空間と第5空間とに区分されており、
    前記移動部は、前記第4空間を広げるように前記第4空間に第1媒体を供給可能に設けられている、請求項2に記載の軸受装置。
  10. 前記軸受は、滑り軸受であり、
    前記内輪が固定されている固定軸と、
    前記固定軸を支持する支持部とをさらに備え、
    前記移動部は前記支持部に対して前記内輪を相対的に移動させることにより、前記内輪において前記負荷域を移動可能に設けられている、請求項2に記載の軸受装置。
  11. 前記支持部において前記固定軸との接触面には、前記周方向に延在する支持部溝部が形成されており、
    前記支持部溝部の内部は、前記固定軸から突出する凸部により互いに独立し前記周方向に並ぶ第4空間と第5空間とに区分されており、
    前記移動部は、前記第4空間を広げるように前記第4空間に第1媒体を供給可能に設けられている、請求項10に記載の軸受装置。
  12. 前記支持部溝部内において前記支持部および前記固定軸に接続されており、前記軸受の軸方向において前記第4空間を閉じる軸方向シール部材をさらに備える、請求項11に記載の軸受装置。
  13. 前記支持部溝部内において前記支持部、前記固定軸、および前記軸方向シール部材に接続されており、前記軸受の周方向において前記第4空間を閉じる周方向シール部材をさらに備える、請求項12に記載の軸受装置。
  14. 前記固定軸と前記支持部との摩擦力を低減させる摩擦力低減部をさらに備え、
    前記固定軸において前記支持部との接触面には固定軸溝部が形成されており、
    前記固定軸溝部と前記固定軸との間には第6空間が形成されており、
    前記摩擦力低減部は、前記第6空間内に第2媒体を供給可能に設けられている、請求項9〜請求項13のいずれか1項に記載の軸受装置。
  15. 前記移動部は、油圧アクチュエータを含む、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の軸受装置。
  16. 請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の軸受装置を備える機械装置。
  17. 請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の軸受装置に備えられている、軸受。
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